○
横田委員 その
特殊性の問題は、
日本で解決つけねばならない問題じやないのですか。たとえば
世界経済には一つの法則がある。その法則に対して合致して行かない限りは、
日本経済が弱
つてしまうと思います。そうじやないのであ
つて、この
特殊性がすぐれている
意味における
特殊性だ
つたら、持続していいと思いますが、これは私は劣
つている
意味だと思います。その例をあげますと、
バターの場合においては、現に
世界には一
ポンド二百二十円の
バターがあるのです。
日本の
ように、
国際的に見まして非常に賃金の安い
労働者は、四百六十円の
バターより、二百二十円の
バターを食いたい、これは食わねばならない、こういう
経済的な要求が出るのは、当然だと思います。ところがこの場合におきまして現にこれで
バターができるのですから、この二百二十円の
バターが、これが四百六十円に上
つて行く性質のものなのか。あるいは四百六十円の
バターが、二百二十円に下
つて行く性質のものであるか。具体的に言いますと、価格の点において、これを解決するところの
特殊性の優劣の論争になると私は思います。米の場合は一体どうなんでし
ようか。米はたしか今から二年前に
アメリカから入
つておりました。質の惡い米が一万七百二十円で入
つております。それが最近台湾の蒋介石の方から持
つて来ておりますところの米は、これはたしか一万三百円で入
つておるはずです。この場合の米の値段は、
国際的に下
つておるのです。ところが
日本の場合におきましては、
アメリカの米が一万七百二十円のときには、石四千二百五十円であ
つた。それが最近には六千三百円に
なつておる。しかし六千三百円の米代さえが、農民に払
つては、
自由党の財政
政策が非常に破綻を来すので、三等の米を四等に落し、二等の米を三等に落し、四等の米を五等に等級を下げて、農民をごまかしております。これは事実です。うそだ
つたら、いつでも農林省に行
つて、
検査規格によ
つて検査されました供米
検査の
実績を調べてもら
つたらよくわかる。これは私の方においても統計があります、だからどうしても、こういうふうな形において
濠洲の二百二十四円の
バターなるものは、ますます下
つて行く傾向にあると私は思います。しかも
世界経済の今までの進行の
考え方から見ますと、第一次大戦が終りまして、それから六年、七年、八年、この間には恐慌を生んだ。第二次大戦から再びこれが現われて来ております。ところが
アメリカのごときは、第一次大戦において小麦は四億ブツシエルの生産であ
つたものが、第一次大戦が終るころには、これが八億ブツシエルに
なつている。第二次大戦が終るころには、たしか十二億ブツシエルから十四億ブツシエルの小麦をと
つているのです。この十二億とか十四億ブツシエルの小麦をと
つておる
アメリカが、欧洲がヒツトラーに荒され、そして
中国大陸が
日本の軍隊に荒され、フイリピンにおいては、
日本人が非常に残虐行為をや
つて、穀物がつくれなか
つた時代にははけるのです。しかしそれがみごとに復興されて来ますと、十二億ブツシエルから十四億ブツシエルの小麦が、これが非常にさばくことに困る
ように
なつて来る。これがすなわち第一次大戰の後に起りましたところの、七年、八年、九年の恐慌に
なつて来る
ように、再びそういう様相を持
つて来ていると思います。だから
日本経済の
特殊性というものは、文字に書いて、
日本の妙な頭のゆがんだ
経済学者に研究させて、こういう
ような特殊
経済があるのだと喜ばしているほど、気楽な問題ではない。この問題を解決しない限り、木村法務総裁が李承晩の
ような顏をして、議会においていかに治安の乱れを云々いたしまし
ようと、こんなものは解決つきはしない。治安の乱れというものは、こういう
ような
特殊性経済の中において、多数が少数に圧迫される中から生れて来るものと思います。だからこの特殊
経済、同時にこのページをよくめくり返してもらいますと、
貿易を拡大して行く上にはと、こう書いてあるのです、その
特殊性経済なるがゆえに、
貿易を拡大して行けないのである。ここに原因がある。しかもこんな
経済的な原因があるにもかかわらず、そこに政治的な原因として
アメリカの干渉があり、
バトル法であるとか、あるいは
戰略物資に対する非常な制限であるとか、こういうふうに
なつて来たら、
日本の
貿易というものは成り立
つて行くものじやない。
日本経済の
特殊性なるものは、これはこのままながめてお
つていいものなのか、そうでないのかどうか。そうでなしに、解決して行かなか
つたならば、
貿易の拡大ということについては、非常に支障を来すのではなかろうか。そんな点に対するあなたの御
見解を承りたいと思います。