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今野委員 政府の
説明並びに自由党の代表の方の
討論を聞いておりますと、
戦力であるかないかというようなことが言われておりまするが、普通の国民といたしましては、そういうような三百代言的な言い訳は問題なんじやなくして、現実に
軍隊と同じようなものができ、そうしてまた現実に
日本の国民の利益のためではなくして、外国の極東戦略の一環として、
日本に再軍備がなされ、その一環としてこの
海上警備隊などの創設というような問題が出て来ておる。こういうことに対して、まだあのむごたらしい
戦争が終
つてからわずか七年にしかならない今日、再びこのようなことができたことに対して、自分たちがまた徴兵にとられやしないかとい
つて心配する青年、あるいは自分のむすこや夫が
戦争に出されやしないかと心配しておる婦人、あるいはその
戦争のために自分たちの生活を犠牲にしなければならない労働者や農民、
市民、これらの人々の気持を代表いたしまして、断固としてこれに対しては反対しなければならないというように
考えておる次第なのであります。大体この間来の
質疑によ
つても明らかに
なつたように、もつともらしく救難とかいろいろのことを並べおりますが、そういう美名の中に、
法案の文句の中にも非常に重大な
治安の撹乱とかいろいろなことがうた
つてあります。しかしこういうことすらも実は数箇月のことであり、数箇月後には名前もかえてしまうのだ。その実質を整えるためにこういうような態勢を整えるのだということも、
質疑によ
つてほぼ明らかに
なつたわけであります。
政府としては将来のことに対しては
答弁できないといいますけれ
ども、一旦こうや
つて生み出したものを、それが将来どうなるかということに対して全然盲でも
つて、これに対して
賛成せよということは、これは国民に対して白紙委任状をしいるものでありまして、そういうような態度は專制政治といわなければならない。断じて民主的な態度とは言えないわけであります。そういうことをして国民を瞞着して、再軍備をやる。しかもその再軍備は、
日本の
防衛という名前にはな
つておるけれ
ども、しかし現実に
日本の
防衛の戰いなるものがなされている実態を見れば、これは決してほんとうの
日本の
防衛のためではない。なぜならば、あの極東空軍がいつの間にか
日本防衛空軍という名前にかわ
つてしま
つておる。
アメリカの輿論、あるいは
アメリカの国会などでは、朝鮮の戰争は
日本の
防衛のための戰争であるから、
日本の国民がこれに協力しないのはけしからぬというような極端な論議さえ行われておる。このように、われわれが知らないうちに
防衛というようなことが問題になり、現にその名による戰争が行われておる。これは空、海、陸ともにそのために
日本人が使役されておる。こういうような実情のもとにこういう警備隊がつくられる。その実態は明らかに
日本防衛を名とする
アメリカの極東戰略の一
戦力としてこれを利用する。国民が知らないうちに国民を外国の雇い兵にする。その戰争のために、国民の大事な働きの結果であるいろいろな資源をむだに使うということでありますから、こういうことを行いますならば、
日本の国民が求めておる平和もあるいは独立も決して達成し得ない。名前のみあ
つて、実は平和も独立もない。
軍隊のもとに押えられたる植民地国家というようなものにな
つてしまう。こういう点が問題なのであります。そういうようなことに対して、われわれとしては、全国民とともにこれは反対しなければならない。もちろん法的な根拠、つまり
憲法に違反するという問題も非常に重大問題でありますし、また
憲法を侵してこういうようなごまかしをやろうというフアツシヨ的なやり方に対して、われわれとしては全国民とともにあくまで闘うものでありますが、同時にそれの内容に至
つてはさらに恐怖すべきものがある。これに対しては、われわれは軍に反対するだけでは足りない。ほんとうに抗議して、たといこれが成立しようとも、これが実際にそういうふうにならぬように、そういうような外国の
戦力になり、
日本の国民を再び
戦争のちまたに陥れないために、あらゆる努力をしなければならないというふうに覚悟しておる次第でございます。そういうような
意味において、私
どもといたしましては断固反対するものであります。