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1952-05-23 第13回国会 衆議院 内閣委員会 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年五月二十三日(金曜日)     午前十時五十六分開議  出席委員    委員長 八木 一郎君    理事 江花  靜君 理事 青木  正君    理事 大内 一郎君 理事 鈴木 義男君       河野 謙三君    坂田 英一君       鈴木 明良君    橋本 龍伍君       平野 三郎君    松本 善壽君       竹山祐太郎君    千葉 三郎君       井上 良二君  出席国務大臣         通商産業大臣  高橋龍太郎君         国 務 大 臣 野田 卯一君         国 務 大 臣 大橋 武夫君         国 務 大 臣 岡野 清豪君  出席政府委員         行政管理庁次長 大野木克彦君         農林政務次官  野原 正勝君  委員外出席者         議     員 今澄  勇君         専  門  員 亀卦川 浩君         専  門  員 小關 紹夫君     ————————————— 五月二十一日  委員西村榮一辞任につき、その補欠として松  岡駒吉君が議長指名委員に選任された。 同月二十二日  委員苫米地義三辞任につき、その補欠として  竹山祐太郎君が議長指名委員に選任された。 同月二十三日  委員井上知治君、木村公平君、山口喜久一郎君、  山口六郎次君及び松岡駒吉辞任につき、その  補欠として平野三郎君、河野謙三君、玉置信一  君、坂田英一君及び井上良二君が議長指名で  委員に選任された。 同日  委員井上良二辞任につき、その補欠として西  村榮一君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 五月二十一日  軍人恩給復活に関する請願尾崎末吉紹介)  (第二九三六号)  同外八件(若林義孝紹介)(第二九三七号)  同外二件(三池信紹介)(第二九三八号)  同外一件(畠山鶴吉紹介)(第二九七二号)  同外十三件(中馬辰猪紹介)(第二九七三  号)  元軍人老齡者の恩給復活に関する請願佐瀬昌  三君紹介)(第二九三九号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  自治庁設置法案内閣提出第一九三号)  地方制度調査会設置法案内閣提出第一九四  号)  国家行政組織法の一部を改正する法律案内閣  提出第二〇〇号)  行政機関職員定員法の一部を改正する法律案(  内閣提出第二〇一号)  保安庁法案内閣提出第二〇二号)  通商産業省設置法案内閣提出第二〇六号)  通商産業省設置法施行に伴う関係法令整理  に関する法律案内閣提出第二〇八号)  自治庁設置法施行に伴う関係法律整理に関  する法律案内閣提出第二二七号)  海上公安局法案内閣提出第二三七号)  農林省設置法等の一部を改正する法律案内閣  提出第二三八号)     —————————————
  2. 八木一郎

    八木委員長 これより内閣委員会を開きます。  本日は国家行政組織法の一部を改正する法律案その他行政機構改革に関する諸法案に関しましてこれを一括議題といたし質疑を行います。質疑に入ります前にちよつとお諮りいたします。それは本日の議題につきまして特に質疑を行いたいとの申出の議員がございますので、委員外の発言を許したいと思いますが御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 八木一郎

    八木委員長 御異議なければさようにとりはからいます。  質疑通告順にこれを許します。坂田英一君。
  4. 坂田英一

    坂田(英)委員 これから重大なる行政機構改革に関する質疑をいたしたいのでありますが、担当国務大臣でありまする野田長官が見えておりませんので、この長官に対する質疑をいたしたいと存ずるものでありまするので、出席されるまで私の質問を留保いたします。
  5. 八木一郎

    八木委員長 野田国務大臣はただいま閣議を終えてこの会場に直接参るはずに手配いたしております。農林政務次官出席でございますから、何か農林政務次官に御質疑がありましたらこの際お願いいたしたいと思います。
  6. 坂田英一

    坂田(英)委員 私は行政制度機構の問題につきまして、責任国務大臣でありまする野田国務大臣に御質問をいたしたいと思います。  まず行政制度機構を徹底的に簡素化して、国政運営能率化をはかり、経費節減をはかる必要のあることは、いまさら申すまでもないのでありますし、さらに被占領状態からのがれて、独立国として再出発することになつたのでありますから、この情勢に即応するように、行政機構改廃を行わねばならぬことはもちろんであります。そこでまずお伺いいたしたいことは、今回の行政機構改革によつて経費の面はほとんど節約になつていないように思われるのでありますが、一体その面はどの程度に軽減されることになるのでありますか、この点をまずお伺いいたしたいと存じます。
  7. 野田卯一

    野田国務大臣 直接経費節約されるという点になりますと、今回の行政整理については、人員整理を主たる目的としておらないのでありまして、従つて今回の整理では、約三千五百名程度の減員を来すにすぎません。従つて直接的にはそれだけの人員に関する経費節約できることに相なるのであります。今回の行政整理につきまして、人員整理がなされていないという点について、いろいろ御非難もありますが、これはこの前の橋本行政管理庁長官の時代に行いましたあの人員整理と、今回の機構改革とは一体をなすというような考え方で、政府は進んでおるのでありまして、そういうふうな意味合いにおいて御検討願いたいと思います。なお将来の問題といたしまして、今後さらに行政審議会を設けまして、行政機構改革、それから行政運営の再検討、それから執務方法の改善というようなことをいたしまして、さらに国費の節約をはかつて行きたい、こういうふうに考えておる次第であります。
  8. 坂田英一

    坂田(英)委員 経費節減という点については、行政機構改革の場合において、経費節減しつつ、しこうして国の行政運営能率化を逆にうんと高めて参るということを、国民は大いに期待しておるのでありますが、今回の場合、この経費の軽減はきわめて僅少である、しかし将来この問題について、さらに検討を加えたいという御答弁でありますので、この点は深く御質問いたしませんのでありますが、しかし軽費節減がわずかでありましても、そのかわり国政運営能率化が期せられるということでありますれば、われわれも納得が行くわけであります。能率化をはかるということに関連いたしまして、終戦後何々委員会というものがたくさんできましたが、審査裁定といつた委員会でやることが適当であるというものに大体限つて四つにされたということは、国政運営われわれは大いに賛成するものであります。しかしこれ以外にはあまり能率増進となるような改正がないように思われるのでありますが、この点をひとつお伺いいたしたいと存じます。また各省の仕事ぶりを見ますと、これは戦争前からの情勢であつたと思うのでありますが、行政機関相互間のいわゆるなわ張り争いが非常に多い。この争いのために、少からぬ時間と労力を空費しておる。一生懸命に働いておるようであつても、その内容を検討いたしますと、いわゆるなわ張り争いのためである場合が少くない。そこでこの争いを少くする、あるいはこの争いを早く、かつまた適切に解決できるような仕組みにすることが、きわめ重要な点であると信ずるのであります。もちろん経済情勢社会情勢が進歩するにつれて、行政面もまた手が込み、これに伴つて行政事務相互に入りまざつて来る、そのために行政機関相互間の争いも多くなる。それに仕事に熱心であればあるほど、争いもはげしくなるという一面も考慮しなければならないのでありますが、しかし中央官庁における仕事相当部分が、各機関相互間の争いに空費されておる場合が少くない。地方自治庁と文部省との間の、教育費国庫負担問題を通じての論争のごときは、そのこと自体重大問題であるから、大いにやるがよろしい。しかし、そのよしあしを批判するのではないのでありますが、この種の争いのために、役所間の上から下まで、どれほどの時間と労力を費しておることか。これは一例にすぎない。水道施設に関しての、建設省と厚生省との間の折衝のごとき、あるいは治山治水に関する建設省農林省との折衝、あるいは港湾に関する建設省と運輸省との折衝のごときは、事ある際にはかなりこのために時間と労力を空費しつつあるように思う。私どもは具体的にこれらのたくさんの事例を知つておるのでありますが、要するに国政運営能率化をはかるためには、これらの行政機関内部の、あるいは相互間の権限争いというか、なわ張り争いというか、これらをできるだけ少くする、あるいはこれを早く適切に解決する方途が、行政機構改革重要点であると私は思うものであります。かようなことを考慮に入れられて、今回の行政機構改廃が行われておるのであるかどうか。これは根本的な問題であると思いますので、この点をお伺いしたいのであります。
  9. 野田卯一

    野田国務大臣 ただいまお話のなわ張り争い、このことにつきましては、坂田委員も十分御経験のことだと思いますが、これは官庁事務運営におきまして、重要視しなければならぬ点であると思います。今回の行政機構改革につきましても、なるべく行政の体系をすつきりさせるということをいたしまして、なわ張り争いと申しますか、権限的な問題でいろいろ争いが起るということの少いように、くふうをいたしておるのでありまして、たとえば外局を内局化するというようなことも、外局というものは、御承知通りに、現在の国家行政組織におきましては、本省から半独立地位にあるわけであります。それを大臣次官のもとに一つに納めて、そうして他の部局と緊密に連絡し、また争いが起れば大臣次官がそれをさばいて行くというような、要するに最後のきめ手を持つ制度に改める、こういうようなこともいたしておりますし、また委員会制度というようなものが、とかく独立的な立場をとりまして、他との摩擦が絶えない、かつてにそれぞれふるまうというようなことになりまして、行政が分裂するというような傾向がありますので、これもなるべくそういうことを少くしたい。従つてやむを得ざるもの以外は、委員会というものも、なるべくこれを普通の官庁形式に直すというような方法をとつておるのであります。しかしながら、今回の行政機構改革でなわ張り争いが全部絶えたか、また絶えるかということになりますと、私はなかなかそう簡単には参らぬと思います。御指摘のあつたように、いろいろと現在共管事項があるのでありまして、共管事項整理ということをやらなければならぬと思つておりますが、共管事項整理は、一つ一つの問題について申し上げても、たいへん込み入つた事情があるのでありまして、従つて短期間に急速にやるということも、なかなかむずかしい点もありますので、今後第二次的に行います行政機構改革一つのテーマといたしまして、至急この共管事項整理ということも考慮いたしたい、こういうふうに考えておる次第であります。なお私は機構の問題のみにとどまらず、なわ張り争いということにつきましては、役人の物の考え方ということをよほど改める必要があるのではないかと考えております。政治制度を支配するのでありますから、政治がまず、なわ張り争いの観念を捨て、そうしていろんな方針をきめまして、そうして事務官僚を指導し、統制して行くという方向に力強く行きたい、こういうふうに考えておる次第であります。
  10. 坂田英一

    坂田(英)委員 なわ張り争いの問題のごときものを解決するいろいろの方法について、今お話になりました外局を内局に収めるといつたようなことでありましては、これはなわ張り争いをなくしたり、あるいは能率を上げるという意味において徹底したものではなく、これらの行政については、後ほどまた御質問をいたしたいと思うのでありますが、私の考えでは、非常にこの点が不徹底であつて、十分能率化し得ない。まだ機構が、ほとんどそういう機構に残されておるように思うのでありますが、この点はまた後ほど御質問をいたしたいと思います。  次に私が考えておりますることは、行政運営能率化をはかるのは、やはり人の気持の問題である。機構をいかにかえても、役所に働いている職員が、相互にぴつたり行つて気持よく働くようなことになつておるかどうかということにかかると思うのであります。明治の初期において、前田正名氏が中心となつて興業意見書をつくつた。農業や商工業産業文化全般にわたるものでありますが、この中にもあります通り法律制度は死んだものである、これを運営するのは人である、人が一番大切であるということをいつておるのでありますが、私どもまつたくこれに同感であります。今回の行政機構改廃を見ますと、形式的で、品物を扱うような気持で扱われておるような気がしてならないのであります。あるいはこれは私のひがみかもしれませんが、これらの問題に関しては、お尋ねしたい点がたくさんあるのでありますが、そのうち一点だけここでお伺いいたしておきたいと思うのであります。すなわち戦前においては職員給料は、局長課長、係長というような職制に関係なく、昇給、昇等することができたのであります。従つて技術官で、きわめて技術に有能な人であるが、課長局長には適していない、しかし技術行政になくてはならない人であるというような場合において、その人は課長局長にならないでも、俸給官等が同様に上り得るという制度であつたと思います。ところが現行法では、課長にならないと昇給がとまる、また局長にならないとそれ以上はとまるといつたようなことになつている。官等も同様でありますが、こういうことになつて技術に非常に堪能な人がくさつてしまう。技術者でなくとも、課長の数に制限があるために、運の悪い職員は、課長になつた人とたいへんにそこに大きな俸給その他の違いも出て来る。生活に非常に現在困つておるような場合においては、特にそれがおもしろくない雰囲気をつくるのであると思う。これをなくするためには、課長の数をうんとふやさなければならぬといつたようなことが、また逆に起つて来るのであります。かような制度を改善することが、行政機構改革に先行すべきであると私どもは思うのでありますが、この点はいかがでありますか、まずこれをお伺いいたしたい。  またついでに、職員をして気持よく公共のために働くということが、行政能率化根本であるということの一例を、先ほど述べたのでありますが、これらに関して、今回の行政機構改革については、いかなる考慮が払われておるものであるか、この点をあらかじめお伺いしたいと思います。
  11. 野田卯一

    野田国務大臣 ただいまの質問は、職階制機構の問題と言い得ると思いますが、課長にならなければ、あるいは部長にならなければ、局長にならなければ、月給が上らない、こういう制度になつておりましたがために、いたずらに課長がふえ、いたずらに部長が設けられる、こういう結果を生じておることは御指摘通りであります。私はこれは職階制の非常な弊害だと思つております。従つて政府におきましては、今後課長にならなければ、どんなに有能な人であつて月給が上らない、あるいは地位課長ではないけれども課長以上の俸給がとれるようにはならないということはやめまして、今後その人に相応した給料が得られるように制度を改めて行きたい、こういうように考えておる次第であります。この点につきましては、御承知のように、現在の制度におきましては、人事院がこれを取扱つておるのでありまして、内閣と半独立みたいな形になつておりますけれども、今後は国家人事委員会においてこれを取扱われるので、これと密接に連絡いたしまして、御指摘の点、こういう欠点のないように改めて行きたい、こういうふうに考えておる次第であります。
  12. 坂田英一

    坂田(英)委員 次にお伺いいたしたいことは、行政能率化ということももちろん必要でありまするが、行政が公正かつ民生の安定向上経済自立発展文化向上発展治安維持等に大いに役立つものでなければならないことは、これは申すまでもない。しこうして少しでも住みよい日本、住みよい都道府県、住みよい市町村を招来し得るのに、より以上役立つ行政機構たらしめねばならないことは、申すまでもないと存じます。形式的に機構いじりをして事終れりとする考えは、戦時中の東条内閣においてすら、機構いじりは最も忌むべき政治家の悪趣味であり、悪い道楽であると言つたのを記憶しておりますが、今回の行政機構改廃は、機構いじりであるという意見が相当多いのであります。これについて長官はいかに考えておられまするか、この点をまずお伺いいたします。
  13. 野田卯一

    野田国務大臣 坂田さんの、機構いじりではないかというお話でありますが、機構いじりは現在の内閣におきましては、あまり好まないのでありまして、あくまで戦争中並びに終戦後の、どちらかというとアブノーマルの状態におきまして、複雑多岐に、あるいは厖大になつ行政機構を、今日ならびに今後の、独立をいたしました新日本の形態にふさわしいものにしようというところに根本があるのでありまして、ただ機構いじりをするということ自体を目途としておるのではなしに、そういう大きな客観的な事態変化に伴う官庁機構調節といいますか、それに適合するような形にもつて行きたい、こういう大きな国家的な熱意から出ているという点を御了承願いたいと思います。
  14. 坂田英一

    坂田(英)委員 野田長官の志しておられるところは、私どもよくわかるのでありますが、現に今回行われておる行政改革につきましての世間の輿論が、そういうふうになつておるように思われるので、そういう意味からもう少し具体的に、その点を御説明願いたいと思います。
  15. 野田卯一

    野田国務大臣 機構いじりということは、客観的には、さような必要があまりないときに、あるいはある人のためにポストをつくるとか、あるいはある特定目的でやるというときには、機構いじりという言葉が当てはまるのではないかと思います。今日のごとき大変化は、日本歴史始まつて以来の大きな変化をしているわけであります。従いまして、そういう事態が未曽有の大変革をしておるときに、それにふさわしくやはり行政機構調節して行くということは、これは大きな国家のやるべき仕事ではないか、こういうふうに考えまして、この大きな精神は、十分おわかりいただけるのではないか。決してある特定目的のためにとか、あるいはある特定の人のために、ある特定のグループのためにするとかいうふうなことは、今回の機構改革には全然考えていない。大きな国家目的の、いわゆる客観的事態変化に伴う調節というところに、ねらいがあるという点を十分御了承願いたいと思います。
  16. 坂田英一

    坂田(英)委員 今の長官のお志はよくわかるし、その通りであると思うのでありまして、その点については、何も申さないのであります。現在やつております行政機構というもののうちで、ある部分については、機構いじりのように思われるものもあると私どもには考えられる。しかし一般的にそういうふうな輿論が行われておりますために、具体的にそういうことではないということを、はつきり申していただきたかつたのでありますけれども、その次の質問に移りたいと思いますから、この点はその程度にとどめたいと存じます。  今日日本状態を見まするに、真剣に各段階行政が正しいかいなかということ、この点を重視しなければならぬと存じます。これは申すまでもないことであります。私は中央政府行政を見ますと、もちろんこれは正しくないこともたまにはあると思う。完全無欠であるということは言いがたいのでありますが、今日の府県行政よりも、はるかに正しい行政が行われておると思う。それは東都における輿論批判家、学者、政治家実業家等、そうそうたる多数の人々監視の下に立つて行政が行われておりますために、不正は比較的少いように思われるのであります。また市町村住民の目がよく届くために、これもまたたとい一部に悪が行われましても、おのずから限度があります。ただ府県行政現状を見ますと、すべての府県行政がみな悪いというわけではないけれども市町村のように住民の目が届かない。また中央政府行政のように、そうそうたる多数の人々批判もほとんど行われない。そのために府県行政には、住民批判も少いし、また外部からの批判も少い。批判のないところにどうしても腐敗が起りやすい。従つて一部の府県行政には、非常な社会悪行政の面にはびこつていることを、よく重視しなければならない段階であるのではないかと存じます。国庫補助を申請するために、橋梁、道路を故意に破壊するような県の行政はまだよい方であると、断言し得るようなところまでに立ち至つたとしたら、たいへんなことであると思う。民族滅亡糸口がここから起るとさえ思われるのであります。府県自治体のあり方を、中央行政機構よりも先に手をつけなければならぬ。これこそ緊急事である。やつてもやらなくてもいいような行政機構でお茶を濁すようなことであつては、心外にたえぬのであつて、もう少し日本のほんとうの現状を見たならば、地方行政改革によつて民族滅亡糸口を早くふさぐように、真剣にならなければならないのではないか。行政管理庁長官は、私の言わんとするところを真剣にお考えの上、まずこれを伺いたいのであります。  次にまたこの問題に関し、行政管理庁は、十分かかる自治体を正しい方向に持つて来るように活動できる機能があるのかどうか。機能がないとすれば、今回の行政機構改革で、この点が考えられておるのであるかどうか。考えられたとしたならば、どういうふうに改正されたのであるか、これを承りたい。  三番目には、管理庁にその機能がないとすれば、どこでこれを行うのか。私の行政管理庁に期待するのは、このことが最も大きいのであります。これがないとすれば、行政管理庁は単に将来——現在そうであるとは必ずしも申すのではありませんが、将来単なる機構いじりをする行政機関に化するおそれがあると思うのであります。害あつて益なしと思うのでありますが、これに関して野田長官はいかに考えられるか。この三つの点についてお答えを願います。
  17. 野田卯一

    野田国務大臣 新憲法のもとにおきまして、地方自治というものが、高らかに叫ばれるようになりましたことは、けつこうでありますが、その地方自治がともすると、ただいま御指摘になりましたような弊害を生む傾向もあるのでありまして、この点はわれわれとしても、いつもこの問題につきましては、注意を払つておるのでありますが、地方自治は、たとえば市町村行政でありますれば、市町村住民と直接関係の深いことが多いのでありまして、また日常目の前に見ていることが行われておるのであります。従いまして、批判的に見ますと、もし市町村民がよく自覚するならば、自分たち日常生活に密着した事柄が行われるのでありますから、十分批判ができる、こういう見方もあると思うのであります。国政でありますと、たいへんむずかしい大きな問題でありますから、よほど専門的な知識がいる、あるいは特殊な機能を持つていないと、十分な批判ができないが、市町村のような卑近の行政が多い場合におきましては、市町村民がよく自覚すれば、いい政治が行われる、こういう考えも一面あると思うのであります。このような点につきましては、一面においては、制度上の欠陥を是正しなければならないと同時に、一般の市町村民自分たち政治をよくするという、こういう市町村当局、並びに議会というものを十分監視をいたしまして、りつぱな市町村行政を行わしめる、こういう方向へ行かなければならぬのじやないかと思つております。しかしながら制度といたしまして、あまり中共地方が離れ過ぎまして、中共考えていることと地方考えていることが背馳する。その間にいろいろとおもしろくない現象が起るということにつきましては、制度改革する場合には、十分反省をする必要があると思うのであります。今回の行政機構改革にあたりましては、この点については、相当政府としては考慮を加えまして、御承知のように、地方自治庁、それから地方財政委員会というものを合体いたしまして、自治庁というものをつくりまして、その自治庁の長官は、御承知のように国務大臣がこれに当るというようなことにいたしまして、今までやや地方財政に対しましては、不随意筋のようになつていた組織を、やや随意筋のように直して行く。この面を通じまして、相当大きな効果があげられるのではないか、こういうようなことを考えておる次第であります。なおその他の詳しい点につきましては、所管大臣であるところの岡野大臣より、もつと詳細に御説明を願つた方が適当かと考えております。
  18. 坂田英一

    坂田(英)委員 私は今長官お話になりました通り、自治の問題について、市町村の方は住民の目がよく届くから、悪が行われてもおのずと限度がある。中央の行政機関は、いろいろのそうそうたる多数の人々監視のもとに行われておるからして、そんなに大きな悪がない。ただ県の自治体が、市町村のように住民監視も少いし、また批判する多くの者もないというような関係から、市町村の自治はそんなに心配しないのでありますが、県の自治、県政というものに対して、私は非常に心配をしておる一人であります。これを今にして直さなかつたならば、私は決して極論を言うのではないが、民族滅亡糸口をつくりつつあるということを、深く信ずるものであります。従つてこの問題に対して、どういう方法ではつきりとできるかということを、行政機構の問題に関連して、これは当然考えておかなければならぬ緊急事であると思う。中央のいろいろの局部をどうするとかいうような問題は、これは大して日本の将来に関係がない。ただ府県行政というものをどうするかということがあつてこそ、これは真の行政改革である。こう思いますがゆえに、この点をもう一ぺんお答え願いたいと思います。
  19. 野田卯一

    野田国務大臣 府県行政についてお話がございましたが、府県行政につきましても、御承知のように、現在は地方自治庁のほかに、地方財政委員会というものがありまして、財政面におきましては、地方財政委員会の方が権能を持つておるというような状態になつておるのであります。御承知のように、現在では、中央政府地方自治体にある程度のインフルエンスを及ぼし得るチャネルというものは、財政を通じて行われておるわけでありますが、その財政が地方自治庁には権限がないのでありまして、そこに大きな問題が存在しておると思うのであります。この点は今回の改正におきまして改められることになります。  なおその他国からいろいろと補助を受けておる地方団体、府県行政がうまく行つているかどうか、適正に行つているかどうかということにつきまして、今日行政監察制度を拡充いたしまして、その面からも十分に見て行きたい、こういうふうに考える次第であります。
  20. 坂田英一

    坂田(英)委員 どうも長官のお答えには私は満足ではありません。満足でありませんけれども、私はさらにお答えを願うつもりはありません。ただこの府県行政という面を真に改革するという熱意をもつてほしい。この熱意があれば真の形ができる。形式的ないろいろなそういう改革では、この府県行政の悪を是正することは絶対にできないと思うのでありまして、この問題はきわめて重大な問題であつて、中央の行政機構の局をどうするかとかいつたような問題のごときは、単なる小さな埴事であり事務的の事柄である。この府県行政をいかにするか、現在非常に悪に染まりつつあるところの府県に現われつつあるこの現状を直視するならば、この問題に対してメスを入れなければ、絶対に日本の将来の再建のためにするところの全般的な行政機構改革ではない、かように私は確信するものでありますけれども、これ以上お答えを求めるものではありません。  次に御質問申し上げたい点は、正しい行政が必要であると同時に、民生の安定向上経済自立発展に役立つ行政でなければならぬことは、これは何もことさら申し上げるまでもないのであります。この観点から見まして、今日の社会情勢を見ますに、都市等における中小企業者は最も困窮しておる。私の郷里石川などを見ましても、絹、人絹等の中小企業が不振であるために地方都市の不況ははなはだしい。これに対する対策こそ急務である。民生安定の上からだけでなく、輸出増進等、国民経済の発展から見ても、中小企業の安定と向上が基本問題である。基本問題であるにかかわらず、今日までの施策は残念ながらまことに貧困である。もちろんこれはむずかしいこともあると思うのでありますが……。これに早急に施策を施して実行に移さなければならない。かかる情勢にあるにもかかわらず、これが振興育成に関する行政機構を縮小して、その重要性を閑却するような感じを中小企業者に与えただけでも、その心理的悪影響は思い半ばに過ぐるものがある。(「その通り」)いわんやこの行政部門こそは、大いに施策し実施することを全国民が期待しておるのではないか。中小企業庁を内局にして、一年の経費は一体どれだけ節約できるのであるか、どれだけ行政能率があがる見込みであるのか、この点をお伺いいたします。
  21. 野田卯一

    野田国務大臣 中小企業のわが国経済に占める地位の重要性については、私も十分理解を持つておるつもりであり、また内閣といたしましても、この問題はきわめて重要視しておるということは、はつきり申し上げておきます。今回の行政機構改革に関連いたしまして、中小企業庁が内局の中小企業局になつたということは、中小企業を軽んずるのではないかというお考えのようでありますが、そういう考えは全然持つておらないのでありまして、むしろ今までよりも積極的に責任を持つて力を入れて行きたい、こういう考えを持つておるのであります。特に現在の国家行政組織法におきましては、庁というもの、外局は、本省から離れたものであります。これは戦前の外局とは違つておりまして、本省から離れたものであり、かなり独立性を持つておるものでありまして、むしろこういう重要な問題は、本省のものとして、大田、次官以下がすべての熱意をここに投入する、そうして関係の各局と密接なる連関を持つてつて行くべきだと考えるのであります。これを内局にするということは軽視するということではないのでありまして、あくまで中小企業が通商産業省の他の部局と非常に関係の深い仕事であり、また大臣次官以下がこれに全力を傾中する仕事である、こういう意味合いにおきまして内局にいたしました。これは外局にすれば何か重要視するというようなことは、昔はそういうことがあつたかもしれませんが、現在の行政組織法では、外局ということはむしろ本省から離すという意味を持つておるというふうになつて来ておりますから、その点を十分御了解くださいまして、われわれもちろん一般に対する啓蒙運動が足りないという点もあるかもしれませんが、この点につきましては、十分今後努力をいたしまして、決して内局にすることが軽視することではないということを徹底さしたい、かように考えております。
  22. 坂田英一

    坂田(英)委員 これに関して関連質問があるそうでありますから、私はこの程度にとどめますが、ほんとうにこの中小企業の振興発展ということは、最も大切な中間階級を育成いたして参るということであり、また全産業の不況はここから来るのでありますから、これに非常に重点を置かなければならぬことであり、のみならず輸出産業の基本でもあるという点からいたしまして、中小企業に対する施策をさらに一層強力なものにして参らなければならぬことは、現内閣の方針でもあると存ずるのでありまするし、従つてまたこれに対してこれを担当する行政機構については、十分お考えを願わなければならぬことであると存じます。  さらに次に御質問申し上げたい点は、現在最も重要な問題は、国内生産増強によるところの食糧の自給率の向上をはかるということであります。これがための方策はいろいろありますけれども、その根幹は何と申しましても用排水、開墾、干拓、客土等の土地改良、土地の自然的条件の改善であるということはいうまでもないのであります。わが国は年々二千万石程度の食糧を輸入し、金額にして一千数百億という厖大なる輸入負担を食糧に振り向けて参つておる。もし食糧生産の状況を現在のままに放任するならば、輸入を必要とする食糧の量は、人口の増加に伴い増加の一途をたどり、昭和三十五年においては三千九百万石、価格にして二千五百億に達するであろうと推測されるのであります。これはたいへんなことであります。かかる場合、鉱工業資源に乏しく、外国依存度の高いわが国の工業においては、でき得る限り食糧輸入の負担から免れて、工業原料を輸入しなければならない、この努力が絶対に必要である。工業発展、輸出振興をはかる上においても、食糧の輸入に多額のドルを支払わなければならないことから脱却しなければ、工業並びに輸出の発展もまた期し得ない、さらに根本的には、食糧は国民生活の死命を制するものであることは多言を要しない。甲の国から食糧を買うて、その国にこびを売り、乙の国から食糧を輸入して、その国にこびを売るというような状態になりました場合において、どうしてこの日本民族独立ということが考えられるでありましようか。かような意味において、この大切な食糧を充足するための基本方策でありまする土地条件の改良、すなわち土地改良事業こそは現下最も重要でありまして、わが党の現吉田内閣におきましても、この線に沿つて土地改良のためには、特に昨年に比し、災害を含めて百七億円を増額しておる。今後さらにこの経費を増額して五年計画をもつて、この食糧の自給率向上のための大計画を実行するという覚悟をもつて進んでおるのであります。農家もまた土地改革によつて、土地が自分のものになりました関係からして、自分の土地を改良したい熱望を持つておられて、わが党の吉田内閣のこの施策に対しては、農民各位は非常に歓迎し、協力いたしておる現状であります。しかるにこの非常に大切な事業に関する行政機構を縮小するということは解し得ないことであります。野田長官はいかなる事由によつて、かような縮小を企図せられたのでありますか、お伺いをいたしたいと思います。
  23. 野田卯一

    野田国務大臣 ただいまいろいろと食糧増産の重要性をお話がありましたが、私はまつたく同感であります。現在の日本としては、食糧増産に大いに力を尽さなければならぬし、またそれがため治山治水等についても大いに力を入れなければならぬということにはまつたく同感であります。しかしながらそれと、これを実行する機関を内局化するという問題とは——私先ほど申しましたように、内局化するということは、むしろ大臣みずからの責任においてこれを断行する、こういうことをはつきり出して来ておると思います。今回の行政機構改革を通じてごらんになりますと、御了解願えると思いまするが、大体外局は本省から離れて半独立ということになるので、従つてそれだけ大臣との関係が内局とは少し違つて来ておる。人事権なんかも全然大臣は持たないわけであります。こういうわけで、半独立になるわけでありまして、こういうことをするよりも、大臣次官あるいは政務次官の系統ががつちりと組んで、この問題に体当りで行くということにした方が、むしろより能率が上り、効果が上る、こういうふうに今われわれは考えておるわけであります。でありますから決して問題を軽視しておるわけではなく、それにもつと有効適切に力強く行きたい、こういう考えから来ておるのでありまして、決して問題を軽視しておるということはありませんので、その点はどうか誤解をなさらぬようにお願いしたいと思うのであります。
  24. 坂田英一

    坂田(英)委員 野田長官から外局を内局にされたという御説明をいただいたのでありますが、農地局は現在外局ではないのであります。この農地局を今回の行政機構改革によつて機構が縮小されておるということは、この重大なる事業を、しかも五箇年計画をもつてさらに食糧の自給率を増強するところの大計画が、現内閣の手によつて行われんとしておりまする際に、この農地局というものを、いわゆるこの行政を担当する機構を、縮小するという理由がわからないと、こう申したのであります。そうしてこの問題については、先ほども申しましたように、農民も現内閣に対して非常なる協力をいたしておりまするゆえんも、食糧増産に吉田内閣が全精力をあげておるということのためであります。これはそう言つても過言ではないと思うのであります。従つてこういう機構改革が伝わるや、農民に及ぼす影響は非常に大きく、耕地に関するいろいろな団体を通じ、その他の農業諸団体を通じての農民の要求はどういうところにあるかと申しますと、このわれわれの土地を改良するために最も必要なるところの農地関係行政機関を縮小してもらいたくない、拡大してもらいたいということ、その点から現在の行政機構改革に農民が一致して反対しておるのでありまして、農民のこの熱烈なる要求と、この反対を押し切つてまで、この機構を縮小しなければならぬということは、どういう理由であるかということをお聞きしたいということを申し上げたわけでありまして、もう一度この点に明確なる御答弁を願いたいのであります。
  25. 野田卯一

    野田国務大臣 農地改良の仕事の重要性はわれわれもよく認識しおるわけでありまして、今まで大分前からやつて参りまして、かなり軌道に乗つて来ておるわけでありますが、これをさらに今後も力強く押し進めたいということにつきましては、決してこれを縮小しようというようには考えていないのであります。今御指摘の点は、中間的な、中二階のような制度に関連したことではないかと思うのでありますが、それはまた別途な観点から起つておるのでありまして事柄自体には、決してこれを縮小しようという意思はない。これは能率を上げて行きたいということは考えておりますし、政府が予算を増強しておるということは、この仕事を一生懸命にやつて行こうということの一つの現われだというふうに、予算をたくさん出したということだけでも、政府の意図というものがおわかりいただけるのではないか。決して軽視はしておらないというように御了解願いたいのであります。
  26. 坂田英一

    坂田(英)委員 どうも御答弁が、わかつたようでわからぬのであります。この農地局の行政機構を縮小する意思ではない。これを拡大しても縮小する意思ではないという御答弁であるのかどうか、その点をはつきりと御答弁を願いたい。
  27. 野田卯一

    野田国務大臣 農地改良の仕事政府は軽視をしておるとか、これを軽んじておるとかいう意味ではなしに、農地改良ということは一生懸命やろうという意思を持つておるのだ、こういうことを申し上げておるのであります。
  28. 坂田英一

    坂田(英)委員 農地改良のこの事業がきわめて重大なる事業であることは、野田長官からお答えを得なくても、現内閣がすでにその重要施策として、またしかも最近五箇年計画をもつて、これを徹底的に計画を拡大して進めて行くということがきまつている以上は、これが重要であるということを、あなたからお聞きすることを私は御質問しておるのではないのであつて、この大きな重大なる仕事を行いまする機構としては、現在の農地局の機構では不十分であると私は信じておるのであります。その不十分であると信じておりまする機構を、さらに縮小しておるのでありまするがゆえに、これは現在の吉田内閣の方針と相反するものではないかと思うのでありまして、(「その通り」と呼ぶ者あり)私が野田長官にお伺いする点は、先ほどもお話がありましたように、この機構を縮小するのではない、これを拡大すべきであつても、縮小すべきではないというお答えであるのかどうかということをお聞きておるようなわけであります。
  29. 野田卯一

    野田国務大臣 機構の問題と今の仕事の問題の関連でありますから、この問題はきわめて重要でありまして、金額もふえております。しかしながらその金額がふえましても、なるべく人を有効に使つて、そしてさらに能率を上げてもらつてその仕事の完成をはかる、こういうふうに今回の機構改革はやつておるのでありまして、これは単に土地改良のみならず、治山治水の問題にいたしましても、あるいは電源開発の問題にいたしましても、みんな今力を入れておるわけでありまして、そういう方面につきましても若干人のいる部分はあります。あるいは機構が全体から見ますと若干人の減る部分もあるわけであります。これは省全体としての問題に力を注いで大いにがんばつてもらう、こういう趣旨から出ておる点を十分に御了承願いたいと思います。
  30. 坂田英一

    坂田(英)委員 長官の御答弁はどうも私にははつきりしないのでありますが、さらに角度をかえて御質問したいと思います。建設省における工事分量と農地局における工事分量とを比較いたしますると、昭和二十七年度において、一般公共事業災害復旧費、北海道開発庁の分等を合して、建設省の工事分量は六百九十三億余円であります。農地局のただ一局の事業分量は、金融を加えまして四万六十三億、すなわち建設省一〇〇に対して農地局の工事分量は六八%、約七割に当るのであります。しこうして事業分量は以上のような割合であるにかかわらず、建設省としては管理局、河川局、道路局、都市局、住宅局の五局で分掌しておるのに、農地局は一局で三部によつて分掌されておるのにすぎない。これに対して、さらにこの部制をなくして次長一人を置くという程度であつては、建設省と農地局との事業分量を比較し、その機構を比較しただけで、すなわち建設省は五局、農地局は単に一局で三部で分掌しておるということを比較考量しただけでも、まことにふしぎ千万といわなければならない。かように比較考量して行政機構を簡素化する場合において、建設省機構を農地局の事業分量に比例して局を半減するようなことが、事業分量だけから見ると言い得るのではないか、かように私は申すものであります。しかしかく申す私としても、何も建設省の局を半減すべしなどと主張するものでは決してありませんが、ただ国策の基本である食糧増産の有力なる方法でありまする土地改良を主眼とする農地局は、これは縮小してよろしいということが、どうしても私にはふに落ちかねるものでありまするがゆえに、建設省との比較においていかにお考えになりまするか、お答えを願いたいと思います。
  31. 野田卯一

    野田国務大臣 金額だけの比較を今されましたが、金額だけの比較は私はかなりいろいろなことを考慮に入れたり、差引しませんと、簡単には申し上げかねると思います。従いまして行政機構全体といたしましては、各部局が十分なる仕事を持ち、十分なる能率を上げてそれを実行するという点に重点を置いて、人員等の配置をいたしておるわけでありまして、これはただ、ただいまおつしやいましたように、金を使わぬ役所もあるわけでありまして、また金を使うだけでもいかぬと思います。将来は、もちろん行政機構というものは固定的なものではありませんので、仕事の内容をよく見て、どうも仕事が、片方はよく手を入れる、片方は乱雑で、能率を上げているけれども、いかぬという点については、行政管理庁はふだんの点から行政査察もいたします。またこちらの議会の方においてもよくごらんになるだろうと思います。そういうものの結果を集積いたしまして、漸次必要なる改良をはかつて行く、こういうことは当然やらなければならぬと考えまして、今度の行政機構改革におきましても、そういう点を絶えず反省をいたし、絶えず改良して行くように努めておるわけであります。この点御了承願いたいと思います。
  32. 坂田英一

    坂田(英)委員 野田長官の御答弁について、ここで詳しくいろいろなものを比較して申し上げる時間もございませんので、これ以上申し上げかねるのでありますが、とにかく事業分量と先ほど申したのでありますが、さればといつて、私は何も建設省の縮小を主張するものでは決してありません。その点は誤解のないように御了承願いたい。ただ建設省と農地局の事業分量を比較した場合において、金額にしても先ほど申しましたように建設省を一〇〇といたしまして七〇%程度であります。その内容はいかがかと申しまするならば、さらに概略申し上げますると、農地局には土地改良という、いわゆる公共事業、非公共事業、災害復旧等の工事、その工事そのものの中においても、灌漑排水工事、あるいは客土、農道の工事、あるいは開拓、開墾、一つの地帯においても、湖を埋めて農地にするといつたような大きな干拓事業、そういうふうに事業分量が七割も占めておるということのほかに、仕事の内容もきわめて雑多で、たくさんな内容を包含いたしておるのであります。しかも農地局には、土地改良という土木事業のほかに、制度の問題を含んでおるのであり、いわゆる小作争議の調停等の小作問題、農地改革に関する残れる事業、自作農の維持、開墾、建設工事後の入植及び営農の指導、農業水利に関する企画調査、土地改良区の指導、土地改良に関するいろいろの金融問題、交換分合の指導問題といつたような一つのグループがあるのであります。このグループは土地改良という、いわゆる土木工事とは関連の深いものであり、両々相手を携えなければならぬことであるが、仕事としてはまた違つたグループであります。こういうものを包含しておる。しかもこの土地改良そのものにおきましても、ここに仕事を始めてよろしいとかいつたようなことを一貫作業的に計画を立てて、その計画を立てるためのいろいろの調査をする、それらのものの一グループがあるのであり、その計画を受継いで、建設といういわゆる実行に移す一つのグループがある、こういうようなことで、最小限度どうしても三つのグループがいるのであります。この三つのグループがいるものを、何らこれらの事業の実態を把握せずして、いたずらに一つの局に半減して、そうして次長一人を置いて事を糊塗しようとするがごときは、これは形式論にとらわれたるものであつて、真に日本の再建を思い、真に食糧増産の重要性を思うものではない。真に食糧増産の必要を感ずる以上は、これらの行政機構に対して十分なる考慮を払うはずであると思いまするがゆえに、この問題は私は簡単には済まされない問題であると存じまするので、御答弁は、もし御都合が悪ければよろしゆうございますけれども、これはよくお考えを願わなければならぬ点であると存じます。
  33. 野田卯一

    野田国務大臣 私は行政機構の問題についていつも考えさせられるのでありますが、ただいまグループが三つあるというお話でありましたが、われわれが役所に入つたときは——私は実は昔のことを言うわけではありませんが、坂田さんもお入りになつたころだと思いますが、大抵一局二課主義——そのときの内務省に何局あつたか知りませんが、大体一局二課主義でありまして、そのころの課長はいわゆる大粒の課長で偉かつた。ところがこれがだんだん細分化されまして、先ほども指摘がありましたように、職階制の線から課長にしないと月給が上らぬという点もあつたのでしよう、だんだん小粒の課長がふえまして、そうしてばらばらになつておる。もし課長がもつとしつかりしておれば、もつと少くても済むのではないか。昔の係長がやつておつたようなことを今課長がやつておるということは、私が申し上げるまでもなく、坂田委員御存じだろうと思います。こういつたところにメスを加えませんと、なかなか行政機構の簡素化はできないわけであります。私はあえて昔のことを言い出すわけではありませんが、過去の日本の例を見ましても、仕事はやはりなるべく簡素にして、そうして粒を大粒にして行きませんと、仕事が分散して、はんこばかりふえるということになると私は思いますので、根本的な考え方にひとつ御同調を願いたいと思うのです。  それからもう一つは、官庁のやる仕事の限界でありますが、私も役人を何十年もやつて来て思うのでありますが、もし官庁仕事を取上げてやるといたしますれば、いくらでもふえる。これは無限に出て参ります。従つて民間に仕事をなるべくやらせて、官庁がやる仕事をなるべく少くするということが、民主主義の政治に即応することであると思うのです。これはなるべく注意しませんと、民間の人に言わせますと、役所にやらせる方が都合がいいといつてもたれて来る。この役所にもたれて来るのをみな引受けてやつておりますと、仕事が非常にふえて来る。民間でできることは、民間でした方がいいと思われることは民間でやつてもらう。役所でなければできないこと、役所にふさわしいことだけに限定する、特に農林省あたりは全国で三千万も四千万も農民を控えておるのでありますから、ことごとくこれに応じて仕事をたくさんふやすということになりますと、厖大な役所でなければ追いつかぬということになりまして、なかなかむずかしい点もあろうと思いますので、それを十分お考え願いたいのであります。これはただ農林省仕事ばかりでなく、通産省としましても大蔵省としましても同様の問題があるのでありまして、役所はなるべく民間でできることは民間にやらせてアドヴアイスをするということにしなければ、行政機構はもう厖大になつて収拾がつかなくなるのではないか、こう思うのでありまして、この点は十分御了承を願わなければならぬのではないかと思うのであります。
  34. 坂田英一

    坂田(英)委員 今野田大臣が仰せられた通り、私どももでき得る限り経費節約して簡素化して、そうしてなおかつ能率を上げたいということを念願しての行政機構改革を望むものであります。さような意味からして、先ほど来全般的な御質問を申し上げておるわけですが、こういうものが現在の行政機構から行きますと、どうも徹底したところがないように思われる。そういう際において、農地局だけが今言つたように事業分量が建設省の七〇%を占めておる。建設省は五局でこれを分担しておる、農地局はしかも金額の分量だけでなくて、内容そのものがきわめて複雑多様をもち、しかも事業分量の多い農地局というものと比較いたしましただけでもいかにこの行政機構改革の際においては、農地局の問題は考えなければならぬかということを十分お考えを願いたい、そう思います。しかもこれがきわめて重大なる国家目的を達成するところの機関でありまするだけに、この点は十分に御了承を願わなければならぬと思うのです。私はこれらに対してこれ以上御答弁を求めるものではありませんが、私はどうしても日本の再建のために、日本の食糧自給達成のために、われわれ民族生活向上安定のために、今申しましたように建設省の七〇%を占めておるところの事業分量をもち、しこうしてこの内容も複雑でありまするこの重大なる問題を実行して行きまするところの行政機関としては、これは単に口先で何とか言うのでなしに、腹の底からこの重要性を認められて、そうしてこの行政機構改革に際して悔いを後世に残さぬように再び御考慮を願いたいということを希望申しまして、これ以上この問題に対して御答弁を必要としない、こう存じます。さように御了承願いたいと思います。  次に私として御質問申し上げたい点は、農林省機構に関して、食糧庁と林野庁とを、外局から内局にいたしておるのに、水産庁だけを外局に残しておる。しかも林野庁のごときは国有林、民有林に対するすべての行政をつかさどり、営林局を地方に持ち、関係人員は二万二千百十五人、しかもこの両者を加えますると、十二万余人に及んでおる。水産庁の方は千五百余人、この林野庁は比較にならない厖大なものであります。しかもその内容はこれまたきわめて複雑多岐であります。これはいたずらに複雑にしておるのではない。これらについては同僚委員の方からも質問があろうと思いますから、私は深くこれに入る質問をいたしませんけれども、かようなる林野庁を内局に移して縮小するということは、一体いかなる理由によるのでありましようか。聞くところによると、水産庁を残したのは、水産省を設置する運動があつたからであると聞いておるのでありますが、もしさようであるとするならば、これからあらゆる意味においての弊害が出るのではないか。省を主張しておきさえすれば、その次には庁として残るとか、いろいろなことを考えるとまことに残念でありまするが、かような点について林野庁を何がゆえに外局から内局に移したものであるか。水産庁と比較しての御答弁を願いたいと思うのであります。
  35. 野田卯一

    野田国務大臣 林野庁、食糧庁を廃止いたしまして、林野局、食糧局にいたしましたことにつきましては、先ほど申しましたように、今度の行政機構の簡素化のねらいといたしまして、外局というものは審判的性質を主とするものと言われるものでありまして、そのほかの一部は内局として大臣直轄のもとにその行政の責任分担を明確にして強力にやつて行く、こういう趣旨に出ておるのであります。この点におきまして林野行政は他の農業行政と密接不可分の関係にあると言われております。従いましてそれを内局といたしまして、大臣直轄のもとに他の農業部門と合せて施策を進めて行くことが適当でないか、こういうふうに考えるのでありまして、それに従う人間の数をいろいろおつしやいましたけれども、人間の数から申しますと、林野庁の人数は二万くらいだと思いますが、同じく内局になりました大蔵省の国税局の陣容は六、七万に上つておるわけであります。こういう点も十分検討してやつたわけでありまして、その点誤解のないようにお願いしたい。仕事はあくまで重要視します。外局にするということは先ほど申しましたように、現在の国家行政組織においては半独立にするということでありまして、これはやはり林野行政というものを大臣ががつちりと握つてからでよいのではなしか。そして他の行政関係と密接不可分な関係においてやつた方がよいのではないか、食糧関係においても同様です。それから水産庁においては、水産が他の農林関係とはかなり離れておりまして、精神的には分離いたしておる。この点につきましては分離してないという方があるかもしれません。食糧という点においてはもちろん関係がありますが、他の農林行政との関係がかなり薄い、これは私が行政機構改革を企てたときに、あらゆる人から、その審議の過程において関係が薄いということを聞かされたのであります。私もそうだろうと思う。大体信じているわけでありますが、そして議会の状態を見ましても、御承知通り水産委員会というものを初めておつくりになりまして、農林委員会と別個に審議しておるというような状況でもあり、さつき水産省を設けると言われましたが、これも実際そんなことはないのだと思います。けれども水産というものが農林行政から相当離れておるということでありますから、おそらく議会でも多数の人の署名をして参議院にあれが出されまして、長らくの間審議されておりましたが、今回の行政機構改革がありますので、一応取下げになつているようなわけでありまして、沿革的に申しましても、水産は今まで相当別個に取扱われておる、こういう関係になつておるのであります。そういう点もあり、農林省考え方といたしましても、これだけはひとつ別にしてもらいたいという意思表示もありまして、かれこれいろいろ勘案した結果、水産庁というものは一応例外的に庁として残した、こういう関係になつておるという点を御了承願いたいと思います。
  36. 坂田英一

    坂田(英)委員 林野庁その他についても、なお同僚委員から質問があろうと思いますから、あまり長く御質問いたしたくないのでありますが、農林大臣が見えるかと思つて質問いたしたいと存じておりましたけれども、お見えになりません。ちようどそこに政務次官がおいでになりますので、やむを得ず政務次官質問いたしておきます。まず私は先ほど野田長官にいろいろ御質問申し上げておつたのでありますが、農地局のような、土地改良事業、食糧増産の行政機関として最も重大なる機関でありまする農地局をかくのごとく縮小されまして、はたして吉田内閣の食糧増産計画、しかもその根幹をなすところの土地改良というものを十分これによつて達成し得られるかどうかということを私は農林大臣に聞きたかつたのでありますが、どうしても来られないから、このことを行います上において政務次官として非常にむずかしいものであろうと思うのでありますが、御答弁がやりにくいならば、しいて私は求めないのでありますけれども、こういうような縮小された機構において、土地改良事業の五箇年計画を拡大してやつて行けるしつかりした確信があなたにはあるのか。われわれに安心できるように、何も君心配するなと言うくらいの自信があるのかどうかということの御所見を求めたい。
  37. 野原正勝

    ○野原政府委員 非常に重大な問題でございまして大臣にかわつてお答え申し上げまするけれども、すでに御承知のごとく自立経済達成のためには、わが国の食糧自給態勢の確立強化ということが絶対的な問題であります。従つて政府といたしましても食糧自給態勢を確立強化するためにはあらゆる施策を超重点的に強力に行わんとしておることは、すでに御承知通りであります。従いまして食糧増産経費等に対しましては、大幅にこれを増額要求いたしまして、ようやくにしてわれわれの要望がある程度達成されつつある段階でございます。今後われわれの考えておりまする食糧自給度の向上のための五箇年計画等を行いますためには、土地改良事業等はもとよりのこと、開拓、干拓その他の耕地造成の仕事、あらゆる農村振興の施策と相まつて食糧自給度向上のためのあらゆる強力な施策が行われるわけであります。その施策の中心は、何と申しましても現在の農地局の仕事であります。従いましてその農地局の仕事の内容たるや、先ほど来御高説にありましたごとく、まさしくこれは一農林省の農地局というようなことでなしに、日本の再建の最も重大なる部門を占めておるのであると私は考えておるのであります。その観点から見るならば、農地局における行政機構はその重大なる使命達成のためにふさわしいような機構であらねばならぬというふうに考えておるのであります。この縮小されたときにおいて、やれるかやれないかという御質問ですが、縮小されようがされまいが、あくまでもやらなければならぬのでありますけれども、望むところは、何と申しましても現在の機構といたしまして、計画部門、あるいは建設の部門、それぞれが、非常に適切な運営をしておる今までの状態を見ましても、この三部制を置くことが私といたしましてはこの仕事を最も能率的に行う上において非常にふさわしい制度であるというふうに考えておつたのでありますが、今回の行政機構改革において政府の方針といたしまして、内局における部制はこれをやめるという基本方針にのつとつて、遺憾ながら部制を断念するような形で今日提案を見ておるようなわけであります。しかしながら、端的に言えば、それは理想な姿ではない。ほんとうにわれわれが責任をもつて農林行政を担当するからには、その組織、制度におきましても十分遺憾のない体制を持たなければ、この十分なる責任は達成できるものでないと考えておる次第であります。
  38. 坂田英一

    坂田(英)委員 野原政務次官のいたいたしい御答弁を聞いておりますと、一つにはこれはどうしても縮小はできぬということを私は感じます。一つにはこれ以上追究するに忍びない。従つてこれ以上御答弁を求めないのでありますが、どうしてもこの機構の拡大——縮小どころの騒ぎではない、現状維持どころの騒ぎではない。これはどうしても拡大強化すべきであるということが、今まで私が質問を続けました間から十分に感得いたしました信念であるということを申し上げておきたいと思います。なお時間もありませんので、いろいろ後ほど関連した事項が出ます際まで質問を留保しておきたいと思いますが、ただ一点ここに御質問をいたしたいと思うのであります。それは農業改良局の問題でありまするが、この農業改良局の事業は御存じの通り一つは土地改良等の物的条件の改善ということであり、農業改良局の部面は人間の能力を増強する、これであります。いわゆる農業のことたるや、土地、地面というものと、その地面の上に働くところの人々の労働と知識、これが元となつて食糧増産も行われ、農業生産奪われ、いろいろの生活の安定、その他の問題についての尾を引いて参ります重要な事柄を扱つておるところであります。特に日本の将来としてわれわれが考えなければならぬ点は、試験研究に関する問題、試験研究の結果を普及徹底する問題、これらの問題は特に重要であることは言うまでもないのであります。元来わが民族の欠点は科学の進歩、科学の発展を行政の面に移して行くということについての熱意が足らないことだと思います。現在新聞に出ておりますことは、ほんとうかどうか知りませんが、ソビエトのごときは、シベリアと樺太を続ける、それによつて寒流の道をふさぎ、ウラジオストックの不凍港を解決して行くとか、あるいはさらに新聞等によりますと、真実は知りませんが、六千キロの森林を植えてロシアの気候をかえる、こういうことをやつておる。実際日本民族は、われわれどもも同様でありますけれども、科学技術の進展、またその進歩したるものを十分に普及するということに対して、為政家も全般の人々もこれに対する熱意が今まで足らなかつたように思うのです。これが戦争に負けた原因でもあり、いろいろの意味において日本民族の真の発展を期し得ない一つの障害であろうと思う。この問題を打破して、試験研究を十分に遂げさして、その結果を十分普及徹底させるということは、農林行政の上において最も重大な問題である。一口に言えば、農林行政は自然科学の研究された結果を行政の面に乗せて実行に移して行くことであると存ずるのであります。この農業改良局にこれまた著しき縮小を加えて、しかもこの重要なる技術官というものを虐待して行く。元来この産業方面というのは、農林省に限らず、通産省も全部そうでありますが、事務官というものと技術官というものと両々相立つて同じ待遇を加えて行く必要があると思う。そういう点から見ると、各省ともと言えると思うのですが、まことに技術官を優遇していないと思います。これではほんとうに日本の農業の発展もできない。電力の問題にしようが何であろうがそうであります。この点は広くいろいろ御質問を申し上げるのでありませんが、特に野原政務次官に対して申し上げたい点は、この農業改良局が著しく縮小されておる。しかもこの重大なる技術官がどうも脱落しそうな関係にある。こういう点から見ると、どうしてもこの局には一つの技監を置くとかいつたような処置を講じないと、農業技術の進歩発展も、これの普及徹底もただ絵に書いたもちに終る、こういう点を十分御了承願つて、この点についての努力をされる決心ありやいなや。なお野田長官に御質問するのでありますが、何ゆえにこの重大なる技術発展のために必要なるこの農業改良局を虐待するような形にこれを閉じ込めておくかという点を御質問いたします。
  39. 野田卯一

    野田国務大臣 科学技術を尊重すべきこと、大いに振興しなければならぬことは御指摘通りでありまして、政府もそのために今後大いに力を注ぎたいと考えておるのであります。決して農業に関する技術をないがしろにする考えは全然ありません。私は農林省に対しましては、技術官を大いに尊重してもらいたいと思うのであります。私は農林省のことはよく知りませんが、農林省では、技術官は局長になれないというようなことがあるとか言つておりましたが、それはむしろ坂田さんにお聞きした方がわかるかと思いますが、別にそういうことをせよということは決定しているのではないと思う。現に建設省あたりでは、技術官をたいへん尊重いたしまして、どんどん局長に抜擢しておるわけであります。地方局長は全部技術官である。中央におきましても、半数以上は技術官であります。そういうことでありまして、決して政府全体は技術官をないがしろにするというようなことはありませんので、私は適材適所の方針に従つて十分技術者も登用して行くことをやつて行きたい、こう考えております。
  40. 八木一郎

    八木委員長 この際私より、関連しておりますから野田国務大臣に申し上げますが、今回の行政機構改革を通して、監という新しい制度が飛び出して来たが、これの意義を説明してくれとの申出が非常に多いのであります。この機会に御説明を煩わしたいと思います。
  41. 野田卯一

    野田国務大臣 今回の制度改正にあたりまして、局中の部あるいは官房における部を廃止するということに関連いたしまして、局の中にさらに監と言つておりますが、観光監とか、統計調査監であるとか、あるいは国立公園監であるとか、あるいは賞勲監とかいろいろなものが出て参つたのでありますが、これは局中の部という制度を廃止いたしますと、局長課長が直結することになるのでありますが、役所によりましては、たとえば統計調査というような特別な仕事につきましては、何かそれを専門に見てくれるものがあつた方がいいとか、あるいはどうしても必要であるというところも数多いのであります。そういうところにおきましては、部長を廃止することによつてそういう人がなくなるということを防ぐために、何とか監というようなものを設けたのであります。この監は組織ではないのでありまして、そういう職でありまして、これが統計調査監であれば、統計調査に関する仕事につきましてはその人が十分見て行く、こういうことになるのでありまして、地位といたしましては、あるいは局長が補佐する、局長の足らざるところを補つて、その点については責任をもつてつて行くということになります。しからば従来の部長とどこが違うかという御質問が出るかと思いますが、部の中に必ず課がありまして、その課のことは全部部長が見て行く、部に三つの課があれば、三つの課のことは人事のことも、会計のことも、予算のことも、あるいは労働争議のことも、あるいは厚生施設のこともまるがかえで全部を見て行く、それがまた部長の責任であると思いますが、今度設けました統計調査監というものは、そういつたようなあらゆることをまるがかえ式にやつて行くというのではなしに、統計調査のことに関しましては責任をもつてその問題を取扱つて参りますけれども、その他のことにつきましては、当該課長なり、あるいは局長というものが主としてこれに当つて行く、もちろん統計調査に関連する人事の問題等につきましてはいろいろ相談にあずかつたり、あるいは参考意見を述べたりすると思いますが、主たる仕事はやはりりつぱな統計をつくり、りつぱな調査を完成するということに重点を置いて働いてもらう、こういうような考えから統計調査監というような制度を設けたのであります。この考え方は、統計調査監のみならず、他の監につきましても同様に考えているような次第であります。
  42. 野原正勝

    ○野原政府委員 農業の進歩と発展のためには科学技術を尊重する、そして試験研究をりつぱに徹底して、これを普及周知せしめて実行に移すことが絶対に必要でありますが、遺憾ながら日本農業はこの面におきまして従来はなはだ徹底を欠いておつたと思わざるを得ない。従いまして、日本の民主化の声が上つた終戦後におきまして、従来の遅れている科学技術の面を急速に引上げて、国際水準いな世界最高の水準まで持つて行こうとして一つの大きな理想を持つて生れたのが農業改革であつたのであります。今においてもその理想をわれわれは堅持しております。この狭い国土に非常にたくさんの耕作者がおるのであります。零細な農業、従つてわれわれは寸尺の地といえども余すところなく、これを局限までも利用活用して、最高の技術、最高の科学をここに打立て、その上にわれわれの正しい、平和な、ゆたかな農業国家を建設しようとしているわけであります。それがわれわれの新しい日本再建の道であると信じているのでありまして、その道を行くこれは道しるべであります。これがなかつたならば、暗やみにちようちんを持たないようなものである。そういう点からいたしまして、農業の改良、科学技術の面につきましては特段な意を注いでいるわけであります。従いまして、その意味から行きましても、政府がとつております食糧自給度の向上——外国からの輸入などに依存しなくて、たとい国土が狭かろうとも、われわれの勤勉と努力、科学技術によつて必ずや近い将来において食糧問題を解決するのだ。その意気と信念を持つて行くためには、そこに裏づけとなる正しい科学技術があらねばならぬと思う。その観念からいたしまして、われわれは農業改良に関しましては、今後ともますますその内容を充実し、その仕事を拡大強化するという必要を痛感いたしているのでありまして、ましてやこの農業改良事業のごとき重大なるものを縮小するようなことは、農林省としましてはいまだかつて考えたことはないのであります。もしさような考え方であるならば、日本の農業というものは真に正しい発展はできないと私は考える。  また特に技術者の待遇の問題についてのお話がございましたが、まつたく同感であります。この技術者は、正しい技術のためには自分の一生をささげるという信念を持つて、黙々として研究にいそしんでおる。この技術があつてこそ初めて正しい発展があるという点からいたしまして、従来ややもすると法文系統の諸君などがこの地位を壟断するがごとき感がなきにしもあらずだつたが、それは過去の昔話であると私は思うのであります。いやしくも民主化された日本においてはさようなことがあり得べきことではない。必ず技術者も事務官も同様に、その勤勉と努力、その能力にふさわしい待遇が与えられ、その社会的地位が保障されるということであらねば、真の科学、技術の確立は実現できるものではないというふうに考えますがゆえに、農林省といたしましても、もし過去においてさようなことがあつたとするならば、これは今後大いに検討の上、改めるにやぶさかでないということを明らかに申し上げておきたいと思います。
  43. 坂田英一

    坂田(英)委員 私はいろいろ御質問をいたしました結果として、ますます自分の信念を固めたような結果に相なつてしまつたわけであります。これで質問を終りたいと思いますが、ただ先ほど私は地方自治行政の面について質問をいたしたのでありますが、ちようど岡野国務大臣がお見えになりましたので、繰返すことになりますが、この点について一点だけお答えを願いたいと思います。  この行政機構改革の問題を見ます際に、私のほんとうの気持は、現在程度行政機構改革であるならば、やつてもやらなくても大したことはない。しかしただこの欠点は、これをやるがために食糧増産等の重大なる仕事をなすところの機構を縮小しておる、能率を低下さしておるということであります。吉田内閣の大政策であります食糧増産を無にしようとするような結果になる欠点をはらみつつ、全体から見ると、大したことはない、こう思うのですが、この行政日本のいろいろの現状を見ますと、中央における行政のあり方は比較的正しいと思う。また改善すべきことがあるとかないとかいうことは、これは別の問題でありますけれども、いわゆる中央政府の役人のやつておることは悪いことが少い。正しい。なぜかというと、これは新聞あるいは輿論、あるいは実業家、学者、また衆議院、参議院全部ここへ集まつておるわけで、帝都において監視の眼のもとに立つて行政が行われておるからだと思う。また一面自治体としての市町村、大きな市は別として、市町村住民の眼がよく届きますから、かりに悪いことをやる者が少数あつたとしても、住民の目がよく届きますから、この悪には限度がある。従つて今理想的な形でなくても、市町村の自治は将来りつばに発展して行く可能性があると私は思う。ただここに残されてある府県行政は、住民の目も十分に届かない。しこうしてまた中央における行政のごとく、あらゆる面からこれを批判するものがない。ある県のごときは新聞も一つである。それを買収してしまえば、それでもう何でもやれる。いわゆる批判のないところには必ず腐敗が起つて来るのです。現在の日本の自治のうちで市町村の自治は、将来ある意味においては、明るい面も見える。中央政府のものも、これは批判が強いために、監視の上に立つがゆえに、悪というものがない。ただここに残されたる府県をほうつておいたならば、極論すれば、民族滅亡糸口をつくるものではないかとさえ私は思う。この点について岡野長官はいかに考えておられるか。そして岡野長官はこれらの点について、こうすればよろしい、心配ないというようなお考えを持つておられるか、この点をひとつ御答弁を願いたいと思う。
  44. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答え申し上げます。お説しごくごもつともでございまして、私も市町村の自治というものは、ただいまでもお説の通り状態と思うのでございまして、地方自治の本来の姿で市町村がやつて行くべきものだと考えております。そこで問題になりますのは、府県の問題でございます。これも御承知通りに、これがはたしてその結論に到達するかどうかわかりませんけれども、市議長会におきましても、また一昨日でございましたか、市長会におきましても、府県廃止論が出ております。しかし私はこの際府県の廃止ということに対しまして、全面的に賛成とか、反対とかいうわけではありませんけれども、いろいろ府県行政を見ておりますと、目の届かないところもございますし、また国の仕事をあずかつている点から行きましても、非常に重要な点であると同時に、お説のようなこともないとは限りません。私は府県の性格というものは根本的に検討を要するという考えをただいまも持つております。そこで今般国会に提出しております地方制度調査会というものを設けまして、もしこれを御審議願つて、通過さしていただきますならば、ただいま仰せのような府県の性格というものを根本的に検討してみたいという考えを持つております。でございますから、地方制度調査会ができましたならば、お説のようなことをよくわれわれも研究しまして、その委員会のりつぱな結論を得て善処いたしたいと存ずる次第であります。
  45. 坂田英一

    坂田(英)委員 質問はこれで一応終ります。
  46. 八木一郎

    八木委員長 午前中はたいへん時間が経過いたしましたが、この会議はこの程度にいたしまして、午後は二時より再開いたします。  暫時休憩いたします。     午後零時五十八分休憩      ————◇—————     午後二時二十分開議
  47. 八木一郎

    八木委員長 これより内閣委員会を再開いたします。  質疑を続行いたしますが、質疑は重複を避けて簡潔能率的にお願いいたします。それでは井上君に発言を許します。
  48. 井上良二

    井上(良)委員 今回提案になりました行政機構改革の各般の基本的問題につきましては、他の同僚委員から種々の角度から質問が行われ、政府からそれに関する答弁もすでにあつたと存じます。政府は先般この行政機構改革に伴う行政整理を行うにあたりまして、この行政整理は近く政府考え行政機構改革に通ずる、こういう前提のもとに行政整理が先般行われたのであります。ところがその後に政府が立案せられました行政機構は、われわれは当時行政機構の簡素化といいますか、事務能率の増進ということを目的にした相当大幅な改革が行われることを期待しておつたのであります。ところが今回現われました行政機構改革検討しておりますと、一部はそういう点が具体化しているところもありますけれども、大半は各委員から御指摘通りまつたく機構いじり状態ではないか。これでは一体何のための行政機構改革かということがはつきり示されてない状態であることをまことに私ども遺憾に存じます。特にわれわれ、専門的に検討いたしております農林行政の立場から見ておりますと、農林行政に関する行政機構改革に至つては、まつたくなつていない。一体行政管理庁長官は今回の農林省所管に関する行政機構改革について、当該の農林当局とこの問題について十分検討を加え、かつまた農政、農林行政等に関連の深い各種団体の意見を聞き、また国会、農林委員会等の意見も徴し、諸般の調査研究の上にこの農林省所管の行政改革というものが立案されたのでありますか。その基本的態度についてまずお伺いしたいと思います。
  49. 野田卯一

    野田国務大臣 行政機構改革につきましては、二十四年の改革以後いろいろな案が研究されまして、私の手元にある限りにおきましても、数個の案があります。その中でも特に行政整理の審議会の案であるとか、あるいは政令諮問に関する委員会の答申というように、各種の案が出て参つておるのでありまして、それらの案ができます過程におきましては、いろいろの方の御意見も聞き、また世間のいろいろな批判、こういうものも十分勘案してこういうものがつくられている、われわれはそういう資料をとりまして十分検討して政府部内におきましても相談の結果でき上つているのであります。
  50. 井上良二

    井上(良)委員 ただいま提案されました原案は、政府部内でも十分検討されて提案をされたという話でありますが、そういたしますと、午前中の質疑応答を聞いておりますと、農林省所管に関する、たとえば農地関係の問題、林野関係の問題、あるいはまたは農業改良局の問題等について、当の責任者である野原政務次官は、農林省が現に責任を負わされて、その負わされた任務を遂行するためには、かくのごとき機構改革によつては非常にその活動が制約されるような答弁がされておるのであります。野原政務次官は、この行政機構改革について農林大臣とともにいかなる態度でこれが検討に臨まれましたか、またこの案は農林省としては承認をされておりますか、この点について一応伺いたい。
  51. 野原正勝

    ○野原政府委員 今回の行政改革の案は政府の一般的な方針でありまして、われわれもとより原則的には行政機構改革ということに対しましてはその必要を感じておるものでございまして、結論といたしましてはただいま提出いたしましたような案になつたのでありまするが、その案になるまでの過程におきましては、農林省は今後現下のわが国の農政の現状からいたしまして、十分その責任をとり、食糧の生産、自給態勢の確保あるいはまた治山治水の面、農業技術の改良、それらの農政の発展のためには、その必要とする行政組織の体系というものは、当然必要な程度の整備がされなければならぬということを強く主張して参つたのであります。われわれ農林省の立場としましては、先ほどもいろいろ御意見がありましたが、相当強い意見もあり主張もあつたのであります。ただ政府全体としまして、外局はこれを廃止して内局にする、あるいは部制をやめるというような全体としての方針、これに対しましては政府の立場におきまして、これに順応するという立場をとつたのであります。先ほどの質問が、ただいまの井上君の御質問では誤解を太れておる面がある。すなわち思い切つた農業政策をやるにこの程度で満足々するかということでありますから、私はこの程度では満足できない、率直に言うならばもう少し強固なる体制、機構——わが国の農業政策の今後の進歩と発展にふさわしいような立場から、その内容の整備もしたいということを率直に希望として申し上げたのであります。政府としましては、全体としての方針によりまして、この案を提出をしておるわけであります。
  52. 井上良二

    井上(良)委員 行政管理庁長官は、農林省機構改革について農林行政の現段階における任務というものについて十分検討されたことがありますか。その点を伺いたいのです。
  53. 野田卯一

    野田国務大臣 行政機構改革に関連をして、農林行政についても検討したことは事実であります。現在の情勢におきまして、日本行政機構における農林省としてのあり方としまして、ここに提案したようなものが適当である、こういう結論に到達した次第であります。
  54. 井上良二

    井上(良)委員 しからば伺いますが、この改革の重点を見ておりますと、一つ外局及び部制を廃止する、それから一つは統計調査部を新しくできる農林経済局に統合する、そういうことだけであつて政府が本年度の予算に示しました独立後のわが国の自立経済の基本をなす食糧の増産と確保を積極的に遂行しようとする態勢というものと逆行したやり方がとられておるんじやないですか。その一つは、たとえば食糧庁を外局にしたというのは、どういう理由で政府外局にして、農林省設置法案を提案して来たんです。外局にしてわずか二年そこそこしかたつておりませんよ。そのときには外局にしなければならぬという必要から国会の承認を得られたんでしよう。その後において外局の必要がなくなつた、食糧の確保はさほど必要がなくなつて来た、大臣の所管において、内局にして十分やり得るというように、たとえば食糧庁の問題を取上げましても、確保なり配給というものが非常に少くなつて、もう外局としては必要がない、もつと具体的に言いますならば、たとえば地方にあります食糧事務所も閉鎖をし、その業務を県に委託をする、あるいはまた食糧庁の内部機構もそれぞれ事務統合をいたすなり、各係や課を併合いたしまして、そこで非常に事務も整理されて、今日外局としてもそういうことは必要がなくなつた、そういう具体的なやり方が示されて、なるほどそうか、それなら当然そうすべきだというここに得心の行く結論が出て来ますけれども、現在の人員機構行政事務はそのままにしておいて、あらゆる権限もそのままで認めておいて、外局だけ内局にするというのはどういう根拠に立つておるのですか。もう二箇年やつてみた結果、そういう必要はない、こういう食糧行政の実際に即して必要がなくなつたというのか、それとも行政機構改革という大きな一つの線から、外局はこの際いかなるものであろうと全部廃止する、こういう一般的な上に立つてこの外局を廃止することになつたのか、その基本的な立場に対して、御説明を願いたいと思います。
  55. 野田卯一

    野田国務大臣 今回の行政機構におきましては、その基本的な考え一つとして、外局はこれを原則として審判的性質を持つたもののほかはこれを廃止いたしまして、その一部は原則として内局化してやるという原則を立てて実行いたしております。
  56. 井上良二

    井上(良)委員 そうしますと、さきに大臣は、農林省外局として水産庁を外局に認めている。これは農林省としても水産局の行政というものは特殊な任務を帯びておるからである、こういう理由のような御答弁をされておつたようであります。そうすると食糧行政というものが、いかに今日わが国で重大な行政であるかというこの特殊性というものは全然考慮されていないのですが、こういうものはどうでもいいとお考えになつておりますか。外局にしたというのは、食糧行政の重大性から特にわれわれはこれは将来は食糧省として一本建にしてもけつこうでないかと考えておるのです。それほど大きな意義を持つ国民の保健衛生、わが国の経済一切にかかつておる基本的な食糧行政をあまりにも軽く見ておりはせぬのか。水産庁を外局にしていいというあなたのそういう考え方なら、少くとも食糧庁も外局でいいというりくつは十分成り立つではないか。水産庁は外局を認めて食糧庁は内局でいい——人員や予算の関係ではないのであります。そうすると内局にしたというゆえんは事務分量によるのか、命令系統によるのか、予算関係によるのか、どういうことによつて内局と外局とにわけておりますか。
  57. 野田卯一

    野田国務大臣 この点は先ほどもすでに申し上げたと思います。水産庁は外局を内局にする例外であります。原則ではありません。それで水産という問題につきましては、ほかの農林行政関係が疎であるということを私はほとんどすべての人から聞かされているのです。この行政機構改革の議論を通じて、それから国会におきましても農林委員会から水産委員会を初めからおわけになつておる。これは各省に例がありません。一つの省を二つにわけて、こういうことがはつきり示されておる。それから水産省設置ということが——これは衆議院の方はよく存じませんが、参議院でほとんど全会一致になつておる。これは参議院は別だと言われればそれまででありますが、参議院の人がみなはんこをついて水産省というものを設けようということを一致してやつているということは、私は議会尊重という建前からいつて、そういうこともあり得るではないか、私はそう思います。かれこれ勘案いたしまして、水産庁は特別な扱いをした、こういうふうに御了承願いたい。仕事の性質からいいましても、相当独立性があります。私が見ておりますのは、水産庁のおもな仕事は、船と港だと思うのです。井上さんも漁港をおまわりになるわけでありますが、運輸省の港と農林省の所管の漁港とはわからぬのが相当あります。あるいは入り込んでわけのわからないのが相当あります。それも乱れております。船になりますと、機帆船とか鉄鋼船とかあつて、これは船舶行政と密接不可分の関係であります。かれこれ勘案いたしますと、水産庁を設置しろという意見などは、私はそれに拘泥するわけではないが、そういう理由もあると思う。水産委員会もお設けになつているという議会の良識もやつぱりあるのではないか、こういうようなことも考えまして例外を認めた、こういうわけであります。
  58. 井上良二

    井上(良)委員 ただいまあなたのおつしやいますのを聞いておりますと、外局を内局に直すというのは、命令系統の上から来たものか、それとも業務内容が縮小されたゆえに内局にするというのか、その内局にする理由です。今まで外局でやつてつて何の不足もなしにうまく行つておるというのを——外局にしたことによつて非常に行政運営の上に大きな支障になる、矛盾があるというならばわれわれも納得します。外局にしたということを国会が承認をして政府の設置法案を通過さしたのは、その必要を認めたがゆえなんでしよう。それともその運営において何らの欠陥も矛盾もないのに、ここに新しい矛盾なり欠陥が起つて、かくなるがゆえに内局にする必要が生じたというのならばわかつておる。ところが現に政府みずから食糧の増産と確保は絶対的に必要であると言明し、将来ますますこれの重要性を認識するがゆえにその行政機構は拡充強化して行かなければならぬということを言明して来ておる。それと今あなたの言うのとははなはだ意見が食い違つているじやありませんか。考え方が違うじやありませんか。だから今まで二年間外局として運営して来たが、いろいろ行政運営上支障と矛盾と不合理があるがゆえに内局にした方がさらに行政事務を高め、行政能率を上げる上からもよいということをここに明らかにされませんと、前には外局を認めてくれといつて国会の承認を得ておきながら、何もそれに対する矛盾と不合理が現われてないのに、ますます政府みずから、担当省は食糧の重要性を考え行政機構の拡充をはからなければならぬということを強調しているときなのであります。そういうところから言うと、どうもあなたの説明は、われわれの納得の行かない点がありますが、その点もう一度明確にされたいと思います。
  59. 野田卯一

    野田国務大臣 過去から最近までのいろいろな行政経験に照しまして、わが国の行政を最も能率的に責任関係を明確にしてやるには、外局という制度を改めて、それを内局にしてやるという方が適当であるという結論に達しまして、政府は今回の案をつくつたわけであります。
  60. 井上良二

    井上(良)委員 食糧庁は今申します通り、国の重要な食糧の管理をやる大事な庁であるのみならず、食糧庁を設置いたしました根本的な建前は、御存じの通り政府みずから商行為をやつておるわけです。普通の役所と違うのです。政府が一手に米を買い入れてこれを一手に払い下げて行くという商行為をやつているわけです。そのために莫大な独立採算の特別会計を持つて運営をしておるわけです。他の普通の役所とは意味が違うのです。そういう商行為をやつており、その末端には全国津津浦々にそれぞれの機関を持つて全体を合理的にうまく運営しなければならぬ。そういうときにこれが内局として一官房のもとに置かれます場合、いわゆる機能的な運営能率がうまく行かないというところから外局に昇格したわけなのです。また昇格する必要を政府は認めて国会の承認を求めたわけです。だから買上げ並びに売払いというこの商行為をやめ、かつまたこれが一般会計として運営される面になり、もう外局としての意義は失われたというのならば話がわかるのです。そういう点があなたの御説明では一向われわれは納得し得るものがありません。だから外局として置いておいていかなる不合理と矛盾があるかということをもつと政府は率直に国民に知らしめる必要がある。われわれは決して不合理と矛盾があるものを無理に外局に置けとは申しません。われわれが前国会においてこれを認めたゆえんは、その必要性を認めたがゆえに外局を設置することを承認しておる。それに対して何らの説明がされず、資料が出されずに、単に外局を内局にするというのは機構いじりじやありませんか。これを機構いじりと言わずに何をもつて機構いじりというのです。行政事務能率に対する何らの整理もせず、権限に対する何らの縮小もせず、名前をかえるだけであつたら完全にこれは機構いじりです。これをあなたは機構いじりだと思われませんか。そんなだらしのない話はありません。どうですか。
  61. 野田卯一

    野田国務大臣 これは機構いじりではありません。普通機構いじりというのは、しなくてもいいことをするのが機構いじりだと思います。私がさつき申しましたように、日本が未曽有の大変革を来して、この新しい事態に即応する行政機構をつくり上げるという目的からやつておる。決して単なる無目的機構いじりじやないのであります。前段説明を申しましたけれども外局委員会の数を合せますと五割の減になる、局と部の数を合せますと五割減になつておる。そういうふうにして決して単なる機構いじりではないのでありまして、なるべく新しい日本にふさわしい形を持つて行きたいというわけで、今回の外局部分もなるべく責任関係を明確する、われわれもよく勉強すればするほどわかるのでありますが、外局は非常に独立性を持つてしまう、戦前の外局と違つておるわけであります。そういう点で責任関係が不明確になる。一体外局と内局の関係につきましては、内局は大臣の直轄でありますが、外局になりますと、長官というものが第一の責任者であります。間接責任みたいになる傾向がある。人事については全然ノー・タッチである。いろいろな点において外局独立性を持つております。そういう形にしてやるのがいいか、食糧行政お話通り非常に重要性がある、他の部門と密接不可分な関係があるというのならば、大臣ががつちりと握つて全責任を持つてやるのがいい、これが今後の行政上もよいのではないかという点から来ておるのでありまして、決して私は食糧を軽んずるのではなく、むしろ食糧を重要視して、それをしつかりとやつて行きたい、しかも日本的な考え方においてしつかりやつて行きたい、こういう意味でやつておるのでありまして、その点誤解のないようにお願いしたいのであります。
  62. 井上良二

    井上(良)委員 何か内局にしておかないと、大臣の指揮監督といいますか、責任の所在がきわめて不明確なような御答弁をしておるようでございます。おそらく農林省設置法案を御存じでございましようが、外局なつたからというて、農林大臣の指揮命令ができないわけのものではありませんし、一々農林大臣の監督を受けることになつておるわけでありまして、内局にしておかなければ思うようにできぬというのじやないのです。ただ外局にするについては、それだけの特殊性があるというところから国会の承認を求めたのと違うのですか。農林省設置法の場合そうじやないのですか。そのときは外局にしておいて一向さしつかえない、今日では外局だとぐあいが悪いというのは、あなたりくつに合わないじやないですか。同じ内閣ですよ。もし内閣もかわつており、吉田内閣のときはこういうものがあつたけれども、あのやり方はどうもおもしろくないから、新しい内閣が別な立場から検討を加えて国会に承認を求めるというなら、これは話がわかるけれども、同じ内閣のもとじやないですか、だから私はつつ込んで聞いておるのです。そのときは外局を置く必要があつて置いたのです。特殊性を列記して外局に置かなければならぬとして国会の承認を求めておるのです。だからその間に非常に不合理、矛盾があるという具体的な事例がなければ、外局に置いて一向さしつかえないのじやないか。ところが現実に何らここに矛盾と不合理が起つておるとは私は思つていない。それをあなたの方では単に内局にしておかなければ大臣の責任の所在が明らかでないとか、あるいは指揮命令がうまく行かないとかいうような、一つ大臣独善というか、大臣独裁的な考え方なら別だけれども、そうでなければ、この方がさらに能率が上り、うまく行くという現実がある以上は、現実を否定することはできないのです。だから、私はあなたの今のような説明では外局を内局にする理由にならぬと思います。もつと具体的にひとつお調べを願いまして、外局に置いてはこういう弊害と、こういう矛盾が起つて、現に国費もこれだけ損をしておるし、行政事務能率の上にもこれだけの弊害が生じておるという具体的なことをやつぱり示してもらわぬと、これはいけません。その点は今御答弁ができなければ、ひとつお調べの上で御答弁を願いたい。  なお部制の廃止の問題ですが、部制の廃止という問題も一緒なんですね。しかも部制の廃止のことも、さきにも御説明がありました通り、たとえば次長制を設ける、あるいは何々監という新しい階級ですか、これは何ですか、何やらわけのわからぬようなものを設けるのですが、これと部長と違う点をさきにあなた説明をしておつたけれども、私は聞いておつて、まつたくこれこそ責任の所在の明らかでない連中やないかと思うのです。部長なら、自分の部下の全体の責任を総括的にこれに持たせますけれども、何々監なんていうて、あなたの御説明によると、たとえば統計調査監なら統計調査監で、統計調査の技術的な面を総括する責任者であろうが、それはその財政の面も、あるいはまた人事異動の面も、つまり人事権、予算権、そういうものまでこの人は持つておるのか、持つてないのか。そういうことがはなはだあいまいなんです。国民から見てそういうまことにあいまいしごくな新しい役人をここに置くくらいなら、何も国民が今までなれていて、都合のいい何々部長というのでいいのであつて、それをことさらやめて、次長制なり何々監制を設けるという意義はどうも私は薄弱じやないかと思うのです。そういうことをするから、機構いじりじやないかという非難が集まつて来はしませんか。たとえば大きな外局へ行きますと、たいがい次長というのがおりますが、この次長たるやまつたくどうもあまり存在ははつきりしておりません。そういう面で、部を廃するという意味がどうもよくわからないのです。そしてその部を廃して、すぐ課長から局長に直結するということならまだ意味がわかりますけれども、その間に次長を設けたり、何々監を置くというところに、何やらその間にそういうものの必要があるということを政府みずからやつぱり認めて、そういう制度を新しく考えられておるのであつて、それなら何も部制を廃止する必要はない。それよりもつと必要なことは、各課のいわゆる事務行政の統一といいますか、整理統一を行つて、課の廃合を行うことが必要でないか。たとえば総務課という課がありますが、この総務課に人事なり、会計なり、あるいはまたその他の雑務をこれに結びつけて一本の課とすることかでき得るにもかかわらず、人事課を置いて、会計課を置いて、またそこに用度課を置いてというようなわけで、三つも四つもわけておるのです。そういうものこそ総務課なら総務課にまとめてしまつて、そしてそこに各係長なら係長を置くとかいうような制度に改めてしまえば非常に整理がされるのに、そういうどころに一向手をつけずに、妙な方面にばかり行くから機構いじりだと言われるだろうと思うのです。だから、私は部制廃止という問題については、かえつてあなたのねらつておる行政事務を明るくし、能率を高めるというやり方ではないように考えますが、その点どうお考えですか。
  63. 野田卯一

    野田国務大臣 今お話を承つておりますと、井上委員は非常に行政機構の実際にお通じになつておるようです。確かに今課というものがたくさんできておりまして、それがここでいえば係程度のものがみな課になつておるわけであります。これは先ほどもちよつと申し上げましたが、課の粒を大きくしなければいかぬ。昔のことを言うのはあまり好みませんが、昔われわれが入つたときは一局二課というのが限度で、各省で共通にやつておつたが、最近は一局で十課もありまして、名前も覚えきれぬようなのがたくさんあります。これも私はあまりこまかくわけ過ぎておると思います。でありますから、もう少し大粒の課にする、場合によつて課長のやつているのを係長にやらせるということにして、もう少しそこをすんなりさせて行く必要があるのではないか。そうすれば、課が減つて行きますし、事務の能率も上つて行きます。これはこれから研究して行かなければならぬと考えております。部の点につきましては、現在の行政組織法におきましては、御承知のように、部の制度というものは認めておらないわけです。これは臨時的に五月三十一日まで認めておりますので、ほうつておきますと、五月三十一日をもつて当然なくなります。これは前からきまつていることです。ところが、なくなつたあと事務の移りかわりを円滑にするために、必要があるところには少数の次長をある程度認めて行こう。それからたとえば調査統計というような特殊な仕事を取扱うところがある。これにつきましては、局長にその仕事をやらせるとか、あるいは課長だけにやらせるということもなかなか無理なところがありますので、そういう特殊のところについては統計調査監というようなものをつくりまして、その調査統計の仕事に対してはその人が責任を持つて目を通して行く、もちろん局長も責任を負いますが、その人が特によく締めくくつて行くということにいたしまして、行政の全きを期したい。しかもすんなりとした形で能率を上げて行きたいという趣旨に出ているものでありまして、行政機構全体をもつとすんなりさせたいと思つておりますが、今度の行政機構改革だけでは、なかなかよくできたというところまで行きません。これは漸を追うてやはり能率を上げて行きたいということで、今後も絶えずお示しのような点については注意して行きたいと思つております。
  64. 井上良二

    井上(良)委員 この際特に農林政務次官に伺つておきます。御存じの通り、食糧庁は昨年度の予算では年間六千三、四百億円の予算をもつて三万余の現業員を擁したところの農林省では一番大きな機関でありますが、その業務内容も、さつき申し上げました通り、商取引をしている一つの企業性を持つている行政庁であります。従つて、これに一方から言うと、業務内容の方を検討すると、現業庁的な色彩が非常に強い。そういうところから、先般たしかあれは昭和二十三年か二十四年だと思いますが、同庁の職員は現業職員として罷業権を許されたこともあるのです。そういう外局としての活動を十分なし得る性格なり、機能というものがはつきりしているものを内局として、人事権を官房に移して、この特殊な現業的な実態を考えずに、給与体系においても、今後内局に移します場合は、一つのひびが入つて行こうと思うのであります。そういうことから、機構、業務運営に非常に大きな支障が将来予想されやせぬかと私は案じておるわけです。そういうことから考えて、次官といたしましては、一体これを内局に持ち込んで、はたして厖大な機構運営に全然支障は来さないという極端なことは申しませんが、従来通りあやまちない運営ができ得るという自信をお持ちでございますか、その点について明確にお答えを願いたいと思います。
  65. 野原正勝

    ○野原政府委員 食糧庁は今回の案で内局になるわけでありますが、これによつて全然支障はないかということですが、支障のないように努力いたさなければならぬと考えてはおります。すでに御承知のように、食糧問題は国民生活の安定のために最も重要な任務でございまして、特に全国にあります食糧事務所、その末端の職員等がもし中央の機構改革等によりまして、将来の地位の不安等を覚えるようなことに相なつてはならぬと思いますので、その点は内局になりましても、農林省としましては、その重要な責任はあくまでも完遂しなければならぬという決意を持つておる次第であります。
  66. 井上良二

    井上(良)委員 完遂せにやならぬ決意を持つておる、そういうことならだれでもそれは言うのです。それはあたりまえの政治的答弁で、そんなことを聞いておるのやありやへん。問題は、現実に外局にせにやならぬとして、あなたの政府の方では国会の承認を得ておるわけや。それをことさらに内局に切りかえようというところに非常に無理が現実に起つて来るのです。そうなつた場合、今まで通り運営が円滑に行くかということは、当面の責任者として当然あなたは考えなければならぬことです。そこで私はさらにもう一歩突き進んで聞くが、そういうことから考えて、麦の統制撤廃は実行されることになりましようが、そうなりますと、ひよつとしたら米の統制もはずそうという意図があつて計画された外局廃止の案ではないか。こういう一つ考え方も起つて参りますが、そういうことは考えられておりませんか。どうです。
  67. 野原正勝

    ○野原政府委員 今回の行政改革の案は、食糧の統制を撤廃する問題は別に考えたわけではないのであります。従来通り米につきましては統制を継続する方針でございます。また麦に対しましては、今日参議院の本会議を通過いたしまして成立をいたしましたので、これは統制は撤廃されますが、しかしその仕事内容におきまして、いわゆる食糧の管理方式はかわりましたけれども、食糧庁としての仕事という面になりますれば、依然として重大な仕事が残されております。その点におきましては、形はかわりましても、食糧庁のやります仕事の分量というふうなものに対しましては、さしたる影響と申しますか、それによりまして行政的に特に食糧庁の重要性が軽くなつたというふうなことはないのであります。従来通り最も重要な仕事としてやつて行く、こう考えております。
  68. 井上良二

    井上(良)委員 次に農地局関係で、午前中坂田君からきわめて熱心な御質問がございましたが、政府は本年度予算において約四百億の食糧増産に関係する経費を国会の承認を求めて実施にかかろうといたしております。そのやさきに農地局の機構を一部改めまして、従来ありました三部制を一次長制に改めるという行き方をとろうとしております。そうなりますと、この三部制によつてさえ今日事業分量が多く、実際その計画なり、その計画実施後の監督、管理というようなものはなかなかうまく行かぬで、たとえば具体的に一つ災害が起つてさえ現地の調査に満足な調査もできずに、非常に事務が停滞して、国民に非常な迷惑をかけておる実情を私どもは身をもつて経験をしておるわけです。農地局の機構は、食糧増産の国家的命題を果す上からも、ますます充実し、拡充して、国民の協力を求めなければならぬ態勢を必要とするときは、ここに三部制を廃止して、一次長制にすることになりますと、実際上どのような効果がこれによつて上るという事務的効果をねらつておりますか、これを具体的に説明を願いたいと思う。
  69. 野原正勝

    ○野原政府委員 農地局の問題につきましては、午前中坂田委員質問にお答えをした通りであります。今回の行政機構改革によりまして部制が廃止される、次長一名でどれだけ効果が上るのかということでございますが、結論的には政府の方針にのつとりまして、その案になつたわけであります。午前中も申し上げましたように、政府の最も重点を入れておる国策といたしまして、食糧の増産確保、そのための態勢を強化するための措置としまして、土地改良事業であるとか、開拓事業、干拓事業、その他あらゆる面で増産確保の施策をもつばら農地局において集中的に行うわけであります。今後も食糧増産の計画、少くも五箇年間に食糧の自給態勢を確立しようという方針をもつて進むならば、今後もますます農地局の責任は重大になつて参るわけであります。その仕事を完全に行い、政府の施策を末端まで徹底せしむるためには、むしろこの際はそれにふさわしいような態勢を整備する必要があると考えておつたのであります。審議の過程におきましては、農林省の主張もあらゆる角度からなされたわけでありますが、今回出ました案といたしましては、われわれの最初の考え方とは多少形のかわつた案が出ております。その点に対しましては、こうした考え方といささか違つた形ではございますが、責任上はいかなる機構になろうとも、われわれの食糧増産を実行するための農地局の事業といたしまして、あくまでもこれをやり通すという決意を持つて進めて行くわけであります。
  70. 八木一郎

    八木委員長 ちよつとこの際申し上げたいのですが、発言の通告者が大体七、八名お待ちになつております。この事情を御了承の上、御質疑を続行してもらいたいと思います。
  71. 井上良二

    井上(良)委員 できるだけ簡単にいたしたいのですが、重要な点だけについて明確に政府の方からも御答弁くださいますと、非常に能率的に審議ができますけれども……。そこで問題は実際野原さんなり野田長官なりに伺うのですが、農地局の業務量につきましては、坂田君からも御指摘がありましたように、外務省、通産省、運輸省、法務府、労働省、これらの各省よりもはるかに多い三百二十六億の予算を運営しているのです。現に十四課があるのです。十四課があるものを一局長で一体どううまく統御できます。そこであなたは次長を置くからいいじやないかと言うが、御承知通り国会は開かれ通しです。局長はほとんど国会へ呼び出されて来る。そこへ持つて来て、かりに次長が一人おつて、これがもし病気でもしてみなさい。一体どうなりますか。どだい始末がつかぬことになつてしまう。それを各部長が計画管理というふうに責任を持つてそれぞれ具体的に指揮命令をして責任の所在を明らかにしてやる。この制度をこわしてしまつたら、課長が書類を持つてあつちへうろうろ、こつちへうろうろ、判をもらうのに日が暮れてしまいます。事務は一層混乱し、停滞することになりはせぬか。十四人も課長がおるのですよ。一人の局長、一人の次長を探すのにうろうろしなければならぬということになつたら、一体どうするのです。これはあなたみたいな頭のいい人がやるのと違うじやありませんか。この点何としても直してもらわなければならない。この農地局の予算から事業分量を考えてみても、当然一省に匹敵する、それよりももつと多くのものを運営しているのだから、それこそ外局を置かなければならぬほどの事業量を持つているのです。それをさらに他の部制を廃するのだから、農地局もとつてしまえ、そういう右へならえ式の改革の行き方というものは間違つていますよ。そうあなたはお思いになりませんか、どうです。
  72. 野田卯一

    野田国務大臣 お金の振当てですが、これはなかなかむずかしい問題でありまして、計算のしようによつては、一局でもつと大きな仕事をしているところもありますし、よく大蔵省の話が出ますが、大蔵省は数千億の税金をとつている。しかしこれは一局だということを言うのです。これはものの考えようで、数字の点も河川局やいろいろお比べになつて、河川局と今の農地局の数字を比べますと、河川局の方が数字が大きくなりまして、いろいろとりようによつてかわつて来るのであります。私は実情々々に即してやる。そうしてまた今の十四課というのは多いのだ、私は大体個人的に一局に十四課あるというのはおかしいと思つております。これをもつと検討しなければならぬ。そうしてよくその辺のところを他の部局の状況と比較をして検討をしてみたいと思います。であるからそれは簡単に言えない。要するにこれから行政査察を拡充しまして、各省の仕事現状をよく見て、はたしてそれでいけないかどうかということを十分よく見て行く組織を整備して行きたい。それでわれわれとしては行政能率を上げて国政の全般のバランスをとりつつ進んで行くということを非常に要望し、またしなければならない。その点については十分注意して行きたいと思います。
  73. 井上良二

    井上(良)委員 もちろん河川局や国税局や、そういうものを例にあげれば、あなたの言うようなりくつになるかわからぬが、現実に必要があつて、かつ国会の承認を得てこの機構はでき上つておるわけです。それで三部制を廃して一次長にする。そのことによつて非常にそれが能率化され、運営がうまく行くという具体的な説明がされませんと、これではなかなか納得できません。というのは、もしそういうことをやられたら、現実に仕事ができなくなつてしまうのです。あなたは十四課も多過ぎる、こう言うかもしれないけれども、それは御承知通りあなたのところでやつている河川は代表河川である。全国に何本ある。農林省は北海道から九州まで受持つているのですよ。全国の田畑をやつているのだ。それはあなたの課と同じように行きはしません。そういう例を持つて来て、これをものにしようとしても、それはいかぬ。だから現実に早い話が開墾、干拓、土地改良、農業水利、灌漑、排水あるいは寒冷地帯、そこへ持つて来て今度は畑作、丘陵地帯、いろいろな仕事がぎようさんこれにみなかかつているわけだ。そういうことを一々計画を立てて、具体的な対策を立てて、これが運営、管理、実施についての必要な行政をやつて行こうと思うと、どうしてもこれだけいるということから来ているのです。それをそんなことをされたら、まるで盲からつえをとつてしまうようなやり方だ。そんな右へならえのような行き方では賛成できません。  その次に、これは他の委員からもいずれ質問があろうし、なおまた私林野行政についてもこれを外局にしておつたやつを内局にするという行き方には賛成できません。あなたが海のことは別だということと一緒で、山のことは別です。それだから林野行政の重要性を考えて、この方面にこそもつと国としては具体的な対策を立てなければならぬときに、逆行するような機構改革というものにはわれわれは賛成できない。  それから最後に、私、この林野行政については、いずれ他の同僚委員からも質問があろうと思いますから、時間の関係で省きますが、統計調査部の廃止の問題について伺つておきたい。一体大臣は統計調査の重要性というものをどうお考えになつておるか。われわれあらゆる行政政策の決定の基礎は統計調査に置かなければならぬと考えているのです。そういう意味から、農林省におきましても、統計調査局というものを最初は持つてやろうとして来た。ところがそれが後に統計調査部になり、今度また調査部がとられてしまう。調査機構を拡充しその活動を積極的に展開するという方向をとらずに、逆の方向をとりつつあるのですね。一体この統計調査の重要性ということについてほんとうに真剣にお考えになつておりますか。この点野田さん並びに野原さんからお伺いしたい。統計調査をどうお考えになつておりますか。
  74. 野田卯一

    野田国務大臣 科学技術の振興は、現内閣の重要な政策の一つでありまして、この件につきましては、今までも努力して来ておりますが、今後もさらに努力をして行きたいと考えております。それからそれと連絡のある調査、統計、こういう方面につきましても、政府は非常に力を入れております。それと今度の統計調査部という部制の廃止とは直接関係はないのでありまして、決して無視した意味ではない。今度統計調査監という特殊な地位を設けまして、これが統計調査に関して専念するということにしたい。そうして全きを期したい。私はやつた結果もつといい統計、もつといい調査ができるだろう、こういうように信じておるのであります。
  75. 井上良二

    井上(良)委員 一体統計調査部を廃止して統計調査監を置く。統計調査監というものは、さきにあなたが説明した通り、これは部の責任者ではないわけです。実質上の責任者じやない。単にその部局における特殊なものについての責任を負わすかしらぬけれども、人事、予算、その他一切の権限を持つた人じやないわけです。     〔委員長退席、青木(正)委員長代   理着席〕  そういうものを責任者として、はたしてうまく行きますか。しかも所管は農林経済局といいますか、その局長のもとに統轄されることになりましよう。そうなりますと、農林経済局の受持ちます行政内容というものは非常に広がつて参りますし、その比重は統計調査の面から行くと非常に軽くなつて参ります。現にあなたは、この点については、政府は積極的にやらなければならぬと言いながら、実際やることは逆の結果が来ておるじやありませんか。農林統計というものをわれわれ重要に考え、これこそ五年、十年と待たなければならぬ大事な仕事でありますから、いずれの内閣行政を担当しようとも、この統計調査だけは完備して行かなければならぬ。まして日本独立後において、いろいろ国際的な農業調査にも参加をせなければならぬような状態や、また農業観測等、今後むずかしい問題がたくさんございまして、この機構こそほんとうに拡充をせなければならぬときにあたつて、どうも自由党内閣は、口には科学技術の振興だとか、統計調査の充実だとかいつておるけれども、やつていることは人を減し、予算を減し、機構を縮小することだけじやないか。言うこととなすことと違うじやないか。あなたそう思いませんか。現実そうやつておるじやないか。
  76. 野田卯一

    野田国務大臣 自由党内閣は決して統計調査を軽視しておりません。非常に力を入れております。農林省では統計調査は前に農業改良局にあつたかと存じますが、それを今度農林経済局と名前を改めまして、その局に統計調査も入れまして、局長も一生懸命やり、同時に優秀卓抜なるところの統計調査監を配置して万全を期す、こういう体制で行かれることになつております。
  77. 野原正勝

    ○野原政府委員 統計調査の問題でありますが、現在統計調査につきましては特に非常に力を入れておるわけであります。今後もますます統計調査の整備をはかりまして、あらゆる日本再建、農村振興の基礎にする。農政の問題はことごとく、的確なる統計調査を基礎として今後堅実に発展させたい、かように考えておるのであります。従いまして、統計調査は大いに力を入れるわけでありまするが、ただいまの行政改革で、今までございました統計調査部がなくなつて、農林経済局の中に包含されるわけであります。かような点におきまして、一部におきましては、統計調査監が置かれるからよろしいという意見もありまするが、それに対しまして、御主張のような統計調査に対する心配をしている向きもあるやに聞いております。農林省としましては、以前統計調査部をむしろ局にしたいという強い意見もあつたのでありますが、今はすべて国家行政機構をできるだけ素化するという方針にのつとつて、新しく局をつくるというふうなことを主張することは、実は遠慮したわけであります。いろいろといきさつはありましたが、統計調査部の部制はこの際やめるということになりまして、その点におきましてはわれわれの主張が実現し得なかつたので、まことに力の足らない点を遺憾に考えております。しかしながら、形はどうなりましようとも、全国にまたがる二方の統計調査にあたつておる職員は、その責任において、ますます熱心に統計の完璧を期すべく努力を続けると私は確信をしております。
  78. 井上良二

    井上(良)委員 はなはだ抽象的な答弁ばかりでどうも要を得ません。従つてこれ以上質問してみたつて、その場のがれの答弁でございまして、われわれ納得するわけには参りません。  ただ最後に私申し上げておきたいのですが、野田さんにしても、野原さんにしても、統計調査の重要性を認めておると言いながら、事実はまつたく違う。また現に一生懸命やつていると言うけれども、一体今の郡単位のサンプル調査による収穫調査、その他の農作物調査について、あんなもので満足だと考えておるのですか。あれではつきりわかつているじやありませんか。少くとも町村単位まで調査員を配置して、いわゆる一筆調査まで農業の作物調査を下さなければ、ほんとうのいい調査はでき上らない。現にまた農業共済の被害調査においても、実際の損害評価を押える場合困つておるじやありませんか。現実にそういういろいろな統計調査の重要性の場面にあたつておりながら、逆に政府の方では人を減したり、予算を削つたり、機構を縮小することだけじやないか。人を減しておいて、予算を減しておいて、機構を縮小しておいて、それで統計調査は一生懸命やつております、こんなにやつておりますと言つたつて、そんなりくつはどこを通るか。三つの子供に言うたらいいかもしれませんが、そんなわけに行きませんぞ。同時に野田さんも、あなたは建設省や大蔵省のことは詳しいかもしれませんが、農林省のことはもつと検討を加えてもらわなければいけません。現実に仕事ができません。あなたの答弁をけさからずつと聞いておると、どうも行政機構改革という一つのわくをきめておいて、それが男であろうが、女であろうが、子供であろうが、おとなであろうが、この着物を着よといつて、無理に着れぬ着物を着せておるようなやり方を現実にしているのだ、そういう改革というものは、まつたくものを固定化させ、退化させて、ちつとも発展的に能率の上る行き方じやありませんよ。外局を廃止して内局にする、あるいは部制を廃止するということによつてこう能率が上るという説明は一つもされぬじやないか。内局を外局にしたときにはその必要をもつてつておきながら、外局を内局に直す場合において何ら納得する——事務能率を高め、国民をしてなるほどと思わず答弁がされない。そういう画一的な行政機構農林省行政に当てはめられたのでは、農政全体はうまく行きません。だから、私どもは遺憾ながらこの改革案に賛成するわけには参らぬ。もう少しあなたの方でお考えを直して、根本的に農林行政に対して親切な態度を私は切に希望しておきます。これ以上言うてみたつてこんにやく問答になりますからやめておきます。
  79. 青木正

    ○青木(正)委員長代理 河野謙三君。
  80. 河野謙三

    河野(謙)委員 時間もありませんので、私はきわめて率直に、端的に、しかも不遠慮に申し上げますから、言葉の行き過ぎ等があるかもしれませんので、あらかじめその点を御了承願います。  午前中から同僚の委員諸君の質問に対する野田大臣の答弁を聞いておりますと、私は何かよろしくということずけを受けたような気がする。よろしくじや腹はくちくならない。少くとも政治をやる以上は、国民の生活にプラスになるような、腹がくちくなるようなことをしなければならぬ。あなたの気持はよくわかります。わかりますけれども気持だけでは腹はくちくならない。でありますから、気持にプラスして、その気持の内容はどこにあるかということを私は御答弁願いたいと思う。  そこでまず第一に、行政機構改革して、これを能率化して経費節減をはかるということになれば、三千五百人の人を減らすというが、それは一体どこでどういうふうに減るのか、部長さんが減るだけでは三千五百人にならない。外局を内局にする、部を廃して課にする、こういうところに重点を置いて三千五百人というものの内容があると思うのですが、こまかく各省ごとに伺うのも時間がかかりますから、農林省の場合は三千五百人のうちにどこの局で何人どこの局で何人ということについて、事務当局でもけつこうですから、まずこれを御答弁願いたいと思います。
  81. 野田卯一

    野田国務大臣 三千五百人減るその内容は、あとで詳しく事務当局から申し上げますが、これは各省から減るのじやなしに、御承知の特別調達庁という役所があります。今までは進駐軍、今度は駐留軍になるわけでありますが、あれがいろいろな調達を行つおつたわけであります。その仕事がずつと減つて参りました。それに基きまして二千人足らず減るということに相なります。また経済調査庁という経済統制を主たる任務としておりました役所が今度やめになります。それによりまして約千人足らず減ることになります。その他石油統制の廃止によりまして六百人くらい減る。それから安定本部の廃止によりまして百何人か減ります。その他ふえるところもありまして差引三千五百人減る、こういうことになつておりますので、各省で減る部分はごく少数であります。
  82. 河野謙三

    河野(謙)委員 そうしますと、三千五百人の中に農林省の分はほとんど入つていない。従つてとりあえずの行政機構においては人員の減というものはない、こういうことになるのですか。そこでなお午前中の御答弁でつけ加えられまして、将来において思い切つた人員の整理をやる、こういうような意味の御答弁があつたやに伺うのでありますが、将来と申しましても、この行政機構改革を時間的に半年も一年も待つたのでは意味がありません。少くともこういう行政機構改革をやる以上は、かりに今国会に間に合わなければ来るべき夏の臨時国会においては、引続いてこの機構改革に基いて何人の人員整理をやるのだという一つの腹案がなければならぬ。またその腹案をお示し願わなければこの審議に私は非常に支障があると思う。これらについて伺いたいと思います。
  83. 野田卯一

    野田国務大臣 お答えいたします。人員整理機構改革の問題でありますが、この前橋本君が行政管理庁長官をやつておられたときに、人員整理機構改革はあわせて行う予定であつたところが、非常に仕事が多いので一その準備等の関係がありまして、まず人員整理を断行して約十万人の整理をやつたわけであります。それで機構は追つてやるといつて、そのときはやらなかつた。それを今度はやるということになるのでありまして、従つて、今回は先ほど申しましたように、役所仕事がなくなつてやめるというようなものにつきましては人が減るのでありますが、この前十万人の一応の整理を了しておりますので、今回の行政機構改革には人員整理はあまり出て来ない、こういうことになつております。なお将来の方針といたしまして、行政機構の内容をさらに検討するがためには、行政審議会というようなものを設けまして、あるいは別に法令整理本部というものを設けまして、政府が現在やつている仕事の内容で、それがほんとうに必要かどうか、多少省略し得るものがあるかどうかということをしさいに検討し、役所仕事執務方法、やり方、機構、いろいろな点を十分研究いたしまして、今後仕事が減る、また仕事能率を上げるということによつて当然これだけの人が浮くというのを確かめまして、それに従つて人員の減少なりまた機構の縮小なりをやる、こういうことに考えているわけであります。
  84. 河野謙三

    河野(謙)委員 そうしますと、今度の機構改革は、この前やりました人員整理の善後措置としての機構改革である。従つて今度の機構改革によつてこれに基く人員整理の問題は起つて来ない、こういうわけですか。
  85. 野田卯一

    野田国務大臣 今回の行政機構改革そのものからは起りませんわけです。しかしながら、将来人員整理をやる場合におきましては、今回の行政機構の簡素化あるいは整理ということが、その基礎として役に立つと考えております。
  86. 河野謙三

    河野(謙)委員 くどいようですが、そうすると、将来人員整理をやる場合には再び機構改革をやつて、それに並行して人員整理の問題が出て来る、こういうことですか。
  87. 野田卯一

    野田国務大臣 その場合には、機構改革も若干起るではないかと思います。そのほかに、執務方法の改善とか、あるいは今まであつた法律をやめるとか、あるいは、たとえば許可制度があればそれをやめるとか、届出制度をやめるとかいうことによつて当然人が浮くというようなことに対する人員整理もあると思います。
  88. 河野謙三

    河野(謙)委員 同僚委員からたびたび、今度の機構改革は単なる機構いじりである、内容がないという意見がありましたが、私も遺憾ながら機構いじりに終つていると言わざるを得ない。これによつて人員整理できないのだ、三千五百人の内容すらもこの機構改革にほとんど関係ないのだ。従つて経費節減もこれによつて生れて来ない、こういうのならば何のためにこの機構改革をやるか。そこらの印刷屋さんや判こやさんが繁昌するだけで、何の得るところもない。こういうように思うのです。意見になりますからあとはつけ加えませんが、この際もう一つ伺いたいのは、先ほど共管による事務の煩埴、これにより国民に与えるいろいろな悪影響、こういう問題について同僚の委員から指摘され、またこれについて同感の意を表されましたが、この共管の問題、たとえば先ほど出ました水道の問題、衛生の問題、その他国立公園の問題、またわれわれ農林関係で言えば肥料の共管の問題、こういうものの共管による事務の煩瑣、これにより国民の受ける迷惑、こういうことについて同感の意を表され、共管の問題についてはできるだけ早く整理したい、こういう気持をさつき御発表になりましたが、それはいつおやりになりますか。少くとも今国会は間に合わぬでしようが、来るべき臨時国会でこれを必ずやるという約束ができますか。
  89. 野田卯一

    野田国務大臣 共管の問題は役所、要するに一つ行政事務がある機関とある機関との間にまたがる、両方に関係があるというのが共管だと思います。多くの問題は役所役所の間でありますが、省と省との間が一番問題になるのであります。この問題につきましては、今後設けられます行政審議会におきまして取上げて検討するまつ先の問題として取扱いたい。もつともそればかりではありません。それと並行して政府側においても研究いたしますが、この結論を待つて実行いたしたい、こういう考えであります。
  90. 河野謙三

    河野(謙)委員 国民が真に希望している共管問題の整理、こういうものをむずかしいからということでだんだん延ばしておつて今度のように内容のない、単なる機構いじりだけをやることは——今度の行政機構改革は国民の期待に反すると思う。  さらに私はこの際伺いたいのですが、職階制の改正の問題なのです。先ほど坂田委員質問に対して、野田大臣も、かつて大蔵省の役人をしておられた時代のいろいろの経験によつて、少くとも一局二課制のような理想をかりにも持つておられるようです。そうだとすればこの職階制の問題が起つて来る。課の統合廃止をやらなければどうしても徹底した行政整理はできない、こういうことを言つておられるのですが、職階制の改正というものは一体いつできますか。また人事院の関係があるでしようが、今まで人事院とこの問題について折衝をされた経過がございましたらひとつ御説明いただきたいと思います。
  91. 野田卯一

    野田国務大臣 御承知のように、今まで人事院は内閣との関係におきましては独立のような関係になつてつたのでありますが、今回の行政機構改革におきまして、総理府の外局というわけで国家行政組織の中に包摂されることになつております。そうして各方面と連絡をとることになります。ここにおきまして、さつそく、行政機構の問題と職階制という問題は相関連させまして、緊密に連絡をとつて、将来適正な改正の方向に向いたい、こう考えております。
  92. 河野謙三

    河野(謙)委員 次に伺いたいのは、先ほど来伺つておりますところの外局は、何だか大臣の監督の外にあるような印象を受ける言辞さえも吐かれるのですが、結局問題は大部分は人事の問題だと思うのです。人事の問題といえども、かりに外局であつても、実情においては各省大臣外局長官から人事の問題の相談を受けていないわけもないし、ただいたずらに何万という職員の一々の任免についての判を押すという事務的な煩瑣を避けるというだけに終つておるのです。私は、実際において内局と別に大臣の監督が届かないとか、また大臣の監督の外にあるとかいうような運営は、農林省はもとよりどこの省においてもそういうことは行われていないと思いますが、これについて大臣は、やはり外局というものは字で書いた通り内局と全然別個に、大臣の監督の届かぬ範囲にあることが非常に多い、従つてここに非常に弊害が出ているというふうな御認識を持つておいでになりますか。
  93. 野田卯一

    野田国務大臣 人事の問題につきましては、お示しのように、法制上におきまして外局の人事は外局長官が自分だけでやることになつております。従つて本省との人事の関係は一応切れているわけであります。もちろん大臣が口を出されてああやれこうやれとおつしやれば、外局長官は事実上聞くことは多いと思います。しかしながら、一々大臣まで行かないでも、普通そういう事務は、やはり事務次官のところで処理さるべき問題だろうと思います。外局というものと事務次官というものは非常にデリケートになつておりまして、むしろ外局長官は事務次官の下につかないということをもつて原則にしております。これをもつて、事務の円滑なる運営、協力という点におきまして、やはり外局でやつている仕事が内局でやつている仕事と非常に緊密な連絡をとらなければならぬというものにつきましては、これを内局にした方がより能率を上げ、より明確に執行できるのじやないか、こういう考え方をしているわけであります。
  94. 河野謙三

    河野(謙)委員 私は具体的に伺いますが、今外局なるがゆえにどういう弊害が起つておりますか、私はそれを伺いたいのです、内局と外局の間はなるほど組織の上においては違います。違いますけれども、現実においては内局と外局とは同じような運営をされている。大臣とのつながりも私の知つている範囲では何らそこに区別がない。特別会計を持つておりましても違わぬと思います。しかし、これは実際に違つておる、実際にはこういう弊害があつたから内局にするのだという一具体的な事例をつかんだ上のことでなければこういう案は出て来ないと思うのですが、私は寡聞にして、外局なるがゆえに内局と違つて、非常に大臣との直結が悪い、従つていろいろな弊害が起つているということを聞いていないのです。むしろ外局なるがゆえに非常に長所を発揮しておる。大臣の決裁でも、いたずらに事務的なものを避けて能率的にやつておる、こういうふうに私は承知しておるのです。大臣はそれと逆な弊害の面を指摘されておるようですが、たくさんはいりませんから、具体的に、たとえばどの省の外局のどこでどういう問題があつたということをひとつ教えてもらいたい。
  95. 野田卯一

    野田国務大臣 あまり個々の問題については、私はむしろ触れない方がよろしいと思います。私は外局の人事と内局の人事との間に差があるということは事実だと思います。役所によつていろいろ違うでしよう。制度におきまして、いろいろな関係におきまして、あるいはごく最近わかれたような役所とか、またずつと古い役所ということによつていろいろ違うと思いますが、やはり制度として新しい制度をつくりあげます以上は、制度の本来の趣旨に従つて円滑にものが運ぶというふうにした方が行政組織としてはよろしいのではないか、こういうふうに考えておるわけであります。
  96. 河野謙三

    河野(謙)委員 一つの例を農林省の食糧庁にとりましても、食糧庁を食糧局にしたからといつて、急に大臣の意思がよく徹底してこれが能率的に行くというように考えるどころか、逆にこういうことによつて——今度の機構改革して、部制を廃止いたすことによりまして、ますます弊害が起つて来ると思うのであります。過去において農林省にその例があるのであります。大臣も御承知のように、農林省の中で林野庁にからす木炭事件というものがあつたが、これは結局組織の欠陥です。あまり組織を簡素化して、組織と比例しないところの事業を特別会計で林野庁でやらしたために、五十億も六十億もの不正事件が起つた。一年に五千八百億からの事業をしている食糧庁は、本庁の職員が六百人でありますから、一人の事業分量は十億であります。これだけ厖大な事業をしている食糧庁にあつて、形式にとらわれて機構改革をやることによつて、かつての林野庁と同じような弊害が出ないという断言は断じてできないと思うのであります。むしろこの意味においては行政整理は私は賛成であります。役人は多過ぎると思います。首を切らなければならぬと思います。しかしながら、首を切る場所と時というものがおのずからあります。しかるに、特別会計で五千八百億からの国の予算にもひとしいような大きな事業をしており、一人の事業分量が十億からの事業分量を持つている食糧庁に対して、かりそめにも今この時期においてこういうふうな機構いじりをするということについては、そこに非常に大きな弊害が——かつての木炭事件のようなことが起らないとは断言できないと思うのであります。私は米価審議会の委員をしておりますが、その委員をしておつて一番不愉快に思うことは、中間経費がさつぱり出ないことであります。長官に聞いてもわからない。一年や二年長官があそこに腰をおちつけても、仕事が大き過ぎてわからないのであります。それほどあそこは非常に複雑怪奇なところであります。そういうところで、今の三部制でさえも困り抜いているところを、部長制を廃して上の方だけ簡素化するというようなことはまつたく間違いであります。私は何も農林省のひいきばかりするのではありません。私が農林省で一番心配しているのは食糧庁であります。大臣もその点については御同感だと思う。食糧庁については非常に心配の点があります。現に食糧庁長官が何度かわつても——一般には長官がかわれば長官なり、局長がかわれば局長なり、長官局長の性格というものはおのずからその監督の仕事に現われて来るのでありますが、食糧庁長官が何度かわつても食糧庁の性格というものはかわりません。微動だもしません。下の方にしつかり根つこを張つており、上の方は届かない。そういう意味において、今度の食糧庁の例だけをとりましても、あまりにもこれは食糧庁の現状の認識を欠いている。そういうところからこういう問題が出て来るのだと思いますが、食糧庁については、いかなる認識をもつて今度の機構改革に臨まれておるか、これをこの際伺いたいと思うのであります。
  97. 野田卯一

    野田国務大臣 私は、食糧庁の人にそういう不正があるとは思いません。それから食糧庁は今外局である。そういう外局であるものを内局にするということにつきましては、いろいろ見方もあるだろうと思いますが、しかし、その人々と本省の人とが一緒になつて仕事をするということになりまして、別に弊害は生じない、むしろ清新の気が注入されるのではないかと思います。人の点などにつきましては、食糧庁の長官は農林大臣が任命されるのでありますが、そういう点について今まで十分注意されて来ておるだろうと思います。私は、そういう点についてここで批評がましいことを言うことを避けたいと思いますが、私は制度本来の、今日の国家行政組織法の建前から申しまして、やはり責任関係を明確にし、能率を上げ、他の農林省のプロパーの内部部局と緊密なる連絡をとつて、事務的にも十分に連絡をとつて、あるいは交流をして、適正な運営を期するという意味から内局にすべきである、こういう考えを持つておるのであります。
  98. 河野謙三

    河野(謙)委員 同じことを繰返しておるだけでどうもはつきりしないのですが、そうすると内局にいたしまして、今度人事権が当然、若い男まで大臣の直接の監督に入りますが、その場合、たとえば農林大臣の場合、農林大臣がそれを実際にやれるとお思いになりますか。私はかりに長官がそういう理想を持つて外局を内局にされても、それじやそういうふうに内局になつたからといつて、食糧庁なり、林野庁なり、こういうものを、その制度のきまつたそのままに、大臣が実際にやれると思いますか。ほとんどこれは形だけはそうなりますけれども、内容は従来と同様に委任事項になりますか。何も私はかわつて来ないと思う。こういうふうに私は思いますが、大臣は、どこまでもこの外局を内局にすることによつて、他の局と同じように大臣がやつて行ける、こういうふうに事実問題としてお思いになるか。これを伺いたい。
  99. 野田卯一

    野田国務大臣 私は内局になつた場合には、重要人事はもちろん大臣がやられるだろうと思います。それからそれ以下の人事につきましては次官がよく見るだろうと思います。それから以下の人事になりますと、局長が主としてこれに当る。各省ではそうやつておりますから、おそらく農林省でもそうなさるのではないかと思います。
  100. 河野謙三

    河野(謙)委員 この話は繰返しても仕方ありませんが、最後にもう一ぺん申し上げますが、外局であろうと内局であろうと、実情においては外局も内局と同様に事務次官につなぎ、省議にも同様に出て、そうして何ら局長長官の間に差異なく運営されておるというのが実情ですよ。組織と運営の実情は違うと言いまするが、実情は組織がどうであろうと同じに運営されておる。こういうことが実情であるので、どうも何も外局なるがゆえに、私は弊害は少しも起つていないとこう思うのですが、それでもあえておやりになるということにつきましては、私はその理由がわかりませんけれども、これ以上同じことを繰返しても同僚諸君に迷惑をかけますから、私はやめます。  もう一つ伺いたいのは、先ほど大臣は昔の一局二課制、こういうことを言われましたが、その当時の一局二課制の場合の課の人員というものは一体どのぐらいであつたでしよう。
  101. 野田卯一

    野田国務大臣 私は一局二課制のときの課の数はよく存じませんが、私が課長をやつておつたときは、もちろん一局二課制ではありませんが、そのとき一番課員の多かつたときは百五十人でありました。
  102. 河野謙三

    河野(謙)委員 そうしますと、大臣としてこの仕事を担当されている以上は、将来について一つの構想を持つておられますか。将来の構想として一局二課制か何か知りませんが、かりに一局二課というものを理想に持つておられる以上、やはり昔と同様にその二課制の場合の一つの課は百五十人というようなことを、一つの単位として考えてもさしつかえないようにお考えになつておりますか。
  103. 野田卯一

    野田国務大臣 それとは全然違う問題でありまして、私が一局二課制のときにどのぐらいあつたかということを、私は記憶いたしません。そこで私は自分が課長をやつておつた場合、そのときに一局二課より少し多かつたと思いますが、そのときは自分の課で百二十人であつた。将来どういうふうに行くかということにつきましては、これは行政審議会でも十分御審議願い、また法令簡素化本部で審議願い、また政府といたしましても研究して、一局は何人だというようなことを、しやくし定規的にきめるということは、はたして適当かどうかということを、十分検討しなければならぬ、こういうふうに考えております。
  104. 河野謙三

    河野(謙)委員 もちろん画一的にこれはきまるものではありませんが、しかし一応やはり課長ともなれば人事に対する監督権というものを厳重に持たなければなりませんが、その場合に私は届く範囲というものは、昔はどうであろうと、このやかましい時代においては百五十人はおろか、百人でも私はとてもいかぬと思うのですが、およそこの限度というものは、今の二十人、三十人、四十人の程度は別といたしましても、少くとも五十人以上の職員を自分の部下にかかえた課長というものは、なかなかやつて行けないと思いますが、この点は話がこまかくなりますけれども、一体どういう認識を持つておられますか。
  105. 野田卯一

    野田国務大臣 これは仕事の性質にもよるわけでありまして、たとえば非常に事務的な手先の仕事というものが多いところになりますと、相当人数が多くなつておる。非常に頭を使わなければならぬむずかしい仕事をしておる場合には、部下の数が少くてもやはり課長の負担は重い。こういうわけで、仕事の性質によつて私はいろいろかわつて来ると思います。
  106. 河野謙三

    河野(謙)委員 仕事の性質によつてもちろん人員は違いますが、しかし私は事業分量と人員というものは、正確な正比例はしないまでも、一つの比例はなくてはならぬと思うのですが、これはまつたく無関係とお思いになりますか。それともやはり一つの比例は持つべきであると思いますか。
  107. 野田卯一

    野田国務大臣 それは非常にいい御質問でありまして、そういうことをぜひとも研究しなければならぬと考えているわけです。今までの日本行政制度は、そういうことの研究が足りません。だからこれから行政審議会においても、あるいは行政管理庁におきましても、そういうことをできるだけ科学的に十分検討して、適正な組織を持つて行かなければならぬ、ぜひそうしなければならぬと私はかたく思つております。
  108. 河野謙三

    河野(謙)委員 どうも妙なところでほめられたのですが、私は具体的に同一の性質の仕事であつた場合には、事業分量によつて人員は正比例する。これは私は間違いないと思う。しからば建設省の現在の仕事と、農林省の農地局の仕事は、むしろ農地局の仕事の方が幅が広い。しかし大体同じ性質のものだ。ただこちらの方が、先ほど川の話がありましたが、事業分量よりもむしろ仕事の内容が複雑性を持つていると私は言えると思う。かりにそうでなくても、大体これは事業の性質は同じであります。そうであれば建設省と農地局の仕事の分量と人員というものは、大体正比例して間違いないのではないかと思いますが、これさえも事業の内容が違う、こういうふうにおつしやいますか。
  109. 野田卯一

    野田国務大臣 これは非常にむずかしいまた興味のある問題でありまして、これは私予算の査定ということを長くやつて来たのでありますが、予算の査定のときには、必ず単価を出して来る。どういう件数が何件あるからこれを一日に、あるいは一時間に何件さばく、ところが一日に何件さばくには何人いるということを積算して出して来るわけでありますが、これは役所によつてまちまちであります。なかなかうまくできておりません。それは係の人が一応その場で予算のいろいろな請求をするときに、よくあなたも御承知だと思いますが、みな集つてこのぐらいにしようじやないかと目分量でやる場合が多いものですから、いろいろ単価が違つたりして来るわけです。これをもつて主計局へ来るわけでありまして、それを並べてみますと、実に各省まちまちということになるので、なおもつとよく検討して、そうして適正なところをおろして行くというのが、これは主計局の役目であると考えるのでありますが、私の今まで考えておるようには、なかなか主計局も行つておりません。従いまして、役所の事務の繁閑の状況とか、また能率の上げ方を見ますと、各省それぞれまちまちになつております。これは私はただ抽象的に申すばかりでなしに、行政制度のいろいろな査察制度がありますが、査察の結果の報告がたくさん来ております。それによりましても各省ずいぶん能率の差があり、仕事の繁閑があるということも認めざるを得ない事実であります。こういう点につきましては、今後十分検討を遂げまして、能率をできるだけ上げると同時に、各省に行つて仕事の繁閑がないようにあんばいしなければならぬということを、経理の点におきましても、また行政機構の点におきましても、十分配慮して行かなければならぬと思うのでありまして、今後河野さんあたりも十分なる御協力を願いたいと思います。
  110. 河野謙三

    河野(謙)委員 私は建設省仕事の性質と農地局の仕事の性質はまつたく同一とは言いませんけれども、やつておることが大体同じものではないか、従つてこの二つの間においての事業分量と人員とは、やや正比例してしかるべきものではないか、こういうふうに思つておりますが、私は建設省仕事についてとやかく言うのではないのです。建設省が人が多いとか、局が多いとか、部が多過ぎるとかそんなことを言うのではない。ただそれとこれを比較した場合に、これは同じまな板の上に載せて比較検討されてさしつかえないものじやないか、こういうようなことを考えているのですが、たまたま長官建設省大臣もしておられますが、建設省仕事について詳しいのでありますから、建設省仕事と農地局の仕事は私は同じだと思いますけれども、本質的にどこが違う、従つて本質的に違うから人員の比例もああいうような非常な大きな開きがあると、こういうふうにおつしやるのか、それともどういう他の事情で、建設省と農地局の仕事と、人員の差、もしくは組織の差、こういうものが出ているのか、これをひとつ伺いたいと思います。
  111. 野田卯一

    野田国務大臣 私は大きく見れば両方とも公共事業であり、あるいは水に関係した仕事であるという点においては一致していると思います。しかし農林省のやつておられる耕地の仕事と、河川局の仕事とには、ものによつて相当にいろいろの開きがあるだろうと思います。これは一々の問題についてよく検討いたしませんと、私は責任ある答弁はしかねるわけでございます。仕事の性質が相当似ているものがあるということは事実であります。しかしそれにいたしましても、仕事というものは役所だけでするものではないのでございまして、御承知のように民間の人も仕事をされる。それに対してどれだけ役所がタッチするか、あるいは仕事をする場合には直轄で仕事をする場合もあれば、請負いでする場合もある。たとえば人員にしましても、それを直轄でやる場合と、請負いでやる場合と人員がずいぶん違う。だから役所だけでなしに、それはどういう仕事をするかによつてきまる問題であります。あるいはその下に区を使われる場合、あるいは市町村を使う場合と、いろいろこういう点において違つて来る、こういう点を深く検討いたしませんと、的確なる仕事はできないのではないか、こういう意見を私は持つておるのであります。
  112. 河野謙三

    河野(謙)委員 建設省と農地局の仕事は大体において似通つたものである、こういうことは今大臣もおつしやつたのですが、しからばその似通つた仕事において、建設省に比較して現在の農地局のあの陣容では、私はできないとは申しませんけれども、相当あれは煩瑣の仕事に追われているのではないか。こういうふうにはお考えになりませんか。
  113. 野田卯一

    野田国務大臣 私はその仕事の内容を一人々々がどういう能率を上げておられるかということは、実際に当つて自分で見ないと何とも申し上げかねるわけであります。私はある程度仕事にはなれておりますから、農林省へ行つていろいろな具体的な仕事について見れば言えると思いますが、まだそこまで当つてみませんので、その点の批評は差控えます。
  114. 河野謙三

    河野(謙)委員 あなたが一々当つているひまはないでしようが、少くともあなたは、こういう機構改革の案を出される以上は、部下から、農林省を初め各省の仕事の実態をつかんで、これでよいということになつて出されたと思うのです。部下からの報告はどうでございましようか。
  115. 野田卯一

    野田国務大臣 部下からの報告は、あるところにおいては農林省仕事がどんどん進んで、建設省仕事がはかどらなくて、せかせかしているというような批評もときどき聞いております。
  116. 河野謙三

    河野(謙)委員 私はこの際水産庁のことを伺つておきたいのですが、先ほど水産庁は同じ農林省関係においても、林野なりもしくは食糧関係と全然性質を異にしているから、従つてこれは農林省の他の部局とは別に扱う、性質上別に扱うのだ、そういう意味合いで水産庁は外局として残す、こういう御説明でしたが、これは何か将来に含みがあるように思いますが、これは将来水産庁を政府としては独立した機関に持つて行く、こういうふうなお考えですか、それともまたこの水産庁を農林省とくつつけておくのはふさわしくないからほかの省にくつつける、こういうふうな含みがあるのですか、これをひとつ伺いたい。
  117. 野田卯一

    野田国務大臣 将来のことは行政審議会その他のいろいろの機関がありますので、そこで御審議願つて決定して行きたい、こういうふうに考えております。
  118. 河野謙三

    河野(謙)委員 どうも一緒に片づけなければならぬ問題を将来の問題として切り離されるので非常に困るのです。私は意見をつけ加えますが、水産庁はなるほど林野と食糧の関係ほど近くはないけれども、さればといつて水産庁が農林漁村の関係において、これがまつたく他の省のどこにも持つて行くべき性質のものではない。またこれを一部の人が言うように、水産庁として独立すべきものでないことも当然だと思います。そうすると結局今の形のままで農林大臣の監督のもとに置く、こういうことに私は将来ともかわりはないと思う。そうだとすれば、私は水産庁を内局にしろという主張ではございませんけれども、水産庁を外局にしておいて、林野庁なり食糧庁を内局にしなければならぬという理由は、性質が違うからとおつしやいましたけれども、それほど性質が違うならば、これは一省に独立すべきであり、また他の省にこれとくつつくものがあればくつつけるということであれば、これは暫定処置として水産庁として切り離して考えることも納得しますけれども、そういうことも何ら具体的になくて、そうしてただ千何百人かの人員を擁する水産庁が、事業分量と人員とは、比例しないとこう言われますけれども、いずれにしましても千四百人という人員を擁する水産庁を外局にしておいて、ほかの外局を内局にするというについては、何らか私は他に深い意味があるのではないかと思いますが、これをはなはだ失礼ですけれども、深い意味があるなら率直にひとつ言つてもらいたい。
  119. 野田卯一

    野田国務大臣 水産庁につきましては、先ほどから申し上げましたように、外局はこれをやめまして、原則として内局にするという方針に対する例外であるということは申し上げた通りであります。どういうわけでそういう例外ができたかということについては、先ほど来繰返して申し上げました通りに、農林というものは密接不可分のものであるということを、私は耳の痛くなるほど聞かされている。その際にやはり水産の話が出て来た、水産とは関係が薄い。農林は非常に濃いということを私はいやになるほど聞いた。それを言つた1人はでたらめだとおつしやるならそれまででありますけれども、やはり相当の方がおつしやつたなら信頼すべきだと思います。議会の運営におきましても、水産委員会という特別な委員会をつくつておられる。どうしてああいう例外をつくつたか、ほかのものにはそういう例はないのであります。あれは例外です。どういうわけで例外があるかと言えば、おそらく水産というものの性質から来ているのではないかと思います。先ほども申しましたように、参議院では全会一致で水産省をつくろうという決議みたようなことをしておるわけです。こういう点は、それもまたそんなばかな意見と言えば言えるでありましようけれども、そうも簡単に私は言えぬのじやないかと思います。  こういうわけで諸般の事情を勘案し、また漁業の実態を見ますると、何と言いましても、水産のおもなものは港をつくることと船をつくることにある、こういう事柄を見ましても、海に関係が深い、私はそれ以上申しませんが、いろいろな点を勘案しますと、これだけは例外の外局にしてくれという農林省もそういう気分でありましたが、私はそういう取扱いをするということについて、あながち根拠のないものではない、こういうふうに考えている点を十分御了承願いたいと思います。
  120. 河野謙三

    河野(謙)委員 水産庁の問題は私はこのくらいにします。ただ参議院でいろいろの意見もあつたようですが、ごく最近水産委員の方からは、農林委員会と水産委員会が別であつては何かと不都合であるから農林委員会とぜひ一緒になりたい、こういう意見も議会内でしかも水産委員の方から出ておる、こういう事実もあるということをよく御記憶願つて、今後とくと御研究願いたいと思う。  それから最後に私は技術関係のことについて伺いますが、先ほど来技術を尊重しなければならぬ、科学の尊重をやらなければならぬ、こういうお話がありましたが、これは少しく私の意見もつけ加えさしてもらいたいと思うのですが、戦争中から戦後にかけての農林行政の一番の邪道は、分配の行政に重点があつて、指導、研究、改良という農林行政の本来の姿がどこかへ行つてしまつたのです。そこに大きな欠陥があるのです。これはもし天下国家を論じさせるならば、この間の戦争で負けたのは、要するに日本人は勤勉努力であつた、しかし勤勉努力の上に賢明の二字がなかつた。愚なる努力を重ねたために、竹やりだつたから負けたんだ。日本人の勤勉努力というものは今後も続くのだ。しかしこの上に賢明の二字がほしい。たとえば農業関係でいえば、農政の本来の姿というものは指導、研究、改良、この面にほとんど全精力のうちの八、九十パーセントが注がれてしかるべきものだ。そうでないならば、いたずらに愚なる努力を続ける、いたずらにすき、くわを振う、こういうことになつて、いかに食糧増産だ何だということで役人が旗を立てましても、愚なる指導をしたのでは何にもならぬ。そういう意味からいたしまして、今回の行政機構改革におきまして、こういう点に少しも意を用いておられない。たとえば先ほどからお話の改良局の仕事にいたしましても、また統計調査部の仕事にいたしましても、農政局の仕事にいたしましても、少しもそこに意を用いていない。特に改良局のごときは、昔は少くとも大臣の諮問機関と言われるような技術官がおつて、農林大臣の最高峰にこれらの人がすわつていて、技術の研究、指導、改良をやつた。しかるに改良局の中の、内容において最も重きをなしておるところの権威ある技術官である部長、これを廃止して一体何の改良局があるか、何の内容があるか。先ほど職階制の改正の話がありましたが、職階制の改正の問題はあとまわしにしましてこういうことをやつておいて、いかに私は与党でありましても、大臣がいかに言われましても、技術を尊重しているというのは口だけであつて、少しもそこに腹がすわつていない、こう言わざるを得ない。統計調査部にしてもそうであります。現状において、今農林委員会で何が問題になつているか。二箇月間問題になつている農業共済の問題であります。農業共済には政府が百数十億の金を出しておる。しかもそれがどういうふうに使われておるか。極端にいえばきわめてでたらめに使われておる。そのでたらめに使われておる根拠というものは、農業関係の調査統計について、統計調査部というものにもう少し権威を持たせ、これに重点的に農業共済の問題もくつつけなければならぬ、こういう際なんです。これは一番の問題なんです。しかるに一方においては農林省の統計調査の重要性が叫ばれ、またこれを現実に切実にわれわれが感じておるときに、これを農林経済局の中に入れて、農林経済局長の監督のもとに監というような名前にしておいてこれをやる。私はとんでもないことだと思う。少くとも検査とか統計とかいうものは、まつたく大臣以外のだれの支配も受けないところの完全なる独立性を持たせなければ、ほんとうの調査、研究、改良なんというものはできるものではないですよ。しかるに今までの統計調査部でさえも完全な独立性についてどうかと思つておるのに、これを農林経済局の中に入れて独立性をさらに疑われるような組織の中に入れるということは、私はどうかと思う。  少し脱線しますが、検査の問題でもそうであります。食糧庁の中に検査課を置く、米は食糧庁以外買つてはいけない、その食糧庁の中に検査官を置いて、自分が買うものを自分が値をきめる、そして人に売つてはいけない、そこに必ず弊害が起ります。  専売公社の問題でもそうであります。タバコは専売公社以外に売つてはいけない。どこにも売つてはいけない。そのどこにも売つてはいけないタバコを、専売公社の職員が鑑定官の名において値段をきめる。私の地元におきましては、鑑定人に自分の娘を提供してタバコを一級上げてもらつたというデマか何だかある。検査は尊厳でなければならない。統計も同様であります。しかも農林省の統計というものは単に農林省の統計ではない。末端の町村長も、自治体行政において農林省の統計調査の数字はきわめて権威あるものとして、村長や町長がこれを非常に参考にして、自分の村の行政に資しているわけです。こういう際に、今までの統計調査の独立性というものをさらに後退さしてこういう他の局に入れるということをどうしてお考えになつたのか。これはいかにあなたが尊重しておると言われましても、尊重している形が現われていないのです。この点について、少し技術関係、統計関係、検査関係についての御認識を伺いたいと思います。
  121. 野田卯一

    野田国務大臣 技術官の尊重の問題は私は同感でありまして、とにかくいろいろなポストはありますが、私は技術官でも局長にも事務次官にもなれるというようなことも考えなければいかぬのじやないかと思つております。  それから今お話があつた統計調査の問題でありますが、統計調査をうんと活用しようという意味から、今度御承知のように農政局を農林経済局という名前にかえました。これはかなり積極的な意味を持つております。さらにそれに包摂して、統計調査をしつかりしたものにしよう、こういう熱意を農林省として現わしておられる、私はそう思つております。  それからなお農林省における調査統計の監の問題でありますけれども、これは監にしたから軽んじたということではない。かえつて統計調査のしつかりしたものをつくる、こういう熱意でできておる。これはただ農林省ばかりの問題ではありません。他の省も共通の問題でありますが、そのへんを十分御了承願いたいと思います。
  122. 河野謙三

    河野(謙)委員 私は監の問題であるとかダラ幹の問題などを言つているのではない。要するに検査、統計、調査というものは完全なる独立性を持たせて権威あるものにしなければいけない。権威を侵すような組織はいかぬ。こういうことを主張しておる。現に今度の農林経済局、これに入れることについて、統計調査の数字をこれから一番使おうとする共済の保険の方もこの局長の下にあるのです。同じ局長のもとに、片方では数字を出す、片方ではそれを利用する。一体どうなりますか。今の食糧庁の検査と同じです。少し食糧庁の特別会計が赤字になりかかると、食糧庁長官が自分で命令して、検査官にことしは少し特別会計が苦しくなりそうだから検査を厳重にしろと言うと、すぐ三等米が四等米になる。これと同じ類のことが統計調査に行われる危険がないということを断言できますか。少くともこれは局とか部とかいう問題ではない。私は極端にいえば課でもいいと思う。これは全然大臣の直属で、だれの支配も受けないという尊厳を保てるだけの組織がほしいと思う。それをこういうことにするのは私はきわめて邪道だと思う。同時に統計調査の現状というものについて認識がないと思う。保険の問題だけでも、私は先ほど申し上げたように少しく現状を勉強してもらいたいと思う。そうでありませんと、これはとんだことになりますよ。この数字につきましては、どこまでも今後の農林行政の基本になる、こういうようなことから、私は特にこの問題を部とか課とかいうのではない。部とか課とか局にするということではない。繰返して申し上げます。独立性を持たせる。私は役人のまわしものでも何でもない。独立性を持たせる。いかにして独立性を持たせるか。独立性の問題になりますと、少くとも現在よりも今度の農林経済局に行つた方が独立性について疑わしくなつておると思う。そういう点はどうか。この点を伺つておきたい。
  123. 野田卯一

    野田国務大臣 統計調査の独立性の問題でありますが、これは日本の一般の統計全体について厳重にやらなければならぬと思つております。統計の問題は今後行政管理庁にも参りますが、統計の問題についての信憑性確保という点から行きまして、あくまで中立性のものでなければならぬ、こういうふうに考えております。そういう点につきましては、農林当局も十二分にその点は考えておられるというふうに存じます。
  124. 河野謙三

    河野(謙)委員 まだいろいろお尋ねしたいこともありますが、後ほど同僚委員から林野庁の問題等についてもいろいろ質問があるはずでありますから、私は一応以上をもちまして質問を終りますが、ただ私は遺憾ながら今度の機構改革は、先ほどから各委員が言われるように単なる機構いじりに終つて、何ら実質を伴つていないということをはつきり本日の質問において認識いたしましたことをこの際申し上げまして、私の質問を終ります。
  125. 青木正

    ○青木(正)委員長代理 次に竹山祐太郎君。
  126. 竹山祐太郎

    ○竹山委員 きようは非常に痛快な与党の背骨の通つた方々の質問があつて、野党の私の言うことがほとんどなくなつてしまいましたが、きわめて簡単に私は野田建設大臣及び通産、農林両当局に伺いたい。  前に御説明はあつたと思いますが、今の河野さんの質問を通じて伺つてつても、今度の行政機構改革というものが、日本独立後におけるどういう点をねらつてやられたかという点をまず簡単に伺いたい。
  127. 野田卯一

    野田国務大臣 日本行政機構独立後の日本の実態にふさわしいようにできるだけ簡素にし、かつ筋の通つたものにいたしたい、かような考えでやつておるわけであります。
  128. 竹山祐太郎

    ○竹山委員 次に今議論になつておりますが、一体いわゆる外局と称するものを各省で幾つ今度なくするのですか、各省別に……。
  129. 野田卯一

    野田国務大臣 外局の中には二つの種類がありますが、委員会の方は二十三が十四、庁というのは二十三が十一になります。
  130. 竹山祐太郎

    ○竹山委員 それを各省別に、委員会の方はいいですから、外局の方をひとつ……。
  131. 大野木克彦

    ○大野木政府委員 各省別に申し上げます。総理府で六つありましたものが七つ、それから法務府では一つだけふえます。外務省では一つありましたのがなくなります。大蔵省では三つありましたのが、なくなります。厚生省では一つありましたのが、なくなります。農林省では三つありましたのが一つに、通産省では四つありましたのが一つに、運輸省では三つありましたのが一つに、合計二十三ありましたのが十一になります。
  132. 竹山祐太郎

    ○竹山委員 このなくするのを見ますと、全部なくなつたのでもない。そうすると、どういう点に重点を置かれて残し、またはなくされたか、その方針をひとつお伺いいたします。
  133. 野田卯一

    野田国務大臣 庁であるところの外局のうち、主として審判的性質を持つているのを存続させたわけであります。     〔青木(正)委員長代理退席、委員   長着席〕
  134. 竹山祐太郎

    ○竹山委員 私はあとでいろいろ詳しく伺いたいが、私の受ける率直なる感じから言いますと、きわめて事務的に今回の行政機権の改革が行われておる。そこで結果的に見ますと、通産省における中小企業庁、今やかましく論議されておるところの農林省における林野庁あるいは食糧庁という代表的に取上げられているようなものが簡単に片づけられておる。この点が私は非常に問題であると思う。一体こういうものが、今の審判的なものは別としても、なぜ通産省に中小企業庁ができたか、あるいは農林省に林野庁ができたかという、できたときのいきさつを考えてみるならば、役所の単なる事務的な問題だけではないと思う。政治的に中小企業の重要性を考えればこそ、大臣のもとに外局を置いてまでこれに力を入れようとしたのが、その当時の政治的要求であり、政府の態度であつた。農林省における林野庁の重要性を考えればこそやり、食糧問題の重要性を考えればこそこれを外局に取上げられたのであつて、今質疑応答を聞いておつても、決して単なる事務的な簡素化や、単なる事務官僚の便宜、不便宜の問題ではないと私は思う。そういう意味から見て、政治的に非常に重要な必要度をもつて置いたものを、今度のお話を聞いておつても事務的にこれを簡単に片づけられるという態度は、今の政府は私は簡単に申せば中小企業の問題や、食糧、林野、農業の問題をきわめて軽く扱うという政治的な立場に立たされたといいますか、立つておるとわれわれは判断せざるを得ない。そういうことで一体国内の独立後の政治情勢から見て、中小企業や農林漁業者というようなきわめてむずかしい困難な立場にある多数の国民に対する政治行政の立場、問題を、ここでどうしてそう軽く扱わなければならぬのか。その政府考え方の基本が私はそうとしか受取れない。そうであるのかないのか、それをまず概括的に伺いたい。
  135. 野田卯一

    野田国務大臣 国税庁を徴税局とし、あるいは中小企業庁を中小企業局とし、あるいは農林省でいえば林野庁を林野局とするということは、そういう行政を軽んずる趣旨では絶対にありません。
  136. 竹山祐太郎

    ○竹山委員 それならば一体、中小企業庁を今度局にしなければならぬ積極的な理由を伺いたい。
  137. 野田卯一

    野田国務大臣 これは先ほどから何べんも繰返して申し上げておる通りに、現在の国家行政組織のもとにおきましては、外局というものは本省から半独立のものであります。これは制度をよく御研究くださればわかりますが、とにかく半独立のものでありまして、大臣の直接次官を通ずる内局というものと外局とは違うのでありまして、新しい行政機構の性質から見ますと、外局と内局は違つておる。でありますから、私は重要なところの政策というものは、しかもほかの内局と関連の密接な仕事というものは、これは内局においてやるべきである。大臣次官の系統において力を入れてやるべきである、このように考えておるのであります。
  138. 竹山祐太郎

    ○竹山委員 事務的な議論はあとにいたしますが、外局を内局にする方が大臣行政権が強くなつて政治的にはその方が効果が多いのだ、こういう理由には少くとも国民やわれわれは納得ができません。なぜそれでは内局にあつたものを外局にしたのか。そのときの理由と今おつしやる理由とは、まるでそのときのでたらめのその場その場の事務当局の説明であるならばいざ知らず、政治家としての野田大臣の御答弁としては受取れません。今今澄君の関連質問の御要求がありますので、委員長のさしずもありますから、私の質問を一応ここで打切つて今澄君に譲ります。
  139. 今澄勇

    今澄勇君 私この中小企業庁の御答弁については、先ほど来四回にわたつて野田さんの答弁を承つておりました。中小企業庁ができたときは、一課中の一係であつたところのわずかな、ほんとうに見えるか見えないかの中小業者を担当する役所機構を、この中小企業庁という一つの大きな機構へ拡大をいたしました、かつての水浴通産大臣のときの構想は、この中小企業者の要求というものを——これはあらゆる化学工業、あるいは繊維工業、あるいは機械工業、鉄鋼工業にわたつて産業と対立し、その各局の行政の中においては大企業のみ守られて、とても中小企業が守られないという意味合いにおいて、これは独立的な対抗する役所として外庁にすべきものである。だから今度外庁というものが独立的な性格を帯びるということになれば、中小企業のあらゆる問題を処理するものは独立的な立場に立つ、しかも各局に関連しておるのである。これらの問題から判断する限り、中小企業の行政機構というものは、そういう見えるか見えなかつたような一課の中の係から外局に今発展したが、さらにそれを将来単独の中小企業省ともいうべき大きな責任役所にこれが伸びて行くところの要素を持つものであつて野田大臣の御答弁のごときものの考え方というものは、まるきり私は今日の中小企業の現状と全国の中小企業者の置かれた立場並びに中小企業者の行政に対する要望を全然取入れられておらない机上の御答弁であると私は言わざるを得ない。少くとも中小企業庁のあり方については、私は将来中小企業庁の局部課を大きくふやしまして、その中小企業庁のもとに、国鉄従業員が今やつておりますようなああいう現業、すなわち企業組合、事業協同組合、あるいは保険協同組合、その他のあらゆる一切のものを連ねる中小信用保険等の現業が、その下部機関として物資並びにその他のものを大きく取扱うところの一つの強大な役所にならなければ、今日の現状のもとにおいて中小企業を救うことはできない。中小企業庁の外庁から、これを内局へ移管したそのあり方というものは、政府の中小企業行政を放棄したというもこれは過言でないと思う。なぜかならば、内局に入つて一体何の対抗的な各大産業に対する中小企業擁護の政策が行われますか、この点について、野田さんのもう一度懇切な答弁をお願いしたいと思います。
  140. 野田卯一

    野田国務大臣 中小企業庁を外に置かないで、通商産業省の中に包摂いたしまして、通商産業大臣、通商産業次官その他の者が結束して、この中小企業を伸ばして行こう、こういう決意であります。
  141. 今澄勇

    今澄勇君 それでは通商産業大臣にお伺いをいたしますが、あなたはこの中小企業庁を通商産業省の中の内局にして、大臣次官結束して一体全国の中小企業行政がやれるとお思いですか。ひとつ御見解を承りたい。
  142. 高橋龍太郎

    ○高橋国務大臣 この中小企業庁を内局にいたしましたのは、先刻野田君から御説明がありました通り、今度の行政機構改革で、最初根本方針として、審判を主とするもの以外は内局にするという方針がきまつたのです。それがきまりますまでにはいろいろの議論もありましたが、結局そういうことにきまりましたので、私はそれに従つて内局にすることを認めたわけであります。しかし野田君からも言われますように、庁を局にしたからといつて中小企業行政を軽く見るという意味は全然含んでいない。中小企業行政というものは重点を置かなければいかぬと考えております。
  143. 今澄勇

    今澄勇君 大臣にもう一つ重ねてお伺いしますが、私の質問の要旨は、内局にして中小企業者を守り得る行政が、大臣として責任を持つてやり得るかどうかということであります。それを簡単に御答弁願いたいと思います。
  144. 高橋龍太郎

    ○高橋国務大臣 その点は省内で十分審議研究を尽しましたが、局でやつて行けるという自信を持つております。
  145. 今澄勇

    今澄勇君 私は今の通産大臣の答弁はまことに奇怪千万であると思います。少くとも、今日の通産行政というものを私どもがながめるときに、吉田内閣のもとにおいて、通産大臣は文部大臣が兼摂したときも大蔵大臣が兼摂したときもあるのであります。内閣における通産行政の発言力の弱さ、さらにまた通産省という名前そのものも奇怪しごくである。少くとも独立日本の今後の自立経済の中心がわが国の商工行政にあるとすれば、日本の商工行政というものが日本政治の中に占めるそのフアクター、その地歩というものは、私は特に重大でなければならぬと存じます。しかるに歴代の通産大臣は、金融関係は大蔵省の圧力で押され、通商貿易関係は外務官僚に押され、肥料の輸出の問題については農林省に押され、いずれの場合においても、他省との関連において通産省自体が立てたところの計画その他が、一体どのような状態であるかということは高橋通産大臣みずから十分御承知であると私は思います。すなわち、わが国の政治の最も重要なるべき商工行政というものが、その兼摂大臣の姿においても、その党内における比重の姿においても、あるいはそういつた各省との関連の姿においても、常に軽んぜられておるということを、私どもはここ数年間の事態において見るのである。第一、通商産業省などという名前からして私どもはまことに奇態なものであると思う。日本の一番重大な産業行政の責任者であるあなたが、全国的な日本経済の毛細血管であり、人員においては約八割を占めようかという中小企業者に関する問題に対して、通産大臣として内局で十分これはやつて行けるなどというような御答弁では、私は少くとも日本産業行政をあずかる資格なしと、この内閣委員会において断ぜざるを得ません。われわれ衆議院の通商産業委員会は、各党各派を超越して、満場一致の決議をもつて、中小企業庁は断じてこれを内局にすることはいけないことである。中小企業庁はむしろ拡充強化して、これを大きく伸ばして中小企業行政をやるべしという決議をしておるのであるが、その決議を私は通商産業委員会を代表してここに申し述べる。衆議院の通産委員会が決議したこの意思決定について、通産大臣はなおかつそのような答弁をされて、一体われわれ衆議院の通産委員会意見に対してはどのように期待に沿われようとするのであるか、御見解を承りたい。
  146. 高橋龍太郎

    ○高橋国務大臣 今御審議を願つております案は、閣議できめました案であるのですが、われわれは議員諸君の審議権を尊重することは当然であります。
  147. 今澄勇

    今澄勇君 私はかくのごとき重大な内閣機構の改正を前にして、議員の審議権は、通産大臣が何と言われようがもとよりわれわれにあるのである。しかしながら一国の商工行政の責任者として、このような重大な段階に立ち至つて、閣議の決定に従つたからというて、通産行政の将来についての抱負なりあるいは見解なりを、中小企業庁に関して大臣がこの席で述べるくらいな決意がなくては、私は全国の中小企業の危機を救うことはできないと思う。全国の中小企業者が出した税金、全国の中小企業者の国家へのあらゆる貢献に対して、一体政府は中小企業者に対してどのような予算を計上しておりますか。中小企業の協同組合の趣旨徹底、これらの啓蒙宣伝、その他のあらゆる事業は今日の通商産業省がやつておりますが、中小企業庁においてこれができないので、中小企業庁長官はパンフレットを配つてもこれの代金をとる。中小企業庁長官は予算がないから 全国の商工会議所に依頼して、頭を下げてこれらの啓蒙宣伝を頼んでおる。それほど今日においては弱体である中小企業庁をさらに内局に移しては、全国の中小企業の危機を救うことはできない。日本の中小企業団体は、日中連、全中協、その他十四団体がございます。その十四団体の中小企業団体は、昨日統一連絡協議会を開いて、全国中小企業者はこの内局移管については実力をもつても闘うという大きな決意を持つて立ち上つております。現在の日本の東洋的な日本経済の特殊事情から見ると、中小企業というものは日本経済の毛細血管である。この毛細血管である中小企業のあらゆる問題は、どうしても国家が責任を負うて一切の解決を担当するということでなければ、もはや今日の中小企業の問題は、金融においても、税制においても、貿易においても、労働問題においてもやつて行けない。そこで私は、昨年において約三割の破産倒壊、本年の四月までにすでにその残りのうちの二割七分の破産倒壊、こういう現状を前にして、野田さんは中小企業庁の内局移管というようなことを、一つの貫かれたところのイデオロギーだけできめられておるが、これで日本経済のこの現状を救い得るやいなやということについては多大の危惧の念を持つのでありますが、いかなることがあつても、中小企業庁の内局移管は再考する余地はないものであるか。衆議院の通産委員会は参議院の通産委員会とも連絡をとりまして、われわれは国会において、もし衆議院が多数でこの修正を許さないならば、参議院においてもこれを修正して、断じて最後まで闘い抜くつもりであります。担当大臣としてこのわれわれの修正意見に対して、妥協的な態度があるのかどうか、あるいは何か便利な方法でもお考えになつておられるか、あくまでも原案を貫かれるか、この点について簡単に御説明を承つておきます。
  148. 野田卯一

    野田国務大臣 中小企業の振興は内閣全体が体当りで行かなければならない問題であると考えております。ただ中小企業という名前のついた局だけで扱つて行くという考え方は毛頭持つておりません。大蔵省も、農林省も、通産省も、厚生省も、各役所が全部力を尽して中小企業を擁護し、これを振興すべき問題だと考えております。
  149. 今澄勇

    今澄勇君 関連質問でありますから、竹山委員の時間がなくなりますので、これで質問を終りますが、一言申しておきます。中小企業庁の将来のあり方は、あなたの言われるような関連の問題が多いのでありますから、これは内閣全体で考えるのだというようなことは、それは野田さんの口から出まかせであろうと思います。大蔵関係がその下に握つておりますところの国民金融公庫や、通産関係が共管で握つておりますところの商工中金あるいは相互銀行、さらには信用組合、信用協同組合等のあらゆる金融機関から、物資、資材に至るまで、その広汎な現業というものを中小企業庁の下に従えて、中小企業庁長官は、一応これらの中小企業関係の金融方策、中小企業関係の資材面、中小企業関係のあらゆる部面にわたつて号令が下され、協調して行き得るような機構改革でないことには、断じて中小企業という一つの建前のもとに運営して参ることはできないのであります。私は、一通産省の内局にしておいて、これで全中小業者のあらゆる資金、資材、税制、その他の要望に内閣全体がこたえるものであるなどというような、三百代言的な答弁を聞いて断じて満足することはできません。私はこの点非常に不満であり、私どもは最後まで先ほど申しましたような中小企業庁の拡充、強化並びに将来も中小企業庁の下にそのような現業を置いて、全日本の中小業者のあらゆる問題を解決して行くというような考え方に皆さん方が立たれないならば、重大な社会不安と、大きな内閣をゆすぶるところの攻勢が日本のこの経済事情のもとから必ず起るであろうということをここに断言申し上げ、野田さんの反省を強く要望して私の質問を終ります。
  150. 竹山祐太郎

    ○竹山委員 私も通産大臣質問をしたいところですけれども、あとも控えておりますし、伺つても大体結論はわかつておりますから伺いませんが、私は今関連して野田さんに伺つておきたいのは、どうも先ほどからの議論では、外局をやめて内局にするという積極的な理由というものがどうしても私にはわからない。政治的な必要性の当然あつた外局をやめて、この方がよくなる、この方が行政的にはよりいいんだという理由を重ねてもう一度伺つておきたい。
  151. 野田卯一

    野田国務大臣 中小企業庁というものができましてから、いろいろと問題があつたのでありますが、中小企業の問題というのは、先ほど申されましたように、人口の八割を占めております。でありますから、政府仕事の大部分は中小企業を対象としている、こういわなければならぬと思うのです。でありますから、そういう観点で政府はものを考えている。それから機構の問題は、通商産業省の中における中小企業庁の問題は、これは外局にすると何か非常にいいように考えられますが、新しい国家行政組織法の精神におきましては、外局というものは本省から離れた、われわれの方の今とらんとする政策は、審判的性質を持つているものだけに限ろう、こういうふうに思つておるのでありまして、重要なものは内局において取扱つて大臣次官の系統においてがつちりつかんで、全力をあげ、かつまた他の内局と相連繋して最大の働きをする、こういうところに機構改革の重点があるということを十分御了承願いたいと思います。
  152. 竹山祐太郎

    ○竹山委員 私は先に結論を申し上げますが、少くともほかの省のことは別として、いわゆる産業省の中において性格を分析してみると、通産省の中においても鉄鋼や紡績や大企業については政府は役人をたくさん置く必要はない。今日すら通産省が紡績業者のために働いておるという批判を受けておるほどであつて、あつたつて大した役には立たない、監督行政というものは少くていい。ところが通産省の中における中小企業の問題と農林漁業というものは、全部がいわゆる日本の中産階級であつて、この積極的な産業施策をやらなければならぬ部分というものとを、今度の行政機構改革においては一つも区別して考えられていない。これを少しりくつつぽく言うならば、大産業の方面については手をつけないで、こういうよく親切に見てやらなければならぬ方面については遠慮会釈なく切つておる。その例を見るならば、大資本の含まれておるところの水産庁は残して、農業及び林業は遠慮会釈なく切つておる。今野田さんの言われるりくつは私は一貫してないと思う。水産庁が残された理由というものは、あなたの理由をもつてしては説明がつかない。ですからそういうりくつは役人同士の間ではあるいは議論が通つたかもしれませんが、少くとも国会における議論としては意味をなさないと私は思う。私の見解を申すならば、私は決して役人が多々ますます多くていいとは思つておりません。しかしながら政府の各機構の中において最も親切にやらなければならぬ部分というものは中小企業及び農林、漁業なんです。それに対してあまりそう遠慮をされる必要はないので、もつと親切な行政とその産業及び生活の安定のために政府は努力をすることは決して惜しむべきじやないと思う。それを簡単にわずかに機構改革と称しつつこれを簡素化したといつて、何によつてそれだけ国民は報いられるか、もつとほかにある。だから私は最初に伺つたのは、独立日本の最初においての行政機構改革というものの目標がはつきりしない。端的に言うならば、警察や国防的な方面においては遠慮会釈なくふえておる。また内閣においてもふえておるが、国民生活産業に関する面においては遠慮会釈なく切つておる。これは今の政府らしいというか、今の政治感覚を露骨に現わした行政機構改革だといわざるを得ない、そこが非常に問題であります。ですから私は決して今の機構に執着して申すのではないのであつて野田さんが今度政治家として考えられた全体を流れる考え方というものに私は非常に理解しかねる点があるが、私の見解があるいは誤解であるならばひとつあなたのお考えを伺いたい。
  153. 野田卯一

    野田国務大臣 私がさつきから繰返しております通りに、中小企業対策というものはきわめて重要な政府の施策でありまして、政府は各部門を通じましてこの問題に力を尽さなければならぬ、こういうふうに考えておる次第であります。
  154. 竹山祐太郎

    ○竹山委員 農業の分についても、私が今申す通り、決して食糧問題は解決をしたのじやない、きようの新聞を通じて見ても明らかであります。国際小麦協定は根本的にくずれようとしておる。一体麦の統制撤廃をしても今後の食糧自給に政府は確信ありやと言いたい。そういう情勢の中において食糧庁をきわめて簡素化してこれで一体十分であるか。林野庁の問題についても、これはもつとやらなければならぬ方面であつて機構を縮小すべき段階とは少くとも私は考えられない。役人をふやすという意味ではなくて、もつと日本の荒廃した国土を回復するためには林野庁の機構は充実をしなければならない。ことに膨大な国有林を持つておる。ある意味においては国鉄やその他の独立採算制をとる現業官庁とも言うべきものであつて、これはもつと資本を入れて国家再建のために役立たせなければならぬというようなものも簡単に切つておる。また土地改良庁その他の主張は、前の与党の諸君からも常に強く要求をされましたから私は重ねて申す必要はない。そういう点について、少くとも今の日本の置かれている情勢と私たちの認識とはまるで違つた方向政府が持つて行こうとしている。これでもつてわれわれが安心してけつこうでございますということを言う理由はどこにも発見されない。さきに河野君も言われたように、これによつて国民の負担が非常に軽減をするというならばこれもけつこうであります。独立後の日本の新しい政治的な方向にこれがどれだけ役にたつかということが明確になるならばそれもけつこうであります。今までの説明を伺つても何ら私にはその面について伺うことはできない。私は結論をごく簡単に伺う意味において、農林大臣がおられぬのがはなはだ残念でありますけれども、今度の食糧庁あるいは林野庁の機構を縮小したりあるいは土地改良についても非常な縮小をしたりする、そういうことで今顧問会議などをにぎやかにやつておられる。これからの日本再建のための一番の基盤をなすところの食糧の生産を含むところの全農林政策というものに自信を持つて農林大臣は一体閣議でこれを認められたのかどうか。これは大臣にかわつてひとつ政務次官の見解を伺つておきたい。     〔「眠つちやいかぬ」と呼ぶ者あり〕
  155. 八木一郎

    八木委員長 竹山君に申し上げます。閣議の模様をお尋ねのようですが御答弁別にありませんが……。
  156. 野田卯一

    野田国務大臣 今非常に機構の縮小縮小という言葉を盛んに使われるのですが、林野庁の減らされるのは今度は一人なんであります。縮小々々ということを言われると、聞いている方は非常に少くなつて三分の一くらいになつているのかと思いますが、そうでなくて、全体で一人減つている。  それからもう一つ申し上げたいことは、私は実質的にふえているということをはつきり申し上げたい。外局になりますといろいろなことをしますが、これが内局になりますとその仕事はその省の官房に移るようになる。そこで二重組織がなくなりますから手間が非常に省けるということになる。その手間が省けたものはほんとうの普通のビジネスができるというわけでありますから、実質的には手がふえるということを私ははつきり申し上げておきます。縮小ということを非常に御心配になつていろいろと立論をされているようでありますが、そういうことにはならぬと思います。  もう一つ外局の問題になりますと、外局の長でないと問題が片づかない。予算を折衝に行きますと、たとえば林野庁なら長官が行かなければならぬ。そうすると農林次官もいるけれどもついでに言うということになる。ところが内局になつていますと、農林次官と林野局長というものが一緒になつてつて行く、こういうことになつて、大蔵省側から見るとかえつて強くなる。私はそう思うのです。これは体験上です
  157. 竹山祐太郎

    ○竹山委員 まあ大蔵省の内輪の問題は国民の感覚とはまた別なんで、私の言うのは、大きくなるとおつしやるけれども、今度の機構改革というものは、簡素化するという意味から言えば決して大きくなつたとは言い訳にならない。簡単にして力は強くなつたとはわれわれはどう考えてもわからない。それがよかつたとするならば、今日まで外局を置いた理由がまつたく説明がつかなくなつてしまう。ですからそういう言い訳は——なぜそれじや水産庁を置かれるのか。これに反対するのではありませんけれども、水産庁を残す理由は成り立たない。全部やめてしまうならよろしい。そういう残すものもあればやめるものもあるという不統一な態度では、その中に流れる政治的な考え方が一貫していない。だから私は農業や林業あるいは中小企業に対しては非常に冷淡だという結論を下さざるを得ないのですけれども、それに対する反対的な御弁明もありませんから、私の見解は政府も認めざるを得ない、だから与党の諸君もこれに猛烈な反撃をしているのだと思われるが、この点はもうくどくどいろいろ言う必要はないと思います。いかに事務的な弁明をされても、国民に与える政治的感覚というものは私は否定できないと思う。もつと親切な、もつと力の入つた政治を国民の強い方面に対してやる行政機構改革を私たちは望んでいる。いずれ具体的なわれわれの見解はあと述べますが、私は質問としてはこれだけで終ります。
  158. 八木一郎

    八木委員長 平野三郎君。平野君にちよつと申し上げますが、今通告順序で松本君の方から大橋国務大臣を呼出しをかけているわけです。わずかな時間十分ぐらいですから、あるいは途中で見えたらその方に十分だけ割愛していただきます。あらかじめ御了解を得ておきます。
  159. 平野三郎

    平野委員 朝から熱心な論議が行われまして、すでに数時間に及び、政府側も大分お疲れと思いますが、これも本案の重要性によるところでございますので、私は前委員の御質疑とできるだけ重複を避けてなるべく簡単に若干のお尋ねを申し上げたいと思います。まず第一に、今回の政府の御提案は国会の意思を軽視しておられる点があるのじやないか。具体的なことを申し上げますと、農林省設置法案を先般政府が提案されましたときのいきさつを申し上げますと、今度の法案には農政局の中の農業協同組合部を廃止することになつている。また農地局に三部ありまするが、これがなくなることになつている。次長一人置くということになつておりますが、この前国会に出されました政府の案は、今度の案とまつたく同一のものでございました。ところが当時内閣と農林の連合審査会があり、齋藤隆夫さんが委員長でありましたが、私は強くこれに反対した。どうしても農政局で農業協同組合部を置くべきである、また農地局には三部制を置くべきであるということを強く主張いたしたものでありますが、当時最後に自由党の代議士会で私の意見が少数意見なりということで葬られて、衆議院は政府案が通過をいたしましたが、しかしその後参議院に参りまして私の主張したと同じ修正をいたし、これが衆議院に回付され、衆議院におきましても参議院の修正案は理由ありということでこれに同意をいたしまして、これが成立して今日に及んでいるといういきさつがあるのであります。しかるに政府はまつたく当時と同一であります。国会も参議院は半数改選になりましたが同一である。すなわち国会の意思ははつきりしている。農業協同組合部は絶対に必要である。また農地局は三部制を置くべきであるということが国会の意思として厳然として明白になつているのであります。もちろん国会が異なれば、一事不再議ということはありますけれども政府が同じ法案を違つた国会に出すということはあり得るわけであります。たとえば麦の統制撤廃に関する法案のごときはそういう例でありますけれども、しかしそれは非常に事情が違つた話でありまして、当時ちようど森幸太郎さんが農林大臣のときでございましたが、そのときと今日とはむしろ農業協同組合の重要性は増加しております。政府は前の国会に農業協同組合再建整備法を提出せられ、国会もこれに全会一致をもつて賛成し、現在着々として農協の再建整備をやつております。すなわち農協の重要性は、日本の農村の基盤を守る農民の組合として、その重要性は質的に増加をしている。また先ほど来各委員お話もありましたように、政府は食糧増産に対して非常な熱意を示し、本年度の土地改良費の予算を見ましても、昨年から見れば百二十億から一挙に二百十五億に増加するというように、非常に食糧の自給態勢確立のための農地行政政府も重視している。こういうようにその重要性が増加しているにかかわらず、また国会がすでに当然こうあるべしという意見を表明しているにかかわらず、またまたかような同じ修正案を今回出されたということは、私は国会の意思を軽視しておられるのじやないかというように思わざるを得ないのでありまして、かりに本案が衆議院を通過しても、おそらく私は参議院において修正が行われるだろうというふうに予想いたしまするが、このいきさつを野田長官は御承知の上でこの法案を出されたものでありますか。あるいはこの点を御承知いただけばお考え直しをいだくことができるかどうか、まずこれをお尋ねいたしたいと思います。
  160. 野田卯一

    野田国務大臣 今回の行政機構改革は、平和条約が成立いたしまして独立いたしました日本といたしまして、また今後の独立日本の発展という点から行きまして、それにふさわしい行政機構をつくろうという観点から考えられたものでありまして、それは前から繰返し申し上げたことですから御了承願います。
  161. 平野三郎

    平野委員 どうもただいまの御答弁では納得いたしかねます。お尋ねをいたしたいことは各般にわかれております。次にこれは基本的な問題でありまするが、今度の改正案では多数の外局が内局になつております。そこで外局がはたして適当であるか内局がどうかという議論になるわけでありまするけれども、これは先般来各委員から種々論議がありましたので、私は最も具体的に林野庁の問題を例にしてお尋ねを申してみたいと思います。先ほど来の野田長官のお答えによりますると、外局を内局にするのは決してそれを軽視するのではない、むしろ重要視するのだ。すなわち林野行政というものは非常に重大である、重大であるからむしろこれを外局から内局にして、そうして大臣と直結をして大いにやるのだというお話なのでありまするけれども、先般農林省設置法において、当時の森農林大臣は、林野庁は非常に重要である、重要であるがゆえにこれを外局にするのだということを言明しておられるのであります。これは速記録にもはつきり載つておると思うのであります。農林大臣はかわりましたけれども、吉田内閣はその性格を少しもかえておりません。総理大臣も同一の人でやつておられる。このまつたく同一の政府が、この前は外局というものはその重要性を認めるがゆえにこれを外局にするのだと国会に対して説明をせられて、今回は、重要視するがゆえに内局にするのだと言うことは、まつたく答弁が食い違つておるので私はいかにも了解しがたい。またこれはたいへん具体的のことを申し上げるようですけれども、林野庁がいわゆる山林局から外局になるときに、当時野田さんは大蔵次官をしておられて、非常にこれに御協力をいただいたのであります。すなわち、林野庁というものは、かつては北海道の国有林は内務省一御料林は宮内省というように三省にわかれておりまして、これを林政統一をするということによつて非常に厖大な機構なつた。また国有林事業は一般会計でやつておりましたが、これは特別会計になるというようなことで林野庁というものはできたのであります。当時あなたは大蔵次官をしておられまして、いわゆる農林省から大蔵省の同意を得なければならぬということを種々折衝せられました。当時あなたが非常に深い御理解を持つて、実に林野行政は重要である、ぜひこれを外局にすべきだということで非常にお骨折りをいただいたことは、林野庁関係の者は非常に感謝をしておるのであります。しかるに今になつて、今度は重要性を認めるがゆえにむしろこれを内局にすべきであるという見解は、あなたの御心境が変化なつたものであるかどうか。非常に理解しがたいように思うのでありまするが、その点をひとつお尋ねいたしたいと思います。
  162. 野田卯一

    野田国務大臣 外局の数がだんだんふえて参つたのでありますが、最近における行政軽減並びに国家行政組織法の——国家行政組織法は二十三年にできたのでありますが、いろいろな但書と申しますか、例外的なものがたくさん残つており、だんだんそれが整備されまして、本来の国家行政組織法機能を発揮し、その体系ができて来るといういろいろな観点から申しまして、私は今回の行政部面としてはやはり大切であるから外局にするということよりも、大切であればむしろこれを内局にして、大臣の直結にしてこれを強力に推進して行くという方が適当である、こういうふうに考えておる次第であります。
  163. 平野三郎

    平野委員 ただいまの御見解はどうも少しおかしいのではないかと思う。おそらく全日本の国民が——政府以外の者は、外局を内局にすれば、やはり、幾らかその仕事を軽視するのだというふうに思うのは当然であろうと思います。林業関係のすべての団体から国会に対して陳情請願が参つておりますけれども、いずれも口をそろえまして、林野庁を内局にすることは林政を軽視するものである、ゆえに反対であるということを訴えて来ておるのであります。おそらくこれはだれも同じ気持であつて野田さんも心の底では御同感だろうと思いますけれども、こういう法案を出される以上はやはりそう言わなければならぬのでそう言うておられるのだろうと思いますが、そういうことになれば非常に矛盾が起つて来るのであります。すなわち、非常に重安であり、大臣と直結するために内局にするということになると、今まで外局であつたときには、大臣から遊離しておつた、むしろ軽視されておつたということになる。今回水産庁は外局として残るわけでありますが、重要視するから内局にするのだということになれば、水産の方は大したことはないからあれは外局にして置いておく、林野の方は重要であるから内局にしてうんとしつかりやるのだということになり、どう考えてもこれはおかしいと思いますけれども、この点でもう一度念を押しておきたいことは、前の農林省設置法を政府提出せられましたときに、森農林大臣は、林野行政は非常に重大であるから外局にするのだということを国会において御答弁なさつた。ところがあなたの御答弁はそれとまつたく違うわけでありまするが、政府の御意見変化をしたというふうに解釈していいのでありますかどうか。
  164. 野田卯一

    野田国務大臣 ものの考え方も、時の移りや制度変化等に伴つてかなりいろいろにかわつて来ると思います。重要視するかどうかも、あるいは離して独立的にさせることにするか、あるいは内部に取入れて、大臣次官の系統で力を入れて行くか、行政組織に関する考え方の移りかわりによつても異なつて来ると考えます。だから今度は国家行政組織法というものの観念がはつきりして来て、省として中心的な重要なものが内局であるということがだんだんわかつて来れば、内局としてうちに置いた方が中心で、外に出された方がそうでないというようにとられるようなことにもなるわけでありまして、時の移りとともにものの考え方や見方もいろいろにかわつて来ると思います。こういう点も十分御了承願いたいと思います。
  165. 平野三郎

    平野委員 その点はどうも見解が違うようであります。その次に、私は、どこまでも与党として、人員整理行政の簡素化、並びに経費節減ということについては全面的に賛成するのであります。しかしながらこの改正法案は、先ほど長官からも御答弁のありましたように、人員が三千五百名減りまするけれども、これは特別調達庁あるいは経済調査庁の関係で、人員整理にはほとんど関係がない。農林省だけを見ましても、わずか部長が五人だけ減るということでありますから人員には何の関係もない。従つて経費にも何の関係もない。すなわち、この行政機構改革によつて能率が上るというだけのことでありますが、私は、こういうふうにかえることによつて能率が上るという具体的な根拠を了解するにはなはだ苦しむものでございます。むしろ反対に、こういう改革をやることはかえつて能率を阻害するのじやないかというふうに思われるわけでありますけれども、この改正案によつて能率がよくなるということの具体的な根拠をお尋ね申し上げる次第であります。
  166. 野田卯一

    野田国務大臣 今回の行政機構改革は、全体から申しましても部局の数が半減をするというようなことになりまして、それだけ同じ仕事を進めるについて相談する部局も数が減つて参りますし、事務が簡捷されることは当然であろうと思うのであります。たとえば一つの局に一人としても、局が五つ減れば五人、十減れば十人減るわけですから、すべてが簡素化されて参りまして、従つて仕事の運びが必ず円滑にかつ迅速になるだろうと思うのであります。これは今回の行政機構改革を実行してみましたならば、必ずその面が出て来るのではないか。いろいろな部局をたくさんつくつて縦横複雑にすればするほど、書類もよけいいりましようし、判もよけいいりましよう。民間の人も煩雑になるのではないか、こういうふうに見ておる次第であります。
  167. 平野三郎

    平野委員 次に、先ほども質疑応答がありましたが、野田さんのように頭がよくありませんのでどうも私わかりませんのは、監の問題であります。この改正案にいろいろ監があるわけでありますが、今回監を設けられたのは行政組織法で内局に部を置くことができないためにやむなく部長のかわりに監を置かれた。従つて部長と監というものは同じものであると解釈しておつたわけでありますけれども、先ほどの御答弁によりますると、部長と監とは性格が違うんだということでありますが、違うということがどうもよくわかりませんので、ひとつわかるようにお教えいただきたいのであります。先ほどの御答弁によれば、部長というものは課長をしつかり掌握してまるがかえにしてやつて行く。監というものはしつかりとそのことに専門でやつて行く。特にすんなりとやつて行くというようなお言葉がありましたけれども、私はそういう制度を置くことはかえつてすんなりしなくなるのではないかと思う。具体的に申しますと、畜産局に競馬部がありましたが、これは競馬監になるわけであります。そこでお尋ねするのは、今までの競馬部長というのは競馬部を掌握して、畜産局長に直結しておつたわけでありますが、今度できる競馬監というものは、先ほどの御答弁によれば競馬部にある課長を指揮監督しないで、何か畜産局長と競馬部の課長との間にあつて局長を補佐するというようなことをやるのであるが、その点はどうも私は監が幾つもできて来まして、だらだらとダラ幹のようになるおそれがあるのではないかと非常に憂慮するのでありますが、その監というものの権限の区分はどういうようになつておりますか。
  168. 野田卯一

    野田国務大臣 この点先ほども一応御説明申し上げたのでありますが、部長となれば、部に属する課長の所属の全部に対する責任者であります。あるいは厚生の問題でありましようが、労働問題でありましようが、人員の問題、予算の問題から庶務に属することまで全部見なければならぬ。なお局なら局、部なら部の本来の仕事を全部やらなければならない。  私の方の考えました監というのは、そういうことは第二義的に考えまして、その今まで部でやつておりました仕事のほんとうの真髄と申しますか、統計調査ということが真髄であれば、統計調査に専念する。そのことについてはもうあくまで責任をとり、あくまで人を指揮します。しかしその他のいろいろな世間的な雑務につきましては、参考に意見を述べたり相談されたりはしますが、プロパーな仕事としないように持つて行く。私実際知つていますが、ある省の統計調査局長をやつていた人があります。大学の教授をひつぱつて来たのですが、統計調査に関しては日本的な権威であります。ところが人事の問題、予算の問題になるとからきしだめなんです。こういう人は統計調査監として真髄の腕を十分に振わせる。他の雑務的なものは主として課長がやりましよう。課長局長なら局長と連絡し、かつその人と相談しながらやる、こういうようにした方が行政機構としては十分効果が上げられるのではないかと考えております。
  169. 平野三郎

    平野委員 どうも今の御説明でもはつきりわかりませんが、そうしますと監というものの権限は、たとえば競馬監ならば純粋の競馬の事務だけは課長を指揮監督するということで、純粋の競馬事務以外のことは監督しないという意味において畜産局長を補佐するということになるのであつて、従来の部長よりも権限が縮小することになるようなお話ですけれども、そういうふうになるのかどうか。
  170. 野田卯一

    野田国務大臣 多少直接の責任の範囲は狭くなるかと思いますが、しかしそれだけ特殊なことについては深みを増す、こういう考え方を持つております。
  171. 平野三郎

    平野委員 どうもまだわかりませんが、時間がありませんので、次に次長の性格についてお尋ねを申し上げたいと思います。原案によりますると農林経済局が一人、農地局が一人、食糧と林野はそれぞれ二人ということになつておりますが、次長の数を局によつて違えられたのは何か根拠がありますか。
  172. 野田卯一

    野田国務大臣 外局ではたしかそれぞれの局で三部持つてつたのを、縮小して三部というものがなくなりまして内局になつたという場合に——私は次長という制度は恒久的な制度とは考えておらない。将来は局の仕事はやはり課長でもつてやるべきだ、しかしながら今まで部長というものがあつて現実に仕事をして来た。この部長がなくなつたときに、すぐに課長局長ということも実際問題として移りかわりがスムーズに行かぬ場合もあるだろう。そのギヤツプを埋めるために局長の補佐官として次長を設けた。それにつきましては、食糧庁それから林野局は二人の程度でいいのではないか。その他のところは、今まで内局でやつて来たところにつきましては、今までそういうやり方で実際やつて来たと思います。従つて内局になれておりますから、これについてはそれにふさわしい次長、こういうことにいたしたわけであります。
  173. 平野三郎

    平野委員 今の御答弁ですと、次長というものは行く行くは廃止する、暫定的措置としてとりあえず次長を置いておくという非常に重大な御言明でありましで、よく承つておきまするが、それは別として、私は農林省の各局の次長の数を局によつて二人とか一人とか減らすことについては、それぞれ局の事情を研究した上でおきめにならなければならぬと思う。次長を減らすという原則をおきめになることはよろしいが、次長をある局は一人、ある局は二人とすることについては、当然農林大臣意見を徴して、そういうことはその省の責任者の意見に基いてやるということが正当であると思いますけれども、農林大臣に聞いても一向にその点農林省に御相談がなかつたように聞いておるのですが、その点はほんとうにあつたのかどうか。これはひとつ野原政務次官にお尋ねいたしたいと思います。
  174. 野原正勝

    ○野原政府委員 この行政機構改革の大きな問題は、すべて閣議できまつたのであります。私は直接閣議には参画いたしておりませんし、よく事情がわかりません。ただ農林省の案といたしましては、最後まで要望は強くいたしておいたのであります。その要望には、内局になつた場合においても、現在の段階において事業分量その他から見ましても三部長が必要であると考えましたので、たとえば林野庁には三部というような線に農林省側でも要望して出しておつたのであります。最後の閣議の決定が二部になつたというその経緯につきましては、私詳細は存じておりません。
  175. 平野三郎

    平野委員 次長が一人の場合は局長を補佐するということで筋は通りますが、二人ということになりますと、やはりそれぞれ事務の分掌をするということが起つて来るのではないか。その点……。
  176. 野田卯一

    野田国務大臣 私は二人あつた場合には、原則として分掌してやることになるだろうと思います。
  177. 平野三郎

    平野委員 分掌してやるということになりますと、たとえば林野庁について申しますと、どういうふうに分掌するのかという非常に複雑な問題が起つて参ります。すなわち現在はいわゆる林政一般を林政部長でやつておりますし、それから造林とか治山とか林道、施業計画あるいは研究普及というような、技術的な民有林に対する指導を指導部長がやり、またあの厖大な国有林の事業全体を業務部長というものがやつておつた。そうして三部になつておるわけでありますが、この三部を二人の次長でわけてやるという場合にはどういうふうに分掌するのか。私は実はこれは分掌が困難と思いますが、特にこの方の権威である、また責任者である野原政府委員にひとつうまくやれるかどうか、やる場合にはどういうふうに分掌をされるか、承つておきたい。
  178. 野田卯一

    野田国務大臣 ちよつと私の言葉に誤解があるといけませんので……。分掌という場合にはいろいろなやり方があります。現在でも各省でも次長というものがあるのですが、その場合に局の仕事全体がこれだけある。全部を二つにわけてやる場合と、それからある場合には、その仕事の一部は局長直轄でやつて、ある部分だけを次長にやらせる、また半分ずつをやらせるというような、いろいろなヴアライエテイが豊富だということを申し上げておきます。
  179. 野原正勝

    ○野原政府委員 御承知のごとく林野行政は非常に事業分量も厖大であります。またきわめて大きな予算を持ち、また特別会計の仕事をしておる。その事業の性格からいたしまして、今まで林政、業務、指導という三部でやつてつたのでありますが、なおそれに加うるに労務管理の面におきまして、公共企業体等の法律案が近くきまりますと、それに対する新しい職員労務厚生関係の業務もふえて来ます。これらを考えますときに、次長二名というものになりました場合にどういうふうな分担にしてこれを円滑にやるかということに対しましては、これは非常に苦心しなければならないと考えておるわけであります。従来のように三部制の当時と比べまして、はたしてうまくやれるかどうか、これは非常にその点を心配しておるわけであります。一旦きまりました以上は、われわれ次長二名で適当に配分して仕事の分担をきめまして仕事をやらなければらなぬというふうに考えておりますけれども、理想の点を考えたならば、従来の制度は非常にすつきりした制度でなかつたかというふうに考えております。
  180. 八木一郎

    八木委員長 平野君、ちよつと申しますが、大分長くなつたので、答弁に呼び出した人の都合もありますから……。
  181. 平野三郎

    平野委員 もう二点だけ……。
  182. 八木一郎

    八木委員長 時間は別に制限しないのだが、答弁者の都合もありますから……。
  183. 平野三郎

    平野委員 これは個人のことで恐れ入りますが、野田長官は私の同郷の先輩なので、非常にこの法案のために一生懸命にやつておるについては、はなはだ個人として忍びないものがありますけれども、私としては遺憾ながらどうもこの法案行政機構能率向上には役に立たないというふうに考えざるを得ないのであります。さらにもう一点野原政務次官に伺いたいことは、今回労働法の改正によつて、十二万に及ぶところの林野庁関係職員がいわゆる団体交渉権を持つということで、そうした事務が非常にふえて来る。従つて林野行政を円滑にやるためには、むしろ私はこの際林野庁に新たに特別の部門を設置してやるべきじやないかというくらいにまで考えられるのでありまするが、今の御答弁によれば、次長が二人になつたのではやりようがないというようなふうに聞きとれたのであります。こうした新しい法律改正によるところの情勢が起つて来れば、一層そういう点があるのじやないかというふうに思いまするが、重ねてこの点を承つて、なお最後に、私はお尋ねいたしたいことは多々まだ残つておりますので、この際今の御答弁を承ると同時に、政府に対して資料を要求して、私の質問を留保した上で本日のところではこれを打切ることにいたしたいと思います。資料の要求はまず第一に、労働法の改正によつて国家公務員の中で新たにこの公共企業体労働関係法の適用を受けるところの公務員の数、並びにこれらの諸君の今後団体交渉権を行使するためにいろいろ起るところの準備の関係。第二には、かつて内局から外局に移りました当時の事情、特に当時の予算並びに定員の関係、これは中小企業庁、林野庁、食糧庁、水産庁、これにわけて御提出をいただきたい。第三に農業改良局と農事試験場その他研究所との連絡方法現状。第四に農林統計資料の各省においてこれを利用せられるところの範囲。それからさらに第五点は、外局と内局との事務上の相違、これを詳細にひとつ本委員会提出を要求いたします。
  184. 野原正勝

    ○野原政府委員 労働法の改正によりまして、公共企業体として新たに国有林林業労務者及び職員が全体で約十二万名が新しい労務管理の対象になるわけです。今までは労務厚生施設として労務厚生課があつたのであります。もとより公共企業体というような扱いになつたのでありますから、その新しい事態に即応いたしまして、当然林業行政に対しましても、相当の体制をもつて適切なる労務管理を行わなければならぬわけであります。従つて約十二万名からの公共企業体の労務管理、団体交渉というような仕事考えますと、これは相当大きな仕事であります。少くも一つの部ではなかなか骨が折れるくらいの事業になるわけであります。これは公共企業体等になりました場合においては、あらためて検討いたしまして、この体制を整備したいというふうに考えているのであります。でき得べくんば職員部というような形の一部を創設する必要が起つて来るのではないかというふうに考えております。
  185. 八木一郎

    八木委員長 松本君。
  186. 松本善壽

    ○松本(善)委員 私は保安庁に関します質疑をいたさんとするものであります。野田長官からの説明につきましては一応聞いておりまするがゆえに、大橋国務大臣に対して質問をいたさんとするものであります。  まず第一点といたしましては、保安庁が設置されまする前提に立つて、今後におきまする統帥権という問題に対して、政府はいかなる考え方をもつて具体的に臨まんとするか。政府の所見をただしたいのであります。
  187. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 保安庁におきましては、現在の警察予備隊並びに海上警備隊を管轄下に置きまして、これを管理、運営して行くのが、その主たる任務と相なつて来るのでございます。これらはいずれも軍隊ではございませんが、部隊組織を持つておりますから、これに対する指揮、統帥ということは当然あり得るわけでございます。この統帥というものにつきましては、旧憲法のもとにおきまして、軍の統帥ということが一般の行政と区分をせられまして、独立の機関によつて独立に行われておつたということは、御承知通りでございます。これはいわゆる軍に対する統帥の独立ということに相なつてつたのでございますが、現在の日本国憲法のもとにおきましては、一切の行政については、内閣が連帯して国会に対して責任を負う、こういうことに相なつておるのであります。従いまして警察予備隊、海上警備隊の活動についての指揮、統帥ということも、また行政の範囲に属する事項でございますから、当然内閣の責任において、国会に対して責任を負うという、一般の行政と同じやり方でなされなければならぬのでありまして、かような制度のもとにおきましては、もはや旧憲法的意味におきまする統帥権の独立ということは、あり得ないことと考えておるのでございます。従いまして、保安庁の機構におきましては、警察予備隊並びに海上保安隊の後身であります保安隊並びに警備隊に対しては、保安庁長官が完全なる指揮、命令を持つ、こういう形であります。この指揮、命令につきましては、さらに監督官庁として内閣総理大臣が各大臣と連帯して国会に対して責任を負う、こういう行き方でございます。従いまして、警備隊及び保安隊のすべての行動は、この保安庁において規律いたしまするし、また国会において当然審査の対象となるものでございます。そういう意味におきまして、統帥権の独立ということは、もはやあり得ない。なおこれに関連いたしまして、従来旧憲法下におきまして軍政、軍令という区別がせられまして、軍政というのは、軍を管理して行くところの行政活動であります。軍令というのは軍の行動を指揮、統帥する、いわゆる総帥権の作用に基くものを軍令と称しており、行政権の作用に基くものを軍政と称しておる。そうして軍政については、政府は責任を議会に対して負う。軍令については、軍令機関が天皇に直隷して独立運営する、こういう考え方をいたしておつたのでございますが、先ほど申しましたるごとく、現憲法のもとにおきましては、かような意味における軍政、軍令の区別ということは、いかなる意味におきましても、もはやそういう区別は許されない。こういうふうに政府といたしては考えておるのでございます。いわば完全に主権者たる国民の掌握下に保安隊、警備隊が存在する、こういうふうに考えております。
  188. 松本善壽

    ○松本(善)委員 しからば第二点として、私は保安庁設置案件について、陸上を代表する、すなわち予備隊、これの専門的なるところの参謀関係に属する幕僚長と、警備隊におきまする海上部門を代表するところの、専門的なるところの、参謀的な役割をする幕僚長、かような二つの専門的なるところの考え方から施行されるであろう、かように私は考えておつたのでありまするが、その経緯について、簡単に御説明を承りたいと思います。
  189. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 御質問の要旨は、保安庁の機構におきまして、第一幕僚長と第二幕僚長と二つ設けてございます。これがはたして二ついるかどうか、一つで間に合わないかという御趣旨かと存じます。立案の経過におきまして、第一幕僚長、第二幕僚長の二つを設けず、むしろ保安隊、警備隊を一人の幕僚長のもとに統轄する方が、海陸両部隊の一元的運用の上からいつてむしろ便宜ではないか、こういうふうな考え方もあつたのであります。しかしながら、最終的に第一幕僚部、第二幕僚部と並立せしめるに至りました理由は、そもそも幕僚部の任務というものは、これは第一に専門的な立場なら、専門的知識、専門的経験を基礎にいたしまして、部隊の運営について長官に助言する機関でございます。かような点から考えますると、幕僚部の構成は、部隊の運用について専門家的な立場にあるような、そういう構成の仕方をすることが必要であると思うのでございます。しかして今日の実情を考えてみますると、部隊は海上にもあり、陸上にもあるのでございますが、これらの海上、陸上の部隊というものは、いずれも非常に違つております。ひとしく国内治安を目的とするものではございまするが、しかしその装備において、組織において、また運動の方法において、あらゆる点において非常なる違いがございまするので、一人がよくこの双方について、専門家としての知識、経験を兼ね備えるというようなことは、とうてい現実にはあり得ないという実情であるわけでございまして、従いまして、専門家であることが必要であるところの幕僚長というものに、海陸双方を一人に兼ね備えさせるということは、ひつきよう海の部隊についての専門家でありまするならば、陸の部隊については専門家たる資格を失う。陸の部隊についての専門家をもつてすれば、海の部隊についての専門家たる資格を失う。こういう見地から、双方について専門的な意見長官が助言、勧告を受けるということを可能にいたしまするためには、海の部隊については海の専門家、陸の部隊については陸の専門家に幕僚長となつてもらうという以外に道がない、こう存じたわけでございます。従いまして、煩雑なようではございまするが、別個に幕僚長を設けることによつて、それぞれの専門家の専門的な意見というものが、長官に助言、勧告されることを可能になるような形をとることにいたしたわけでございます。もとより海陸双方の部隊について、別個の助言、勧告機関を設けます以上は、これらの二つの専門家の意見が、時として対立をするということも十分にあり得ることと存じまするが、しかしながらこれはこの両者を統合いたしておりまする長官が統裁をいたしますることによつて、おのずから一元的な方針というものを打出すことは可能でございまするので、双方幕僚長を別個にすることによる対立の弊害は、上層部の機構においてこれを解決するという方法に期待をいたしたわけでございます。
  190. 松本善壽

    ○松本(善)委員 次に第三点といたしましては、隊員の人事の面でありまするが、従来採用しておりまするところの隊員と、それから新たに士官学校なり兵学校を出られました方の採用についてでありまするが、この点については区別をしておるかどうか、この点であります。あるいは区別していないかどうか。
  191. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 警察予備隊創設の際に、一部の意見といたしまして、むしろ警察予備隊の装備、部隊組織、こういう点に着眼いたしまして、できるだけすみやかに能率的な部隊を完成いたしまするためには、むしろ旧軍人を幹部として採用することが適当ではないか、こういう意見もあつたのでございまするが、何分当時まだ旧軍人の諸君は追放制度にありましたためにこれらを採用することは法制上不可能であつたのでございます。幸いに昨年の夏ごろから、ぽつぽつ陸海軍人の一部の解除が行われましたので、相当予備隊に入つて、幹部として働いてみようという希望者もございまして、これらを逐次募集をいたして参りました。昨年八月から今日までに、約一千名を募集いたしております。また最近において、約一千名程度を募集いたす手続をただいま進行中でございます。この募集が完了いたしますると、旧陸海軍の正規将校にして、予備隊の幹部となりまする者は、約二千名ということになります。このほかになお数千名の幹部がおりまするが、これらの幹部は陸海軍の兵学校あるいは士官学校の卒業者でない人々でございます。これらの兵学校、士官学校の卒業以外の人々といえども、その大半は応召あるいは予備、一年志願、こういう形で軍務の経験は持つておる人たちでございます。予備隊といたしましては、これらの人々を幹部として今後活用いたすにあたりましては、その能率に応じ、その長所を生かすようにして地位を与えて参る、能力本位でやるのでございますから、従つて待遇について、方針として甲乙をつけるということは毛頭考えておらないわけであります。すなわち適材適所、その前歴等から考えまして、適当と認めるポストにできるだけこれをまわして使つて行くというふうにいたすべきものと思つておるわけでございます。
  192. 松本善壽

    ○松本(善)委員 第四点といたしまして、現在提案になつておりまする保安庁の設置の構想の大要において、あるいはまた私ども考えるならば、もちろんこれでは不十分であるとは思いまするけれども、ややもすると再軍備だというような話も一説には出たりするのでありまするが、私どもは決してさようではないと確信をしておるものであります。しかしまた、どうもかつて考え方のいわゆる軍隊的な色彩が出るのじやないかというような説も一部にはありまするが、この際われわれといたしましてもまた政府といたしましても、この二点の、いわゆる再軍備の論と軍隊というもののあり方から考えた面において、この際はつきりしておく必要があると思いまするがゆえに、政府のこの点におけるところの考えをあきらかに示してほしいと思うのであります。
  193. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 警察予備隊及び現在の海上警備隊の任務性格をそのまま保安庁法におきまする保安隊、警備隊に引継ごうという考えなのでございます。従いまして現在の警察予備隊あるいは海上警備隊が国内治安を担当するものでございまして、外国との交戦を目的とする軍隊でないと同様に、新しい保安隊、警備隊もやはり軍隊というべきものとは考えておらないのでございます。ただこれが部隊組織を持ち、また旧軍隊と類似したような装備を持つております関係上、実際隊内におけるいろいろな面におきまして、規律であるとかあるいは隊員の生活の仕方、こういつたことについて、軍隊と似通つた面は、これは多々あろうかと存ずるのでございまするが、特にさような場合におきましても、旧軍隊にありましたところのいろいろな弊害というものは、でき得る限りこれを除去いたしまして、真に国民のために国民が国内の治安を守るところの組織である、そういう実態を備えさせるようにこれを指導して参る必要がある、こう考えておる次第でございます。
  194. 松本善壽

    ○松本(善)委員 第五点といたしまして、最後にお尋ねしたいのでありまするが、本日の閣議においても、旧軍人に対しまするところの点について、閣議がいたされたと聞いておるのであります。そこで旧軍人におきまするところの幹部というもののあり方について、最後にもう少し本日の閣議の模様なり何なりを私どもとしてただしたいのであります。簡単に申し上げまするならば、先ほど兵学校出身あるいは士官学校出身の採用せられたる隊員に対しては、区別なくやるというようなお話もありましたが、かような点に立つて考えてみまするときにおいて、本日の閣議においてもかような問題が取上げられたと聞き及んでおるのでありまするが、この点についてもう少し詳しく最後にお尋ねしたいと思うのであります。
  195. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 予備隊と旧軍人との関係につきましては、いろいろな面から慎重に考えなければならない点があると存ずるのでございます。現在先ほど申し上げましたるごとく、約二千名を幹部として採用いたしておるのでございまするが、これらの諸君はいずれも新しい予備隊の任務性格というものをよく理解せられまして、真に国民の予備隊としてこれを育て上げるために非常な努力をしていただいておるわけでございまして、この点に対しては私は深く敬意を表しておる次第でございます。ただしかしかつての軍隊の装備と今日の警察予備隊の装備だけを比べて見ましても、相当な違いがあるわけでございます。従いましてこれらの諸君が今後真に予備隊の中枢幹部として活躍していただきますためには、新しい装備というもの、またこれを利用いたしました活動方式というものについて、よほど真剣に勉強をしていただく必要がある、こう私としては考えるのでございまして、機会のありますごとに、旧軍隊の経験をもつてそのままただちに警察予備隊の幹部として役立ち得るものであるという考えを持つておるものとすれば、これは大きな誤解ではなかろうかと思う。かつての経験というものが、今後予備隊の幹部として、の資格をつけるにあたつては、確かに一つのよい条件ではありまするが、しかしそれは単に将来の可能性の一つの条件にすぎないのであつて、ぞのままでただちに現在の予備隊に来てよい幹部になれるかというと、それはなかなかむずかしい。いろいろな面におきまして、予備隊の任務なり性格なりというものが違つており、装備も違つておる、こういう点につきまして一段と研鑽を重ねて、この予備隊の幹部にふさわしい資格をつけるには相当な努力を要する、まずそういう努力が必要であるということを自覚することが第一であり、その自覚に基いて現実に努力をしてもらうということが第二である。しかしながらこの第一、第二の条件が備わつたならば、過去の経験というものは、必ずや将来の予備隊の幹部としてものを言う時期がある。私どもは旧軍人の諸君につきましては、予備隊の幹部としてりつぱな幹部となり得る可能性は十分に認めておりまするが、しかし現実にその資格ありや否やということについては、なお大いに努力をしてもらわなければならぬ、こういう考え方でただいま指導をいたしておるような次第でございます。  なお今日閣議において問題になりましたのは、当委員会の御審議の過程におきまして、一部の委員の間におかれまして修正の議があるやに承つております。その点は保安庁の局長課長等の制服を着ない職員の幹部には現在提案いたしてあります規定では、旧陸海軍将校あるいは保安官、警備官の幹部はこれに就任することはできない、こう書いてあるわけでございます。しかしながら今日旧軍人の諸君がすでに追放も解除せられまして、あらゆる社会的活動の面において一般の国民と同様の資格を与えられておるわけでございますから、この際においてかような法制の上において差別的な待遇を与えるがごとき観を呈する字句を存置することは、かえつて国内に無用の相剋摩擦を招来するゆえんではなかろうか、こういうふうな理由からこの字句を削除してはどうだろうかという御意向もあるように聞いております。この点につきまして、いろいろ閣内で話し合いました結果、旧軍人を保安庁の局長課長等の幹部に任用することは必ずしも適当ではない、むしろ任用しないという考え方が正しいかもしれぬが、しかしそれは将来の実行においてさようにすればよろしいのではないか、これを必ずしも法制上禁止する必要はないではないか、すなわち違法な任命としてこれを制限する必要はなかろう、こういう趣旨につきまして、国内の無用の相剋摩擦を惹起するようなおそれ等も十分考慮の価値ありと認めまして、さような修正の御意向が現実に委員会において取上げられた場合においては、政府といたしましても、これに対して反対の意見を持つものではないということを閣内において確認をいたした次第でございます。
  196. 松本善壽

    ○松本(善)委員 以上で終ります。
  197. 八木一郎

    八木委員長 本日の質疑通告者は一応全部終りました。本日はこの程度にいたし、次会は明二十四日午前十一時より開会いたします。議案は公報をもつてお知らせいたしますが、今日までの審議過程において格別問題のなかつたと思われます議案十余件につきまして、討論採決を行いたいと存じます。  本日はこれをもつて散会いたします。     午後五時五十七分散会