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1952-03-29 第13回国会 衆議院 内閣委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年三月二十九日(土曜日)     午前十一時二十六分開議  出席委員    委員長 八木 一郎君    理事 青木  正君 理事 大内 一郎君    理事 船田 享二君       江花  靜君    木村 公平君       鈴木 明良君    田中 萬逸君       平澤 長吉君    平川 篤雄君       鈴木 義男君    松岡 駒吉君       今野 武雄君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 村上 義一君         労 働 大 臣 吉武 惠市君         国 務 大 臣 大橋 武夫君  出席政府委員         内閣官房長官 菅野 義丸君         特別調達庁長官 根道 廣吉君         法務事務官         (矯正保護局         長)      古橋浦四郎君         文部事務官         (大臣官房総務         課長)     相良 惟一君         文部事務官         (社会教育局         長)      寺中 作雄君         海上保安庁長官 柳澤 米吉君  委員外出席者         專  門  員 龜卦川 浩君         專  門  員 小關 紹夫君     ————————————— 三月二十八日  軍人恩給復活に関する請願森幸太郎紹介)  (第一七三六号)  同(青柳一郎紹介)(第一七三七号)  同(佐久間徹紹介)(第一八〇二号)  恩給の不均衡調整に関する請願田中角榮君紹  介)(第一七三八号)  同(柳原三郎紹介)(第一七三九号)  同(關谷勝利紹介)(第一七四〇号)  同(大野伴睦紹介)(第一七四一号)  同(村上勇紹介)(第一七四二号)  同外一件(高木松吉紹介)(第一七四三号)  同外二件(片岡伊三郎紹介)(第一七四四  号)  同外二件(中曽根康弘紹介)(第一七六一  号)  同(池見茂隆紹介)(第一七六二号)  同(塩田賀四郎紹介)(第一七六三号)  同(山崎岩男紹介)(第一七六四号)  同(奈良治二紹介)(第一七六五号)  同(尾関義一君外一名紹介)(第一七六六号)  同(佐藤親弘君外二名紹介)(第一七六七号)  同(稻田直道紹介)(第一八〇四号)  同(早稻田柳右エ門紹介)(第一八〇五号)  同(生田和平紹介)(第一八〇六号)  同(小川原政信紹介)(第一八〇七号)  同(星島二郎紹介)(第一八〇八号)  同(五島秀次紹介)(第一八〇九号)  元軍人老齢者恩給復活に関する請請願(平野  三郎紹介)(第一八〇三号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  海上保安庁法の一部を改正する法律案内閣提  出第一〇〇号)  文部省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第一〇二号)  公職に関する就職禁止退職等に関する勅令等  の廃止に関する法律案内閣提出第一〇九号)  特別調達庁設置法の一部を改正する法律案(内  閣提出第一一四号)  法務設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第一一七号)  警察予備隊令の一部を改正する等の法律案(内  閣提出第一二四号)     —————————————
  2. 八木一郎

    八木委員長 これより開会いたします。  文部省設置法の一部を改正する法律案議題といたしますが、本案については自由党青木正君より修正案提出されておりますから、この際修正案について提出者趣旨弁明を求めます。青木正君。
  3. 青木正

    青木(正)委員 文部省設置法の一部を改正する法律案に対する修正動議提出いたします。修正案の内容はただいまお手元に配付いたした通りでありますが、教育公務員特例法適用を受けておりまする文部省所管機関職員につきましては、前回の行政整理にあたりましてすべて行政整理の対象から除外されております。そして同法の規定を準用する同省所管国立科学博物館研究員が除外されているのであります。同様な関係にありまする文化財保護委員会付属機関国立博物館美術研究所研究員についても、同じように取扱うべきものと存ずるのであります。つきましては国立科学博物館において四名、美術研究所において一名、計五名をこの際復活することとして、附則第六項行政機関職員定員法の第二條第一項の表文部省の項中、文化財保護委員会定員を五名増加するように修正しようとするものであります。  次に修正案を朗読いたします。   文部省設置法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。   附則第六項中『「六二、五六一人」に、』の下に『「四四六人」を「四五一人」に、』を加え、「六三、〇〇七人」を「六三、〇一二人」に、「八四一、六六八人」を「八四一、六七三人」に改める。  簡単でありますが、右修正動議提出いたします。
  4. 八木一郎

    八木委員長 これにて修正案説明は終了いたしました。  これより文部省設置法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案を一括して議題といたします。質疑はございませんか——質疑は別段ないようであります。本案及び修正案に対する質疑はございませんから、ただちに自由党青木正提出修正案について採決いたします。この修正案賛成諸君の御起立を願います。     〔総員起立
  5. 八木一郎

    八木委員長 起立総員。よつて青木正提出修正案は可決いたしました。  次にただいまの修正部分を除いた原案賛成諸君の御起立を願います。     〔賛成者起立
  6. 八木一郎

    八木委員長 起立多数。よつて修正部分を除いては原案通り可決いたしました。これにて本案修正議決いたしました。     —————————————
  7. 八木一郎

    八木委員長 次に、法務設置法の一部を改正する法律案議題といたします。  今野委員より一点質疑いたしたいとの御要望がございますので、特にこれを許します。今野武雄君。
  8. 今野武雄

    今野委員 この設置法の一部を改正する法律案で、少年院拘置所などが設けられることになつておりますが、たとえば小田原少年院などについては、小田原市のちようどまん中にこれが設置されることになつて、過般来この工事が進められております。これは敷地建物はもともと法務府の所有らしいのですが、それに営繕を加えてやる。これに対しては小田原市長初め、あらゆる党派の人々、市民全体が反対して、こういうまん中少年院をつくられたのではかなわぬということで大反対をやつておるのですが、法務府としては、既定方針だから、そういう陳情は受け入れられない、こういうふうにいつて、しりぞけられているということを訴えられておるのでありますが、法律もきまらないのに、そういうような予算を使用する工事を一体どういう根拠でやつているのか、違法であると思うのでありますが、その点お伺いしたいと思います。
  9. 古橋浦四郎

    古橋政府委員 小田原少年刑務所のかつて施設を、少年院として再び使う目的のもとに、昭和二十六年度の予算の若干をもつて建築に従事しておることは、ただいま御指摘のございました通りでございます。この敷地並びに建物は、従来小田原少年刑務所として使われておりまして、その後もまた拘置監がそこに存在しておつたものでございます。従いましてそこに法務府の施設として補修等をいたしますることは、会計法上も許されておることと思料いたしましてやつておるのでございます。もしこの小田原におきまする少年院設置が許されましたならば、これをそのまま少年院の方に転換いたしたいという考えを持つてつておるのでございます。
  10. 今野武雄

    今野委員 そうすると、少年院をつくるのに際して、やはりその目的でもつて営繕する、それは前年度にそういうためにすでに予算がとつてつたのですか。
  11. 古橋浦四郎

    古橋政府委員 その通りでございます。予算がとつてございました。
  12. 今野武雄

    今野委員 少年院のためにですか。
  13. 古橋浦四郎

    古橋政府委員 さようであります。少年院のためにもございましたし、拘置所のためにも予算をとつてございます。
  14. 今野武雄

    今野委員 それはおかしいのです。少年院をつくるということは、ここでこの法律で初めて出て来ているわけです。それに対して、そういう下心をもつてすでに予算をとつて、そして市民としては、ああいうところへつくられては困る。箱根の近辺に行けば、もつともつといろいろな土地があるわけです。そういうところにでもつくつてもらつたらいいわけなんで、とてもこういうところでは困るというような地元の意見が相当あるわけです。そういうものを無視してまで、しかもまだ法律もきまつてないものをどんどん強行するということになりますと、これははなはだ官僚独善ということになりますので、市民の意思などというものは少しもくまれないということになるわけです。そういうことに対して何にも責任を感じておられないような今の御答弁なので、はなはだ不可解に存じておるわけであります。これはおそらく小田原だけではないと思うのでありますけれども、そういうことか横行されますと、これはほんとうに独善的なやり方ということになるわけですから、その点けじめをつけていただきたい。その意味答弁を願いたい。
  15. 古橋浦四郎

    古橋政府委員 小田原施設につきましては、従来法務府で少年刑務所として使つてつたものでございますが、それが市の中心にありまして、市当局ではなるべく郊外に出てもらいたいという希望のあることは、最近私も聞いておるのでございますが、ただただいまの財政状態のもとに少年院をつくるということは、なかなか容易ならぬ費用がかかりますので、さしあたりといたしまして、古い施設を一時間に合せるつもりでやつておるのでございまして、将来財政が許しますようになりましたならば、その点についても十分考慮しなければならぬと考えておるのでございます。なお一般の少年院刑務所建築につきましても、御注意の点につきましては十分考慮いたしまして、各地方の住民の感情等も尊重いたしてやりたいと思つておりますから、御了承願いたいと思います。
  16. 八木一郎

    八木委員長 これをもつて質疑は終局いたしました。  本案について討論採決を行います。討論は省略しただちに採決を行いたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  17. 八木一郎

    八木委員長 御異議なければ、ただちに採決いたします。  本案について賛成の方の御起立を願います。     〔賛成者起立
  18. 八木一郎

    八木委員長 起立多数、よつて本案原案通り可決いたしました。     —————————————
  19. 八木一郎

    八木委員長 次に、公職に関する就職禁止退職等に関する勅令等廃止に関する法律案について討論採決を行います。—特に一問、今野君の質疑を許せとのお申出があります。これを許します。
  20. 今野武雄

    今野委員 この公職追放令廃止ということは、非常にけつこうなことのように受取られておりますが、実はこれは私どもとしては根本的に問題があるわけで、それは討論のときに申し上げます。  それから実際的なことを一つお伺いしたいのです。それは、私どもの党の衆議院の議員並びに参議院の議員が、公職追放令追放になつておる者が多数にあるわけです。このことについては、私どもとしては非常に解せないことが多くて、当時も質問したのでありますが、はつきりしない。この廃止の際に一つ質問しておきたいのですが、たとえば昨年の九月に、公職追放議員ばかりではありませんけれども、特に議員の砂間君、細川君、上村君等が追放になつておるのであります。ところが、この追放理由については明瞭でない。当時一つ情報によつて追放したということになつておるのでありますが、その情報は不確かなものであつたために、逮捕したけれども、裁判はできなかつた。ところが、追放令の方だけはそのまま有効であるという見解のもとに、政府議員の身分の復活を許さぬという見地に立つておる。そのときに質問いたしましたら、それは行政上の処分であるから、公判をするのに必要な証拠はなくても、行政上の処分はできるのだという、実に乱暴な話を聞いた。証拠というものは、事実でありまして、事実に二つはないはずだ。そういうことについてそのままやつておるということは、いかにも不当だと思うのです。  それでお伺いしたいのは、今回これが解除になるに際して、世上では、どうも共産党関係だけは適用しないように細工をするのだということを盛んに放送しておる。はたしてそういうような不当な追放に対して、今度撤廃した後も解除しないというような態度をとつておるのかどうか、確実に追放解除するかどうか、その点を伺いたい。
  21. 菅野義丸

    菅野政府委員 お尋ねの件につきまして、どういうわけで追放なつたかということについては、先般来国会において答弁いたしました通りでございまして、それにつけ加えることはございませんが、ただいまの御質問の、これを廃止したあとにも、解除になるということはないかとか、あるいは廃止する前において、今訴願審査会でもつて解除をやつておりますが、それに特に共産党のものは解除をしないというような方針はないかというようなお尋ねだと思いますが、その点につきましては、公職資格訴願審査委員会というのは、法律に基いて今盛んに審査をやつておるのでございまして、これは申請を必ずして来なければなりませんが、申請して来たものにつきましては、十分な時間をかけて慎重に審査をやつております。これを解除をしないというときには、必ず本人の出頭を求めて、そうしてその意見を聞かなければならぬというふうに法律上はなつておりまして、特に共産党であるから解除をしないというような方針は、訴願審査会としては絶対に持つておりません。政府としてもございません。解除理由があれば、どしどしなるべく多く解除して行きたい、こういう方針で進めております。それからポツダム政令がなくなつたあと、つまり平和條約の最初の効力発生の日以後はどうなるかといいますと、全部の者がいかに残つておりましようとも、まつた追放というものはなくなつてしまうのですから、従つてその追放解除ということもなくなるわけです。何人残つておりましようとも、全部その日からもう追放という効果はなくなつてしまうわけであります。もつとも罰則適用については違いますが、公職追放ということは全然なくなつてしまいますので、従つて解除ということもございませんので、御了承願いたいと思います。
  22. 今野武雄

    今野委員 そうすると、率直にお答え願いたいのですが、罰則適用については別だというお話が今ありましたが、たとえば徳球さんとか、そういうものは何やら違反になつている。しかし、そういう元の政令や何か廃止されているのに、そういうものに対して、やはり念を入れてあくまでもその罰則適用して追及する、そういうことをするという意味ですか。
  23. 菅野義丸

    菅野政府委員 お尋ねの徳田前議員の問題につきましては、私の記憶において間違いなければ、この政令でなく、ほかの政令罰則に触れているんじやないかと思います。しかしその点私はつきりしません。この政令罰則に触れておりますものにつきましては、「なお従前の例による。」となつておりますが、それは廃止以前の行為が、この政令効力のあつたときに罰則に触れておるのでございますから、これは当然効果というものは残さないと、非常な不合理なことになりますので、これはすべてのポツダム政令について同様でございますが、特に追放解除だけの問題でないのでございまして、どのポツダム政令につきましても、その有効期間中になされた行為に対する罰則適用については、廃止後も従前の例によるという例によつておるのであります。
  24. 八木一郎

    八木委員長 これにて、討論を省略しただちに採決いたしたいと思います。御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  25. 八木一郎

    八木委員長 御異議なしと認め、採決いたします。  本案賛成諸君の御起立をお願いいたします。     〔賛成者起立
  26. 八木一郎

    八木委員長 起立多数。よつて本案原案通り可決いたしました。     —————————————
  27. 八木一郎

    八木委員長 次に警察予備隊令の一部を改正する等の法律案議題といたし、質疑を行います。質疑通告順に許します、鈴木義男君。
  28. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 警察予備隊の増員の問題は重大でありますから、一通り質疑を盡しておきたいと思うのであります。私はわざといやがらせに質問したり、あるいは陷穿を設けて質問をするのじやないのでありまして、後日のために明らかにしておくことがわれわれの義務と考えますから、その趣旨質問をいたすのであります。どうか率直に、簡明にお答えを願いたいと思います。  木村法務総裁などからはすでに他の委員会見解の発表があつたように承つておりますが、大橋国務大臣に承つておきたい。警察軍隊とをどういう点で御区別になるかということがまず第一点であります。
  29. 大橋武夫

    大橋国務大臣 警察軍隊との区別ということでございますが、軍隊というものは、元来国の自衛または国際紛争の解決その他の必要に基きまして、国が戦争に訴えることがあるわけでありまして、これは国家の固有の権利であると存じますが、その戦争目的といたしまして組織編成いたしました部隊がこれすなわち軍隊であると思います。これに反しまして警察は、国内の治安を確保するということが第一義的な、直接的な目的となつておるわけでございます。従いまして、その目的とするところの異なるに従いまして編成、装備等におきましてもおのずから差異があるのが実情であろうと存じます。
  30. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 それならば、装備についてはどの程度まで警察というものは持ち得るという御見解でございましようか。
  31. 大橋武夫

    大橋国務大臣 装備はおのずからその任務から考えまして必要なる限度において持つということになると存じます。
  32. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 非常に抽象的ではつきりいたしませんが、たとえば大砲とか飛行機とか、そういうものもやはり警察としても持つ場合があり、必要があるとお考えでしようか。
  33. 大橋武夫

    大橋国務大臣 大砲にも大小いろいろありますし、飛行機にも、戦略爆撃に用いますようなものから、偵察機戦闘機等、多種多様にわたつております。警察任務目的からいたしまして、必要な場合におきましては、必要な程度のものを備えるということは、十分にあり得ることと考えます。
  34. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 現在の警察予備隊は、どの程度装備を持つていましようか。
  35. 大橋武夫

    大橋国務大臣 大体申し上げますと、現在警察予備隊といたしましては、小銃——この小銃カーバイン銃及びライフル銃ということに相なつております。それから自動拳銃、短機関銃ブローニング自動銃ブローニング機関銃——ブローニング機関銃は各種の様式のものがあります。それからブローニング機関銃——重銃身の機関銃であります。それからロケツト弾発射機追撃砲、こうしたものを備えております。
  36. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 将来もつと装備を強化するというようなことを承つておりますが、そういう御予定があるのでありましようか。
  37. 大橋武夫

    大橋国務大臣 将来の装備につきましては、なお予備隊本部といたしまして研究いたしておるところでございまして、ただいままで具体的に決定をいたした計画は持ち合せておりません。
  38. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 次に憲法第九條にいう戦力でありますが、ただいまお述べになつた程度警察予備隊は、憲法第九條にいう戦力という概念の中に入るのではないかとわれわれは考えるのでありますが、その点の政府の御見解を承りたい。
  39. 大橋武夫

    大橋国務大臣 警察予備隊目的、またその目的の範囲内において、現在装備をいたしておるわけでございまして、この程度のものは憲法上の戦力に該当しないというのが、政府見解でございます。
  40. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 そこで安全保障條約によると、アメリカ軍隊がしばらく日本の安全を保障する、そして日本もまた防衛力を持つ。そしてだんだんその防衛力を漸増することによつてアメリカ軍隊が駐留することを減らして行くということが予想されておるようでありまするが、そうであるとすれば、今やつておる警察予備隊を、この安全保障條約の予想する防衛力、こう考えてよろしいですか。
  41. 大橋武夫

    大橋国務大臣 国の防衛につきまして、直接にこれを目的として組織されますものは、私はこれは軍隊でなければなるまいと考えております。しかしながら、軍隊以外のものが、不時の防衛に使用され得ることが絶対にないかというと、そうではないのでございまして、直接防衛目的としてつくられましたる軍隊以外におきましても、国家緊急の際におきまして、その目的のために使用され得る実力がありといたしましたならば、国が自衛のためにそれを用いるということは、当然あり得ることを予想しなければならぬことと思うのでございます。従いまして、かようなる意味におきまして、直接に防衛目的とした軍隊ではありませんが、しかし防衛上必要があれば、警察予備隊の持つておりまするところの実力防衛のために利用され得る場合も、十分にあり得ると考えます。従いまして、そういう意味におきましては、警察予備隊防衛のために利用されることのあり得る力であるということは、言い得るかと存じます。私はこの安全保障條約におきますところの日本が、漸次に防衛をみずからの責任において行うような措置をとることを期待される。その防衛のためのみずからの措置ということは、かような第一義的な使命にはあらずして、そうした場合に用いられ得るところの力である警察予備隊というものの増強をも含むかどうか、はつきり確かめておりませんが、自衛というものの場合の力として警察予備隊が働くことは、全然あり得ないとは考えておりません。そういう意味において多少防衛に寄與する力であると考えます。
  42. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 非常にまわりくどく御説明になりましたが、結局簡単に言えば、アメリカ軍隊がだんだんいなくなる。そのときふやして行つて、それにかわり得るものということになれば、常識では、もし違つた言葉を使うことが必要なら、軍隊にかわり得るものである、こういうことになるだろうと思うのでありますが、そう解してよろしゆうございますか。
  43. 大橋武夫

    大橋国務大臣 米国駐留軍軍隊と言われるのであろうと思われますが、米国駐留軍の、日本において担当いたしておりますところの全部に対してかわるということは、あり得ないかもしれませんが、その使命の一部については、かわり得るものたる性質を持つと思います。
  44. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 非常にデリケートな問題でありますが、そうすると安全保障條約は、やがて日本アメリカ軍隊が一兵もとどめなくなるときを予想しておるのじやないか。できるなら一兵もとどめないときの来ることを期待しておるのじやないかと思うのであります。そのときにはもはや、軍隊にかわるものというような言葉説明できなくなるときが来るわけでありまして、当然日本もまた、それにかわるべき軍隊を持つことを予想しておる、あるいは期待しておる、こういうふうに解してよろしいでありましようか。
  45. 大橋武夫

    大橋国務大臣 安全保障條約は暫定的ということになつておるそうでありますが、この條約のことにつきましては、私その担当でございませんので、どうぞ條約の解釈等についての御質問でございましたならば、岡崎国務大臣におただしをいただきたいと思います。
  46. 八木一郎

    八木委員長 大橋国務大臣に対する質疑は、後ほど相当時間をさいて続行することにいたします。     —————————————
  47. 八木一郎

    八木委員長 次に海上保安庁法の一部を改正する法律案議題といたし、討論採決を行います。  討論を行います。通告順によりこれを許します。船田享二君。
  48. 船田享二

    船田委員 私は改進党を代表いたしまして、本法案に反対するものであります。  この法案によりまして改正される海上保安庁の機構その他につきましても、いろいろ問題があると思うのでありますが、それは略しまして、特に海上警備隊を創設しようとする第二章の規定でありますが、法案の第二十五條の二によりますと、「海上警備隊は、海上における人命若しくは財産の保護又は治安の維持のため緊急の必要がある場合において、海上で必要な行動をするための機関」だときわめて軽微なような外観を持つ規定が出ておりますが、しかし政府の提案理由説明にもありますように、この警備隊というのは、海上における大規模な災害ばかりではなしに、重大な秩序の撹乱等、つまり戦争みたいなものが起きた場合というものも含まれているとしか解釈できないのですが、そうした重大な秩序の撹乱等に対しても、緊急対処ができるようなものであり、また集団訓練を施した、機動力のある海上勢力をつくろうとするというふうに説明されておるのでありまして、これは常識的に申しまして、明らかに軍備であり、戦力であると言わなければならないと思うのであります。警察予備隊を中心としまして、戦力あるいは軍備の問題について、しばしば各委員会などで論争されておりますし、ただいまも鈴木委員大橋国務大臣との間に質疑応答があつたのでありまして、この点につきましては詳しく申し上げる必要もないと思いますが、こういうような勢力を、しいて軍隊でない、戦力ではないのだというふうに解釈しておるのは、現政府だけでありまして、日本中、また世界中だれもが、こういうような勢力は戦力考えておる。これが常識なのでありまして、本改正法案はそうした戦力を創設しようとするものでありますし、ことに六千三十八人という定員、これも説明によりますと、とりあえずということでありまして、これから先、一たび創設されますと、どのくらい増されることになるのかわからないような状態なのでありまして、こういうような改正法案は、われわれとしては明らかに憲法第九條に違反しようとするものとしか考えられません。いろいろなほかの理由は略しまして、この重大な点を指摘しまして、本法案に反対するものであります。
  49. 八木一郎

    八木委員長 次に青木正君。
  50. 青木正

    青木(正)委員 私は自由党を代表いたしまして、本法案賛成意見を開陳いたしたいと存じます。  ただいま船田先生から反対の御意見があつたのでありますが、立論の根拠は、要するに前の方の機構問題は別といたしまして、新たに設ける海上警備隊憲法違反であるという御見解のようであります。そのお考え方は、予備隊が戦力であるというお考えと同様な見解に立つておるように私ども承るのでありますが、われわれは警察予備隊戦力にあらずという見解をとつておるのでありまして、今回設けます海上警備隊につきましても、日本が独立して主権国家となり、そうしてみずからの治安を守らなければいかぬという見地に立ち、その沿岸における治安を守るために、陸上における警察予備隊と同じような意味において、海上警備隊もいるということで、私どもは現実問題として、きわめて必要適切なる施設考え、また法制的に見まして、予備隊は戦力にあらずと同じような見解に立ちまして、私どもは、海上警備隊は戰力にあらず、かような見解に立ちまして、法制上からも何らさしつかえない、かように存ずるのであります。  以上のような意味において、現実面からも、そうしてまた法制的に見ましても、今回の改正案はきわめて妥当なるものである。以上の見地に立ちまして、本案賛成いたすものであります。
  51. 八木一郎

  52. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 日本社会党は本法案に対して、反対の意見を持つておるものであります。警察予備隊海上保安庁は有機的な一体としてわれわれは考えたいと思つておるのでありまして、そういう見地からも、海上保安庁のあり方について、根本的に違つた考えを持つておるわけであります。従つて別にわれわれとしては案を立てて、他日主張いたしたいと考えておりますから、これに賛成するわけに行かないのであります。それから、こういう形で行くということになれば、ただいま改進党の船田委員が指摘されましたように、明らかに戦力化の過程をたどる第一歩であると思うのでありまして、今ふやされる人数はわずかでありますけれども、将来が予見されるのでありまして、明らかに憲法第九條違反である。そういう意味におきましても賛成するわけに参らないのであります。詳しいことは警察予備隊問題等において申し上げることにいたしまして、簡単に反対であるということだけを表明いたしておきます。
  53. 八木一郎

  54. 今野武雄

    今野委員 政府説明並びに自由党の代表の方の討論を聞いておりますと、戦力であるかないかというようなことが言われておりまするが、普通の国民といたしましては、そういうような三百代言的な言い訳は問題なんじやなくして、現実に軍隊と同じようなものができ、そうしてまた現実に日本の国民の利益のためではなくして、外国の極東戦略の一環として、日本に再軍備がなされ、その一環としてこの海上警備隊などの創設というような問題が出て来ておる。こういうことに対して、まだあのむごたらしい戦争が終つてからわずか七年にしかならない今日、再びこのようなことができたことに対して、自分たちがまた徴兵にとられやしないかといつて心配する青年、あるいは自分のむすこや夫が戦争に出されやしないかと心配しておる婦人、あるいはその戦争のために自分たちの生活を犠牲にしなければならない労働者や農民、市民、これらの人々の気持を代表いたしまして、断固としてこれに対しては反対しなければならないというように考えておる次第なのであります。大体この間来の質疑によつても明らかになつたように、もつともらしく救難とかいろいろのことを並べおりますが、そういう美名の中に、法案の文句の中にも非常に重大な治安の撹乱とかいろいろなことがうたつてあります。しかしこういうことすらも実は数箇月のことであり、数箇月後には名前もかえてしまうのだ。その実質を整えるためにこういうような態勢を整えるのだということも、質疑によつてほぼ明らかになつたわけであります。政府としては将来のことに対しては答弁できないといいますけれども、一旦こうやつて生み出したものを、それが将来どうなるかということに対して全然盲でもつて、これに対して賛成せよということは、これは国民に対して白紙委任状をしいるものでありまして、そういうような態度は專制政治といわなければならない。断じて民主的な態度とは言えないわけであります。そういうことをして国民を瞞着して、再軍備をやる。しかもその再軍備は、日本防衛という名前にはなつておるけれども、しかし現実に日本防衛の戰いなるものがなされている実態を見れば、これは決してほんとうの日本防衛のためではない。なぜならば、あの極東空軍がいつの間にか日本防衛空軍という名前にかわつてしまつておる。アメリカの輿論、あるいはアメリカの国会などでは、朝鮮の戰争は日本防衛のための戰争であるから、日本の国民がこれに協力しないのはけしからぬというような極端な論議さえ行われておる。このように、われわれが知らないうちに防衛というようなことが問題になり、現にその名による戰争が行われておる。これは空、海、陸ともにそのために日本人が使役されておる。こういうような実情のもとにこういう警備隊がつくられる。その実態は明らかに日本防衛を名とするアメリカの極東戰略の一戦力としてこれを利用する。国民が知らないうちに国民を外国の雇い兵にする。その戰争のために、国民の大事な働きの結果であるいろいろな資源をむだに使うということでありますから、こういうことを行いますならば、日本の国民が求めておる平和もあるいは独立も決して達成し得ない。名前のみあつて、実は平和も独立もない。軍隊のもとに押えられたる植民地国家というようなものになつてしまう。こういう点が問題なのであります。そういうようなことに対して、われわれとしては、全国民とともにこれは反対しなければならない。もちろん法的な根拠、つまり憲法に違反するという問題も非常に重大問題でありますし、また憲法を侵してこういうようなごまかしをやろうというフアツシヨ的なやり方に対して、われわれとしては全国民とともにあくまで闘うものでありますが、同時にそれの内容に至つてはさらに恐怖すべきものがある。これに対しては、われわれは軍に反対するだけでは足りない。ほんとうに抗議して、たといこれが成立しようとも、これが実際にそういうふうにならぬように、そういうような外国の戦力になり、日本の国民を再び戦争のちまたに陥れないために、あらゆる努力をしなければならないというふうに覚悟しておる次第でございます。そういうような意味において、私どもといたしましては断固反対するものであります。
  55. 八木一郎

    八木委員長 これにて討論は終局いたしました。採決を行います。本案賛成諸君の御起立を願います。     〔賛成者起立
  56. 八木一郎

    八木委員長 起立多数。よつて本案原案通り可決いたしました。     —————————————
  57. 八木一郎

    八木委員長 次に特別調達庁設置法の一部を改正する法律案議題といたします。  本案については、一応質疑は終了いたしましたが、松岡委員より特に労働大臣に対し質疑の申出がありますので、これを許します。松岡駒吉君。
  58. 松岡駒吉

    ○松岡委員 この問題はあまり多く聞こうとは思いませんが、行政協定の十二條によれば、直接の雇用と間接の雇用と両者を認めているようであります。今日の日本の労働組合の実力をもつてし、発達の状態から考えまして、直接雇用の場合においてはたして労働者の利益か完全に守られるであろうかということに対して多大の疑念を感ぜざるを得ないのであります。このことが一つ。それからそういう場合において、行政協定と関連して考えられることは、事実上強制労働的な、あるいは命令による労務に服するようなことが不幸にして行われはしないだろうかという懸念、あるいはまた不当労働行為のある場合におきまして、これに対して一体どういう制裁が使用者に加えられるかという問題、ことに従来の軍管理工場とほぼ似通つたようなことに将来なるらしく聞いているのであるが、過去における軍管理工場において行われておりましたはなはだ好ましからざる事実、そういうことが今後も引続き行われるであろうということが懸念される。それからいわゆる軍事基地内における労働関係がどう扱われるか。それらのことにつきまして、一切は国内法が適用されるということはすでにしばしば繰返されているので、私は同様のことを、いたずらに時間を空費して聞こうとは思わないのであります。それはほかの委員会においてあつたことでも、ここで繰返し聞いていいであろうけれども、私はそういう時間の空費を避けまして、従来大臣がしばしば他の委員会において答弁なさつておられるのでは、間接にこれを聞き調べてみて、私ははなはだ不満を感じているのであります。これらの懸念に対して、行政協定のいかんにかかわらず、真に国内法を厳格にアメリカ軍をして遵守せしめることができるかどうか。大臣の信念と決意を伺つておきたい。かように思うのです。
  59. 吉武恵市

    ○吉武国務大臣 ただいまの松岡さんの御質問でございますが、第一点は、行政協定の十二條によつて駐留軍労務が間接雇用か直接雇用か、もし直接雇用だとすると、保護の上において遺憾の点がないだろうか。こういう御質問でございますが、この点は行政協定を結ぶ際に相当向うとも折衝をいたしました。御承知のように、本来の労働構成からいえば、事実使つている者が雇用主として直接雇用関係にあるのが建前でありますが、言葉関係あるいは事情の違う関係で、ただいま御指摘になりましたように、現実的に労働者の保護ができるかどうかという多少心配がございます。また労働組合側からもその点の心配がございまして、自分たちとしては現実の保護を求むる方がいいので、間接雇用を希望するという旨がございましたので、折衝いたしました結果、十二條ではどちらでもできる。いずれの場合であつて日本の国内法を適用するということになりまして、運用面におきましては、できるだけ労働組合の希望を入れて、運用をしたいということになつたわけであります。従いまして、現在でも大体調達庁を経てやつておりますが、個々の小さい雇用については直接雇用をしている部面もございますので、全部が全部間接雇用でなければならぬとすると、また実情に沿わない点もございますので、そこは組合側の希望をできるだけ入れまして、運用に遺憾なきを期して行くつもりでございます。  それから第二に御指摘になりました駐留軍労務の場合に強制労働の心配がなかろうか。こういうことでございますが、この点も向うと折衝いたしましたが、そういう懸念はなくて、国内法が完全に適用される。事実進駐が始まりましたときも、軍の関係がございますから、万一強制的に雇用するという必要がありはしないかというので、政令が出ておりましたが、事実は使わないで済みまして、昨日でありましたか、両院とも通過して、その政令廃止しておるような状況でございまして、向うとしてはそのつもりは全然ございませんし、今度は国内法を適用するということでございますから、私どもといたしましても、その心配はないものと考えております。  それから第三に御指摘になりましたのが不当労働行為でございまして、御指摘のように、管理工場その他において多少ごたごたがございました。その点は私ども調べたところ、内部関係においてはいろいろないきさつがあつたようであります。ただ法律の問題になつて参りますと、内部の関係はいろいろございましたけれども、表向きになりますと、はたして不当労働行為であるかないかという点については疑問の点が多いわけでありまして、その点は現在でも不当労働行為に対する救済の道はふさがれてはいないのでありますが、事実はそれに訴えないで話がついたという事例がございます。そこで、今後の問題でありますが、今後の問題は、軍の管理工場でございましても、軍が直接使用する労務につきましても、いずれでも国内法が適用あることでありますから、不当労働行為につきましては、それぞれの機関にかけて救済されることであります。従いまして、いわゆる管理工場と称するものにつきましては、これは一民間工場でございますから、当然日本の国内法が適用されるべきであり、不当労働行為のような状況がございますれば、労働委員会その他において救済さるべきものだと思います。従来は占領下でありましたために、実はいろいろの問題がございましたが、この点は現在でもわれわれとしては嚴重なる監督をしなければなりませんが、独立後におきましては、御指摘のように、私どもとして十分気をつけて行つて、遺憾のないことを期するつもりでございます。  それから施設内の労働関係についての御質問でございましたが、これも同様でございまして、管理工場でございましようと、軍が直接使う労務でございましようと、行政協定の際にいずれも日本の国内法を適用する、そして尊重して行くということを言つております。また私も直接GHQの人とも会いまして、その点は十分自分の方でも尊重して行くつもりであるから、労働大臣も十分ひとつ気をつけてやつてくれ、こういうことでございますので、私といたしましては、いろいろの個々の事象は起るかもしれませんが、その際には十分法が守られるように努力するつもりでございます。
  60. 八木一郎

    八木委員長 これにて質疑を終了し、討論採決を行います。討論の通告がありますから、これを許します。鈴木義男君。
  61. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 別に討論というほどでないですが、今度出された特別調達庁設置法の一部改正案そのものは大した問題ではないのですけれども、独立後の調達庁の活動につきましては、われわれとして独自の見解を持つております。もつと別個の態勢で行くべきである。こう考えておりますので、今までのようなものをただ技術的にかえるこういう改正案に対しては、日本社会党といたしましては反対の意思を表明いたしておく次第であります。
  62. 八木一郎

    八木委員長 江花靜君。
  63. 江花靜

    ○江花委員 私は自由党を代表いたしまして、ただいま提案されました特別調達庁設置法の一部を改正する法律案について賛成の意を表するものであります。  本法案改正の趣旨は、講和発効に備えまして、法律上の字句に改正を加えること、なおその内容とでも申しますかの点につきましては、行政協定第十八條の規定によつて駐留軍行為のために生じた損害の処理に関する業務を調達庁で行うことに規定したほか、調達役務審議会及び京都の特別調達局を、実情に沿わせるために廃止する、こういうことでありまして、私は本案賛成の意を表するものであります。
  64. 八木一郎

  65. 今野武雄

    今野委員 この法律案は、今度の行政協定下の自由党のいわゆる独立日本なるものが、実は占領治下の継続であるということを、最も明確に示したものであると思うのです。特別調達庁の特別という字をなくしたのと、それから今までだつて当然なすべき補償行為を幾らか明文化したというだけでは、決して今まで起つておる労働関係、あるいは物資調達関係、それから土地の収用その他において起つている諸問題が解決される保障は、何ら與えられないわけでありまして、その意味では、占領の継続だといわざるを得ないわけであります。その点を詳しく申し上げますことは後に譲りたいと思いますが、ただ一点だけあげれば、吉武労働大臣が、今までそういう不当なことがあつたということを認めて、今後そういうことがないようにできると申されましたが、現実に、たとえば施設、あるいはPD工場において、労働組合の活動しようとするそれに対してはあらゆる種類の干渉が現在もなお加えられており、しかも銃を持つたCPとか、あるいはガードとか称する猟銃を持つた日本人が多数におりまして、そうしてそれらが監視しておつて、その監視下に働いておる。その上にまたアメリカ軍隊が監視しておるというようなもとにおいて、それに対抗する何らの実力がない。従つてどうしても組合の運動というようなものもやることができない。先般来も横浜の埠頭において荷揚げをやつておる人たちの間で鈴木安藏君の書いた憲法か何かの書物を持つていた。それを帰りの検査のときにMPに見つけられて、こういう書物を読むことは、これは不穏な思想の持主の証拠であるということで、そのまま連れて行かれてとめられ、さらにまた警察に引きとめられて留置され、今度はそのあげく首を切られておる。これに対して労働者は憤激いたしまして、各方面に訴えて、何とか労働委員会でも取上げてもらえぬか、こういうことを言つたところが、神奈川の労働委員会では、どうも従来の例から見て、こういうことを取上げてうまく行つた例がないから、およしになつた方がいいのじやないか、こういうことを言つておる。横須賀の施設内においても不当な労働基準法違反ということが多数に訴えられて、一つも解決しないというのが現実の姿であります。しかも、そういうものを解決する現場内の保障というものは何らできて来ていない。こういうところでもつて名前だけ日本の労働法規が使われるのだ、こういうことを言つても、どうにもならぬ。これは前にいわゆる赤線区域が問題になつたとき、警察の署長が、占領軍がやつて来てその要求によつて実力によつて赤線区域をつくつて、そうして慰安婦を置かざるを得なかつた。これが日本法律に反することはよくわかつていたけれども、そうせざるを得なかつた行政監察委員会で証言しておりますが、かようなことから徴しましても、そういう実力をもつて圧迫するというものに対して対抗する何らの手段がなく、そうしていたずらに、法が守られるようにいたしますと言つたところで、これは寝言に過ぎないことになる。従つて先ほど申しました通り、その一例をもつてしても、また土地収用とかいろいろな面については今省略いたしまするが、すべて駐留軍のためというようなことで日本国民の諸権利がまつたく無視される、そういう占領下の状態が継続する、そういう意味において私どもはこれに対して絶対に反対いたすものであります。
  66. 八木一郎

    八木委員長 これをもつて討論は終局いたしました。  これより採決いたします。本案について御賛成諸君の御起立を願います。     〔賛成者起立
  67. 八木一郎

    八木委員長 起立多数。よつて本案原案通り可決いたしました。  以上本日採決いたしました五法案に対する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任を願います。  本日はこれにて散会いたし、次会は公報をもつてお知らせいたします。     午後零時四十四分散会