○
久保田参考人 お答えいたします。ただいまの
お話のうち、
電源開発会社ができることがおそきに失するという
お話がございましたが、私
はさようには申し上げなかつたかと思います。私はこの問題を
重点として国がお取上げになるということはたいへん
けつこうな、適切な御
提案だというふうな
意味を申し上げたと思います。おそきに過ぎるというのはそのことでございます。
電源開発を促進させるという第一條の
目的はまことに
けつこうなことと
考えるのでございますが、これに対する
措置をや
つていただくということでございますから、たいへん
けつこうだと申し上げたつもりでおるのでございます。なお後段の大
規模電源開発に関しましては、こういうことを言及いたしたと思います。このほかの現在や
つておられる
電力会社、
自家用の
電気会社、
公営、こういう
ような
幾つもの方がおやりになるのは、そういう
機関が自分の力の限りおやりくださることはたいへん
けつこうで、それでも
つて仕事は進められるだろうということを申し上げております。同時にまた特にお取上げ願いたいのは、
自家用電源という、形は悪いのでございますが、もし
資金及び
建設能力等において十分に力があるものがおりましたならば、こういう
ようなものをして
自家用、むしろ半
自家用的のことでもやらせ、できた
電気の一部は
供出をさせるという
ようなことにおいて、
電源開発の方式も見出されるのではないかという
意見も申し上げたつもりでおるのでございます。それにつきましては、
北鮮などにおきまして非常な大
電源の
開発の際に、半分あるいは三分の一は
供出をさせられたという
ようなことで、非常にいい
開発ができたことの例などにも多少言及いたしたつもりでございます。しかしながら
水沒地の処理であるとか、あるいは
流域の
変更であるとか、またはそのほかむずかしい問題を、これは多分
電源開発調整審議会が当然やることと
考えるのでありますが、やるにいたしましても、住民その他とのいろいろな感情上、あるいはできることがやむを得ないという場合があれば、こういう
ような問題があり得るかもしれませんが、それは非常に限られた
部分である。この
公営等においてそういうものは行われるでありまし
ようが、そういうものが行われないという
ような場合には、さしむき
考えられる
一つの事柄かもしれぬ。それであればあるいはこういう
ような問題が起り得るかもしれぬということを申し上げたつもりでございます。
第二段目の、大
電源の
開発に対しましては、わが国内におきまして、まだ
相当の
規模を
開発する余地を残しております。それも従来の
電源開発はまず易きにつく、なるべく簡單に安い
資金でできるという
ようなものを五十年来
使つてお
つたのでありますが、今日はそういう
ような小
規模の、易きにつく
方法でや
つてお
つたのでは、わが国の
資源を十分に
開発することが困難でございますので、
日本国として残された重要な
資源の大
規模開発に向わなければならぬかと
考えております。それにつきましては幸いと申しますか、不幸と申しますか、残された
相当の
資源がございますので、それを総合的にすべて大
規模に
開発するということによ
つて、思い切つた
産業振興の道が開けるだろうというふうに
考えております。
お尋ねの
ような
場所は、有名な
場所にな
つております
只見川系統におきましては、百五十万といい、二百万といい、これは
計画の立て方次第で
キロワツトが違うのでございますが、おそらく百五十万から二百万
キロワツトに至る
建設が可能であると
考えます。これなどは非常に高いところに、たとえば
尾瀬ヶ原であるとか、
奥只見であるとかいう、割に高いところに大きな平地を残しておりますので、こういう
ような
土地にたくさんの水をためまて、水を平均に出すということよりは、
渇水期に水を出し、
豊水期は出さないという
ようなあべこべな
操作を、高いところの水をも
つていたしますればできる。普通の場合では
下流の低いところで
発電いたしますが、冬になりまして
渇水期になりますと、その高いところの水を落すという
ような
操作などをいたしますれば、完全に
火力発電のかわりまでいたす
ようないい
地点を
只見川は持
つております。
ついででございますから申し上げますが、この際ただ
尾瀬ヶ原のごときは
天然記念物的植物といい、小動物といい、また場合によ
つては景観ということもあります。そういう
ようなことで、天下のそういう
ような宝を
水沒させてはいけないという
ような
文化方面の御
議論等がございまして、なかなかこのことの
処置については、口やかましい問題が起ると
考えられます。こういう
ような
処置につきまして、この
法案による
調整機関等が強力な御
措置をなさると思います。これは非常に
産業振興のためには重大なことで、もちろんその他の問題とも比較考量されることと思いますが、そういう問題がたくさん残されておることと
考えます。
只見川以外に残
つておる大
電源地帯として
北陸にたくさんの
電気を貯蔵しておるところがございます。たとえば黒部川の問題あるいは信濃川の最
上流の
信州地域の問題などが若干
考えられるのでございます。同時にまた庄川とか神通川とかいう
ような
水源地に大きな
ダムをつくりまして、たくさんの
貯水池をつく
つて、
上流地域の
発電をいたすのみならず、それが
下流地域の
既設の
発電所を増強いたしまし、ことに季節的に一年を平均させたいい
意味の
電気ができるという
地点を、
北陸地域においては数箇所見出し得ると
考えるのでございます。
中部地域におきましては天龍川、これは有名な
地点でございますが、もう
計画の
準備ができておる
ようでございまして、こういう
ようなところはもちろん大
電源として、
考えられると思います。
それからなお問題にな
つておりますのは、
近畿地方では熊野川でございまして、幸か不幸か今日までわずかな
開発しかや
つておりませんので、これも幸いにして
貯水池をつくることのできる
場所は
相当にございます。ことに支流の北山川と申します
川等におきましては、
相当の高さに水をためることによ
つて、たいへんいい
電源の
基礎をなし得るものと
考えております。ただこれらのうちには、先ほど申し上げました
北陸も
場所によ
つては同様でございますが、
水沒地域の問題、そのほかいろいろな問題が輻湊しておるのでありまして、これらの
処置は何とか理解を得て進んでいただく、また場合によ
つては、国民の権利を侵害するということになるのでありますが、妥当な
処置をしていただくことによ
つて、こういうことができれば、非常にいい
資源の
開発ができるというふうに
考えております。
なおまた
四国におきましては
吉野川初め
相当の残された
地域がございます。ことに大きいのは
吉野川でありまして、これにつきましては、
上流部はすでに
流域変更をも
つて南の方に切り落されておるのでありますが、これにも
貯水池の問題がございまして、この
貯水池を十分活用することによりまして、
相当多量の
電気を出すことができるのみならず、この問題は
洪水調節と
下流の
灌漑、ことに
徳島県などにおきましては、従来
下流の
灌漑のために、
流域変更その他の
処置について非常に御
反対で、これはごもつともな話だと
考えますが、水を増して十二分の水が
徳島県に流れることによ
つて、
残つた水は香川県なり、ほかのところなりに分流して、
四国のあの
旱魃地帯がよくなるということも含まれて、総合的な
開発ができるというふうに
考えております。これにつきましても、
上流部の
貯水池において、
水没地に
人家等がございますが私
どもでいま一応専門的に調べております。
一つの思いつきといたしましては、むしろなるべく高い所に、三百何十メートルという一番高い所にできるだけ大きな
ダムをつくり、なるべく多くの水をためて、高さの技
つているエネルギーを
下流に及ぼすという
ような
やり方が、非常に
けつこうな
やり方ではないかと
考えます。しかしながら、これもやはり千戸とか千五百戸という
水沒の
地域の問題もございますので、これはどれもこれも困難をはらんでいる問題ではございます。
なお少し
規模は小さくなりますけれ
ども、
中国地方において江川とか
九州地方における球磨川とかいうものは同じ
ような問題をはらんでおるのでございますが、今日私の承知しているところによりますと、
地方においてこれらの
開発熱が非常に起
つておりますので、あるいは
一般に言われる
ようなことでなく解決できると思いますが、何とかこういう問題が解決されまして、これに大事な
資金とか
技術力という
ようなものがつきまして、早くできるということが国として好ましい
やり方ではないかと
考える次第でございます。
なお
北海道につきまして若干の
見解を申し上げますと、
北海道は非常に広い
土地でございますが、
水力等においては非常によいとは申しかねるのであります。しかしながら、
北海道の持つ
資源を
電力化によ
つて工業化をするということが、非常に大事なことではないかと思います。同時にまたほかの
意味の利水、治水の問題もございますので、これは
北海道の
重点にかんがみまして、特別なお
考えを持
つていただくことによ
つて、
北海道の残された
資源が同時に
開発できるということを、特に私
ども最近
北海道を調べていて感ずるものでございます。残されている問題としては、石狩川の
上流にたくさんの
ダムをつくる、あるいは十勝川の
上流にたくさんの
ダムをつくるということが残されておるのでございます。大雪山の附近の
地域をめぐ
つてそういうことがあり得るのでございます。これらの
資金と資材ということが必要ではございますが、
重点として取上げるという取上げ方の
順序等にもよるのであります。さ
ようなふうに
幾つものたくさんの
電源が残
つている
ように
考えております。