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1952-03-31 第13回国会 衆議院 内閣委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年三月三十一日(月曜日)     午後一時四十六分開議  出席委員    委員長 八木 一郎君    理事 青木  正君 理事 大内 一郎君    理事 船田 享二君 理事 鈴木 義男君       木村 公平君    田中 萬逸君       平澤 長吉君    本多 市郎君       山口六郎次君    平川 篤雄君       松岡 駒吉君    今野 武雄君  出席国務大臣         国 務 大 臣 大橋 武夫君  出席政府委員         警察予備隊本部         長官      増原 恵吉君         警察予備隊本部         次長      江口登留君         警察予備隊本部         裝備局長    中村  卓君         警察予備隊本部         経理局長    窪谷 直光君  委員外出席者         警察予備隊本部         長官官房文書課         長       麻生  茂君         警察予備隊本部         警務局警備課長 後藤田正晴君         警察予備隊本部         人事局人事課長 間狩 信義君         警察予備隊本部         医務局医務課長 須江杢二郎君         専  門  員 龜卦川 浩君         専  門  員 小關 紹夫君     ――――――――――――― 三月三十一日  江花靜君及び鈴木義男君が理事に補欠当選した。     ――――――――――――― 三月二十九日  軍人恩給復活に関する陳情書  (第一〇五〇  号)  老齢者軍人恩給復活に関する陳情書外一件  (第一〇五一号)  同  (第一〇五二号)  同  (第一〇五三号)  同(第  一〇五四号)  同(第  一〇五五号)  同(第  一〇五六号)  同(第一〇  五七号)  同(第一  〇五八号)  同外一件  (第一〇五九号)  同  (第一〇六〇号)  同  (第一〇六一号)  警察予備隊徳島県誘致に関する陳情書  (第一〇六三号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  理事の互選  警察予備隊令の一部を改正する等の法律案(内  閣提出第一二四号)     ―――――――――――――
  2. 八木一郎

    八木委員長 これより会議を開きます。  本日は、警察予備隊令の一部を改正する等の法律案を議題といたし、質疑を行います。  質疑に入ります前にお諮りいたしますが、理事でありました江花靜君及び鈴木義男君が、先日委員を辞任され、再び委員に選任されましたので、両君を理事に御指名するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 八木一郎

    八木委員長 御異議なければさよう御指名いたします。  これより質疑に入ます。質疑通告順にこれを許します。今野武雄君。
  4. 今野武雄

    今野委員 先日大橋さんに質問したのですが、十月ごろから何か特別保安隊とか保安庁というものをつくる、そのことについて質問したところが、そのときには別に特別新しく何かするのじやない、現在警察予備隊がいささか今までの建前と違つて来ている、そういう現状になつているので、その現状を明確にするためにやるのだ、こういうようなお話があつたわけです。それで質疑を中止になつたので、そのままになつておりますが、その後その点は一体どうなるのか。特にどういう質問をするかということをあなたの方から聞きに参つたものですから、その現状が今までの予備隊令建前と違つておる、どういう点で違つて来ておるか、その現状をひとつ明らかにしてもらいたい、そういう注文を出しておいたのですが、江口さんの方でお聞及びと思いますので、それを聞かしていただきたいと思います。
  5. 江口見登留

    江口政府委員 先般大橋大臣から、予備隊現状が現在の法規の内容とかわつて来ておるというようなことを言われたというふうには、私は拝聴いたしておりませんので、つまり発足以来一年有半の経過からいたしまして、多少予備隊に関する法律が上程されまする際には、そのうちにこれも加えておいた方が適当であろうというふうな、條文の整理的な意味改正を附加いたしたい、かように考えておるだけでございます。予備隊の性格がかわつて来るとか、それに基いて任務もかわつて来るとか、そういう方面における著しい改正をしなければならぬというふうには考えていないというふうに、大臣お答えつたのだろうと思います。私もそう思います。
  6. 今野武雄

    今野委員 その点は水かけ論でありますから、ひとつ議事録を取調べた上、なおはつきりさせたいと思います。議事録には確かにそうなつておると思います。私はこの耳ではつきり聞いたのです。それではこれはあとに譲ります。  それからいろいろな問題があるわけですけれども、第一に募集の問題についてお聞きしたいと思います。今度の改正案にも募集のことがありまするが、けさの新聞によりますと、何でも募集は、正確には忘れましたが、四月の三十日だかに締切つて、そうして試験をするという話です。実隊あちらこちらの状態を見ますと、各村にも割当があつたり、あるいは学校などにも前から募集ビラが出ている。それから参議院での警察ノートの問題での証言によれば、あそこでもつて教授などの調査をいたしたのは、警察予備隊員募集関係して調査したのだ、こういうような話でありましたが、今度の募集はこの法案がきまつてから募集するのが建前じやないかと思うのです。しかるにこういうものがすでにきまつてしまつたという想定の上に立つて、すでに参集をやつておられる。どういう権限に基いてそういうことをやつておられるか。そうしてそれの費用等は一体いかなる費用から捻出しておるか。その点をひとつ聞きたいと思います。
  7. 江口見登留

    江口政府委員 本日の新聞警察予備隊募集広告が出ましたことは御指摘の通りであります。私どもといたしましては、予算の御審議をお願いいたしました際に、十一万にいたしまする予算の中身をすでに御検討いただきまして、国会の議決を経たものと考えまして、募集準備に着手いたしましてさしつかえないものと考えて発足いたしたのであります。従いましてこの法案の十一万にいたしまする改正も、その予算審議の一連の御審議として議決していただけるものとかように信じまして、われわれ準備に着手いたしたのでございます。  それから募集事務費用は、二十六年度におきましても、昨年も要員を募集いたしました。従つて募集費というものは、本年度におきましてあるわけであります。その多少の経費のやりくりは大蔵省と協議の上行うことにいたしまして、今年度の分及び来年度におきましても募集費はあるわけでございますから、それらにつきましては、来年度分として四月以降来年度予算から支出する、こういうつもりで事務を処理して行きたいと考えております。
  8. 今野武雄

    今野委員 ただいま予算がきまつたからと言うのですが、きようの広告はなるほど予算がきまつてから後です。しかし実際に広告ビラが出ているのはずつと前からです。学校で三学期が始まる前からみんな出ているわけです。これはまだ予算などは審議されていない、そういう時期に募集ビラが出ておるわけなんでして、明らかに新学期に卒業する大学の卒業生を目ざして募集ビラが出ているわけです。そうしてみると、これは法律もなければ予算もまだ何もない、こういうときにすでに出ておるわけでありますから、はなはだ不当だと思う。先ほどの話にしましても、御協賛いただけることと思いまして、すでに広告を出しました、こういうことは、まるで国会をなめている言いぐさではないかと思います。自分の方で提案すれば、国会は必ず通るのだから大丈夫だ、與党が多数だから大丈夫だ、こういうことなら国会はいらないわけで、そういう点でこれは責任をとつてもらわなければならぬと思いますが、一体だれが責任者なんですか。
  9. 江口見登留

    江口政府委員 三月ごろに募集の要領みたようなものが学校あたりに掲示されたと申しまするのは、これは今度の増員に対する募集ではないのでございます。つまり本年大学を卒業する者、ないし本年までに大学を卒業しておつた者の中から、予備隊一般幹部及び医官幹部募集する計画を前から持つてつたのであります。その募集を実施いたしまするためには、本年卒業する学生等にも呼びかけるために学校当局にもお願いしまして、その幹部募集の掲示を学校あたりに出したものであります。十一万にするための隊員募集とは全然関係がございません。
  10. 今野武雄

    今野委員 そうすると今まではつまり人数がそろつてなかつた。それでその人数範囲内での募集をしたと、こうおつしやるのですね。
  11. 江口見登留

    江口政府委員 医官につきましてはそういうことも申し上げられまするし、また医官につきましても、ただちにそれを幹部とするのではなくして、半年あるいは数箇月の訓練期間というものを経まして、それから幹部に登用するわけでございます。大学卒業者の方は幹部予定者として採用するのでございます。やはりこれも六箇月ないし八箇月の間採用してから訓練いたしまして、そうしてその後数箇月を経て幹部にするのでございます。
  12. 今野武雄

    今野委員 そうするとそれは予定者であつて、今までの定員外なんですね。
  13. 江口見登留

    江口政府委員 つまりそれは随時幹部募集を今までやつて来ておりますし、今までの予定の中に含まれていたと申し上げてもよろしゆうございますし、やはり今申しますように、十一万にいたしまする際に多少幹部もいりまするので、本年卒業した大学生を入れまして数箇月教育して幹部に登用する。これは両方を目的とするものだと申し上げたいのでございます。
  14. 今野武雄

    今野委員 そうするとその人たち幹部養成ということで予備隊に入る。そうすると予備隊定員というものはさまつているわけですが、将来はその定員内に繰入れるのだと思いますけれども、そうするとその人たちはどうなるのですか、必ず採用するということになるのですか。つまり一般的な学校教育じやないと思うのです。あるいは法務府の研修所みたように、出てから弁護士になつても何になつてもよい、こういうものじやないと思うのです。やはり警察予備隊の人間にどうせなるだろうと思いますけれども、そうすればそういうのはやはり将来を見越して募集したということに結局なりはせぬかと思うのですが、その点はどうなんです。
  15. 江口見登留

    江口政府委員 現在その募集を始めます前におきましても、幹部の数は非常に不足いたしておるのでございます。随時機会がありますれば幹部募集して参つたのでございまして、それらの学校卒業者を採用しまして教育いたしますのも、今までの幹部募集だということにはなるわけでございます。それらはただいま申し上げましたように、六箇月ないし八箇月の教育を経まして、あとしばらく見習いをいたしますれば身体的に特殊の事情がなければ大部分のものは幹部として採用されるものとお考えになつてさしつかえないものと思います。
  16. 今野武雄

    今野委員 その点まだよく調べて見なければわからない。人数などについてもはたして募集している人数がそういうような建前でやつておるということと合うか合わぬか、こういうことはやはり調査して見なければわからぬことであります。そういう時間のこともありましようから、私どもこうやつて法律審議を非常に急げ急げと言われておるのですが、何だか政府からまるで命令でもされているかのような調子でもつて急がれておる。そうしているうちに、政府の方ではこつちで何もきめないうちに募集広告を出してしまう。これではまるでほんとう国会というものは政府の思うようになるものである。こういう前提に立つて、すでに事柄を実行しているわけなんです。それできよう広告を出した責任者は一体たれであるかということをお聞きしているのですが、お答えがなかつたので、もう一ぺんお聞きします。
  17. 江口見登留

    江口政府委員 総理大臣及びその担当国務大臣ないし警察予備隊長官の御相談の結果、その予備隊関係者責任者として募集広告を出したわけであります。
  18. 今野武雄

    今野委員 つまり総理大臣最高責任者としてきようの広告は出した、こうおつしやるわけですね。
  19. 江口見登留

    江口政府委員 そうです。
  20. 今野武雄

    今野委員 それではその次にやはり募集関係したことでお尋ねしたいと思うのです。それは、現在の警察予備隊におる人たちは七万五千人の定員となつていますけれども、実際の人数は一体どのくらいですか。
  21. 江口見登留

    江口政府委員 それは三月十三日現在におきまして、七万四千四百八十八名になつております。
  22. 今野武雄

    今野委員 それで、この人たちは九月でもつて約束期限が来るわけですけれども、このうちでもつてあとに継続して残るとか、あるいはやめるとか、いろいろあると思いますが、そういう御調査はなさつておられるのでしようか。
  23. 江口見登留

    江口政府委員 一昨年募集いたしました際には、御承知通り二年たつたら六万円を特別退職金として支給するということがはつきりいたしまして、募集したのでありますが、この秋に二年の任期が切れる者につきまして、その者が再び任用を志望した際に、それらを二年後やめたときにどういう條件待遇するかという問題が、まだ最後的にはつきりいたしておりません。もちろん今日新聞広告を出しましたが、新たに今度入つて来る一般隊員につきましても、二年の任用期間が過ぎた後にどういう特別の待遇が行われるかということにつきましても、まだ一両日財政当局との折衝を要しますので、その辺はまだ未確定でございます。従つてそれらが確定した後に、現在おります隊員について、その何割くらいが、再び二年の任用期間をもつて採用されるかということの調査を開始いたしたいと考えております。
  24. 今野武雄

    今野委員 今のお答えによると、まだ六万円出すか出さないか、きまつていないということなんですけれども、そうすると、もしきまつたら、また法令の改正をやるのですか。
  25. 江口見登留

    江口政府委員 六万円の特別退職金支給に関しましては、警察予備隊令は、御承知通りポツダム政令で出ておりました関係上、六万円の退職金支給するという法規政令で規定したわけでございます。しかし今回ただいま御審議をお願いしております政令法律に直すという案の中には、そういう特別退職金がもし出るということになりますならば、その規定も挿入いたさなければならぬかと存じます。しかしながら大体の方針といたしまして、そういう高額の特別退職金支給しないで、それにかわる何らの待遇方法を考えようということで出ておりますので、法律として御審議を願う必要はないのではないか、かように考えております。今考えておりますのは、たとえば今までにはそういう制度はありませんでしたけれども、二年のうち一年につき一回はその者を郷里に帰して、その郷里に帰すときに、それに旅費支給するとか、あるいは一般行政機構改革等におきまして職員が退職する場合の普通の退職金を出すとか、そういう特別の六万円にかわる制度を考えておりますので、そうなりますと、これは法律として御審議をしていただかなくとも済むのではないかと考えまして、この中にも入れてないのであります。
  26. 今野武雄

    今野委員 これは公務員の給與等に関しては、やはり法律が必要なわけです。そのことはよくおわかりだろうと思うのですが、必要でないという理由はさつぱりわれわれにはわからない。それでこの募集期限が五月三日というようになつて、しかもそのときに募集に応じて来る人は、そういう待遇等についてもいろいろ考えて来るだろうと思う。そうすれば、その前に法律の上で給與に関することが規定されてなければ、これはまたさつきと同じように、そのうちに法律もかえようと思うというように、そのかわることを予定して、手かげん約束をするのだ、そういうことになつてしまうので、この点は国の行政やり方としてはなはだ筋の通らないことになつてしまうと思うのですが、その点は一体どうなんですか。
  27. 江口見登留

    江口政府委員 もちろん募集新聞広告などいたしましたが、とても一回やそこらでは徹底すると思いませんので、なお今後も新聞広告をするつもりでございますが、それまでには今申し上げましたような條件もきまると存じますので、この次の広告にはそういう條件を詳しく書いて、応募する者と申しますか、入隊を決意する者の資料のために明らかにしたい、かように考えております。それからそういう一般行政整理などに伴います特別退職金とか、あるいは旅費支給方法などに関しましては、もちろん法律に根拠がなければなりませんけれども、その運用面におきまして、あるいは大蔵大臣と協議し、あるいは政令とか総理府令とかいうものを制定することによつてまかない得る部分もあろうかと存じますので、ただいま申し上げましたような事柄は、そういう方法で取扱い得る範囲のものである、かように考えております。
  28. 今野武雄

    今野委員 大体そういう範囲内でまかない得るものだとすれば、たとえば六万円の退職金といつたような特別支出予定しないでできるもの、従つて六万円の件はやらないときめた、こういうふうに考えてよろしいわけですか。
  29. 江口見登留

    江口政府委員 前回行いましたような六万円の特別退職金支給いたさない、そういうふうに考えております。
  30. 今野武雄

    今野委員 それで一応はつきりしたのですが、そうすると、今度九月に期限の切れる人たちは、前にちやんと六万円ということになつているのですが、これは退職金を間違いなく全部に渡すかどうか、その点もう一ぺん伺いたい。
  31. 江口見登留

    江口政府委員 それは政府の公約でございまして、約束通り六万円支給して退職させる。あるいは再任用するときには、その際六万円を支給して再任用するとこういうふうに決定いたしております。
  32. 今野武雄

    今野委員 今日警察予備隊内部でいろいろな話を聞くわけであります。つまりそういう調査がすでになされている。それからまたこれからもするが、久里浜などの場合に二回ばかりなされている。そしてさらにその際いろいろな話が耳に入る。というのは、もう自分はやめるのだというと、何かつまらぬ私行上の問題その他によつてけちをつけられて、解職、懲戒免職というようなかつこうにして、六万円はもらえないのだ、こういうようなことが話に出ているのです。そういうようなことになると、これははなはだ問題だと思うのですけれども、六万円やるかわりに無理やりに継続しろというようなことにでもなると、非常にやつかいな問題だと思うのです。そういう点はもちろんいけないことですが、これは、していないということをはつきり言えるかどうか。
  33. 江口見登留

    江口政府委員 一、二の場所におきまして、大体の見込みをつけて行きます意味から、大体どの程度やめるだろうか、どの程度残るだろうかという大ざつばな見込み調査と申しますか、別に詳しい書面に刷つたもので一々詳細にとつたのではございませんが、そういう見込み調査を一、二の営舎でやつたことはございます。それは事実でございます。しかしその際、残らないと言つた者に対して、無理に残れというような強制などとても加えられるものではございませんし、またそういうことをして隊員自由意思が阻害されるということがあつてはもちろんなりませんし、そういうような多少でも強制がましいような話をしたということは、われわれとしては承知いたしておりません。もちろんただいま申しました條件はつきりいたしますれば、正式に残るか残らないかということを調査いたしますけれども、もとよりそれは本人の自由意思によつて残る残らないをきめるのでありましてその際に強制がましいことはやるべきでないということは仰せの通りと考えております。
  34. 今野武雄

    今野委員 それから見込み調査をやられたという話ですが、その見込み調査の結果は一体どの程度になつておりますか。その推移はどうなつておるか、いつごろどういうような結果になつたかということを知らせてもらいたいと思います。
  35. 江口見登留

    江口政府委員 全般的にやつたわけではございませんので、二、三のキヤンプでやつた調査の結果を聞いてみましても、非常にまちまちでございます。どうも三分の一はやめそうだ、三分の一は残りそうだ、あとの三分の一がまだ未決定な段階にある。あるいは残ると言う者が四十何パーセントで、はつきりと残らないということを言つた者がたしか一七%ですか、残りが未決定であるとか、その調査をやりましたキヤンプによりましても、その数字はまちまちでございます。しかしこれは全般的に正確な調査をしたわけではございませんので、ただいま申しました條件がきまり次第、全国的にはつきりした、もう少し詳しい調査資料調査をした数字を出して参りたい、かように考えております。
  36. 今野武雄

    今野委員 これは新聞に出ておつたことですから、そのつもりで聞いていただきたいのですが、新聞によれば大橋さんは、どうも残る者が少い—私の聞いておるのでも二回やつたのでは、あとの方が残る者が少くなつておるというような数字も聞いておるのですが、そういうような残る者がだんだん少くなりそうだということと、それからして募集してみたところが、どうもその成績が芳ばしくないということから、退職金の問題は何とか残してもらいたいということで池田大蔵大臣と交渉した。しかしその交渉の結果がうまく行かなかつた、こういうふうに出ておるわけですが、そうしてみると、やはり今の見込み調査というのは、相当重要な役割を勤めているのではないかと思うのです。ですから私どもとしては、厖大なものでないでしようから、それをぜひ書類でもつて出してもらいたいと思います。それからして募集状態につきましても、先ほどのような問題があつたそうでございますから、芳ばしくなかつたというのは一体どの程度であるか、それをひとつ報告してもらいたいと思います。
  37. 江口見登留

    江口政府委員 ただいまの見込み調査と申しまするのは、ほんとうにずさんな調査と申してもいいかと存じますので、特にわれわれの方から、あるいは総隊総監部の方から、こういうふうにと様式を指示して調査したのではなくて、ただ、それぞれのキヤンプヘ、君のところではどういうふうな見込みになりそうかということを一、二聞いた程度でございますので、これを政府責任ある当局から国会に御提出する資料としては、はなはだ貧弱なものではないか、かように考えておりますので、ただいま申しましたように、條件のきまり次第正確なものをつくりたいと思いますので、その資料でごかんべんを願いたいと存じます。それから今の、募集がなかなか困難であるという見通しであろうということでございますが、これはただわれわれの事務的に研究いたしました結果、非常に困難ではないだろうかという気持の上から、やはり相当に待遇をよくしなければ応募者が減るのではないか。最初におきましては五、六倍の応募者がありましたし、去年の秋には四、五倍の応募者があつたのであります。それだけの人数をやはり今度の募集にも維持するといたしますれば、どうしても六、七万の欠員に対しての補充ということを考えますと、二十万人以上は応募してもらわないと、いい素質の者がとれない。そういう数字は去年の秋の数字から見ましても、ことに採用にあたりまして、むしろ悲観的な材料が多数に出て参つておりますので、募集が相当困難ではないだろうかという見込みのもとに、そういう特別の手当を出すべきではないかということで、大臣大蔵大臣に折衝されたものと、かように考えております。
  38. 今野武雄

    今野委員 今までの残留希望者が少いだろう、さつきも三分の一はつきりやめそそうだというようなところも出ておる。そういう状態あるいは募集が困難なような情勢である、悲観的であるということは、一体何に原因するかと考えられるか。さつき解決方法として事務当局が提案したやり方を見ると、それはお金をやれば解決する問題であるかのような印象を受けるわけです。はたして、さようなものであるかどうか。どういうような理由でそういう悲観的な結果が出るのか、その点をひとつ……。
  39. 江口見登留

    江口政府委員 事務的に考えますると、今申しましたように、六万円の特別退職金はいよいよ出ないことになつた。これが一つの非常にマイナスの條件であります。それにかわる何かの方法を考えようといたしておりまするが、とうていそれらを金額に見積つてそういうものに達するほどの多額なものでないことは御想像がつくだろうと思いますし、そういう待遇の点から申しましても、非常に募集が困難である。それから昨年の秋に約八千五百人を募集いたしました際に、応募者が四万二、三千名あつたのであります。この応募者数字から考えてみましても、応募者の方は予備隊の方で何人とるかというようなことは、あまり問題にせずに、その際応募し得る人間がやはり応募して来たのだと考えます。ですから、去年の秋に八千五百人採用する場合に、四万二、三千名応募したからといつて、二万五千名募集すれば十万、十五万の者が来るということは想像できないのでありまして、やはり八千五百名の三倍、四倍募集されるとしても、四万二、三千名という数字は、そう急激にふえないのじやないかというふうなことから想像いたしまして、本年六、七万の欠員を募集する際に八千五百人のその倍数で応募者があろうとはとても思えませんので、その意味からも今度は非常に困難ではなかろうかということをいろいろ想像しておるわけです。
  40. 今野武雄

    今野委員 そういう状態が何によつて来ておるか。予備隊を希望する者が国民の中にそれほど多くないだろう、ということは、どうして応募しないだろうか、もし予備隊政府の強調するように、そうして予算の上であれだけ費用を使う、それだけの重要性というものを国民が納得しておるのなら、こんなはずはないと思います。ところがそれはつまり納得していないのじやないかとわれわれとしては想像するわけですが、そういう応募をする見込みがあまりないということの原因を一体どう考えておるか、こういう質問なんです。
  41. 江口見登留

    江口政府委員 まだいろいろ事務的に申しますると、悲観的材料があるのであります。たとえば一昨年七万五千を採用いたしました際には三十八万人の応募者があつたのであります。この際には十八才から三十五才までの隊員を採用することにして募集したのであります。年の上の者あるいはその者の経歴によりましては、いきなり幹部に採用される希望があつたわけであります。従いましてその経歴により自分幹部になり得るというつもりで入つた者もあつただろう思うのでありますが、今回募集いたします分につきましては、十八才ないし二十五才までの若い青年層を採用するわけでありまして、それらはよほど成績の優秀な者でなければ三等警察士補以上の階級には上れないであろう、つまり二年たてば大体また帰郷する隊員であろうということが想像されまして、従つて最初の募集のように、ただちに幹部になれるという希望を持たずにやつて来る者ばかりでございますので、この点も今度の募集が非常に困難ではなかろうかという一つの悲観材料になつておるわけでございます。それも一つの材料としてつけ加えておきます。
  42. 今野武雄

    今野委員 ただいまのようなことがおもな理由だとすると、これは重大事だと思うのです。つまり幹部になつていばりたい、星をたくさんつけたい。こういう人たちが多く応募するということになれば、これは国民のためのものであるというよりは、国民の上に立つてそれを左右したいというような権力欲の現われじやないか。そういう権力欲を持つ者が多く応募するようになると、それではこれは一体何ができるのかさつぱりわからない。軍国主義の再現ということが非常に恐れられているけれども、まさにそういうふうな傾向を持つ者が多くなるということを意味するわけです。これでは警察予備隊の性格というものはつまりまる出しになつてしまうわけです。政府は一生懸命これは軍隊ではないとかいろいろ言つておりますけれども、そういうような理由だけだとすれば、これは重大問題だと思うのです。もつとほかにわれわれを納得させる理由があるかどうか。つまり幹部になれる希望がなければこんな警察予備隊などへ入ることはあまりいらないのだということになりそうですけれども、そういうところは一体どうなんですか。
  43. 江口見登留

    江口政府委員 私の申し上げましたのは、一昨年はそういう希望を持つた者が参りましたので、その応募階層が非常に多かつたということを申し上げたのであります。たとい二年の任期として入つて参りましても、将来幹部になれるという見込みがある方の応募者が多いか、ない方の応募者が多いかということは、幹部になれる道も十分に開かれているということの方が応募者が多いであろうということは、御想像がつくと思うのであります。そういう意味で申し上げたのであります。  それからその他の悲観材料はないかというお話であります。これはまだ正確に数字がつかめておるかどうかわかりませんが、その後のわれわれが期待いたしております新しい隊員の供給源であります農村方面の人口の調査ども、いろいろな資料で集めてみたのでありますが、これも幾分減少しておるようでございます。それから失業者数も、労働省の統計によりますと、おととしに比べますと相当減少しておるというような数字が出ております。  それからもう一つは、一昨年募集いたしました際の給與は、最低が四千五百円だつたのであります。それが先般の一般公務員給與ベースの改訂によりまして、四千五百円が五千百円に上げられましたが、しかしこの五千百円に上げたということ自体が、ほかの物価の上昇の程度、あるいはその他の点から申しましても、必ずしもおととしの四千五百円に比べて、今回の五千百円がはるかに上であるということは申し上げられないのでありまして、給與に対する魅力もおととしよりは減つておるというふうに考えられのではないかというような種々の点が、今度の募集に際して応募者がどの程度かということにつきましてわれわれが危惧いたしております一つの点であります。
  44. 八木一郎

    八木委員長 今野君に申し上げますが、まだ増原長官にも大橋国務大臣にも通告を受けておりますから、続いてお許しはいたしますが、次長に対する質疑は平川君の方からの通告もございますので、適当に打切つていただきたいと思います。
  45. 今野武雄

    今野委員 これで打切ります。私はたいていわかつたのですけれども、どうも私ども政府の考え方が非常に不統一だと思う。給與の点については私どもはあなたと同じように反対なんです。今のような公務員の給與じや困る。物価の上昇に追いついていないということを主張しておるのです。政府の方としてはそれでもいいのだと言つておるわけですが、政府委員の答弁の通りだとすれば、これは非常に不統一な答弁だということになるわけです。それから農村の過剰人口が若干緩和されたということ、これについては私は争いません。事実は政府の見解と違うところがあります。事実としてはちよつと受取りにくいのでありますけれども、しかし農村の過剰人口をなくすることは政府としての政策なんです。それから失業者をなくすることも、これは政府としての政策であるということを毎度言つておるわけです。そうすると政府の政策をそのまま実行すれば、つまりこの調子だとすれば、予備隊募集は困難になるわけでありますが、どうもこの点が不可解に思われるのです。政府部内でもつてその点はつきり統一されてないというふうに思うのであります。もしも予備隊人数をふやそうとすれば、つまり失業者数をふやす、あるいは農村の過剰人口をふやすような政策をとらなければならない。事実吉田内閣はそういう政策をとつておるように私ども考えておりますけれども、そういうような点で非常に不統一に見られるわけですが、この点もつと権威のあるお答えができるようにしていただきたい。もしこの席で答えられなければ、文書等によつて明らかにしてもらいたいと思います。
  46. 江口見登留

    江口政府委員 いろいろな施策の影響が、他の方面に影響して参りますことは当然のことであります。従つて農村の過剰人口が減つておるとか、失業者の数が減つておるとかいうことは、一方における事実を條件として予備隊の応募がどうなるかということを申し上げたのでありまして、この施策の間に矛盾があるというふうにはわれわれ考えていないわけでございます。
  47. 八木一郎

  48. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 前会に引続いて大橋国務大臣にお尋ねいたします。今度の改正案によりますと十一万人にするということになつておりますが、その根拠はどういうことであるかお尋ねいたしたいのであります。一昨日の御答弁のごとく、主として国内の治安に当るという警察予備隊であるとすれば、現在の七万五千でも、われわれの見解では十分であり、むしろ多いくらいに考えられるのであります。それをさらに十一万にふやすということの必要は、どういう御見解に基くか承りたいと思います。
  49. 大橋武夫

    大橋国務大臣 現在の治安状況からいたしまして、予備隊の増強を必要と考えておりまするばかりでなく、現在の四管区隊の十分なる活動を期待いたしまするためには、その後方部隊の充実を現在以上に増強する必要があり、またある方面を直接指揮させるための方面総監部の増設も必要と考えられるほか、学校等の増設、充実をはかることにいたしまして、この三万五千名の増員を計画いたした次第でございます。
  50. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 現在の七万五千人にさらに三万五千を加えた十一万に対しては現在の装備よりももつと十分な装備をお與えになる予定でありましようか。
  51. 大橋武夫

    大橋国務大臣 数がふえだけそれだけ量的にはふえるわけでございますが、質のかわつた装備とか質的な面につきましては、ただいま別に考えておりません。
  52. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 何か新聞紙等の報ずるところによると現在持つているカービン銃であるとか、ライフル銃、機関銃、ロケツト発射機その他のほかに普通の大砲とか、あるいは飛行機とかの装備もするというようなことが伝えられておりますが、そういうことは間違つた報道でありましようか。
  53. 大橋武夫

    大橋国務大臣 現在のところ予備隊といたしましては、具体的にそういう計画を立てる段階に至つておりません。しかし編成その他の点から見まして、多少の研究はいたしております。その程度でございます。
  54. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 そこでこれらの装備—武器と呼んでいいと思いますが、武器は日本産のものでありまするか外国産のものでありますか。外国のもののように聞いておりまするが、そうすると、これは借りておるものであるか、もらつたものであるか。借りておるものならば単に日本政府は管理しておるだけか。そういう点をお伺いしたい。
  55. 大橋武夫

    大橋国務大臣 現在の武器は、ことごとく米国製のものでありまして、アメリカ軍が日本において管理いたしておりまするものを、事実上使用いたしておる状態でございます。従いまして、これは日本政府政府として借りたというわけではなく、事実上必要な場合に使用を認められておる状況でございます。
  56. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 使用を認められておる、そうすると、管理する権限を、警察予備隊長官は持つておらないのでしようか、持つておるのでしようか。
  57. 大橋武夫

    大橋国務大臣 警察予備隊長官は、武器の管理については、ただいまの段階において、何ら権限を持つておりません。
  58. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 そこで、十一万というと相当の数であります。この装備をあわせて考えると、相当な保安、防衛力とでもいいますか、わが国の現在の治安の状況というものは、しかく憂慮すべきものがあるのでしようか。さしつかえない限り具体的にお答え願いたい。
  59. 大橋武夫

    大橋国務大臣 現在の段階におきましては、米国占領軍が全面的に日本の治安について責任を負うておられるわけでございまするが、講和発効に伴いまして、これらは駐留軍にかわりまして安全保障條約の條項に基いて、日本におきまする任務を担当いたすわけでございまして、今日の日本の実情から見ますると、日本独力をもつてしては十分なる国内治安を維持することができないために、大規模なる内乱等の場合におきましては米軍の援助を期待せざるを得ないという実情であるわけでございます。これらの実情から考えまして、国内における警察予備隊を増強するということは、政府といたしましてはきわめて必要なことであると、こう考える次第でございます。
  60. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 最近の新聞紙等を見ますと、非常に一部の人々の治安を撹乱するような行動について報道されるのであります。われわれも若干その形跡は認めて、十分治安のためには注意をしなければならぬと考えておりますが、しかし新聞紙などの報道が非常に誇大にされているというように疑われる節が多いのでありまして、何か、ためにせんがためにわざと国内治安が非常に危険の状態にあるというふうに政府が宣伝するとは思いませんが、あえてそれを黙認しておくというような形をもつているように思う。かつて治安維持法をつくりました当時も、つまらないことも非常に誇大に報道して、そうして治安維持法の必要を感ぜられるように仕向けたという形があるのであります。そういうことのないことをわれわれは希望するのでありまして、政府はそういう点についても十分にひとつ御留意を願いたい、そういう意味において新聞紙等の報道の中に誇大なものがあるのではないかということをお尋ねいたしておきたい。
  61. 大橋武夫

    大橋国務大臣 従来戦前等におきましては、共産党関係、ことに治安維持法関係の犯罪につきましては、捜査の段階において新聞記事のさしとめ等の手続をいたしておつたように聞いております。さような状況のもとにおきましては政府が一切実情を秘密にいたしまして、そうして政府当局の発表を通じてのみ新聞社も取材することが可能である。かような状況に追い込んでおりました関係上、政府がその意思があれば事件の内容を誇大に発表するということも可能であつたわけでございます。しかしながら今日におきましては、この種の事件についても何ら政府といたしましては新聞記事のさしとめというような措置を法律上認められておりません。従いまして新聞の取材はまつた新聞社の自由に取材するところであります。むしろ捜査当局といたしましては、事件捜査の上から申しまして、新聞に載らないことが捜査上望ましいというような事項までも、容赦なく新聞の記事になるというような事実でございまして、私は今日の段階におきまして新聞紙の取材はまつたく自由である、こういうふうに確信もいたし、また事実によつてそうであることを承知いたしておるような状況でございます。従いまして最近におきまするいろいろな事件に関する新聞紙の報道なるものは、まつた新聞社の自由取材の結果でございまして、その内容について政府がこれを小さくする、あるいは大きくするというようなことに何らの作為を用いておるものではないのでございます。ただその結果が誇大であるか、誇大でないか、その点は新聞社の見るところによつて記事をつくられるのでありまして、私も係の関係上事件の実情を十分に承知いたしておりませんから、はたして誇大なりやいなや申し上げかねまするが、大体事実を事実として報道されているというのが実情ではなかろうかと存ずるのでございます。しかしながら御注意の点はまことにごもつともな点でございまするので、なお事実の真相を調べまして、多少事実が誇大に報道されているというようなことでもありましたならば、それを政府全体の立場といたしまして真実を明らかにするという意味において是正する措置を講ずるということは、これは当然のことと存ずる次第でございます。十分に将来注意をいたしたいと存じます。
  62. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 ただいまの誠意ある御答弁を私は多とするのでありますが、実際この捜査当局が発表しなければわからないようなことが多々発表されているわけでありまして、それは発表するときに誇大に発表したという証拠もありませんけれども、しかし十分注意を喚起することによつてこれはある程度押え得ることであると信じますので一言いたすわけであります。  次に徴募の方法についてお尋ねをいたしたいのでありますが、この法案だけではちよつと簡単でわかりませんが、府県知事、市町村長の助力まで、国家地方警察及び自治体警察の助力まで求めるということになつている。この徴募の方法はただいままでやつて来たことを変更するのであるか。それから徴募する者の年限、給與等—先ほど次長から一応の御答弁がありましたけれども……。それから応募した者に将来予備役的な応召義務のようなものを課するというような構想がおありになるのか。それから退職手当のことは、ただいまのところまだわからないという次長のお答えでありましたが、その点はどういうふうにお考えになつているのでありますか承りたいのであります。
  63. 大橋武夫

    大橋国務大臣 まず第一に募集事務の一部に関する都道府県あるいは市町村に対する委任でございまするが、これは一部におきまして、かつて、そういう事務の委任というような形によつて都道府県なりあるいは市町村なりに募集の人員を割当てて、そういう公的機関の圧力によつて必要な人員を充足しよう、半ば強制的な意図を持つているのではないかというふうな批評もいただきまして、その都度さような趣旨ではないということを申し上げておつたのでございまするが、現在の法律案に書いてありまする事項も、本来現行制度におきまして政府としてとつておりまする事務の一部を市町村あるいは都道府県に手伝つていただくという意味でございまして、根本的に現在の募集制度を変更しようという趣旨ではないのでございます。従いまして各都道府県、市町村等に人員の割当をなすというようなことは一切考えておりません。しかし何分にも相当多数の者を一時に募集いたします関係上、募集をしているというその趣旨の全国的徹底をはかりますにつきまして、これらの公的機関の協力を得なければなりません。また志願者がありました場合に、志願者の志願申込みの受付とかあるいはその用紙を交付するとか、そういつた実際上の仕事のお手伝いを願う。それからまた各地に試験場を開設いたすのでございますが、それを開設するにつきまして、いろいろな便宜を提供していただくというような事柄が、これらの事務の委任として地元にお願いしなければならぬことである。こういうふうに考えているわけでございます。  それから募集方法に関連いたしまして年限の問題でございますが、一昨年の第一回の募集の際には一応二箇年間勤めていただきたい、こういう趣旨で二箇年間完全に勤めた人に対しては六万円の退職金を給付する、こういう條件募集をいたしたのでございますが、この年限はやはり一応の年限は二箇年をもつて今回も募集をいたしたい。但し退職金につきましては、前回は特別に高率なる退職金制度を設けたのでございますが、今回は一般公務員と同程度退職金を二箇年でやめていただく際には差上げるようにいたす、こういうふうにいたしたいと思つている次第でございます。  給與につきましては、多少今までの水準より、六万円の退職金もやめましたような関係上、改善をいたしたいと存じまして、ただいま大蔵当局となお交渉をいたしている状況でございますが、特に今まで帰郷旅費というような休暇を與えて郷里に帰すというようなことについては、休暇だけは與えておりましたが旅費支給するというようなことはいたしておりませんでした。今後は年に一回くらい郷里に帰る者については、旅費支給するような措置も講じて参りたいと思つております。その他の点につきましては、昇給の点等についてはなお大蔵当局と打合せておりまして、決定いたしておりません。しかし要するにそれらの特別の事項のほかは大体現在の給與をもつて募集をいたして参りたい、こう存じております。  それから将来の予備役の問題でございますが、現在おります者に対しまして、本年秋に二箇年の期限が満了いたします際に、強制的に予備役に編入するというような考えは、これは当初から全然持つておりません。それから次にただいま募集いたしております人々についての退職の際に予備役を義務として課するかどうか、こういう点でございますが、これも今日の実情等を研究いたしました結果、さような強制的に応召義務を課するというようなことは今回募集する者についても設けない、そういう制度は設けないということに決定いたしまして、募集の要領を発表いたした次第であります。ただこの問題についてなおこれは研究中でございましてあるいは申し上げる段階ではないかもしれませんが、一応研究いたしておりますところは、退職の際に本人の希望によつて将来必要な際には召集をしてくれれば応召したいというような本人の承諾の意思が表示された場合に、それらの者を必要な際に召集するということを考えて約束をしておく。これは強制的に義務を課するのでなく、本人の希望によつてそういう申出があつた場合には、応召義務を設けることが適当であろうかどうか、こういう問題をただいま研究いたしているところでございます。このほかには応召義務を一方的に義務づけるということは全然考えておりません。
  64. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 第八條の二、改正案によりますと、内閣総理大臣の指揮監督を受けて、府県知事及び市町村長が募集事務をやるということになつておるのでありますが、そうすると、ときによつては府県に対して何名を割当てる。お前の府県では何人出すようにしてくれというようなことになりはせぬかということをおそれるのであります。もしそういうことがあれば、これは兵ではないから徴兵とは言えないが、足りなければどこまでも勧誘したり、いろいろの手段を講じても割当を満たそうという努力をすることになると思うのでありますが、そういうことはしないのであるかどうか、その点をもう一度確かめておきたいのであります。  それから希望によつては応召させるような制度を研究しているということであるから、まあ研究時代であるから御答弁は困難かもしれませんが、しかしいかに希望したにしても、やはり法律の予想しない強制を伴つておるのでありますから、これは重大な問題であると私は思うのです。この府県の割当のことについてお尋ねをいたしておきたいと思います。
  65. 大橋武夫

    大橋国務大臣 県に委任しなければならない仕事として、現在考えております予定事項を申し上げますと、先ほど申し上げました通り、第一は、志願票の交付と受理でございます。志願申込書を交付し、またその申込書を受理する。それから第二は、試験場の設置及び管理、第三は、募集に関する広報宣伝、すなわち募集の趣旨を周知徹底させる、こういう事柄でございます。これらの事柄につきまして、そのやり方等については、これは内閣総理大臣から指導監督する場合がありますが、しかしこれ以外に、募集事務の一部の委任ということによつて強制的な割当ということは考えておらないのであります。ことに法理的に申しましても、市町村長に強制的に応募者を出すように割当てるということは、既存の法規によつて政府に権限のないところでございまして、この事務の委任ということは、政府の既得の権限について、その事務の一部を都道府県に委任するという事柄でございまするから、応募者を割当て、必ず義務的にそれだけの応募者を供出させるというような点になりますると、これは新たな法律を要する事項である、政府としてはこういうふうな見解を持つておる次第でございまして、断じてさような割当をいたす考えはございません。
  66. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 それで御答弁は明快でありますが、実際にそういうことのないことを期待せざるを得ない。税金ですらも所得に対して課するのであつて、決して割当などはあるべきはずのものではないが、私の管轄区にはこれだけ割当てられておるのであるから、遺憾ながらこれだけ所得ありたるものと認定してどうしても出してもらうというような強制が行われておるのでありまして、税金ですらそういうことが行われておるのであります。こういうのもやはり、割当はただ参考にすぎないと言いますけれども、当事者が熱心のあまりやるとこういうことが行われ得る。ただいま断じて行わないということでありますから、これはさように了承しておこうと思うのであります。  それから今アメリカの将校のような者が警察予備隊に知識を貸しておる。これを顧問団というような言葉で呼んでおる向きもあるようでありますが、そういう一種の指導を受けておるが、これは講和條約発効後も継続するものであるか。継続するとすればどういう根拠に基いて継続するか伺いたいと思います。
  67. 大橋武夫

    大橋国務大臣 現在では総司部の中に、アドヴアイザリー・グループと呼んでおりますが、特に警察予備隊の技術的指導のための組織がございます。これを顧問団と申しております。これは総司令部の一部局でございますから、占領の解消によりまして占領軍とともに自然に解消する、こういうふうに了解をいたしておるでございます。政府といたしましては、今日の警察予備隊の実情を考えますると、武器もことごとくアメリカの武器を使つておるわけでございまするし、これらの武器の操作、訓練等につきましては、なお米国の專門家の援助を仰ぐことが適当であるというふうに考えておるのでありますが、しかしそれにつきましては、特別にアメリカから正式の軍事顧問団の派遣を要請するというふうな考えはございません。講和発効後におきましては、当然安全保障條約の條項によりまして米国の駐留軍が駐留するのでございますから、もし駐留軍の駐留しておられる方々で手のあいた方々があれば、必要な際にはそれらの方々に事実上援助してもらえばそれで十分事足りるのではないかというふうに考えております。従いまして正式に招聘の契約をするとか、あるいはアメリカ人の顧問団を日本側の政府において雇入れの契約をするというような法律的な措置を講ずることなく、必要の都度実際上行くなり来てもらうなりして事実上教えてもらう形が、一番無難でよろしかろうと考えております。
  68. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 それは非常にふしぎなことでありまして、アメリカの駐留軍が駐留軍として活動するということはよくわかるのでありますが、日本の警察予備隊は、これはやはり日本の警察予備隊でありまして、その間に何らの法的な関係はないはずであります。もしこの技術的指導者にせよ、これを利用しようというならば、やはり行政協定なりあるいは條約なり、適当な国家間のとりきめがなければそういうことはできないのではないかとわれわれは思うのであります。その点についてはどういうふうにお考えになりますか。
  69. 大橋武夫

    大橋国務大臣 顧問に実際当る人について、日本政府としては、顧問として協力してもらう義務を相手方に要求する、あるいは日本側が顧問の指導を受ける義務を甘受するというような法律的な権利義務を設定するということになりますと、御指摘のように、行政協定なりあるいは何らかの国際とりきめが必要であると存ずるのであります。しかしながらさような権利義務という問題でなく、武器の操作についての事実上の指導あるいは勧告を受けるという事柄でございまして、これは法律関係というよりは実際上の関係でございまするから、実際上こちらが習いさえすればよろしい。どうしてもそういう法律関係がなければ向うとしては協力してくれないということでありまするならば、これはまた別途に考えてみたいと思つておりますが、ただいまの段階では、頼めば実際上手伝つてくれるのではないか。これは権利とし、義務として法律関係決定する必要のない事柄ではなかろうか、こういうふうに考えております。
  70. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 単なる技術的な武器の使用法を教えるということだけであれば、問題は軽いのでありますけれども、そういうつもりで当つておるものが、実際は権限を超越して、しばしばもつと重大な指導に乗り出す。また日本側の当局が十分にその権限を主張することを信じますけれども、腰が弱ければ、そのサゼスチヨンなり、命令とまでは言いませんが、それにのつとつて働くというようなことが起れば、これは非常に危険なことであります。そういう点について、はつきりした保障を立てておくことは非常に大切なことと信ずるのであります。しかし政府において必要がないということであればやむを得ませんが、われわれはその点について十分にひとつ慎重な考慮を希望いたしたいということを申しまして、私の質問を終ります。
  71. 八木一郎

    八木委員長 平川篤雄君。
  72. 平川篤雄

    ○平川委員 最初に先般私が緊急質問の際にお聞きして、大臣から御答弁を得られなかつたのでありますが、方面隊というものの全般的な御説明をお願いしたい。
  73. 大橋武夫

    大橋国務大臣 増原予備隊長官の方からお答えいたします。
  74. 増原恵吉

    ○増原政府委員 正確に申しますと、方面総監部という言葉で呼びたいというもりでおりますが、現在ありますのは、四つの管区隊、この幹部に当りまするところを管区総監部、長を管区総監と呼んでおります。管区総監部、管区総監、隊全体を管区隊、この管区隊を二個以上—現在のところは二個くらいと考えますが、統轄する上級の指揮機関、これが方面総監部であり、方面総監であるわけであります。現在の構想では、大体二管区を統轄する上級指揮機関、これがある程度の直轄の部隊を持つという形のものでありまして、そういうものをこのたびの増員によつて一個設置をいたしたい。従いまして、方面総監部それ自体はごく少数のものでありまして、相当人数がふえますのは、直轄部隊に相なるわけであります。
  75. 平川篤雄

    ○平川委員 その直轄部隊の人員はどのくらいふえるのでありますか。
  76. 増原恵吉

    ○増原政府委員 相当に技術的な問題がありまして、ある程度アドバイスを受けたりいたしておりまして、まだ決定的な線にはなつておりません。直轄部隊は多くとも一万程度までと考えております。
  77. 平川篤雄

    ○平川委員 その一万の人員を持つ部隊は、新聞に先般報道せられておるところによると、主として日本の北辺に配備せられ、東北地区とか北海道地区を兼ねるのだということが言われておりますが、それは事実でありますか。
  78. 増原恵吉

    ○増原政府委員 大体そういう方向にしたいと考えております。
  79. 平川篤雄

    ○平川委員 そういたしますと、今北辺に特にこうした上級指揮機関を置かれるというのには、特別な目的があると思うのですが、それはどういうふうな点でありますか。
  80. 増原恵吉

    ○増原政府委員 特別にどうと申し上げるほどのことはありませんが、距離的な関係等を考慮いたしまして、そうした上級指揮機関を設けることがよかろうということであります。直轄部隊を置きまして、今度の三万五千人によりまする増員は、直轄部隊のほかいろいろ管理、補給等の部隊、それから学校等を整備するわけでありますが、学校は北方に置くというようなことに重点を置いておることは全然ございません。これは全国的に適地に置くつもりでありますが、こういう配置は、現在の四管区隊の配置が当初いろいろな事情で、既設建物を利用するとかなんとかして、配備の全体が必ずしも希望するような形になつておらない面もありますので、配備を均等化すると申しますか、治安上の観意に沿つてそろえるという意味合いを持つておるわけであります。そういうことで、方面総監部を北方に一つ置きたいと思いますが、特に治安上憂慮すべきものがあるから置くというほどの意味合いは持つておらぬのであります。
  81. 平川篤雄

    ○平川委員 距離ということになれば、北海道、東北だけでなしに、中国、四国というような方面にもやはりこれは置かなければならないものだと思う。伝えられるところによると、北海道の東北部でありますか、その地帶は非常に危険の状態になつているというようなことも聞きますし、またこれはデマか何か知りませんけれども、飛行機などが相当に飛んで来るようなことも言われている。かような点に備えておられる意味があるものであると私は想像するのでありますが、よほどはつきりさしておかないといけないので、今おつしやるように、単に距離だけというりくつはこの際通らないと思う。それだけなら、同様に日本全体の治安を考える以上は、同じように西の方へも置かなければならないじやないか。そこいらに何か治安上の理由があるのじやないでしようか。
  82. 大橋武夫

    大橋国務大臣 まことにごもつともなお尋ねですが、第一には、北海道は、先ほど増原長官からも申し上げた通り、距離的に離れておりますばかりでなく、内地との間に相当な海峡をもつて隔てられておりますので、どうしてもここは治安の乱れました場合には別個になりやすい地点でございまして、そういう意味合におきまして、治安の上からいうと、非常に守りにくいところになつております。それからもう一つは、北海道それ自体に広い地域でございまして、これは九州、四国を合せたよりも広い地域であります。そういう広い地域に今日一管区隊すらが完全に配置してないような状態でございますので、ここに部隊を置くことは、そうした点から見ましても、必要があると存ずるのであります。それで管区隊の上になりまする方面総監部というものは、部隊の指揮の上から申しましても、広汎な指揮の権限を実際上は與えられるわけでございます。独立して、そこである程度の指揮ができるようにしておくということは、そうした点からも必要であろう、こう考えております。なお飛行機が飛んで参るとか、あるいはサーチライトで照すとか、こういつた事柄もどの程度まで事実か確めておりませんが、しかしそうした点で、北海道か治安の実態はどうこういうことはないと思いますが、多少人心に與える影響もあると思いますので、そうした点をも考えまして、新設せられまする方面総監部は北海道に置きたい、こういう考えを持つております。
  83. 平川篤雄

    ○平川委員 この前の委員会におきまして、大臣が御答弁になつておる言葉の中に、非常に明確に軍隊と警察というものを定義せられたのであります。その中に、防衛的なものを軍隊であると思う、警察予備隊は防衛のために利用され得る力であるとは考える、そういうふうにおつしやつたのであります。私はこのことは非常に重要であつて、防衛のために利用され得る力ということは、憲法の中に言つております戦力という言葉にこれは明らかに触れておると思うのでありますが、そこの御見解はどうでございますか。
  84. 大橋武夫

    大橋国務大臣 戦力というものにはおのずから客観的な標準があると存じまして、防衛のために用いられ得る力がすべて戦力とは私考えておりません。戦力に達せざる力といえども、防衛のために用いられ得るものである、こう考えておるわけであります。近代戦争を遂行するに足りるだけの十分な力に達しない間は、戰力と申すことはできないと思います。こういうように考えております。
  85. 平川篤雄

    ○平川委員 英文によると、憲法にはこの前私申しましたようにウオー・ポテンシヤルという言葉が使つてあるのであります。これは潜在的戦力と訳すのか、あるいは戰いをなし得る能力と訳すかどうか知りませんが、少くともこれは防衛のために利用され得る力であるという意味に私は近いと考えるのです。このウオー・ポテンシヤルという言葉について、今大臣がおつしやつた定義はぴつたり当てはまつておるものかどうか疑わしいのでありますが、この点をはつきりさせていただきたいと思います。
  86. 大橋武夫

    大橋国務大臣 私は憲法は日本文をもつて解釈すべきものと考えておりますので、このウオー・ポテンシヤルは、日本語の戦力という言葉と対応した箇所に記載しておりまするから、ウオー・ポテンシヤル、すなわち戦力である、こういうふうに考えております。
  87. 平川篤雄

    ○平川委員 ただいま日本文によつて解釈すべきものだと言われるのでありますが、疑義を生じたときには英文によるということがはつきりしておると思うのですが、それはどれだけの拘束力がある約束なんでありますか。
  88. 大橋武夫

    大橋国務大臣 実は私、憲法のことを詳しく存じませんから、お答え申し上げかねます。
  89. 平川篤雄

    ○平川委員 これはまことに重大な問題でありますから、御研究の上またあらためてお尋ねをしたいと思います。私の記憶にして間違いなければ、憲法というのは、そもそもああいうふうな成り立ちをしたのであります。疑義を生じたときには、英文によるということが明らかにされておるはずだと考えます。日本字の言葉の戦力という意味でわれわれは解釈したい、これは国民感情としてはもちろんでありますが、少くとも私はただいまそれによつてわれわれが擴張解釈する自由がどこまであるのかということは明らかにしておかなければならぬ。これは重要な問題でありまして、現にあなた方が新しく警察予備隊の人員を募集される際にも、それは一番根本の問題になるだろうと思う。これはあらためて問題にいたしたいと思います。  それに関連いたしまして一言明らかにしておきたいと思いますることは、警察予備隊の名称がふさわしくないということをこの前おつしやつて、十月までには保安隊と切りかえることにはなるだろうが、それは別として、警察予備隊というものは性格がかわつていない、こうおつしやつておるのであります。ところが、その名称がふさわしくないということは、これは本質に対して言われることであつて、性格がかわらないが、名称がふさわしくないということはあり得ぬと思うのです。どんな名前をつけてもいいという無性格なものではないと思うのであります。適当な名称に改めるということと、それから目的に対して意味はつきりさせるのだということをおつしやつておりますが、その目的がかわるのではないかということを、われわれは問題にしておるわけであります。そういう点で、この前予算委員会におきましてポリス・リザーヴ、セキユリテイ・フオーセスという言葉の間の違いということをあなたにお伺いしたのでありますが、そのときに確答を得られなかつたので、それに関連いたしまして、この際もう一度はつきりおつしやていただきたい。
  90. 大橋武夫

    大橋国務大臣 実は警察予備隊の名称が適当でないと申しますのは、警察予備隊には警察という字がついておりますので、これは何か一般警察の一部分であるかのごとき感じを持たれやすいのであります。そういう感じを持たれるだけならよろしゆうございますが、警察予備隊の隊務の運営にあたりまして、そうした考えが入つて参りますると、その機能においても当然一般警察でなすべきような事柄まで警察予備隊はやらなければならぬのじやないか。また、そういう点が警察予備隊の主たる目的ではなかろうかといつたような感じも持つ向きがございまして、これは予備隊の運営上いろいろ好ましくない結果を生じておる事実があるわけでございます。たとえば同じ治安のためでありましても、私の考えによりますと、普通警察というものと警察予備隊というものは、全然違うものである。一般警察の方はどちらかというと、これは行政執行的な面を多分に持つに反しまして、警察予備隊というものは、実力によつて直接にある状態をつくり出すための組織でございます。警察の方はある命令を與えて、その命令が自発的に行われるということをできるだけ主眼にしてやつて行く。実力を行使するということはむしろ例外的なものになつておる。しかるに警察予備隊はもはや実力を行使するにあらざれば事態が解決しないという場合において、当初から実力を持つて臨むというのが性格でございまするので、その間の名称の類似性による観念の混同がございまして、これが非常に警察予備隊の隊務の運営に支障を生じておるように私としては考えておるわけでございます。そういう意味において名称は必ずしも適当でない、こう感じておるのでございます。
  91. 平川篤雄

    ○平川委員 この警察予備隊令に、わが国の平和と秩序を維持し、公共の福祉を保障するため、国家地方警察及び自治体警察の警察力を補うものとして設置される機関とする、こうありますので、これはやはりはつきり警察であつて、警察以外に出てはならぬものだと私は思う。ただいま普通警察と警察予備隊とをわけておつしやつたのでありますが、日本の警察は、法律によつて明らかに人間を殺傷する実力の要請を許されていないと思う。だから私は警察予備隊という言葉はもちろん適当でないと思いますが、そうした何と申しますか、それが警察でなければ何か新たな言葉をおつくりになるために日本では苦しんでおられるように思いますが、要するにこれは戦力、軍隊であります、小規模の軍隊であつて、先ほども近代戦々々々とおつしやいますが、フイリピンにしましてもインドネシアにしても、決して近代戰を戦うような軍隊を持つているわけではない。やはりあつさり軍隊と言われる方が私はいいと思うのであります。ただいまの御答弁では納得行きかねますから、さらに掘り下げて御説明願いたいと思います。
  92. 大橋武夫

    大橋国務大臣 警察はなるほど実力を持つておりまするが、しかし警察の実力というものと警察予備隊の実力というものは、私は本質的に違うと思つております。もちろん目的は同じ治安でございまするから、目的には差異がありませんが、しかしそのあり方には大分違いがある。それが証拠に警察予備隊というものは警察の仕事をするとは書いてないのであつて、警察力の不足を補うというのであつて、初めから実力というものがまつ正面に出ておるということは、初めから力の足らざるところを補うという実力組織であるということが、すでに御指摘の條文において明らかにされておるという点におきまして、多少警察というものとは違う。またそういう実力組織であり、その実力をいかに能率的に使うかということを主眼にして警察予備隊の組織が考えられまする関係上、これは警察官のごとく個々の権限というものを定めるような法制ではなくて、一つの部隊というものをつくり、部隊行動というものがその行動の実体になつておる、その辺が警察とは趣を大分異にいたしておりますから、名称もその辺の区別を明らかにできるような名称が適当ではないかと思つております。
  93. 平川篤雄

    ○平川委員 この警察予備隊令は二十五年に出まして、二十六年に改正を見ておるのであります。昨年のいわゆる批准国会におきまして、安保條約の審議を通じて警察予備隊というものが問題になつておりますときには、明らかに安全保障條約にいつておりますところの直接侵略並びに間接侵略をも米軍がこれを担当して、日本の警察予備隊は軍に国内の治安のみに任ずるということで御説明がずつと筋が通つて来た。ところがただいま聞きますと、相当な実力を持つたものであるし、それが今度の国会で、多分大橋さん御自身がおつしやつたと思いますが、間接侵略はもちろんのこと、非常の事態においては直接侵略にも対抗するんだということをおつしやつておるわけなんです。しかしこれはそのために警察予備隊というものがあるのではなしに、急迫した事態だから、これは矢もたてもたまらずやるんだ、こうおつしやると思います。それは私はなるほど一つの逃道だと思う。けれども現実にこの警察予備隊の訓練をいたしております状態というものを考えると、決して日本の米騒動なんかのようなものに対するような訓練でないと私は思う。それは何度も今国会を通じて問題になつたことでありますから私はもう申しませんが、そういう点で警察予備隊の性格というものが二、三回大きな変貌を遂げて、さらに今度保安隊になるときはまた一段と飛躍的な変貌を遂げる、しかも憲法の改正をなさらずにやるという点で私は心配になる。こういう点をはきりと私の疑問に答えていただけたら私はこれで打切りたいと思う。
  94. 大橋武夫

    大橋国務大臣 私は警察予備隊は一昨年創設当時から今日私が言つておりまするような性格のものであるとこう考えて、この創設の事務に当り、その後予備隊の説明もいたして参つたつもりでございます。直接侵略あるいは大規模なる間接侵略の場合において警察予備隊が使われるかどうかという御質疑がありまして、その際に私がそれは米駐留軍が当るのであつて警察予備隊は全然触れないのだというようなことはお答え申し上げたことはないと心得ます。もちろんそうした場合においては、主となつて任務を遂行いたしまするのは、これは米駐留軍でありますが、しかしその際においても大規模なる間接侵略はもとより、直接侵略に至りましても、侵略を受けるということ自体が国内治安を根本的に妨げるものでございまするから、国内治安を維持するという警察予備隊本来の目的から考えまして、その力の及ぶ程度の限りおいて任務を遂行するということは、当然のことであろうと存じまするので、従いましてむろん軍隊ほどの力はありませんから、軍隊と同様の任務を同様にし遂げるということは期待できません。しかしそれ相当の場面がその際に必ずあるわけでございまするから、それについて警察予備隊が全力を盡してその任務を遂行する。これは本来からの警察予備隊の使命である。こう考えているのでございます。こうしたものを、その本来の使命なり目的なりを達する上から申しまして若干法律の不備がありまするならば、それを補足して一層その性格を全うし、またその使命を全うせしめたいという趣旨の改正でございますから、これによつて警察予備隊が根本的に変貌を遂げるというふうには私といたしては考えておらない次第であります。
  95. 平川篤雄

    ○平川委員 先ほどの方面隊のところで大臣お答えになりました北海道が孤立するおそれのある地区であると言われるのでありますが、日本に大規模の内乱、これは想像すれば限りがない、どんな大きな内乱でも起きるのでありまして、相当具体性をもつて北海道の孤立というものをお考えになつて、方面隊というものを置かれておると思うのでありますが、それは一体そういうような兆候が見えるのでありますか、それとも実際に外部的の力によらなければそういう事態が起らないか。私ら考えますのには、外国の侵略以外には北海道が孤立するというようなことはちよつと考えられないのでありますが、どうなるのでありますか。もしついでにそういうような外国の侵略ということが考えられるとすれば、これは直接侵略に備えて配備をなさつているということになりはしないか、こういう点についてお聞かせを願いたい。
  96. 大橋武夫

    大橋国務大臣 この北海道が孤立するというようなことは、むろん外国の教唆、干渉が少くともなければならぬと思う。直接侵略がありました場合においては、むろん考え得る事柄であります。しかしながら政府といたしましては、将来におきましては、やはりこの警察予備隊というものは長きにわたつて存続することに相なりますると、いかなる事態に対処してもその使命を全うし得るような、そうした形に育て上げて行くということが必要だと思いまするし、そうなりますと中央においてこまかいところまで指揮しなければ動けないというようなことでは困るのでありまして、非常の場合には若干の部隊が連絡し、中央から大綱的な委任を受け、細部については独立して行動できるというような態勢を訓練して行くということは、これは必要なことだと考えられるわけでありまして、そうした訓練をいたすというのが、今回の方面総監部を新しく設ける主たる理由なのであります。この方面総監の指揮下において一または二の方面隊が協力して、中央からある程度委任された範囲で独立に行動できるようなそうした訓練をいたして参りたいという趣旨なのでございます。そこで御質問の点は、具体的に北海道がいかなる事情にもせよ、そうした孤立するような状況になるかどうかという御質問でございましたが、私は現在ではまずまずそういうことは想像できない、こう考えております。ただ、しいて申しまするならば、地理上の條件から見まして、北海道の地勢は方面総監部をつくるとすれば一番必要な所ではなかろうかということは、おのずから考え得られるところでございまするから、それで今回新設いたしまする方面総監部を北海道に置くというのが私の考えでございます。
  97. 平川篤雄

    ○平川委員 防衛のためのものはこれは軍隊であつて、防衛のために利用される力であると私が最初に問題にしたのは、それなんでありまして、地理的であるにせよ何であるにせよ、そういう危險を見越してお考えになつているということになると、やはりこれは私は戰力の中に入るのではないかと思う。まあこれはこれ以上は議論になるからやめたいと思います。あと事務的な一、二点を総括してお伺いして私の質問を終りたいと思います。  さつき鈴木さんからただいま持つておりまする武器というものについてお尋ねがあつたのでありますが、占領後にはこれは一体どういうふうになるのか。もし日本の軍隊が使用中に破損いたしましたり紛失をいたしたりした場合には賠償をするのか、あるいは使用料を出すようになるのか、ないしは買收をする予定も考えられているのか。そのような問題が予算に含まれているかどうかというような問題につきまして一点お伺いをしておきたいと思います。  それからもう一つの点は、十月から新しい者が応募して参りますが、そのときに古い者を全部一応退職したことにして退職をさせて、さらにそれが前からの仕事の引継ぎ上ある程度待遇の改善を伴つて、つまり新任者と同じに扱わないでやるということは、私は退職金を出す建前から考えるとどうもおかしいのじやないかと思いますが、その点どういうふうなお取扱いをされようとするのであるか。この二点お伺いして終りたいと思います。
  98. 大橋武夫

    大橋国務大臣 武器は現在アメリカから使用を認められているのでございますが、おそらく講和発放後におきましても、米駐留軍の管理している武器を日本としては使用させてもらうという関係が続くのではないかと存ずるのであります。この点につきましては実は最近司令部側から一つの提案を受けたのでございまして、ただいま日本側としても研究をいたしておりまするが、その趣旨といたしますところは、現在の武器の使用の仕方は、占領軍から顧問団が武器を保管がえを受け、そうして顧問団が予備隊の各部隊に駐在いたしております顧問将校にその武器を送り届けて、顧問将校の管理下に置いているわけであります。その顧問将校の管理下において事実上日本側の部隊の各個人が使用を認められるということになつているのであります。従いまして現在においては、日本政府としましては、武器については何ら管理上の責任を負うておらぬのでありますから、賠償、使用料等についての問題を生ずる余地はないわけであります。但しそのかわり米国の顧問たる将校はその責任において管理をいたしておりますから、たとい日本側の隊員が現実には亡失の責に任ずべき場合といえども、米国の国内法上におきましてはそれは顧問たる将校の責任になる、こういうことになつているのであります。そこでそれがために顧問たる将校が、事実上日本側の過失であるにもかかわらず、米国国内法規建前上過失なくして弁償の責任を果さなければならぬというような気の毒な事例もありますので、アメリカとしてはその将校の責任を解除したい、こういうことを考えているのであります。その方法といたしまして米国の顧問団が日本側の中央機関に一括して引渡す、日本側の中央機関がその責任において各部隊に分配し、各部隊の責任において管理するようにしてほしい、こういうことを申し出て参つております。それについて検討いたしているのでありますが、その趣旨は現在米国国内法規上弁償責任を負うところの米軍の将校のその責任を、米国国内法上免除しようというのが、その主眼とするようでありまして、日本側に武器を引渡したることによつて、米国側はその武器についての本国政府に対する責任を一切免除される。あとは日本側がそれを管理使用する、こういうことであります。これはただ米国国内法上のそうした不合理な責任関係を清算したいというだけの意図のようでございまして、日本側に賠償を要求しようとか、あるいは使用料を要求しようという考えを持つてそういう申出をしているとは、私どもの方は受取つておらないのであります。日本が事実上長くこの受取つた武器を無償において使用し得るもの、こういう考えでいるのでございます。従つてその後におきましては、日本側としては、破損がありますれば日本側において修理をするということは、これは使用者として当然考えなければならぬことではなかろうか、こう思つております。しかし賠償とか使用料ということは全然考えておりません。従つて予算にも計上いたしておりません。  それから十月における新しい応募者と古い者の取扱いの問題でございますが、二年間の期間の満了によりまして、政府としては無事に期間を満了いたした者に対しては、当切からの約束であります六万円の退職金の支拂いをいたしたいと思います。しかしその後において、なお本人の希望があつて引続き勤務をいたしたいという者は新しく引続き勤務させるようにいたしたい、こう思います。但しそれでは給料、待遇、階級その他はどうなるかということになりますが、現在におきましても、同時に入つた者でもその成績により、あるいは試験によりまして能力に応じて待遇をいたし、給與もいたしているのでありますから、十月初めの現状によつてその人の能力に応じた待遇をいたして行くということは当然のことではなかろうか。自無新しく入つた人は一般的に未経験でございますから、待遇がまつたく新規採用として低いところになる。しかし二年間の経験者でございますから、その点は待遇上多少違つて行くのもやむを得ない、こう考えております。
  99. 八木一郎

    八木委員長 今野君に発言を許す前にちよつと申し上げたいと思います。だんだん熱心な質疑を続けて参りましたが、答弁に当つております大橋国務大臣、増原長官は渉外関係で呼出しを受けておりますが、国会第一で、四時まで待たして、答弁に当つていただくことにとりはからつておる次第でありますから、この点御了承の上続けられんことを望みます。
  100. 今野武雄

    今野委員 ちよつとお伺いしますが、そうすると四時で質疑打切りということですか。
  101. 八木一郎

    八木委員長 続けてください、言つている間に時間が……。
  102. 今野武雄

    今野委員 四時で打切るということになると約束が違う。
  103. 八木一郎

    八木委員長 各派の申出の通告は順次終つておりますから、諸般の事情を御了察の上、質疑を進められたいことを前もつて申し上げたわけであります。
  104. 今野武雄

    今野委員 そういうことはこの委員会の始まる前に言つてくれなければ、私は質疑の順序などをお讓りしてそうして一番最後に残つた。そうしたらそういうふうにされるのではお話にならぬと思います。これは不徳義ですよ。
  105. 八木一郎

    八木委員長 別に打切るということを申しておりません。この事情を御了察の上、すみやかに質疑を続けてくださいということを申し上げたのであります。
  106. 今野武雄

    今野委員 わかりました。  それでは最初にお伺いしたいのは、今度の改正法案によりますと、二條に「前條に規定する命令は、日本国との平和條約の最初の効力発生の日以後も、当分の間、法律としての効力を有するものとする。」と書いてございまするが、前に一般的にきめたのでは、いわゆるポツダム政令は、すぐやめるもの、それから百八十日間存続するもの、それから法律をかえて新たに立法してやるもの、こんなふうにいろいろなつていたようですが、これはそのどれに相当することになつているのでありますか。
  107. 大橋武夫

    大橋国務大臣 これは六箇月以後も当分の間法律としての効力を有する、こういう類型に入るわけでございます。但し御案内ごく、警察予備隊令につきましては、総理からもいろいろな機会に申し上げました通り、ことしの十月を期して内容的に改正をいたしたい。従つてその際に名称の変更も考えておるというような実情から、近く全面的改正法律案を出したい、こういうのでただいま研究しております。その気持がここに現われまして、当分のうちということになつた次第であります。
  108. 今野武雄

    今野委員 そういう十月に切りかえになるということがはつきりしているのなら、百八十日でやれば十分だと思います。そうすればその前にこの法律案は当然出て来るわけですから、こんなことは必要ないと思うのです。こういう條項を設ける必要があるというのは、つまりそういうことができなかつた場合を予想してのことだろうと思います。そうすれば国会の解散あるいはその他の事情によつて、そういう法律をうまく制定することができなかつた、こういう場合には、占領下において、総司令部の要求に基いてつくつたこの警察予備隊なるものが、そのまま永久に存続する、そういうな形になるわけで、これははなはだ不都合のように考えられるのですが、もつとはつきりとその真意を伺いたいのです。
  109. 大橋武夫

    大橋国務大臣 理論上はそういうことになりますが、実際上はできるだけすみやかに法案を提案いたし、またそれに対しまして十分御審議の上成立させていただきたい、かように考えております。
  110. 今野武雄

    今野委員 しかしそういう理論上間違つたことはやつぱりこれは違うと思うのです。事実上そういうことになるというなら、これは事実上そうなるのだから、この條項はいらないと思うのですが、これをのける意思はありませんか。
  111. 大橋武夫

    大橋国務大臣 のける意思はございません。
  112. 今野武雄

    今野委員 その次に、先ほど平川君の質問に対して、警察予備隊建前というものについていろいろ御説明があつたわけですが、しかしこの予備隊令の第一條の解釈というものは、どうも警察力というところに力点を置いて解釈されておるので、非常にかつてな解釈じやないかと思われるわけです。それでこの点はどういうふうに考えておられるのでしようか「補う」となつておりますが、そうすると補うものが実は警察や何かよりもずつと厖大な、有力な武装力で、何か予備隊令はそういう意味では非常なごまかしのような気がするわけです。従つて警察予備隊の目的がはつきりしないということがたびたび問題になるわけでありますが、これにも関係しておると思うのです。一体補うという範囲を超えて現在装備や何かをやつておるのじやないかという疑いがあるわけで、その疑いをひとつ晴らしていただきたいと思います。
  113. 大橋武夫

    大橋国務大臣 政府といたしましては、警察予備隊の装備はすべて憲法及び法令の範囲内でやつておるのであります。補う範囲を逸脱するようなことは断じてありません。
  114. 今野武雄

    今野委員 そんなことは議論になりますからそのくらいにいたしまして、武器の管理を今非常に詳しく述べられましたが、アメリカの将校がやつている、そして今後は日本側に一括して引渡す、そういうことになりますと、それは講和発効後ということになると思いますが、その武器の取扱い—これは人殺しの道具ですからなかなか愼重を要するのですが、そういう点については警察予備隊令あるいはこの改正案などを見たのではどうもはつきりしないわけです。これに対して私どもの見解としては、日本でもつてそういう武器をどうするということになれば、相当法的な措置を講じなければならないと思うのですが、政府の見解を伺いたい。
  115. 大橋武夫

    大橋国務大臣 まことに御同様に考えておりまして、この次改正案を提案するときに、関係の條項をぜひ研究の上挿上いたしたいと考えております。
  116. 今野武雄

    今野委員 これはちよつと妙なことです。今度の改正は、平和條約の最初の効力発生の日から施行することになつておる。そうすると、そのときから日本側に引渡すというようなことが行われるなら、やはりそのときに間に合うように改正されなければならないので、当然この改正案の中にこれが入つていなければならないと思うのですが、一体それはいつからやるのですか。
  117. 大橋武夫

    大橋国務大臣 まだいつからともきまつておりません。
  118. 今野武雄

    今野委員 そうすると、この政令がいつまでも続くという場合には、やはりいつまでもアメリカの将校がかぎを持つて、一々武器の倉をあけて引渡して、また演習が済んだらそれをもらつて自分で納めてかぎを締める。こういうようなことがずつと続くということになりますが、そう承知してよろしいですか。
  119. 大橋武夫

    大橋国務大臣 これは今野君の言われるように、この改正案とは別に関係はない事柄でありまして、準備のでき次第、ただいま申し上げましたような新しい武器の使用管理方法を採用いたしたい、こういうことでただいま関係当局と協議を進めておるところでございます。従つて講和発効の問題とは関係なくこの問題は取扱うことになつております。
  120. 今野武雄

    今野委員 さらに武器について申しますが、日本側に一括して引渡した場合、今まで武器を扱つてつたアメリカの将校は、一応いなくなるわけですね。
  121. 大橋武夫

    大橋国務大臣 その事務を直接に担当していた人は当然いなくなるわけでありまして、そのかわり日本側の責任においてこちらの機関がそれから先の末端事務を担当することになります。
  122. 今野武雄

    今野委員 武器と似たようなことでありますが、現在の警察予備隊で使つておる操典などは、アメリカの操典をほとんどそのまま翻訳したようなものと思われる。アメリカ式—服装もそうでありますが、アメリカ式の訓練をやつておるようでありますが、そういうような訓練の方法についても、現在アメリカ側の指導を受けてやつておるのですが、この点については一体どんなふうになるのですか。
  123. 大橋武夫

    大橋国務大臣 訓練等につきましては、日本側の機構も漸次完備して参りましたので、昨年四月以降は日本側の幹部がやつておるわけでございます。この訓練の内容につきましては、当初からアメリカ式の訓練をアメリカの指導を受けて実施いたしておるのでございますが、これは今日まで実施いたして参りましたところでは、非常に合理的、能率的な方法でありまして、ただちに変更する必要はないと存じております。
  124. 今野武雄

    今野委員 その点は今後例の行政協定の二十四條のいわゆる非常事態の場合、この警察予備隊が使われるのも、やつぱり何か非常事態の場合ということになりますと、そういう非常事態の場合には、アメリカ政府と日本政府といろいろ打合せるということになりましようが、その場合具体的に警察予備隊の使用については一体どんなふうになるのですか。アメリカの駐留軍との関係ですね。
  125. 大橋武夫

    大橋国務大臣 まださような相談はいたしておりません。
  126. 今野武雄

    今野委員 そうすると、それは相談の可能性もあるわけですね。そういう場合の……。
  127. 大橋武夫

    大橋国務大臣 緊急事態において、米軍の行動をどういうふうにやらしめるか、またそれに協力するための日本側の機関がどういう活動をするかということは、全般的に必要に応じて相談の項目になるだろうと思われます。従いまして具体的に警察予備隊の行動も協議する必要があるということならば、当然協議の対象となるものと考えます。
  128. 今野武雄

    今野委員 アメリカの国会その他での論議を新聞、雑誌などによつて聞きますと、日本の警察予備隊は軍隊である、そうしてそれはアメリカの戰力の一部であるというはつきりした印象が得られるわけです。そしてその点について、再軍備などについては、たびたび内交渉が今まで行われておるということの情報も私ども得ておりますが、これは書簡の他いろいろな形で行われておると思いますけれども、そういう点いかなる交渉を受けておるか、ひとつ明らかにしてもらいたいと思います。
  129. 大橋武夫

    大橋国務大臣 警察予備隊あるいはそのほかの何らかの形におきましても、日本の軍備を持つというような交渉を具体的に受けたことについては、私は承知いたしておりません。
  130. 今野武雄

    今野委員 大橋さんは承知しておられないというのですけれども、これはこの前の十二月のいわゆるダレスあて吉田書簡というも、その当時はだれも承知してなかつたはずが、一月になつてアメリカの都合で急に発表されるようなことになつたわけです。これは中国と日本との関係の問題について、最も重大な問題が国会においてはぼやかされ、日本の国民に対してはまつたく秘密が守られながら、日本の重大な問題が突如としてアメリカ側から発表されたということ、このことについてはわれわれとしては非常に大きなシヨツクを感じたわけであります。今回のことについても、アメリカ側では日本で承知しておるというようなことを盛んに放送しておる。そうしてみると、前の例の通りじやないかというふうに考えざるを得ない。そこで大橋さんにお伺いしたいのは、つまりそういうことを承知してないということは、そういうことがないということじやないと思うのですけれども、ないと言い切ることはできないわけですね。
  131. 大橋武夫

    大橋国務大臣 私が承知しておらぬということは、ないということでございます。
  132. 今野武雄

    今野委員 それではしかとその点は伺つておきますが、あとでそういうことになつたということにならぬようにひとつしてもらいたいと思います。  それからその次に武器はアメリカから借りるということをお話になつておるようでありますが、日本でも大分朝鮮作戦のためにいろいろな武器をつくつたり、修理したりしているわけです。そこで伺いたいのは、アメリカのために日本の工場で武器をつくりながら、何ゆえに日本の警察予備隊のしかも比較的軽微な装備でありますが、そういうものが日本でつくられないか、あるいは日本でそれを用意しないか、これは財政上の問題と言うかもしれませんが、それでは財政上の問題がどの程度に困難であるのか、それが許せばそれじや日本でつくるのか、そういうような点をひとつ伺いたい。
  133. 大橋武夫

    大橋国務大臣 アメリカの武器が現在あるのでございますから、ある物を使うことが適当であろうと考えております。
  134. 今野武雄

    今野委員 これはおかしなことを聞く。いくらよその国にあつたつて、たとえば隣のうちにおかまがある。あるいはたらいがあるからといつて、それをむやみに使うわけには行かないわけです。それを使うということになれば、やはり隣のうちには頭が上らないということになる。これはあたりまえのことであります。だから自分のうちにおかまも持ちたいし、たらいも持ちたいと考えるのは、あたりまえである。そこであるのだから使うということになれば、これは日本が独立国でないということをはつきり認めたことになるわけでありますが、その点ははたしてどういうような考えで、そんなことを申されるのか、ちよつと伺いたい。
  135. 大橋武夫

    大橋国務大臣 独立国でありましても、ある物を使うことが適当な場合には、ある物を使つてさしつかえないと思います。
  136. 今野武雄

    今野委員 それはそのくらいにしておきましよう。  次に募集の問題について、先ほども事務当局から伺つたのですが、まだ十分に納得ができないので、ちよつと聞いておきたい。  第一にこの法案は今出されておるわけであります。ところがこの通過をすでに予想して本日の新聞紙上には増員の募集が行われておる。それから先ほど学生訓練を目的として入れる者もこの定員の中に人つておるということでありましたが、そういうことについては大学などでもうとつくの昔に募集しておる、こういうようなことを見ますと、まるで国会などはいらないかのごとくに見えるわけなんです。非常にかつて気ままなことを政府はやつておる。一体責任はだれにあるのだとさつきも聞いたのですが、それは総理大臣であります。ということだつたのですけれども総理大臣責任があるとすれば、そういう間違つたことに対して、一体どういう責任をとられるのか、これをひとつ聞きたい。
  137. 大橋武夫

    大橋国務大臣 間違つたことならば責任をとるということはございますが、しかし将来を予想いたしまして、準備を進めるということは、これは何にでもあることでありまして、政府といたしましては、政府責任におきまして、増員のための募集広告をいたしておるわけであります。むろんこれは増員の法案が通過した場合に、初めて増員することでありまして、その以前において、増員をするために募集をしておるわけではございません。
  138. 今野武雄

    今野委員 その以前において増員しないというのですけれども、やはりそういう行動を起せば応募した者その他に対して責任を持つわけなんです。それからもう一つは、そういう時期において増すためにといいますが、それではこの予備隊令改正が通つたということを意味するわけで、当然国では間違いなく通るんだ、こういうことでやつてることには違いないのです。その点では国会をばかにした話だと思う。だから私はあえて責任ということを申したわけでありますが、その点は一体どうです。
  139. 大橋武夫

    大橋国務大臣 かようなことは、国会をばかにしたとか、ばかにしないということでなく、事実上急ぐことは、早くから準備をしてやることは、これは何のことでもあるわけで、決して国会に対する権威の問題と関係のないことである、私はこう確信しております。
  140. 八木一郎

    八木委員長 むし返し的なものを避けてお願いいたします。
  141. 今野武雄

    今野委員 そこでさらに募集について先ほど質問した中では、どうも今までの経験では募集の成績は思わしくないといつて、相当詳細な説明があつたわけです。それからもう一つは九月一ぱいでやめるという者も相当にある。これに対する対策について、いろいろと政府で腐心しておるというお話があつたわけでありますが、そのときに私は、こういうことを聞いた、なぜ思わしくないか、悲観的であるのか、悲観的である原因は、はたしてどこにあるのか、つまり国民がこの警察予備隊になるのに対して、応募することをそんなに喜ばないであろうと政府が考える原因は、一体どこにあるのか、その点を聞いたのですが、どうもはつきりしたお返事が得られなかつたのです。そのときの返事では、幹部になられる見込みが今度は少くなるからだろうとか、あるいは農村過剰人口が減つたからだろう、失業者の数が減つたからであろうとか、あるいは給與一般公務員と同じで、これは実際上は物価の上昇や何かに比べて、大して上つていない、そういう点で魅力も少いだろうとか、いろいろ話を聞いたのでありますが、これではどうも納得ができないわけで、その根本原因をもつとはつきり大橋さんから伺いたい。
  142. 大橋武夫

    大橋国務大臣 募集について悲観的であるということを前提としての御質問のようでございますが、私はこのことしの募集については、決して悲観はいたしておりません。なるほど一昨年の当時からみますると、多少の困難はあるかもしれませんが、しかし必要なる人員は、必ず充足し得るものと確信しておるわけであります。
  143. 今野武雄

    今野委員 それはおかしいので、さつきの、次長もやはり政府委員であると思うんです。政村委員として答弁したのです。それは明らかにこまかい数字どもあげまして、——今ここでむし返すと長くなりますから、それで悲観的であるということをはつきり言つている。今大橋さんは悲観的でない、こういつている。これは政府の見解がまるで違うわけで、もつと統一してほしいと思うのですが、もう一ぺん。
  144. 大橋武夫

    大橋国務大臣 政村委員からは、せつかくの今野君の御質問でございまするので、何かしいてあげれば悲観材料はないかというたつての御質問でございますから、あなたに敬意を表する意味において、ことさらに悲観材料をあげたわけであります。しかし先ほども私の申し上げました通り、これらの悲観材料の点から申しまして、一昨年のごとき好成績をはたしてあげ得るか、あげ得ないか、それはやつてみなければわかりませんが、しかし少くとも今年度において必要なる人員だけは、充足し得る確信のあるということを重ねて申し上げておきます。
  145. 今野武雄

    今野委員 次に先ほど鈴木さんから質問のあつた点でありますが、内閣総理大臣募集について府県知事や市町村ですね。これを政令に定めるところによつて指揮監督をするというのですが、指揮監督という言葉は非常に強い言葉なんです。ま自治法にもないことはないのですけれども、しかし指揮というのは、一体何を指揮というのか。具体的に言うとどういうことが指揮なのか。いかなる拘束力を持つのか。たとえばそういう必要がある場合には、政村が一体どうするのか。そういう指揮監督を一体どうするのか。そういう点について、ひとつ伺いたいのです。
  146. 大橋武夫

    大橋国務大臣 この指揮というのは、ある委任された範囲内の事柄につきまして、その方針を示すわけであります。それから監督というのは事前あるいは事後にこれを調べまして、間違つておるところを正す。指揮監督あわせてそうしたような事柄だろうと存じます。この指揮監督につきましては、地方自治法に規定がございまして、それに従つて処置されるのでありますが、しかし事柄が、先ほども申し上げましたように募集の趣旨を周知徹底してもらう、役場なり市役所なり、あるいは適当なる掲示場にこちらから送ります募集のためのポスターを張つてもらう、それからこちらで役場あるいは市役所等に申込み用紙を送付いたしまして、申込者があつた場合にはそれを交付し、受理してこちらへ伝達してもらう、あるいはまた当方から試験官を差向けて試験をいたします際に、その試験場の設備をあつせんしてもらう、こういつた事柄でございますから、この指揮監督に従わない場合にどうするかといつたような、そうした大した問題を生ずるような性質の事柄ではないと存じております。
  147. 今野武雄

    今野委員 いや、それは大したものじやないというかもしれませんが、たとえばポスターなんというのはこれはなかなか重大なものなんです。これが戦場気分をあおるようなポスターは、私のところにはかけたくないといつたような場合だつてあるわけです。あるいは何か昔の軍隊を思い出させるようなポスターはかけたくない、こういうことだつてあり得るわけです。そういう場合には断るのが当然なんですが、そういう場合に断れないというのですか。
  148. 大橋武夫

    大橋国務大臣 そんなポスターは絶対に私の方ではつくらない方針にいたしております。
  149. 今野武雄

    今野委員 それはつくらないということをここに書いてないのです、そういうポスターをつくらないということは。だからそういうことにだつてつて行くだろう、なつて行くことも可能だというのです。やはりこれは問題だと思うのです。それからさつき方針ということを言われましたが、そういう方針の中に、大体ここではこのくらいの数は出してもらわなければというような目標ですね、強制しないまでも、その目標を示すことはありませんか。
  150. 大橋武夫

    大橋国務大臣 でありますから、応募者のたくさんありまする際には、全部の試験をするのにはたいへんでございますから、一応市町村でこれはという目ぼしい者に限定してもらうということは、これは場合によつてないもとも限りませんが、しかし応募者のないのに、これだけは無理しても必ず応募者を集めてくれというような意味の割当は、私どもは全然いたすつもりはありません。
  151. 今野武雄

    今野委員 私は、そういう無理な強制的な割当をするかしないかということを聞いていないのです。大よその目標を示すということはないかということを聞いておるのです。
  152. 大橋武夫

    大橋国務大臣 大よその目標といたしましては、具体的な数字を示すというようなことは全然ありません。ただ、ある仕事をやつてくれ、今言つたような募集のために必要な自律行為をやつてもらうということだけをお願いするつもりであります。方針と申しましても、ビラなどは人の目につきやすいところに張つてくれという方針があり、人の目の届かないというような方針はよろしくないから、そういうようなことは避けてくれ、こういうような方針でございます。
  153. 今野武雄

    今野委員 そうすると、大橋さんがやつている間は決して数字は示さない、こういうことになるのですが、もし大橋さんがやらないでほかの者がやる、あるいはほかの内閣がやる場合には、やはりそういうようなこともあり得るわけです。そうすると、たとえば、さつき所得税の問題が出たのですが、ああいう面も目標がはつきりしないといけないのだから、目標を示すということが、実はさんたんたる税金地獄の一番大きな原因になつておるわけなんです。そういう点から言うと、これも強制はしないと言いますけれども、しかしながら、上からこう言われる。ことにこの法律のように指揮監督を受けるというような重大な文句が使つてある。これは地方自治法にあることは確かですが、とにかくこういう相当強い言葉が使つてある。こうなると事実上の問題としては、これをやらなければ平衡交付金は削られるであろう、あるいは何であろうというようなことで、結局その目標を達成するようにいろいろと策動せざるを得なくなる。そういう点では、これは強制しないと言いながら、やはり結局において強制することになるわけでありますから、ここのところへおつしやつたことをもつとはつきりと事こまかに書いて、これ以上はやらぬのだという限度をはつきり示すべきだと思う。そうしないと、この法の適用を—あまりここでもつていくらそうではないと言つても、法は一旦決定されますと、客観的なものになりますから、その解釈権をわれわれは持つていないわけです。従つてそういうかつてなことが行われる心配が十分あるわけでありますから、その点についてもつとこまかに規定を設ける、そして誤解のないようにする意思がないかどうか。
  154. 大橋武夫

    大橋国務大臣 今野君の御懇切なる御質問に対しましては、私の方も簡明率直に明確にお答えをしてあるわけでございまして、これは速記録にも残つておるのでございます。将来この法律案が成立いたしましたあかつきにおいて、この條項を解釈する最も有力な材料となるのでございますから、もはやこれ以上御心配のような解釈の起る余地はなかろう、こう私は確信をいたしております。
  155. 今野武雄

    今野委員 もう一点それでは次に、警察予備隊が治安の維持に当るというのは、はなはだけつこうな次第でありますけれども、私はいまだ警察予備隊を使わなければならないような事態が起つたり、現実に警察予備隊が出動したということを聞いていないわけであります。ところがこの警察予備隊がいろいろ不正をやつて治安を乱しておるという実例は、政府みずから出しておる会計検査院の昭和二十五年度決算検査報告の中に何件かあがつておるわけです。これを見ると、いずれも警察予備隊というもの—これはアメリカのお声がかりでできた。この威力を利用して、あるいは警察学校の施設を増設するために、警察予備隊がそこに入るのだからというような名目を使つてみたり、それから架空の倉の移転賠償費を支拂つたり、不正をやつてもうけた、こういうようなことがいろいろとあげてあります。こういうような点では、現実に警察予備隊がその目的に従つて利用されたということはないけれども、それをつくるためにいろいろな不正が行われた、あるいは各市町村などにおいて警察予備隊を設けるということでいろいろな饗応をするとか、しいられたとか、そういうような事柄は枚挙にいとまがないのであります。それからそのほかに警察予備隊で演習をするといつて山林を荒されたり、かような事実が多数に訴えられておるわけであります。これは現実に治安を維持するためと称しながら、かえつて治安を乱し、そうして不正をやり、あるいは多数の住民に迷惑をかける、こういうことになつて来ておるわけでありますが、この点について政村としては一体どういう責任をとられるか、それを伺いたい。
  156. 大橋武夫

    大橋国務大臣 会計上の間違いにつきましては、それぞれ責任をただし、将来を戒めるようにいたしております。なお演習に伴いまして一般国民に迷惑をかける、こういうようなことにつきましては、完全に賠償するということは当然の事柄でございますから、問題がありました都度調査をいたしまして必要な措置をとることにいたしております。なお今後におきましては、できるだけかような事態の発生しないように全力をあげて戒めたいと存じております。
  157. 八木一郎

    八木委員長 これをもつて質疑の通告者は全部終了いたしました。これにて質疑は終了いたし、明日午前十一時より討論採決を行いたいと存じます。  これにて散会いたします。     午後四時十七分散会