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原公述人 この問題は八千万の
国民全部が関心を持つておる大きな問題で、一番われわれが遺憾と思つておるのが、この問題が、
経済上の問題というよりも
政治上の問題と化しておる。
終戦後六年半の長きにわたつて、
経済上の要求として盛り上つておるにかかわらず、
実行されておらぬ。元来
電力の問題は、すでに五年間というもの、
終戦後の六年を加えると十一年間ほとんど
開発されなか
つた。あるいは停頓に近い
状態に置かれてお
つたというわけであります。
昭和五年のころが
水力電気で
設備として二百七十九万八千キロあ
つた。このころ私もこの問題の下働きをした一人でありますが、この
計画者は、
福沢桃介、
山本条太郎、現存の
松永安左ェ門、この三人が考えておりましたことは、二十年後には一千キロ新しく
開発する、すなわち千二百八十万キロワツトの
設備を持つのだと、こういうふうに考えておられた。それが二十五年になる現在、まだ六百万キロ余りの
水力電気の
設備しかございません。その点から考えますと、そのときの
希望の約半分が到達されておる、こういうことであります。それは約十年間ほとんどストップしておりました。すなわち
発電会社のごときはございましたが、
開発専門であ
つたにかかわらず、大きな
電力、すなわち一箇所で大量の
発電をする
地点だけを
開発したということになりまして、ことに
自家用発電を全部
発送電会社に吸収した。そうして
自家発を許さなか
つたという、実にひどい政策の現われが長く続いてお
つたということであります。戦争中やむを得なか
つたと言いますが、やむを得ないじやない、その点で大きな失策であ
つたと思います。それを
終戦後は何とか取返したいと私考えましたが、たまたま私はその後は
電力を使う方の側にまわつて、
建設促進の方をやつておりませんでしたが、今日この場合、もう少しもこの点について右顧左眄する必要はない。あらゆる
手段で
開発を急いでいただきたい。
計画などは相当立つておるにかかわらず、
実行これに伴わないということは、ま
つたく残念な次第でございます。そこで
電源開発促進法案を拝見いたしましたが、その前に
基本方針のことについて、並びに私の
希望を申し上げまして、そのあとでこの
法案についての
意見を述べたいと考えます。十五分は、いわゆる十五分以上かかると思うことを御
承知を願つておきたい。
そこで
基本方針としては、前申し上げたことではつきりわかつております。ま
つたくこれをあらゆる面から促進するよりしかたございません。すなわち
既設の
電力会社はもちろんすでに
水利権を持つておりますから、これをできるだけ
実行しなければならぬこと、また今
公営事業をやつておりますが、この面ではもちろんやらなければなりませんが、もう
一つ自家用、この問題は
——自家発電はずいぶん長く押えられておりましたが、これは自由になりました。
自家発電はそれぞれの個個の
発電力は少うございまするけれ
ども、これは
一つ一つの生産につながつておりまして、その
電力を
利用して即
製品をつくることができまするので、
経済的基礎を持つておるものでございますから、それが一番大切なことでございます。これをとめてお
つたということが、
日本の
電力の
発展を非常に遅らせた、こういうことでございます。すなわちセルフ・インヴエストメントを
基礎として八千万
国民が考える
開発が一番早いのです。でありますから
電力を
開発するという面では、
責任者が多くいる方がいいということは端的に言えると思います。その点から現在の
電力事業をやつておられますところの
既設の九つの
配電会社、それから
公営をやつておられる方は、幾らか
経営上の問題はございまするけれ
ども、まずこれは一応解済しないで、すぐその県、その奧にあるものをどんどん
開発してやることは
けつこうです。とにかく今は急ぐのです。
自家用の方は、できるだけ今
製品をつながつて完全な計算に合う
開発をしていただく、この点から促進する。これは
電力開発の
基本方針であると思います。しかしながら一番大切な問題は
資金の問題です。かりに
電力に
日本全体の
資金を動員しましても、あまりこれに集中した結果他の
産業を萎靡せしめることは、この十数年間
電力を萎靡せしめたと同じ結果も参りますから、その間の調整ははなはだ困難ではありますけれ
ども、やはり調整しなければならぬ。まず現在の御
方針は
けつこうだが、ただ
実行これに伴わない、そこを
実行していただきたい。こんなふうに考えるのが私の
希望するところであります。もつともその
資金の求め方は、まず
国内によるよりしかたがないと思います。次いで
国内の他の
産業に非常な
圧迫を加えないこと、ある
程度の
圧迫はいたし方ありません。
電力の
開発に
伴つた産業の伸展をはからなければなりませんけれ
ども、
電力だけできて
産業は起らない。ただ
公衆用の
電気をつけたり、電車を走らせたりするということのみに
電力を使うのは——これもパブリツク・ユーテイリテイの
ためには
けつこうでありますが、やはり
日本は
産業用に
電力を使うということが主になりますから、これとにらみ合せて
産業の
開発をはからなければなりません。あまりにこの面に集中することは考えものだと思いますが、その面の調整が大切だと思います。その面から
資金の吸収をしていただいて、その次に
外資です。これは
外資と並行してもいいのですけれ
ども、
外資はこの数年間心得ても入りません。これには
理由があります。
外資の
導入というものは、ただ単に
電力を
開発する、
日本は
電力が足らないから、ときどき切れるから、
国民は十数年間
電力の
開発を、ほんとうの
電力需用のふえ方に伴つてやつていないから、急にやりたいのだ、こういうことを海外の投資家に話しても感じません。海外の投資家は、それがいかに使われて、その使われた
電力がいかなる
製品に
なつて、そしてそれがどんなふうに
電力建設に使
つた借金、
外資あるいは外債を
償却し得られるか、こういうことがはつきりされなければ金を貸す
理由がない。これは金を貸すという立場から言えば、
日本人でも、外人でも、人間の本能として同じです。でありますから、金貸しはその点においては普通人よりももつと厳格な基準を持つております。それを従来の
日本のやり方では
電力をつくり、五、六年間なりあるいは十年間なりに返し得られるだろう、だから貸してもらう
方法があるだろうというような、だろうだろう主義でやつておりますから、これはとんでもないものになる。むしろ
自家用が十万キロの
電力をつくるとして、アルミニウムをかりに年産五万トンつくる、それは二年間に
建設も終り、生産もできる、それによつてこれがどんなふうに処分されて、その結果
電力に対する
償却が十年とか十五年でペイ・バツクすることができるというふうに、
製品につながるその
電力を使つて
製品ができるという場合には、おそらくそのアルミニウムをつくる
設備に対する
外資も
導入できましようし、その基本になるべき
電力の新施設に対しても許されることです。こういうふうに行かなくてはならぬから、むしろ現在考えられている
自家発電の五千キロ、三千キロの方がまとまると、金融の目的になるのではないか、あるいは海外から
資本を入れることに役立つのではないか、これがもし大きな数字であれば、なお楽に入る、そういうふうに考えております。でございますから、
基本方針としてはあらゆる部面、現在働いておりまする
電力事業会社及び府県の
公営事業、私の
事業、こういう
方面の
事業者はできるだけこの仕事を進め、
資金の獲得については各自できるだけの努力はされようとは思いますが、これは
国家の支援を得るにあらざれば、このわくのつくり方にすでに調整上相当困ることがございますから、
国内の
資金の獲得にわくをつくり、あわせて
外国資本の
導入には、今申しましたように仕事とつながるその
電力を使つて何ができるか、その結果を出して、何年間に完済ができるかということを示して、
外資の獲得に進まなければならない。それに対する数字は、仕事をしている者全体、すなわち
事業に従事している全体の
電力事業者が
電力を供給する面だけからただ簡単に考えているだけでは
基礎づけが十分でございませんから、
電力消費の
産業に従事している全部の人たちが一緒に
なつてこれに対する
企画を立てなくてはならぬ、こんなふうに考えます。これはあとで
電源開発調整審
議会の問題に触れたときに申し上げたいと思います。
その次に起る問題は、従来の
電力六百八十万でございますか、火力は別としてその
程度の
水力電気でございます。火力は三百何十万の
設備を持つておりまして、
水力、火力全体で一千万と称せられておりますが、この施設は、何といつても長い間の
建設でありますから相当安く
なつております。今後のは相当高くなることがはつきりしておりますから、ぜひともこのフアートス・
コスト、すなわち
電力供給費を安くする
ためには、
建設費を安くするようにできるだけの配慮をお互いにしなければならぬのではないか、そのうちに、お互いといえば
自家用発電なら
自家用発電者、及び公益なら公益企業
経営者、あるいは現在の
電力会社なら
電力会社、こうございますが、
国家措置としてここにお願いしなければならぬことは、やはりフアースト・
コストを安くする
ためには、この公益
事業的の性格をよく考えていただいて、なるべく
工事を公益
事業費の方で
負担し得られる部面はさように願いたい。たとえばダムなどは治水に関係がございますから、これを利水の面とにらみ合せる。これはよく申し尽されておりますからくだくだしく申しませんが、そういう点をやつていただきたい。
またもう
一つは、これは新設企業ではよく起ることですが、
電力で特にお願いしたいことは、なるべく安い
コストの金を使いたい、これが大きな問題だ。でありますから利率が安ければなおさら
けつこうです。
国家資金をもし貸し付けていただければ、これに対する利息は長期のものであつて、しかも低利であるということを必要とするわけです。またこの
会社が新らしい
発電所に対しての
固定資産税の問題、または不動産生取得するときに必要なる取得税の問題、その他
水利権に対する問題、並びにいろいろな公物使用料、すなわち
国家のものを使
つた場合に、それに対する使用料のごときものを、安くしていただくか、あるいは一定の期間なくしていただくということがあればなおさら
けつこうです。そんなことが
電力建設費を安くする、すなわち安くすること自身がさつそく将来において生産品の
コストを
電力消費面において下げる、こういうことになるわけです。私は持論としては、
日本は従来、
水力電気料は非常に安か
つた、また労銀も比較的安か
つた、そうして
能率よく働く、知性を持
つた労働者が多か
つた。そういう点で、この知性を持
つた労働者と安い
電力の
コストのものを加え、そうして
電力関係の
製品を輸出することが
日本の海外貿易の大きな骨になるのではないかということを一時考えておりましたが、その点においては幾らか高くはなりましたが、この
電力はそういう面で、
電力を消費して
製品をつくる大きな
産業ではこれが非常な副原材料となりますゆえに、ただいま
安蔵さんでございましたか、御説明があ
つたように、最近では少くとも一キロワツトの
設備が十万円、最近いただきました
経済安定本部の数字によりますと十一万円に相
なつておりまするが、これに対する利息を考えましても、利息は一割と見ても一万円かかるわけであります。もしこれが、
電力のその
設備に対する効率から考えますと五〇%だから、二万円も
電力の全部にそれがかかることに相なりますので、できるだけフアースト・
コストを安くする、
建設費のうちのダムは
公共事業費によつて支出してもらうというようなことも考えていただく必要がある、こんなふうに考えます。私は、将来この新しく
開発された
電力がどの
程度、これを副原料としてつくりました
製品が海外において、品物の性質によりますが、優秀な地位を
確保し得られるかということに不安なきを得ないわけでありますから、
コストを安くしていただくことについては、ぜひお願いしたい。その次に起つて来る問題は、
開発で一番累をなすところの
水利権の調節並びに
水利権以外に、これを
実行する場合に、貯水池があればダム築造の
ために水没、埋没する村落あるいは農耕地に対する補償、あるいはこれが簡単にできそうでできないのは、公園すなわち府県幾つかにわたつておる国際公園と申しますか、大きな公園風致の問題及び地方の風致の問題も、常にこれが取上げられて
実行を妨げておりまするが、こういう面について特別な
方法が講じられなければいけないのではないか、こんなふうに考えております。そういう点が、まず
実行上起つて来るはつきりした問題であるわけなのであります。
私が申し上げましたのは大体概論的に申上げましたのですが、ここに
一つ問題になりますのは、さて従来の
民間会社すなわち九つの元
配電会社である現在の
電力会社、並びに
自家発電及び府県の
公営事業以外の
会社の必要がありやなしやの問題、これは今度の三十八条あります
電源開発促進法案のうちのおもなる部分を条文としても盛られておりますし、世間でも問題に
なつておりますが、私は従来の
電力会社が持つていらつしやる
電力会社の
水利権、これはできるだけ早く
開発していただけば
けつこうですが、ここに数県にわたつておるものまたはま
つたく新しい水系で
開発をしなければならぬというものは、別の
会社をつくつてもいいと思います。これはさつきお話しましたこととちようど一致するわけであります。あらゆる面から、
開発をするという力を持
つたものがそろえばそろうほど
開発を早くする、端的に言えばそれが結論です。でありますから大きな水系、すなわち只見川のごとく数県にまたがつておりまして、特にこれに対して下の方の水利を扱つておりますけれ
ども、大きな
計画の部面ではまだ
実行されておりませんもの、あるいは熊野川、吉野川という水系のもの、これは別の
会社でやつてもよろしいと思うのであります。そのあり方は
民営にするか
公営にするか、
公営にして株式
会社にするか公社にするかという問題があるのですが、これはもう末の末の問題で、創立上の手続及び運営上の手続でありますから、大きな問題ではありません。ただ一社にするか数社にするかという問題があります。これな
ども、促進の
ために必要なる場合には数社の方がいい、こういうことになるのであります。ことに問題になるのは
資本金の問題、もう
一つは、またこの
資金獲得を数社でやる方がいいか、一社でやる方がいいかという実際上の問題、こういう問題がこれにいろいろ連関して参ります。でありますから私は、みなが一緒に仕事を始めることができれば、多い方が
けつこうです。しかしそれを押えているのは
資金の問題です。なけなしの
日本の
資本——さつき申し上げましたが、他の
産業もつぶさないように
電力の
開発と一緒に足並をそろえて行きたいという
資本の必要があるのですから、これを数社にわけて、いずれも目的を達しないようなことに
なつては相ならぬ。これは実際問題です。でありますから、数社問題とか一社問題とかは大きな問題ではない。むしろ
資金が許し、また
利用者も完全に得られた場合には数社の方が
けつこうです。しかしながら
資金面がきゆうくつで仕事が進まないおそれがあれば、これは一社でもやむを得ない、こういうふうに考えられる。しかし
資金が潤沢に
なつて、そしてまだ
開発されてない水域があれば、余裕ができた場合にまた一社つくるということも
一つの
方法です。法律はわれわれが今つくるのです。法律が皆さんの手によつてつくられることは、皆さんにわれわれの
代表としておつくりいただくわけです。そういたしますと、これは常にその場合の実況によつて判断していただくよりしかたがない。今日の一社案の問題は、とりあえず一社をつくつて、あと数社をつくるという何らの含みはございません。全国一社ということで、同種の名義を用いることさえ禁止しておりますが、もしこの
会社が、
資金は潤沢に発足の見込みがあ
つたにかかわらず、発足後従来の
発送電会社がや
つたように大きな
電力だけの
開発、また机上の設計に終つてなかなか
実行にかかれないなどということがあれば、そして世間の
状態は
資金も余裕ができた、あるいは
外資——ある仕事に対する
電力を使つても、ちやんとこれに対してバツク・ペイするだけの
外資導入が行われるときに、その
会社で行われなければ、また
一つの
会社を起すことも
一つの
方法ではないか。これはまだこの際できません。できないから、とりあえずできるところの一社を、また数社にしろとかぐずぐず改変していたのでは時間がかかる。われわれは時間のかかることが一番困る。急ぐのでありますから、理想は今申し上げたように、現在でも
既設の
電力会社と、
民営と
公営とチャンポンでやろうとしているのですから、これに
特殊会社をつくつて、それは未
開発地域の、ほかに影響のないところでやろう、こういうことは
けつこうだと思います。それで数社でやるだけの余裕があれば数社でやつていただいて、一緒にかけ出してもらうことは
けつこうですけれ
ども、現在の
状態において、それが許されるかどうかということに相なるわけであります。馬本の
資金情勢並びに海外の
資金導入などに対して、私は今のやり方では大いに悲観的だと思つている。これが事実だとすれば、やはりこの際、すでに
法案になろうとしているこの一社案によるもやむ得ないのではなかろうか こんなふうに考えております。
ただここにこの
法案について、私ちよつと申し上げたいと思うのです。この
法案は、総則と
電源開発調整審
議会並びに
開発会社、この三つのものが盛られておりまして、関連性のあるような、ないような、別々の法律でもいいようなものを一緒にしておるように拝見しますが、総則のところでは、ただ
電源開発の必要並びに調整の必要があ
つた場合には、その行政を行う長の申請によつて、調整問題を
実行する
ために審
議会に諮ることがきめられております。その他
公共事業との費用の分担の点などがきめられております。こんなことは論議する必要はございませんけれ
ども、ただ問題になることは、この審
議会の問題なのであります。これは現在のところ、安定本部に帰属させることに
なつておるように拝見いたしております。この審
議会の任務がここに掲げられておりますけれ
ども、大体諮問をされて、それに答えることに
なつております。この第八条のうち二号から四号までは、いわゆる行政
機関の長が安本総裁に申し出たときに初めてこれに対して
意見を出せることに
なつておりますが、第一号は
電源開発基本計画に関し調査審議することと
なつております。これはたいへん大切なことで、この大切なことを
実行する線からいえば、むしろ
電源開発調整審
議会というよりも、
電源開発策定審
議会、あるいはこの策定と調整と二つを加えた何かいい言葉があればそういうものを盛り込んだ審
議会ということにする。名は体を表わすで、またこの審
議会に入つていらつしやる方々の気持をまとめる上においても、そういう形をおとりになるのがよいのではないかと思います。もつともこれは安本がおきめになるものの諮問ということに
なつておりますけれ
ども、八条一項一号から見れば、これは策定することに
なつておりますから、
電源開発策定調整審
議会ということにして、どこかで全般的の策定をやらなければ、これはその
開発機関の
責任者の数が多くなればなるほど、この問題が大きな問題になるのではないか。一例をあげれば、
自家用の人たちがある水域において至急に
水力を起したい。量は一万キロでよろしい。しかし大急ぎでこれを
開発して、大急ぎでここで繊維
事業を営むとか、その他の化学工業を営むということを
希望しておりましても、これは
特殊会社の方でねらつておるところで、この
水利権はさようにしては相ならぬということがある。しかしその方でやれば五年もかかる。これでやれば一年半でできるということになれば、全体の
計画にさしつかえのないようなわくをつくつて、一年半の方に早くやらせる方がよいのではないかということも起りますから、ここの審
議会は相当力のあるものにしたい、そういうふうに私は考えます。そうなりますと、この審
議会に関する規定をもつと拡張したり、あるいはこれに事務局を備えなければ
実行できないと思いますが、まず第一に、この審
議会が
実行するいろいろな調査
機関は安本によつておるようでありますが、やはりここに独立の事務局を持つて、技術者も有能な人たちがこれに入つて仕事をしなければならぬのではないかと思います。ただここにこの
組織についてふしぎに考えている点があるのであります。それは
会長及び委員十人で十一人に
なつておりますが、任期がない。任期のないのはどういうことなのかふしぎな感を抱くのです。この審
議会は相当大切なものでありまして、
電源開発の歴史的なことも知つていなければなりませんし、同時にまた現状の把握も大切でありますし、相当大切な仕事を持つておりますから、やはりこれに対して長期の任期を与え、または過半数ずつかわるという制度も
けつこうだと思われますが、この点についてふしぎに思つておるわけであります。もう
一つ審
議会を
組織する委員の資格の問題でありますが、大蔵大臣、農林大臣、通産大臣、
建設大臣、安定本部総務長官、及び公益
事業委員会委員長と、一から六までは中央官庁の方で、第七号に地方自治庁長官が地方自治を
代表して入られておりますが、要するに十人のうち七人は全部官庁の方であります。これはこう言うとおかしいのですが、当
吉田内閣のごときも大蔵大臣は初めからずつと同じ方がいらつしやいますが、通産省の方は五人かわられました。こういうふうにかわられると、任期というものを書いては困るのではないかと思います。通産省としては非常に大切な仕事をつかさどるところであり、ことにこれを
産業と連接する場合には切り離すべからざる問題であると思います。でありますからこれはやはり任期をつけて、大臣でない方にやつていただいて、これを慎重審議されることがよいのではないかと考えます。任期をつけない
理由は、七人の方がいつかわるかわからないような大臣の方々が入つておる
ためではないかと思います。しかもこの人たちは非常に忙しい。おそらく二十四時間お宅でも、事務所でも、あるいはこの際ならば国会でも非常にお忙しく、寸暇のない方々が、
会長を除いた十人のうち七人を占める。この重要な審
議会がかくのごときことでは運営ができないと思う。この審
議会を完全に働かす場合には
組織の
方法をかえていただきたいと思います。
それからその次の第八号に、この
電源開発にあたつて学識経験を有する者のうちから安定本部総裁がこれを任命することに
なつておる。この三人にただ単に
電源開発に関し学識経験ある者だけを入れておるのですが、これには異議がある。これはやはり消費者関係の人——消費者関係てはちよつと狭く
なつて人を選びにくいかもしれませんが、八千万人の人間がおりますから、そのうちには適当な方があると思います。業界その他について広い知識を持
つた人を少くとも二人ぐらい入れるということにしていただく必要があるのではないかと思います。でありますから、私はやはり一般の官庁以外の、第八号の三人を五人ぐらいにふやしていただいて、あるいは十人でも
けつこうでありますけれ
ども、五人ぐらいにふやしていただいて、そのうち二人くらいは
電源開発に経験を持
つた方、あとは財界において広い経験を持
つた人三人、これが大切なのです。技術上の問題と歴史を知つておるということだけではだめなのであります。
電力は
日本の
産業界においてどういう地位にあるか、この
電力をどういうふうに
開発して行くか、割当てて行くか、三年、五年十年後の
電力使用状況はどうなるか、そういう案を練つてこの審
議会に盛り込む力を持
つた人が大切なのです。この点に思いをいたされまして、人数をふやすか、ふやされても、その構成員をただ単に
電源開発に対する学識経験を持
つた方々のみ三人入れるということを考え直さなければならぬのではないか、こういうふうに考えます。それでもう
一つお願いする。一から七までございまする七人の大臣諸公はお忙しくて出られないと思いますが、大臣が出られなければこういうものが出るというふうに、完全にこの仕事を把握している方を出していただかぬと非常に困るのではないか。この議事の進行
方法などは相かわらず役所式になるのか。そこのところは非常に困ると思います。そういうものにならぬものとして進んで行く、一人でも反対すれば決議ができないということになればいいと思いますが、そうも行かぬと思います。そういう点で
組織についての御考慮を煩わしたい、こういうふうに考えております。ただ十条の「その所掌事務を処理する
ため必要があるときは、関係都道府県知事の
出席を求め、」これは非常にいいことだと思う。私はかねてからこういう問題について、二十七ぐらい大きな川がありますが、これについて各川審
議会というものをつくつて、それに関係都道府県知事並びに各省の
代表者を入れて、各川ごとに利水、治水、灌漑その他全部の問題を解決して、その場合に
水利権も決定して行く、そういうふうにしたいという
希望を持つております。その意味から考えまして、やはり大勢の人がその審議に参画することが必要ではないかと考えます。
その次に
電源開発株式
会社の問題ですが、これは私あまり力を入れて見ませんでした。というのはおそらく株式
会社的の性格を持つていないものができ上つておるのだろうと思います。いわゆる株式
会社であれば配当その他についても自由闊達にやれますが、これは第一配当する
会社かどうかもわからなか
つたのです。しかし一応拝見すると、利息の配当を許す場合も云々ということがありますから、一般の配当も許されると思います。許されなければ官庁が半分以上株を持つということで、
民間の
資本はちつとも入らないことになると思
つたのでありますが、その点では許されております。
あとの方を見ますと、非常にいろいろなわくがありまして、そのわく、
制限によつて行動をとることになりますから、この
経営者の御苦心も察するに余りある、こういうふうに感じます。しかしながらこの審
議会で確定したものを早く
実行に移すということは、その目的を達成する意味から、またこれは
経済経営の線にもはつきり合いますから、その点は
けつこうだと思います。
この
会社の定款に盛り込まれることを予想したそれぞれの内容については私
どもあまり検討いたしませんでしたから、これは全知全能の皆さん方の御決定にまたなければならないと思いますが、ただ
特殊会社というものができるだけたくさんできてやることが
けつこうですが、現在の
資金わくその他を見通してこれができないとなれば、この問題で相争うよりもむしろ早く
実行に移ることを期する、すなわち言いかえてみれば、悪い言葉でありますが、拙速をたつとぶ、
実行をたつとぶのでありますから、どうかその点を早く御決定を願つて、一日も早く
実行に移されることを切にお願いして私のお話を終りたいと思います。