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1952-05-29 第13回国会 衆議院 電気通信委員会 第31号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年五月二十九日(木曜日)     午前十一時二十三分開議  出席委員    委員長 田中 重彌君    理事 關内 正一君 理事 高塩 三郎君   理事 橋本登美三郎君 理事 長谷川四郎君    理事 松井 政吉君       井手 光治君    加藤隆太郎君       庄司 一郎君    辻  寛一君       福永 一臣君    石川金次郎君       田島 ひで君    稻村 順三君  出席政府委員         電気通信政務次         官       平井 太郎君         電気通信監   山下知二郎君         電気通信事務官         (大臣官房人事         部長)     山岸 重孝君         電気通信事務官         (業務局長)  田邊  正君         電気通信事務官         (業務局国際通         信部長)    花岡  薫君         電気通信事務官         (経理局長)  横田 信夫君         電気通信技官         (施設局長)  中尾 徹夫君  委員外出席者         電気通信事務次         官       靱   勉君         専  門  員 吉田 弘苗君         専  門  員 中村 寅市君     ————————————— 五月二十八日  委員岡西明貞辞任につき、その補欠として山  口六郎次君が議長指名委員に選任された。 同月二十九日  委員山口六郎次辞任につき、その補欠として  岡西明貞君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  日本電信電話公社法案内閣提出第二一二号)  日本電信電話公社法施行法案内閣提出第二一  三号)  国際電信電話株式会社法案内閣提出第二一四  号)  放送法の一部を改正する法律案高塩三郎君外  五十三名提出衆法第五四号)     —————————————
  2. 田中重彌

    田中委員長 これより開会いたします。 放送法の一部を改正する法律案議題とし、その 審査に入ります。まず提案者よりその趣旨の説明 を求めます。高塩三郎君。
  3. 高塩三郎

    高塩委員 ただいま議題となりました放送法の一部を改正する法律案提案理由を御説明申し上げます。  電波科学の急速な進歩と国民の熾烈な要望とにうながされて、最近わが国においてもテレビジヨン放送実施の気運がとみに高まつて参つたのでありまして、本院におきましてはさきに第十国会においてテレビジヨン放送実施促進に関する決議を行つておることは御承知通りでありますが、一方これに呼応して日本放送協会並びに民間二、三の方面からもすでにテレビジヨン放送局開設免許申請電波監理委員会提出されておる情勢にあるのであります。  しかるにテレビジヨンに関する法制の面を見まするに、現行の電波法及び放送法テレビジヨン放送をも規律の対象に包含して立法されておることは明らかでありますが、制定当時においてはいまだテレビジヨン現実の問題となつておらなかつたため、テレビジヨンに関する限りにおきましては、多少の不備欠陷を免れないのであります。特に日本放送協会は、放送法七條及び第八條規定によりまして、公共の福祉のためにあまねく日本全国放送を行うことを目的として設立された法人でありますが、かりに同協会政府免許を得てテレビジヨン放送を行うとすれば、その財源は同協会放送法事四十六條によつて広告放電を築止されている以上、勢いテレビジヨン受信契約者から徴収する受信料にたよらざるを得ない建前になつているにもがかわらず、受信契約及び受信料に関する放送法第三十二條規定は、協会標準放送に対するものに限られ、テレビジヨン放送に対しては規定を欠いておるがごときは、前述の放送法七條及び第八條と矛盾する結果となり、テレビジヨン実現段階に入つた今日、法の不備と申さねばなりません。  また日本放送協会テレビジヨン放送に対する受信料徴収に関する規定を欠いておるということは、無線局開設免許申請審査條件として電波法七條第一項第三号に掲げる「当該業務を維持するに足りる財政的基礎」の裏づけがないということになるのでありまして、これまた法の欠陷によつて日本放送協会申請民間側申請に比し不平等の立場に置く不当な結果を来すこととなるのであります。  以上の理由によりまして、放送法第三十二條第一項に改正を加え、日本放送協会の行うテレビジヨン放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会受信契約を締結し、協会はその者から受信料を徴収し得ることとする必要があると認めて、この法律案提出いたした次第であります。  何とぞ十分御審議の上、全会一致可決せられんことを希望いたします。
  4. 田中重彌

    田中委員長 本案について質疑に入ります。質疑通告がありますのでこれを許します。田島ひで
  5. 田島ひで

    田島(ひ)委員 簡単に一、二点お伺いいたします。テレビジヨン放送がされますと、大体国民大衆が受信する相手方になりましようが、大体その料金はどのくらいおとりになりますか、そのをお伺いしたい。
  6. 高塩三郎

    高塩委員 お答え申し上げます。もちろん国民大衆でありますが、聽取料は一箇月二百円ということに相なつております。
  7. 田島ひで

    田島(ひ)委員 大体二百円というお答えでしたけれども、それは確定的なお答えではなかろう、おそらく二百円ぐらいとられる予定をしておられるのだろうと思います。現在のラジオ聽取料でも五十円、三箇月前取りというような状態では、今日の農村なんかの不況状態から行くと、非常に困難であります。私どもはそれに対しましては、文化的施設をあまねく国民大衆に不等に與えなければならないという点から、当然国家で負担すべきものだということを主張して参りましたが、ましてやこのテレビ放送がなされますと、ある一部分の者にのみこれが與えられまして、国民大衆には——二百円と申されましたが、とにかくラジオよりも相当高い料金をおとりにならなけけばこれの実施ができない。もちろん受信機械ども問題になりまするが、料金をおとりになるというのは、国民全体にこの文化的施設を広めるという点から、非常に反しているのじやないか。そういう点で、私どもはごの改正案にはもちろん賛成できないのでありまするが、そういう点に対する御考慮が十分なされているかどうか。提案者に対してその点をちよつとお伺いいたしたいと思います。
  8. 高塩三郎

    高塩委員 ただいまお答え申し上げました二百円は訂正いたします。これは将来の予想であります。いずれこれは国会の御審議を経て決定することに相なつております。
  9. 田中重彌

    田中委員長 他に御質疑はございませんか。——質疑がないようでありますから、これにて本案に関する質疑を終了いたします。  これより本案について討論に入ります。討論通告がありませんので、ただちに本案について採決するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 田中重彌

    田中委員長 御異議なしと認めます。  放送法の一部を改正する法律案について採決いたします。本案原案通り可河すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立
  11. 田中重彌

    田中委員長 起立多数。よつて本案は原案曲り可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。本案に関する報告書につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 田中重彌

    田中委員長 御異議なしと認め、さように決定をいたします。  暫時休憩をいたします。     午前十一時三十四分休憩      ————◇—————     午前十一時四十七分開議
  13. 田中重彌

  14. 田島ひで

    田島(ひ)委員 石川委員から逐條詳細質疑がなされましたが、私はその政府側答弁を聞いておりましても、公社に移行しなければならないという点についての基本的な問題について、一向納得できないわけです。そういうわけで基本的な点で、私一、二点伺いたいと思います。  政府さきにこれは安本の計画にもありましたが、何回も五箇年計画とか、三箇年計画というようなものを、電通事業に立てて参りました。これらがすべて行き詰まつたその根拠が、やはり国営であつたからできなかつたという根拠に立つておら、るのかどうか。また公社になりました後にはそのような計画を立てて、これが実行できるのかどうか。そういう点について基本的な点を御説明いただきたいと思
  15. 靱勉

    靱説明員 お答えいたします。公社に移行いたします大きな目的としまして、必要な資金をできるだけ獲得できるような形にいたしたい、こういうことが一つ大きな問題となつておるのでございます。そこでただいま御指摘のいろいろ長期計直を立てても、なかなか実行できないということの一番の原因は、結局資金の問題にかかつておるのでございます。もちろん国としましても、できるだけ日本電気通信事業国民需要に対応した施設整備をする必要は、在来も十分認めておられるのであります。しかしながらやは資金の幅というものがございまして、これに対して十分に資金の配分ができない。そこで新たに国の資金以外に、民間資金も導入するということによりまして、さらに電気通信事業に投下さるべき資金の幅を広めて行くことによつて、急速にわが国電気通信事業整備拡張したい、こういう点であります。要するに公社に與えられた資金のルートというものが、單に国の資金だけではなくて、あるいは電信電話債券、あるいはまたこれはまだ特別に計画し、実行の段階に入つておるわけではないのでありますが、でき得れば外貨債も得られるようにするという用意のもとに、この公社法案というものがそういうことを実現できるような態勢に規定されておるということでございます。
  16. 田島ひで

    田島(ひ)委員 次官の御答弁を聞ておりますと、これまたこの前大臣にもお尋ねし、大臣からもお答えをいただいたことと同じことを繰返すことになるかもしれませんが、資金の面では公社にしても、これは政府自身も申されておりますように、いろいろ日本国内経済状態から行きまして、資本蓄積の困難な今日、民間資金を吸収するということはさしあたり見通しがない。なお外資、外債につきましても、今の国際情勢の微妙な点から、さしあたりは望みがないという政府自身答弁もありました。また公聽会公述人説明においても、そういう点がかなり強く述べられておつた公社としてはさしあたりそういう道を将来に開いて行きたいということを、政府の方では御説明なつたと思います。しかし今ここにその見通しがない。これはこの前の御質問のときにもそういう結論を得た。そういたしますと二十七年度の現在の予算基礎にいたしましても、来年度からにいたしましても、政府自身さきにはつきりと三箇年計画と五箇年計画を立てられましたときのような見通しはない、こう見なければならない。その結果政府としては、公社の中の資金総額わくの中で、やはりいろいろな資金の流用といいます。か、弾力性といいますか、そういう点でのやりくりがつくようになるからという御答弁をこの前いただいたと思います。今次官お答えを聞いておりますと、また前にもどつたわけでありますが、そういう点の見通しがあるのか、もしおありになるならば、そういう点の御説明をもう一度いただきたいと思います。
  17. 靱勉

    靱説明員 お答え申し上げます。その点につきましては、本委員会においてしばしば御説明申し上げたのでありまして、公社なつたから全面的に資金がわいて出て来るということには、そう簡単に考えられないという意味合いで御説明申し上げてあつたわけです。しかし私自身といたしましても、全然これでもつて民間資金が吸収できないというようには考えていないのであります。結局民間資金が吸収できるかどうかということは、民間における資本蓄積力の問題になる。これは根本的な問題でありますが、それでは現在その幅をフルに電気通信で集めておるかというと、決してそうではないと考えます。具体的にお話しますと、私ども事務当局として予算折衝をする場合におきまして、昨年の予算におきましては本予算において百三十五億、その後二十五億の補正を認められた。二十五億の補正を認められますにつきましても、なかなか容易でなかつたのでございます。本年度は、先般御承認を得ました予算におきまして、御承知通りやはり第一次として百三十五億、第二次、第三次があるかどうか、これはまつたくわかりませんが、去年の百六十億に比べまして、一一十五億借入れ資金としては足りないことになつております。一体どの程度つて行つたらよいのだろうという御質問がありましたのに対して、これは私どものほんの案でございますが、年に五百億程度建設資金を得たい、こういうことを御説明いたしたわけてあります。その際におきましても、百五十億程度のものは国家資金でなお今後貸借して行く、さらに減価償却において百五十億程度のものを考えて行く、また設備負担金によりまして三十億から五十億の資金というものは考え得る。そこで電信電話債券の幅といたしましては、やはりこれは地方的に見ますれば個人電話がほしいということではなく、その地域における電話を改善しなければならぬという面において、あるいは金を相当貸してもよいというようなことも、具体的な例として現在申出もある。そういう面を電信電話債券によつて吸収して行く、これが年間五十億集まりますか、あるいは百億集まりますか、これは今後公社が発足いたしまして、経営者その他関係機関の協力と努力によるものでありますが、これを全然ゼロと見ているわけではないのであります。そういう次第であることをただいま御説明申し上げておるのでございます。
  18. 田島ひで

    田島(ひ)委員 そこで私は続いてお伺いしたいのですが、政府は五百億程度資金を集めたい。大体政府さき計画のときには八十五万個、現在では百万個くらいふやしたい。おそらく現在では三百万個は応じなければならないというように、電話などの需要が非常に多いわけなのですけれども、それに対して年間五百億の資金が得られるかどうか。この点につきましても、電源の開発資金ども電力九分割のときにはいろいろ言われましたが、結局は資金源が非常に逼迫して思うようでないというので、電力料の値上げになつております。だから政府はそう予想しておりますけれども、現在の民間資本というものは、一般状態から考えますれば政府予想しておるようにはとうてい得られないと思う。なぜかといいますならば、一般経済状態といいましても、これは根本的には国家財政と切り離したものではないと思う。国家財政上において、こういうような公共企業体資金がまわせないという原因がどこにあるかといいますと、これはやはり国家財政が大きく軍事的な方に持つて行かれておる。そういたしますれば、民間におきましてもやはりそういう方面資金が集中されることは必然であります。その結果、今日では民間資金が非常に窮迫しておる。金融面の困窮は、新聞面ごらんになつても非常に大きく出ております。こういう結果から、政府予想しておりますような資金を得るということは困難である。次官は非常に楽観してそういうふうに簡單に申されましたが、これはさき大臣自身も、今のところさしあたりの見通しはない、公聽会における説明の中にも、そういう希望はさしあたりないということを言われておる。おそらく私はそういう次官予想予想であつて、なかノて困難であろうと思う。そうすると結局どうなるかといいますと、ほんとう電話をほしいと思つている人々よりも、ここに政府個人にではなく地域的にと言われますが、地域的でなくて、あるいはもつと特殊なところに優先的に電話が引かれるのではないか。都市中心都市の中でも先日から言つておりますように大企業中心、あるいは軍事的に栄えている企業中心、さらに警察とかあるいは予備隊、あるいはもつと言いますならば行政協定によるところの米軍関係サービス面にやはり回線とか、そういう施設の面が大きく持つて行かれる結果になると思う。そういたしますと今日電話が引けないという原因は決して国営にあるのではなく、公社にしたから引けるのではなくて、国営においても公社においても、こういう公益事業には制約されるところの根本的なものがある。こう申し上げても、政府の方ではこれに対してそうだとは申されませんでしようけれども、私はこの点は電通事業が発足いたしまして以来の状態をずつと政府資料によつて調べてみましても、決して電通事業というものがうまく行かなかつたのではないか。発足当時からずつと相当順調にこれが発展して行つたとすれば、国営でも十分発展して行ける。発展し得なかつた原因は一体どこにあるかというと、やはり戰争たびごと軍需予算の方に持つて行かれ、そうして公益事業の方の予算が削除される。そういう点が非常に関係しているのだということをこの前も申しておきました。そういう点から行きますと、こういう政府資金に対する甘い考え方では、見通しがほとんどつけられないものであると思います。もつと根本をかえない以上は、公社にしても困難ではないかと  いうことを私はお伺いいたしておるのであります。次官お答えとしては、やはりそういうお答えしか得られないかとも思いますが、この電通事業が発足しましてからは、相当順調にやつて参りまして、収益の中から一般会計の方に相当入れている。こういうことも政府の方では御承知だと思うのであります。そういう点から割出しても、やはり国営では困難だという結論に達しておられるのかどうか、その点をお伺いしておきたいと思います。
  19. 靱勉

    靱説明員 電気通信整備拡張にあたつては、国の経済力というか、そういうものが根本であるということは今おつしやられた通りでありまして、国の資金がどの方面に国の政策として使われるかということが大きな問題であることも、おつしやる通りだと存じます。そこで戦争云々の問題につきましては、先般も御質問がありまして、その経過は御説明いたしておいたのであります。結局国営であつたために非常に順調に発達して来た、こういうふうに田島委員はおつしやられるのでございますが、私どもはこの事業に経験して参りまして、決して順調に発達して来たとは思わないのであります。すでに御承知通り需要供給関係は、供給需要にマツチしたことはほとんどないのであります。あるいは抽籤によつてその年度架設数をきめる。あるいはまた負担金を出さなければならない。それ以外の人には電話をおつけすることは困難だというような例もございます。そういう点から言いますればただいま御指摘のうちに、利益金として相当一般会計に納付しているということがございましたが、これもやはり国の機関としての一つの、理論的な結論ではありませんが、現実的結論であつたかと私どもは考えておる次第であります。そういう利益が、設備の取替あるいは拡張を、その限度においてさらに増して行くというようなところに使われないで、一般会計に納付された、こういう形になつてつたのであります。確かに電話普及発達のためには、それが害をなしておつたと申し上げてもさしつかえないと思います。それからまた先ほど電話債券によりまして、一地域の特定のものに利益を與えるのではないかというお説がありましたが、これは今後経営管理者がいかなる方針をとるか知りませんが、私どもこの案を立案したものとしては、そういう資金がある地域的に集まつた場合において、それはその地域に流すということだけであつて一般的の計画としてはやはり需要供給、それから施設状況を見て、その整備改善計画を長期的に立てる。その段階によつてそれを実行して行くということを考えておるのであります。また軍事的とか、あるいは警察方面相当使われるのではないかという御質問に対しましても、過去の実例といたしまして、国営をもつていたしておりました場合においても、軍事上必要なる施設整備拡充のためには、一般会計の中からむしろそれに対する負担金をもらうというようなことによつて、それに応じて来たという実例もあつたのであります。事業経営者としまして、また国の方針としましても、この電信電話というものを、国民一般にできるだけ早く要求に応じてやつて行くということが、常にかわらざる基本方針であつたと思うのであります。しかし遺憾ながら資金わくが少いために、いまなお非常に需要供給がアンバランスの状態にある、こういうふうに御説明いたす次第であります。
  20. 田島ひで

    田島(ひ)委員 次官は同じような御返答をなさるのでありましようが、電話というものは、ほんとうを言えば文化品でありまして、国民一般がだれでも持つてよいものだと思いますが、日本のような国民生活が、何というか非常に低い奴隷的な状態にあるところでは、一般国民文化品として電話を使うということは、今の政治、今の政府のもとでは、とてもおぼつかないと思うのでありまして、どうしても政府の方では、この事業企業性というものを相当強く主張される。そういう点から、公社の意見も出て参つたのだろうと思います。そういう点では私ども政府立場とは根本的に異なつておりますので、ほんとうを言えば電話などはだれでもどこの家でも使つてよいものであります。資本主義の国でも、アメリカあたりでは国民生活がよいから、電話はたいていのところで使つている。いつでしたか、朝鮮で戦死した兵隊のお母さんが、戦死した仲間の人にその内容は何でしたか、私もよく覚えておりませんが、たしか子供を戰地から帰そうという呼びかけだつたように思いますが、それを電話でもつてずつとなさつたということが新聞にも出ておりました。電話帳を見れば、戰地に出ておる兵隊の家族が全部わかる。何も一ところに集まらないでも、電話でもつてそういう運動ができるほど、アメリカあたりでも電話というものが一般に広まつております。これは国民生活が高いからです。日本などよりも生活相当よいからそういうこともできるのです。またソビエトあたりでは当然、こういう文化品社会性が大きく基礎をなしておるのでありますから、まず社会的に必要なところにずつとつける。それから国民文化品としてやはり使われておりますけれども、こういうことは、日本などではとてもおぼつかないことであります。私が順調に発達していると言うのは、別に今の日本国営がよいというのではない。最近政府の出されました厖大な電信電話事典、その中に昭和九年から二十四年までの収支状況はきわめて順調であると書いておられるのであります。おそらくこれは、次官が一番の編集顧問か何かになつて電通省あたりの方がお書きになつ事典だろうと思いますが、その中に非常に順調だと書いてある。私が順調だと言うのではない。そうして順調というよりも、高収益率をもつて経過して来たと書いてあります。これは千百四ページをごらんになればわかります。私は今の国営でも、もちろんまずい点があると思います。それは企業体なつたらよいというのではありません。政府のやり方でもこういうふうに利益が出ておる。しかも昭和九年から二十四年までの間には、合計八億余田の収益をもつてこれを一般会計に入れているというのです。ところがなぜこんなになつたのかというと、戰争になつてから臨事軍事費特別会計の方に資金をどんどんやつて行つた。そういう点で、国営では予算のとり方に不便があつた政府の方では申されるかもしれません。つまりそのようにして保守に必要な費用もとらない。補充取替もできないで、戰時中酷使され、資本の食いつぶしということがなされて来た。特に今度の戰争では戰災によつて破壊される、それに対する一般会計からの十分な補助もなく、修理もなされていない。ここに原因がある。そういうところは政府自身資料によつてはつきりしておる。国営であつても、そういう予算の割振りができないわけではない。また公社にしたからできるとも思わない。政府はこういう点をはつきり認めておられると思います。特に戰後電通事業が困難になつたのは、第一次吉田内閣のときのあのインフレ政策によつて、物資がずつと高くなつて来た。だから資材をつけるにもつけられない。このインフレ政策が大きな原因一つになつているのです。その次には、警察電話あたりのボロボロの使いものにならぬ電話を買い取り、その方に優先的に補充して行く。また占領政策によつて、占領軍の方に優先的に使われて行く。そういうところに原因があるので、これは国営ということばかりではない。公社になつても、やはり今と同じような政府方針で行けば同じことである。しかもこの公社案は、石川委員からの逐條質問にもありましたように、あらゆる点が国家の管理面によつて制約されておりますから、政府の大きな方針が軍事的な面にある以上、公社にしようが何にしようが、やはり民間資金はそう簡単には得られないでしよう。この電話事業根本的に公益事業として公共性を生かして行くということは、非常に困難だと私は思います。もし企業性を強くするならば、やはり電話料を上げるなり何なりしなければならない。そして一部の特権的なところに電話を持つて行かれるという結論になると思います。これは政府自身資料によつてここにちよつと申し上げたわけでありますが、そういう点についての次官のお考えをもう一応お聞きしておきたいと思うのです。
  21. 靱勉

    靱説明員 その点もこの前御質問がありましてお答え申しておいたのでございますけれども、結局いろいろと国家としても問題が起つて来るので、国としてどういう政策をとるかということがそれに対応してなされて来るのであります。過去におきましては、戰争も起り、あるいは大震災も起り、こういうようなことで公債政策その他についてもいろいろと変動を起して来ております。これは国家としてはむろん国会というものがそこにありまして、国民の意思を決定して行くという形になつておりますので、これが公社になろうが国営になろうが、そういつた大きな変動を受けることは当然のことであろうと思います。もちろん国際的な大きな経済的変動の影響を受け、物価が上つたり下つたりする場合もある、これはおつしやる通りであります。しかしながら国営形態で行くよりも、こういう公社法に盛られておるような資金ルートをつけることによつて、そういう事態に対して対応性があるかどうかということにつきましては、私ども公社の方が対応性があると思います。すなわち国の資金によらないで民間資金にたよる。私ども電話につきまして、根本的には資本の蓄積あるいは国民生活のレベルの問題に関係あることは当然患いますが、いろいろの施設を見て参ります場合におきまして、国の公共施設でなく、個人で仕事をやる場合の施設を見た場合に、かつて四千円で電話を必ず。けるというような方針を立てましたが、しかしながら現在は需要が多くて供給が少い、のですから、どうしても公益優先順位と申しますか、そういう優先順位によりましてその区別をして参るわけで、それで国会におきましても本委員会の御承認を経て負担金制度というものをつくりまして、これにつきましてはやはり資金の不足を補うためであつたことは、当時御説明申し上げた通りであります。これもやはりそういうふうにできるだけ負担を多くして行けば、今おつしやつたように大部分の人が電話利益を享受できないという面もありますので、これは借金の形でやりますならば、加入者直接に負担をかけないというような方法もとれるわけであります。個人として仕事をやる場合におきまして具体的に申すならば、暖房設備にしても、いす、テーブルにしても、なかなか高価なものであります。国がやれやれといつて四千円でやつても、今申し込んだ者が三年、四年たつてもできるかできないかわからないということでは、国民は満足しない思います。そういうことからある人には特別の負担を持つというところに、公平の原則とかみ合せましてできるだけ資金をよけいに持つて行くという形は、どうしても必要であるというふうに考えております。そこらの点につきましてはこの前もよく御説明申し上げましたが、まだ御納得が行かないようであります。何とか資金をできるだけ獲得いたしまして、電話というものはぜいたくのものではない、かえつて経済活動が能率的にできるという点の国民全体の認識、あるいは国会政府の認識というものは根本であると思いますが、事業経営者としても、やはり経営を最もよくし、国民利益を増進するという目的を持つておる以上、その目的達成のためにあらゆる努力を払つて行くということは当然かと考える次第であります。
  22. 田島ひで

    田島(ひ)委員 次官お答えは同じようなお答えでした。結局は企業性を強くするためには、いろいろな点で無理な影響が来る。たとえば資金の面においても、現在のような民間資本の蓄積が困難なときにはなかなか得られない。これは次官もそう言つておられますし、大臣自身もさしあたり見通しはないと言つておられますので、結局は電話料の値上げになるのではないかと私は思います。同時に人件費の問題が大きく出て来るのではないかと考えるのであります。政府説明の中で事業の合理化ということを言つておられますが、合理化の内容の御説明をお伺いしてみたいと思います。
  23. 靱勉

    靱説明員 その前に先ほどお答えを申し上げることができませんでしたが、料金の値上げが起きるという点につきましては、これは前に御説明申し上げておりますが、使用料金というものは、結局維持運営の経費をまかなう、それから減損償却をする、あるいは利息を払うということが普通の限度でありまして、それをさらに料金を値上げして拡張整備に用いるということは、これは先般も御説明いたしましたように一定の率、たとえば五分程度とか六分程度とかいう限度があるのではないか。現在の利用者に高い料金を課しまして、それを新規の施設に持つて行くということは、これは当然限度があので、それにたよるために料金の値上げをすることは、いくら何と申しましても国会としてもお認めにならぬでしようし、また経営者としてもそういうことはすべきではないと思いますので、この点もし誤解がございましたら御訂正願いたいと思います。けれども資金の獲得は、非常に資本の投下を必要とする事業におきましては借りて行くのが当然でありまして、長年の間に利息も払い、元金も払えればいいということでなければ、独占事業としてその使命は達せられないと思います。一時に全部の経費をとるというような方法は、公共事業としてはそうあるべきではないと考えております。  次にただいまの御質問の合理化はどうしてやるかという点でございますが、この公社案を立案する際におきまして、先ほど申し上げた資金の面の問題以外に、最も資金を経済的に能率的に使うという面がございます。と同時にまた作業能率を向上させるという点にあるのでありまして、そういうようなことがあつてはいかぬとおつしやいますが、普通の消費的な予算でありますと、予算にとつたものは事態がかわつてもその予算通りに実行して行く。また節約できる場合におきましても、それを他に流用することができないというときには、実際問題として厳格に企業努力がされることの障害になるというような点は、事実問題として否定できないと思います。そこでここに財務、会計につきましてかなり弾力性を認めた次第のものは、態率向上のために給與の面につきましても考え、それによりまして全面的な能率の向上を期し、結局安い経費をもつてある効果を上げるという点にあるわけであります。また予算の使用方法につきましても、事情の変更によりましては最も有効に使つて行くという操作が、企業者の責任において、また努力によつてやられる面があるのではないか。ただやれやれといつてもなかなか簡單に参らないのでありまして組織なり制度の裏づけというものがそれにマッチして行くということによつて、初めて企業成績というものが上つて来るのではないかと考えます。合理化の面につきましては、今後あらゆる面において推進、して行かなければならないと考える次第であります。
  24. 田島ひで

    田島(ひ)委員 料金の値上げだけが国民の負担でなくて、やはりいろいろな施設負担金として、いろいろなものがかかつて参りましよう。そういたしますと、やはり特別な方面にも大きく使われる結果になり、国民の負担になる。そればかりでなく、今次官の御説明にもありましたように、事業の合理化とか、能率的な経営という点から参りますれば、やはり作業能率といいますか、そういう点にももう一つかかつて来る。一方、次官は借入金はこうだと申されましようが、現在の電通事業において借入金はたしか五百五十億ほどあつたと思います。こういうのも今後どういうふうに返還されて行きますか。これは私の聞きたい点ですが、現にすでに五百五十億の借入金があつて、これを年々返済しなければならぬというような状態にあります。その中で、資金が非常に困難だということになれば、大きく一般需要者のところにかかつて来る。それから従業員に対する作業能率という点の強化が非常に大きくなつて来るが、その作業能率という点についても、安い経費でなるべくやつて行きたいという次官お答えから見ますれば、どういうふうに能率をお上げになるのか。たとえばこの法案の三十條に、職員の給與の問題で、たしか職員が発揮した能率が考慮されるとなつております。これに対して報奨手当というようなことの御説明があつたと思いますが、そういうものの内容はどういうものか。事業の能率化といいましても、たとえばアメリカあたりのように、非常に機械化して、非常に高度の機械が使われており、その機械で十分能率を上げられるという国とは違つて日本なんかでは、ことに戰争で破壊され、非常に荒廃した施設の中で能率を上げるということになりますれば、やはり余つておる労働力をいかに安く使うかというところに帰着するのではないかと思います。前にアメリカのシステムのライン・オルガニゼーシヨンを日本に当てはめますときも、その点でいかによいシステムであつても、そのままアメリカのシステムを持つて参りましては、その基礎が違つておるから、竹に木を継ぐよりかえつて困難になると私どもは主張した。現にあのシステムのために、職階制といいますか、何段階にも監視がやかましくなつて、実際に下で働いておられます人々の状態は、横を向いても監視されるというような、まるで人間が機械になつて、機械のかわりに人間を非常に高能率に使うという結果になつて来ております。そこで企業体になつて利潤を多く上げ、そして安い経費で使うということになりますれば、日本のような状態の労働條件のもとでは、労働者の方に一方的に大きく負担がかかつて来るのではないか、そういう点を私どもは心配いたしますので、報奨制度というような次官のこの前の御説明の内容についても、もう少し詳しくお伺いいたしたい。高能率の結果は、労働者の上に大きく負担がかかつて来るのじやないかという点についての御答弁がいたたきたい、
  25. 靱勉

    靱説明員 安い経費と申し上げましたのは、決して労働者を安く使つてという意味で申し上げたのではないのでありまして、同じ経費の使い方にしても、最も効果的に使うことが、結局安く使つたことになるということで申し上げたのであります。そこで事業経営を非常に合理的、能率的にやつた結果、利益率が上つて来るということになりますれば、これはどういうふうにすべきかという点につきましては、先般来からお話を申し上げました通り、サービス改善に当るのがまず第一であります。すなわち電話機にしても、いろいろな電線にしましても、それをとりかえてできるだけ故障のないようにしてサービスをして行くと同時に、またこれに従事する職員に還元されてしかるべきものではないかと思う。すなわちこういうような見込みがなければ、企業に専心打込んでやれと言つてもなかなか困難であります。それから報奨手当にしましても、現在の超過勤務手当にしましても、結局時間的の幅できめられるのでありまして、その時間内における仕事の量によつて決定されているものではないのですから、ある一定の八時間なら八時間内に非常に労働が強化された場合に、それを報奨する制度になつていないが、そういう点は公社になりましてからは、能率によつて普通の固定給的なものに加えて、特別な給與がさらになされるようにぜひ実現して行きたい。この点につきましては、もうすでに本委員会においてもその問題を取上げられ、まさに実行に移そうとしたのでありますが、政府機関なるがゆえに結局それは押えられたのであります、これは現実の問題であります。専売公社等においては、そういう生産手当というものが正式に認められて実行しておるのでありますが、私どもの力としては、政府機関なるがゆえに行われていないという事実があるわけであります。そこで今申しました報奨手当というものは、ぜひ実行して行きたいというように考えます以外に、單に給與だけの問題ではなく、人事管理の問題につきましても考えて行きたい。現業の第一線に非常に熟練した人がおつても、現在その人に対しては職階的な一つの制約があり、給與も頭打ちになり、あるいは待遇につきましても限度があるのであります。こういう企業においては、そういう非常に熟練した第一線の仕事を担当しておる人と、中央において管理的な事務をやつている人と、どちらがたつといかという点につきましては、それぞれの職能においてそれはたつといのであります。本省におつて管理をする人が偉いのだ、現業でもつて交換をやるのは偉くないのだというようなことが実際においてはないと言いながら常に現在のいろいろな職階手当の問題等においてこれが現われておるので、これをぜひ改善して行きたいという考えを持つている次第であります。
  26. 田島ひで

    田島(ひ)委員 次官の御説明を聞いておりますと、なおさら従業員の状態がひどくなつて来ると私は思う。いろいろ美しい言葉で言つておられますけれども、結局その負担は労働者の上にかかつて来る。最低賃金が保障されていないで、しかも公社になつて予算総額のわくがきまつてつて、職階的な給與が強化されますならば、いやおうなしに労働者の労働強化は当然そこに出て来るのではないかと思う。政府としてはそれを報奨しておられるように、一部分の人に非常に労働を強化しておる。能率を上げようという結果からそういうことになつておるのでありましようけれども日本のように労働力が非常に余つていて、最低賃金の保障されていない労働條件のもとでは、一層労働者の生活を苦しくするものだと思う。また一方では、今の公務員の状態が決してよいのではなくて、公務員の方々から再三いろいろな要求や問題が起きておりますけれども、一応定員法にしろ何にしろ、国会審議を経なければ首切りができない状態になつておるが、それが公社になりますれば、自由に首切りもできるのではないか、人員の削減も勤務時間もやりくりが自由になるのではないか、そういうところから、結果から見ますれば、やはり従業員の方に大きな負担がかかつて来るのではないかと私は考えます。次官お答えは、やはり同じようなお答えかもしれませんけれども、この三十條からずつと並べてあります中には、そういう点が非常にたくさん現われております。三十一條においては、第一号の勤務成績のよくないということは、この法規の上ではなるほどと思われますけれども、実際はそういう口実をどこにつけるか。監督が何段階にもなつております中では、こういうような口実は幾らでもつけられる。懲罰の点につきましても、やはり三十三條第一項第二号の「職務を怠つたとき。」という見解をどこで見るか。それから三十四條におきましても、そういうような労働者の基本的な人権を侵害するような條項がたくさんできております。そういう点から見ましても、やはり根本的に事業面からの資金の不足いたしておりますことが、やはり一方においては労働強化が、高能率、合理化ということから、加えられるのじやないか。かつて日本では産業の合理化といいますか、戰前のあの不景気時代においては、労働者の首切り、それから労働強化が常識になつておりました。そうして安い労働力によつてダンピングをして、今度の戰争に導いた一つ原因になつておりますが、やはり同じような道で進んで行くのじやないか。公社という美名ではありますが、その美名の中に含まれておるものは労働條件に対する非常な束縛、それから抑圧をもたらす結果、このいろいろな條項を見ますとなるのではないか。こういう点を事実一番下で働いております従業員の方々は心配いたして、この公社案に反対しておるのであります。そういう点から見まして、次官からはそれに対してそうだというようなお答えはもちろん得られませんでしようけれども、私はこういう点をこの法文の中に強く見ておりますので、重ねてそういうように憂慮される点を政府にお尋ねしたいと思います。
  27. 靱勉

    靱説明員 それは私どもは逆に考えておるのでありまして、公社法に、職員の休職の場合とか、やめる場合等のことが書いてありますが、これは公務員法によつて保障されておるものとまつたく同じようにここに書いてあるのであります。それから行政整理の問題については、定員法の改正国会でやるというような御意見でございますが、この公社法案におきまして御説明申し上げております通り、給與総額は国会がおきめになるのです。国会が最終的におきめになる。そのあたりでもつて職員の権利といいますか、利益を擁護するということは、当然なされるようなかつこうになると思います。その点は国家公務員以上に悪い條件を押しつけておる公社法の規定は絶対にないのです。のみならずこれは公労法の適用があるということで、労働條件につきまして団体交渉権を持つということで、電通の従業員組合も相当強い力を持つて組織されておるわけでありまして、むしろ現在より労働條件の改善に力が発揮できるものと考えるのであります。従つて現在より悪い條件を一つもこの法案において押しつけておるとは私ども考えておりません。  それから先ほどから労働強化がされて、従事員の生活が困難になるという御意見でございましたが、私ども少くとも現在より悪くしようと思つて公社法をつくつておるのでは絶対にありません。職員の利益というものもこれによつて必ず増進されるということを、非常に大きく期待いたしおるのでございまして、その点は誤解のないようにお願いいたしたいと思います。  それからもう一つ、私どもこれを考えて行きます場合において、今合理化されることによつて常に労働者が不利になるというように私はお聞き取りしたのでありますが、一体事業経営を合理化するのは、だれのためかということを考えますと、これは国民のためにやるのでありまして、事業経営を不合理にしておいたのでは国民承知しません。そのために非常に労働が楽であつても、今度は国民承知をいたしません。すなわち国民利益と職員の利益とをほんとうに適合してやつて行くのが、事業経営を最も合理的にやつて行くというねらいなんでありまして、国民だけに奉仕するために職員からうんと——普通の悪い言葉をもつてすれば、搾取するとかなんとかいうことがあれば、これはたいへんでございますが、そういうような合理化は決して考えているのではないということを御了解願いたいのであります。
  28. 田島ひで

    田島(ひ)委員 次官と私は合理化の論争をするわけではありませんけれども資本主義経済のもとでの合理化というものは、政府自身がこれを公社にするのは、企業性を大きく持つて行きたいという点を言われております以上、企業性が強くなりますれば、企業性公共性というものは、私は資本主義経済のもとでは両立しないように思う。企業性を強く持ちますれば、いやおうなしにもうけるということ、利潤というものが追求されますから、その結果を来す。次官の、政府の意図がどういうところにおありになろうと、現実には国民の権利と従業員の利益とが、従業員の負担にかかつて来る。その点については私はここで次官と論争いたしません。  一点だけ伺いたいことは、公労法によります労働者の状態が今どんなものであるか。ストライキ権のないような公労法というものは有名無実であつて、何もならない。ところがアメリカの電気通信労働者は、ストライキ権を持つている。この間は電信電話労働者が大きなストライキをやつておりました。何でもアメリカのまねをなさつている政府はどうでありますか。電通事業の従業員が、現在いろいろな点で労働条件の制約をされているわけであります。この点についてストライキに対する権利、自由をお與えになろうとしないのであるか。アメリカではこれが與えられている。ストライキの権利のないようないろいろな労働法というものは、労働者にとつては有名無実であつて、労働者の権利にも何もならないということは、労働者自身がいろいろな交渉を開くたびに身をもつてつている点であります。ひとつ伺いたい。
  29. 靱勉

    靱説明員 今おつしやるようなことは十分了解できるのでございますが、実は公共企業体としましても公労法というものは現存している。あるいは基本的に労働法を中心としての問題もある。これは一般に私はわが国におきます労働法に対する国民の意思が、どこにきまつて行くかという問題かと思います。私どもこの公共企業体の形態におきまして公労法をここに持つて来るということは、一応国鉄、専売の例にならつたのでございます。それから会社におきましてはもちろん公共企業体労働関係法の適用はない。そこの通信事業についてはどうかということは、これは一般政府職員であればどう、公共企業体の職員であればどう、一般民営であればどうということは、国のいろいろな形式に対して、どの形式に当てはめて行くかという、事業のいろいろな形態に従つてきまつて来るものであります。現在の法律によりますれば、お説の通り国営に直して行きますれば、団体交渉権もない。これは労働法が改正されれば出て来るわけでありますが、そういう意味合いで、その問題は労働問題一般としまして、国民の意思がどこにきまるかということによつてきまつて行くべきものであると思います。私個人としましていろいろ意見を持つておりますが、この点につきましては公共企業体としまして公労法の適用を受ける、こういう形にいたした次第であります。
  30. 田中重彌

    田中委員長 これにて休憩いたします。     午後零時四十分休憩      ————◇—————     〔休憩後は開会に至らなかつた