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1952-02-07 第13回国会 衆議院 農林委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年二月七日(木曜日)     午前十時四十七分開議  出席委員    委員長 松浦 東介君    理事 遠藤 三郎君 理事 井上 良二君       宇野秀次郎君    小淵 光平君       坂田 英一君    坂本  實君       田中 彰治君    中馬 辰猪君       幡谷仙次郎君    原田 雪松君       吉川 久衛君    石井 繁丸君       竹村奈良一君  出席政府委員         警察予備隊本部         次長      江口見登留君         特別調達庁長官 根道 広吉君         総理府事務官         (特別調達庁管         理部長)    長岡 伊八君         外務政務次官  石原幹市郎君         農林政務次官  野原 正勝君         農林事務官         (農地局長)  平川  守君         食糧庁長官   東畑 四郎君  委員外出席者         專  門  員 難波 理平君         專  門  員 岩隈  博君         專  門  員 藤井  信君     ————————————— 二月六日  水稻共済掛金農家負担軽減等に関する請願(  大石ヨシエ紹介)(第四六一号)  積雪寒冷単作地帯振興臨時措置法による国庫補  助増額等請願小澤佐重喜紹介)(第四六  二号)  国有土地森林原野下戻法制定に関する請願(平  澤長吉紹介)(第四六三号)  丸森町地内の国有林拂下げに関する請願(松本  善壽紹介)(第四六四号)  畑地かんがい施設費国庫補助請願亘四郎君  紹介)(第四六五号)  有畜農家創設維持対策確立に関する請願(小  澤佐重喜紹介)(第四六六号)  海岸砂地の造林及び防風林施設拡充に関する請  願(亘四郎紹介)(第四七二号)  積雪寒冷單作地帯振興臨時措置法に基く予算措  置等に関する請願足鹿覺紹介)(第四九三  号)  澱粉工業救済に関する請願竹山祐太郎君外六  名紹介)(第四九四号)  農産物検査員行政整理に関する請願福井勇  君紹介)(第四九五号)  畜犬競技法制定に関する請願島田末信君紹  介)(第四九六号)  土地改良事業対策確立に関する請願(林百郎君  紹介)(第五三二号)  壱岐土地改良区の排水改良事業費国庫補助に関  する請願西村久之紹介)(第五三三号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  小委員補欠選任  食糧問題に関する件  開拓地に関する件     —————————————
  2. 松浦東介

    松浦委員長 それではこれより農林委員会を開会いたします。  まず食糧問題について調査を行いますが、本日は当面問題となつております昭和二十六年度産米供出割当補正の問題及びこれに関連する食糧需給操作等を中心に議事を進めることにいたします。  まず順序といたしまして供出補正について政府説明を求めます。東畑政府委員
  3. 東畑四郎

    東畑政府委員 供出割当補正個別折衝は順次進んでおりまして、ただいま残つておりますのは四国九州のうちの鹿兒島県を除きました全県、静岡、愛知、これだけがまだ個別折衝が済んでおりません。その他の県につきましては個別折衝を一応済ましたのでありますけれども、超過供出数量等につきましてはなお県でよく検討したいという県が多少ございますので、最後の超過供出数量等はまだまとまつた数字を申し上げにくいのでありますけれども、今までのところ交渉のまとまつた県につきまして、われわれが一応の根拠から超過要請をお願いいたしました数量は、百二十六万石程度であつたのであります。たとえば大県であります山形新潟茨城等の県について、さらにもう一ぺんよく検討して確約をしたいという希望等がありましたために、はつきりと地方責任者あるいは農業委員等超過供出を出すと確約しました数字は五十一万石程度にすぎないのであります。そのほかになおこれ以上出せるという見込みがまだ相当あります。また新潟でありますとか、山形等につきましてはこの数字の中に入つておりません。こういう県は、さらにもう一度はつきりとした見込み数量を立てていただいてお願いをするということにいたしたいと考えております。減額補正の問題につきまして、昨日までのところで、われわれの方と県御当局の方とで、中央補正をいたすという数字はつきりまとまりましたのが四十六万石余になつております。なお地方補正その他等がございますけれども、中央はつきりと減額補正をされましたのが四十六万石余になつております。引続き四国九州等の非常に災害の多かつた県の折衝をただいま進めておる次第であります。
  4. 松浦東介

    松浦委員長 質疑はございますか。——それではこれより質疑を許します。井上良二君。
  5. 井上良二

    井上(良)委員 超過供出並びに補正問題に関連をいたしまして、昭和二十七年度主要食糧需給見通しであります。先般農林大臣は、本委員会において本年度食糧需給見通しについて、特に内地産の米の米食率の問題について、絶対に米食率は下る心配はない、こういう楽観的な答弁委員質問に答えてされておるのであります。これは、政府がことしの予算に、また方針に示しておりますように、四月から麦の統制をはずすという前提に立つて本年の食糧見通しというものをわれわれが考えます場合に、麦の統制をはずした後における米に対する需要というものがどういう形で現われて来るかという点を考慮しますと、これがまた本年の供出の上に、また補正あるいは超過供出の上に非常な影響を持つて来ておる、こう私は考えております。そこで今御説明を伺いまして、大体の見当がついたのですが、超過供出政府が期待するものは、当初二百万石ということが期待されておつたのであります。ところが実際はその半分も超過供出として出たら私は大成功だと思う。私は大体のところ、後に伺います匿名供出免税措置等によりまして有効な手が打たれますならば、大体まず百万石を確保するのに非常な努力をせなけりやならぬが、そういういろいろな悪條件を考慮しました後において超過供出はかたいところ百万石は割る。八十万石ぐらいがせいぜいではないかと私は押えておる。それと一方ルース台風による被害が意外に広範囲にわたつており、また病虫害あるいは夏の水害等による被害が非常に深刻であります関係もありまして、近畿以西の各府県の補正割当というものが非常な深刻な要求がされております。そういう点から、大体超過供出になつた分は全部これを補正で埋め合せなければならぬことになりはせぬか、そう私は考えております。そこで二十七米穀年度予定されます内地産の米というものは、結局二千五百五十万石のうちで操作せなければならぬことになりはせぬか、こう考えます。そこで二千五百五十万石のうちで、十一月一日の米穀年度の出発にあたりまして、すでに約百万石の早食いをいたしております。そうすると二十七年度に持ち越しました米は二千四百五十万石ということになります。  それからこの三月末日までに消費されますものが、大体千百五十万石から千二百万石のところがかたい数字と私は押えております。そうしますと、これで大体千百五十万石くらいが三月末日までにすでに消費されてしまうことになりますと、それからあと十月までの間に所要量として予定されますものが、内地米で大体千四百万石。そうなりますと、ここに内地米だけの計算をいたしましても百万石の穴があくのであります。そこでこれが十月末までの計算でありますから、かりに十月に二十七年度産米本年度通り早食いをするということにいたしますならば、どうにか、かつかつぎりぎり一ぱいのところつじつまが合う計算なつております。ところがこれは数字の上でつじつまが合うことでありまして、政府は、約半箇月分二百万石くらいのストックを持たなければ、現実配給はできない実情にあります。そういうことを考慮いたしますと、ここに百万石ないし二百万石の穴がどうしてもあくと私は現実に押えておるのでありますが、この数字に狂いがありますか、この点について長官からひとつ説明を願いたい。
  6. 東畑四郎

    東畑政府委員 ただいま井上さんから非常に専門的の数字にわたりまして、政府昭和二十七米穀年度食糧需給の、特に米の内容等についてお話がございました。われわれの見るところと結論においてはやや違いますが、途中の過程においてはそう大きな相違はないのであります。  今日は米の問題についてはつきり見通しだけの数字を申し上げておきたいと思います。昨年の十一月一日の、いわゆる持越米でございますが、古古米——これは一昨年の産米でありますが、石で申しますと四十三万三千石、これは玄米換算の石でございます。それから古米——古米と申しますけれども、これは新米なのですが、それが六百四十三万五千石になります。二千五百五十万以上の超過を期待しておるのでありますけれども、二千五百五十万石としますと、十一月以降入りますものが千八百十二万六千石、その合計が、いわゆる古米——古米ということは本年の産米でありますが、二千四百五十六万一千石ということになりまして、先ほど井上さんの申されました二千五百五十万石から約百万石食つているのじやないかという話と、二千四百五十六万石と大体つじつまが合うわけであります。そのほかに、一昨年の米、古々米が四十三万三千石あるわけであります。次に来年産の米の早食いであります。これをどのくらい食うかという問題は、非常にまだ問題があると思いますが、一応われわれは過去の実績等を検討しまして、千五十五万石くらいの買入れを予想しておるのであります。だからこれは新米の買入れに期待をしておるわけであります。そういたしますと、いわゆる供給高と申しますものが、繰返して申し上げますと、古々米が四十三万三千石、古米が二千四百五十六万一千石、二十七年産米が千五十五万石、これが一応供給予定なつております。  それから外米でございますが、外米の十一月一日の持越しが八十三万五千石、これが砕米を除いた分であります。そのほかに砕米が三十四万石程度ございます。それから外米輸入でございますが、これは昨年の十一月から今年の十月までに到着する見込量と申しますが、これは今後の外米輸入等につきましては、なお交渉いたしまして努力する余地が相当ございますけれども、一応外米のうちの正米が六百五十万七千石程度予定しております。そのほかに砕米が約十万トン、六十六万六千石程度を予想しております。従いまして外米供給として考えられるものは、昭和二十七米穀年度におきまして正米が七百三十四万二千石、砕米持越しを含めまして約百万六千石ということに相当なるのであります。従いまして内地米外米ひつくるめまして供給高は四千三百八十九万四千石、トンに換算しますと、六百五十八万四千トンという数字になるのであります。  需要は二十七年度需要高農家用、あるいは加工用酒米等をも含めまして、三千四百二十四万石程度予定をいたしております。トンで申し上げますと、五百十三万六千トンということになるのであります。  そこで昭和二十八米穀年度に対してどれだけの持越しをしたらよいかということが非常に問題になるのであります。一応事務的の案として考えますと、古々米先ほども申しましたように本年度は四十三万三千石であります。こういうものももつとたつぷり持とうということで、かりに五十万石程度持越しをする。それから新米を千五十五万石買うのでありますけれども、そのうちの百三十五万石程度昭和二十七米穀年度に食いまして、残り九百十万石程度を二十八米穀年度に持越すというような、何と申しますか、非常に努力しないといいますか、正常に食うという持越しをかりに考える。外米等持越しも大体五十八万二千石を持越そう。砕米等も昨年より若干多く四十六万石程度を持越す。持越し程度をかりに千七十四万石程度持越そう。本年は八百四万石、先ほど申し上げましたようにありますが、それを千七十四万石程度かりに持越しをいたしますると、約百八万石の赤が出る。トン数で言いますと、十六万三千トンであります。井上さんの先ほど百万石程度出るのではないかというお話は、こういう計算をすれば出るのでありますが、ここでまた努力の要素があることはわれわれとしても考えおるのでございまして、ただいま来年度新米早食いというものを一応二十万トン、百三十五万石程度と考えておりますけれども、これをもう少し早場供出等を実行いたしますれば、都市においてももう少しよけい食えるのではないか。そういう努力がこの数字には残つておるのであります。超過供出につきましても、われわれはネット増いうものをもう少し努力して行くというようなことをいたしますれば、この百万石程度数字というものは、われわれの今後十一月までの努力によりまして補喧し得るのではないか、こういうように実は考えておるのであります。ただ問題は、本年の内地米の生産が四国九州中国等減額が非常に熾烈でありまして、管外に搬出し得る米の量は、内地米では東北地区であるとかあるいは北陸地区等の管区に限られまして、大部分の県はその管内で操作をし、なおかつ非常に足らない。そういうところはどうしても外米輸入でこれを補填して米食率維持をはからなければならない、こういうことになるのであります。外米等もカリフオルニアの米でありますとか、ブラジルの米であるとか、エジプトの米等につきましては、品種が大体内地米と同格でありますので、同じ外米といいましても、これは内地米同等品種である。こういうようにして配給を続けまして、われわれは今後の努力を続けて行きたい、こういうように考えております。これがどなたにも申し上げなかつたのでありますが、責任者として実は初めて申し上げる努力目標予定数字であります。
  7. 井上良二

    井上(良)委員 今御説明を承りますと、大体本年の主要食糧、特に米の需給については、努力をすれば心配はない、こういう数字的な説明がされておる。ところが今御説明を聞いておりまして感じます点は、問題は政府倉庫に何ぼ米が一体これから入るかが問題であり、しかも今御説明を承りますと、二十七年度産米を非常に大きく期待しておるのであります。二十六年度産米がわれわれは大体超過供出補正とをにらみ合せて、結局二千五百五十万石政府倉庫に入ればどうなるということからして、これからの需要を見まして、これから秋までの見通しは一体どうなるかということが問題になる。そこでたとえば十一月一日の新年度に入りましてからこつち、政府はすでに約百万石の二十六年度産米早食いしておるのであります。これは二十七年度予定いたします二千五百五十万石のうちから百万石食つておるわけである。そこへもつて来て古米が四十三万石あつたというが、古米を繰り越しておりますか。そうすると、早食いの中から古米を引いたものを二千五百五十石から引けばいいことになります。ね。そうなつて参りましても、あまり数字的には大きな開きはありません。あなたの方の御説明によると——これは非常に大事な問題ですから、こまかく聞くようですけれども、四月一日現在政府手持ちは一体何ぼあるとお考えになつておりますか。麦をいよいよはずすということになつて、四月一日から後何ぼありますか。もつと申し上げますならば、十一月から三月末までの消費量は何ぼです。その四月一日の政府手持ち政府倉庫にある内地米は何ぼありますか。この数字が明らかになれば、初めて四月以降十月までの需要が何ぼあつて、何ぼ米が足らぬか足るかということがわかつて来ますから、その点を明らかにしてもらいませんと、国民は納得しません。今のあなたのような御説明ですと、非常にややこしくなつてしまつてわかりませんから、二千五百五十万石のうちで、早食いした分が何ぼで、三月三十一日までに食う分が何ぼと、三月三十一日の政府手持ちはこれだけある。それで十月までの需要がこれだけだ。差引これだけ余るなら余る、足らぬなら足らぬということを、現在の配給量から推定して言うてもらいませんと、国民は納得しません。そうしてあなたの方では二十七年度産米を非常に期待しておるようですけれども、これはとれるものやらとれないものやらわかりません。とれると仮定しての上でのことですから、今国民の期待しますのは、政府倉庫に今何ぼ米がある、これから一体供出がされ、何ぼ政府食庫に四月までに入るか、四日以降何ぼ食うか、それで十月までそれを食いつなげるかどうか、こういう問題です。内地米の話を主としておるのです。外米の問題はまた別ですが、その点を明確にできたらひとつしていただきたい。
  8. 東畑四郎

    東畑政府委員 新米を十一月までに食いましたものは約九十四万石程度であります。三月末までにどれだけ政府在庫があるかということは、ただいまのところ供出が二千三百二十二万石で、これは二月二日のわれわれの手元に受けました供出実績です。約九一%であります。従いまして今後内地米だけで申しますと、供出が三月末までにどれだけ進むかということが非常に影響するのであります。消費量というものも月間相当違つて参ります。われわれといたしましては、今比較的米の消費量が多い月でございまして、今後の二月、三月における米の消費量等も推定はいたしておるのでありますが、先ほど井上さんが申されましたような千五百万石ということは、少し過大であります。千百から千二百万石程度に押えようと思つておるのです。四月一日現在の在庫量と申しますことは、もう少しよく検討をいたしまして申上げませんと、誤解を生むので、もうしばらく供出の状況その他実績を見きわめた上ではつきりした数字を申し上げた方がいいじやないか、こういうふうに実は考えております。
  9. 井上良二

    井上(良)委員 そこで、そういうわけで政府の方でもまだこれからはつきりどうなるかという自信が実はないわけでしよう、ほんとうを言つたら、私はそう見ておる。というのは、すでに地域的に遅配が起つており、また地域的には労務加配米を、現実内地米配給量を引下げておるでしよう。これはすでにあなたの方へもたびたび陳情があつたと思うが、九州地方炭田地区では、内地米配給率が引下げられて非常に困つておる。何とかしてくれなければ仕事ができぬという切実な要求が、九州地方炭田地区から政府に対して猛烈にされているだろうと思う。地域的なそういう一つのトラブルが現実に起つているわけだ。しかも今後政府のいろいろな努力によつて、たとえば超過供出を積極的に展開をする。あるいはまた外米で特に内地米に匹敵するようなものを輸入して、穴埋めして行くというような策が講じられましようが、現実に私が今申し上げました四つの点が明白にされて、本年の供出は二千五百五十万石は確保できるという前提に立つて早食いはこれだけである。十一月から三月までこれだけ消費する。四月一日現在の政府手持量はこれだけある。四月以降十月までの消費量はこれだけだから、絶対に米食率は下らないという明確な数字が、今日出せない現状にあるのです。それほど食糧事情は逼迫しておるわけであります。というのは、大体今までわれわれがずつと食糧対策を検討して参りました場合、大体において二千七百万石か、二千八百万石の供出がなければ、現行の米食率維持するわけに行かないのです。それが本年いろいろな悪條件で二千五百五十万石しか割当されてない。ここに二百万石からの穴が明いているのです。この二百万石をどうして埋めるか、どうして食い縮めるかという、その食い縮めるか、穴埋めするかという二つの対策がどつちかにおいて立てられなければ、現実に不足するのです。人口はふえておりますし、耕地は減つておりますし、いろいろな條件から、どうしても百五十万石か二百万石穴が明く。あなたの方の需給推算数字の上では米が残ることになつても、現実に米が足らぬことになつて来はせぬか、こういう一つ見通しを私は立てております。まだ政府数字が固まらぬそうですから、これ以上質問をしましても、御答弁にも困ることと思いますから、私が今申した点について国民を納得さし、得心をせしめる立場から、特に消費者が非常な不安を抱いておりますし、またこの点が明らかにされることによつて超過供出もさらに一層成績がよくなつて来ると思いますから、至急にこの点を明確にされたい。そうしないというと、消費者も、また供出上る農家においても、やはり心構えがありますから、この点に対して、はつきり明確な数字をひとつお示しを願いたいと思います。  なお、これにつけ加えて申し上げておきますが、特に免税措置について、いわゆる超過供出をした者に対しては、特にそれが匿名供出でされる場合については、所得税を免税する、こういう声明を本委員会において大臣はつきりされております。そうしてこれは大蔵大臣とも話がついておる、こういう話であつたのです、ところがかんじんの徴税当局者である大蔵省主税局並び国税庁の方では、全然そんなことは聞いてない、そういうことをやるためには法的な措置を講じなければできない、こういうことで、まつたく政府大臣意見とは食い違うことを発表しておるわけです。これはただちに現実供出をやつております農家に影響して参ります。現実食糧供出を督励に歩きました地方に対しても、非常な迷惑を及ぼすと思います。これについて政府は單に政治的にそういうことを言うではなしに、具体的に法的な改正を必要とするという具体的な措置を講じなければいかぬし、なおまた政府がそういう方針をきめました以上は、これを下部関係機関に、免税措置の徹底を通達する必要があるので、農林次官等、あるいはまた国税庁長官連名でもつて下部の税務署に、あるいは市町村長にそういう通達をする意思がありますか。この点についてひとつ伺つておきたいと思います。この免税措置の問題につきましては、大臣もおりませんし、またいずれ大蔵当局にも本委員会に出頭を願いまして、いろいろ具体的な対策についての御意見を伺いたい。なお、さきに申しました労務加配の地域的な不均衡の問題、さらにまた砕米の処理、相当たくさんな砕米をかかえておりすが、これに対する処置をどうしようと考えておるか。これらのことについていろいろ質問をしたいのですけれども、他の関係質問がありますので、いずれ機会を見て再び質問をすることにいたしますが、それまでできることでしたら、さきに私が申し上げました需給見通しについて明確な答弁のできるように、御調査の上、ひとつ必要な資料をお出しを願いたい。こういうことを申し上げまして、私の質問はこれで打切ります。
  10. 松浦東介

    松浦委員長 食糧問題につきましては、今井上君からも御質問がありましたが、次会にこれをまわすことにしまして、次に開拓地の問題に移りたいと思います。  最近、警察予備隊等におきましてその練習用地として開拓地やあるいは農耕地を接収、使用する機会が非常に多いように承つておりますが、これは食糧の増産の必要が強く要望され、寸尺の農地も貴重とされております折からでございますので、この開拓地の接収問題はきわめて重大であると思います。どのような事情なつておりまするか、この際警察予備隊側並び特別調達庁から、まず御説明を承りたいと思います。警察予備隊江口次長
  11. 江口見登留

    江口政府委員 委員長のお尋ねに対しましてお答え申し上げます。  最近警察予備隊におきまして、部隊訓練が進捗して参りますにつれて演習場の必要が痛感されて参つたのであります。従いまして昔の陸軍の演習場その他適当な土地を、この予備隊演習のために使用いたしたいと思いまして、いろいろと努力いたしておるのでありますが、開拓地なつて参りましたり、その他いろいろな事情がありまして、予備隊訓練も現在のところでは十分に行われていないというような実情であります。しかしながらせつかく予備隊の任を遂行いたしますためには、どうしても演習場を獲得するということが必要でありますので、そういう開拓者の人々とも十分打合せをいたしまして、できるだけ農耕地を荒らさない、農民の方に損害を與えないというような方法を講じつつ、いろいろと方法をめぐらしておるのであります。万一そういう演習によりまして損害が生じましたような場合には、できるだけこれを補償するという建前で目下いろいろその補償の標準その他の金額などにつきまして、農林省を通じまして折衝中でありますので、今後この上とも十分に御迷惑にならないように措置いたして行きたい、かように考えております。
  12. 松浦東介

    松浦委員長 特別調達庁側からもひとつ御説明を願います。
  13. 根道広吉

    根道政府委員 特別調達庁関係の方におきまして、最近開拓地等の接収問題の起ることはあまり例はございませんのですが、一、二実例があつて、各方面の陳情を受けております。そういう場合に私どもといたしましては、日本の現状にかんがみまして、またそれに関係するところの農家の方々の困難な事情等も考えまして、連合国側に対しましては開拓地の接収等についてはできるだけ手控えてもらいたい、またそうでないところに何か方法を設けて、別途の道が講ぜられる。もしやむを得ずして絶対に必要上接収が行われるというような場合には、これまたできるだけ最小限度にとどめてもらいたいということは、いずれの場合におきましても政府の立場といたしまして陳情、仲介、あつせんをいたしておるわけであります。  さらに現状につきまして担当の管理部長長岡政府委員から一言つけ加えさしていただきます。
  14. 長岡伊八

    ○長岡政府委員 開拓地の接収されますことにつきましては、ただいま委員長からお話のありました通り、農作物の生産の面から見ましてはなはだ困却いたしまする次第であります。ただいま長官から申し上げました通り、事態の起りましたときに、軍にいさいの事情を陳情いたしましてなるべく接収を避けるように努力いたしております。何分にも、特調といたしましては、軍に対するサービスをするという役所であるという関係から、むしろつべこべりくつを言わずに、軍の要求を満たすように努力すべきがお前たちの務めではないかというふうに見られまするので、はなはだやりにくいのでありますが、しかしわれわれといたしましては、今日の国情と申しますか、民情と申しますか、事態を明らかに軍側に通ずることが、これまたわれわれに課せられた義務の一つであると心得ておりまするので、そのたびにただいま申し上げました通りに、実情をよく軍に話しまして、でき得る限り接収を避ける方針で進んでおるのであります。具体的に開拓地が接収されまして問題になつた所があります。これにつきましては、ただいま長官も申し上げました通り、現在われわれに許されておりまするわく内におきまして、でき得る限りの補償をいたしまして、農民各位の御迷惑をなるべく寡少にするという措置をとつておる次第でございます。
  15. 松浦東介

    松浦委員長 それでは質疑の通告がございますからこれを許します。宇野秀次郎君。
  16. 宇野秀次郎

    ○宇野委員 今政府説明でほぼわかつたのでありますが、何分戰後の開拓者の入植状態はきわめて活発でありまして、すでに十五万戸純農家として入つておるのであります。開墾も五十万町歩を算し、石に換算して五百万石の増収を見ておるというような状態であるのであります。しかし一方国内治安の重要性から、予備隊の拡充というような方面から、これらの人植地との問題がここに大きな摩擦を来しておることは事実であります。今いろいろ競合しないように、あるいはまた農家に損害を與えた場合にはそれぞれ補償をするという。きわめて親切な御方針を明らかにせられたのでありまするが、この問題は私ども非常に今後重大な問題だと思う。政府が言うがごとく、損害があつた場合に補償するということではいけないのであつて、この地方はどうしても国内治安の必要上、演習地としなければならぬというようなことがわかつた場合には、あらかじめそれに対する十分なる施策をとらなければならぬ。すなわちあなた方の方でそれぞれ予定があると思うのでありますが、予定地等はすみやかに当委員会等に御報告を願い、そうしてそれに対してどういう処置をとるということを明らかにしていただかなければならぬと思うのであります。特に入植して営々辛苦して、そこに家も立て、自分たちの死ぬところときめて入つておる人たち、農民の心理を十分お考えになりますると、これはただ国策で、国内治安上必要であるから、この付近は演習地にするというような、一方的な天くだり的な考えは排して、十分農民の納得の行くような、すなわち話合いをつけて、円満のうちにやつてもらわなければならぬと思う。従つて、場合によつては、この地方に営農しておる土地であつて食糧増産の面からいえば重要なポイントであるけれども、また今言つたような国内の治安上、どうしても演習地にしなければならぬというような場合には、これはどうしても移植しなければならぬという問題が出て来ると思う。移植するに対しましては、かわり地を、現在の土地よりもさらに有利な條件土地を選んでそれらの人に與える。従つてそれに誓いろいろの損害の問題は、全部国家が補償するというところまで行かなければならぬと思う。そこで私は、この際当局においてどういう方面の入植地はどうしても接収しなければならないというようなお考えがあろうと思いますが、ありましたらそれらの案をお示しいただきたいと思います。
  17. 江口見登留

    江口政府委員 予備隊が大部隊の訓練を必要とする事態は、最近に至つてつたのであります。小部隊の訓練の際には、そういう問題があまり生じなかつたのでありますが、先ほど申しましたように、だんだん訓練の度合いが進んで参りますにつれまして、相当広範囲の演習地がいる。従いまして、ある部隊を中心にしてその付近にどういう演習地が入手可能であるかという調査を今いたしておる最中でありまして、一つの営舎に二つも三つもいるというりくつはございませんので、最も御迷惑のかからない、最も開拓者に損害を與えない地域をきめたい、こう思いまして候補地を調査いたしておる最中でございます。もとより予備隊自身でこれをやりまして、はなはだ圧迫的な誤解を受けても困りますので、常に農林当局を介しまして、あの方面における土地演習地として使えるかどうか、またそれによつてどの程度の損害が起るか、あるいは起つた場合にはどういう程度の補償をしなければならぬかという、詳細な打合せを目下続行中であります。従いまして、これが一つの表にまとまりまする時期が来ましたら、皆様の方にもお目にかけまして、一層御協力を仰ぎたいと存じます。
  18. 長岡伊八

    ○長岡政府委員 ただいま申し落しましたので、つけ加えておきますが、特別調達庁関係といたしましては、何分にも従来は軍が決定いたして参りまするので、ただいまお話がありました通り、事前の措置がはなはだとりにくい場合があるのであります。軍におきましても、最近になりましては、開拓地に限りませんが、こういう接収をいたしますときに現地でいろいろ問題を起してはいかぬから、その点は非常に注意して接収事務に当れ、場合によつては、軍側とこちら側との委員会のようなものもつくつて、被接収者の納得の行く方法によつてやれというような指示も参つております。最近霞ケ浦の開拓地が接収されるであろうということで、農民各位に非常な刺激を與えたのでありますが、これにつきましては、私の方でただちに軍に免除方を願い出まして、この点につきましては、軍側におきましても非常に早く回答いたしてくれました。将来の問題は保証ができませんが、現地は接収しないということを、非常に早く回答いたしてくれましたので、ただちに農民各位に電報で知らせましたところが、非常に喜ばれたような事実もあります。軍の方におきましても、この点につきましては、十分留意のあることと存じておる次第でございます。
  19. 宇野秀次郎

    ○宇野委員 今の御説明で、農家に損害を與えた場合には補償する、これは当然であります。しかし地方によつて——私の聞くところによりますと、鹿児島の高峠という方面では、農耕地にたまが流れて来るという話を聞いたのであります。これは私は事実を確めておりませんが、これはどつちかと言うと、損害を與えたというよりも、精神的の損害が大きいのです。こういうことはないと思いますが、そういう事実がありますか。
  20. 江口見登留

    江口政府委員 今鹿児島県の例をあげられたようでありますが鹿児島につきましては私ちよつと記憶いたしておりませんが、一、二たまがそれまして家の壁に当つたというようなこともございます。その後ただちにその事情調査いたしまして、今後の射撃その他について十分注意するように指示いたしております。今後はだんだん火器の性能もよくわかつて参りますし、そういう不注意はできるだけ減少いたして行きたい、かように考えております。
  21. 宇野秀次郎

    ○宇野委員 今のそういう点は厳格に御注意を願いたいと思います。  それから安全保障條約に伴つて、さらにこういつた問題は今後大きいいろいろな問題が出て来るのではないかと思う。行政協定はまだ母体的な案がきまりませんが、きまる上において特に演習地あるいは兵舎といつたような問題の農民との競合の件については、どういうお考えを持つていらつしやるか、これはこれからの問題であるが、十分農林当局等の意向を参酌して、先ほどおつしやつたように協議会をつくるなり、あるいは納得の行く一つの方法をお考え願いたいと思う。ただ天くだり的にやるというようなことでなくお願いしたいと思うのであるが、それらに対して御所信があつたら伺いたい。
  22. 石原幹市郎

    ○石原(幹)政府委員 この問題は、ただいま御案内のごとく行政協定につきましていろいろ協議がされているわけでありまして、まだここで詳細御説明する段階には至つておりませんが、各方面からいろいろの要望、希望等が出ておりますので、それらの趣旨を十分体しまして諸般の折衝に当つているわけでございます。
  23. 松浦東介

  24. 井上良二

    井上(良)委員 私も、ただいま議題になつております開拓地を軍用地また演習地として接収する問題について、二、三質問をいたしたいのですが、この際特に予備隊並びに特調関係の方や、外務省の方に申し上げておきたいのは、今ここで問題にしております開拓地の接収問題については、政府は終戰後の人口対策、なお食糧対策の見地から、開拓事業を一つの国策として取上げておるのですが、このために、昨年度まで約五百億からの国費が、開拓地に国家資本として投下されているのです。同時に開拓民みずから血の出るような金を、約二十億からつぎ込んでおるのです。そしてその開拓地たるや、これが開拓地に適するかどうか、また将来そこが農耕地あるいは牧場として適するか、適さぬかという点を、あらゆる見地から科学的に調査をして、国土総合開発の見地から開拓地と指定して、今申したような、国費なり個人資本を投下して、非常な血の出るような思いで今日までやつて来た。やつとどうにかそこへおちついてやつて行けるときになつて、今宇野さんからもお話のあつた通り、国内の治安や、あるいは国防の見地から、警察予備隊なり、あるいは連合軍の駐留の必要から、演習地または軍用地として必要な面が出て参つておりますが、これは国策としてやつて来ております点を十分ひとつ考慮をされて、新たに軍用地なり、演習地なりに接収いたします場合は、一体他に適当な土地があるかないかということが先決條件でなければいかぬと私は思うのです。どうも特調にしても、あるいは予備隊当局者にしても、現在開拓地を使つた方が安上りだ、経費が安く済む、こういう見地から、大きな資本が投下され、労力が投下され、やつとどうにかそこに農業経営が成り立つようになつて来たところにやるということは、あらゆる面に非常な影響を及ぼして来ているのです。この点を十分お考え願わなければならぬ。今日までに判明いたしたところによると、予備隊が二十二箇所、連合軍において十六箇所、計三十八箇所、一万一千六百四十二町夢、立ちのき家屋が二千五百八十三戸に上つておる。しかもこれらが、地元開拓民や、あるいはまた関係町村の十分な了解の上でやられるならともかく、いろいろ私の調べたところによると、全然関係当局にも話をせずにかつてにやつておる地域がある。今のお話によると、農林当局関係当局と相談の上でやつておる、こういうお話であるけれども、全然相談も何もありはしない。かんじんの地元民の了解も得ずに、かつてにやつておる地域がたくさんあるじやないか。一体そんな権限が何の法律によつて與えられておるのですか。その法的根拠を明らかにしてください。
  25. 江口見登留

    江口政府委員 その土地の所有者、あるいは開拓民に対しまして無断で演習を行うというようなことは、絶対にとめておるつもりでございます。ただ一部、了解を得たものと思つてやりましたところが、その了解が一部に得られていなかつたという点はときどきあろうと思いまするが、大体はその地元の代表者なり、あるいは県庁の方々を通じまして、さしつかえなかろうということで演習をいたしましたところが、その結果におきまして非常に損害が出たとか、あるいは承諾なしにやられたとかいうことがあるのでございます。それは確かに二、三の事例があつたように思いますが、それ以後というものは絶対にそういことがないように、すべての関係者の了解を得た上で演習を行うようにということを十分に伝達いたしておりますので、今後はそういう突然の御迷惑をかけることもなかろうかと存じております。
  26. 井上良二

    井上(良)委員 地元民や関係方面と了解の上であると言われるが、あなたはそれで了解が成り立つと思つておりますか。自分の開拓地演習をやられるということになつて、どんどん多数の予備隊が入つて、畑を荒すわ、同時に農道はわやにされるわ、鶏は卵を産まぬようになつてしまうわ、牛は流産してしまうわというような、むちやな事態が至るところで起つておるのですが、そういうことを開拓民が一体承諾して、よろしゆうございます、やつてくださいと言い得ると考えておりますか。そういうことはあり得べきことではない。町村当局は、多数の予備隊が入つてそこに駐屯してくれることは、村の繁栄にもなり、また予備隊が来るということで道路もきれいになろうし、また家が立つて村もにぎやかになろう、そうすれば物も売れるだろうということで、村当局としては、予備隊が多少駐留してくれることを喜ぶとこもあるかもしれない。今申すように、終戰以来長い間、困難な中から多額の国費を出し、そうしてまた血の出るような自己資金を打込んで、やつと物がとれるようになつたところを荒されるのですから、そういうものは話合いがつくとあなたはお考えになつてありますか。それをひとつ伺いたいと思います。
  27. 江口見登留

    江口政府委員 非常に関係者の数の多いという場合もあります。しかも演習計画は早急に全国そろつて進行させなければならないというような事態も生じますので、代表者の方、県庁あるいは市町村のお世話役といつたような方を介して、大体了解を得たつもりで演習をいたしておるのであります。しかも最初から開拓地のりつぱなところを目がけて演習するというようなことは絶対に考えておりません。たとえばその付近に開拓されていない所があるとか、あるいは不毛地があるとかいう所を選んで演習を開始したところが、たまたま部隊の展開とか、あるいはたまが飛んで行くというようなことから、その付近の農家に御迷惑をかけたということはあるかもしれませんが、りつぱな開拓地を目がけて演習を計画するということは、今後といえども絶対にないことだと思いますので、御了承を願います。
  28. 井上良二

    井上(良)委員 あなたはそう言うけれども、農林本省の了解も得ずに、一時的ということでやつている地域だけでも十一箇所に上つているのです。北海道の美幌、栃木の駒生、石川に二箇所、広島、鳥取、香川、鹿兒島、京都——私はこの際あなたに特に申し上げておきたいが、今あなたのお話の通り、予備隊訓練演習というようなものは、一つの計画性を持たされていると思う。また現在七万五千なり九万の予備隊がおりまして、この予備隊が一体どれだけの演習地、訓練地を必要とするということは、予備隊創設の場合わかるでありましよう。そんなものを全然考えないで予備隊をやつているのですか。予備隊を七万置けば、演習地は何万坪必要とするということがちやんと予定されて予備隊をつくつておるのと違うのですか。それならちやんと敷地を初めから都合してやればいいじやないか。それをしないでやつてつて、そういう狼藉を働く。これは狼藉ですよ、乱暴狼藉という言葉があるが、まつたく狼藉だ。相手は武器を持つているのだから、あぶなくてかなわぬ。七万五千なら七万五千、八万なら八方の予備隊を創設し、それを運営する場合には、大体全国の主要箇所でこれこれのところには演習地を必要とするという計画が立てられたはずですが、立てておりませんか。そんなものはいらないのですか。
  29. 江口見登留

    江口政府委員 正直に申し上げますると、一昨年予備隊が結成せられまするときに、七万五千を早急に集めなければ、ならぬという差迫つた事情があつたわけです。従いましてその当時はとにかく建物がありさえすればよいということで、公共の、あるいは会社の古い建物を買収しまして、急遽七万五千を入れたのであります。それからぼつぼつ訓練が始まりました。訓練の計画につきましては、御承知と思いまするが、火器はすべてアメリカから貸與されております。キヤンプにはアメリカの顧問がついております。その人たちの指導と援助によりまして大体武器の操法なり訓練計画が進んで参つたのであります。最初は建物だけをねらつて予備隊が設置されたが、訓練が進んで参りますると演習場がいるようになつた。ところが最初入りました建物のそばには適当な演習場がない。演習は小部隊訓練から大部隊訓練なつた。そうすると今まで近所や営庭で行われておりました演習が、外へ出て行かなければならぬ。従いまして今お話の開拓民との間にいろいろな事故がつ起でおりますのも、実は去年の秋ごろからの問題でありました。それまでは部隊訓練も小さく、あるいは適当な狭い不毛地を使うことによつて進めて行くことができたのでありますが、最近におきましてそういう問題が起つてつたのであります。従いまして七万五千創設の際に、どういう演習計画があつて、どういう火器を使つて、どれくらいの演習場が必要であつたかということはなぜわからなかつたか、こう申されることも、ごもつともだと存じまするが、大体急遽集めて、それから訓練計画がだんだんアドヴアイザーの助言によつて進んで参り、武器も違つたものがだんだん入つて参るということになつて参りましたために、演習場も当初考えておつた点よりは非常に広くなつて参つたのであります。それに順応しながら地元において事故を起さないように、治安の問題と開拓地の問題を調整しつつ考えております。今後七万五千がまた十一万になります際におきましても、演脅場の数も当然ふえることが必要になつて来ると思いますけれども、問題がだんだん地方から中央に上つてつておる際でありまするので、中央におきまする関係各省とも十分相談をいたしまして、出先においてかつてなことが起らないように、今後十分に統制をとつて参りたい、かように考えております。
  30. 井上良二

    井上(良)委員 あなたの今おつしやるように、去年の秋ごろからの問題だということになりますと、今日では演習地とか訓練地というものは必要であるのでしよう。そうなると二十七年度予算予備隊経費の中に、そういう予定し得る演習地なら演習地の造成費といいますか、そういう予算が出ておりますか。
  31. 江口見登留

    江口政府委員 二十七年度におきまして、そういうものを数箇所買収するという予算は計上されております。しかしこれはまだ十分とは申されません。ことにただいま申しましたように、どういう地域が絶対に必要である、その地域においてどの程度の広さが必要である。そのためにはどの程度耕地をつぶしてしまわなければならぬとか、あるいは移転補償の問題等がございまするが、それらの点がまだ十分固まつていない点もございまするので、これは固まり次第予算上に具体化して行きたい。それまでは、もしそういう権限がない土地につきましては、地元の方たちと十分相談した上で善処をして参りたい、かように考えております。
  32. 井上良二

    井上(良)委員 これはもちろん地元民との円満な了解の上に事を進められるということも必要でありますが、予備隊として、あるいは連合軍として民有地を接收するという場合は、当然その法的な措置を必要とすると思います。單なる話合いというだけじやいかぬと思います。あなた方の方は今言うた通り武力を持つておるのですが、片方は武力を持つておらぬ。そこで話合いはどういうことになるかというと、どうしてもあんた方の言い分は通つてしまつて、こつちは納まつておらなければならぬということになつてしまう。そこでそういう国の国策としてやつて参りました開拓地等を接収いたします場合も、やはり特別措置法を今国会に出す必要があるじやないかと思います。そうしませんと、まつたくその話合いは一方的な話合いに進められる危険性が多分にあると私は考えますが、あなたにはそう考えませんか。立法的措置を必要としないとお考えになりますか。
  33. 江口見登留

    江口政府委員 そういう意見政府部内にあります。しかしながら実態が法律にそぐわないような状態になつておりますのに、無理に法律をつくりまして、かえつて強権をもつて押しつけるというようなことはいかがかと考えるのであります。やはり円満に話合いがついて、了解のもとに使用ができるという態勢を今のところ続けた方がいいのではないか。その過程におきまして、決して武器をもつて脅迫するとかというようなことは絶対やらないつもりでございます。また実際了解を得たければ使えないという現状の方が、法律で押しつけるよりは多少でも民主的ではないだろうかという空気もありますので、ただいまのところ特別措置法を出す予定はございません。
  34. 井上良二

    井上(良)委員 そうしますと、あくまでも民主的な方法といいますか、納得、得心の上で事を進めて行きたいということはまことにけつこうな考え方ですが、單に関係当局である農林省と話をするだけではいかぬと思います。問題は現地の問題ですから、現地の問題を中央において解決いたします場合は、もちろん相手方であります農地の所管庁である農林省を相手にせられなければなりませんが、同時にそういう現地の具体的ななまなましい問題を円滑に処理するためには、農業委員会というのがあります。それから開拓者の全国的な団体もあります。これらの実際その道の専門家をひとつ網羅しまして、あなたの方と農林省とそれらの関係団体が集まりまして、円満に事を処理して行く、こういうやり方をおとりになる方が、私は最も民主的な妥当なやり方じやないかと考えますが、これに対するお考えはどうかという点が一つ。  その次に伺つておきたいのは、現実開拓地の隣りへやつて来て大砲をぶつぱなす。それも空砲ならいいけれども、実弾をぶつぱなしておるから危くてかなわぬ。そのために開拓地のいろいろな面に非常な被害を與えておるわけです。今も申します通り、大砲の音を聞いただけで鶏はたまごを生まぬようになつてしまう。乳牛の乳の出が悪くなつてしまう。産婦は産気づいて早く子供を生んでしまう。そういう間接的な被害というものは非常に多いのです。これらの被害に対して一体あなた方は補償するつもりですか。これを補償する責任があろうと思うが、それは知らないということで行きますか。どつちですか。それが明らかになつていない、現在まで今あげましたように幾多の箇所にそういう被害実情がありますが、これをすぐ調査されまして善後処置をおとりになりますか、これらの点について明らかにしてもらいたい、  それから最後に、これは外務省所管でありますが、連合軍との間に例の日米安全保障條約の締結に伴つて行政措置が今交渉中でございますが、條約発効後の外国軍隊の日本駐留に関連してこれらの農地の補償、接収等についての規定を、行政協定の中にいかなる方法できめようとするか。またそういう議題を日本側としては用意されておるかどうか。そして将来接収地として予定される地帶は、一体どのくらいにわたつているか。これらの点について説明できる範囲の説明を願いたい、こう考えております。
  35. 江口見登留

    江口政府委員 開拓地演習地に使用いたします際の接収と申しますか、私の方では農収という言葉を使いたくないのであります、納得ずくで使用さしていただきたいということでございますが、その際の広さとか補償の額とかいうものについての資料を得るために、先ほどおあげになりましたような団体、あるいは委員会をお使いになつたらどうかということでございますが、その実行の方法につきましては、今後とも農林省ともよく相談いたしまして、それが適当であればあるいはそういう方法をとることがいいと思いますし、これはひとつ今後の研究におまかせおきを願いたいと存じます。  それから先ほど鶏の話、牛の話、お産の話が出ました。これは京都の長田野におきましてそういう事例があつたように聞いております。また長田野におきまする開拓者の団体から、そういうものに対しても非常な被害があつた。ついては約百万円程度の補償をしてもらいたいという要求書が、実は二週間ほど前に参りました。そういう事情も最近われわれ中央において聞いたような始末であります。それにつきましては、さつそく指令をいたしまして、十分地元のそういう人たちの損害の程度なり、どういうものについて補償するなり、あるいはいろいろな損害に対して合せて何ぼでごかんべん願いたいというような折衝を、今さしております。大体折衝しました金額も昨日報告が来ております。それにつきましては、現金で補償するというのは、今の例がおそらく最初の例になろうかと思いますので、これが今後のいろいろな例の元になるわけでありますから、いろいろそれに対して標準というものもきめなければなるまい、こう考えております。長田野におきまする損害の金額だけは大体わかりましたので、それに対して標準がきまり次第現金でお支拂いいたしたいと考えております。
  36. 石原幹市郎

    ○石原(幹)政府委員 先ほど宇野委員の御質問に対してもお答えを一応申し上げたのでありますが、ただいまのところ全日本開拓者連盟、あるいは農林省その他からいろいろ、御要望、希望等が出ておりまするので、それらの趣旨を体しまして、いろいろ折衝に当つておるわけであります。地帶の範囲等につきましては、これはまだここで御説明申し上げる段階には至つておりません。これは両者の間で合同委員会のようなものがつくられまして、そこで具体的に詳細に決定されて行くということになるようであります。  それから補償の問題につきましてお話があつたようでありまするが、これは事故による補償がありまするし、いろいろの問題がありまするので、これらはやはり一つの題目として両者の間で検討される問題になります。
  37. 竹村奈良一

    ○竹村委員 私もこの問題についてお聞きしておきたいと思うのであります。私は先ほどからの各委員質問を聞いておりまして、どうも奇異に感ずることが一つあるわけであります。というのは、私は重複を避けて先の委員質問したことを抜きにして質問いたしますが、たとえばわれわれが調査したところによりますと、全国にあいてそういう演習地あるいは軍の使用地、あるいはその他でつぶれた土地というのは、先ほど井上君も申しましたように、実に厖大に上つておるのですが、先ほどからの質問によりますと、まだ予定地がはつきりしないとか、あるいはその反別町数等につきましては、実は政府の方から詳細に言つておられないわけです。たびたびわれわれは、一体どことどこと、どういうふうに使つておられるのかという資料の要求をいたしましても、まだ調査中だ、調査中だということで、はつきりされていない。そこで私の聞きたいことは、先ほどからの質疑を聞いておりますと、昨年の七、八月ごろからこの問題が日程に上つておる。そこで一体その警察予備隊演習地としては全国で一体何箇所で、どれだけ現在では必要としておるのか、あるいは軍の方ではどれだけ使つておるのか、この点をまず先に一ぺんお聞きしておきたい。
  38. 江口見登留

    江口政府委員 演習場といたしましては、各キヤンプに小規模な演習場一つと、それから一管区に少し大規模な演習場が二つ三つ、それから一管区に相当大きな演習地が一箇所、これは理想でございます。こういうような演習場の獲得計画を米軍の顧問の方で立てまして、われわれの方に勧告が来ておるわけであります。しかしながらその要求と申しますか、理想と申しますか、それをそのまま実行するということになりますと、現在の国情から申しまして不可能であります。従いましてわれわれ、そういう勧告もありまするが、それを現実に実行するにつきましては、まず予算の問題、大蔵省とのいろいろ協議の問題もあります。大蔵省との間に了解が成り立つておるものもございますが、今後了解をつけて行かなければならぬものもございます。従いましてただいまのところ、理想案としては、今申し上げましたような演習地がいるのでございまするが、これの実施問題となりますと、相当長日月を要するのではないか、かように考えております。従いまして理想案はありましても、実行案としては予算の裏づけその他地元の了解等によりまして、相当延びる予定でございます。目下のところはそういう過程にある次第でございます。
  39. 竹村奈良一

    ○竹村委員 そうすると、そういう理想案を持つて理想実現のために努力して行くということは、結局において、そういう農地あるいは開拓地を必要とするから、それだけはともかく、了解できるかできぬかわからぬが、理想案実現のためにやつて行く、つまりそういう土地をつぶすということは、はつきりしているわけですが、それの町数は何町いるのですか。
  40. 江口見登留

    江口政府委員 理想案をそのまま実現したいとも考えておりません。これは一つの勧告にすぎないのでございまするから、日本の国情によく照して、向うの理想案をもう少し縮小してもらいたい部面もあるわけでありまして、それらについての折衝も今行いつつあるわけであります。従いまして必ずどの辺に何坪のものがどれくらいいるということは、今申し上げる時期に至つていない次第でございます。
  41. 竹村奈良一

    ○竹村委員 そうすると警察予備隊演習場というものは勧告によつてやられている、これは日本の警察予備隊の本部で考えた案じやなしに、勧告によつてそれはやられているのだ。だからそれの折衝の結果ではないと様子はわからぬ、こういうことを言われるわけですが、そういたしますと警察予備隊というものは、これは日本の主権じやないわけですね。
  42. 江口見登留

    江口政府委員 先ほど申しましたように、いろいろな武器の使用などにつきましても、すべて米軍が貸し與えておるのでございます。従いましてアメリカとしましては、朝鮮戰線あるいはヨ—ロツパの関係などもございまして、アメリカの方としましてもわれわれにどの程度の武器を貸してくれるかという見当も、向うさん自身があまり十分持ち得ないのであります。従いまして、われわれの方にその案に従つた勧告がございまするが、その勧告をそのまま受入れるかどうかは、もちろん日本は自主的に考えればいいのでございます。今申しましたように、武器の受入方及びその訓練の進め方等によりましてきまつて参るのでございまして、決して向うの案を日本側へ押しつけておるわけではございません。われわれはできるだけ自主的に日本の予備隊の発育のために、いろいろな方法を講じて行きたいと考えております。
  43. 竹村奈良一

    ○竹村委員 そこでひとつお伺いいたしたいのでございますが、大体それではさつき井上委員からもいろいろ問題があつたわけでございますが、そういうことのために土地取上げをするというようなことが起つて参りまして、そうしてたとえば開拓地であるとするならば、そこにおる入植者というものは、ただちに失業をすることになる。問題は警察予備隊の増設というものは、国内治安を維持するためであると、いつも政府は言つておりますけれども、問題はこういう厖大な土地が、そういう形において取上げられて、そうしてそこに入植した者がその土地から離れるということになりますと、この人たちのいわゆる生活というものが立ち行かない、つまりそのことは、今日日本におきますところのいろいろな農村における過剰人口の問題、あるいは二、三男の人々の仕事の問題等から考えまして、先ほど井上委員も申しましたように、日本の食糧自給の建前から厖大な国費を投じていろいろ開拓をやつている。そこに一応の仕事を見つけ、生活の道を見つけて参つたのでありますが、それがだんだんこわされて行くということになりますと、問題の中心は、結局そういう人たちを失業せしめ、仕事にあぶれせしめて、自分たちの将来の生計を立てることができないという、希望を失わすこと自体は、かえつてこれこそが私は国内治安を撹乱する原因ではないか、少くとも警察予備隊をつくることによつて国内治安を乱す原因をつくることになると私は思うのであります。そこで問題の国内治安を乱すところの原因というものは、結局警察予備隊やあるいはアメリカの駐留軍がいて、軍事基地なんかをこしらえて、土地の取上げ等をやるがゆえに、結局治安が乱れて来るということになる。だからこしらえぬ方がいいのですけれども、政府はやると言つております。このことについてはまた別の機会で言いますが、しかしそれにしても、土地を離れるような人に対する確固たる補償、この補償の問題は、先ほどから井上委員に対する答弁を聞いておりますとはつきりしていなかつた。まあ何とか納得するといいますけれども、一方は武器を持つたり、大砲を持つたりしている者と、片一方はくわとハンマーしか持つていない者との交渉ですから、これは負けであります。そこでその人たちに対する補償というものは、得心ずくでやるように考えております、と言うけれども、先ほどから井上委員も言つておりますが、現に各地で起つておる不安に対しても、現実に既成の事実として使用されている人々に対しても、それに対する具体的な補償の方法というものは明示されておらないと思うのですが、これに対してあなたが国内治安を撹乱しないようにするのだという建前に立つならば、これに対する補償というものは、どういう形で、具体的にどういうふうに考えておられるか、この点をはつきり伺つておきたい。
  44. 江口見登留

    江口政府委員 離作をしましたり、あるいは転業したり、かえ地を得て移つたりという場合、あるいは家を買いつぶすというようなことが考えられるわけでありますが、その際の補償の額の問題、程度の問題、これはいろいろ具体的に違つて参るだろうと思います。もちろんいろいろな場合に農林省当局の考えておられる前例もあるわけでありまして、その前例を取入れまして、できるだけ御迷惑のかからないようにやつて行きたいとは考えております。しかしいまだ具体的に現金として幾らというものを支拂つた事例は一つもないのであります。今後そういう基準がだんだんきまつて参りまして、そうすればできるだけすみやかに、不安な期間が長くならないように、片づけて行くことができるのではないか、かように考えております。むりやりに離作させるとか、そしてそれに対して何らの補償も與えないで失業させるとか、あるいはかえ地も與えないで補償もせずに出てもらうとか、そういうようなことは絶対に考えておりません。また勝ち負けという問題がございまするが、予備隊といたしましては、できるだけ開拓者の意向を聞くようにいたしておりまするので、今のところは予備隊側が非常におとなしいというくらいにむしろわれわれは出るべきであると考えておるのであります。武器を持つておるからといつて、それを目的実現のためにひらめかすと、いうことは絶対にあり得べからざることだと考えております。
  45. 竹村奈良一

    ○竹村委員 そういうお話を承つておりますと、納得ずくでいろいろ話をする、しかし具体的にきまつていないということは、今まで使用されている地方において、その土地を取上げられた入植者とかそういう人々が、やはり使用されることについて納得してないということがはつきりしているのです。納得しているのだつたら、具体的に、これに対してこういう話合いをいたしまして、補償をいたしましたということを私たちに知らしてもらえるわけですが、しかし今までのところは、具体的に現物でこれだけ出したとか、あるいは離作料を渡したとか、あるいは他にかえ地を見つけたとか、そういう具体的な解決が一つもしてないというお話でございますから、結局におきましては、そこに住んでおる、そこに入植した人々、あるいは農地を失つた人々は、とられることに納得していないということになると思うのであります。つまりそういたしますと、納得していないのに使つておるということは、あなたは先ほどから納得ずくで、得心してもらうのだと言いますが、実際にそこにおる人たちは得心していないことになる。私が勝ち負けの問題を言いましたら、もちろんそんなことはない、おとなしい、こう言われましたけれども、結局において、事実は納得しないところに入つて演習をしておるということになつておる。しかもそれに対しての具体的な補償の話がついていないということは、これは結局今後の問題になりますけれども、今後いろいろ理想案を持つておられるらしいのですが、こういう理想案はおやめになつた方がよろしい。納得ずくでは絶対に百姓は土地は離しません。これは離さないということは今までの事例が証明している。だからこれは單に勧告をゆるめてもらうということではなしに、全部そういうものをおやめになるという考えに立たれないと、問題は解決しないと思う。従つて今無理に使つておられる土地も、これは別なかえ地、つまり山の奥へでも行かれるか何とかして変更されるようにされないと、納得ずくの取上げにはならないと私は思う。この点どこかほかにかえられる考えはないですか。
  46. 江口見登留

    江口政府委員 当初は先ほども申しましたように、演習の計画なり、その火器の使い方なりは、予備隊自身としても判明してない部面が非常に多かつたのであります。従いまして当初はどういうふうな使い方になるのかもわからず、従つて開拓者の方々にもどういう使用の結果が生ずるのだということも、あらかじめお話申し上げることができなかつたのです。ただこういうふうな演者をするが土地に入れてもらえるかということで、それでは一ぺん使つてごらんなさい、どういうふうになるか……ということで使わしてもらつたこともあるのであります。ところが演習をやりました結果が、先ほどお話が出ましたように、いろいろと不都合を生じて、確かに耕作者に損害をかけるという具体的な事実がだんだん出て参りましてこれは黙つてつてもらつては困る、これはこういうふうにしてもらいたいということが具体化して参つたのであります。それに基いて先ほど申し上げましたように、いろいろな補償の方法を目下考慮中でございます。先ほど長田野のお話をしましたが、これはほとんど具体的になつております。ただ予算を現金化するにつきまして、いろいろ手続上の問題がございまするので、多少時期は延びるかと思いまするが、本年中には何とかいたしたいと思つております。従いまして補償の問題におきましても、二十六年度にはたしか三百万円ぐらいしか予算は計上いたしておりませんが、二十七年度には三千万円ほどの補償費が計上されておりまするので、できるだけ厚く報いて行きたいと考えております。
  47. 松浦東介

    松浦委員長 竹村君、まだありますか。感想を述べないで、質問をお願いします。
  48. 竹村奈良一

    ○竹村委員 さて、私のお聞きいたしたいことは、大体先ほど井上委員質問しておつたのですが、あまりはつきりしないのでもう一ぺん聞いておきたいのですけれども、警察予備隊土地を収用したり演習に使う場合は、国内における農地関係のいろいろな法規というものが度外視されているように感ずる。国内治安を守るという警察予備隊が、日本の国の法律を無視して土地の取上げをやつて演習場をこしらえたり、治安を乱しているということになるのですが、そんな特例がありますか。日本の国の法律の中で農地関係の法律があつて、それによつて土地の取上げをやるということは、これはあたりまえです。その法律を舌す者を取締るのだという警察予備隊みずからが、農地関係の法律を無視して、そうして人の開拓したところへ入つて、鉄砲を撃つたり大砲を撃つたりしているということは、日本の法律を警察予備隊みずからが蹂躪しているということになるのだが、特例というようなものはどこにありますか、ないと思う。この点法規を守る考えは、警察予備隊にはないのですか。これをちよつと聞いておきた
  49. 江口見登留

    江口政府委員 現在における日本の法規の許す範囲内において、すべての措置を講じて行きたいと思うのでございます。農地法との関係がございますが、農地法を無視してまで予備隊演習場を使用するということは絶対いたさないつもりであります。
  50. 遠藤三郎

    ○遠藤委員 先ほど警察予備隊及びアメリカの駐留軍の農地等に與える損害について、いろいろ議票ありました。私は今までの質疑応答を伺つておりまして、日本の政府側としては非常に親切にものを考えておる、少くともその努力をしておるということをよく解し得るわけでありますが、実際の問題としては、なかなかそううまく運んでおらない。具体的な例を申し上げますならば、冨士の裾野の演習地の問題でありますけれども、アメリカ軍があそこに入つて参りまして、昭和二十三年でありましたが、その当時に非常に大きな損害を農民に與えておるわけであります。もう土地を全部取上げてしまつて、しかも山という山はことごとくブルトーザあたりでひつくり返してしまつて、芝草をとつてあそこでは生活しておつたのですけれども、それもできなくなつてしまつた。もう農民商売を切り上げて転業しなければならなくなつて来ておる。その補償をしてくれということを何べんも頼んで、私は前後十数へんにわたつて陳情しております。けれども何だかんだ言つてつて、今日三年も四年もたつておるけれども、まだ補償ができておらないのであります。一体これはどうしたことなのか。竹村君は共産党でありますけれども、私は自由党なのであります。われわれはアメリカの駐屯に対して非常に好意を持つておる。非常に好意を持つておるけれども、そういうやり方をされておつたのでは、好意を持とうと思つても持つことができないのであります。地元の農村では非常に腹を立てておる。私どもは十数へんも行つております。いろいろ議論をして参りますと、たとえば離作料はおれの方で拂う、しかし立木に対する損害は拂うわけには行かない、立木の損害は接収の解除になつた後でなければ拂えないということを言つておる。ところが立木の損害を拂つてくれなければ、もうその翌日から炭を焼くこともできない。その山でかせいでおつた農民は食えなくなつてしまう。しかも接収の解除はいつかといえば、何年先かわけがわからない。そんなのんきなことを言つてつたのでは日本の農民は干上つてしまう。とにかく早く補償をして、転業できるようにひとつ頼むということを何べん頼んでも話がちつとも進まない。この間にあつて特別調達庁が非常に努力しておつてくださつて、私はそれには感謝しております。感謝はしておりますけれども、ちつとも話が進まない。行つて頼んでも、まるで月経の上つた女みたいになつてしまつて話合いにならない。これは制度が悪いと私は思います。そこでこの際伺つてみたいと思いますが、一体補償する考えは先方にあるのかどうなのか、国会でも非常にやかましい問題になつておるということをはつきりひとつ伝えてもらいたい。私はあえて富士の裾野の問題だけではなくして、全国至るところにこういう問題があると思うのでありますが、これについての特別調達庁のこれから先とつて行こうとする態度について、この国会を通して、非常に困つておる農民を安心させる意味で、言明があるならば言明をしていただきたいと思うわけであります。
  51. 根道広吉

    根道政府委員 ただいま特別調達庁努力しておることは認めるとおつしやいました。まことにありがたく思います。また実際に特別調達庁としてはそういう方々の窮状はよく知つております。非常にお気の毒で、何とかしてあげたいと思います。しかしながら事の性質上、軍の承認を得なければ支出ができない面も相当多分にあるのであります。むしろそれが大部分なのであります。しかしながら日本政府といたしましてあるいは事務を担当している者としまして、研究した結果、條理のある筋に対しましては、ぜひ何とかしなければならぬと考えております。またそういう場合に、今まで遅れ遅れにはなりましたけれども、近き将来に日本政府が独自の建前においてそういうことを処置することができるようになるだろうというふうに私は考えております。
  52. 遠藤三郎

    ○遠藤委員 そこで私はただいまの問題について外務政務次官が来ていらつしやいますから、特に外務当局にお願いしておきたいのでありますが、この補償の問題は大問題であります。今度行政協定をつくられます場合には、法制の建前が違うとかなんとかいつて、いくら何と言つても承知しない、そういうことのないように、はつきり行政協定において與えた損害に対しては賠償しなければいけないのだという建前の協定をはつきりつくつておいていただきたい。それでなければ、数万の農民は干上つてしまいます。その点を特に外務当局にお願いしておきたいのでありますが、もし何か御意見がありますならば、この際御答弁を願つておけば幸いであります。
  53. 石原幹市郎

    ○石原(幹)政府委員 先ほど一応お答え申し上げたのでありますが、補償の問題も、やはり一つの項目になつておりますので、事故によります補償、それからただたいまお話なつたような点等もあると思いますが、こういう問題はやはり一つの協議題目になつておりますので、今お述べになりました御趣旨、よく協定に出ております委員各位にもお伝えいたしまして、極力善処されますようにいたしたいと思います。
  54. 松浦東介

    松浦委員長 この問題に対する質疑はこの程度にとどめます。開拓地の接取または使用の問題についてこの政府答弁はお聞きの通りでございますが、これは食糧、農業政策上、また開拓政策上、看過し得ないところの重要問題でございますから、本委員会としましては、一つの意思表示が必要かと存じますが、いかがでございますか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  55. 松浦東介

    松浦委員 それでは理事会を開きます。ちよつと速記をやめて……。     〔速記中止〕
  56. 松浦東介

    松浦委員長 速記を初めてください。それではただいまの問題に対しましては、農耕地開拓地は原則としてわれわれは農収に反対でありますし、またこのことは特に行政協定に明記していただく必要もございまするし、また万一の場合に対しまして対処する方法も、一つの特別な主管をつくるとかいろいろの方法を考えてもらわなければなりませんので、それからの問題を織り込みまして、本委員会の意思として決議して、内閣総理大臣兼外務大臣あて、大蔵大臣あて並びに農林大臣あて、国務大臣大橋武夫君及び国務大臣岡崎勝男君あてにこれを申し送りたいと思いますが、その案文は委員長の手元において作成することに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  57. 松浦東介

    松浦委員長 それではさようにとりはからいたいと思います。
  58. 松浦東介

    松浦委員長 最後にこの際小委員補欠選任についてお諮りいたします。目下農林公共事業に関する小委員が一名欠員になつております。その欠員を委員長において御指名いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  59. 松浦東介

    松浦委員長 御異議なしと認めまして竹村奈良一君を御指名いたします。  次会は公報をもつてお知らせいたします。本日はこの程度をもつて散会いたします。     午後零時三十分散会