○岡(良)
委員 私
どもは、別に
労働者のみに重点を置いてその生活を守れというのではなく、特に繊維
産業の場合、地方の
実情は農村
経済と密接な問題として、單に勤労者だけではなく、その地域全体の景気を高めて行くという
考え方も織り込んで、一方によけいにウエートを置くというのではなく、両々納得の行くような
措置が必要だろうという観点から申し上げております。その点はいずれわれわれとしても十分考慮いたしますし、あるいはまた修正
意見等も出るかもしれませんが、これは保留いたします。
さらにお尋ねをいたしたいのであります。御存じの
通り、石川県の
実情を例として申しますと、農村のか弱い娘
たちの生命と肉体の犠牲で、石川県における繊維
産業はささえられておるのです。福井県も同様です。しかも御存じの
通り、石川県、福井県は、全国的にまれに見る特に農業耕作地に悩まされていて、経営反別は隣の富山県から見ると半分にも足らぬ
実情である。繊維
産業の基盤がそうした零細な農民の貧しい子弟、特に娘
たちの命と病気による大きな犠性によ
つて今日まで形づくられて来たということをひとつ大きな要素としてお
考えを願いたい。
いま一つは、石川県の場合、私
どもはこれを端的におつとせいだと言うのであります。織機の所有台数二百台、三百台という大きな
メーカーがあるが、県下全体としては十台くらいのものがほとんどである。そうしてこの大きな二百台、三百台を持つ織機
メーカーは、同時に
商社である。原糸の特約店もや
つているし、製品の売買もや
つている。そういう昔からの問屋は二百台なり三百台なりの多くの織機を持
つておるが、一方は一台そこそこの
業者で、これがほとんど八割から九割なんです。これらの諸君はほとんど賃加工をや
つている。これは南さんもよく御存じの
通りだと思う。そこでそういう賃加工の実態を申しますれば、十台で二十五日稼働して一匹十五時間かかる。労働基準法に縛られておるというので、学校に行く子供も休ませて十五時間稼働させて、手間賃は百五十円だ。二十五日間稼働で十五時間全部フルに動かしたところで三万七千五百円しかならない。それに電力料と賃金を差引けば、糸の織値だけで辛うじて彼らの生活を維持しているが、それではかなわないというのが現状だと思う。ところが大きな
メーカーは糸も押えており、つくつた物も押えている。何と申しますか、おつとせいの雄みたいなのがお
つて、そのほかに雌がたくさんお
つて、少数の雄のおつとせいに支配されておるというのが石川県の
実情なんです。
法律案にはいろいろうまくうた
つておりますが、こういう点においてこの
法律案が発効した場合に、実際は賃加工
業者が犠牲になる、こういうような
実情が石川県の小さな地域内に起
つて来る可能性がある。今私
どもが申しましたような
実情から、資金面においても、原料面においても、つくつた物の面においても、ほんの一握りの大きな問屋筋に押えられている。おそらく
繊維局長にしてもお会いにな
つておるのはそういう方にお会いにな
つていて、こまかい
業者の方には会
つておられないと思う。そこで小さな経営規模をも
つてや
つている諸君は、この
法律案はうれしいような恐ろしいような悲喜こもごも至るという感情を訴えているわけだ。これまでのようなそういうおつとせい的なあり方はやめて、零細な
メーカーを含めて、それらの意向について、納得の行く形でその
調整が行われることが必要だが、そのような保証がこれだけではどうもわれわれは納得できない。
商社を兼ねておつた従来の問屋筋には、原糸の配給の面でも金繰りの面でもこれまで援助を與えている。織機を買いたいと言えば金も貸してや
つておる。そしてでき上つた織物はこれを一手に販売しておる。この諸君が何百台も持
つて全部支配しておつたというこのままの形でこの
調整が出て来ると、実際九割を占めておる小
メーカーにと
つては、非常に不利な
事態が起りはしないかという点が非常に懸念されるわけです。これは特に十分御考慮に
なつたことと思いますが、
提案者なり
繊維局長として、そういう
実情に即してはこういう手で、従来のいわゆるおつとせいの雄のような専制的支配をや
つておつた
商社であり、大
メーカーである諸君を押えて、零細な二十台以下、あるいは十台そこそこの繊機を持
つておるメーカの現在の苦境を助けて行くということについて、この
法律を
発動した場合、具体的にどういうふうな
措置、
補償が期得できるか、この点を
お答えを願いたい。