○高塩
委員 ただいま靱
電気通信事務次官より、過般の
新聞記事に関しまして一身上の弁明があ
つたのでありますが、私がこれから行いますところの質問は、靱次官あるいは杉山中国
電気通信局長などの個人に関するものではないのでありまして、より広汎に
電気通信省にかかる
不正非違事件の全体を対象とするものであることを、
最初にお断り申し上げておきます。
大臣を補佐して一省を統括する次官が、一、二の
新聞記事によ
つてであるとは言いながら、世上の疑惑をこうむるに至つたということは、もとより重大なことでありまするけれ
ども、この問題はただいま次官その人から、絶対に潔白である旨の弁明がありましたので、かすに時日をも
つていたしますならば、その潔白も明瞭となると思うのでありまして、私はきようこの問題に立ち入ることは差控えたいと存ずるのでありますが、ただ最近ひんぴんとして報ぜられますところの
電気通信省全体の汚職不正の
事件に関しては、本
委員会といたしまして黙視することに忍びず、ここに質問を申し上げたいと思うのであります。昨年後半より本年当初にかけまして、中央、
地方を通じまして、
電気通信部内に関する各種の不正
事件が相次いで
新聞紙上に
報道され、
電気通信省はあたかも
官庁汚職の代表的なものであるかのごとき観を呈しまして、
事業に対する
国民の信用もまつたく失われようとする
状況にありますことは、まことに遺憾この上ない事実と申すよりほかはないのであります。この問題につきましては、去る一月二十九日の本
委員会におきまして、
電気通信大臣からも深く遺憾の意を表せられ、将来の粛正につきまして決意を述べられたのでありますが、私はこの際あとう限り
事態の真相をこの
委員会を通じて
国民に知らしめ、正すべきは正し、改むべきは改めて、
事業経営の根幹ともいうべき道義と信用を回復することは、ひとり
政府のみならず、本
委員会の当然果すべき責務なりと
考えますので、ここに重ねて本問題に関し当局の
説明を求めますとともに、その所信をただしたいと思うのであります。
具体的の
質疑に入ります前に、少しく質問の趣意を明らかにしておきたいと思うのでありますが、
電気通信省の
事業犯罪に関しましては、昨年八月七日第十
国会における本
委員会の席上、私は当時
新聞に
報道せられましたる神戸、下関、秋田の三路線工事に関する不正
事件及び丸の内
電気通信管理所の一千万円浮貸
事件等につき、特に
質疑を行いまして、綱紀の振粛に関しまして、当局の特段なる注意を喚起いたしますとともに、将来再びこうした
事件がわが
委員会において取上げられることのないように、切に要望いたしたのであります。しかるに
電気通信部内におけるところの各種汚職不正
事件は、その後続発いたしまして、ほとんど底止するところを知ざる有様でありまして、昨年十一月には、本省要路の局長自身重大なる容疑を受けまして検挙され、本年に入りまして、本省施設局の課長などの身辺に波及し、現在なお中央、
地方にわた
つて幾多の
事件につきまして、検察当局の捜査が進展しておるように聞いておるのであります。由来
電気通信事業犯罪はここ両三年、年を追
つて著しく増加しておるのであります。
電気通信年鑑所載の統計によりますと、
昭和二十五
年度においては、総件数約千五件、被害金額は約九千万円に達し、これを二十四
年度に比較いたしますると、件数で七倍、金額では四倍半の増加に当り、また二十三
年度に比較いたしますると、件数において十七倍、金額において七倍の増加とな
つておるのであります。
昭和二十六
年度の
状況につきましては、後刻当局より詳細にわた
つて承りたいと思うのでありますが、聞くところによりますと、昨年の四月ないし十二月までの九箇月間における犯罪件数は九千件に近く、被害金額は一億八千万円の巨額を算するということでありまして、これは件数、金額ともに前
年度の二倍に近く、実に驚くべき数字と言わねばならないのであります。もつともこれらの数字の大部分を占めるものは、
通信線の窃取等の部外者による犯罪でありますが、電報、電話料金の横領、公金の詐取、横領及び不当支出、
電話架設及び各種工事の施行に伴うところの収賄、汚職、不当
経理等の部内者による
不正非違事件も決して少くないのでありまして、私の推定によりますと、本
年度以降明らかと
なつた部内犯罪だけでも、被害金額は約五、六千万円に上るのではないかと
考えられるのであります。
電気通信事業犯罪中で、部外者によるものの被害金額が一箇年一億円以上に上るということは、重大な問題でありまして、本
委員会といたしましても、
政府に協力して何らかの対策を考究いたさなければならないと思うのであります。部外犯罪については、
電気通信省はいわば被害者たる立場にあります。私が本日
質疑を申し上げんとするのは、
電気通信省自身が
国民に対する加害者たる面、すなわち
電気通信職員自体による各種の非違不正についてであります。そうしてまた部内犯罪のうちでも、各種の収賄、汚職、公金の不当費消、官品の横流し、なかんずく本省施設局を中核といたしまする建設工事に関する非違
事件は、私の最も重視するところであります。今日電話に対する需要が熾烈をきわめておりますにかかわりませず、
国民の輿望が満足されない理由が、一に電話建設
予算の不足にあると
説明されておる際に、電話施設費が不正不当に費消されておるということであ
つては、
国民を欺罔すること、これよりはなはだしきはないと
考えますので、私の質問もこの点に重点を置きますから、御答弁も、この問題を中心としてお願いしたいと思うのであります。なお御答弁は、大綱及び方針に関しましては
佐藤電気通信大臣にお願いしますが、具体的事実に関しましては、
政府委員からお答えを願いたいと思うのであります。
そこでまず第一にお伺いいたしますことは、最近における
電気通信事業犯罪の件数及び被害金額等の概況についてお尋ねいたしたいと思うのでありますが、特に
昭和二十六
年度に入
つてからの分は、資料もありませんから、御準備がありましたら御提出を願いたいと思うのであります。また先ほど申しました
趣旨によりまして、部内犯罪と部外犯罪とを区別して、部内者による犯罪、非違に重点を置いて御
説明を願いたいと思うのであります。