○松田(太)
政府委員 この問題につきましてはいろいろの見方があると思うのでありますが、
公益事業委員会としての考えを一応申し上げますと、いわゆる
公共事業令の上にもその精神が載
つておるのでありますが、要するに各
産業といわず、一般の
需用者といわず、公正な、しかもその間に不当な差異をつけるような行き方をしてはいかぬというのが、私どもの
根本方針にな
つておりまして、
従つて少くとも現在におきましては、いわゆる原価主義によ
つてできるだけコストをはじき出しまして、これを今
お話のような
産業面につきましても、またその
産業のうちでも化学肥料とか、あるいは鉄鋼とか、その他いろいろな業種別等につきまして、これをその業種々々によ
つて、今申しましたような、鉄鋼とか、機械とかいうような業種によ
つてわけずに、大体三千
キロワツト以上とか、あるいは三千
キロワツト未満というような
電力の使用量に応じて、それからまた一般の家庭等につきましても、そうい
つた電燈関係なら電燈関係というような、いわゆる事業種別によ
つて一般のコストをさらに個別原価計算と申しておりますが、それではじいて、その線に沿
つて電力料金というものをそれぞれの
需用者に負担していただくということが、実は
根本の精神なのであります。ところが実際問題といたしまして、先般の
電気料金の改訂の際にもいわば
お話のような政策的な
見地も多少加味されたと申していいのかもしれませんが、特に率直に申し上げまして、その際司令部の方からも
相当強い指示がありまして、結局家庭の電燈に比べて、一般
産業用の
電気料金の料率の方が低か
つたのであります。その点は今度の
電気料金改訂の申請におきましては、
電力会社の方としても十分輿論を徴したと見えまして、その辺の料率についてはできるだけ元にもどるように、言いかえれば、両方の料率が——料率と申しますか、絶対の額というのもが、だんだん同じような線に近づくような
意味で改訂の申請を出しておるのであります。
従つて私どもといたしましても、個別原価計算というもので参ります以上は、そういう原価主義というものをできるだけ基準にして参りたいと思
つておりますが、たとえば
先ほどお話したような化学肥料の問題でありますとか、あるいは鉄鋼関係でありますとか、アルミ関係でありますとかいう問題につきましては、
電気料金の制度は御承知のように、別に
電力の割当制度というものが現在ございます。これは供給力が
需用に十分合うだけ大きくなれば、何らそういうような割当的な統制式なものはやらなくてもいいようになると思うのでありますが、また当然そういうぐあいに向けて行くのが
電源開発促進法の大きなねらいだと思いますが、少くとも現在需給のアンバランスの関係上そういう
電力の割当をしておる。そうして割当をされました
電力というものは、比較的安い標準料金というもので料金を納めればよい。しかし割当以上使
つた場合には、
相当高い火力料金と申しますか、追加料金式なもので支払わなければならぬというようなことで、いわゆる化学工業とか特に肥料工業等につきましては、今
お話のような国際価格の関係とか、あるいは米に対する影響とかいうような点からしまして、できるだけ多くの割当をする。言いかえればできるだけ標準料金、安い料金で行けるような
建前を、現在これは
経済安定本部の方で、全部そういう作業的な点はおまかせしておるのでありますが、そういう線でや
つておりますので、むしろ料金自体につきましては今申しましたように、個別原価計算主義でや
つております割当制度の関係からいたしまして、
相当政策料金的な面が
産業、なかんずく大口の
産業、特に化学肥料というような点については行われているというのが実情であります。しかしながらこういう点につきましては、今後
電気料金というものを検討して参ります場合に、
先ほど来いろいろ
お話のような点も十分
考慮いたしまして、料金自体についてそういう政策的な
観点から考えていいかどうかについては、よほどこれは愼重に考えて参りませんと、そこに
一つの大きな国策の線でも出まして、また法律的にそういう点で
重点的に考えて行かなくちやならぬというような線が一方において出ません限りは、
公益事業委員会といたしましては、一応料金をつくり出します基礎といたしましては、できるだけ原価主義によりそれぞれの業種別に実際かかるコストを
ちようだいするというような現在の制度というものが必要なのではないか、かように考えておるのであります。