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1952-06-11 第13回国会 衆議院 通商産業委員会 第51号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年六月十一日(水曜日)     午後二時十五分開議  出席委員    委員長 中村 純一君    理事 高木吉之助君 理事 中村 幸八君    理事 山手 滿男君       阿左美廣治君    今泉 貞雄君       小川 平二君    神田  博君       小金 義照君    永井 要造君       南  好雄君    河野 金昇君       加藤 鐐造君    横田甚太郎君  出席政府委員         通商産業事務官         (通商繊維局         長)      記内 角一君         通商産業事務官         (通商機械局         長)      佐枝 新一君         通商産業事務官         (中小企業庁振         興部長)    松尾 金蔵君  委員外出席者         通商産業事務官         (通商企業局次         長)      齋藤 正年君         専  門  員 谷崎  明君         専  門  員 越田 清七君 六月十一日  委員佐伯宗義君及び岡良一君辞任につき、その  補欠として河野金昇君及び加藤鐐造君が議長の  指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 六月十日  臨時石炭鉱害復旧法案修正に関する陳情書  (第二二六〇  号)  中小繊維産業危機打開策に関する陳情書  (第二二六一号)  中小企業対策促進に関する陳情書  (第二二六三号)  電力需給に関する陳情書  (第二二六三号)  かんがい排水用電力料金値上げ反対に関する陳  情書(第二  二六四号)  只見川電源開発流域変更案実施促進に関する陳  情書外一件(第  二二六五号)  佐久間発電所建設促進に関する陳情書  (第二二六六号)  九州の電源開発地域差縮小に関する陳情書  (第二二六七号)  乗用車輸入に対する外貨貸付制度適用に関する  陳情書(第二  二六八号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  参考人招致に関する件  特定中小企業の安定に関する臨時措置法案(南  好雄君外二十二名提出、衆法第六一号)     ―――――――――――――
  2. 中村純一

    中村委員長 これより会議を開きます。  本日は特定中小全業の安定に関する臨時措置法案を議題といたし、質疑を続行いたします。横田甚太郎
  3. 横田甚太郎

    横田委員 特定中小企業の安定に関する臨時措置法案、これはおそらく前のときに質問があつただろうと思いますが、私ははつきり聞いておりませんので、なおはつきりしたいために聞くのですが、特定中小企業というその特定というのはどういう意味なんですか。
  4. 南好雄

    南委員 お答えいたします。この中小企業中に、国会において第二條の要件を備えるものとして指定があつた場合、そういう指定業種については五條以下の調整組合ができる、こういう意味合い、で、国会業種指定があるのですから、そういう意味でこういう言葉を使つたわけであります。
  5. 横田甚太郎

    横田委員 提案者に伺いますが、この中小企業の持つ弱み、これの悩みですね、あるいはこれに対する救済の対象というものは一体どんなものだと思つておりますか。この三点について御答弁を願います。
  6. 南好雄

    南委員 私は、政府でありませんで、この法律案提案者でありますが、こういう法律のねらつていることも現下の中小業者救済に役立つものという考え法律案をつくつて提出したようなわけであります。中小企業全般対策につきましては、中小企業庁の担当の政府委員から御答弁いたします。
  7. 松尾金蔵

    松尾(金)政府委員 中小企業の持つておる弱点というようなものは、私から申し上げるまでもなく、すでに十分御承知通りでありますが、これに対しまして、そういう意味中小企業のいわゆる経済的な弱点というようなものを補う意味具体策は、現在の中小企業振興対策と申しますか、その対策が必ずしも十分であるとは言い切れないかもしれませんが、とにかく現在いろいろな施策を実施をしておることは御承知通りであります。特に中小企業は、各個ばらばらではなかなかその弱点を補うことはむずかしいわけでありますから、やはり協同組合というような形でまとまつて相互扶助の形で自分らの経営上の弱点補つて行くということは、中小企業対策としてすでに久しい間、ずつと以前から、まず第一の根本対策として実施をされておることは御承知通りであります。しかし何分にも現在の中小企業は、資本不足または運転資金不足というような点が、特にこういう情勢になれば、非常な経営上の弱点をそういう点にはつきりと現わして来ておるわけであります。これに対しまして金融対策ということが絶えず非常に重大な中小企業対策の問題として取上げられ、また実施をされて来ているところであります。これにつきましは現在の中小企業自身の側から、金融ルートに乗り得るような方策をとるということを片方実施をしなければならないのでありますが、同時にその信用不足を補う意味の、御承知のような信用保証協会でありますとか、そういう制度補つて中小企業金融ルートに乗せるように努力をいたしておるつもりでおります。さらに中小企業根本的な合理化というような点が根本対策としてあわせて実施をされなければならないわけであります。これらの点も現在企業診断でありますとか、技術指導というような面で、できるだけの合理化技術制度の改革の実施を進めて参りたいと思う次第でございます。
  8. 横田甚太郎

    横田委員 一般説明みたいな答弁ですが、何といいますか、言葉の遊戯はやめにしまして、現実のこの世のにおいのするものから聞いて行きますが、たしか日にちは二十七年の六月十日であつたと思います。これは東京の四谷で全国中小企業家が集まりまして、中小企業が非常に危機に瀕している、これを何とかしなければならない。こういう催しがあつたということは御存じですか、御存じでありませんかということが一つと、もし御存じでありましたならば、こういうような大会に対しまして中小企業庁当局は一体どういうような対策をおとりになつておるか、これをまず伺つておきたい。
  9. 松尾金蔵

    松尾(金)政府委員 お答えいたします。昨日の、大会の開催のことは私ども承知をいたしております。また昨日その大会でいろいろな宣言決議をされました点は私どもよくお話を伺いました。その中に対策上当面早く実施を急がなければならない点、数々の軒策宣言決議の形で伺つておりますが、これらも今後できるだけの努力をもつて進まなければならない、こう考えております。御了承を願いたいと思います。
  10. 横田甚太郎

    横田委員 承知をしていたという話を伺つた。これに対しまして今後できるだけの努力をしなければならない。こういう言葉だけを今の答弁から聞いたのですが、今まで議会答弁におきまして、こういうことに対しましては救済すべく努力しなければならないということは常に言われたが、だだの一回だに救済する必要がないということは言われたことがないと思うのです。池田さんが中小企業一つや二つつぶれてもいい、こんなものは倒れてしまつてもいいと言われた。このことは議会における失言になつた今の答えの言葉は非常にきたいですが、この言葉一つも実現されない。それであるから、京都の蜷川さんは、やや社会主義的な色彩を持つてつて中小企業の本質に対してもつとこれを打開するには、難局打開のためには、こういうようなよい方法があるという考えを持つてつた。こういう人は自由党政権によつてほうり出された。その自由党がこの法案を提案しているのですから、ここで問題が起つて来た。そこで私は具体的に答えてもらうために、その大会で言われました宣言、それから決議、一々項目に対して回答されたか、されなかつたか。回答されなかつたのであるならば今日回答してもらいたい。これに対する中小企業庁見解を聞きたいのです。宣言によりますと、「敗戦後七年の苦難を経てわが日本は再び独立の喜びを迎えたが混沌たる世界情勢に処して堂々の陣を張るためには前途いよいよ困難の加わることを覚悟しなければならない。ここに於て我々国民の先づ為すべきことは国内経済再建であり、貿易振興であり、財政の確立であるがその何れの面に於ても我々中小企業者の荷う役割は誠に絶大なものがあり同時にまた我々の果すべき使命と責任の愈々重且大なるを痛感するのである。即ち我々はここに更め中小企業こそ新日本建設の原動力なることを深く自覚し大企業偏重政策を打破し為政者の猛省を促し牢固たる団結を以つて共金融面に於て将又事業面に於て、あらゆる難難を克服して企業振興を図り以つて日本の興隆延いては東洋の平和、世界平和建設に貢献せんことを誓うものである。古本大会の名に於て宣言する。昭和三十七年六月十日、中小企業蹶起全国大会」こう書いてあるのです。ここには自由党を除くところの、議会に出ております、一切の政党の人たち行つて激励、訓辞、こういう言葉を述べているのです。議会におきましては中小企業、安定という名前をつけて逃げてはおります。中小企業の安定に関する臨時措置法案という法案を出している自由党が、逃げてこの大会にあいさつに行つておらないのです。その自由党に何と言いますか、指導され、頭を押えられている政府側は、こういうような宣言をお読みになつて、どういうふうにお考えになるのか。しかもこの中小企業者たち日本の平和、世界の平和ということを高らかに叫んでいる。日本産業の興隆ということを叫んでいるのです。しかしここで一つの大きな問題が出て来ます。というのは現在は資本主義体制であつて資本主義ということは整理し得ない弱い中小企業をたくさん持つているのだと思います。危機に際しましては、この中小企業を一々切り離して行くことが資本主義の特徴でありまして、中小企業の犠牲においてのみ大資本のもうけがあると思うのです。これが大きくなつたときに中小企業だけの危機でなしに、大企業に火がついてそうして革命というものが社会経済組織あるいは政治組織を根底からくつがえしてしまう。これがこわいから、何といいますか、全部をとられず一部をなげやるために与えたのが、ここに出ておりますように特定中小企業の安定に関する臨時措置法案、こうなるのだと思うのです。それがすなわち政治動作の点におきましては、選挙前に際しましては一切の人民から票をかつさらうための選挙運動になつて行く。こういうふうに解釈しているのです。こういうような宣言の中に盛られましたところの中小企業者の苦衷に対してはどういう態度をとつて行くか、それを具体的に述べていただきたい。これだけでは答えにくいでしようから一つ申しますと、「中小企業蹶起全国大会に於て左記決議を行い之が即時貫徹を期す。」「中小企業資金融通法を制定し、長期安定資金五百億円の即時放出政府要求する。一、農林漁業資金融通法はすでに制定され三百二十億円が十五ヶ年、年七分五厘で流れて居る。中小企業者には安定資金の途がない。税攻勢金融難のため正に破滅の危機に追込まれて居る。このことは独立後の我国経済再建一大障害となつて居る。よつて中小企業資金融通法を制定し真面目な企業者を救う途を開く必要がある。」この中に盛られておりますように、長期安定資金五百億の即時放出政府要求しているのです。これはおそらく池田さんがおらないと答えにくいのでしようが、池田さんがおらなくてもこの振興をあずかつているところのあなたといたしましては、こういうような五百億あるいは七百億あるいは一千億という、額に相違はありましようとも、一応何らかの金を出さなくちやならないというようなお考えがあるかないか。ありとすれば一体どのくらいの額が妥当だと思つていられるか。この点を承りたいのです。
  11. 松尾金蔵

    松尾(金)政府委員 ただいまお読み上げになりました宣言文にあります通り中小企業日本経済の中における重要性という点は、少くとも中小企業対策を預かつております私どもといたしましては、十分承知し、またそれだけ中小企業重要性を強調して、中小企業対策努力をしておるつもりであります。特に先ほども簡単に触れましたけれども中小企業資金の面につきましては、中小企業のほんとうに必要な資金はつきり計算をして幾らであるかというような計算が、これはわれわれもいろいろそういう推定をいたしますけれども、それがなかなか正確な計算はむずかしいと思います。しかしその額の計算は別といたしまして、中小企業が、特に現在のような形において長期安定資金がほしいという、そういう要求が非常に強いということは、もちろん私どもも十分承知いたしております。現在でも全然そういう意味資金の源がないわけではないことは御承知通りであります。現在すでに本年度におきましても、中小企業のための別わくとして見返り資金三十三億のわくが用意されております。それ以外にもなお従来の回収金その他を今後再び中小企業長期安定資金としてまわすように努力しなければならないというふうに考えておるのであります。いずれにいたしましても五百億円という数字をいきなりどうこう申し上げるわけではございませんが、中小企業立場から、できるだけ多額の長期安定資金を確保するようにという努力は、今後とも私ども必死になつてやらなければならないというつもりで、努力をして参る次第でございます。     〔委員長退席高木委員長代理着席
  12. 横田甚太郎

    横田委員 できるだけ確保する、こういうふうに言われましたね。五百億ということについては、五百億が高いとも多いとも、こういうようなことは言つておられません。私の聞きたいのは、中小企業救済しろというような、決議を出さなくちやならないほどの窮状が選挙を前にしてすでに日本社会情勢の中にあるということをちやんと御承知になつているなら、五百億くらいの金は出せると思うのです。警察予備隊なんかにはずいぶん金が出ている。あるいはアメリカ軍の補償のためにはいろいろ金が出おる。またアメリカとの商取引のためには日本が非常に損している。これは自由党見解は違うかもしれませんが、日本が損していることは事実でありまして、それだから日本議会の外においては毎日毎日もめて、きのうなんかは、国会の中はさくだけではいけなくて、巡査が来て人垣をつくつておる。鉄兜で国会を取巻いております。だからそういうようなものをなくするために五百億の金は当然出すべきだと思うのです。まずこの五百億の金を出すためには、一体中小企業者がどういう行動とつたら企業庁でも運動がやりよいと思われますか。皮肉なことを申しますが、この点について……。
  13. 松尾金蔵

    松尾(金)政府委員 ただいまの御質問意味は、どういう行動とつたらというような御質問のようでありますが、そういうことについて、私どもは少くとも中小企業政策立案実施をする立場から、その中小企業行動をああいうふうにしてくれ、こういうふうにしてくれというような、そういう特別の注文をつけるようなつもりは特にないのでありますが、しかし中小企業者の一致した声がそういういろいろな機会にいろいろな形で出て来るということは、私ども中小企業者の声が各方面に反映をするという意味では、そういう声がいろいろな機会に反映することには——どももそういう声を聞きながらいろいろな政策を推進して行くという意味で、絶えずそういう声は注意をして行くつもりであります。
  14. 横田甚太郎

    横田委員 これからの答弁は、別に松尾さん一人とは限つていないのです。斎藤さん——企業局の次長も来ておられるんですから、たくさんおられるんだから、みな一緒に答えてもらいたい。私の申しましたのは要求の問題で、中小企業者だけじやないのです。労働者であろうと、学生であろうと、農民であろうと、それからあらゆる市民は要求しているのです。ところが労働者の場合を例にとりますと、要求した労働者労働組合法わく内において運動をやつているときには負けているのです。国鉄夏季手当闘争にいたしましたところが、あのわく内でやつておる。そのわく内で話を妥結して帰つて来た大和国鉄何とかいう人ですが、あの場合に、何といいますか、組合員につるし上げにあつているんです。組合指導者政府役人にかわつてしまつているんです。税金にしましたところが、まけてくれといつて数字を並べて税務署に頼むだけでは、結局税務署運送差押えに協力してしまうことになる。そういうように、税務署のトラックの中に自分の荷物を運んで行くのと何のかわりもない。また農民にいたしましたところが、供米においてそうです。アメリカ日本食糧を強奪し、朝鮮で使うところの食糧の足しにしている。これは広川さんがはつきり、麦の点においてここで——予算委員会質問したときに答えている。だから中小企業者もきのう集まりまして、政府に対しまして要求しましたこの要求の声は、あなたたちを励ます一つ言葉になつて、これを実現するための目標になつていい、励みになつていい、こういうふうに言われますけれども、もうこういうような大会を開くだけでは、結局人の演説を聞きに行つてデモつて歩いて、くつを減らすだけ損だ、より高い闘争へという段階まで来ている。そこで今日本で問題になつているのは、自由党のきらいな国民実力行使です。どうしても要求を持つておる。要求する。その要求が至当であるかどうかということを断定しまして、それが至当であるならばこれを聞く。聞かなければこれを聞かしてやろうということになつて来て、実力行使になるいわゆる何というか、この判定をするために私は政府に聞いているのですが、政府側でこの五百億の金を出すがためにあらゆる努力を議せるか。議した結果としてこれを出せるような余地があるかないか。そういうことを言うこと自体が何といいますか、そういうことに対して答弁をすること自体が、すでにあなた方が政治的な干渉を受けているのか、受けている例なんです牛場君ですか、牛場君は中共貿易に対しては、日本貿易事情から見まして、どうしても中共貿易しなければならない。そういうふうな気持にかわつて来て、ケム修正條項ではいけないし、輸出入管理令ではいけないし、どうしてもこれはバトル法の線まで緩和しなければならないと言つておるにもかかわらず、岡崎外務大臣は、これに対して、そうではない、日本が一番強い輸出入管理令世界に率先してやつて世界をこれに見習わすのだ、このように言つておる。それの親分である吉田ワン・マン、彼は岡崎ではもう間に合わなくなつて来た。首でも切つてやろうかというようなうわさが出ておるほど下の圧力が強くなつて来ているんです。だから私は運動するのはいい、要求するのはいい。これは憲法に保障されたところからいつてやれる。しかしこんな運動はすでにきき目がない。結局警視庁予備隊の連中にその日の弁当代を出して酒飲ましてやる、その酒代を稼いでやるのが関の山となつてしまう。だから中小企業者はいつまでもこういう大会に集まつてあなたたちに願いに行つて断わられるあなたに丁寧に断られる。こういうような関係を繰返して行つたならば、この中小企業というものはどうなつて行くか。今までの実績から見まして、どういうふうに判断されるか。これに対してあなたの答弁を願いたい。
  15. 松尾金蔵

    松尾(金)政府委員 お話の点は非常に政治問題についてのお話のようでありますので、私からあまりつつ込んだお答えをするのは適当でないと思います。しかし中小企業立場から、たといその場その場の自分たちのことを強く、また堂々と自分らの要求希望一般に反映させる、出すということは、もちろん現在の情勢では必要であると思います。しかしそれが通りそうもない場合にどうするかという問題になりますと、これは私から御答弁をする限りではないと思います。そういうふうに御承知いただきたいと思います。
  16. 横田甚太郎

    横田委員 何だかぼうとした言い方ですが、金を出す必要は認あておるらしい。そこで中小企業者言つているのには、こう言つています。金を出すのは、それは金融機関から出すのだ、今の金融機関はあかんと言つて決議の二で「中小企業金融体系を確立せよ。銀行営利本位になり、小品で面倒な中小企業を締め出している。よつて本法の運営に依り中小企業金融を一元化する処置を講じ、商工組合中央金庫の機能を拡充強化をなし、政府資金を拡大」、農林中金——農協金融体系と同じ中小企業体系を確立し、商工中金——信用組合に直結による系統一元化の実現を期す。」こういつておる。そうすると、これによつてはつきり出ておるように、銀行営利本位になつておると、全国大会の名において集まりました中小企業者たち言つておるのです。小品でめんどうな中小企業を締め出しているのが、こういわれる原因だということを言つておるのがこの基礎になつているのです。この二点に対してどういうようなお考えをお持ちですか。
  17. 松尾金蔵

    松尾(金)政府委員 お答えいたします。銀行営利本位であるからだめだという点は、営利本位という言葉が非常に特殊の感じを持つ言葉でありますから、そういう意味営利本位ということをここでどうこうというわけではありませんが、金融機関といたしましても、御承知のように自分のポケツト・マネーを動かしておるわけではなくて、片一方一般からの預金を預かつてこれを運用している建前からいたしますれば、金融機関としても当然それだけの責任を持つて、いわゆる現在の経済制度のもとでコマーシヤル・ペースに乗つた資金運用をすることは、おる程度やむを得ない事情であろうと思います。中小企業立場から見ますれば、金融機関営利本位に走つて金を貸さないということだけをいかにやかましく言いましても、それでは現在の状況でこの金融の問題が片づくわけではありませんので、むしろいわゆる金融ルートに乗るような努力を、やはり中小企業自身の側からもする必要があることは当然のことであろうと思います。が、しかしそうは申しましても、中小企業自身だけの努力では、とうてい解決に近づくことのできないようなある限度があろうということは、私ども承知をいたしております。そういう意味で、現在金融機関が、中小企業信用力不足というような点で、なかなか踏み切つて貸出しがでないというような点を補う意味から、さつきも述べましたような中小企業自身信用不足を補うような制度は、現在信用保証協会あるいは国営の信用保険法等実施をいたしておるわけであります。なおまたただいま御指摘のように、確かに金融機関小口の貸出しについて、調査その他の関係で必ずしも積極的でないという傾向は見えるようであります。金融機関としましても、その取扱い件数から見ますと、相当小口の貸出しもしておるのでありますが、しかし現在中小企業全体の金融から申しますれば、おそらくそれくらいではその希望に対してははるかに遠い状況であろうと思います。そういう意味で、中小企業のいわゆる小口貸出しに適するような金融制度片方に補助的につくつて行かなければならないという意味で、現在御承知のような商工中金でありますとか、国民金融公庫、あるいは相互扶助的な意味を加えた信用組合信用金庫というような制度実施され、運用をされておるような次第であります。
  18. 横田甚太郎

    横田委員 いろいろなものができておつても、それが用を足さないからという條件のもとに購いて、こういうことが要求されておるのです。そこで今のあなたの答弁にもありましたように、銀行もやはり確実なる回収を望み、しかもその回収要求は、銀行が十二分に利得を上げて、そうして成り立つて行くような形における貸出しをやつておられると思うのです。ただいまの銀行というものは、ほかの企業が損をしておるにもかかわらず非常に得をしております。ここで私たちが問題にしなくちやならないのは、片一方においてこんなにもうかる。そのもうかつておるというのは、法によつて規定されました一つの率によるところの貸出しではないのです。金一つ借りる場合におきましては、表立つた利子以外に、非常に妙な賄賂を持つて行かなければならない。これは公然の秘密になつておる。これを持つて行かなければ金を借りることはできない。そういう賄賂あるいは不正な方法で金を貸し出すのが、銀行の言うところの確実性の内容になつておる。この点についてはおそらくあなたは箝口令がはめられておるのだから、答えにくいだろうと思いますが、事実そうだと思います。銀行が表向きに貸しております利率だつたら、私は中小企業者は十分払えると思うのです。だから、払えるもので貸してくれればやつて行ける。それ以上にやみ利得を上げなければならない日本の経済に、一つののろいがあると思うのです。これはすなわち日本の正しい経済の運用をやらずに、町にパチンコをはやらせ、赤線区域をはやらせて、そうして町では享楽的な、頽廃的な、つまらないことばかりがやられておる結果になると思うのです。だからこの点に対しまして、あなたが言われましたような金融機関中小企業者に金を貸すがためには、金融ルートに乗つた、いわゆる確実な回収を見込んだ金の貸し方のできるような性質のものになるのか、ならないのか。日米経済協力が進行して行けば行くほど、中小企業者はこういう金融面から締め出されて、金を借りられない結果になつて行くのだ。だから大会、デモ、あるいは騒動、実力行使、暴動、革命、こういうように行かなければならなくなつて行くようだ。私はそう思うのです。その点におけるお考えはどうですか。
  19. 松尾金蔵

    松尾(金)政府委員 金融機関立場を決して弁護するつもりもないのであります。が先ほど申しましたように、いわゆる金融機関の中で、中小企業のたあの特別の金融機関でない一般銀行におきましても、現在の貸出しで、確かに中小企業は一件当りの金額が少うございますから、その総貸出高における中小企業の分として占める比率は決して高くはないのでありますが、これを取扱い件数で見ますと、現在九三%程度は、いわゆる中小企業向けに貸出されておる状況であります。金融機関といたしましても、決して中小企業貸出しを頭から毛ぎらいしてどうこうしておるわけでなくて、不十分ではありましようが、ある程度、あるいは相当程度の努力はやはり払つておる。中小企業も、自分資金要求の合理的な基礎を金融機関はつきりと明示して、また取引銀行に対して自分信用を植えつけるような取引を続けて行けば、全然金融機関中小企業金融を締め出しているというわけではないと思うのであります。しかし中小企業立場から見ますれば、先ほど申しましたように、中小企業自身の非常に多くの資金要求に対しましては、確かに現在の状況はもちろん十分なものではないと思います。金融機関に対してわれわれもいろいろな機会中小企業金融に対する努力を強く希望しているのでありますが、金融機関の現在の性格をどうこうするというような問題でなくて、やはり金融機関、また借入れる方の中小企業、双方の努力でこの問題はできるだけの解決をはかつて行かなければならないような情勢にある、そういうふうに私は考えております。
  20. 横田甚太郎

    横田委員 中小企業に対しまして九三%の貸出しがやられているということでありますが、この貸出しが困りものだと思う、なぜかというと、九三%の貸出しをやつたのであるならば、これに相当する、あとから続く貸出しが必要になつている。この貸出しをやつたときの中小企業の置かれておる実態はどうか。ここに製パン業を例にとつてみます。製パン業なんかは、アメリカの命令によつて、今まで張らなくてよかつた金網を張らされた。これにたくさんの費用がいつた。すし屋も、うどん屋もその通り。工場のコンクリートに対しましても、まだしんぼうできるものを直させられる。日本の現状において中小企業経営が成立つためには、企業としては不十分かもしれませんが、このくらいの程度ではやれるであろうと思うものを、どういうわけか知りませんが、アメリカ人が、それはいけないというので、何か材料屋をもうけさすような意味合いにおいて、見てくれだけをきれいにして、いわゆる設備のために、しかもその設備も遊休施設のためにたくさんの金が使われておる。その間に多く貸出しされておるのであります。だからこれを生かして回収するためには、それから後の運転資金が問題なんだ。中小企業者はこれに一番弱つている。そこであなたに伺いたいのですが、この九三%の貸出しをやつたのは、いつごろのことであつて、今後もこれがずつと続いて行くか。今減つているのか、ふえているのか、この点を答えてもらいたい。
  21. 松尾金蔵

    松尾(金)政府委員 先ほど申しましたのは、最近の数字におきまして、大体貸出件数に齢いて九三%程度が中小企業向けとして貸し出されておるということを申し上げたのでありますが、この比率は最近あるいは昨年あたりからそう大きな変動はないようであります。ただ取扱い件数は確かに九三%程度でありますが、金額におきましては、先ほどもお話いたしましたように一件当りの貸出しの金額は小口でありますから、最近の状況では大体二十数パーセントくらいにしか達していないようであります。しかし私が申し上げましたのは、いわゆる金融機関中小企業金融について全然目をつむつておるというのではなくて、少くとも取扱い件数のうち九〇%以上もとにかく中小企業金融のめんどうを見ておるということは、やはり金融機関としても、中小企業金融について全然無関心あるいは目をつむつているわけではない。しかし中小企業立場から見れば必ずしも十分ではないだろうが、ということを申し上げたのであります。
  22. 横田甚太郎

    横田委員 それではここにあなたたちのきらいな共産党の調査項目がありますが、これによりますと、朝鮮向け特需毛布の買いたたきの例が出ているのです。これもやはり日本中小企業なんです。しかも中小企業のうちにおいて、日本において一番問題になつているのは雑貨、紡績、加工等の部分が非常に大きな問題になるのです。そこで泉州というところが大阪にある。間違いなくあるのです。これは自由党の代議士を、定員三名のうち二人まで、出している。そこにおきまして五十万枚の毛布を引受けた。これは四月の二十二日の調査でありまして、朝鮮向けの特需毛布百四万枚の入札があつた。これは横浜で決定した。そのうちの約五十万枚は泉州毛織り機業地——大阪府の堺市、この辺でやられた。いわゆる泉州毛織りです。二、三十万枚を引受け、その他の七、八十パーセントが手織問屋へ賃織りに出された。その他の大会社があとを引受けた。これが三〇%から四〇%です。これも泉州の機業地に賃織りで下したのです。そういたしますと、泉州毛織の運転可能の台数は千二百台あつたのですが、三月の実働台数は千八十台であつた。これをフルに操業いたしますと、一台一日九枚の毛布が織れる。従つて五十日でこの仕事が終るはずになつておるのです。それでこの仕事を引受けたために機業が救われたかというと、決して救われておらない。恐慌で各機業地に操短が広がつている。このとき五十日分の仕事を与える特需は救いの神のはずであつた。ところがそうではないのだ。恐慌で仕事がないのにつけ込んで、これを押しつけられた、こういうのです。どのくらい織り賃が引下げられたかといえば、従来は一枚が百二十円の織り賃であつた。それが現在では綿の毛布で七十五円に下つている。原価は、製織諸費を入れますと八十円から八十五円かかるのです。従いまして完全な出血の赤字である。毛織り屋は少くとも一枚百円を希望したのであるが、他に仕事がないからそうはやれない。そこへつけ込んで行つて無理に仕事をさした。だからこれを引受けたことにおいて非常に損をしたということが言われているのです。この中に出ておりますように、大体こういうふうに仕事がないのです。ないから、押しつけられたものを引受ける。引受けてやりますと、結局百円くれといつているにもかかわらず、八十円から八十五円くらいしかくれない一枚織るたびに二十円から十五円の損になる。こういうような中小企業の実態では、企業をやること自体が必要なのか、企業をやらずにほつておいた方がいいのか、この点に対する見解、こういうふうな実態に対しましてはどういうような手を打つて行かれるつもりなのか、この点を私は聞きたい。
  23. 松尾金蔵

    松尾(金)政府委員 企業をやつて行く方がいいのか、悪いのかという判断は、決して政府がどうこうさしずずるような判断ではなくて、各企業者がそれぞれの企業意欲をもつて企業の運営をして行かれることであると思います。その際に、その置かれておる経済的な環境が、現在の状況では、特に中小企業では困難な環境に置かれておることは、もちろん私どもも十分承知しておるわけであります。これに対する方策としては、やはり中小企業者自身が、現在の状況におきまして苦しい中からも自分の生産コストの引下げ、経営合理化ということに努力して行くことが、一番基本的な考え方あるいは処置であろうと思うのであります。しかしそういう基本的な方策とあわせまして、中小企業の当面の資金の問題その他につきまして、政府としてもできるだけの努力をいたしたい、こういう態勢にある次第であります。
  24. 横田甚太郎

    横田委員 その企業意欲の問題について、操業を続けて行くか行かないかということの問題は後ほど聞きますが、こういう事実に対しましても、仕事をしているのであるならば、何か金融のあつせんというような考え企業庁にあるのですか。その点はどうですか。
  25. 松尾金蔵

    松尾(金)政府委員 意欲というお話でありますが、意欲としては十分ございます。ただ現状におきまして金融問題についてはいろいろな条件があるわけでありますから、私ども努力が十分功を奏していないという現状であることもまた私ども承知いたしております。
  26. 横田甚太郎

    横田委員 何か功を奏するような幻想を抱いておられるのですが、私は資本主義経済が続く限りこうした困難は何回も来るものであつて、その意欲は、だんだんできなくなつて、だんだんデモに集中されて、騒動を起す方向へつつ走つて行くもの泥と思うのですが、その点はどうでしようか。
  27. 松尾金蔵

    松尾(金)政府委員 経済情勢が変つて政治情勢がどういうふうに動いて行くかというような問題につきましては、私から答弁する限りでないと思います。御了承願いたいと思います。
  28. 横田甚太郎

    横田委員 それじや次長に答えてもらいましよう。
  29. 齋藤正年

    ○齋藤説明員 お答えいたします。中小企業関係は一応中小企業庁の方の所管でございます。私の方からお答えする問題ではないように思いますが、押して返事をせよということでございますれば、今の振興部長答弁と大体同一の趣旨でお答えするよりほかいたし方ないと思います。
  30. 横田甚太郎

    横田委員 答えないというから聞いたのですが、あとにまだ記内さんと秋山さんがいるのですから、来ている人に皆答えてもらいまして、最後にはやはり企業庁の責任者に来てもらつて答えてもらいませんと、私の方からも、きのうの瞬起大会に行つて風早さんが激励演説をやつて来たのですが、企業庁において薄情に扱われた場合には、皆共産党に結集して来る。あなた方がいわゆる話を聞く場合においては、社会党に集まる。あなた方が今の議会においてさえ答えないのであるから、外の人が行つた場合においては、おそらくもつと薄情な扱いをしているであろう。そうなると共産党に結集して来る。共産党は正しい判断を与えなければならぬから——政府の役人はけしからぬ、その役人を動かしている自由党の政権なんか、日本の政権ではない。現にラヂオの討論会におきましても、改進党の代議士が、岡崎外務大臣日本の大臣ではないと、共産党と同じことを言つている。こういうような判断の基礎になるのですから聞くのですが、答える責任者でないということはわかるのですが、ここにおられる限り四人が災難だと思つて一々この問題について答弁していただいて、それでいけなかつた企業庁の責任者を呼んでもらつて、その人から私は答弁を承ります。(「ピントがはずれているよ」と呼ぶ者あり)自由党はそう言うけれども、この法案がピントが合つていないんだ。自由党中小企業をつぶしておる政党なんだ。それが特定中小企業の安定に関する臨時措置法なんか出したりするんだ。ピントはずれもひどいものだ。これは簡單に言つたら、今まで政権を三年半から持つているんだから、その間にちやんとしておかなければならぬ中小企業問題だ。それを選挙が近くなつてからこんなものを出すから、従つてこの法案こそピントが合つてない。だから、ピントの合つてないような質問になるんだ。だから私の質問にみな答えられる人を呼んであつたはずです。自由党がかつてに出さぬのだ。簡単に申しますと、第一中小企業の安定ということが自由党政権においてあるかないか考えてみたらいい。こんなものはない。池田蔵相の答弁においてすでに明らかだ。それを政府の役人がつべこべ言うから、つべこべ言つて結局行詰まるところまで行つて、この問題でもめて割れてみなしかたがないというのが私の質問の目的なんだ。もう一回はつきり申します。自由党が何かピントが合つてないというのですから私は言うのです。中小企業という限りにおいては企業をやつているんでしよう。企業をやつている限りにおいては、機屋も企業一つでしようというのです。その機屋の例がございます。その例も憎たらしい例があります。おれの一番きらいな特需だ。アメリカの兵隊さんが朝鮮で殺されるまで持つている毛布をこしらえて朝鮮に送る。これを政府の役人に言わせると、特需、新特需と言つている。これが日米経済協力というものの鍵になつて、そうしてこの特需のために日本経済が成り立つて行くということになつている。だから中国やソビエトから有利な條件が出ているにもかかわらず、これに対してはそつぽを向いているんですね。その仕事の内容は何だといえば、ここにも出ているように、毛布一枚の織り賃が、従来百二十円であつたものを、現在の綿織物を例にとると、八十五円に切り下げられたというのです。しかしこの仕事さえしなかつたならば仕事がないのが日本の現状であるがために、何も朝鮮でやつているんじやないんだ、中国でやつているんじやない、ソビエトでやつているんじやない。日本選挙区の分布から行きますと、定員三名のうちの自由党議員二人が出ているところの泉州でやられているなまなましい事実なんだということなんです。そこにおいては毛布の織り賃として一枚百二十円かかるけれども、何とか切り下げて、労働者の賃金を切り下げて、食うものを削つて、そうしてうまくやつて百円で上げましよう。それさえも百円は出せないからといつて、一枚八十五円から八十円に切り下げて、織るたびごとに十五円から二十円損しているところの毛布の数が五十万枚もあるというのです。これも企業一つでございましようというのです。政府の役人がこれで首をかしげているんだつたら、映画にあつたですね、西陣の姉妹とかいうような映画があつたでしよう。おそらくあの映画の材料にして日本の政治を笑つてくれるだろうと私は思うのです。だからこういうのは仕事をする上においてつぶれて行くんです。しかしやらなくちやならないのです。こういうようなものに対しまして金を出すのか、やめてしまえというのか、またそれ以外に何か手があるのか、こういうことが私の聞きたい中心でありまして、この毛布というのもここに書かれました特定中小企業の範囲から今は逸脱しております。もし文字に書いておるんだつたら文字に書かれただけであります。こういうふうに言うんだつたら、また話がわかつて演説会に行つたときに、私の方も暴露しやすいというのです。わかりますね。もう一回極端に申しますと、百円ではできぬというのです。それを八十円、八十五円に値切らされて仕事をやらされている。そうして仕事をやつている限りにおいて中小企業の形をなしておるのでしよう。これに対して金を貸すんですか、貸さないんですか。貸さないんだつたらやめてしまえというのですか。このときにあなたたちがブル学校で習いましたつまらない企業意欲の問題とか、工業の中心とか、資本の利潤の追求とか、こういうような抽象的なことをいくら並べられても何もなりやしないじやないかというのです。現在の政治におきましては、これに対して手を打たなくちやならないのですが、政権を担当しておる政府自由党も、何の打つ手もないのかあるのかということを私は聞きたい。これは南君から、そこにおられる方みなに一応聞きます。
  31. 南好雄

    南委員 お答えいたします。だんだんの御意見拝聴いたしております。私たち中小企業の数の問題につきましては、今提出しております法案によつて相当効果があるものと信じております。あなたの御質問事項中にありましたものも、ひつきようするにやはり数が非常に多い。それが競争しておる、そのままに放任されておるというところに一つの原因があるのじやないかと私たち考えております。そういうものについて一つの組合をつくらして、みずから自分を救うような方法をやらす、こういうのが法案のねらいであります。御質問に当つておるかどうかわかりませんけれども、ひとつそういうところで、この法案を中心にして御質問をお願いしたいと思います。そうでないと、政府委員も返事に困るだろうと思います。法案について質問をしてください。
  32. 横田甚太郎

    横田委員 法案について質問せいつたつて、こんな法案法案の形をなしておるかい。なつてやせんよ。一々法案のことを言つたら、第一條、これは何だ。「中小企業の占める重要性が極めて高い工業部門について、」工業部門ということはあとで聞きますが、それから「製品の需給が著しく均衡を失した場合において、適切な需給調整措置を講ずることができるようにし、もつて中小企業の安定を確保し、国民経済の健全な発展に資することを目的とする。」こんなことを書いておりますが、これは今度の自由党のような、議会において数がなくても数が多いんだ、定足数がそろわなくても定足数があるんだといつて、むちやばかりするような、こういう政党の実体は前の選挙とつたんでしよう。そのとき自由党は自由放任経済主義であつた、そうであるにもかかわらず、ここにおいては中小企業の安定のためには適切な需給調整措置を講ずるというような、社会党と自由党とが、ごつちやになつて考えたような政策を書いておる。そんなものは自由党として出すべき性質のものではないと思う。だからこれがきよう大阪から上京して来たところの百姓さんに聞いたらいい例がある。自由党は麦に統制撤廃したという、しかしこれを政府の役人のところへ行つて、麦は統制撤廃されましたかと言つたら、されていない、明らかに統制されております。百姓が売るときには売る所がちやんときまつておる、値段もきまつておる、これがどうして統制撤廃されたか、こういうのです。その麦を米屋に持つて行く、白ぐなつておる、白くなつた麦はどうなつておるか、米屋に持つて行けばこれは統制されておりませんよ。売つてもうけるときは百姓さんに文句は言わせません。米屋がかつてにもうけるというのです、だからこれと一緒であつて、この法案を中心にして質疑せいというのだつたら、質疑するのですが、質疑のしようがない。これは自由党の出す法案ではなくて、不自由党の出す法案であつて、これは統制党の出す法案である。だからこういうものをやらなければならないところに——きのう本会議で椎熊君にやつつけられたように、ワン・マン政党が犬の法案に対して、何も吉田ワン・マンさんが走る法案ではないのにかかわらず、吉田さんの反抗にあつてついにこれがでなくなつてしまつた。(「よけいなことを言うのはよせ」と呼ぶ者あり)法案審議にはよけいだけれども、事実そうだから……。だから私は法案について質問せいというのだつたら、こういうようなところに自由党言つておることが出ておると思う。それがいけなかつたら緊急質問をさせたらいいじやないか。(「まじめにやれ」と呼ぶ者あり)まじめな質問だ、これは一番理論的に詮索してやつておる、法案について言うておる。(「ワン・マンもくそもあるか」と呼ぶ者あり)ワン・マンと言つてなんで悪いのか、お前のところは不遇なやからと言つておるじやないか、黙つておれ。だからこれは適正な需給調整措置を講ずるというようなことは、従来の自由党政策とかわつておるじやないか、だから質問しにくいというのです。私が伺いたいのは、中小企業安定のためには適切な需給調整措置が必要なのか、自由党の今まで言いましたいわゆる自由放任経済とこの点における調整は一体どの程度においてやられておるのか、その点について承りたい。
  33. 南好雄

    南委員 お答えいたします。どうも横田さんは自由党が野放し経済というふうに言われるのでありますが、自由党がそういう野放し経済ということは、個人的の見解としてはあつたかもしれませんが、いまだかつてないように私は思うのであります。私どもは従来こういうことを考える。この戦争後におきますいろいろの経済の段階においていろいろの束縛があつたものを情勢に応じてとつて行く、こういうことも経済活動を十分にやらす上においては必要である、その情勢々々に応じて政策を盛つて行く、こういうのが私たち考えであります。中小企業の現在の状況を見ますると、少くとも業者の調整組合なりをつくらせて、そうして適切な需給調整をやることが最も現在の中小企業の窮境打開に必要である、こういうふうに考えましたので提案しましたので、決して横田さんの御質問のような、何と申しますか、あなたのひとりぎめのあれには私はなつておらぬと思います。
  34. 横田甚太郎

    横田委員 ひとりぎめとはえらいまた強う出ましたね。大体このはつきりしなかつたのは、自由放任ということを言うていけないというわけじやない。これは当時米の統制というものはあつたのです。今日もあるのです。だからその間に米をどうしても自由にしろと言うことは、これは自由放任だと言つて笑われてもしかたがない。政治的にそこまでやらなければならない。三年前において米の統制撤廃、供出後の米の自由販売というようなことは暴論であつた。だから私はこれを言つたのです。こういう点については南君と特別に理論闘争をしようとは思つておらない。ただ私がここで聞いておきたいことは、自由党——あなたにだけ聞いたのではないのでありまして、経済安定委員会においても経済安定本部の次官にも聞きました。そのときには自由放任には自由放任としての一つわくがあるということを言つている。個人の自由を例にとりますと、かつて十九世紀の自由というものは個人の野放し自由であつた。ところがそれが最近におきましてはいわゆる社会の福祉を前提といたしましてこれに抵触しないところにおける自由である、こういうことが言われている。この間がはつきりしないところに米ソの対立があつて日本の政治の混乱もまたここから来ており、経済の混乱もここから来たと思うのです。だからここにおいて南君が答弁されました言葉の中にありました各同種の業者が寄つて一つの組合をつくる、そうしてそれのいろいろのやり繰り相談、そういうようなものによつて現在の資本主義社会において何か切り抜いて行こう、それの一つの助けになる、こういう意味なんでしようか、その点はどうなんですか。
  35. 南好雄

    南委員 お答えいたします。その通りであります。
  36. 横田甚太郎

    横田委員 ここに出ておりますように第一條「中小企業の安定を確保し、国民経済の健全な発展に資することを目的とする。」それから「需給が著しく均衡を失した場合」こういうふうに出ているのですが、私が考え資本主義というものは、需給があるないにおいて資本主義社会における価格がきまる。それでたくさんこしらえられたものをコントロールする。だから資本主義の生命、経済の尺度の中心になるものは需要供給による作用だと思う。これに対してさえも著しく均衡を失した場合においては、こういうふうな手を打たなければならないということに関しましては、資本主義それ自体に対しまして今までと同じような考えを持つておられるのかおられないのか、この点を私は承りたいのです。
  37. 南好雄

    南委員 お答えいたします。私はここで理論国争をするつもりではないのでありますが、御承知通り企業と違いまして中小企業は、現在持つておりまするその弱点からして将来の需給の推移というようなことについても十分な調査をする実力を持つておらぬ。能力を持つておらぬ。その結果、場合によりましては中小企業の部門において特定業種については非常に数が多くなつて来るということも避けられぬことだ。それをそのままにしておいては、これは今ちようど日本の経済が直面しておりますように、内部的の原因もありましようし外から来る原因もありますので、そういうような影響に対応さすために調整組合というものをつくつて、そうして自主的の生産調整をやるというのが本法のねらいであります。御承知通り法案の後の方に事業者団体法とか私的独禁法の除外になつておりますが、こういう業種はみなこの事業者団体法や独禁法の適用を受けまして、効果のあるような生産調節をやつて行きますると、そういう法律の適用を受けるのですから、除外することによつて中小企業一つの悩みを解決しようというのがこの法律のねらいだと申し上げているのであります。
  38. 横田甚太郎

    横田委員 しかし承りたいのは、多くなつてなぜ悪いのでしようということですね。一つ企業をやる。これは商売の場合に例をとつてもいいのですが、資本主義社会におきまして一つのボロいものがあつたならばそれにかかつてつてみなが損をするようになるというのが自然の通則だ。資本主義社会の特徴だと思います。だからこれは企業ではないのですが、パチンコだつてそうじやないか。あれはいいかげんにやめたらいいと思つているにもかかわらず、最近はどんどんできて小笠原諸島にまでこれができていると言われているじやないか。だからここで私が聞きたいのは、資本主義社会というものは一つのボロいことがあれば——ボロいというのは大阪言葉でありまして、大体よくもうかる、暴利をむさぼるということです。こういうのが一つ見つかりましたならば金を持つている人がそれに関係して行つて、そうしてもうかる人もあれば損をする人もある。これが資本主義の特徴であると思う。これに対しても一つの調整をしなくてはならないように思つておられるのでしようか。この点はどうでしよう。
  39. 南好雄

    南委員 お答えいたします。中小企業というものは先ほどから繰返して申し上げましたように一時の現象でもうかるという現象がありますると、すぐいろいろの事態に応じてすぐまねをすると結局数が多くなる。そうしてそこに共食いの状態ができるというのが中小企業の持つている一つの特徴であります。そういうような場合にお互いに組合をつくつて自主的に生産調整をやることによつて不当な競争を避ける、こういうのがこの法律のねらいだと申し上げているのであります。
  40. 横田甚太郎

    横田委員 その不当な競争を避けるというところは、今後自由党において適宜にこれを拡大して行かれるような意見があつて、その意見から一つ現われてこういうようなことをやられたのですか。それともこういうことをやつた結果として、これがよかつたかもしれぬという場合において、今後そういうふうに性格がかわつて行くようにたるものでありましようか。提案者としてその点はいかにお考えでしようか。
  41. 南好雄

    南委員 お答えいたします。御想像におまかせいたします。
  42. 横田甚太郎

    横田委員 想像にまかせますと言うて、その想像がしにくいので聞くのです。なぜ聞くかと申しますと、さきにも申しましたように、パチンコの例なんです。これはもう企業として扱うか何として扱うかというのは非常に問題なんです。さすがに自由党も中小の企業のうちに入れて、あれはこの法案とは一向関係がないが、あれは適切な例だから、だれにでもわかる例だから言つている。あれは今くらいでやめておいたらいいと私たちは思うのです。ところがやめない。これと同じような問題が散髪屋にもある。すし屋の場合にも食堂の場合においてもあるのです。これがちようど三年ほど前の、私たちが当選して議会に参りましたときの例に当てはめますと、このことは單に笑いごととして済ませない問題であります。たとえば料飲再開の問題は私どもが一番初めに手がけた議案であつた。そのときに自由党の諸君に、料飲の再開を許したなら料飲店で町はいつぱいになるのじやないかと聞いたのです。ところが青木長官や提案者はそうじやないのだ、料飲店はそうふえないのだ、いいかげんでとまるのだと言つている。ところが去年北海道に私たちが国政調査に参りますと、自由党の農林委員がいるのです。それに私たちがひやかした。何をひやかしたかというと、どこへ行つてみても特飲店、料飲店があつて族館ができて、みんな温泉マークがついていると言うと、これは自由党の善政だよ、こういうようなあきれたことを言うのです。この中にも出ておりますように、今の経済に対しまして一つの目標がはつきりついておりません限りにおいては、どんな商売をやりましても、ボロいことを見つけたらみんなそれをやるのです。ちようど戦争前の日本の経済に現われておりましたように、郊外電車を走らすことがボロいと思えば競争の並行の電車を走らす、百貨店がボロいと思えばこれを共にやつてまた共に倒れて行く、こういうような傾向があると思いますからこれを私は聞いたのです。自由党はこういうような、経済の自然に流れて行つて共食いをする過程の中において、政策をもてあそんで行くというように思つていたが、そうではなくて、一つのコントロールをつけなければならない、だから最近においては自由放任経済ではないのだ、君がかつてに解釈するのだと言つて反撥しておられるほど一つの自由放任的な行き方に対して統制を加えられるようになつて来たのですから、その現われの一つとしてこれをお出しになつたのですかということを承りたかつたのです。その点はどうでしよう。
  43. 南好雄

    南委員 お答えいたします。先ほどから何べんも繰返してお答えしているのでありますが、この法律の持つておるねらいをあなたにお話申し上げて、この法律から次々に御推量をなさることはあなたの御自由でございます。
  44. 横田甚太郎

    横田委員 これで企業者がかりに何とかの安定を得るといたします。そういたしますと、価格の面で申しますと、それが一つの申合せになりまして、物の値段が下らなくなるのですね。そんな場合には、消費者としては不当な価格のものを買わされるような結果になつて来るのです。だから、そういう点で私が承つておきたいのは、企業者がこういうような組合をつくつて行きますと、消費者の方に、不当な値段に対しましてはボイコットをやるのだというような気魂とか大衆運動がない限りにおいて、消費者の利益が守られないと思うのですね。だから、消費者に対する思いやりとして一体どういうことを考えておられるのですか。
  45. 南好雄

    南委員 お答えいたします。その場合には、消費者の利益といいまするものにつきましても十分考慮する必要があると思いますので、いわゆる調整規程なんかをつくる際におきましては、御承知通り消費者の利益を高度におもんぱかつております公正取引委員会の同意を経るようにいたしまするし、また、通産省におきましては、中小企業安定審議会というものを置きまして、広く関係方面の意見を聞いて、不当に消費者の利益を阻害せぬようにする。そういうふうにこの法案ではなつております。
  46. 横田甚太郎

    横田委員 そこに一つの破綻があるのです。さきにも申しましたように、資本主義社会における価格、これを通じて消費者と結びつく。これは経済の自然の運行によりまして、いわゆる需給調整によつてきまるのだと思うのです。それをさえも公正取引委員会とか何々審議会においてコントロールがされる、そうして消費者と企業者との間の摩擦を防ぐことができる。こういうふうに考えておられる考え方は、自由党が過去三年中やつて来られた政治の実績においてすでにだめじやなかろうか。これは、すでに吉田さん自身が、委員会制度をやめなければならぬということをはつきり言うているのですし、社会におきましては、電気に対する公益事業委員会は、公益ではない、私益委員会だ、電力料金値上げ委員会だとまで言つているのです。だから公正取引委員会は不公正なことばかりやつているのが委員会の性質です。これはその委員会に集つた人が悪いとか、委員会自体が悪いというのではなしに、資本主義社会における消費者とのつながりというものは、やはり物に現われます貨幣的な価値であります価格が問題になると思うのです。この価格を決定するのはいわゆる需給調整の関係だと思うのですね。それを、こういうふうな形における審議会があるから、公正取引委員会があるから消費者の関係は大丈夫だというような考え方は、戦争中の品物が足りない時代に品物を持つている人が得した形におけるもので、経済條件が違うから今後はそういうようなことはできない。これは笑うべき法律になるでしようが、そういう意呼合いにおいて、消費者の利益が一つも顧みられていないと私は思うのです。あなたの今の答弁では、公正取引委員会とか何々審議会というものによつてそういう点を除くと言つておられますが、しかし、それで十分でしようか。十分でないと思うのですが、その点について何かはかに具体的な案があるかないかということを承りたいのです。
  47. 南好雄

    南委員 私は、今の法制下におきましては、こういうふうなやり方で、必要にしてかつ十分だと思つております。消費者も、この供給する、者が自己の出血のもとにおいてつくらなければならぬような状態のもの、それが消費者の当然の利益であるというふうにお考えになることは少しかわいそうに思われるのであります。
  48. 横田甚太郎

    横田委員 第五條に「調整組合は、左の要件を備えなければならない。一営利を目的としないこと。二組合員が任意に加入し又は脱退することができること。三組合員の議決権及び漢挙権が平等であること。」こういうことが出ておるのでありますが、この調整組合がこういうふうな三つの要件を備えましても、うまく民主的な運営ができるだろうかできないだろうかということが私は疑問なんであります。農業協同組合にも、組合員平等に関することについて、大体こういうふうに三つ——もつとたくさんよい要件が出ておるのですが……。ところが、現在見ておりますと結局そうではないのでありまして、ボスの農村支配のための機関に使われている。それよりももつとひどいこの調整組合を構成するところの個々の企業者営利によつてつながつておるのでありますから、利がある限りにおいてはどんなことをしようともかつてなんですし、それを基準にしてやるのですから、この調整組合も、調整組合一本でまとまるものではないだろうと思うのです。いろいろのものでまとまるだろうと思うのですが、調整組合は何本くらいにまとまつたらよいか。また、調整組合がこういうふうな三つの條件を課したくらいでうまく運営がやつて行けるか行けないか。そういうような点についてどういうふうなお考えを持つているか伺いたい。
  49. 南好雄

    南委員 調整組合が、横田さんが御心配になるようないろいろな問題を起すかどうかということは、これはやつてみなければわからないと思いますけれども、今のところでは、以上三つの要件がありますならば大体うまく行くのじやないかというふうに私ども考えております。
  50. 横田甚太郎

    横田委員 第十四條の三号について承ります。「定款に定める事業以外の事業を行つたとき。」と書いてありますが、定款に定める事業以外の事業としてはどういうふうなものが予想されておりましようか。その点はどうでしようか。
  51. 南好雄

    南委員 お答えいたします。これは、御承知通り、何條かにこの調整組合の事業を規定しております。その事業以外のものをやつたとき、こういうことです。
  52. 横田甚太郎

    横田委員 その事業はどういうふうなものを予想しておりますかということを、これはしつこく聞いているのではありませんから、簡単に答えてもらいたいのです。
  53. 南好雄

    南委員 お答えいたします。第十五條に、「調整組合は、左に掲げる事業を行うことができる。」といつて、一号と二号とありますが、そういう事業以外の事業、こういうことです。
  54. 横田甚太郎

    横田委員 質問することがよけいあるので飛ばしますが、第二十條に、「調整組合は、定款の定めるところにより、調整規程の実施を検査するために、検査員を置くことができる。」「検査員は、前項の規定により検査をする場合においては、その身分を示す証票を携帯し、関係人の請求があつたときは、これを呈示しなければならない、」と書いてありますが、これには罰則があるのでしようが、こういうような検査員をきめただけで、検査員が目的としているような検査をすることに十分でしようか、十分でないでしようか。戦時中の思惑よりいいましても、検査員というものの質が悪く——それは戦時中ではなくして、今日の農村における農産物検査員にもこれが適用されることですから私は聞いておくのですが、これで十分でしようか、どうか、どうでしようか。
  55. 南好雄

    南委員 私たち考えでは、これで十分だと思つております。
  56. 横田甚太郎

    横田委員 第二十九條ですが、「通商産業大臣は、この法律に規定する権限を実施するため必要な限度において、指定業種に属する事業を営む者、若しくはその団体から必要な報告を徴し、又はその職員をしてその事業所若しくは事務所に立ち入り、業務の状況、帳簿書類、設備若しくは製品の検査をさせることができる。」と書いてあるのです。もしこれをやらなかつた場合においては、六箇月以下の懲役または三万円以下の罰金というふうになつているのですね。ここで承りたいのは、かつて日本における、かつてといつてもついこの間のことですが、繊維の恐慌といつてもいいようなことしの春に、在庫品を調べようとしたときに、それさえ調べられなかつた。それを思い起しますと、私は何も罰金をふやしてくれ、懲役をふやしてくれということは言いたくないのです。そういうことには大体反対なんです。反対なんですけれども、六箇月の懲役とか三万円以下の罰金くらいで、ここに書いてあるような業務の状況とか、設備または製品の検査をすなおに財閥どもが、あるいは中小企業者のうちにこれによつで保護される人たちが見せるだろうか、見せないだろうかということを私は非常に疑いを持つのです。その点に対するお考えはどうですか。
  57. 南好雄

    南委員 お答えいたします。大体この法律のねらいは、業者がみずからを救うために生産調節をやる、これがいわゆるアウト・サイダーの活動のために阻害されるというような場合においては、通商産業大臣の勧告に基いて二十七條の調整状態に入つて行くということになる。ですから、私は罰則で十分かと言われる御質問ではありますが、これで大体所期の目的が達せられるのじやないかと考えております。
  58. 横田甚太郎

    横田委員 みずからを救うといいますけれども、ここでまた資本主義を信奉する者と、社会主義、それよりかもつとはつきりした共産主義、その立場に立つ者との意見の相違が来るのです。大体資本主義社会において、ものを持つている人、ものをつくつている人、ものを商う人、そういう人がみずから救うという方法は簡単じやないのですか。ものの数を不当に隠すのです。あり余つたときに隠しておいて、ないように見せるのです。それで社会に物資不足を告げておいて、ものがなくなつて、みな買うのにあせるときに高く売り出すのです。これが資本主義の常則なんです。みずから救うとは、資本主義社会におけるそれでありまして、こういうことをやつた人がアメリカにおいて功成り名遂げ、英国においても功成り名遂げておる。それで世界的な一つの強国になつておる。これが資本主義の歴史であり、商業史は一切それを教えている。私はこう解釈している。その解釈が大体妥当なんです。みずからを救うためにこの法律によるのじやないのであつて、みずからを救うために自己の持つところの商品を有利な立場に置かすために、虚偽の申告をする。それにはちようど六箇月以下の懲役あるいは三万円以下の罰金を覚悟していたならば、相当のものを隠すことができるということになるのです。こんな場合はどうなるのですか。
  59. 南好雄

    南委員 お答えいたします。いつまでたつてもはてしない問答になるのですが、私たちはこの程度の罰則で十分にやつて行ける、こう思つております。
  60. 横田甚太郎

    横田委員 これは国際的に供給する物資が不足した場合に、こういうような法律をこしらえて、ついこの間本会議でできました国際供給不足物資の需給調整案の場合におきましても、あれはたしか百万円以下の罰金、十年以下の懲役ということになつている。何でこれは百万円以下、十年以下にしたかと聞きますと、こんな場合に大体これくらいが相場になつていますというのが、自由党政府委員答弁つたのですが、あなたの場合には三万円と六箇月に非常に負けているんですね。ここに一つの私はインチキがあると思うのです。これは裏返しに申しますと、まあ、六箇月以下の懲役だ、三万円以下の罰金だから、それを覚悟していたならば、いい條件がとれるのだ。だから罰則はこしらえなくちやならない。しかしこれくらいの罰則でいいのだというような思いやりのあるところのおぼしめしから、こういうふうに書かれたのですか、その点はどうですか。
  61. 南好雄

    南委員 お答えいたします。どうもあまり奇抜な御質問なんで、別に私からそうでないとか、あるとかいう御返事をする必要はないと思うのでありますが、罰則はそれぞれそれを犯した事項によりまして重かつたり、軽かつたりするのでありますから、あなたのおつしやるような六箇月以下の懲役、三万円以下の罰金の場合には、そういう御心配はないと思います。
  62. 横田甚太郎

    横田委員 それじや根本問題に帰りますが、ものをつくつている人で、商うている人で、自分の持つている数を調べられることを喜んでいる人があるでしようか、ないでしようか、その点に、対するお考えはどうですか。
  63. 南好雄

    南委員 お答えいたします。ある人もあるだろうし、ない人もあるだろう、こう返事をせざるを得ないと思います。
  64. 横田甚太郎

    横田委員 それはどちらが多いと思いますか。社会の混乱はどこから来ていると思いますか。私が承りたいのは、大体それが中心なんです。ついこの間の繊維品の問題のときに、自由党政権が、国会であのくらい気ままをしておりなから、繊維在庫品が調べられなかつたというのが、新聞における物笑いの種になつているのですよ。日本におきまして大きく商つている人は、国際的の信用を問題にしなくちやならぬから、ついこの間の通産委員会におきましても、衆議院の本会議におきましても、輸出取引に対するところの一つ法案ができたのですね、それにおいてさえ、数を調べられるのがいやだと言つているわけです。それより企業性において弱い、競争することにおいては正当に行つたら太刀打ちができない人たちは、ものを調べられることを喜んでいる人は私はないと思います。それをさえ、ものを調べられても十分にやつて行けるのだというような考え方から、六箇月以下の懲役あるいは三万円以下の罰金になつている、これで十分だと思つておられるところに、この法律はこしらえることはこしらえるけれども、これは参議院に行つて、何といいますか、審議未了になるのか、そんなことは知りませんが、一ぺん出して見てやれというような法案のなまぬるさ、実現性の少さがあると思うのですが、その点はどうでしようか。
  65. 南好雄

    南委員 お答えいたします。大分いろいろ何と申しますか、横田さんらしい御意見、つつしんで承つておきます。
  66. 横田甚太郎

    横田委員 聞いておいたからといつて、答えてくれなかつたら何にもならぬ。ことが中心問題です。大体自由党はどう考えておるか知りませんが、とにかくものを隠したいのが資本主義の通則なんです。隠さぬのが損なんですね。兵器なんか最もそのいい例なんです。これはアメリカなんかも、兵器の数は知らさないし、アメリカ人のごときは、預かつた捕虜の数さえ知らさないのです。そういうために朝鮮で問題になつている、こういうような意味で、ものを大体知らさないというのが資本主義社会におけるものを持つている、生産している、売つている人の常則であるにもかかわらず、こういうふうに書かれている。そこでたなたに聞きたいのは、それはこたえる人もありましようし、こたえない人もありましようというような、徳川時代のおとぎ話を書いた本に出て来るようなことではない。資本主義社会においては、営利という一つの対象があるのです。封建社会においては、営利以外に、悪いことをしたら首をはねられるというこわさがあるのですけれども資本主義社会においては首をはねられるということはないのでありまして、六箇月以下の懲役あるいは三万円以下の罰金であります。これで生きているだけの特権があるのです。かつてアイケル・バーカーというアメリカの将軍が日本に来ておつてアメリカの制服を着ている軍人に対して危害を加えた場合には、危害を加えて、そのままの形で裁判の法廷に立つただけでも喜んでおけ、その場で殺してやるんだ、こういうようなことを言つたのです。これさえも占領下においては通せたのです。それほど政治條件がかわつて来ているのです、基本的な人権の主張というのは非常に強くなつて来ているのですね。だから私は言うのです。そういうような形において生きる権利を強くする社会において、しかもその権利を基礎にしてものをこしらえ、そうしてこのものを商う人が、自分の食生活の、いわゆる人生を全うするところの生活のかてをそこから得ているのです。その場合においては、なるたけ隠したいのだと思いますね。だからこの法律というものを裏返して行きますと、こういうようなことは調べなくてもいいのだ、調べる必要がないのだ。それよりかもつと需給調整をよろしくやつて、余るようなものをこしらえない、不要なものをこしらえない。極端に申しますと、あまりにものの変動を大きくしないようにするために、経済の大本それ自体に対して統制を加えて行きたいというような考え方に発展して行くのじやないでしようか、これを聞きたいのです。
  67. 南好雄

    南委員 お答えいたします。現段階におきましては、横田さんの御心配になるようなそういう方向に進む考えは、提案者の一人として、私は持つておりません。
  68. 横田甚太郎

    横田委員 現段階においてと言うけれども、現段階前の今冬の終りの段階においてすでにこれがあつたのです。それを調べなくちやならないときがあつたのです。これをよう調べなかつたのです。そこで私が聞いているのです。だから、それはついこの間あつたのですから、今後においてもますますあることです、南さんはおそらく次のときにそれがあつたときには、あのときにはああ言つたけれども、現段階においては前に言つた段階とは違うと涼しい顔ができましようが、共産主義者は良心を持つておりますから、そういうことはできない。今のうちに言つておかないと、それを見て、南さんどうだとは言われない。これはあなた一人を責めるのでにない。あなたのうしろにおつて、人民弾圧の権力の中心になつている吉田さんの政権を責めるのです。そのうしろにありますところのアメリカの侵略政権、トルーマン政権、それとマーフイー大使の妙な言葉を徹底的にやつつけなくちやならぬのです。大衆に徹底的に納得させなくちやならぬのです。それで言うておるのですから……。ものを調べられるのは不愉快であるということを大体考えているのが、資本主義社会における生産者、これを売る、商う人の常識であるけれども、まあこのくらいしか書いておけないという良心ですね。それが南さんのいわゆる良心で、極端に申しますと、南さんのこれに対する良心は、六箇月の懲役の良心であつて、三万円以下の罰金の良心だ、こう解釈してよろしいでしようか。
  69. 南好雄

    南委員 お答えいたします。御想像にまかせます。
  70. 横田甚太郎

    横田委員 はてしもないことを言うておつたら、またほかにたくさん要件もあるのですから……。提案理由に盛られておりますことで。中小企業安定審議会を設け、その委員には指定業種を営む者、その製品の販売業者、消費者、指定業種の関連業者及び学識経験者を任命すると、こう書いているのですが、その間においては一体どういうように考えておられましようか。書いておるのでしようが、消費者の数が非常に少いと思うのです。その点に対するところの考えを述べていただきたい。
  71. 南好雄

    南委員 お答えいたします。こういう法律が横田さんの御心配になるように、業者のイージー・ゴーイングな、いわゆる現状維持的な考え方にならぬように、適当にその調整をやつて行くつもりであります。
  72. 横田甚太郎

    横田委員 その審議会では米価審議会のときのように、この米価に対する一つの原案がくだつて来て、そして米価がきめられたのですが、この場合における審議会は、価格そのものに対してのいろいろの答申権とか決定権とか、そういうものは一体どういうようになつておるのでしようか。
  73. 南好雄

    南委員 お答えいたします。横田さん、何か思い違いのようですが、この法律によりましては、生産数量の制限、生産設備の制限、出荷数量の制限が最大でありまして、価格まではいわゆるこの事業の中に入つておりません。
  74. 横田甚太郎

    横田委員 そこが問題になるのです。われわれは生産されました数量とかそんなものは問題でないのです。数量と価格がからみ合うのが問題なんです。極端に申しますと、資本主義社会におきましてこしらえ上げられた品物が、何ぼよけいできたからといつて、これは安くなるだけけつこうなんです。今の問題はわれわれはシャツが足りないのです。もつと買いたいけれども、高いから買えないのです。それをもつと裏返しに言うと、給料が少いから買えない。給料はアメリカに押えられておる自由党が出さないから少いのです。だから量の問題は相対的な問題なんで、飛行機生産の場合でもそれが言われる。国内に需要があつて初めて飛行機ができる。自動車の場合も国内に需要があつて初めて安い自動車ができる。アメリカが国内生産において八百五十万台をこしらえておるにもかかわらず、日本においてはいかにマッカーサーによつて意地悪されて禁止されておつたとはいいながら、昨年のごとき二千台から三千台の生産におきましては、これは自動車の価格が安くなるわけはない。自動車忙大量生産が生命なんですから……。それとちようど一緒でありまして、量とか企業のいろいろな計画に対しましてコントロールをつけたい。これはそういうふうに聞いたのですが、そんなことはいらぬことなんです。今の数でも足りないのです。国内の消費量が非常にこれを要求しましたときには、足りないほどのものであるにもかかわらず、買えないから余つているのです。だから私は価格の点においてこの審議会がもう少し大きな決定権を持つようにして行つたら、かえつていいんじやないか。それをするためには、価格によつて議会に押えられたら、企業が悲鳴を上げて、この法律が台なしになつてしまいましようから、その場合において、この法案のインチキ性が出て来ているのだ、こう思うのですが、その点はどうでしよう。
  75. 南好雄

    南委員 お答えいたします。どうも一々横田さん、何か月の前に赤いきれでも置いて方々をながめておいでのようですが、従つてあなたが今御質問なつたようなふうには私たち考えておりません。現段階におきましては、生産数量の調節をすることによつて、業者みずからの立場と消費者の当然主張し得る立場とが調整し得るものと私たち考えております。
  76. 横田甚太郎

    横田委員 そうするとこの中小企業がこしらえますところの現在の数量は、もうこれで十分だと思つておられるのですか、その点はどうですか。
  77. 南好雄

    南委員 お答えいたします。適正利潤をもつて、それがこしらえればこしらえるほど売れて参りますならば、今中小企業者が困つているような不況には私はならぬと思います。
  78. 横田甚太郎

    横田委員 その適正利潤とは一体何なんですか。さつきの例で容易にわかりますように、どこから見ても適正利潤がない、あれは占領が終りましても、占領ぼけした利潤なんです。だから占領ぼけした利潤によるものは損しても得だ、こう思つていなければいかぬらしいです。そこで一つの問題が出てくるのです。だからこの適正利潤によつてそれが保障されて、ものをこしらえて売れたらどんどんこしらえてもいいということは、それを極端に申しますと、現在の数量でさえも買えないで困つている人があり、品物も余つているのだから、もうこれくらいの程度でとめておけ、こういうようになるわけですね。それを結論づけますと、国民生活は今日の段階においては十分である、これ以上よくしようというような考え方は聞違いだ、こうなつて来るのです。そうなつて来ますと、ソビエトの側におきましては、物価値下げをどんどんやつて、国内の市場を大きくして、資本主義諸国に対しましては、今までより三倍、四倍の額におけるところの輸出入貿易をやろうじやないか、こう言つて来ておるのです。日本においてはそうじやないのでありましてむしろ国内市場が狭まつて、外国との輸出入関係において、日本が悲鳴を上げるような段階にまで来ておる。ただ朝鮮に人殺しがあり、人の家を燥く放火事業があるために、日本がやつとやつて行かれる、こういうことなんです。だからこういう点から大きく見て行きますと、政治というものは、一人の人が使う、それがためにものをこしらえる、これに対する計画がなかつたならばだめなんです。その計画をつけられない資本主義中小企業の混乱があるのですね。その混乱を打開するというようなことは、資本主義社会ではできないにもかかわらず、やらなくちやならない。やるがためには、どうしても、これはさきにも申しましたように、みんなに買わすためにやるのですから購買力に相当したのをこしらえなくちやならない。その購買力の裏づけになるのは米価であり低賃金を打破ることである。だから私は日本の現段階においては、国民は十分に持つておらないから、もつとたくさんのものを生産しなくちやならない。中小企業に対して十分の資金と資材を出して、たとえば治安費などを減らしてしまつて、そうしてこの方面において平和産業を盛んにして行つたら、むしろこういう法律ではなしに、平和産業を盛んに興すための日本産業振興になると思うのです。だからその点であなたに承つておきたいのは、この適正利潤というやつは、一体どういうふうなものを適正利潤と見ておられるのでしようか。その適正利潤の内容を承つにおきたい。
  79. 南好雄

    南委員 お答えいたします。適正利潤はごく常識的にいつも用いられている言葉でありまして、別段これに特別の解釈をする必要はないと思います。
  80. 横田甚太郎

    横田委員 それでは現在の中小企業は適正利潤を上げておりましようか、上げておりませんか。
  81. 南好雄

    南委員 お答えいたします。あなたが先ほど引例せられましたように、百円の価格のものを八十五円で引受けておるという場合は、これは適正利潤を得ていないから出血引受けで、そういうことのないように、百円で売れるようにいわゆる業者の自衛手段をこの法律によつて講じたい、こういうわけであります。
  82. 横田甚太郎

    横田委員 それは今非常に穏当な答えであつたのですが、私に対して穏当だつたのです。アメリカ人は怒りますよ。それじや簡単に申しますと百円かかるものを八十五円でやつてはいけない、こういうのは断つてしまえ、こういう答弁になるのですか。この組合ができますと、こういうような百円の仕事に対しまして八十五円で値切られたときには、特需、新特需の名前がつこうとも、そんなものはやめてしまえ、こういうような意向を示す法案たんでしようか、その点はどうでしよう。
  83. 南好雄

    南委員 お答えいたします。私は一般的な話をしたので、別にこの法律で新特需とか新々特需を拒否する目的を持つてこの法律はできたものではございません。
  84. 横田甚太郎

    横田委員 その一般的な話とは、抽象的な話であつて、内容のない、どこの世界でやつているかわからないようなおとぎ話のような話ならどうでもいいのです。私はもつと例をあげよというのだつたら、自動車の例であろうと飛行機の例であろうと、あるいはあなたのすきなものをあげて、共産党の資料があるのだから申すのですが、今端的にあげましたのは、特需というものが憎たらしいほど日本の経済人をごまかしておる、だましておる。そのときに最も端的に損させられているところの仕事であるがために、私はこれを言つたのです。だから一般的な話じやなしに、こういうような具体的な例の場合におきましては、こういうふうな法案ができますと、この企業者はどういうふうな扱い方を受けますでしようかということを聞いたのです。このときに、企業者自体が特需というものはみなやらないのだということをきめてしまつて、百円になるまで企業者のゼネストをやる、こういうふうに持つて行ける性質のものなのですか、またそういうふうにやつて行けるという性質のものなのですか。
  85. 南好雄

    南委員 お答えいたします。何か特定の事実からすぐに横田さん独特の結論に持つて行かれるので、私答弁に窮するのでありますが、あなたの言われたように、ほんとうに百円でやらなければ赤字が出るというような場合、そういう場合は、新特需、新々特需という例でなくても、これは一般的に、もし生産数量の制限なり設備の制限がおつた場合には、それは相手がどこであろうと、当然そういうことは主張し得るものと私たち考えております。
  86. 横田甚太郎

    横田委員 こういうふうな法律をこしらえねばならないと痛感されました動機、それは一体どこにあるのでしようか、それを第一に承つておきたいと思います。
  87. 南好雄

    南委員 お答えいたします。提案理由の説明をよくごらんくださいますれば、この法律を出さなければならぬ理由がはつきりおわかりになると思います。
  88. 横田甚太郎

    横田委員 その提案理由は実にまたあいまいですよ。「特定中小企業の安定に関する臨時措置法案の提案理由について御説明いたします。思いますに、中小企業がわが産業構成上特異の重要なる地歩を占めていることについては、いまさら申すまでもないことであります。わが中小企業は、企業者数においても、生産量においても特定産業部門の過半以上を占むる部門が多く、また生産品目においてはいわば普遍的性質を持つた品目の生産分野のもの多く、さらに資本構成においては弱小ににもかかわらずその従業員数は全企業七八%を占め、」云々と書いてある。「その関係層は広く、その結果は社会問題的性質をも内包していることは御承知通りであります。」こういうような提案理由を書かれているときに、私が思いますのは、日本の農業問題を扱うときとちようど一緒なのです。ここに日本の混乱があり、改良主義ではいけない問題が出ているのだと思う。議会において論争される中心はいつもここにあるのですが、日本の農業自体食糧をこしらえております農民はおりますけれども、農業を営んでおる農民はおらないのす。だから日本では農業政策はなくて食糧政策がある。中小企業政策においてもそれが言われることは、品物をふんだくられるために一つ企業がやらされているのでありまして、企業者が生きるための成り立つ企業はないのです。それをどうするかが問題なんです。だからここに書いてありますような全企業の七八%を占める云々の問題なんですが、この七八%を占めておること自体がおそらく多いと私は思うのです。これをどのくらいまで切り下げられるか。これを切り下げた場合においては、中小企業者の犠牲なしにやつて行けると考えておらおるのか、考えておられないのかということです。だから私は質問に入る前に、この七八%を占める中小企業の率が非常に整理されなくてはならないよのであつて、その整理のためには、中小企業者が犠牲になつてはならないのだ。もつと端的に申しますれば、七八%を占めているところの中小企業、こういうもの、これ自体日本の現在のやりにくい経済状態のもとにおいて、経済構造のもとにおいて、産業構造のもとにおいて、お前ら何なり食つておればいいと言つてほうり出された結果が、こういうふうになつたと思うのです。だから経済自然の成行きがこうなつておるのだと思うのです。これに手をつけたら自由党は大やけどをするのだから、自由党はただ弾圧機構をいじくつておる役人だけに金をやつて、一生懸命に人民を弾圧しておつたらしいのだ。これが自由党の唯一の存在であつて、ここに国際的にアメリカから援助されている国が李承晩を持つているように、蒋介石を持つているように、日本においても吉田政権を持たなければならない必然の道をつつ走つているのだと思う。だから承りたいのは、資本構成においては弱少にもかかわらず、その従業員数は全企業の七八%を占めておるこれらの人たちが非常に因つておりますね。低賃金と労働強化でこの組合ができますと、低賃金と労働強化なるものは一体どういうふうに解決されてよくなつて行きましようか。この点前は消費者のことを聞きましたが、今度は中小企業に従事する、そこで働くところの労働者の側から聞きたい。
  89. 南好雄

    南委員 お答えいたします。ごもつともな御質問だと思います。しかし横田さん、今のままにおりますと、企業が私たちが今この法律指定しようと思つております業種につきましては、少くとも出血というような状態で倒産するものがたくさんある。倒産してしまうよりも、こういう法律をつくつて最小限に業界の安定をはかろう、そうなつて参りますと、これに従事しておるいわゆる企業者も間接的にこの法律の恩恵を受ける、こういうふうに私たち考えております。しかしいずれの場合におきましても、本法案は労働基準法の適用を除外しておりませんので、最小限のいわゆる労働者に対する現在の段階における保護は一向そこなわれておらぬと思います。
  90. 横田甚太郎

    横田委員 あまり力を入れて反対しなければならぬ法案でもないので、もう二問くらいでやめておきます。  大体ここで私の考えといたしましては、経済的変動に際しては常に崩壊の危機にさらされて曲る大資本、独占資本の下請にされている存在がすなわち中小企業であると思う。だから中小企業を支配下に置くことは、大資本といたしましては生産コストを切下げ、恐慌や不況による打撃を中小企業に転嫁することができる特典がある。ここに資本主義社会におけるところの中小企業の存在の意義がある。中小企業は絶えず危機にさらされておる。その存在こそがすなわち中小企業のあり方なんです。私はこう考えるのです。要は中小企業は常に危機にさらされておるのです。その危機にさらされている事態が中小企業なんですから、それに対して何らかの手を打つて行かなければならないほど、たとえばこの法案を出さなければならないほど日本中小企業危機は政治問題的な性格をはらんで来たか、こういう進行の度合いについて承つておきたい。  それから中小企業が今一番弱つておりますのは資金と資材の面で非常に圧迫を受けておる。この下で働く者はさきにも言つておりますように、低賃金と労働強化で弱つておる。これが中小企業の苦衷である。この二つの問題、これは決して自由党が天下の政権を持つている限りにおいては解決し得ない。とても解決しない。やるならやつてみろ、こんな法案百こしらえてみてもあかぬ。私どもはこういうことをはつきり言つておいて、もう一回中小企業の存在の意義というものをはつきり言つておいて私は質問を終ります。  とにかく自由党はいらぬことせんで、中小企業のつぶれるのを全部見ておつたらいいんですから、それを選挙をおもんぱかつてこんな法案を出したということは、池田さんがその際に暴露してしまつて中小企業はつぶれてもいいというのが本音なんだから、あんたのところがこの法案を出したら、たなざらしになつて、私たちのデモがたくさんやられて、実力行使による町の騒乱というものが大きくなるのです。だからこれを押えるために、あんたの方ではデモ行為に関する禁止條例とかあるいは警察法の改正とか、破防法とか、こんなものばかりをこしらえているのです。だから自由党は、この破防法とか、警察法の改正なんかをたくらむ反面において、そうじやないんだ、これだけのものもやつているのだという人民に対する見せかけから、これだけやらなければならないほど日本の人民の力が強くなつているのですから、中小企業に対して救済言葉や文字が使える場合は、おそらく資本主義社会ではできないでしようが、少しは良心を持つてつているようなゼスチユアだけでも示し、そのさしあたりの問題として、きのう全国中小企業者の腰起大会において、金の貸し方は別にやらせよう、おれたち銀行を別にこしらえよう、五百億円の金を即時出せといつておるのですから、五百億円の金を前もつて用意しておいて、それから後にこの法案を通されるようにしてもらいたい。私のところはもちろんこの点に対しては反対する、この点だけを述べて、きようは質問を終つておきます。
  91. 高木吉之助

    ○高木委員長代理 しばらくこのまま休憩いたします。     午後四時二分休憩      ————◇—————     午後四時二十四分開議
  92. 高木吉之助

    ○高木委員長代理 休憩前に引続き会議を開きます。小金義照君。
  93. 小金義照

    ○小金委員 五月三十一日にわれわれ提案者となつて提出しました特定中小企業の安定に関する臨時措置法案の審議に除して、一、二中小企業の問題に関連して政府の所信を明らかにいたしたいと存じます。  この法律は、成案を得る過程においてはいろいろ議論がありましたが、結局今日の状態におきましては、どうしても何らか自発的な調整協定を業者に結ばせなければ、中小企業の一部にすでに混乱の起る前兆がはつきりしておる、こういう意呼からこの法案は成立いたしておるのであります。そこで自転車関係の問題について、政府の所見ないしは方針を明らかにしておきたいと思うのであります。自転車工業はわが国におきましては中小企業のティピカルなものだと私は考えております。法律案第二條で定義を下しておりまして、「この法律で「指定業種」とは、伝々と書いてあります。自転車工業はこれにまさしく該当するものではないかと思います。ただ該当するからといつて、ただちにこの法律の別表において指定して、それでこの法律を適用するということにはなりませんけれども、昨年の六月、すなわち今から約一年前の調査を見てみますと、大体自転車工業に従事しておると認定される会社の数が五百七十社、そのうち三百人以上の規模のものが十社、三百人未満の規模のものが五百六十社、これによつて大体中小企業のティピカルなものであるということが判明いたします。この中小企業である自転車工業の自転車の生産比率を見ますると、昭和二十六年度の総生産額を金額で見積りますと、約百七十八億八千万円、そのうち三百人以上の企業者の生産するもの、すなわち中小企業でない企業に属するものの生産額が約三十二億三千万円、すなわち一八%、三百人未満の企業による生産額、すなわち本法案にいわゆる中小企業として掲げておりまする業態において生産された金額が百四十六億五千万円、すなわち八二%、一応こういう調査ができて照るのであります。これによりますと、この法律を適用しようと思えば適用されるような中小企業の形体をなして曲るものと認められるのであります。この点通産省の責任者はどういうふうにお考えになつておりますか、お答えを願います。
  94. 佐枝新一

    佐枝政府委員 お答えを申し上げます。自転車工業は、お話通り第二條の関係では、この法律指定し得る要件はあるかと存じております。ただ今度のこの法案につきましては、私どもの注意が足らなかつたのかもしれませんけれども、業界の声を実ははつきり聞いておりませんでした。さしあたつてわれわれは自転車工業につきましては、企業合理化をやり、そして戦前日本の代表的な輸出産業であつたにもかかわらず、終戦後著しく従来の日本の市場を他の国に蚕食されまして、戦前に比べまことに振わない状態でありますので、今回提案されております輸出組合を含んでおる輸出取引法の関係で、自転車についてはぜひ強力な輸出組合をつくりまして、輸出の伸張に大いに資したい、こう考えておつた次第であります。
  95. 小金義照

    ○小金委員 そういう方法を講ずることももちろん必要でありますが、自転車とその部分品の工業は、今申しましたような多数の生産者がある。しかもそれが大部分中小企業者である。ことに部品に至つては、もう数知れないほどの生産者があるのじやないかと予想されるのであります。そういう多数の中小企業者によつて生産されておる製品でありますので、市場の変動性に応じて自発的にその生産を調整することができない。戦後日本の自転車工業は非常に遅れておつたので、戦前の輸出状態を再来するようなためには、きわめて自由な立場において競争させて発展させることはもちろん必要である。そういう状態になつたときに輸出取引法によつていろいろ調整あるいはまた援助を与えるということは、これはもちろんけつこうでありますが、国内で中小企業が、すなわち自転車工業及びその部品工業が混乱を起すようなおそれがある場合にどうするかという問題を、私は実はここで取上げたいのでありまして、輸出が不振になつたり、国内の売れ行きが非常に悪くなつたり、また金融が梗塞したりいたしまして、一部には相当なダンピングに類するような現象が起つておるのではないか、ことにここで例をあげて申し上げますと、スポークとチェーンはいずれも生産費や原料費を割つておるというような現象さえ出ておる。こうなると今機械局長が言われましたような輸出関係に拍車をかけて云々するということも、これはなかなかむずかしい。国内の価格が不安定であつたり、暴落したりいたしますと、外国の需要者はもつと下るかもしらぬこいうので、なかなか買い付けようとしない。そこで価格の安定をはかり、生産費を切るような値段が出たりしないようなことを考えてやらなければ、自転車工業全体の繁栄のためには私は手落ちではないか、こう考えるのであります。ただ私はここでただちに別表に自転車工業を指定するのがいいかどうかということを議論するのではなくて、そういう事態が生ずる可能性がある、また一部そういう状態が生じておるということを認められるかどうかということをここでお尋ねしたいのであります。
  96. 佐枝新一

    佐枝政府委員 お答え申し上げます。お話のように、先ほど申し上げましたごとく、戦前に比べて輸出がいろいろな関係でまことに不振でございますし、国内の市場におきましても、戦後非常に自転車は需要されたという時期を経過いたしまして、国内市場においても、終戦直後のごとき状況ではなくなつたわけであります。一部におきまして、業界の安定を欠いておるような事象が起つておることは、私ども考えていろいろとこれが対策に苦心しておる次第であります。またお話のように将来何とか特別の方策を講じて、国内の自転車工業の安定をはからなければならないという場合には、こういつたきわめて適切な中小企業対策法律の適用を行うということについて、われわれはまつたく小金委員と同様の見解を持つております。
  97. 小金義照

    ○小金委員 私は通産当局、ことに担当者である機械局で、局長以下がそういう御認識を持つておられることについて、まことに意を強うするものであります。もとより特定中小企業の安定に関する臨時措置法案が成立するまでにはいろいろないきさつがありまして、これに対しては非常な非難もありました。また現に消費者の利益をこれでは蹂躪するものではないかというような意見もその一つの反対論であります。けれども需要者というのは、業者が投げ物やあるいは倒産する場合において、めちやくちやに安く売る。その品物を安く買つて、消費者が得をするということは、これは考えてはいけない。消費者の立場では、むしろ安定した値段でいい品物をいつでも思う通りに、思うときに手に入れることが大事であります。これが真の需要者の利益でありまして、一時倒産した、あるいは破産した業界の投げ物で得をしようというようなことは、これはきわめて邪道であるのみならず、こういうことを期待してはいけない。業界を安定して、優良な品物をいつでも豊富に求め得られる、こういう状態をつくるのが私は一番大事だと思う、これがひいては輸出を増進させるゆえんにもなる、こういうふうに考えております。もとよりこの特定中小企業の安定に関する臨時措置法案はどこまでも臨時的なものでありまして、またこれだけでは中小企業を助ける非常に大きな政策とは考えられません、このほかに素材とか原料方面の行政上の措置とか、金融の援助とかあるいは輸出の振興とかいろいろのものと相まつて中小企業対策というものがつくり上げられなければならないと私は確信いたしておりますがいかんせん、このままではどうしても生産費を割るような値段で売り払わなければならないというような業態が現われるとすると、これを臨時的に、応急的に治療しなければならぬ、こういう立場からこの法案ができておるのでありますから以上のような事態を認識されたならば、これは適当な機会にこの法律案に盛り込んだような方法がいいか、あるいはまた他の方法で、たとえば輸出奨励金を出すとか、特別の金融をしてやるとかいうようなことも考えられましようが、業者が自主的にこの法律に規定したような方法によつて、みずからの業界の調整をはかろうという場合には、この法律の適用を考えてもよろしいという御意見であるようでありますから、この自転車工業の安定に関する臨時的な措置の一つの方法として、もしこの法律案法律として成立した場合においては、考えていただけるということを私は非常に満足に考えるものであります。願わくば今後よく自転車工業界の実態を把握されまして、その情勢の推移を誤りなく判断して打つべき手を打つていただきたい、これを私はわが国の自転車工業全般のためにお願いをいたしまして、私の質問を終ります。
  98. 永井要造

    ○永井(要)委員 機械局長がおいででありますから、関連して伺いたいと思います。私の伺うのは食料機械であります製麺機でありますが、製麺機は日本の現在のメーカーとしては中小企業でありますが、メーカーとしては国内の需要ばかりでなく、輸出の方面も相当出ておるやに聞いておりますが、年額どのくらいのもの、どういう種類のものが輸出されて飾るか、その点を教えていただきたいと思います。
  99. 佐枝新一

    佐枝政府委員 お答え申し上げます。実は私不勉強で、製麺機の輸出金額についてちよつと記憶しておりませんので、至急取調べいたしましてお答えいたします。
  100. 永井要造

    ○永井(要)委員 それではその点はそういうふうにお願いしたいのでありますが、輸出されておることは事実ですか、その点をちよつとお伺いしたい。
  101. 佐枝新一

    佐枝政府委員 その点は実は輸出されておるかどうかはつきりいたしませんが、おそらくは輸出されておるのではないかと思つております。
  102. 永井要造

    ○永井(要)委員 いま一つ伺いたいのは、今までの日本の製麺機というものは非常に旧式なものでありまして、乾燥機などはほとんど輸出されておらぬと思うのです。またたいがい天日でごく旧態依然たるものでやつておるわけであります。それは御承知通りですが、製麺は長く保存することが一番の重点であることは申すまでもないのであります。保存が長期にわたつてできることが製麺の生命であるわけです。日本の現在の機械でやりますと、三月か四月するとすぐ青かびが生えて来る。それをほつたらかしておくとあの穀象虫のようなものがたくさん出て来て、売物にならないような製品ができて来るということで、農林省なんかが大きな赤字を出しておることはすでに御承知通りです。私どもはあのイタリア麺の製麺機械をつくりたいという考えをもつて、今それを推進しておりますけれども、現在では中小企業家として、ああいう文化的な進んだ製麺機、つまりマカロニの製造機械とか、スパゲッティの製造機械屋がございますかどうか。その点を承つておきたいと思います。普通の長麺の機械、麩の麺類、病人がおかゆにして食べるような麺類、スープにして食べる麺類、それから切子型とかボロニャ型とか、あるいはグラチー二型といつたふうの麺類は長期の保存に耐え得られます。その乾燥室や乾燥機というものが非常に進歩しておりまして、冷風、熱風その他の科学的な方面を利用しまして、非常に優秀な乾燥ができます。そして現在の小麦粉でつくりましても、七年ないし十年くらいの保存に耐え得られるようにするりつぱな乾燥機であります。そういう麺類ができるので、これを日本食糧事情の悪いときに、中小企業としてこういうものを普遍的に広めるならば、相当国家に貢献することにもなるし、また一般文化もその恩恵に浴することができるわけでありまして、御承知のように、外国から食糧を二千三百億円ずつも買つている現日本としては、これを解決するには、やはりそういつた欧米方面で主食として用いておる文化的なマカロニの製造を中小企業の線に持つてつて、沈滞した方面を大いに鞭撻して行くということが、私は非常に意義のあることだと思うのですが、現在マカロニの製造機械だとかスパゲツテイの製造機械をつくつているところが日本にございますか。それからいま一つ、今までマカロニの製造機械、あるいはスパゲッティの製造機械を外国から輸入して、それをひな型にしてつくつているところがあるかどうか、その点も伺つてみたいと思います。
  103. 佐枝新一

    佐枝政府委員 どうも知らぬ知らぬでまことに申訳ございませんが、実は私もはつきりしておりませんので、これも至急取調べまして御報告いたすことにいたします。
  104. 高木吉之助

    ○高木委員代理 本日はこの程度にいたします。この際お諮りいたししす。本案に関し参考人より意見を徴することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  105. 高木吉之助

    ○高木委員長代理 御異議なければ、さようとりはからいます。なお参考人の人選に関しましては、委員長に御一任願います。明日は午前十時より委員会を開会いたし、参考人より意見を聴取いたしたいと存じますから、さよう御了承を願います。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時四十四分散会