○井上(良)
委員 もちろんその
政府間の買付といいますか、売渡し、買取りという話のほかに、商業取引がございましよう、ところが問題は外貨資金が自由に使えるか、使えないかということが一つであります。その外貨資金もドル現金が必要であります。ドル現金を思うように
政府で支拂うだけの具体的な何かを持
つておるか、持
つてないかというところへ問題は落ちて行く。それといま一つは
予算に組んでありますトン当り百七十二ドルで、一体そういう米が買えるか買えぬかという問題であります。ここで国際的な穀物
相場を日本であふり立てて上げるというのなら、買えるかもわかりませんけれども、百七十二ドルの
予算が組んである、その買取り
価格で
政府の
割当以外のものが買えるかどうかということになると、この点は非常に私どもも心配をいたしております。同時にまた
ビルマ等におきましても、
政府は昨年確かに十五万トンほど入れまして
——これを本年は二十万トン入れたいという
計画らしいですが、ところが逆に、私どもが
ビルマのいろいろな米の輸出の状況を見、またこれら米を輸出する各国が、それぞれ国内需要が非常にふえたということと、反対に輸入する国々が非常に人口増加等による米の不足から、国際
市場価格が上るという見通しを立てて、去年のような十五万トンさえ
確保することが困難ではないか、私どもはこういう一定の見通しを立てておるわけです。そういう全体の観点から、私ども米の輸入というものを
考えまして、たとえばその他イタリア、エジプト、濠州、ブラジル、メキシコ等の南方米がございますけれども、これはいずれもドル資金の段取りと、
価格を
相当高く買う、船賃を
相当張り込むという
條件がそろわないと、なかなかそう
政府が予定しておるだけのものは買えぬこになりはせんか、こういうように私どもは思
つておるのであります。というのは、
政府は語るに落ちるで、非常に
大臣は安易に外国
輸入食糧を
考えられておるようですけれども、逆に輸入懇請使といいますか、輸入をできるだけうまくできるように相手の国にお願いに行くという、
政府代表といいますか、
政府役人をそれぞれ現地に派遣しておるというこの事実から、
相当輸入は困難である。こう私は見ておりまして、そこで当初
政府が
計画しておる九十七万トンという
数字は、実際これは困難な
数字ではないか、というのは、これは私どもに
政府は発表しませんけれども、
政府は隠した需給推算を持
つておる。あなたはそこで先般発表しました需給
数量のほかにもう一つ秘密の需給推算というものを持
つておるはずだ。需給推算はこの外米の輸入を実ははるかに下に押えておるということが大体において
考えられる。そこへ持
つて来てこの外米の輸入が思うように予定
通り各国において行きませんというと、その肩がわりが麦に来るのであります。麦の輸入にこれがかか
つて来るわけです。そういう総合的な米麦両方の需給を見ておりますと、
政府が先般ここで発表されました明
年度への持越しですが、この持越しが麦が去年より非常に減
つております。そこへも
つて来て、一方
政府では、麦の
統制をはずすというようなことになりますと、麦の業務用の加工、それからつき減りといいますか、このつき減りのふえる量、そういうことから全体において私は
政府が見積
つておる
数字よりも、はるかに麦の需要は実際は多くなる。そういうことから次
年度へ繰越します麦の量というものは大体三十四、五万トン、約一箇月分の麦の消費量に該当するくらいのものが二十八
年度へ繰越されやせぬかという一つの見通しを立てている。そういう実情を私ども
考えますときに、ただわれわれが
タイや
ビルマやその他の国々の実際の実情を現地においてつかんでおりませんから、ただ
政府から出て来るいろいろな
数字だけで議論をさせられておりますので、はなはだどうもたよりないような議論になりますけれども、ぜひ
現実に世界のいろいろな動きや情勢や、また昨
年度の麦の収穫等の実情を、アメリカ、カナダその他を見まして想定いたします場合、私は今年の日本の
食糧需給というものは、実は容易ならぬと
考えておるのであります。その見通しを、あなた方の方は非常に安易に
考えておりやせぬかということです。現にあなたの方では、内地米の操作におきましても、今御
説明がありました
通り、本年の
供出と補正と
超過供出と、この三つを比べてみて、
年度末に一体どういう状態になるか。その
年度末の大きな穴を埋めようとして、二十七
年度産米を約二十万トン早食いするという
計画がこの中に入
つておる。ところが過去の早食いの実績というものは、そんなべらぼうな早食いをせいといつた
つてできない実績であつた。二十五
年度には確かに十二、三万トンと私は
考えておりますが、昨年でこれが大体十六万トンくらいじやないかと思
つておる。それを本年は二十万トンを越す早食いを見込んでおる。もしこれを石数に直すならば、百万石からの早食いにな
つてしまう。百三十万石くらいにもなるでしよう。そんなことが事実できるとお
考えになりますか。そういう実情からわれわれが推定いたして行きますと、なかなか本年の需給というものは、
政府が楽観するような状態ではないという結論がここへ出て来る。その一つの現われは、すでに
長官もお耳に入
つておる
通り、
九州地方の炭鉱においては、加配米がどんどん質がかえられておるじやないか。従来内地米で保証しておつたものを外米で埋めておるじやないか。福岡地方に起つたと思つたら、それが長崎へ行き、山口県へ来ておるのです。現にあなたの下におる需給課長は、関西や
四国や中国や
九州へ行
つて、当該の県の
関係官を集めて、これから県内需給を一体どうするか、
政府のいわゆる手持ちが現在どのくらいあるか、どれだけ食いつなぎができるかというところから、東北の米を
九州へ持
つて行かなければならぬ実情にあるのじやないか。そういう実情がないとお
考えにな
つておりますか。その点を一ぺん聞いてみたい。