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1952-05-28 第13回国会 衆議院 通商産業委員会 第42号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年五月二十八日(水曜日)     午後二時三十八分開議  出席委員    委員長 中村 純一君    理事 多武良哲三君 理事 山手 滿男君       阿左美廣治君    小川 平二君       神田  博君    小金 義照君       南  好雄君    村上  勇君       中村 寅太君    橋本 金一君       加藤 鐐造君    横田甚太郎君  出席政府委員         通商産業政務次         官       本間 俊一君  委員外出席者         專  門  員 谷崎  明君         專  門  員 越田 清七君     ————————————— 五月二十八日  委員上林與市郎君辞任につき、その補欠として  青野武一君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  輸出取引法案内閣提出第二三九号)     —————————————
  2. 中村純一

    中村委員長 これより会議を開きます。  本日は輸出取引法案を議題といたし、質疑を続行いたします。質疑の通告がありますから、これを許します。阿左美廣治君。
  3. 阿左美廣治

    阿左美委員 この輸出取引法案につきまして一、二簡單お尋ねをいたしたいと思います。  第一に輸出業者はその価格、品質、数量について協定することになつておりますが、これは生産者に最も深い関係があることでありますから、この輸出取引審議会には、必ず生産者側からその委員を任命することが妥当だと考えておりますが、政府はいかにお考えなつておりますか、お伺いをいたします。
  4. 本間俊一

    本間政府委員 ただいま御指摘になりましたように、輸出取引と申しましても、メーカーに非常な関係があるわけでございます。従いまして、昨日も申し上げたのでございますが、輸出組合の定款を決定いたしまする場合にも、できるだけ御趣旨ような点を採用いたしまして、広く解釈をしてそういう指導をして参りたいと考えておるわけでございます。従つて指摘の、輸出取引審議会をつくりますが、これには必ず生産者の代表を入れるように決定をいたしております。
  5. 阿左美廣治

    阿左美委員 次に、この検査の問題でありますが、輸出商社のみが一方的に製品の検査をすることは、事業によりましては妥当でないのではないかと考えます。絹織物等国営検査協会検査機関が現在ありまして、これらは第三者的の立場から公平な検査ができ得ることと思つておりますが、これら既存検査機関を存立させるような御趣旨はあるかないか承りたい。
  6. 本間俊一

    本間政府委員 お答えいたします。輸出組合事業といたしまして、輸出組合はいろいろな協定ができることになつておりますので、その協定輸出組合員が守るためのいろいろな方法を講じてもよろしい。それから輸出業者の共通の利益を増進するための施設ということになつておりまして、もちろん検査どもその組合事業として計画してよいことになつておるのでございます。御指摘繊維品検査は重要な問題でございまするので、それぞれ国の検査機関がございましてやつておるわけでございますから、輸出業者のこういうものができましても、国のただいまやつております検査方法をなくするというよう考えはないわけでございます。あくまでも国でやつておりまする検査機関は、それぞれの機能に従つて活用して参りたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  7. 阿左美廣治

    阿左美委員 重ねて申し上げますが、国営検査協会検査があつて国営検査は現在輸出全般に対する検査をやつており、生地そのもの輸出するというものに対しては、国営でなく今協会検査なつておるわけでありますが、その協会検査というものもお認めになるのかどうか、そういうものに対しては今後協会検査というものは認めないのかどうか、こういうお尋ねなんです。
  8. 本間俊一

    本間政府委員 お答えを申し上げます。ただいまやつております既存協会検査は尊重いたしまして、そのまま認めて行く、こういう建前をとつております。
  9. 阿左美廣治

    阿左美委員 よく了承いたしました。  次に、アウトサイダーをどう取締りをするかということでありますが、この制度から考えますと、どうも不徹底のよう考えられるのであります。これらのアウトサイダー取締るのは現行の輸出承認制度で間接的に取締ることになるのですか、お伺いをいたしたい。
  10. 本間俊一

    本間政府委員 実はその問題につきましては、非常に議論があつたところでございまして、役所の内部におきましても非常に愼重な研究を積んだ問題でございます。公正取引委員会等とも関連いたしまして、御指摘ように、法案そのものから申しますと、非常に不徹底になつておるかとも思いますが、これは前会にもお答えを申し上げましたように、輸出承認制度を活用いたしまして、そして輸出組合の決定いたしました協定が守られて参りますように善処いたしたいと思つておるわけでございます。なおこの何條でございましたか、ただちにアウトサイダーに適用するというわけにも参らぬと思いますが、不公正な取引をいたしましたり、またその網をくぐつたりするような場合は戒告をすることができまするし、戒告を聞かなかつた場合には、仕向地に限りまして輸出取引を停止させる処置もできるようなつておりますので、輸出承認制度をあわせて活用して参りますれば、アウトサイダーの方の取締りも相当効果を上げ得るのじやないか、こういうふうに考えております。
  11. 阿左美廣治

    阿左美委員 よろしゆうございます。
  12. 中村純一

  13. 横田甚太郎

    横田委員 これは高橋さんに聞きたかつたのですが、きよう次官に聞いて、おそらくうまく行かないだろうと思いますから、また大臣に聞くことにいたします。  私が第一に聞きたいのは、四月の二十八日から以後は、日本アメリカとは以前と違う関係にあるのです。この点を私は聞きたい。もし以前と違うよう関係にあるのだつたら、それでは一体言葉ではどういうふうに現わし、やる仕事においてどうかわつて来るかということを第一点に聞きたい。     〔委員長退席阿左美委員長代理着席
  14. 本間俊一

    本間政府委員 お答え申し上げます。御指摘ように、四月二十八日からはいわゆる独立をいたしたわけでございまするから、この関係は根本的に違つて来ておると思います。そこで今後どう違つて行くかということでございますが、これはいろいろな問題、いろいろな場合によつてもちろん違つて来ると思いますが、もう少しお尋ねの点を具体的に伺いまして、その場合場合についてお答えをいたすことにいたしたいと思います。
  15. 横田甚太郎

    横田委員 質問の具体的な一つ一つのこまかい内容をという答弁だろうと思うのですが、その内容が言えないほど、四月二十八日の以前と以後とはかわりがないように思うのです。マーフイーというアメリカ大使日本に来ている。なるほどこの男はリッジウエイと名前がかわつておる。マツカーサーという男とも名前がかわつておる。しかしかわつているけれども、やつていること、言うていることは、やはり同じことを言うていると私は思う。しかし独立という点におきましては、少し日本にも自主権ができたのではなかろうか。それを通産の場合におきましては、通商産業上の自主権の問題です。通商産業上の自主権の問題とは、すなわちアメリカが、輸出をしてはいけない、輸入をしてはいけないといつて貿易相手方に対する幅が狭められている。こういう意味におきまして、占領中も占領後においても、同じことである。これを私は一番疑問に思うのであります。だから四月の二十八日以前と以後において、独立ということはよく聞きますが、独立内容に伴うところの通商産業上の自主権というものが、日本に回復しておらないように思うのです。だから独立ということを言われるのであるならば、独立と同時にやらねばならぬところの通商産業、特に貿易上におけるあんたたち目標というものは一体どこを向いておるか、これを承りたい。
  16. 本間俊一

    本間政府委員 私ども通商貿易目標は、御承知でもあろうと思いますが、日本は非常に過剰な人口を擁しておりまして、これはどうしても経済的に自立をいたしますためには、貿易規模を拡大しなければならぬという基本的な要請があるわけでありまして、その線に沿うて日本貿易をできるだけ増進して行くというところに、目標もちろんあるわけでございます。
  17. 横田甚太郎

    横田委員 日本貿易規模を増進して行く、こう言われるのですね。たとえばどういう地点に、どういうよう目標をもつて増進して行くのですか。その点はどうなんですか。
  18. 本間俊一

    本間政府委員 ただ、御承知ように、独立をいたしました日本国際連合協力をするという、何と申しますか、基本的なラインがあるわけでございまして、この線に沿いつつ日本貿易を増進して行くということにならなければならぬわけでございまして、その国連協力という線は、現内閣の太い線になつておりまするので、やはりその線に沿いまして貿易の問題も考えて行かなければならぬというふうに考えております。
  19. 横田甚太郎

    横田委員 国連協力をなぜやらねばならないのか、これを考えていただかなければならぬのです。国連というものは、世界戦争をしかけるような原因をなくするための機関であるというのが言い古された古い言葉です。そうであるにかかわらず、アメリカのいう国連とは、世界の実力のある国に対して、アメリカを急先鋒といたしまして、その国が貧乏するような形にして、アメリカ過剰物資を売りつける。これを條件にいたしまして、行く行くは戦争をしかけるよう機関になる。このことはこの委員会でも問題になり、予算委員会でも問題になつたので、言いたくないのでございますが、要するに国連協力ということは、そういう関係からもう一ぺん考え直される必要があるのではないかと考える。同時に国連協力をやつておる範囲内におきましても、英国、フランス、日本においてもそれぞれ輸出入貿易に対するところの、出していい物、出して惡い物に対する幅があまりにも違いすぎる。こういうことがはつきり言われておるのです。だから承りたいのは、国連協力というものは、日本繁栄のために考えておられるか、もし繁栄のために考えておられるのであるならば、国連協力というもののために、日本中国ソビエトに対して貿易できないということは、繁栄に合致するのかどうか、この点に対する見解を承りたい。
  20. 本間俊一

    本間政府委員 国際連合に対する、ただいま御指摘になりました見解と、私ども見解とは、まつたく違つておるわけでございまして、その点はいくら議論を申し上げても、並行線であろうと思いまするが、私ども国連というものを、何かけんかをしかける種をこしらえたり、過剰な物資を売るというふうには考えておらないのでありまして、その辺の国連に対する考え方は、これはまつたく対立をいたしておるわけでございます。そこで国際連合協力するのは、もちろん日本繁栄のためでありまして、そういう認識の上に立つてどもは、国際連合協力をするという基本的な太い線を出しておるわけであります。そこでお尋ね中共貿易あるいはソ連との貿易の問題でございますが、これは前にもたびたび申し上げたと思うのでございますが、ただいま私が申し上げました、国際連合協力することが日本のためであり、日本繁栄に寄与するんだ、こういう見解に立つておりまするので、取引もちろん相手の多い方がいいにきまつておるわけでございますが、その辺の利害を勘案いたしまして、そうして処理をして行かなければならぬわけでございまして、その点になりますと、どうも見解が違つておりまして、従つてその方法論も違つて来る、こういうことになろうかと思います。
  21. 横田甚太郎

    横田委員 それじや簡單に聞きますが、国連協力しさえすれば、中共とは貿易できぬのですか。国連協力という政策があるために、中共貿易ができないのですか。
  22. 本間俊一

    本間政府委員 御承知ように、中共との貿易はまつたく杜絶しておるわけではないのでございまして、先ほども指摘のありましたように、取引を許されます範囲が非常に狭くなつておる。それから実際上、決済方法その他で障害があるものでございますから、非常に不活発になつておる、こういうことになつておるわけでございまして、やはり政府といたしましては、国際連合協力するという太い線は、実際上の輸出貿易利害等を勘案いたしまして、そうしてただいまとつておりますよう方針をとつておるわけでございます。
  23. 横田甚太郎

    横田委員 今、中共貿易をやつてつて、それが幅が狭まつておるとか、あるいは経済方法にいろいろな問題があるとか、こういうことを言われますが、こういうふうな條件にしておいて、マーフイーは非常に卑怯なことを言つておるじやないですか。きよう新聞には、日本中共貿易を思いとどまれ、ソビエトとの貿易を思いとどまれと言つてその資料として、今まで貿易を許されておつた範囲を基礎として数字をあげまして、米国の昨年の対ソ貿易額は六万五千ドルという、問題にならない少額であるということを言つておるじやありませんか。だから、範囲を小さくしておるというのは、中国日本の必要とするところの貿易が小さい範囲のものではないのであつて、大きな範囲のものではあるけれどもアメリカの恣意的な干渉から非常に狭められておるのじやなかろうか。同時にまた、決済方法その他につきましても、中国日本とが話合うならば、アメリカ日本に対してやつておる搾取中心にいたしました——名前は援助ではあるけれども、実際は搾取です。そういうものでなしに、もつと国際的に解決がついて両国がともに栄えられるよう貿易計画が立てられるのではなかろうかと思う。だから、そういう意味におきまして、もしあなたが範囲が狭いとか、決済方法その他を云々されるのでありましたならば、範囲を広めるという意思が具体的に日本にあるのかどうか。もしあるとするならば、なぜやらないのか。もしそれをやらせないものがあるならば、どこの国が、どんな権限でやらせないのか、この三点を承りたい。
  24. 本間俊一

    本間政府委員 アメリカマーフイー大使がどういうことを言われておりますか、そのことにつきましては、私ども関係する筋合でもないわけでございますが、この国際情勢のもとにおきまして、国の進路を、あるいは国の方策を考えて行くわけでございますから、單に中共日本との昔の地域的な、あるいは経済上のつながりだけを考えて行くというわけに参らぬと思うわけでございます。従いまして、すべて国際間の問題は冷嚴にいろいろな利害判断をいたしまして、そうしてきめて行くわけでございますから、日本が今後中共貿易の問題に対しましていろいろな方法を決定いたします場合にも、よその国の指示を受けてやるというようなことはないと思います。これは日本政府が独自の判断をいたしまして、そうして日本利害を勘案をいたしまして、こういう方式で進むということになるだろうと私は考えます。  (阿左美委員長代理退席委員長着   席〕
  25. 横田甚太郎

    横田委員 どうも妙なことを言われる。よその国の指示を受けてやるというようなことはないと言いましたね。それから最初に、マーフイーがどんなことを言つたかということは、私の方においては一向に関係がないように言いましたが、マーフイー、その親分であるところのトルーマンの鼻息をうかがうことばかり考えてるんじやないですか。もしそれさえなかつたら、中共貿易はやれるんじやありませんか。マーフイー見解なるものが、きようの毎日新聞に出ております。要約して申しますと、あなたも見ておられると思いますが、こういうことが書いてある。「一、対中共対ソ貿易にはバトル法米国において戰略物資輸出禁止を規定した法律)が適用されており、各国でバトル法の適用についてでこぼこがあるので、主な国でこれを調整しようとする動きがある。日本の場合、現在の禁輸品目を緩和するには日本政府関係諸国との事前の協議が必要だと考える。」こういうことを書いておる。それから次には、先にもちよつと読みましだが、「米国の昨年の対ソ貿易額は五万五千ドルという問題にならぬ額で、日本共産圏との通商が現在の貿易上の行詰りを解決できる唯一の措置だと考えれば非常に危険だろう。」これはアメリカ人が、中共はあかんあかんと言つて来たすべての言葉の集約的なものです。だからこういうふうなことをマーフイーが言うたということは、あんたはうそだと思われますか。また、こういうふうな指示が始終アメリカから来ておる。その証拠に、あんたが述べましたようバトル法もあるし、それ以外に何かややこしい輸出貿易管理令とか、また虎の子のように隠している輸出禁止品目を書いたものがあるというじやないですか。聞くところによると、通産省でも、それを知つておるのは、四人か五人しかいないと聞いておる。アメリカ中国に対してやきもちをやいた、禁止品目を書いたものがあるそうじやないですか。だから、要約いたしまして、マーフイーなるものが言いましたこの言葉は、常に日本通産行政に妨害を与え、同時に日本発展を阻害している。それを日本自由党政府国連協力という名前において甘受していることが、日本発展を阻害するところの問題の一番中心なつているのだと思うのですが、その点のお考えはどうです。
  26. 本間俊一

    本間政府委員 先ほど私がマーフイー大使のことを申し上げましたのは、マーフイー大使は自分の職責にかんがみて談話を出されたのだろうと思いますから、その談話のことについて私に問われても、その談話の正確さと申しますか、内容と申しますか、そういうものには私は関係しないという意味のことを申し上げたわけでありまして、その点はどうか誤解のないようにしていただきたいと思うわけであります。これはやはり見方によるわけでございまして、アメリカ政府日本中共あるいはソ連貿易をどういうふうに考えておるか、これはアメリカの方でやはりいろいろな見解はあろうかと思いますが、しかし日本政府はやはり日本政府独自の建前で、今日の国際情勢のもとにおきまして、どういう政策をとつて参ることが日本のために有利か、日本のためにとらなければならぬ線かというような点を判断いたしまして、そうしてただいまとつておるような線を出しておるわけであります。これは世界にはいろいろな国がありまして、その国と日本とのいろいろな関係を勘案いたしまして、そしてどういう線を進んだ方が日本のために有利かというところに来ておるわけであります。そういう基本的な考えのもとにただいまとつておるよう方針をとつておるのだということを申し上げたわけでございますから、その点はどうか誤解のないようにしていただきたいと思います。
  27. 横田甚太郎

    横田委員 米国要人談話というものは日本政府要人はあまり影響されなくともいい、聞き流していい言葉なんですか。
  28. 本間俊一

    本間政府委員 その通りにやらなければならぬ問題とは私は考えないのでありまして、やはり日本日本政府独自の判断で、どういうふうにした方が日本のために利益かというところで判断をいたしまして日本方針をきめて行くわけでございます。もちろんいろいろの国の意見なり、考え方なりを参考にいたしましてきめるわけでございます。その打出しまする線は、あくまでも日本政府独自で決定するものだというふうに私ども承知いたしております。
  29. 横田甚太郎

    横田委員 それは実に勇ましく、好ましくまた望ましい言葉なんです。そのことは非常にやつてもらいたいのです。しかし実績から見ましたとき、日本利益のために日本政府が独自にやつた、その結果としてアメリカ人が言うたことと合致しなかつたやり方が過去に一回でもあつたですか、あつたらそれを伺いたい。何やらそういうことを議会答弁用語としては常にカバンの中に持つて来ておる。品の中にたくわえておる。頭の中にいつでもそれを用意しておる。しかしそのやる実績から見ますならば、アメリカ人が言うたままのことより以上のことを追随してやつておるのが実績じやないか。だから、アメリカ人——そう限定しますが、中共貿易について、あるいは対ソ貿易について好ましくないことを言つた場合に、日本の側からそれより以上に日本的なものを打出してやつた例があるかないかということが一点です。と同時に、日本のわれわれがいろいろと考えて、とおつしやいますが、考える場合に、吉田さんが側近相手にお考えになるのですが、吉田さんのいわゆる側近はややこしくて、おそらく白洲一人が側近になるのじやなかろうかといううわささえあるのです。だから、側近中心考えられたのであるならば、非常に範囲が狭いし、同時にまた日本通産行政というものは、日本産業に携つているところの——日本資本主義国なんですから、労働者までとは言わないです。そんなわれわれは甘い考えを持つておらないのですが、資本家の望む意見を、その要望をまとめて、それによつて立てられたものだと思うのです。そこで大豆の場合はどうなんです。大豆関係する、あるいは製油業関係するところの業者のほとんどがアメリカ大豆は困ると言つておるじやないか。夾雑物が多くて、値段が高いからこんなものは困るので、中国大豆を輸入したいということを言うておるじやないか。それに対してさえも政府業界意見を押えている。だから大豆に関する限りは、私は各種業界意見も雑誌で見ました。新聞でも見ました。また会つても聞きました。ただバトル法というものがあつて国連に加担しておる自由党政権は、アメリカに追随するためにやらせない。この対ソ貿易もおそらくだめになるのじやなかろうかという杞憂を持つている人があるのです。だから、その点につきまして、第二点といたしましては、日本でいろいろ考えてやつたと言われますが、日本でだれが一体どういうふうに考えられてやつたか、日本利益とは何を利益として考えてやつておるのか、その利益の対象を承りたいのです。自由党選挙資金を与えるために、濠洲あたりからバターを買つて来て何とかする、こういうやり方をも日本利益と思つておられたらまた話は別ですが、その点に対する御答弁をお願いします。
  30. 本間俊一

    本間政府委員 この問題は、中共貿易をすればいい、ソ連圏貿易をすれば、それがただちに日本繁栄になるのだ、こういう横田さんのお考えでありますが、私ども政府考えはそうじやないわけでありまして、これは何ぼ議論をいたしましても、並行線でどうにもいたし方ないわけであります。ただ何かバターを入れることがただちに選挙資金のどうだとかいうようお話がありましたが、これはそういうことはないのでありまして、日本貿易は、御承知ようポンド大分余つているわけでありますから、日本バターの需要にもかんがみて、ひとつポンドバターを入れようかという建前でございますので、バターを入れてそれで選挙資金をかせぐとかいうようお話でございましたが、さようなことは毛頭考えておりません。どうか御了承賜わりたいと思います。
  31. 横田甚太郎

    横田委員 二つ聞いたんですが、先の方は逃げてしまいましたけれども、逃げたんならあとの方のバターで納めることにしましよう。  それでは輸出取引法案提案理由にあなたはこういうことを書いております。これの二ページに、「わが国経済特殊性からして」と書いているのですが、このわが国経済特殊性を承りたい。貿易の面におきましては、日本経済が非常に底をついていると言われているわけです。経済自体が底をついているから、貿易の面におきましては、日本に滯貨が非常にあるかと思えば、原料が不足を告げており、資金の枯渇が問題になつていると、妙なことばかり言つているのです。その苦境に陷つたときに、その都度中共が問題になつて来ている。あの市場から獲得しなければならぬことが問題になつている。それを獲得させず、その貿易をやらせずに置いておいて、あそこはだめだとか、いけないというようなことを言つてつては、みなの人たち業者たちが納得しないのです。このことは後ほどにもつと言います。そこでバターの問題ですが、濠洲バターを入れるということになつております。これは私の調査によりますと、日本のものはポンド四百四十円だが、濠洲バターは一ポンド二百二十円で入るはずです。そういたしますと、これを日本の国内へ持つて来て商い、これを市民に食わす場合におきましては、三百三十円で売る方が消費者が結局得になるのです。ところが、日本におきましては有畜農家の創設を考えております。従いまして、日本においてはその有畜農の中心であるところの酪農というものが非常に重要になつて来ます。また日本ように耕地も狭い——耕地が狭いといつても、われわれ共産党の見解ではないのです。耕地になるべきところを耕地にせずに、これを御料林にしたり、あるいはつまらない山林にして放置しているがために、これは土地それ自体が収益の上らないような不生産的なものになつているわけです。これは非常に長くなりますので、その点は申しませんが、要は日本の現状で、自由党の改良主義的な農林行政をやる面におきましても、耕地の狭い農村に対しましては、どうしても酪農が問題になつて来る。その酪農自体が、これから牛を飼うて行かなければならないのに、牛を飼うて、バターをこしらえる場合におきまして、四百六十円かかる。濠洲から船に乗つて来るバターが、二百二十円以下で入つて来るようでは、これと太刀打ちできない。太刀打ちできない結果としてどうなるかといえば、自由党がいくら金を貸してやるといつても、百姓さんたちは牛を買うことができなくなつて来る。だからここに私が聞きたいのは、日本経済特殊性と書かれておる特殊性は、一体何を意味しているのですか。この点を承りたい。
  32. 本間俊一

    本間政府委員 前段の問題に、先にお答えをいたしますが、御指摘のありましたように、日本の今後の農業が、有畜農業の形に入らなければならぬことは、これは私どもも同感でございます。そこで日本も相当バターができております。今御指摘のありましたように、濠洲バターの方が單価が安いのも事実でございます。そこでこの安い濠洲バターを多量に入れれば、これは日本の有畜農業でありますとか、あるいは酪農をやつている人々に、相当致命的な打撃を与えることになるわけでございます。大体輸入、輸出関係は、ただいま御指摘なつような事実が、いろいろの問題としてあるわけでございますので、数量を限りまして、そう深刻な影響を与えないところで一ポンドも相当過剰になつておりますから、入れようという考えを私どもはいたしておるわけであります。従つて濠洲からバターが、私ども考えている量が入りましても、日本の酪農工業が、すぐ非常に深刻な影響を受けるというようなことは、実際はないじやないか、その辺は調和をとつて参りたい、こういうふうに考えておるわけであります。  それから、提案の理由で申しました、わが国経済特殊性という御質問でございますが、これは横田委員も御指摘になりましたように、戰争が終りましてから、何と申しますか、非常に経済力が弱いわけでありますが、日本経済の底が浅いというよう記なことも、もちろんわが国の一つの特殊性だと思いますが、御承知ように、製造をいたしておりまするメーカーも、品物によりまして、相当多いわけでございます。従いまして、輸出をいたしまする場合にも、メーカー同士、あるいは輸出業者同士の競争が、非常に激甚でございますので、いろいろな問題を起しているわけであります。そういうわが国経済のいろいろな特殊性と申しますか、特徴と申しますか、そういうものを指さして、私どもはこういうふうに書いたわけでございます。
  33. 横田甚太郎

    横田委員 その特殊性の問題は、日本で解決つけねばならない問題じやないのですか。たとえば世界経済には一つの法則がある。その法則に対して合致して行かない限りは、日本経済が弱つてしまうと思います。そうじやないのであつて、この特殊性がすぐれている意味における特殊性つたら、持続していいと思いますが、これは私は劣つている意味だと思います。その例をあげますと、バターの場合においては、現に世界には一ポンド二百二十円のバターがあるのです。日本ように、国際的に見まして非常に賃金の安い労働者は、四百六十円のバターより、二百二十円のバターを食いたい、これは食わねばならない、こういう経済的な要求が出るのは、当然だと思います。ところがこの場合におきまして現にこれでバターができるのですから、この二百二十円のバターが、これが四百六十円に上つて行く性質のものなのか。あるいは四百六十円のバターが、二百二十円に下つて行く性質のものであるか。具体的に言いますと、価格の点において、これを解決するところの特殊性の優劣の論争になると私は思います。米の場合は一体どうなんでしようか。米はたしか今から二年前にアメリカから入つておりました。質の惡い米が一万七百二十円で入つております。それが最近台湾の蒋介石の方から持つて来ておりますところの米は、これはたしか一万三百円で入つておるはずです。この場合の米の値段は、国際的に下つておるのです。ところが日本の場合におきましては、アメリカの米が一万七百二十円のときには、石四千二百五十円であつた。それが最近には六千三百円になつておる。しかし六千三百円の米代さえが、農民に払つては、自由党の財政政策が非常に破綻を来すので、三等の米を四等に落し、二等の米を三等に落し、四等の米を五等に等級を下げて、農民をごまかしております。これは事実です。うそだつたら、いつでも農林省に行つて検査規格によつて検査されました供米検査実績を調べてもらつたらよくわかる。これは私の方においても統計があります、だからどうしても、こういうふうな形において濠洲の二百二十四円のバターなるものは、ますます下つて行く傾向にあると私は思います。しかも世界経済の今までの進行の考え方から見ますと、第一次大戦が終りまして、それから六年、七年、八年、この間には恐慌を生んだ。第二次大戦から再びこれが現われて来ております。ところがアメリカのごときは、第一次大戦において小麦は四億ブツシエルの生産であつたものが、第一次大戦が終るころには、これが八億ブツシエルになつている。第二次大戦が終るころには、たしか十二億ブツシエルから十四億ブツシエルの小麦をとつているのです。この十二億とか十四億ブツシエルの小麦をとつておるアメリカが、欧洲がヒツトラーに荒され、そして中国大陸が日本の軍隊に荒され、フイリピンにおいては、日本人が非常に残虐行為をやつて、穀物がつくれなかつた時代にははけるのです。しかしそれがみごとに復興されて来ますと、十二億ブツシエルから十四億ブツシエルの小麦が、これが非常にさばくことに困るようなつて来る。これがすなわち第一次大戰の後に起りましたところの、七年、八年、九年の恐慌になつて来るように、再びそういう様相を持つて来ていると思います。だから日本経済特殊性というものは、文字に書いて、日本の妙な頭のゆがんだ経済学者に研究させて、こういうような特殊経済があるのだと喜ばしているほど、気楽な問題ではない。この問題を解決しない限り、木村法務総裁が李承晩のような顏をして、議会においていかに治安の乱れを云々いたしましようと、こんなものは解決つきはしない。治安の乱れというものは、こういうよう特殊性経済の中において、多数が少数に圧迫される中から生れて来るものと思います。だからこの特殊経済、同時にこのページをよくめくり返してもらいますと、貿易を拡大して行く上にはと、こう書いてあるのです、その特殊性経済なるがゆえに、貿易を拡大して行けないのである。ここに原因がある。しかもこんな経済的な原因があるにもかかわらず、そこに政治的な原因としてアメリカの干渉があり、バトル法であるとか、あるいは戰略物資に対する非常な制限であるとか、こういうふうになつて来たら、日本貿易というものは成り立つて行くものじやない。日本経済特殊性なるものは、これはこのままながめておつていいものなのか、そうでないのかどうか。そうでなしに、解決して行かなかつたならば、貿易の拡大ということについては、非常に支障を来すのではなかろうか。そんな点に対するあなたの御見解を承りたいと思います。
  34. 本間俊一

    本間政府委員 御承知ように、今米の価格は、御指摘ように産地によりましていろいろ違いますが、内地の米を決定いたしておりますのは、外国の米の事情によつてきめておるわけではないのでございまして、御承知よう日本の、主として国内のいろいろな要素を取入れまして、そして決定をいたしておるわけでございます。従つて濠洲からバターが入りまして日本のただいまのバターの価格がどうなりますか、これももちろん輸入いたしますためにも、密接な関係を持とうかと思いますが、ひいては今の日本の酪農工業に一つのいい刺激になりまして、内地のバターの生産コストが、あるいは下つて行くようなことになるかもしれませんし、あるいはまたそうでない場合もあろうかと思います。従いまして、濠洲から入りましたバターがどれくらいの市価で売られますか、これも問題だろうと思いますが、必ずしも日本バターに右へならえをして行くものかどうか。これも何も無理にそうしなければならぬというよう考えを持つておりませんので、入りましたあとのいろいろな影響につきましては、愼重に見守つて参らなければならぬと思つております。  御指摘のありました、わが国経済特殊性でございますが、これは御議論もありましたように、弱い面を主として私どもはうたつておるわけであります。従いまして、日本貿易を盛んにいたして参りますためには、日本経済の弱い関係、これはどうしてもそのままでいいという議論は成り立たないわけでありまして、私どもの基本的な経済特殊性と申しますか、そういうようなものも、もちろん改善をいたすような努力は、いろいろな方面からしなければならぬと思います。ただ先ほども申し上げましたように、日本経済を手放しで、気楽な考えを持つておるとは考えていないのでありまして、異常ないろいろな問題を含んでおると思つております。ただ貿易にいたしましても、その当時のいろいろな国際的な状況を勘案いたしまして、そしてできるだけ御指摘よう日本経済の弱いところを是正して行く、直して行くという努力は、これは当然払つて行かなければならぬものだというふうに私ども考えております。
  35. 横田甚太郎

    横田委員 米のことでずいぶんむちやなことを言いましたね。それでは大体外国米を高く買うて、日本米を安く買うて、日本の国内産米が外国米の価格に左右されておらないというのであるならば、会計をなぜ一本にするのですか。しかもこれは妙なことをやつておる。日本の米は、安く買うたものを、消費者価格を高く上げて売つておる。二割三分なりあるいは三割近くの中間手数料をとつておりますね。そこでそれを基準にして消費者価格がきまる。そうすると外国から買います米は、価格以下で見切つてつておる。その消費者価格より五分引きで売つておる。この負担は一体どこから出ておる。これはやはり農村をあらゆる価格政策で圧迫している。それがバターの点では、あなたが言いいましたように二百二十円で、これはたしか関税が含まれても三百三十円だということを言われておる。二百二十円で買うたバターを、共産党は黙つてつておいてくれ。おれのところで四百六十円で売ろうとかつてだ。極端に惡く言うと、こういうよう答弁になる。そうした価格の政策の中にこそ、日本の米を安く食わせて、外国の高い米を買わなければならない財源をつくる必要ができて来るのじやないですか。だから私があなたに聞きたいのは、日本経済特殊性を直す意味合いにおきまして、現在の貿易政策自体が非常にじやまになつておる。それは占領下のことを見てもらつたらすぐわかる。日本においては外交の自主権がなかつた。われわれは世界を見られなかつた自由党、改進党、社会党の議員は、少くとも議会において共産党以外の議員は、アメリカ指示し、アメリカの許す場合は行けた。そして世界の一部を見られた。しかしお気の毒なことには、アメリカの気ままができるのは、世界中心部に住んでおりますところの八億から九億の人口を除外したところの資本主義国です。それ以外の世界を見ておらない。しかしそれ以外の、いわゆるアメリカ圏以外の世界こそ非常に今後栄えて行く国です。われわれにはそこを見させなかつた。そしてアメリカが地球の半面しか見ておらず、それで外交的に判断いたしまして、日本という国は資源が少い。土地も狭い、人間も多い。アメリカの言う通り、日本に原料を入れてやるから黙つて働けというようなわけで、日本には外交の実権がなくて通商産業においては、日本に強圧があつた貿易アメリカ人によつてむしりとられておつた。ここに非常に日本占領六年七箇月間におけるところの困憊疲弊があつたのだと思うのです。私はこれを名づけて日本経済特殊性が更に加つたこういうふうに言つておられるのだと思つてつたが、その点に対するお考えは一体どうでしよう
  36. 本間俊一

    本間政府委員 私ども考えております特殊性と、今御説明になりました特殊性とは、大分違つておるように思います。先ほど来申し上げましたように、何と申しますか、御指摘のありましたように、世界は二つに割れておるかもしれません。そこでどちらが繁栄いたしますか、これは見方によつてその人によつて違うと思います。どうもその点になりますと、根本的な考えが違つておりますから、日本経済繁栄させるという考えで、かりに方法を案出いたしましても、根本的な考え方が違つておりますから、当然手段も方法も違つて来ると思うのであります。従いまして、私が先ほど来御説明申し上げておりますように、私どもの方は、日本政府国際連合協力をして行く、こういう太い線を出しておるわけでありますから、その線に沿うというか、その範囲内で日本貿易をできるだけ増進をし、また日本の弱い経済の、基本的な問題を改善して行くということになるであろうと思いますが、これは根本的な考え方が違いますので、従つて手段も違つて来る、こういうようなことになろうかと思います。
  37. 横田甚太郎

    横田委員 大体日本経済に良心を持ち、日本の政治に対してもつと責任を持つならあまり議論はいらない。議論を必要とするというのは、アメリカ人日本判断し、アメリカ的に日本を運用するところに理論づける、文句を言う、その泣言がすなわち理論だと思います。だから簡單に申しますと、あなたが文句なしに、中共貿易のためにわれわれが努力する。この貿易は促進しなくちやならぬ。こういうことを言うたら、私たち何もここで文句を言う必要はない。それを簡單に白状しない。このごろ努力している、十のうちに一つくらいやつているからがまんしろ。これだつたら善意に解釈できますが、それをしないのだから、こういうようにへりくつを述べて、そしてあなたに突つかかつて行かなければならぬのです。大体日本中共貿易をやつて損するのですか、得するのですか。これはやつて行けないのですか。国連協力というような、日本繁栄のために一つの国策を打出したというのであれば、中共貿易をやつて損するというはつきりした見通しが立つのですか、立たないのですか。これをまず聞きまして、さきの問題をもう一ぺんむし返して聞きます。
  38. 本間俊一

    本間政府委員 私が先ほども申し上げましたように、アメリカに対する見方と申しますか、考え方と申しますか、これが根本的に違つておりますので、従つてそこから出て参りますいろいろな、方法とかあるいは手段とか、議論とかいうものも、わかれて来ると思うのであります。先ほども申し上げましたように、商売をいたしますときには、これは相手が多い方がいいにきまつておりますし、その範囲も広い方がいいにきまつております。ただ国連協力ということが、今日の日本の対外政策として非常に太い線になつておりますから、この範囲内で、かみ合わないところで考えなくちやいかぬということが、私ども見解であります。従いまして、中共貿易が盛んになりますことは、これは取引の上から、貿易の面から考えますれば、もちろんいいことに違いないのでございますが、国家全体の利害判断いたしまして、繰返してお答えして恐縮でございますが、国際連合協力するというこの太い線を出しているわけでありますから、この範囲内で私ども政策が出て来る、こういうことになるわけであります。
  39. 横田甚太郎

    横田委員 アメリカに対する見解が根本的に違う、こういう点はあとで伺います。その前に、たしか今の答弁の中に、取引の面からだけならばけつこうだ、こういう言葉があつた。それでは承りたいのですが、取引の面からだつたらけつこうだというよう意味合いにおいての貿易の拡大というものが、あるのですかないのですか。あるとすれば、具体的にはどんなことですか。
  40. 本間俊一

    本間政府委員 これは絶えず研究をいたしておらなければならぬ問題だと思いますので、私どもといたしましてはたえずただいま申し上げたような線で研究をいたしておるわけであります。ただ何べんも申し上げて恐縮でありますが、国連協力するという範囲内ということになるわけでありますから、おのずからそこに御承知ような現状になつておるかと思います。その点は先ほど来申し上げておりますように、私ども考え方が、国際連合協力することが日本の今日の利益である、こういう判断に基いておるわけでありますから、そこのところがどうも横田さんと私ども考えが根本的に食い違つておるように思うわけであります。
  41. 横田甚太郎

    横田委員 その点をはつきりしなくてはならぬのです。外交というものは国力によつて左右されるのですね。国力次第によつて強い外交、弱ければ弱い外交となりますね。その国力というものは、輸出貿易日本通商産業というものが一つの尺度になりますね。私はそこから割出しまして、日本の外交関係が打立てられなくてはならぬと思うのです。ところが国連協力というものは、アメリカのトルーマンが考え出した寝言でありまして、英国さえも困つております。日本吉田さんのごときは、国連協力ということを考える前に、人民広場でもう一回自動車が焼けないよう條件をつくるのに一生懸命になればいいのです。日本においては治安問題がだんだん大きくなつて来た。吉田さんの施政方針演説を聞いてごらんなさい。あれは普通の人間ならば気違いと思いますよ。共産勢力はだんだん小さくなつて来ているというのです。そうして警察予備隊をつくつて、最近に至りましては、刑事特別法から破防法をこしらえているのです。だから言うこととやつていることが違うのです。朝日ニユースを見てごらんなさい。日本には軍備はありますか、軍備はありません——その次に、土をかぶつてようも人殺しのけいこをやつて、三百円の日給にありついたというニユースが出て来るのですよ。だからここに大きな一つの日本の破綻、日本通商貿易面において改めねばならぬところの欠陷があるのじやないですか。だから私があなたに伺いたいのは、国連協力というものを先に考えられたならば、日本を富ますところの中共との貿易、たとえば百ドルの大豆を買うて、百三十ドルの名前だけが一等国で内容の惡い大豆を買わなくてもいい。この日本を富ます方の貿易に手が出せないのですか。この点において通商産業省は——まあ、あなたは自由党でしようが、ただ高橋さんという人は、ビールで功なり各遂げて、もう世を退いてもいい人なんですが、大阪においても、高橋さんが大臣になつたときには、大阪経済界の当然の要求として、中共貿易のためにしつかりやつてもらわなければならぬ。あの人は上海でビールを売つてもうけた覚えもあるのだから、中共は魅力だろう、こういうことを言つておるのですね。だからそういう点を打出すようにやられたらどうです。巷間、新聞等の伝えるところによりますと、自由党内閣を改造する場合に、六人も七人も閣僚をかえようとすれば、吉田内閣はつぶれかけた政権ではないか、あんなところに入つてあとの政治的生命を台なしにしてしまつては損だというので、なり手が少くなつて来た。ワン・マンの威力も悲しむべきものだというところまで言われておるのでしよう。だからそういうところから行きまして、日本経済の要請に応じて外交政策を打立ててこそ、初めて国連協力を実質的にやれるのです。その国連とは、戰争しないために世界が相談し合うところの国連であつて、それへの協力、こうなつて来るのではないでしようか。
  42. 本間俊一

    本間政府委員 私が繰返して申し上げておりますように、横田さんの考え方は、国連協力することがいけないという考えであります。私ども考えは、国連協力することが今の日本にとりまして一番いい政策である、こういうふうに考えるのです。そこでもう根本的に違つておりますので、従いまして方法論と申しますか、そういつたようなものも自然違つて来るわけでありまして、国際連合に対する私ども考え方横田さんの考え方とは、そこのところが根本的に違つておりますので、これはいろいろ御議論がありましても、どうもそこが一致しないわけでありますから、どうしても広がつて来るという形になろうかと思います。
  43. 横田甚太郎

    横田委員 目的は中共貿易なんです。だから私はその点で追究すればいいのです。しかしそれを追究するためには、国連協力という化けものがじやまをしますから、通商産業委員会において国連協力というような外交論議をやらなければならぬ。これをあなたが持ち込んで来るから、私はこれをぶち破らなければならぬ。それだから私はしつこく言うのですが、私は何も国連協力してはならぬということを言つた覚えはない。第一、今のアメリカのいう国連国連ではない。アメリカ協力機関であつて簡單に申しますと、朝鮮におけるアメリカの侵略の野望を他国に手伝つてもらうことを強制するところの機関なのです。国連憲章のどこに世界で戰争をやつてやろうか、家を焼いてやろうかということがありますか。そのために、平和憲法を唱え、平和日本になるべき日本であるにかかわらず、そこで兵器をこしらえて、巡査に人殺しのけいこをさせるばかな行き方がどこにあるのですか。だから国連国連と二言目におつしやいますが、あなた国連憲章を読んでいるのですか。読んでみたら、国連というのは、戰争をしかけないようにするために、世界人が相談する機関だということがわかるでしよう。ところがアメリカはこれをソビエト締出しのために使つております。特にそのやつた結果として、アメリカの言うことのボロが出ているじやないですか。アメリカがいう西欧民主主義、基本的人権の保障は、アメリカのすきな朝鮮の南においてどう実現されているのですか。ジユネーヴの捕虜規定によつて捕虜を扱つているはずのところにおきましては、捕虜は満足せずに反乱を起しているじやないか。北鮮におりますところの、虐殺されたはずになつているデイーン少将は、家族に対して満足の意を表した手紙をよこしているじやないですか。治まらなければならないところの南鮮におきましては、李承晩派と反李承晩派が騒動を起して、国会議員を逮捕して、日本自由党日本で見習いたいお手本を先に示しているじやないですか。民主主義の特徴は、かつての専制主義、独裁主義に対しまして、政治の根本は血で血を洗うべきじやない。罪大族に及ぶ源平の争いを続けるべきじやない、話合いの政治をすべきであるというので、英国の皇帝が考えて、朕の反対党を国会に招いて国会の意見を聞こう、それが最も反対派を治めるのにいい政治であるという。ところが治まるはずの政治が治まらないで、反乱の政治になつているじやないですか。だからアメリカは心配で南鮮から引揚げることができない。ソビエトはいまだに一兵も北鮮に対して兵隊を出しておらぬじやないですか。こういうことは、今度予算委員会が開かれたら、外務大臣の岡崎さんに申し上げたい。あなたにこの際国連論争でついておきたいのは、国連々々と二言目におつしやいますが、アメリカのいう国連国連じやないのです。あれはアメリカが懇意的な考えから割出しましたところのアメリカ利益擁護機関なんです。そういうところへ協力するという政策吉田さんが立てた。そのために日本のやらねばならない中共貿易の道が阻害されている。これなんです。このときせめて古島一雄さんでも生きておりましたならば、私がこんなことを言わなくても、やはりたまには怒られることがあるのです。古島さんが死んでしまつて、ほんとうのワン・マンになつてしまつたが、自由党においても、あなたたちように年の若い方は、吉田さんとよわいが違うのですから、少し未来のことを考えて、この中共貿易のために御貢献なさる意思があ’るかないかということです。今栄えておつてもだめなんです。戰争中栄えましたやつはどうですか。絞首台上で首をくくられた例があるのです。人間永久の繁栄の中に終り得たことはない。ところが今度は電源開発などに名をかりて、選挙資金を幾ら集めて勝とうかということで苦心さんたんしている。自由党繁栄を維持するために、日本貿易のためにやらねばならない中共市場を捨ててしまうことは非常に損じやなかろうか。特に私があなたに強調しておきたいことは、中国という国は今発展途上にある国です。市場はますます拡大されている。中国の工業化は進んでいるのです。今中国と一日の取引を怠りますと非常に大きな損をいたしまして、取返しがつかないよう日本経済の弱味が、ここに出ました日本経済特殊性というやつが、五つくらい並べなければならない特殊性なつて来るのじやなかろうかと思うのです。だからその点におきまして、中共貿易に対して努力する意思があるかないか。あるのであるならばどういう形でやられるか。もしやられないのであるならば、中共貿易というものがどういうわけでいけないのか。もし国連協力という一つの大きな柵があつて、その柵の中において中共貿易をやれるとするならば、一体ここに書いてございますような禁止項目、これでは何にも売れないですね。持つて行くものはみないけないんですね。何か新聞が皮肉つてつたでしよう日本におきましては、木村法務総裁に言わしますと——あれは法律の解釈家なんですが、バズーカ砲も、高射砲も武器にならない。中国へ売つた場合においては、自転車、寒天さえもこれが武器になる。こんなものには得心するものがないのです。だからこういうような妙な考えのもとにおいて、中共貿易というものをいわゆる国連協力範囲内においてやるなれば、一体何と何とがどういうふうに取引されるかということを具体的に伺いたいのです。
  44. 本間俊一

    本間政府委員 国際連合に対する横田委員の御見解が披瀝されたのでありますが、これは私としては国際連合に対する考え方は違うのでありまして、お話にもありました通り、朝鮮の何と申しますか、今度の問題につきましても、どうも横田さんは南の方が惡いのだというふうに一方的にきめておられるようでありますが、その点でも私ども見解を異にしております。従つて国連協力をするということでも、先ほども何度も申し上げるように、方法が違つて来るわけでありまして、私ども国際連合協力をするという範囲内でできるだけ貿易規模を拡大して行きたい、こういう考えで常に研究をいたしておるわけでありまして、その線でこれは当然仕事の上におきましても考えて行かなければならぬわけでありまして、しよつちゆう研究もし、いろいろな話合いもいたさなければならぬことと考えております。従つて今私どもが言うておりまする国連に対する協力——横田さんの見解は、これは自由でありますけれども、その辺のところが根本的に違つておるものでありますから、どうしても方法論の問題でも違つて来る、こういうことに結局なるであろうと思います。
  45. 横田甚太郎

    横田委員 妙なところへ話が来ておりますが、大体アメリカ人なんかと日本人は見解が違う方がいいのですよ。それでこそ日本人の普通の人間であつて、気違いでない証拠が現われる。たとえば富士山でも使うというようアメリカ人じやないですか。あんないらぬことを言わなかつたならば、山梨県の県会でも、静岡県の県会でもどうして騒ぎますか。日本人はうわさによつて恐れているのじやない。きよう新聞にも出ていますように、富士山の山麓には、純朴な農村であつたところが、アメリカの西部劇を写すにはとてもよいセツトになつているんです。それからどうなんですか。終戰処理費一つ見たところがどうです。占領をきらいました経済面というものは、占領されていた時代に終戰処理費を使われる。アメリカが援助費をくれているのはわずかであり、われわれは終戰処理費で非常に高くしぼられておる。だからこれをやめてもらいたいというのがわれわれの願いであつたのです。それにことしは終戰処理費がいらなくなつたかわりに、それと同じ作業をするところの日本人の一団をこしらえるために安全保障諸費とか、あるいはまた防衛分担金、あるいは警察予備隊費、海上保安庁費に千八百億からの金を組んでおるじやないか。そういうように九百二十億が高いから何とかならぬかという財政的な希望は、アメリカ人の手品にかかると千八百億になつてよけいとられるじやないか。アメリカ人考えでは、日本人には数的な観念がなくて、千八百億と、九百二十億との違いの勘定もできないというほど侮辱した扱いである。だから私たちアメリカ人なんかと見解を異にするのが一番いいと思う。アメリカの建国の歴史をよく考えてみなさい。アメリカはやつたらいかぬということばかりやつて栄えた国じやないですか。「風とともに去りぬ」に出て来るレツド・バトラーは何をしておるか。南北戦争が起りましたときに密貿易をやつている。アメリカの軍艦の形あるいは通商貿易に使いました船の形はどういうふうにかわつたか。底の深いものから浅いものへかわつておる。アメリカ人などは、そういうところの法律なんか一つも守らぬ人間です。その先租の英国は海賊の国じやないですか。だからそういう意味合いにおきまして、アメリカ人というものは非常に妙なものを押しつける人間であります。しかしそれに対しては敢然として闘えば、相手はわれわれに対しましては、勇敢だといつて割合尊重するのです。自由党ようにへいへいと聞いおつたら、パンパンになつて行くじやないか。だから外貨収入の五分の一はパンパン代金です。だからこういう意味合いにおいて私は自由党見解を異にする役人のふえることを望むのです。きよう来ておられる役人も通産省の優秀なる官僚なんですから、そういう人たちは、いかにして議会において中共に対する貿易を阻害するために、禁圧するために、国連協力のための聞違つた答弁を用意するかというようなことのために、学校でせつかく鍛え上げたところの思考の自由を使わないようにしていただきたい。それよりか農林省の役人がやつたように、おのれの首が切られるときには、議員に対して働きかけてまで、行政整理に対しては非常に大きな圧力をかけているのですから、むしろ日本の公務員であり、日本の未来を背負うところの通産省の役人であるならば、選挙にあせつて議会なんかに出て来ない代議士なんかに対しましては、中共貿易に一生懸命になれ、それが選挙に対する勝利だ、それが国を富ますのだ、選挙なんかいらないようなりつぱな富んだ国ができるのだ、私はこういうような料見になると思います。だから私はしつこくあなたに言うのですが、あなたも国連協力というものに魅せられた人でありまして、どうしてもこの一線だけは守らなきや損だという気持は一つもなくならないらしいが、もし国連協力というものによつて日本貿易が今後かわるのであるなれば、独立後において占領時代と違う点があるなれば、どういう点がかわるかということを承りたいのです。
  46. 本間俊一

    本間政府委員 富士山麓の問題を引例をせられたようでありますが、これも横田さんとは考えが違うのでありまして、日本政府が必要がありまして、御承知ようアメリカ軍の駐留ということになつておるわけであります。従つてその駐留をいたしましたアメリカ軍がおるからには、演習場がいるわけでありまして、その演習場をどれにしようかという場合に、ここを使いたいという場合に、そこにおりまする農民はいやここでなくしてほしいというような、何と申しますか、話合いのありますることは、これはやむを得ないことでありまして、それをつかまえて一方的にアメリカ人はこうだというお話でありましたが、これはどうも承服いたしかねるわけであります。  それから国連協力という線でありますが、これは私は今日の日本におきましては大事な対外政策の太い線だと確信をいたしておりますので、先ほど来申し上げた通りの考えを持つております。
  47. 横田甚太郎

    横田委員 日本政府が必要があつて米軍が駐留することになつた、こう言われますが、本会議のきのうの柄澤君の質問によりましても、そうじやないのだ。アメリカの兵隊さんが帰つてしまうと、自由党の議員の首があぶないのだ。だからおつてくれ、そういうはつきりした見解日本の各所に出ておるのです。特にあなたはこういうような弱みを出しておる。富士山に対する考えは、日本人としての考えじやなしに、アメリカ人についているから、日本人がわつと騒いだので、アメリカ人は富士山に手を出すと、日本人と非常に切つても切れない関係があるというので一ぺんに手をひつ込めておる。あなたはそうじやないのでありまして、むしろ富士山のことに対しては日本から頼んだような妙な印象を与えておる。富士山だけではない。そこのビルデイングだつて、大蔵省が困つておるから早く返せぐらいのことは言わなければいかぬ。アメリカ人などはおらなくなつても、日本の国が守れるように治安を立てる中心になるのは農林省であり、通産省である。木村さんや大橋さんのおるところの彈圧機構じやないのです。こんなのはなくなつてもいいのです。だからそういう意味合いにおきまして、あなたにいくら言うておつてもしようがない。国連協力というものは高橋さんを少しいじめて、吉田さんを少し怒らして追究しなければ何にもならないから、あまりしつこくは言わないのです。あなたも国連協力というようなことはちやらんぽらんと答えておくものですよ。あまり吉田さんよりかたいことを答えて来ると、腹が立つて来ますから……。  それじや元の問題に移るのですけれどもマーフイーが言いました言葉の中に、各国にバトル法の適用についてでごぼこがある、こう書いている。このでこぼこがある。これをお認めになりますか、なりませんかということが一つ。もしお認めになりましたならば、このでこぼこのうち日本においては困る方に出ておるのか、いい方に出ておるのか、その点を一つ伺いたい。その点はどうでしよう
  48. 本間俊一

    本間政府委員 でこぼこがあるように私どもも思つておりますが、マーフィー大使の言われたことがどういうことになりますか、それはひとつ外務大臣の方からでもお聞き取りを願いたいのですが、バトル法関係は、各国によりましてでこぼこがあるよう承知いたしております。
  49. 横田甚太郎

    横田委員 そのでこぼこがあるという点はお認めになつたのですね。そのでこぼこは日本にとつて都合のいい、へこんだ方なんですが、出た方なんですか、どつちなんです。
  50. 本間俊一

    本間政府委員 先ほど来申し上げておりますように、根本的な考え方が違うわけでありますから、従つてその方法、でこぼこが一体どつちが有利かというよう判断も、そのでこぼこのところだけでは判断ができないわけでありますから、先ほど来申し上げておるように、私どもはただいまとつておりまする国連協力という範囲内でできるだけ少くするような研究と申しますか、これはたえずやつて行かなければならない、こういうふうに考えます。
  51. 横田甚太郎

    横田委員 国連協力というような隠れみのは使わない方がいいですよ。それを抜きにして言いなさい。困つた方のでこぼこが困らない方のでこぼこということを答えればいいのですよ。もう一つ言いますが、世界経済会議がモスクワで開かれたのは御存じですね。日本から高良さんが行つておりますね。衆議院の宮腰さんも行つておりますね。帆足さんが行つておりますね。そこで中国代表が報告を送つておりますね。その報告の中に、中国は重大な破壊を受くと、こう言つておる。八億人民封鎖を恐れずというような大見出しがある。中国ソ連で失業は根本的に解決され、互大な支払い能力を有し、実力的な価値をもつて英仏を招いている。そういうよう貿易は増大されておる、こういうことを言われておるのです。だから世界経済会議は單なる、おしやべり機関だということをあなたのところの外務大臣である岡崎さんは申されましたけれども、この十日間の会議のうちにおいて最も効果的な、英国と二千万ポンド取引が成功しておりますね。こういうような点から見ますと、おしやべり機関ではなかつたですね。こういうような点におきまして私はあなたに伺いたいのは、中国に対しましては国連協力ゆえに日本物資が出せないのです。中国は何に使うのやわかりませんですね。そうであるにかかわらず出せない。そうしたときに中国の代表が申しましたところの、中国は重大なる破壊を受けた。この破壊は一体それはどこの国の軍隊がやつたのですか、これを聞いておきたい。
  52. 本間俊一

    本間政府委員 モスクワで開かれました経済会議の収穫と申しますか、内容と申しますか、これがどういうふうなものでありますか、それは私存じないわけでありますが、それから中国の今の経済事情がどうなつておりますか、それも実際のところはなかなかわかりにくい状態になつておると思つております。従いましてそのモスクワ経済会議の結果がどういうようなことに今後相なりますか、その辺の見通しも私どもといたしましては的確な見通しは持つておらないわけであります。
  53. 横田甚太郎

    横田委員 そんなことはどうでもいいのですよ。とにかく私の聞きましたのは、中国は重大なる破壊を受けた、こう言つておる。つまりこの破壊はあつたのですかなかつたのですか。これも見ていないからわからないと言われるのですか。もし破壊を受けたというなら、日本のあなたは一介のインテリであり、自由党から選ばれて通産省の次官になつたくらいだから、世界の常識としての一つのわきまえがあるでしよう。この破壊は一体だれがやつたのです。それを聞いているのです。
  54. 本間俊一

    本間政府委員 中共の破壊は、中国の破壊でございますが、それはその場合にどういう意味合いのことを言つておりますか、日本と戰争した当時のことを言つておりますか、あるいはまたその後に国府の軍隊と中共軍ですか、それとのいろいろな争いのために破壊されたのを指さしておりますか、そのいずれでありますか私存じないわけでありますが、もし日本との戰争で破壊をせられた場合を指さしておるとするならば、それは横田さんの御存じの通りだと私は考えます。従つてもう一つお答えしたいのでありますが、やはり日本との中共貿易が非常に希望が開けて参りますためには、やはりこの朝鮮の問題がうまく解決をせられまして、そうして平和な関係が漸次築き上げられて行くと、非常によくなるのじやないかというふうな感じを私は持つております、あわせて御答弁しておきます。
  55. 横田甚太郎

    横田委員 これは逆説的な御答弁をしましたが、中国の場合は国府軍とけんかした、黄河が氾濫しておる。あるいは中国の共産党がまだ政権を握らぬでおつた。そういうことのすべてをさして、さてそのうちにおいて最も大きな被害は何でありましたかということを私は聞いているのです。こんなことは常識で答えるものでありまして、そんな大それた横着な答弁をするものではないのです。中国が荒れたというのであれば、進駐したやつが荒したということが問題になつているのです。何のために台湾みたいな、日本の領土であつたところにおる中国の落ちぶれの蒋介石と、あの妙な講和條約を結んでいるのですか。あれは一体どこから来たのですか。だから答弁もいいかげんにしませんと、あなたの賢さにボロが出ますよ。  それからこの朝鮮の問題が解決したらと言われますが、この朝鮮の問題に対して日本政府が何にも責任を持つ必要はないじやないですか。朝鮮は朝鮮でアメリカにかつてに苦しませておけばいい。あそこでアメリカの兵隊さんが死んだからといつて日本で葬式しなければならない必要はないのです。日本のあなたたちは商売の点では賢い。殺し合いするために買うてくれるものを特需と名づける。それがいろいろな妙な形で注文されるものを新特需だという。この貿易外収入が非常に多いというので非常に喜んだのです。ですからあなたの言うことは終始一貫せぬ。何を言つているかわからぬじやないか。だから朝鮮問題はほつておきなさい。それよりか中共貿易のために日本としてひとつ努力するという善意な答弁をする。もしそれができないとするならば、中共貿易をやつたら今にも東京の宮城でも買い取られてしまうのだ。自由党吉田さんが伊豆の大島か小笠原にでも流されてしまうから困るんだというような実証をあげて、説得される方がよくはないですか。そうでないと、中国に対する貿易問題の希望というものは、あらゆるところに満ちておりますよ。特に最近の新聞のいろいろな数字を拾つてみましたところが、失業者がふえている。これは自由党が実にお困りなんです。自由党政府になりましたところが思わしく仕事がない。こういう人たちは共産党の私たちが工場へ参りまして、吉田内閣が仕事がないようにしておるのだ。中国は仕事せいと言つておる。材料が足りなかつたら売ると言つておる。できたものは余つたら買おうと言つておるのだと言つたら、それではデモでもやるかといつて、五月の三十日にまた用意していますよ。だから言うのです。こういうことは日本の国内におきまして日本人に仕事を保障するということを建前にしておるならば、中共貿易をやつて国を富ますべきである。ソビエト中国人たちは、その国の政治の形がどうであろうと、その政治の形を問わない。そのままの形において各国民の生活を引上げるために考慮しよう、こう言つておるのですね。だからこういうふうなところの資料は十二分に通産省に入つていると思うのです。だから私はあなたに承りたいのですが、もう一回それをだめを押しておきますが、中共貿易というものはやる意思がほんとうにあるのですか、ないのですか。新聞の伝えるところによりますと、通産省におきましても、もう少しこれはわくを広げなくちやならない。これが独立のしるしなんです。こういうふうな動きがある。こういうふうに私は聞いているのです。これはどうなんですか。もしもこれをあなたに聞いて、あなたが答弁していけない立場であるならば、むしろきようはものを言つてもらわずに、むしろだまつてつて通産大臣が来たときに承つた方がずつといいですから、その点は好意あるところの答弁をしていただきたい。
  56. 本間俊一

    本間政府委員 ただいま横田委員が御指摘になりましたように、独立のしる上が云々というようなことでございましたが、私どもはさよう考えではないのでありまして、もつとも、貿易を担当いたしまする通産省がいろいろな場合を考慮いたしまして、その方策を研究し、話し合うということは、これは当然の任務でありますから、そういうことは絶えずやつているわけでありますが、これは先ほど来私が申し上げましたように、根本的に考え方が違つておりますので、その方法従つてつて参りますのはやむを得ないかと思いますが、どうも横田さんにほめられるような御答弁ができないのでありますが、その点はひとつ御了承賜わりたいと思うわけであります。
  57. 横田甚太郎

    横田委員 それでは次官は、あんたの非常にお好きなアメリカが、まぐろに関税、それからミシン、陶磁器に関税、こういうふうにかける、そうして日本輸出品に対して妙なことを言つて来る、こういうようなことに対しては、一体どんなようなお考えをお持ちですか。
  58. 本間俊一

    本間政府委員 ただいま御指摘になりました点は、はなはだ遺憾な点でございまして、私どももそういうアメリカの国内の動きに対しましては、できるだけそうでないようにしたいということで、努力を続けて来ておるわけであります。
  59. 横田甚太郎

    横田委員 それはそうでしよう。トルーマンでもアチソンでも、ああいうことは困るといつてアメリカ人日本を心配してくれているのですから、それはあんたはそういう答弁をしなければいけないのですが、そうでないようにしたいという内容は、どういうことなのですか。言葉だけですか。何か手を打つておられるのですか。新木さんに何か一つの動きでもあつたのですか。
  60. 本間俊一

    本間政府委員 これは会議の形なり、あるいはそのためにアメリカへ人も行つておるというようなことで、あらゆる機会をとらえまして、ぜひひとつ反省をしてほしい、そういうことのないように努力してほしいという努力をいたしております。
  61. 横田甚太郎

    横田委員 今まで日本アメリカに願つたことで、占領中から、また終つて今日まで、聞かれたことがないように思うのですが、その努力はどうですか。実を結ぶように思われますか。そうでなしに、努力がかえつて日本人を怒らすような結果になると思われますか、その見通しはどうですか。
  62. 本間俊一

    本間政府委員 まぐろのカン詰の問題は、アメリカ政府の方でもいろいろ努力をしてくれているようですが、まだどういう結果になりますか、はつきりした見通しは立たないわけでありますが、私どもといたしましては、かりに私どもの希望がいれられないといたしましても、それであきらめるわけではないのでございまして、どうしても相当腰をすえまして、そしてやはり相当のひまをかけましても、改善をするような努力をしなければならぬ、こういうふうに思つております。
  63. 横田甚太郎

    横田委員 もう一回だめを押しておきますが、どんなに努力をしても、結果は、アメリカ人が、選挙が近いし、選挙を気づかうところの議員がこしらえた法案がそのまま通つてしまつて日本のあなたたちの努力が報いられなかつたような場合におきましては、これは一体どうされますか。
  64. 本間俊一

    本間政府委員 これは私思うのでありますが、そういうような事態になりましても、何もそれで永久にそうだというわけでもないわけでありますから、やはりその点を改正をするように、あらゆる機会をつかまえまして努力を継続して行くということが当然とるべき態度だと思つております。
  65. 横田甚太郎

    横田委員 それでは元の問題にもどります。これは大体さきにも言いましたバトル法のでこぼこの問題なんですが、このでこぼこをおもな国で調整しようとする動きがあるとマーフイー言つておるのですが、この各国の動きについて、通産省は外務省あたりから何か聞いておられますか。そのことが一つと、それから同時にまた日本通産省としても、このでこぼこについて、何とか調整しようとするような動きを示したその反映がマーフイーのこんな言葉なつように解釈しておられますか。
  66. 本間俊一

    本間政府委員 外務省の方からは何も聞いておりません。それから私どもの方ですぐ改正をしたいというようなことで、何と申しますか、交渉いたした事実もございません。今御指摘の、アメリカ大使お話が、私どもの行動によつてどういうようなことはないと思います。
  67. 横田甚太郎

    横田委員 それじやあなたはきよう答弁で、マーフイーがどんなことを言つたか私の方は知らない、こういうことを言われたり、マーフイーの言う言葉は、何も日本に強要しないように解釈した言葉を出されましたが、マーフイー言つておりますね、日本の場合、現在の禁輸品目を緩和するには、日本政府関係諸国との事前の協議が必要だと考える、こう言つておる。この事前の協議が必要だとは、一体どことするのですか。
  68. 本間俊一

    本間政府委員 私がさきに申し上げましたのは、アメリカ大使がどういうことを言われたか、その内容と申しますか、真偽のほどは私の関係するところではないという意味合いのことを申し上げたのでありまして、今読み上げましたような問題がどういう形でどういう国と相談をするものでありますか、新聞記事がどの程度までほんとうのことでありまして、どういうことになつておりますか、その辺の経過をただいま承知いたしておりませんので、お尋ねの点につきましてははつきりお答えができないような状態でございます。
  69. 横田甚太郎

    横田委員 そういたしますと、この禁輸品目の緩和については、マーフイー言葉を抜きにいたしまして、日本政府だけでかつてにやれるものですか。どこかの国と——どこかの国とは一体どんな国、その国と事前に協議しなければならないものだと解釈しておられるのですか、その点くどいようですが、もう一ぺん聞きます。
  70. 本間俊一

    本間政府委員 御指摘ような問題を日本政府がきめまする場合には、先ほど来申し上げましたように、国連協力をするという線で行つておるわけでありますから、日本政府の方でもちろんいろいろな方面と話合いをしなければならぬ問題だと常識的に私ども考えております。
  71. 横田甚太郎

    横田委員 その国連協力というものとバトル法というものは関係ないでしよう国連協力というアメリカの対外援助の関係バトル法との関係ができるのでしよう。それからまた国連協力というようなものはバトル法よりかもつと広いところのここに出ております輸出貿易管理令とか、あるいはそれ以外に隠されているところのアメリカの関渉品目を羅列した條例の中に含まれておるのではないですか。だから国連協力国連協力と言われますけれども国連協力のための事前の協力ではないのでありましてそれ以外のことをさしておるのではないでしようか、その点はどうですか。
  72. 本間俊一

    本間政府委員 これはいろいろな関係があろうかと思いますが、一番太い線は国連協力をするという日本政府の基本的な線から出ているものと私は思つております。
  73. 横田甚太郎

    横田委員 それでは次の問題なんですが、これは日本の、同時にアメリカ人日本人に強要する場合に使う言葉で、また中共貿易はこれに対して反駁する言葉なつておるのですが、中国ソビエト貿易したところが大したことはない、日本はすぐ戰前の記録を例にとる、それはだめなんだ。特に岡崎さんのこの前の予算委員会における答弁のごときは、中国は管理貿易をやつておる、だから今までのようにはうまくもうからない、こう言うのです。われわれの考えによりますと、管理貿易であるならばこそ損得を今までのように心配せずに、安心な貿易ができて、かえつて両国の国交をあたためるための貿易になるのではないかと考える。だから非常に違うのです。それを言葉で現わしますと、問題にならないほどの少額が中国ソビエトとの貿易であつた日本共産圏との通商が、現在の貿易上の行詰まりを解決できる唯一の処置だと考えるのは非常に危険だとマーフイーは言うのです。しかしそれに対しまして、中共貿易屋はそうではないのでありまして、今の中国発展はすばらしい、購買力は非常に増大しておる、支払い能力は確かである、求めるところの品質も非常にかわつておる。布一つにしても、以前の要求しておる率より需要がふえているのだから、人間の数に以前の需要量をかけただけではないのでありまして、今日向上したものをかけた場合においては、倍も三倍にもなつているだろう。しかも紡績機械のごときは、バトル法においても出せるものである。それを今中国が要求しておるときに入れておいたならば、これに付属する機械は、永久に日本から入れた機械とともに日本から中国が求めるであろう。こういうことを言つておるのです。だからこういう点において見解の相違を明らかにしようとは思いません。要は中共貿易についても通産省においては利害得失を打算いたしました、何か中国内の事情についての正しい事情をつかんだような本が出ているとか、調査報告書が出ているとか、またそれによつて研究されているとか、そういうふうなことを試みようとするとか、そういうような動きはあるのでしようか、ないのでしようか。
  74. 本間俊一

    本間政府委員 岡崎外務大臣がどういうふうに答弁せられましたかそれは私存じ上げないのでありますが、これは見方によりまして、人によりまして違うかと思います。中共治下の中国の実情は、ただいまのところは数字などもなかなか調べにくいわけでございまして、通産省の方で、中共治下の経済事情あるいは貿易関係で調査いたしましたしつかりした資料はございません。
  75. 横田甚太郎

    横田委員 それでは何ですか、資料がないといわれるのは、必要とされないのですか。もし必要とされるように思われるのだつたら、何らか手を打つよう考えはないか。手を打つ考えがあるのだつたら、どういうように着手して行かれるつもりですか。
  76. 本間俊一

    本間政府委員 いい資料がありましたら、ひとつどうか提供していただければいいと思うのでありますが、御承知よう関係なつておりますので、なかなか今の中国の実相はつかみにくい状況になつております。従つて役所の方でもそのまとまつた資料はないという意味のことを率直に申し上げたわけであります。
  77. 横田甚太郎

    横田委員 どうです。いい資料がございましたらなどと、がらにもなく皮肉なことを言われましたのですが、いい資料があるのです。生きた資料といたしましては、高良さんを活用されたらどうですか。宮腰さんにひとつ手を打たれたらどうですか。帆足さんは、あれは日本人じやないのですか。そこであなたにお伺いしたいのですが、岡崎さんみたいな外交官の古手で、小刀細工しかできないような人が、警察にたのんで、日本の港で幕末の幕府の役人のようなまねをして、日本から、招かれて中国に行く労働者取締らないようにするのです。そこにおのずから日本の国内に、中国の実情を知つた人たち、そういう人たちができるんじやないですか。だからその点について、通産省の次官は、次官でいけなかつたら高橋さんによく説得なさいまして、御老体とともどもに、こういう資料があるのだから、これを生かすのが最も手近なんだ。今までのようにスエーデンにソビエトのことを頼んでみたが、断わられてしまつた。外交の大恥をかいた、こういうような古い手はやめた方がいい。このようにずつと生きたいい資料があるのじやないですか。その点に対する見解と、こういうものの活用について一体どう思つておられますか。
  78. 本間俊一

    本間政府委員 海外に出られる人をどういうふうに取締りをいたしておりますか、これは私どもの管轄外でありますから、私答弁はいたしませんが、私どもといたしまして、資料はできるだけ各国のものを、ある方がいいわけでありますので、絶えず調査はいたしておるわけでありますが、ただいまの御指摘ような人をどういうふうに使いますか、あるいはお聞きしますか、というふうな問題は、ただいまのところは具体的にどうするというよう考えも、相談もいたしておりません。
  79. 中村純一

    中村委員長 本日はこの程度にいたし、次会は明日午後一時より開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時三十六分散会