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1952-06-11 第13回国会 衆議院 電気通信委員会 第35号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
二十七年六月十一日(水曜日) 午前十一時六分
開議
出席委員
委員長代理理事
高塩
三郎
君
理事
關内 正一君
理事
橋本登美三郎
君
理事
長谷川四郎
君
理事
松井 政吉君 井手 光治君
加藤隆太郎
君 小峯 柳多君 庄司 一郎君 辻 寛一君 福永 一臣君
椎熊
三郎
君
石川金次郎
君
出席政府委員
電波監理委員会
委員長
網島 毅君
電波監理長官
長谷 愼一君
総理府事務官
(
電波監理総局
法規経済部長
) 野村 義男君
委員外
の
出席者
参 考 人 (
船舶通信士協
会常任委員長
)
山縣
忠重
君 参 考 人 (
日本船主協会
専務理事
)
神田禎次郎
君 専 門 員 吉田
弘苗
君 専 門 員 中村 寅市君 六月十一日
委員三木武夫
君辞任につき、その補欠として椎 熊
三郎
君が議長の指名で
委員
に選任された。 ――
―――――――――――
六月十日
有線電気通信法案
(
内閣提出
第二四五号)
公衆電気通信法案
(
内閣提出
第二四六号) 同月九日 上之保村の
電話線路架替え
に関する
請願
(武藤 嘉一君
紹介
)(第三四七八号)
ラジオ放送施設
の
拡充強化
に関する
請願
(倉石 忠雄君
紹介
)(第三四七九号) 同(
吉川久衛
君
紹介
)(第三五一九号)
テレビジヨン
の
民間放送許可
に関する
請願
(高
橋清治郎
君
紹介
)(第三六三四号)
テレビジヨン
の
公共企業
に関する
請願
(
高倉定
助君
紹介
)(第三六五三号) の
審査
を本
委員会
に付託された。 同月十日 三原市の
電話施設増強
に関する
陳情書
(第二三三〇号) 曙村の
電話架設
に関する
陳情書
(第二三三一号)
テレビジヨン
の
民間放送許可
に関する
陳情書
(第二三三二 号) を本
委員会
に送付された。 ――
―――――――――――
本日の会議に付した
事件
電波法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
第二 二三号) ――
―――――――――――
高塩三郎
1
○
高塩委員長代理
これより開会いたします。
委員長
がお
見え
でありませんので、私が
委員長
の
職務
を行います。
電波法
の一部を
改正
する
法律案
を議題とし、
審査
を進めます。本日
参考人
として
船舶通信士協会常任委員長山縣忠重
君、
日本船主協会専務理事神田禎次郎
君がお
見え
にな
つて
おりますので、最初に
参考人
の方より
意見
を聴取いたしたいと存じます。
山縣恵重
君。
山縣忠重
2
○
山縣参考人
ただいま御指名いただきました
船舶通信士協会
の
山縣
であります。このたび
審議
されます
政府提出
の
電波法
の一部を
改正
する
法律案
のうち、
海上無線業務
に関する点について、二点修正していただきたい旨を
さき
に御
請願
申し上げておるのでありますが、これらについて
参考意見
を申し述べる
機会
を与えられましたことを深く感謝いたします。
請願
の第一点といたしましては第二級
通信士
の
従事範囲
を若干広げていただきたいということでございます。第二級
通信士
の
資格
は、
国際電気通信條
約に
規定
する二級
通信士
に
相当
する旨を裏書きされた国際的な
免許証
でありまして、
国際電気通信條
約は、その
附属無線通信規則
で、第二級
通信士
が
国際通信
を行い得ることを
規定
しています。
従つて
当然それに必要な技術上、
職務
上の知識と技能を要し求しておりまして、これに対する
国家試験
は、その要求に適合する
能力
を基準として行われております。
現行電波法
におきましては、この二級
通信士
はあらゆる場合、
一級通信士
の指揮のもとでなければ
国際通信
に従事できないように
規定
しているのでありますが、これは二級
通信士
の
資格能力
に対し、いささか厳格過ぎると思うのでございます。同じ
国際通信
に関します
資格
とは申しよしても、一級、二級という
資格
の差別がございますから、その上位にある者の
責任下
に
国際通信
を行わせるという
考え方自体
に反対するのではござい工せんけれ
ども
、もう少し国際的に認りられた線に
沿つて
その
範囲
を広げてもさしつかえないのではないかと思うりでございます。一口に
国際通信
と申しましても、
戦前
と戦後は
大分内容
が違
つて
おります。
朝鮮
や
台湾
、沖縄または
千島
などは、
戦前
はもちろん
国内通信
の
範囲
内でございましたが、今日ではすべて
国際通信
の中に入
つて
おるのでございます。
昭和
二十五年
現行電波法
が
改正
されます以前は、旧法によ
つて
二級
通信士
はこれら
近海
各
方面
で、
船舶局
の
通信長
として十分その職員を果して来たのでございますが、今度はこの
法律
でその
職務
を行
つて
は
なつ
ないということにな
つたの
でございます。
外国
にな
つたの
でございますかつ、多少
通信
の
内容
な
ども
相違があるでしようが、
資格
の上からも実際
能力
からも十分であると認められるのに、このように制限するのは少々極端ではないかと思うのでございます。この
規定
で二級
通信士
が非常にその職場が狭められ、
上級資格
を取得するのもなかなか容易ではありませんから、生活上に大きな不安を感じているのでございます。もつとも
法施行
に対する
経過措置
として、附則第九で
施行
後三年間は、
さき
に申し述べました
航路区域
からは
近海
第一区でございますが、その
区域
内は二級
通信士
の
通信長
でもよいことにな
つて
おりますから、今はよいとしましても、この
措置
は明年五月末で失効しますので、その際は全般的に
一級通信士
と入れかわらねばならないことになり、
通信士
はもちろんのこと、
船主
さんの方でも配乗上
相当
の困難が起きて来ることが予想されるのでございます。以上申し述べました
通り国際條
約の上からでも、また実際
業務
を行う上からしても、別に不都合はないのでございますから、
現行経過措置
を
本條
第四十條の当該
條項
の
但書
に挿入し、
近海区域
第一区においては、二級
通信士
が
通信長
として従事し得るよう、この
機会
に修正していただきたいと思うのでございます。 次に
請願
の第二は、
警急自動堂信機
に関する件でございます。一九四八年ロンドンで締結されました
海上
における
人命
の安全のための
国際條
約は、新たに
旅客船
と千六百トン
未満
五百トン以上の
貨物船
に
無線設備
をすることと、
旅客船
と千六百トン以上の
貨物船
に
無休聴守
を
義務
づけたのでございます。これは
無線
の常時
聴守
が、船の安全を期する上にきわめて重要だという認証の現われだと思うのでございます。私
たち通信士
は、
日本
で初めて商船に
無線
が装備され、
定員
一人のころからその
業務
上の
経験
を通じて、
無休聴守
でなくてはいけないことを痛感し、
三直制
による常時
執務
を強く主張して来たのでございます。そしてそれが
海上
危険が増大した
戦争直前
にほぼ実現したような次第でありまして、このことが
国際條
約で
規定
されましたのは、何とい
つて
も
海上
安全にと
つて
大きな
進歩
であり、私
たち海上労働者
としては喜びにたえないところでございます。この條約に適合するために
船舶安全法
が
改正
され、同時にまた
電波法
も
改正
されることにな
つたの
でございますが、今度の
改正法案
を見ますと、
せつかく
の
進歩
的な
措置
を実質的には効果のないものにしてしまうような箇所が見受けられるのでございます。すなわち第六十
五條
の第一項、第二項では、五百キロサいクルの
指定
を受けている第
一種局
、これは
総トン数
三千トン以上の
旅客船
と五千五百トンを越える
貨物船
の
船舶無線電信局
をさします。及び第二種局、これは甲乙の
区別
があ
つて
、甲は
船舶安全法
第四條の
船舶
で、
総トン数
五百トン以上三千トン
未満
の
旅客船
と、千六百トン以上五千五百トンまでの
旅客船
以外の
船舶
の
無線電信船舶局
をさし、第二種局乙、これは第
一種局
に該当しない
旅客船
以外の
船舶無線電信局
で
公衆通信
を取扱うものと、第
一種局
及び第二種
局甲
に該当しない
旅客船
の
船舶局
をさしますが、これらは五百キロ
サイクル
で常時
聴守
するこことし、さらに五百キロ
サイクル
の
指定
を受けている
海岸局
及び第
三種局甲
、これは
総トン数
五百トン以上千六百トン
未満
の
旅客船
以外の、
船舶安全法
第四條の
船舶
の
船舶局
で、
公衆通信
を取扱わないものをさしますが、これらの
義務運用
時間は五百キロで
聴守
することを
規定
しておりますけれ
ども
、第六十
五條
の第四項におきましては、
運用義務
時間以外は
警急自動受信機
による
聴守
でもよいとしているのでございます。これを裏返せば、
警急自動受信機
をも
つて
通信士
にかえ得ることであり、
通信士
を減らしてもさしつかえないのだという
規定
となるのでございます。なるほど
国際條
約でも
警急自動受信機
の
聴守
を認めておりますし、現に
外国船
などでも使用しておりまして、それらの
関係
からするならば、しごく当然のこととお考えになるかと思います炉、案はそごにきわめて重大な問題があるのでございます。 まず第一に、
警急自動受信機
はとうてい
通信士
の
かわり
にはならないということでございます。この
警急自動堂信機
という
機械
は、
日本
でもか
つて
大型船
に使用されたことがございました。私
ども
もそれを操作した
経験
がございますけれ
ども
、
毎日所定
のテストをして異状のないことを確かめた上、
執務
時間を
終つて就眠
前には必ず
作動状態
に置いたものでございますが、けたたましい警鈴に起されて
受信機
のスイツチを入れてみると何でもなかつたり、朝起きてみると、寝ている間に
遭難船
があつたりして、さつ
ぱり役
に立ないばかりか、
通信士
に無用の煩労を加えただけでございました。もちろん日進月歩といわれる
電波科学
の発達によりまして、今日の
機械
の
性能
はそのころのものより高くな
つて
いることではありましようが、しかもなお
限界
のあることは否定できません。
米国船
の
通信士
の
労働協約
では、
オート・アラーム
によ
つて執務
時間外に起された場合は、時間
外労働
として手当を支払うことを協定しているのでございますが、その場合、
空電
によ
つて
七回以上作動したならば、その
オート・アラーム
はとりかえねばならないという
條項
が設けられてあります。これは
アメリカ
では
通信会社
が
通信士
と
機械
を供給しているからでございますが、この例によ
つて
見ましても、
アメリカ
の
機械
ですら
空電
で作動することがあるのでございます。今後装備しようとする
機械
は、
所定
の規格に照して厳重な
性能検査
が行われ、それに合格したものとなりますから、確度も
相当
高いものとなるではございましようが、
無線機器型式検定規則
第十七條の第五号では、
空電
その他
警急信号
以外では作動しないこと、但し事実上
警急信号
を構成する場合はこの限りでないと
規定
しておりまして、相重畳する
空電
がたまたま
警急信号
を構成したら、結局
空電
でも作動することになるが、これはしかたがないのだとしているのでございます。私
たち
は
科学
の
進歩
とその成果を否定するものではございませんけれ
ども
、
機械
の
性能
にはおのずからある
限界
があ
つて
、しよせん意思を持たない
機械
は、人間の
かわり
にはならないことを認めないわけに行かないのでございます。 第二には
警急信号
で作動するこの
機械
は、その
信号
を伴わない
遭難通信
に対してはまつたくのおしであるということでございます。
警急信号
といいますのは、四秒時長の長点を一秒時間隔で三回以上をも
つて
構成し、これを
遭難通信
の
直前
に発射することを建前としているのでございますが、
遭難通信
の発信はその性質上一般に慎重に扱われます。現在の
電波法
百六條の第二項によりましても、
遭難通信
を発した場合には三箇月以上の懲役というような
規定
があ
つて
、そうしたことから、非常に慎重に取扱われる。
警急信号
を発射するいとまがないとか、または余裕があれば
緊急通信
で漕難の危険をあらかじめ通知し、それに引続いて
遭難通信
に移るという場合が多いのでございます。
従つて
そこには
警急信号
の伴わない
漕難通信
が間々あるのでございますが、それらに対して
警急自動受信機
はまつ
たく用
をなさないのでございます。これは
漕難通信
の実体から来るもので、いかに
機械
の
性能
をよくしても解決のできない点でございます。 このように
機械
の
性能
の限度からしても、また
漕難通信
の実情からしても、きわめて不十分なことは明らかでございますが、もしこれが本
改正法案
の
通り
に
なつ
たとしたら、どんな結果になるでございましようか。
昭和
二十七年三月一日現在
海上保安庁
の
調査
によりますと、五百トン以上の船は八百十九隻で、そのうち第二種局、つまり五千五百トン以下の
貨物船
と三千トン
未満
の
旅客船
以下の船は七百四隻を占め、さらにごのうち
近海
に就航するものは、五百トン以上四千トン
未満
として五百四十二隻となりますが、これらの船は
船舶局
の
区別
によりまして、それぞれ十六時間、八時間あるいは四時間の
限定執務
で、その時間は
AC條
約付録第十三
号C地帯表
に基き、
東部インド洋
、支那海、
西部太平洋
にあるものは全部同様に定められているのでございますから、それらがいずれも
運用講務
時間以外を
警急自動交信機
で
聴守
するとしますると、この
区域
内に就航する全
船舶
に、
警急信号
以外にはまつたくつんぼとなる空白時間が、
日本
時間で午前塵。時から時、午前七時から九時、午後三時から五時、午後七時から九時、午後十一時から十こ時と現われて来るのでございます。この時間中は
警急信号
が正確に発射され、それによ
つて警急自動党情機
が確実に作動しない限り、いかなる
信難
が起
つて
も救助したり、されたりすることはまつたく望めず、実に慄然たる思いがするのでございます。 これは若干古い話になりますが、一九三八年
英国
の
大型貨物船アングロ・オーストレリアン号
という船が、大西洋でか地中海でか判明しないのですが、ともかく行方不明に
なつ
た
事件
がございました。これに関し
英国通信士
のジヨン・エドワード君は
英国無線技士協会
に寄せた手記の中で、次のように言
つて
おります。
英国船
は
オート・アラーム
を装備し、限定された
運用
時間以外はそれに
聴守
をゆだねていた。その船も、
無線装置
も、また
通信士
も優秀であつたはずなのに、
遭難通信
がまつたく他船にキヤツチされなか
つたの
は、
船主資本家
の利益のために採用された不完全な
オート・アラーム
のせいである。
オート・アラーム
はときどき役に立つだけのものであるのに、
政府
は
通信士
と同じように役立つものとして愚劣な立法をしたため、この
悲惨事
が引起されたのだ。
英国通信士
は団結して、
通信士
による二十四時間
ウオッチ
を実施せしめねばならない。このように強調しているのでございます。さらに古くは一九一二年の
タイタニツク号
の惨事もあり、
無休
の
ウオッチ
がなされなかつたために、あたら多数の
人命
が失われた事例は決して少くないのでございます。 特に
日本近海
は、その地形と
気象状況
などから、世界的に
航海
の
難所
とされておりました。
従つて遭難率
も高く、
昭和
二十六年の
海難
で、汽船の全損だけでも二十隻に上
つて
おるのでございます。このような危険の多い海域を
航海
する私
ども船員
としましては、自己の生命安全のためにも、また
日本海運発展
のためにも、
海難
を起さないための努力をするのは当然でありまして、漕難時の
救助措置
もさることながら、
海難
の防止を第一義として、困難た
自然現象
と闘
つて
いるのでございます。ここにおきまして
無線
は、
船舶
の安全なる
航海
にこそ役立たせねばならないのでございます。現在では
無線通報
による
航海
安全のための
措置
は、かなり充実しております。
通信士
はその
当直
中、
気象
、
航行警報
、報時その他の陸上からの情報はもちろんのこと、視界の悪いときは絶えず
付近航行船
と連絡をとり、その動静と
状況
を把握し、あるいは
無線方位
を測定するとともに、多数の
海岸局
の
呼出し等
、無数の
電波
を瞬間の変化の中で監視しているのでございますが、これを
航海
中常時継続してこそ、初めて
無線
が安全に役立つのでございます。この
改正法案
が実施されますと、
船主
さんの方では早速
警急自動受信機
をとりつけて、
通信士
を減らそうとするでありましようが、五百キロ
サイクル
という
ただ一つ
の周波数の、しかも特定の
信号
だけにしか作動しない
機械
をも
つて
通信士
の
かわり
にするという
考え方
は、
海上
安全に対して実に大きな冒険だと言わざるを得ません。しかも
船主
さんはこの
機械
を装備して減らすだけではなく、まつたく装備しないで減らすこともできるのでございます。第二種局乙は
無休聴守
が
義務
づけられておりますが、それに該当する
船舶局
は、
公衆通信
を取扱わないとすれば第
三種局甲
になり、常時
聴守
の
義務
を免れますから、そこに抜け穴ができて、ますます法の精神に合致しない結果となるのでございます。私
ども船舶葉組員
として、
警急自動受信機
を船に装備すること
自体
に反対するものではございません。ただこれが
通信士
を減らす手段に用いられることに反対しているのでございます。レーダーができまして、船の
安全度
は確かに高まりました。しかしそれだからとい
つて
、
当直航海士
の
かわり
にほかならないと同様でありましてこの
機械
を
通信士当直
の補助として、他の
通信
のために漕難波としての五百キロ
サイクル
を
聴守
できない間作動させておくことにしていただけば、それこそ完全な常時
聴守
になり、ほんとうに安全に役立つのでございます。 およそ
海上
におきましての安全というものは相関的なものでございまして、互いに他船の安全に役立てることが、とりもなおさず自船の安全を期する
ゆえん
なのでございます。先ほど申し述べました
通り
、
日本近海
は世界的な
航海
の
難所
といわれるだけに、
海難率
は驚くべき数を示しております。
海上保安庁
の
調査
による
昭和
二十六年の
海難
は、
漕難船隻数
三千五十八隻、
乗組員
二万六千八百三十四名、
船価旦積り
千百七十八億二千二百万円、うち行方不明、沈没の損失は四百十九隻、五万六百七トンで、それにより
船価
にして三十四億百六十八万円と千六百二名のとうとい
人命
を失
つて
いるのでございます。
警急自動堂信機
を装備して
通信士
を減らすことの
経済的利点
と比べると、あまりにもけた違いのようでございます。何ものにもかえがたい
人命
は論外としまして、こうした莫大な損害は、保険でカバーできるからとい
つて
済むものではございますまい。国全体の
経済
の上に大きく響くこのような
海難
を防止するために、必要な
措置
を講ずるのは
国自体
の務めだと思うのでございます。 以上申し述べました
通り
、きわめて特殊な事情のもとにある
日本近海
におきましては、
外国船
と同じようにすることはきわめて危険であり、かつ不適当でございますから、
日本近海
を就航する船の大宗をなす
船舶
の
無線局
が、実質的な
無休聴守
をなし得るように、
関係條項
第六十
五條
の第四項をぜひとも
削除
していただき、同時に
運用義務
時間は
本條規定
を最低のものとし、特別な
措置
によ
つて
これ以上短縮することのないように、第六十三條の
但書
をも
削除
していただきたいのでございます。 なおはなはだ申訳ない次第でございますが、当方から差出しました
請願書
の
オート・アラーム
の
関係條項
中「
改正案
第六十三
條但書及第
六十
五條
第一、第二、第三項、第四項を
削除
」とありますのは、「第六十三
條但書及第
六十
五條
の第四項を
削除
」の誤りでございますから、御訂正くださいますようお願い申し上げます。御
溝聴
を感謝いたします。
高塩三郎
3
○
高塩委員長代理
次に
日本船主協会専務理事神田順次郎
君。
神田禎次郎
4
○
神田参考人
このたびの
電波法
の一部
改正
につきまして、本日お招きによりまして、私
ども
の
意見
を聞いていただく
機会
を与えられましたことを感謝いたします。
電波法
の一部が
改正
されまして、特に一九四八年の
海上
における
人命安全條
約を履行するための
船舶無線
に関しまして
改正
を行われるということで、その
要綱
が発表されたということでございましたので、それを拝見いたしまして、
協会
といたしましての
意見
は
電波監理委員会
の
委員長
のもとに申達いたしますとともに、
衆参両院
の
電通委員長
に差出したのでございます。お読み取り願
つて
おることと存じますが、当時はまだまだ
要綱
を拝見いたしたばかりでございますが、その後
法案
といたしましていろいろ御
審議
に相な
つて
おりまするうちに、われわれの
考え方
につきましてお取入れを
願つた点
もあるようでございます。最も新しい案といたしまして国会でただいま御
審議
中のものを詳しく拝見いたしてはおりませんけれ
ども
、だんだんとその点が取入れられているように存じまして、また感謝いたしている
ゆえん
でございますが、私
ども
といたしましてごの
電波法
の
改正
に関しまして希望いたしております点は、要約いたしますと三点ございます。 第一点は、
国際安全條
約の履行を目的といたします点を取入れられるということでございますので、あくまでもこの
改正
の趣旨は、條約のきめております
條件
の
範囲
内においてこれを上まわることのないようにおとりきめを願いたいということでございます。第二点は、先ほど
無線士協会
の方からも御
意見
がございましたように、戦後新たに
外国
になりました
朝鮮
、琉球、
千島
、樺太、
台湾方面
が新たに
国際航路
になりましたので、その点に関して、
国際航海
に従事する船の
無線通信士
の
資格
を二級
通信士
でもさとつかえないようにしていただくということでございます。第三点は、今度の
改正案
で
オート・アラーム
をつけることができるようにな
つたの
でございますが、ただいまでは
現実
にそれがございませんので、これが各般につきますまでには
相当
の時間を要するのでございますけれ
ども
、それに関する
経過規定
がなくて、今のままではこの
法律
が発効いたしますと同時にそういうものをつけなければ、
聴守
を命ぜられております船は、全部
無線通信士
の
聴覚
で聞かなければならないということになりまして、ただいまの
定員
では事足りない、ただちに増員をしなければならぬということに相なる次第でございますので、その点は條約にもございますように、二年間の
経過規定
をぜひつけていただきたいという三点でございます。 ただいま御
意見
があ
つたの
でございますけれ
ども
、私
ども
は
無線関係
におきまして、もちろん
国際電気通信條
約付属の
無線通信規則
、あるいは
海上
人命
安全のための
国際條
約の線の充実した
規則
を持たなければなりませんし、その実施をしなければならぬということは、
船主
といたしましても異議のないところでございますけれ
ども
、
現実
に
日本
の
電波法
に
規定
されてあります点を忠実に守
つて
おりまして
外国
の船を見ますと、戦後に参ります
アメリカ
の船は、
日本
では
規則
によりました三人の
無線通信士
が乗
つて
おりますと同じ型の船に、
無線通信士
が一名しか乗
つて
いない。これは事案でございまして、
日本
で三人以上乗
つて
おりますところのカーゴ・ボートと申します。と、
総トン数
五千五百トン以上の
貨物船
でございますが、同様の型の
アメリカ
の船が一人しか乗
つて
いない。それでは
アメリカ
は條約に違反したものをや
つて
おるのではないかということが疑問になるわけでございますが、
日本
の船と装備において違
つて
おる点は、
アメリカ
の船は
オート・アラーム
をつけておるだけである。そのほかに建つたところはないわけであります。これが
アメリカ
の船以外の国の
日本
に参ります船におきましても、同様のことが見られるのでございます。これは事実でございまして、
日本
の
海運
も
国際海運
から孤立しておるのではないのでございまして、これらの国の
海運
が
競争相手
にな
つて
おる次第でございますが、他の国の船が
オート・アラーム
をつけることによ
つて
、
日本
の船よりも少い人手でも
つて
十分條約を満足さすだけの働きをしておるということに、われわれは非常に疑問を持
つて
おるわけでございまして、従いまして
日本
の
法規
と、先方の
法規
とどういう点で食い違いがあるのだろうかということを考えてお
つたの
でございますが、一九四八年の
安全條
約と、今度取入れられることになりました
改正案
を拝見いたしましても、條約に
規定
されております以上の
聴守
の
義務
が課せられておる。
聴守
と申しますとそれは同じでございますけれ
ども
、
無線通信士
の
聴覚
で耳で直接聞かなければならぬ
義務
というものが、條約ではカーゴー・ボートについて言いますれば、一日八時間以上のものはなようでございますが、
日本
ではこの新しい
法律
によ
つて
実施いたすといたしましても、二十四時間あるいは十六時間、八時間とな
つて
おります。二十四時間のものはいわゆる第一種の
無線局
、二種の
無線局
の甲にあ
つて
は十六時間とな
つて
おります。そういうふうにな
つて
参りますことは、どういうところから参つたかということを比較検討してみますと、いろいろ食い違つたところがございますので、われわれといたしましてはこれらの條約に
規定
されておりますそのままを、ひとつ
海上
人命安全條
約の点から申しますれば、
義務
聴守
をきめられますと同時に、また
オート・アラーム
を採用されますと同時に、
無線通信士
の耳によ
つて
聞く時間も、
安全條
約の
規定
しておりますその限度においてきめていただき、また
国際通信
條約の要求しております点から考えまして、いろいろこれに対しましても
義務
時間があるわけでありますけれ
ども
、船の種別につきましては、これは各国の国内
法規
にその
規定
をゆだねられておるのでございます。その点が、
日本
、
アメリカ
あるいは他の国家と、その間にいろいろの差別があるようでございまして、まだ
アメリカ
の
法規
をはつきりと見ておるわけで、ございませんけれ
ども
、
日本
では第一種の
無線局
と認められておる三千トン以上の
旅客船
、五千五百総トン以上のカーゴー・ボートが一種とな
つて
おりますが、これらに対する
アメリカ
の
規定
がもつとゆるやかにな
つて
いるのじやないかということを考えるわけでございます。今度の
改正
法律案
でみますと、
一種局
でございますれば、その
運用
時間二十四時間の間はすべて
無線通信士
の
聴覚
による
聴守
をしなければならぬということに相な
つて
おるのでございますが、それは
運用
時間山はオート・アームで聞いてはいけないということが御
規定
にな
つて
いるからでござまいすが、その一種あるいは第二種の甲、乙の
船舶無線
局の種別のきめ方に、
日本
の
法律
が
外国
以上に上まわ
つて
いる。その点から
日本
の
船舶無線
局におきましては、多くの
無線
通信
を棄せておるということでな
つて
いることをわれわれは知るのでございますが、先ほ
ども
お話がありました
通り
船主
といたしまして、決して
海上
における自分の船並びに
乗組員
並びにその積荷に対しましてはもちろんのこと、同様
海上
航海
しております船並びにその積荷、
乗組員
に対しまして、できるだけ相互の扶助によりまして安全を期すべきことはもちろん否とするわけではございませんけれ
ども
、
日本
の船が特別にそういう点につきまして、
外国
の船以上の
ウオッチ
をしなければならぬという点は、どうしてもわれわれの納得できないところであります。国際競争という、これは商業上の問題でございますけれ
ども
、なおやはり自分の
経済
の上に立
つて
行かなければならない船会社といたしまして、ことに敗戦後の
日本
の壊滅しました
海運
を建て直して、今後
日本
の自立
経済
の大きな基本企業といたしまして立
つて
行かなければならぬわれわれは、国際競争の
能力
というものを十分に考えて行かなければならぬということで苦心をいたしておるのでございますが、そういう点にかんがみまして、その点は十分御考慮を願
つて
、今後本
法案
の
改正
につきましては、
聴守
の点も、
執務
の点につきましても、
国際條
約の要求いたしております限度を越えることのないように、その点から御
改正
を願いたい。その意味合いにおきまして
法案
の第五十條の各
船舶無線
局の種別の再検討、これを
日本
の実情と
外国
の
状況
とに比較いたしまして、ぜひ御検討願
つて
、われわれの意図いたしますように御
改正
を願いたいということを、特に希望いたしておる次第でございます。二点、三点のことにつきましては一応簡略ながら先ほど申しましたので、第一点のわれわれの
意見
といたしまして主といたします点を、はなはだ簡略でございますが、ぜひ御勘考を願うようにお願いいたしたいと思います。
高塩三郎
5
○
高塩委員長代理
ただいま
参考人
から御
意見
のありました点について、御質疑があればこれを許します。松井君。
松井政吉
6
○松井(政)
委員
今日の
委員会
の最初からの運営上の問題が問題にな
つて
いると思います。
参考人
の人
たち
にはまことに気の毒で、司会の
委員会
の出席並びに扱い方についての醜態を暴露したことは、われわれ遺憾に思います。こういうことについては
委員長
——不幸にして
委員長
不在だから、よく連絡をと
つて
や
つて
もらいたいと思いますが、
参考意見
を述べようという人
たち
にも、それから提案した
政府
についても、それからわれわれについても三者迷惑です。だからそういう点は
委員長
は十分心して
委員会
の運営をや
つて
いただきたいと思う。今
参考意見
を述べられた方々に対して、各
委員
ともいろいろ聞きたい
意見
を持
つて
いると思う。しかも修正点があれば立法府の責任でありますから、われわれはやはり修正
意見
を出さなければならない。ところが
参考意見
を聴取している間に、次の電通省
関係
の
法律
を今日上程して説明を聞こうというような粗雑な扱いから、一切の問題を発している。この点十分考えてもらわなければならぬ。そこで今日はもう正午になりますので、午前中の日程の中でこまかい質疑応答はとうてい不可能でありますし、さらに多くの質問をかかえている
委員
の出席がないのと、出席された
委員
もやはりただいまのような状態でありますから、とうていこのまま円満に続けることは不可能だと思いますが、
せつかく
参考意見
をお述べにな
つたの
でありますから、私はいろいろこまかい点は次に延ばしますけれ
ども
、二、三点だけお伺いしておきたいと思う。 そこで先に神田さんにお伺いします。
政府
が提出をする場合におきましては、やはり一九二九年の
海上
安全條
約及び今回の平和條約のもろもろの
関係
を考慮し、さらに法的にも違反のない
措置
として今度の
改正案
を出したと思いますが、
参考人
の言われる第一点は、條約の
範囲
で
改正
をきめろときめつけております。そうすれば
政府
が提出をいたしました今回の
改正案
というものは、條約の
範囲
を逸脱したという解釈が裏として出て参ります。そうすると
政府
の提出した今度の
改正案
の中で、どこが條約の
範囲
を逸脱しておるか、ひとつ具体的に條文を引例して明瞭にお聞かせ願いたい。
神田禎次郎
7
○
神田参考人
あまり専門的ではございませんので十分なお答えができるかどうか存じませんけれ
ども
、私
ども
がただいま上程されております
法案
と條約とを比較してみますと、先ほ
ども
ちよつと申しました
通り
、
オート・アラーム
をつけました場合のことでございますが、今度の
改正法案
の六十
五條
の四項に「第一項及び第二項の
無線局
は、
運用義務
時間中は、
警急自動受信機
により
聴守
してはならない」とございます。これによりますと先ほ
ども
申しました
通り
、第一種の
船舶無線
局によりますれば、こ十四時間中は全部
運用義務
時間でございますから、
警急自動受信機
によ
つて
聴守
することはできないのでありまして、また
警急自動受信機
をつけても何ら役に立たないということになります。また二種の甲でございますが、これは十六時間の
運用義務
時間を持
つて
おるのでございますが、
安全條
約では明らかにカーゴー・ボートでありますれば、
資格
のある
電波
通信士
の耳による
聴守
は八時間でよろしいということが條約ではきめられておるのでございます。その線は明らかに私
ども
は條約に
規定
されておる、こういうふうに考えて曲る次第であります。
松井政吉
8
○松井(政)
委員
第一の理由として指摘をいたしました條約の
範囲
で
法律
をきめるというのは、ただいま御説明を願いました六十
五條
の四項の一点だけでございますか。
神田禎次郎
9
○
神田参考人
條約と違
つて
おりますのは、
法規
の上に現われておりますのはその点だけでございます。
運用義務
時間というの炉また條約とは違
つて
おりますが、国内
法規
の点から申しますと、各国と
日本
とはそれぞれ違つおりまして、
日本
の
運用
時間をきめておりますのは
無線局
の
執務
時間の点でございますが、船の大きさその他につきまして條約以上に上まわ
つて
いると考えております。
松井政吉
10
○松井(政)
委員
くどいようでございますが、われわれも不勉強なのと、それから
電波
関係
というのは普通のわれわれにはわからない点がありますのでお伺いしておきますが、六十
五條
の四項は、今回の平和條約の第何條に照して條約の
範囲
を逸脱しておるか。それからもう一つ、
海上
人命
安全のための
国際條
約の第何條に照して條約の
範囲
を逸脱しているか。要するに一つは平和條約、一つは
国際條
約、それの第何條とこれが抵触をしておるか、こういうことについての御説明をお願いしたい。
神田禎次郎
11
○
神田参考人
平和條約の点は私ちよつとわからないのでございますが、
国際安全條
約の翻訳にな
つて
おる
條項
で申しますと、こういう
條項
があるのでございます。これは
貨物船
につきまして
国際安全條
約が
規定
しておるのでございますが、第三の
規則
により
無線
電信設備を備えつけることを要する
船舶
は、
警急自動受信機
を備えつけるときは、本
規則
のdに従い、かつ
航海
中は中波帯域における
無線
電信遭難周波数において
資格
を有する
通信
員は
聴覚
により次の
通り
聴守
をしなければならない。この意味は、
警急自動受信機
を備えましたときは、カーゴー・ボートにつきましては
通信
員の自身の耳によ
つて
聞くということは下の
通り
でよろしいということが書いてあるのでありまして、aといたしまして
総トン数
五千五百トン以上のものは一日合計少くとも八時間を聞くこと、それから
総トン数
千六百トン以上、五千五百トン
未満
のものは一日合計少くとも八時間を
聴守
するごと、それから
但書
が云々とありますが、そういうふうにきめられておるのであります。その点で條約を上まわ
つて
おると申し上げろ次第であります。 もう一つのお尋ねは、
無線局
の種別のきめ方がどうであるかという点だと存じますが、先ほど申しました
通り
、
アメリカ
の
規則
は私は持
つて
おりませんし、あるいはこの参考書の中に入
つて
おるかもしれませんが、拝見しておりませんのでわかりませんが、
日本
では先ほど申しましたように
総トン数
三千トン以上、
貨物船
としては
総トン数
五千五百トン以上の船が第
一種局
ということになりまして、その
運用
時間が二十四時間ということにな
つて
おります。
アメリカ
の事実を見ますと、七千トン、八千トンの船が一人のオペレーターでや
つて
おる、こういう事実がありますので、その点がもし條約に違反していないとすれば、国内
法規
がそのように許しておるのだ、かように考えます。
松井政吉
12
○松井(政)
委員
ただいま御説明いただきました第二の点は、
現実
に條約並びに各国の習慣がありましようが、国内法で立法する場合の建前は、
アメリカ
の
近海
と
日本
の
近海
、それから世界の海は一つであるというりくつも成り立ちましようが、船の構造、いろいろな問題が起きて来まして、
法律
論でなく、現案にどうするかということが、各国で討議されて立法化されなければならないのありまして、いろいろ議論があろうと思いますが、これはお考えだけお伺いしておけばよろしゆうございます。さらにこの條約の
範囲
を逸脱しておるかどうかということは、提案者である
政府
の方、すなわち
電波監理委員会
の方にお伺いをするのでありますが、これは
政府
側でありますからあとにまわします。 さらに続けてお伺いいたします。これは大体お伺いしたところ、
参考人
の方々お二人とも同じような考えだと私承
つたの
でありますが、新たに
外国
に
なつ
た部分、すなわち
台湾
、沖縄等でありますが、こういう
関係
については御
意見
が同じように考えられますが、
戦前
と戦後で国内及び
外国
というようにかわつた部分についてはどういうことでございましようか。
戦前
の
日本
国内という、戦後新しく
外国
と
なつ
たところについては、
戦前
のような形で取扱いをしてもらいたいという意味でしようか。この点をもう一ぺんお聞かせを願いたいと思います。神田さんから願います。
神田禎次郎
13
○
神田参考人
私はこの決の
関係
だけでただいま申したわけでございますが、安全法
自体
の問題としての取扱いとしまして、構造の
規定
、航行の
範囲
の
規定
、そういうものにつきましては、新しく
外国
になりました地域に対しましては、
戦前
と同様の取扱いができますようにとわれわれ希望いたし、またそういう方向でお考えをいただいておるわけでございますので、単に
電波法
だけの
関係
ではなくて、あわせてお考え願えればけつこうだと思います。
松井政吉
14
○松井(政)
委員
そうすると実際的にはやはり
外国
の取扱いは困る、こういうことでございますね。
戦前
日本
の国内で、戦後
外国
と
なつ
た部分については、やはり
戦前
のような取扱いをしてほしい、それはやはり
現実
的だ、こういうお考えと了承してよろしゆうございましようか。
神田禎次郎
15
○
神田参考人
対外
関係
もございますので何でございますが、暫定的、経過的の
規定
といたしましては、ぜひそうありたいと思います。
松井政吉
16
○松井(政)
委員
これは
政府
にお伺いするのが妥当であ
つて
、
参考人
の方からお伺いすることはちよつとどうかと思いますけれ
ども
、一応お伺いしておきたいのであります。大体
戦前
の状態と御解釈していらつしやる
区域
は、どこからどのラインをおつしやるのであろか。
神田禎次郎
17
○
神田参考人
緯度、経度ははつきりいたしておるわけではございませんが、船の参りますデステイネイシヨンによ
つて
お考えをいただけばいい。われわれはいつも向うに参ります港を基準にして、そういうことを考えておる次第であります。
松井政吉
18
○松井(政)
委員
それじやもう一点お伺いしたいと思います。第三点として御指摘を願
つたの
は、たとえば
オート・アラーム
の設備をしても、やはり経過的な期間、余裕が必要だという御
意見
だと解釈いたしましたが、そうするとやはりその間、それが行われるまで、どのような
経過措置
を御希望なさ
つて
おるか、これをお伺いしたい。
神田禎次郎
19
○
神田参考人
経過中の処置といたしましては、現行法の
聴守
義務
の程度において、
聴守
義務
を負うということにしていただきたい。
松井政吉
20
○松井(政)
委員
それから
山縣参考人
の方にちよつとお伺いいたします。ただいま
神田参考人
の方から御
意見
をお伺いしました点で、やはり希望の中では一致する点もありますが、かなり食い違つた点もあるように承ります。そこで第一に、大体同じような見解を持つと思われる点からお伺いいたしたいのでありますが、いわゆる戦後
外国
と
なつ
た部分に対しては
神田参考人
と同じような
考え方
と希望を持
つて
おるという解釈をしてよろしいのであるかどうか、この点からお伺いいたしたいと思います。
山縣忠重
21
○
山縣参考人
戦前
と戦後と事実違
つて
おるものを、
戦前
と同じ状態にしてほしいという希望
自体
は成り立たないと思います。そこで私
たち
が希望するのは、
現実
に
外国
通信
の
範囲
に入つたものは入つたものといたしまして、それに対応できる
措置
が今の
国際條
約からしましても、また国内でその
資格
を認める上からしましても可能であるから、その
範囲
ででるものとして、二級
通信士
が、
戦前
国内通信
の中に含まれていたと思われる
区域
、これは
近海区域
になりますが、その
近海区域
を航行する
船舶
の
通信士
として従事できるようにしていただきたい、これは必ずしも表現の上で戦後の状態を
戦前
の状態に持
つて
行
つて
いただきたいという意味ではございません。
松井政吉
22
○松井(政)
委員
これは大体わかりましたが、結局提案者の方で、やはり国際的な
関係
、あるいは今度の條約等に照して、そういうことができるかできないかということは、
政府
にお伺いしなければならぬ問題でありますから、これもあとまわしにさせていただきます。 それでさらにお伺いいたしたいのでありますが、
運用義務
の点を明確にするために、六十三條の修正の御
意見
が出ております。これは
山縣参考人
にお伺いするのですが、六十三條で
運用
の
義務
に関する修正の御
意見
が
神田参考人
から述べられておるのであります。これは同じ條文についての修正でありますけれ
ども
、修正
内容
は逆に異なるような気がいたすのでありますが、これをもう一ぺんお伺いしたいのであります。六十三條の第一項から第五項までの
但書
等に対する修正の御
意見
は、先、はど
神田参考人
から述べられました。すなわち
国際安全條
約との
関係
において、
総トン数
千五百トン以上の
貨物船
は一日合計少くとも八時間の
聴守
とする、以下ずつと出ておりますが、今度はひとつこの見解に対する
山縣参考人
の御
意見
を、できるだけわかりやすく御発表願えればけつこうだと思います。
山縣忠重
23
○
山縣参考人
御希望のようにわかりやすく要点だけ申し上げられるかどうかわかりませんが、今の
規定
によります
運用義務
時間並びに今度新たに
改正法案
の中できめようとする
運用義務
時間というものは、実際
海上
においての
無線
業務
を遂行して行く上に最低限のものである、かようにわれわれ
無線
通信
業務
に従事した者の
経験
から確信しておるわけでございます。
従つて
この時間は
規定
の上では最低のものであるから、これを監理
委員会
の
規則
で委任の形でさらに引下げられるようなことがあ
つて
は困る、こういうことに立
つて
いるわけでございまして、それ
自体
が
国際條
約、またこの
電波法
の精神に合致している、こういう点において、私
たち
は法を全面的に支持し認めるという上に立
つて
、希望を申し述べておるわけであります。特別の法がこうな
つて
おるからこうしなくてはならないという根拠は持ちません。
松井政吉
24
○松井(政)
委員
それではもう一点重要な点をお伺いしますが、
神田参考人
の御
意見
によれば、真正面から食い違
つて
いる問題は、
アメリカ
の船の例を引きまして、
日本
で三名いるところは
アメリカ
では一名で事足りる、それほど
オート・アラーム
を設置した場合の
関係
が違
つて
来る、こういう御
意見
でありますし、前の
山縣参考人
の御
意見
は、災害の前の処置が必要であ
つて
、
機械
は意思がないので、
機械
だけにたよ
つて
いることは非常に危険が伴うという、災害の実例をあげての御
意見
を述べておりますが、この点について引例いたしました
アメリカ
と
日本
の場合を考えてどのように具体的に違うのだ、
日本
にもし特殊事情があろとするならば、その特殊事情の
考え方
等もあわせて再説明をお願いしたいと思います。
山縣忠重
25
○
山縣参考人
アメリカ
船を含めての
外国船
との比較から、
日本
の国内
法規
できめました
運用
時間並びにそれから出て来る
通信士
の
乗組員
数、こういうものの比較をされておりますけれ
ども
、
アメリカ
は
日本
より危険が少いという断定は必ずしも下せないのですが、少くとも
日本近海
の
海難率
の実情から見まして、
アメリカ
のそれとは違
つて
いる。
従つて
人命
の安全のために
改正
するものであるならば、
改正
する方向はよりそれを改善して行く方向でなければならないと思います。そこで
アメリカ
と
日本
の事情がかわ
つて
おるということの具体的な例というものは、実ははなはだ困難でありますけれ
ども
、船の構造あるいは
海難
防止に役立つべき航路標識から、
航海
関係
の陸上の諸設備にしましても、具体的に資料は持たないけれ
ども
、
相当
な開きは当然であり得る。なおわれわれは、現在国内
法規
できめられておる
規定
によ
つて
実施される
海上
の
無線
業務
というものを見まするならば、現在きま
つて
おる
運用義務
時間だけでも不十分である。それ以外にはみ出てやらなければならないようなものは多々あるわけでございます。そしてそれらが少くとも航行安全のために必要だということできめられており、それを
施行
して行く上に必要であるということであれば、
アメリカ
がたとえば
日本
より
執務
時間が少かつたとしても、そういう時間的な面だけを比較するということでなく、それぞれの国の形に現われた設備あるいは
業務
の比較だけでなくて、この問題に対する国民
自体
の認識の相違というものも考えて比較すべきではないかと思うのでありまして、具体的にどういうように違
つて
おるということは、国内
法規
がすでに
規定
で示しておる。そういう
規定
が必要でないということであれば、それをとりはずして
アメリカ
の基準に持
つて
行
つて
よいはずであるけれ
ども
、すでにその
規定
が
施行
されてお
つて
、その上に立
つて
もろもろの
船舶無線
業務
が遂行されておるという実情に立
つて
おることを御了解くだされば、必ずしも個々の、このようなところがこのようにかわ
つて
おるということを比較する必要はないのではないか、かように考えておるわけでございます。
松井政吉
26
○松井(政)
委員
そういたしますると、やはり従来の
海難率
の比較、
近海
関係
の遭難の多いこと並びに従来の
経験
、それから現在の運航の実績から推してそういう御
意見
だ、こう了承してよろしゆうございますか。
山縣忠重
27
○
山縣参考人
その
通り
でございます。
松井政吉
28
○松井(政)
委員
それでは
参考人
の方々に関連する分だけきよう
政府
の方からお伺いしたいと思いまするけれ
ども
、よろしゆうございますか。
高塩三郎
29
○
高塩委員長代理
けつこうです。
松井政吉
30
○松井(政)
委員
それではただいまの
参考人
の方々の御
意見
に大体
関係
する部分だけ二、三点きようお伺いして、全体及び
内容
の逐條的なものは次会に譲りたいと思います。 第一点は、先ほど問題になりました條約の
範囲
を逸脱したものであるかどうかという点について、提安者から明確なお答えを願いたい。 第二点は、やはり
参考人
御両人からの御
意見
に基く
近海
第一区、すなわち現在
外国
と
なつ
た分に対する
措置
を提案者としてはどのようにお考えに
なつ
たか。 第三点は、御承知のように
警急自動受信機
の問題について、
経過措置
を希望されている御
意見
も出ております。さらにこれをつけることによ
つて
二級
通信士
の減員が行われ、
機械
にのみたよ
つて
、さらに船の災害が多くなるのではないかという御
意見
も出ているのでありますが、これに対する提案者としての
考え方
をお伺いしたいと思います。この三点について、ひとつ具体的に御答弁を願います。
野村義男
31
○野村(義)
政府
委員
お答えいたします。第一点の條約の
範囲
を逸脱しているのではないかという御質問でございますが、これは
政府
としては、逸脱しているのではないというふうに考えております。元来
電波法
で
無線局
に対して
運用
時間あるいは
聴守
の
義務
等を課しておりますのは、
海上
人命安全條
約ばかりではない、
海上
人命安全條
約と申しますものは、名の示しますごとく、
海上
における
人命
の安全をなすための條約である、こう見ておるわけでありますが、そのほかに
船舶
に
無線
電信をつけます以上は、
無線
電信の全面的な利用のことを考えて
国際電気通信條
約というものがございまして、その中でいかなる
執務
をするか、第一種の
執務
時間、第二種の
執務
時間、第三種の
執務
時間というふうに
区別
をしておるわけでございます。
従つて
現行の
電波法
では、
海上
人命安全條
約の
人命
、財貨の保全に関する要求と、
無線
電信をつけた以上の全面的な利用を考えて、
電波法
で
執務
時間をきめておる次第でございます。これは新たに
電波法
ができて起つたわけでなくて、その前身たる
無線
電信法時代からあるということにな
つて
おる次第でありまして、かれこれあわせて現在の
政府
提案のような形にな
つて
いるわけで、
人命安全條
約を逸脱しておるというような表現
自体
もおかしいものではないか、こういうふうに考えております。 第二点の
近海
第一区につきましては、これは現在の
電波法
ができまするときにも、旧領土については
日本
同様の
通信
ができるのではないか、こういうことで、たしか国会の御修正でこういうような過渡的な
措置
をしてございます。これは
通信士
協会
等の言われるのは、その
区域
については現在の
電波法
の四十條を
改正
して、二級のオペレーターでも
国際通信
を独立してやらせてもらいたい、こういうことにあると思うのでありますが、現在の
電波法
の建前は、二級
通信士
というものは
日本
特殊な事情で、
外国
であるとかあるいは
外国
の
無線局
と交信をするとかいうことで、
船舶
の特質にかんがみて、現在の第二級の程度では独立をさせてやるということは非常に危険である。第一級のもとでや
つて
こそ初めて
国際通信
ができるのだが、やや心配の気がする、こういうことで伝統的に
電波法
以前から、
無線通信士
の制度ができましてから、二級
通信
というものは一人では
国際通信
をやらせないという建前をと
つて
おるわけでありまして、これは伝統的にそういうことをや
つて
おるわけであります。ことに
近海
一区の中には香港であるとか、上海であるとか、あるいは韓国につきましてもごの
電波法
施行
当時とは異なりまして、韓国も
国際通信
條約に加入いたしまして独立の当事者にな
つて
来る。漸次そういうような
通信
の方法等についても国際性が加わ
つて
来こそすれ、少くな
つて
来ることはない。こういうことで現在では、来年五月に切れますが、その部分については
改正
を加えておりません。しかし今度出しました
電波法
の
改正
というものは、
海上
人命安全條
約と航空機
関係
、それにどうしてもやむにやまれぬ
改正
だけを盛
つて
参つた次第でありまして、今
参考人
から申されました全面的な御
意見
は、他日
電波法
を
改正
して、全面的に
執務
時間とか
聴守
時間を改めなければならぬ時期があると思いますから、その時期において
改正
してもよい、考究したいというふうに考えております。 第三点の
警急自動堂信機
の使用でございますが、
オート・アラーム
というものを全面的に新しい條約では押し出して来ております。一九二九年からの
科学
的
進歩
に
従つて
、
機械
の
條件
もこまかく定め、なるべくそれを利用する方向に持
つて
来ておるわけであります。
義務
づけてはおりませんが、なるべくそつちの方に持
つて
行くということで、今
船主
協会
から申されましたように八時間というようなことを書いてございます。しかし
日本
では
オート・アラーム
というものをまだ全面的に使うところまで至らない。今度新しく
聴守
時間が少しふえましたから、ふえました分だけはそこに
オート・アラーム
を使うこともできるとい
つて
おるだけであ
つて
、人聞による
聴守
を廃せとい
つて
おるわけではない。人間によるか、
オート・アラーム
によるかは、事情に
従つて
、
船主
その他の負担を考えておやりになればよいのであ
つて
、
義務
を課しておるわけではない。
従つて
現在の人員が減員になるというようなことはないわけであります。それから災害につきましては、今までは
聴守
時間が一定の、すなわち十六時間また八時間とすることを
安全條
約でい
つて
おるわけでありまして、その時間について
オート・アラーム
をかりに使
つて
も、今より災害がふえることはないと思います。むしろ場合によ
つて
は、
オート・アラーム
を使うごとによ
つて
、法上災害の軽減になるのではないかと考えております。 もう一つ
経過措置
のことでありますが、これは現在新しく
義務
を課せられた
船舶
につきましては、
オート・アラーム
をつけさせるために二年間猶予の
規定
があります。そういう
関係
で
船主
協会
の申されるように、二年間、猶予の
経過規定
を設ける方が、実情からいうとよいのではないかと考えております。
松井政吉
32
○松井(政)
委員
大体はつきりして参りました。そこでもう一ぺん御答弁願いたいことは、この
警急自動受信機
の設置をめぐ
つて
であります。提案者の方からは、そのために人員が減らされたり、問題が起きたり、災害がふえるというようなことを考えているのじやないし、そういうことに触れておるのではないというような御答弁があつたわけでありますが、
参考人
の方からは、
法律
にそういうことはないのであるが、必然的にそういう結果になるのではないか、必的然にそういう結果になるならば、そういうことのない條文が必要だという御
意見
も出ておるわけです。この点を
改正案
をおつくりになる場合に御考慮されたかどうか。 それからもう一つ、これはまことに困つたことだと私は思うのでありまするが、
船舶安全法
との
関係
がどのようにな
つて
おるか。
船舶安全法
を
審議
したのは運輸
委員会
で、さらに
船舶安全法
を中心に
船舶
安全の監督行政を行うのは運輸省であります。そこでわれわれは今
電波法
の
改正
をめぐ
つて
の
船舶
の安全の、事実上の
内容
について
審議
をしておるわけであります。
従つて
当該運輸省との間に
電波法
の
改正
、航空もそうでありますが、主として
船舶
に関する部分について、提案者はどのような連絡協議があつたか。あつたとすれば簡単でよろしゆうございますが、その
内容
を御説明願いたい。さらに
改正
法がこのまま通つた場合、実際の行政の面でどのようになるか。
船主
及び
海上
において従業している諸君に、直接どのような影響をもたらすか。こういうことについてお考え願つたことがあるかどうか承りたい。
野村義男
33
○野村(義)
政府
委員
第一点の
オート・アラーム
の利用と
無線通信士
の配置
関係
でありますが、元来
無線通信士
の配置
関係
につきましては、
電波法
の上でも配置の
定員
をきめることができると書いてございますが、
船舶安全法
の上でも、
船舶
職員法その他で
船舶
職員の
定員
をきめることができる、こういうことにな
つて
おります。そして
電波法
運用
の上では、
船舶
職員法の上できめた
定員
が、
電波
の利用について妨げがないということであれば、それに
従つて
行くということで、現在では
船舶
通信士
の
定員
は
電波法
関係
においてはきめておりません。しかし
聴守
関係
がふえることについては、今度
海上
人命安全條
約で、
聴守
時間がふえた
聴守
の方は、人でもよければ本
オート・アラーム
でもよるしい、こういうことに
電波法
ではな
つて
おりますので、
関係
官庁としてあるいは
経済
負担としてどういうふうにとりますか、これはそのときのきめ方でございます。
船舶安全法
との
関係
については、この法をつくります前に十分なる連絡をと
つて
おりまして、この
法律
がこのまま
通り
ましても、
船舶安全法
との
関係
に何ら矛盾を生ずることはございません。これは
船舶
関係
当事者と密接な
関係
があるものでございますから、
安全條
約の
関係
の方とも十分打合せをしてここに出して来ておる次第であります。
松井政吉
34
○松井(政)
委員
私の質問は本日は終りますが、さらに次会に続行することを申し上げておきます。
石川金次郎
35
○石川
委員
山縣
さんにお伺いしたいのでありますが、
請願書
があなたの方から出ておるようでありますが、その中に
国際電気通信條
約によれば、二級
通信士
が
国際通信
を行い得ることを
規定
しておるとい
つて
おりますが、これは何條でありましたか、
国際電気通信條
約の
附属無線通信規則
、これから来るのでありますか。
山縣忠重
36
○
山縣参考人
そうでございます。
石川金次郎
37
○石川
委員
五一一というのがありますね。
山縣忠重
38
○
山縣参考人
そうでございます。
附属無線通信規則
第十二章移動局の職員の項で、第二十
五條
の五五九に「第二種
船舶局
第一級又は第二級
無線
電信
通信士
証明書を有する
通信士
一人。」こういうようなところから、一級または二級でもいいという解釈が立
つて
来るわけであります。
石川金次郎
39
○石川
委員
この
規則
によりますと、「第一級又は第二級
無線
電信
通信士
証明書を有する者は、
船舶
又は航空機の
無線
電話局の
業務
を行うことができる。」この
規定
から来るのですか。
山縣忠重
40
○
山縣参考人
両方から来るわけであります。
石川金次郎
41
○石川
委員
それで二級
無線通信士
は、
規則
にいうところの二級
通信士
としての
国家試験
がなされて、これに合格しておるというわけなんでございますね。
山縣忠重
42
○
山縣参考人
さようでございます。
石川金次郎
43
○石川
委員
その見解に立
つて
、今
政府
で提案しておる四十條における第二級
無線通信士
の操作の
範囲
は拡張せられてしかるべきだ、
日本近海
においては拡張して
国際通信
をや
つて
いいのじやないか、こういうことになるのですか。
山縣忠重
44
○
山縣参考人
さようでございます。その
範囲
内です。
石川金次郎
45
○石川
委員
電波監理委員会
の方にお伺いしておきますが、明瞭にありますものを、どうしてごの四十條の二級
無線通信士
の
範囲
に入れなか
つたの
ですか。
野村義男
46
○野村(義)
政府
委員
第四十條に定めております二級
無線通信士
の
資格
については、
国際通信
を単独にできないということが現在の
電波法
でございまして、
改正案
を持
つて
来ておらないわけでございます。現在すでに国会でおきめに
なつ
たものでは、独立してや
つて
はいかぬということにな
つて
おりまして、これについては
改正案
を持
つて
来ておりません。今
船舶通信士協会
で言われることは、現在の附則の中で、
近海
一区については三年間を限
つて
や
つて
いるが、これを
本條
へ繰入れろこういう御主張をなさ
つて
お
つたの
であります。その点から先ほど申し上げましたように、これは
国際條
約の上では、なるほど二級は独立してできろかできないかわかりませんが、とにかく「又は」と書いてあるので、できそうに
見え
るが、
日本
のように特殊なかな電報をや
つて
みたり、
外国
文については非常にふなれである者が、たどえばヨーロッパ航路とか、
アメリカ
航路のような
国際通信
をやるところへ一人で乗
つて
行
つて
は非常に心もとない。それだから独立ではやれないのだ、こういうようなことを
日本
独自の必要から、
無線
電信ができたときから、そういうような制度を
日本
ではと
つて
いるわけであります。そのぺースに立ちまして、現行の
電波法
の第四十條ができまして、独立ではやれない、こういうことに国会でおきめに
なつ
た次第であります。従いまして
近海
第一区についてはどうするかということは、先ほど申し上げましたように、
電波法
の
改正
はまだ
機会
がありますので、そのことについては他の
機会
において考慮したい。ことに現在二級の試験をしておりますが、現在の二級の試験は、試験の科目その他から見て独立してやる程度までにしておりません。
従つて
その試験の程度をかえて行くということまで考えなければならないわけでございまして、現在の
資格
の者にすぐそのまま独立の
資格
を与えて
国際通信
を行わせるかどうかということは、試験科目その他も考えて、他の
機会
において十分考えたい。
石川金次郎
47
○石川
委員
もう一度お伺いします。今まで
朝鮮
であ
つて
も、
近海
第一区としてや
つて
おつたんですから、それを取上げなくともいいのではないか。この試験ではその
資格
はないとおつしやるけれ
ども
、
現実
に熟練しておるのだから、や
つて
やれないことではないのでありますから、それを特にやれないことにしたのは、どうも持
つて
おつた人の権利をなくするように思いますので、その点どうですか。
野村義男
48
○野村(義)
政府
委員
先ほど申し上げましたように、現在やれるごとにな
つたの
は、附則で三年間に限ると国会で御修正にな
つて
、年限を切られたわけでありまして、その三年の年限が来年五月で切れるということでございます。
従つて
それができる
改正案
を持
つて
来ようとは
政府
は考えなかつたわけであります。
石川金次郎
49
○石川
委員
しかし
電波法
の
改正
をや
つて
、やらしてやれた
経験
もあるのでございますから、一緒に出して安心させるのが当然ではないでしようか。
野村義男
50
○野村(義)
政府
委員
そういう御趣旨でございますれば、この次の国会のときに、まだ時間もございますから、そういうようなとりはからい方に持
つて
行きたいと思います。
石川金次郎
51
○石川
委員
御留意願いたいことは、海員組合から出ました
請願書
の中に、
改正
してくれと言
つて
、「但し
近海
第一区の
区域
内においてはその限りでない。」という
但書
を入れてある。
国際通信
の方は「
国際通信
のための
無線設備
、第一級
無線通信士
の指揮のもとで行う者に限る。」という原則を立てまして、「但し
近海
第一区の
区域
内においてはその限りでない。」と言
つて
、従来
経験
のある、すでに自分
たち
のやれるところだけはやれるようにしてくれ、こういうことの希望でありますから、これは一応お考えにな
つて
しかるべきではないかと思います。あなたの方はこの次の
機会
に
電波法
の
改正
をや
つて
ごの要望に応ずるというお考えがありますか。
野村義男
52
○野村(義)
政府
委員
十分考慮してみたいと思います。
石川金次郎
53
○石川
委員
山県さんにお伺いしますが、
電波監理委員会
では十分考慮すると言
つて
おりますが、それで御満足行けるんですか。実は今
改正
すると言
つて
も、
電波法
の
改正
が入
つて
来ませんと、国内の方の
電波法
につかえてしまうというかつこうになりまして、あまり矛盾したことをきめて行けないということになるかもしれぬ。もつとも現在の
規定
を新しい
法律
で消すということはできましよう。しかしあまり矛盾したことはどうかと思いますが、御
意見
がありますか。
山縣忠重
54
○
山縣参考人
これはあなた方の方でおきめ願うことで、私の方としてはお願いしたいと思います。
石川金次郎
55
○石川
委員
御希望は……。
山縣忠重
56
○
山縣参考人
希望は
請願
の
通り
でございます。
高塩三郎
57
○
高塩委員長代理
他に御質疑はないようでありますから、これをも
つて
参考人
の方々に対する質疑を終ります。
参考人
のお二人の方に対して申し上げます。本日は御多忙中にもかかわらず貴重なる御
意見
をるるお述べくださいましたことを、厚くこの席からお礼を申し上げます。ありがとうございました。 本日はごの程度にとどめまして、次会は公報をも
つて
お知らせいたします。 これにて散会いたします。 午後零時五十分散会