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1952-02-14 第13回国会 衆議院 電気通信委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年二月十四日(木曜日)     午後一時三十四分開議  出席委員    委員長 田中 重彌君    理事 關内 正一君 理事 高塩 三郎君   理事 橋本登美三郎君 理事 長谷川四郎君    理事 松井 政吉君       井手 光治君    岡西 明貞君       加藤隆太郎君    庄司 一郎君       福永 一臣君    椎熊 三郎君       畠山 重勇君    石川金次郎君       田島 ひで君  出席国務大臣         電気通信大臣  佐藤 榮作君  出席政府委員         電波監理委員会         委員長     網島  毅君         電波監理委員会         副委員長    岡咲 恕一君         電波監理長官  長谷 愼一君         電気通信監   山下知二郎君         電気通信事務官         (業務局長)  田辺  正君         電気通信事務官         (経理局長)  肥爪 龜三君         電気通信技官         (施設局長)  中尾 徹夫君  委員外出席者         電気通信事務次         官       靱   勉君         会計検査院事務         官         (検査第四局         長)      大沢  実君         会計検査院事務         官         (検査第四局出         資検査課長)  小林 雄全君         專  門  員 吉田 弘苗君         專  門  員 中村 寅市君     ――――――――――――― 二月六日  宇津野駅に公衆電話架設請願山本猛夫君紹  介)(第四七一号)  南山形及び北山形両小学校に電話架設請願(  山本猛夫紹介)(第五〇八号)  福岡電気通信管理所庁舎等新築促進請願(山  本猛夫紹介)(第五〇九号)  鶯宿温泉等電話増設請願山本猛夫君紹  介)(第五一〇号) 同月九日  神岡、富山間直通電話回線新設等請願(岡村  利右衞門紹介)(第五八三号) 同月十三日  電話事業解放に関する請願吉武惠市君外二名  紹介)(第六五九号)  甘木町の電話交換方式改善に関する請願(守島  伍郎君外一名紹介)(第六六一号)  北海道におけるテレビジヨン放送に関する請願  (伊藤郷一君紹介)(第六六二号)  夏尾及び吉之元に電話架設請願瀬戸山三男  君紹介)(第六六三号)  奈良市の電話施設改善並びに電話加入地域合併  に関する請願前田正男君外三名紹介)(第七  〇四号)  尾久町都電小台停留所等公衆電話架設請願  (天野公義紹介)(第七三九号) の審査を本委員会に付託された。 同月七日  テレビジヨン放送実施に関する陳情書外二十  三件(第三五九  号)  テレビジヨン放送実施促進に関する陳情書外  一件(第三六  〇号)  テレビジヨン放送熊本誘致に関する陳情書外  二件(第三六一  号)  テレビジヨン放送の宮崎市誘致に関する陳情書  (第三六二号) 同月十二日  テレビジヨン放送実施に関する陳情書外二十  九件  (第四五九号)  同(第四六〇号)  北海道電気通信施設増強に関する陳情書  (第四六一号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  日本放送協会昭和二十五年度財産目録貸借対  照表及び損益計算書  電気通信省に関する機構改革の件  電気通信省部内における不正非違事件     ―――――――――――――
  2. 田中重彌

    田中委員長 それでは電気通信委員会を開会いたします。  この際、網島政府委員より発言を求められておりまするので、これを許します。網島政府委員
  3. 網島毅

    網島政府委員 私、電波監理委員会網島でございます。先般前委員長の富安さんが御健康を害されまして、委員長を御辞任されました。そのあとの委員長といたしまして、先般不肖私が、総理大臣より国会承認を得られまして、後任委員長として任命いたされたのでありまして、私不肖でございますが、今後電波監理委員会委員長として、電波行政を担当いたすことに相なつた次第であります。  御承知のように私どもの前には、テレビジヨン問題を初め、昨年ようやく発足いたしました民間放送の今後の問題、及び新しい放送法によりまして大きな使命を與えられました日本放送協会のいろいろな問題、またことしの秋には、ブエノスアイレスにおきまして電波に関する條約会議がございます。そういうようないろいろなむずかしい困難な問題が前途に横たわつておる次第でございますが、私としては、一昨年御制定になりました電波監理委員会設置法電波法及び放送法趣旨に沿いまして、全力をあげて私に與えられました電波行政の任務を途行いたしたいと存じております。何とぞ当委員会の各位におかれましても、不肖私を御指導、御鞭撻くださいまして、わが国のためにりつぱな電波行政が行われますよう、衷心からお願いする次第であります。どうぞよろしくお願いいたします。     —————————————
  4. 田中重彌

    田中委員長 去る一月二十五日本委員会に付託になりました日本放送協会昭和二十五年度財産目録貸借対照表及び損益計算書を議題とし、その審議に入ります。まず電波監理委員会より説明を求めます。網島政府委員
  5. 網島毅

    網島政府委員 最初に私から、ただいま委員長よりお話のございました日本放送協会昭和二十五年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書を提出いたしました理由を申し上げます。  御承知のように放送法の第四十條によりまして日本放送協会は、毎事業年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書電波監理委員会に提出いたすことに相なつておるのでございますが、電波監理委員会は、これらの書類内閣に提出いたしまして、内閣はまたこれを会計検査院検査を経まして、国会に提出することに相なつておる次第であります。これらの書類が先般会計検査院検査を経、その御意見を付されて内閣に帰つて参りましたので、ただいま国会に御提出申し上げた次第であります。そうして本電気通信委員会におかれまして、本日より御審査をいただくことに相なつたのであります。ただいまお出しいたしましたものは、放送法によつて設立された協会最初年度のものでございまして、この最初年度予算書は、放送法の附則第九項によりまして、当時電気通信大臣の認可を経て執行されたものでございます。従いまして放送法第三十七條によつて国会承認を得て執行されました二十六年度予算とは、経過的に趣を異にいたしておる次第でございます。何とぞよろしく御審査のほどをお願いいたす次第であります。
  6. 田中重彌

    田中委員長 次に会計検査院より検査報告について説明を求めますが、念のため会計検査院よりの出席者の氏名を申し上げます。検査第四局長大沢実君、同局出資検査課長小林雄主君、同課平野淳次郎君でございます。それでは検査報告について説明を求めます。
  7. 大沢実

    大沢会計検査院説明員 会計検査院昭和二十五年度日本放送協会財務諸表検査いたしました結果を、かいつまんで御報告申し上げます。  会計検査院日本放送協会検査いたしますことは、放送法の四十一條で規定されてあるところでございますが、これをどういう見地からどの程度検査するかということに関しましては、いわゆる政府出資の法人などとは多少趣を異にするのではなかろうかというような観点から検討いたしました。なお本電気通信委員会放送法審議のときの速記録などの点もいろいろ検討いたしまして、大体におきまして昭和二十五年度放送協会財務諸表に関しましては、そのすべての経理企業会計原則従つて経理されておるかという点、及びその仕事の内容において、放送法趣旨に反しておるものはないかという点を主として検査をいたした次第でございます。なお検査担当職員の数の関係その他もございまして、実際に検査を施行いたしましたのは、東京の本部のほかには各地中央放送局を一通り検査いたしました。その下部機構というか、こまかな地方放送局には手が伸びかねた次第でございまして、大綱的な検査をいたしたという結果になつております。なお本年度におきましては多少人的余力がありますので、地方放送局もできるだけ検査をいたしたいというふうに考えております。以上を申し上げまして、これらに対する会計検査院意見について御説明申し上げたいと思います。  国の会計とかあるいは政府出資、その他の公団、公社等会計については、検査報告をつくつてそれを国会に提出するということに法律上規定されておるのでありますが、放送協会検査の結果に関して、どういう方法でどこに意見表示をするかということは、実は法律上はつきりいたさない点がございまして、いろいろ審議いたしました結果、検査の結果を一応内閣総理大臣あてに、会計検査院長名をもつて報告いたした次第でございます。その結果が内閣の方から国会へ提出されてある、こういう結果になつております。  そこで各論に入りまして、説明書の五ページに書いてあるところが検査院として行つた点でございますが、大体において先ほど申しましたような角度から検査いたしまして、改善すべきものは改善意思を表示いたしました。そのうち、すでに放送協会の方で改善されたものと、まだ改善には至つておりませんが、将来改善を要するもの、この二つにわけて記述してございます。まず、すでに改善されたものの第一は、伝票から総勘定元帳及び補助元帳へ記帳する場合のやり方でございますが、各地中央放送局その他の経理実情を見て参りますと、伝票から補助元帳へ記入される、あるいは伝票から総勘定元帳に記入される、その行き方がまちまちでございまして、補助元帳へも総勘定元帳へも同じものが記帳されている場合が多い。またところによりますと、伝票から試算表をつくられまして、試算表の結果を総勘定元帳に転記されておるという事例がありまして、大体におきまして簿記原則から行きましても、そうしたことでは適正を期し得ないのではなかろうかというので、一応伝票を集計いたしまして日計表を作成して、その結果を総勘定元帳へ転記する、また伝票をそれぞれ補助元帳の方に転記しまして補助元帳と総勘定元帳との符合を確める、こういうような簿記原則従つた経理に移行された方がいいのではないかという検査院意思表示をしました結果、本部では二十六年六月以降、各地中央放送局では十月以降、そうした方面に改善をされた次第であります。次に二の点は、大阪中央放送局で、二十三年四月以降大阪電子工業株式会社に対して貸付金があるのでありますが、これが放送法によりますと、放送協会の資金は放送法の第九條に規定されましたところの事業目的以外に使用してはならないとありまして、この会社に対する貸付ということは、放送協会事業に入つておりませんので——もちろんこの貸付放送法施行前ではありますが、そうした放送法趣旨から考えましても、すみやかにその貸付金を回収する必要があるのではなかろうか、こういう趣旨意見を表示しました結果、二十六年九月にこの貸付金の全額が回収された次第であります。  以上が検査院意見によつて改善された点でございます。  次にこの報告を出しまするまでにはまだ改善されなかつた点、しかし改善を必要とする点が述べてあります。二の第一は、未拂金財務諸表に計上してなかつたという点でございまして、これは放送法に基いて予算制度に押えられた放送協会経理担当者が、この予算を超過してはまずいのではなかろうかというようなお考えから、正当に未拂金に計上すべきものを、未拂金から除外してしまつたということでありまして、財務諸表の真実の原則からいいましても、当然計上すべきものであろうと考えて、これが改善を要求しておる次第であります。それから第二の点は、先ほど改善された方の第二で申し上げましたと同じような趣旨でございまして、電気興業株式会社に対する投資と、日本放送出版協会に対する投資両方で約五十数万円というものが、放送協会資産になつておるのでありますが、これもいわゆる投資ということが放送法に基く放送協会事業目的にないという趣旨にかんがみまして、すみやかに回収する必要がある、こういう見解でございます。これも逐次回収されることと存じております。それから第三に述べてありますことは、固定資産に計上する金額の問題であります。土地、建物を取得した場合の登記料あるいはその買収手数料、それから機械をとりつける場合の機械取付費あるいは運搬費とかいうようなものは、会計学上から見ましても固定資産に計上すべきものであるというように考えますが、それが損費として当該年度の経費で落しておる、これはやはり固定資産として計上しておくのが正当な経理方法ではなかろうか、こういう趣旨意見でございまして、大体におきましてこの線に沿うて将来の経理がされることになつております。それから第四の問題でありますが、これは固定資産を売却いたしました場合に、帳簿価額との差損益が出て来る。その差損益の処理を見ますると、差益の出た場合には、当該年度利益金としまして雑收入に計上され、差損の出た場合は、別に固定資産充当金という一種の引当金がありますが、それを減額されて経理されている。同じような固定資産売買に基きまして、差損益経理が別々な経理になつているのは、経理上妥当ではなかろう、どちらかに統一する必要があるのではなかろうか、そういう見解に基きまして、この統一方を要望したわけでございます。これはいろいろと会計学見解もございましようが、結局当該年度損益にこれを全部含めて、損益計算をするということは妥当でないので、むしろ利益剰余金のその後の計算においてこれを表示するのが妥当でなかろうか、こういうような結論に達しまして、協会の方でもこの売買差損益の取扱いを両方とも一定されて、利益剰余金の方の計算で表示されるように、その後変更をされることと伺つております。次に第五の問題は、固定資産を再評価いたしました場合に、一定の倍率によりまして再評価されたわけであります。そのうち技術研究所新郷分室というのが埼玉県の川口在にあるのでありますが、これがほとんど破損しておりまして、価値のない建物になつておる。それが同じような倍率で再評価されておるので、それでは不当に固定資産評価が多くなつて来る結果になつておる。これは妥当な経理方法ではないので、むしろそうした差損の分は評価減にすべき必要があるのではなかろうか、こういう趣旨意見でございまして、これもその後訂正されるというように承知しております。  以上検査院がここに記述しておりますことの概要の御報告を申し上げた次第でございますが、先ほども申し上げましたが、一応こうした財務諸表会計原則に適合しておるかどうか、あるいは放送法趣旨に沿つておるかどうかというような点を主として調べました結果が、ここに出ておるわけであります。なおそのほか金銭出納その他に不正行為があつたかどうかということも確かめてみました。その点に対しましては検査した範囲内では、そうした事態はございません。本年度はさらにこの内容をもう一歩進めて検査いたしたいと考えておる次第であります。一応御報告申し上げます。
  8. 田中重彌

    田中委員長 質疑通告がありませんので、質疑はいずれ後日に譲りたいと思います。     —————————————
  9. 田中重彌

    田中委員長 次に電気通信事業に関しまして調査を進めます。  まず電気通信省に関する機構改革について質疑通告があります。これを許します。加藤隆太郎君。
  10. 加藤隆太郎

    加藤(隆)委員 私はけさ新聞紙上で拝見いたしましたが、政府におきましては今回行政機構改革をなさるそうであります。各省の今後の機構につきましては、私は多少意見がないわけではありませんが、ただ当委員会におきましては、当委員会の管掌する電気通信省に関しての機構につきまして、一言だけお伺いいたしたいと思うのであります。  御承知通り行政機構改革の本旨は、要するに機構簡素化して、冗費を省く、人員の整理等、すべて改革がプラスになるような面に向つて構想を抱かれておると思うのでありますが、今日までわが電気通信省に関する機構は、最近七箇年の間におきましても、すでに五回にわたつて改革が断行されております。しかもそれがほんとうに短時日の年月の間におきまして、かように頻繁に行われるという事態は、要するにいかに時の政府が見通しなく、何らの定見なく、ただ機構改革の美名にとらわれて、そのときどきに応じたまことにずさんな跡が歴然として現われておる事実にかんがみまして、紙上に現われました郵政電気通信運輸省を合して交通省とするがごときこの草案に対しましては、私はこの際さらに再検討を要すべきであると考えておる次第でございます。  実は今私は朝令暮改にもひとしいこの歴史の跡にかんがみまして、ちよつと抜書きしてみたのであります。由来逓信省は、明治十八年に創設されましてから、昭和十八年の運輸通信省になるまでの約五十有余年にわたる間には、この形態を持続して来られたのでありますが、昭和十八年十一月には運輸通信省が設置せられまして、その外局として通信院が、郵政電気通信航空等を管掌して、設けられたのであります。越えて二十年五月には、運輸通信省からわかれて、内閣逓信院が設置せられておるのであります。またその翌年の二十一年六月には逓信省が復活いたしたのであります。しかして二十四年の六月には、これが機構厖大拡充によりまして、二省に分離して、郵政省電気通信省になつたのであります。しかして二十五年六月には、この電気通信省の管掌であつた電波庁電波監理委員会として独立すると同時に、さらに航空庁も運輸省に移管されたような状態でありまして、この短年月におけるあわただしい変革は、まことに私どもとして、いかに政府定見なきかを如実に現わした事実と思うのであります。しかして今回政府構想として電気通信交通省に統合され、しかもこの中には運輸省あり、郵政省あり、しかしてその電気通信省は遠からず公共企業体に移行する御方針をもつて臨まれておることは承知いたしておりますが、この監督官庁をもつて郵政省あるいは電気通信省運輸省の管掌している事務を一括することによつて、はたして簡素化能率向上が望まれるであろうか。今日までのたび重なる行政機構簡素化はかえつて名ばかりで、事業の拡張と相まつて部局は拡大され、職員はさらに一層増員せざるを得ないような実情にあるときに、この厖大官庁を統合してはたして実績が上るかどうか、まことに私どもはこの草案なるものはずさんきわまるものと断定せざるを得ないのでありますが、大臣はいかようにお考えになつておられるか、この点ちよつと承りたいと思うのであります。
  11. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 御承知のように吉田内閣におきましては、行政の一新をはかるという考え方から、行政機構改革を企図しておることは、本会議における施政演説等にも明らかであります。その行政機構改革の根本は、ただいまのお話にもございましたごとく、行政簡素化をはかり、冗費を省き、能率向上を企図するということが大きなねらいであると考えます。しこうしてただいままでいろいろ新聞その他に報道はされておりますが、まだ成案を得るところまで至つておらないのであります。昨日も私ども会合を持ちましたが、もちろん行政機構改革の問題について、いろいろ自由討議をいたした程度でありまして、まだ原案ができておらない状況であります。従つて今まで新聞等報道されている案について批判することは差控えたいと考えますが、行政機構改革を企図いたします限り、ただいまお話にありましたように、機構改革が影響するところもまことに甚大でありますので、慎重審議の結果ここに恒久性を持つ機構を樹立するということでなければ、真の機構改革目的は達せられぬことだと思います。過去の実例について、郵政省なりあるいは電通省なり、旧逓信省系がたびたび機構改革をいたしたということをお話であります。当時の状況におきましては、その案が最もふさわしいと考えられ、またその後の状況によつて、時勢に応ずるように変遷はして参つたことだろうとは思いますが、結果的に見ますと、機構改革が必ずしも所期の目的を達しなかつたというような御批判は当るのではないかと思うのであります。従いまして機構改革の長所が十分生きて参りますように、くふうをいたさなければならないのであります。いたずらなる機構改革はむろん避けて参らなければならない、かように考える次第であります。ただいまの段階におきましては、基本的な考えの一端をごひろう申し上げる程度でありまして、具体的な問題につきましてはまだお話を申し上げる段階に至つておらないのであります。ただ一言いたしたいことは、電気通信省につきましては、かねてから公社案なるものを研究しておるということは、皆様方すでに御承知通りであります。従いまして私ども考えますような公社案がここに実現するといたしますれば、今回の機構改革と並行いたしまして、こういうものも実施して参りたい、かような考え方を持つておる次第であります。
  12. 加藤隆太郎

    加藤(隆)委員 大臣のお考えまことにごもつともでありまして、私どもは納得するのですが、新聞を見ますと、この内閣行政機構改革の衝に当つておる方々は、木村法務総裁だとか、野田建設大臣とかいわれるお方々のように報道されておるのであります。はたしてこの実相を御承知の上で、しかして政治の面においても国民の意図するところをおくみとりの上で、こういう構想を抱かれたのであろうかどうかということを、私は疑わざるを得ないのでありまして、むろん数省を集約して一省にまとめるということはまことにけつこうなことであり、その間大臣を数人減ずることもできます。しかし大臣の一人や二人減らしてみたところが、私は国費の節約にはならぬと思います。要は国民へのサービス、能率向上、すべて機構簡素化によつて手続が迅速に運ぶような機構確立を望むのでありまして、郵政省にしても電気通信省にいたしましても、一段と事業が拡充されておる今日において、逓信省電気通信省郵政省の二省に分離した事態にかんがみまして、最近さらにこれを一括し、その上運輸省の陸上あるいは海運、航空という事務を管掌し、しかして国有鉄道という公社を持つ厖大な省に統合されて、電気通信事業そのもの公社案に移行するというお考えはもちろん妥当と考えますけれども郵政省自体といたしましても、こういう大きな機構を一括して交通省に包括するということは、まことに当を得ない措置だと私は考えるものであります。私は内閣のかわるたびに、時の政府によつていつもこうした機構いじりばかりをしていて、実績はほとんど上らず、かえつて国民が迷い、省内におきましては職員の動揺、従つて能率の低下という免れざる実績を見ておるような次第でありまして、かようなことはよほど慎重に考えて、実情に即応するような機構確立を望む次第であります。かような観点に立ちまして、私はまことにまだ知識は浅いのでありますけれども、今この通信、いわゆる逓信系統機構改革するということがもし必要とするならば、郵政並びに電通をもつて一体とした通信省をここに設置し、しこうして後日、電気通信事業はその企業性を発揮する公社案に移行するということが、最も妥当の道ではなかろうか。かように私は考えているのであります。けさほどの新聞ばかりでなく、もうすでにこの行政機構改革ということにつきましては、たびたび実は報道により、またうわさに聞いている次第であります。これはあるいはこのような草案によつて提案されることに相なるかということが憂慮されているのであります。従つて私はこの際大臣におかれましては、ぜひ当局としてこの通信事業の将来を考うるときに、この際通信省というものを設置せられまして、運輸省とは分離していただくようなお考えのもとに、なお進んでは公社案の実現を期するようなお考えのもとに進まれることを要望せざるを得ないのであります。私はぜひこうした構想のもとに立ちまして、本委員会におきましても何らかこの際、委員会としての意思表示も必要であろうと思うのであります。さもなくばあるいは内閣において、こうした案が実現の必要がないとも限らぬと思うときに、はなはだ憂慮にたえないと思いまして、一言所見を御参考までに申し上げておく次第でございます。
  13. 長谷川四郎

    ○長谷川委員 ただいま大臣の御説明に、原案もまだできておらないし、そういうことにまだきまつておらないというようなお話でございますが、行政機構改革をやるんだという意思表示がたびたび新聞に出ておりますので、一言大臣の御意見を承りたいと思うのであります。  一府九省というような案、すなわちこの案はすでに私たちは経験済みではなかつたか。すなわち東條内閣時代にこれらを包含したところの省をつくりました。その結果どういうような結果をあげているかということは、大臣はよく御承知だろうと思います。これが非能率きわまりない結果、現在のような機構にかわつてつたのであるということは、争われない事実だと思うのであります。従つてまず私たちは今の通信省に専任の大臣がないということで、不満を持つているものであります。なぜならば、どこの国を見ましても同じことでありますけれども、この公共的施設というものは——他もみな公共的施設であろうけれども、この電気通信というようなものも最も重要性のあるものであるということは、申し上げるまでもないのでありまして、従つてこの通信事業というものに関連いたしまして、文化国家を建設する。憲法にも将来の日本は文化国家をもつて進むのだということが明記してある。こういうような点から考えてみるのに、はたしてこれとマツチした政府考え方であつたかいなやということにも、疑問を持つくらいの重要性があるものだと思うのであります。従つてこれらに当るべき者はすなわち専任の大臣、本日おられます佐藤大臣くらいの専任大臣を置いて、よりよき通信省を建設し、そうして国民にこたえるのが当然なる義務であろうと思うのであります。このような点につきまして、まず郵政省と申しますか、通信省というものを一体化してやつている国々もありますが、今政府考えて進まんとする案をもつて進んでいる国は、世界各国といえどもどこにあるのか、ただ一つイタリアにあるのみだといわれております。こういうような観点から考えて、つまり政府のとるべき道、進むべき道大臣はどういうような考え方をもつて今後進むものであるかということを、一言お漏らしを願いたいのであります。
  14. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 先ほど加藤委員にもお答えを申し上げましたように、行政機構改革政府といたしまして、非常な意気込みをもつて研究はいたしておりますが、まことに重大な問題であります。従いまして先ほどの加藤委員並びに長谷川さんからもお話が出ておりますが、私どもは慎重な上にも慎重に審議いたしまして、そうしてりつぱな結論を得たいというように、ただいま念願をいたしている次第であります。従いましてただいま新聞等報道されておりますものが、全然一部の考え方の中にもないと申し上げるわけのものではありません。その種の考え方もあるのではないかと思いますが、ただいま政府でいろいろこれから政府の案を考えようといたしている際でありますので、今まで出ております案についての批判はこの際私は差控えたい、かように考えている次第であります。
  15. 長谷川四郎

    ○長谷川委員 大臣にもう一言お伺いいたしたいのです。まず最初に世間に伝わつておるというか、新聞に発表されておる案に対して、大臣は個人として反対か賛成かということが一点、この最も重要なる公共施設を統合して、そして労働組合が結成されるというような場合に、同一行動をとることがもしあつたとしたならば、一切のものが停止する憂いがある。こういう考えに対して大臣はどういうような意見を持つておるか、この二つを承りたい。
  16. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 最初のお尋ねに対しましては、仮定的の前提に立つてのお尋ねのようにも思いますので、先ほどお答えいたしたと同じような次第でございます。第二の問題は、公共企業体に移行した後において、労働争議権等はいかにするかということでございますが、ただいままでのところ、公共企業体の案、これは電気通信省公共企業体というものをいろいろ研究しておるわけでありますが、そういう場合におきましての公益擁護の観点に立つての問題といたしましては、在来の公共企業体労働法と申しますか、この法の規律を受けることになるのであります。ただいま御心配のような点は、ただちに発生はして来ないのではないかという見通しをいたしております。
  17. 長谷川四郎

    ○長谷川委員 第一問は、どうしても個人としての大臣意見が述べられないということは、われわれがこれほど信頼し、佐藤大臣をして最もよりよき通信事業を行わんとする気持から、まつたく離れているのではないか。大臣の御意見は別としても、個人としての御意見だけでもはつきりしていただかないと、今後われわれの活動というものに何ら指示を與えておらないということになりますので、これは大臣は個人として話してもらわなければならない。しからば公共性を持つたものにいつごろから移行する考えであるか、お示しを願いたいのであります。
  18. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 第一点について、新聞に出ておりますものについて特に意見を徴されておるようでありますが、新聞に出ております交通省、その中に公共企業体があり、これの監督機構があるといたしまして、もちろんその主管大臣がいるわけであります。ただ公共企業体に移すことがよいか悪いか、これ自身もただいま研究中の問題でありますので、先ほど申しましたように、公共企業体に移行することに決定しておるというものではないのでございます。従いまして専任の大臣云々と言われますことは、あるいは公共企業体に移行することにも反対だ、こういうような御意向だとも実はとれるのでありますが、その点は今までの案を御説明申し上げると、やや御心配が違つておるのではないかという感じがします。さらにまたこの電気通信に関係するまでの直接の問題ではありませんが、郵政庁という外局ができるということが新聞に報ぜられておりますが、郵政庁といたしましても交通大臣が専任の大臣だということでありますので、全然大臣のいない役所ができるということはないと思います。しかしこの案自身がしからば実現するものか、またそういうものについてどういう考え方を持つておるのかというお尋ねでありますれば、まことに遺憾でありますが、先日ほど来申し上げておりますように、私の意見は留保させていただきたい。
  19. 長谷川四郎

    ○長谷川委員 大臣は私が公共企業体というものに反対のようだという意見でありますが、私は決して反対をしておるものでもございません。しかし今の公共性を持つたものが、はたして能力を発揮しておるかどうか、ここに大きな欠陷があると思うのであります。この欠陷は私が申し上げなくても、大臣みずからよく御存じだと思うのでありまして、公共性のものができるならば、公共性という精神を十分生かさなければならない。つまり長所々々に進ませるのが当然だが、今公共という名前のついているものが、はたしてその機能を発揮するだけのものになつているか、疑わざるを得ないのであります。通信を一緒にしたことによつて現われたものが何であるか。これに対して大臣は、そういうことはないとは言えないでしよう。こういうばかげたあるべきでないようなことが現われている。これに対して国民の前に何と謝罪するか。文化国家という名目において、将来通信というものが非常に大なる要素を持つということからも、これを統合してはならない。そこでお尋ねするのですが、たとえば電通省公共企業体に持つて行く場合に、今までのようなあり方で行くお考えであるかどうか、これをお伺いいたします。
  20. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 この機構改革の場合には、よほど気をつけなければならない。私自身が特に関心を持つております点をごひろう申し上げますれば、一般行政機関と公共企業体というものを一緒にいたしますことがありました場合に、その公益性を十分に発揮する、企業としての目的を十分達する、こういうことに支障があつては相ならないのだということを、実は考える次第であります。この点は大臣が一人で幾つもの仕事を担当しているわけであります。御承知のようにただいま電気通信管におきましても、電話もやれば電信もやる。さらに他の省の行政等をごらんになつても、それぞれの部門があるわけであります。その広い範囲で大臣が仕事ができるかできないかという議論もあろうかと思いまするが、大臣が十分その所管の省のめんどうが見れないようなことは、行政機構改革にあたりましても考えられないことだと思います。ただ問題は、御指摘のように機構簡素化はする。簡素化はするが、企業体の公益性を遂行するのに支障を来すことがあつては、機構改革は意味をなさないのじやないかという御心配の御議論につきましては、私もしごく同感であります。ただかように申しましたからといつても、ただいま出ております新聞の案自身が、たとえば公共企業体目的達成に非常な支障があるのかどうかということは、ただいまなお検討を要する問題でありますので、この席でこれはいけないのだとか、あるいはこれでよろしいのだという所見は、発表を留保しているような次第であります。御了承願います。
  21. 椎熊三郎

    椎熊委員 私は聞き方もちよつと珍しい言葉を使つているから、答えにくいのじやないかと思います。行政機構改革するということは、この内閣国民に対する公約であり、また大きな一つの使命であります。それがいつでもへまをやつているのです。ろくな行政機構改革をやれない。ようやく最近木村さんその他二、三の人で、そういうことを考えているといううわさが世間に伝わつている。そのうわさの中に、電気通信省のあり方がどうなるか、運輸省か何かの方へ旧来のように持つて行かれそうな形である。それを持つて行かれたからといつて通信事業の公共性がそこなわれるとは思わない。なぜ分離したか、なぜ今の姿にしたかということは、この公共性ある事業能率的に、もつとサービスをよくすることが大切なことだということを認められて分離された。それを行政機構ということは、大臣の数を減らすのだとか、官庁の数を減らすのだということだけにとらわれて、今世間に伝わつているような方向に持つて行かれたのでは困るということです。そこであなたは大臣として——長谷川君は個人としてと言つておりますが、個人としてはこの席上では無理でしようが、私はさらに重い責任において大臣として、今あなたがこの内閣考えている行政機構改革のうち、電気通信省に関する限りは、今世間に伝わつている案はうそならばうそだとおつしやつていただきたい。もしそれが実際に浮び上つて来るならば、これに反対であるとおつしやればいい。ワンマンが命令されたことだからそれに従う、それならそれでもいい。しかし所管大臣としての見識ある答弁をこの席上でしなければ、一つのごまかしだというそしりを免れない。そのくらいのことが発言できなければ、大臣たるの資格はありませんよ。明言していただきたい。はつきり聞かせていただきたい。
  22. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 椎熊委員お話、なかなか聞き方も聞きにくいというお言葉もございましたが、おそらくただいま案がきまつておりますれば、明確にお答えできるだろうと思います。ところが現在の状況におきましては、冒頭に申しましたごとく、政府といたしましても機構改革が、御指摘のようにこの内閣において初めてできるのだ、またりつぱなものをしてみせるのだということで、非常な強い意気込みでただいま案をせつかく審議中なのであります。従いまして審議の途上において、いろいろの案が出て参るだろうと思います。それを一々ここで取上げられましてお尋ねをいただきましても、それはもう少しく時期をかしていただきたい、かように実は存ずるのであります。私自身所管しております機構改革につきましては、皆様方の御高見も、まだ決定を見ない今日でありますだけに、十分拝聴いたすつもりでおるわけであります。ただ私の今までの案についての批判を——私の意見を聴取されることは、私自身はまだ未確定の部分が相当ありますので、かような意味合いにおきまして留保願つておるような次第であります。なお私は先ほど来皆様方からいろいろお話が出ておりますが、これは單なるお尋ねとしてではなくて、非常に含みのある、また今後の行政機構改革に取入れるべきりつぱな御意見だと思つて、実は心からありがたく拝承いたしたような次第であります。それだけつけ加えましてお替えといたします。
  23. 椎熊三郎

    椎熊委員 たいへんあなたも御心配りようですが、無理に聞こうとするところに、やや無理なところもあるかもしれませんが、当委員会の空気は、電気通信省事業というものを政府に協力して守つて行きたいという精神から来ているのです。何もあなたに反対でも何でもないのです。この大事な国家事業をいかにして能率化し、いかにしてりつぱな事業にして行くかということについては、われわれ国民代表も諸君と同じ気持になつて、諸君に協力してこの事業の完成を期したいというのが念願なんです。そこで内閣ではあなたが言つたように、どの内閣でもできないようなりつぱな行政機構改革を断行すると断言されましたが、三年有半にわたる今日までの実績から言うと、一つもやつておらず、ことごとく失敗をしておるのが現状だから、私は期待いたしません。そこでこういう内閣でああいう総理大臣だから、何を思いついていつどんな命令を下さぬとも限らぬ。われわれはあなたと一緒にこの事業を守りたいのです。今世間に出ておるようなあんな案に、あなたに賛成してもらつては困るということなんです。それには反対なさいということを私は言いたいのです。その決意がなければならぬ。あなたはまだ途中だからというてはつきり言うておらないが、それをはつきり言えということです。木村さんがやろうが、大橋さんがやろうが、きめてもらつたものはそれでしかたがないというようなことは、あなたらしからざる答弁だと思う。そんな伴食大臣であつてはいけない。逓信省以来逓信大臣というものは、一番偉い大物ばかり迎えていた。最近妙なのばかり出て来てまずいことばかりやるので、はなはだ悲観しておつたが、今度はあなたのようなりつぱな大臣が出て来たんですから、この旧逓信省事業、ことに電気通信のごとき役所の事業が、あなたが来たために退化するようなことがあつてはならぬということです。これはあなたの政治生命にも影響することです。そこで私はあなたに協力し、後援するから、どうか電気通信省の姿のままでさらに内容をよくし、能率向上する方法考えていただきたい。今世間に伝わつているような行政機構改革案には、われわれは断じて反対する。そういう決意があるかどうか、それを聞いているのです。あなたは途中だから言われないというのでは、あまりにも水くさすぎる。これだけ協力している者に、口先だけでごまかすことはいけない。ぼくは腹を打割つてつているのです。なるほど椎熊君の言う通りだ、おれもそう思うと一言言つたらどうです。断固として反対するとなぜ言えないのです。あなたの腹はそうじやないか。私はあなたの気持はわかる。さらに電気通信省郵政省というものは、世間から幾多の非難があると思います。その非常に苦しいときにあなたは不幸にして大臣になつている。私は派生的なつまらぬ問題をここで取上げようとしているのではない。いろいろ苦しい事情もあるだろうから、あなたの政治力で守つてくれということを念願するあまりの質問なんです。当委員会がいかにあなたに協力しているかということを認識しつつ、責任ある御答弁をいただきたい。本日はまだ言われないとあれば、多少の時日をおかしすることはいいと思います。今国会中においてその案が決定しない前に、あなたが明らかなる態度を当委員会に示されんことを私は要望いたします。
  24. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 私が重ねてお答えすることもないかと思いますが、当委員会方々のお気持は、私も十分正しく理解いたしているつもりであります。ことに皆様方電気通信省の持つ公益性なり、あるいはその公共性というものについて、機構改革をした結果、支障を来すということがあつてはならないぞという強い御注意と申しますか、御鞭撻と申しますか、いただきましたことは、心からお礼を申し上げます。ただ私自信思いますのは、いろいろ機構改革という問題になりますと、新しい事態からそのことをいろいろ考えられているわけでありまして、もう少し時日をかしていただかないと、最終的結論が出て参りません。その点御了承を願つておきたいと思います。同時に厚くお礼を申し上げます。
  25. 田島ひで

    ○田島(ひ)委員 機構改革の問題につきまして、もう一言申し上げたいと思います。先ほど與党の加藤委員から、内閣がかわるたびに機構がかわる。こう申されましたけれども、実は吉田内閣ができましてから、郵政電気通信省と、旧逓信省が二つにわかれました。わかれますときには、おそらく自由党はこれを押切つて賛成なさいました。あのときのアメリカ式システムそのものは非常にいいかもしれないが、破壊された日本の通信事業にあのまま持つて来たのでは、実際上には役立たない。それでわかれるときにわれわれは反対をいたしました。それからまだそんなに日がたつておりませんのに、まるで機構いじりのように同じ吉田内閣のもとにおいて出されます。これはまつたく機構いじりと言いたいのですけれども機構いじりではないと思います。おそらく佐藤大臣はたいへんあいまいな返答をしておられますけれども吉田総理はあの一府九省を強硬に今国会に提出されまして、六月には実施するということを述べておられましたが、あれは單なる新聞の上の仮定ではなかろうと思います。そういたしますと、佐藤大臣自身が案がないと申されますような案が、今国会の終りごろになつて急に出されて、相かわらず十分に審議も盡されずに、押しつけられる危険性があると思います。いろいろ御意見を申されましたけれども機構改革方針、内容でなくて、機構改革そのものを肯定されておられますのか、あるいは現状のままでいいと思つておられますか、その点の御意見を聞きたいと思います。  それから同時に今度の機構改革には、相当大きな問題が含まれていると思います。この間の分離のときにも、おそらく吉田内閣が自主性を持つてやられていないのです。占領下だからしかたがないというようなことを、前の大臣は言つております。今までは占領下だからやむを得ないということで逃れられるかもしれませんけれども、近く独立できるという政府が、ほんとうに独立できるのなら、何も独立する前に、なぜあわてて機構改革をやらなければならないのかというところに、疑問があると思います。その裏には電話事業のごとき、もうかるものだけ公共体にする。この公共企業体の法案は、佐藤大臣は前国会において、この次の国会には提出するということをたしか言明せられております。それを分離してあとのもうからないようなものを一つにして、あの戦争当時と同じような軍事態勢——こう言うと言い過ぎかもしれませんが、戦争態勢に持つて行くようなやり方なんです。これを今急に押し切られるということは、吉田内閣が自主性を持つてやられていないというところに原因があるのではないか。そういう点から私は佐藤大臣の善処を望みたいと思います。新聞では佐藤大臣吉田総理の意見には大分反対しておられる。その反対の原因はどこにあるかわかりませんが、私はその原因は何であろうと、自主性のないああいう問題を、独立を前にして——これは政府の言い分で、私どもは独立ではないと思いますが、この政府の言われます独立を前にして、そういう方面でますますいろいろな点で大きな制限を見て参りますけれども、そういこものを押し切られようというところに私は問題があると思いますから、その点を佐藤大臣が十分善処されて、機構改革に賛成されるのか反対されるのか。そうしてまたなぜ今急に内閣自身がこれを押し切ろうとするのかという点についての二点を、私はお答え願いたいと思います。
  26. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 政府におきましては、本国会の施政演説で総理が申し上げましたごとく、近く独立いたすに際しまして、行政の一新をするという所信を表明いたしておる次第であります。従いまして共産党で言われておるごとく、これは戦争準備の態勢をつくるのだ、こういうような考え方では毛頭ありません。これはどこまでも独立国家ができました際に、自主性のある行政機構を樹立して、冗費を省き、能率が上るようにするということを念願して、いろいろ案を練つておる次第であります。行政機構改革という問題につきましては、大がかりな行政機構改革もございましようし、あるいは小部分にとどめるような行政機構改革もございましよう。いわゆる機構いじりをするわけではなくて、先ほど来からいろいろお話が出ておりますように、能率を上げ、冗費を省き、ほんとうに国民の利益になるような行政をやつて行くということにつきましては、これは時期を画さず、絶えず考えて参らなければならない問題なのであります。私どもの預かつております電気通信省にいたしましても、あるいは郵政省にいたしましても、小さい部分のいろいろな機構改革につきましては、随時実は行つておる次第であります。ことに電気通信省自身の問題につきましては、今までもその能率的な点等におきまして、いろいろな御批判をいただいておるのであります。従いまして私はこれらが一層簡素化され、能率化され、しかも事業の持つ公益性を十分発揮し得るよう、サービスができるような省にすることは、私どもの年来の熱願であり、同時にお預かりしておる者の当然の責務である、実はかように考えていろいろくふうをいたしておるわけであります。従いまして行政機構改革に賛成なのか反対なのかと言われますと、非常に簡単なお尋ねでございますが、ただいま申し上げるような趣旨で、この問題と取組んでおることを御了承願いたいと思います。
  27. 田島ひで

    ○田島(ひ)委員 今の御返答では非常にあいまいですけれども、私はこまかい点の機構改革を云々しておるのではなくて、問題は、この機構改革の問題がおそらく今国会に提出されるだろうと思います。その点について見通しがありますかどうか。大体その機構改革内容はいろいろ御意見がございましようけれども、ああいうふうな大きな機構改革がなされるという点には、大臣は賛成か反対かということを私は聞いておるのです。
  28. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 先ほどから私の所信を申し上げた通りであります。     —————————————
  29. 田中重彌

    田中委員長 この際靱事務次官より発言を求められております。これを許します。
  30. 靱勉

    ○靱説明員 お許しを得まして、一身上の問題について弁明させていただきたいと存じます。昨年来電気通信省におきましては、まことに申訳ない事件が発生いたしておるのでございますが、最近におきまして、この事件に何らか私が関係あるやに伝えられたのでありますが、この点に関しましては、まつたく良心に誓つてそういう事実がないと確言いたしまして、釈明いたしたいのであります。もつとも、御承知のように先ほどからも電気通信事業の公益性について、委員の方からお話があつたのでありますが、昨年来世間の信用を傷つけるような事件が発生いたしておりますことにつきましては、事務を担当いたす私といたしましても、まことに申訳なく存じておるのであります。そのことが私にも何らか関係あるやに伝えられたということにつきましては、まつたく遺憾でありまして、ひつきようするに、私自身の不徳ということにも考えまして、みずからを強く責めておる次第でありますが、重ねてそういう事実にはまつたく関係ないということを確言いたす次第であります。
  31. 田中重彌

    田中委員長 再び電気通信事業に関して調査を進めます。質疑通告がございますのでこれを許します。高塩三郎君。
  32. 高塩三郎

    ○高塩委員 ただいま靱電気通信事務次官より、過般の新聞記事に関しまして一身上の弁明があつたのでありますが、私がこれから行いますところの質問は、靱次官あるいは杉山中国電気通信局長などの個人に関するものではないのでありまして、より広汎に電気通信省にかかる不正非違事件の全体を対象とするものであることを、最初にお断り申し上げておきます。大臣を補佐して一省を統括する次官が、一、二の新聞記事によつてであるとは言いながら、世上の疑惑をこうむるに至つたということは、もとより重大なことでありまするけれども、この問題はただいま次官その人から、絶対に潔白である旨の弁明がありましたので、かすに時日をもつていたしますならば、その潔白も明瞭となると思うのでありまして、私はきようこの問題に立ち入ることは差控えたいと存ずるのでありますが、ただ最近ひんぴんとして報ぜられますところの電気通信省全体の汚職不正の事件に関しては、本委員会といたしまして黙視することに忍びず、ここに質問を申し上げたいと思うのであります。昨年後半より本年当初にかけまして、中央、地方を通じまして、電気通信部内に関する各種の不正事件が相次いで新聞紙上報道され、電気通信省はあたかも官庁汚職の代表的なものであるかのごとき観を呈しまして、事業に対する国民の信用もまつたく失われようとする状況にありますことは、まことに遺憾この上ない事実と申すよりほかはないのであります。この問題につきましては、去る一月二十九日の本委員会におきまして、電気通信大臣からも深く遺憾の意を表せられ、将来の粛正につきまして決意を述べられたのでありますが、私はこの際あとう限り事態の真相をこの委員会を通じて国民に知らしめ、正すべきは正し、改むべきは改めて、事業経営の根幹ともいうべき道義と信用を回復することは、ひとり政府のみならず、本委員会の当然果すべき責務なりと考えますので、ここに重ねて本問題に関し当局の説明を求めますとともに、その所信をただしたいと思うのであります。  具体的の質疑に入ります前に、少しく質問の趣意を明らかにしておきたいと思うのでありますが、電気通信省事業犯罪に関しましては、昨年八月七日第十国会における本委員会の席上、私は当時新聞報道せられましたる神戸、下関、秋田の三路線工事に関する不正事件及び丸の内電気通信管理所の一千万円浮貸事件等につき、特に質疑を行いまして、綱紀の振粛に関しまして、当局の特段なる注意を喚起いたしますとともに、将来再びこうした事件がわが委員会において取上げられることのないように、切に要望いたしたのであります。しかるに電気通信部内におけるところの各種汚職不正事件は、その後続発いたしまして、ほとんど底止するところを知ざる有様でありまして、昨年十一月には、本省要路の局長自身重大なる容疑を受けまして検挙され、本年に入りまして、本省施設局の課長などの身辺に波及し、現在なお中央、地方にわたつて幾多の事件につきまして、検察当局の捜査が進展しておるように聞いておるのであります。由来電気通信事業犯罪はここ両三年、年を追つて著しく増加しておるのであります。電気通信年鑑所載の統計によりますと、昭和二十五年度においては、総件数約千五件、被害金額は約九千万円に達し、これを二十四年度に比較いたしますると、件数で七倍、金額では四倍半の増加に当り、また二十三年度に比較いたしますると、件数において十七倍、金額において七倍の増加となつておるのであります。昭和二十六年度状況につきましては、後刻当局より詳細にわたつて承りたいと思うのでありますが、聞くところによりますと、昨年の四月ないし十二月までの九箇月間における犯罪件数は九千件に近く、被害金額は一億八千万円の巨額を算するということでありまして、これは件数、金額ともに前年度の二倍に近く、実に驚くべき数字と言わねばならないのであります。もつともこれらの数字の大部分を占めるものは、通信線の窃取等の部外者による犯罪でありますが、電報、電話料金の横領、公金の詐取、横領及び不当支出、電話架設及び各種工事の施行に伴うところの収賄、汚職、不当経理等の部内者による不正非違事件も決して少くないのでありまして、私の推定によりますと、本年度以降明らかとなつた部内犯罪だけでも、被害金額は約五、六千万円に上るのではないかと考えられるのであります。電気通信事業犯罪中で、部外者によるものの被害金額が一箇年一億円以上に上るということは、重大な問題でありまして、本委員会といたしましても、政府に協力して何らかの対策を考究いたさなければならないと思うのであります。部外犯罪については、電気通信省はいわば被害者たる立場にあります。私が本日質疑を申し上げんとするのは、電気通信省自身が国民に対する加害者たる面、すなわち電気通信職員自体による各種の非違不正についてであります。そうしてまた部内犯罪のうちでも、各種の収賄、汚職、公金の不当費消、官品の横流し、なかんずく本省施設局を中核といたしまする建設工事に関する非違事件は、私の最も重視するところであります。今日電話に対する需要が熾烈をきわめておりますにかかわりませず、国民の輿望が満足されない理由が、一に電話建設予算の不足にあると説明されておる際に、電話施設費が不正不当に費消されておるということであつては、国民を欺罔すること、これよりはなはだしきはないと考えますので、私の質問もこの点に重点を置きますから、御答弁も、この問題を中心としてお願いしたいと思うのであります。なお御答弁は、大綱及び方針に関しましては佐藤電気通信大臣にお願いしますが、具体的事実に関しましては、政府委員からお答えを願いたいと思うのであります。  そこでまず第一にお伺いいたしますことは、最近における電気通信事業犯罪の件数及び被害金額等の概況についてお尋ねいたしたいと思うのでありますが、特に昭和二十六年度に入つてからの分は、資料もありませんから、御準備がありましたら御提出を願いたいと思うのであります。また先ほど申しました趣旨によりまして、部内犯罪と部外犯罪とを区別して、部内者による犯罪、非違に重点を置いて御説明を願いたいと思うのであります。
  33. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 お預かりしております電気通信省職員中から、次々に起訴を見たり、あるいは検挙されるというような不詳事件が発生いたしまして、たいへん申訳なく存じておる次第であります。この点につきましては、十分部内を督励いたしまして、重ねてかような非違事件等の発生をしないように、制度上からも、また各種の法規等におきましても、十分改正を加えて参る考えでおります。冒頭につつしんでおわびを申し上げる次第であります。  お尋ねの最近における事業関係の非違事件の概況についてお話をいたしてみたいと思います。最近に発覚いたしました事業犯罪非違事件の概要を申し上げます。今年度の第三・四半期までに発覚いたしました事業犯罪非違事件のうち、当省職員によるものは約二百六十件で、その金額は約五千万円であります。これは件数におきましては全体の三%程度に当るのでありますが、金額におきましては約三〇%に達しておるのでありまして、その多くは、お話にありましたように電話架設に関連する汚職、公金の横領、庁費の不当使用等であります。また第三・四半期までに判明しました当省職員の非違者の数は合計二百八十七名でありまして、懲戒処分を行いましたものは、監督責任者を含めて約四百名であります。これらの当省職員による非違事件は、大部分昭和二十五年度以前の事実が今日に及んで発覚するに至つたものでありますが、当省といたしましては、全職員協力一致して、特に事故の防止、綱紀の振粛につき、なお一層努力をいたし、事業信用の回復をはかり、国民の寄託に沿いたいと存じておる次第であります。なお御参考までに申し添えます。と、当省における事業犯罪非違事件のうち、部外者によると認められたもの及び犯人不明のものは、第三・四半期までに約八千五百件ありまして、その被害金額は約一億三千万円に達しております。これは主として現用の通信線、公衆電話機、保管物品の盗難等であります。当省といたしましては、監視、巡回を徹底し、これが防止に努めておる次第でありますが、司法機関の協力にまたねばならない点が多い実情にありますので、現用通信線の盗難につきましては、特に昨年八月法務府に依頼し、これが防止に御協力を願つておる次第であります。  簡単でありますが、概況を御報告申し上げます。
  34. 高塩三郎

    ○高塩委員 次に、ただいま部内者による不正非違事件のおもなるものについて御説明があつたのでありますが、それらの責任者の処分その他の事後措置の状況について、どんな処分をなされたか、お伺いをいたしたいと思います。
  35. 靱勉

    ○靱説明員 先に御質問ありました方をお答えしましてから、今のをお答えしたいと思います。ただいまお席に資料を配付いたしたのでありますが、これは若干御説明申し上げておきたいと思います。統計上の金額は、私どもの方の観察で認定した犯罪または非違の金額でありますので、実際上の官損金はこれより相当下まわる計算になるわけであります。それから二十五年度の部内者による非違事件件数が部内犯人数より多いことになつておりますが、これは二十五年度の統計のとり方が、一人で数件の犯罪を犯したときに、これを分割計上いたしたためであります。それから部内者によるもので「その他」と書いてございますが、これはたとえば公文書の破棄あるいは過失傷害等でありまして、部外者によるものの「その他」は、主として通信妨害、業務執行妨害等でございます。部外者によるもののうちで電報為替偽造、電話収賄、料金の横領は委託局員によるもの、すなわち郵政省に電信電話の業務を委託しておりますし、またその他の機関にも委託しておりますから、委託局員によるものであります。また電話詐欺、不法施設は、元部内者または電話業者によるものも入つているような次第であります。それから公金の横領、窃取等は、会計部門で取扱つた公金でありまして、窓口で収納する料金とは別に計上してあるわけであります。  そこでただいまのこれらについてどういうふうに措置しておるかということでありますが、犯人不明の問題は犯罪事実、主として電線どろぼう等でありますが、これはもちろん部内者にそういうような容疑があります場合に、まず部内者を調べ、どうしてもわからないところは部外者による危険性が非常に多いのであります。そういうのは一々警察の方に御連絡してあるのでありますが、まだ犯人のわからないのが非常な数に上つております。それから部内者でもちろん犯罪事実その他の非違事実がありますと、本人及び関係者に対しまして免職、依願退職、あるいは減給、戒告等の処分を、それぞれ実行いたしている次第でございます。
  36. 高塩三郎

    ○高塩委員 次に電気通信省といたしましては、このような不祥事件の発生する原因は、どこにあるかということを考えられたかどうか。特に本省直轄の建設工事のようなものは、予算の配分、工事費の経理方法など、本省みずからこれを決定施工するものでありますから、会計法規による制約があるとは申しながら、工事の実情に即したやり方が可能なはずと思うのでありますが、それにもかかわらず非違の起りました原因について所見をお伺いしたいと思います。
  37. 靱勉

    ○靱説明員 この事件につきましては多種多様でございまして、いずれもそれぞれ異なつた原因に基いているのは当然でございますが、根本的にはもちろんこれは道義心の低下と申しますか、それに求めなければならない。遵法精神が徹底いたしておりますれば、そこに若干の制度上の欠陷、あるいは仕事を遂行する上におきまして不便がありましても、さような見誤つたことはなかつた、こういうように私ども確信いたしておるのでありますが、この各事件につきまして、ただいま本省の直轄工事等においては、本省で明らかにわかるのではないかというお尋ねでございます。この施設工事の問題につきましては、その原因等なお詳しく御説明申し上げたいと思いますが、全体としてはそういう形でありまして、私どもそれぞれ原因を確かめまして、再びそういうことが他に起らないように、在来徹底して参り、また監察、監査も励行して参つたのでありますが、なおそういう事実が過去の問題といたしましても、ともかく現に起つておるということにつきましては、まことに遺憾に存じておるわけでございます。本省工事につきましては、なお詳しく御説明申し上げたいと思います。
  38. 高塩三郎

    ○高塩委員 次にお伺いいたしますが、電気通信省といたしまして、これらの各種の不正非違事件防止のために、いかなる方法を講じたか、その講じました予防警戒的処置について御説明願いたいと思います。
  39. 靱勉

    ○靱説明員 私どもこういう事件の発生に対しましては、先ほど申し上げました通り、部内者につきましてはもちろんこれに対して原因を調査し、その行為等も十分調査いたしまして、適正なる処分をいたして参り、それにより他の人の戒めということも徹底させて参つたのでありますが、さらにそういう危険性のある者に対してのそういう危険がないような予防的措置というものは、監察を通じ、あるいは各管理段階の責任者に対して、たとえば公金の窓口の横領につきましても、その原因を調べてみますと、その上の長の人がその人を信じ切つておつた、当然すべき検査もほとんどしなかつたということによりまして発生しておる事件も多くありましたので、そういうこまかい点を各管理者、責任指導者に達しまして、それを部下に徹底するようなことによつて、事故の再発、また同じような事故が起らないようにと、警戒、注意、予防をいたしておつたのでありますが、実は今高塩委員の一番問題とされております工事関係におきましては、昨年度の私ども会計監査の結果、その事実を確認いたしたのであります。しかしそれがただいま問題になつておるような犯罪事実まで、私どもの手で確認できなかつたということは、はなはだ申訳なく思つております。但し電気通信省といたしまして調べるだけのことは調べまして、ただちにそれを全体に達しまして、そういうことは今後一切まかりならぬということを、幾たびも徹底させて参つておるのであります。全体的の問題でございますので、一々いろいろな事件について申し上げてみますれば御了解願えるかと思いますが、全体といたしましてはそういうことによりますとともに、またその疑いあるものには監察を実行するというような方法をとりまして、いやしくも不正非違のことがあれば必ず発見されるのだということと、一方におきましては電気通信省事業の信用回復に対する精神的な運動もおのずから起るように、私どもしばしばそういう措置をとつてつたのであります。
  40. 高塩三郎

    ○高塩委員 次にお伺いいたしますが、先ほど来お話のあつた各種事件のうち、私は冒頭にも申し上げましたごとく、本省直轄の建設工事に関する非違を最も重視しておるのでありますが、これらに関しましてまず先ほど御説明のあつた神戸、下関、秋田の三工事と同様な本省直轄の工事は、一年度およそどのくらいの工事数があり、その工事費予算は総計どのくらいであるか。年度によつて多少違いがあるかと思いますが、もしも多少の異動がありますれば、二十五年度についてお伺いいたしたいと思います。
  41. 靱勉

    ○靱説明員 お答えいたします。二十五年度の直轄工事と申しまして電気通信省みずから行う工事、もちろんこれは機械等すべての経費を含んでおりますが、本省、通信局その他出張所すべてで千五百三十九件でございまして、その金額は百十二億五千三百万円余りでございます。そのうち本省直轄の工事は百三十九件でございまして、その総額は十九億二千三百万円余ということになつております。二十五年度としましては、このほか二十四年度から繰越して来ている工事もあるわけでございますが、その金額はさほど大きいものではございません。なおこれ以外に請負工事というものがあるのでございまして、これは非常にこまかい工事が多いのでありますが、この件数は千七百六十九件、その金額は十億五千四百万円余りということでございます。そのうち本省建設部の方で請負に出したものは八十二件でございまして、その金額は一億八千四百万円余りということに相なつております。
  42. 高塩三郎

    ○高塩委員 次に、本省直轄工事が全国にわたりまして厖大な幅で行われておりまする以上、私は神戸、下関、秋田三工事と同様の非違は、他の工事についても伏在してはいないかということを憂えるものであります。先ほどのお話では、この点については目下検察当局が取調べ中であつて電気通信省といたしましては承知をしていないというようなことでございますが、この点に関しまして昨年夏、いわゆる三工事の不正が電気通信省会計検査によつて発見されました際に、責任当局として他の摘発をまつまでもなく、当然みずから他の類似の本省直轄工事を全面的にかつ徹底的に監察を行い、綱紀の振粛をはかるべきであると思うのでありますが、はたしてかような処置をとられたかどうか、お答え願いたい。
  43. 靱勉

    ○靱説明員 当時その事件を発見いたしまして、私どもはきわめて重大な問題と考えました。監査の方で調べましたのは、要するに会計書証の信憑性というところを調査いたすのでありますが、これはなかなか困難なことであつたかと思います。しかしながらたまたまこの事実が発見されましたので、さらにこの事件を監察に移しまして、三事件の調査を進行させますと同時に、そういう事実が他にもあつてはたいへんである、また今後そういうようなことがあつてはきわめて重大であるというようなことから、並行いたしましてそちらの予防措置ということに、大きな重点を置いた次第であります。この事件の調査にも、本省段階のいろいろな責任というようなものを全部調査するために、相当多くの時日を要したのであります。ことに人を処分するという場合におきまして、なかなかその事実が確認できないことによつて、処分が不可能である。三つの事件と申しましても、これの調査には相当手間取つたという事実もあります。たまたま昨年——失礼いたしました。ただいままで昨年と申し上げておりましたのは、一昨年の夏発見いたしまして、そういうような措置をとつたのであります。これは訂正を申し上げます。     〔委員長退席、橋本(登)委員長代理着席〕 そこで他にもそういうことがあるかどうかということにつきまして、私どもはまず今後そういうことが起らないということに最重点を置きますと同時に、この問題につきまして責任の所在を明らかにするというようなことで、当時建設部長はその建設部の仕事に関係しましてわずか半年ばかりでありまして、その人自体にそういうことはもちろんないのでありますが、この人に責任をとつてもらつたというようなことによりまして、本省を中心としまして各通信局にもその旨を示達し、今後そういうような検査もあわせて実行して行くということに相なつたわけであります。その後、あるいはまた私の方で若干調査しました問題につきまして、発覚しているというようなものもありますが、私どもとしましては、絶対的にそうあるということは考えられない節もありまして、他のすべてを徹底的に調査するとかいうことでなく、やはり事件の状態というものは、書面審理等においてこの事件をモデルとして考えてみますとわかり得る点もありましたので、そういうよう点につきましては監査を実行したのであります。たまたまその間におきまして、大阪等にも事件が起り、さらに電気通信研究所等においても事件が起りましたために、検察当局で関係書類を全部押収されておるというような状態になつておる次第でありますから、全部についてなぜ調査しなかつたとおつしやられても、その点は、以上のような事情を御了承願いたいと思う次第であります。
  44. 高塩三郎

    ○高塩委員 次に神戸、下関、秋田三工事の非違事件に関する昨年七月七日の私の質疑に対しまして、政府委員の答弁中に、これらの不正は、会計処理上は不当であるが、これは私腹を肥し、私利をはかるという意図に出たものではなく、工事を円滑に早くやろうという熱意に燃えたあまりに、行き過ぎてしまつた行動をしたものと認めるというようなことを述べられておるのでありますが、これは動機がよければ、手段の違法はあまりとがむべきではないという見解のようにもとれるのであります。これは去る一月二十九日の電気通信大臣の御発言中にも、不祥事件の絶滅を期するためには、従業員の法を守り不正を憎む遵法の精神とモラルの高揚が根本の問題である旨を述べられておりますが、これとは多少食い違つておるように考えられるのであります。会計法規が無理でありますならば、法規の改正をはかるべきであり、経費の配分が適当でなければ、その是正をはかるべきであつて国民の立場から申しまするならば、電話架設が迅速であることはもちろん喜ぶべきことでありますが、国会が定めた法律に違つてまでも、工事の迅速を喜ぶものでないことは明らかであります。しかもこのような非違を犯したがゆえに、工事がどれほど進捗されたかは、きわめて疑問であると思うのであります。また私利私欲をはかつたのではないと言われまするが、先ほどの御説明にあつたように、非違の内容は工費を現金化して、規定外の手当、旅費、関係者接待費に充当したのでありまして、現に検察当局はこれを犯罪と考えているようであります。私は遵法精神のある程度の弛緩が、この種不正事件発生の根本原因であると考えておるのでありまするが、この点に関する電気通信当局の意見をはつきりお伺いいたしたいと思います。
  45. 靱勉

    ○靱説明員 お答えいたします。昨年御質問に対してお答えいたしました当時は、私どもの調査によりましてそこに犯罪事実と確認できなかつたという点から——もちろんこの工事の大部分につきましていろいろと工事上の難関もあるでしようし、また経費の支出につきまして、円滑を欠いたというような事態もあつたと思いますが、会計上の問題といたしまして私どもは取扱つたのでございまして、その当時そのようにお答えいたしますとともに、また処分におきましても、そういうような点から処分をいたしておるのでございます。その後問題は、検察当局の取調べによりまして、現在はそういう犯罪の容疑をもつて起訴されておるという現段階にあるのであります。そういうような容疑を私どもが的確につかみ得なかつたことは、まことに遺憾に存じます。しかしながら先ほども申し上げました通り、当時この問題は、乱れますと非常に危険であるというような観点から、單に目的がよければどういう手段をとつてもいいというふうには私どももそういうように考えていない、また会計法違反も改めなければならぬというようなことから、処分もいたしまするし、そういうことは再びないようにということを、全体にも伝達いたしたような次第であります。現在の段階から見ますれば、別の判断も出て参りますが、当時の私どもといたしましてはやむを得なかつたという点、まことに申訳なく存じておる次第でございます。
  46. 高塩三郎

    ○高塩委員 さらに伺いますが、神戸、下関、秋田、三箇所の工事は、類似の本省の直轄工事の不正非違の代表的のものと思うのでありますが、これらの工事では、いわゆる切投げということが行われ、直営でやるべき工事を請負に付し、工事予算額と請負額との差額を、各種の不正な費途に供したということであります。この切投げというものの実体を詳しく説明していただきたい。また本省直轄工事のほか、地方電気通信局の工事にもこの切投げは行われているかどうかも、あわせて御説明願います。またこれによつて浮かした金額の一部は、吸上げと称して本省へ吸収され、それが高級職員の渡米費として提供されたといううわさがあるが、はたして工事費の一部が中央へ吸収された事実があるかどうかを、御説明願いたいと思います。
  47. 山下知二郎

    ○山下(知)政府委員 ただいま御指摘の切投げの点でございます。切投げという言葉を使つて、過去には実際にそういうことが行われておりました。切投げというのは、直轄工事でいたします仕事について、特殊の技術を要する人夫を雇う上において、なかなかむずかしい点がある。また工期を急ぐというような面で、最初自分のところで直轄工事でやるものを、一部をお前の方でやつてくれといつてやらして、その仕事を手取り早くきれいに仕上げようといつたようなことに出たかと考えられます。それがだんだん悪用されまして、そういうことによつて予算を浮かそうといつたような弊害にまで発展しかかつたように認めましたから、一昨年これは厳重にとりやめる、そういうことはやらないということにいたしたものでございます。工事それ自身のできばえという点におきまして、私ども直営と切投げとの間に開きがあつてはゆゆしい問題だと思います。この点は注意深く監査しておりますが、そういうできばえの点においては、そう危險性を認めておらない。ただ行動それ自身が、だんだんと手放しにしておくと大きな間違いを起す。現にただいま御指摘の三工事のごときは、この切投げということが行われたためにあやまつた問題でございます。現在は、やつてはいけない、やつた者は厳重に処分をするということにいたしておりまして、現在では一切やつておりません。さようにして浮かしました一部を本省に吸い上げて、洋行費にまわしたことがあるといううわさがあるが、事実いかんということでありますが、私の調査いたしました範囲におきましては、洋行費にそういうものをまわしたことはございません。
  48. 高塩三郎

    ○高塩委員 もう一点伺いますが、昨年十一月二十二日、衆議院において、政府は近時続出する公務員の汚職事件に関し、その責任を明らかにするとともに、すみやかに綱紀粛正の実をあぐべきである旨の決議がなされたことは御承知通りであります。この責任を明らかにするということは、信賞必罰の精神をもつて、非違不正事件に対しては、その行為者を罰するはもちろん、直接間接の監督責任者もまたこれを不問に付することなく、それぞれの職責に応じて処罰、懲戒を受くべきであることを意味するものと考えます。電通省において、これほど大量の部内犯罪及び非違を出しながら、過去において幾ばくの監督責任者の懲戒が行われたのであるか、監督責任者の処罰状況並びに監督責任に対する電気通信省の所見をお伺いいたします。
  49. 靱勉

    ○靱説明員 お答え申上げます。もちろん私ども監督上の責任につきましても、当然とるべき責任は明らかにいたしておるつもりでございます。事件は、先ほどの数はもちろん本省だけではないのでありまして、地方の取扱局等にもわたつての件数でございます。そこで先ほど申し上げました通り、それぞれ監督者に対しましても処分をいたしておりまするが、その件数は、本年度におきまして懲戒処分を行つた者は、本人が二百七十九名でありまして、監督責任者は百十六名ということになつております。そこでただいま高塩委員の御質問の、これだけの全体の問題につきまして、一体どういう考えかということに対しまして、私どもとしましても、この問題につきましては、責任ある者につきましてはもちろん十分なる責任をとるという方針で、決して責任者が責任を回避することのないように、直接間接を問わず責任をとらなければならぬ者については、それぞれの時期におきまして責任をとることに方針を立てておる次第でございまして、この点は大臣の御方針もまつたく御同様であると私は信じておるのであります。
  50. 高塩三郎

    ○高塩委員 以上をもちまして私の質問を終りますが、電気通信部内の不正非違の絶滅、綱紀の振粛に関しては、佐藤電気通信大臣は過去においても再三にわたつてかたき決意を表明され、本日もまたかわらざる信念を披瀝ざれたのでありまして、私といたしましては十二分の信頼をこれに寄せるものであります。今日発覚する事件の多くは、現大臣の就任する以前の事故に属するものが多く、今後においては当局の努力によつて、漸次粛正されて参ることと信ずるのでありますが、電気通信事業の使命ますます重きを加え、ことに近き将来、その経営方式にも画期的改正の加えられようとする所から、私は電気通信省幹部が、この際あらためて部内綱紀の徹底的粛正の決意を固めるとともに、これが実現に向つて、ただちに断固邁進せられんことを希望いたすものであります。
  51. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)委員長代理 本日はこの程度にとどめまして、次会は明十五日午後一時より開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後三時三十分散会