○
網島政府委員 私
どもはもちろん将来天然色
テレビジヨンというものに移りかわるであろうということは考えておるのでありまして、今度の標準方式をきめるにあたりましても、将来天然色に移行する場合に障害にならないように、
国民に大きな
負担がかからないようにということは、常に頭に置いて考えておるのであります。ただいま天然色に移る場合に
負担がかかるか、かからないかというお尋ねでしたが、これはもちろんかかります。要するにかかる
程度をどの
程度に押えるかという問題に相なるのかと思うのでありますが、これは画の質をどういうふうにするかということとも関連して参ります。画が幾ら悪くてもいいのだ、いわゆる安かろう悪かろうという行き方もあるかと思いますが、しかしこういうような行き方は遠からずして破綻を来すのじやないか、少くともやはりある
程度国民が見て楽しめる
程度の画でなくてはならぬというふうに、私
どもは考えております。ところで天然色の技術は、ただいま
長谷川
委員から、もういつでもできるような状態じやないかというような御
質問がございましたが、私
どもは必ずしもそういうふうに考えておりません。先般も当
委員会で申しましたが、
アメリカにおきましても、現在まだ天然色
テレビジヨンは実験の
段階にあります。御
承知のように、それは受信機の製造が一時停止されておるからでこぎいますが、一方その間に
アメリカの二つのシステムは日進月歩のありさまをも
つて技術が進歩しております。最近はNTSCのいわゆる全電子方式が非常に技術的に進みまして、識者は将来の
テレビジヨンはこの方式で行くであろう、この方式に帰一されるであろうというふうに考えておりますし、私もCBSとNTSCの
両方を比較検討いたしまして、同じような
見解をと
つておるのであります。ところでこのNTSCの方式は、技術的に相当高度のものでございます。半年前にはこれがしかく簡單に解決できるとは考えておらなか
つたのでございますが、先般
日本に到着いたしました「エレクトリックス」という本の二月号には、その技術はほとんど完成に近づいたということを述べております。その画もその雑誌に載
つておりますが、その中におきましてその
方面の担当技術者は、天然色は六メガでも十分やれるということを言
つておるのであります。周波数の利用の原理から
研究しますと、現在白黒でや
つている
程度の画は、六メガでやはり天然色にしてもやり得るということになるのでございまして、その周波数の利用能率をいかにして上げて行くかということが、現在の
研究題目でございます。
従つてこの六メガによりましても、技術的には天然色
テレビジヨンは決して阻害されないのだ、現在の白黒
程度のものは十分できるということは、技術的には実証されたわけでございます。
次に考えなければならないのは、先ほど御
指摘の経済的な問題でございます。現在の
段階におきましては、この六メガの白黒から六メガの天然色へ移すために、相当数の真空管を必要としておりまして、これにはいろいろな
経費がかかるのでございますが、その中で最も値段の大
部分を占めるものは、三色を出すところのブラウン管でございます。この三色ブラウン管は非常に高度の技術を使つたものでございまして、受信機の
経費の大
部分を占めるという
状況に相な
つておるのであります。しかしながら私
どもは、これも逐次多量生産の技術が完成して行
つて、近い将来におきましては、相当値段が安くなるという
見通しを持
つておるのでありまして、今かりに非常にむずかしい技術である、そのために真空管が三十数本もいるということがいわれておりましても、これらの問題は逐次解決されまして、二、三年の後にはおそらく半分ないし三分の一以下にな
つてしまうということは、私
ども長い技術的な経験を持つた者から、十分考えられることでございます。そういうような面並びに周波数の幅を一メガ節約することによ
つて起るところの
国民的な利益というようなものを、十分彼我検討いたしまして、私
どもは六メガできめるのが適当であるという結論に到達いたした次第でありまして、先ほど
長谷川
委員から御
指摘の点は、私
どもといたしましても十分考慮して参つたつもりでございます。