○庄司
委員 今日は汚職問題に限定されての本
委員会の予定でございますので、二、三所感の一端を述べながら、汚職問題をどう解決し、再び三たび電通
省内において汚職、涜職の
発生しないようにするためにはどうしなければならないかという、建設的な面の
対策等に関して、
大臣並びに
次官の御決意を承
つておきたいと思うのであります。私は
国会に出て以来十六年、
予算委員を専門にや
つて参りました。昨年どういう党幹部のお間違いであるか、
電気通信等には何らの予備知識もない私が、この
委員会の末席にまわされました。その際、汚職のにおいがする、ぜひ汚職
関係の
事件がより多く
発生しないように、事前に万全な策を講じてもらわなければならぬということが、私の本
委員会の
委員としての最初の発言でございました。その際において、それぞれ御答弁はあられたけれ
ども、その後一年有半、私の非願が裏切られて、汚職が拡大されておる。まことに遺憾千万に考えるのであります。そこで元の官公吏は、封建的な
言葉であるかもしれないが、やはりわれは天皇の
官吏なりとか、天皇の公吏なりとか、青雲の志を抱いて学校を出て、高等文官の試験を受け、判任官に
なつたことでさえ非常な誇りと同時に、
責任観念を持
つていたようであります。不幸にして敗戦後において、ひとり官公吏の社会のみならず、一般
国民の間に、敗戦のもたらしたところの非哀は、われわれ
国民の心を非常に打
つたのであります。ただいま問題にな
つておる汚職の問題も、これを食いとめ、再びかような不祥事を起さないようにするには、どういう
対策が適当であるか。本
委員会においても
委員長、
理事諸君の御相談の結果、その
対策調査会というようなものが自然
発生的に生れることが適当であると考えておるのであります。だが
本省は
本省としての
対策がなければならない。この汚職の
原因には、人の問題もあるでありましようし、今同僚
椎熊君から述べられた
通り、心構えの問題ももとより基本的なことであることは言うまでもないけれ
ども、最も汚職が
発生しておる
本省の
機構部分を検討してみますと、第一はやはり
工事関係の施設局、地方においては施設部と言いますが、そういう
関係の部門、第二は資材を購入するところの資材部
関係、大体この二大部門が汚職の黴菌にただちに伝染されるところの、誘惑の多いものである。誘惑される者ももとより汚職であるが、誘惑する者も汚職であると私は考えております。この二大部門において一層
適材適所にこれを配置し、
工事の入札等に対しては、明朗な入札の方法をとることはむろんのこと、その他の資材の購入についても同様に、明朗なるガラス張りの中で計画性を持
つてや
つていただかなければならぬ。その他いろいろな問題がありましようが、第一に、
工事の入札そのものが、はなはだ汚職になりがちな
機構の状態にただいまな
つておるのじやないか。これはこの前にも申し上げたように、
本省における入札
関係の請負師の資格を、Aクラス、Bクラス、Cクラスとわけておられるようであります。たとえば仙台の電通
関係におけるAクラスは三人、Bクラスは五、六人、Cクラスは何百人というようにな
つておる。私は
東京その他の地方の
関係はよくわかりませんが、大体さような状態にな
つておるのじやないか。Aクラスは
資金もあるし、長い間の請負
工事の経歴、あるいは技師、技官というような経歴のある者が何者以上入
つておるとかいうようなことで、資格を付與されておるようであります。そこで実際いいことをお考えに
なつたようであるが、たとえば仙台の場合の実例をここでぶちまけて申し上げてみると、このAクラスの三人が、かりに百万円以上の
仕事を指名される。これが必ず談合をやる。談合そのものは決して刑法上の犯罪でも何でもありません。
政府が言
つておる
予算をそれ以上拂わせるように、何回も何回も再入札をや
つた場合には談合でありますけれ
ども、
政府の言
つておる
予算の以内において、
仕事をとる投票を入れた場合の談合は、犯罪ではない。大審院の判決の
通りであります。この
仕事は百万円だけれ
ども、今度はお前九十九万円でやれ、その次はおれ、その次はお前だ、こういうような談合、協定が行われておるのであります。こういうような
関係においてさようなAクラスは、自分の会社の直営
事業としてやる場合もありますけれ
ども、多くはBクラス、Cクラスに下請をさせる。百万円でと
つた仕事は、仙台あたりでは大体六十万円でございます。なぜ庄司はそういうことを詳細に知
つておるかというと、私は東北六県の
電気通信工事関係の組合の顧問という役で、年に二回くらい、ごちそうになり、平素つぶさに業者の声として聞いておるのであります。この
関係上、Aクラスという特権階級だけが太
つて行く。次はBクラス、最後はCクラス、こういうことであります。そこで国鉄当局がただいまや
つておるような入札の方法において、ある一定の資格を持
つておる者には、たとい百人であろうと千人であろうと、堂々と競争入札をさせるというようなことをや
つたら、いかがでございましようか。国鉄は従来このA、B、C級の資格を與えた特権階級をつく
つての入札は御破算にして、きわめて自然
発生的な入札方法であるので、その弊害はただいまのところはないようでありますが、そういうふうに改善をしていただき、
工事入札に関する方法等について今以上御検討くださることが、汚職を除去する一つの方法ではないか。
それから資材の購入については、私は大いに問題であると思う。たとえば東北地方の業者は
——これは東北だけのことを言うのではありません。一例として言うのであるが、東北地方のメーカーが生産し得る、また現につく
つておるものを、現地ではそれを買わない。
そういうものは全部
本省の方へ持
つて来て、
本省の方で全部買う。私は四国、九州の方のことはわかりませんけれ
ども、その地方において適当なものが生産されておるならば、現地において調弁されてもいいのではないか。これについては先年業者が非常に騒いだのであります。一部緩和されたようでありますけれ
ども、まだ現地調弁主義というものが徹底しておらない。そこであまりに厖大な資材を一時に購入する場合には、黒砂糖のかたまりにありがたか
つたように、そこに汚職の誘惑がわいて来るのである。そういう点を改善されて、
全国平均に、東北であろうが、北海道であろうが、四国、九州であろうが、現地々々においてそこの業者の生産したものを
——不合格品の多いものはむろん論外でございますが、試験をされて、適当なものであれば、なるべく現地において調弁されるという御方針に改められたならば、汚職を除去する一つの方法になるのではなかろうか、かように考えております。
先ほど
松井さんの
質問に対して、新しいある会社の誕生について
大臣の御所見を承りましたから、それ以上は追究しませんけれ
ども、今度新しく誕生するであろうところの大会社な
ども、お役所の
局長が二名も入
つている。
課長級だ
つた人が何名か入
つている。そして大きな
資本金を持
つて、おそらく
日本一の電信電話の
工事会社として誕生するでありましよう。そういう会社が
発生することはけつこうだとしても、この会社の株主は
全国のAクラスの者でありまして、現にそれらを創立総会に集め、われわれの新会社は、電通省の一箇年の総
工事の
予算の中において、少くとも四〇%の
仕事をやるのだ、株主である諸君には必ず現地々々において下請をさせる、但しこの親会社には五分だけはてら銭を納めろ、つまり頭金を納付しろ、こういうことを述べておるのであります。私はその記録を見ました。ですからその会社は最初から、以前のポ勅によ
つて設立された電話
工事会社と同じような性格を、その会社が立ち上
つたときに確保することを期待しておる会社である。電通省としては指導奨励も何もされず、現在においては何らの
関係がないそうでありますが、私は創立総会においてせつかくインヴイテーシヨンをもら
つた大臣が欠席されたということを聞いて、さすがはわが尊敬する
大臣だと陰ながら思
つてお
つた。そういう会社ができて搾取を試みた
——搾取というのは当てはまりませんが、あまりにも歩合やてら銭をどんどんとり過ぎる。またとれるのです。今申し上げたように百万円の
工事を六十万円で下請にやらせ、それでも会社はもとより、下請でももうか
つておるのでありますから、よほど私は検討しなければならぬ問題だと思う。私利会社に対しまして、
本省としてはむろんガラス張りで、明朗な態度をも
つて他の会社とま
つたく同様なお取扱いを願いたい。最初から
工事費の五分という頭金をはねることを声明している会社である。こういうものが出て、その会社の成績が上れば、いわゆる悪い
言葉でいうと跋扈跳梁したあかつきにおいて、どこかの一角に汚職のにおいが発散しないでありましようか、私はそれをおそれる。また
全国の知識ある中小業者の中に、圧倒されて倒れて来るものがないでありましようか、このことも私は心配するのであります。
以上申し上げたことは所感の一端であると同時に、
大臣がただいま他の
官庁より比較的汚職が多いお役所の長官として、
責任をも
つてこれを改善し、明朗なるお役所にとりもどすというその悲壯なる御決心に対しては、私は非常に敬意を表します。か
つて伊藤博文公があることのために明治天皇に辞表を出されたとき、朕には辞職ということが許されておらない、伊藤は今国難の場合においてやめるのかと言われて伊藤さんはひれ伏して再びお受けしたということを聞いておりますが、さような純な心でひとつ庁内の明朗化
——もとより庁内のお役人の全部が悪いのではない。一部の者であるが、その一部の者が比較的上職にある。仙台においても資材
課長ほか四名がひつぱられておる。これを明朗にしていただくためには、ただ
大臣の一片の訓辞だけではいけません。御多忙であろうと
大臣みずから各部各課においでにな
つて、諸君とともにひざを交えて語るのであります。そしてとも
どもに明朗な電通省に改革する。その悲壯なる御決意は、多感なる若い青年諸君等をも、また間もなく恩給がついてやめるであろう多年勤続者の諸君をも感激せしめ、更生させるであろうと私は思うのであります。ただ一片の通牒を流しただけではだめでございますよ。ほんとうに真劍に語れば、お互いに
日本人だからわかるんです。各省の中で比較的多くの汚職を出している電通省は、どうかひとつあざやかに改革の実を上げてほしい。それには
工事入札の面において、資材購入の面において、その人を得、適材を適所におまわしくださいまして、そして心機一転といいましようか、何とかして明朗なものにしていただきたい。私は
新聞で靱さんのことを見て心配して靱さんに電話をかけた。何も靱さんと深い交際はないけれ
ども、この
委員会でお見知りの靱さんである。ところが、庄司君、何も心配はない、
新聞には出たが、私は何も良心に恥ずることはないということです。私は電話口で万歳と言
つた。他のすべての無傷の諸君は、どうかいつまでも無傷であ
つてほしい。傷ついた諸君に、ざんげ滅罪の方に更生しなければならぬことは言うまでもありませんが、
椎熊さんのおつしやられたように、やめることだけが
大臣の偉さではない。苦しみの中に忍従をされ、苦悩の中に役所を明朗にして行くべきであります。適当なときに
佐藤さんは
佐藤さんの御決心を断行されることもけつこうでありましよう。しかし今汚職が出たから、にわかにあなたがやめられたことによ
つて、きよう、あすにも明朗になるものではない。むしろ
責任を痛感する国務
大臣は、身をも
つて改善改革の実を上げて、その
責任を果すべきものであると私は考えるのであります。願わくは新会社と
本省との間において、いささかも一片の情をも
つて見られることなきよう、切に私は勧告してやまないものであります。もし御答弁があれば御答弁を承りましよう。御答弁がなければ、なくてもけつこうであります。