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1952-05-17 第13回国会 衆議院 電気通信委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年五月十七日(土曜日)     午後一時二十八分開議  出席委員    委員長 田中 重彌君    理事 關内 正一君 理事 高塩 三郎君   理事 橋本登美三郎君 理事 長谷川四郎君    理事 松井 政吉君       石原  登君    井手 光治君       加藤隆太郎君    庄司 一郎君       中村  清君    福永 一臣君       石川金次郎君  出席政府委員         電気通信監   山下知二郎君         電気通信事務官         (業務局長)  田辺  正君         電気通信事務官         (経理局長)  横田 信夫君         電気通信技官         (施設局長)  中尾 徹夫君  委員外出席者         電気通信事務次         官       靱   勉君         專  門  員 吉田 弘苗君         專  門  員 中村 寅市君     ————————————— 五月十六日  品野町の電話ケーブル施設強化に関する請願(  早稻田柳右エ門君紹介)(第二八〇四号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  日本電信電話公社法案内閣提出第二一二号)  日本電信電話公社法施行法案内閣提出第二一  三号)  国際電信電話株式会社法案内閣提出第二一四  号)     —————————————
  2. 田中重彌

    田中委員長 これより開会をいたします。  日本電信電話公社法案日本電信電話公社法施行法案及び国際電信電話株式会社法案一括議題とし、質疑を続けます。石川金次郎君。
  3. 石川金次郎

    石川委員 日本電信電話公社法案に  ついてまずお伺いいたします。国営より公社経営に移つて参らなければならない理由についてお伺いいたしまして、その理由を明らかにいたしておきたいと存じます。わが国における電信電話事業は、創業以来国営で今日に及びましたが、国営としての経験は四分の三世紀にも及んでおります。その間には一つの業風が生れ出てあつたことと存ずるのであります。なるほど経営が官僚的であるという非難もありましたけれども、長い間従業員諸君の堅実なやり方に対しては、やはり世の中はこれを非難するもののみではなく、むしろ称賛しておつたと思うのであります。それを捨てて公社に移つて行くにつきましては、相当重要な御決心を当局がなされたことであろうと思う。まして世界傾向とでも申しましようか、事業が次第に公共的、社会的化せられて来ます場合に、政府がきわめて公共的な事業であると主張しておられる電信電話事業は、これを国営から公共企業体にかえ、そうして一方、その電信電話事業の一部を国際通信事業として、私企業である会社にこれを委譲する。こういう案を立てられたにつきましては、国営としては電気通信事業はその使命を達し得ないという見通しがあつてのことか。公社案によるならば、もしくは会社案によるならば、事業本来の目的の達成に大きな確信を持つておることであろうと信ずるのでありまして、ただ漫然と現に起つておるところの非難をのがれるために、国営から企業体へ、そしてまた一部は会社案へと移つたのではなかろうと思うのであります。私は、一体今日の国営を本法の公社案に移すことが、また会社案に移して行くことが、はたしてよい経営形態であるのか、よりよく事業目的を達成し得るものであるのか、当局が言われるところのよりよき電話、よりよき電信をより多くの人々にというこの目的が、はたして達成されるかについて疑いを持つております。そこで国営によつて電気通信事業国民の要望にこたえ得ない、この原因を明らかにしておきたいと思うのであります。政府の提案の説明によりますと、国営においては資金の必要を充足し得ないということが、まず第一にあげられておるのであります。しからば従来御当局はその必要なる資金を求めるために、どういう方法を講ぜられたか。いかに努力されたか。国営なるがゆえに資金収集ができなかつたのか。他の公共的企業によるならばできたものが、国営なるがゆえにできなかつたのである、そういう事実があつたろうと思うのでありますが、これをまずお聞きいたしたいのであります。
  4. 靱勉

    靱説明員 お答え申し上げます。過去の電気通信事業におきまして、ただいまお話通り、まつた国営形態をもつて一貫して参つたのでございますが、しからば資金面において、過去において国営なるがゆえに困つた点はどうかという御質問のように承りましたが、特に電話事業の沿革を見てみますと、これは逓信事業といたしまして、当初におきましては一般会計に属しておつた。従いまして資金を求める場合におきまして、電話事業におきましては、特に非常に資本を投下しなければならぬ。従いましてかかる事業におきましては、借入れ資金によることが原則であるということは、皆さんの御承知になるところだと思います。もちろん電話事業経営いたしまして、それから上つてくる収入をもつて拡張資金に充てるということは、理論的に申しましてもある限度があるのでありまして、それは結局現在の利用者に大きな負担をかける。将来の利用者施設というものを、現在の利用者料金からまかなうということは、やはり認められない原則かと思います。従いまして一般会計におきまして資金を求めるといたしますれば、これは在来の形におきましては、国債によつたことなのであります。ところが公債政策というものは、もちろん国の一般行政ではむしろ赤字公債ともいわれたわけでございますが、一方国の全体的な借金国債わく制約されておつたことは事実であります。従いまして過去の電話事業拡張計画変遷を見てみましても、容易に十分な資金が得られなかつた。すでに過去におきましては、電話を一本つけるのに三千円、今で申しますれば六十万円というような負担も、あえてしなければならないような時代もあつたわけでありまして、そのことは、国債にたよれない場合におきまして、結局電話事業拡張を何に求めたらいいか、それは電話架設を希望する加入者なり、希望の人から、全額を負担金として、これは借りるのではなくして、とつてしまうというような制度が長く行われておつたのであります。そういう点におきまして、もちろん私どもこれを現在におきまして批判いたす場合に、日本の国の財政と申しますか、それが全体的に低かつたがゆえに、電話のように金のかかるものにはなかなか借金もできなかつたというようなことであるとするならば、国全体といたしまして、電話施設というものはぜいたくなものである、他の、国として施設しなければならぬ施設に比べて、その価値は低かつたものであるというふうに、一部判断されたのではないかと思われる点も、私ども顧みて考える次第であります。しかし現実の過去の事実といたしまして、国の財政政策の全体のわくから、電話事業に投ぜられた資金というものは、決して十分でなかつた国民の需要に対して決して満足なる供給を與えていなかつたということは、過去におきまする事実がりつぱに証明いたしておると考えるのであります。その間におきましてわが国が、いわゆる日清、日露戦争を経まして、さらに第一次世界大戰へと、国の進展が行われました場合におきまする他のいろいろの施設の発展というもの、これは民間資金に依存した点もずいぶんあると思いますが、それらと比較いたしまして、電話に対する非難は、過去から長く続いておつたものでありますので、一時電話民営論も非常に真剣に取上げられたときもあつた。しかしその後いろいろな国の情勢変化に伴いまして、結局今次の戦争に入つたわけでありますが、その間におきましても、やはり交通といいますか、運輸の施設の点が非常に強調されまして、電気通信に対しては、現在のところで何とかやつてもらいたいというような一般的な情勢下にあつたのであります。しかも国の必要な政策のもとに、電話の動員ということも現実に行われたわけであります。そこへ加えまして、大きな戦災を受けた。この施設復旧が、他の施設復旧に比べて容易でない、非常に多額な資金を要するという点もあるのでありまして、私ども過去の電話拡張計画変遷を見ますと、一応長期計画、あるいは三箇年計画、あるいは五箇年計画というものが設立されまして、まさにそれに着手しますと、すぐ翌年度からあるいは非募債主義をとられまして、それは国際情勢とかいろいろな変化に原因していることは事実でありますが、たちまちにその計画はつぶれてしまうというような歴史を、数回繰返している次第であります。大正年間になりまして、特別会計制度も実施されましたが、国の経費を充足するために、大きな戦争の場合におきましては、納付金というものを納めなければならぬ。また国の財政の観点から、特別会計ができましたが、最低八千万円程度納付金をするというような過去の歴史を持つておるのでありまして、この事業というものが、十分国民利用に供せられない。これは決してぜいたくな施設でない。経済活動を例にとりましても、この施設あるがために、かえつて能率的であり、経済的にできる。もちろん現在電話加入者は百三、四十万にすぎませんが、これは私は必ずしも特権的存在だとは考えない。電話の活用によりまして、直接間接にやはり国民全体の利益に奉仕していると考える次第であります。しかしなお現在の全体の国民の数から申しまして、電話がいかに少いかというような点もはつきりいたしておるのであります。これは一に私ども財政上の制約が非常に強くあつたという点を否定はできないのではないか、こう考える次第であります。
  5. 石川金次郎

    石川委員 そこで政府財政上の制約、国策の制約を受けて、資金国営においては豊富ならしめることができなかつたと承るのでありますが、しかしそういう制度を改善して、資金を持つて来るような方法を、何か考えられて努力したのでありますか。特別会計になりまして以後は、そういう趣旨で特別会計になつたと承つておるのでありますが、そうであるならば、その制約があつても、その制約をできるだけ排除して、資金導入のために逓信当局がどのような努力をせられたか、どうしても不可能であるかということをお聞きしたい。国営であれば資金収集が絶対不可能であるか、私はそうは思わないのであります。
  6. 靱勉

    靱説明員 理論的に申しまして、国営であるがゆえに資金が集まらぬというようなことはないかと思います。それから過去においていかなる努力をしたか。私ども先輩方々が常に必死の努力をされておつたと思います。しかしながら実際の結果というものは、ただいま申し上げた通りでございまして、従いまして国債を募集することが、政府政策としていかぬ、あるいは非常に縮減されたというような場合におきましては、先ほど申したように、利用者負担を課して行く。こういうような非常に特権といいますか、電話へ加入するのに、きわめて金がある者でなければ電話に入れぬ、当時の貨幣価値から見れば非常に大きな負担をしなければ、電話に加入できないのだというような方法をとらざるを得なかつたと同時に、できるだけ民間資金利用をという考えで、加入者負担させることも一つ民間資金利用ではありますが、国際電気通信会社をしてあるいは長距離ケーブルを建設提供させる。海外通信無線施設も急速に拡充するために、日本無線電信株式会社をつくりまして、設備の提供を受ける。これはみな一般民間資金利用したのであります。また同時に、当時わが国といたしましては、大陸方面に、相当通信的にも進出して行つた。それらの施設というものは、結局国の金でやつたものではないのであります。満洲におきましてもそうでありますが、民間の金を利用しておる。過去の電気通信を担当された方々は、資金の獲得に非常に努力された。理論的には、もちろんここに国家が最重点を置いて拡張整備されたならばもつとできたかと思いますが、しかし国全体の財政政策資金の配分と申しますか、それらの現実の姿は、過去においてそうであつた。そのことはやはり一つの国の事業として、一般の国の行政あるいは軍事的な制度、それらの問題との兼ね合いで、やはりなかなか十分な資金が得られなかつた、私どもこういうふうに考える次第であります。
  7. 石川金次郎

    石川委員 ある時代にある政府が、一つ財政計画とか、経済計画を立てて、電気通信事業への資金を出さないとしても、今現在の政府が、この電気通信事業重要性を認めて、国民とこの電気通信事業とが密接したものである、一国の経済とか、産業とか、一切の文化が、これを基礎として進められるものである、さらにこの通信事業によつて生産費も安くなるものである、こういう認識に立てば、政府政策をかえることができるのではないか。そういう政策をかえ得るならば、公社にせずとも、資金というものは入つて来るところの道があると思う。その努力をしないで、公社というものに持つて来る理由というものがわからない。それではさらに進んでお尋ねいたします。公社になつたならば、言うところの資金が入つて来るという御自信があるのかどうか、御確信があるのか。たとえばこの法を見て参りますと、まず説明においては、所要の資金民間に求めることはできない、こう言つておる。そうしてしかも電気通信事業に入つて来ますところの資金を見ると、五條の二項で、政府公社に対する一つ追加支出が予定されておる。この五條の二項による追加支出について、政府はどのような話合いができ上つて、どのような額の資金が入るということの見通しを持つておるのか。また六十二條資金調達規定を見て参りますと、長期借入金、一時借入金電信電話債券発行によつている。国営でこれが発行できないはずはないのでありますが、とにかくこの発行方法を講ずる。これでどれほどの資金が入つて来るという一つの御確信があるか、見通しがあるか。六十二條の五項によつて推察いたしますると、外国よりの借入金があるのだということを予想する法文だと思うのであります。一体外国から資金をどれだけ本事業に持つて来るという見通しを立てておるのか。六十四條は政府貸付規定でありますが、公社に対し、政府がどれほど貸付をやるというのか。一体公社になるがゆえに、国営ではできなかつた資金がこれほど莫大に入つて来るのか。もちろんこれは入つて来るのだという成案によつてこの案をおつくりになつたのだと思いますが、この点に対して資金がどのくらい入つて来る予想をせられておるかということを承つてみたい。
  8. 靱勉

    靱説明員 大臣の御説明にもありましたが、現在のわが国民間資本蓄積力と申しますか、それらから見まして、公社政府資金から離れて、一応満足できるような拡張資金をただちに借り入れらるということは、現在においてはもちろん十分には認められないということを率直に私ども考えて、それを明らかにお示しいたしておる次第でありますが、現在かかる公社といたしましたということにつきましては、国はわが国電気通信事業の健全なる発達に対して、やはり責任を分担して行くという態勢にはなつておる。従いまして国家資金から電気通信事業のために資金を貸すという態勢は、今度も続けていただきたいという考えを持ちますと同時に、電信電話債券発行いたしまして、民間資金も集めるということも考えておる次第であります。ただいま御質問に、どの程度集める考えであるか、こういうお話でございますが、現在御承知のように電話負担金というものを臨時特例として設けておるのであります。これが大体年間三十億から、数をふやしますれば五十億くらい入つて来るような計算になつておるのであります。もともとこれは私ども絶対的にいい制度とは考えてない。少くとも三万円なり、あるいは地方において二万円を負担しなければ電話がつかないということは、決して電話理想体系ではない。むしろ何のために必要かというと、結局拡張資金が足りない。拡張資金は長年の経営によりまして、料金によつて弁済して行けばいいものでありまして、従いまして当初たくさんの負担金を課するということは、できるだけ避けて行きたい。すなわち借金して返して行く、一定の利息をつけて返すということで、この企業がりつぱに経営されて行かなければならぬというふうに考えているわけであります。それで私の方としては電話債券がこの面におきまして、相当今後一般日本の全体の産業経済の復興に伴いまして、これを負担するといいますか、借り入れる能力が出て来るものと考えております。そうしますればできるだけこの債券にたよつて行くという考えであります。もつとも国ができるだけ低利な資金をもつて、この事業を発達せしめるという政策も、私どもぜひとつていただきたいという考えは持つておるわけであります。それから外債の問題でございますが、これは相手方のあることで、さらにめんどうな問題でありますが、できますれば電話施設整備に要する資金も、一部外貨債を得られるならば、これはやはり事業のため、またわが国利益になるのではないかというような考えのもとに立案されておるわけでありまして、全体的に、しからばどのくらいの資金がいるのかという問題に相なつて来るわけでございますが、私ども現在持つております計画、これによつても年々やはり五百億程度建設勘定資金を持ちたい。本年度の予算は御案内の通り財政資金からの借入れは百三十五億、減価償却として約百三十五億、それに若干その他の資金等を集め、さらに先ほど申しました負担金等を合せまして、全体で三百二十二億という計算になつておるのでありますが、これを五百億程度計画にして考えてみましても、五箇年間におきまして、さほど思い切つた改善整備がで百きるとは考えられない。しかし私ども一応、昨年でございますか、朝鮮動乱勃発前に、自立経済三箇年計画を樹立されましたものを、その後の朝鮮動乱によるところの物価値上り等で換算してみますと、その当時の計画でさえ、六百億から七百億という建設勘定になるわけであります。それで公社に期待するところのものは、もちろん国とし、て先ほど申したように、この電気通信施設拡張整備に、国としてやはり御援助していただくと同時に、できるだけ資金を吸収しまして、ほんとうに便利な電気通信施設が提供できるように、その道を考えたわけであります。先ほどちよつと御質問に対してお答え申しませんでしたが、電話債券というものも、国として出してもいいのじやないかというような御質問があつたわけであります。ただ過去の国債の理論と申しますか、それにおいては、電信電話のごとく、ある意味においては生産的な公債につきましても、政府公債全体として考える。すなわち政府がたくさん借金を背負い込むということは、もちろん財政政策として一つの大きな悪影響があることは申すまでもないのであります。かかる生産公債を、まつた一般の消費的な公債と同様に取扱われておつたという点におきまして、電信電話に関する公債発行というものが、非常に困難であつたという事実をお答え申し上げたいと思います。
  9. 石川金次郎

    石川委員 今の生産公債というのは、電信電話公債であると思いますが、それは私は考え方の問題だと思います。一つ電信電話建設資金という特別の公債発行するなら、国営でも公社でも同じだと思う。むしろ政府発行する方が、信用を高めやしないかと思われるのでありますが、今承つておりますと、国営によつて資金がどうも集まつて来ない、こういう御説明であるけれども、この法文に示された資金が、公社になるから入つて来るという法文規定を見ても、また今の御説明を伺いましても、国営でありました場合はかえつてつて来るのじやないか。従つて私は公社にしようとしまいと、国営であつても、法文規定方法による資金は、やろうと思えば入つて来る。あえてこれを資金が入つて来ないから公社にしなければならぬという御説明が、どうもふに落ちないので、もう一度、公社になつたがゆえに特に金が入るということについての御説明を願いたいと思います。
  10. 横田信夫

    横田(信)政府委員 ただいまの御質問にお答えいたします。今お話がありましたように、純理論的な問題として考えて行きますならば、国営であつても、国営事業のままこれを経済的にやり得る方法があるのじやないか、純理論的に言いますと、そういうことも言い得られるのじやないかと考えます。しかしながらわが国国家活動中心が、やはりいわゆる監督行政に置かれておる。これはわが国の現状としては、否定できない事実であろうと思います。そういう点から一般監督行政中心が置かれる以上は、いろいろの財政制度考える場合に、やはりこれを総合的にある程度考えて行く。それがいろいろ会計制度財政制度においても、そういうものの影響がどうしても入つて来る。これは同時に事実として避け得られないことだろうと思います。それでどの程度努力したかというお話もありましたが、われわれの通信事業の過去の歴史というものは、そういう意味におきまして、この通信事業経営態勢経営的にー経営的にと申す意味は、決して営利的という意味ではありません。公益的使命を持ちながら、この事業を最も経済的に、能率的にやつて行きたい、こういう努力をずつと続けて来た数十年の歴史であろうと思います。御承知のように最初ずつと一般会計で、いわゆる収入支出というものを全然切り離して考えられておつた。これはほんとう公益事業ではないのですが、そういういわば家内工業的な、大幅帳的な時代から、特別会計をつくつて行こうという機運にだんだんなつて行きましたのもその意味であります。昭和九年に通信事業特別会計が成立いたしました。ところが通信事業特別会計は成立いたしましたけれども、そういう過去のからを負つておるために、やはり事業的な色彩においては非常に欠けた特別会計制度であつた。わけであります。もちろん複式簿記もとつておりません。そういうものを戦後になりまして、昭和二十三年にもう一度特別会計を改正いたしたわけであります。その改正におきましては、いわゆる公益性はもちろんでありますが、事業として経営的にやつて行くためには、資本主義私企業において発達したあの経営技術というものを、十分取入れて行く必要があるというので、それをだんだん取入れて、いわゆる複式簿記もとつて参りましたし、事業会計としての体系をもう一段進めて来たわけであります。それから通信事業の中で、郵政事業電気通信事業の持つ特性も幾分違う。これを事業的に確立するという意味において、昭和二十四年に両方がわかれて、おのおのその事業に適する事業形態をとり、事業会計制度もとつて来る、こういうように努力いたしましたすべての流れというものは、この一つの大きな努力歴史であつたわけであります。しかしながらこういうようにとつて参りましたが、やはりこの特別会計という会計制度のあの法律の中では、幾分一般会計違つたー一般会計においては御承知のように收入支出独立原則、あるいは年度独立原則、あるいは款項独立原則、こういう原則がとられるわけでありますが、そういう点においてもある程度の例外を認めて、事業態勢らしくやつて来たわけでありますが、なおかつやはり一般的な規定以外の問題につきましては、一般会計法財政法規定による、こういうことになつております。それでその影響が案外大きな影響を持つてこちらへ流れて来る、こういう傾向を持つておるわけであります。  ただいまお話がありました資金の点につきまして、この公社にいたします理由は、ただ資金の一点だけではないのでありまして、資金の問題もありますが、そのほか事業経営やり方におきまして、あるいは人事管理の面におきましても、従業員民主化をはかりながら、しかも経営能率を上げて行く。従業員経営能率、いわゆる作業能率を十分上げて行くという意味において、今の人事管理制度においては、相当の欠陷があるのでございます。そのほかまたわれわれの事業と申しますのは、これは監督行政ではなくて、やはり一般の公衆、一般国民をお客様としてこれにできるだけ安い経費で、サービスを提供して行くというところが、本来の使命であります。もちろん一般行政におきましても、これはシヴイル・サービスという言葉もありますように、一般行政ももちろん国民のために奉仕するのが行政でありますけれども、しかしなおこの一般行政の面におきましては、国民全体のために、やはり国家権力というものを持つということがもちろん必要なことであります。ところがわれわれの事業は、そういう権力を持つてやる事業ではない。やはりむしろお客様に対して、われわれのサービスをできるだけ能率を上げて安くお客様に提供しよう、これがわれわれの事業の形であります。そういう意味におきまして、やはり官僚制度という範疇にあるということは、いろいろな面において見えざる意味におきまして、従業員全体の気風、これがやはり事実においてはなかなか大きな力を持つ契機を持つておるわけであります。そういう諸般の情勢考えまして、こういう公社形態にしたのがいいだろうという結論になつたわけでありまして、資金の面だけでない。資金の面におきましても、現在それなり国家資金以外に民間資金が非常に入るかとおつしやいますと、これはお話のごとく、すぐ民間資金から莫大なものをわれわれは調達できるとは思つておりません。また外資導入につきましても、これは今後の長い工作に依存する問題でありまして、いずれにしろ外資というものは、どうせコマーシャル・ベースで入つて来るものであります。従いましてこの公社事業の、いわゆる事業会計としての収支計算というものが非常にはつきりし、いわゆる政府の会計的なものでなくして、事業会計的な意味においての見通しがつき、これにコマーシャル・べースとしての安心ができるという、これだけの実績を持つて行かないと、なかなかすぐは入つて来ないものだろうと思います。これも将来の問題と思います。そういう場合において、これを拒否するかといいますと、これは国家資金以上に、こういうものにおたよりするということは、事業の将来にやはり悪い結果でなく、いい結果がある、こういうように考えております。日本民間資金につきましては、さしあたりとしてはやはり国家資金の足らない部面、昨日もお話いたしましたように、一番われわれがお客様の御要望に応ぜられないのは、基礎設備の不足にあるわけであります。どうせ国家資金にたよるといたしましても、これは国家全体としての資金運用部資金等も当然限度があるわけでありますから、それだけで今の需要と供給は、こんなに開いておるものをどうせ満たし得ない。あるいは地方において、ある都市においては、自分のところだけ考えればほしいという場合に、そういうときに自分のところの設備をふやしてくれるなら、電信電話公債を引受けよう、こういうような要請があちらこちらに当然出て来るだろう。こういうように市外線との能力の範囲を考えながら、一応できる場合においてはこの公債を引受けていただいて、その場所における基礎設備をふやして行くということにおいて、相当やはり効果があるのではないか、こう考えております。それも一般公債というものの範囲においてやつてもできるのではないかというお話がありますが、これは先ほどもお話しましたように、公債という面になりますと、やはり国家全体の活動というものが、一般行政に重点を置いておるということと、公債は現在特別会計におきましても、その負担はもちろん特別会計でありますが、あの公債事務というものは、国家活動としては、やはり一体的にやつて行くということがある程度必要だ、こういうので特別会計負担にはなつておりますけれども公債発行の手続、あるいは償還というものは、公債として一貫的に見て行く、こういう形をとつております。それならそれを全部まわせばいいのではないか、こういう議論も出て来るのですが、これはなかなか事実上むずかしい。というのは、あるいはソ連のように、すべての事業を国が経営しておるということになると、非常に大きな例外をどんどんつくるということも考えられるのでありますが、一体に国家が直接こういう事業経営しておるという部面は、国家全体の活動からいえば、なおわが国においては少いので、それに重点を置いてすべてやつて行くということは、努力いたしましてもなかなかむずかしい。それからもう一つの問題は、いわゆる国家企業として国家企業経済法、あるいは国家企業財政法という、別の国家の名においてそういうものをつくつたらいいのではないか、こういう議論も理論的に当然あると思います。財政当局におきましても、そういう議論は相当あります。しかしこの場合においても、事業になりますとある程度の特性が出て来る。それなら專売も一つ事業じやないか、それと同じ原則でこれもやつて行こうということになると、共通の経済法、財政法によりますと、なおそれが十分実態に即しない部面も出て来ます。そういう点で、いわばその公共性を保持させながら、それを一つ企業体として独立させて行く。これは決して営利を中心とするという意味でなくして、国家政策としての問題は、政府なり国会できめていただき、それの経営管理というものについて、十分責任を持つてやらせて行く。それを今の経営管理的に見まして、十分効果のない点を救つて行くという制度考える。ここにいわば世界における一つ公共企業体というものの生れ出て来るところの理論があるのではないか、こういうように一応考えるわけであります。
  11. 石川金次郎

    石川委員 今私がお聞きしたのは、資金の面だけをお聞きしましたが、話がさらに別な方へ発展いたしましたが、それは私もお聞きしようと思つてつたのです。公社にしなければならぬ理由の御説明によりますと財務会計、人事管理について活発な企業活動を阻害せられる、これを原因にされておりますが、どういう制度があつて財務会計、人事管理について活発な企業活動を阻害したか、これを教えていただきたいと思います。
  12. 横田信夫

    横田(信)政府委員 具体的にこまかく申し上げますと、たくさんあるわけでありますが、もちろんこれも従来の発展過程において、だんだん救済をして来られたわけであります。ある意味において相当今までの観念でいえば、限度に来ておる程度まで、特別会計あたりもかわつて来たわけであります。しかし先ほどから申し上げましたように、人事管理の面におきましても、こういう事業については、全然別の給與体系考えて行かなければならぬ。今としては能率給制度を十分に取入れて行くというのが、相当無理があろうかと思つております。それから行政と違いましてやはり事業でありますので、現場第一線というものの、そこの今の段階を、今の一般の公務員の制度のごとくつくつて行くという場合において、その段階にずつと長くおつて、それで長く勤務しておつてもらつて、しかも給與が上つて行くというようなことも当然必要でありますが、そういうことが現在においてなかなかできにくいというような点もあります。会計制度におきましては、今の国の会計制度というものが、やはり一般的には消費会計的な原則がとられます。それを事業的な特性を持たせて来ておりますが、しかも決算において、そういう現金主義会計というものは、やはり資本主義一般会計においては原則にならざるを得ない。その現金主義会計と、われわれの事業会計におきまするいわゆる発生主義会計というものの両方を、今混淆して採用しておりますが、そのために二重の決算をやつておる。これは実は事務手続としては非常に多数の人間を煩わしておるわけであります。しかもそういう形式主義というものが、こういう伸縮性のある事業において、この費目とこの費目は使つてはいかぬとか、あるいはこれをむしろ決算的に見て行くべきものを、いわゆる中央統制的にやつてしまう。その形式に下からの計算を合せて来なければならぬ。無理に合すということが、事業として非常に弊害を起す。もちろんこれはいろいろ理論的にはいえることじやないかというお話もありますが、こういう行政的な面におきましては、やはり中央集権ということが一つの特徴になると思うのであります。ところがわれわれの事業におきましては、新たなる拡張計画というようなことになりますと、相当中央統制にいたしてもいいわけでありますが、いわばお客さんの需要に対してしてわれわれのサービスを合うようにして行く、こういう面に対しては、むしろすべてを決算的に持つて行く。お客さんが電報を打たれれば、当然そのための紙がいる、あるいはそのための業務が相当にふえて来るということは当然でありますが、それを予算で縛るのでなしに、むしろ決算的に見て行く、こういう形が相当進んでとられなければならぬと思います。そういうことを相当やろうと思うと、いろいろなところにひつかかりができて来る。それも全部直したらいいじやないかということの御議論も出ると思いますが、それが先ほどから申しましたように、実際上の問題としては、これは今の国家機関のままでは、そういうすべての問題を解決して行くのは非常にむずかしい。今度公社になりましても、実はごらんのごとく過渡期的な公社でありますために、ほ  んとうの意味の理想的なといわれる経営管理の自主性というものを完全に持つところまでこれは行つているかと言われますと、なお幾分問題はあるかと思います。しかし国家機関だけでやるよりは、ここまでは公社において進み得るということはできると思うのであります。これは同時に公社になつてからの今後の問題でありますが、御承知のように鉄道公社も、公社になりましてから、会計制度においても三回くらいの改正を施してだんだん進んで行つております。そういう意味で、やはり公社の実績、これに対する政府の信用、国民の信用というものとある程度並行しながら、この制度というものは発展し得るものであろう。従いまして理論的な問題と実際的な問題両方かみ合せて行くと、公社にするのが一番妥当であろう、こういう結論のように思うわけであります。
  13. 石川金次郎

    石川委員 そのようにある阻害がある、そして制約せられる、それを排除  して行くということは、たとえば国営の中においてもでき得べきことではないでしようか。たとえばさつきも言われましたように、普通の会計から特別会計に移る、そういうふうにかえて行く。国営の体内において今言うところの阻害を直して行くという努力が大切ではないか。その点、私と見解が異なるかもしれませんが、もちろん私は国営形態が現在において万全だとは言いませんけれども、財産が万人の利益のためになるには、やはり国に納まるところは納まる。国がみんなのために財産を活用して行くというところに、われわれの生活の進歩と目ざすところがあると思う。公社でやれるものを、国家の体内でやれないということはないと思う。そういうところに皆さんの努力の傾注がなぜできないか。ここに障害があるが、新しい公社という形が戰後以前からありましたけれども、大体においてヨーロッパにおいても新しい制度で、新しい制度ができた、よさそうだから飛び込んでみよう、こう言う。しかも公社制度というものは、国営から公社に移るということよりも、資本主義制度における私企業が発展した形態だ、こう見るのです。そうではないでしようか。アメリカあたりもそう言つているのではないでしようか。それをなぜ逆もどりして来なければならないか。国の体内においてはできない。できないというそのことを聞きたい。みんなも聞きたいと思う。せつかく国でやつてつたものを、公共企業体という、国と会社との中間みたいな制度に移つて来るのであるから、国では経営できない、絶対にできないのかどうかを聞きたいのではないかと思う。この点はどういうものでしようか。これはくどくなつて相済みませんけれども、ひとつお聞きしたいと思う。
  14. 横田信夫

    横田(信)政府委員 お話の点につきまして簡単に申し上げます。今のお話のごとく、理論的に絶対できないかと言われますと、理論的に絶対にできないということはないだろうと思います。しかし事実上の困難性は非常にある。従来もこの点は非常に改正に努めて来たわけでありますが、しかしこれはただわれわれが努めるというのではなしに、全面的な考えにおいて全体がかわつて来なければならぬという点が一つある。先ほど申し上げましたように、国営の中で共通的な問題として取上げる場合は、企業一つ一つの問題についての特性を十分考えて行くという点においては、相当困難があるだろうということは当然言えるわけであります。それから今の世界的な傾向についてお話がありましたが、お話のごとく世界傾向としまして、やはり私企業の社会化の一線として生れて来るパブリック・コーポレーシヨン、公共企業体もありますし、それから国営企業の能率化をはかるために、国が直接やらすに、これを企業体としてやらして行く、こういういわば国営の能率化という点からこの形態を採用して行く、こういう場合と二つあるわけであります。なおこの点は、しからばこうやつて公共企業体にしたために、お話の国管宮の長所が失われる、こういう心配がなぜあるか、それはどこにあるかという問題が出て来るわけだろうと思います。この点は国営としてのよさは存続して行きたいというのが、パブリック・コーポレーシヨンと申しますか、公共企業体の特徴だと思うのであります。国営としてのよさというものをとりながら、その経営管理の点において一歩進めて行く、これとしては公共企業体が最も妥当なのではなかろうりか、こういう結論のように考えるわけであります。
  15. 石川金次郎

    石川委員 だんだん御説明を承つて、だんだんに了解がついて参りました。そこだんだんにうまく行くということでありますが、それではお聞きしますが、政府当局が最も力を入れておつた、活発な企業活動をやるために必要なのは、予算の弾力性をたつとぶ、こういうことを書いておる。そうして会計について、四十條に予算の弾力性ということを規定せられておる。ここにいう予算の弾力性ということをちよつと聞いておきたい。これから組まれて参ります予算を、ははあ、これが弾力性のある予算かということを拝見しなければならないのでありますから、よくこの弾力性ということをお聞きしておきたいと思うわけであります。ところがこの弾力性というので、第四十一條を拝見して参りますと、こうあるのです。予算を作成して郵政大臣が検討をして、大蔵大臣が調整をする。この四十一條の2、3、4、6、これらの規定で、いわゆる弾力性ある予算は御期待のようなものが出て来ますか。そこで来年はきつと弾力性ある予算を拝見いたしますことをたいへん楽しみにしておりますが、ところが今申し上げましたような條文が活動して来ると、どこにどう弾力性というものが現われて来ますか。
  16. 横田信夫

    横田(信)政府委員 お話の四十條につきましては、これはいわゆる事業予算でありますので、この弾力性予算としての本質を持つということを明らかにいたしたわけでありますが、その本質を明らかにしたいということで、これだけでは内容はわからないじやないかというお話は、まことにごもつともだろうと思います。これが具体的にどこにどう現われて来るかということになりますと、四十三條の予算総則、実はこの中に現われて来るわけであります。その意味におきまして、今後国会の御審議のときに、この予算総則というものを特に目を通していただきたい、これに十分御注意していただきたい。そうすると、弾力性が行き過ぎじやないか、あるいは弾力性が十分行つていないじやないかという点が、ここに具体的に現われて来るわけであります。どうか今後国会で御審議になりますときに、十分これを御注意願いたい。実は従来の予算において、ある程度そういう大蔵省との折衝、財務当局との折衝との間に、いろいろそういう考慮を重ねて参つたのでありますが、しかし相当限度がある。それから今までの予算総則では、あれを見ただけではわからない。今度は弾力性の内容をここに書くということにいたしますので、その意味でむしろ国会の皆さん方にこの予算としての弾力性というものの内容が、今後の予算においてある程度明らかになつて来るという特性が出て参ると思います。どうか今後御審議願いますときに、予算総則というものを十分御検討願えればありがたいと思います。
  17. 石川金次郎

    石川委員 そこで弾力性をせつかくこしらえられたが、どうも心配なのは四十一條の三項でありますが、ここに「大蔵大臣は、前項の規定により予算の送付を受けたときは、これを検討して必要な調整を行い、閣議の決定を経なければならない。」この調整が、先ほど来あなた方が非常に電気通信事業に入つて来なかつたのは、政府政策のためだ、政府の必ずしも理解が至当でなかつたということが、この調整に現われて来やしませんか。この調整というものは何を意味するか。大蔵省一流の国家財政という見地、こういう考え方から、もしくは経済事情だという大蔵省一流の考え方から、この調整というものが来やしないか。それを許すのか。
  18. 横田信夫

    横田(信)政府委員 お話の御趣旨は、われわれとしても御同情いただきまして非常にありがたいのでありますが、しかしこれはこの事業というものが、先ほどからお話いたしましたように、やはりこの拡張資金におきましては当然資金運用部資金、いわゆるこれは純粋の意味において財政資金ではありませんが、要するに政府の金です。これにお願いしなければならぬ部面が相当多いので、これがまず第一点として考えられる。それからこれは今後の問題になりますが、今の外貨債につきましては、政府保証というものを受けております。これは先ほどからお話しましたようにすぐできる問題ではないのでありますが、コマーシャル・ベースについて十分だということになれば、その可能性がある。その場合に政府保証だということになりますと、これは一般会計の方でこの政府保証に対する債務負担行為というものは、一般会計で出さなければならぬ。それからもう一つ年度途中においてやはりわれわれの方も運転資金に不足する、この年度全体としてはある程度つていても、途中で金が困ることが始終あるわけでありますが、そういう場合において一時借入金というものは存続するわけであります。そういうものについてやはり財政当局としましては、財政当局自身もこの内容について、そういう通信事業の要求はわかるけれども一般財源としてもそこまではいけない、こういうことは当然出て来るわけであります。そうい意味におきまして建設関係もありますが、同時にいわゆる今の平素の運営についても借入金の限度そのほかについてやはり全体的に見て行く、こういう問題が出て来るわけであります。そういう意味におきましてやはり財務当局で、そういう全体から見た調整というものも、これは全然否定するわけには行かない点があるのじやないか、こう考えられるわけであります。
  19. 石川金次郎

    石川委員 それはここに働いて参ります場合は、御説のような場合だけ債券発行して行つた、これは第一にはそれに応ずるだけの資金がないのだという大蔵省一流の見解でとめるとか、他の事業にまわすために通信債券の方はこれをとめるということはあり得ないのですか。そういうことはやらないのですか。
  20. 横田信夫

    横田(信)政府委員 今お話意味がよくわかりませんでしたが、電信電話債券につきましては、やはりこれは事業の特性にもつてつて参りますが、そのうちに電信電話債券を引受ける二つの種類があると思います。電信電話債券を国が引受けようという場合が一つ…。
  21. 石川金次郎

    石川委員 私の場合は一般の市場のことをお尋ねしている。
  22. 横田信夫

    横田(信)政府委員 もう一つ一般民間で引受けてもらうという場合がある。いろいろそういう意味におきまして一般民間から引受けてもらう場合には、通信事業は需要と供給で言うと、供給力が非常に少いことはわかつている。この供給力を広げて行くことは、公益的のもので国民全体のもので決して不当でないから、これを縛る必要はないということが大きな一つの問題であります。これにつきましてはそういう意味合いにおきまして、この民間電信電話債券の引受限度等を固定する必要はないじやないか、こういう御議論が当然出て来ることだろうと思います。この点はなおその上にあとの條文にありますように、民間からの借入れあるいは電信電話債券発行が一々郵政大臣の認可にかかつて、また大蔵大臣がこれに協議をするということに一々の場合になつているが、こんなことはやらぬでもいいじやないかと、こういう御議論は出ると思います。この点はわれわれとしてはできればそれが望ましいと考えるのでありますが、同時に財務当局の方の意見もある程度合理的な点もあるのであります。それはどういうことかと申しますと、実は電信電話債券をそうやつて市町村が引受ける、引受けてあとしりを財務当局に持つて来なければいいが、これを引受けておいて金が足らないからといつて財務当局に来る。これが今までの実績で相当あるのだ。これでは困るので、その場合に非常に一般的にも影響が多いから、そういう意味でこれはやはり一々の場合について政府としては認可する必要があるのだ、大蔵大臣にも協議してもらう必要があるのだ、こういうことが一つであります。  それからもう一つの、この民間公社債の電信電話債券の限度をきめる問題、これを固定的にする必要はないじやないかという点につきましては、先ほどのいわゆる予算総則の中に、これは限度をきめても民間からのものについては余裕を持ち得るのだということを書いて行けば、この問題は解決できる。これは一応そういうことを了解事項にいたしております。
  23. 石川金次郎

    石川委員 そこで今度はあとで問題になりますが、利益がありました場合国庫に納入するという規定がある。こういう場合ここで大蔵大臣は、国家予算の必要からそういうことを調整する必要があるというので、これで今の四十一條三項を使うようなことはないのですか。
  24. 横田信夫

    横田(信)政府委員 これはまずないものと私たち了解いたしております。これにつきましては利益及び損失の処理の点に書いてありますように、利益があつた場合にこうするということであります。初めから利益金を生み出すために、利益金を生み出さして初めから政府納付金を先に優先的に取上げて、あとをくずしてしまおうという意味じやないのでありまして、利益金があつた場合にこうする、こういうことであります。それ以上の詳しいことはまた……。
  25. 石川金次郎

    石川委員 しかし昭和二十六年度特別会計の予定損益計算書によると、当期利益金は莫大に書いてありますね。もちろんあとで問題にしますが、どうしてもこういう計算の仕方が出て来ると思う。この計算の仕方によると、この数字をあげて大蔵省当局国家財政が苦しいからというので、今までのように金をとつてかかりはしないか。そういうときに何を使うかというと、大蔵大臣は調整ということを使つて来やしないか。ただ單にこの調整は政府電気通信事業資金をまわすものだけのみであれば、あるいはやむを得ないかもしれない。そうでないと弾力性はこわされて来やしないか。どうも弾力性というものはこわされて来ると思う。一体この法案の監督者は郵政大臣と書いてあるが、実質的権限を握つているのは大蔵大臣のようである。大蔵大臣に一切を握られておつたら弾力性という予算は、そういうことがなかなかあなた方の御期待に沿わなくなりはしないか。十分御確信がありますか。
  26. 横田信夫

    横田(信)政府委員 先ほど御説明いたしましたように、今までの予算ではちよつと弾力性がどういうところにあるのかということが、予算総則を見てもわからなかつたのでありますが、今後は予算総則でその点が相当はつきりわかつて来ると思うのであります。そういう点で国会で、その数字の内容より予算総則へ十分目を通していただくということが、ある程度中心になつて来やせぬか、こう考えております。できなくてもいい、いわゆる制限を非常につけているのじやないかというようなことで、その予算総則で相当弾力性を縛り、あるいは繰越しを縛つて、その縛つて行く事項を書くわけですから、その意味で相当予算総則で、いわゆる国会の方ではつきり御認識の上御承認願えるのじやないか、一応こう考えております。  それからもう一つの御心配の今の利益金の処分の点は、これはお話のように決算をやりますと、当期利益金というのが出て参ります。当期利益金を見て、こんなに利益があるなら全部よこせということをいつてはこの利益の出る場合、二つの問題があると思うのであります。一つは金としてではなくて、いわば使用する場合に保全行為をやる。あるいは保全行為といいますけれども、特別補充工事なんかになりますと、これはある程度改良も一緒にやる。経費としては一緒に使つて行くけれども、そこで資産ができる、こういうのがやはり利益になるというのがあるのです。そうするとこういうものは対象外に当然ならなければいけないのですが、そういう意味で決算を見て、これをよこせよこせと言われると、これは企業経営者あるいは従業員全部が非常に能率を上げて行きたいという問題を、経営努力を、全部あとになつてつて行こうということになるので、これでは困る。だからあらかじめ予算ということになるのですが、あらかじめという字句を入れた意味もそこにあります。それから利益が出た場合に、納付金というものをとる根拠はどこにあるかということですが、この問題は同時に今の調整権の問題との関係でも、やはり幾分理論的には関係を持つわけでありますが、今の利益金が出た場合に、これを原則として積み立てるということにした趣旨は、利益金というものが出た場合は、積立金としてまずお客さんの方の拡張に充てる。まずお客さんを考えるのが当然だ、それから事業全体を考える。事業全体の中にも従業員もおる。次の年度に金がないからどうにもならぬというような場合には、この積立金をくずすということは当然できるわけであります。そういう意味でこの利益金というものは、お客さんのためにも、事業あるいは従業員のためにも、それから全額政府出資であるものですから、出資者ということを一つ考えないというわけにも行かぬだろう、この三つの関係をやはり考えて行く必要があるだろう。しかしこれを決算を見て取上げて行くのでは困る。そういう意味経営努力の結果というものは、事業の方へ返つて行く、結局お客さんとそれから事業に返つて行くという体制をとりたいというのがあの趣旨であります。
  27. 石川金次郎

    石川委員 弾力性ある予算というのですが、これは弾力性ある予算という原則から、五十三條前項は生れて来る條文なのですか。
  28. 横田信夫

    横田(信)政府委員 そう考えております。
  29. 石川金次郎

    石川委員 そうするとただちに第二項でまたこれを縛られてしまうと思うのですが、どういうことになるのですか。
  30. 横田信夫

    横田(信)政府委員 この二項は、むしろこれは條文の書き方の技術になるのですが、一項の文は但書を引き出すための規定のようなものでありましてそれから二項で、しかしそうは言いましても、これは公共的な事業でもありますし、特に国家政策から見た場合に、経費の金額の流用を、こう押えたいというものが特にあれば、それを予算総則に書きなさい。書いていなければいいのだが、もし書けばそれだけは君流用してはいかぬ。しかしその場合でも主務大臣の認可を受ければよろしい、こういう構成になつたわけであります。それでどういうものがはたして対象になるかということが、具体的な予算の場合の問題であります。想定されるのは、今の交際費をどうするかというようなことが一つの問題であるということと、予算総額が問題である。こういう点が今後問題になることだろうと思いますが、これは実際の予算、予算総則に目を通していただくならばはつきりすると思います。今私がどうするという問題でもありませんので、そういうふうに御了解願いたいと思います。
  31. 石川金次郎

    石川委員 それから人事管理についても、国営公社に改めた方がいいとおつしやるのですが、公社になつた場合に人事管理はどういうふうになつて行くのですか。なるほど三十八條において給與について書いてありますが、今度これが公社になりますと、先ほどおつしやつたように長年技術をもつて勤続した者を、高い給與で優待するということは当然であります。またそうありたいものでありますが、給與の規定が、準則ができておりましたならば見せていただきたい。もうすでに公社ができて、七月一日から御施行なさる、万事に御準備、欠点がないことと存じますから、あとで見せていただきたい、また御説明を願いたいと思います。
  32. 靱勉

    靱説明員 人事管理の点についてどういうふうになるかと申しますと、第一に公務員法というものは適用されない、従いまして人事院規則というものも適用されない。いろいろな点におきまして私ども現業機関として活躍するのに不便な点は、改められるというふうに考えております。たとえばさらに定員法の問題、これも関係ないことになる。従いましてただ給與総額というものがこれで押えられて参ります。これも一応押えられますが、さらにできれば私ども予算総則で強力方法をつけたいというふうに考えておるのであります。これは今後予算の折衝の際の問題でありますが、そういう観念を持つております。たとえば施設が急に非常に早くできた。それについて人を入れなければならぬという場合でも、定員法の改正がない限りは、臨時職でなければいかぬというようなことになるわけでありまして、そういうような面は撤廃されて参ります。さらに給與準則の問題でございますが、これは目下準備をいたしております。しかし全体的の押え方は、かつてに何でもできるということではなくて、要するに政府がこの公社を国の全額出資でやる。しかも国の資金を相当この事業拡張整備に出す、また公共の利益も確保するという観点からしてみまするならば、やはりどの点たけを押えておくか。押えるということは悪い意味じやないのでありまして、国としてもそういう一つ事業の発展について関連を持つという観点から制約を加えて行くということで、給與総額で押える。人員については、今十五万人おるが、これが非常に足りないというのならば、給與総額の範囲内において増すことは可能である。あるいは給與総額の範囲内であるならば、個人的なベースにつきましては、これはある程度上げることも可能であるという形になるわけであります。それらの点が主として人事管理の点において大きな問題があります。ことに現在いろいろ職階制の問題等がございますが、一般行政職員全体に通ずる規定になりますと、どうしても現業として不利な場合もある。非常に優秀なオぺレーターの人たちが、一定の限度しかしれない。また非常に優秀な技術員にしても、なかなか抜擢昇給もできないというような制限があります。どうしても現在の公務員法等によつて制限されることは事実であります。そういう点が公社におきましてはかなり解決しやすい。この実績は、結局国鉄が公共企業体になつており、また専売も公共企業体になつておりますが、その職員と電気通信職員の実体的な給與がいかにあるかということは、現実が証明すると存じております。
  33. 長谷川四郎

    ○長谷川委員 関連して次官に伺いますが、ただいまは人事管理、給與等の御説明のようでございましたけれども、結論として、人事院の監督は受けないのだ、こういうことでございますか。
  34. 靱勉

    靱説明員 さようでございます。
  35. 長谷川四郎

    ○長谷川委員 そういたしますと、監督は受けないのだから、つまり公社が自主的な行動に出て行ける、こういう解釈でよろしいでしようか。
  36. 靱勉

    靱説明員 公社におきまして、公社事業に最も適した制度がつくられる、こういう形になります。
  37. 長谷川四郎

    ○長谷川委員 そこで私のお聞きしたいことは、従業員各位もおそらく同一の御意見だろうと思うのですが、私が常に申し上げておる通り、電通事業の本質から考えまして、遊んでおる人も仕事をしておる人も同じ賃金だというようなことが従来のあり方である。これをどうしても今後能率的に運営して行かなければならないのだという建前をとるならば高能率、高賃金制というものをここに確立しなければならぬと思うのでございますが、それに対して何かお考えがございましようか。
  38. 靱勉

    靱説明員 その点につきましては第三十條におきまして、「職員の給與は、その職務の内容と責任に応ずるものであり、且つ、職員が発揮した能力が考慮されるものでなければならない。」この能率が考慮されなければならないという問題につきましては、私どもすでに国会等からも非常に御同情を得まして、報奨制度を実行いたしたいと思いましたが、遂に実現を見ていないのであります。公社になりまして報奨制度等も実施して行きたい、こういう考えを持つております。
  39. 長谷川四郎

    ○長谷川委員 それではただいま私が申し上げたような低能率、低賃金制ではなく、高能率、高賃金制を確立するゆえんが三十條に規定されておるのだ、こう解釈してよろしいわけですね。
  40. 靱勉

    靱説明員 さようでございます。
  41. 石川金次郎

    石川委員 そこでお聞きしたいのは、公社になつて人事の管理もいろいろ影響を来すわけです。おそらく労働組合と御折衝になつたことと思いますが、労働組合はこの公社案に賛成しておられましたですか。
  42. 靱勉

    靱説明員 公共企業体になるにつきましては、組合及び電気通信従業員の全体が期待を持つてつたと私は考えております。
  43. 石川金次郎

    石川委員 あなたも大臣も、通信事業はまず第一番に従業員諸君の協力を得なければうまく発展して行かない、こうおつしやつておる。だからこの案をこしらえますについて、だれに相談されるより先に、従業員の組合と交渉してやることが、日ごろあなたのおつしやる一番円満な方向に行くゆえんだろうと思うのですが、期待しておるではなく、実際やられて賛成しておつたかどうか。あるいは何も相談しないでおやりになつたのか。
  44. 靱勉

    靱説明員 その点は公社法案等を組合にも正式に示しまして、意見も聞いております。ただ私ども公社法案をつくります調査をやつております経過におきましては、ずいぶん変遷いたしておることは事実であります。ただ先ほど申し上げましたのは、全体的に公共企業体に移るということについて、組合も賛成しておると私は信じております。
  45. 石川金次郎

    石川委員 信じておられるというのじや困るのですがね。賛成するというか、了解があるようなお話はなかつたのですか。日本流に言えば、同じ家の中ですから、一番先に賛成しておられなかつたのですか。
  46. 靱勉

    靱説明員 公社になることには賛成いたしております。
  47. 石川金次郎

    石川委員 もう一つお聞きしたいのは、提案説明によりますと、公社にして経営する、その理由一つとして二十六年八月政令改正諮問委員会の答申で、行政機構の改革ということで公社にした方がいいという意見があつたからということを言うておられますが、その答申の内容に、国際通信はこれを会社にしていい、会社にした方がいいという答申があつたのでしようか。
  48. 靱勉

    靱説明員 私も答申のすべて承知いたしておりませんし、またその会議の内容自体を承知いたしておりませんか、聞くところによりますと、公社になるより民営論の方が非常に強かつた。これは国内電気通信についてであります。しかしながら最終的結論は、公共企業体にするということでありまして、国際通信と国内を分離してやるというような方針にはなつていないように承知いたしております。
  49. 石川金次郎

    石川委員 一体政府の御説明によると、行政機構の改革の目的を達するために公社案がいいのだ、経営の面、資金の面、人事管理の面、一切の点においてこの方がいいのだということを言つておるのですが、どつちが理由なんですか。
  50. 靱勉

    靱説明員 私どもこの公社になる経緯につきましては、先日も大臣からお話がありましたように、相当長い前から問題になつております。そこで結局、それはわが国電気通信事業をもつと能率的に経営いたして、さらに十分な設備もできるように持つて行きたいというところから発足いたしておつたわけであります。一方におきまして、行政機構改革問題もその後に起つて参りましたので、公社に移るということは、やはり電気通信省をなくするということにもなりますので、行政機構とあわせてこの問題が政府として方針が決定された。こういう形になつております。
  51. 石川金次郎

    石川委員 そこで先ほどから問題になつておりますが、公社形態としての日本国有鉄道、それから専売公社、放送協会、こういうものは公社としてまだ完成はしないでございましようが、一体予期のような方向に進んでおるのですか。
  52. 靱勉

    靱説明員 これは私どもまだ未経験のものでありますが、但しいろいろと公社法案を検討いたします場合に、私どもいろいろ案を持つておりました。しかしながらやはり現存しておる公社との比較も、実際におきましては、最終結論に至る時期におきましては、始終検討されたのであります。一応この公社法案は国鉄、専売よりさらに改善されておる。従いまして国鉄、専売等におきましても、公社に関する法律の改正がまた次の機会にされるのではないかと考えておりますが、公社としましてもわが国におきましては、まだ経験が浅いのでありますが、だんだんと発展して行くべきものであるというふうに考えております。
  53. 石川金次郎

    石川委員 発展して行くべきであるというのは、そう願うということですね。願うの意思でしよう。現実に着手してから、公社としてうまく動いておるようでありますかどうか、これは公聴会においてそれぞれ聞くことができると思いますが、あなたは非常によいと見たかどうか、お伺いしておきたい。
  54. 靱勉

    靱説明員 公社国営個々の問題につきましては、あるいはあるものにつきましては若干問題を生じておるものもあるでしようが、全体としましては、公社の方が利点が認められつつあるというふうに、私どももちろん国鉄の管理者、専売の管理者とも話し合いまして、いろいろとその経験も聞いておつた次第であります。
  55. 石川金次郎

    石川委員 この公社に移します最も重要な理由として説明しておるところによりますと、行政官庁の制約を脱する、民営の能率的経営技術を取入れるのだ、ここに公社の生命があるとこう言う。そこでそういう御説明ならば、聞く方が常識はずれだとおつしやるかもしれませんが、ここにいう民営の能率的経営技術というのは何でしよう。それをひとつお伺いします。どういうことを取入れて来ようというのですか。なぜこんな非常識なことを聞くかというと、これあるがゆえに公社に移す。そうなると、ははあ、民営の能率的経営技術というものがちやんとあつて、多分医者の技術のようなりつぱなものがあつて、レントゲンかなんかでも持つて来るのかと思うのですが、それはどういう技術なんですか。
  56. 横田信夫

    横田(信)政府委員 お話の点は、今後におけることは非常にむずかしい点でありますが、申し上げましたいわゆる民営の経営技術と申しますのは、いろいろな方面にあるわけでありますが、先ほどから申し上げましたいわゆる財務制度におきまして、事業会計あるいは会計監査におきましても、今までのような形式的な会計制度でなくて、いわゆる事業会計監査制度を確立して行き、あるいは今の複式簿記による財務総体としての成果を見て行く。先ほども申し上げました通りこれは事業でありますので、中央統制的な行き方から、流れ作業的なやり方をとつてつて成果を見て行く、こういうやり方にできるだけ事業をして行く。もちろん建設方面につきましては、これはことに予算統制的な方法が必要でありますし、その予算統制というのも、今までのような非常に形式的な意味で押えて行く、わくさえ越えなければ年度末に金をうんと使つても、あまり事業全体として批判にならないというようなことでなく、いわゆる基準的な問題としてこれを考えて行く、こういう行き方、あるいは作業につきましても、いわば仕事の結果を指数的にいろいろ見て行く、結果を十分批判して行く、そこで原因を探究して行く、こういう経営民間経営の相当の長所だろうと思います。こういう問題を十分取入れて行きたい、こういうことであります。
  57. 石川金次郎

    石川委員 そういうような技術を国営では取入れられないのですな。先ほどの質問と重複するかもしれませんけれども……。
  58. 横田信夫

    横田(信)政府委員 大体先ほどの説明と重復いたしておると思うのでありまして、理論的には絶対取入れられぬとは申しません。しかし現実の問題としては非常に困難を伴う、こういうことであります。
  59. 石川金次郎

    石川委員 それでは今度は法案を章別について、わからない点をお聞きしてみたいのであります。まず第一段に公社の性格についてお伺いしたいのですが、橋本委員からもきわめて適切な、そうして深い造詣のある質問がなされたのでありますが、私まだ御答弁によつては満足し得ないのであります。橋本委員の質問に対しまして、政府がお答えになつたところは、企業公益性を保持しながら、企業の能率化をはかる、こういうものが公社自体の本質だという、なるほど公社のある見方から見た一つの相である。私の聞きたいというのは、法律的な性格をここに明らかにしたい。この法律上の性格を明らかにすることはなぜ必要かというと、この全体の條文のこしらえ方、読み方というものが影響されて来ると思いますので、そこでこの会社が法律上何であるかとお聞きしましたら、次官が法人であるとおつしやつた。その法人とは、民法上の法人ではない、商事会社でもない、営利法人ではない、本法から生れ出た一つの法人だ、本法によつて法人格を得る一つの法人である、こうお伺いしたのでありますが、こういうことになるのでありますか。
  60. 横田信夫

    横田(信)政府委員 お話の第二條のこの法人の性格の問題であります。これはたしか鉄道公社法は公法人とすと書いてあつたと思います。その公法人の公をとつた意味は、別に深い意味はございません。実は公法人という公をつけてもつけなくても、これは全然同じなんであります。要するにこれはこの法律で特につくり上げたものだから公をつけたのだと思いますが、されば私法民法あるいは商法の原則は全然適用がないかと申しますと、これはいわゆる契約というものでありますので、本法で制限されておる事項、あるいはほかの法規でいろいろ制限されておる事項、こういうものについてはもちろんそのおのおのの特別法で行くということになるわけでありますが、契約理論そのものについては、これは民法の場合も適用があるかと思つております。しかし法人としてこれはやはり事業をやるものでありますから、本法による法人であるということは、会社法にいう会社ではないのだということを非常に鮮明にいたしておる、そういうように御了解願いまして、公という字は国鉄公社と違つておりますが、この点は実質的には何ら差異はない、こうお考え願いたいと思います。
  61. 石川金次郎

    石川委員 そうすると何ですね。これをお聞きしようと思つてつたのですが、日本国有鉄道、日本専売公社は公法人と書いてある、公法上の法人と書いてある、大体それと同じものなんだと了承してよろしゆうございますね。
  62. 横田信夫

    横田(信)政府委員 さようでございます。
  63. 石川金次郎

    石川委員 そうするとここでひとつこれをお聞き願いたいのですが、本法によるところの法人は、まず本法によつてでき上つた特別の法人である。そうして本法の公社というのは第一條の目的を持つて、第三條の業務を行う、第五條によつて資本を有する、しこうして一機関として経営委員会を持つて、執行機関として役員を有する組織体で本法において法人格を付與せられたものだ、こう理解してよろしゆうございますか。あとで問題になりますからどうぞお考えの上で…。
  64. 横田信夫

    横田(信)政府委員 その通りでございます。
  65. 石川金次郎

    石川委員 さらに念を入れてこれを聞いて参ります。それでは第五條によつて所得した電気通信事業に供する財産を基礎として、第一條の目的を持つて電気通信事業を行う、一機関を持つたこれは経営委員会であります。そうして執行機関を持つた——これは役員を持つた法人だ、本法によつて創設せられた法人だ、こう承つてよろしゆうございますか。
  66. 横田信夫

    横田(信)政府委員 さようであります。
  67. 石川金次郎

    石川委員 そうなつて来ると、本法の法人は企業体でありますから、損益は出て来る。御承知通り損益ができるように法ができておる。六十一條の規定によりますと、これは損失金がある場合及び利益金がある場合の規定でありますが、損失は企業自体が負担する。利益金の場合は損失を補填する。国庫に納入する。そうして積立金としておく。利益金のある場合は国家に納入するという規定があるのでありますが、この国家に納入する金額はどういう性質ですか。
  68. 横田信夫

    横田(信)政府委員 先ほどちよつと触れたと思いますが、実はこれは公共企業体のいわゆる資本金の構成の問題であります。たとえばイギリス等におきましては、最近できましたあの公社というのは、公共企業体はいわゆる政府経営管理に対して自主性を十分発揮さそうというので、イギリスの公共企業体というのは、今まで株を社債に転換いたして、その転換社債券を交付して行くというような方法をとつておるのであります。従つて資金の問題についてはいろいろ方法はあるわけでありますが、この電信電話料金というものにつきましては、たとえば専売公社のタバコあるいは酒の問題と違いまして、これによつて元来利益を収めようという意味でできたものではなくて、できるだけ安い経費で契約して行つて、実費はお客さんに負担していただく。これは全体的であります。そういう意味料金であります。従いましていわゆる税金と違う、こういう料金であります。この料金をきめる場合におきまして、今の社債の利子とかあるいはこういうようなものを先に見て行つてこの料金をきめるのでなくて、そういうものを見ていない、いわゆる利潤というものを考えていない原則料金をきめて参つたわけであります。従いまして初めから出資者に対して一定の配当をするというようなことは、これは考え得られない問題です。従いましてもしこれを初めからやろうとしますならば、今の料金の改正というものをまず問題にして行かなければならぬ問題だろう、こう考えられるのであります。そういう意味で、この納付金の性質というものについていろいろ疑問が出て来るわけでありますが、たださらばといつて現実利益が出た場合に、一切出資者に対して還元は考えないかということになると、ここに幾分の問題がある。ただあとは今のお客さんのため、それから事業のため、事業の将来の発展のため、これは結局お客さんのためになるわけでありますが、それから企業体自身の従業員も含めての問題、それから出資者の問題、この三者にある程度還元して行くということはある程度考えられるのではないかというのが、この根拠であると了解いたします。
  69. 石川金次郎

    石川委員 国庫に納入する利益金のうち、納入するもの、これは何ですか。資本を出してくれた資本の対価ですか。それを聞いておる。
  70. 横田信夫

    横田(信)政府委員 本質を分析いたしますならば、大体そう了解するよりほかないかと思います。
  71. 石川金次郎

    石川委員 次官もこの間そうおつしやつた。それで当局の意思はわかつた。そうすると本法の法人は、本法の公社利益を得る。そして出資者と見た人に配分するという性質の法人ですか。
  72. 横田信夫

    横田(信)政府委員 そういうものではございません。ただ利益金が出た場合にどうするかということでありまして、利益目的にして、それだけ必ず利潤を生み出すために行こうという事業ではありません。
  73. 石川金次郎

    石川委員 そこをやつてみなければならない。利益がありますね。従来の観念によりますと、利益がある場合に、公益のためであろうとそれを使つて参ります場合には、営利法人ではないか。ある人にその利益資本対価として配分して行く場合には、これはやはり利益の配当ということになりはしないか。利益があつた場合はなければ損失ですからかまいません。利益があつた場合、国庫に納入するのですから、利益配分じやないですか。
  74. 横田信夫

    横田(信)政府委員 この公社の問題は、利益目的としてやるわけではないのでありますが、そういう意味におきましてこの法案についても、これは上の方に書いてありますが、原則としては積立金に組み入れる。特に予算で定めたものはこれは別だ、こういう書き方になつているわけです。原則としてはやはり積立金になつて、しかしこれも事業でありますので、ある程度拡張再生産ということは必要だ、これは考えられるわけであります。これは全体のお客さんのためでもありますので、そういう意味事業の能率を上げて行つて積立金ができて来る。これは事業のためにもなるし、お客さんのためにもなるし、従業員も含めての事業の発展のためにもなるので、私はしごく妥当なことであろうと思う。あとはそういう場合に出資者に対して、そういう対価をある程度考えるということがどうなるかという問題でありますが、これは確かに利益金の処分には違いないのであります。
  75. 石川金次郎

    石川委員 どうもわからなくなりました私の理解力がないのか、学がないのかわかりませんが、利益の配分ですね。あとでまた五條を問題にいたしますが、利益の配分を出資者と見てやる。出資者という言葉はあなたがお使いになつたのですが、配分するということになつたら、これは営利法人だという範疇に入らぬのですか。
  76. 横田信夫

    横田(信)政府委員 この会社に対しましては、資本金の構成といたしまして、自己資本と他人資本とあるわけでありますが、この他人資本の方は御承知のように公債借入金、いろいろあるわけであります。この借入金については、この法律の中の構成といたしましては、この借入れの金は一応政府が借主になつたものを一応政府のものにしておいて、それと同じ額を今度は公社政府に肩がわりして、これを政府から借りたようにする、こういうようにいたしておるわけであります。政府はそれだけの利子を当然拂つて行く、こういう構成になるわけであります。この政府の金というものは、そういう意味で、ある意味において借入金としても貸付金としても出て来るわけです。ですからこの自己資本は、これを政府から見れば、ある意味においては同じと考えられるかもしれませんが、このものについては元来無利子と一応考えた取扱いをいたしておるわけであります。必ずしも利子を拂わない。しかし利益金があつた場合は、その利子にかわるものとしてこれを拂うというくらいの考えでありますので、お話の御質問の点とちよつと食い違うかもわかりませんが、要するに政府も全額出資をいつまでも無利子と考えないでもいいじやないかという点は、ある程度理論的に成立するのではないか。昨日石原先生からは、もつと大分大きなお話のように承りましたが、私たちは一応そういうふうに考えております。
  77. 石川金次郎

    石川委員 第五條を問題にしてみましよう。第五條を問題にする前にちよつとお聞きしておきたいのですが、電信電話創業以来、国がどれだけこの事業資金というものを入れて、そして国がどれだけこの事業から収入を得ておつたかということを聞いておきたい。
  78. 横田信夫

    横田(信)政府委員 ただいまの御質問は、大体今の現状を御前提のお話だろうと思いますが、実は……。
  79. 石川金次郎

    石川委員 この年次を聞かなければ、終戦後のインフレになつてからの額は違いますから、大体年度を……。
  80. 横田信夫

    横田(信)政府委員 私ども事業は、実は再評価しておりません。従いまして、一応昭和九年に特別会計になりました当時に、その当時の財産価格をもつて自己資本にし、それからまた昭和二十四年に両特別会計がわかれたときに、その当時の帳簿価格を前提としてやつております。それが固有資本でありますが、固有資本が約三億であります。これは帳簿価格であります。それから後に積立金が昨年度までに五億できております。それからそのほかに御承知の、これは繰入金と称しておりますが、ガリオアの資金を繰入れてもらつたわけであります。ガリオアの資金は、この事業に対する繰入金となつておるわけであります。ガリオアの繰入れのほかに、たとえば進駐軍の工事をやる、その設備をつくる、その設備資金というものは、繰入れて行くということになつております。それが約百三十六億あるわけであります。これが今度の自己資本になる、これが政府資本にかわるわけでありますが、そのほか実は借入金の方の中に、同じように借入金と繰入金とあるのです。その借入れ資本の中の繰入金と称しまするものは実は何年でしたか前に料金を改正するという場合に、一般国策から見て、今料金をすぐ改正したくない、政府が損失を見てもよいから、料金の値上げを押えよう、これは国鉄も通信もその当時やつたわけであります。たしか昭和二十一年か二年でした。そのかわりに値上げせずしてやつて行く。損失は、政府が一応一般会計から繰入れよう。しかしこれは繰入れという名前を使うけれども、後になつたら返せという繰入金が、約三十四億あります。そのうちのこの施行法の方に書いてあります約四億、これが今度は自己資本の中で差引き計算したものが、その自己資本の中に移つて来るわけです。それが今後政府出資の資本金ということに大体なるわけであります。それに昨年度の決算、最後までまだ数字は固まつておりませんが、昨年度の剰余金というものが出れば、それが積立金になつて、自己資本になつて来る、こういうことになるわけであります。
  81. 石川金次郎

    石川委員 大体今日まで政府がこの事業のためにつぎ込んだ金は、幾らということになりますか。
  82. 横田信夫

    横田(信)政府委員 そのほかに政府からの貸金につきましては、公債が現在三百八十五億、それから借入金が約百二億……。
  83. 石川金次郎

    石川委員 借入金はいいのですが、事業のために政府が無償でつぎ込んだ金です。借入金は返すのですから……。
  84. 横田信夫

    横田(信)政府委員 無償でつぎ込んだ金は、先ほど申しましたその金と、利子はとらないけれども返せという繰入金の三十四億、それだけであります。
  85. 石原登

    ○石原(登)委員 ちよつと関連して……。今の昭和二十四年の固有資本が三億何ぼというのは、これはちよつと今の頭では判断できない。もちろん再評価していないわけですから、再評価して、今電気通信事業に投下しているところの、現在の時価で見積つたほぼの金、これはどれくらいと予想されるか、それを聞きたい、こういうことです。
  86. 横田信夫

    横田(信)政府委員 これは先ほどお話しましたように、再評価という問題は非常にむずかしい問題でありまして、実はたなおろしを全部やらないとこれはできない。大体帳簿価格に残つておりますのは、御承知のように大体直接法をもつて命数に対してだんだん落して行きます。それ以上に多く価値が減退しておるものもありますが、あるいはもつと多く見てよいものもありますが、それを今のそういう借入れ資本と自己資本に対応するものは、資産として、流動資産と作業資産と固定資産になるわけであります。今の最評価を要するものは、大体固定資産であります。現在固定資産の総額は七百七十四億になつております。この七百七十四億というものは、大部分が戦後できたものでありまして、どこから金が来ておるかというと、今の公債借入金から来ておるのが多いのです。それならあとの自己資本の三億に相当するものだけを、ここから取出せということをいわれると、これはちよつと無理でありますが、要するに借入金、繰入金、そういうものから来たものが、作業資産にもなり、流動資産にもなり、固定資産にもなつておる、こういうことであります。固定資産が現在七百七十四億あるわけでありますが、これを再評価したら、どのくらいになりますか、これは概算だけしか申し上げられませんが、七百七十四億が約二千億になるのではないか、二千数百億になるのではないか、こう思うわけであります。
  87. 石原登

    ○石原(登)委員 そうすると今の電気通信省の持つておる一切の財産を、もし私が売れと言つたら、二千億に売る、こういうわけですか。私が二千億で買いたいと言つたら、一切二千億で売れるというわけですか。私の今聞きたいのはそういう意味です。今の時価に直したら何ぼか、おそらく石川さんの言われる意味もそういうことだろうと思います。
  88. 横田信夫

    横田(信)政府委員 今の評価と、売却する場合の評価と、作業状態を進めながら行く評価と、それによつてまた大分評価法がかわつて参ります。一応これは売る財産として考える。売る場合には、その価格なら売るかということになるとまた話は別なわけで、例の資産再評価法による大体の原則の大ざつぱな率をかけるとそのくらいになる、こういうことであります。
  89. 石原登

    ○石原(登)委員 これは別に他意はないわけですから、あまり愼重に扱われなくてもいいのですが、これは今ざつといつたら、大体このくらいはするでしようねという程度でいいのですが、ではもつとつつ込んで質問いたしますが、電信電話の白書を読んでみると、電話一本あたりの原価は二十五万円としてあつたですね。そうすると全国で何万本電話があるかしらぬけれども、二十五万円に何万本をかけたものがどのくらいになるか、これは計算しないとわからぬですが、そうするとあなた方の電通本省の建物も入つておるのか、あるいは自動車も入つて、全体のものをひつくるめて電話の単価が二十五万円ということになつているのか、事実電話を引くだけで二十五万円かかるのか、そういうことを知りたいのです。それから今の二千億円というのはばかに安いのです。これは原価で買えるというのなら、とんでもないのです。あれだけの施設、あれだけの設備を持つておるものが二千億などといつたら、私はあしたにも買いたいのであります。社長になりたい。私は、ちつともこだわらずに率直に言つてもらいたいのです。そういう点、われわれこの事業の、何というか、いわゆる公共の福祉に及ぼしておる、国民はこれだけものを投じて、公共にこれだけ何しておるというほんとうの真価を知りたい。石川さんの質問もこういう意味だとそんたくするのです。
  90. 横田信夫

    横田(信)政府委員 別にそう警戒して申し上げているわけでもありませんが、二千数百億と申しましたのは、大体今二千八百億を前提にして、減価償却を見込んでおります。資産再評価法の方式をとれば、帳簿価格だけからこれをとつて行けば、二千七百億ないし八百億、こういうふうにお思いになつていいと思います。別に他意はありません。
  91. 石川金次郎

    石川委員 国庫がこの事業から今まで収納した金は幾らありますか。
  92. 横田信夫

    横田(信)政府委員 国庫が収納したと申しますのは、一般会計へ納めたものがどのくらいになつているか、こういうことだと思いますが、実は今ちよつと数字を持ち合わしておりませんが、終戦後は一つも納めておりません。
  93. 石川金次郎

    石川委員 終戦前でよろしゆうございます。先ほどのお話で八千万円納めたことがあるとおつしやつたのですが……。
  94. 横田信夫

    横田(信)政府委員 そうです。これは後刻数字を正確にいたします。実は今あまり当らない数字を申し上げましても失礼だと思いますから……。
  95. 石川金次郎

    石川委員 結局これは利用者が積み立ててこしらえて来た財産なのですかどうですか。政府でそれだけの金をつぎ込んでおりますか。それとも利用者が納めた金で財産ができ上つておるのですか。
  96. 横田信夫

    横田(信)政府委員 これがいわゆる利用者から納めたかと申しますと、これは従来のものはほとんど、一般会計のときは全然別ですが、特別会計になつてからも、拡張再生産は大体政府資金ないし借入金でやつて参りました。従いましてお客さんの料金は、平素いる運営費にほとんどこれを使いまして、これを拡張再生産にその料金から出して来たというものは、ごくわずかであります。ほとんど言うに足りません。ただ先ほど次官から申し上げましたが、ただいま例の電話設備負担金というのをいただいておりますが、これは基礎設備がございまして、例の端子間以下のもの、お客さんの電話の引込線と電話機、そういうものだけ含めておるわけでありますが、そういうものに該当する電話設備負担金が現在までに三十三億ございます。これをお客様の方からいただきまして、そのお客様の電話をつけてやる、それだけであります。
  97. 石川金次郎

    石川委員 第五條をお聞きいたします。第五條は、「公社資本金は、この法律の施行の際における電気通信事業特別会計の資産の価額から負債の金額を控除した残額に相当する額とし、政府が全額を出資する」、この出資の意味はどうですか。
  98. 横田信夫

    横田(信)政府委員 先ほど申し上げましたように、今の流動資産、作業資産、固定資産に対応いたします借方の項目に対しまして、これの財産と申しますか、入つて来る元は借入れ資本、それから自己資本と、今の減価償却引当金、それから物品の価格調整引当金、こういう四つのものにわかれるわけであります。そのうちの自己資本政府の出資になるのですが、この自己資本の内容をわけますと、ただいま申し上げましたように固有資本と積立金、それから繰入金、この三つになるわけです。     〔委員長退席、間内委員長代理着席〕
  99. 石川金次郎

    石川委員 その出資ということの金額よりも、出資という意義を私はまず聞きたいのです。無償の増與ということになるのか、合名会社における出資者というようになるのか、株式会社における株主というかつこうになるのか。そうじやないとすれば、この法律で出資するということはどういうことになるのか。この法律全体を拝見いたしま  して出資者に対するところの何の規定もない。ただここに出資するという出資者が現われておる。資本の出資というのはどういう意味か。
  100. 横田信夫

    横田(信)政府委員 公社の現在持つておる財産というものは、先ほど申しましたように借方に全部財産というものがあるわけであります。その財産というものを今度は公社に引継ぐわけでありますが、その財産に対応するものとしては、金がどこから来ておるかというものが貸方にあるわけです。これはその来ておる元が、今のよそから借金しておるもの、公債とか借入金、これは借入金のまま残るわけであります。これはやはり公社に引継いで行つても、借入金として実質上償還もする、利子も拂つて行く。それからそのあとに申し上げました減価償却引当金というのは、これは財産として当然財産価値から落していいものであります。これは直接法を使つてつて、要するに財産は、最初引当金勘定をとりましたのが昭和二十三年からでありますが、それまではそうじやないのですが、この帳簿としては最初取得した価格を上げておる。しかしこれはだんだん価値が減殺して来るわけです。それの引当金勘定として一応充てておるのが引当金勘定です。これは財産そのものとしては別に考えていいわけです。財産自身の価値から落してもいいわけですが、そのほかに残る自己資本というものはどこから来ておるかというと、この自己資本に相当するものが借入金でないとすれば、これは作業財産としてこの公社に移したのは自己資本だということになる。その移した金は一体株で出したのか、何で出したかというお尋ねのようですが、これは株式会社ではないので、株式として出したのではないことはもちろんでございます。
  101. 石川金次郎

    石川委員 あなたは経理の方は非常に明るいが、私の聞いておるのは法律的な意味を聞いておるのです。出資するというのは、政府が出資者となつて現われるというのですか。
  102. 横田信夫

    横田(信)政府委員 当然出資者となるわけでありますが、その出資について対価を求めるかどうかという、これはそれをどうするかという建前の問題であります。これは公社の方の建前としては、今のこの法律の構成にありますように、利益金があつた場合、先ほどの納付金というものを予算で定めればいいかもしれぬけれども、別にこれを無償譲渡にしたという意味ではない。だから公社ができてこれをほかの方から金を持つて来て有償譲渡してもらつたのではなくて、出資者がその対価をどうするかという問題は、本法に定めるところによつてつて行こう、こういうことであります。
  103. 石川金次郎

    石川委員 それでは出資者だということになれば、出資者はこれに対してどういう権利を持つのですか。そこで監督権ということを聞いて来たということになる。大臣の説明によりますと、公共の福祉のために監督権を持つのだ、こう言うのですが、出資者としては全然持つていない。ところが大蔵省がいろいろなところの條文によつて公社に対して一つの権利を持つておる。それが出資者になればあたかも持てるかのごとく見られる。そこでこれはどうしても明らかにしておきたいのでありますが、一体政府の財産、国の財産が公社に移るということは、出資する、出資するならば、どうして出資者に対してどうするという規定をここに置かないのか。無償で譲渡を受けるのならば、明らかに無償で譲渡を受けるということにすればよろしい。出資者だから出資返還請求権を国で持つておるというのですか。
  104. 横田信夫

    横田(信)政府委員 これは本法で何か書かなければ、出資者が返還請求権をいつまで持つということはないと思います。しかし出資者としてそれならこれは讓渡で、出資者としての権利も何も主張しないかと申しますと、今の納付金の問題は、出資者として持つているから、同時に出資者として本法に定めておる範囲においての監督権も当然持つて来る。いわゆる支配権、そういうものも本法に定めておる限度においてのみ持つ、こう御了解願います。
  105. 石川金次郎

    石川委員 そこでこれは観念的だとおつしやらないで、自由党の皆様も聞いていただきたい。法の運営にかかつて来るのですから…。大臣はこう言つておる。公共の福祉の範囲においては、公共の福祉を増進するためには、国会及び政府から必要な監督をすると言う。あなたのお話では出資者としての監督権があつたと言う。しからばその公共福祉による監督権と、出資者としての監督権は、どの條文にどう現われて来たか、お知らせ願います。
  106. 横田信夫

    横田(信)政府委員 今の御質問は非常にむずかしい御質問でございますが、別に條文的にどれがどれというようにわかれておりません。もちろん政府が出資いたす場合も、普通の株主のように営利を目的として出資者になるわけではないのでありまして、出資者として考える場合に、普通の株主のごとくこれによつて大いに利益を得ようというつもりの出資者ではないわけです。そういう意味において出資者として政府考える場合も、当然政府という特性から、公益的な観念をある程度前提にするだろう、こういうことが当然考えられるわけであります。郵政大臣の監督は、大体これは公益的使命に基く監督だと了解してよろしいと思います。大蔵大臣が協議にあたりまして言う場合においては、出資者としての公益的な問題以外に、出資者保護という意味においての注文を相当くつつけるだろう、こう考えられるのであります。でありますから、これはもちろん條文的にはわかれておりませんが、そういう意味の協議項目については、ある程度出資者の問題も入つて来る。しかし協議事項の中には出資者だけの問題ではなくして今の借入金あるいは金融界の問題等も入つて参りますが、協議事項の受ける側において財務当局は、出資者の利益保護ということもある程度協議を受けた場合に注文をつけるということはあり得ると思います。
  107. 石川金次郎

    石川委員 どうもこれはお聞きしてもふに落ちないのですが、両方で研究してみることにしましようか。これはあとで再質問することにいたします。あなたの御答弁の通りでよいかどうかをよく御相談なさつて、ここに出資者ということを認めるということになりますと、この法文は変になります。出資者というものが現われて来ますと、出資者の権利義務というものが出て来なければなりません。国家がただ単純に公社に対して出資したならば、みなの財産だ、国民の財産を公社というものに出資した場合には、どういう権利義務を国家が持つかということを明定しておきませんといけないのではないかと思います。     〔關内委員長代理退席、委員長着席〕 ところが出資者に対して、第一條の目的を達するということになつて来ると、六十一條の国庫納付金ということがまた問題になつて来る。あの六十一條の国庫の納付金ですが、あれを見て参りますと、どうも資本に対する対価のように次官は御説明になる、そういうように見られる。そうすると、この法人格はかわつて来る。法人格がかわつて来ると公共企業労働関係法が一体適用になるかどうかという問題がまた出て来る。そういう幾多の疑点というものが出て来やしないかと思われるのでありますから、この点は今御答弁いただかなくてもよいのでありますが、次官どうですか、なお御研究の上御答弁いただけるならば次の機会に譲りたいと思います。
  108. 靱勉

    靱説明員 なお明確に次の機会にお答えいたしますが、先ほど来石川委員から単に利益の配当というふうに私申し上げたように引用されておりますが、実はこの規定を設けるにつきまして、そういうような要素もあつた、あるいは税金も全然とつてない、あるいはまた公社ができるために、一般会計としては監督機構を設けなければならぬ。在来は特別会計で全部持つてつた、そういうような問題がありまして、さらにまた無期限、無利子で電通特別会計に繰入れた金もあるというようないろいろな原因から、この六十一條は私どもの主張から言えば大いに讓つたということになるのでございまして、譲つたのでありますと、こういう意味合いを御説明したので、この出資に対する利益配当だけでお答えいたしてなかつたのでありますから、その点は一応御了解願つておきまして出資の問題につきましては、なおこの次に明確に御答弁申し上げたいと思います。
  109. 石川金次郎

    石川委員 次官や横田さんの御答弁が、法律的に固めて参りませんと常識的にわからなくなる。あとの運営の問題もあると思いますからお聞きしておるのであります。  そこで次にそれとからんだ問題が一つあるのであります。長谷川委員がこれについて適切な質問をされましたが、私もお聞きしたい。公社電気通信事業を行うところの権利は、電信法第一條によれば「電信電話政府之ヲ管掌ス」とある。この「管掌」の意味は、独占的に政府がこれを運用するのだと読まなければならないのでありますが、これを今度「管理ス」と改めて、第一條の二に「公衆通信ノ用二供スル  電信電話二関スル業務ハ日本電信電話公社ヲシテ之ヲ行ハシム」とこうなつておる。そこでこの業務権といいますか、電気通信業務、こういう従来独占的に政府が持つてつた権利は、この一條の改正によつて公社に移つて来るのですが、管理するということは、政府が管理する。そうして「業務ハ日本電信電話公社ヲシテ之ヲ行ハシム」とこうあるのでありますが、これはどういう意味ですか、代行させるという意味か、権利を移すということの意味か。
  110. 靱勉

    靱説明員 在来「管掌ス」という電信法の規定は、これは管理司掌すというふうにも解釈されておるのもあるわけでありますが、要するに管理と業務を行う。営業という言葉は悪いのでありますが、公社におきまして今度やりますのは、「業務ハ日本電信電話公社ヲシテ之ヲ行ハシム」ということによつて、営業はこれに独占させる。しかしながら政府電信電話に対する管理権は持つておるという形になつておるわけであります。そこで他に電信法の規定が  いろいろありますので、それを読みかえておりますが、全然政府から第一條の「管掌ス」を削つてしまうわけには参りませんので、「管理」として残したのであります。なおこれの根本的解決は、有線電気通信法並びに公衆電気通信営業法で解決いたしたい。とにかく電信法をそのままここへ持つて参りました関係上、多少入り組んでおりますが、ただいま申しましたように管理権は政府が持つ、こういう形になります。
  111. 石川金次郎

    石川委員 管理権を持つということは、さつきの財産上の移転の性質の問題になつて来ますが、管理権を政府で持つということはどういうことですか。
  112. 靱勉

    靱説明員 この管理の対象としましては、電信電話と書いてございまして、これは電信法の解釈においても若干問題はあつたのでございますが、私どもの解釈としましては、電信電話政府これを管掌すという意味合いで、いわゆる私設電信、有線、そういうものは一切政府が管掌す、そうして第二條で例外を認めた、こういう解釈をいたしておつたわけです。従つて今度公社が行いますのは、單に公衆通信の業務だけでございまして、別の言葉をもつて言いますれば営業だけで、その他の面は政府に残つておる、こういう形になるのであります。なお管理権の残つています点につきまして、公衆通信関係においてどういうものがあるかということになるのでありますが、現在電信法が非常に古い法律であるために、多くの事項が省令に譲られておるわけです。それでもつて電報の取扱いとかいろいろな問題につきまして、結局政府がこれをきめているわけでございまして、そこらは管理権の内容ということになります。
  113. 石川金次郎

    石川委員 ここで業務権といいましようか、電気通信事業を行う権利、これは公社に移ると見てよろしゆうございますか。
  114. 靱勉

    靱説明員 さようでございます。
  115. 石川金次郎

    石川委員 そうなると、さつきの第五條の財産の規定に関連して来ますが、事業の権は公社に移つた、その用に供せられておるところの財産は出資だ、そうして出資であれば法律の改正でとりもどすことが可能だということになつたときに、業務権はどういうことになるのですか。
  116. 靱勉

    靱説明員 それは法律的な解釈の問題でございますが、とりもどすといいましてもこれは資本の問題でありまして、業務権というものはまだ法律が改正されてない限りは公社にある、こう言わざるを得ないのであります。
  117. 石川金次郎

    石川委員 施行法に権利はいずれ公社に移転するという條項がある。だから権利は全部行つてしまう。そうすると国は出資者だということになるでしよう。出資を保護するためには、どうしてもこの会社の解散のときまでのことを規定しなければならぬ。その点はどうですか。
  118. 横田信夫

    横田(信)政府委員 いろいろ分析願いましてわれわれとしてありがたいのですが、これは有償譲渡でも無償譲渡でもないのであります。やはり出資であります。従つて出資した場合に、株式会社の場合は株主保護のために株主総会にいろいろ権限を持たす、あるいは監査役を設けたり、あるいは公認会計士に会計監査をやらせてその不当なことのないように、いろいろの規定を商法で設けてあるわけであります。それにかわるものとして本法で何があるかと申しますと、これは株主総会なり監査役でなくして、会計検査院が国の機関としてみずからやる、こういうことになるわけであります。それから取締役会に準ずるものとして経営委員会をもつて充てて行くのであります。ただ公益事業の監督として、料金の問題とかそういうものが出て参りますが、そういう監督以上に、政府出資であるがゆえに、公社に対する政府の監督内容というものが特に加わつて参るわけです。こういうことに御了承願いたいと思います。
  119. 長谷川四郎

    ○長谷川委員 関連して……。横田さんにちよつと伺いますが、会計検査院が従前と同じ方式でもつて今度の公社をやるのですか。
  120. 横田信夫

    横田(信)政府委員 国が資本金の二分の一以上出資しておるというようなものについては会計検査院が検査する、これが会計検査院法の中に出ておるわけであります。会計検査院が検査すると本法に書きましたのは、これはある意味においては為念規定でありますが、明らかにいたしたわけであります。その会計検査院が検査する場合にどういう方式で検査するかということになりますと、これは基本態勢がかわつて参りますので、その検査の仕方もおのずからかわつて来る。今の政府事業についての検査ということになりますと、当然今の財政法、会計法の規定に対して間違つたことをやつておるかどうかということの監督になります。この会計についてはどういうやり方をするかというと、予算の流用については政府の認可を受けるというような規定の趣旨に沿つてつておるかどうか、こういうことを会計検査院が検査する。他の一般行政と同じ検査でなくして、この法律の趣旨に沿う線でやつておるかどうかということで検査することに相なるわけであります。
  121. 石川金次郎

    石川委員 そこで五條の二項を問題にします。「政府は、必要があると認めるときは、予算で定める金額の範囲内において、公社に追加して出資することができる。」これは追加出資ということであります。これはただ資本を追加する、無條件に政府が金をつぎ込む、こういうわけですか。
  122. 横田信夫

    横田(信)政府委員 さしあたり今どう予定しておるものかわかりませんが、将来政府が自己資本として出資する必要ありと認めた場合には出資できるという権限を置いたのです。しかしこれは国会の御承認を得て予算でもつてつて行くんだということを明らかにしたものであります。
  123. 石川金次郎

    石川委員 そこで政府にお聞きします。政府公社である日本電信電話公社に対して同法の第五條二項によつて投資いたしましたときに、これは無條件で投資してよいのですか。
  124. 横田信夫

    横田(信)政府委員 無條件と申します意味は私もよくわからないのでありますが、出資のときには別に新たな條件はつけません。しかし本法についている條件が当然伴うわけであります。
  125. 石川金次郎

    石川委員 ところが本法には、この出資について何らの規定もございません。あなたのおつしやるただ大蔵大臣の監督権ですか、出資者としての監督権というか、あるいは協議権というものがあるだけで、出資者として何の規定もございません。
  126. 横田信夫

    横田(信)政府委員 いや先ほど申し上げましたように、これが民間出資でありますならば、これは私的資本でありますし、あるいは公認会計士の何を受けるとか、そういうような條件が当然あるわけでございますが、これは検査院の検査を受ける、あるいはどういうものについては認可を受ける、本法に書いてあるようないろいろな條件が当然伴つて来る、こういうことであります。
  127. 石川金次郎

    石川委員 それでは国がこの資本をおろすときに、これは資本でおりるのですか、配当も何も要求しない趣旨なんですか。もう一度伺います。税金をとつて公社はこの出資をする場合に、何ら対価を要求しない資本でありますか。
  128. 靱勉

    靱説明員 この出資につきましては、明らかに法律では予算で定める金額の範囲内において追加出資ができるということが書いてあるだけでありまして、その出資の性質というものは第五條第一項のものと同じであるというふうに考えます。もし特別のものにするということになれば、法律の改正がなければできないというふうに解釈いたしております。
  129. 石川金次郎

    石川委員 だんだんわかつて来ましたが、もう一度お伺いしておきましよう。二十一條の内閣の総裁、副総裁の任命権は、やはり資本監督、出資監督から来る條文ですか。
  130. 靱勉

    靱説明員 先ほどから追加出資を中心として、非常に監督権として分析して御質問があるわけですが、この法律におきましては、この法律によつて解釈するということで、他の観念はあまり入つておりません。そこで総裁、副総裁を内閣が任命するということも、この公社が要するに公企業体である、それから国の機関ではないけれども、第一條の目的のごとく、公共の福祉を増進するために政府が配当も何も要求しない、全額出資している公社であるというような観点から、すなわち公共的立場から内閣が任命するというふうに考えまして、その基本的なあるいは内面的な観念においては、その出資というものはあるいは考えられるというふうに解釈することもできるかと思いますが、大体現在ある公社につきましては、結局NHKは形態において別でございますが、結局国民の財産というものを全額公社にまかしてやつて行くという観念からいろいろと律せられているものが、その底流にあるということは認める次第でありますけれども、その性格としましては結局全額政府の出資であつて、他のものは全然出資していない。しかもこの公社は独占的に公衆電気通信事業経営するというような公社の性格から、こういう規定を設けたものと解釈いたします。
  131. 石川金次郎

    石川委員 ちよつと問題をかえてみましよう。少しこんがらがつて来ましたから……。それで次官にお伺いしますが、業務権が公社に移つたという御説明であります。電信法を見て参ります。この電信法二十三條、二十四條はまだ生かしておく條文でありますか、必要な條文ですか。
  132. 靱勉

    靱説明員 全然いじつてないものにつきましては、残しておくつもりでございます。
  133. 石川金次郎

    石川委員 それで二十三條の規定によりますと、「電信又ハ電話二関スル料金ハ命令ヲ以テ定ムル場合二於テハ郵便切手ヲ以テ納付スヘシ」二十四條「電信又ハ電話ノ取扱二関シテハ政府ハ損害賠償ノ責二任セス」、公社に移つてしまつたらこの條文は必要ですか。せつかくこの法案に付随して電信法を改正してもらうのでありますから、まず存在する必要があるならばその理由をお伺いしたい。
  134. 靱勉

    靱説明員 二十三條につきましては読みかえておりませんが、二十四條につきましては読みかえて公社になつております。二十三條は「命令ヲ以テ定ムル場合二於テハ」ということで、その後ほとんど全部改正いたしまして、現金主義をとつておりますので、これはほとんど実益のない規定でございます。それから二十四條の無賠償責任につきましては、新立法の際考えております。こういう考えでございます。
  135. 石川金次郎

    石川委員 結局二十四條はいらない條文でしよう。
  136. 靱勉

    靱説明員 いるのでございます。
  137. 石川金次郎

    石川委員 公社と読みかえるならば、公社電信電報の取扱いをやつても、何らそれによつて利用者に及ぼした損害賠償の責に任ぜずというのですか、これを聞きたい。
  138. 靱勉

    靱説明員 この法律は、在来政府が行つておりましたと同様に、無賠償責任でこの際は行くという方針にいたしております。
  139. 石川金次郎

    石川委員 そうすると国家賠償法との関係はないのですね。国家すらも賠償責任を持つ場合、二十四條において公社が何ら損害賠償の責任に任ずる必要がないという理論上の根拠は……。
  140. 靱勉

    靱説明員 その点につきましては、たとえば国際通信につきましては、條約上やはり無賠償になつておるのであります。そこでこれは非常に言い訳になるのでございますが、新しい立法におきましては、この点について検討を加えておるわけでございます。今度公社法を制定する場合におきまして、電信法の根本的改正が、できるだけ時期を同じにいたしておるわけでございますけれども、若干遅れますが、この際にこの條文を直しますと相当複雑に相なりますので、これはしばらく譲つた、今まで通りの形にしておいた、これだけの意味しかないのでございます。
  141. 石川金次郎

    石川委員 その点を聞いて、あとは次会にお伺いすることにして、きようの最後に一つ第六條に規定する登記につきまして聞いておきます。会社が設立のときは、本法によりますと、また次官も御説明になつたのでありますが、本法施行の日、こうまず解釈されます。そこで施行法の條一條において経営委員は事前任命を受けるのであります。第二條において職員を引継ぎされ、第三條において権利義務も全部引継ぎされ、従つて資産も引継ぎされる。そうなつて参りますと、ここで会社が設立いたしましても、まだ出て参りませんのは執行機関である。総裁、副総裁になりますか、理事になりますか、それはいつ出て来るのでありますか。
  142. 靱勉

    靱説明員 執行役員は七月一日に任命する、こういうことにいたしております。
  143. 石川金次郎

    石川委員 そこで七月一日から準備万端お整えのようでありますが、政府が任命するのでありますけれども、国会にどういう人がなるかということを知らせてもいいと思いますが、どなたに予定されておりますか。
  144. 靱勉

    靱説明員 これは内閣が任命いたすので、現在のところ私ども全然承知いたしておりません。
  145. 長谷川四郎

    ○長谷川委員 私は一つ聞いておいて次会の参考にするんですが、横田君に聞くんだけれども会社というものの性質、定義を言つてくれというわけじやないんだけれども、これをおつくりになつたあなたの、会社というものの大づかみでいいから定義をひとつ聞かしてもらいたい。国際電話株式会社、これだけをひとつ聞かしておいてもらえれば、それだけでいいのです。
  146. 横田信夫

    横田(信)政府委員 私、会社の専門家でないのでありますので、答弁が非常に簡単になるかと思いますが、要するに株式会社であります。株式会社でありますが、特殊会社として公益的な色彩の濃厚な事業でありますので、必要なる監督を設けるという意味においての特殊会社であります。
  147. 石川金次郎

    石川委員 ちよつとさつきの登記の方の質問につけ加えさしてください。そうすると会社が施行の日にでき上り、登記は総裁が任命されてから総裁がやる、執行機関によつて登記する。その間に日にちがありますが、そのあ  ります間に起つて来る公社の権利義務の関係はどうなりますか、それから国の権利義務の関係…。
  148. 靱勉

    靱説明員 登記の具体的なあれは、政令でできるだけ簡略に定める形になつておりますが、これはあくまで対抗要件でございまして、効力としては発生するというふうに考えております。登記の日をもつて発生する対抗要件でございまして、登記した後でなければ第三者に対抗できないというだけでございます。
  149. 石川金次郎

    石川委員 そこで聞きたいのですが、会社が成立いたしますと、料金などは会社が成立した日から利用者に対して請求するのでしよう。ところが利用者の方は登記がいまだできないというので、登記の日までは会社に拂わないという対抗はできやしませんか、それの処置はどうなりますか。こまかいようでありますが、私がそれをなぜ聞くかといいますと、大体終戦後の立法は登記を成立要件としております。ところが公社法人と名乗つておるものは鉄道公社、専売公社というものがあるが、本法だけは対抗要件を持つ。どうして政府はある場合には対抗要件、ある場合には成立要件とするか、これをただしてみたいからお聞きしておるのであります。
  150. 靱勉

    靱説明員 公社は七月一日をもつて当然設立されたことになります。従いまして料金問題について、第三者の対抗要件に該当するということになりますれば、それまではとれないということにはなりますが、登記も七月一日をもつてやるようにしたい考えであります。
  151. 石川金次郎

    石川委員 長時間にわつて失礼いたしました。あとの質問は次会に会社中心にしてお伺いいたしたいと思います。今日はこれで終ります。
  152. 田中重彌

    田中委員長 本日はこの程度にとどめまして、追つて次回は公報をもつてお知らせいたします。これにて散会いたします。     午後四時九分散会