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1952-06-13 第13回国会 衆議院 電気通信委員会 第37号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
二十七年六月十三日(金曜日) 午後一時五十七分
開議
出席委員
委員長
田中
重彌君
理事
井手
光治
君
理事
高塩
三郎
君
理事
橋本登美三郎
君
理事
長谷川四郎
君
理事
松井 政吉君 岡西 明貞君
加藤隆太郎
君 庄司 一郎君 關内 正一君 福永 一臣君
椎熊
三郎
君
石川金次郎
君
出席国務大臣
電気通信大臣
佐藤 榮作君
出席政府委員
電気通信監
山下知二郎
君
電気通信事務官
(
業務局長
)
田邊
正君
委員外
の
出席者
電気通信事務次
官 靱 勉君
電気通信事務官
(
業務局周知調
査部長) 吉澤 武雄君 専 門 員 吉田
弘苗
君 専 門 員 中村 寅市君 六月十三日
理事關内正
一君の
補欠
として
井手光治
君が
理事
に当選した。 —
——
——
——
——
——
——
本日の会議に付した事件
理事互選
有線電気通信法案
(
内閣提出
第二四五号)
公衆電気通信法案
(
内閣提出
第二四六号) —
——
——
——
——
——
——
田中重彌
1
○
田中委員長
これより開会いたします。 この際お諮りをいたします。
理事關内正
一君より
理事
を辞任いたしたい旨の申出があります。これを許可するに御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
田中重彌
2
○
田中委員長
御
異議
なしと認めまして辞任を許可することに決しました。 なおお諮りをいたします。
理事
の
補欠選任
につきましては、
委員長
に御一任願いたいと思いますが、御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
田中重彌
3
○
田中委員長
御
異議
がなければ、その
補欠
として
井手光治
君を
理事
に指名いたします。 —
——
——
——
——
——
——
田中重彌
4
○
田中委員長
この際
公衆電気通信法案
を議題とし、その
補足説明
を求めます。
田邊政府委員
。
田邊正
5
○
田邊
(正)
政府委員
公衆電気通信法案
につきまして主要な
事項
を御
説明
いたします。 まず第一章は
総則
であります。
総則
に
規定
してございますのは、
目的
と定義がその第
一條
と第
二條
にございます。第三條におきましては
利用
の公平ということが
規定
してございます。第四條が検閲の禁止でございます。第
五條
が秘密の
確保
でございますが、この三條、四條、
五條
は
通信
の
サービス
の仕方を公平にするということと、それから
通信
の自由と申しますか、今日までありました
制限
を
解除
いたしまして、
通信
の自由を保障するという
趣旨
から
規定
したのでございます。なおごの関係において問題になりますのは、現在
電信法
におきまして
規定
しておりますところの
通信
の
制限
に関する
規定
、それが
電信法
の改正によりましてなくなるわけでありますが、そのおもなものを申し上げますと、第一は
公安保持
のために地域を定めて行う
通信
の
停止
または
制限
に関すること、それから公序良俗に反しまする
通信
の
停止
ということ、そういう
事項
でございます。これは新しい憲法の
趣旨
に沿いまして
通信
というものに対して
制限
を加えることは妥当ではないという
考え
から、こういうものは
電信法
の
廃止
によ
つて
なくなるものといたしたわけであります。なおそのほかに現在
電信電話
をや
つて
参ります上に、いろいろな
特権
的な
規定
がございます。たとえば
配達人
が宅地、田畑を通行する場合にいろいろな
特権
がある。
鉄道用地
、
停車場等
の
建物
の
利用
の面とか、
電信電話専用物件
に対する差押え及び課税の免除とか、そういう
事業保護
の
特権
がございますが、こういうものはこの
法律
においては
規定
いたしません。
従つて電信法
の
廃止
によ
つて
こういう
特権
はなくなるわけであります。 次に第六條は、
利用
の
制限
及び
業務
の
停止
を
規定
しております。これは
天災
、
事変
その他の
非常事態
が発生した場合、その他特にやむを得ない場合におきまして、重要な
通信
を
確保
するために必要がありますときは、
郵政大臣
の
認可
を受けて定める
基準
に従いまして、
公衆電気通信サービス
の一部を提供せず、または
公衆電気通信業務
の一部を
停止
することができる。たとえばこういうような場合におきましては至急
電報
でなければ
受付
けない、あるいはある局において
取扱い
を一時やめるというようなことでございます。 その次の第
七條
は、
公衆電気通信業務
の
委託
を
規定
しております。これは現在も地方におきましては
郵便局
に
委託
をしておりますし、
国有鉄道
、私設の
鉄道
に
電報
の
受付
の
事務
を
委託
しておりますが、そういうものを整理してここに
規定
いたしますとともに、それ以外に
電報
の
受付
あるいは
通話
について、
窓口機関
をできるだけ広くしようという
趣旨
から、列挙してあるような場合におきまして、
公社
が
公衆電気通信業務
の一部を
公社
以外のものに
委託
することができるということを
規定
したわけでございます。 第九條は、
国際電気通信業務
に関しまして、條約に別段の定めがありますときは、その
規定
によるということにいたしました。
国際電気通信業務
につきましては、條約
並び
に條約に基く
協定
がございますので、條約または
協定
に定められた
事項
は、この
法律
によらないで、仕事をして参ります。 なお
大臣
の提案の御
説明
にもございましたように、
国際電信電話会社
が設立された場合におきましては、第
一條
に
日本電信電話公社
とありますが、
日本電信電話公社
のほかに
国際電信電話会社
が加わるわけでございます。なお第三條、第四條、第
五條等
はすべて
会社
にも適用になるわけでございますが、その点はただいま取運んでおります
施行規則
できめることにしてございます。 次は第二章の
電報
でございますが、
電報
は現在の
取扱い方法
、
制度
とほとんど
変更
はございません。ただ違いますのは、現在
電報
の
種類
に官報、局報、私報という
種類
がございますが、これを
廃止
いたしたことでございます。 なお第二章以下の
電報
あるいは
電話サービス
につきましては、現在は大
部分
が
電報規則
あるいは
電話規則
というような
規則
によ
つて
定められておるわけであります。そういう
サービス
のうち重要なものにつきましては、
法律
においてその
内容
を確定いたしておるわけであります。
従つて
この
電報
または
電話
の章に
規定
しております
サービス
のほかに、いろいろな付属的な
サービス
があるのでありますが、それは
公社営業規則
で定めるということになるわけであります。
電報
の章は十
一條
から二十
一條
でございますが、今申し上げましたように、現在の
制度
とほとんどかわ
つて
おりませんので、
説明
は省略いたします。 次は第三章
電話
でございますが、第二十
二條
は
電話
の
種類
を
はつ
きりいた正したわけであります。
電話
は
加入電話
と
公衆電話
の二種になるということが二十
二條
にございます。 第二十三條は
加入電話
の
種類
を定めておるのでございまして、現在とかわりましたのは、現在は
加入電話
は
単独電話
と
共同電話
の二
種類
だけでありましたが、今度はここに
構内交換電話
というのを加えました。これは現在いわゆる
PBX
といわれておるものでありまして現在の
制度
ではこれは
甲種増設電話機
ということにな
つて
おります。それを
構内交換電話
といたしまして、
加入電話
の
種類
に加えたのが二十三條でございます。 第二十四條は
加入契約
でありますが、
加入契約
の相手方は一入に限るということを
はつ
きり
規定
いたしております。これも現在そういうことにな
つて
おるわけでありますが、
法律
によ
つて
はつ
きりいたしたわけであります。 第二十
五條
は
加入電話
の
電話機等
の
設置場所
でございますが、これは現在とかわ
つて
おりません。 第二十六條の
加入区域
、これも現在と同様でございます。 第二十
七條
は
加入申込み
の承諾でございますが、これも実際の
取扱い
は現在とかわ
つて
ないわけでありますが、ただ二十
七條
の二項に、「
公社
の予算の範囲内においては、前項に
規定
する
加入申込
の全部を承諾することができないときは、
郵政大臣
の
認可
を受けて定める
基準
に従い、
公共
の
利益
のため必要な
加入電話
に係る
加入申込
を優先的に承諾しなければならない。」ということを
規定
しておるわけでありますが、これは現在実行いたしております
優先受理制度
を
法律
に書いたわけであります。 第二十
八條
は
公社
が
加入申込み
を承諾しないことができる場合を
規定
したわけであります。 第二十九條は現在実行しておりません
制度
であります。この二十九條の大体の
趣旨
を申し上げますと、
普通加入区域外
の
加入電話
をつけてもらいたいという希望がありました場合には、
加入区域外
の
線路
をつくるのに実際必要な実費を負担してもらうわけでありますが、その
あと
でまたその
線路
を
利用
して
加入電話
をほしいという人が出て参りました場合には、
あと
から出た人からもまた金をもらう。そうして前の人に返してやるという
制度
でございます。たとえばもしも二人で入りまして二人で三万円出した。一人一万五千円出すわけであります。ところがその
あと
でまた一人入
つて
来た場合には、三万円を三で
割つて
一万円になりますから、最初に一万五千円ずつ出した人に対して五千円ずつ返してやる。結果的に見ますと、結局最判に入
つた人
は、一万五千円出したのを五千円返してもら
つて
、一万円出したことになる。
あと
から入
つた人
は一万円、そうしてその間に負担の公平がはかられるということになるわけであります。 第三十條は、
加入者
は
加入電話
の
種類
の
変更
、
構内交換設備
とか、
内線電話機
の
増設
などが
請求
できるということで、現在とほぼ同様でございます。 第三十
一條
、これも同様でございます。 それから三十三條も、
加入電話契約
をしたならば、こういう
請求
ができるということを
はつ
きりしたことでございます。 三十四條も、現在や
つて
いる
通り
でございます。 次は三十
五條
でございますけれども、これは
電話加入権
の
移転
または承継の問題でございまして、いわゆる新
電話
あるいは旧
電話
、
電話
の譲渡の問題が三十
五條
、三十六條に
規定
しているわけであります。第三十
五條
は「
加入者
が
加入契約
に基いて
加入電話
により
公衆電気通信役務
の提供を受ける
権利
(以下「
電話加入権
」という。)は、
移転
の
目的
とすることができない。但し、
営業
とともに
讓渡
する場合は、この限りでない。」ということでございます。 三十六條は、
電話加入権
を
移転
する場合は、
公社
の承認を受けなければ、その効力を生じないということにしたわけであります。 三十
七條
は、
相続
または
合併
があつた場合に、
相続人
または
合併
後存続する
法人
もしくは
合併
によ
つて
設立された
法人
は、
加入者
の地位を承継することができるということにな
つて
おります。従いまして
電話
の
加入権
は
営業
とともに
讓渡
する場合と、
相続
及び
合併
の場合、この
三つ
の場合だけに限りまして、
加入権
が
移転
されるということであります。これは
昭和
二十四年二月十五日以降の
電話
につきましては、
営業讓渡
の場合も、
相続
あるいは
合併
の場合も、」
切移転
を認めていないわけでありますが、しかし現在の事情から
考え
まして、この
三つ
の場合は、
社会通念
上
加入権
の
讓渡
を認めることが妥当であろうという
考え
方から、さようにいたしたわけであります。なお
昭和
二十四年二月十四日以前のものは旧
電話
でございますが、これは
施行法
におきまして、今までと同じように
移転
することができるということに
規定
するつもりでございます。 三十
八條
は、
公社
は、
電話
の
加入原簿
を備えつけるということでございます。 第三十九條は、
他人使用
の
制限
であります。現在
電話
を
他人
に使わせてたとえば十円とか、
場所
によ
つて
はもつと高いところもあるようでありますが、そういうふうに金をと
つて
いるわけであります。われわれとしてはむろんあまりいいこととは思
つて
おりませんけれども、これを一々まわ
つて
歩きまして取締ることもできません。それで三十九條におきましては
はつ
きりと、とにかく
他人
に使わせてもいいが、その場合には
他人
の
通話
によ
つて
増加した
部分
、たとえば
度数料
の五円なら五円だけということにしたわけでありまして、その線を
はつ
きりいたしたわけでございます。 四十條は、
通話
の
停止
と
加入契約
の
解除
であります。
加入者
が「この
法律
の
規定
に違反したとき。」
並び
に「
電話
に関する
公社
の
業務
の遂行又は
公社
の
電気通信設備
に著しい支障を及ぼし、又は及ぼすおそれがある行為であ
つて
、
郵政省令
で定めるものをしたとき。」こういう場合には、
公社
の方で
通話
の
停止
または
加入契約
を
解除
するということがあるわけであります。なおこういうことで
通話
の
停止
、
加入契約
の
解除
を行います場合には、現在は
加入者
に対して
釈明
の
機会
を與えなかつたわけでありますが、この第二項におきまして、
公社
は
加入契約
を
解除
しようとするときは、あらかじめその旨を本人に通知して、
加入者
またはその代理人の
出席
を求めて、
釈明
のための証拠を提出する
機会
を與えるために、
公社
の指定する職員に聴聞させなければならないということを
規定
いたしまして、
加入契約
の
解除
の場合には
取扱い
に遺漏がないようにとりはからうごとにいたしたわけであります。 第四十
一條
は、
電話取扱局
の
種類
でありまして、これは現在
通り
でございます。 四十
二條
は、
料金
の
算定方法
により、
度数料金局
と
定額料金局
にきめるということ、次に四十三條と四十四條は、
通話
の
種類
でありまして、これも現在の
通り
でございます。現在
規則
にな
つて
おりますのを、
法律
に改めたわけであります。 四十
五條
、これも現在
通り
でございます。 それから四十大條、四十
七條
は、今の四十
五條
の
通話接続
の順序に対する一つの
例外
でございまして、四十六條は、
天災
、
事変
その他の
非常事態
が発生し、または発生するおそれがある場合におきましては、
災害
の予防もしくは救援、交通、
通信
もしくは電力の供給の
確保
または
秩序維持
のために必要な
事項
を
内容
とする
市外通話
であ
つて
、
公社
が
郵政大臣
の
認可
を受けて定めるものは、前
二條
の
規定
にかかわらず、他の
市外通話
に先立
つて
接続するのであります。 四十
七條
は、前條に定めるもの以外につきましても、なお
公共
の
利益
のため緊急に
通話
することを要する
事項
を
内容
とする
市外通話
につきましては、同じような
取扱い
をするということを定めたわけでございます。 四十
八條
以下は
構内交換電話
、先ほど申しました
PBX
のうことでございますが、
PBX
につきましては、
PBX
の
交換
に従事する人につきましてその資格を定めた
規定
でございます。これは現在
法律
にはございませんけれども、
規則
でも
つて
やはり
PBX
の
交換
に従事する場合には
試験
を受けまして、
試験
に合格した人だけが
PBX
の
交換
に出ることができるということにいたしておりますから、それを
はつ
きりこの
法律
に
規定
したわけであります。 それから次は第四章でございます。第四章は
公衆電気通信設備
の
専用
でございます。これはたとえば
市外線
の
専用
とか、
電信線
の
専用
とか、東京と大阪の間におきまする
市外電話回線
の一
回線
を
専用
にする、あるいは
電信
の
回線
を
専用
する、または
市内専用
でございまして、そういうような
専用
に関する
規定
でございます。この中で御
説明
申し上げたいと思いますのは、第五十九條でございます。五十九條は
加入電話
と同じように、「
専用者
が
専用契約
に基いて
公衆電気通信設備
を
専用
する
権利
は、
移転
の
目的
とすることができない。」これは
公社
と
専用者
との間の
契約
でございますから、これは当然のことでございまして、
公社
と
専用者
の間の
契約
でございますから、
専用者
が
専用契約
に基いて得た
権利
を
他人
に
讓渡
することは認めることができないわけでありますが、六十條にその
例外
を設けまして、
相続
と
合併
だけの場合には、これは同じ人格が継続するものでありませんから、そういう場合にまで
移転
を認あないのは行き過ぎであろうというふうに
考え
まして
相続
と
合併
の場合だけに限りまして、
移転
を認めたわけでございます。 それから第六十
一條
は、
専用者
がその
専用設備
を
他人
に
使用
させてはならないわけでありますが、その
例外
を
規定
したのであります。これは一号から七号までございますが、こういう場合に
限つて専用者
は、その
専用設備
を
他人
に
使用
させてもいいというのであります。 それから六十
二條
、六十三條は、大体
加入契約
と同じように、一定の売買がありました場合には
専用契約
を
解除
する、
専用
を
停止
するということであります。なお
専用
の
申込み
が非常にたくさんありまして、
公社
の提供することができる
専用線
がそれ以下である場合におきましては、
加入電話
の場合と同じように、
公共
の
利益
のために重要であると認められるものから、優先的に
専用
を認めてやろうという方針でございます。 第六十四條は
共同専用契約
でありまして、これは二人以上でも
つて
共同して
専用
の
契約
ができる。これも現在すでに実行していることでありますが、これを
法律
で明らかに
規定
いたしたのであります。 次は第五章の
料金
であります。
国際電気通信
以外の
料金
は、すべて
電信電話料金法
によ
つて
定められているわけでありますが、この
法律
におきましては、そのうち主要な
料金——主要料金
と申しますのは、
需要者
が非常に多い、
需要
が一般的、普遍的であるということと収入が多いということ、
従つて
その
料金
の
変更
が
国民経済
、あるいはまた
公社
の財政に相当な影響を與えるという
性質
の
料金
につきましては、現在と同じように
法律
で定めます。それ以外の
料金
につきましては、これは
公社
が
郵政大臣
の
認可
を受けてその
料金
をきめることができるというようにいたしたわけであります。 今の
法定料金
はこの
法案
の一番しまいの方にございますが、
電報
につきましては
通常電報
の
料金
、そのうち
普通電報料
、それから至急
電報料
、翌日
配達電報料等
でございます。それから第二の
電話使用料
におきましては、
電話使用料
のすべででございますが、
度数料金制
による場合と
定額料金制
による場合とを定めたわけであります。次は
装置料
でございますが、これは
加入申込み
をした場合に
支拂
つて
もらう四千円の
装置料
でございます。これも
法定料金
にいたしました。第四は
市外通話料
でございますが、これも
法定料金
であります。第五は
公衆電話料
でございますが、これも
法定料金
でございます。第六は
専用
のうち
市外線
の
専用
でございますが、
市外線
の
専用
だけ
法定料金
といたしたわけであります。なおこの
料金額
なり
料金
の
制度
は現在と同様でありまして、
変更
を加えてありません。 次は第六十
七條
でございますが、これは
国際電気通信料金
につきまして、
公社
が
金フラン
または
外国通貨
の単位をも
つて
定められております
国際電気通信サービス
の
料金換算
の
割合
を
変更
いたします場合には、
郵政大臣
の
認可
を受けることといたしたわけであります。なお
国際電気通信料金
を設定いたします場合は、別の
條文
でも
つて
郵政大臣
の
認可
を受けることといたし
——
第百六條でございますが、第百六條におきまして、
国際電信業務
に関する
協定
をも
つて
重要なものは
郵政大臣
の
認可
を受けることにな
つて
おりますので、
料金
のごときは当然この百六條によりまして
認可
を受けることになるわけであります。 次は第六十
八條
の
料金
の減免でございます。これは特定の場合に
法律
できま
つて
おります
料金
、あるいはまた
郵政大臣
の
認可
を受けて定める
料金
を減免することができるというのであります。これも大体現在や
つて
いる程度でありまして、現在以上に加えましたのは、
災害
の場合に
罹災者
から打つ
電報
、それから
天災
、
事変
その他
非常事態
が発生し、または発生するおそれがある場合において、人命の危険あるいは
財産
の危険を通報する
電報
、それだけは新しく加えたわけであります。六十
八條
の三号と四号が新しく加わつた
事項
であります。 第六十九條は
新聞電報
または
新聞無線電報
の
料金
について減額することができるということを加えたのであります。それから六十九條の二項は
新聞
の
予約通話
でございますが、
新聞社
あるいは
通信社
が使います
予約通話
は、これも他の
予約通話
より引下げることができるということであります。それから六十九條の三項は警察あるいは消防署、そういう
機関
の専門につきまして安い
料金
を適用できるということにな
つて
おります。この
三つ
は現在もやはり
定額料金
にいたしておりますので、これは
法律
でも
つて
その根拠を
はつ
きりといたしたわけであります。 それから次は第七十
一條
におきまして、軽微な
料金
につきましては
公社
限りにおいて
変更
できるということにいたしました。 それから第七十六條でございますが、
料金
の
返還
でございます。これは
公社
が
サービス
を、たとえば
電報
を打つた場合に引受けた
電報
が
受取人
まで届かなかつたというような場合におきましては、
料金
を返すということを定めてございます。これは現在もや
つて
いるのでございますが、現在とかわりました点は、
電報
につきまして現在は
電報取扱局
の
過失
によ
つて電報
が届かなかつた場合、あるいは普通の
郵便
よりかも遅れて着いた場合というふうに、こちらの
取扱い
の
過失
ということが
條件
にな
つて
いるわけであります。今度はそういう
條項
をやめまして、
発信人
または
受取人
、要するに
利用者
の責めに帰することができない
事由
によりまして、今申し上げましたようなことが起つた場合には一切
支拂
う。
従つて不可抗力
によりました場合においても
料金
はお返しするということになるわけであります。なお
電報
につきましては今申し上げましたような
條件
のほかに、現在は
電報
が普通の
郵便
よりかも遅れて着いた場合だけでありますが、今度は
電報
が
速達郵便
よりかも遅れて着いた場合には、
料金
をお返しするというふうに定めたわけであります。
照合電報
につきましては、現在は
照合電報
に間違いを生じまして、用をなさなかつたという場合だけに
限つて
おつたのでありますが、今度は
照合電報
に誤りを生じたならば、すべて
料金
を
返還
するということにいたしたのであります。なお現在は
料金
の
返還
の
請求期間
は三十日にな
つて
おるわけでありますが、これはあまり短か過ぎますので、六箇月ということにいたしました。
返還
の
事由
の発生した日から六箇月間だけは、こちらの方でも
つて
料金
を返す義務があるということにいたしたわけであります。なお
電話
の方につきましては、大体現在
通り
でございますが、現在よりも
返還
する場合を若干減らしてございます。 それから七十
七條
は、
延滞金
でございますが、
料金
の
支拂いが
なかつた場合には
延滞金
をもらう、これは
料金額
百円につきまして一日四銭の
割合
で
延滞金
をもらうということを
規定
いたしております。なお
料金
の収納が現在
滞納
の場合におきましては、
国税滞納処分
の例によ
つて
や
つて
おるわけでありますが、これは
公社
になりましてからそういうこともいかがかと
考え
まして、普通の民事の
手続
によりまして、未納の
料金
は取立てて参るということにいたしました。 第六章の
土地
の
使用
でありますが、
土地
の
使用
につきましては、現在
電信線電話線建設條例
という非常に古い
法律
でも
つて
や
つて
おるわけであります。この
手続
も一方的でありまして今の
法律概念
、あるいは
財産権
に対する
考え
から申しまして、妥当ではございません。
電信線電話線建設條例
は
廃止
しまして、この
法律
で
土地
の
使用
につきまして、合理的な
方法
によ
つて土地
の
使用
あるいは
土地
の立入りということが可能になるようにいたしたのであります。 第七十九條は、
土地
の
使用
の一番大きい場合でありますが、第七十九條の大体のことを申し上げますと、
公社
は、
公衆電気通信業務
の用に供する
線路
及び空中線
並び
にこれらの
付属設備
を
設置
するため
他人
の
土地
及びこれに定着する
建物
、そういうものを
利用
することが必要な場合におきましては、その
土地
に対しまして
使用権
を設定することができるという
規定
でございます。これは
性質
は公法上の
使用権
でありまして、
従つて
そういう
使用権
が設定されますと、その
土地
を
買つた人
に対しましても、その効果は及ぶというふうに
考え
ておるわけであります。その年限は二項に
規定
してございますが、
設備
によ
つて
違いまして、
地下ケーブル
その他の
地下工作物
または鉄鋼もしくは
コンクリートづくり
の
地上工作物
の
設置
を
目的
とするものは五十年、その他は十五年、一般は十五年でございますが、
地下工作物等
につきましては五十年の
権利
といたしました。これは大体
設備
の壽命を
考え
まして、大体その
設備
の耐用年限で
設備
の
使用権
の存読期間をきめたわけでございます。 なお八十條以下は、今の
手続
についての
規定
でございまして、八十條から八十三條、八十四條、八十
五條
、八十六條、八十
七條
までがこの
手続
をきめておるのでありますが、これはまず第一に
公社
が
土地
等を
使用
する必要が生じました場合には、まずその
土地
の所在地を管轄する都道府県知事の
認可
を受けて、その
土地
等の所有者と協議をいたしまして、そうして協議がととのわなかつた場合におきましては、
公社
は
郵政省令
で定める
手続
に従まして、都道府県知事に
土地
の
使用
等について裁定を申請することができる。そうして八十三條は都道府県知事が裁定する場合の
規定
でありまして、都道府県知事が裁定して事案の決定をするということにな
つて
おります。 なお八十
五條
は、その裁定の
内容
でありまして、都道府県知事が裁定をします場合には、「
使用権
を設定すべき
土地
等の所在地及びその範囲」、「
線路
の
種類
及び数」、「
使用
開始の時期」、「
使用権
の存続期間を定めたときは、その期間」、こういう
事項
につきまして都道府県知事が裁定をするということに
なつ
たのであります。 それから第八十
八條
は今のようにして設定されました
土地
の
使用権
に対する対価でありますが、この対価は八十
八條
の二項に「前項の対価の額は、その
使用
によ
つて
通常生ずる損失を償うように、
線路
及び
土地
等の
種類
ごとに政令で定める。」ごとにな
つて
おります。 それから八十九條は
土地
等の一時
使用
でありまして、今まで申し上げましたのは、十五年あるいは五十年という長期にわた
つて
利用
する場合でありますが、八十九條は一時的に
土地
を
使用
する場合を決定したのでありまして、たとえば
線路
に関する工事をやりますために、資材あるいは車両の置場の
設置
とか、あるいは
非常事態
が発生いたしました場合、あるいは特にやむを得ない場合に、重要な
通信
を
確保
するために
線路
をつくるというようなことや、「測標」という抽象的な言葉を使いますが、こういうような
土地
等を一時
使用
する場合のためであります。 それから九十條は、
線路
に関する測量あるいは調査をいたしますために、
他人
の
土地
に立入りができるということであります。 それから九十
一條
は
他人
の
土地
を通ることができる。 九十三條は植物の伐採でありますが、植物が
線路
に障害を及ぼすというような場合には、植物を伐採することができるということであります。 それから九十四條は、立入りまたは伐採等の損失補償を
規定
いたしたものであります。 九十
五條
は
線路
の
設置
されております
土地
が、その
土地
の
使用
目的
を
変更
するというような場合に、
土地
の
使用
に非常にじやまになるという場合は、
土地
所有者は「
公社
に、
線路
の
移転
その他支障の除去に必要な措置をすべきことを
請求
することができる。」ということであります。 それから九十
八條
でございますが、これは公用水面の
使用
ということでありまして、
公社
が
公共
の用に供する水面に水底
線路
を敷設しようとする場合のことを
規定
したものであります。 それから九十九條は水底
線路
の保護でありまして、これは水底
線路
につきまして、たとえばケーブルというようなものについて九十九條に
規定
いたしますように、水底
線路
を敷設してあるところからある距離以内には、このケーブルをこわすようなことをしてはならないということにしてあるわけであります。 第七章に移りまして、第七章は雑則でありますが、第百三條は一項に書いてあります
構内交換設備
、いわゆる
PBX
でありますが、この
PBX
の
設置
、それから船舶に
設置
する
加入電話
、それから
専用設備
の端末
設備
、こういうものについては
加入者
が自由に行うことができるようにいたしたのであります。
PBX
につきましては、今日までは電気
通信
省が直営で
設置
し、保守することに原則としてな
つて
おつたわけでありますが、いろいろ
加入者
の要望もありますし、また
公社
の方のいろいろな事情もあわせ
考え
ますとこの際直営の方針をやめまして、
PBX
につきましては
加入者
において
設置
することができるというふうにした方がよろしかろうというわけで、かようにいたしたのでございます。しかしこれで
公社
が
PBX
については何もしないということではございませんで、
公社
においてももとより他日と同じように
公社
の直営の
業務
がございますが、
加入者
の方で自分でつく
つて
、自分で保守したいという場合には、そういうこともできるというふうにいたしたわけであります。なおこれに関連いたしまして、現在
PBX
の
設置
につきましては、
設備
負担金をもら
つて
おるわけですが、今度の
PBX
設置
あるいは保守につきまして
加入者
の自営を認めるのに伴いまして、現在の
PBX
の
設備
負担金の
制度
は
変更
いたしまして、そうして
設備
に必要な実費の額に相当する
電信電話
債券を買
つて
もらうというふうに
規定
することといたしたいと
考え
ております。これは
施行法
において
規定
するつもりであります。 次に百四條でありますが、百四條は私設有線
設備
——
これは有線
電気通信設備
のうち、
公社
の
設備
以外のものをかりに私設有線
設備
とい
つて
おりますが、
公社
の
設備
にそういう私設の有線
設備
をつなぐ場合であります。その際百四條に書いてありますような場合は、
公社
は
公社
の
業務
の遂行に支障のない場合、またその私設の
設備
が、
公社
が
郵政大臣
の
認可
を受けて定める技術
基準
に適合とている場合には、私設有線
設備
との接続を断
つて
はならないということにいたしたのであります。 次は第百六條であります。百六條は先ほどもちよつと触れましたが、
国際電気通信業務
についての
協定
あるいは
契約
で、重要なものにつきましては
郵政大臣
の
認可
を受けるようにいたしておるわけであります。 次は第百
七條
でありますが、これは
公社
が一定の場合に損害賠償をすることを定めたわけであります。現在
電信電話
の
取扱い
につきましては、一切損害賠償をしないことにな
つて
おります。
従つて
電信電話
の
取扱い
を間違えて、そのために
利用者
が損害をこうむりましても、電気
通信
省は一切損害賠償の責めに任じないというふうにな
つて
おるわけでありますが、これを改めまして百
七條
にあるような場合には、
公社
が損害の賠償をすることになるわけであります。これはいろいろ外国の立法例もございまして、国によりまして、
電信電話
の
取扱い
について損害を賠償するところもありますし、また賠償しないところもあります。また賠償するところにおきましても、その賠償の幅、額あるいは条件がいろいろ違
つて
おるようでありますが、今度
公社
になりまして、今のように一切何も賠償しないというのでは非常にまずいし、またわれわれ事案を経営いたします場合に、やはり約束した
サービス
は提供しなければならない、そういうような意味から
考え
ましても、一定の事故につきまして賠償することが適当であろう、かように
考え
たわけであります。損害賠償をいたします
條件
といたしましては、損害が不可抗力によ
つて
発生したものである場合、またその損害発生につきまして
利用者
の方に
過失
あるいは故意があつた場合、そういう場合には賠償しないわけであります。
従つて
公社
の方に間違いがあつた場合、あるいはまた
公社
の方におきまして軽
過失
というか、
過失
が非常に軽い程度でありましても、損害を賠償することになるわけであります。損害を賠償いたします場合とは、百
七條
の一号は
電報
が速達よりも遅れて行つた場合でありますが、その場合には
電報
の
料金
の五倍を限度といたしまして、その範囲内においてよ
つて
生じた損害を賠償する。それから二号は
照合電報
につきまして
照合電報
に誤謬を生じた場合、その場合は
電報料
金と照合
料金
との合計額の五倍を限度として賠償する。三号は
加入電話
の障害の場合でありますが、この場合には引続き五日以上
加入電話
によ
つて
通話
することができなかつた場合には、やはり
料金
の五倍を限度として損害を賠償するということであります。四号と五号は定時
通話
と
予約通話
で「定時
通話
というのは一定の時間をきめまして、三時から三時十分までとか、三時十五分までというふうに、
通話
する時刻を指定して
市外通話
をや
つて
おる、そういう
通話
でございます。それから
予約通話
は、毎日何時から何時までというふうに、ある期間を定めまして
市外通話
を取扱う
方法
でございますが、その二つの場合も、そういう指定する時間に定時
通話
あるいは
予約通話
をつながなかつた場合に損害を生じた場合は、これも
料金
の五倍を限度として損害賠償をする、こういうことであります。六号は
専用設備
でございますが、
専用設備
も二日以上引続き
——
四十八時間以上
使用
できなかつた場合におきましては、やはり
料金
の五倍を限度として賠償するということであります。なお以上申し上げました
事項
のほかに、
公社
が定める場合に該当する場合、そのような場合におきましても損害の賠償をすることにいたしてあります。 それから第八章は罰則でありまして、第百九條は「
公衆電気通信業務
に従事する者が正当な
事由
がないのに
公衆電気通信役務
の取扱をせず、又は不当な取扱をしたときは、」云々ということにな
つて
おりますが、これは現在の
電信法
にいろいろな
規定
がございます。 それから第百十條は、「
公社
等の取扱中に係る
電報
を正当な
事由
がないのに開き、破り、隠匿し、放棄し、」等の、そういう不当の行為に対しましての罰則であります。 それから第百十
一條
は、
通信
の秘密を犯した者に対する罰則であります。これは、一項は
公衆電気通信業務
に従事する以外の者のことを
規定
いたしておりまして二項は
公衆電気通信業務
に従事する者が
通信
の秘密を犯しました場合には、そうでない人の場合に比べまして罪を加重しておるのであります。 それから第百十三條は、
公社
の役員がこの
法律
の
規定
により
郵政大臣
の
認可
を受けなければならない場合において
認可
を受けなかつた場合には、その役員は十万円以下の罰金とするということであります。 大体これで御
説明
を終るわけでございますが、先ほど申し上げましたように
国際電信電話会社
が設立されますれば、この
規定
において
公社
と書いてありますうちで国際
会社
に適用になる
部分
は、それぞれ
公社
または
会社
というふうに
施行法
の上で読みかえをいたすことにいたしておるのであります。
田中重彌
6
○
田中委員長
次に
有線電気通信法案
及び
公衆電気通信法案
を一括議題とし、質疑に入ります。質疑の通告があります。これを許します。
橋本登美三郎
君。
橋本登美三郎
7
○橋本(登)委員 両
法案
の質疑に入る前に、すでに委員会は通過して、本会議を通過しておるのですが、当時国際関係の
電信電話
会社
法の関係として、公述人を招致したのでありますが、当時公述人が病気のため欠席せられて、
従つて
その関係の公述人の意見を聞く
機会
を得なかつたのですが、その後においていろいろ調査をしました結果、政府当局に御意見を求め、また
大臣
の御所感も伺いたい点が二、三あるのであります。事実関係を最初にお聞きして
あと
で
大臣
の御所感を伺いたいと思うのであります。 今回
国際電信電話会社
法によ
つて
政府が出資するその
財産
の大
部分
は、か
つて
国際電気通信
株引
会社
、こういつた
会社
がありまして、その
会社
が
昭和
二十二年三月二十五日に連合国最高司令官の覚書によ
つて
政府に移管せられたのであります。その政府に移管せられた
国際電気通信
株式
会社
のその
財産
の一
部分
でありますが、今回民間の特殊
法人
として設立せられるところの国際
電信電話
株式
会社
の出資に充てられるところの大
部分
は、このか
つて
の国際
電信
株式
会社
の
財産
が移管をせられるようであります。そこでこの以前の国際
電信
株式
会社
、こういうものが当時の連合軍総司令官の覚書によ
つて
、政府に移管をせられたのでありますけれども、当時の事情を調べますと、その移管にあた
つて
は連合国司令官から、この移管の
方法
についてはやはり具体的な覚書が出ておるようであります。その覚書を一応読んでみますと「
国際電気通信
株式
会社
法及びその附属法令を廃棄すること、当
会社
の所有する
通信
施設の実際的運営を可及的すみやかに引継ぐこと、これに関係ある
通信
施設を持株
会社
整理委員会による鑑定評価の完了後同委員会より買収すること、評価は企業再建整備法による評価
基準
によること、但しこのため事業の引継を遅滞してはならない。」云々、こういう覚書によ
つて
、政府は同年の五月十九日に当
会社
法及びその附則法令
廃止
の政令を公布して五月二十五日にこれを施行し、当日持株
会社
整理委員会を経て実質的に逓信省に移管をしたのであります。そこで当時企業再建整備法によ
つて
評価
基準
によることという覚書であつたのありますが、当時持株整理委員会ではこれを帳簿価格によ
つて
政府に移管しております。企業再建整備法によるのでありますれば、大体原則としては時価によ
つて
これは移管せられなければならないと思うのです。ところが実際問題としては持株整理委員会では、これを帳簿価格によつで政府に移管をした、こういう事情にな
つて
おりますが、その事情について、これは
大臣
が御了解がなければ、
政府委員
のどなたかに御
説明
を願いたい。
山下知二郎
8
○山下(知)
政府委員
お答えいたします。
国際電信電話会社
に出資されるべき無線
電信電話
設備
は、大体旧
国際電気通信
株式
会社
が所有しておりました送信所及び受信所の大
部分
が中心体をなすものと
考え
るのであります。ただいまお読み上げになりましたように、
昭和
二十二年の三月二十五日に最高司令部の覚書によりまして、
国際電気通信
株式
会社
は解散するということに相なりました。かつ五月二十五日に施設は人員とともに当時の逓信省に移管されたのでございます。この施設の引渡しの
方法
は
——
私がこう申し上げることは、私はその任にありましたから、その意味から私註釈をつけて申し上げますが、当時の旧
国際電気通信
株式
会社
は特殊整理委員会に施設を
讓渡
いたしました。特殊整理委員会が逓信省へ施設を売り渡すという
手続
を経たのでございます。当時の逓信省と旧
国際電気通信
株式
会社
とは、直接取引いたしたものではございません。この点は明確に御了解願
つて
おきます。それで施設はかようにして逓信省に
讓渡
いたしましたが、その施設の評価につきましては、その後に価格が決定されたのであります。この価格は私の記憶では、不動産は固定資産は一億七百万円だつたかと思います。この一億七百万円と申す評価は、ただいま御指摘のように全部帳簿価格によつたものでございます。企業再建整備法によるとな
つて
いるのに、なぜそれを簿価によつたかというお尋ねでありますが、この企業再建整備法と申しますのは、これは大体において第二
会社
をつくるということの趣意に立てられたものであります。清算
事務
をやりますためにこの
法律
が設けられたのではなく、一つの戦時中の
会社
で痛手を食つたものがその痛手を切り抜けて、痛手からのがれまして新たな第二
会社
をつくるという線にはまり得るように、その
事務
が円満にかつまた他の債権者からそれに対しての支障がないように、いわゆる企業再建のために
考え
られた
法律
でございます。従いまして第二
会社
をつくるものならば、それは簿価によるということは当然のことでございます。ところがこの場合旧
国際電気通信
株式
会社
は逓信省に
讓渡
しました。そういう資産をもとにして第二
会社
をつくるのではなくしてここれは全然その点からは離れてしまうということに相なりますから、この面から申しますれば、企業再建整備法というものが、第二
会社
をつくる精神から出ているというのが大
部分
のものであるにもかかわらず、これが清算
事務
の方に適用されたということについて、
会社
側にと
つて
は非常な不幸があつたわけでございます。これは清算
事務
にしますものならば、御承知のように当時の時価ということでや
つて
もやり得るのじやないかということは、私は関係者として
考え
ております。しかし当時は純然たる占領下でありまして、これは特殊
会社
整理委員会の
委員長
の笹山忠夫氏が参議院で参考人として述べられました言葉の中にもございましたが、当時司令部がこれに対して非常な関心を持
つて
、司令部の意向で再建整備法のうちの簿価でやらなければならぬ、簿価でやれという非常な主張がありましたために、特殊
会社
整理委員会では簿価による評価によつたということを述べておられますが、私も当時の関係者としてまさしくその
通り
であると御報告することができるわけでございます。 ただここで一点、それでは司令部の方でどうしてそういうことを強調しておつたかということにつきまして御参考までに申し上げますと、私はこれは司令部の関係者数氏から当時及びその後において聞いた話でございますが、これら施設を逓信省に讓るということは、これはあげて国の
利益
になることである、国民の
利益
のためにやるのだ、日本の再建のためにやるのだ、だからある一部において株主にそういう不便をかけても、これはやむを得ないというような意味合いの発言を再々私は聞いているのでございます。 それからもう一つは、
国際電気通信
株式
会社
の前身でございますところの日本無線
電信
株式
会社
、これの発足いたしますときからこの
会社
は、他に例を見ないほど政府から厚い保護を受けておりました。またそれだけ他面に
——
一割二分以上の
利益
金があります場合においては、政府にその
利益
金の超過分の半額を納めなければならぬとか、あるいは配当の上におきましても、法文上ではございませんけれども、実質上はある程度の
制限
も受けておりました。しかし初期から最後まで
——
一番最初は七分一厘と記憶いたしますが、その後は七分二厘の配当を続けて来ている。それで十年間は政府に配当しなくてもよろしいという恩惠も受けております。しかしこれも六年目だつたと思いますが、それからやはり政府にも配当を続けて参りました。どうしてそういうことができたかというと、政府から交付されます交付金の割が非常によかつた。その政府から交付されます交付金というのは、つまり外国
電報料
の日本の取り分の九割を
会社
にもらえる、一割を逓信省がとる。一割でも
つて
逓信省の
国際電気通信業務
をなさ
つて
おられたわけでございます。九割というものは全部
会社
がいただいております。その後それはあまりによ過ぎるからというので七割五分に
変更
されておりますが、こういつた非常な庇護を受けて来ておりますために、日本無線
電信
株式
会社
ができます。ときに最初に出資されましたのは、福島県の原町の送信
設備
と富岡の受信
設備
と、それから愛知県及び三重県下の送信所建設用の
土地
というものの出資を受けて、その後の施設は全部
会社
自身の増資または剰余金でも
つて
施設をいたしで来たわけでございます。そういつたような剰余金でも
つて
あと
の施設のできるということは、とりも直さず今申し上げたように厚い庇護があつたからであります。なおまたかくのごとくしてつくりましたところの施設を急速度に償却いたして参りました。当時
会社
としましてもできるだけ償却する、固定資産に計上できるような事柄もできれば経費でも
つて
損費でも
つて
落してしまうというほどの徹底した方針で、償却中心主義でや
つて
参りました。かように償却しました最後のものが、今申し上げました一億七百万円に相な
つて
いるわけでございます。但し一億七百万円の中の大きな
部分
に有線
設備
がございます。この有線
設備
の方は、無線
設備
ほど庇護を受けていないと言えますから、この面では、償却は無線
設備
と比べものにはならないと思いますが、ただいま問題にお出しになりました無線
設備
は、大幅に償却することができない、その償却した結果の場ものである。償却は厚い庇護のもとに、今申し上げたように九割とか七割五歩とかいつたような大きな
割合
の交付金をいただいておつたからできたものである、かうなことに相な
つて
いるわけでございまして、私は株主の立場かと言えば、簿価によらずして、それは時価に近いもので評価されることが望ましかつたと思うのでありますが、全体的に見ますれば、これは私はやむを得なかつたもの、かように
考え
ております。
橋本登美三郎
9
○橋本(登)委員 今の御
説明
でその間の事情は多少わかりましたが、問題は、私のお聞きしたのは総司令官の覚書に企業再建整備法でやれ、こう
なつ
たおつたのを、それによらずして持株整理委員会がおやりに
なつ
た、こういう点についての相違を聞いたのでありますが、その点については山下
政府委員
の方でも、整備法でやることが望ましかつたのだが、当時の情勢からしてやむを得なかつた、こういうようなお話でありますから、その点は大体了承いたします。私も当時の情勢から言えば、ことにこの
会社
が、政府が三分の二を持
つて
お
つて
、三分の一がいわゆる民間公募の株主であつた、こういう見解からいえば、当時の気持としては、その大
部分
が政府が所有しておるのであるから、その大
部分
所有しておる政府に移管するのであるから、それらが帳簿価格によ
つて
移管されようとも、あるいは再建整備法によ
つて
移管されようとも、その実質においてはあまり違わないじやないか、もちろん三分の一の一般株主が国家のために犠牲になるけれども、それも
通信
の統一、かつまた
非常事態
の状態から見てそういうことが必要だという大きな観点から、一部株主が影響をこうむるのはやむを得ないのではないか、こういう見解で、当時の連合軍要路の方々も、政府においてもそうしたことについて最後の妥結に至つたのだろうと思うのであります。ただ問題は、そういうぐあいに国のために一部の人たちが犠牲になるごとについては、時の情勢によ
つて
はやむを得ない。ところが今度は、国のために喜んで
——
あるいは喜んでおらなかつたかしらぬけれども、とにかく形式上は喜んで国のために犠牲に
なつ
た一部の株主の諸君から見れば、今度の
国際電信電話会社
なるものができ、その
会社
に、当時の帳簿価格によ
つて
三千六百万円ですか、それくらいの帳簿価格が、約二十億なり二十五億をも
つて
新
会社
の方に政府が拂下げを行う。これは一ぺんに行うわけじやないが、拂下げを行う。最初の整備令によれば時価でもらえるものが、国のためである団体の
利益
のためには一部のある程度の犠牲はやむを得ない。それはそれでよくわかるが、それで渡されたものが、数年ならずして今度は一般の、純然たる民間資本に移されるために時価によ
つて
換算されて、一般公募に移されということになるわけです。そうなるとこれは何も一部の人がもうけたのではなくて、政府がもうけるのだから、国民全体がもうけるのだからいいじやないか、こういう議論もあるいは一部には成り立つかもしれませんが、そうなると、われわれが憲法で保障された私有
財産
制度
、いわゆる私有権の
確保
というものも、これは問題にならなくな
つて
しまう。憲法においてわれわれは、いやしくも公衆の
利益
のためにわれわれの私有権というものは
制限
されるけれども、そうでない限りにおいては、われわれの私有権、
財産権
は侵害されない、こういう憲法の明文がある。それで最初の場合においては、政府が公衆の
利益
のために一部の人の
利益
を犠牲に移管したということについては、これは文句はない。ところが今度はそうじやなくして、政府が結果においては
利益
をもうけることになるのですが、政府が
利益
をもうけるために、いわゆるか
つて
の一部の人を犠牲に供するということはどうかと思われるのです。しかしこの問題はすでに過ぎ去
つて
しまつた問題でありますからして、われわれはこの問題をもし当時の株主の一部の諸君が問題にするならば、行政訴訟によ
つて
、いわゆる覚書との関係が齟齬しておる点を、法によ
つて
当然明らかにすべきであつたものでありますが、どういう事情であつたか当時のことはわかりませんが、その点については明確にしなかつた。いやしくも
法律
によ
つて
保障された
権利
を施行されなかつた、そうして今日においてこういう問題が起きたので、あらためて問題にな
つて
来たようでありますけれども、いずれにせよ、当時の問題は占領下であり、かつまた国家の
利益
のために行われたのでありますからして、それらの点は関係者によ
つて
了解せられただろうと思います。そこで問題は、当時の連合国の示唆によるものであ
つて
当時の政府もこれを認め、こういう
電信電話
事業というものを政府の一手に納めることに
なつ
たのでありますが、その後の情勢の変化に
従つて
、必ずしも政府がこれを所有し、政府がこれも運用しなければならぬ
性質
のものではない、こういうふうな非常な革新的な
考え
からして、今回の国際
電信電話
を国の所有、国の運営から引き離した。こはれ非常に革新的なことであ
つて
、われわれはその英断に対して心から敬意を表するのであります。そこでそういうぐあいに当時の情勢と今日の清勢とは異な
つて
参
つて
、今日は必ずしも
電信電話
事業というものは政府が一手専売でやらなくてよろしいのだ、逆に今日の日本からいえば、文化日本、あるいは民主日本というものを外国に宣伝し、あるいは外国との交易を広めるためには、かえ
つて
民営形態をとることの方が便宜だ、こういうような百八十度の転換からして、今度は民営形態に移るに至つたのであります。そこでこれはあえてお互いにりくつを言うべきじやありませんから、私はりくつを申し上げませんが、こういうようなぐあいに、少くとも三分の二は政府が株主でありますから、これは問題はありませんが、残りの三分の一は、旧株主の諸君から見れば、やはり利害関係といいましよか、経済上の関係から見れば、なかなかがまんしにくい点があるだろうと思うのであります。これはあえていえば陳情はありますけれども、どういうようなとことにせいということではないようでありまするが「少くとも政府において、もちろん三分の二の
権利
があるからして、政府において
利益
を得られるのもけつこうだが、三分の一の旧株主というものは、やはり民間から、当時の強制的な割当を受けで零細な株主が集ま
つて
できておるのであるから、そういう諸君の将来についても御考慮願いたい、こういうような希望は一応もつともであろうとも
考え
られるのであります。しかしながらこの問題は当委員会としては、本会議を通過して参議院にまわ
つて
おるのでありまするから、国際
電信
、
電話
会社
法に関連しての問題として、ただちにここでも
つて
どうこうという
取扱い
方は困難ではありますけれども、いずれこれらの
内容
については、設立委員会なりあるいは政府当局において具体的に進められるのでありますから、これらについて特設の御研究と特段の配慮があ
つて
もしかるべきではないか、こう
考え
ますので、
大臣
からこれに対するところの御所見を聞きたいと思うのであります。
佐藤榮作
10
○佐藤国務
大臣
このたび
国際電信電話会社
法案
を出しまして、この
法案
が成立いたしますれば、
国際電信電話会社
が設立されることになるのでございますが、その際に政府が出資する
設備
その他資産が、旧
国際電気通信
株式
会社
の所有であつた、この一事から、
国際電気通信
会社
の旧株主の
利益
のために特段の考慮を拂わなければならない、かような理論的根拠はどうも私には解しかねるのであります。先ほど山下
政府委員
から当時の経過をるる
説明
いたしております。御承知のように、なるほど
国際電気通信
会社
が政府に買上げされます場合に、占領下の特別の事情のもとにおいてそれが処置された。
従つて
その処置
方法
が、旧株主から見まして意に満たないものがある。かような点は、先ほどの話でもいろいろ議論の存することだと、私はかように
考え
る次第でございます。一旦国に納められたものが、二年の経過で
会社
をつくる。
従つて
その期間が非常に短かいから、旧
国際電気通信
会社
の株主諸君の
利益
のためにも考慮しろ、かように言われるのでありますが、これは理論的には私にはなかなか納得が行きかねるのであります。私はこの問題につきまして、しばしば陳情等も伺
つて
おりまするが、適正に一旦国に
讓渡
されたもの、それがその後また適法に
会社
に移される、かような場合におきましては、ことに公正取引委員会が仲介しておるというような点を
考え
ますると、どうも理論的には直接のつながりはないように
考え
られるのです。しかしながら私どもが今回つくろうといたします
国際電信電話会社
と申しますものは、何と申しましても民間の積極的な協力と支援を得なければならないものであるのであります。この
会社
設立に際しての
設備
をいかなる範囲に提供するか、さらにまたその評価をいかにするか、これは最も嚴正を要する問題であります。この点において何ら暗いような感じを残しては相ならない、かように私どもは
考え
ておるものでありますが、ただいま申し上げましたように、この
会社
がりつぱな業績を上げまして、国家社会の要請にこたえるためには、理解ある国民の各界の方々の御支持はぜひとも得たいものだと
考え
る次第であります。かように
考え
て参りますると、旧
国際電気通信
会社
の株主の方々は、国際
電信電話
につきましては、おそらく先覚者と申してもいい方ではないかと思うのであります。これらの方々に対しましては、かねてから敬意を表しておるところであります。ただいま申し上げるような理論的
なつ
ながりは私には解しかねる次第でございまするが、これらの方々が過去において国際
通信
について格段な御支援をいただいておるということにつきましては、心から敬意を表する次第であります。また感情的な問題から申しますると、いかにもお気の毒であるというような点も
考え
られるであります。もしもこの
会社
が国に移ることなしに、今日のような時代まで
会社
が経営されたといたしますならば、おそらくそのまま民間経営として一層発展したであろう、かようなことを
考え
ますと、情愛の問題から見まして、いかにもお気の毒な点もあるように
考え
る次第であります。従いまして先ほど来お話のありました点につきましては、政府といたしましてももちろん考慮を拂わなければならない、かように
考え
ておる次第であります。国会外におきまして、私もしばしば旧株主の諸氏から陳情等も伺
つて
おるのでありまして御同情を申し上げておる次第であります。何らかの処置が
考え
られますならば、喜んでそういうような
方法
も講じたい、かように
考え
ておる次第であります。ただこの際申し上げたいことほ、先ほど来のお話のうちでも申しましたように、今回
会社
を設立いたしまするが、この評価にあたりましては、どこまでも適正、嚴正を期して参らなければならない。言いかえて申しますれば、評価の際にいつも問題になりますのは、その事業ののれん代をいかに見るかという点にあるわけであります。そののれん代の見方が適正でないといたしまするならば、必ずとかくの批判を受けるであろう、ことにこの種の事業といたしましては、特にその点についての関心が深められておる、かように
考え
ますので、適正なる評価をいたしました上で、旧株主でありますとか、あるいはまたこの事業につきまして格段な関係を持ちます従業員等につきましては、株式の割当ということを
考え
ます際には、特に考慮いたしたい、かように
考え
ておる次第でございます。いずれにいたしましても、今後残された問題でございまするが、先ほど来のお話をよく理解いたしまして、できるだけ旧株主のお気持にも沿い得ることができますならば、さような処置をとりたい、かまうに
考え
ている次第ございます。
石川金次郎
11
○石川委員 ちよつと関連して……。
大臣
にちよつとお伺いいたしますが、実は
大臣
の、ただいま政府が元の
会社
の株主に対して特に考慮するというお言葉を聞くと、私は意外に存じます。前半の方を聞きますと、私は
大臣
の御決心を実にそうあ
つて
ほしいと存じておりましたが、
あと
で政府がここに考慮する、株主には株式募集のときに特段の考慮をする、こうおつしやるのでありますが、ほんとうにそうお
考え
でありますか。もし犠牲ということになると、農地解放で五十万の人たちが大きな犠牲を拂
つて
おるのはどうなさるかということを、政府にお聞きしなければなりません。この点どうしても明確にしておかなければなりません。
佐藤榮作
12
○佐藤国務
大臣
しごくごもつともなお話でございます。従いまして前半に申し上げましたのが、私の基本的な
考え
方であります。しかしながら同時に株式を一般に公募いたしますような際におきましては、いろいろ割当等において特別な関係のある人に優先的に
考え
るということ、これは今日株式募集の際に普通に行われておる方式であります。私はこの方式をただちに採用すると申し上げるわけではないのでございますが、かような方式が可能でありますならば、十分
考え
てみたいという意味でございます。
石川金次郎
13
○石川委員 私はそれあるかと存じまして、実は株式の引受け等についても政府当局に質問したはずであります必ず公平にやる、
申込み
順にやるというように承
つて
、私は安心しておりましたが、
大臣
はやはりその点を
考え
られて、御信用申し上げますから、公平にや
つて
いただきたい。そうでなくても、自由党の諸君の言うように、この
会社
を建てるについて、世間では何か疑いを持
つて
いるようだと質問したところが、そういうことはないと答弁しておられる。たとい何もない公正なことであ
つて
も、旧株主にやるというようなことを
大臣
が言われると、問題が起るのじやないか。私は政界のことは暗いのですが、そういうことに対して
大臣
は疑われるようなことを言うべきではないと思う。これはあなたのためにも、日本ののためにもお願いしたい。もう一つ言わせていただきますと、あなたがそうおつしやると、過激な青年はそういう言葉じりまでつかまえて来るということを、十分お
考え
願いたいと思います。
佐藤榮作
14
○佐藤国務
大臣
ただいまの石川さんのお話、たいへん御好意のある御意見のように伺いますが、私どもはどこまでも正常の
方法
と申しますか、極端な処置はとらないつもりでありまするが、普通経済界で行われる方式は、これはあえて避ける、べきではないだろう。これはただいま
はつ
きりきまつたわけではございませんが。経済界の問題は、経済界の慣習なり、通常行われる方式をとりますことが普通の処置ではないか、特にこれを別な方向にとりますことが、異常な処置でないか、かような
考え
方をいたす次第でございます。ことにこの
会社
をつくりますに際しましては、石川さん初め皆様方からたびたびお尋ねをいただいておるのでありますが、特にこの
会社
の評価にあたりましては、非常にむずかしい問題があるわけでございます。先ほどちよつと触れましたのれん代をいかに見るかという問題は、ここにいろいろの疑いを持
つて
見られる点もあるわけでございまして、評価はどこまでも嚴正にいたさなければならない。ことに政府の持分といたしましてのこの株式等を、ただちに処分をいたさないで、大蔵省の所管に移して、時価によ
つて
これを処分して参ろうと申しますのも、痛くない腹を探られたくないという気持から出ておる次第でございます。しかしながらどこまでも私経済の事柄でありますので、私経済で普通に行われますものは、特に排除する理由がない限り、やはりその原則に沿うべきではないかということを、先ほど抽象的に申し上げた次第であります。この
会社
設立にあたりまして、特にこれを
考え
ておるので、そこまで断定なさることは、私の表現が、もしさようにとれましたならば、私はその点緩和をいたしますが、さような気持でいることを率直に申し上げた次第であります。
橋本登美三郎
15
○橋本(登)委員 一応この問題については、政府の所信が大体明らかにされましたので打切りまして、本日議題にな
つて
おります両
法案
の問題について、本日は全部にわた
つて
の質疑は困難でありますから、一部の質問を申し上げて、
あと
は次会に保留したいと思うのであります。今回の
公衆電気通信法案
及び
有線電気通信法案
、この両案は、従来の
電信法
を、政府の申すところによりますれば、性格を異にしたものを全然二つのものにわけまして、そこで電気
通信
に関するところの体系を整えた。こういろ意味では、非常にりつぱな
法律
であると思うのであります。そこでわれわれは、ことに
大臣
が、こういうような国民一般に非常に関連の深い
電気通信設備
についてはできるだけこれを国民一般に開放したい。いわゆる政府が独占すべきものではない。こういう観点に立
つて
、できるだけ従来の政府の独占方針から、これを大幅に緩和して、そこでできるだけこうしたものを
利用
する場合においての自由を認めたということについては、非常に革新的な立法であ
つて
、われわれは心から敬意を表するのであります。そこでこの問題のうちのこまかい点については、本日十二分に質疑をする時間がございませんので、これを残しますが、特に事前調査においてもわれわれが問題にしておりましたいわゆるこの
PBX
の問題、及びこれらに関連する問題があるのであります。大体この問題については、今回の新立法によ
つて
その区分が明らかにされまして、か
つて
民間電気
通信
事業の工事者が行
つて
おつたその仕事が、大体において元にもどされまして、自由競争の原則に立つ立法ができておりますけれども、なお二、三の点については、その点が明確にな
つて
おらないようにも感ぜられるのであります。これは逐條審議に讓るべきでありますけれども、とりあえずわれわれはこれを勉強しまして、二、三明確でない点がありますので、この関係について、こまかい点をお聞きいたしまして、政府の意図を明らかにしてもらいたいと思います。それは特にこの問題において、われわれが事前に問題にしたのは、いわゆる第七章の雑則、
利用者
による
設置
の問題ですが、これは今回画期的な一つの
法案
の中心をなすものですが、第百三條の「左の
公衆電気通信設備
の
設置
は、
加入者
又は
専用者
が行うことを妨げない。」という原則が打立てられたわけであります。「但し、同一の
加入電話
の
電話
回線
又は同一の
専用設備
たる
回線
の一端に接続するものの全部についてする場合に限る。」こういうような但書がついておりまするが、この但書の
内容
は、どういうことを意味するのか、その点ひとつ具体的に御
説明
を願いたい。
吉澤武雄
16
○吉澤
説明
員 ただいまの御質問にお答え申し上げます。ただいまの百三條の但書の問題でございますが、これは こういう
趣旨
のもとに書いたのであります。この
PBX
の
構内交換設備
及び
内線電話機
並び
にこれらの
付属設備
、あるいは
専用設備
、
専用設備
と申しますと、市外
専用
の
設備
は代表的なものですが、それが
専用者
の宅内に入りまして、その他の端末
設備
というものが、自由に
設置
できる。これがいわゆる今お話の自営の根本方針をきめたものであります。そこでその端末の場合におきまして、たとえば
交換
機だけは自営するけれども、その
回線
、
回線
の
電話
機が百あるうち、五十だけは直営するけれども、
あと
の五十は
公社
のものでや
つて
もらう。こういうふうな一
部分
のことでは、これは保守上困るし、そういう意味で全部まとめてもらいたいという意味であります。別に利害の問題はございません。
従つて
交換
設備
、
内線電話機
、
付属設備
全部一括してや
つて
もらう。やるなら自営をする。それから
専用設備
の末端の機器も、全部そういうようにしていただく。こういう
趣旨
でありまして、むしろこの方が
加入者
の自営にも非常に適しますし、また
部分
的に
公社
の直営する
部分
あるいは自営する
部分
がこんがらかることによりましての不便、あるいは保守の困難がない、こういう意味でこの
規定
を設けた次第であります。
橋本登美三郎
17
○橋本(登)委員 そうしますと、この
専用線
といいますか、
加入電話
が入
つて
いまして、その
加入電話
から私設のこうした構内
交換
機でもいいのですが、そういうものが引かれた場合においては、それはこれから除外されるというのですか。
吉澤武雄
18
○吉澤
説明
員 ただいまの御質疑の要点は、こういう意味かと存じますので、それに対してお答えを申し上げますが、今までに私設の
設備
を持
つて
おるその場合に、そこに加入
回線
、いわゆる
公社
の局線といいますか、それを引きたい。そうしてそれと接続すれば、これがりつぱな
PBX
に入る。今回この自営を認めましたのは、そういう意味の
利益
もあるのであります。従来は自営なりあるいは直営なりにおきましては、大体においてその加入
回線
とともにPRXを施設する、こういうのが大体普通のやり方でございましたが、今回は他の方の有線電気
通信
法によりまして、同一構内、同一
建物
内におきますところの
電気通信設備
は自由に
設置
する、こういうことでございますがゆえに、その重要な
設備
を持
つて
おつた既設の私設
設備
を
利用
いたしまして、新しく
公社
に申し込んで加入
回線
を
設備
して、
PBX
もできますし、またはすでにその同一構内に加入
回線
を持
つて
おつた、しかしながら今までは接続を許さないために構内だけの私設
設備
に終
つて
おつたものも、その構内にあるものと同じように、加入
回線
とともに接続するということも同一にこの百三條においてできるものと御解釈願いたいと思います。
橋本登美三郎
19
○橋本(登)委員 そうしますと、これは従来の
加入電話
を持
つて
お
つて
、それに対して今度はあらためて
PBX
といいましようか、私設
交換
台を設ける、こういう場合においては、この
條文
において一般の連中も保守及び維持ができるのだ、こう解釈してよろしいですか。
吉澤武雄
20
○吉澤
説明
員 その
通り
解釈してよろしいと思います。
橋本登美三郎
21
○橋本(登)委員 なおこの
條文
も、どうも見ようによりますと、何か新たにこれから第一号の「
構内交換設備
及び
内線電話機
並び
にこれらの附属
設備
」及び二、三号、こういうようなことが新しく施設せられる場合において適用せられるものか、従来施設せられてお
つて
現在は電通省が保守及び維持の任に当
つて
おる、こういうものもあらためて今度は
利用者
の希望によ
つて
いずれが
利用
してもよろしい、こういうふうになるのか、その点について不明確なんですが、それはどう解釈してよろしゆうございましようか。
吉澤武雄
22
○吉澤
説明
員 百三條に関する限りは、別に新たにというような意味でございます。先ほど申したように、既設のものも
利用
できる。そこで過去のものについての問題が一応御疑問になろうかと存ずるのであります。と申しますのは、
昭和
二十三年もしくは二十五年以来自営を禁止いたしまして、本来ならばその
加入者
が持
つて
おる
設備
も電通省に買い取るなり、あるいは寄付するなりいたしまして電通省の
設備
として所有をし、かつ保守し行くということを当時希望したのでありますが、諸種の事情によりまして所有権は
加入者
におくが、保守は統一してやつた方が、公衆電気
通信
全般のより円滑なる疏通をなし、かつ
利益
であろうということで、一時的な措置として、ただいま
加入者
に対して、所有権あるものに対して、こちらが保守を引受けて、いわゆる保守引受けのものについて今後どうなるか、この問題が御質問の中に一点あろうかと思います。これにつきましては、今後自由に、
公社
の方に保守はいらない、わしの方で所有権もあるし、自営をする、また保守をするという御希望があれば、ただちにその方にお許しをする次第であります。なお今後
公社
の方でやる直営の方に、
電信電話
債券を買いましてする場合もあるだろうと思います。その場合におきましても保守だけはおれの方でやる、所有だけは
公社
でや
つて
くれ、こういう点は因りますがゆえに、今後新しく直営の場合におきましては、これは保守も所有も
公社
の方でや
つて
行く、こういうふうに
考え
ております。なおまだ今後におきましても直接自営はしたい、自営はするけれども保守者の適任者がない、そういう場合にひとつ
公社
の方で保守だけ引受けてくれないかという場合も予想されますために、そのようなことはこちらといたしましても
サービス
の点でできるだけ御要望に応じたいと思いますがゆえに、
業務
上支障ない限りその点も保守だけでも引受けて御希望に応じたい、こういうように
考え
ております。
橋本登美三郎
23
○橋本(登)委員 そういたしますと、政府が所有しておる分担金といいましようか、措置法によ
つて
金を出して政府の所有にな
つて
おるものについては、これは政府の方においてといいましようか、
公社
の方において今後は保守も行いたい。それからそうでなくして、今日でも民間の所有にな
つて
おるものは、もしこれを
公社
でや
つて
ほしいと言えば
公社
でやるし、民間でや
つて
もらいたいと言えば民間でや
つて
もらいたい、こういうように解釈してよいのですか。
吉澤武雄
24
○吉澤
説明
員 第一の問題につきましては私の御
説明
で実は漏れましたので、御疑問をお持ちに
なつ
たと思いますが、第二以下の問題はおつしやる
通り
であります。政府が、すでにただいままでこの
電話
設備
費負担臨時措置法によりまして負担金を拂
つて
おる、そうしてその所有権が電通省にある、こういうものは一体どうするかということにつきましては、目下取運び中の
施行法
におきまして、当時の
支拂
いした金に当るべき額に相当する
電信電話
債券を交付したい、もしくはそのまま無償で
設備
を
讓渡
する、いずれかの
方法
によりまして、過去のものを今後自営にすると同じような立場で均衡をとりたいという意思のもとにや
つて
おります。
従つて
その点もやはり自由に自営もできますし、あるいはそうでない場合もできる、こういう形になると思います。
橋本登美三郎
25
○橋本(登)委員 それから第百三條の問題ですが、その中の一、二、三の三号ですが、三項の「
専用設備
の端末機器その他端末の
設備
」、この項目の中には、いわゆる普通いわれるところの転換器、またはこれを分器によ
つて
増設
をする
電話
の
設備
、この
設備
は三号の中に入
つて
おると解釈してよろしいか、あるいは入らないのか、その点はどうですか。
吉澤武雄
26
○吉澤
説明
員 この点につきましては、今の転換器によるのは
付属設備
という中に入
つて
おります。実は
法案
の第三十三條に附属機器という項目がございます。この中の代表的なものがいわゆる転換器すなわち乙増と申しますが、それは直営で行きたいと
考え
ております。その理由といたしましては、実はこの
加入電話
はこれは直営でやる。
加入電話
からわずかにスイッチによりまして、その転換器によりましての乙増というものについては、保守する場合に
加入電話
とともに保守する方がいいのじやないか、またその別々な場合におきましてはいろいろの不便が起り嫁しないか、むしろ今一般の御要望というものを察しますと、
PBX
の方につきましては各方面から非常に御要望にな
つて
おりますが、この乙増に関しましては、ただいまのところあまり強い御要望はない。むしろ最近におきましては私どもとして積極的に、乙増だけは予算あるいは資材ということに関係なく、五千円の負担金を拂
つて
いただけばいつでも即時につくという態勢にや
つて
おります。従つで乙増で自営するというような御希望がないということと、先ほど申したような実際上の便宜、かつまた保守の面から、今後も乙増につきましては自営でいきたい、こう
考え
ております。
橋本登美三郎
27
○橋本(登)委員 どうもこの項目からいうと、転換器及び附属機器というものは入
つて
おらないように
考え
ましたので質問したのでありますが、ただこの点はなるほど政府側から見れば大体
加入電話
の延長とも見られるので、保守の責任上からい
つて
も、一括してこれを行いたい希望は大体わかるのであります。ただこれを沿革的に、歴史的にいうと、政府が一切をこういうぐあいに独占事業でやる前においでは、この転換器及び
電話
の
増設
は、自由に民間業者が行えておつたとわれわれは聞いておるのですが、そういうか
つて
の事情から見て、はたして当時ぐあいが悪くて、政府が
加入電話
と一括してやつた方がいいということにな
つて
そう
なつ
たのか、それとも、もちろん民間業者にか
つて
の技師がいるのであるから、やらしても技術的には何ら不便はないけれども、いろいろな事情によ
つて
、やはり
公社
が一手にやる方がいいと
考え
るかどうか、この点について伺いたい。
吉澤武雄
28
○吉澤
説明
員 実はこの負担法直後あるいは負担法直法におきまして、この乙増の
増設
整備をいたしましても、なかなか十分に資材がないために、応じない。そこでやみの業者と申しますか、そういう人たちが跋扈いたしまして、なかなか電通省の方へ頼んでもうまく行かぬ、私の方に機械があるから、これをおつけしましようという意味におきまして、不法施設が非常に多かつたのであります。これに対しまして不法施設があるということを発見されますのは、保守に行つたときに発見されるのであります。そのために乙増の機械が悪いかあるいは保守が悪いか知りませんが、
加入電話
あるいは相手方の
電話
の疏通を乱すという結果を痛切に感じました。そこで五千円という負担金を出したのでありますが、今日大体電気
通信
省でメーカーから購入されておりますところの
電話
機一個の値を申しますと、磁石式の
電話
が一番高いのであります。これは一個約六千九百円ぐらいいたすのであります。それから共電式がやや安く四千円ぐらいですが、自動式におきましても五千数百円する。そこで五千円を拂
つて
も、これはむしろ
加入者
が市価で買うよりも安くつくのじやないか。今日では価格的に申しましても、すでに五千円の負担金を拂
つて
もいいのじやないか。かつその機械は当局の方で十分に吟味いたしますし、また接続につきましても十分検査をいたしますために、
加入者
においても安心していられる。すでにこういう状況になりましたので、むしろこれこそ直営で
公社
ができる幅としての
サービス
でやるべきじやなかろうか。こういう意味をもちまして今回乙増のものはまず認めて行きたくないという
考え
でおります。
橋本登美三郎
29
○橋本(登)委員 政府の希望といいましようか、電通省側の希望はよくわかるのでありますが、ただこれは
考え
ようによりましては、五千円の負担金を出して引く、政府の方は大体五千円でも
つて
基本金としておるわけですが、その上に毎月損料と申しまして、維持料か何かをもら
つて
いるのであります。そうなると、もしこれを自由にした場合に、あるいは二千円なり三千で同じようなものを引けるかもしれない。というのは、あえてこれで買えるというわけじやないのですが、毎月同じような損料をもら
つて
や
つて
行けるならば、必ずしも購入価格の五千円に近い金をもらわぬでも、二、三千円のものをもら
つて
、あるいは無料で貸して、毎月の維持料というものによ
つて
拂わせる、こういう
方法
もできるのじやないか。こういうところに非常に独占事業の無理があるのであ
つて
、そういう点から言えば、こういうものも
電話
の本筋から言えば、必ずしも本筋のものではないから、一応開放して、もつと自由な競争の中に
利用者
の便利に供した方がいいのじやないか、こういうぐあいにも
考え
られるのですが、そういう点について当局として、今急にはそういうことも困難でありましようが、将来ころいうことについてどう
考え
られるか。この点についてお聞きしたい。
田邊正
30
○
田邊
(正)
政府委員
ただいまの乙種
増設
電話
の問題でございますが、お話のような事情もあるかと思いますが、将来におきましてもこれはやはり
公社
におきましてや
つて
参ることが適当ではないかというふうにも
考え
ておるわけであります。と申しますのは、ただいまお話の中にも、乙増の
電話
は本筋ではないというふうなお言葉もございましたが、私たちといたしましては、普通の
加入電話
の場合ではございませんで、
PBX
とか乙種
増設
電話
というものを含めまして、これはすべて市内の
電話
網と申しますか、そういうものを形成しておるものでございます。
従つて
そのすべての
電話
機がやはりりつぱな質の
電話
機でなければなりませんし、またその保守の程度というものも、やはりある程度統一的に良好であらねばならない。それが全体の市内
通話
というものを円滑に疏通いたします場合に、一番望ましいことと
考え
られるわけであります。
PBX
につきましてはいろいろ民間の方の御要望もございましたが、
公社
の方の現在の力におきましては、注文を受けまして、すぐあすからそれをつくるということも困難な事情もあります。乙種
増設
電話
に、つきましては、ただいま吉澤
説明
員からお答えいたしましたように、注文がありましたならば、手間をかけませんで、御希望に応じることができるような形で着々と参
つて
おるわけであります。そういう意味から申しまして、この乙種
増設
電話
につきましては、将来におきましてはやはり
公社
の方でや
つて
参りたい、かように
考え
ております。
橋本登美三郎
31
○橋本(登)委員 私が今そのことを申し上げるのは、
有線電気通信法案
の原則として、こういう
設備
に対しては一応
公社
が持つものと、民間が自由にできるものというものを区別した。どつちかと言えば、要するに政府の監督及び
基準
に沿うてやれば、原則としてだれがひつば
つて
もいい。大ざつばに言えば、そのくらいに
設備
については一般に開放された
法律
案が今度できるわけです。ところがこつちの
公衆電気通信法案
の方では、どつちかと言えば、
公社
の
法律
といつたような、主として
公社
のために
法律
をつく
つて
いるわけですが、唯一のその基本法である有線電気
通信
法では、できるだけ
電気通信設備
というものを民間にもやらしていい。しかもものによ
つて
は
認可
もいらない。これくらいに思い切
つて
開放したのですから、それの一つである
電話
のごときものも、その根幹はやはり一応政府として、あるいは
公社
として握
つて
おく必要があるけれども、その末端の運用あるいは
部分
的なことは、原則として開放することの方が、この
有線電気通信法案
というものをつくる一方において、
公衆電気通信法案
というものをつくつた
趣旨
ではなかろうか、こういうふうに
考え
る。ただこの問題は、
公社
の財政状態に大きい影響がある、こういう議論から行けば、これは別問題になると思いますが、そうではなくして、
電気通信設備
から言えば、私の
考え
の方が合理的じやないか。ただ私の
考え
が合理的であるが、現在の
公社
というものを維持運営せしめるためには、あまり開放してしま
つて
はや
つて
行けないということもあり得るだろうと思うのですが、そういうことから言えば、いろいろの事柄があるだろうと思いますけれども、原則としては、私の
考え
ていることの方が筋が通
つて
いるのじやないかと思うのです。その点について御意見を伺いたい。
田邊正
32
○
田邊
(正)
政府委員
お答えいたします。今度の
有線電気通信法案
におきましては、
公社
以外のものが
設備
をする
電気通信設備
につきましては従来とかわりまして、非常に大幅に
制限
を緩和いたしたわけであります。しかしそれは一つには、
公社
が
公衆電気通信業務
を経営いたします場合の独占と申しますか、その独占に対しまして障害を與えないとこういうと、もう一つは、できるだけ広く一般に電気
通信
の利便を享受させる道を開いておくということと、その二点の調整の問題でございまして、われわれは有線
電気通信設備
の
設置
の自由を認めることが、今申し上げた二つの要請を調整する一番いい
方法
ではないかというふうに
考え
たわけでございます。
従つて
有線電気通信法案
におきまして、
公社
のやる幅と
公社
以外が
設備
し得る幅を
はつ
きりきめたわけでございまして、
公衆電気通信業務
は言うまでもなく
公社
が当然その任務としてや
つて
参らなければならぬ。ただ
公社
が自分の独占に属する仕事をや
つて
行きます場合に、たとえば局舎を建てる場合、これは自分の手に負えませんし、また民間に建築業者があるのでございますから、そういうものを
利用
する、あるいはまた
市外線
路を建設する場合にも請負をやるというふうに、
公社
が行う事業
内容
を実際自分の手でやるか、あるいはその一部を民間に請負わせて、民間の助力を求めて行くかということは、仕事のやり方でございまして、仕事の幅ではないと
考え
るわけであります。それで今の
増設
電話
の問題につきましては、これは当然
公社
でやるべき仕事である、そしてまた
公社
の力も、現在において
増設
電話
につきましてはとにかくあまり希望者に御迷惑をかけないで、
需要
を満たして行けるという形にな
つて
おりますので、やはり
公社
においてやることが適当である。また収入の点につきましても相当な影響があるわけでございます。そういうふうな意味から、やはり
増設
事業については
公社
でやつた方がよろしいという
考え
を持
つて
いるわけであります。 なおもう一点申し上げれば、この
有線電気通信法案
において、
公社
のやる幅と
公社
以外が有線
電気通信設備
を
設置
できる幅とを
はつ
きりきめてございますが、それをきめましたのは今申し上げた二つの要請を調整するということでや
つて
参るのでありまして、
従つて
有線電気通信法案
において相当大幅に有線
電気通信設備
の
設置
の幅を認めましたけれども、これは
公衆電気通信業務
のための
設備
の幅を広げたものではございませんで、自分の
専用
に供する施設について大幅に
制限
を広げたわけでございます。
従つて
このように大幅に
制限
を広げられた有線
電気通信設備
の
使用
の場合におきましては、
公衆電気通信業務
にわたらないように一定の
制限
をいたしておるわけでございます。
橋本登美三郎
33
○橋本(登)委員 その問題はそのくらいにして、やはりこまかい問題ですが、この中を見てみますと、よく問題にな
つて
いるビル建築などに施行する供給線工事といいますか、あの
規定
についてはこの項目でまだ明らかでないようであります。従来は供給線工事については必ずしも特定の人がやらなくても、いわゆる電気事業者といいましようか、だれでも電燈工事というものをや
つて
もいいようにな
つて
いたようですが、これについてはどう
考え
ておられるのか、あるいはまた省令その他によ
つて
そういう問題を別に企図する
考え
があるのか、あるいは従来同様にだれがや
つて
もいい、もし悪ければ
あと
で直せばいいのだという
考え
でこの問題に触れておらないのか、この問題についてちよつとお伺いいたしたい。
吉澤武雄
34
○吉澤
説明
員 お話のごとく、現在におきましては宅内の配線用の暗渠導管の供給
並び
に
設備
は
加入者
がなすということにな
つて
おります。その技術
基準
をどうするか、あるいは特定の資格を持つた業者でなければ許さないということにつきましては、ただいまのところ自由に工事をさせ、かつ技術
基準
についても積極的なとりきめをしておりません。しからば今後においてはどういう
考え
を持
つて
いるかということでありますが、大体ビル等におきましては、ビルの建築中において、将来そのビル内における
電話
の
需要
を予想して暗渠導管をつくるというのが大体のやり方でございます。その場合に電燈線と同一の導管の中に改めるということは非常にまれでありまして、ビルにおいては
電話
線は
電話
線だけの導管をも
つて
各部屋の中に引込線を設けるという実情であります。そこで今後におきまして
PBX
の
設置
及び保存の工事につきましては、
郵政省令
の定めるところによ
つて
、
公社
が認定する資格を持つた者でなければ許してはいけないということにきめましたが、その業者は右の資格を持つた者に限るという
考え
をただいま持
つて
おります。しからば
PBX
と同じような技術
基準
を暗渠導管まで適用させるかということについては、目下検討中でございますが、大体支障ないというならば今のところ自由にいたしたいと思いますが、
電話
線の暗渠導管ですから、できれば勧告、慫慂の程度でよろしかろうという意味で、そういうような技術
基準
を指導いたしたいと
考え
ておりますが、これは技術的にちよつとできにくいと
考え
ております。
橋本登美三郎
35
○橋本(登)委員 それからこれに関連するのですが、第七項に工事担任者の認定ということがあるのですが、従来は業者の
認可
と、従事者の資格認定と、責任者の
三つ
にわかれていたように思うのです。ところが今度の法令では、工事担任者だけが認定されて、業者の
認可
とか、責任者の
認可
という問題がはずされているのですが、どういう事情でこう
なつ
たのですか、その事情を御
説明
願いたい。
吉澤武雄
36
○吉澤
説明
員 お答えいたします。お説のごとくただいまにおきましては、工事の担当者それから従事者の二つにわけて、それぞれの差異を設けた資格
試験
をも
つて
認定いたしております。しからば今度の
法律
案においては一つにな
つて
いるじやないかというようにお
考え
でありましようが、実は第七項は、今日や
つて
いると同じように工事担当者いわゆる責任者である業者、またその業者が責任をも
つて
使う従事者いわゆる直接工事に従事する者、こういうものを含めた従事者の
試験
も第七項でや
つて
行くつもりであります。
橋本登美三郎
37
○橋本(登)委員 この工事担任者の
試験
内容
ですが、この
規定
によりますと、四十九條及び五十條の
規定
を準用するとな
つて
おりますが、四十九條、五十條を見ますと、
電話
の
交換
手的なことであ
つて
、工事に関するような技術
試験
ではないように思われるのですが、この点どう解釈したらよろしいのですか。
吉澤武雄
38
○吉澤
説明
員 この工事に従事すべき者の資格の要件につきましては、おのずから
交換
手の資格と違うのでありますが、この
試験
の
方法
とか、あるいは資格証を交付するとか、そういうようなことにつきまして、この
交換
手の認定を準用することになりました。
内容
についてはおのずから必要なる課目なり、あるいは
試験
の
内容
を施したいと
考え
ております。
橋本登美三郎
39
○橋本(登)委員 時間が大分過ぎましたから、
あと
の問題は次の
機会
に讓りたいと思いますが、一つだけちよつとお聞きしておきたいのであります。これは有線
電信電話
ではないのですが、たとえば現在電波の
利用
については非常に広範囲に認められておる。そこで最近たとえば
新聞社
が超短波を
利用
したニュース・カーを
利用
して
電話
によ
つて
本社と接続をする、そして
電話
連絡によ
つて
材料を入手するわけです。あるいはまた最近では通運業者といいましようか、運送業者がそういうような超短波を
利用
して、荷物がここにあるから寄れということをトラックと連絡をと
つて
やろうというように、超短波
電話
というものが非常に広範囲に
利用
されようとしている。これは今日の有線
電信法
及び公衆電気
通信
営業
法には触れるわけには行かないのですか。そういうものによ
つて
電信電話
の領域がわかれて来るのではないか。そういう問題に対して政府としては、この電波というものは国民のものであり、国民が広くこれを
利用
するのだという電波法の建前はありますけれども、実際上はこれがなければ、
電信
なり
電話
をも
つて
これが連絡の用に達している。ところが今度は超短波
電話
によ
つて
これを行うということによ
つて
料金
はいらないわけですが、こういう将来の問題との関連について、この
法案
には直接関係がありませんが、将来の
公社
の財源等にもいろいろ影響があると思いますので、そういう問題についでどう
考え
ておられるか、最後にお聞きいたしまして、
あと
の問題は次にお聞きしたいと思います。
田邊正
40
○
田邊
(正)
政府委員
お話のような事柄は最近たいへん多いのでございまして、私たちもその問題について
考え
ているものでありますが、今度有線電気
通信
法におきましては、自分の
専用
に供するもの、そういうものにつきましては大巾に
制限
を
解除
したわけであります。同じように電波法につきましても今お話のような場合におきましては、やはり無線でありますけれども、自分の仕事の
専用
に供する場合もございます。
従つて
有線電気
通信
法によ
つて
そういう緩和をいたしましたこの際、無線につきまして逆に
制限
を強化するというようなことは妥当ではないというふうに
考え
ましたので、その点は
規定
いたさなかつたのであります。と申しますのはもう一つありまして、むろんそういうふうな事業のために超短波を使います場合には、無線局の免許を受けるわけでありますが、
公社
といたしましても将来そういう方面におきまして無線
電話
の仕事をや
つて
参る必要は
考え
ております。たとえば現在一つ
考え
ておりますのは、東京とか神戸とかいうような港におきまして、港の船と陸上との
市外通話
を、本年度から東京、横浜港と神戸港におきまして実施に移したいと
考え
ているわけであります。それからまたいろいろと
考え
て参りますと、
公社
においても将来無線
電話
を
利用
して参るという部面が相当多いと思いますが、現在の状況におきましては、現在や
つて
おります仕事につきましてもななか思うにまかせない点がありまして、そこまで手が延びないという実情でございます。
従つて
今仰せになりました問題につきましては、むろん
公社
としては将来の
営業
内容
と申しますか、事業
内容
としては
考え
て参りたいと思いますけれども、しかしさしむきの問題としてそれを扱
つて
参るほど財政上の余裕がないというふうに
考え
ているわけであります。
田中重彌
41
○
田中委員長
本日はこの程度にとどめ、来る十七日午前十時より開会いたすごとにいたしまして、これにて散会いたします。 午後四時十七分散会