○
加藤(充)
委員 共産党は
原案並びにその
修正案に反対いたします。以下簡單にその
理由を申し述べます。
航空、
航海の安全というようなことを
目的にしておる、こういうのでありまするが、
航空、
航海の
実態を明らかにしなければ、抽象的にその安全だとか、その能率だとか、その
運営だとかいうことを問題にしてみても、それは無意味であるばかりでなく、とんでもない間違いであるということを指摘しなければならないと思います。しかも今申し上げましたように、抽象的に
航空、
航海の安全というようなことを
理由に、本
改正案を出しておる意図は、まさしくこれはごまかしであります。わが党はサンフランシスコ両條約
並びにそれに基く
行政協定というようなものが、まつたく
売国性、
戰争性、
従つてまたその結果は、
国民の
生活、
民族の生存というものまでも破壊し、破滅する恐るべきものである。だからこれに反対しなければならないということを主張し続けて参
つたのであります。今日その正しさが全
国民の間にますますはつきりとして参りました。このことは放言ではありません。与党たる
自由党の内部にすら、
漁業協定その他の問題について、まさしくその
通りに反映しているものであるということをここに一言せざるを得ないのであります。このことについては、わが党や一部の者が言うだけではなくして、毎日の
商業新聞にさえ、その
本質、その事態はますます明瞭にな
つて来ているのであります。
国際民間航空條約、こういうようなものは、右の條約に基くものでありまして、結局
アメリカ侵略者とその傀儡と成り果てた
政府のもとでは、こういうような條約は
日本のためというよりも、しかもまた
日本の平和と自由と、
日本の
生活のためというよりも、
米空軍に奉仕するとともに、
日本空軍再建の地ならしを
目的としたものであることも明瞭であります。また
海上における人員の安全のためという一九四八年の
国際條約自体も、現にその條約が締結された
国際語情勢のもとにおきましては、
アメリカが結局において太平洋、大西洋の
海上を支配し、そのために
沿岸船舶その他一切の
施設等々から情報を提供さし、
アメリカの
海空軍ないしは陸軍の安全のためにサービスせしめるという性格と
本質を持つたものであることも明瞭であります。
翻つて日本の
国内の
事情を見ても、現在多くの
無線局が
ほんとうに
日本のために、
日本国民のためにおおらかな使用、
運営というものが許されておるかどうか、答えは反対でありまして、依佐美の
無電局を初めといたしまして、
アメリカ占領軍——これは
駐留軍と名をかえても
実態は同じでありますが、この
アメリカのために、同時に、その一部に繰入れられました
日本の
海上保安隊あるいは
警察予備隊、すなわちいよいよ最近では明らかな再
軍備のために一歩を踏み出しました
保安隊のように、
日本の再
軍備のために
運営され、利用されておることも明らかである。私は特にこの際
電波監理委員会に
電波の利用ということについて、
一言警告を発したいと思うのであります。すなわちVOAや
韓国向け放送などは、
アメリカの
日本、朝鮮、中国、アジアに対する直接、間接の
侵略に奉仕しており、
放送局は少しでもそれの方向に反するもの、すなわち平和的、民主的な
放送はやめさしておる。現に日曜
娯楽版というようなものは、これはごく軽微な一
部分的なものでありまするが、あの
娯楽版の廃止というようなところに、この
本質を文字
通り露呈しておると思うのであります。しかも半面におきましては、
日本の
民族の解放と、
日本の
ほんとうの平和に役立つ、そういう
目的をも
つて運営されるものに対しては、
自由日本放送のごときものに対しては、ひたすらこれを犯罪視して、
監視所などを設けて取締る。まつたくこれは本末転倒もはなけだしいものであ
つて、残念ながら
吉田政府の
アメリカ占領軍に対する文字
通りの
忠犬ぶりを私はここに見届けざるを得ないと思うのであります。本
法案、すなわち
電波法の一部を
改正することのねらいも、結局以上申し上げましたような
目的とその
運営のために、一段と進んで全面的にそれを合法化し、さらにそれを躍進させるものでありまして、私どもはこのような
改正には絶対に
賛成するわけに行かないばかりでなく、一日も早く、こういうような
売国性と
戰争性の明らかな
電波法の
改正でなく、新しい
電波法の
制定をや
つてこそ、
日本の
再建と、
ほんとうの
電波の
運営がなされ得るものであるということを指摘いたします。