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1952-05-14 第13回国会 衆議院 通商産業委員会 第35号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年五月十四日(水曜日)     午前十時三十三分開議  出席委員    委員長代理 理事 多武良哲三君    理事 高木吉之助君 理事 山手 滿男君    理事 今澄  勇君       阿左美廣治君    江田斗米吉君       神田  博君    小金 義照君       福田  一君    淵上房太郎君       加藤 鐐造君    田代 文久君       青野 武一君  出席国務大臣         通商産業大臣  高橋龍太郎君  出席政府委員         大蔵事務官         (主計局長)  河野 一之君         通商産業事務官         (資源庁炭政局         長)      中島 征帆君  委員外出席者         農林事務官         (農地局管理部         長)      谷垣 專一君         専  門  員 谷崎  明君         専  門  員 越田 清七君     ————————————— 五月十三日  中小企業庁廃止反対請願村瀬宣親紹介)  (第二六二九号)  同(越智茂紹介)(第二六七二号)  同(關谷勝利君外一名紹介)(第二六九二号)  同(中川俊思君紹介)(第二七一六号)  中小企業等協同組合法等の一部改正に関する請  願(村瀬宣親紹介)(第二六三〇号)  同(越智茂紹介)(第二六七三号)  同(關谷勝利君外一名紹介)(第三六九一号)  同(中川俊思君紹介)(第二七一五号)  中小企業資金融通法制定促進に関する請願(村  瀬宣親紹介)(第二六三一号)  同(越智茂紹介)(第二六七一号)  同(關谷勝利君外一名紹介)(第二六九〇号)  同(中川俊思君紹介)(第二七一七号)  山田川電源開発に関する請願内藤隆紹介)  (第二六四八号)  坂下村地内万波川にダム築設反対請願内藤  隆君紹介)(第二六五一号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  小委員補欠選任  臨時石炭鉱害復旧法案内閣提出第一五九号)     —————————————
  2. 多武良哲三

    ○多武良委員長代理 これより会議を開きます。  委員長が所用のため、理事の私が委員長の職務を行います。  本日の日程に入ります前に、お諮りいたします。地下資源開発及び合理化に関する小委員であります山手滿男君より小委員辞任の申出がありますので、これを許可いたし、その補欠として中村寅太君を小委員補欠選任いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 多武良哲三

    ○多武良委員長代理 御異議なければ、さよう決定いたします。  臨時石炭鉱害復旧法案を議題といたし、質疑を続行いたします。質疑の通告がありますから、順次これを許します。今澄勇君。
  4. 今澄勇

    今澄委員 私は簡単に二、三の要点を御質問申し上げて、至急この法案を小委員会に移し、修正箇所を明確にして成案を得たい、かように思います。そこで第七十三条にある農地及び農業用施設効用回復認定するという際に、農林大臣のみにこれが認定権を与えるということについては非常に問題があると思いますが、評議員会になぜこれをゆだねないか。そこで私はこの評議員会意見を尊重して、少くとも評議員会がこれらのものに対して何らかの関係を持ち、決定権の中に入るというようなことにする意思はないか。こういう点についての見通し並びに農林大臣だけをこれにした点を御答弁願いたいと思います。
  5. 谷垣專一

    谷垣説明員 農地に関しまする復旧あるいはその効用回復というような問題につきましては、農林省の方で責任を持つておりますので、そういう意味合いにおきまして、それの進行検査あるいは効用回復認定をいたすわけであります。但し効用回復認定その他につきまして、これはそれぞれの専門家の諸君の意見を聞く必要があると思います。
  6. 今澄勇

    今澄委員 私はここで評議員会意見を尊重するとか、評議員会その他に諮問をしてとかいうような文句をこれに入れるということが妥当ではないか。もしそれでなければ、県知事の意見を聞く程度のことは入れなければならない、かように思うが、そういう点はどうです。
  7. 中島征帆

    中島政府委員 この認定に関しまして評議員会意見を聞くということは、少し筋がはずれると私は思うのであります。評議員会は、御承知のように、加害者側被害者側と第三者と、構成上一体となつて一応中庸の意見が出るという仕組みになつておりますので、そういう対立した場合において、どの程度認定するかという技術的な判断をするということは、むしろ適当でないのであつて、その関係において最も専門的知識があり、しかも第三者的な立場であります主務省がやる。その際に、県なり、あるいはその他関係者意見を徴してきめるということが、一番適当であろうかと思います。
  8. 今澄勇

    今澄委員 そこで今度、問題は第五十一条にさかのぼりまして、納付金金額について、先般の公聴会でもいろいろ出ておつたが、「二千を下らず五千をこえない」というこの規定が何に基いてできたかということと、それからこの規定によると、福岡県の例をとれば、具体的には福岡県ではどういうふうなことになつておるかということ御参考までに教えていただきたいと思います。
  9. 中島征帆

    中島政府委員 ここに二千ないし五千と非常に幅のある書き方をいたしておりますが、これは本来なれば、法律金額基準はつきり書けばいいわけでありますけれども、将来のことを考えました場合に、物価の変動等もございますし、また地方的にいろいろな事情の差もございますので、そこにある幅を持たせずに基準をきめますと、どうしてもその基準に縛られてしまいますから、そういうゆとりを持たせる意味において上と下とを切つた。それでは二千、五千という数字がどこから出て来たかということでありますが、大体実際の賠償の行われております慣行上の金額と、それに考えられ得る地方的な差異、あるいは時間的な幅というものを考えまして、しかもこの基礎になつております基準賃貸価格というものが、地域的にいろいろ差がございますけれども、まん中の数字をとれば、大体二十円ということになるのであります。それを基準にして五千倍ということになりますと十万円、二千倍であれば四万円である。反当のたんぼの価格が四万円ないし十万円、こういうことになるとは、ここでは考えていないのでありますけれども、一応不毛田に対する賠償金額の限度としては、四万円以下であつては少な過ぎるし、また十万円以上であつては多過るだろうというふうな、きわめて幅広い認定でありますけれども、そういうふうな事情でもつてこの数字を書いた次第であります。
  10. 今澄勇

    今澄委員 それでは最後に、第四章、家屋等復旧工事について通産局長認可ないしは裁定により、新たに鉱業権者効用回復せねばならなくなるということになつておりますが、そもそも公害の賠償は、鉱業法ですでに金銭賠償主義とはいいながら設けられております。そこで家屋等復旧は、農地などと異なり、金をもらえばすぐ修理するというふうに、金銭をもらつても、家はそのままにしてこわれつぱなしということはまず大体あり得ない。そこで農地等鉱害と異なつて賠償を受ければ大体復旧にその金を使用するのであるが、第四章に規定されておる協議及び裁定に関してその大部分裁定まで持つて行くケースが多いと考えられる。そこで私のお伺いするのは、家屋等効用が著しく阻害されているという認定通産局長だけがやるのであるかどうか。すなわちこの認定基準はきわめてあいまいであるが、関係者にとつては関心の多いことで、この認定基準について通産局長認定ないし裁定しても賠償義務者がこれに服しないという場合には、これに対してどういう制裁を設けるかということについて詳細な御説明を聞いておきたいと思います。
  11. 中島征帆

    中島政府委員 通産局長協議する前に認定をするという理由の第一点は、協議をいたしましても協議がととのわぬ場合は裁定まで持ち込まれる、それをあらかじめ知るということが一つ理由でありますが、もう一つは、はたしてその鉱害が、被害者協議しようという相手方である炭鉱鉱害であるかどうかということをはつきりしませんと、そこで話をしても全然乘つて来ませんので、そういう意味においてむしろ話を進めやすくするために認定するわけであります。それだけでもいいわけでありますが、ただあまりに不必要なケースがふえるということは、この規定があるためにまたいろいろ紛争の種をまくということになつてもぐあいが悪いので、あまりはなはだしくないのは一般慣行あるいは鉱業法原則従つて処理させる。ただ復旧工事にからめて復旧をしなければならぬというものだけ取上げて、被害が非常に軽微であつて、とにかく鉱害であることは間違いないが、まだ復旧するほどの大きな家屋被害ではないという場合には、協議あるいは裁定というコースに乘せることがはたして適当であるかどうかという問題もありますので、そういう問題を多少ここでチエツクする意味において認定することにしたのであります。しかし現実に被害を受けていて、しかもそれが実際の家屋の使用に支障を来すという場合にはもちろん取上げるのでありまして、その程度いかんということが問題になりますので、その基準考えなければならぬと思つておりますが、まだ具体的にはできておりません。ただあまりにこれを厳格にやり過ぎますと被害者の方が耐えられませんし、また非常に軽微なものまで取上げますと、通産局長としても申請件数が非常にふえまして処理に困るという点もありますので、その辺のにらみ合せをして適当なところで第七十九条の認定をする、こういうことになるかと思つております。  それから協議し、あるいは認定したあとでそれが実際に実行できない場合の問題でありますが、本法におきましては裁定効果というものは、私法的な効果、つまり契約当事者間の合意がそこで成立したと同じような効果を持たせております。従つて当事者通産局長裁定と同じ内容の契約をしたという効果を持つにすぎないのでありまして、そのあとはつきりした債権債務関係になります。その履行を強制するのは司法上の強制手続による以外にないということになるわけであります。さらに裁定に対して不満な者は司法裁判所に出訴するという一般原則にもどるというわけでありまして、これに関して行政上の強制あるいは執行命令というものはこの法律においては考えられていないのであります。
  12. 今澄勇

    今澄委員 あと同僚議員質問がずつとありますし、逐条審議は昨日の淵上君の質問によつて大体尽されているので私はこの程度にしておきますが、大体全般を通じて見るときに、この段階になつて来ると炭政局長もどの点とどの点に、この委員会質問をした結果、修正意思があるということはすでにおわかりであろうと思います。私はこれらのわれわれが要望した七、八点にわたる修正箇所について、この法律作成責任者である炭政局長は、それはどういうところはどういうふうに影響し、どういうところにはどういうふうに影響して、政府としてはこうあるべきであるという大体のお見通しなりお考えがあると思いますが、できればこの際それを一ぺん聞いておいてわれわれが修正に臨む態度参考にしたい、かように思つております。
  13. 中島征帆

    中島政府委員 先日来のいろいろな御質問でこの法律に対しまする委員各位の御不満な点もいろいろ御指摘になつております。それに対する修正意見等もあや程度どもの方でも想像できないことはないのでありますが、ただ私どもの方は被害者側ないしは加害者側事情を十分考えまして、しかも今日の条件のもとにおいて政府のできる範囲ということでまとめ上げた法律案でありますので、これを動かすということになりますと各方面にいろいろまた影響も及ぼしますし、この点がこういうふうになれば修正できるという箇所は、実のところ私としてはこの法律の中にないと思つておるのであります。
  14. 今澄勇

    今澄委員 そこで私は詳細は小委員会でひとつ談合したいと思いますが、この法律を流れる全般的な立場をながめてみると、これで指摘したいことは、被害者側はこの法律で救われ、さらにこの法律が改善されて原状回復になつてみたところで、所詮せんずればこれは元へもどつたということだけで、被害者側はそれによつて一つも特別の恩恵を受けたことにはならぬ。鉱業権設定その他認可に至るまで国がこれを与えて、国と鉱業権者が負うべき負担がどうなるかということが問題になるだけであつて被害者はこの法律制定並びにこの法律がさらに修正せられて原状へもどつてみたところで元のもくあみであるという点に、私どもはこの鉱害関係ほんとうの姿を  一つ認めなければならぬ。だから私は世の中の常識から判断して来ると、こういう法律が今日まで出なかつたということがむしろふしぎであつて、これは一応法理論的なりくつをつけてここでいろいろ質疑応答すれば、何かしら国にも鉱業権者にも非常なりくつがあるように見えるが、率直にこの事態を認めれば、国と鉱業権者は少くとも一言の弁明をする余地がない立場に立つておるものであると私は思います。よつてわれわれはこれらの事実のもたらす常識的な結論に基いて、この法律によつてひとつぜひこれをほんとうの妥当な姿に返したい、こういう見解を持つておるものであるということを申し述べておきます。  今大臣がお見えになりましたので、先ほど大臣に対する意見を一応述べておいたのですが、一点だけこの際伺つておきたいと思います。  ここに出ておりますこの臨時石炭鉱害復旧法案は、いよいよ委員会においてはきようを大体最後に小委員会審議に入るのでありますが、私から申し上げるまでもなく、この法律全体を流れているものは、やはり民生の安定でなければならぬと思います。しかるに最も重大な被害を受けた墓地家屋はこの法律によつて見ると確然たる救済の対策がない。その他すでに御承知のように七、八箇所の点にわたつてども修正意見を申し述べておるのであります。そこで戦時特別鉱害から一般鉱害に至るまでのこれらの事情をずつとながめてみると、私どもは常識的に考えるならば、この法律ができるとできないとにかかわらず、被害者というものはその受けた被害を当然元の姿にもどしてもらわなければならぬ。それが大体あたりまえなんだ。しかるに鉱業権設定を許した国や、石炭を掘つてもうけた炭鉱側が、どちらが負担するかはともかくとして、国も負担し、鉱業権者負担すべきものだと私は思う。少くともこの法律がないよりは、ある方がましだ。しかしながらこの法律のできたものの中を流れているところを見ると、この法律は当然元の姿にもどしてやるべき被害に対して、今日までこの法律が遅れたというそのことが大体問題であるが、この法律の中に出ているところの法理論的には幾多のりくつがつくかもしれないが、国や鉱業権者というものが少くとも被害者を元の姿にもどしてやるという考え方の上に立たなければ、鉱害というものの根本的な解決はあり得ないと思うわけであります。そこで鉱業法のいわゆる金銭賠償原則を、将来原状回復にかえられるような意思大臣にあるかないか。さらに今後引続いて起るべき鉱害についての恒久的な対策について、大臣はどうしようとお思いになつているか。石炭産業国家産業内における重要なる地位にかんがみて、今後の石炭鉱業とこれらの鉱害対策というものについて、大臣考えておられる根本的なお考えがあれば、ひとつこの際伺つておきたいと思う次第であります。
  15. 高橋龍太郎

    高橋国務大臣 今の御意見は私も非常に同情するのです。しかし法理論にとらわれることは云々という御発言でしたが、またわれわれの立場か言うと、法理論の方を全然忘れるわけにも行かず、この法案が、提出するのに非常に遅れたのですが、しかし当局としてはこれをまとめ上げるのに十分苦心をし、そのために長くかかつたわけなのです。現在のところでは、このくらいのことでやむを得ないものであると考えているのですが、先刻御発言家屋被害云々ということは、賠償することになつておりませんので、非常に気の毒に思います。なおこの点はさらに研究することにいたします。
  16. 今澄勇

    今澄委員 総括的な大臣立場として、今の答弁で残つている問題としては、少くとも鉱業法はこの金銭賠償一般的な賠償形式を認めているけれども、この鉱害復旧に関しては、将来鉱業法原状回復立場に持つて行かなければならぬのではないかというような問題が、鉱害の恒久的な対策に対する大きな一つの流れである。こういうふうな立場に立つて、この際たまつた、十年間くらいの計画で一般的な二百三十億の鉱害を直すが、しかし今後も鉱害というものは引続いて起るであろう。そういう特に地上が密集している都会地の底を掘る鉱害というものは今後続くのであるが、それらの問題に対して、通産大臣は一体どのような対策を持つておられるか。私どもは本法律案をできるだけ修正して、将来鉱業法改正前提条件にしてこの法律を通したいものであると考えておりますが、大臣のこれに対する将来の行政考え方と、鉱業法を連ねて大臣がお思いになつておる点を、ひとつ簡単に承つて質問を終ります。
  17. 高橋龍太郎

    高橋国務大臣 ただいまの点でありますが、この問題は外国の例なども調査いたしますし、そのために当局を派遣したこともあるのですが、まだ結論を得ておりません。多少の修正改正をすることは必要だろうかと思いますが、私まだ結論を得ておりません。今研究中であります。
  18. 多武良哲三

  19. 田代文久

    田代委員 大臣にお伺いしたいのです。ただいま今澄君が大臣に、この法案の中心的な問題につきまして私が聞きたいことに触れたので省きたいと思うのですが、私が今まで審議の過程で政府当局意見を聞いておりますと、この法案は明らかに非常に不十分な鉱業法基礎としてできているし、また特別鉱害臨時復旧措置法にいたしましてもそうでありますが、その前提のもとに立つておるので、実際の被害者という立場から見ますと、これはまつたく満足のできない、非常に不十分きわまる法律案だと思うのです。     〔多武良委員長代理退席高木委員長代理着席〕 実際被害者の方から言わせますと、こういう法案承知できない、絶対反対だという態度をとつておると思うのですけれども、しかし当面こういう法案でも通らないことには、今倒れかかつている家の問題、あるいは破壊され尽している農地の問題なんか、皆に腹はかえられぬという立場から、こういう法案でも満足しようかという気持だろうと思うのです。その点をよく考えていただく必要があるし、従つて根本的には鉱業法賠償規定というものが非常にまま子扱いされているし、ほとんど問題にならないような形でちよつぴりついているという点をこの際はつきり通産大臣は理解されて、当然鉱業法改正、特に賠償規定改正農地なんかに対する虐待の事実をやめる、また家屋とか墓地とかいうような民生安定に関する問題につきましては、実際に不安がないような状態に置くという点を堅持してもらわなければならないと思うのです。もしこれがなされないならば、実際この法案にも出ておりますように、この法案が通りましても被害は年々歳々増加するし、また未復旧鉱害そのものが百億以上も残るという事態になつております。そうしますと、今後永続的に興る日本の産業といたしましては大問題である。従つてこの問題を解決しない限りは、福岡県とか筑豊とか、全体的に遠賀川の流域というものは大陥落するであろうし、またそのために特に農村が徹底的に破壊を受けるということは、火を見るよりも明らかです。今大臣自身は考慮中である、研究中であると言われましたけれども、断じて鉱業法を、特にこの賠償規定の項目におきましては、原状回復、あるいは原形回復という線まで少くとも出されることを確約していただきたいと私は思うのです。  それから特にこの法案についてでありますが、これは大体同僚議員質問その他においてはつきりわかつているのですが、問題点負担金地方公共団体に負わせるというような問題、あるいは打切り補償の問題が出ているというような点、それから家屋とか墓地とかいう点に対しましてこれが非常に残酷に取扱われているという点、それから残つている鉱害をどうするかという問題についても何らの措置が講ぜられておらない、こういうふうにも要約されるし、その点私たちはどうしてもこれを修正しなければならないと思うのです。当面の地方公共団体に対する負担の問題なのですが、これは地元の陳情によりましても、また実際にわれわれが現地に行つて調査した結果によりましても、またこれは政府当局が見られるところによりましてもはつきりわかることなのですが、地方公共団体自身というものは、石炭産業の掘採によりまして大被害を受けております。その被害者がこの復旧に対して負担金を負うというようなことは、これは私はどうしても実際上におきまして、また法理論的な問題からいいましても、りくつに合わぬと思う。ところがこの間の説明によりますと、農地の面だけで申しますと、大体四十七億見当復旧をやる。それに対して鉱業権者が十八億見当負担して、残りの三十億見当を国並びに地方公共団体負担する。ところがその国と地方公共団体が幾ら負担するかについてはまだきまつておらない。これは政令できめるということになつておるそうでありますけれども、こういう法案を提出する場合におきましては、実際において国が幾ら負担し、あるいは地方公共団体に幾ら出してもらうというはつきりした原案が私はあるだろうと思う。またなければ、こういう法案は出せないだろうと思う。それからまた実際においてそこまで行つていなければ、この直接の責任者であります通産大臣——大蔵当局は、地方公共団体に対して負担をさせるということにつきましては、いろいろああだこうだということを言つておるそうでありますけれども通産当局通産大臣は大体地方公共団体実情を知つておられると思う。ですからそれに対してこういう苛酷な負担をかけさすべきではないという態度折衝されたと思うのですが、大体どういう腹で大蔵当局折衝されておるか、また実際において、幾ら地方公共団体負担してもらうという腹を持つておられるか。その折衝の経過並びに折衝する腹、それから実際どれくらいの額を、またどれくらいの率を予定されて おるかという点の御答弁を願いたいと思うのです。
  20. 高橋龍太郎

    高橋国務大臣 今の御質問最後の、地方公共団体と国がどういう割合負担すべきか。これはまだ折衝中で結論を得ておりませんが、通産省としては、極力国の負担を多くするように努めておるし、またその方針で折衝を続けて行くつもりであります。
  21. 田代文久

    田代委員 非常に抽象的ですが、大体具体的にどれくらいの割でやつて行こう、たとえば特別鉱害の場合におきましては、国が八、地方公共団体が一なら一ということでやつておると思うのです。そういうことの基準もありますし、また今申し上げました地方公共団体の財政的な実情というような点から申しまして、私もちろん一銭といえども地方公共団体負担さすべきでないというふうに考えるわけですが、通産大臣の腹としましては、何とか具体的にある程度つておると思う。またこういう率でやりつつあるということがあるだろうと思う。それを聞かしていただきたい。
  22. 中島征帆

    中島政府委員 地方と国との負担割合は、全体の復旧費に対しまして、特別鉱害では一割が地方負担であり、八割が国の負担であります。今度は、われわれの原案はちよつと申し上げにくいのでありますけれども大蔵省地財委との両方意見で、とにかく鉱業権者の出しました納付金で不足する部分は、両方で埋めるということにつきましては、大体金額的にも意見は一致しております。その割合につきまして、大蔵省の側といたしましては、少くとも特別鉱害の率より多く持つてもらわぬと筋が立たぬということを言つておりますし、地方財政委員会の方では、特別鉱害以上は持てない。その点で問題があるのであります。それをどの程度で折合いをつけるかということを、できるだけ早く私どもの方で中心になりまして話をつけたいと思います。
  23. 田代文久

    田代委員 五十一条なんですが、「農作物の収穫高が鉱害が生ずる前の収穫高の十分の三を下るに至つた農地については、」ということになつておりますが、これは十分の二あるいは十分の一というものに対しては全然関知しない、こういうことになりますか、この解釈はどうですか。
  24. 中島征帆

    中島政府委員 これは十分の一でも二でも、この中に入るわけであります。十分の三以下のものにつきましてはこうだ、それ以上のものはこうだという段階をつける趣旨で、こういう数字が出ております。従つて十分の三以下十分の一でも二でも同じように減収前としての計算がされるわけです。
  25. 田代文久

    田代委員 それから基準賃貸価格のこの基準はどのくらいになつていますか。
  26. 谷垣專一

    谷垣説明員 賃貸価格を入れましたのは、まだ鉱害がひどくなつていない以前の状況をできるだけとるのが妥当である、こういう考え方から賃貸価格をとつております。これはもちろん所によつて違うわけでありますけれども大体福岡の地帯で十七円何がしという平均になつております。
  27. 田代文久

    田代委員 五十二条についてですが、大体地方公共団体なんかが受益者だというような考え方はどこから来ておるのですか。私たちはこれは受益者じやないと思う。
  28. 中島征帆

    中島政府委員 これは道路を直しました場合に、道路の管理者である、たとえば町村の道路であれば町村が受益者になるわけでありますが、どういう場合に受益者になるかと申しますと、鉱害で壊れた以上に工事をやりまして、鉱害をこうむる以前より非常によくなつた場合には、その部分だけについては受益者という観念が出て来るわけであります。
  29. 田代文久

    田代委員 これは私ははなはだ間違つておると思うのです。というのは、この法律原則から申しましても、大体これは最大にいつて原形復旧です。従つてそれより以上にするということはほとんど考えられない。むしろ実際におきましては被害ばかりである。従つてこれはどんなによくしましても元元通りなんです。それによつて家屋の破壊された住民の方とか、あるいはまた地方公共団体が益を受けるというようなこと自身が非常に過大に表現されておるし、こういう表現自体に、私はこの法律そのものが被害者保護の立法でなくて、むしろ鉱業権者なり、あるいは特殊の人たちに対する一方的な有益な法律になつておると考えるのですが、この点どうですか。
  30. 中島征帆

    中島政府委員 ただいまの点は、少し具体的に申し上げてみるとわかると思います。たとえば道路につきましては、従来普通の道路でありましたものをこの際補修をするのと同時に、これを舗装道路にするという場合には、これは前よりよくなるわけであります。それから橋にいたしましても、従来木橋でありましたものが鉱害でいたんでおる。それを木橋で直せば原状回復でありますけれども、コンクリートなり石橋にするということになれば、その部分だけはどうしても益が出たということを言わざるを得ないかと思います。
  31. 田代文久

    田代委員 その点ならわかるのです。しかし元の形よりはよりいいものを新しく加えたということになると、実際に復旧される方がそれに便乘しまして自分の家をよくする、あるいは道路をよくするという形ならば、当然これは自分が負担していいと思うのですが、それ以外のものに対してこれを受益者として取扱い、それに納付金を納めさせるとか、あるいは何らかの負担をさせるということになりますと、どうしても反対せざるを得ないのであります。  それから六十六条なのですが、賠償義務者の所在が不明の場合、そこに非常に鉱害が出ておるときはどういうふうに処置されるか、その処置方法を聞かしていただきたいと思います。
  32. 中島征帆

    中島政府委員 そういう場合には義務者がありませんので、負担金が徴収できません。この場合の措置といたしまして、結局地元の市町村がこの負担金をかわつて出すという場合においては、復旧基本計画の中に入れるという仕組みになつております。従つてその際そういう地元の承諾があれば復旧基本計画をかえて、鉱業権者負担にかえて関係市町村から納めてもらつて復旧する、こういうことになります。
  33. 田代文久

    田代委員 いかにこの法律が不合理であるかという点が、今の御説明によつてはつきりしていると思うのです。実際鉱業権者石炭を掘つて逃げてしまう、あるいは破産してどこにいるかわからないこともある、あるいは鉱区が接近してどつちが負担すればよいかわからないという、いろいろな問題があるわけです。石炭を掘つた人はもうけてどこかに行つておる。被害だけが残つておる。その被害に対して国も補償しない。またこれをどうしてもよくするとなれば、何らの利益を受けない、むしろ被害を受けておる地元の市町村がこれを負担しなければならない。もし地元の市町村さえ財政上負担できないということになると、結局これは泣き寝入りになると思う。こういう苛酷な、ばかげたことはないと私は思う。これに対しては当然国家補償なり、何らかの線がはつきり出なければならないと思うのですが、そういうふうな被害者に対しまして、国家の責任において、社会の責任においてこれをよくするように修正される意思があるかどうか、あらためてお聞きしたいと思うのです。
  34. 中島征帆

    中島政府委員 ただいまの点はたいへんごもつともな御意見でありまして、できればこういう場合には直接ないし間接の被害者でない者が全部負担して復旧することが望ましいわけでありますけれども、しかし現状としてはそこまで行き得ない。ただここにありますのも、ただいま申しましたように地方負担ということが前提になります。が、地元で負担するということになりましたならば、これに対しては当然国からの補助は他の復旧工事と同じような率でつくわけです。たとえば実例で申しますと、ある土地の復旧に一千万円かかる、その場合にもし鉱業権者がおつて、五百万円の納付金を出すということであれば、残りの五百万円につきまして、地方公共団体が出すわけでありますが、たまたま鉱業権者が不明であつて、だれも負担する者がない。そういう場合には一千万円まるまる鉱業権者以外で背負わなければならない。その場合、かりに国と地方との比率が二と八という比例できまつたといたしますならば、地方が二百万円、国が八百万円持つわけであります。初めの場合のように鉱業権者がおれば五百万円を二と八でわける。全然おらなければ今のようにやる。従つて地方として残り全部を負担するということでなく、政令できめた割合によつて国との共同負担ということになりますから、全額国が背負うということにはなりませんが、全体的に国と地方との共同負担という趣旨はここでも貫かれておるわけであります。
  35. 田代文久

    田代委員 これははなはだ不満でありまして、その説明でも納得できません。結局これは根本的な修正ということで闘いたいと思います。  それから七十四条あるいは七十五条に出ております打切り補償の問題、あるいはまた鉱害が消滅するという認定の問題であります。これは実際に石炭政策をとつておられます政府当局としましては、鉱害というものはどういうふうに発生し、またどれくらいこれは継続し、また将来どうなるかということは、実態についてよく御存じのことだと思う。従つて三年経過したものについてはどうとか、あるいはまた消滅したとみなすというような規定をして、もう完了してすぽつと終るというような法案の取扱い方なんですが、鉱害自体はそういう形で消滅するものではない。十年も十五年も、ひどいものになりますと二十年後になつても出ることがありますし、それから石炭産業が表土に近い部分から掘つてつて、だんだん深部採炭に行きますと、それがすぐ現われなくても、十五年、二十年、二十五年という遠い先になつて出て来ます。そして全体が沈下し、そのために全体が被害を受けるという形になつておりまして、五年で切るとか八年で切るということは非常に困難である。石炭産業自身はずつと継続しております。今後何十年も続きましよう。そういう場合にこういう打切りというようなことは間違つておるというふうに思うのですが、その点どうです。
  36. 中島征帆

    中島政府委員 ここでは三年で打切るというふうなことになつておりますが、この打切りは鉱害賠償を打切るという今のお話の趣旨とちよつと違うのでありまして、鉱害地を復旧いたしまして、その結果はたして従来通りの収穫を上げ得るかどうかを認定するまでに三年間をおくというわけでありまして、本来ならば予定の工事をやる。予定の土を持つて来て計画通りに地盛りをして復旧すれば、大体原状通りの収穫を上げ得るというのが原則でありますけれども、しかし場合によつていろいろの関係からそこまで行かぬことがありますので、工事が終りました直後におきまして農林大臣が検査をいたしまして、はたしてどの程度回復したかということを認定をし、さらにその後三年間の余裕をもつて認定をするということになるわけであります。一旦復旧工事が終りましたならば、その間に二回か三回実際の収穫を上げてみますと、はたしてこの土地の収益力はどうであるかということは、少くとも復旧をした後の土地に対しましては、将来に対しましても一応の判断がつくわけだろうと思います。そこで一応判断をしまして、この程度回復した。まるまる回復しておればそれで打切るし、まだ残つておればその残つておるものを資本還元で補償をしてそこで打切る、こういうことになるわけです。従つてその復旧工事を必要とされました採掘以外の新しい採掘によつて、また沈下する場合には、これはもちろん新しい鉱害として当然新しい問題となつて出て来るわけであります。それからその当時までにまだ沈下しておらないもの——採掘は前にされておつたけれどもその後においてだんだん沈下して来るというものも新しい鉱害になるわけであります。ただそういうことを避けるために一定期間内には再び沈下しない、すでに安定しておるという土地をまず取上げておりますから、その認定の誤りがあればまた別問題でありますけれども、一応復旧した土地は、そこに掘られておる採掘したあとを原因としましては、再陥落をしないということになるわけでありまして、従つて新しい鉱害が出て来ない限りにおきましては、復旧をすれば大体その復旧をされた限度においてはその土地は安定するというのが普通であります。進行中の鉱害をここで無理に打切るということではないのでありまして、いかに復旧工事をいたしましても残る部分につきましては、金銭に換算いたしましてそれで打切り補償をするというのでありますから、必ずしも被害者に対しまして打切りをすることが非常に不利益であるということにはならないと思います。
  37. 田代文久

    田代委員 ただいまの説明によりますと、判定の誤りがなければということでありまして、大体実際の実情から申しますと、私たちの見るところでは判定はほとんど九九%誤りであります。実際にこれはよくなりました、復旧しました、これ以上もう悪くならないと鉱業権者などは特にはつきり言うけれども、五年あるいは六年たつうちにどんどん陥落を始めておるのが実情であります。そういう場合に一応これは判定した上から見て、もう再陥落はしないというふうになつてつても、それから後にそれがずつと進んで、また農産物がよくとれなくなるとかあるいは施設が非常に被害を受けたという場合には、大体これはどう処置したらいいのか。
  38. 中島征帆

    中島政府委員 再陥落しないという判定が誤るかもしれないということをさつき申し上げましたが、そういうことはあり得ないとも限らないのであります。そういうような場合におきましては、その深さ等によつて多少違いますけれども、大体半年で大部分が落ち、残りの半年でほとんど全部が落ちている。普通の例におきましては、一年すれば陥落は終了するというのが常識であります。多少地質あるいはその深度等によつて一年が二年になるということもあり得ると思いますけれども、たとえばその下層の採掘ということを考えない場合におきましては、その採掘のあと、たとえば二年を置いた場合にそれが再陥落することは考えられないのであります。現実の実例において、鉱山の方で、もうここは陥落しないといつた所が落ちたという場合には、実際上の折衝の問題もありましようが、さらにその下を採掘して新しい鉱害として出て来るという場合もありましよう。そういう場合には第三者が入つて厳密に査定いたしますから、そういう誤差はほとんどなくなると思います。
  39. 田代文久

    田代委員 次に復旧不適地の処理の問題ですが、これは昨日も淵上委員から詳しく聞かれておりましたし、また事実この法案としましては、特に農民諸君にとりましては重大問題なんです。特にこの第二項の「前項の規定による支払があつたときは、当該復旧不適地に係る鉱害は、消滅したものとみなす。」という規定なんですが、実際に鉱害自身が消滅したという判定は、今申しました石炭産業の振興状態あるいは鉱害が持つている非常に間接的な性格というような面から申しましても、これはなかなか困難なんです。そういう場合に、農民の土地に被害を与えながら、非常にわずかな補償金をやつてそれを打切つてしまうということは、まつた被害者の生活権を根本的に奪うことになると思うのです。こういう規定は当然抹殺されるべきであるし、また鉱害自身の性格から申しまして、実際に鉱害が消滅したという認定はなかなかできるものではないというように考えますが、この点に対する考え方はどうですか。
  40. 中島征帆

    中島政府委員 復旧不適地の場合は、その土地が復旧に適するかどうかということの最終認定は農林省の方でいたしますが、農林省としては、おそらく農地はできるだけ多く造成したい、不適地をできるだけ少くするという方針で臨まれておるに違いないのであります。従つて不適地がきわめてよけいに出て来るということは、実際の運用上からいつても、われわれも考えておりませんし、また事実の見通しとしてもそういう心配はないと思つておりますが、かりにいろいろな関係から採算その他を考えまして、復旧しない方が経済的だという場合に、不適地という処理がされるわけであります。そういう場合におきましては、すでに現在においても、そういう土地が不毛田として年々の不毛分に対します補償を受けております。そういうものは、もし計画から除外されておれば、おそらく年々の補償金が永久に続けられることと思いますが、第三者の判断によりましても、これは将来とも復旧する見込みがないというふうに認定されました場合には、そういうふうな、年々賠償という、いわば不確定な制度を長く続けるということよりも、それを資本還元いたしまして、現在の価格でもつて賠償して打切るということが、法律関係を確定するという意味でむしろ適当ではないか。決してこの打切り補償金というものがお考えのように非常に安いものになるのではなくて、現実にどの程度年々被害を受けておるか、その減収分ないしはその農業利潤というものを還元いたしました金額を支払うわけでありますから、それをもらえば、結局毎年の補助金を永久に続けられた場合と同じ結果を被害者としては受けるはずであります。従つて一時に打切ろうとあるいは年々続けようと、この点に関しまして、特に被害者としてその間に大きな差があるとは考えられないわけであります。
  41. 田代文久

    田代委員 その考え方として、鉱害は消滅したものとみなすというような考え方に無理があると思う。そういう根本的な考え方をかえてもらわなければならぬという主張ですが、それはそれでおきます。  その次の家屋あるいは墓地等に対する復旧工事協議並びに裁定の問題は、根本的に協議裁定では不十分であるという点は、もうほとんど全党をあげてこれに反対しておることなのですが、それはまた修正なり小委員会で問題にすることといたします。かりにこの法案が、この点についてこのままこういう形で通過すると仮定しました場合に、協議をし、あるいは裁定する場合に、被害者は、申請書も出さなければならないし、また協議する場合に、わざわざその日の仕事を休んで一日それにかかる、あるいは二日かかる、三日かかるというふうになつて、自分のからだを遊ばせてその協議に参加しなければならないが、そういう費用は非常に莫大に上ると思う。特に農民諸君の方々とか、市民の方々とかは、からだにそういう余裕がありません。実際においては、石炭を掘つたために被害を受けながら、自分の家なり田なりをよくしてもらうために、わざわざ自分がその日を休んで、行つて協議をし、そうして元通りにしてくれという話をすることになるわけでありますが、そういう裁定協議に参加したりする場合に、そういうむだ骨を折つたり、裁定の申請をなす経費はだれが負担することになりますか。
  42. 中島征帆

    中島政府委員 これはやはりお気の毒ですが、被害者負担していただくよりほかにしかたがないと思つております。
  43. 田代文久

    田代委員 そういうことは非常に間違つていると思います。なぜ実際に被害を与えておきながら、そういう気の毒な人々に対してそういうことをさせるか。家などの問題につきまして、協議し、あるいは裁定を受けたところで、被害者には何らの得もない。うまく行つてとことんまで行つても元通りには行かないような状態であります。しかもその間において、どれくらいの労力と精神的な苦痛をなめるかわかりません。そういう場合に、これに対してそれの費用をお気の毒ながら被害者に持つてもらうというような考えで、この法律案はよいかどうか。当然私は鉱業権者なりあるいは国家が負担すべきだと思います。ですからお気の毒とお考えになりますならば、被害者の苦しい立場から、これは国が負担するとか、あるいは鉱業権者に持つてもらうという線を出してもらいたいのでありますが、そういうふうになさる腹があるかどうか、もう一ぺん私ははつきり確かめたいと思います。
  44. 中島征帆

    中島政府委員 お気の毒と申しましたのは、被害者立場に立つてみますれば、当然そういう不満があるということは十分にわかつておりますけれども、ほかの裁判の例をとりましても、それ以外のこういうようなケース考えましても、そういう場合に、両当事者がどちらかの責任によつて起された行為に対して、自分が負担する金額を相手に全部かぶせるということは、実際問題としては不可能であります。たとえば裁判所におきまして、その判決する場合にも、そこまでの費用を見た賠償金というものはおそらく考えられないのであります。そういう意味におきまして、そこまでは出し得ないということを申し上げたのであります。また事実慣行上も、こういう程度のものは、やはり主張をする人はある程度は自分で負担をしてもやむを得ないのではないかと思つております。
  45. 田代文久

    田代委員 はなはだ考え方が官僚的であるし、また実際にこの法案のねらつている民生の安定、石炭産業の発展という点から見て、こういう立場で臨まれますならば、被害者の農民の方にいたしましても、家屋被害者にいたしましても、一大国民運動が起る。こういう石炭産業は、数十年にわたつて継続される事業で、基幹産業中の基幹産業である。しかも百万も二百万も関係するそういう大衆の問題に対しまして、実際において何ら一文も自分が得をせずして、しかも被害をたくさん受けながら、それに対して自分で手持ちの弁当でこれを処理しなければならぬ、それが正しいのだ、またやむを得ないというような考え方自体が非常に間違つているという点を主張しますが、これは修正のときにはつきりし、またこの法案がいかにでたらめであるかということを申し上げておきます。  それから最後に、施行の日から十年以内で法律はなくなるということで、これもまた各委員から問題になつたことですが、結局こういうことでやはり問題が片づかない。十年後に起る、また毎年現在四億あるいは五億に達する被害が新しく出ておるというような問題に対しまして、鉱業法改正、あるいはこういう特別法をつくつて、永久に被害者に対して補償をし、また原状回復という線を、腹をきめてやつていただきたいということを要望します。  それから大蔵当局が来られたので、一言だけ大蔵当局にさつきの質問の残りを質問したいと思うのです。地方公共団体に対して負担をかけるという問題なんですが、大蔵省自身が、現在地方財政がどのくらい困つておるか。ほとんだ全国といつていいくらい地方公共団体は赤字であります。そういう実情を知り抜いておりながら、しかも何ら地方公共団体はこれによつて益を得ない、被害者立場にあるその地方公共団体に対して、できるだけ特別鉱害復旧臨時措置法より以上に高い率をかけ、たくさん出させるという考え方を持つておられるそうでありますが、大体それはどうしてそういうことになるか、これに対する御答弁を願いたいと思うのです。
  46. 河野一之

    ○河野(一)政府委員 今回の鉱害復旧につきましては、現在の鉱業法の建前をそのまま存続するという考え方でやつておるのでございまして、従つて鉱業権者が補償として出す金以上に復旧する分につきましては、これは一般の公共事業費と同じように、つまり災害復旧と同じようにわれわれは考えて行きたいのであります。従つて公共事業としての補助ということでありますが、それ以上に国庫において負担するということは建前上いかがなものであろうかというように思うわけであります。地方団体がそれに対して負担をする、しないという問題でありますが、これはある意味におきましては公共団体として受益するというような意味合いもありますので、必ずしも負担すること自体がいけないというものではないであろうと思うわけであります。
  47. 田代文久

    田代委員 私は、根本的に考え方が非常にしやくし定規であるし、つまり鉱業法を大体基準にしておるのだからという建前を堅持されておりますけれども鉱業法賠償規定が非常に不十分であり、あれでは民生安定あるいは社会問題として問題が片づかないという立場から、特別鉱害復旧臨時措置法ができたし、また曲りなりにもこういう法案が出ておると思う。従つてそういう法案が新しく出るという根拠については、そういう社会問題なり、あるいは民生の安定という問題からいつてどうしてもいけない。従つて財政的な処置としましても、十分それについては考慮しなければならないということがあればこそ、こうなつておると思う。しかし大蔵省自身としましては、私が先ほどから申し上げますように、いかに現在地方財政が破綻しておるか、赤字であるか。福岡県におきましてこういうものがかかつて来ますと、また受益者——福岡県なら福岡県というものは相当これによつて利益を得るというようなことを話されたようでありますけれども、利益を得ないのです。むしろはつきりマイナスである。そういうものに対して福岡県に何千万円とかあるいは何億円の金がかけられるということになつた場合に、実際に福岡県がそれを出す能力を持つておるかどうか。能力を持たない。また出せないということになると、当然そのとばつちりは被害者にかかつて来ます。従つてそういう実情なり現在の客観的な厳正たる事実を基礎にして考慮してもらわないといけない。単に鉱業法がこうなつておるから、鉱業法賠償規定のベースによつてこれはやるのですから、しかたございませんということでは、これは政治じやないと思う。従つて地方財政委員会なり通産省なりでやはりもう少し減さなければならぬという見解をとつておられる。同じ政府の中におきましてもそういう見解をとつておられる。ところが大蔵省がそういうしやくし定規の状態で処理されるということは非常に違つておると思う。どうしても私は最小限度通産省なり地財委なりが考えている線まで行かなければうそだと思うんですが、どうですか。
  48. 河野一之

    ○河野(一)政府委員 たびたび申し上げますように、現在の鉱業法の建前として、補償する。それで一応片づくのであるが、法律上は、それ以上に農地復旧するというものは、別途公共事業の考え方で進むべきじやないだろうかというのがわれわれの考え方であります。県において負担するのはどんなものだろうかという御議論もあるようでありますが、現在特別鉱害について地方公共団体が一割を負担しておりますし、また従来福岡県におきましてはこの鉱害問題は県政上の相当大きな問題でありまして、沿革的にもある程度の金を出し薫られるようにわれわれとしては承知いたしておるのであります。
  49. 田代文久

    田代委員 実に大蔵省当局はけしからぬと思う。当局私たちはこれは今後も折衝し、それから大蔵当局のそういう官僚的な、独善的な考え方に対しましては訂正されることを要求するつもりでありますが、他の委員もこの点に触れると思いますので、一応これで打切ります。
  50. 高木吉之助

    ○高木委員長代理 次は青野武一君。
  51. 青野武一

    ○青野委員 昼から農林委員会との合同審査もありますから、簡単にいたします。通産大臣の御出席を得ましたので、申し上げたいと思います。七日の公聴会では福岡県議会の鉱害対策委員会の代表、それから市町村議会の代表、福岡県だけで申し上げますと、六十五市町村長のいわゆる連盟の代表、それから被害者の代表、もちろん福岡県だけでも推定百三十万人と言われるその重要な公聴会に、責任者としての通産大臣がおいでになつておりませんので、こういう関係者の血の出るような要求あるいは公述というものをお聞きになつておらない。そういう点から大切なことを一点大臣にお尋ねしたいと思います。  今田代委員から大蔵当局に向つて質問いたしましたように、この被害を受けておる福岡県なり関係地方公共団体に、事業団の費用、いわゆる事務経費その他をある程度負担させるという行き方と、昭和二十五年の五月に、当時の政府、軍部によつて強行採炭をやられました。その被害最後に決定いたしましたのは七十九億円でございます。今その復旧工事を着々やつておりますが、そのときの決議に、特別鉱害だけの復旧をしても、役に立たないから、一般鉱害復旧を一日も早くやれ、それを与党自由党を代表して小金義照君が決議案の趣旨弁明をやり、田代君と私が野党を代表してそれに賛成演説をいたしましたが、そのときの満場一致の決議、しかも政府はその精神に沿うて善処いたしますと言つた。それが今度の復旧法案の中では全然盛り込まれておりません。そうすると衆議院の決議というものは事実上無視されております。しかも今田代君が質問いたしましたように大蔵当局意見は大体わかりました。通産大臣は財政的に非常に困つている地方公共団体復旧費の一部を負担させるということが、どういうところが根拠になつて出て来たのであるか。被害者に対して原形復旧、万やむを得ないときは金銭賠償の挙に出なければならぬ場合もありますけれども鉱業法の精神が金銭賠償であるからそれをこの法案の中に持つて来て、院議で決定した決議文をまるで無視して、その上に地方公共団体の今日の財政的窮状の上に立つて苦しんでいるのに、それに対して不当な経費を負担させる。こういう行き方は衆議院の決議を無視するとともに、地方公共団体の財政状態を全然考慮してないじやないか。この点について通産大臣はどういうお考えを持つておりますか、第一点としてこれをお尋ねしておきたいと思います。
  52. 高橋龍太郎

    高橋国務大臣 今の決議案のことは、実ははなはだ失礼ですけれども、就任以前であつたので私聞いていないのです。地方公共団体が財政的に非常に窮乏しているということは私どもよくわかつているのですが、窮乏しているから全然負担すべきでないという議論もありますが、これは特別鉱害の方でもああいうことになつているのですから、これは特別鉱害以上に国が見るということはいかがかと思うのです。その点は主計局長答弁に私は同感なんです。
  53. 青野武一

    ○青野委員 大体それでいい、悪いにかかわらず大臣としての意見がわかつたのでございます。これは専門家答弁でないとわからないかもしれませんか、特にもう一ぺん大臣にお尋ねしたいことは、こういう法案を出すということは、大体被害現地というものを詳細に御存じない証拠だと思うのです。そこで通産委員会からも近いうちに現地に何人かを代表として送ることに大体話合いを進めているのでございますが、私がお尋ねしたいと思いますことは、相当具体的になりますが、発掘している層、たとえば一層の場各は田地、田畑に対してどの程度の陥落があるか。二層、三層、四層、五層、はなはだしい炭鉱は十層程度つている場合がある。これは被害が非常に積み重なつて参ります。ところが二百三十億という一般鉱害金額は、これはたとえば一段、二段、三段と掘つて相当の被害が来ているのを、その次の第四層を掘つているからしばらく待つてくれといつて、三年も五年も十年も放置されたものが積み重なつて二百三十億という被害額になつている。そこでそういうふうに業者と被害者の間で話がまとまらないから、そういうように発掘事業が進行しているときに被害が累増して行つたのであります。そうしてみると一層の場合は大体どの程度被害でどの程度復旧費がいるかということは、それぞれ個々の炭鉱実情に即して十分の調査をしなければわからないのでありますが、これを見ると大体一律にそういうものが官僚的な頭できめられている。そういう点について通産省としては関係者を現地に派遣して、ただ鉱業権者とだけの協議じやなくして、被害者を中に入れてつぶさに実地を調査した結果こういう案が出て来たのであるか、そういう算定方針がとられたのであるか、この点をもう一ぺんお尋ねしてみたいと思います。
  54. 高橋龍太郎

    高橋国務大臣 特別鉱害もこの鉱害も非常にめんどうなもので、通産省としては係官に二箇年以上も調査をさせましてこの結論をようやく得たのであります。
  55. 青野武一

    ○青野委員 二箇年以上も関係者が現地に行つて御視察になつてこの程度復旧法案が出て来るということは、内容からして私どもは非常に残念に思う。こういうものが現地の公共団体の首脳部、理事者、被害者あるいは県当局に対して納得させ得なかつたというところは、二箇年間も現地を調査した効果一つも上つておりません。こんなことでは将来に問題が持ち越されます。しかも二百三十億という一般鉱害被害総額に対して予算は百億、あとに残されたものは大体十年先に見送つて行くうちにはまた相当の被害が累増して参ります。これは炭鉱被害に対する根本的な解決策ではありません。復旧法案の冒頭にはもつともらしく書いてあります。国土の保全であるとか、石炭産業の発展であるとか、あるいは被害者に対する完全救済といつたような含みを持つておりますが、この法案から見ると、地方公共団体が無理な負担をすることと、被害者が全然自分たちの希望を無視せられている。こういうものが通つては、一般鉱害問題というものは非常に複雑な問題が将来に取残されると思います。これは鉱業権者被害者地方公共団体との間に大きな問題を投げ込むにひとしい法律案であると私ども考える。従つて大臣にお尋ねしたいのは、今まで淵上委員やらあるいは改進党の高橋委員、また田代委員からも御質問がありましたのでこれは重複するきらいがございますが、一番問題になるのは第七十八条の復旧不適地です。この不適地という限界はどういう基礎に基いて御決定なさるのか。官僚的なものの考え方でいつたらこれもだめだ、あれもだめだといつて被害農民の諸君からずつと何十年間耕しておつた土地、畑を取上げてしまう結果になる。しかもそういう重大な問題を決定するにあたつては評議員が大体十名以上、そして地方公共団体の代表者、被害者の代表者、あるいは鉱業権者の中からということで、その三つの中から選ばれて来る人が条文を見ますと一名以上出席して、それで過半数できめる。十人なら十人いるものを、一名以上——かりに二名ずつで六名、それでさつさと問題を片づけてしまう。そうすると結局被害を受けた農民の諸君たちの意思は、こういう重要な会議を通して納得するところまで行きません。この点は電源開発促進法の人事権と行き方は同じであります。こういう点についてどういうお考えを持つておられますか。
  56. 高橋龍太郎

    高橋国務大臣 この問題で通産省が考えております点は今政府委員から説明をさせます。
  57. 中島征帆

    中島政府委員 不適地の判定の基準でありますが、これは具体的にどういう場合には不適地とするという基準は今のところまだ決定いたしておりません。ただ御心配のように、このケースを広く適用いたしまして、不適地をたくさんつくるということは、われわれの本旨でもありませんし、またそれを認定するのが農地の主務局である農林省であり、農地局でありますから、不当に不適地をたくさんつくるということは、決してないと私は思います。
  58. 青野武一

    ○青野委員 炭政局長にお尋ねしますが、不適地をたくさんつくる意思がないということは、お答えでよくわかりました。それであるならば、こういつたような協議機関を経ずに被害者の同意、関係公共団体の、いわゆる市町村、福岡県で申しますると、六十五の関係市町村、そういつたところで問題を解決するときには、そういう市町村の代表者、被害者の代表者によつて同意を得るという条文をひとつ入れてもらいたい。不適地をたくさんつくらないというあなたの御意見なら、これは入れられぬはずはございません。これは公述人全体が言つている。それは自由党の諸君とわれわれとの話を進めておりまするが、これが一番重要問題で、ここで関係者に納得をせしむるためには、そういう考えのないことを法文の中に明記する必要があると私は思います。この点についてどうお考えになりますか。
  59. 中島征帆

    中島政府委員 かりにすべてこういう決定をする場合には同意を得るということを法文に明記いたしますると、実際上これを実施するためには、周囲の土地は大体の基準に基いて納まるといたしましても、その土地が一応考えられております最高限の数倍あるいは十数倍という復旧費を要するという場合にも、たまたまその被害者が同意をしなかつたというために、巨額の金額を投じて復旧しなければならない。しかもその経済効果たるやそれに伴わないといつた場合には、その同意の一点にひつかけるということは、国家的にいつても適当でない場合が出て来るわけであります。ですから、私はこの法文にそういうことを明記することはあまり賛成しがたいのであります。実際問題としては、おそらくは市町村なり法律関係者意見は、十分農林省の方で徴されるはずであると思いますので、そういう点につきまして独断的な決定でもつて不適地の扱いをするということはないと思つております。この点につきましては、詳しいことを農林省の方からお聞きになれば一層御納得が行くのではないかと思います。
  60. 青野武一

    ○青野委員 今炭政局長からの御答弁がございましたが、高橋通産大臣はこの点について同意見であるか、はつきり速記録の上に明示しておきたいと思いますので、ひとつ大臣として今の炭政局長のおつしやられましたことについての御意見を聞いておきたいと思います。
  61. 高橋龍太郎

    高橋国務大臣 ただいまの局長の答弁は私も承認いたします。
  62. 青野武一

    ○青野委員 炭政局長にお尋ねしますが、大臣もあなたと同意見であるという御答弁です。そうしてみると、私ども修正意見としてこの七十八条を絶対削除してしまえという考え方を個人的には持つておる。そこで念のために尋ねておきますが、法文に明記しなくとも、関係市町村長並びに被害者と話をして、復旧工事費の最高限度の関係その他があるから、明文化することは困難であるけれども、実際は市町村長並びに被害者の同意を得るような方法をとる、こうはつきり私は聞いたと思いまするが、それに間違いございませんか。
  63. 中島征帆

    中島政府委員 事実上同意をとるというふうに、私ははつきり申し上げていないつもりでございます。実際上意見を聞いて、それで独断的な判断はしないというふうな表現で申し上げたと思いますが、なおこの点につきまして詳しいことは農林省の方から聞いていただければ、むしろ一層実際に当られる当局としての意見はつきりするかと思います。
  64. 青野武一

    ○青野委員 農林省関係の方が見えておりましたら、伺いたいのですが、この問題とははずれておりますが、午後の委員会関係がありますので、ちよつとお尋ね申し上げたいと思います。  私どもに入つております資料によりますと、アメリカの軍隊が日本に駐留して全国五十六箇所の軍事基地ができて非常に困つているのは、軍事基地周辺の農民であります。はなはだしいところは眼がさめて行つてみたら、自分の土地であるにもかかわらず立入り禁止の札が立つている。それから今まででも麦畑を荒らされる、あるいはいろいろな基地の関係で、自分たちの意思を表明して問題を平和裡に解決するのに非常に困難な事情が各地にあります。アメリカの軍事基地のために農地がいろいろ向うさんに利用せられるときの補償は所によつて違いましよう。しかしこの間申し上げましたが、同じ政府の建設省に関係している、千葉県の稲毛海岸からちよつとはずれました前の戦車学校の跡の地理調査所の政府職員が千人ほど仕事をしているところへ、おそらく政府の命令と思いますが、警視庁の捜査課の諸君が百五十名武装して行つて、ここは軍事基地になつたのだから、ただちに立ちのけ、あるいは満州から引揚げた人が何年間か汗みどろになつて開墾している場所を、行き場所がなくてもわれわれの責任ではない、すぐ立ちのけ——そのときに行政協定によつて軍事基地なんか決定しておりません。各関係大臣質問をいたしましても、まだ話中であつて決定していないという。ところが決定したから立ちのけということで、武装警官の手によつて接収されている。政府職員が千人も仕事をしているところを、いわば強制立ちのきの命令が出ている。してみると、全国の農民に対しては相当大きな問題が起されていることは私も大分資料を持つております。それとこの問題とはどれくらいの差があるか、大体同じ程度を補償して行くのか、それとやがて問題が起つて参ります電源開発促進法によつていかだ流しの妨害になるダムをつくる。ダムのために川がつぶされ、農地が荒らされ、没収される。そういうものと関連してこの農地に対する賠償額というものが、アメリカと軍事基地の関係による農民への補償、また電源開発が将来問題になつて来る場合に、どういうような形で補償して行くかということは、農林省の関係で不可分の関係にあると思います。これは念のために討論材料としてお聞きしておきたいと思う。
  65. 谷垣專一

    谷垣説明員 御質問のように各地の状況によつて違うと存じます。またこれは補償基準の最終的な政府部内の決定は、まだ大蔵省その他関係方面と妥結に至つておりませんので、農林省の方の意見だけを申し上げたいと思いますが、農林省の方の意見といたしましては、北海道を除きますところの内地の農地、それの平均の賠償基準として持つておりますのは、一反歩十万円であります。
  66. 青野武一

    ○青野委員 今のお話はよくわかりませんでしたが、やはり軍事基地その他の関係の場合には、そういう標準が置いてあるということですか——そうするとこの法案についてはどれくらいの差額があるか、これも所によつて違いますが、念のために伺いたい。
  67. 谷垣專一

    谷垣説明員 先ほどの話は賠償でありますが、この法案は原形復旧あるいは効用回復する程度復旧をするということになつておると思います。従いまして、鉱業権者から出るところのそれに必要な費用、また国あるいは地方公共団体等から出る費用と合わさりましてそういう数字になるわけでありますが、鉱業権者の方から出します納付金の額から申し上げますと、ここに書いてありますように、二千倍から五千倍ということに相なります。従いまして賃貸価格が十七円五、六十銭ということでありますれば、五千倍といたしますと十万円近い、あるいは十万円程度の金、こういうことになると思います。
  68. 青野武一

    ○青野委員 農林省関係はまた午後からの場合にやらしていただきますけれども、まだ中村委員発言があると思いますので、ごく簡単に残つております質問をしたいと思います。本日の委員会が済みますと、地下資源開発委員会で、修正に関するいろいろ話合いが進められて参りますから、そのときの参考に承つておきたい。復旧工事が完成して、そして成功の認定のあつたときに鉱害法第七十五条の規定による鉱業権者の損害賠償責任消滅の規定、これはあくまでもこの条文を固執して行かれるか。これには非常に問題が残るし、大臣にお尋ねいたしましたように、特に例を福岡県にとるようですが、今特別鉱害でやつておるところは、陥没したところにボタを埋めまして、各所にりつぱな住宅地ができておるところもあります。しかしやはり元のように米麦をつくるためにやるには、附近の赤土を持つて来るのですが、二年や三年では前のような収穫が上りません。少くとも五年、七年かかる。そこには肥料も入れなければならぬ。また次々に陥落して行く危険性がたくさんある。そうすると先ほど申しましたように、一部の業者、一部の鉱業権者でしようけれども、せつかく掘り出したのだから、今家を直しても、田地を上げても、また狂うのだからしばらく待つてくれ、一年待つてくれ、二年待つてくれと言いながら、三層四層掘つて行くうちに累積したものが、先ほど申しましたように二百三十億残つておる。そうすると官僚的な考え方で、会議で話がきまつたからということで、あつさり補償打切りをやりますと、それから先の被害農民の文句の持つ行き場所がない。いろいろやつても法規が十分でないと、この問題は実際問題として片づかない。今はそういうことはございませんけれども福岡県鞍手郡一帯のごときは、雨が三日も降ると、前の通産委員会でも申しましたように、ほんとうに水のはけ口がない。炭鉱が五十馬力、百馬力のポンプを三台や五台備えておつても間尺に合わない。盆の八月十五日、いなかの人が自分の先祖代々の墓参りに参りますのに、桟橋をかけて、その桟橋の上から水びたしになつておる自分の先祖の墓にお参りしている。家は傾き、直したい。畳、建具のことではない。もう家がめりめりいつて来る。橋は落ちる。橋桁を上げるが、また落ちて来る。そうして一日に三百台も五百台もトラツクが通るのでどんどん下つて来る。赤土を入れてもとまらない。そういう状態が大体放任されがちなんです。こういうものが、ただいま復旧法案が出ても話がなかなか進まない。復旧ができない。実際賠償が実現しない。そこで問題が取残されて来て被害がずつと多くなる。二百三十億を出して一応十年計画で解決するということでありますが、二百二十億の鉱害被害高の中で、百億だけをやるといううちにどんどん被害が増加して来る。また十年計画でやつても同じことなんです。そうして一部を地方公共団体負担させる。せんじつめれば田代委員のおつしやつたように、被害者が市町村を通じて税の形で負担して行く。被害を受けて補償してもらうのに自分たちのふところからまた出す。それを道路がきれいになつたから、地価が上るようになつたから、ある程度負担はやむを得ないというけれども、こういうことは私はやるべきでない、こう思つておる。この点について私は社会党を代表して相当の修正意見を持つております。こういうふうにいろいろ積み重なつて行く問題を解決することは、どうしてもこの法文の中にはつきりした線が出て来ないとできないのです。鉱業権者の解釈と被害者の解釈の中にはさまつて事業団の諸君が立往生をしなければならぬ事態がしばしば起つて来るということが考えられておる。この点について打切り補償の問題、鉱業権者責任の消滅といつたような問題の書いてありますこの法文は、これは百害あつて一利ありません。これはあつさり削除する御意思があるかどうか。これはおそらく小委員会で問題になると考えるのであります。提案者に対してこれを削除しろと言つても、削除するとは申すまいが、これは非常に大きな問題になります。この点について問題点を残さないためには、こういうべらぼうな法文は削除してもらいたいと私は考えますが、どう思いますか。
  69. 中島征帆

    中島政府委員 もちろん私はこれを削除しない方がいいと思いますが、削除論につきましては、多少誤解なさつておる部分もあるのではないかと思いますので説明をつけ加えます。打切りは、御例示になりましたような累層の場合におきましては、現に累層の何番目を掘つておる。さらにまた下を掘るという場合におきましては、上の鉱害はまだ安定していないという判定のもとに大体復旧しないのが原則であります。すべて安定してから取上げる、そういうことにします結果、二百三十億かそこらになるわけでありますが、そういう場合におきまして、もしも一応安定をし、復旧をいたしまして、その後さらにまた陥落をする。それが下層を新しく掘つたために陥落をしたものであれば、これは新しい鉱害でありまして、当然また新しい復旧問題になつて来るわけであります。それから復旧工事をしたあとでその責任を免除してしまうのは尚早であるという御意見に対しましては、復旧工事をいたしまして、完全に効用回復しておれば、これは賠償が完全な形でなされておるわけでありますから、そこで打切りでも何でもなく、完全に賠償責任は消滅するわけであります。かりにその後も鉱害が出る場合は、これは新しい鉱害であるということを考えざるを得ないのでありまして、その場合には新しいケースとして取上げる。それからただいまお示しのように、もしも原状回復の工事のやり方によりまして、従来通りの効用回復しない、あるいは回復するまでに相当の年月を要する、こういう場合におきましては、工事の完了後におきまして農林大臣認定をいたしまして、どの程度まだ回復しない点があるかをさらに三年以内に被害者の申出によつて認定をし、まだ幾分回復しない部分が残つておる、こういうことになりましたら、その時期におきまして回復しない部分を資本還元いたしまして、これを補償金として出すわけであります。従つてその復旧工事につきまして、それ以上に回復しないものが年とともにさらに大きくなるという例は、新しい鉱害が出ない場合にはちよつと考えられないわけでありまして、むしろ残つておる鉱害、あるいは回復しな部分は年とともにだんだん元の通りに回復する。従つてこれが少くなるのが常態であります。ですから三年間でかりに打切りましても、それ以後鉱害が大きくなるということは考えられないのでありまして、むしろ小さくなるという見通しをつけて、残つているものは補償金を出して打切るというわけでありますから、回復不十分な点につきましても賠償金を出して打切るということでありますので、私は、責任解除の規定被害者にとつて非常に不利であるとどうしても考えられないのであります。
  70. 青野武一

    ○青野委員 先ほど第七十八条を削除したらどうだというような話を私が申し上げましたのは、市町村並びに被害者の同意を要するように法の改正をしたらどうかというその点を言うつもりであつたのであつて、削除しろと言つたことは誤りでございますから、訂正しておきます。  今のお話を聞いて、大体通産省側としての意向はわかつたのですが、こういう法律があなたたちのような考え方で通されると、被害者にとつては大きな問題がたくさん残つてしまいます。これは小委員会でどう修正するか。各党の意見を持ち寄つて明日からその会議に入るのです。五十一条あるいは五十二条、五十三条、五十七条、各条にまたがつて実はいろいろ質問の内案を用意しておるのでございます。  最後にお尋ねしておきたいのは、今の、七十八条について市町村並びに被害者の同意を要するように法の改正をしたらどうかという話に関連いたしま了して、こういう話を進めるために、たとえば福岡県に例をとりますと、この法案の問題は、九割五分は福岡県に関係が深いのですが、県議会に鉱害対策委員会というものがあり、福岡県の市町村議会にも関係がある。また鉱業関係の市町村は六十五と記憶しておりますが、それが市町村連盟という一つの組織になつておりますし、それから福岡県には鉱害対策被害者組合連合会というものもありますが、問題を平和的に納得づくで解決するためには、こういう団体を対象にして、この事業団の諸君が復旧事業を完成して行くお考えがあるのかどうか。おそらく個人々々というわけには行かないと思います。市町村を相手にするのか、被害者の個々を相手にするのか、あるいはこういうような一つの組織体を持つておるものそういうような話合い、たとえば不適地の問題にいたしましても、ある程度の同意を得るためには、一人々々を法文によつて押えて行くということでなしに話を進めて解決して行くという考えがあるのか、そういう機関と話合いを進めて行かれるという考えのもとにこの法案ができておるのか。これをひとつ伺いたい。
  71. 中島征帆

    中島政府委員 形式的にはそういう点には全然触れておりませんが、実際に運用します場合に、たとえば評議員の選任につきましても、おそらくはそういうような団体なり、組織なりから人を選ぶ、あるいはおのずからそういう所から出て来るというのが普通でありましようし、また実際にいろいろな案を立てる場合におきましても、協議する場合に、被害者は非常に数が多い大衆でありますから、おのずからそういつたような専門家を相手にしてお話をするという機会が非常に多いと思つております。しかしケースによつてはもちろん個々に折衝しなければならないこともありましようし、説明しなければならないこともありましようから、一概に言えませんけれども、概して言えば、そういつたような団体あるいは市町村というふうな組織にできるだけ協力していただくというふうに持つて行かざるを得ないと思います。
  72. 青野武一

    ○青野委員 最後通産大臣にお尋ねしておきます。通産委員会の中には、地下資源開発及び合理化に関する小委員会というものがありまして、われわれもこの中に入つております。ここで私自身が考えている点も修正箇所五点、字句の修正その他を入れれば相当ございますが、通産委員会で各党の意思を尊重して、持ち寄つてことに重要箇所修正された場合には、通産委員会の権威とその決議を認めて、政府当局は無条件にそれに承認をされるかどうか。公務員の地域給のように、一旦きめても六億八千万円の金がいるので問題がすくんでしまつてつて、参議院で修正してもどつて来たけれどもどうすることもできないというようなことでは困る。今いろいろと委員から質問されておりますが、大体ねらいどころはどこを修正するかというところにある。われわれは最高限度の修正を要求するが、結果においてはその半ばをとりましても、通産委員会で各党が話し合つて、通産委員会修正が行われたものに対しては、通産省も、大蔵省も、農林省も、無条件にひとつそれに従つて来てもらいたい。そうしなければ決議しても権威がない。政府反対する、原案を固執する問題が将来残る。その点について通産大臣の御意見最後に承つておきます。
  73. 高橋龍太郎

    高橋国務大臣 通産委員会の決議は尊重しますけれども、無条件でそれをのむかということは、どうもあらかじめそういうお約束はできません。
  74. 高木吉之助

    ○高木委員長代理 中村寅太君。
  75. 中村寅太

    ○中村(寅)委員 私は大蔵当局にお尋ねしたいのでありますが、その前にちよつと通産当局にお尋ねしたいのであります。この法律案には予算の措置がないのであります。二十七年度予算に組み入れるように当初努力をされたのか、されなかつたのか。あるいはやつたがまとまらなかつたのか。これを一ぺん聞かせていただきたいと思います。
  76. 中島征帆

    中島政府委員 われわれこの法律案を立案する当初から、二十七年度には、法律が成立する限りにおきましては事業を開始されますので、二十七年度の予算に入れたいと思いましていろいろ考えておりましたが、この法案の内容が確定する以前におきましては、予算の組みようもありませんし、大体こういうことがあるぞというくらいの連絡をする程度でありまして、具体的な話を持ち出すところまで至つておりませんでした。そういう意味におきましては、はなはだ申訳ないのでありますが、いささか手遅れの感じがしております。ただすでに内容もだんだん確定いたしつつありますし、調査の結果も判然といたしておりますので、今日におきましては大体この程度のものがいるという話を大蔵省の方にはいたしております。それからそれに対するやり方といたしましては、現在実施中の本年度の公共事業費予算の中から、この法案施行のために要する事業費を幾分さくという方法もあるわけであります。それから新しくこの法案関係に使用される予算は別途につけるという措置もまた考えられるわけであります。その二つの中でいずれをとるかということは、今大蔵省折衝中でございます。
  77. 中村寅太

    ○中村(寅)委員 そこで大蔵当局に聞きたいのであります。今日の段階では折衝がまとまらなかつた考えられるのでございますが、予備費からの予定を持つておられるのであるか。あるいは補正予算で組んで行こうという考え方か。その点ひとつ聞かせていただきたい。
  78. 河野一之

    ○河野(一)政府委員 予備費と申しましても、現在一般会計にありますのは三十億でございます。これで予算編成後に、予算を、避くべからざる途中で発生したものの経費の不足を補うわけでありますが、三十億程度の金でありますので、その方にまわすということも申しかねますし、また補正予算の問題にいたしましても、補正予算を組むかどうかということは、今後の情勢いかんによつてきまつて来る問題でありまして、補正予算を組むかどうかということを今約束いたすこともできかねます。公共事業費の中に、災害関係の経費が相当ございますので、この法案が通りました後におきまして、その中を振りわけて、そういつた方面にまわすということができるのではないかと考えております。
  79. 中村寅太

    ○中村(寅)委員 一般災害予算の中からそれをとるということになれば、災害予算はそれだけ減るということになりますから、これはどこまでも補正予算か何かで組んでいただかなければならない性格のものではないかと考えるのであります。今後大蔵当局でもそういう方面を積極的に考えて行つていただきたいと考えるのであります。  それから、今聞きますと、予備費からもむずかしいという話であるし、補正予算でもなかなか簡単に行くような決意も見えなかつたようであります。そうするとやはり災害費の予算の中からとるということになれば、今までの一般災害の方がそれだけ減ることになると思いますが、農林当局は承諾しておるのでありますか。
  80. 谷垣專一

    谷垣説明員 現在災害で留保されておりますのは、今後起きて来ます災害に対する費用だと思います。従つてそれをどうするかということについてはまた未確定であります。これは大蔵当局その他と相談の上きまるものであると思います。
  81. 中村寅太

    ○中村(寅)委員 この法案が通れば相当の費用がいることははつきりしておるのでありますが、大蔵当局はどのくらいまで出してみようという覚悟があるのか。農林省あたりは相当積極的にこの法案をやつておるようでありますが、大蔵当局の熱意があまりないようにわれわれには考えられるのでありますが、この法案に対して大蔵当局はどういう決意を持つておるか聞かしていただきたい。
  82. 河野一之

    ○河野(一)政府委員 先ほど災害と申し上げましたが、これは間違いで、土地改良その他各省に載つております一般公共事業の経費の中からさくというふうなことに相なろうかと思います。鉱害関係について幾らぐらいの金というお話でありますが、ただいま幾らにするかというふうなことは、御調査の結果を拝見いたしませんと何とも申し上げかねますが、やはり公共事業としてあるいは食糧増産、土地改良といつたような総合的な見地からやるべきものでありまして、鉱害であるから早く復旧するとか何とかいうふうな意味合いで公共事業の配分というものはやるべきではないのではないか。しかしそういつたものが相当多いとなりますれば、これについて特別の考え方もあろうかと思いますが、公共事業であります意味は、全体を見てその中から優先順位をつけて参るということになるのではなかろうかと考えております。
  83. 中村寅太

    ○中村(寅)委員 この予算については、私は大蔵省にもつと積極的な熱意があれば、この法案提出と同時にちやんと予算措置ぐらいできるはずだと思うのであります。通産省の説明を聞いてもやはり大蔵省の方に難点があつたのではないかとも考えられるのでありますが、これは国会で一つ法案が決定されれば、その予算措置は当然なさるべきことでありますので、やがてこの法案は近いうちに議会を通過するとわれわれは考えますが、大蔵当局としては積極的に予算措置考えておいていただきたいと思うのであります。  それから予算の所管に関する問題であります。これは一応通産省に所属するというのが常識だろうと思います。が、実施にあたつてはやはり農林省に移管して行くというようなことが運営の上からもいいのではないかと思いますが、その点について大蔵省ではどういうふうに考えておられるか伺いたい。
  84. 河野一之

    ○河野(一)政府委員 鉱害法律が提案になつたのでありますが、われわれとしては二十七年度の予算を組む場合においては、公共事業として土地改良であるとか、あるいは道路であるとか、河川であるとか、そういつた経費をどの程度必要であろうかということで一応組んだわけでありまして、その配分の問題として鉱害のものをどうするかという要素がそこにかかつて来るのではないかと考えます。従いまして現在の土地改良であるとかは農林省でございますし、河川は建設省、道路も建設省、学校は文部省ということになつておりますので、おのおののところでその補助金が公共事業の建前で出される。その原因は鉱害であるにしましてもおのおのの省で出されることに相なると思うのであります。
  85. 中村寅太

    ○中村(寅)委員 この予算を公共事業費からとるというところに少し無理があるのじやなかろうかと思うのであります。すなわち費用というものは、鉱業の実施に伴つてつて来る鉱害復旧の経費でございますので、これは当然通産省の所管の中の事業から起つて来る費用だと思うのであります。それを農林省の土地改良の中からとつて行くという考え方に無理がある。これはやはり別途に予算を考えて行くということが本筋ではないかと思いますが、その点について大蔵当局の見解を聞きたいと思います。
  86. 河野一之

    ○河野(一)政府委員 先ほども申しましたように、鉱害の問題は鉱業法によるのでありまして、それが私的な法律関係に相なるわけであります。つまり鉱業権者が幾ら補償するかという問題でありまして、その鉱業権者の補償を国が関与するというのは別の見地であります。つまり原因はこうした災害でありますが、それを復旧するについて国がどう考えるかという問題でありまして、鉱業法に基く私的の関係は何ら書いておらないのであります。従いまして鉱害にかかつた土地を食糧増産の建前から、これを補助して復旧させるというのがこの法律の建前でありまして、その原因は通産省の関係鉱害でありましても、事業としては食糧増産なり、あるいは公共道路を改良するなり、復旧するなり、そういう建前から予算を出すのだとわれわれは心得ておるわけであります。
  87. 中村寅太

    ○中村(寅)委員 今の意見も、さつき田代君の質問に対する御答弁にもそういうことを言つておられましたが、地方公共団体負担するのが当然だというような考え方は、今のような考え方から出て来ておると思うのですが、鉱害による災害というのは、不可抗力による天災その他によつてつた災害とは別に考えなければならぬのじやないか。一方に大きは災害を受けて被害をこうむつておる人がある半面には、このことによつて大きな受益者があるということを考えるときに、一般の災害などと同じように考えて行くということに私は無理があると思うのです。これを地方公共団体に持たせるということは、その災害が起る地元民だけが負担するということになるのであつて、その地元民が大きな荷をかぶつて行く半面には、大きな受益者があるということを忘れておる考え方ではないかと思うのであります。天災その他による災害であれば、これはやむを得ないのであります。地元がある程度負担をするということは当然でありますが、これは一方に国民の中に大きな受益者がおる。いつも受益者がおる半面に大きな被害者が出て来ておるという現実を忘れた考え方から、そういうことが出て来るのじやないか。やはりこれは特別の予算措置考えて行くことが至当だと思うのであります。その点につきましては、また小委員会いろいろ研究すべきことだと思いますので、この程度質問を打切ります。
  88. 高木吉之助

    ○高木委員長代理 この際お諮りいたします。ただいま審査をいたしておりまする臨時石炭鉱害復旧法案の審査を十分慎重ならしめるために、本案の審査を地下資源開発及び合理化に関する小委員会に付託することにいたしたいと存じまするが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  89. 高木吉之助

    ○高木委員長代理 御異議なければ、さよう決定いたします。  本日はこの程度にて散会いたします。次会は明十五日午後一時より開会いたします。     午後零時三十二分散会