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1952-02-26 第13回国会 衆議院 電気通信委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年二月二十六日(火曜日)     午後一時四十四分開議  出席委員    委員長 田中 重彌君    理事 關内 正一君 理事 高塩 三郎君   理事 橋本登美三郎君 理事 長谷川四郎君       井手 光治君    加藤隆太郎君       庄司 一郎君    辻  寛一君       福永 一臣君    椎熊 三郎君       石川金次郎君    田島 ひで君  出席国務大臣         電気通信大臣  佐藤 榮作君  出席政府委員         電波監理委員会         委員長     網島  毅君         電波監理長官  長谷 愼一君         電気通信監   山下知二郎君         電気通信事務官         (業務局長)  田辺  正君         電気通信事務官         (経理局長)  肥爪 龜三君  委員外出席者         電気通信事務次         官       靱   勉君         專  門  員 吉田 弘苗君         專  門  員 中村 寅市君     ――――――――――――― 二月二十三日  委員高塩三郎辞任につき、その補欠として小  坂善太郎君が議長指名委員に選任された。 同月二十五日  委員小坂善太郎辞任につき、その補欠として  高塩三郎君が議長指名委員に選任された。 二月二十六日  高塩三郎君が理事補欠当選した。     ――――――――――――― 二月二十三日  テレビジヨン実験放送実施促進に関する請願  (大矢省三紹介)(第八七九号)  和田村の電話ケーブル施設強化に関する請願(  佐々木盛雄紹介)(第八九八号)  砧局都内通話区域編入等請願松本七郎  君紹介)(第九一九号)  和田村の電話ケーブル施設強化に関する請願(  有田喜一紹介)(第九二〇号) の審査を本委員会に付託された。 同月二十一日  公共放送によるテレビジヨン実施に関する陳  情書(第六一六  号)  同外七件(第六一七  号)  同外六件(  第六一八号)  同外十七件(  第六一九号)  同外二十九件  (第六二〇号)  同  (第六二一号)  同外八件(  第六二二号)  同外三件  (第六二三号)  同外一件  (第六二四号)  テレビジヨン放送実施促進に関する陳情書  (第六二五号)  教育的テレビジヨン実施に関する陳情書外二  十一件  (第六二六号)  テレビジヨン放送施設旭川誘致に関する陳情  書(第六二七号)  東北地方テレビジヨン放送実施に関する陳情  書外二件(第六二  八号)  名古屋市におけるテレビジヨン放送実現に関す  る陳情書外四件  (第六二九号)  春日井市にテレビジヨン放送実施に関する陳情  書外三件(第六三  〇号)  テレビジヨン放送の富山県誘致に関する陳情書  外五件(第六三  一号)  福井県にテレビジヨン放送実施に関する陳情書  (第  六三二号)  テレビジヨン放送関西誘致に関する陳情書  (第六三三号)  テレビジヨン放送大阪誘致に関する陳情書  (第  六三四号)  鈴鹿市にテレビジヨン放送実施に関する陳  情書外一件  (第六三五号)  桑名市にテレビジヨン放送実施に関する陳情書  外一件(第六三六  号)  四日市にテレビジヨン放送実施に関する陳情書  外二件(第六  三七号)  福山市にテレビジヨン放送局設置に関する陳情  書(第六三八  号)  テレビジヨン放送の山口県誘致に関する陳情書  外五件  (第六三九号)  松江市にテレビジヨン放送実施に関する陳情書  (第六四〇号)  大分県にテレビジヨン選局設置に関する陳情  書(第六四一  号)  テレビジヨン放送の鹿児島県誘致に関する陳情  書(第六  四二号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  理事の互選  小委員補欠選任  日本放送協会昭和二十五年度財産目録、貸借対  照表及び損益計算書  電気通信事業に関する件     ―――――――――――――
  2. 高塩三郎

    高塩委員長代理 これより電気通信常任委員会を開会いたします。  委員長が所用のため御出席が遅れますので、私が委員長の職務を行います。  電気通信事業に関し調査を進めます。質疑の通告がありますので、これを許します。石川金次郎君。
  3. 石川金次郎

    石川委員 非違事件について御質問を申し上げます前に、次官にちよつとお伺いをしておきます。  大臣電気通信事業運営には、人と設備とが一体になつて活動する以外にはないとおつしやつたが、電気通信従業員組合資料の中にも、また人と物が原動力とならなければ、事業再建運営はできないと言つております。この点においては当局従業員も合致しておる。またおそらくは事業運営に人と物との一体を必要とすることは、何人も認めるところであります。しかし当局が昨年の行政整理の結果、十四万三千四百五十二名で事業運営にはさしつかえないと公表せられた。今年事業の拡張によつて定員を増加して、十五万一千百三十一名の定員で十分さしつかえないと言つておるのであります。従業員組合資料によりますと、事業再建運営いたしますのには、三万六千名の増員をしなければ、サービスも期待できない、運営も困難であるということを言つておるのであります。同じ事業の内部にあつて、一方では三万六千の増員を必要とする。当局はそれを必要としないと考えておるのであつて、あまり開きが大き過ぎるのですが、人員の点について、あなた方は事業運営に何らの支障なしという確信をお持ちになるのでありますか。将来そのために破綻を来すようなことになりますると、あなた方の出しました予算実施できない予算であるということになりますので、この点明らかにしてもらいたいと思います。
  4. 靱勉

    靱説明員 お答えを申し上げます。定員法改正の問題につきましては、すでに政府方針にのつとりまして、大臣からの御説明でも、非常に困難ではあるけれども事務の簡素化なり、能率の向上等によりまして、特に事業運営には支障のないようにしたいという趣旨でお答え申し上げた次第であります。さらに二十七年度からはかなり施設の増に伴い、増員されるということでございまして、私ども増員要求する場合におきましても、事業運営ということをもちろん第一に考えまして、適正な定員配置ということも十分実行して行きたいということで、予算の折衝の場合におきましては、いろいろと問題があつたのでございますが、結局まとまりましたところは、ただいまおあげになつたような数字のところでまとまつた次第であります。現業事務運営につきまして、部分的に申しますと、かなり困難な面もございます。しかしながら人員適正配置という点から申しますと、現在の管理要員現業要員との比率というようなことも考えまして、配置転換をすることによつて、かなり第一線の現業を充実できるというような計算もとられたわけでございまして、ただいまのところ私ども十分な人を得るということは、なかなか予算等関係で困難でありますが、今国会で御審議をいただいておる予算人員によりまして、現在のサービスを落すことなく、むしろ私ども努力によりまして、さらにサービス向上を期するという点で、そういう予算案が作成されたものと思います。以上お答え申し上げます。
  5. 石川金次郎

    石川委員 これらの計画なり予算なりを樹立いたしましたときに、従業員組合意見をお問いになりませんでしたか。
  6. 靱勉

    靱説明員 お答え申し上げます。従業員組合からは、平素いろいろと事業に関する意見も出て参つております。従いまして予算の作成の場合には、もちろんそういう意見も頭に入れて計画されるわけでございますが、一々予算について組合と話し合うということはございません。平素からあるいは大会の決議としまして、事業上の問題についても数十項目にわたる組合の申入れはあるのでありまして、そういうものを勘案し、私どももぜひ実現しなければならぬというような問題につきましては、常に最善努力をいたしておる次第であります。たとえば前国会において非常に御支援をいただきました奨励手当の問題のごとく、非常に努力いたしたのでありますが、いろいろな関係でまだ成立してないというような問題もあるわけであります。ただいまの御質問の、意見を聞いたかということにつきましては、平素いろいろな面から意見が出ておりますので、そういうものは常に私ども誠意をもつて解決するというような方針で進んでおる次第であります。
  7. 石川金次郎

    石川委員 当局が人と施設一体にならなければとおつしやつておるのでありますから、従業員組合現業にある人たちその他の人たち一体とならなければ、事業運営ができぬのでありまして、予算をこしらえるにあたつても、事業計画を立てるにあたつても、従業員組合意見を最大に尊重し、聞くべきものは聞くことこそ、仕事と人とが一体になる事業運営でありますから将来予算の編成にあたつては、従業員組合意見を十分聞く機会を與える。いわんや企業をかえて参つたときには、当然労働経営参加を認めなければ運営が困難だと思います。いやであるかもしれないけれども、時の流れの中においてはそうしなければ解決できないと思います。この点について将来今まで聞いたより以上に、もつと深く従業員組合意見を取入れる御決意があるかどうか、それをお聞きしたいと思います。
  8. 靱勉

    靱説明員 お答え申し上げます。かつて組合の非常な発展期におきまして、いわゆる経営委員会というものを設定いたしたことがございます。これについては公務員の建前からいろいろの問題がありまして、結局その後やらないという形になつたのであります。但し管理者としてはもちろん職員全体の意見を常に考えて行かなければなりませんし、また組織的な組合の一致した意見は、大いに尊重して行かなければならぬという建前から、経営委員会のようなものはつくつておりませんが、ただいまも申し上げたように平素大会等で、相当項目にわたる意見が申入れされるのでありまして、それらについては私ども大臣名をもつて一々回答するというようなことで、それをただ聞き流しにして行くということはないのであります。経営委員会的なものをつくるかどうかということについては、一つの大きな問題があるかと存じますが、ただいまおつしやつた意味の、自主的に組合事業運営に関する実際的な意見を十分取入れて行くということにつきましては、現在でもそういう方向でおりますし、今後経営委員会をつくる場合においても、そういうような取扱いについては同じ考えで参りたい、むしろ私どもは、特に機構上どうしても一つ段階ができて来る場合において、普通下部団体と申されますが、最先端の段階における意見は十分組み入れまして、本省で企画する場合におきまして、大いにこれを反映さして行かなければいかぬというふうな考えでおります。
  9. 石川金次郎

    石川委員 一体となつて事業に当れと従業員要求する場合には、その従業員給與についても考えなければならぬと思います。いろいろと国の財政事情もありますけれども、私は従業員給與に対して特に考えなければならぬと考えておりますが、将来従業員給與の増額を要求しましたときに、当局としてどのようなお考えを持つておるのか。予算がないから拂わないで済ますのか、それとも給與はあなた方の要求する事業と人との一体に必要な要素であるというお考えから、従業員要求については十分最善を盡される用意があるのか、それをひとつお聞きしておきたい。
  10. 靱勉

    靱説明員 お答え申し上げます。非常にごもつともな御意見でありまして、職員給與につきましては、これはある意味で非常に根本的な問題として、私ども最も重点を置いておる一つでございます。在来いろいろな経過をたどりまして現在の給與になつておる次第でありますが、御承知のように給與につきましては専門的な人事院というものができまして、これが政府勧告するという形になつておりますが、その実際面におきましては、組合ももちろん人事院にいろいろな要求も出され、実情説明もされるわけでありますし、われわれ管理者といたしましても、特に現業官庁あるわれわれと一般行政官庁とは違うという特殊性につきまして、平素からいろいろと人事院と折衝して、人事院勧告に織込まれることをわれわれは実際上の問題として取扱つておるわけであります。人事院にもいろいろ委員会ができておりまして、各省人事部長等が出て、給與の問題その他につきましても、各省それぞれの立場から実情説明し、改善を話しておるという形でありますので、ただ予算がないからいかぬという一点張りではないのであります。特に私ども電気通信事業においては、晝夜わかたず精密な機械的作業に従事しなければならぬとか、雪の中でも非常な炎天の中でも土木工事に従事しなければならぬというような特殊性があり、場合によつて危険作業もあるという次第でありまして、現業段階における給與の適正ということにつきましては、私どもさらに努力を続けなければならぬというかたい決心を持つております。さきに人事院から勧告されまして、給與法改正特別号俸表というものができたのでありますが、これは必ずしもまだ理想的な案ではないと私どもは申しております。ただいま石川委員のおつしやつたように、今後かりに形態がかわつて来るとするならば、国鉄、専売等と比べて、現業機関であるわれわれの方は、確かに実質的に著しく差があるということも認めざるを得ない。そういうところから、さらに給與が適正に支給されるという形態にまでということが、組合の非常な意欲のように私ども看取しておる次第でありまして、かりにそういう形態がとれるとしますれば、給與の面における弾力性と申しますか、能率給的なものを実際に支給できるような態勢にする。現在の超過勤務手当というものもございますが、一定時間内における仕事の量というものがあまり考えられないという点で、やはり欠点もある。しかし一方時間的に考えてみれば、超過勤務手当は非常に有効な点もあるというようなことで、給與の全面的な改革につきましては、人事院でもさらに考究されておるように聞いております。給與改正といいますか、給與準則が近く人事院でもつくられるという場合において、特に現業面において頭打にならぬように、また非常に、優秀な技術の人が、何か課長とか部長にならなければ給與が上つて行かないのだというようなことがないようにと、極力主張しているような次第でありまして、今おつしやつたことは私どもといたしましては、ぜひそれに最善努力をいたしたいという考えでおります。
  11. 石川金次郎

    石川委員 給與について人事院から勧告がありました場合、もしくは労働委員会裁定がありました場合、御当局がただちにお聞き入れになるという御決意がありますか。今まで断られて、せつかくつくられたものを空文に帰するようなことがあります。人事院勧告、もしくは企業体が将来かわりましたときは、労働委員会裁定に従う御決意でありますか。
  12. 靱勉

    靱説明員 人事院なり労働委員会等裁定につきましては、けだしだれでもそれを聞き入れたいということは間違いないところだと思います。しかしながら予算の都合上どうしても金が出ないということで、いつもトラブルが起るわけでありまして、私どもはもちろんそういう気持を持つておりましても、どうにも給與の差繰りができないという場合には、これはひとつ他の方のお力を拝借しなければならぬということにもなるわけであります。気持は専門的にそういうような給與が真剣に検討されたならば、私どもできるだけ喜んで受入れ、それによつてほんとう事務が能率的に上り、むだなことがないということが、理想の体形であると考えておりますが、実情といたしましては決していつもけ飛ばすことを考えてないということを御了解願いたいのであります。
  13. 石川金次郎

    石川委員 その点は次官先頭に立つて人事院勧告なり裁定を実現するように、一層お働きくださることを希望して打切つておきます。  次に事業で一番大切なものは建設資金であります。建設資金について今政府では、三百十二億かで本年度計画を立てたようであります。これであつては何にもできない。従業員組合の方の意見を聞きましても、事業運営最低線として四百億の資金を持つて来なければ、この事業運営再建ができないと言つている。あなたの方ではそりではない。三百十二億でとにかくやつて行けると言う。これではあまり開きがあり過ぎる。もう少し資金を持つて来る必要がないのでありますか。持つて来たいけれどもつて来ることができないからやむを得ないとおつしやるのですか。それをお伺いしたいのであります。
  14. 靱勉

    靱説明員 建設資金の問題につきましては、またいろいろとほかからも御意見があるかと存じますが、今御審議願つております予算におきまして、現在の電話の行き詰まりというものから見まして、この資金の幅では相当思い切つた改善ができないということは、予算書によつてはつきりわかることだと私は存じます、しかしながら御承知のように自己資金でまかなうわけにも参りませんし、どうしても借入れ資金の問題になりますと、やはり国の財政の幅に左右されることはどこでも当然のことかと存じます。そこで本年度外部資金借入れにつきましては、いろいろと大臣先頭に立たれまして非常に努力されたのであります。国の施設全般から見まして、それぞれの割当から見まして、外部資金を一挙に四百億ということは、なかなか困難な状態にあつたものと私ども考える次第であります。従いましてそれではどのくらいこれでもつて施設整備拡充ができるかということに対しましては、具体的な案もごらんに入れてあるわけでございますが、なかなかこれでは困難だと思います。しかし私どもせつかく認められますならば、その範囲でさらに経済的、効率的に予算を使用することによりまして、また早期に仕事を完成するということによりまして、最も効率的な使用方法をいたしまして、少しでも現在の行き詰まつた状況を打開するために努力いたしたい、こういう考えでございます。当初大臣からも大体年間五百億程度のというようなことを、所管事項説明では一ぺんおつしやつたことがあるのです。年々そのくらいの幅を持つて来ますと、かなり急速な改善ができるかと思いますけれども大都市等がすべて至るところ一ぱいになつてしまつたような状況でありますので、非常に資金がよけいいる状態になつておることは事実でございます。
  15. 石川金次郎

    石川委員 このままでは現状維持辛ろじて事業をつなぐというだけになりはしませんか。二十八年、二十九年にはどういう計画を持つておるか。遠大なる計画がおありになるならばそれを承りたい。あるいは公共企業体でやることが資金の面でいいからやるとすれば、どうしてどこから持つて来るか。御計画がありますならば伺いたい。
  16. 靱勉

    靱説明員 まず第一に長期計画を立てておるかという御質問でございますが、これにつきましては私ども当初本年度を含めます三箇年計画を持つておりました。資金運営の面を見ますと三箇年では困難だというので、四箇年計画である程度改善のできるような計画は持つております。その案によりますれば、年々外部資金増嵩もして来なければ実現できないということになつております。それから長期の予測としましては、非常に長い期間でございますが、十五箇年というものを想定いたしまして、その一部心々をさらに具体的に三年なり四年の計画を編み出して行くというようなことで、四箇年計画は現在持つております。それによりますと、本年だけの外部資金では、物価はこのままである。すべての経済的な価格というものがそうであれば、外部資金というものは本年以上によけいとつて来なければならぬことになるわけであります。そこでかりに公社になりましても、民間資本力というものが非常に蓄積され、強くなりますれば、公社が債券を発行することによつて資金の獲得が可能であるかと思います。ただちに民間資金というものも充実できないということになれば、やはり国家資金に大部分依存しなければならない。しかしこれは年々経験しておるところでございますが、かなり電気通信施設重要性というものを一般によく御理解願いまして、外部資金を得る場合におきましても、相当優位性をお認め願つておる次第でございまするが、何分にも全体の幅が狭いもりでございますから、今おつしやつたように、本年度外部資金としては百三十億にすぎないのでありまして、この程度ではりつぱな計画はなかなか樹立しがたい。しかしかりに公社になりました場合においては、公社債の発行ということもお認め願つて民間資金力も入れるものはできるだけ入れて行きたい、こういう望みを持つておるわけであります。特に電気通信のようなものにおきましては、地方的に見ますと、各都市では都市の活動のために、この際どうしても電話を拡充してもらわなければ困る、場合によつては一時なら資金もみんなで出し合つてやろうかというような声もあちこちで聞いておるわけでありますが、現在そういう資金を拝借するような形になつておりません。従いましてここ当分の間は、政府資金に大部分依存しますが、それだけでなく、さらにただいま申したように、都市々々の状況によつて、そこの資金を拝借して施設改善するということにいたしますれば、現在の幅よりさらによけいとれるのではないか。また同時に施設状況を見て、電気通信にも相当政府資金を投げ込むことに方針がつくられて行くということによつて、私どもが持つておる計画が実現できるように期待いたしたい、こういう考えでございます。
  17. 石川金次郎

    石川委員 事業には多くの従業員が参加しておるのでありますから、そこにはいろいろの非違事件が起るだろうということは予想されます。しかし昨年来現われて参りました電通省非違事件、世間では汚職事件といつておりますが、はなはだ遺憾な事件であります。そこで次官にお伺いしますが、部内におけるところの犯罪非違事件は、二十四年度には四百二十九件あつたという御報告でありましたし、二十五年度には二百五十四件、人員が二百八十七名になつておりましたが、二十四年には部内においてどれほど非違事件の人があつたか、お聞きしておきたい。
  18. 靱勉

    靱説明員 部内の犯人と申しますのは、二十四年には二百四十名であります。
  19. 石川金次郎

    石川委員 二十四年と五年との合計を聞いて参りますが、この非違事件、いわゆる犯罪事件、これらを合して免職処分を受けた者、停職処分を受けた者、減給処分戒告処分がおのおの何人か、いわゆる行政上の処分を受けた者が何人あるかをお知らせ願いたい。
  20. 靱勉

    靱説明員 処分は全部集計してあるのでございますが、ただいま手元には二十六年度のだけでありますので、それを申し上げます。懲戒免職が五十六名、停職が五十一名、減給が五十名、戒告が三十三名、訓告が四十名、起訴されて有罪判決を受けまして、当然失職するのでございますが、これが四十九名、合計二百七十九名ということに相なつております。
  21. 石川金次郎

    石川委員 この前、二十五年度には懲戒処分を受けましたのは四百人とおつしやいましたが、これは間違いありませんか。
  22. 靱勉

    靱説明員 あれを申し上げましたのは、本人並びに監督責任者について、全部で処分した者がという意味で四百名と申し上げたのであります。
  23. 石川金次郎

    石川委員 監督責任懲戒処分を受けましたのは、二十六年度は何人ですか。
  24. 靱勉

    靱説明員 監督者責任としましては、減給が本名、戒告が二十九名、訓告が七十七名、計百十六名ということになつております。
  25. 石川金次郎

    石川委員 監督上の責任で懲戒せられました原因はいろいろあるだろうと思うのですが、まずお聞きしたいことは、どういう法律上の根拠のもとで監督者責任ありとせられたのか、お聞きしたい。
  26. 靱勉

    靱説明員 監督者責任は、結局その事務につきましてその事故を起した人を監督している、たとえば公金を浮貸ししたというような場合におきまして、その監督者が当然それを調査すべきである、そういうふうな点において疎漏があつたということで、監督上の責任を求めております。さらに全般的としましては、直属の部下に対する事故につきまして、一般的な監督として処分している場合もございます。
  27. 石川金次郎

    石川委員 監督責任というのは、非違事件をやつたその人を直接監督する立場にある人のみ懲戒処分を受ける、こういうことになるのですか。
  28. 靱勉

    靱説明員 いろいろの事故のケースによりますが、その事故の原因から見まして、どのところまで監督者責任を負わすべきかという場合につきまして、必ずしも直属ばかりではなくて、さらにその上に及ぶ場合もございます。
  29. 石川金次郎

    石川委員 今までの事件におきまして、直属の監督者の上にさらに波及するという事件は見当らなかつたのですか。たとえば課長がやつたら部長責任を負う、部長がやつたことについては局長が責任を負う。ただそれだけにとどまるべきものか、課長がやつたことであつても、局長さらに電通省の幹部にも及ばなければならぬというようなことはお考えになりませんか、そういう事件はなかつたのですか。
  30. 靱勉

    靱説明員 直属の監督者以外に責任を及ぼした事例はございます。
  31. 石川金次郎

    石川委員 そのことはまたあとで責任の点についてお伺いしますときに讓ることにいたしまして、損害が起つた場合に、この報告によりますと、二十五年度には部内で起つた損害が二千四百万円、二十六年はさらに多くなりまして、四千九百万円、五千万円になつておりますが、この損害を補填するという方法が講ぜられませんでしたか。たとえば損害賠償に行くとか、損害賠償に行つた結果がどうなつたかということ、それからさらにここにつけ加えてお伺いしておきますが、青森湾に起りました例の海底電信を切られたという事件につきまして、これは二十六年度非違事件に入つておりますが、そういう事件が入つておりますと、当然損害賠償の請求がなされておつたはずでありますし、また浮貸し事件のごときも、損害賠償が提起せられておるやに聞き及んでおります。起つた損害の何割ぐらいが補填できたかということです。結局損害を補填するということが、あなた方の任務であるかもしれません。その点をお聞きしておきたいと思います。
  32. 靱勉

    靱説明員 損害賠償を要求すべきものには、すべて損害賠償を請求いたしております。たとえば電報料金をとつたというような場合には、大体本人からそれをもどすというような措置をとつております。先ほど御質問の青森湾の問題は、二十六年度の中に入つております。それから丸ノ内管理所の浮貸し事件の問題も、損害賠償を請求しまして、一応勝訴となつておりますが、今度は先方からさらにそれが控訴されておりますので、まだ解決がついておりませんが、損害賠償は、請求すべきものは請求するという形になつております。
  33. 石川金次郎

    石川委員 二十四年から始まつたのでありますが、二十三年もあつたと思います。それが二十三年はどれくらい損害があつて、どれくらい補填せられたか、二十四年度はどうか、二十五年度はどうか、二十六年度はまだ進行中であるから、これはまだ手続中である、こういうようになるだろうと思いますが、どのくらい入つて来ましたか、お聞きしたい。
  34. 靱勉

    靱説明員 入りましたものは大体まとめまして、実は経理局で全部集計いたしまして、検査院等にも報告いたしておるのでございます。今数字がございませんので、はなはだ恐縮でございますが、また後ほど御説明いたしたいと思います。
  35. 石川金次郎

    石川委員 大臣が来られましたから、ひとつ汚職事件についてだれがどのような責任を負うべきかということについて、大臣に御見解をお伺いいたしたいのであります。電通省の不祥事件につきまして、大臣は深く責任を感ずるとおつしやいました。深く責任を感ずるから、このような事件が喜び発生しないように努力する決心だと、御決意のほどを御表明になられました。一体部内に起つた今回のような汚職事件が明らかになりました場合に、大臣責任があるのかないのか、ありとすればどのような責任があるのかということが、明らかにされなければならないと思います。大臣はしばしば、私はこの事業を信任されて預かつていると申しておるのでありますが、信任してこの事業を委託した国民の側からは、このような大きな汚職事件が起つたのでございますから、その原因はどこにあるか、責任はだれがどう負うのか、ただ単に監督責任は上役にありとして罰しただけで済むのかどうかということをお聞きしなければならないし、大臣といたしましてもみずから進んで、このような事件が起きました場合には、大臣としてこのような責任を負うのは当然だということをまた明らかにしてやりますことが、今の政治の形態からいつて当然かと思われますので、この点をお聞きしたいと思うのであります。  それから国務大臣責任というものは、国家公務員法に規定してある公務員としての義務範囲の責任において負うということが、準用されるのかという点であります。国務大臣であるという点において特別な責任というものは、事業経営の上においてあり得るのかどうか、公務員以外に大臣としての特別の責任があるのかどうか。もし国務大臣責任を負うと言明された場合に、具体的には責任を負つたという形はどういうかつこうで現われているのか。はなはだ遺憾であります、これから善処しますということで終るのかどうか。国務大臣の御見解を明らかにしていただきたいと思います。
  36. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 こういう汚職事件責任はどこに帰するかというお尋ねでありますが、汚職事件と申しましても、性格がいろいろあると思います。従いまして個人で責任をとりまして、監督者責任に及ばないものもあるだろうと思います。またものによりましては、監督者としての責任も追究しなければならないということもあろうかと思います。今日問題になつております電通省汚職事件につきましては、私どもがまことに遺憾に思いますことは、その中の全部と申すわけではありませんが、組織上からかような間違いも起りやすいという意味において、そういう特殊な犯罪が醸成されるすきがあつたのではないか、かようにも考えられる。こういう不安な点があつては、実は相ならないと思うのであります。たとえて申しますれば、過日もこの席でいろいろ御意見が出たのでありますが、縦割の制度がいいのか悪いのかということは、かえつて間違いを起しやすいのではないか。確かにそういう批判もあつたのです。そういたしますれば、この点についてはやはり制度を直して行くのが当然であり、間違いの起らないような制度をこしらえてやることが必要だろうと思います。あるいは代金の支拂い等におきましても、いろいろくふうの余地があるだろうと思うのであります。こういう意味におきまして直接の責任と申すわけではありませんが、よく表現されておりますいわゆる政治的責任だとか、あるいは道義的な責任だとかいうようなものが残るのだと思うのであります。ことに大臣としての責任一体どうだと言われますれば、私が大臣として部下にいろいろ仕事をさしておる、そういうときのいろいろな間違いでありますならば、私自身としてもよほど関係が深いのでありますけれども、実は今回起つておる訴追をされております非違事件は、事柄が二、三年前の事柄でありますし、当時の状況等については、これを制度上の欠陥なりあるいは大臣の処置が不都合であつたから、この種の犯罪が起きたと言えるものでもないように思うのであります。ただ私は、過去の問題を取上げまして、ここでその責任の所在を明らかにし、あるいはその責任を追究してみるということも一方法かと思うのでありますが、むしろ問題は、現在並びに将来の職務遂行の問題ではないか、かように考えてみますると、過去の事柄にしろ、私の在任中にこの種の問題が起り、電通省の現在の職員が非常に肩身の狭い思いをする、社会的な指揮を受ける、こういう状態につきましては、私どもまことに遺憾この上なく思つております。また電通省の本来の業務から申しましても、一日も早く国民の信頼する、信用を得た役所にどうしてもいたさなければならないのであります。この意味におきましての職務遂行においての私の持つところの責任は、まことに重大と言わざるを得ない、かように考えておる次第であります。次の国務大臣としての責任等のお話も、ただいま申し上げた中に全部を含ましておるつもりでありますので、御了承いただきたいと思います。
  37. 石川金次郎

    石川委員 今御報告になつております非違事件汚職事件は、大臣の御就任以前の事件でありまして、これにつきまして大臣責任を追究いたしますことは、私の心からはできません。これははつきり申し上げます。しかしお考え願つておきたい点があるのであります。吉田内閣が成立いたしましたときに、まず第一番に掲げられたことは、政治の道義化、道徳化でありました。大臣の御就任前のことでありますから、大臣責任を追究して行くことは、政治的な常識からも考えなければなりませんが、吉田内閣が成立いたしまして、道義が頽廃しておるとか、犯罪が世の中に起つて来る、これらは明らかな事実でありましたがゆえにこそ、吉田内閣が政治道義、公務員の道義を主張し、高調してやまなかつたと思うのであります。大臣個人に電通大臣としての責任を追究するのはどうかと思いますけれども、内閣の国務大臣として、内閣がこの問題をいかにお考えになつておるかをお聞きしたいのであります。もとより小さいことで、あるいは一国の内閣がやめるということは——大事の前には小事を犠牲にしなければならぬことは知つておりますが、吉田内閣の大きな使命が道義の高揚にありましたならば、閣議においてこの問題が御憂慮の結果、御心配の結果、問題にならなかつたとは思いません。きつと御心配になつて問題になつたろうと思うのであります。そのときに内閣がこの事件について、どういうようなお考えを持つておつたか。内閣がこの事件を見て、内閣の責任としてはどういう処置をとられようとしたのであるかを、国務大臣としての大臣にお伺いしたいのであります。
  38. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 御指摘のごとく吉田内閣は組閣以来、官界の粛正と申しますか、吏道の刷新を叫んで参つております。また着々とその線に沿つて施策を講じておるわけであります。この点は私がとやかく申し上げるまでもなく、よく御承知だと思います。しかしながらいろいろ政治をとりますそのときの環境自身におきまして、十分その目的を達する場合と、また相当の時間を必要とする場合と、これはいろいろあることだろうと思うのであります。内閣の責任といたしましても、先ほどの大臣の場合も同様ではないかと思うのでありますが、内閣自身の施策よろしきを得なくて、その事柄が直接の原因となつて特別な犯罪を引起す、こういうことがあれば内閣の責任たるや非常に明白であつて、政治的に追究されることも当然だろうと思います。しかしながらこれが非常な間接的な問題でありました場合におきましては、その点についての政治的責任を追究するといたしましても、その程度はおのずから限度があるのではないかと私は考えます。ことに私は今の事態が、政党政治になつたとは申しますが、内閣がかわるたびにその責任の所在をはつきりする。もちろん主宰者はちやんとあるのでありますから、その意味においての責任の所在ははつきりいたしますが、行政の部面におきましては、政治の担当者がかわるということとは別に、やはり永続性を持つておるものではないかと思うのであります。社会党の内閣ができ、その次に民主党の内閣ができ、あるいは吉田内閣ができるといたしましても、行政自体がその内閣の交代によりまして全然新しいものになるわけのものではない。この点はやはり事業としての継続性が出て来る。それらの事業体の上に乗つての政治上の責任というものに相なるのではないかと思いますので、その点は、もしお尋ねの点が吉田内閣の組閣後に起きた事件であるがゆえに、吉田内閣において全責任をとるべきだと言われることには、なおやや論理的な飛躍がありはしないか。私も長いこと官界にいた者であります。内閣がかわりまして政策がかわる場合ももちろんあります。しかしながらその事業官庁としての使命の遂行においては、何らかわりがない。たとえば電通省の場合におきまして、その公益性を発揮するということにおいては、いずれの内閣が出て参りましてもそれはかわりはありません。また工事の請負をするとか、工事を遂行ずるとか、あるいは物品を購入するとかいう場合の会計制度自身にいたしましても、これはいずれの内閣が出ましてもかわるものではない。社会党内閣だろうが、自由党内閣だろうが、同様な方法で実は行われるものなのであります。それらのことを考えてみますと、いわゆる政党の政治的責任というものは、また別な見方が実はあるのであります。これは具体的に政党自身、内閣自身が何か指示をいたします。その指示自身が非常な間違いであるとか、たとえば汚職自身を慫慂するようなことはないでありましようが、そういうようなことがあれば、これはもうはつきりする。しかしながら何らかの非常なぬかりのある政治をいたすといたしますれば、そこに政治上の責任を追究されるものではないか、それを実は申し上げたいのであります。私は吉田内閣自身が、汚職を防ぎ、粛正をはかるという非常な意気込みを持つておる、これだけは御指摘の通りである、しかしそれがまだ十分徹底しておらないと申しますか、十分の成果を上げておらないということに相なるのではないかと思うのであります。
  39. 石川金次郎

    石川委員 大臣のお考えはわかつて参りましたが、こういうふうにお聞きしていいでしようか。吉田内閣が電通省に起つた非違汚職事件として報告した事件は、吉田内閣それ自身の政策から直接わき出たのではなくして、当時の社会的な條件から、必然的とでもいいますか、やむを得ずして生れ出た悪なのであるから、ここに政治的責任としての辞職等をなすべしという見解ではない。これをなくすることに努めるということにこそ、政治的責任というものはあるのだ、そのような重大な辞職等の責任を負うべき事件ではないという御見解とでも承つてさしつかえないか。これは私自身の言葉でありまして、表現がまずいかもしれませんが、悪いところはお直しの上で簡潔に……。
  40. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 今のお尋ねの点は、非常に表現のむずかしい問題ではないかと思います。と申しますのは、皆様と同様に私ども政治を担当して参るわけであります。政治上の責任と申せば、これは非常に広汎なもので、限定されたものではないだろうと思います。だからその意味において政治上の責任云々という問題になれば、責任なしとはなかなか言いにくい問題だろうと思いますが、それを追究いたしまして、しからばいかなる責任をとるかという問題になりますれば、その直接のインフルエンスの及ぶ範囲から考えて、その程度はそれぞれかわつて来るものじやないかと思うのでありますので、たとえば吉田内閣がその責任があるのだと申せば、吉田内閣において責任をもつて処理しろという議論にもなろうかと思います。私はそこまで行く筋のものではないと思う、それかと申して吉田内閣が成立し、そのもとで仕事をしております限り、どんな小さな事柄についても責任がある、こういうような議論も成り立たないことはないと思います。しかしながら私は、これを政治上の責任ありとして追究するにしては、その関係はあまりにも間接のものではないかという感じがいたすのであります。もつと詳しく申しますれば、この事件が吉田内閣が政局を担当しておる間に起きた事件であるということははつきり言えることであります。しからば吉田内閣自身の政治そのものから、この種の犯罪が当然起るのかと申しますると、私どもはさようには考えられない。むしろ吉田内閣といたしましては政局を担当するに際して、各種の犯罪なりあるいは官紀の弛緩なりを痛感しておる。だからこそ官紀の粛正なり、ここにりつぱな吏道を樹立するということを標傍して、政治に乗り出しているという状態のものでありまして、吏道の刷新なり官紀を粛正する、ここに新しい信頼の置ける役所をつくるということは、多数の従業員を擁し、そうして広汎にわたる機構といたしまして、またしかも過去の継続的な事業だということを考えて参りますると、そう簡庫に短期間に目的を達し得るものではない、かように申すわけであります。私ども政治家といたしましては、責任を免がれる、あるいはこれを軽減するという考えでなしに、むしろ進んでその責任を痛感して処理に当つて行く。しかしながらこの段階におきまして私どもの必要なことは、ここに信頼の置ける役所をつくり、またりつぱな吏道を樹立する、これこそが私ども責任をもつてなすべきことではないか、かように考えるのでございます。     〔高塩委員長代理退席、委員長着席〕
  41. 石川金次郎

    石川委員 まず大臣責任に対するお考えは承りました。なおわれわれは政治をなすものとしての論評は、また別にすることにいたしまして、次にお聞きして器きたいことは、このような汚職事件が発生いたしました原因について、各委員からの御質問があつたのでありますが、大臣次官もこのような事件が起きたまず最大の原因として取上げられましたのは、道義心の頽廃ということ、モラルの高揚こそがこの事件を少くする唯一ではなくても最大のものだということをおつしやつておつたのであります。ところで戦後の道義が頽廃しておりましたことは、これはだれからも見えたのであります。それなればこそ吉田内閣が組閣にあたりまして、嵐の声明をされたのであります。私のお聞きしたいのは、あなた方がこの犯罪は道義の頽廃から起つたのだ、こういうことでありますが、道義頽廃の最中にこの事業運営されたのでありますから、道義頽廃の最中に事業運営されるについて、道義が頽廃しておるという事実を認めて、どのような方法を講じられたか。今日結果から見て道義が悪かつたからこんなことが起きたというのでは済まない。道義の悪いときにこの事業運営するのだから、かくのごとき方法をとつたのだ、政治だからこういうことがわかつておらなければならないと思う。政治はただ単に道義が悪かつたからと言つたのではしかたがありません。道義が地に落ちておるからこういう政策をとつたのだ、それだのになおかつこういう結果が起きたのだということでなければ政治でない。どのような方法をおとりになつたか。これはやつたことは悪いけれども、やつた人も気の毒です。大臣は組織が悪かつたかもしれぬとおつしやつたが、どのような方法をおとりになつたかをお聞きしたい。
  42. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 道義の頽廃だとか、あるいは思想の混乱だとか、今日そこに責任を全部転嫁しておるかの感がいたすのでありますか、これは今日の批判であります。今日こういうことも批判としてできるのではないかということでありまするし、また今までも御説明申したことだと思いますが、さような社会情勢のもとにあつたと今日は判断をいたしておりますから、それが基本的な原因ではないかと申しまするが、当時の状況自身といたしますれば、今起きておるような犯罪は別といたしまして、最も力を注ぎましたものは電話事業の復旧整備と申しますか、戦争並びに市街地壊滅によるあの喪失されたものの復旧に、格段の力をいたしておつたのではないかと思うのであります。あの混乱の時期のことを考えてみますると、ただいま申し上げるような批判は、今日からは出まするが、おそらくそこまでなかなか頭が及びつかなかつた、こういう方がむしろ当時の状況としてはあるいは当つておるかもわからないと思うのであります。と申しますのは、今日私どもは、この制度は縦割になつておる、ライン・システムになつておる、これはひとつくふうして参らなければならないと申しますが、当時このライン・システムを特に主張いたしましたことは、工事の進行を促進するという観点から見て、責任箇所を一箇所にして、それが全責任を持つて処理する方が、いかに事務が処理されるかわからないのだ、こういうことに非常な重点が置かれておつたと思うのであります。私は当時この組織そのものが、社会状況と結びつけて、双方合せて考えられておりましたならば、おそらく今日のような問題は起さなくても済んだだろうと思います。しかしながら当時の情勢といたしましては、整備を非常に急いでおつた、そうしてそういう抜け穴があると申しますか、間違いが比較的起りやすくても、なおかつ工事を進めるという点に重点を置いた考え方で進めたものではないか、また実は当時別な方面からも指示を受けて、機構改革をやつたものだと思います。しかも官界自身の問題、いわゆる道義の頽廃云々というような問題だとか、思想の混乱という問題は、実は官界のみの問題ではないのであります。これは社会全般の問題であります。だから官吏といたしまして部内において仕事を遂行して行くが、同時に部外との折衝をいつもやつておりますものといたしますれば、いろいろそこに誘惑も生じて参るでありましようし、また困難な情勢から間違つた道を歩む者もできて来たのではないか、この点はいまさら弁解がましいことを申すわけではありません。もちろん責任責任としてはつきりし、間違つたものを追究されるのが当然だと思いますが、いささかなりともその点についての御同情をいただきたいという感は実はいたしておるのでございます。
  43. 石川金次郎

    石川委員 ところがこの事件を見て参りますと、汚職事件の原因は、道義の頽廃という一点にのみ求め得ないものがあります。大臣もその点において疑義を探究しなければならぬということをおつしやつたのは当然でありますが、大臣次官もとにかく道義の頽廃ということに責任を求めておりますから、個々の事件についてひとつお伺いしてみたいと思います。  それは下谷と、浅草との関係で起りました収賄事件というのがあります。関係者は十名でありまして、年が非常に若いのであります。ところがこの若い者を傷つけるということは非常に考えなければならないのであります。この若い者に道義の頽廃を言うことは少し無理過ぎると思う。戦争で大臣も御承知のような環境を通つて来て、一向教育もされないで来てしまつた。この若い人たちは全部戦後に就職した人でありますが、電通省はどういう方向でこの若い人たちを使つておつたか、ただ給料を拂つて與えた仕事を遂行すればそれでよい、その当時は自分の従業員を訓育して行くこと以外に、電話をこしらえなければならなかつたとか、そつちの方が忙しかつたので何もできなかつたということならばそれでよろしい。しかしこれらの若い人たち仕事をやらせるにあたつて、どのようにしておつたかという点であります。ここに起りました収賄、電話施設にとつた収賄、それを仲介人にくれたというのですが、この仲介人とは一体何ですか。そういうようなふらちな者があるならば、さつき大臣のおつしやつた制度そのものが悪いのですから、仲介人というものをなくするようにするのが、監督の任務じやないかと思います。その青年たちの執務に対してどのような注意を拂つておつたか、それを聞きたい。道義の悪い最中に訓練の足りない若い人を使つたのであるから、一体どういう方法でお使いになつたか。仲介人というようなものを認めておいて、疑惑を持たれやすいような状況下に置いて、道義の責任だ、お前が悪いのだ、横領した額は持つて来い、それで終るのであつては、人を使う者としての情がございません。人はついて参りません。その点はどうなすつたか、お伺いいたします。
  44. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 私は先ほど道義の頽廃とか思想の混乱ということをお話申し上げましたので、これに全部責任を嫁しておるものでないということはおわかりと思います。つまり実は結果的な議論をしておるのだということを申し上げておるわけであります。この種の不始末をしでかしましたことを、電通大臣として申し上げることは非常に残念でありますが、今日私どもはこの問題を二、三年前の状況気持で見ることは実はできないと思います。今日はもうよほど社会情勢もかわつて来ておりまして、秩序も非常に維持されておるわけであります。すでに頽廃したといわれたところの道徳もよほどかわつてつております。今日の状況のもとにおいて、過去の時代にお前たち何をしたのだ、どういうことをしておつたか、これをひとつ話をしろというのは、どうも少し当りにくいのじやないか。今私どもは非常に冷静な気持で、過去のことにつきましてもいろいろの批判を下しております。これは非常に正鵠を射る批判もなし得ると思います。けれどもそのときの気持、そのときの社会環境、そのときの生活状況のもとにおいて、それらの問題と取組むということにはなかなかなりにくいのじやないか。従いましてただいま言われたような点は、ややかたきを責められる感が実はいたすのであります。私自身これは非常に申し上げにくい点でありますが、実は私も電通大臣をいたしまして、犯罪問題がいろいろ起きている、その中には別に私腹を肥やさなかつたという問題もあるわけであります。しかしながら厳格に会計法上から申せば、けしからぬ処置だといつて糾弾されるものもあると思います。たとえば一つの工事を実施する、あるいはその着工式であるとか、あるいは竣工式の費用は、予算の面から見ますとどこにもない。しかしながら着工式や竣工式をあげるその費用は、当然計上されてしかるべきだろうと思います。今日はそういうものを正式に計上しておるのでありますが、当時はそういうものがなかつたので、何かくふうしてやつたといたしますと、そこに相当同情の余地があると思います。しかしこれを会計規則上から見るならば、明らかに不都合な事柄に違いない。今日はそういうものはもうすでに見つけてありますので、間違いをすることもないと思います。しかしながら法規を間違えて運用した、法規通りでないということについては、明らかにその非難が当るのでありますが、今日の状況のもとからそういう事態は責められない、だからあの混乱時代にやりました事柄を、整理された今日から過去を見て批判して行く、批判は大事に違いありませんが、その責任を追究して行くときには、相当の無理がある。これは私どもとして実は非常に申し上げにくい点でありますが、ただいま石川委員からのお尋ねもありますので、実は私が感じております点を率直に申し上げて、御批判をいただきたいと思うのであります。そういうような問題もありますし、当時の状況といたしましては、今日からならばああもしたらいいだろう、こうもしたらいいだろう、また社会の混乱であるとか、道徳が頽廃しているとすれば、監督者としては一層もつと厳重に力を入れてやるべきだ、こういうことが責められると思いますが、当時の状況ではなかなかそこまでは行きかねるのではないか、これはむしろ御同情を賜わりたい点であります。
  45. 石川金次郎

    石川委員 よくわかりますが、私の聞いておりますのは、道義が頽廃した、悪い社会環境にあつた、このとき政治をとるのには非常に苦しい、困難だ、しかしこのとき何か施策があられたのか、なかつたらなかつたでもよいと言うのです。しかたないかもしれぬ、その批判は私たちがあとで考慮する。私の御質問申し上げているのは、そういう困難なときに非常に御苦心なさつて、どのような方法をおとりになつておつたかというのであります。その場合こういうわけでそこまで手が及ばなかつたというならば、それをお聞きしたい。私はその責任を追究するのではなく、お聞きしておるのです。責任があるかどうかはあとで私たちが判断するのであります。その点は御理解願いたい。
  46. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 事務当局から説明さすのがいいだろうと思いますが、おそらく吉田内閣誕生前の芦田内閣なり、あるいは社会党内閣がやつていたときと、別にかわりはないだろうと思います。
  47. 石川金次郎

    石川委員 そうおつしやるならば、前の内閣の責任だということになる。それならば社会党内閣だから、やはりお前たちの責任だということになる、それでは味もそつけもありません。私は心配だからお聞きしているのです。
  48. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 ただいまの件は事務当局といたしましては、おそらく別にかわりないと申し上げる以外にはないだろうと思います。その点を私特に事務当局説明を求めないで申し上げた次第でございます。
  49. 山下知二郎

    ○山下(知)政府委員 当時もそうでございますが、現在でもこの電話架設につきましては、各現場の者に厳重な注意をし、またしよつちゆう警告を発しておるのであります。金を出せば電話はつくといつたような世間の不用意な声というものが、われわれの信用を非常に傷つけている面が多いのであります。これに私ども関係者は非常に心いたしまして、あらゆる面から、私どもが現場に行きましたときにはもちろんのこと、また本省で会議をやりましたときでも、電気通信局で会議をやりましたときでも、その関係の長を集めましたときには、必ず電話の架設についての明朗性、確実性ということは強調いたしておるのであります。これは電気通信省発足以来堅持して参つた政策でございます。不幸にしてただいま御指摘のように、下谷方面にこういう誤りをいたした者がございます。私どもかねて厳重な注意をしておつたにもかかわらず、そういう線を乱した者は仮借なく処分しなければならぬという観点から、これは処分をいたしたわけでございますし、また仲介しました者に渡したということは、何でも部内の者にほかの電話のほしい人を紹介させて、そういう者と受取つた金をわけたらしいのでございます。こういうことは、もちろんいかなる場合においても許さるべきことではございません。そういう者は、みなそれぞれのはつきりした処分をいたしております。過去においても、現在においても、将来においても、この点は私どもの信用にかけて必ず堅持して行く考えでおります。
  50. 石川金次郎

    石川委員 ブローカーを若い人に接触させるような制度を、これは責任を追究するというようなことでなく、将来なくするようにしたらいかがですか。
  51. 山下知二郎

    ○山下(知)政府委員 この報告では、仲間の者で、つまり部内の者でというのでありますが、もしこれが外部の電話のブローカーなんかでありましたならば、それはもうなおさらのことでございます。私ども電話のブローカーというような人の仕事の批判は、遠慮いたしたいのでございますけれども、そういう人の介在ということは嚴に戒めておるのであります。
  52. 石川金次郎

    石川委員 大臣にひとつお聞きを願いたいのであります。毎日新聞の余録というところに、「公金をむだづかいする慣習は、汚職することにつながる。昨年は汚職の黄金時代を現出した。汚職役人を取調べた係官の話では、下級の役人は申し合せたように、上役はもつとうまいしるを吸つていると言うし、上役は上役で代議士は陳情団や利権屋を連れて、大きな顔で役所に出入りして、ボロいことをしていると言うし、検挙されたのは運が悪かつたことにして、自分の非行には無感覚だそうな。」ということが書かれております。私はこの記事を見たときに非常にさびしかつたのであります。こう新聞に書かれるような政治を国民が信じますか。私は今でも盛岡に住んでおりますけれども、難儀して雪の中で炭を焼き、まきを切つております。その人たちが、代議士は陳情団を連れて官庁に行つてうまいしるを吸つておる、こういう政治であると言われてがまんできましようか。だからこそ私は、何も大臣責任を追究してどうというよりも、できるだけ政治をきれいにしたい、美しくしたいと思い、未熟ながら実は御質問申し上げておるのです。私の心持をおくみとりくださつて、あまり巧妙な御答弁をなさらないでいただきたいということをお願しておきます。  ところで大臣次官も、この予防については根本をモラルの高揚に求めたのであります。道徳高揚をまず第一番の根本だと言つておりますが、道義なき人間の社会はさびしいものでありましよう。私たちもまた道義を高めたいと思うものであります。そのために苦労しております。代議士は陳情団を連れて、そうしてうまいしるを吸つておると新聞に書かれましたけれども、残念ながら私はまだ代議士をやめないでおります。それは何とか日本の政治をきれいにしたいと思うからです。これがやはり根本だと私は思つておるのであります。ところで道義の高揚、道義の高揚とどんなに大臣がお叫びになつても、道義が高揚して行くでしようか。なるほど死んでも盗泉の水を飲まずということもございますけれども、やはり衣食住足つて道義というものは高揚されるとも昔の人は教えておりますが、この衣食住足つてということに力を注いで、電通関係従業員の生活の向上をもつとはかられる用意があるかどうか、ただ単に説教のみに終るか、これを大臣はどうお考えになるか。あなたの省の従業員は、こんな状態ではわれわれの生活が危うくて、とうてい電通事業に精励できないと言つている。人間は三万六千人ふやしてくれ、事業をやるには四百億借り入れてくれ、給與はこれであつてはいかぬ、これではわれわれの健康は維持できない、これでは成績は上らないということを、あなたと同一体として活動しなければならない従業員が言つておりますから、道義の高揚に衣食住はこういう関係を持つておるが、これに対して大臣はどういうお考えを持つておりますか。
  53. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 道義の高揚につきまして、いろいろお話がございました。道義の高揚という問題については、全部結びつけてよいわけでありますけれども、ただいまお話の中にありましたような給與の問題も一つではないか、あるいは生活の実態も一つの問題ではないかと言われることは、よくわかるのであります。私どもも道義の高揚を高い雲の上から叫ぶことはいけない、生活の実態に即しての道義の高揚、あるいはまた社会秩序の確立でなければならない、かように考えるわけであります。敗戦後の状況において、特にモラルの低下があつたとか、あるいは社会秩序の混乱があつたとか申しますゆえんは、あの当時の国民生活の環境から見ますれば、おそらく社会一般において秩序が破壊され、道義が頽廃するということは、ある程度客観的な事態としてこれを認めることができるだろうと思います。そういうように考えますと、従業員の生活環境について力を注いで行つて、これが向上をはかつて行くということは、もちろん私どもの大きな仕事だと思いますし、また勤務の適正化をはかつて行くことも当然であります。しかし給與の問題であるとか、勤務時間の問題だとかいう点につきましては、これまたいろいろ制約を受けるものもあるわけであります。私どもといたしましては、もつと従業員の生活を向上させて、ゆとりができるように、あるいは労働過重にならないように、くふうすべきは当然くふうして参らなければならないということはよくわかるわけであります。今までやつて来た事柄をもつて、これで満足の状態か、こういうようなお尋ねだといたしますれば、私どもの目標、理想といたしましては、もつと高いところに置くのが当然でありますが、現在の段階におきましては、現状が実はせいぜい精一ぱいのところではないか、この点にわれわれの気持と現状との間に相当開きがある、これまた御了承をいただきたいと思うのであります。従つてどもの今後努めます方向としては、従業員の生活の向上なり、生活の安定なり、これが事業をほんとうにりつぱに成長さして行くものである。ことに現業官庁、企業官庁としては、何としても従業員そのものが宝でございます。過日来電通省汚職事件が出て参りまして、いろいろの批判を受けております。四百名で多いということも言われますが、全従業員から見れば、そのパーセンテージは低いものであつて、このためにほんとうに善良な、仕事に打込んでおる人たちに肩身の狭い思いをさせないように、ぜひとも扱つて行きたいと思います。もちろん制度から出て来る欠陥、あるいは個人の責任において生じた汚職は責めなければなりません。また改めるべきは改めて行かなければならない。信賞必罰はもちろんいたさなければならないのであります。信賞必罰こそ人事関係の基本的な原則でありますから、信賞必罰はいたしますが、年々歳々着々とその信用を回復しつつある電通省従業員の意欲なり気持をそこなわないようにはぜひともして参りたい。これが今回の問題を解決する際の私どもの基本的な念願なのであります。
  54. 石川金次郎

    石川委員 先ほど次官にもお尋ねしたのでありますが、給與の問題が今年また問題になることと思うのであります。不幸にして政府と話合いができないような事態になつた、また人事院給與について勧告した場合、もしくは企業がかわつて公共企業体なつた場合における仲裁委員会などの裁定、そういうものに対しては、大臣は必ずこれを実現するという御声明をなさつてくださることをお願いしたいのですが、いかがでしよう。
  55. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 ただいま申し上げましたように、給與の問題は一つの筋からのみは決定いたしかねます。しかし先ほど来申しましたように、従業員の生活がより向上することについては、この上ども努力をするつもりでおります。ただいまお話になりましたベース・アツプの要求は、すでに組合から私自身ももらつておるわけであります。現在の状況のもとにおいて、これが実現可能なりやいなや、ただいま検討中でありますので、必ずそれが実現することを声明しろと申されますが、この責任ある席上において、そういうことを申し上げる程度になつておりません。けれどもどもが意を用いておることは、従業員の生活の向上にあるということを先ほどから申しておりますので、これで御了承いただきたいと思います。
  56. 石川金次郎

    石川委員 汚職事件関係を離れてちよつとお聞きしたい。平和條約が発効した場合、電通省所管の財産にどういう影響がありますか。
  57. 山下知二郎

    ○山下(知)政府委員 安全保障の行政協定によつて、電通事業についても何らかのとりきめができるものと予想しておりますが、現在ではまだその運びに至つておりません。従つて財産の帰属がいかようになるかということは、私ども大体そういう線で、われわれの帰属になるものと予想しておりますけれども、軍の特別命令によつて、軍の所有として建設を命ぜられたものもございますので、その処理がいかように相なりますかは、協定によつてはつきりすることだと思います。
  58. 石川金次郎

    石川委員 私、行政協定のことはあとで伺いますが、平和條約が発効した場合、財産がどう失われて行くのか、伺いたいと思います。
  59. 靱勉

    靱説明員 平和條約にはつきり載つております関係におきましては、例の海底線の問題が、條約発効国との間に大体折半ということになりますので、それだけは当然減じて来るわけであります。これらにつきましても、細目の問題はまだ私ども承知いたしておりません。その他の電気通信省所属の財産については、ほとんど影響ないものと考えております。
  60. 石川金次郎

    石川委員 失われて行く海底電線はどこどこですか。
  61. 山下知二郎

    ○山下(知)政府委員 臺岐、対馬を通る朝鮮海峡の海底、鎌倉から小笠原を通つてグアムに行く海底、それから琉球を通つて台湾の方に行つておる海底、そのほかにまだこまかい島々のものもございますが、おもなものは大体そういつたところだと思います。
  62. 石川金次郎

    石川委員 さつき御答弁になつ行政協定によるものは、まだおわかりにならないのでありますか。おわかりにならないで済みますか。電気通信事業がどういう負担を受けるかということは行政協定にまかしておいて、あなた方は何ら事前に相談にあずからなくて、きめたままそれで実行なさるお考えなのですか。
  63. 山下知二郎

    ○山下(知)政府委員 何もまかしつぱなしにする考えではございませんで、私どもの伺つておるところでは、本協定ができて、その後に分科的にいろいろな協議があるのだということを伺つておりますので、現在その用意をいたしておるわけでございます。
  64. 石川金次郎

    石川委員 用意をなすつている、その用意をお聞きしたいのです。
  65. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 きよう行政協定の説明をいろいろ聞いたわけであります。これはまだ中間的な報告の範囲でありますが、私自身が記憶しておる範囲で申しますれば、さらに予備委員会と申しますか、今申し上げますような細目の施設等の範囲を決定する委員会をつくるわけであります。その方において準備をいたすわけであります。行政協定が調印という段階になりますれば、その予備委員会を設けまして、ただいま御指摘のような点を詳細に掘り下げて参ることに相なつておるのでございます。
  66. 石川金次郎

    石川委員 細目の協定があとで結ばれるといたしましても、電気通信省に関して、通信の設備は駐留軍が握るのか、どの程度に利用するのかという大綱は、すでにお示しがあつたと思うのでありますが、一体駐留軍からどれだけ支配を受けるのかという点をひとつお答え願いたいのであります。これは全然影響を受けないのか、支配を受けないのか、受けるとすればどれだけ受けて来るのか、どういう線が受けて来るのかという点はお話があつたと思うのですが、お答えを願いたい。
  67. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 今まで他の委員会等で、岡崎国務大臣からお話申し上げておると思いますが、設備並びにその施設の内容の個々のものにつきましては、まだ話が進んでおらないのであります。その範囲をきめる委員会として、予備委員会ができ上るわけであります。
  68. 石川金次郎

    石川委員 これもちよつと関連しておるのですが、全体として駐留軍が通信機関を利用するということはきまつておるのですが、それでどういう範囲を利用するということはきまらないのですか。
  69. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 これは私の方の専門でないのですが、ただいま申し上げますように、設備——場所によりまして、施設及び設備という言葉を使つておつたと思いますが、そういうものを使う基本的な協定はあるわけであります。しからばそれに該当するものは何何なりやということは、これから相談してきめて参るということに相なつておるのであります。この点が今後残されておるように私は理解しております。
  70. 石川金次郎

    石川委員 その設備を利用されましても、国内における電通事業には何らの影響はない状態でありますか。それからまた日本国としての国外との通信に何らさしつかえないか、利用されることによつて、さらに設備を拡張しなければならぬ点があるのか、経費はさらに多くなるのか、もちろん予想でありますが、どういうことになりますか。
  71. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 ただいまの点は重大な点でありますが、たとえば今まで駐屯している場所がかわりますと、新たなる施設を設けて参らなければなりませんが、こういうところにつきましては、すでに予算にも計上されておる安全保障費と申しますか、あの方から出して参ることになるのだと思います。今までのところにおきましては、現在の状況と総体的な変化はないとお考えになつてよいように思います。ただ問題は外国通信の問題につきまして、非常な制限をこうむるかというお尋ねかと思いますが、その点につきましては、すでに検閲の制度も廃止いたしたように、一層従前よりも自由がきくように相なつておるわけであります。この点で困るという問題は、実は私どもはあまり感じておらないのであります。
  72. 石川金次郎

    石川委員 協定の内容には、予想でありますが、たとえば何か非常にいやな一大事が発生した場合に、米軍に通信機関を接収されるようなことは断じてないと明らかにしていただけましようか。
  73. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 そういう問題は全然ないと思います。
  74. 石川金次郎

    石川委員 一応私の質問は終ります。
  75. 椎熊三郎

    椎熊委員 今の駐留軍の関係のことですが、行政協定によつてああいうとりきめができ上ると、駐留軍自体が、無電でも有線でも通信機械を所有することがあるのですか。
  76. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 どうも私そこのところははつきりいたさないのでございますが、おそらく軍自身が持つておりますものは必ずあるだろうと思います。けれどもこれはあまり正確な問題ではないのでありまして、一応私見として申すのであります。ただ先ほど来石川委員のお尋ねは、日本の電気通信省の設備自身についてどういうことになるのかという……。
  77. 椎熊三郎

    椎熊委員 私のは別な質問です。
  78. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 その別な点は、これは向うの軍自身の問題でありますので、私ども内容はつまびらかにしておりません。
  79. 椎熊三郎

    椎熊委員 当然私は無電磯のようなものは、軍自体軍器として持つだろうと思う。そのほかに電話線などをあるいは架設しないとも限らない。そういうことが日本の行政の独立性とどういう関連性があるのか、そういうものまでも認めるのか、国内どこでも有線を引いて行けるのかどうか、それが一つ。もう一つは、現在電話の回線などを、進駐軍が日本のもののうちからある部分専用しているものがあるのであります。それが條約効力発生後にどうなるのか、それは日本のものとして全部一応日本に返されて行政協定ではこれこれにきまるのだ、こういうところは明らかでないのですか。日本の主権上において非常に大きな影響を及ぼす問題だろうと私は思う。
  80. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 まだ最終的決定をいたしておるわけではありませんが、先ほど施設と申しましたか、そういう中にこれからとりきめて参るものではなかろうか、かように考えております。今までのところの話は、原則的な問題がとりきめられておるように見受けますので、これから先に個々の具体的な問題が、先ほど申す予備委員会等において一々調査されるのではないか、かように考えております。
  81. 椎熊三郎

    椎熊委員 私の心配するのはこうなのです。現在占領軍は日本の電話の一部分を専有しておつて、進駐軍の従業員によつてこれが運営されておる。そういう状態が講和條約の効力発生と同時に当然解消されなければならない。そうして占領されておつたこういう機械器具の運営は、ことごとく日本政府の手に一応は移るべきではないだろうか。しかる後において駐留軍が使うところの電話その他の通信というものは、どういう措置で、日本の国権とはどういう関係で存在しているのか。たとえば今までとはかわらないという大体のお話がさつきあつたが、そうすると今占領されておる回線等もそのまま駐留軍が使つて、そうしてそれから料金をとるのか、料金はどうなるのか。要するにその占領状態の実体にかわりがないということになると、対等の状況における講和條約が成立して、自主独立の日本の国家が成立したということにはならない。幾分日本は占領状態がなお継続するという重大問題が起つて来ると私は思うのです。そういう点について、専門の方からでけつこうですから、明確にしておいていただきたい。
  82. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 まだ実は専門でもわからないのであります。先ほどあまりかわらないと申しました事柄は、設備の保有状況が今回の安全保障協定ができることによつて、現在以上に施設その他を徴用されることなどないかという問題については、そういう御心配はないということを実は申し上げておるのであります。従いましてこの基本的な観念である対等の立場においてその話は進んでおるかどうかということは、もうお説の通り対等の立場においてこれはやつておるわけであります。外国の軍隊を駐留さすにつきまして、日本は独自の立場において、やはりある程度の便益を供與するのは当然だと思います。ただ現在の段階におきまして、詳細を発表する状況になつておらないのであります。この点はこの程度で御了承をいただきたいと思います。
  83. 椎熊三郎

    椎熊委員 今日の段階では、大臣はその程度しかお答えができないのかもしれませんが、他日明白になりましてから御報告を願つてもよろしいのです。ということは、占領状態の延長のようなアメリカ軍隊の駐留は、われわれの考えておる安全保障條約というものの精神とは違つておるのだ。従つて今占領軍が使つておる回線のごときは、当然日本政府に返さなければならない。そうして新たに駐留軍に協力するならば、日本の主権の自由意思に基いて、しかも対等の地位において相当見識を持つて何らかの協定がなければならない。漫然とこれでは、これまでと大体違わない、これが協力だというならば、占領政策がこのまま続いて行くということになる。そこに私は非常に不安を持つております。きようはこれ以上は聞きません。これはどうか政府委員の方々に、専門の方々に、そういうことを明確にして、近き将来この問題についてはこういうことになりますと、国民が安心するようにお答えを願いたいと思います。
  84. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 私の表現が不十分で、たいへん誤解を受けたようですが、向うと折衝いたします考え方は、ただいま椎熊委員の御指摘の通りの気持でやるわけでございます。その点は何らかわりはございません。
  85. 長谷川四郎

    ○長谷川委員 関連して私の一点伺いたいのは、予備委員会というものが開かれると、そのときに一切がとりきめになるであろうという御見解でございまして、通信の戦略に対するところの必要ということは、私が説くまでもございません。従つてただいまこの折衝には岡崎さんが当つておるということですが、岡崎さんは通信というものについてはしろうとでございます。従つてこのしろうとを出すという点において、本省として、すなわち日本国民の代表である政府としての希望意見がずれているか、いないか、この点を一点お聞かせ願いたいのであります。
  86. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 その点は詳細に当方の意見は出してあります。
  87. 石川金次郎

    石川委員 その出された意見をお聞きしたい。
  88. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 その意見はただいままだ発表する段階でないのでございます。
  89. 田島ひで

    ○田島(ひ)委員 私が御質問したい点は、大分前から質問をされているようでありますが、私は最初に佐藤新大臣にちよつと苦言を申し上げておきたい。それは本国会が開かれましてから、通信行政についての説明は、最初次官が代読されましたけれども、その後一箇月以上になりましても、まだこれに対する十分な質疑がなされておりません。この前の委員会大臣がおられなくて、流会になつたのです。ところが大臣は本会議へはのこのこと出て来ておられるのであります。私がこう申し上げますのは、本国会であの二條約が通りまして、政府の言い分で言いますれば、本年からおそらく日本は独立するだろうということを言われておる。そういたしますと、ここに示されましたところの予算とかその他いろいろな問題は、この面からはあまりかわらないように思われますけれども、本質的には日本の電通行政については、今までの国会とはかわつているわけです。つまり今後日本が独立して、完全自主権を持つとすれば、その自主権のもとでどのような電通行政が行われるかということが、ここに問題にならなければならないと思います。またそれが十分ここで審議されなければならない。おそらく大臣は大物大臣だということをしきりにいわれておいでになりますから、電通事業についてはあまり腰がおちつかないようであります。すでに予算も上ろうとしておりますのに、一回もそれについての審議がなされておらない。行政協定についても、これは国会審議する必要はないということを言つておられますが、国会の一応知りたい、国民も知らなければならない問題が非常にあります。なぜかといいますと、この汚職の問題につきましても、それからいろいろな問題につきましても、大臣は機構が云々とかなんとか言つておられますけれども、やはり機構の面の不備な点もありましよう。それから従業員の賃金が安いという点から、やむを得ずこういうような汚職事件、不正事件がどんどん行われておるということもありますけれども、その原因の大部分は、私はやはり何といいましても、日本が占領下にあつたからだと思います。今まで私は電通行政につきましていろいろ質問いたしますと、各大臣は、占領下なんだ、向うさんは優先権があるから、やむを得ぬのだというので、電通事業の市内電話あるいは市外電話の回線のごときは、おそらく連合軍と警察で三〇%も使用されておる、向うに使われるのはやむを得ないということを、今まで言われておりました。そういう関係からいろいろなところにしわ寄せが来ておりまして、不正事件の起る原因もそこに一つあつたと思うのです。おそらく今後は日本が完全に自主権を回復するといわれますについては、それらの問題がどのようになるか。私は一般的な行政協定のことをここでお尋ねしようとは思いませんけれども、電通関係についてはどうなるのか。たとえば向うさんが今まで使つていた回線はどうなるのか、市内電話はどうなるのか、まだ料金未回收の電話相当つておりますか、そういうものはどうなるのか。あの説明では終りの方に講和後の問題について「講和後の自立体制確立の基盤としての電気通信施設重要性にかんがみ」云々と、わずか二、三行ほど言つておられます。これではどうしても納得できないと思います。具体的に電通事業について審議するのが、電通委員会じやないかと思うのです。その点につきまして私は、大臣は非常に不熱心だ、非常におしりがおちつかない、そういう苦言を申し上げておきます。  汚職の問題についても、検察庁的なことをここで私は審議しようとするのではありませんけれども、原因を確かめ、それに対する対策がなされなければ、大臣のようなのほほんとしたことでは、今後決して解決されません。根本的な解決をここでしない限りはだめです。おそらく汚職の問題を全部あげて参つたならば、電通事業運営は停止するということを、新聞ではいわれております。それほど徹底的に摘発いたしましたならば深いものがある。その問題は単なる不正とかいうものではなく、根本に欠陷がある。そういう点で私は十分御審議なさることを希望いたします。先ほど石川委員その他から御質問がありましたけれども、それに対する大臣の十分なるお答えは出ておりません。電通事業についてはここにはたいへん大ざつぱなことが出ておりますが、非常に復興がおそいために、特に市内電話のごときは三十五万くらいの積滞数がある。それも一般の人は電話を申し込んでも、引かれないからといつて、申し込まない。ほんとうに申し込んだら、その何層倍になるかしれません。それから市外電話のごときは、非常に大ざつぱなわけのわからない説明がなされております。市外電話のこういうような破壊状態が回復するためには、やはり占領軍のために使用されておりましたものが、完全に独立自主権のもとに返ることが私は根本であろうと思います。その点について大臣の御見解をはつきりお伺いしたいと思います。つまり独立すると言われるけれども、電通事業は一応われわれの手に返るかどうかわからないと仰せられましたので、大臣はどういう御見解を持つておられるのか、はつきりお伺いしたい。
  90. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 田島委員の冒頭の、大臣出席が非常に悪いから、この委員会審議がなかなか進まぬというお話でありますが、私は要求がありましたら、その都度必ず出ておりますから、その点は御了承いただきたいと思います。それから非常に腰がおちつかぬというおしかりでありますが、それは見解を異にしておることを御了承願いたいと思います。ただいま御指摘の問題でありますが、その点こそ本委員会におきまして大いに取上げていただきたい。私も電通大臣としていろいろ計画いたしております点についての御批判をいただき、御指導を賜わるのが私の責務だと考えております。従つて予算案にいたしましても、特にさような意味合いで詳細な御報告を申し上げ、同時に説明の足らない点は御質疑によつてお答えするということにいたしておるわけでありますから、最初の苦言はどうも当らないように思いますし、私の参りましたときに田島委員のお顔を見ないときもありますので、その苦言はお返しいたしておきたいと思います。  なお今回の電通省の業務といたしましては、御承知のように講和條約も発効して参りますので、ことしからこそほんどうに独立の態勢で電気通信省の運営ができるのだと私ども喜んでおるわけであります。独立の態勢と申します点は、いろいろ関係方面からの指示等を受けておりますが、これらが今後はなくなるわけだと思いますので、仕事が自主性を持つて参ると思うのであります。そこでお尋ねの現在の荒廃しておる電気通信の実態なり、あるいはまた非常な要望を受けておるあの状態から見ると、この予算ではなかなか足らないのではないかというお話、これはしごくごもつともであります。私どもといたしますれば、もつと多額の予算も必要だと思うのでありますが、何を申すにしても現在の国の財政自身から、あの程度が限度ではないか、かように考えておる次第でございます。なお占領軍関係施設はどうなるかというお話につきましては、先ほど椎熊委員並びに石川委員にお答えした通りでありますので、重ねてお話申し上げる  ことは省略いたしておきたいと思います。
  91. 田島ひで

    ○田島(ひ)委員 最初の大臣のお答えにつきましては、あまりくどく申しませんが、私は今国会になりましてから  一度も休んだことはありません。先国会は條約委員会に出ておりました関係上、出られないときもありましたけれども大臣の顔をあまり見ませんでした。とにかく先ほどの問題につきましては、私は椎熊さんと石川さんにお答えになつたのでははつきりしないから、大臣はどう思われるのか答えてくれ、つまり今占領軍に使われておる具体的なああいう施設はどうなつておるか、われわれの手に一応すつかり返してもらえるのかどうかということをお伺いしておるのです。そのくらいのことは大臣としておわかりになるだろうと思う。また大臣としてもそれに対する御意見がおありになると思います。
  92. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 すでに御承知のように、現在サービスを提供しておる施設自身は、電気通信省の設備であります。従つてその設備を返してもらうももらわないもないわけであります。ただどの範囲にサービスを提供するのかという問題につきましては、先ほど来ただいまこの席で申し上げる段階でないということを申し上げておる次第であります。
  93. 田島ひで

    ○田島(ひ)委員 大臣のお答えはちつともわかりません。返してもらうも返してもらわないも問題でないと言われますけれども、たとえばここにある電通省の通信事業設備計画要領、これは電通省資料なんですが、この中に一例としまして、市外電話は朝鮮事変以来連合軍要望による回線が著しく増加し、昨年六月以来すでに十万キロを超過し、さらに駐兵関係でも莫大な回線を要求され、多数の混用線を提供するのやむなきに至り、このままでは市外電話は半身不随の状態に陷ることが明らかであるということを書いてある。そういう施設が日本に全部返るのか返らないのか、それを私はまず具体的にお伺いしたい。これが返らなければ、いくらよくなるとおつしやつても、市外電話一つこのような状態で、日本国民の電話状態がよくなるということは望めないわけなのです。
  94. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 返すとか返さないとか、国の所有権にかわりない、だからサービスを提供しているのをどの範囲にするかの問題だということを申し上げているわけです。それはいわゆる使用権の問題だと思います。従つて使用権が非常に広汎にわたりますれば、非常な混乱性があるわけであります。しかしながら今日の状況のもとにおきまして、所有権自身は日本政府が所有しているということだけははつきり申し上げ得るのであります。そこで返すも返さないもないのだということを申すわけであります。しからばどのくらい提供するのかというお話になりますれば、先ほど来お答えしておりますように、ただいま申し上げる段階になつておりません。
  95. 田島ひで

    ○田島(ひ)委員 所有権が電通省のものくらいは私だつてわかつております。どうして優先的にそこに使われるのか、そのために日本の国民は電話に困つている。そのときに占領下だからやむを得ない、向うさんがおつしやるから優先的に使われているのだということならば、今後独立するからにはこれを返してくれと言えば返してもらえるのかどうか。つまり今日電通事業が半身不随になつているのは、占領下にあつて非常に軍用に使われているからなんです。おそらくわれわれが独立するということは、抽象的に独立するのでもなければ、自主権を回復するのでもなくて、具体的に電通事業についてみますれば、占領下だからやむを得ないということをたびたび言われておりますが、そういうものをわれわれが要求したときに取返せるのか、要求するのでなくて、独立したら返してもらえるかどうかということを私は聞いている。国民の方に優先的にもらえるかどうかということです。
  96. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 その点私も了解しておりません。従いまして先ほど椎熊委員からお話になりましたように、独立したら対等の立場で交渉するのかなどと念を押されたわけであります。その通りでお話を申し上げておるのであります。しかし今日どれだけのものを向うに貸すことになるか、どれだけのもののサービスを提供することになるかという点になると、まだ申し上げる段階ではない、かように申しておるのであります。
  97. 田島ひで

    ○田島(ひ)委員 それ以上のことは私は大臣には申しませんけれども、そういたしますと、本年度予算をお組みになる以上、現在電話や通信事業が非常に困つていることはわかり切つているのだから、今米軍が使つているもののどれとどれを日本に返してもらいたいという、今年度の電通行政としての御方針があると思う。ここに三行ほど書かれておりますが、その方針の内容をまずこの委員会に発表なさるのが、電通省として当然ではないか。あとできまつてから発表するでは納得できない。そうなりますればそれに対する予算的措置、予算の組みかえなどいろいろなことをなされなければならない。先ほど石川委員質問されてお答えがありませんでしたが、そういう方針をここに出して審議するのが委員会ではありませんか。もちろん行政協定については審議できないかもしれませんがそれを中心にして電気通信事業について委員会審議するのが、われわれの任務だろうと思う。最後の決定権はあるかないかは知りませんが、われわれが独立国家として自事的にそれをこうしてほしいという要求は当然なければならない。それが條約の根本だろうと思います。その点をまず御説明いただきたい。行政協定は大体決定されようとしております。そのこまかい内容は今後だと言われますけれども、今後に対する政府の要望なり政策なりがおそらくおありになるはずです。なければそれこそたいへんなことだと思う。それをここで発表できないという理由はないと思いますから、その大まかな点だけでも一応御説明いただきたいと思います。
  98. 靱勉

    靱説明員 お答えいたします。連合軍に現在使用されております電話、回線設備等について、どれを返してもらいたいというような点について説明せよという御質問でございますが、この問題は、在来は占領軍でございますので、コミュニケーシヨン・オーダーというものによつて返す要求があるわけであります。それによつて在来の通信の一般状況考えまして、実際上には話合いで行ける問題がほとんど大部分であつたのであります。今度占領が終りました場合におきましては、これは当然対等の関係でございますから、あたかも警察あるいは国の他の機関等が、専用設備を必要とするという場合と同じように取扱えるものではないかと思いますが、やはり駐留軍の所在等いろいろな点から、必要な通信線がここに要望として現われて来るのでありまして、これは具体的にそういう点がきまつて参りませんと、どれが返して一もらえるのかわからない。もちろん必要のないものは向うでも使つていない。ことに占領下におきましても、御承知のように相当高い料金で占領軍は使つておるのであります。必要のないものはもちろん使わないわけであります。具体的な事項をここに説明せよとおつしやられても、ただいまの時期におきましては具体的に、たとえば東京とどこどこの間を返してもらえるかどうかという点は御説明いたしかねるのであります。それは先ほど申したように、細目協定等において具体的にきまつて来るのと、あちらさんの要望もあるでしようし、こちらとしてもどうしてもその要望に応ぜられないものについては、また別途考えなければならぬいろいろな問題が起つ乗るだろうと思います。さよう御了承願いたいのであります。
  99. 田島ひで

    ○田島(ひ)委員 私はまだたくさん質問を持つて来ているのですが、今の一点は納得できません。なぜかといいますと、向うさんが許可するかしないかを聞いているのじやないのです。それから対等の立場でなどということを聞いているのではない。電気通信事業当局としては、どういう要望を持つておられるかということを聞いているのです。それが許可になるかならないか、向うさんがどう言うか、それをよこせと力ずくで来るかもしれぬ。とにかく力のない日本国民は、あなた方は自主権が回復したとかなんとか言おうと、結局はできないかもしれません。そして結局今までの既成事実をどんどん承認する結果になつたら、何も自主権を回復したということにはならない。あなた方政府としては、どういう点を日本は自主的に使用したいという要望を持つておられるか、これを私はお聞きしたい。私がこうしつこく聞きますのは、去年二條約が締結されてから、電気通信事業が非常に大規模に軍事的に、海軍の方あるいはその他の方面の工事でどんどんなされております。私はこの点については、次の委員会で詳しくお尋したいと思います。とにかくそういう具体的な事実をどんどん進められている。それに対してこれを承認せよと言われましたならば、結局は既成事実を承認するということになる。だからあなた方の方針がなかつたら、向うさんの言うなりになつて、今までと何らかわりはない。これでは独立したことにはならない。そういう点は重大問題です。日本国民に対していろいろな方面に影響が来ております。こういう点はこの次の委員会で詳しくお尋ねしたいと思いますから、保留しておきます。大臣も間違いなく御出席をお願いいたします。     —————————————
  100. 田中重彌

    ○田中委員長 次に日本放送協会昭和二十五年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書を議題といたします。この際橋本登美三郎君より発言を求められておりますので、これを許します。
  101. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)委員 ただいま議題となつておりまする日本放送協会昭和二十五年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書につきまして、次のごとく議決されんことを動議として提出いたします。すなわち議決の内容二項目につき申し上げます。  第一、次に述べる措置は当を得ないものである。政府は、その改善方を速かに取運ばせるよう善処せられたい。 (一) 財産目録及び貸借対照表の流動負債の未拂金に昭和二十五年度負担の放送債券利息及び一般経費の未拂分合計二千六百二十一万一千八百五十六円が計上されていない。(会計検査院検査結果(二)(1)参照)  (二)財産目録及び貸借対照表の固定資産の投資に計上された電気興業株式会社及び株式会社日本放送出版協会に対する分合計五十一万七千円は、速かに整理の要がある。(同(二)(2)参照)  (三) 損益計算書事業支出の雑損に計上された土地建物の登記料、土地建物買收手数料、機械取付費、機械運搬費合計二百十六万六千二百十六円は、損益計算書に計上すべきでなく、財産目録及び貸借対照表の固定資産の建物、機械、土地の各項にそれぞれ仕訳、計上すべきである。  (同(二)(3)参照)  (四) 貸借対照表の剰余金の固定費産充当金から控除された固定費産売却差損一千二百三万九千四百九十三円及び損益計算書事業收入の雑收入に計上された固定資産売却差益九十九万三千三百五十円は、差損、差益の計理を同一に取扱うべき見地において改善方法を考慮するの要がある。(同(二)(4)参照)  (五) 貸借対照表の剰余金の再評価積立金に計上された新郷の隠ぺい放送所地下構造物の評価益六千三百三十六万九千百八十一円は、評価額を修正して減額するの要がある。(同(二)(5)参照)  第二、他の事項については異議がない。以上のごとく議決されんことを動議として提出いたします。
  102. 田中重彌

    ○田中委員長 これより本件について討論に入ります。討論の通告がありません。これを省略いたしまして、ただちに本件について採決するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  103. 田中重彌

    ○田中委員長 御異議なしと認めます。  日本放送協会昭和二十五年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書について採決をいたします。本件を橋本委員の動議のごとく決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  104. 田中重彌

    ○田中委員長 起立多数。よつて本件は橋本委員の動議のごとく決しました。  お諮りいたします。本件に関する報告書につきましては委員長に御一任願いたいと存じまするが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  105. 田中重彌

    ○田中委員長 御異議なしと認めます。さように決定いたします。     —————————————
  106. 田中重彌

    ○田中委員長 次に理事補欠選任の件についてお諮りいたします。理事高塩三郎君が去る二十三日委員辞任され、理事が欠員となつておりましたが、同君が昨二十五日再び委員に選任されましたので、委員長において高塩三郎君を理事指名いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  107. 田中重彌

    ○田中委員長 それではさように決定いたします。  なお同君は小委員でありましたので、同君を再び小委員指名いたしたいと存じまするが、御異議ございませんか。     〔一異議なし」と呼ぶ者あり〕
  108. 田中重彌

    ○田中委員長 それではさように決定いたします。  次会は明後二十八日午後一時から開会することにいたしまして本日はこれにて散会いたします。     午後四時散会