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靱説明員 ただいまの御質問は
公社に移行する根本的問題でございまして、大臣からも
提案理由の
説明があり、また各
條文についても御
説明申し上げた通りでありますが、それでは具体的にどういうようになるのかという問題につきましては、もちろん
国家公務員としても公に対する奉仕者として、
国民に良好な
サービスを提供するということで努力して参
つていることは当然でありますし、さらに種々の
改善が加えられて行くべきだという点は、理論上その通りであります。しかしながら幾たびか御
説明申し上げております通り、とにかくこの
電気通信事業というものは大きな
公共性がありますと同時に、また
一つの
企業として
経営能率を上げて行かなければならぬ。その際における
人事管理あるいは
財務会計等につきまして一般行政を実施するような規律によ
つてやられることなく、
事業というものは生きているものなのでありますから、やはりそれに対応した施策でできるだけ自由にや
つて行かれなければならぬ、こういうことなのであります。現在
国家機関といたしましては、もちろん
国家の直接の
機関として
企業活動をいたすわけでありますが、
公社としましては
経営責任を
公社に負わせて、そこに
責任の帰趨を明らかにし、
経営努力をして最小の
経費をも
つて最大の効果を上げて行くという点を発揮して行こうというのが、
公社の根本的な観念でございまして、近代各国におきまして
公共企業体の方法をとられるゆえんも、そこにあるというふうに私ども信じておるのでございます。先般も
電気通信委員会におきまして、理論上は何でもできるじやないかという御意見もあつたことを拝聴しておりますが、理論的に申しますれば、あるいは
国営企業におきまして
国家企業法というようなものをつくることも可能でありましよう。しかしながら
電気通信事業におきましても、
事業が始められてからすでに八十年の歴史を持
つている。しかも過去におきましても決して
国民の
需要に対応できなかつた、その間あるいは国内
電話についての
民営論も起つた、あるいはまた
国際電気通信会社の前身たる日本無線
会社あるいは
国際電話会社をつくりまして、
政府の財政上
資金がなかなか融通しないものにつきまして、
設備の提供等の方法によ
つて世界
通信を確保したという歴史もあるのであります。
わが国の
電気通信事業として不幸なことは、非常に大きな
拡張計画を設定してスタートいたしましても、一年後には時の財政政策等の変更によ
つて、計画が実施できなく
なつたという歴史も持
つております。特に一番不幸な事態は、この前の戦争によ
つて非常な災害を受け、現在において地域的には災害を受けた
電話がまだ復旧できていないとう状況にあるわけでありますから、
経営形態に対する批判というものが、一般的に非常に強く論議されたのもそのゆえんかと存じます。従
つてすでに
電信電話復興審議会ができて
経営形態の根本的な検討も行われ、また衆議院といたしましても
公共企業体移行を
決議されたことの
関係もあり、また最近におきましては
政令改正諮問委員会等において、行政機構の簡素化に関連しましてこの問題も取上げられておる、こういう形に
なつておるのであります。率直に申しまして、
公社に
なつてお客さんに対する
サービスという観念を徹底いたしまして、気分的にそういう転換が行われるものと
考えます以外に、この
事業に勤務したということに対する
給與もだんだん適正に
合理化されて行くというところに、
職員の
企業意欲が強くなるというふうに
考えております。結局この
事業を動かすものは人にあるのでありましてそこに各
職員が
企業に対して全面的な努力、合理性を認めて行くということが非常に必要になるのではないか。それから
財務会計等につきましては、むしろ過去における官業に対する批判の結果、
予算に対する非難が強かつたということは事実かと存じます。今回におきまして
独立採算制をとりまして、なお
職員の
企業努力によ
つて経営状況がよくなるという場合におきましては、それを現在の
需要者に還元する、あるいはまたいろいろ
職員の環境あるいは待遇の
改善にも向うというようなことが、かなり直接的に反映して来るという面もあろうかと思いますし、外部
資金の獲得につきましては、先ほど御質問に対してお答えしたようなものがプラスされてくるというふうに
考えまして、
需要と供給が現在非常に懸隔のはなはだしい
事業を、一挙にしていつでも
電話がつくというようにするにはなかなか困難性がありますけれども、
公社になることによ
つて、さらによい
サービスを
国民に提供するという点につきましては、当然非常な進歩が行われるものであるというふうに私ども信じておる次第であります。