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1952-02-15 第13回国会 衆議院 電気通信委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年二月十五日(金曜日)     午後一時十二分開議  出席委員    委員長 田中重彌君   理事 高塩 三郎君 理事 橋本登美三郎君    理事 長谷川四郎君 理事 松井 政吉君       井手 光治君    岡西 明貞君       庄司 一郎君    辻  寛一君       福永 一臣君    椎熊 三郎君       畠山 重勇君    石川金次郎君       田島 ひで君  出席国務大臣         電気通信大臣  佐藤 榮作君  出席政府委員         電気通信監   山下知二郎君         電気通信事務官         (業務局長)  田辺  正君         電気通信事務官         (経理局長)  肥爪 龜三君         電気通信技官         (施設局長)  中尾 徹夫君  委員外出席者         電気通信事務次         官       靱   勉君         專  門  員 吉田 弘苗君         專  門  員 中村 寅市君     ————————————— 二月十四日  放送法第三十七條第二項の規定に基き、国会の  承認を求めるの件(内閣提出承認第一号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  電気通信省部内における不正非違事件  参考人招致に関する件     —————————————
  2. 田中重彌

    田中委員長 これより電気通信委員会を開会いたします。  電気通信事業に関する件について調査を進めます。前会に引続き、電気通信省部内における不正非違事件について質疑を続けます。長谷川四郎君。
  3. 長谷川四郎

    長谷川委員 私はこの事件に対しまして、一、二質問を申し上げたいのでございます。この事件日本政治歴史に最大なる汚点を残したということは、いなめない事実でございます。しかしながら私はこのできたこと、できた事件に対しまして、これを追究しようなどとは考えているものではありません。ただ事件発生がどうしてできたかという昨日の次官の答弁に、事件発生人道地に落ちた結果であると言われておりますが、私は絶対そうでないということを確言いたします。ということは、この事件人道地に落ちたがゆえに発生した事件では絶対にない。その事件発生が、まず省内で発覚したのか、それとも部外、すなわち警察の方の力によつて発覚されたのか、どちらの点数が多いかということを、まずひとつ承らなければならないのであります。従つてこの事件はどこに欠陥があつたか、どうしてあれだけの歴史に残るような事件発生したかというその原因調査を、はたしてその任に当る人はやつておられたかいなや、この点について質問をいたすのでございます。
  4. 靱勉

    靱説明員 お答えいたします。ただいま、私が昨日人道地に落ちた結果だというふうに言つたとおつしやられますが、そういうふうに強く申し上げたのではないのでありまして、結局非違事件というものは、やはり各自々々の心構えの問題が一番根本的であるという意味合いで申し上げましたので、もし言葉におきまして非常に強くそういうふうになつたといたしますれば、その点は私訂正いたしたいと存じます。いろいろ事件発生原因を見てみますと、それぞれ違つた原因もあることでありますが、結局制度運用なり、あるいはまた法規運用におきまして——もちろんそれ自体に欠陥のある場合が多いのでありますが、また欠陥がありましても、それを是正してやるというようなことの観念がございますれば、もちろん犯罪的な事項は起らない。もとよりそういうような危険性にある仕事のやり方につきましては、これはもちろん仕事管理し、監督する者の大きな責任であることは否定いたさない。これは当然のことでございますが、昨日申し上げましたやはり根本的には、各自々々が遵法精神をもつてつて行くというところが、きわめて根本的な問題であるという意味で申し上げたのでございます。  次にこの事件に対しまして主として申し上げますのは、ただいま問題になつておりまする三工事の問題でございますが、これは電気通信省におきまする会計監査の結果発見されたのでございます。しかしながら他の類似の事件におきまして、外部から発見された事件もございます。その点数と申しましても、その点数はちよつとつけかねるかと思いますが、外部なりあるいはまた内部の監査によつて発見された。ことに一昨年の夏にかけましての監査の結果、この事実が発見されましたので、その原因の究明は私ども真剣にこれに当りました。それはやはり犯罪事実につきましては、弁解の余地がないと考えている次第でありますが、とにかく会計法規に違反せざるを得なかつたと言われる立場も十分私どもは考えまして、これに対する是正策というものをその後真剣に検討いたしますと同時に、それをほとんど大部分逐次実施しておるのであります。中に資金渡官吏制度がございますが、これにつきましても、もちろん工事を円滑に、迅速に行うというために、資本金渡官吏というものを置いておつたのであります。またそれぞれの責任も明らかになつておりましたが、それの運用の面におきまして、十分それが間違いを起さないようにというような点において欠けておつたことも私ども率直に認めまして、それらの改善も、もちろんすでに実行いたしておるような次第であります。なお資金渡官吏制度につきましても、ただいまさらにこれをかえるというようなことも考えまして、実施に移すことに相なつておる次第であります。
  5. 長谷川四郎

    長谷川委員 私はその資金運営上やむを得ざる事件に対しては、何らこれははばかることがないとまで考えているのであります。しかしもつと掘り下げて、どうして事件というものがかくのごとく次から次に発生したかという、その調査してみた結果が、ただ軍資金管理の面のみではないであろう。要は部内というものに対してのもう一ぺん掘り下げた調査がしてあるはずだと思います。従つてその点についてもう少しく具体的に御説明を願いたいのであります。
  6. 靱勉

    靱説明員 単に資金渡官吏の問題だけではないだろうという点は、お説の通りであります。ただ昨日御紹介申し上げました通り電気通信工事というものは、全国にわたりまして非常に件数が多いのであります。しかも大部分直営工事ということに戦後改めて来られたのでありまして、これを実施する場合におきまして、時期によりましてはいろいろ公定価格の問題とか、いろいろな点におきまして、なかなか実施に困難な面もあつたということを私ども認めなければならぬわけであります。しかもそれの運用にあたりまして、会計法規に違反するというようなことについて、もう少し厳格にこれが考えられておつたならば、もちろんそれをまず直してやるというような形になりまして、かかる事件発生も防止し得たと考えるのでありますが、何分にも電気通信施設の戦災による荒廃というものははなはだしかつたのでありまして、ともかく一刻も早く直して行く、また與えられた予算の工程をできるだけ早く完成するというところから、若干便宜手段に訴えるということが、電気通信施設復興整備のために必要であるというようなことから、それらの点におきまして法規に違反するということも、場合によつてやむを得なかつたのではないかというふうに考えられた節もあるというふうに感じておるのであります。しかしながら事態も非常に正常化しましたその後の事態におきましては、これはやはりあくまで正しい運営をいたしまして、遵法精神に徹しまして、正しく工事施行するということが必要である、こういう観念のもとに一昨年発見以来、それに対しましては全部の関係者を戒めまして、再びそういうことがないように十分な措置が行われまして、各職員事業再建復興ということに、非常な努力をいたしておるような次第でございます。
  7. 長谷川四郎

    長谷川委員 どうも次官説明が、ただ資金関係にのみ走つておるようでございまして、次官責任ある御回答をいただけないということは、実に残念でございますけれども、おそらく次官もこの事件発生以来汲々としておりますので、実際の調査に当つておらないことだと思うのであります。再建しようとか、またより以上によく国民にこたえるべくやるといつても、もつと掘り下げないということは、まだ御調査がないのならば、私から調査した結果を御説明申し上げましよう。まずこまかい機構にのみ汲々としておるということは事実でございましよう。それのみに汲々としていて、管理者としての義務が怠慢であつたという結果は事実でございます。第二として機構が複雑過ぎておつて職分遂行が非常に困難だ、従つて責任というものが、そこで不明確になつている結果であるということも事実でございましよう。人事管理欠陷にあつたことはいなめないことであり、また日本の官僚というものが一番きらわれているところであり、絶対是正しなければならない点である。八千三百万国民がひとしく声を大にして言うところの派閥学閥、さらに年度によつて官庁の閥の弊といい、これをそのまま本省、すなわち通信省で今日行われている結果であろうと思うのであります。その官庁式性格といいましようか、そのままのものが一番今度の原因なつたと思うのであります。いかに口に再建を唱え、国民にこたえようといたしましても、その任に当る方が適材適所でなかつたことが、今度の欠陷を生じたゆえんであろうと思うのであります。これについての次官の御説明を求めます。
  8. 靱勉

    靱説明員 ただいま原因につきまして、数個の問題についてお話がありましたが、私どもその点につきましてはただいまの御意見を十分反省いたしたいと思います。
  9. 長谷川四郎

    長谷川委員 昨日も次官責任をとりたいというような趣旨を述べておりましたが、絶対に次官責任をとつてはならない、やめてはいかぬ。これだけの不詳事件を起した以上、みずからの力によつて、あなたがおつしやるところの再建をしなければならない、人の手によつて再建をしてはならない。これが原因なつたということを、幾分でも認めるか認めないか。これに対してあなたは少くとも九九%はこれが原因であるとお信じになつたかならないかを、御返事願いたいと思います。
  10. 靱勉

    靱説明員 ただいまおつしやられました数個原因につきまして私としましても、それを否定いたすものではございません。たとえば非常に機構が複雑である、あるいはまた人選が十分でなかつたというような点につきまして、その原因も決してなくはなかつたと申し上げねばならぬと思います。そこでただいまの長谷川委員の御意見につきましては、大部分につきまして異なつた意見は持つておりませんが、ただいまの御意見を拝聴しまして、十分反省いたしたいと思つております。
  11. 長谷川四郎

    長谷川委員 この際大臣に御質問を申し上げます。以上申し上げたようなことがまつたくおもなる原因であろうと思うのでありまして、この人事刷新、すなわち国民の意思によるところの刷新をする御決意が、大臣にありやいなやを承りたいのであります。
  12. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 先ほど来お尋ね並びに靱次官からのお答えを聞いていたのでありますが、電通省自身におきましては先ほどお話がありましたように、この種の不詳事件発生いたしまして以来、非常な努力を続けているのであります。もつと具体的に申せば、私が大臣を拝命いたしました以前に、省内監察機構において、事件概要も把握いたしたのであります。そこで私就任するその前後を通じまして、省内からもこれが対策を講じて参り、御指摘のような点につきましても、いろいろくふうをいたして参つているのであります。別に弁解がましいことを申すのではありませんが、一つは今日の状況におきましてもつとくふうをいたしますれば、あの種類の取扱いはなさなくてもいい、たとえば前渡官吏制度についてもくふうをいたしますとか、あるいは直営工事施行にあたりましても、在来の扱い方よりも方式をかえるとか、あるいはまた出納等官吏につきましても人をかえるとか、いろいろくふうをいたしまして今日は参つておりますから、過去のようなことは実はないのであります。この点はあながち一般的な道義の頽廃というところに罪を帰するわけにも参らないと思いますが、敗戦直後の混乱状態のもとにおいては、道義自身相当弱まつておることは事実だと思いますし、また業務管理の面におきまして、過去に持つてつたような優秀な管理形態がなかつたということもいなめない事実なのであります。それらの点を勘案いたしまして、いろいろくふうにくふうを重ね、努力努力を続けておるわけであります。そこでお尋ねの、こういうような時期になりますれば、人事刷新を断行するの要ありという感じも一部ではいたすだろうと思います。いたずらなる人事刷新というわけのものではないのでありますが、新しい気持で仕事に没頭するという場合におきましては、やはり新しい陣容をつくるということも必要かと思うのであります。御承知のように最近政府におきましては、昨年の臨時国会に通過いたしました新定員法施行も追つておりまするし、同時にまた相当部内におきましても後進に道を開きたいという声もあるやに聞くのであります。こういう機会に相当長い間沈滞しておると考えられるような部局につきましては、人事刷新等もいたして参りたい。あるいはまた業務扱い方等におきましても、部内に非常な衝撃を與えない範囲におきまして、この事業遂行管理を強化するという意味合いにおきまして、適正なる人員の配置はぜひともいたさたければならない、かように考えておる次第であります。
  13. 長谷川四郎

    長谷川委員 私は人事刷新と申し上げましても、いたずらなる刷新ではならないと申し上げたごとく、まず摘材適所——それに対して派閥学閥年度制というものにとらわれないで、適材適所制をとれ、こういうことを申し上げておるのであります。ただいたずらなる刷新をやつた結果が、こうなつて来ているということも言えるのでありますから、適材適所をとれということであります。  さらに私は靱さんに申し上げるのでございますけれども、これは本省、つまりあなた方だけの責任ではない、ひとしくこの委員会全体の責任であろうと私は痛感をいたしております。さらに申し上げた通り靱次官がこの際辞退するようなことがあつてはならない。われわれもあなたとともに、より以上の電気通信省にして、もつて国民にこたえたいという熱意からであることをよく知つていただかなければなりません。ただ私は、今までのあり方のうちに一番不満であり、その不満であるいざこざというものが、この事件発生させたのであろうと感じておるから申し上げておるのでございます。さらに昨日大臣の御説明の中の——私はこれを追究しようとも何とも考えているものではないけれども、あらましくらいは知つておきたいと思うのでございまして、部内不詳事件に対して、大臣のいま少し進んだ御説明がいただきたいのであります。
  14. 靱勉

    靱説明員 ただいま単に電気通信省だけでなく、電気通信委員としても、今度の事件につきまして国民に御迷惑をかけておる点につきましては、私ども事務を担当いたしておる者といたしまして、まことに申訳なく存じます。ことに私自身に対しまして非常にありがたいお言葉を頂載いたしまして、つつしんで拝聴した次第でありますが、誓いましてこの事件をむしろ幅に転ずるように、私ども誠心誠意、粉骨砕身、この事件の収拾、今後の建直し努力いたしたい。一言おわびを申し上げます。
  15. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 少し長くなりますが、最近の事件概要について御報告いたしたいと思います。  電気通信研究所及び丸の内管理所におきまして発生した不詳事件概要につきましては、前国会において申し上げた通りでありますが、電気通信研究所事件につきましては、同所元所長及び元会計課長外会計課員三名が、横領罪あるいは収賄罪で起訴され、また丸の内管理所事件につきましては、同所会計課長及び会計課員一名が、横領罪で起訴されたのであります。その後当省建設工事に関する非違事実につきまして、東京及び大阪地方検察庁捜査を受け、多数の被疑者を出すに至りましたので、現在までに判明いたしておりますその概要説明申し上げたいと思います。  東京地方検察庁において捜査中と認められる事件内容は、主として二十五年度における本省建設部直営工事に関するものでありまして、関係工事長三名が去る十二月末業務横領容疑により起訴されましたが、本件につきましては、当省におきましても、昨年会計監査実施いたしました際、非違事実を発見いたしましたので、さらに監察によつてその実情を調査したのであります。当省の調査した範囲で判明いたしました内容は、二十五年度における神戸及び下関の市内電話線路工事並びに秋田、二ツ井間の市外電話線路工事実施するにあたりまして、非合法手段によつて工費を現金化し、これを工事従事職員に対する法律に認められない手当、旅費あるいは工事関係者への慰労費等に充当していたもので、ほぼ確認した不法支出額は約百万円でありました。当省といたしましては、この不法支出約百万円については弁償を命ずるとともに、関係者に対しては免職、停職その他懲戒処分行つたのでありますが、これと同時に事件を重視して、同じような非違発生を防止するため、必要な措置を講じたのであります。なお東京地方検察庁取調べの進行に伴いまして、右三工事長の外、さらに本省課長ら三名が去る二月十二日、業務横領または収賄容疑により起訴されたのでありますが、先ほど申し上げました当省の調査におきましては、これら本省課長等について、起訴事実にありますような非違の確認ができなかつたことははなはだ遺憾であります。  また去る二月九日には、地方電気通信局長が拘留されるに至りましたが目下捜査中に属しますので、詳細承知いたしておりません。大阪地方検察庁において捜査いたしております事件は、私ども承知しているところでは、近畿電気通信局に関するものでありまして、近畿通信局においては、二十四年度から二十六年度初頭にわたり、課長以下数名の者が単独または共謀の上、請負工事会社から二十数回にわたり約百万円を收賄した容疑により、去る十二月末起訴されております。また本省建設部員数名が逮捕、取調べを受けましたが、目下捜査中に属しますので、当省といたしましてはその結果を待ち、必要な措置を講ずる所存であります。また横浜管理所会計監査を当省が実施いたしまして、経費の不法支出の疑いを発見して、事情調査中でありましたところ、横浜警察調査を開始いたしまして、目下横浜地方検察庁において捜査中であります。これまたその結果を待つて必要な措置を講ずる考え方であります。  以上の通りでありまして、かくのごとき事態引起すに至りましたことは、まことに申訳なく、深くおわび申し上げる次第であります。当省といたしましては、一昨年来この種の非違不正の防止に努力して参つたのでありますが、特に昨年からは、会計監査及び監察の機能を強化いたしまして、非違事件が再び繰返されぬよう、綱紀の粛正に一層の努力をいたし、判明した非違事実につきましては、厳重に処分をいたし、これが対策を講じておるような次第でございます。
  16. 長谷川四郎

    長谷川委員 最後に私は一言大臣にお願いを申し上げるのでございますけれども全国何千の職員は、この事件発生後、事務工事能率が減退をしているということは、争われないところの事実でございます、一日も早くこの事件の解決と相まつて——最も手腕のある大臣を迎えたのでございまして、大臣の指揮のもとに、より以上の能率を上げていただきたいということをお願い申し上げまして、私の質問を打切りたいと思うのであります。
  17. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 しごくごもつともな御意見でありまして、私どもこの種の事件が次々に発覚し、しかもそれが新聞等で伝えられ、確かに部内職員間におきまして、動揺の色も見受けるのでありまして、私はもちろんでありますが、省の各局長なりあるいは地方局長等を通じまして、従業員諸君が動揺することなく、一層本来の業務遂行に邁進するように、いろいろお話をいたしておるような次第でございます。特に私ども非常に残念に考えますことは、従業員十五万名を擁しておる大世帯であります。しかもこれらの従業員関係する家族の人たちを考えますると、これらの不祥事件のために、この役所に勤めておること自身も、非常に肩身の狭い思いをすることだろうと思うのであります。大多数の九割九分まで善良なる職員ばかりを擁しておる。不幸にして一部において不祥事件発生し、省全体の不信用を来す、また従業員自身が、その職場で働くことについて誇りを失うというようなことになりましては、まことに残念なことに思いますので、これらの点はよく私どもの感じておる点でありまして、今後新しいりつぱな明朗なる、しかも国民から信頼を受けるような事業場をつくるのだ、この意気込みに一層の協力を願うようと、省の機関はもちろんでありますが、組合の幹部諸公との会見等におきましても、われわれの意のあるところを従業員全体に伝えるように願つておる次第であります。ただいまの御趣旨まことにありがたく拝聴いたしました。
  18. 田中重彌

  19. 松井政吉

    松井(政)委員 私は同僚委員から昨日来いろいろ質問されております事件について、お伺いをしたいと考えております。その前に、われわれはややもすれば裁判官のような立場でものを調べておるようなきらいが見えますので、なぜ質問をしなければならないかという立場を明らかにしておきたいと思います。御承知のように第五国会以来、同僚議員とともにわれわれは国民から選ばれて国政に参画をしているのであります。しかもこの種の不正事件が起きたことによつて迷惑をこうむり、さらに血の出るような税金を無謀に消費されたものは、国民大衆であります。従つてこの種の責任というものは、大臣次官当然責任があるのでありますが、第五国会以来立法府に参画いたしておりますわれわれも、国民に対して責任を負わなければならないものだと私は考えられるのであります。この事件を当委員会でうやむやにしたり、あるいは大臣次官が今後気をつけますということで済まされるかどうかということは、今後の調査、さらに事件発展等と考え合せて行かなければならない問題だと考えられるので、そういう立場から質問をするのであるということの了解が願いたいのであります。われわれは裁判官ではございません。しかしながらただいま申し上げたような責任から、事件をきわめて具体的に把握をしなければ、国民に対して説明をし、さらにわれわれ自身が申開きをすることができないのでありますから、そういう点を御考慮願いまして、大臣並びに関係官はできるだけ具体的な説明をお願いしたいと考えでおるのであります。  第一番に質問申し上げるのでありますが、御承知のように資料提出をわれわれはいただいているのであります。それによりますと、一億七千九百二十万程度のものが、ただいま問題になつておりまする電通汚職事件の総額となつて現われております。そこで、新聞紙上ではすでにいろいろな形で各社とも報道いたしておりますので、国民は全部知つていると思うのでありますが、ある新聞のごときは、三百億円に上る一大汚職だと伝えております。資料新聞報道との関係についてまず当局からお伺いをしたいと思います。
  20. 靱勉

    靱説明員 昨日御説明申し上げたのでございますが、大臣からも二十六年度の分につきましては、金額をさらに御説明申し上げております。それから二十五年度の分につきましても資料を差上げてありますが、それは私ども調査したもので、正しい資料であるというふろに御了解願いたいと思います。ただいま数百億というようなお話がございましたが、御承知のように電気通信建設予算というものは、大体毎年二百億から三百億ということになつておりますが、もちろんこれらが全部何でもかんでも使用できるというのではないのでございまして、ただいま問題になつておりますところの建設工事を見てみましても、いわゆる工事長以下が、前渡資金官吏と一緒に使用する金額と申しますのは、大体総額の一割程度のもの、しかもそれも人夫を雇い、その他いろいろな設備をするための経費を含んでおるのであります。先ほど大臣から概要について御説明がありました通り、私どもが当時不当支出として確認いたしましたのは三工事で百万円程度、また二十六年度の私どもの計算いたしましたのは昨日御説明したように部内者において五千万円、部外において一億二、三千万円、これは主として電線等の盗難を言つておるのであります。そういうような事情に相なつております。
  21. 松井政吉

    松井(政)委員 それでは最初に資料について申し上げますが、この資料が全部正確だという答弁でありますが、私は多少の疑義を抱いております。しかしその疑義を抱いておるおらないの議論をする前に、資料の方から質問をして行きたいと考えております。資料に出されておる事件内容は、同僚長谷川君の質問に対して大臣がお答えをしておりますが、その事件内容についてお聞きしたいのであります。部内事件の中で電話料金の横領四十件、電報料金の横領十三件、さらに部外の事件の中にも電話料金の横領等も載つておりますが、電話料金を部外の者が横領する場合に、それはいかなる事件であつたか、これをまず第一に御説明を願いたい思います。
  22. 靱勉

    靱説明員 昨日この資料についてちよつと私から御説明いたしましたが、電話料金の横領につきましては部外、主として委託局の関係であります。すなわち電気通信省職員ではなく、電信電話は特定局等、郵政省にも委託しておりますし、その他の機関にも一部委託しておりますので、それによるところの犯罪である、こういう御説明をいたしたいのでありますが、それでございます。
  23. 松井政吉

    松井(政)委員 それからさらに資料について伺いますが、これには総件数が収録してあるだけでありまして、ただいま大臣説明されたのは主としてただいま起きておる事件内容だと思います。ところが実際の電通本省資料の中には、たとえば札幌あるいは室蘭あるいは全国にわたる電気通信管理所等の事件資料があるはずだと思います。そういう事件は総計だけでなくて、時間がかかつてもよろしゆうございますから、できれば今の資料をこまかく御説明願いたいと思います。
  24. 靱勉

    靱説明員 その前に部外の料金の横領につきまして申し落しましたので申し上げますが、たとえば公衆電話の料金箱をとられるという場合におきましては、部外の料金の横領と申しますか、窃盗と申しますか、そういうものもこれに入るというように追加して御説明申し上げます。  なお二十六年度部内者によるところの重要な事件を申し上げますと、電話料金の横領におきましては、長崎電話局におきまして百万円の横領事件がございます。それから門司の電話局におきまして二百二十万円、それから公金の横領におきましては、先ほど御説明がありました丸の内管理所の二千万円、あるいは電気通信研究所におきます四百万円、それから庁費の不当使用と申しますか、それにつきましては二十六年度の分として本省関係で三百万円、収賄につきましては電気通信研究所において九十万円、近畿電気通信局において百万円というようなものが大きなものであります。
  25. 松井政吉

    松井(政)委員 それだけがそれに収録されているのですか。
  26. 靱勉

    靱説明員 ただいま申し上げたのは、非常に大きなものの御説明を申し上げたのでありまして、それ以外にももちろん件数はある次第でございます。
  27. 松井政吉

    松井(政)委員 件数があるのでなくて、資料があるのです。私も一ぺん見たことがあるのです。どこどこ管理所で、どういう事件が起きて、幾らというものがあるはずです。それを説明してくれというのです。今資料があれば説明してもらいたい。今資料がなければ、さらに資料提出を要求しておきます。きようでなくてもけつこうです。
  28. 靱勉

    靱説明員 ただいま全体的にはございませんので、御要求によりまして提出いたします。
  29. 松井政吉

    松井(政)委員 今度資料提出するときには、大小にかかわらず、電通関係全国事件資料をおつくり願います。  それから資料とは離れて、事件についてお伺いいたしますが、新聞報道以外にわれわれ承知することが本日の委員会までにできませんでしたので、新聞資料でのみ承知をしておつたのでありますが、先ほど大臣説明された事件に全部関連があると考えられますが、森技官の自殺の問題と、先ほど大臣説明した事件の中でどれとが関係があるか、お伺いいたします。
  30. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 今お尋ねの森技官の自殺云々は、係官から御説明いたさせますが、その前に先ほどの資料の点で一言御理解を賜わつておきたいと思いますのは、御承知のように電気通信省仕事全国にまたがつております。そして各町村にまで、それぞれの事務担当所があるのであります。件名といたしましてお手元に差上げました資料だけでごらんになりましても、多数の件数に上つております。この件数だけの感じから、先ほど長谷川委員にお答えいたしましたように、省自身があげて非常にまずいことをしているのだという感じを持たれることのないように、お願いをいたしたいのであります。件数はなるほど多い、しかし従業員の数も非常に多い、また発生箇所も各地にわたるであろう、仕事の性格からそういうものが出て来るだろう、こういう点をぜひ御理解をいただきたいと思います。私大臣として事業遂行の衝に当つており、十余万の従業員を擁し、各地に事業所を持つております面から見ますと、大部分従業員は実にりつぱな従業員ばかりであります。これらの人たち全部の責任において、事故が防止されるということも一理あることだと思いますが、これらの人たちが非常に肩身の狭い思いをするようなことは、筋から見まして御理解がいただけるのではないかと考える次第であります。私、資料提出をしないという意味ではなくて、進んで資料提出するつもりでおりますが、その資料扱い方について私どもの見るところを率直にごひろう申し上げまして、その点の御理解をあらかじめ賜わりおき願いたい、こういう趣旨で発言をいたしたような次第であります。御了承願います。
  31. 山下知二郎

    ○山下(知)政府委員 ただいまお尋ねの森技官の自殺の件につきましては、その当時私の方でもいろいろ調べましたが、遺書もございませんし、何に関係しておつたか、現在のところわかつておりません。
  32. 松井政吉

    松井(政)委員 そうすると森技官の自殺と事件の関連について新聞報道本省の考え方とは違うという解釈を持つてよろしうございますか。
  33. 山下知二郎

    ○山下(知)政府委員 違うという考えを持つてよろしいかというお尋ねには、ちよつとお答えいたしかねます。私ども原因が何であるかわかりません。その点御了承願いたい。
  34. 松井政吉

    松井(政)委員 もう一つお伺いしますが、今当面事件を起して取調べられておりまする吉村、吉田、中村、富永、仙仁、佐成、こういう人たち事件当時の職責と責任範囲、それから直接連座した事件内容について御説明を願います。
  35. 山下知二郎

    ○山下(知)政府委員 お尋ねの仙仁、吉村、それは問題になつております三工事関係があります。また吉村氏の分は、さように考えておりますが、それより以上、どういうふうに発展いたしておりますか、収賄というようなことにも聞いておりますがへその内容ははつきりわかりません。それから吉田前局長の分は、電気通信研究所関係があるのでございます。佐成氏は三工事関係のあるものでございます。
  36. 松井政吉

    松井(政)委員 本資料大臣説明された事件の問題については、私どもの方でさらにいろいろ調査中でありまするので、この質問はまた次にまわさしていただきます。  そこでひとつお伺いをしておきたいのは、御承知のように今度の機構改革以前から、電通事業は公共企業体にするという考え方が出ておりまして、公共企業体にした方がいいのか、しない方がいいのか、しない方がいいのかということで、本委員会でも小委員会を設置いたしまして、いろいろ議論をしながら研究を進めて参つたのであります。われわれは現在のイデオロギーとか、そういうものを拔きにいたしまして、日本電気通信事業はどうやつたら一番うまく行くかということで、きわめて謙虚な気持と真剣な気持で、公共企業体に関する研究を続けて参つたのであります。ところがここでお伺いを申し上げたいのは、その公共企業体にする場合における公共企業体と、その公共企業体の後におけるいろいろな請負工事、発注関係メーカー、こういう関係とにらみ合せて、昨日の理事会のときにも與党の委員の方から御意見が出たのでありまするが、公共企業体は、どうもわれわれの考えるようなきれいな形で研究されたのでないらしい。国会委員並びに小委員の諸君の知らない間に、第六次案、第七次案なるものが、本省外部人たちで研究されてつくられたということが指摘をされております。従つて公共企業体がよいか悪いかという真剣な論議をわれわれが続けている裏に、公共企業体とその他の部外のもろもろの関係における暗い雲が生じているように思いますが、こういう関係について、そういうような関係があるのかないのか、明瞭にひとつお答えを願いたいのであります。われわれは、今でも橋本委員長のもとに小委員会を続けておりますので、これは非常に今後の公企体の研究について支障がありますから、明らかにしておいていただきたいと思います。
  37. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 公共企業体への移行と申しますか、移行したらよいか悪いか、移行するとすればどういうような公共企業体にするか等の問題につきまして、本委員会の小委員会において超党派的に種々御研究賜わつておりますことは、私ども電通省をお預かりしておる者として、たいへん感謝いたしておるところであります。御承知のように事務当局に命じまして、公共企業体の内容等につきまして、一層の検討を続けているような次第でございますが、ただいまお話外部のもろもろの団体というのはどういう意味か、私には理解できかねるのでありまして、どこまでも私どもは内部的な問題で検討を続けております。従いまして成案を得るに至りますれば、もちろんまず第一に当委員会の審議を賜わるべき筋でありますし、同時にまた御指摘のような小委員会が発足し、研究を続けております現状におきましては、その小委員会との連携は一層緊密にいたしまして、時々御指導を賜わり、また御鞭撻いただくという考え方でおる次第であります。
  38. 松井政吉

    松井(政)委員 そこでもう一つ新たな問題をお伺いします。うわさといつたら語弊がありますが、仄聞するところによりますと、電気通信省の従来の発注メーカー、工事メーカー、こういうような関係が中心となりまして、通信建設会社と申しますか、そういうものの設立が進捗している、すなわち終戦後政令でなくなりました電信電話建設会社、すなわち国策会社のような形のものができかかつている、こういう風聞があることを知つたのであります、が、この問題について、本省側が承知している範囲説明でよろしゆうございますから、明らかな説明をお願いしたいと思います。
  39. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 御承知のように、ただいまは特殊な使命を持つ国策会社というものは、考える時期ではないのであります。もちろん電通省におきましても、その種の特殊な国策会社を建設するような考え方は持つておりません。ただ私どもの方で希望いたします点は、御承知のように電気通信省はいろいろの工事をいたしておりますが、今まで直営で相当広汎な仕事をいたしております。各種の不祥事件等も、この直営工事扱い方から見まして、いろいろ疑惑を受けておる向きもあるやに聞くのであります。最近、これはひとり電通省だけではなく、一般官庁工事の請負については、できるだけ競争入札の制度をとるようになつておりますし、物品の購入等においても、競争入札の制度を広汎に採用するようになつております。そこで電気通信省におきましても、在来の工事扱い方について種々範囲等も勘案して、請負に付し得るものは請負に付して行くという原則を採用いたして参りたいと思いまして、就任以来部内ともいろいろ相談をいたして参つておるのであります。御承知のように保守の工事等は、どうしても直営でやらなければなりませんが、建設等の工事になりますれば、大部分請負に付し得るとも考えられるわけであります。そこで工事請負の在来の事業形態等について、業者諸君の仲間から、より資力に信用のあるもの、あるいは高度の技術力を持つものをつくることが必要だというようなお話も聞いておるのでありますが、業界の自発的意思によつてその種の会社のできることは、私ども工事の遂行上非常に益するところがあると考えております。別に慫慂という強い程度のものもありませんが、私どもとしてはむしろそういう会社のできることを希望はいたしておる次第でございます。そういう意味のものでありますので、お尋ねの会社自身も多分その種のものではないかと思います。ただいままでのところ、省として特別の使命を帯びさした国策会社をつくるというような考え方は持つておりません。また今までもできておらないということをはつきり申し上げておきたいと思います。
  40. 松井政吉

    松井(政)委員 そこで、本日の私の質問はこれで終りたいと思いますが、最後に希望と責任範囲についてお伺いしたいと思います。  第一に希望を申し上げます。ただいま申し上げたように、特に具体的なことは私は質問を申し上げなかつた。しかしながら公共企業体をめぐつて、すでに国会の中にもいろいろ風聞が出て来ております。さらに今度の汚職事件についても、国民は全部知つております。また電話加入をめぐつてのどろ沼のごとき状態について、国民もわれわれも承知いたしております。こういう形で、国民の税金を使いながら、公共性をもつ重要な企業を預かつておる電通省というものは、ただいまあらしの中に立たされておるのであります。そこでこの疑惑の一掃に、われわれ初め全部が努めずして、はたして今の企業形態を公共企業体にかえて能率が上るかどうか、また従業員の諸君が専心協力をして第一線に立つかどうか。私は非常に疑問を抱きますので、この点について十分の検討と、さらに疑惑一掃のために努力を願いたいのであります。  最後に、これら事件に関連した者は、本人が二百七十九、監督者の立場で免職、懲戒を受けた者が百十六、合計三百九十五と昨日次官は答弁されております。そうすると四百人にわたつて責任をとらなければならない者が出ているのであります。従いまして次官は当然のことでありまするが、大臣はその事件発生当時の大臣でないからということで、責任を回避することは私はできないと思う。しかも現在残つておる首脳部の人たちが、刑法上の責任、法律上の責任を負わなくとも、ただいま申し上げたような国民周知の中における事件の当該責任者としては、道義上の責任と政治上の責任は免れないとわれわれは考える。この道義上の責任と政治上の責任を、大臣はいかようにして国民に対して負うかお伺いして、私の質問を終ることにいたします。
  41. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 お話になりましたように、ただいま電気通信省といたしましては、名方面からいろいろの御批判をいただき、表現の仕方によりましては、疑惑に包まれておるという言葉も当るかと思うのであります。さればこそ先ほどもお話がありましたように、従業員の志気が沮喪して、本来の公共企業体の使命達成にもあるいは支障を来すのではないかというような御指摘まであつた次第であります。私どもお預かりいたしております限り、志気の昂揚に一層の努力をいたしまして、本来の使命達成に万遺憾なきを期して参りたいと思うのでございます。ただいま大臣なり省の幹部が、政治上あるいは道義上の責任をいかに解するかというお話でありましたが、私はただいま冒頭に申し上げましたような気持から、電気通信省をして、明るい、真に国民の信頼を裏切らない、またその公共性を十分に果し得るような省につくることが、私ども責任ではないかと思うのであります。この意味におきまして、ただいませつかく努力しておるような次第でございます。必ずやこの点におきましては、皆様方の心からなる御鞭撻あるいは御指導も願えるのではないかと思うのでございます。言葉は非常に簡単でございまするが、十分責任を痛感しておる次第でありますので、今後りつぱな省をつくり、そうして国民の信頼に沿いたい、かような念願でいることをごひろう申し上げて、お答えにする次第でございます。
  42. 椎熊三郎

    椎熊委員 同僚諸君かつ、今度の電気通信省内部における汚職事件について、いろいろの質疑応答が先日来ありました。私どもも非常に残念に思つておるのであります。吉田内閣が成立当初において声明したことは、官紀綱紀の粛正ということでございます。総理大臣吉田さんは、当初内閣組織にあたりましては、法務総裁を兼任しておられました。法務総裁の就任のあいさつの中に、非常な激越な口調をもつて、たといいかなる地位にある者も——そのときは総理大臣という言葉を使つておる。たとい総理大臣の地位にあつたような者でも、いやしも疑惑のある者は寸毫も仮借することなく、これを糾明しなければならぬという大演説をして、この内閣ができておる。近来その声明にもかかわりませず、この役所のみならず、全日本の行政官の間における官紀の紊乱、綱紀の弛緩、実に驚くべきものがあると私どもは感じます。しかも責任内閣を形成しておる今日の閣僚の中でも、部下の中にそのような不正の者があつて——非常に御苦心はしておられるでありましようが、責任を明確にする点については、旧来の政治家とはなはだ態度が違つておるように私は思う。私どもはあまり崇拝した人ではなかつたが、かつて某農林大臣のごときは、一課長が疑惑を受けて起訴せられた。その事件は後には雲散霧消したのですが、起訴せられたという事実だけで、その農林大臣はその日即刻辞職いたしました。そのくらいの決意、そのくらいの責任感があつて、初めて部内がほんとうにふるえ上るほど粛正されて行くのではなかろうか、私はこう思う。佐藤大臣の心中察するに余りあるものがありますけれども、あなたは悲壮にもこの泥土のごとき疑惑を一掃して、明朗なる役所につくり上げるのが責任だと言われる。私どももそれを希望するのだが、それよりも先に、あなたが国務大臣としての監督下に、こういう問題の起つたという直接の責任もつと身近に感じられて、身をもつてこの役所改善のために、綱紀粛正のために責任を明らかにするという御心境になられるならば、おそらくこの事件の解決もさらに一層迅速に、明朗に行く。それが一番効果ある責任のとり方だ、失礼ながら私はこう考えるのです。あなたはこの内閣にとりましても、非常に大切な立場の人でありますし、まだ春秋に富む若き政治家であり、われわれが非常に期待を持つておる人なのです。大臣のいすなどを、そう恋々として保つておらなければならぬような人ではない。このときこそ、大体事件の全貌が明らかになりました機会において、断固吉田総理大臣の大精神をあなたは心に納めて、そうして総理大臣の前に辞表を提出せられる。そのことは吉田さんにとりましても、ずいぶんつらいことではございましようが、成立当初における吉田内閣の決意の手前からも、そのくらいなことはなさらなければ、今度の事件はやはりいつまでも臭いものにふたをするような解決以外にできないと私は思う。事務をとつておる次官局長などという方々は、あなたから見ると政治家ではないのです。こういう人で間違いのない人は、いつまでも残つてつて、一生懸命役所明朗化のために御努力願いたい。また一生懸命やつておられるでしよう。しかしあなたは単なる行政官ではない。日本の政党政治家である。しかも日本の有数なる政党の有力なる政治家なのです。そのくらいのことは身をもつてやらなければ、今の日本の官紀、綱紀の粛正をどうしてやることができるのか。私はひとりこの役所だけだとは言いません。ひとり中央官庁のみではない。地方自治体などにおきましても、ことごとくしかりである。しかもいろいろな事件があつても、監督の最高責任者たる大臣が、悟然として恥じざるがごとき態度に見えるようなことでは、とうてい官紀の粛正はできないと思う。私は今ここに辞職を勧告するのではない。あなたが吉田内閣成立当初からの、内閣の精神をほんとうにわきまえておられれば、あなたは今この役所を明朗化するために努力しておる、それが責任だなどと、そんなうかつなことを言つておられる時期ではないのではなかろうかと、私は失礼ながら想像するのです。政治家としてのあなたの決意を御披瀝願いたい。私はあなたとともに泣いてこの問題に協力して、ほんとうにあなたの気持を察しつつ、あえてこの苦言を呈したい。そのくらいのことをしなければ、日本の役所はだめですよ。日本官吏の今日の国家奉公の信念はどこにあるのか。まるで月給取りの根性だ。気の毒な月給ではございましようが、清貧に甘んじて国家に奉公するという信念的の役人が、ほとんどいないではありませんか。日本はつぶれますぞ。やがて平和條約の効力も発生して、自当日本、独立日本となるでありましよう。そのときにほんとうに日本の基をなし、柱ともなるものは、行政官の行動です。政治のやり方です。官吏の心構えです。これなくしてどうして大衆を率いて立つことができましようか。今のような状態ならば、むしろ共産主義の乗ずるすきを與えるようなものだ。彼らはかえつて喜んでいるかもしれません。暴力革命を近づけているのは、この内閣だといわれるかもしれません。私は国家のためにそれを憂うるのです。こういうことをきつぱり解決するためには、あなたは政治家としての堂々たる態度をお示しにならなければいかぬのだ。ここが政治家の値打のきまるところです。ほんとうにあなたは信念的に、私どもの前に決意を御披瀝願いたい。汚職事件内容等については、現に検察官が取調べ中ですから、私はその内容に触れたくない。いずれこれは明らかになるでしよう。また他の委員会でも、当然これを国会の問題として取上げるでしよう。そのために行政監察委員会などがあるのですから、事件内容等についてはその方にお譲りしたいが、私はこの問題解決のために、吉田内閣成立当初からの性格からかんがみて、あなたのような地位、立場におられる政治家の決意が、国民に大きく影響するところがあるということを考えまして、はなはだ言いにくいことだが、こうして私はあなたと顔を見合せて申し上げておる。あなたのりつぱな政治家としての信念を、この委員会で御披瀝ください。私はそれ以上追究いたしません。ほんとうにあなたにそれだけの決意があるなら何をか言わん。もう満腔の信頼をささげましよう。私は日ごろあなたを崇拝している一人です。あなたは不幸にしてこの渦中に飛び込んだ、実に何という不運なときにこの役所に来られたか、私はその点で心痛にたえない。が、国民の気持を察し、日本の国家の将来を思うとき、あなたは重大なる決意をもつて、この問題に当らなければだめだ。そういう気持ですから、率直にあなたの御精神を御披瀝願いたい。
  43. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 ただいまひとり電気通信省といわず、官界刷新あるいは綱紀粛正についての、椎熊さんのかねての所信のごひろうがあつたと私は思います。お話の点につきましては私、共感を覚えるものが非常に多いのでございます。私が先ほど申しましたゆえんのものも、表現はあるいは意に満たないものがあろうかと思いますが、私が先ほど松井さんにお答えいたしましたその事柄を遂行するにつきましては、十分なる決意のもとにこの問題と取組んで参る用意があるのでございます。この点ただいまのお話を十分伺いまして、私も非常に共感を覚えておるような次第でございまして、今後の処置等につきましても、一層の御指導をお願いする次第であります。
  44. 椎熊三郎

    椎熊委員 ただいまの大臣の御発言、私は満足に存じます。どうか一身一家、名利栄達などを離れて、あなたは国のために殉ずるの意気込みをもつて善処せられたい。私は失礼なことを申し上げましたが、今あなたでもわれわれでも、この国会を守つておる者たちがほんとにまじめに日本の国家ということを考えなければ、たいへんな時期だと私は思うのです。どうぞただいまの御決意通りりつぱな態度をお示しあらんことを、あなたのためにもお願いしておきます。これをもつて私の質問を終ります。
  45. 田中重彌

    田中委員長 庄司一郎君。
  46. 庄司一郎

    ○庄司委員 今日は汚職問題に限定されての本委員会の予定でございますので、二、三所感の一端を述べながら、汚職問題をどう解決し、再び三たび電通省内において汚職、涜職の発生しないようにするためにはどうしなければならないかという、建設的な面の対策等に関して、大臣並びに次官の御決意を承つておきたいと思うのであります。私は国会に出て以来十六年、予算委員を専門にやつて参りました。昨年どういう党幹部のお間違いであるか、電気通信等には何らの予備知識もない私が、この委員会の末席にまわされました。その際、汚職のにおいがする、ぜひ汚職関係事件がより多く発生しないように、事前に万全な策を講じてもらわなければならぬということが、私の本委員会委員としての最初の発言でございました。その際において、それぞれ御答弁はあられたけれども、その後一年有半、私の非願が裏切られて、汚職が拡大されておる。まことに遺憾千万に考えるのであります。そこで元の官公吏は、封建的な言葉であるかもしれないが、やはりわれは天皇の官吏なりとか、天皇の公吏なりとか、青雲の志を抱いて学校を出て、高等文官の試験を受け、判任官になつたことでさえ非常な誇りと同時に、責任観念を持つていたようであります。不幸にして敗戦後において、ひとり官公吏の社会のみならず、一般国民の間に、敗戦のもたらしたところの非哀は、われわれ国民の心を非常に打つたのであります。ただいま問題になつておる汚職の問題も、これを食いとめ、再びかような不祥事を起さないようにするには、どういう対策が適当であるか。本委員会においても委員長理事諸君の御相談の結果、その対策調査会というようなものが自然発生的に生れることが適当であると考えておるのであります。だが本省本省としての対策がなければならない。この汚職の原因には、人の問題もあるでありましようし、今同僚椎熊君から述べられた通り、心構えの問題ももとより基本的なことであることは言うまでもないけれども、最も汚職が発生しておる本省機構部分を検討してみますと、第一はやはり工事関係の施設局、地方においては施設部と言いますが、そういう関係の部門、第二は資材を購入するところの資材部関係、大体この二大部門が汚職の黴菌にただちに伝染されるところの、誘惑の多いものである。誘惑される者ももとより汚職であるが、誘惑する者も汚職であると私は考えております。この二大部門において一層適材適所にこれを配置し、工事の入札等に対しては、明朗な入札の方法をとることはむろんのこと、その他の資材の購入についても同様に、明朗なるガラス張りの中で計画性を持つてつていただかなければならぬ。その他いろいろな問題がありましようが、第一に、工事の入札そのものが、はなはだ汚職になりがちな機構の状態にただいまなつておるのじやないか。これはこの前にも申し上げたように、本省における入札関係の請負師の資格を、Aクラス、Bクラス、Cクラスとわけておられるようであります。たとえば仙台の電通関係におけるAクラスは三人、Bクラスは五、六人、Cクラスは何百人というようになつておる。私は東京その他の地方の関係はよくわかりませんが、大体さような状態になつておるのじやないか。Aクラスは資金もあるし、長い間の請負工事の経歴、あるいは技師、技官というような経歴のある者が何者以上入つておるとかいうようなことで、資格を付與されておるようであります。そこで実際いいことをお考えになつたようであるが、たとえば仙台の場合の実例をここでぶちまけて申し上げてみると、このAクラスの三人が、かりに百万円以上の仕事を指名される。これが必ず談合をやる。談合そのものは決して刑法上の犯罪でも何でもありません。政府が言つておる予算をそれ以上拂わせるように、何回も何回も再入札をやつた場合には談合でありますけれども政府の言つておる予算の以内において、仕事をとる投票を入れた場合の談合は、犯罪ではない。大審院の判決の通りであります。この仕事は百万円だけれども、今度はお前九十九万円でやれ、その次はおれ、その次はお前だ、こういうような談合、協定が行われておるのであります。こういうような関係においてさようなAクラスは、自分の会社の直営事業としてやる場合もありますけれども、多くはBクラス、Cクラスに下請をさせる。百万円でとつた仕事は、仙台あたりでは大体六十万円でございます。なぜ庄司はそういうことを詳細に知つておるかというと、私は東北六県の電気通信工事関係の組合の顧問という役で、年に二回くらい、ごちそうになり、平素つぶさに業者の声として聞いておるのであります。この関係上、Aクラスという特権階級だけが太つて行く。次はBクラス、最後はCクラス、こういうことであります。そこで国鉄当局がただいまやつておるような入札の方法において、ある一定の資格を持つておる者には、たとい百人であろうと千人であろうと、堂々と競争入札をさせるというようなことをやつたら、いかがでございましようか。国鉄は従来このA、B、C級の資格を與えた特権階級をつくつての入札は御破算にして、きわめて自然発生的な入札方法であるので、その弊害はただいまのところはないようでありますが、そういうふうに改善をしていただき、工事入札に関する方法等について今以上御検討くださることが、汚職を除去する一つの方法ではないか。  それから資材の購入については、私は大いに問題であると思う。たとえば東北地方の業者は——これは東北だけのことを言うのではありません。一例として言うのであるが、東北地方のメーカーが生産し得る、また現につくつておるものを、現地ではそれを買わない。  そういうものは全部本省の方へ持つて来て、本省の方で全部買う。私は四国、九州の方のことはわかりませんけれども、その地方において適当なものが生産されておるならば、現地において調弁されてもいいのではないか。これについては先年業者が非常に騒いだのであります。一部緩和されたようでありますけれども、まだ現地調弁主義というものが徹底しておらない。そこであまりに厖大な資材を一時に購入する場合には、黒砂糖のかたまりにありがたかつたように、そこに汚職の誘惑がわいて来るのである。そういう点を改善されて、全国平均に、東北であろうが、北海道であろうが、四国、九州であろうが、現地々々においてそこの業者の生産したものを——不合格品の多いものはむろん論外でございますが、試験をされて、適当なものであれば、なるべく現地において調弁されるという御方針に改められたならば、汚職を除去する一つの方法になるのではなかろうか、かように考えております。  先ほど松井さんの質問に対して、新しいある会社の誕生について大臣の御所見を承りましたから、それ以上は追究しませんけれども、今度新しく誕生するであろうところの大会社なども、お役所の局長が二名も入つている。課長級だつた人が何名か入つている。そして大きな資本金を持つて、おそらく日本一の電信電話の工事会社として誕生するでありましよう。そういう会社が発生することはけつこうだとしても、この会社の株主は全国のAクラスの者でありまして、現にそれらを創立総会に集め、われわれの新会社は、電通省の一箇年の総工事予算の中において、少くとも四〇%の仕事をやるのだ、株主である諸君には必ず現地々々において下請をさせる、但しこの親会社には五分だけはてら銭を納めろ、つまり頭金を納付しろ、こういうことを述べておるのであります。私はその記録を見ました。ですからその会社は最初から、以前のポ勅によつて設立された電話工事会社と同じような性格を、その会社が立ち上つたときに確保することを期待しておる会社である。電通省としては指導奨励も何もされず、現在においては何らの関係がないそうでありますが、私は創立総会においてせつかくインヴイテーシヨンをもらつた大臣が欠席されたということを聞いて、さすがはわが尊敬する大臣だと陰ながら思つてつた。そういう会社ができて搾取を試みた——搾取というのは当てはまりませんが、あまりにも歩合やてら銭をどんどんとり過ぎる。またとれるのです。今申し上げたように百万円の工事を六十万円で下請にやらせ、それでも会社はもとより、下請でももうかつておるのでありますから、よほど私は検討しなければならぬ問題だと思う。私利会社に対しまして、本省としてはむろんガラス張りで、明朗な態度をもつて他の会社とまつたく同様なお取扱いを願いたい。最初から工事費の五分という頭金をはねることを声明している会社である。こういうものが出て、その会社の成績が上れば、いわゆる悪い言葉でいうと跋扈跳梁したあかつきにおいて、どこかの一角に汚職のにおいが発散しないでありましようか、私はそれをおそれる。また全国の知識ある中小業者の中に、圧倒されて倒れて来るものがないでありましようか、このことも私は心配するのであります。  以上申し上げたことは所感の一端であると同時に、大臣がただいま他の官庁より比較的汚職が多いお役所の長官として、責任をもつてこれを改善し、明朗なるお役所にとりもどすというその悲壯なる御決心に対しては、私は非常に敬意を表します。かつて伊藤博文公があることのために明治天皇に辞表を出されたとき、朕には辞職ということが許されておらない、伊藤は今国難の場合においてやめるのかと言われて伊藤さんはひれ伏して再びお受けしたということを聞いておりますが、さような純な心でひとつ庁内の明朗化——もとより庁内のお役人の全部が悪いのではない。一部の者であるが、その一部の者が比較的上職にある。仙台においても資材課長ほか四名がひつぱられておる。これを明朗にしていただくためには、ただ大臣の一片の訓辞だけではいけません。御多忙であろうと大臣みずから各部各課においでになつて、諸君とともにひざを交えて語るのであります。そしてともどもに明朗な電通省に改革する。その悲壯なる御決意は、多感なる若い青年諸君等をも、また間もなく恩給がついてやめるであろう多年勤続者の諸君をも感激せしめ、更生させるであろうと私は思うのであります。ただ一片の通牒を流しただけではだめでございますよ。ほんとうに真劍に語れば、お互いに日本人だからわかるんです。各省の中で比較的多くの汚職を出している電通省は、どうかひとつあざやかに改革の実を上げてほしい。それには工事入札の面において、資材購入の面において、その人を得、適材を適所におまわしくださいまして、そして心機一転といいましようか、何とかして明朗なものにしていただきたい。私は新聞で靱さんのことを見て心配して靱さんに電話をかけた。何も靱さんと深い交際はないけれども、この委員会でお見知りの靱さんである。ところが、庄司君、何も心配はない、新聞には出たが、私は何も良心に恥ずることはないということです。私は電話口で万歳と言つた。他のすべての無傷の諸君は、どうかいつまでも無傷であつてほしい。傷ついた諸君に、ざんげ滅罪の方に更生しなければならぬことは言うまでもありませんが、椎熊さんのおつしやられたように、やめることだけが大臣の偉さではない。苦しみの中に忍従をされ、苦悩の中に役所を明朗にして行くべきであります。適当なときに佐藤さんは佐藤さんの御決心を断行されることもけつこうでありましよう。しかし今汚職が出たから、にわかにあなたがやめられたことによつて、きよう、あすにも明朗になるものではない。むしろ責任を痛感する国務大臣は、身をもつて改善改革の実を上げて、その責任を果すべきものであると私は考えるのであります。願わくは新会社と本省との間において、いささかも一片の情をもつて見られることなきよう、切に私は勧告してやまないものであります。もし御答弁があれば御答弁を承りましよう。御答弁がなければ、なくてもけつこうであります。
  47. 山下知二郎

    ○山下(知)政府委員 前半の御指摘の、工事をA、B、Cというふうにわけて指名しているという点につきまして一言申し上げます。これはもとより共同入札でありますから、だれでもやつてもらつていいわけでありますけれども、私どもの要望します仕事は、技術的に非常に繊細にしてむずかしいと申しますか、丁寧に、ちよつと見ではできないようなこともしつかりやつてもらわなければならないという点や、また工事それ自身が金額によつて相当張るということもございますから、それ相応に相手の工事会社の意に合うような方法でやろう。そこで大幅のものはやはり大きな資本と信用と手を持つているものを充てなければならぬといつたような見地から、愼重に各会社からのお申出を審議いたしまして、A、B、Cという大体のわけ方によつて工事費の見積りを受けているわけであります。従いまして先ほど仙台にAクラスが三つしかないというお話でありますが、仙台にはさようでございますけれども東京とかその他には相当数のものがございますから、そういうものもなおその中に入つて見積りに参画するということはできるわけでございます。ですから時期的にある限度を設けて、それだけに恩恵を與えるというようなことはいたしておりません。なおまた談合というようなことにつきましては、私どもはそういうことを生じないように、非常に注意深くそれを監視いたしているものでございます。また資材の点につきましては、私伺いまして御説ごもつともだと思う点もございます。ただ資材は、これまた相当使用をやかましく申しまして、機能的に巖重な検査をいたし、また外観だけではいけなくて、どうしてもその製品の持ちます機能を十分に見きわめなければならぬというよふな点からいたしまして、本省におきまして一括して準備しますものと、地方において準備いたしますものとの二種類をつくつて、そうして全国的に使われまして、かつまた使用的に均分でなければならぬようなものは本省で準備をして、地方的にさしつかえないものは地方準備品というようなものにいたして実行いたしてみたのであります。その後実行しました当座は、まだ終戦から立上りでありまして、十分な生産力が全国的に波及し得なかつたというようなところから、そういうことを考え出したわけでありますが、その後だんだん地方でも相当優良品ができる、むしろ東京でそれぞれ準備しましても、あるいは東京でそういうふうに準備する手を経まして、地方でつくられるものを本省準備品として運賃までむだをするよりも、やはり地方は地方で整えた方がいいというようなものも相当数に出て参りました。ですから一括購入のものをできるだけ地方準備品に振り向けて、地方で準備してもらうというように、今その方針をとりつつあるわけでございます。なおこの上ともそういうことを十分有理的に押し進めて行きたいと思つております。
  48. 庄司一郎

    ○庄司委員 私のおしやべりはやめようと思つて決心しておつたのでありますが、お答えの中に少々ふに落ちない点がありますので、もう一点お伺いいたします。大体あなたの御答弁はけつこうです。けつこうだが、Aクラスには、かりに百万円以上の工事だとか、三百万円以上の工事だとかいう定めがあつて、あなたのおつしやるような一般的な入札は拒絶されている。これは現実問題です。そういう点は御答弁がお間違いでないかと思います。AクラスはAクラス、BクラスはBクラスだけに限定されて、今の入札の資格の方法が行われている。談合は絶対させないということを言つておりますが、談合ということは悪いことじやないということは、本員が先ほど申し上げた通りでありまして、悪意、故意をもつて政府予算以上に不当に不法に高くとろうという談合をやつた場合には、大審院の判決で罰せられるものである。甲、乙、丙とたらいまわしにする協定や談合は、何ら犯罪性はありません。但しその場合には最高の予算を、百万円の場合は九十九万円九千九百九十九円九十九銭でとるという傾向があまりにも多い。それは最後の切札の予算を内通する予算理事者が裏にいるからであります。それをしないようにするためには、先ほど申し上げました適材適所で行く。そういうことを防止するために、責任のある課長さんとか、部長さんとか、係長を、しつかりした、りつぱな意思の堅実な、誘惑に負けない人を御選抜になるということが、これからのあり方ではないかと思います。あとはお答えはいりません。私はよく入札の方法を知つているのですから——
  49. 田中重彌

    田中委員長 田島ひで君。
  50. 田島ひで

    ○田島(ひ)委員 新聞の報じますところによりましても、最近の各官庁における汚職不正は実にたくさんございまして、特にこの電通関係の問題は非常に大きくなりまして、おそらくこれを徹底的に進めて発展させましたならば、吉田内閣がぐらつくのではないかとまでいわれているのでございます。さきに芦田内閣が不正問題で倒れましたあの昭和電工事件にも匹敵すると、新聞は報じております。今までの政府の方からのお答えや御報告の内容では、詳しい点はわかりませんし、現に事件はただいま進行中でございまするが、私も先ほどの松井委員と同じように、この事件はきようここで問題を全部私は質問申し上げるのではなく、私が気づきました二、三の点を質問いたしまして、あとは事件の発展に従つて、これを後ほどの発言に保留いたしまして、徹底的にこれを調査発展させて行かなければならないと思つておりますが、大臣は先ほどの御発言で、一応の御決意のほどをお示しになりましたが、私は大臣がどのように決意をなさつているか知りませんが、問題は国民の血税を使つてこのような大きな不正がなされている。この問題の背後には非常に複雑な、奇怪な、いろいろなうわさが省の内外に宣伝されております。まず私は大臣にこの事件を徹底的に——たとえば現に大橋法務総裁の二重煙突事件という事件も、一応何か終つておると思つておりますと、またこのごろ煙が出て参りました。臭いものにふたをするよりな態度が非常に見えております。それはこの事件調査に参られましたところの監察当局の言動の中にもそれが見られております。下の方では、監察官が調査に来たのか、もみ消しに来たのかわからないということがいわれております。おそらくこの電極委員会の中でも、早くこの事件を終らせたいという空気がないでもないと思います。私は大臣がこの問題を徹底的に調査し、発展させ、そしてこれを国民の前にはつきりさせるお考えをお持ちになつているかどうかを、まず最初にお伺いしたいと思います。
  51. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 先ほど来お答え申し上げておりますように、すでに事件の明らかになつたのもありますし、また今検察当局が取調べ中のものもあります。明らかになつたものはすでにお話申し上げたようにも思います。いろいろの問題が綱紀粛正の点で考えられまするが、やはり信賞必罰と申しますか、事態を正確につかむということ、これは一つの大きな問題だと思うのであります。私は先ほど来私の所信を申し上げた次第でございますが、綱紀を粛正するという観点に立ちますれば、臭いものにふたをするというような考え方は毛頭持つておりません。なお椎熊委員からも御注意がございましたが、この種の問題がいろいろ政治問題に利用され、共産党に利用されるというようなことにつきましては、私ども特に戒心するつもりでおりますし、臭いものにふたをするというような考えは、毛頭ないことをこの席で明言しておきます。
  52. 田島ひで

    ○田島(ひ)委員 私は具体的な問題についてお尋ねいたします。私が知つておる範囲内の問題で一、二点でございますが、この事件は大体工事関係についての、技術官方面の方が相当挙げられております。この内容は警視庁の方にまわつておりますから、はつきりさせられてあると思いますが、先ほど靱次官の御発言では——私はここに二月七日の読売新聞を持つて参りました。新聞の記事は信用ならないと申されるかもしれませんけれども、はつきりと本省の吉村課長——三年間の電話架設工事費が六百億に上つております。ほとんど実権を握つているこの課長が、この厖大なる予算の采配を振つている。この不正流用については吉村課長は四月の深更に至り、「私は靱、鈴木両次官工事費をまわしている、ことは重大だから一両日考えさせてほしい」と述べたことが発表されております。もちろんこれについては、きのう靱次官がまつたく潔白だということを申されておりますから、そうお答えになるだろうと思いますが、単にそれだけでは、私はこの疑惑は解かれないと思います。もしほんとうに潔白だというようなことを申されるならば、吉村課長を何らかの形でここへ証人としてお呼びになつて、その内容をお聞きになることができますかどうか、またそういう態度をおとりになりますかどうか。同時にまた進んで、単にここの問題だけではなぐ、行監あたりとあわせて徹底的にこれを審査するような方向へお進みになるつもりはないかどうか、その点をお伺いします。
  53. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 読売新聞の記事について、吉村課長がこれこれのことを言つたということが報道されている。その記事をとつてお尋ねでありますが、今日の新聞でしたか、靱次官がこの席で申し上げたことも、読売新聞にはつきり出ているのでございます。従つて記事そのものでとやかくお話になりますならば、靱次官新聞記事ばかりではなく、この公開の最も大事な国会委員会において、はつきり申し上げているのでありますから、これを十分お考えになりますれば、お尋ねもおのずから解消するのではないか、かように存じますので、一言私の所見を申し上げておきます。
  54. 靱勉

    靱説明員 ただいま吉村課長を呼び出してどうこうするというような御質問でございますが、この事件は申すまでもなく現在捜査中のものであります。ことに新聞に出たからといいまして、新聞社に行つて、どこから出たのか、また私が乗り越んで行つて本人に会うということをするのがはたして妥当であるかどうか、これは一般の常識の問題だと思います。私自身つたくそういうような事実がないという確信のもとに、昨日一身上の弁明をいたしたのであります。当委員会に現在拘置されておる人を呼んで対決するとか、そういうようなことは、私の常識としては考えられないところでございます。
  55. 田島ひで

    ○田島(ひ)委員 私が特にこの点をお聞きいたしますのは、電通省内には二  つの派がある。これは前からずいぶん内外にはつきりいわれておつた問題でございます。たとえば事務系統と工務系統の二つの派があります。そうして靱さんは、率直に言いますれば靱派だとまでいわれておるのでございます。  こうした靱次官がこのようなことを新聞に出されましたについては、省内においても相当問題になつておりますから、いずれこの問題は事件の進行につれて明らかにはなりましようけれども、単に自分は潔白で、新聞記事だからそうではないというような程度で  は、国民にも納得が行かないだろうと思いますから、何らかの方法でこれをもつと明らかになされる必要があるのではないかと思いますが、もう一度その点をお伺いいたします。
  56. 靱勉

    靱説明員 ただいま申し上げた通りで、事件捜査中でありますし、私は新聞がうそを報道したとかなんとか申しておるのでありません。昨日も世間にそういうふうに、あるやに伝えられたと私は申したのであります。新聞だからそのニユースが信ぜられないとかなんとか言うのでないのであります。私は他のいかなる関係にかかわらず、新聞に出たとかなんとかいう意味合いではもちろんない。これはよく申し上げます。そういう事実はありませんということをこの席上で表明いたしまして、本日それが読売新聞にも載つておりますので、私は現在いかなる方法によつてこれを明らかにするかとおつしやられても、私自身のことでありますので、これは私としまして、今最善の処置をとつておると考えております。
  57. 田島ひで

    ○田島(ひ)委員 この問題につきましては、靱次官のここでの御発言がありましたから、私はここではこれ以上は水かけ論になりますからお聞きいたしません。いずれ問題の進行の過程で、私の方からもまたお伺いする点が出て来るかもしれませんから、そのときまで問題を保留しておきます。  先ほど申しました臭いものにふたをするような態度をとられておるという点につきましての一例を私が申しますと、これは本省の監理局の、お名前を申し上げてもよろしいと思いますが、その方が、横浜のかつてレツド・パージになつた人のところへ来られまして、これはレツド・パージした方の上の人です。ここに名前がありますから申し上げますが、浅野という人です。この人の職階はちよつと記憶いたしませんけれども、この人が来られまして、あなたを首にしたのは非常に申訳なかつた。近くあなたを復職させたい。しかし汚職のことについては一切口外しないでくれといつて、菓子折を持つて来られた事件がございます。たいへん小さい事件でございますけれども大臣お笑いになつておられるけれども、やはり臭いものにふたをするようなやり方の一端が、ここにも見られておるんじやないか。これはわずかの小さい点かもしれませんけれども、やはり全体の電通省の上の方の方の空気が、ここに出ておるんじやないか。こういう事実について、何らかやはりそういうような空気が見えますので、これについてひとつ御答弁を願います。
  58. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 このうしろに並んでおります事務当局にも、心当りはないかといつていろいろ尋ねてみたのですが、全然心当りがないということであります。本省には監理局というのは実はないでありまして、むしろはつきりお話なさつた方が、こういう問題は、私ども隠す考え方はないのでありますから、一層問題を明確にするのじやないかと思います。田島さんの持つておられる資料をはつきりなすつて局長なりあるいは課長なりが、その問題は全然心当りがないと申しますから、当局の方には関係はないことではありますが、疑いがあるようでありますので、この際その人の名前をはつきり言つていただくことをお願いしたい。
  59. 田島ひで

    ○田島(ひ)委員 私がここに持つております資料は、電通本省の監理局の浅野となつておりますけれども、もし心当りがないといたしますれば、私がもう一度調査いたして参りまして、この次の機会にでも、私申し上げます。もしこういうような事情があつたとすれば、質問さしていただきます。  次にこの事件発生の根拠、原因といいますか、それについては政府の方からいろいろ申されましたが、これの一番大きな問題は、やはり電話架設工事の請負についての、請負業者との間の問題だと思います。たしかこれはこの前に民間の電気建設会社の電建が電通省に吸収されまして、電通省といたしましては、電話工事はほとんど直轄工事としてなされる態勢をとつていたと存じます。それらの工事を、こういうような中小業者に請負わせなければならないという原因がどこにあるか。直轄工事でどんどんなさればよい。もし定員法などで従業員が足りなければ従業員を入れて——おそらく私は従業員が足りないから、そういうところへ請負わせるというような形をとつてつたのではないかと思いますが、その点のいきさつを御説明いただきたいと思います。
  60. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 本省のうちに直轄工事もありますし、請負工事もあるわけであります。不詳事件として上つておりますものは、昨日も御説明申し上げましたように、いわゆる切投げ工事、こういうものであります。最近の民間の工事力等を考えますれば、先ほど電通省の方針を明らかにいたしましたように、請負工事範囲を拡大する考え方でおります。いわゆる直営工事はできるだけ縮小いたしまして、競争入札によつて公正に工事ができる請負の範囲に切りかえる、かような方針でおるのであります。
  61. 田島ひで

    ○田島(ひ)委員 そういたしますと、先ほど松井委員の御質問がありましたことに関連してちよつとお伺いしたいと思いますことは、ただいま中小企業の方が相当請負をやつておられます。この問題についてやはり相当問題があると思いますが、最近、これはまだ先ほどの大臣のお答えでははつきりとしたお答えがありませんでしたが、たしか日本電話工事会社というのが、昨年の十二月にできたように私は聞いております。これには佐藤大臣の最も近しい岸信介氏も一枚加わつておられる。三千万の資本を持つた大会社ということがいわれております。この会社は、先ほど松井さんの御質問に対しては十分なるお答えがありませんでしたが、まだできていないのか、できているのか。こういうものができようとすることに対して、佐藤大臣は何らかの関係をお持ちになつておられるのか。またどういうお考えを持つておられるのか、ちよつとお伺いしたい。
  62. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 その種の会社ができたということは伺つております。会社はできておるのであります。ただお話がありましたが、私の兄岸はこの会社に関係はありません。これははつきり申し上げます。  それからなお工事請負の範囲を拡大するということになりますれば、資力、信用のある工事会社が出て来ることとは私どもの希望するところであります。それは先ほど松井委員にお答えした通りでございます。
  63. 田島ひで

    ○田島(ひ)委員 大体今度の汚職の根本は、請負者との請負の上において行われていると思いますので、そういたしますとこういう大会社、独占的会社ができますと、結局はそちらの方へほとんど請負が集中されると思う。すると不正がより一層多くなり、独占的に、一般に公用されずに行われるような結果になると思います。このいろいろな不正、汚職の原因については、昨日からいろいろ申されましたが、私はその根本的な問題として、こういうような機構があるからこそ汚職ができる。いろいろ原因はありましようが、ここに根本的な原因がある。こういう会社ができることについて、大臣はただいまのお答えでは望んでおられるようなお答えでありましたが、私はこれにもまた不正の原因になるものがあると思うのでありますが、その点について伺いたい。
  64. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 前提としてこの種の会社が独占会社であるということでありますれば、御指摘のようないろいろな疑惑も生ずることかと思います。しかし先ほど来私からお話申し上げましたごとく、この会社も他の会社と同様に競争入札をする一会社でございます。従いましてこの競争入札自身に不正があるとかいうようなお話であればこれはまた別だと思いますが、独占する会社ではない。工事の請負をきめます際には必ずガラス張りの中で明朗なる競争入札をやらす。これによりまして御心配のような不正はないと私どもは確信をしております。
  65. 田島ひで

    ○田島(ひ)委員 この問題は私が大臣にこれ以上申し上げましても水かげ論になりますけれども、おそらくこうした不正は、今後ますます私は行われるのではないかと思う。同時にこのような不正が、今まで長い間相当の数に上つておりましたのが、最近急にこれが大きな問題になりましたところの原因について、これは政府の方でいろいろ申されるかもしれませんけれども、今までどうしてこれがそう問題にならなくて、念にこれが問題になつたか。もちろんこれは一昨年の夏の会計監査の結果出たと申されますけれども、私はいつでしたか、相当前の第七国会か第八国会のころに、逓信委員会のころであつたかもしれませんけれども、今の大臣ではございませんが、不正の問題について申し上げたときに、それの解決について返答を得られていなかつた相当不正の事実があつたことは周知の事実なんであります。それが急に今になつて問題にされて来たという点について、単なる手落ちだ、あるいは申訳ないということでは済まされないと思う。この間の事情について、もう少し詳しくおわかりになつておるならば御説明いただきたい。
  66. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 この点につきましては昨日来詳細に御説明申し上げ、田島委員もその席におられたようでありますから、重ねての説明を省略いたします。ただ私が一言つげ加えて申し上げておきたい点は、御承知のように終戦直後におきまして、共産党勢力が相当強い際に、いろいろ暴露戦術等の運動も各所に行われたのでございます。これは私が申すよりも、田島委員の方が詳しく御承知かと思います。それにもかかわらずその当時は、こういう問題は議論になつておらなかつた。その後省の監察当局あるいは会計監査等でいろいろ調査いたしました結果、会計法上いろいろ疑義を生じ、またそれらのうちの一部におきましては、扱い方から見まして刑法上の問題にもなるような問題を発見いたし、それぞれそれらの調査を進めておつたやさきに、検察当局からも追究されるようになつたというような状態であるのであります。これらの点は詳しく昨日来申し上げましたので、それより以上は申し上げません。
  67. 田島ひで

    ○田島(ひ)委員 私はもう一点お伺いしておきます。これはお答えいただかなくてもよろしいのですが、労働組合が強いころ、つまりレツド・パージ以前に労働組合自身が民主的になされましたころには、官公吏の汚職は、労働組合の監視がありましたために、相当防げたわけであります。おそらく定員法以来、レツト・パージ以来、目に余るほどのものが方々にあることは、もう明らかになつております。この点につきましては、おそらく大臣に申し上げても見解の相違だと言われますから、私はこれ以上お答えをいただこうとは思いませんが、今度の事件につきましては、これはいろいろととりざたされております。具体的に私ははつきり確信を持つておりませんから申し上げませんけれども、おそらく問題を下の方の小さいところであばき出して、大きな根源、上の方はやはりこれをおおい隠さんとするような態度が明らかに見えております。同時に今度のこの不正の摘発についても、省内派閥の争いが大きくなつて来ておる。これはもう省内の人にお聞きになれば、だれでもわかつておることであろうと思う。そうしてそれをめぐつて読売のこの記事にもありますように、某政党への政治献金も——はつきり申しますと、自由党あたりには一千万以上のものが出たということもいわれております。そういう問題が相当からんで来るのではないかと思いますから、私はこれ以上はここでは申し上げませんが、今後いろいろな事件の進行と同時に資料を得まして、問題が大きくなればもちろん電通委員会の問題ばかりでなく、行監ともあわせてこの問題を取上げて行きたいと思つておりますから、きようは私はこの程度で質問は打切ります。
  68. 椎熊三郎

    椎熊委員 当委員会は裁判所ではないのです。国会内に行政監察委員会などというものが終戦後できておる。三権分立をもつて本旨とする日本憲法の建前から、立法府において検察官のごとき行動を現にやつておるということにも、私は多少の疑義を持つております。しかしながら現実にはあるのですから、それを活用されてしかるべきだと思います。ところがわれわれの持つておる電気通信委員会というものは、そういうものとはまつたく違うのです。従つて電気通信省に関する所管事項あるいは予算、そういうものに関して私ども責任ある調査もし、研究もし、議論をしてしかるべきでございます。今度突発いたしました疑獄事件のごときは、すでに国家権力を発動して捜査が進められ、現に起訴せられておるものさえあるのでありまして、それらの罪状の内容にこの委員会として立ち入ることは、越権だと私は思います。ことに今回の疑獄事件に関連して、労働組合の監視が弱かつたから不正事件がふえて来たのではなかろうか、あるいは省内派閥があつて、多数の金を某政党に献金したなどということを、委員がこの神聖なる委員会で発言する以上、何らかの根拠がなければ言えることじやない。私どもはこれを聞きのがし得ません。天下の政党たる自由党が、省内派閥の結果として役所から一千万円からの金を受取つたということを、この委員会に暴露されておつて、天下の公党たる自由党の諸君はこれを黙認するのか。私はあなた方の政党ではないけれども国会議員全体の侮辱のために、こういうことは黙過してはならないことだと思います。ほんとうに確実な的確な材料があつて言うのでなければ、これは抜き差しならぬことになりましよう。田島君はわれわれの同僚であります。この委員会においてこういう発言をする以上は、その責任は田島君にあるのです。それが事実であるとすれば、日本国会として許すべからざる重大事件です。あなたが単なる読売新聞の記事などによつて、他党を罵倒し、官僚を侮辱し、委員会の権威を失墜する放言をあえてするということは、当委員会の運営上私は黙過することはできない。委員長はなぜ注意をなさらないのですか。漫然とそこに腰かけておるだけでは、委員長の職責は務まらない。こういう点は国会運営上大事なことであるから、われわれはみな責任あることをやらなければならない。発言はことごとくみずからの責任においてやらなければならない。田島君は一新聞の記事に責任を転嫁し、天下の公党を侮辱し、あるかないかわからないという確信を持たない、自信を持たない問題をこの席上で暴露するに至つては、私は共産党の戦術としてはどうか知らないが、国会議員として、責任ある政治家の態度として——委員長が注意なさらないことは、委員長の怠慢もあると思います。あなたはおなれにならないからでもあるけれども、この委員会はそんな軽蔑される委員会ではございません。委員会の運営上にもこれはデリケートな問題ですから、各委員は注意もしましようけれども委員長におかれましても、一層の御注意をもつて、ほんとうに正して軌道の上に乗つている委員会の運営の仕方に持つてつていただきたい。
  69. 田中重彌

    田中委員長 了承いたしました。
  70. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 私は別に答弁をするつもりではございません。ただいまの国会の運営のことにつきましては、椎熊委員からお話がありましたが、田島委員の先ほどの発言は私非常に不満を感じたのであります。と申しますのは、最近労働組合が弱くなつたから、こういう事件が起るというお話が出たのでありますが、ただいま調査、また追究されております事件は、いずれも二十四年、二十五年の時分であります。この時分、組合が弱かつたとは私は思いません。まだレツド・パージがやられない前だろうと思います。この点は重大なる過誤であります。さらにただいま数千万円とか一千万円とかが、某政党に行つている疑いがあるというお話がありました。これあたりも、実は私先ほど来からお答えするのに非常に気をつけてお話を申し上げていたのでありますが、国会委員会は最も神聖であり、最も大事なところで、これが一党一派のために利用されるようなことがあつては相ならないと思うのであります。多分にその種の宣伝的な御意見つたように思いますので、あえて私の所信を披瀝する次第でございます。
  71. 田島ひで

    ○田島(ひ)委員 ただいま椎熊委員からもお話がありましたが、私はここに読売新聞の記事を持つて来ておりますが、単なる新聞と申されますけれども、読売新聞相当読まれている新聞です。こういうような疑惑を持たれるようなことが大きく第一面に出ております。これに対して当局としての御意見を、私はお聞きしているのです。議会の運営の問題につきましては、それこそここの問題ではなく、議院運営委員会などで問題にしていただきたいと私は思います。こういう点をやはり国民に納得させるだけの相当な発言がなければ——私がここで質問するよりも、もつと事は重大だと思います。国民の血税がどこに使われているか、この新聞を見ても国民はこれを信用しております。共産党のことでも相当デマの記事が出て、みな信用されております。松阪事件は共産党のさせた火事だといわれております。これはまつたく事実無根でありますけれども、一般の人はそれを信用しております。ですからこういう問題についても申し上げたのです。これ以上は申し上げませんけれども、何らかのはつきりした態度をとる必要があるのではないかと思います。     —————————————
  72. 田中重彌

    田中委員長 お諮りいたします。ただいま審議中の日本放送協会昭和二十五年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書に関し、参考人として次会に日本放送協会理事岡部重信君より意見を聴取するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  73. 田中重彌

    田中委員長 それではさように決定をいたします。  本日はこの程度にとどめ、散会いたします。次会は十九日午後一時より開会いたします。     午後三時二十八分散会