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1952-06-25 第13回国会 衆議院 電気通信委員会 第43号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年六月二十五日(水曜日)     午後二時四分開議  出席委員    委員長代理理事 高塩 三郎君   理事 橋本登美三郎君 理事 福永 一臣君    理事 長谷川四郎君 理事 松井 政吉君       石原  登君    井手 光治君       加藤隆太郎君    小峯 柳多君       庄司 一郎君    關内 正一君       椎熊 三郎君    石川金次郎君  出席政府委員         電気通信事務官         (業務局長)  田邊  正君         電気通信事務官         (業務局周知調         査部長)    吉澤 武雄君         電気通信技官         (施設局長)  中尾 徹夫君  委員外出席者         專  門  員 吉田 弘苗君         專  門  員 中村 寅市君     ————————————— 六月二十四日  委員庄司一郎辞任につき、その補欠として根  本龍太郎君が議長指名委員に選任された。 同月二十五日  委員根本龍太郎辞任につき、その補欠として  庄司一郎君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  有線電気通信法案内閣提出第二四五号)  公衆電気通信法案内閣提出第二四六号)     —————————————
  2. 高塩三郎

    高塩委員長代理 これより開会いたします。  有線電気通信法案及び公衆電気通信法案一括議題とし、質疑を続けます。橋本登美三郎君。
  3. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 昨日に引続き、公衆電気通信法案についての質疑をいたします。従来の電信法の中で、特に今回の法案一般に開放するという原則のもとにできておることについては、前会においても、非常に画期的な法案であるとしてわれわれは大いに歓迎をしておるのでありまするが、そういう観点から従来ややともすれば非民主的な特権規定であつたと思われるようなものが相当に改廃されておるのでありまするが、その大体の内容について御説明を願いたい。
  4. 田邊正

    田邊(正)政府委員 従来電気通信事業に與えられておりました特権のうちで、廃止いたしましたものは以下申し上げる通りでございます。  第一は、電信法の第六條でございまするが、配達人が宅地、田畑を通行する場合におきまして、一定特権を認めておつたわけでございまするが、それを廃止することといたしました。  次は電信法の第七條でございまして、職務執行中の電信または電話工夫配達人及び配達用舟車馬等が事故にあいました場合に、電信または電話工夫配達人あるいは吏員が助力を求めることができることになつておりまして、その助力を求められました場合におきましては、国民は正当な理由なくしてそれを拒んではならないということになつておるわけでございます。それを廃止いたしました。  次は第八條でございまして、これは職務執行中の電信または電話工夫配達人舟車馬等に対しまして、川を渡る船賃あるいは道路の通行銭というふうなものを請求することができないことになつておるのでありまするが、これも廃止いたしました。  次は第九條でございまして、電信または電話の用に供するために、鉄道用地及び停車場建物の一部を使用し、必要ある場合におきましては、建物の建築または改築を命ずることができるということになつておりましたが、これは廃止することにいたしました。  次は第十條でございまして、鉄道用地内に電信線または電話線を施設いたしました場合に、使用料を支払わないということになつておりましたが、これも廃止いたしました。  次は第十一條でございますが、電信もしくは電話専用物件または現にその用に供する物件はこれを差押えることができない、また前項の物件に対しましては何らの賦課も課さないということになつておるわけでありますが、これも廃止いたしました。  次は電信法の第二十一條でございますが、電信または電話に関する料金の不納の場合におきましては、それを徴収いたします場合に、国税滯納処分の例によつて取立てることができることになつておるのでございますが、これも今回は廃止いたしまして、普通の民事上の手続によつて未納料金は取立てて参ることにいたしました。  それから次は、これは特権と申しますとちよつと当りませんけれども電信電話取扱いにつきましては一切、どういう損害を生じましても、またいかなる場合におきましても、損害賠償しないということになつておるのでございます。これは電信法第二十四條でございますが、これを改めまして、一定の場合に、ある程度損害賠償をするということにいたしました。大体以上の通りでございます。
  5. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 従つてこの第一條の中にある「迅速且つ確実な公衆電気通信役務を合理的な料金で、あまねく、且つ、公平に提供することを図ることによつて公共福祉を増進することを目的とする。」こういう條項があるわけですが、その中の迅速かつ確実、こういうような、みずから義務規定を設けておるということは、当然これに対処して確実迅速ならざるもの、あるいは確実ならざる役務をやつた場合においては、積極的にこれに対する損害賠償なり、あるいは義務履行なりの規定が設けられておるわけでありますけれども、その金額といいましようか、賠償率がはたしてこの程度で、迅速かつ確実なる公衆通信役務を扱うというこの義務規定に対して十分であるかどうか、この点についての御研究の結果、あるいは交渉等の結果を御説明願いたいと思います。
  6. 田邊正

    田邊(正)政府委員 通信法案の第百七條におきまして、公社損害賠償いたします場合を規定してございますが、この額につきまして、損害が生じました場合にどのくらいの額を賠償したらいいかという、その額の問題がございますし、もう一つは、いかなる場合に賠償をするかという、賠償する場合のにともあるわけでございます。大体電気通信というのは、御承知のようにきわめて大量的に、しかも瞬間的に仕事をしなければならない性質のものでございまして、従つて十分な注意をいたしましても、ある場合におきましては、やはりある程度取扱いの疎漏と申しますか、間違いと申しますか、そういうものが出て参るわけでございます。たとえば電報でございますが、現在審報誤りがなお相当ございまして、現在におきましては大体普通電報におきまして、一万字当り二十四字くらい、それから照合電報におきましても、大体半分の十二、三字くらいあるわけでございます。その原因はいろいろございまして、むろん取扱者がもう少し注意したならば、その誤謬減つただろうという場合もございますが、しかしまた一方現在の電信設備におきましては、十分な保守をいたしましても、印刷電信機などにおきましては、ある程度誤謬というもの、これはアメリカなどでもある程度あると思いますが、そういうふうな状況でございます。もつともこの誤謬につきましては、終戦後におきましては、一万字当り百字を越したこともございまして、それからいろいろと施策を講じ、また従業員にも勉強してもらいまして、ただいま申し上げましたような数字になつて参つたのでございます。また電話の点におきましても、市内通話あるいは市外通話におきましても、きわめて短かい時間に非常に多くのものを取扱うというふうな関係から、どうしてもある程度取扱いの間違いというものは、これはやむを得ないものではないかというふうに考えるわけでございます。それからもう一つは、この損害賠償の点として考えましたことは、電報にいたしましても、あるいは電話にいたしましても、われわれの方で引受けますものは、その内容電報で言いますれば、たとえば電報内容の持つておりますところの意味と申しますか、価値と申しますか、そういうものとは無関係料金がきめられてあるわけでございます。ところがその内容は千差万別でございまして、その電報が間違いましたために、非常に大きな損害を生ずるというふうな場合もございます。もちろんどのくらいの損害を生じたかという認定になりますと、これは個々の場合にいわゆる相当因果関係と申しましようか、よつて生じた損害というふうになつておりまして、その解釈一つ一つの具体的の場合におのずから決定さるべき問題だろうと思いますけれども、とにかく今申し上げましたような通話、あるいは電報内容によつて非常に大きな損害を生じ得べき場合もある、従つてその因果関係ということを論じて参りますと、非常に大きな賠償をしなければならないというような場合も考えられるわけでございまして、これは実際にどのくらい誤謬を生じ、あるいは取扱いを間違え、その間違つた結果どれだけ損害を生じたか、相当因果関係を生じたかということを想定することはきわめて困難でありまするけれども、場合によりましては、あるいは五十万円とか百万円とかいうようなことも考えられるのでありまして、これをやはりある程度制限いたしませんと、公社の財政上にも相当の差響きが出て参る。そういうふうになりますと、仕事の方の合理化をいたしましても、なお料金の問題とも関連して参りまして、今の料金をやはりかえなければならねということを考えられるわけであります。そういうような、今申し上げましたような電気通信性質として、それから電気通信内容によつて生ずるいろいろな損害、そういうものの認定というような問題をあわせ考えまして、この際やはり損害の額につきましては一定限度を置くべきではないかというふうに考えましたわけでございまして、なお国際電気通信條約におきましては、電気通信取扱いによつて生じた損害賠償しないというふうな規定になつております。また外国の事情を調べてみますと、賠償するところもございますし、今日までの電気通信省と同じように、全然賠償しないところもございます。また賠償するときにおきましても、多く賠償額を限定しておるようであります。それからまた賠償いたします場合には、特別な電報におきましては保險的電報と申しますか、普通の料金以上によけい金をもらうというような制度をあわせ用いておるところもあるようでございます。今申し上げましたような点で、この賠償の額といたしましては一定の額に限る。  その次は場合でありますが、この場合はここに第百七條に書いてございますように、その損害不可抗力によつて発生した場合と、それからまたこの損害の発生について利用者過失があつた場合、その場合を除きましてすべて公社において賠償するということにいたしたわけであります。その意味は、損害賠償は多くの場合に民法上の債務不履行になると思うわけでございますが、この債務不履行の場合に、たとえば公社の方に重大な過失があつたという場合には、むろん賠償しなければならぬが、非常に過失程度が軽い場合はどうかということも考えられるわけでございますが、この際は今申しましたように不可抗力によつて損害が発生した場合と、それから利用者の方で過失があつた場合を除きまして、すべて賠償するということにいたしたわけであります。これは一つにはこういう点を考えましたわけでございまして、従つてこれは挙証責任と申しますか、そういう点につきましては非常に利用者の方にとりましては有利でありまして、これは自分の方で間違いがなかつたということだけ立証してもらえば、すぐ賠償になるわけであります。ところが民法上の普通の状況になりますと、これは債務不履行の場合に故意あるいは過失があつたということを立証しなければならないことになつておりますので、それをこの場合において考えますと、利用者の方で損害賠償いたします場合に相当複雑なる手続がいるという点がありますので、その点は今申し上げましたような場合のほか、公社においてすべて損害賠償するように規定いたしたわけであります。なおまたこの料金の額につきましては、私どもといたしましても必ずしもこの料金の五倍という額が、最も妥当であるというふうな絶対的な確信はないのでございますが、先ほど申し上げましたような事情から、この際料金の五倍を限度としてやつて参りたいというふうに考えているわけでございます。
  7. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 公社の立場として、経理上の関係からある一定限範囲内においてその賠償責任に応ずるという考え方は、理論的にはわかるとして実際上はやむを得ないのですが、ただ民法上における賠償請求権というものが、この特定法によつて制限をされる、こういうことになると思うのです。従つて重大なる過失もしくは故意行為によつて相当額賠償が起きた場合は、この條文以外の民法規定従つて訴訟を起された場合においては、この法律はどういう関係に立つているか。
  8. 吉澤武雄

    吉澤政府委員 ただいまの御質問に対しまして、私どもこういうふうに考えております。公衆電気通信役務としての際におきまして、その取扱い上生じた損害につきましては、ただいまの百七條損害賠償事項以外には賠償いたしません。しかしそれ以外におきまして、たとえば公社設備の箇所が悪かつた、例をあげますれば保安器の設置が悪いために感電して、人命その他の損傷を與えた、その他サービス内でありますところの損害賠償ということにつきましては、民法一般原則によりまして、民法七百九條の不法行為による損害、この方で訴訟を提起することになるわけでございますが、この場合におきましては当然損害賠償責任は負うもの、こう考えております。
  9. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 もちろん公衆電気通信役務外のことにおいてそういう事態が起きた場合においては、他の法律によつてこれが損害賠償請求権のあることは当然だと思うのですが、この公衆電気通信役務に関して、故意もしくは重大なる過失によつて、あるいは人命に影響のある場合もあるだろうし、あるいは経済的な莫大な損害をこうむる場合もあると思うのですが、そういう場合に基本的人権として損害賠償請求権一般国民に認められているにかかわらず、それがこの法律によつてチエツクされて、最高五倍しかもらえないのだ、こういうことになると、特定法によつて一般原則侵害されている結果になるのですが、そういう場合における法律的な解釈といいますか、他との関係においての法律的な取扱い方についての意見の交換が行われたかどうか。行われた場合において、他の官庁関係といいましようか、法制意見局なり、そういう面の意見がどうであつたかを伺いたい。
  10. 吉澤武雄

    吉澤政府委員 憲法の精神から申しますれば、財産権侵害ということについては補償する、また損害のあつた場合においてはこれを弁償するということはあるわけです。また国家賠償法精神からいたしましても、公務員が與えた損害につきましても賠償するというようなことははつきりしております。そこで事業性質から申しまして、これは公共福祉のためにおきましては、法律で別段定める場合は、ただいま申し上げたような賠償限度においてあるいは賠償制限ができる、こういうふうに解釈されております。従つてこの電気通信事業のごとく多量であり、しかも瞬間的な仕事であつて設備あるいは人力をもつて周密なる注意をいたしましても、誤謬とかあるいは故障ということの絶無を期し得ないという問題、かつまたそれをいつも賠償するということになりますれば、勢い料金が厖大な額に上らざるを得ない、こういう点はよほど考えなければならぬと思うのであります。のみならず常にそのような賠償額というものを支払うことになりますれば、従業員事務取扱い上におきましても、十分に敏活にやるということがともすればこの方で制限されるおそれもあるということを考えまして、事業の経営からいたしまして、かつまた公共的な事業であるという意味から見まして、この程度が今日のなし得る限度ではなかろうか、こう考えた次第であります。なお他の法令につきましても、同一の事業から見まして、御存じの郵便法におきましてもこれまた限定されまして、この賠償範囲と申しますか、事項というものは非常に少くなつております。その他国鉄の例に見ましてもやはり限定れたものでありまして、その範囲はおのずから特別な料金に限るというような場合におきまして、すなわち一種の保險的料金をとつた場合というような場合が、大体他のこのような公共事業における例と存じまして、電気通信におきましてはこの程度が今日の最大のところと考えた次第であります。
  11. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 大体各国の例もそういう標準にあるようでありますから、この点については公共福祉を主として保護する建前上、そういう制限を置くこともやむを得ないと思います。  そこで第二條第一項の中にある「その他の電磁的方式により」、この電磁的方式ですが、この中には放送テレビジヨン、こういうものが含まれておらないと思います。こういうものは公衆電気通信とは言わない、こういうふうにわれわれは解釈するのですが、ただ民間放送の場合は、スポンサーがついて一種の通信を、他人のものを媒介する結果になつている、こういう場合は公衆電気通信には含まないという解釈のもとに考えておられるかどうか。この点についての御説明を願いたい。
  12. 吉澤武雄

    吉澤政府委員 公衆電気通信法二條電磁的方式と申しますのは、電磁現象を利用する方式でありまして、有線方式でございますれば継電器、変成器の電磁石を用いて作用をなすものを応用したものであります。また無線の方式にありましては、電磁波を利用することでありまして、そのような方式によつて行われるところの通信を、電磁通信と申し上げているわけであります。そこで一般放送テレビジヨンはこの範疇に属しまして、電磁通信ではございますが、他人通信の媒介をいたすものではないのであります。その意味からは公衆電気通信役務の中には入らない、こういうふうに考えております。すなわち放送の場合におきまして、一般NHKの場合を考えました場合において、やはり編集NHKでやつている。すなわちあたかも新聞が記事を出す場合に、何々新聞編集のもとにやつているという意味でありまして、その点については他人通信を媒介するものでない、こう解釈しております。しからば民間放送におきまして、スポンサー放送はどうかということでありますが、これについては一応他人通信ということになるのでございますが、これは有線電気通信法においてどういうふうに扱つているかと申しますと、有線電気通信法の第十條に、おいて業としてやる場合においてはこれを公衆電気通信法公衆電気通信の独占の侵害の保護のために一定規定を設けている。その方でこれが公衆電気通信侵害になるかならぬかということは、有線法の方で一応の制限をしておりますが、今の民間放送におきますスポンサーは、やはり一応はつきりした定義とまでは申しにくいのでありますが、やはり他人通信であるという見解のように考えております。
  13. 高塩三郎

  14. 石川金次郎

    石川委員 さきに橋本委員から百七條損害賠償について適切な御質問がありましたので、時間をできるだけ節約いたしまして、この條文でわからないところをちよつとお聞きしておきたいと思います。百七條の第一項の第三号、これはどういう規定でありますか、ひとつお知らせ願いたい。
  15. 田邊正

    田邊(正)政府委員 第三号の意味は、加入電話がたとえば障害になりまして、そのために加入電話通話することができないというような場合でございます。その場合に加入者から、たとえば障害なつたから直してくれということを電話局に通知した日から、引続き五日以上加入電話障害が直らなかつたというふうな場合におきましては、その通知いたしました日から通話ができることになりました日の前の日までの料金損害賠償して返すという趣旨でございます。ただこれを五日といたしましたのは、一般的に申しますと、非常に長いではないかというふうな御意見だろうと思うのでございますが、これは東京とかあるいは大きい町におきましては、保守する人がございまして、すぐと申しますか、割に早い期間に直してもらうことができます。ところが地方に参りますと、なかなかすべての局に保守の人間を置くことができないのでございまして、どうしてもある程度日数がかかるということもございます。従つてそういう点も考えまして、一応五日というふうにいたしましたわけで、全体を考えました結果、この際としてはこの程度にいたしたいと考えておるわけでございます。
  16. 石川金次郎

    石川委員 あなたのおつしやつたように、五日間もかまわないでも責任はないということになつてしまうのですから、これでは少しおそ過ぎはしませんか。実際は修理を申し込めば、ただちに来てやつてくれるかもしれません。けれども賠償責任はないのでありますから、一日、二日は延ばすということもあり得るでございましよう。そういたしますと、実際上はここにおきめになつたもので、公社では賠償を支払うというようなことはなくなるじやないですか。非常に公社の方は保護せられであるけれども利用者の方はなかなか保護されていないように思いますが、せつかく賠償の法規をこしらえても、事実の上においては支払わなくともいいというふうな法になりはしませんか。
  17. 田邊正

    田邊(正)政府委員 ただいまの電話日数につきましては、御意見ごもつともの点もございますが、損害賠償はそういうふうにいたして参りまして、電話が使えなかつた日数相当する料金は、料金の返還という規定がございますので、そちらの方でお返しするわけでございます。つまり賠償はこういうふうにいたしましたが、料金だけはとにかくお返しするということにいたしております。  それからなおこの百七條に一号から六号まで場合を定めてございますが、これはたとえば一号の場合でございますと、電報が速達よりも遅れた場合でございまして、現在非常に電報が早くなつて参りましたので、あまりこういう事例はないと思いますけれども、しかしたとえば電報局におきましてベルトの中に電報が入つてしまつた、そしてそれを気がつかずにおつたというふうな場合、これは割合に数は少うございますけれども、そういうこともございます。それから二は、照合とした電報通信文誤りを生じた場合でございますが、先ほど申し上げました通り照合電報におきましても、現在一万字当り十字を越すような誤謬の率がございます。従つてこの場合におきましても、相当そういう場合があろうかというふうに考えたわけでございます。それから三号は、ただいまの問題でございます。次に四号並びに五号でございますが、これは定時通話あるいは予約通話でございますが、これは一定の時刻に必ずつなぐという約束をした通話でございます。もつともこれは回線の都合がございますので、前後十五分間の余裕はとつてございますが、不注意でありますと、この十五分の間にはさまらないという場合も出て来ようかと思います。従つてお話もございました通り、百七條においてはほとんど賠償する場合はないではないかという御意見でございますが、実はこれはわれわれとしてはできるだけサービスは急ぐところでございまして、先ほど申し上げましたような大量のものを瞬間的に扱うという事情から、この各号に該当する場合もやはりあるのではないかというふうに考えておるわけであります。
  18. 石川金次郎

    石川委員 そこで加入者利用者損害賠償を受けようといたしますときには、どういう手続をとればいいのですか。電話が五日間通じなかつたとか、電報が遅れて着いたとか、そういうことを申し出ればただちにやるのでありますか。
  19. 田邊正

    田邊(正)政府委員 これは加入者の方から電話の不通によつて損害を生じたという申出をしてもらうことになつているわけでございます。
  20. 石川金次郎

    石川委員 申出をどこにやるのですか。その電話局にやる。そうするとただちに払うということになるのですか。その審査の機関とか払うとかいうことはどうなるのでしよう。
  21. 田邊正

    田邊(正)政府委員 これはその加入者電話が属しております電話局へ申し出てもらうことにいたしたいと考えております。
  22. 石川金次郎

    石川委員 申し出ていれば何らの審査もなくて支払つてくれるのでありますか。
  23. 田邊正

    田邊(正)政府委員 これは損害を生じました場合だけに賠償いたすのでございまして、従つてわれわれの方でそれは損害がなかつたというふうに認定いたします場合には、そこにいろいろと話合いがあることと思いますが、全然損害はないという場合におきましては、この建前におきましては損害賠償はいたさない、しかし料金の方だけは損害の有無にかかわらずお返しするということになつております。
  24. 石川金次郎

    石川委員 たとえば百七條の一項一号の電報が速達よりも遅れたのだと、こう言つて参りましたときに、さあ、いや配達になつたのだ、ならないのだ、何日間でやつたのだ、こういうような争いになつたときに、電報局ではただちに聞いてくれるかどうかわからない。当事者間に紛争が起つた、いさかいが起つた場合には、それはどうなるのです。だれがきめるのですか、その賠償責任があるとかないとかいうことを……。
  25. 田邊正

    田邊(正)政府委員 ただいまの電報の例でございますが、電報につきましては、こちらの方で配達いたします場合に、配達表と申しまして、電報を配達いたしました場合には、電報の受取人から判をついてもらつたり、あるいは名前をサインしてもらうというふうなことをいたしておるわけでございます。従つて電報が着いたか着かないかということの判定は、はつきりいたすのでございます。それから時間でございますが、時間につきましても、たとえば速達よりかも遅れたか遅れないかというようなことも、今申しましたような配達カードを調べますれば、はつきりいたすわけでございます。
  26. 石川金次郎

    石川委員 そうすると電報を配達いたしましたときには、配達時間は正確に書かれてありますか。
  27. 田邊正

    田邊(正)政府委員 配達表は、これは局から大体何時何分に出て、何時何分に帰つて来た、そしてその間に何通、どことどこと、どういう電報とどういう電報を配達したということが書いてございますから、多くの場合におきましては、はつきりいたすことができると考えます。
  28. 石川金次郎

    石川委員 それは配達局の方の定めたところによるのである。配達局の方は準備がありましても、受けた方では受けないといつたときに争いができるのでありますから、ただ一方的に、電報局のみの資料によつて判定して行くということになるのですか。
  29. 田邊正

    田邊(正)政府委員 それは電報局の方の資料一方というわけでもございませんで、これはまあ電報局の方でも書き間違えるということもございましようし、やはり間違いがある場合もあろうと思います。従つてその場合におきましては、やはり十分に利用者の方のお話を承りまして、そうして事実をはつきりいたさなければならぬと考えておるわけでございます。
  30. 石川金次郎

    石川委員 そこで事実をはつきりいたしますための機関とか、設備とかというのは、どうしてでき上つて来るのですか。
  31. 田邊正

    田邊(正)政府委員 この公衆電気通信法案は、大綱を実は定めたものでございまして、なお実際に今お話がございましたようないろいろな点につきましては、営業規則と申しますか、現在は規則でできておるわけでございますが、常業規則というものを定めまして、こまかいいろいろな手続をきめて参るつもりでいたしてございます。
  32. 石川金次郎

    石川委員 ほんとうにこの百七條を生かそう。こういうような誤りが起つたとき賠償しようとすれば、小さい規則もそえて、みんながこれを使えるように、この條文が生きて働けるようになすつてくださいませんと、審議は非常に困難になるのじやないか。実際これをこしらえても、いつ着いたか着かないか、争いが出て来るというようになりますと、実際上はこの條文は使えなくなつてしまつて、おそらく賠償国民には約束した、利用者には約束したが、いざとつた人は三人に一人もなかつたということになりますと、非常にこれは成績がよかつたから賠償事故がなかつたとも言えますけれども、そうじやない。私はただいま御説明を聞きまして、賠償範囲をこの点に定められましたことについてはやむを得ないじやないかと、あなた方の御議論を承つたのでありますが、本来私から言えば、損害賠償額についてもつと論じたい、そう思つたのであります。額が少い上に、今度はどう言つておるかというと、第三項では、六箇月を経過したときは賠償することはできないというような、損害賠償請求の従来あつた法律原則からは、ずいぶん公社の方は利益になつておる。債権がすたつて来ますのは、短期は御承知の通り一年、二年、個人の損害賠償で少くとも三年、四年は持つておる。六箇月で、今度は損害があつたかなかつたかの認定は、取扱つておる方でおきめになる、額が少い、これでありましたら、賠償を求める手数がたいへんだ、五倍しかもらえぬ、三倍しかもらえぬということになりますと、百七條が使えないのでありますから、最初に十分使えるように、ほんとうに賠償をやるというお考えならば、使えるように——ただ法文の体裁上やつておるということならば、むしろこの場合はこれはどうだということをやつた方がかえつて勇敢だと思いますから、細則をお示し願いたい。
  33. 田邊正

    田邊(正)政府委員 お話は非常にごもつともでございまして、私どももこの規定を設けましたのは、一種のかつこうをつけたというふうな気持ではございませんのでして、とにかく今まで全然賠償しないということは不当であると考えましたので、この規定を設けたわけでございます。従いましてただいま御意見がございましたように、よく十分に利用者にこういうことを知つてもらいまして、そうしてこの場合に該当いたしますときは、やはりむしろ積極的に、われわれの方としてはやつてもらいたい。実は現在料金の返還につきましても、現在の規則におきましては、請求によつて料金を返すということになつておるわけでございます。それで実はこちらの整理の点もございますので、この法案におきましても、一応請求によつて料金を返すということにいたしてございますが、現在の実際のやり方は、こちらの方でもつてそういう事実、たとえば間違つてよけいお客さんが払つているとかいうふうなことでございますとか、あるいはまた別な間違いによりまして、料金を過大に頂戴したというような場合におきましては、建前は請求というふうにいたしてございますけれども、こちらの方で知つた場合には、積極的にこちらの方から話をして、そうして支払つて行くというふうに現在やつておるのでございます。この損害賠償の点につきましても、そういうふうな事実をこちらから知りました場合におきましては、やはり利用者の方へこちらから話をして、そうしてできるだけこの趣旨に沿つてつて行きたいというふうに考えておるわけであります。
  34. 石川金次郎

    石川委員 もう一点だけですからお許し願います。この百七條一項に書いてありますように、「損害の発生について利用者故意若しくは過失があつたときは、この限りでない。」これに対して、先ほどの橋本委員からの質問に対しまして、お答えになつたところでは、この挙証の責任利用者側にはないのだ、もしも利用者の方に故意過失があつたならば、その故意過失があつたということを公社の方で立証しなければならぬというように承つたのでありますが、そうでありましような。そう読むべきでありましような。
  35. 吉澤武雄

    吉澤政府委員 この利用者故意または過失があつたかということの挙証責任は、公社側にあるのでございます。なおつけ足して申しますが、損害の発生及び額ということにつきましての挙証は、利用者の方にあると思います。
  36. 石川金次郎

    石川委員 しかし損害が発生しましても五倍しか払わぬのですから、たとい損害額は二倍であつても、支払うべきものは五倍でありましような。この書き方はそうじやないでしようか、五倍に相当する額ということは……。
  37. 吉澤武雄

    吉澤政府委員 損害はいかほどあつてもその点はかまいませんが、五倍以上は払えない。たとえば損害額が二倍しかなかつた場合は、これは二倍です。五倍の範囲内において実損額を払う、そういうことになつております。
  38. 石川金次郎

    石川委員 損害額がかりに二倍であつたとしたときは二倍となるのですか。そうするとたくさんあつても五倍を限度として、二倍、三倍、四倍と見て支払つて行く、こういうことになるのでございましようか。
  39. 吉澤武雄

    吉澤政府委員 もともと五倍の範囲におきまして実損額を賠償する、こういう精神でございますから、実損害が二倍であり三倍であり四倍であれば、やはり賠償は二倍、三倍、四倍であります。但し五倍以上の損害があつた場合でも五倍しか払えぬ、こういうことになつております。
  40. 石川金次郎

    石川委員 またそうなると問題になつて来る。二倍、三倍、四倍ということの認定はどうしてやりますか。だれがどう決定して行きますか。私のこの読み方が悪いのでしようかね。第一項の二号を読みましようか。「その電報料金及び照合料金の合計額の五倍に相当する額」、これを賠償金としてやるぞ、こう見えるのではないですか。ですから五倍なら五倍は、二倍であつてもやるのだ、こうするからして、幾ら賠償額が多くても、公社の現状が公共事業であり、諸外国の例もこうあるのだ、公共の他の事業もこうあるのだから、これでがまんしてくれという法案じやないのですか。
  41. 吉澤武雄

    吉澤政府委員 その点につきましては、百七條の第一項の前文に書いてございます「利用者損害を加えたときは、左に掲げる場合に限り、」これが事故の場合、すべての場合に賠償しなければならぬ、こういう場合だけは賠償するぞ、それぞれ各号に掲げる額を限度とり、その損害賠償する。」ということですから、限度額は、限定賠償でございます。しかも「その損害」でございますから、損害の実損額というふうに広義に解釈をしてよろしいのでございます。
  42. 石川金次郎

    石川委員 それでは何倍になるという損失の算定は非常に困つて来るのじやないですか。何倍やつたらいいかということは……。それよりも、なるほど一項の方には「掲げる額を限度とし、」とこうありますが、あとの方には相当する額といつたのですから、こういう事故が起つたならば、五日も通話ができなくても賠償するのだ、料金は返してやるし、あとは五倍だ、こういうのですから、五倍に相当する額はやるということにせられてはどうなんですか。そうされては公社の会計にどう響くのですか。この條文をこしらえましても、そうあるとお思いですか。この百七條規定の加重が、そうめんどうにしてやつておいて、かえつて賠償額よりも査定する人間の方が手数がかかつて、費用がかかつて来まして、何日も何日も、一倍か二倍か三倍か、利用者との話合いをつけるために、両方とも時間を空費し、汽車賃をかけて賠償金をもらいに行くとなりますと、そんなことには行かれまい。ということになりますと、できないということになつて、全然この法文を殺してしまう。これは五倍ということにしておくことはどうなんですか、これはできないことですか。
  43. 田邊正

    田邊(正)政府委員 ただいまの御意見は、こういう第百七條各号に列挙したような事実が生じたならば、損害の有無も考えずにすべて五倍を賠償したらどうかという御意見だと思います。たとえば第二号の照合電報でございますが、これは先ほど申し上げましたように、いろいろ終戰後電報誤謬について努力して参りましたが、今日におきましてもなお一万字当り十二字くらいでございます。通数におきましても、百通当り五通というふうな程度になつておるわけでございます。従つてこれをそのまま損害の有無あるいはまた損害の多少にかかわらず賠償するということになりますと、これは相当な額になるわけでございます。従つて公社の支出にも相当の影響を生ずることになりますので、やはりこれは損害を生じた場合におきまして、その損害額、それから五倍を越えた場合におきましても五倍にとどめるというふうにいたしたいと考えるわけでございます。
  44. 石川金次郎

    石川委員 それではどうかこの一号、二号の理由をとりまして、一倍のときはどういう場合、二倍のときはどういう場合、三倍のときはどういう場合、五倍のときはどういう場合ということをお考えになつたのでしようから、ひとつお知らせ願えませんですか。
  45. 田邊正

    田邊(正)政府委員 これは先ほども申し上げましたように、電報内容は非常に多種多様でございまして、電報にあやまちが生じました場合におきましても、損害を生じない場合もあり得ようかと私は考えておるわけでございます。たとえば非常に重要な部分でないところに生じました場合におきましては、これは判読と申しましようか、そういう場合もございましようし、損害を生じない場合もあろうかと考えます。また数字の場合におきましては、たとえば三というのを二と間違えたというような場合におきましては、これは三十万円で買おうというふうにいつたところが、間違つて二十万円としたとします。そうして向うでは、それでは二十万円なら売らないというような場合がございましよう。そういうような場合に、これは一体どこまで相当因果関係があるかというふうな判断は、それぞれの場合に非常に違うと思うわけでございますが、しかしたとえば相場なんかの場合におきまして、売るとか買うとかというふうな場合におきましては、これは数字一つの間違いが相当大きな問題になり得る場合もございましよう。従つてそういう場合には相当高額になつて参ります。そこでお話の、たとえば一倍の場合はどういう場合か、あるいは二倍の場合はどういう場合かということは、今申し上げましたような事情もございますので、実は私たちも考えあぐねておるわけでございます。ただ申し上げましたように、誤謬を生じましても、損害を生じない場合もあり得るし、また相当因果関係解釈によりますけれども、きわめて大きな額に上る場合もあり得るというふうに考えておるわけであります。
  46. 石川金次郎

    石川委員 結局この五倍ということになりますと、料金の合計額の五倍ですから、大した額ではないだろうと思う。片方では、こういう字は五倍以上なんだから、たくさんの損害を受けたと言うに違いないのであります。ところが五倍に限るのでありますから、これは一般に誤つたら、全部この條に規定する五借を払うということにしてもさしつかえないとも思うのですね。たとえば朝六時に着くと言つたのを、七時に着くとした。そうすると七時と言つて一時間の差があつたことが——私のようなつまらない人間ですと五厘の損失も起らないかもしれませんが、一時間遅れたために私はかくかくの用がやれなかつた、幾らの損害だ、こう言つて来るに違いない。あなたの方ではそうではないといつて争うことになる。そうするとそこでこういう争いをやらしておく、両方の手数、時間の空費、さあ書面を出せということになつたりする。そういうことになりますと、結局この百七條がせつかく設けられましても使えない。それではいかぬから、やはりこの損害賠償額をやるときはかくかくやるのだ。この場合はこれだけをやるのだ、こう予定してしまつた方が、範囲限度の予定でなくして、額の予定をはつきりした方がいいのではないか、どうしておやりにならなかつたかと思われる。一体そういうふうに御訂正になる気持はないのですか、これでありますと、実際百七條が使われないかもしれませんよ。
  47. 田邊正

    田邊(正)政府委員 先ほど申し上げましたように、この損害賠償をいたします場合は、料金も返すわけでございます。従つて損害がございませんでも、われわれの方としては、まず料金はお返しすることになつております。それであやまちを生じました場合におきまして、では損害を生じなくても、ここに規定してある五倍の金を全部渡すかどうかということになりますが、これは先ほど申し上げましたように、一つにはこれは私たちといたしましても、一体どのくらいこういうことになるかということは、はつきりした見通しも立たないわけでございます。ただ照合電報ということにつきましては、ただいま申し上げましたように、現在誤謬の率がわかつておりますから、こういう場合はどのぐらいの損害が出るかというふうな勘定はできますけれども、しかしそれ以外のすべての場合につきまして、一体一年間にどのくらいこういう損害が起るだろうかというふうな、はつきりした見通しもないわけでございます。それからまたもう一つは、建前からいたしまして、料金はとにかくお返しするということにいたしておりますので、損害がなかつたならばこれはやはり料金をお返しするのでありますから、それでごかんべん願いたい。ただ損害を生じました場合には、料金をお返しするだけでは、これはまことに相済まぬ次第でございます。ある程度損害賠償もして行きたい。ただお話にございましたように、損害を生じました場合において、その額をきめる問題、あるいは手続の問題、いろいろお話のように問題もございますが、そういう点は百七條を設けました以上、私たちといたしましても決してこれをただ看板にして参るというふうなつもりではございませんので、とにかくわれわれの方で間違つた仕事をして、そうして損害を生じた場合には、できるだけ損害を払つて行く、そういう気持でいろいろ手続あるいはやり方等について規定をいたしたいと考えておるわけでございます。そうしてこの百七條規定を設けました趣旨は、やはりこれは十分貫いて参りたい、そういうふうに考えておるわけでございます。
  48. 石川金次郎

    石川委員 通常電報の文字一つ違つたという場合には、損害賠償はしませんね。
  49. 吉澤武雄

    吉澤政府委員 この場合にはしません。通常電報におきましては、ただいまの一号に書いてあります速達郵便がついた、しかも用を弁じなくて損害を生じた、こういう場合でございます。なお先ほどのお話の、他の法律につきまして、最も電気通信と類似の郵便法におきまして、同じように実損額ということになつておる次第でございまして、これなどは現在におきましての公共事業としてやむを得ないところじやなかろうか、こう存ずるのであります。ついでに額の問題につきまして、実は私ども数字的にも非常に調査してみたのでありますが、相当な額に上るんじやないかということも考えられるのであります。大体今日の普通電報一通が八十円平均の料金なのであります。これを今のように全部五倍にするということになりますと、五倍の損害賠償プラス料金の返還、六倍の額を返さなくてはならぬ、こういうことになりますと、事業の経営上実は確信を持てないというのが、先ほどおつしやつた点について非常に困難を感じておる次第でございます。
  50. 石川金次郎

    石川委員 通常の電報にやらないのですから、特殊な場合なのですから、全部そうなりはしないだろうと思うのです。たとえば照合電報、専用の電話ということになりますと、通常の電報も入るといたしますれば、これはよほど考えなければなりませんけれども、ほんとうに特殊なものでありますから、五倍に切られる、そのような取扱いが正当じやないかと思うのでありますが、そういうことは考えられませんか。
  51. 吉澤武雄

    吉澤政府委員 実は照合電報につきましては、これは誤謬のないというのが原則なのであります。一々照合いたしまして、実は二重の手間をいたしておるわけであります。それなるがゆえに料金といたしまして五割増の料金をとつておるわけであります。そこで五割増の料金で一体平均一通どのくらいの金になつておるかと申しますと、一通百三十三円平均になつております。この点から見まして、今のような五倍という限度から行きますと、勢いやはり相当責任を負う、必ず五倍だけの額はお払いするということになるならば、この照合電報はそれ自身の料金においてもう少し高く、保險金的なものを考えなければいかぬということになるおそれもありますから、今日はやはりこの五倍限度で、ただいまの規定のごときことに一応やつてみたい、こう考えておる次第でございます。
  52. 石川金次郎

    石川委員 照合電報の場合は念には念を入れて高い料金をとつておるのでありますが、どうしたつて最低は五倍払わなければならぬということになりはしませんか。利用者の方からいうと損害は莫大に行くんです。だから専用の場合だつて同じでありますが、結局は五倍というものは払わなければならなくなるんじやありませんか。もし払うとなれば、この場合五倍なら五倍とはつきりした方が、かえつて事務の取扱い上の経済になりはしませんか。たとえば三百円払うのを百円払おうとして、両方に時間の空費と、いろいろの照会とか何とかめんどうなことをして、五倍を三倍にしたところで、公社の方としては何らのもうけもないということになりませんか。
  53. 吉澤武雄

    吉澤政府委員 法律の立て方につきましてはこのような立て方をいたしておりますが、実際の扱いにつきましてはただいまおつしやるように、紛糾を来さないようにする、それから請求からすぐにも賠償するような手続をする。なおこの決定につきましては、責任のあるなるべく現場に近い庁で決定する。こういうふうにいたしまして公正を期し、かつまた手続の煩雑を避けまして、迅速にこの法のねらつておる精神を実現したいという意味におきまして、この手続をそのようなふうにつくりたいと考えております。実際問題といたしましては、そのような手続あるいは迅速性ということを考えますれば、損害賠償を要求したということになりますれば、あまりにこまかいことをお互いが言わないようにして行きまして、五倍限度ということが通常行われるようなことになるかもしれませんが、おつしやる精神につきましては十分体して実行して行きたいと考えております。
  54. 石川金次郎

    石川委員 この條文に限りましての質問は終ります。皆さんの公社に対する監督を十分なさることを私はお願い申し上げてこれだけじや終つておきます。
  55. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 今の点で字句についてお聞きしたいのですが、百七條の「公社は、公衆電気通信役務を提供すべき場合において、その提供をしなかつた」こうなつておるのですが、提供が遅れたという場合もあるのです。むしろその場合が多いのですが、このままの表現で提供したが、遅れたということに解釈できますか。ちよつと言葉の表現の意味合いをお伺いいたします。
  56. 吉澤武雄

    吉澤政府委員 これはこういうように私ども解釈しておるのでございます。本来の役務を提供しなかつたということでございますから、作為によつても遅れたという場合が提供しなかつたということになる、従つてその履行遅滯あるいは役務不履行、なお不法行為、こういう行為に基くものを一切含んでおる、こういうふうに解釈しております。
  57. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 それでは元にもどつて、次の第四條、第五條の検閲の禁止と秘密の確保、これは憲法の條項従つてこういう條項をここに加えてあると思うのです。原則としてはもちろん異議はないのてすが、この場合に従来の電信法の中には治安を害し、または風俗を乱すような内容通信を発見したときは、これを通信しなくてもよろしいという規定になつてつたように思うのですが、今度の場合はこういう場合においても、自然内容がわかつて検閲をしないということになつておりますから、もちろん実際上はわからないわけですが、しかし電報のごとき場合におきますればこれは当然にわかるのですが、そういうような場合においても、この規定によつては当然これは役務を提供し、取扱いをしなければならぬことになつておるわけであります。そこでそういうような治安を害す、あるいは風俗を乱すような内容の郵便物を事前に発見しても、これを提供しなければならぬということになつているのですが、その場合他の法律によつてこれらに制限を加える場合、たとえばそういうものについては取扱つてはいけないという規定が将来において設けられた場合においては、この條項はどういう関連に立つかを伺いたいのであります。
  58. 吉澤武雄

    吉澤政府委員 第四條、第五條におきましては、やはり公序良俗に反するとか、治安を害するという通信がたまたまわかりましても、これは公社の職員といたしましてはこれを検閲するということはできない、また通信の秘密は嚴に侵してはならないということから、勢いそのまま取扱いをしなければならぬということになつているわけです。但し刑事訴訟法の第百條の規定によつて、権限のある者が正当の手続において電信に関する書類の差押えをし、または提出を要求された場合には、これに応ずる義務があるということは当然であります。また公務員といたしまして犯罪の点を知り得たことにつきましては告発の義務があることも、刑事訴訟法におきまして一応義務づけられている次第でございますが、今後他の法律によつてこのような治安を害し、かつまた公序良俗に反するような通信を禁止するということになつた場合に、勢いこの点は現在におきますところの検閲という点によりまして制限を受けるということになろうかと思いますから、それは法律をもつて明定せざるを得なくなると考えております。但し現在電波法におきまして第百七條、百八條におきまして、この公序良俗に反する通信について禁止的に規定を設けましてこれの罰則を設ける。この点は電波法におきましての制限は、当然ただいまでもなし得ることと思つております。
  59. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 そうしますと、その場合はたとえば電報ですが、電報の場合は電波法の規定によつてこれを制限し、扱わないことができると解釈してよろしいわけですか。電報電話ですね。
  60. 吉澤武雄

    吉澤政府委員 これは公衆通信といたしましてはこの法律が適用されますために、やはりただいまのところは扱わざるを得ないことになつております。
  61. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 従来の電信法では、この点はどういうぐあいに規定されておりましたか。
  62. 吉澤武雄

    吉澤政府委員 現行の電信法におきましては第五條におきまして、通信の停止ということを規定しておりまして、「電信又ハ電話二依ル通信ニシテ公安ヲ妨害シ又ハ風俗ヲ壊乱スルモノト認ムルトキハ地方電気通信局二於テ之ヲ停止スルコトヲ得」、こうあるのでございます。これにつきましては実はこの法律においても、同じような停止権を設くべきか設くべからざるかということにつきまして、十分に審議をし調査をいたしましたが、現行憲法の命ずるところ、あるいは通信の秘密を侵害しないという鉄則から見まして、この公衆通信に関する法律としては、勢い現行の点において行かざるを得ないということになつております。
  63. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 その点の解釈が少し違うのですが、たとえば電報もしくは電話の場合は、信書の秘密ということとは少し違うと思う。電報のごとくだれでもが自然に目に触れざるを得ない、あるいは電話のごとくだれでもがこれを聞き得るような状態に置かれるもの、そういうものの信書の秘密ということとは、少し性格が違いはせぬかと思う。従つて従来のきていにあつたうな、そういうように自然と分布される、あるいは人の目につくようなものについては、いわゆる憲法上での信書の秘密というものとは、われわれは性質が違うのじやないかという解釈をしますが、その点どういうぐあいに考えられるか。
  64. 吉澤武雄

    吉澤政府委員 通信の秘密につきましては、ただいまの憲法におきましては二十一條に「検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。」こうあるのでございまして、旧憲法におきましては信書ということだつたように思います。新憲法においては通信という広義の字句を使つておりますけれども、ただいまの御質問のごとき電報電話におきましては、通常の取扱いをし得るのじやないかということは事実でございますが、それは取扱い上自然に知るのでありまして、その点は秘密を侵さない、こう考えております。従つて検閲するということになれば、勢い通信の秘密というものを積極的に侵すということになりまして、検閲及び通信の秘密の侵害を禁止することは、同じような関係におきまして考えなければならぬ、このように考えております。
  65. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 そうしますと、もし惡意あるいは一定行為をもつて電信電話をもつて治安の撹乱とか風俗の壊乱を目的として行つた場合においては、この法律においては郵政大臣がこれを禁止することもできないし、他の法律によつてはこういうことは好ましくないという意味でいろいろな法律があるのですが、他の法律においてはこういうことが自然と広まるとかあるいは宣伝せられることを希望しないという刑法関係法律が多いのですが、それとこれとは抵触する結果になると思いますが、その点についてはどうお考えになりますか。
  66. 吉澤武雄

    吉澤政府委員 電波法におきましては、先ほど御説明申し上げたように罰則をもつて臨んでおります。その他においては遺憾ながら、通信内容が反社会的でありかつまた反良俗的であるといたしましても、どうにも取扱いをしないということはできないのであります。従つて刑法におきましてそのようなことは刑罰的に犯罪が成立する、その意味におきまして犯罪事実として法の適用を受ける、こういうように解釈いたしまして、その方の犯罪の方においての取締りなり刑罰ということにならざるを得ないと思います。
  67. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 その点については時間がかかりますから保留して先へ参ります。  第十一條の翌日配達電報の点ですが、これは従来の規定ではその日に配達されてさしつかえないような規定になつておりますが、今度は必ず翌日でなければならぬように規定が変更されているわけでありますが、これはまあ料金の問題もありましようが、あまりこうしやくし定規にものを考えなくてもいい、従来のように不可能なものは無理して配達する必要はないと思いますが、可能なものは即日配達してもいいように思いますが、その点特別に翌日配達を嚴重に守らせる、こういう考え方はどういう根拠があるかを御説明願いたい。
  68. 田邊正

    田邊(正)政府委員 電信電話サービスは、それぞれの種類によりまして一定しているということが望ましいわけでございますし、また公平という見地から申しましても、そういうふうにいたすべきであろうと思うのであります。翌日配達電報につきましても、ある場合にはその日に配達になり、また別の場合には翌日配達になるということでありますと、サービスの公平という見地から考えまして、やはりこれは妥当を欠くのではないかというふうな考えから、こういうふうに規定いたしたわけであります。
  69. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 次に二十四條の問題ですが、電話加入権の共有を認めておらないようですが、その理由について御説明願いたい。
  70. 吉澤武雄

    吉澤政府委員 電話加入権につきまして共有関係を認めることにつきましてま、いろいろ考えてみたのですけれども、実は取扱い上の不便ということが非常に多いのであります。たとえば共有者のどちらをその電話機の設置場所にするか、あるいは料金責任を一体どららに持つて行くか、その他この取扱い上、あるいは請求に応ずる場合におきまして、非常な煩雑な問題を起しますために、一応原則といたしまして電話加入者は一人に限る、こういうことにいたした次第であります。しかしながら相続等の場合におきまして、二人以上が共同相続するというふうな場合につきましては、これは例外的な措置といたしまして、やはり実情に沿うように共有関係をある程度認めておる次第であります。
  71. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 次に二十五條の第二項に関係あるのですが、二十五條第二項で準法人の加入をやめておりますが、これはいろいろの事情で、法人でない団体を法人に擬制して、電話加入関係を認めるということは、いろいろのめんどうな点が起きるだろうと思うのです。しかしこれがために、たとえば準法人の代表者というものがあるのですが、それが準法人の代表者として加入できない、あるいは加入権を持たないというために、個人の資格で加入権を持つておることになれば、その問題にいろいろの問題が——これは公社側でありませんが、加入者関係でもつて問題が起きるのです。そういう場合を予想されますので、あるいはこの準法人という形式を認めておいた方が、実際上においてはその権利義務の関係においても円満を来すのではなかろうか、こう考えるのですが、今度の場合日においては、逆に準法人の場合はこれを認めないようになつておるようですが、この点についての御説明を願いたい。
  72. 吉澤武雄

    吉澤政府委員 法人でない団体もしくは組合を法人に擬制するということは、実は電話加入関係のみの擬制でありまして、一般法にはこの原則は適用することが困難であります。現在は、実は準法人ということを認めておりましたのですが、その取扱いにおいて非常に困難を感ずるという点があると思います。それは権利義務の関係が非常に不明確で、かつまた複雑であるという点で、取扱いが実際に不適当だということ、かつまたこの準法人を認めたくても、加入電話の無償他人使用ということが認められていますために、その方で一応の目的が達せられるのじやないか、こういうように考えて、今回は準法人というものを認めないことにいたした次第でございます。しかしながらこの準法人の名義によりますところの加入は認めないが、その代表者個人が加入電話について加入をいたしました場合においては、準法人の事務所とかあるいは準法人の従事員の住宅とかという、実際に準法人であると同じような電話の利用の條件を満足するように、この二十五條の二項は扱つておりますために、さして実際の不便はないものと、こういうふうに考えるわけであります。
  73. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 公社側の扱いの方からいえばそういうことになるのですが、一方加入者側の方からいえば、準法人のものが代表者の名前を使つて、準法人の方からこの費用を出して加入した場合、その場合においてそれが個人名義になつておるということになると、あとでもつていろいろな問題が起きる場合が非常に多いのです。そういう場合が非常に起きて来るのですが、その点についての御研究といいますか、お考えになつたことがあるかどうかという点を、ひとつ御意見を聞きたい。
  74. 吉澤武雄

    吉澤政府委員 たとえば準法人の代表者でありますのが、代表者がかわつたとしますと、ただいまのところでは名義変更ができない場合の電話でありましても、その代表者について新代表者——従来の設置場所そのままであらためて加入申込みをするという場合には特に便宜な扱いをいたしたい、こう考えております。その一例といたしましては、設備費負担臨時措置法の適用ということにつきましても、この支払いもしくは債券の引受はいらないというように特別の便法を講ずるようにいたしまして、不便をなくした取扱いをいたすように考えております。
  75. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 一応その点はその程度にいたしまして、次に第二十七條で加入申込みの諾否を決定する際に、電話架設後に予想される通話数の多寡によつて加入電話の種類を変更して承諾しまた承諾しないことになつておるようだが、どうも加入者側の利益が阻害されるように思うのですが、この点についての当局のお教えを願いたい。
  76. 田邊正

    田邊(正)政府委員 かようにいたしました理由は、現在電話の架設を希望する人が非常に多いわけでございまして、一方それを充足するところの設備は非常に足りないわけでございます。また予算におきましても、なかなか十分獲得することが困難でございます。従いましてわれわれといたしましては、ある一定の予算あるいは設備をできるだけ多数の人に利用していただくという方針で、電話の増設を行つておるわけでございます。そういう意味から、たとえば加入申込者の通話が一日に二回とかあるいは三回というふうな程度に予想されます場合には、二人でひとつ共同で加入してもらう、あるいはまた逆に申しますと、たとえば非常に一日の通話数が多いという場合でありますと、それを共同にいたしますれば話中が多くて、その加入者ばかりでなしに、かえつて全体の通話の率が下つて参るということであります。そのような意味から、一つにはできるだけ一定の予算あるいは設備を使つて一つでも多く電話をつけるというようなこと、それから電話通話全体の率をよくして参る、そういう二面からこういうふうな規定をいたしたわけでございます。
  77. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 この規定は既設の加入者には適用されないと思うのですが、この点についての御説明を願いたい。
  78. 吉澤武雄

    吉澤政府委員 この規定は新規の加入申込みに対する規定でございます。なお旧加入につきまして、このようなことについて変更権を認めるかということにつきましては、現在設備費負担法がございまして、加入電話の設置の場所を変更するということになりますと、負担金の差額が生ずるために、その方の関係から実際上できなくなつて来る実情でございます。
  79. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 これがもし既設加入者が当局の勧説によつて乙なら乙、共同なら共同を承諾する、こういう場合についてはもちろんこの規定はなくともできると思いますが、この点についての御説明を願いたいと思います。
  80. 田邊正

    田邊(正)政府委員 大体既設の電話を利用して共同加入をしたいという場合におきましては、共同加入をしたいという人が、既設の加入者と話合いをしまして、そうしてその承諾を得まして共同加入の申請をするということになつておるわけであります。なお既設の電話につきましても、單独電話におきまして、非常に通話数が少い場合に、それを一方的に共同電話にするということも、これは考えられないわけではございませんけれども加入者の既得権というような点から考えますと、それは現在においてはきわめて、不穏当であるという考えから、そういうことはいたさないわけであります。
  81. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 次に第三十三條の「加入者は、公社が定める條件に従い、その加入電話について、転換器により加入電話電話回線に接続する電話機その他の附属機器であつて公社が定めるものの設置を請求することができる。」こういうような規定は、加入者はもちろん設置を請求するのですが、この場合に公社だけが施工ができると解釈するのか、あるいは他の民間業者においてもこの工事ができ得るのか、その点についての御説明を願いたいと思います。
  82. 田邊正

    田邊(正)政府委員 三十三條は、これは公社が直営するという建前でございます。ただ実際の工事になりますれば、あるいは民間の人に工事をやつてもらう場合もあるのでございますが、これはやは公社の直営でありまして、加入者の手において設置し、あるいは保存するということは考えておらないわけでございます。
  83. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 公社が忙いときには、他の民間業者にこれを委託する場合もあり得るという御説明は、直営でなくちやならぬという規定はもちろんこれにはないわけですから、従つてそういうことも可能だと思いますが、そういうようなことを考えられるならば、これはいつそこういうことについても、民間業者に開放するという積極的な考えの方が妥当なように思うのですが、その点についての将来の見通しについては、どういうふうにお考えになつておられますか。
  84. 田邊正

    田邊(正)政府委員 この三十三條は主として乙種増設電話機の問題でございますが、先般来PBXの問題につきまして、加入者の自営を認めるか、認めないかという点につきまして、いろいろ研究したわけでございます。その際に同時にいわゆる乙種増設電話につきましても、加入者の直営を認めるかということにつきまして研究したわけでございますが、PBXにつきましては、結論といたしまして、この法案にもございますように、加入者による設置及び保存を認めることにいたしたわけでありますが、乙種増設電話につきましては、これはやはり公社において直営するという建前をとることにいたしました。その理由は、これはやはり公社事業として公社事業をやつて参ります場合に、力の足りない部分あるいはまた民間の業者の民間の工事力の培養と申しますか、そういう点から必ずしも公社が全部、端から端までやらなければならぬというふうには考えておらないのでありますが、この乙種増設電話機につきましては、現在電気通信省におきましてやることができる範囲でございますし、それからまた収入の点を考えましても、やはりこれは公社でもつて直営するというふうにいたした方がよろしいという結論でございます。従つてPBXとは逆な結論になつたわけでございます。将来におきましても、乙種増設電話機につきましては、公社がこれを直営して行く。加入者による設置並びに保存は認めて行かないという方針でございます。
  85. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 この点われわれの考えと違うのですが、私はこう考えておるのです。電通公社は要するに電信電話の維持運営といいますか、運営の方が主であり、収入もそこから求めるべきであつて、工事費によつて収入を得ておるとはわれわれは考えておらなかつたのです。工事によつてもうけて、それが経営の一部に足しておつたとは、実は従来は考えておらなかつたのです。ところが最近こうした問題について質疑を続行しておると、従来電気通信省は、その工事設備においても利益を上げておつた、こういうことがこの間の参考人の久保君からの意見からも明瞭になつたのでありますが、われわれとしての考え方は、直営の場合は別ですけれども、今度の場合は公社はできるだけ運用の面で、いわゆる電信電話料金の面で経営を行うべきであつて、ただ万一の場合に備えての技術水準を保つ意味において、ある程度の工事設備を行うことは当然ですけれども、その面からの収入を期待して公社の経営はなすべきではなくて、あくまでも電信電話料金の収入を原則にしてわれわれは考えて行くことの方が合理的だ。法律的にはもちろんそういう方面からも収入があつても何らさしつかえないわけですけれども原則としては電信電話料金の収入によつて、そこで公社なりあるいは電通省の電気通信事業の経営が行れるべきものである。そうでなければさような施設によつて利益を得て、それが一部の経営にまわされるというようなことになる。だから別な名前で資本金を集めて、そうして公社がさようなことをやるという、非常に国家機関の名においての搾取という結果になつておるのです。そういうことが結局電信電話というものを電話会社にやらしたら、そういう工事費はとらないのだ、大体外国の国々における電信電話会社というものは、施設費に対しては一文の費用もとつておらない、電話機に対してわずかの使用料をとるだけである、料金はとつておらない、そうして通話料とか電信料においてその経営を行つている。こういう建前で各国の場合においては行われているのです。われわれも従来はそういうふうに解釈しておつた。この設備費というものは大体においてかかるからそれだけの設備をもらうのであつて、それから黒字を出しているとは考えておらなかつたのですが、せんだつての参考人の意見では、こういう点からも相当の黒字を得ているような御答弁が出ておつたのですが、はなはだその点についてわれわれ遺憾に思つているのです。従つて少くとも施設関係については、常に実費主義で行くという建前でなければならぬし、それが收入の一面に数えられるという考え方であつては、はなはだ遺憾であるというようにわれわれは考えているのです。その意味において将来ともにこれが改訂を行わない方針だということについては、私たちは賛成ができません。あくまでも公社の運営は電信電話料金の収入をもつて原則とする、その施設については実費主義で行くべきである。こういうぐあいに考ているのですが、その点についての御説明が願いたい。
  86. 田邊正

    田邊(正)政府委員 ただいま私収入にも影響があると申し上げましたのは、それは工事によつて収入を得ているという意味ではございません。現在PBXにおきましては電話機の付加使用料が、こちらで維持いたします場合と加入者が維持する場合と建つておるわけでございます。それでかりに電話をもし加入者に直営を認めますと、これはPBXの付加使用料について区別をしておると同じように、その維持料についてある程度の区別をしなければならない。そういたしますと、やはりそれは収入面にも響いて来るという意味で申し上げたわけであります。工事につきましては、やはりこれは実費というのが建前でございまして、工事によつて利益を上げて行こうというふうなことはないわけでございます。その点、先ほども私のお答えが不十分でございますので、つけ加えて申し上げておきたいと思います。  ただいまのお話もわれわれ了解できます点もございますが、しかしわれわれといたしましては、やはり公社というものの性質から考えまして、公社ができる範囲のことは、やはり公社がすべきではないかというふうにわれわれは考えておるわけであります。ただ公社が力が足りない場合におきましては、これはやはりある程度加入者の方の直営を認めませんと、非常に迷惑をかけますので、そういう点は加入者において直営を認めて行く。この増設の点につきましては、現在加入者の希望があります場合に、あまり時間もとらずに、大体われわれの方におきまして増設の要望に応ずることができるのでありまして、加入者の直営を認めるということは、公社の営業の方針と申しましようか、そういう点から考えましても、これはやはり妥当ではないかというふうに考えておるわけであります。
  87. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 この点については、なおわれわれとして意見の食い違いがあるようでありますが、時間もありませんから、特にこの点については将来もつと御研究願つて、要するに加入電話——これは増設電話も同様ですが、そういうものが増加するということが、結局は電気通信事業の收入を増すことになるのでありますからして、そういう方面に考えを置けば、この点についての考え方はかわつて来るだろうと思うのです。将来あらためて再度御研究を願いたい。  第三十四條ですが、この場合の設備が消滅したときは「公社の予算の範囲内において、すみやかに、これを修理し、又は復旧しなければならない。」こういう規定でございます。この場合は、普通の場合はこういうことで大体済むでしようが、しかもこれは公社の予算の範囲内ということでありますから、せつかく與えられた権利が、予算の範囲内でもつてこれの復旧ができないということもあらかじめ予想しておいて、そこで加入者の権利を制限しておるわけですが、こういうものでは加入権というものを認め、公社が一応形式は公共企業体であるが、一種の民営的な運営をするという意味合いにおいてはこういう、予算の範囲内においてというような制限的文字を用いて、復旧についての責任をある意味においては免れようとする考え方は、根本的にわれわれは間違いであると思うのです。その場合においてはあらゆる方法で、たとえば公債なりあるいは一時借入金なりの方法をもつてしても、そういう加入権者の一日も早い復旧を行うことが当然でありますから、ある意味においては、この公社の予算の範囲内においてという字句を創ることが適当だと思つております。それともう一つは、この場合に災害あるいは戰災のようなものによつて災害を受けた場合、それを復旧する義務を公社はこのままでは当然に負つておるようでありますが、そういう場合に対しては、特に国がそういう災害の復旧についての特定の援助を與えられるということを考えてはおらないようですが、そういう大災害に対しての復旧に関する義務というものは、どの程度までを公社は考えておられるか、あるいはそういう場合においては、特定の措置を政府が行うべきだと考えておられるのかどうか、この点についての御説明を願いたいと思います。
  88. 吉澤武雄

    吉澤政府委員 三十四條の第一項の趣旨といたしまして、おつしやるように公社加入者電話についてすみやかに責任を負うという、むしろ公社の義務づけを考えてこのように規定した次第でございます。しかし公社の予算の範囲内ということについては、あまりにこの範囲ばかりが限定し過ぎはしないかというお説なのであります。実はこの電話の復旧なりあるいは修理につきましては、資金、資材というものは、おのずから限度があるということでございまして、公社になりまして、一応この公社の予算、資金というものは限度があろうかと思うのでございます。もちろんこの公社の当事者にいたしましては、できるだけかような場合におきましても、より多い予算をとることの努力はいたしますが、そういうような意味における予算の範囲内ということは、限定されたものではございません。もちろん予算の範囲内におきましても、流用可能なところはできるだけ流用いたしまして、この電話の復旧なり修理を認めるということが当然であろうと考えますが、やはり予算というものは、一番役務の提供の基本になるという意味から、その点はむしろ予算というものに縛られる場合は、これはできるだけ縛られないように努力いたしますが、その額の限度以上に越える場合は、やむを得ないからがまんしていただく、こういうような意味のことを規定した次第でございます。  なお大震災とか大災害というものが起つた場合において、とうていこれでは、公社をもつて、ただちに復旧ができない場合が想像されるのでありますが、そのような場合におきましては、別に特定の立法措置を講ずる必要があろうかと思います。もしもそういう立法措置を講ずることが必要ならば、あくまでこの三十四條をもちまして、すみやかにやるという義務を履行いたしたい、こう考えております。
  89. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 この前者の問題の方は、予算の範囲内においてということは、大いに好意的に解釈しておきたいと思います。後者の大災害のあつた場合における特別立法の場合も起きようかというお話ですが、従来こういう問題については、特にこういうことをやつておらなかつたようですが、たとえば鳥取の災害についても、そういう場合にただこの説明の上では、特別立法を云々と言つておりますが、従来こういう問題について、特に特別立法なり、特別財政的措置をした例があるかどうか、この点をお聞きしておきたい。
  90. 田邊正

    田邊(正)政府委員 私どもの記憶では、今日まで特別立法をした記憶はございません。ただ災害につきましては、相当大規模な場合におきましては、補正予算あるいは追加予算を組みまして、そうして予算をふやして参つておるということはございます。
  91. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 それはそういう場合においてのう算の増加や、あるいは公債の発行云々は、これは公社責任において行うのでありますが、私の言つているのはそうじやなくして、たとえば公共事業の災害復旧などの場合においては、政府はこれに対して相当の金額を補助金の形式で出しておる。それら特別の災害、そういう場合においてはそういうことが考えられてもいいのじやなかろうか。こうわれわれは考えるのですが、そういうことを当局においてはお考えになつたことがあるかどうか。あるいは将来においてそういう必要があるかどうか、そのお考えをお聞きいたしたい。
  92. 田邊正

    田邊(正)政府委員 今日まで風水害によりまして、毎年相当の被害をこうむつてつたのでありますが、その復旧の金も十億あるいは十五億というふうな年もあつたように記憶いたしておるのであります。そういう今までのようなこの程度範囲におきましては、これはやはり公社で背負つて参るというのが適当だろうと考えるのであります。ただこれがたとえば非常な広い地域にわたりまして大地震があつた。そうしてそれを復旧いたしますのに、数十億あるいは数百億を要するという場合におきましては、これはもう公社の財政上当然負担することができないわけでございまして、そういう場合におきましてはやはりこれは特別立法なりによつて、これは公社の負担でなしに、その跡始末をして参るということが必要な場合もあろうかと考えております。
  93. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 その点、大臣もいないから無理もないと思うのですが、もう少しこの問題は根本的にお考えおき願いたい。というのは、この電信電話事業というものが、民間事業に移すべきか、移さないかということにも関連して来るのですが、もしこういうものが狭義の公共事業である、従つて大臣の説明にあつたように、民間会社に移すべきでないと言つて公共企業体になつたのですが、そういうふうに狭義の公共的な施設であり、公共的な福祉をもつておるものだ、こういう前提に立てば、そういうような大規模の天災的な災害に対しては、当然岡がある程度の補助あるいは助成をすることが建前になると思うのであります。ところが従来の電気通信事業においては、そういうことをやつておらない。たとえば戰災によつてこれだけの電話が失われても、なおかついわゆる政府の助成というものは借入金程度、利子をつけた借入金はやつてつたと思いますが、そういう積極的な対策をとつておらない。そこに私は考え方が根本的に違つておるのではないか。いやしくもそれが公共事業で、民間に移すべき性質のものでないという観点に立つならば、あたかも公共事業が災害復旧費を政府、国家の助成を受けると同様に、そういう特別の災害に対しては特殊な措置を請求する権利があると思う。公社としては、従来の場合は国営ですが、そういう点について一貫した考え方がないということからして、そういうような性格がどの法律の上においても、この條文においても現われて来ておらないと思うのでありますが、当局においてはこれら公共事業というものに対する、あるいは国営事業というものに対する観念が不明確だからそういう結果になるのだ、こう思うのですが、それは事務当局にお聞きしても無理でありますから、いずれ国務大臣にその点については質疑をいたしたいと思います。  時間もありませんから四時までやつて、一応あとの残りは明日に質疑を続行いたしますが、最近の加入電話に対して移転もしくは譲渡が禁止されておるわけであります。この問題はいろいろな事情があると思いますけれども、少くとも電話の利用を円滑ならしめるという意味からいえば、どうもはなはだ不便なものだと思うのです。これは近い将来において新設電話の移転及び譲渡については自由にした方が、かえつて電話の運営において能率的ではないか。こういうふうに考えるのですが、この点当局の御説明を願いたい。
  94. 田邊正

    田邊(正)政府委員 いわゆる新電話の譲渡を認めるか、認めないかという問題でございますが、私どもは将来いつまでも電話につきまして、譲渡を認めないという方がよろしいというふうに考えておるわけであります。その理由といたしまして第一は、電話というものはやはりこれはある特定の人との契約でありまして、特定の甲なら甲という人に対して電話サービスを提供するという契約であります。従つてその場合にその契約によつて生じた権利を第三者に移転することができるかどうかということは、それはサービスを提供する側においてきめてよろしいことではないかというふうに考えるわけであります。ただこれはむろん何か利用者の立場を全然考えないという意味ではございませんで、電話の移転を認めますと、やはりいろいろな弊害が出て来るというわけであります。まず第一の点におきまして、現在御承知のように、電話の架設につきましては優先受理纂準というものを定めまして、これにより順位をつけて電話をつけておるわけであります。従つてもし新しい電話につきまして讓渡を認めますと、現在やつておりますこの優先受理基準と矛盾するわけであります。第二といたしましては電話の譲渡を受けますと、現在の状況におきましてはやはりここに市価が出て参ります。そうして投機的な申込みというか、電話によつてある程度の利益を得ようというような、そういう考えを持つた人の申込みというものもある程度予想されるわけであります。次には電話の譲渡を認めますと、電話移転の工事が多くなつて来るわけでありまして、このために電話の新設工事の方に使われる経費が、そちらにまわるというようなことにもなるわけであります。それからその次には、現在のようにやはり市価を生じております現状におきましては、電話を三万円、あるいは二万円でもつて架設できた人は、それを譲渡いたします場合に相当の値で売れるという、いわば一種の利得を生ずるわけでありまして、それは好ましいことではないというふうに考えるわけであります。以上のような理由から新しい電話につきましては、電話の譲渡を認めないということを方針として参りたいと思つております。なお将来電話が非常にふえまして、電話の市価が全然なくなつてしまつた場合におきましては、電話の譲渡を認めるか認めないかという問題は多く議論の必要がないわけでございまして、少くとも現在当分の間、電話の架設が十分でない現状におきましては、やはり新しい電話につきましては、讓渡を認めて行くべきでないという方針をとつて参りたいと考えておるわけであります。
  95. 石川金次郎

    石川委員 関連して……。三十四條で橋本委員から今いろいろ詳細に質問がございましたが、公社の予算の範囲内において当然復旧義務を公社が認めておるのでありますが、結局これは金がなければやらないという條文になるのであります。金がなければやらないという公社の方では責任限度を定めたのでありますから、加入者の方に対しては、電話利用者の方に対しては、これに相対応する何か利益がありましようか。自分がつくらないならば、まずもつて人をつぶさないことを予定しなければなりません。自分が努めないで、利用者にのみ要求するということは、公社事業性質上どういうものでしよう。世間一般の條理からいつてもどうか。三十四條で公社責任限度をきめた。それではこれに対応する加入者の利益はどうなるか。
  96. 吉澤武雄

    吉澤政府委員 その場合に加入者の利益につきましては実は予想される次第でありますが、その間におきましては電話の例をとれば、電話は使えない、電話の休止状態ということにしまして料金をとらない。加入権はあくまで保持するということにしまして、実損額の点は実は補償ができませんが、権利なりあるいは料金を納めないことを免除するということは考えておる次第であります。
  97. 石川金次郎

    石川委員 では七十七條を見て参りますと、料金の支払いを怠りました者は日歩四銭をとる。利用者の方でも非常に困つて金が払えないということはありましよう。ありましても、違約した場合には日歩四銭をとる、こういつておる。金がない場合はどつちでも同じで、困ることがあるかもしれない。片方では電話がこわれても修繕してくれない。片方では一生懸命利用して何十年の間料金を払つたけれども、一時不況に陷つたら日歩四銭をとる。こういうのは、二つの法案を比べてみまして、これは條理に相反しない法條でありましようか。私の聞きますのは、法律というものはやはり情理に従つて行かなければならぬが、こういうようなものをおこしらえになるのに、あなた方は金がないから義務が果せないという、片方は金がなくて払えなくても利息をとる。その上さらに強制執行になるてしよう。そういうことになつて来るのでありますが、公社のお考えを聞きたい。
  98. 田邊正

    田邊(正)政府委員 三十四條第一項の趣旨は、公社がこの條文によりまして復旧あるいは修理の義務を免れて行きたいというふうな意味では決してございませんで、むしろ良心的と申しましようか、仕事をして参りますに予算と無関係仕事はできないわけでございまして、やはり予算の範囲内においてはできるだけやりなさいというふうな、むしろ公社に対する一種の義務と申しましようか、そういうふうなつもりで規定したわけでございます。ただこの文章を読んで参りますと、ただいまお話のございましたように、公社がこれによつて責任を免れるというふうに読めないことはございませんけれども、書きました趣旨はそうではございませんでして、予算のある限り、ともかく早く復旧しなさいというふうに、むしろ公社を縛るような気持でこれは書いたのであります。それから一方、お話の料金の滯納の場合でございますが、この場合も実は滯納につきまして、割増料金をとらずに行つたらどうかということでございますが、これはやはり公社一つの商売でございますので、料金の滯納の場合におきましては、利子も頂戴するというふうにいたしておるわけであります。ただ全体の考え方といたしましては、先ほど問題になりました損害賠償の問題、それから料金返還の問題、そういう点につきまして、この滯納の場合の利子を加えるという問題とも関連いたして考えたわけでございまして、とにかくわれわれの方でサービスの提供を欠いた点については、やはり料金はお返ししよう、またある程度損害賠償もしよう、しかし同時に、われわれの方で利用者からいただくものはやはりきちんといただこうではないかというふうな考え方でございまして、決して公社だけの立場に立つてこれを考えたわけではございません。
  99. 石川金次郎

    石川委員 電話でありますと、五日間通話しなければ損害料金も返すのでありますが、四日間の場合にはやらない、料金をとることになりませんか。四日通話しなくても賠償もしないし料金も払いもどししないし、滞つたものに対しては四銭の日歩を払う、こうなりはしませんか。
  100. 田邊正

    田邊(正)政府委員 料金の返還につきましては、第七十六條第一項の第四号でございます。この場合におきましては、引続き二日以上その加入電話によつて通話をすることができなかつたときは、その旨を電話取扱局に通知した日以後の通話することができなかつた日数に対応する電話使用料と、これに附加して支払うべき料金、これを返還することになつておるのでありまして、二日以上通話できなかつた場合におきましては、話ができなかつた間の料金はお返しすることになつておるわけでございます。
  101. 石川金次郎

    石川委員 一体四銭というのは損害金になるでしようが、これはやむを得ない場合には、免除の規定など考えなかつたのですか。どの法文に現われて来るのですか、あるいは実際の取扱い上はこうなるのだということですか。
  102. 吉澤武雄

    吉澤政府委員 実は国税滯納処分の例で、現行法で行きますと、これが日歩八銭になつております。それではあまりにひどいので、大体利息制限法の限度もございますし、特に督促などすると手数がかかるというので、四銭に実はいたしたわけでございます。実際の扱いにつきましては、これは実情に即応するように、苛酷な扱いということは考えておりませんが、営業規則の方で十分に実情に沿うように考えて行きたいと思います。
  103. 高塩三郎

    高塩委員長代理 本日はこの程度にとどめ、次会は明二十六日午前十時より開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時八分散会