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1952-05-19 第13回国会 衆議院 電気通信委員会郵政委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年五月十九日(月曜日)     午後二時二分開議  出席委員   電気通信委員会    理事 關内 正一君 理事 長谷川四郎君    理事 松井 政吉君       加藤隆太郎君    福永 一臣君       椎熊 三郎君    石川金次郎君       田島 ひで君    稻村 順三君   郵政委員会    委員長 尾関 義一君    理事 飯塚 定輔君       石原  登君    玉置  實君       牧野 寛索君  出席国務大臣         電気通信大臣  佐藤 榮作君  出席政府委員         電気通信政務次         官       平井 太郎君         電気通信事務官         (業務局長)  田辺  正君         電気通信事務官         (経理局長)  横田 信夫君         電気通信技官         (施設局長)  中尾 徹夫君  委員外出席者         電気通信事務次         官       靱   勉君         電気通信委員会         專門員     吉田 弘苗君         電気通信委員会         專門員     中村 寅市君         郵政委員会専門         員       稻田  穰君         郵政委員会專門         員       山戸 利生君     ————————————— 本日の会議に付した事件  日本電信電話公社法案内閣提出第二一二号)  日本電信電話公社法施行法案内閣提出第二一  三号)  国際電信電話株式会社法案内閣提出第二一四  号)     —————————————
  2. 尾関義一

  3. 平井太郎

    ○平井(太)政府委員 ただいま議題となりました日本電信電話公社法案提案理由説明申し上げます。  わが国電信電話事業は、創業以来公共事業として終始一貫国営により経営されて参つたのでありますが、昭和九年特別会計制度を採用いたしました後も、事業国営に伴う諸制約に縛られ、設備拡張資金につきましても、その時々の国家財政のわくに左右されて、十分かつ安定した資金を得られず、さらに企業経営の基本であります財務会計人事管理についても、一般行政官庁と同一の規律を受けているため、活発な企業活動を阻害されて来た点が少くなく、ために戰争によつて極度に荒廃した電信電話の復興は、戰後の産業、経済文化等国民活動の進展に伴うことができないで、遺憾ながら国民の要望に十分こたえることができなかつたのであります。  このため昭和二十四年七月に内閣に設けられました電信電話復興審議会は、昭和二十五年三月三十一日に、電信電話事業民営の長所を最大限に取入れた公共企業体に運営せしめることの必要性政府に答申いたしたのでありますが、同年四月二十六日衆議院も公共企業体移行促進の決議をされ、公共企業化の機運は熟して来たのであります。しかるにその後幾ばくもなく、朝鮮動乱の勃発に伴い、関係筋の意向もありましてひとまず見送りとなつていたのでありますが、昭和二十六年八月政令改正諮問委員会は、行政機構改革の一環として電信電話事業公共企業体化することを政府に答申し、政府においては愼重審議の結果、今回電気通信省を廃止し電信電話事業日本電信電話公社経営させることに定め、ここに日本電信電話公社法案国会に提出して御審議をお願いする運びと相なつた次第であります。  先にも申し上げましたように、財務会計人事管理等の面での国営形態の欠陷を除去して、企業的、能率的経営をなし得るためには、純然たる民営形態考えられるわけでありますが、電信電話事業は、全国にわたる厖大な組織及び設備を有し、巨額の資産を擁する公共事業でありますから、これを民間に拂い下げて株式会社組織に切りかえることは、再評価株式の引受け、その他に多くの困難が予想されること、強度の公益性技術的統一性及び自然的独占性を有する本事業については、純民間企業としての長所を十分に期待できないこと、また公租、公課の賦課が加わるため、経営合理化が促進されてもなおかつ相当の料金値上げを招来すること、年々巨額の拡張資金民間資本にのみ求めることは、現在のわが国資本蓄積状況からみてほとんど望み得ないこと等の理由から、民営形態は適当でないと思われるのであります。  政府公衆電気通信事業の合理的かつ能率的な経営の体制を確立し、公衆電気通信設備の整備及び拡充を促進し、並びに電気通信による国民の利便を確保することによつて公共の福祉を増進するためには、国会及び政府から必要な監督を受けることによつて公共性を確保しますとともに、一方事業経営財務会計人事管理等の面における一般行政官庁制約を脱し、民営能率的経営技術を取入れた自主的な企業活動を行い得る企業体としての公社形態に、当事業経営を行わしめることが最も適当であると考えまして、ここに日本電信電話公社設立することといたした次第であります。ただ国際電気通信関係のみは、国際通信における他国との競争関係等より、一層徹底した企業活動の自由と機動性とを確保するため民営とすることとし、別に国際電信電話株式会社法案を上提いたすことといたしたのであります。  次に公社法案内容についておもなる点を説明申し上げます。法案は第一章乃至第七章にわかれておりまして、第一章は総則として公社目的法人格業務内容資本金、名称の使用制限等規定いたしております。このうち公社資本金は、この法律施行の際における電気通信事業特別会計資産の価額から負債の金額を控除した残額に相当する額とし、いわゆる狭義資本説によることとし、政府が全額を出資いたします。  第二章は、経営委員会に関する規定でありまして、公社業務の運営に関する重要事項を決定する機関として民間会社取締役会に準ずる経営委員会を設置いたすこととしております。この経営委員会は、両議院の同意を得て内閣が任命する非常勤委員三人と、職務上当然就任する常勤の特別委員である総裁、副総裁二人の合計五人をもつて構成され、委員長委員の互選により選任することとなつております。   この経営委員会公社経営管理基本政策を決定いたす機関であります  ので、公社業務執行責任者たる総裁及び副総裁のほかに、大企業経営  についての深い経験と広い社会的視野を持つ非常勤委員をもつて構成し、その多数決によつて議事を決定することが公社経営能率的ならしめるとともに、公共性を確保するゆえんであると考える次第であります。なお委員任期は四年で、報酬は受けません。  第三章は公社役員及び職員についての規定でありまして公社役員として総裁、副総裁各一人及び理事五人以上を置くこととなつております。総裁及び副総裁内閣が任命し、理事総裁が任命いたします。総裁、副総裁任期は四年、理事任期は二年で、いずれも再任されることができます。  職員については、その地位、資格並びに任用の基準について規定するほか、降職及び免職、休職並びに懲戒につき身分保障の見地から一定の基準を設け、一方職務遂行に専念する義務を課しておるのであります。またその労働関係については、公共企業体労働関係法適用を受けることにいたしております。  第四章は、財務及び会計についての規定であります。会社財務及び会計に関しては、財産の増減及び異動を、その発生の事実に基いて経理するいわゆる発生主義会計原則によることを明らかにし、予算においても現金収支のみでなく、非現金収支を含むものであることを明らかにしております。また公社予算は、一般行政官庁の消費を目的とする予算と異なり、通信の需要に即応して最低の経費で最良のサービスを提供することを目的とするいわゆる事業予算の性格を持つものであります。この目的に応ずるため、経済事情の変動並びに緊急偶発の事態に応じ得る弾力性を有するものであるという本質を明文化してあります。予算予算総則、收入支出予算継続費及び債務負担行為よりなつており、これに当該事業年度事業計画資金計画その他参考となる事項に関する書類を添え、国会に提出してその議決を経るものといたしております。  暫定予算追加予算修正予算についても本予算に準じます。予算の流用及び繰越しについては、原則として自由とし、ただ総則に定める経費の金額については、郵政大臣の承認を経なければ流用もしくは繰越しができないこととしております。  資金につきましては、予算総則に定める限度額の範囲内において、政府及び民間に対し電信電話債券発行し、また借入金をなすことができることとしております。公社業務にかかる現金は原則として国庫に預託するのでありますが、業務上必要がある場合には、政令の定めるところにより、郵便局または大蔵大臣の指定した金融機関を利用することができることとなつております。また外債につきましては、財団抵当のごとき制度をとらず、元本の償還及び利子の支払いについて政府の保証を受けることができることにいたしました。  次に利益及び欠損の処理としましては、独立採算制を確立いたしますため、毎事業年度経営利益を生じたときはまず繰越欠損の補填に充て、なお残余があるときは、予算に定めるところによつて国庫に納付する場合を除くほか、これを積立金に組入れることとし、経営欠損を生じたときは、積立金を減額して整理し、積立金の額を超過するときは、欠損の繰越しとして整理するものとしております。  以上のように、利益金原則として積立金に組み入れますので、欠損を生じた場合にも、一般会計から交付金を仰ぐということはしないことになつております。財産処分につきましては、電気通信幹線路その他これに準ずる重要な電気通信設備を譲渡し、または交換するには、国会議決を要することといたしました。  次に公社は、その役員及び職員に支給する給與について能率給を加味した独自の給與準則を定め得ることになつておりますが、この給與準則は無制限に定め得るものでなく、一事業年度の支出が国会議決を経た給與総額の範囲内でなければならぬことを明らかにしている次第でございます。  第五章は、公社監督に関する規定でありまして、公社監督郵政大臣が行うこととし、公共福祉増進等のため必要があると認めるときは、監督上必要な命令を発することができることとしてあります。  第六章は、罰則でありまして役員違反行為をした場合の罰則及び公社以外のものが日本電信電話公社という文字を使用した場合の罰則規定してあります。  第七章は雑則でありまして、この法律施行の際現に恩給法適用を受けている公務員が引続き公社役員または職員なつた場合には、当分の間恩給法適用すること、公社役員及び職員国家公務員共済組合法規定を準用すること、不動産登記法土地収用法について公社を国の機関とみなしてこれらの法令を準用することなどを規定いたしております。  次に日本電信電話公社設立に必要な日本電信電話公社法施行法案提案理由説明申し上げます。  日本電信電話社設立に関しましては、その手続及び経過措置を定めるとともに他の法令を整理する必要があるのでありますが、條文が相当の数に上るため、これをさきに提出いたしました公社法の附則とすることなく、単独の法律として提出するのが適当と考えられますので、ここに本法案を提案することといたした次第であります。  本法案のおもな内容を申し上げますと、まず同公社の最初の経営委員会委員の指名は、これを公社設立前に行い得ることを定めております。またその任期につきましても、一斉に改選になることのなきよう、二年、三年及び四年といたしております。  次に現在の電気通信省職員は、監督官庁等に移る者等を除き、すべてこれを公社に引継ぐこととし、これらには退職金は支給しないことになつております。  次に公社設立後の過渡的措置といたしまして、公社が行うことになる業務に関する権利義務及び係属中の訴訟は、国鉄、専売の例にならい、公社が引継ぐことといたしております。  また公社財産関係につきましては、一般会計からの繰入金中、外国為替特別会計からの未受領の分と、警察専用電話料金未収金に相当する約四億円を差引いて公社の債務としたほかは、国鉄、専売の例にならつております。  公社昭和二十七年度の予算につきましては、国の予算としてすでに成立している関係上、公社が一応これを踏襲することといたしております。  次は、公社設立に伴う他の法令の整理であります。従来、国営事業として国に適用のあつた電信法電信線電話線建設條例等電気通信関係法律につきましては、別途その全面的な改正法案を準備中でありますが、間に合わないことをおそれまして、とりあえずこの法案において、これらに必要最小限度改正を加えることといたしております。  また他の法律で、国に対し特例または除外例を設けていた登録税法印紙税法所得税法地方税法等につきましては、国鉄、専売と同様本公社にも特例を設け、または除外するようにいたしております。  その他、他の法律電気通信省とあつた條文のうち、性質上国のみに適用すべきものにつきましてはこれを削除し、また公社適用する必要のあるものにつきましては、これを公社と読みかえるよう、それぞれ改正を加えておる次第でございます。  次に国際電信電話株式会社法案提案理由を御説明申し上げます。  わが国国際電信電話事業は、その運用については国内電信電話事業と一体となつ国営により経営されて来たのでありますが、その設備建設保守については、電信については大正十四年日本無線電信株式会社が、電話については昭和七年国際電話株式会社がそれぞれ設立され、政府監督と保護のもとにその任務を遂行して来たのであります。その後昭和十三年両会社が合併され国際電気通信株式会社設立され、両会社業務を引継ぐとともに、伸張する国際電信電話事業設備拡張保守に鋭意専心して来たのでありますが、終戦後昭和二十二年連合軍司令部からの覚書により、同会社の解散が決定され、爾後国際電気通信設備建設保守もまた政府事業として引継がれ今日に至つたのであります。  しかしながら今日の国際情勢にかんがみますると、対外的には列国間の通信電波の獲得及び通信網拡張の熾烈な競争に伍して、自由潤達なる活動を通じてわが国対外通信の地位を大いに向上せしめねばならないことと、対内的には講和成立後のわが国自立経済確立のためには貿易並びに対外報道事業に対しまして、諸外国に劣らない通信サービスを提供する必要切なるものがあるのであります。これらの要請を満たすためには国際間の情勢に鋭敏に反応し、経済事情の変動に強く反映される通信需要に即応し得る企業活動の自由なる機動性が強く要請されるのみならず、国際通信分野における競争相手の諸外国における通信担当者の多くが民営形態である事情にもかんがみまして、国際電信電話事業の運営を民営形態に移すとともに、その公益的特性を確保するに必要なる国の監督及び保護を與えるために、これを特殊会社とし、ここに国際電信電話株式会社法案を作成して国会の御審議をお願いすることにいたした次第であります。  以下その内容の大略を申し上げます。  本会社株式については、その会社の性格からして記名式株式とし、これを所有し得るものとしては、政府地方公共団体日本国民または日本国法人とし、日本国法人であつてもその社員、株主もしくは業務を執行する役員の半数以上、資本もしくは出資の半額以上、もしくは議決権の過半数が外国人もしくは外国法人に属する法人は所有することができないものとしたのであります。現在国際電信電話事業の用に供せられている設備は、これを日本電信電話公社から本会社現物出資することに本法案規定してありますが、公社会社株式の大部分を保有することによつて会社を支配することは、会社設立の趣旨に沿わないものと考えれますので、公社は、その割当てられた株式はこれを政府に譲渡し、政府においてそれを処分して行くことといたしたのであります。  本会社社債発行については、今後会社において相当設備拡張をはかる必要が考えられますので、商法の規定による社債発行限度制限特例規定を置き、資本及び準備金の総額または最終の貸借対照表により会社に現存する純財産額のいずれか少い額の三倍の額まで社債発行ができることとしたのであります。なお資金調達を確実ならしめるため、社債権者会社財産に対する担保権を認めるとともに、会社外貨債務について政府の支拂い保証を受けることができる旨を規定しております。  本会社は商法上の商事会社でありますが、その行う事業国民一般の利害に密接に関係いたしますので、社債の募集、長期借入金の借入れ、取締役及び監査役の選任及び解任、定款の変更、利益金の処分、合併並びに解散の決議及び毎営業年度事業計画並びに重要電気通信設備の譲渡並びに担保提供のごとき事業活動上の重要事項については、主務大臣たる郵政大臣の認可を要件とし、また監督上必要がある場合において郵政大臣会社に対し命令を発しまたは業務報告を徴し得ることとしたのであります。  以上の認可及び命令についての違反の行為については、罰則規定を設定しております。  以上のほか附則をもつて会社設立の際の手続並びに経過措置について規定を設けておるのでありまして、会社設立のためには郵政大臣設立委員を任命してその事務を行わしめることとし、また会社財産の大部分については日本電信電話公社現物出資または譲渡するものとし、この出資または譲渡の財産の範囲については、公社設立委員との協議により定め、協議が整わないときは、郵政大臣の決するところによるものとしたのであります。なお出資または譲渡の財産の価格につきましては、郵政省に設置せられます電気通信設備評価審議会の決定によることとし、審議会評価にあたつては、財産の時価を基準とし、国際通信事業収益率を参酌して決定するものとしたのであります。なお法律施行期日は政令で定めることといたしております。  以上まことに簡単でありますが、本法案提案理由及びその内容の要点を御説明申し上げた次第でありますが、何とぞ十分御審議の上すみやかに可決せられますようお願いいたします。
  4. 尾関義一

    尾関委員長 これより質疑に入ります。質疑の通告がありますので順次これを許します。飯塚定輔君。
  5. 飯塚定輔

    飯塚委員 この資料を頂戴してからまだ十分検討しておりませんので、詳細に御質問申し上げることは差控えまするが、ただいま御説明の、ごとくであればまことにけつこうな法案だと思います。この御説明の中に国営に伴う諸制約に縛られて、設備拡張資金についてもその時々の国家財政わくに左右されて、十分に安定した資金を得られないという御説明でありまするが、今度の新たな公社になりましてから、いかにしてこの資金をお集めになるか、さらにこの資本金はどれくらいになるかということを御説明願いたいと思います。
  6. 靱勉

    靱説明員 お答えを申し上げます。まず資本金の額につきましては、公社法に額をはつきり示してないのでございますが、電気通信事業特別会計資産価額から負債金額を控除した残額ということで、負債金額等につきましても施行法規定してございますので、計算いたしまして大体百六十億ということに相なる予定になつております。但しこれは再評価いたしてないのでございましてなお本法案施行法におきまして再評価を二十九年度末までに行うということが規定されております。  次に現在国営といたしまして容易に資金の確保ができないというように提案理由説明しておりまして、公社になりましてからはその資金面も解決して行くということを明らかにいたしてあるわけでありますが、本法案に現われるところによりますと、公社としては電信電話債券発行ができるということでございまして、もちろん現在のわが国財政経済事情から推して見ますとともに、またこの事業公共的な性格から見ますと、政府におきましてなお国の資金を貸すということは、在来通り公社としても期待いたしておる次第でありますが、さらに電信電話公債発行いたしまして、民間資金の吸収もできるようなことにいたしております。さらに公社債について外貨をもつて支拂われるものに対する保証規定が設けてありますので、いわゆる外債の問題につきましても一応公社としては期待いたしておるわけであります。これはもちろん相手方の問題でもございますし、また公社経営内容財政状況等から見まして、そういう問題がきまつて来るかと思いますが、大きな筋としてはこの三つの筋が考えられる次第でございます。
  7. 飯塚定輔

    飯塚委員 ただいまの電信電話公債発行されるというのは、かつて電話をつけるために発行した電話公債のような形になるのか、あるいはそれとは別に單に資金を集める意味の電話公債になるのか。その点をお伺いいたしたい。
  8. 靱勉

    靱説明員 電話の加入を希望する方に対して特別の負担をかけるということは、法律によらなければできないという解釈を持つております。従つて電信電話債券を買つたら電話をつけるということはできない形でございます。この公社法におきましてはそういう関係でなく、一般的に電信電話債というものを発行して、それを引受けていただく。もちろん政府もこれを引受けることができるという規定なつております。その半面一般にも公開されるという形になるのであります。現実の問題としてある地方において特に電話施設改善を要望されるという場合には、これを持つたから加入できるできないに関係なく、その地方電話施設改善のために社債を持つていただく。そういう場合においてその資金をその地域に使うということは法律上さしつかえない。またそういう裁量が必要であるのではないかというような考えを持つておりますが、個人々々の因果関係は持たない、こういう形でございます。
  9. 飯塚定輔

    飯塚委員 もう一つ給與の点についてお伺いしたいのであります。今までは国家職員であつた。その額の多い少いは別として、ある一つ保障をされておつたような感じもいたしますが、今度は公社なつたために、今までの考えとは少し違つて来るのじやないかと思います。そうなりますと将来の給與がどうなるか。従来の国家保障しておるような給與を、公社なつてからもそのまま踏襲されるか。あるいはこの御説明によりますと、能率給その他独自の考えによつて給與を決定されるということですが、もし独自の立場考えられるとするならば、いつごろから独自の立場考えられるか。またどういうような形態になるか。現在と比較して給與がよくなるか。悪くなることはないと思いますけれども、その点についてもひとつ御説明を願いたい。
  10. 靱勉

    靱説明員 給與に関しましては、三十條に「その職務内容責任に応ずるものであり、且つ、職員が発揮した能率が考慮されるものでなければならない。」となつておりまして、今までの前例になく、発揮した能率が考慮されるものでなければならないということを入れたのでございますが、第二項においては、「国家公務員及び民間事業従業者給與その他の事情を考慮して定めなければならない。」とここに明らかになつておるわけでありまして私どもの考えといたしましては、結局能率給的なものをこの際取入れて行きたい。もちろん人事院の給與に関する関係のものは適用はなくなりますが、多数の職員がおるわけでありますから、給與準則第七十二條の規定によつて定めることになります。ただいまの御質問の趣旨は、これによつて公社職員に対する給與が現在のものよりも悪くならないかという点と、保障があるかという点と、さらによくなるつもりかということに相なるわけでありますが、給與総額については予算的に一応総額を定められることになります。これは国会議決を要することになるわけであります。ただこの公社におきましては、予算において相当弾力性を認めるということになつておるのでありまして、給與総額につきましても、もちろんこれは一定の額にきめられますが、予算総則において特別の場合において増すことができるというような総則のつくり方もできるかと思います。これは予算折衝の問題であります。そこで給與総額範囲については、これは別の言葉で申しますれば、人が少くて仕事をやつて行かなければならぬというような場合には、全体的の給與の額は個人的にはふえて来るという操作もできるかと思います。現実問題といたしまして私どもしさいに調査いたした次第ではないのでありますが、国鉄公社あるいは専売公社におきまして、若干給與がよくなつているというふうに考えておるのであります。もちろん職員給與が適正を期すると申しますか、十分その能率に応じた給與考えられる、あるいは非常に技能が優秀な人についても、単なる階級とかをつけないで、給與が支給できるようなことも考えたいというので、全体的にはかな給與改善に努力できる態勢になるものと考えて提案いたしておる次第であります。
  11. 飯塚定輔

    飯塚委員 よくわかりましたが、国営から公社に転換したということだけで、電信電話がよくなつたということは言えない。結局その公社サービスいかんにかかわることと思います。それは給與その他の問題にも関連することと思いますから、その点は十分に御考慮願いたいと思います。なおもう一つお伺いしたいことは、恩給その他福利施設について触れております。これは当分の間という言葉をもつて説明されてありますけれども、この当分の間というのはどういうことを意味するか。将来公社独自の福利施設をおやりになるか、あるいは国の恩給法と同じような意味の恩給を考えられるのか、この点について御説明願いたいと思います。
  12. 靱勉

    靱説明員 さしむき法律の施行あるいは定められたところによりまして公社に移行いたす場合においては、在来恩給関係あるいは共済組合等におきまして、掛金その他いろいろ権利義務関係が複雑いたしております。またその相当の便益も享受して行くのが当然であると考えまして、引続き公社職員に移つて行つた者に対しましては、この規定をそのまま適用して行く。これは国鉄等の例にならつておるのでございますが、恩給については恩給法の根本的改正が別途考究されているやに私ども承知いたしておるのであります。またその際においては、国家公務員だけに限定されるのではないかというようなことを考えておりますので、その場合には公社独自の恩給法的なものを考えて行かなければならぬ、そういう意味合いにおきまして、当分という言葉を用いている次第であります。
  13. 尾関義一

    尾関委員長 石原登君。
  14. 石原登

    ○石原(登)委員 先日の電通委員会で、公社に移行することによつて非常に電信電話がよくなるというような強い御主張があつたので、公社になるとどうして電信電話がりつぱになるかという具体的な説明を求めたのでありますけれども、どうも抽象的であつて、私当時も了承できなかつた。その後もいろいろ調べていますけれども、なかなか了解ができないわけであります。前からの答弁あるいは提案理由説明によりますと、電信電話がうまく運用されていない一番大きな原因は資金だというような説明であつた。それから人事管理その他にきわめて機動性がないというような理由説明されました。しかしながら私はこのような資金並びに人事管理は、たとい政府であつてもできないことはないということは、当時も指摘申し上げたのであります。そこで政府は少し大事なことを忘れていらつしやるのじやないか。事業経営するにあたつて、ほんとうにこれは自分たちの仕事なのだ、これに全身全霊を打込んで、復興あるいは発展をさせて行かなければならないというような気魂が扱けているのじやないかということを私は常々考えていた。ですから私は重ねてお尋ねをいたしますが、この資金の面による拡充発展に対するところの方法手段、あるいは人事管理の面で得られる利益の面について、いま少しく具体的に御説明を願いたいと思います。そうでないと、せつかく一つの役所をつぶして公社に持つて行きましても、依然として電信はおそい、電話はなかなか引いてもらえないというような現象が続きます限りは、公社をつくつたという意味に非常に遠いものになりますので、この点重ねてお尋ねいたす次第でございます。
  15. 靱勉

    靱説明員 ただいまの御質問は公社に移行する根本的問題でございまして、大臣からも提案理由説明があり、また各條文についても御説明申し上げた通りでありますが、それでは具体的にどういうようになるのかという問題につきましては、もちろん国家公務員としても公に対する奉仕者として、国民に良好なサービスを提供するということで努力して参つていることは当然でありますし、さらに種々の改善が加えられて行くべきだという点は、理論上その通りであります。しかしながら幾たびか御説明申し上げております通り、とにかくこの電気通信事業というものは大きな公共性がありますと同時に、また一つ企業として経営能率を上げて行かなければならぬ。その際における人事管理あるいは財務会計等につきまして一般行政を実施するような規律によつてやられることなく、事業というものは生きているものなのでありますから、やはりそれに対応した施策でできるだけ自由にやつて行かれなければならぬ、こういうことなのであります。現在国家機関といたしましては、もちろん国家の直接の機関として企業活動をいたすわけでありますが、公社としましては経営責任公社に負わせて、そこに責任の帰趨を明らかにし、経営努力をして最小の経費をもつて最大の効果を上げて行くという点を発揮して行こうというのが、公社の根本的な観念でございまして、近代各国におきまして公共企業体の方法をとられるゆえんも、そこにあるというふうに私ども信じておるのでございます。先般も電気通信委員会におきまして、理論上は何でもできるじやないかという御意見もあつたことを拝聴しておりますが、理論的に申しますれば、あるいは国営企業におきまして国家企業法というようなものをつくることも可能でありましよう。しかしながら電気通信事業におきましても、事業が始められてからすでに八十年の歴史を持つている。しかも過去におきましても決して国民需要に対応できなかつた、その間あるいは国内電話についての民営論も起つた、あるいはまた国際電気通信会社の前身たる日本無線会社あるいは国際電話会社をつくりまして、政府の財政上資金がなかなか融通しないものにつきまして、設備の提供等の方法によつて世界通信を確保したという歴史もあるのであります。わが国電気通信事業として不幸なことは、非常に大きな拡張計画を設定してスタートいたしましても、一年後には時の財政政策等の変更によつて、計画が実施できなくなつたという歴史も持つております。特に一番不幸な事態は、この前の戦争によつて非常な災害を受け、現在において地域的には災害を受けた電話がまだ復旧できていないとう状況にあるわけでありますから、経営形態に対する批判というものが、一般的に非常に強く論議されたのもそのゆえんかと存じます。従つてすでに電信電話復興審議会ができて経営形態の根本的な検討も行われ、また衆議院といたしましても公共企業体移行を決議されたことの関係もあり、また最近におきましては政令改正諮問委員会等において、行政機構の簡素化に関連しましてこの問題も取上げられておる、こういう形になつておるのであります。率直に申しまして、公社なつてお客さんに対するサービスという観念を徹底いたしまして、気分的にそういう転換が行われるものと考えます以外に、この事業に勤務したということに対する給與もだんだん適正に合理化されて行くというところに、職員企業意欲が強くなるというふうに考えております。結局この事業を動かすものは人にあるのでありましてそこに各職員企業に対して全面的な努力、合理性を認めて行くということが非常に必要になるのではないか。それから財務会計等につきましては、むしろ過去における官業に対する批判の結果、予算に対する非難が強かつたということは事実かと存じます。今回におきまして独立採算制をとりまして、なお職員企業努力によつて経営状況がよくなるという場合におきましては、それを現在の需要者に還元する、あるいはまたいろいろ職員の環境あるいは待遇の改善にも向うというようなことが、かなり直接的に反映して来るという面もあろうかと思いますし、外部資金の獲得につきましては、先ほど御質問に対してお答えしたようなものがプラスされてくるというふうに考えまして、需要と供給が現在非常に懸隔のはなはだしい事業を、一挙にしていつでも電話がつくというようにするにはなかなか困難性がありますけれども、公社になることによつて、さらによいサービス国民に提供するという点につきましては、当然非常な進歩が行われるものであるというふうに私ども信じておる次第であります。
  16. 石原登

    ○石原(登)委員 さようにたしますと、結論としては、ひとり電通事業のみならず、専売事業にいたしましても、あるいは鉄道事業にいたしましても、こういうような政府企業は、政府国営事業でやるよりも、なるたけ公共企業体、さらにまた民間事業という方向に切りかえることによつてより能率的に運用される、こういうように了解していいわけですね。
  17. 横田信夫

    ○横田(信)政府委員 ただいまのお話は、今の電信電話事業についてはある程度そういうことはわかつたけれども、一体すべての政府事業についてそういう方向をとるのかというようなお話のように聞いたわけでありますが、もちろん政府事業の中にも、経営性の非常に強いものと、ある程度行政的な色彩の強いものと、幾分の差はあつていいのではないかと思つております。そういう意味におきまして、この電信電話事業については、ことに今の公益性はもちろんのことでありますが、事業経営能率を上げて行くという点について、民間企業において発達した経営技術を十分取入れて行くべき分野であると特に考えたわけでありまして、政府事業はすべての事業がこの通りであるということについては、私どもの問題としましてはお答えできない問題じやないかと思います。
  18. 石原登

    ○石原(登)委員 それはそれでいいですが、この公社法案の立案者は、要するに人事管理が自由になつて、資金があれば、大体国民の要請に沿うようなりつぱな電信電話事業をつくつてみせる、もちろんこういうような確信の上に立つておいでだろうと思う。そこでこれはざつとでいいですから、大体あなたは今日の実情から考えて、あるいは今日国民が要請しておる電信電話に対する考え方に沿い得るようになるためには、大まかにどのくらいの資金を必要として、どのくらいの日数を必要とされて、こういうような法案の立案に当られたのか。簡略でいいからそれだけ聞いておきたいのであります。
  19. 靱勉

    靱説明員 電話について申し上げますと、現在は非常に需要が高いのでございます。しかも電話につきましては、特に基礎設備が不足しておる。すなわち局舎も一ぱいである、あるいは線路も一ぱいであるというような状態に相なつておりますので、私ども常にその日暮しと申しますか、そういう計画でなく、長期計画を設定いたしまして、それを予算化して努力して参つておるのでございますが、せつかく長期計画を立てましても、最近におきましては朝鮮動乱の勃発によつて電気通信の素材に対する値上りが非常に出たということで、当初予定したものより計画を縮小せねばならぬ。それだけ資金が予定よりよけい入るというようなことがない場合におきましては、計画を縮小せざるを得ないという現状になつておりますので、非常にざつとした計画でございますが、私ども実は本年度から三箇年計画を持つておりまして、かなりの改善を見返んだのでございますが、物価の値上り等を考えてみますと、明年度におきまして約五百億程度、あるいはその次の年度において六百億程度というような計算にいたしてみましても、まだまだ現在改善を要するような基礎設備の整備ができないという状況でございます。私ども大まかに申しまして、現在加入者が百三十万から四十万ということに相なつておりますが、それをなるべく早い機会に倍くらいにして行かなければならぬ。しかし年々二十万の加入者を増設するということになりますと、約五百億のそれだけの拡張予算を必要とするということになりますので、私ども現在は五箇年計画を想定いたしまして、年間五百億ずつの建設予算を推進して行きたい。こういうような考えによりましてもつともこれは全国一律にできるものではないのでありまして、施設の改善は、あるところにおきまして在来の行き詰まつたものを改善した場合には、かなり一挙に、と申しては言い過ぎかもしれませんが、非常に施設の整備改善ができるということで、これは年を追うに従いまして、ただいま申したような計画が確実に実行されて参りますれば、加速度的に改善されて行くというふうに考えておる次第であります。
  20. 石原登

    ○石原(登)委員 私は決してあげ足をとるのではありませんが、先般の電気通信委員会において私がお尋ねしたとき、今日の大体の電気通信省設備の概算は、時価に見積つて二千数百億、こういうような御説明でございました。ところがこれから政府考えておる、あるいは立案者が考えておる五箇年計画による拡充整備計画の費用は、年間大体五百億円ずつ、五箇年間で二千五百億円を要する、こういう計画になつております。さようにいたしますと、現在の資産が二千数百億、これからつくろうとするのが二千五百億ということになりますと、五箇年の後には、今日の現有設備とほとんど同じようなものが、言いかえれば倍になると思うのでありますが、そういうふうに了解していいのでありますか。たとえば電信の回線の数にいたしましても、あるいは局舎の設置の状況についても、あるいは電話の加入者の状況についても、大体そういうような程度まで復興できる、こういうふうに了解していいわけでございますか。
  21. 靱勉

    靱説明員 現在の施設の資産の再評価二千六百億程度と申しましたが、これはもちろんすでに古くなつたものも相当つておるわけです。むしろ古くなつたものが非常に多いわけであります。ただいま申し上げました五百億ずつというのは非常に大きな金額でございますが、これは電話施設というものにしまして、要するに局内の問題にしましても、局外の問題にしましても、つくつたもの全部常に一ぱいになるといつた計算に相なつていないのであります。ところが現在はほとんど一ぱいになつておるという状況でありまして、かりに二千五百億かけたから、ただちに現在の倍になるかと申しますと、そういうふうな計算にはならない。むしろ経済的な電話の計画といたしましては、十年間あるいは十五年間の計画を考えまして諸設備をやつて行かなければならぬ。線路はできても、それをすべて機械に収用するということを、一年で全部やるというわけではないのであります。二千五百億かけますと、かなり基礎設備的な余裕が先行するという形に相なるわけであります。しかし土地から局舎から市外回線全部を合せてかりに二十五万としますと、結局百万の加入者がふえるという、ごく概略の計算になるわけであります。現在約百三十五万でございますか、百四十万近くの単独加入者を持つております。大体それよりも少し少いわけでございますけれども、電信あるいは市外回線の整備改善というものは大体そんなところでできる、こういうふうに考えます。ことにそれは新しい施設であるという状況になるわけであります。
  22. 石原登

    ○石原(登)委員 どうも今の答弁は、電話のことだけを中心にして考えていらつしやるようですが、私の聞いておるのは、現在の電信電話の総資産というものは、電信電話の総資産であつて電話だけのつもりであつてはならないと思います。ですからこれからどうしようという金額も、いわゆる獲得するところの財産と現在の財産とが常に見合つて行かなければならない、かように考えますが、いずれこの問題はあとに譲りたいと思います。  今郵政大臣がおいでになりましたから、特に郵政委員立場として郵政大臣にお尋ねいたしたいのでありますが、こういうふうな非常に厖大な機械を今後郵政省が監督運営をして行く、こういうことになりまして、これは郵政省として非常に重大な問題だと思います。ところがこういうような法案をつくるにあたつて、あるいは今度提案されておりますところの郵政省の設置法の改正法律案をつくるにあたつて、大臣のもとにあつて大臣の手足になつ監督の衝に当るような事務の人たちと、大臣は連絡協議を十分に遂げられておりますかどうか、その点をまず承りたいと思います。
  23. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 ただいまの御質問ちよつとつかみかねたのでありますが、これだけの機構改革をするにあたつて事務当局との連繋と申しますか、あるいは事業経営の衝に当る人との連繋が十分できておるかというお尋ねかと思うのでありますが、ただいままでのところ、電信電話公社なりあるいは国際会社なりの陣容につきましては、まだきめておらない次第でございます。従いましてその経営者と目されるような人がまだいないので、その方との話合いはもちろんできておりません。また郵政省の内部に設置します監理官等につきましても、ただいま人選は白紙の状態でございます。従いまして事前の連絡というものはない次第でございます。
  24. 石原登

    ○石原(登)委員 そういたしますと、事務当局は管理のことについて全然御相談にあずかつていない、こういうことになりますと——もちろんこれは大臣の責任において監督指導をされるわけであります。そうすると大臣は監督指導についてたいへんな御自信がおありになることと推察するのでありますが、たとえて申しますと、これだけの大きな機構を監督するのに、今この法案に示されたところによると、二人の監理官がおりまして、数人のスタッフをもつて監督しよう、こういうわけであります。ところがこれを国鉄の例に見ますと、現在二部十二課の機構によつてこれを監督指導しております。專売公社の例によりますと、これはちようど電々公社と同じような立場監督機構のようでありますが、しかし専売公社はもともと大蔵省の一専売局であつた。しかも大蔵省で直接これまで監督しておつたのであります。現在専売公社あたりとは全然性格を異にする電信電話公社を郵政省が監督するということは非常に大きな職務ですが、これをわずか二人の監理官の監督によつて、あるいは指導によつて大臣は十分だとお考えになるか。実はこの電気通信省事業も、これは全国的な仕事でありまして、国鉄に拮抗して劣らないところの大きな組織の仕事であります。またその仕事の重要性も非常に大きいものであります。国鉄の方では二部十二課を持つているのにかかわらず、郵政省の方はわずか二人の監理官と数名の補佐事務官によつてこれが監督されて行く。こういう面に対するところの大臣の、いわゆるこれを納得された基本的な考え方、その監督の大体の構想だけでもけつこうですが、どういうような方式によつて監督されるのか、それを承りたいのであります。
  25. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 ただいま将来その事務を担当する者をきめておりませんので、話合いはもちろんいたしておりません。しかしただいま皆様の御審議を得まして、幸いにしてこの法案が可決、成立するというあかつきにおきましていかなる処置をとるか、これは具体的にきめて参るつもりでおります。そこで今日法案を提出いたしまして皆様の御審議をいただいておりますその考え方でございますが、先ほどちようど席をはずしておりましたので、おそらく基本的な問題も御質疑があつたことだと思います。また電信電話に関する事業を、国内は公社にし、また国際的なものは会社にするという基本の問題につきましては、次官からるるお話を申し上げたことだと思いますが、この種の事業といたしましては、公益増収を本来の目的といたしておりまして、そうしてその事業経営の衝に当る人たちが十分にその手腕力量を発揮するように、その責任において事業が遂行されるように、第一に考えて参りたいと思うのであります。その考え方を貫きますると、あるいは公社でなくて普通の民間会社であつてもいいのではないかというような議論も成り立つかと思いますが、この仕事の性格上から見まして、これは一民間会社の資格において遂行させる筋のものではない。国家が当然大筋と申しますか、その事業の成功につきましては十分の責任を感ずる次第でありますので、ここで特殊の機関としての公社を実は考えて参つたのであります。また国際の問題にいたしましても、会社にはいたしまするが、これは特殊の会社といたしまして、国家の指導監督を受ける組織にいたしておるのであります。しこうしてその国家が指導監督いたします場合の機構あるいは関與する範囲をいかにするかということが一つの大きな問題であり、ただいまお尋ねになつた点だと思うのでありますが、なるほど鉄道の仕事と電信電話の仕事、これは全国的な規模を持つ日本の大きな事業体であります。従いまして鉄道の場合においては多数の管理機構を必要とし、電信電話の場合は、ごく少数でやるのは一体どういうことかということについて、ある程度の疑念を持たれることは当然だと思うのでありますが、私は今回の公社をつくり、会社をつくります場合におきまして、どこまでも事業経営の衝に当る人たちの責任においてこの事業を遂行させて行く。国がこれを指導監督する場合におきましては、できるだけ経営者の手腕力量にまつ部分を大きくして、国といたしましては大筋についての管理、監督をして行く、こういう考え方の方が本筋ではないだろうか。そこでその考え方からスタートいたしまして、特にくふうをした結果が、管理機構をできるだけ縮小してみようというので、非常に規模の小さいものにいたしておるわけでございます。場合によりますれば、これだけの少数のものでは十分の管理、監督、指導ができない場合もあるでありましようが、さらに公社自身は監督もされますが、公社経営者といたしましては国の意思を代表して事業を遂行いたしておりますので、その点においては一体としての業務の発展は期し得る、かように私は考えまして、管理機構を特に簡素なものにいたした次第であります。
  26. 石原登

    ○石原(登)委員 大体それでわかりました。大臣のただいまの心構えについては一応了承いたします。そこで私もよくわかつて来たのですが、この法案を読んでみますと、なるほどそういう思想に立つているせいか、責任の所在が明らかでない。郵政大臣責任の所在があるようでありますけれども、何ら法文に現われていない。そこでお尋ねをいたしますが、一体この公社事業上の国民に対する責任はだれが持つのでありますか。
  27. 靱勉

    靱説明員 ただいま大臣から御説明のありました通り、公社経営に移すということは、経営主体が経営上の全責任を持つということを原則といたしております。そこで公社機関を見て見ますと、意思決定機関として経営委員会がある、執行機関として総裁以下の役員がある、こういう形になつております。結局総裁経営委員会に対して責任を持ちますし、経営委員会国民に対して責任を持つという形になりますが、これの監督に対しまして政府並びに国会が終局的な監督をしておる、こういう形でございます。
  28. 石原登

    ○石原(登)委員 今の経営主体というのは何ですか。経営委員会とそれから経営するいわゆる理事者、総裁、副総裁を含むものをやはり経営主体という意味であります。
  29. 靱勉

    靱説明員 公社というものが一つ法人格を持ちまして、これが経営主体でございます。その意思決定の機関として経営委員会がある。すなわちこれは公社機関といたしましては最高の機関でございます。それから執行機関と申しますのは、総裁以下の方々が執行機関である、こういう意味であります。
  30. 石原登

    ○石原(登)委員 そうしまずとこの法案の第十條に権限という事項がございますところが同じ性格を持つところの国鉄の場合は、監理委員会の権限及び責任なつておる。そこで第十條に該当するところの公社の場合の法文を読んでみますと、ちよつと法文の表現が違うのでありまして、法人による場合は経営委員会公社業務運営に関するところの重要事項を決定する機関である、ただ決定するところの機関でございます。ところが国鉄の場合は「業務運営を指導統制する権限と責任を有する。」と書いてある。ところがこの條文を見ますと、あるいは私の不勉強かしれませんが、その「責任を有する。」ということについて何ら明文がない。国鉄及び専売公社は先に生れたので、これは専売公社の子供ですが、国鉄専売公社を参考にして調査になつたことだろうと思いますが、しかるにこの法案をつくるにあたつて責任の條項については故意に省かれたのかどうか知りませんけれども、とにかくそういう條項が省いてある。この問題ははつきりしないと、ただいま言明されただけではどうもわれわれ納得が行きかねる。何ゆえに責任の條項を明らかにされなかつたか、この点をひとつ御説明願いたいと思います。
  31. 靱勉

    靱説明員 お答えいたします。本法案におきまする経営委員会国鉄の監理委員会と違つておりまして、これは意思決定機関でございます。しかしこれは責任を持つておることは当然でございます。意思決定に対する責任というものは当然持つておりますし、また公社の執行機関としましては総裁公社を代表するということで、これまた執行上の責任は全部総裁が持つておるということも明らかなのであります。特に條文に書かなくてもその点は明瞭であるというふうに解釈いたしておるわけであります。
  32. 石原登

    ○石原(登)委員 実はそれがわれわれ非常に不可解なんです。一つの問題に対して二つの段階においてその責任が転嫁される、こういうことになりますと、国民としては非常に納得しがたいことだろうと思います。と申しますのは、国民は非常な努力の中から集めた金を公社に出しまして、これだけの電信電話事業をやつてもらう、その対価として第一條の目的にいうところの電信電話事業を通じて公共福祉を増進してもらうように、皆さん方に委任して仕事をしていただこう、こういうことなんです。ところがその仕事の執行についてもしいろいろな問題が起つた場合、執行したものはいわゆる経営委員会、その経営委員会から今度国会へ持つて行くということになりますと、ほんとうの責任の所在というものは経営委員会なのか、あるいは総裁なのか、そこのところがはつきりしない。これはどうしても国民に対してその責任の所在をはつきりさせないとしつくりしない、かように思うわけですが、やはり事務当局の立案者は、今のような表現で十分であると今でもお考えになりますか。
  33. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 今回公社をつくります場合に、国鉄なり専売公社を先例といたしましてもちろん考えて参つたわけでございます。しかしながら国鉄なり専売等の公社実施の状況を見ますと、運営上必ずしも先ほど私が申し上げた通りには行つておらないわけでございます。何かとそこにくふうを要するものがあるように思うのであります。そこで今回電信電話公社をつくりますに際しましては、二、三くふうをいたしたものがあるのでありまして、その点がただいま御質疑の要点になつておるようでございます。今回の公社は先ほど申し上げますように、事業運営につきましては公社責任者にできるだけその手腕を発揮していただくようにして、あまり関與しないようにしてみたらどうか、しかしながら公社と申しましても、これも一つ政府機関でありまして、政府と別個のものではないわけであります。従いまして総裁及び副総裁内閣がこれを任命して行く、こういう最終責任と申しますか、人事の最終責任をはつきりいたしておるわけであります。従つてただいま御指摘になりましたように国鉄公社の場合におきましては、これらの点はむしろ不明確でありまして、監理委員会が実は責任を持つておる。しかしこれは政府機関だから、政府自身が最終的な責任を負うのが本筋ではないかということであります。そこで民間のと申しますか、むしろ国民の意思を代表して経営に関與する仕組みが、この種のものとしては望ましいのではないか、御承知のようにこれは公社であり政府機関でありますから、いわゆる株主総会というものが実はないわけであります。従いまして国民の意向を反映するようなものが何かいるのではないか、そこで先ほど申しましたような審議会制度を設けて、そしてこの公社自身が公社の直接の経営の衝に当る人たちばかりでなしに、広く国民の意向を受けて重要なる事項を決定し、そしてこれを政府が任命する総裁、副総裁がその決定に基いて事業を遂行して行く、こういうくふうを実はとらしておるわけであります。この点についてはこの程度の説明をつけ加えておきますが、ただ、ただい、ま申し上げたことで後にあるいはさらに御疑問が生ずるのではないかと思いますのは、しからばただいま申し上げたような趣旨で一貫してこの公社法案が貫かれておるかと申しますと、今までのところ先例等を相当取上げざるを得ない状況でありますので、いわゆる理想的な公社にはまだなつていないと思いますが、そういう点は鉄道公社ともただいま申し上げるような考え方の相違でございます。
  34. 石原登

    ○石原(登)委員 ただいま大臣の言明の通り、これが政府一つ機関として最終の責任内閣が持つ、こういうのあればわれわれ何ら問題はない。ところがこの法案の仕組みによりますと、必ずしもさようになつていない。ただいま事務次官から、総裁経営委員会責任を持つておる、経営委員会国民責任を持つというふうに言葉では説明がされましたが、それが明らかにされていない。もし経営委員会がきめたことに対して、これを理事者がその通り実行しなかつた場合の責任はどういうふうにするか。今までは経営委員会責任というものがわれわれにはわからない。どういうような権限に基いて国民にかわつてこういうようなことに關與しようというのか。少くとも国民にかわつて権利を主張する以上は、国民に対して義務を負い、責任を持つべきところの規定がなければならぬ。一方的に権利だけ與えて、義務責任を課することを忘れる、こういうことはとうていできないわけでございます。今日の国会政府との仕組みは、権利と義務との関係を十二分に振りわけておる。ところがこの経営委員会に対しては権利は與えてあるが、義務をどこで縛つてあるのか、それがはつきりしないのであります。次官の話では当然だとおつしやるけれども、当然なら当然で、なぜ明文にはつきりされないのか。国鉄公社の場合、専売公社の場合はそういうふうにしておるのに、この問題に限つてのみこれを除外しておる。もちろんわれわれは理事者に対しては十二分に活動できるような方法は與えたいと思います。同時にわれわれが一番懸念しますのは、放縦になつてはならないということです。放縦にさせないためには、当然一つ義務を課すべきだ。これが私の主張いたしたいところであります。でありますからこの問題については後日質問をいたしますが、この権利義務関係ははつきりと明文に残していただきたいということを、私は強く要求をいたしたいと思います。さらに重要な事項を決定するとか何とかありますが、重要でない事項とみなしたものが、比較的重要な事項なつた場合の問題などいろいろあると思いますけれども、その点は触れません。  次は、経営委員会組織についてお尋ねいたしたいと思いますが、この経営委員会は、電通公社運営して行く上の最高の機関である、かような了解のもとに御質問をいたします。この経営委員会は五人で運営するということになつており、しかもそのうちの二人は役員の中から任命し、ほかの三名は一般の人から任命されるわけですが、この一般の人もいろいろな制約があつて相当の欠格條件を掲げておる。その結果、事業に関してあまり知識も経験もないような人が入つて来るような仕組みになつておるのではないかと思う。私は今までいろいろな委員会、審議会というものの実際の運営を見ております。これははなはだ遺憾でありますけれども、何ら本質にタッチしておりません。これはひとりこの法案に示されたものだけを予想して申し上げるわけではありませんが、そういうような性格のものがすべて政府のイエス・マン的な機構になつておる。ですから端的に申しますならば、この経営委員会もおそらく電通公社の単なる賛成機関になるおそれが多分にある。特に五人の経営委員会内容を分析いたしますと、二人は直接公社役員であり、あとの三人はしろうとだというようなことになりますと、実質的にこれをリードして行くのはおそらくこの特別委員の二人ではないか。かように考えましたときに、今言われた民主的に国民の意思をこれに加えるというようなことは有名無実にならないか。しかもそういう重大な責任を負わされた委員が無報酬になつておる。しかしどんな人間でも、こういう重大な責任を負わされて無報酬で働らくようなことは断じてありません。ここにも経営委員会組織についてどうも納得できないものがあるのであります。大臣はこういう大事な責任を負わされた人たちが、もちろん国家のためではありますが、ただで働いてくれるとお考えになりますかどうか。
  35. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 委員の選任にあたりまして、もちろん人選は十分愼重にいたさなければならないと思います。従いまして十二條にも規定いたしておりますように、両議院の同意を得て内閣が任命することになつておるのでございます。従いまして委員の任命自体については、政府自身も十分責任をとり、また皆様方の御批判も承りたい、かように考える次第でございます。無報酬の点につきましては、事務次官から説明いたします。
  36. 靱勉

    靱説明員 経営委員会組織につきまして、国鉄等と異なりまして特別委員議決権をもつておるということは、本公社法において新たにつくられたものでありますが、その意味は、これは実は会社的に考えてみますと、経営委員会というものは取締役会であるという考えでございまして、執行機関と意思決定機関とが緊密な関係のもとにやるということは、一番責任体制がはつきりしておるという考え方でございます。国鉄の監理委員会は、指導統制して責任を持つということが書いてはありますが、実態的に非常勤であり、ただいま申したように、これにももちろん欠格條項があるわけであります。そうしますと、実際上の権限と実際上の責任との間に、かなりギヤツプがあるのじやないか。特別委員を入れたのは、何も総裁、副総裁経営委員会をリードして、独善的にやろうという意味ではないのであります。執行上のすべての問題も、執行機関としては経営委員会できめた通りに執行して行く大きな責任を持つておる。それらが合体しまして経営委員会公社の最高意思を決定するという点においては、経営委員会は明らかに最高の責任機関であります。これが国会ないし政府に対して責任を持つということは、この公社の構成からいいまして当然明らかなのでございます。  それから公社事業の執行につきましては、もちろん現在は電信法等の規定によりまして、料金につきましても国会がきめる。サービスの点においても、利用者との関係というものは法律できめられておるのであります。結局それらの事業に対する大きなわくは定められておる。そこで非常勤であり、報酬を受けないという点につきましては、欠格條項はありますが、国鉄等と異なりまして、ここにその職をやめて来ればもちろんできる形になつております。広く経営上の経験のある方が経営委員になられるような仕組みになつております。それから報酬の点につきましては、在来の形としまして非常勤の場合に相当とられております。もちろん旅費その他の実費等は支給されるわけでありまして、なかんずく非常勤ということになります場合、ことに経験のあるりつぱな方を経営委員にするには、むしろ報酬がない方がいいのではないかということも考慮されまして、一応無報酬ということにきめた次第であります。
  37. 石原登

    ○石原(登)委員 私はこの立案者が民主的に事を運ぶうとしていることと現実とを、どうしてうまく調和させようかと努力しておられることはよくわかる。あなたが今はつきり言われた通り、その執行機関が全責任を持つてつて行くという決意を端的にこの法案で示されたら、私は全然異存はない。たまたま民主的な機関として経営委員会、言いかえればでくのぼうを持つて来て、しかもそれがほんとうの最高機関だというような表現をとられるから、私はどうもおかしいと思う。だから今の説明と矛盾するから、さらに私は言います。この最高機関経営委員会は、あなたは総裁と副総裁を二人入れようとしている。総裁は当然執行機関の最高責任者であるが、何も副総裁をわざわざ連れて行つて、わずか五人の委員会の中に二人割込まなくても、十分この委員会に公社の意見は浸透するはずなんだ。にもかかわらず二人入つて行こうということは、すなわちあなた方が実質的に全責任を持つてこの仕事の執行に当ろうとする気持の現われであり、その点については私は敬服する。しかしながら形においては、あくまでも経営委員会が最高の責任者であつて、これらは国会を通じて国民に対し責任を持つのだ、こういうような表現をとろうとされることが私はどうもおかしいと思う。例の桜木町事件が起つたときに、国鉄の監理委員会に責任があるのか、総裁責任があるのか、まるで見当がつかなかつた。ああいうような事態がこの電通公社においても起るとするならば、われわれは非常に遺憾である。ですからこれははつきりしてもらいたい。執行機関が全責任をとられるならば、こういうような経営委員会はいらない。経営委員会が真に最高の責任者であるならば、最高の責任者として責任をとるにふさわしい待遇を與えなければならない。同時にこの経営委員会の構成というものは、この法案によつて示された通り、各界の最高のスタッフであつて執行機関の中から二人も経営委員会に入られる理由はないと思います。  この問題についてはいずれまたあとで議論いたしたいと思いますが、委員長の互選の問題で、今の次官の説明によりますと、執行機関は全責任を持つてこれに当ろうというような決意があるという以上、私の想像するところでは、どうも特別委員委員長になるのじやないかと予想せられるのでありますが、大体の構想だけでもいいのですけれども、ひとつ聞かしていただきたい。
  38. 靱勉

    靱説明員 今のお話の中にあつた執行機関については、その執行上の責任総裁が全部負う、意思決定機関につきましては、経営委員会が絶対的な責任を負う、こういうことを申し上げたのであります。  それからただいまの御質問に対してお答えいたしますが、委員長経営委員だけで互選する、特別委員はそれに入らない、こういう形になつておりまして、株式会社取締役会におきまする取締役会長は会長として存在し、社長は総裁である、そういつた関係なつております。
  39. 石原登

    ○石原(登)委員 今の御答弁はちよつとわからなかつたのですが、特別委員はあなたたちの予想では経営委員会委員長にはならないというお見込みですか、それとも委員長になるというお見込みですか、どうなんですか。
  40. 靱勉

    靱説明員 それは特に法文に明らかにいたしまして、委員長の互選は委員でやるということになつておりまして特別委員はその互選には入つておりません。
  41. 石原登

    ○石原(登)委員 わかりました。そうするとこの委員というのは特別委員を含まない委員なんですね。
  42. 靱勉

    靱説明員 そうです。
  43. 石原登

    ○石原(登)委員 それでわかりました。  それでは今度は議決の方法ですが、第十七條で「経営委員会は、委員長又は第十一條第四項に規定する委員長を代理する者及び二人以上の委員又は特別委員の出席がなければ、会議を開き、議決をすることができない。」ということになりますと、いわゆる委員長とそれから特別委員のだれかと二人でもここに委員会ができる、あるいは委員長と普通の委員が二人、この三人でもできる、こういうふうに了解していいわけですか。つまり特別委員が出席した場合には特別委員委員長との二人、特別委員が出ない場合には委員長委員二人でできる、こういうことになりますか。
  44. 靱勉

    靱説明員 これは最低数を規定したのでありまして、委員長委員長代理をする者が必ず一人出なければいかぬ、その他特別委員でも一般委員でもあと二人出なければいかぬ、結局最低が三人であるという規定でございます。
  45. 石原登

    ○石原(登)委員 この表現によりますと最初の二人の委員はわかりますが、「又は特別委員の出席がなければ、」と書いてある。特別委員二人とは書いてないが、これは特別委員の場合は一人でもいいのじやないですか。
  46. 靱勉

    靱説明員 これは條文に二人以上の一般の委員または特別委員と書いてあるのでございますから、今御説明したように委員長または委員長代理をする方が一人、あと特別委員でも普通委員でもどなたでもいいが、二人以上出席しなければならぬ、従つて最小限三名、こういうことであります。
  47. 石原登

    ○石原(登)委員 了解いたしました。
  48. 石川金次郎

    ○石川委員 ちよつと関連して一言伺います。十七條の議決の方法であります。委員長委員二人が出ても議決ができる。それから委員長特別委員二人出ても議決ができる、こうありますが、その通りですか。そうだとして今度はこの場合、委員長特別委員二人出ました場合にもこの規定だと多数決になりますね。そうなることは間違いないでしよう。そうするとこの特別委員の意思のみが決定することになりますね。その場合にその意思決定の機関責任を持つておるが、他の委員は全然参加しない、執行者二人できめて意思決定の機関責任を持つという理論的根拠は……。
  49. 靱勉

    靱説明員 その点はこの前の委員会におきましても御質問がありまして要するに経営委員としての一般委員の方が一人と特別委員二人で構成される場合も考えられる、こう申し上げた通りでございます。そこで結局経営委員特別委員との区別は、特別委員は執行機関役員をやつているという点でございます。そこで結局三人でやれば二人でもつて多数決で決定される。しかしその会議の途中におきましてはもちろん一般委員の意見もありましようが、最後的決定はそういう出席人員であれば、特別委員の意思によつて多数決できまる、こういう点ではそういうことが起り得るという事実は、法律的には認めなければならぬと思います。それが妥当であるかどうかの問題が一つあるわけでございますが、私どもこの点はもちろん法案審議の際に考えたのでございますが、実際上の場合においてそういうケースはあまりなかろうというふうに考えておる次第であります。
  50. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 ちよつと今のを補足いたしますが、りくつはただいま石川さんが仰せられる通りでございます。しかし実際の運用にあたりましては、次官が申しますようにまずないだろう、と申しますのは、委員長はこれはし特別委員では実はないわけでございます。従いまして会議で非常に重要な事項について他の委員の不出席の場合に、そういう決を委員長が取上げることは、まず普通の場合においては考えられないことであります。それでこの特別委員と普通委員とを対立してお考えになりますと、いろいろ法文上からどうもふに落ちないじやないかというような御議論も出て参るかと思いますが、もともとこの数をいいか、あるいは七名がいいか、いろいろの論議もとりかわしたのでございます。しかし私ども考えた最終の結論といたしましては、まず総裁、副総裁も出るし、また各界各層から出て参る方も三名程度にお願いをして、この五名程度ならばおそらく会議の出席率も相当よろしいのじやないか、また当事者自身と申しますか、公社責任者自身が会議をリードするわけではなくて、委員長がおりますので、そういう点はまず理論通りには運用されないのではないかというような考え方をいたしまして、ただいまのような規定をつくつたわけでございます。
  51. 石川金次郎

    ○石川委員 なるほどそのように運営が行くことは望みますけれども、法律的には、その場合委員長が最後にきめる、そうはありますけれども、決議の場合において、三人寄つて二人で決議をとるといつた場合に、そのときに決議拒否権というものはどこからも出て来ない。どうしてもきまつて行く。この法を守らなければ別でありますが、守ろうとすればきまらざるを得ない。執行機関が意思決定をしたことになるけれども、執行機関が意思決定する制度なつていないのですから、これはどうしても法の欠陷なつて来はしませんか。もう一つ七十八條に「その行為をした役員は、」といつて、その行為をした役員を罰することになつておる。結局行為をした者は責任を負うことになるわけですから、この場合委員会に出席せざる他の委員には責任がないということをこの條文はいつておると見なければならない。そういうような規定の仕方から見ましても、どうしても法案自体に欠陥があることはお認めにならなければならないと思う。これはどうですか。
  52. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 先ほど申しましたように、法律論といたしましては石川さんの御指摘の通りだと思います。これは私どもも法案審査の当初からいろいろ論議をいたした点でありますので、よく了承しておるのでございますが、おそらく実際の運用面から見ると、その心配はないというのが実は私どもの見方でございます。そんな甘い見方ではだめだというおしかりを受ければ別でありますが、おそらくこの委員会の委員といたしまして、この委員会にかけます事項は非常に重要事項が列挙してありますが、これらの重要事項総裁、副総裁委員だけで審議するということは、非常な異例に属することだと思いますし、かように考えますと、通常の審議事項におきましては、御心配の点は絶対にあり得ない、私はかように考えておる次第でございます。
  53. 石川金次郎

    ○石川委員 大臣はそう考えておられるようですが、この法案がいいか悪いかということは考え方の違いになりますから、きようはこれだけにしておきます。あとでまた公社性格につきましていろいろ伺わなければならないことがたくさんありますので、次の機会に十分承りたいと思います。
  54. 椎熊三郎

    椎熊委員 ちよつと関連して質問したいのですが、今の総裁事業経営上の最高責任者なんだ。それから経営委員会は最高の意思決定機関ではなく、総裁経営上の最高責任をとる上の諮問機関にすぎない。最高の意思決定は、この事業計画予算認可したる郵政大臣と、この予算審議する国民の代表たる国会、それがこの事業全体の国民に対する最高の責任者なんだ。従つて給與ももらわぬ非常勤の三人か五人の委員に、これだけの厖大なる国家財産と、これだけの公益的性質を帯びた公共事業の最高責任を負わせる方が無理であつて、負えるわけがない。注文の解釈の上からもそんなものはとうてい負えるわけの、ものでもない。従つてどんな重要なことがこの委員会にかけられましても、郵政大臣認可し、国会が承認したる事業計画予算範囲を出ることはできないのです。それ以上の自由はあり得ない。その範囲内で言えば事業執行上の総裁責任に対して、その諮問機関であるにすぎない。この公共企業体の最高責任経営委員会だと次官がおつしやるから、私は納得が行きません。聞けば聞くほどわからなくなる。そうじやないのでしようか。
  55. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 次官からも話があるだろうと思いまするが、言葉のあやが相当誤解を受けておるように私考えております。と申しますのは、経営委員会総裁、副総裁の諮問機関ではありません。公社の中にありまして、重要なる事項についての公社の意思を決定する機関でございます。その意味におきまして、第十條の規定でこれを明確にいたしておるのであります。たとえば予算なり、事業計画なり、あるいは資金計画を定める、こういう場合におきまして、総裁総裁独自の考え方ではこれをすることができないのでありまして、これはどこまでも経営委員会議決を経てきめなければならない。これは議決を要する事項でございます。だからこの意味において、公社内における最高の意思決定機関、こういう意味だつたろうと思うのでございます。ただ国あるいは国会に対して、あるいは国民に対してこれが最高の決定機関としての責任を持つ、こういう表現にとられると、やや意味が違つて来る。公社事業遂行は、最高の責任者総裁、副総裁でございます。しかしながら諮問機関というのならば單に意見を徴するのでございますが、この経営委員会議決がないならば、重要事項を決定することができない。この意味において意思決定機関としての機能を持つておるわけであります。
  56. 石原登

    ○石原(登)委員 今のこの問題は、もう一ぺん立案者は思想統一される必要があると思うのであります。ということは、これはあまりにも実際と遊離しておるのです。こんな重要な責任を負わされた委員会、それが何ら責任を負わされたかいがない。こういうことはとうていできません。今後総裁、副総裁あるいは役員になられる人たちが、何もこういう経営委員会というようなものがなくても、直接内閣を通じて国民責任を持つ、こういう気魄が法案を通じて流れて来ないと、今皆さんが仕事をして行く上において一番不適当な財務の執行についても、あるいは予算弾力性についても、どうしてもわれわれは納得しておまかせすることができないような気持になつて来るわけです。権限は全面的にお讓りしたいという気持はあるのですが、今度責任を負う方は、それはけつこうだけれども、どうも責任を追いかねるというような、やる者と受ける者との間の空気がどうもぴつたり行かぬような気がします。この問題についてはまた後日にやります。   次に役員の問題ですが、二十一條に「総裁及び副総裁は、内閣が任命する。」とある。ところが実際の監督をするのは郵政大臣である。この総裁、副総裁を任命するについては、この法文によると、当然内閣は独自の見地に立つて任命ができるのであつて郵政大臣は何らこの法文の建前からは関與できなくなる。もちろん実際の実行にあたつて郵政大臣が発議されることであろうと思いますが、どうもそこが明らかでない。これはどうなるのですか。これは郵政大臣が発議するのですか、それとも内閣がいきなり任命するのですか、この点を明らかにしていただきたい。これは国鉄とかあるいは専売の場合ははつきりしておる。国鉄の場合は、監理委員会が推薦して内閣が任命するということになつておりますから、これははつきりと総裁、副総裁が監理委員会に責任をとり、監理委員会が内閣責任をとる、この建前がはつきりしておる。専売公社の場合でも、専売事業審議会が推薦して大蔵大臣が発令する、こういうことです。ところが郵政大臣責任があるとはいいながら、郵政大臣は何ら関與しない建前である。そこに存在がすでにもやもやしておるのですが、この点はつきりした御答弁を願いたいと思います。
  57. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 これは政府が任命すると書いてありますが、政府が任命するということは、閣議で決定するということでございます。しかし内閣が発議して閣議決定をするような場合は、いまだ私どもあまり例を聞かないのであります。それぞれの主務省が閣議申請をいたしまして、それに基いて内閣手続をいたしまして、閣議決定をいたすわけでございます。これが本筋であります。郵政大臣監督上の権能を持つておりますので、当然閣議申請をする。その原案は郵政大臣にあるわけでございます。従つてその点は御疑念はないように思います。ただ私どもここで本来の例によらなかつたゆえんを一くさり御説明をつけ加えておきたいと思いますのは、本来の例によりますと、委員会が推薦するということにつきまして、むしろ政府といたしましては、その推薦の範囲に限られるのでございます。しかし郵政大臣は明らかに内閣の閣僚であり、政府の一員でございます。従つて政府自身としての発議権は縛られない自由な立場で選考し得るのではないかというので、この点も本来の例によらない一つのくふうでございまして、この方が最終責任政府にあることをはつきりいたすゆえんではないかと実は考えておる次第でございます。
  58. 石原登

    ○石原(登)委員 そうしますと、国鉄の場合の監理委員会の性格公社の場合のいわゆる経営委員会性格、これは大体どういうふうに違うわけですか。
  59. 靱勉

    靱説明員 国鉄の監理委員会は、意思決定機関というふうにはつきりいたしていないのであります。それで先ほどから思想統一を要するというような御意見もあつたようでございますが、経営委員会というものは今度はつきりさせておるのでございます。すなわち意思決定機関だということをはつきりいたしておるのでありまして、その構成が国会の承認を得て任命するところの経営委員特別委員とで、要するに執行機関との緊密な関係を持つような形にして、それでほんとうに経営委員会というものが意思決定としては責任を持てるような態勢にいたしておるのであります。ただ公社活動につきまして非常に公共的な統制を加える必要があるという観点から、あるいは郵政大臣監督権あるいは大蔵大臣協議し、また国会議決を要しなければならぬというように縛つてあるような形であるのでありまして、先ほどの御説明で私どもはつきりいたしておると思うのでございますが、その点説明の仕方がまずいので誤解を生じている点は非常に遺憾でございますが、これは株式会社の例をとつてみますれば、取締役会性格を持つておる。取締役会というものは、もちろん社長も取締役の場合であれば取締役会に出るわけであります。総裁以下というものは、社長なり常務取締役という形になる。取締役会の構成というものは、それ以外の役員でもつて構成されているというところに——非常勤経営委員会委員、普通の会社でいいますればこれは取締役でありますが、それが入つておるという形でございまして、意思の決定機関と執行機関とそれぞれ分界ははつきりいたしておりますが、その経営委員会の構成が特別委員を加えて構成されておる、これが経営委員会としてさらに責任を負う点においても最もはつきりしておるのではないか。しかしここでもつて予算をきめたからといいましても、国会議決を経なければ、その予算というものは公社として実行できないという、これは公社に対する公共的な統制が非常に強く加えられているということなのでありまして、非常に国会議決なりあるいは国会の承認なり、監督大臣の認可というものが條件的になる、こういう形でございます。
  60. 石原登

    ○石原(登)委員 今のこの内閣が任命するということは、大臣の言明の通り郵政大臣が発議して、内閣が任命するということは一応了承いたします。但し法案の表現についての技術的なものについては、これは後日さらに研究をいたしたいと思います。郵政大臣が発議して、内閣で任命するのだ、こういうことについてはその通り了解いたししまして、いわゆる表現はどんなふうにでも技術的にまた考えられると思うのであります。  それからもう一点、この法律案を通じて総裁、副総裁総裁はもちろん問題ありませんが、副総裁立場がきわめて強く印象に残るように強化されておる。たとえば経営委員会にも参加する、あるいは任命についても、総裁と同一に内閣が任命する、こういうことにしてありますが、これは他の国鉄あるいは専売公社の例と比べてみましても、どうしても副総裁をこういうような立場に立つてつていないようであります。副総裁総裁との関係は、まさか会議制でもあるまいし、この建前からいうと当然総裁がすべて代表するわけでしようが、副総裁をこんなに強化しなければならぬという理由が私はのみ込めないのです。これはしたつて一向さしつかえないことなのですけれども、これはどういう意味ですか。
  61. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 ただいま石原さんの御意見にもありましたように、ただ私ども、場合によりますと副総裁総裁を代理することもあるわけでございますので、そういう意味でその地位を重からしめるというので政府任命はいたしただけでありまして、別に特別な理由があるわけでは毛頭ございません。
  62. 石原登

    ○石原(登)委員 わかりました。そういう意味で今度はひとつ副総裁の方にもうんと働いてもらいたいと思います。  次に二十五條であります。これは役員の兼職禁止の問題で、こういうような性格役員は、兼職は禁止されるのがあたりまえであります。これによりますと、但書でわざわざ「郵政大臣の承認を受けたときは、この限りでない。」となつておりますが、私はこのような大きな機構の、しかも役員に就任する者が、他の事業役員になり得るような余地は絶対にあるはずはないと思う。またそのくらいの余裕があるようだつたら、私はこの事業に一生懸命に専心してもらいたいと思う。これは大体郵政大臣の承認を受けた場合というのは、いかなる場合が予想されるのでありますか。たとえばどういうような役につく場合に郵政大臣はこれを承認しようと思つておられるのか、この点を聞いておきたいと思います。これは国民経済に大きくつながる事業ですから、全身全霊を打込んでこの仕事に没頭してもらいたい、こういうことを私は考えます。
  63. 靱勉

    靱説明員 これはごもつともな御意見でございまして原則としてはそういうようなことは別にないわけでございまして全面的にこの事業に従事するということを前提といたしておりますが、実はこの公社におきまして国際電気通信会社等に出資する場合も考えられておつたのであります。そういうような際におきまして、やはり役員関係として出る必要があるということも考慮されたわけでございまして、ごく例外的に、公社事業のためになるような非常に関連のある場合だけにというような意味合いで考えておつた次第でございます。
  64. 石原登

    ○石原(登)委員 そうしますと、さつきの提案理由説明とちよつと違つて来るのですが、さつきの提案理由説明によりますと、電信電話会社株式は一応みんな大蔵省に移して大蔵省が広く公開する、だから政府が株を持つて国際電信電話会社に圧力を加えるような意図は毛頭ないというような意味の提案理由説明があつたと思うのです。これはあるいは私の聞き違いかもわかりませんが、そうしますとこの公社がある程度資本のバツクによつて国際電信電話会社に発言権を持つ、またさらに公社に対して大蔵省その他政府が投資しているというようなこと、いろいろな面で制約を加えることと同じことだと、私は賛成できない。今後公社運営については、大蔵省は十分この問題について関與することになつておりますけれども、どうしても公社の本質から考えてそうすべきではないと思う。これは後日論じたいと考えております。同様に国際電信電話会社についても、公社資本の背景によつて自主的な運営に対して発言権を持つことは適当でないと思いますが、そういうことを予想されることはそれといたしまして、これも後日に譲りたいと思います。  最後に予算弾力性については四十條にいろいろありますが、この前もちよつと触れたのですが、これはきわめて抽象的でありまして、どういうぐあいに予算弾力性を持つかということについては、ちよつと議論が小さくなりますから、今日はおそいのでこの次に質問いたしたいと思います。それから一番大事な第五章の監督でありますが、われわれはこれだけたくさんな国家財政を、公社を衷心から信頼してその運営をおまかせするわけです。ところがこれの監督に当るところの郵政大臣監督権について、またここにもかなりの制約がある。私だつたら公社郵政大臣監督する、こういう法文にしたい。ところがこの法案によりますと、この法律で定めるところに従い監督するとあります。だからこの法文に定める以外の監督はできないのかというように、一応の疑問を持つ。しかもこれと同じ立場にある国鉄とまた専売公社の場合は、こういうようなよけいなことは書いてない。どうしてこういうよけいなことを書いて、誤解を生むようなことを表明されたのだろうとおかしく考えるわけです。法律の定めるところに従つて、その範囲によつて郵政大臣監督するとありますが、こういうところは私は納得できないが、郵政大臣はいかがでしようか。
  65. 靱勉

    靱説明員 これは結局法人格だという意味でこういう規定を設けておりまして、非常に限定的でありますが、しかしながら郵政大臣監督権は他の法律によつてもちろん認められておるのでありまして私どもの今予定いたしておりまする有線通信法あるいは公衆電気通信営業法におきましては、相当これらに郵政大臣監督規定されておるわけであります。
  66. 石原登

    ○石原(登)委員 そしたら端的に具体的にお尋ねいたしますが、予想されるものは、今度郵政大臣監督あるいは指導のもとに官房の中に監理官室をつくつて、その中に二人の監理官、数人のスタッフを置いて管理するということになつております。これによるとおそらくその人たちが電気通信公社監督をなさるのだろうと思うのですが、実際そうなのか、それとも郵政大臣が自分の部下に命じて、あるいは経理の面については郵政省の経理局長、あるいは事と場合によつたら郵務局長なり監察局長なりに、公社の調査、監督を行わせることができるのかどうか、この点はどうなんですか。
  67. 靱勉

    靱説明員 郵政省設置法改正案におきまして、公社監督は監理官がやることにいたしております。
  68. 石原登

    ○石原(登)委員 大体わかりました。それでけつこうですが、ついてはこういう経営委員会とか何とかいうような幕をまん中に置かないで、この役員の人たちが進んで最高の意思を決定する、公社事業に関する限り国会決議範囲でもつてそれを決定し、役員のスタッフがその執行をやる、こういう一体の形をとつてもらいたい。そうすることによつて公社は、あなた方が当初申されたように第一條の目的を遂行できると思う。しかしながらそうでなしに、何か責任と執行との間にもやもやなところがあると、これはどうしてもぐあいが悪いのではないか。私は皆さん方の決意のほどをひそかに確信いたし、またこの法案を通して流れるところの苦心のほどもわかつておりますから、あとはひとつ断固として闘うのだという心構えをつくつていただきたいと思います。私はさらに次の委員会において御質問いたすこととして、本日はこの程度で打切つておきます。
  69. 石川金次郎

    ○石川委員 ちよつと関連して伺いたいと思います。一体その組織体が法人の場合でありますが、意思決定機関と執行機関とわけてある。ところが意思決定機関が執行機関に対して信任がない場合には、運営がうまく行かないだろうと思う。大体意思決定機関の執行機関に対する信任があるかどうか、それによつて執行機関は決定して行くのであります。ところが本案は意思決定の機関である経営委員会が、執行機関である役員の選任に何らの発言権を持つておらないのは、どういう点でこうなさつたのか、理解に苦しむのですが、一つお聞きしたいのは、第十條の第二項において経営委員会の決定事項がいろいろ書いてありますが、その五号に「その他経営委員会が特に必要と認めた事項」とあります。これをお入れになつた意味は、今言つた信任関係がない委員会が出るのでありますか、執行機関が出るのでありますか、委員会が執行機関を適当なりと認める決議もやり得ると思うが、そういう御趣旨でございましようか。
  70. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 なかなかむずかしい問題でいろいろ論議がかわされおりますので、この制度を取入れましたことについてはよくおわかりだと思いますが、そこでこういう考え方をいたしておるわけでございます。先ほどの役員についても、両院の同意を得て内閣が任命することになつておりますが、同時にこの委員も両議院の同意を得て内閣が任命することになるわけでございます。その任命権者は、総裁、副総裁内閣だけで、両院の同意はありませんがいずれにいたしましても最終的には内閣が任命していただく。そこで内閣がこの公社経営についての最終的責任を持つといいますか、公社政府機関国家機関であるということをはつきりさせておるわけであります。従いましてこの任命を一箇所からいたしておりますれば、双方で十分話合いのつくものが実は任命できるのではないか、ことに私どもが特に公社組織にいたしましたゆえんのものは、民間組織長所を取入れるということに大きなねらいを置いておるわけでございます。そこで民間組織長所と申しますのは、総裁、副総裁はもちろんりつぱな人が出て参るだろうと思いますが、さらにその範囲拡張いたしまして委員の協力を得たい点が、私どもの一つの念願でございます。従いまして先ほど石原委員の御高見も拝聴いたした次第でございますが、私どもといたしましては総裁、副総裁にさらに協力するところの外部委員を、ぜひとも任命いたしたいと考えるのでございます。これは別に当初から対立する機関とは考えられない。政府が任命するという一箇所の任命の場所におきましても、それは十分長所を取入れるようなくふうをいたすわけでございます。しかしおそらく場合によりますれば委員は独自の批判をいたしますから、執行の最高責任者に対しても鋭い批判を加えることもあり得るだろうと思うのでございます。そこでいろいろ明記していない事項だからと申しまして総裁、副総裁だけでかつてに決定するということはありようない、ことに列挙いたしております事項に大体これらの事項と並べ得るような事項がありますならば、委員会といたしましても、当然これを取上げて委員会にかけて行くということになるわけでございます。先ほど次官からも申し上げておりますように、別に公社には重役という制度があるわけではないのでございますが、しいて経営委員会なるものを考えてみますと、取締役会みたいなかつこうにも考えられるということが言えるわけでございます。同時にまた事務遂行の組織におきましては、総裁、副総裁その他の理事諸公もいるわけでございますが、最後的な公社自体の重要事項を決定する場合には、その審議を一層愼重ならしめる、かような意味におきましても、この委員会は必要ではないかと考えておる次第でございます。
  71. 石川金次郎

    ○石川委員 そこで私は第十條第二項の第五号で、執行機関である総裁、副総裁が不適任であるという決議を、この経営委員会がやられるかということですが、やる場合を予想してこの第五号というものができたのか、これを許すのかということであります。
  72. 靱勉

    靱説明員 第五号の問題は、この法文ではつきりしておるようなことについてはもちろん権限はないわけです。たとえば総裁理事を命ずることができますが、その場合に経営委員会にかけるかどうかというようなことは、これは総裁の権限として法文ではつきり肯定しておりますので、そういうものは問題にならぬ。それから役員が不適任であるかどうかということにつきましては、それぞれ罷免の條項にはつきりいたしております。私どもの考えとしましては、五号ではそういうことは予想してないのであります。それでたとえばその他何があるかという場合に、給與準則基本的な方針というようなものは、当然ここにかかるのではないか。その他基本的なものについてまだ相当かける問題があると思います。これはまつたく例示的な列挙でございます。制限的列挙ではございません。
  73. 石川金次郎

    ○石川委員 大臣のおつしやつたように、初めは政府がずいぶん心配して、うまく行くように両方考えられて、国会に推薦なさるでしよう。しかし、動いておる人間の心、人間の姿ですから、いつ争いができないとも限らない。仲が悪くなつて、経営上の意見が衝突した場合にどうなりますか。どこで、どう処置なさいますか。あなたはそうなると、二十何條の罷免権を行使するとおつしやるでしよう、そういうことでこれを片づけるということですか。
  74. 靱勉

    靱説明員 経営委員会は、要するに会議制の機関であり、担任制でない。数によつてきめられるということはやむを得ない。三対二ということになつておりますが、結局経営委員が全部反対しますれば、なかなかできないということになりますが、そういう場合を予想しましても、経営委員会性格といたしましては、先ほど来御議論のあつたように、やはり国会の承認を得て経営委員を任命するという形をとつておるところにおいては、非常に民主的な要素も入れて、ここに規定いたしておるという次第でございますから、三対二というような形になつておるわけであります。そこで経営委員会役員とけんかしてどうにもならぬということになりますれば、監督機関の罷免権等の問題が発生して来る、こういうように考えております。
  75. 石川金次郎

    ○石川委員 第十五條の二号の「職務上の義務違反があるとき。」このことは執行機関である総裁、副総裁が、経営委員会の意思決定の通り仕事しなかつた場合には、ここの義務違反があるときになるでしようね。そういう趣旨でありましようね。
  76. 靱勉

    靱説明員 十五條でございますか、この準用しておる役員の方の規定でございますか。職務義務違反があるということは、役員の場合においては、今おつしやつたような場合を考えられます。
  77. 尾関義一

    尾関委員長 他に質疑はありませんか。ないようでありますから、本連合審査会は終了いたしました。  本日はこれをもつて散会いたします。     午後四時十六分散会