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1952-04-23 第13回国会 衆議院 通商産業委員会 第28号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年四月二十三日(水曜日)     午前十時四十六分開議  出席委員    委員長 中村 純一君    理事 小川 平二君 理事 山手 滿男君       江田斗米吉君    神田  博君       小金 義照君    多武良哲三君       土倉 宗明君    福田  一君       南  好雄君    佐伯 宗義君       高橋清治郎君    加藤 鐐造君       風早八十二君  出席政府委員         大蔵事務官         (銀行局総務課         長)      福田 久男君         中小企業庁長官 小笠 公韶君  委員外出席者         専  門  員 谷崎  明君         専  門  員 越田 清七君     ————————————— 四月二十三日  委員金塚孝辞任につき、その補欠として中村  寅太君が議長の指名で委員に選任された。 同日  理事武良哲三君の補欠として小川平二君が理  事に当選した。     ————————————— 四月二十二日  中小企業庁廃止反対請願(多武良三紹介)  (第二二六〇号)  同(黒田寿男紹介)(第二二八二号)  同(寺本齋君紹介)(第二三一八号)  中小企業資金融通法制定促進に関する請願(多  武良哲三紹介)(第二二六一号)  同(黒田寿男紹介)(第二二八一号)  同(寺本齋君紹介)(第二三二〇号)  中小企業等協同組合法等の一部改正に関する請  願(多武良哲三紹介)(第二二六二号)  同(島田末信紹介)(第二二七四号)  同(黒田寿男紹介)(第二二八〇号)  同(寺本齋君紹介)(第二三一九号)  かんがい排水用電気料金値上げ反対等請願(  尾関義一君外一名紹介)(第二三〇〇号)  只見川電源開発促進に関する請願淺沼稻次郎  君紹介)(第二三二一号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  理事の互選  中小企業等協同組合法の一部を改正する法律案  (内閣提出第一〇一号)     —————————————
  2. 中村純一

    中村委員長 これより会議を開きます。  本日の日程に入ります前にお諮りいたします。理事武良哲三君より理事辞任の申出がありますのでこれを許可いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中村純一

    中村委員長 御異議なければさようとりはからいます。  つきましては理事補欠選任を行わねばなりませんが、理事補欠選任はその手続を省略し、小川平二君を理事に御指名いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 中村純一

    中村委員長 御異議なければさよう決定いたします。     —————————————
  5. 中村純一

    中村委員長 本日はまず中小企業等協同組合法の一部を改正する法律案を議題といたし、質疑を続行いたします。風早八十二君。
  6. 風早八十二

    風早委員 中小企業等協同組合法の一部を改正する法律案についての質疑は昨日も他の同僚議員から相当詳細に行われましたので、私は念を押す意味簡單に一、二の点だけ質疑をしようと思います。  本法律につきましていつでも一番問題になるのは、言うまでもなく信用業務をやらせるかどうかという問題です。これについては、業界では——少くもこの法律の適用を受けておる人々の間では、長年一致して要求して来たことであります。またわれわれが観察した実情から見ても、実際信用業務を行うということは必要であると考えるわけです。そういう意味で、この法案にその点がまたしても抜けておるということは、これは致命的な欠陥ではないかと考えるわけであります。この点についての事情、つまり政府部内における事情企業庁長官としての立場の上から一応国民の前に明らかにされて、十分な納得を得べきであると考えるわけであります。そういう点で企業庁長官のこの問題に対する考え方見通しというようなものを答えていただきたいと思います。
  7. 小笠公韶

    小笠政府委員 お答えいたします。御指摘中小企業等協同組合法に基きます事業協同組合信用事業を認めるかどうかという問題は、大分長い間の懸案であるわけであります。この懸案が今回の改正案に入らなかつた経緯につきましては昨日も私と大蔵省銀行局総務課長との相反した見解が披瀝せられたことは御承知通りであります。信用事業を認めることは適当でないという考え方が実は一方にあるわけであります。それは御承知通り農業協同組合信用事業を認めているが、これ自体について議論が一部あるのでありますが、私ども考え方といたしまして、昨日も申し上げましたように、中小企業の現実からみますと中小企業者資金を集めて相互融通をはかるということについて非常に大きな量に上るかどうかという見通しにつきましては、私はそれほど多きを期待できないというような現状だと思います。従いまして一面からいいますと、この事業預金者保護という見地を強く出して考えて行くことは適当でない。いわゆる預金受入れるということは、ほかの事業強化策として個々の組合実情に応じて認めて行くということが、中小企業の現在の段階からいうと適当であるというふうに私は考えているのであります。これに対しまして大蔵省は昨日も答弁がありましたように金融事業事業協同組合に認めるということは、農業協同組合が御承知のように若干の不始末を生じたという経緯から見ても、適当じやないのじやないかというような意見であるわけであります。この点につきましては、実は本改正案審議の過程におきまして、大蔵当局と数次にわたりましていろいろ話をいたしたのでありますが、結論に到達し得なかつたのであります。従いましてこの改正法案に加えなかつたのでありますが、中小企業の実態をよく考えてみますときに、この預金事業を入れることによつて預金者保護という見地からする心配と、これによつて生ずる中小企業者の利便、特に組合活動健全化という見地から見ましてどつちが大きいかというふうなことになりますと私は認める方が適当だというふうに考えているのであります。この点につきましては大蔵当局といたしましても順次理解を深めていただけるものと私は確信いたしているのであります。中小企業の問題は外部で見るよりも実際中に入つて見ますとだんだんに理解が深まつて参りますので、私ども説明力が足りなかつたということはもちろんでありますが、今後努力を続けてこの制度を実現いたしたいと私は考えている次第であります。
  8. 風早八十二

    風早委員 今の答弁では信用事業を認めるということの意義は非常によくわかるわけです。しかしながらこれを実現する見通しについては何ら確信を與えられないといわざるを得ない。これからだんだんとそういう実情を認めてもらえるだろうというような非常に甘い、他面から申しますときわめて無責任なる考え方ではないかというふうに考えるのであります。どこに問題があるのか、もう少し企業庁長官としてはつつ込んで答えてもらいたい。今御答弁のありました、これは大蔵当局考え方だと言つているところのいわゆる農協で信用事業をやらしたが非常に不始末があつた。こういうようなことはまつた理由にならない。他面におきまして実際に政府機関であるところの国民金融公庫にしても商工中金にしてもそういう機関が不始末がなかつたかというとこれは大いにあるわけです。そういうことは実際の運営上の問題でありまして、実際中小業者にとつてはこれは大して理由にならない。それはそれらの機関が悪い。あるいはその運営が悪いのでありまして、そのことがこの信用事業を認めさせないということの理由にはならないと考えるわけでありますか、そういう点について企業庁長官にもう一度その点をはつきりしてもらいたい。国民金融公庫商工中金、こういうものとにらみ合せて考えて、実際その不始末というようなことは理由にならないとお考えにならないか。
  9. 小笠公韶

    小笠政府委員 御指摘通りに、問題は運用の問題でなくて、制度の問題だと思うのであります。御承知通りに、それで大蔵省のもう一つ意見は、いわゆる金融事業というものはほかの事業兼営を認めてはいけないのだ。なるべく純粋にやらせて行つた方が、金融事業健全化をはかる上において適当だというお考えのようであります。ただ弊害農業協同組合に出て来たというようなことにつきましては、運用上の問題として、特にああいう時代背景を持つてつたということもあろうかと思うのでありますが、問題は制度として認めることが適当であるかどうか、こういうことになろうかと思うのであります。ただいまお尋ねの、見通しについて甘い考え方を持つておる、こういうお話があつたのでありますが、私は知ほども申し上げましたように、中小企業安定振興というためにとるべき措置というものは、いろいろな手を考えなければいかぬ。そのいろいろな手をとる方法として、協同組合信用受入れ制度を認めるということの方がいいんじやないかという考え方を持つておるのでありまして、ある程度信用受入れについて制限を加えても、現状からいたしますれば、大して支障にならないというようにも考えますので、その点につきまして大蔵当局との間におきまする交渉が、十分に成果を上げ得なかつたのでありまするが、これは話合えば私は了解を得られるということを考えておるのであります。たとえば組合制度が起りましてから、商業組合あるいは輸出組合、あるいは工業組合というものにおきましても、従来日本では信用事業を両方とも——預金受入れ、貸付け両面を認めて参つたのでありますが、さしたる弊害を来したという歴史もないのであります。従いまして今後ぜひ実現するべく、大蔵当局との話を私は進めて参りたい。ただ今回そういう問題を取残したというのは、他の問題が組合運営上早急に直した方がいい、是正し方がいい、こういう考え方改正案を御審議願うということにいたしたのであります。大蔵当局のお考えは、私が先ほど申し上げましたような制度面と、一つ運営上の問題も考えて、今はつきり賛同を得ていないというのが現状であるのであります。
  10. 風早八十二

    風早委員 御答弁は依然として非常に甘く、かつ無責任であるといわざるを得ない。そういうふうなお話であるならば、今まで過去もう何年間の間毎国会開いて考えておることなんです。いつも何とか大蔵省は了解するだろうと言われるが、絶対に了解しませんよ。ますますこれからは了解しない危險もあるわけです。それに対して一体いつごろには実現するかというふうな見通しをここで出されなければ、これはまつたくその場の言いのがれとしか考えられないわけです。一体問題は中小企業金融そのものが問題なのであつて、それは大蔵当局の言うように金融機関というものがあるのだから、この事業機関が同時にそれをやることは好ましくない。もしそうだとすれば、金融機関がこの中小企業金融を実際に円滑にやつているという前提をとらなければならない。そういうふうな事実はないし、実際今日銀行中小企業に対してはまつたく門戸を閉鎖しているし、また商工中金にしても、国民金融公庫にしても、一体この中小企業者金融需要の何割を満たしておるか。これを今一々聞いてただして行けば時間もかかりますから省きますけれども、ほとんどそれは問題にならない。さらに小さい業者に至るならば、ますますこれは問題にならない。三万、五万というようなわずかな金を借りるということでも並たいていではないということも、これは十分御承知と思います。そういうふうに金融機関というものは実際の役に立たない、でありますからやむを得ず自主的な形でこういう信用事業をやろうというところにこの法案改正ほんとう趣旨があつたわけであります。その最後のやむを得ざるその程度がここですつかり削られてしまつておるというところに問題がある。それからこれについて見通しがないとなれば、もう結局この問題はほおかむりするということにみなされてもやむを得ないと思います。そういう点で一体これを今国会中にさらにこれが再提案されたる見通しがあるのか、あるいは次の国会にはどういう根拠で見通しがあるのか、もう少し時期的な明確な見通しを立ててお答えが願えないものでしようか。
  11. 小笠公韶

    小笠政府委員 お答えいたします。見通しを時期的にある程度予定してお答えしろということでありますが、はつきりいつまでにそういうふうな話をつけるというようなことを私は申し上げにくいのであります。しかしながら私は次の国会にはぜひ改正をいたしたい。改正をするように話合いを進めたいという熱望を実は持つておるわけであります。しかし熱望は個人だけの考え方だと言われればそれまでの話でありますが、そういう方向に持つて参りたいということを実は考えておるのであります。
  12. 風早八十二

    風早委員 企業庁長官としてはその熱意は私十分認めるのですけれども、あなた自身の力、あるいは中小企業庁の力をもつてしてはどうにもならぬ。一概に大蔵省といいますが、どこにこれを妨げるほんとうの問題があるのか、そういう点はもう少しわれわれ通産委員会に対しても協力を求められる面がありはしないかと思うのですが、どうしたら一体実現できるか。中小企業庁のその正しい熱意をどうしたら補強できるか、こういう点についてお考えはありませんか。
  13. 小笠公韶

    小笠政府委員 非常にむずかしい御質問であります。新しい制度をつくるに際しましては、各店面の御協力を得なければできぬものだと思うのであります。従いまして御指摘のような国会側熱意ある御協力というものは、ぜひ仰がなければならぬと思つております。
  14. 風早八十二

    風早委員 結局中小企業金融という問題は、企業にとつては税金とともに最大の問題なんですが、この点についてきわめて冷淡な態度を金融方面や、また財務当局がとつておる。そこに根本問題があるわけです。これはまた吉田内閣中小企業に対する根本政策の特徴になつている。結局こういうことを考えるわけです。ですから、これは結局政府部内でここにおちつくということは、やはり中小企業に対する金融ということについて誠意がない。これは企業庁長官は決して熱意がないのではない。大いにあることは認めるわけです。それが全体の中でまつたく従属的に扱われているということが問題なんです。これは中小企業といいましても、今日日本産業のほとんど圧倒的大多数を形づくつておるのでありますから、結局日本の大部分の産業というものは今日どうなつてもよろしいということなつて来る、また事実なつている。きわめて一部の外資に結びついた資本家経営者のみが何とかやつているというような状態、こういう根本の問題につながつているので、中小企業庁長官だけをここでいくら追究しても解決しない問題だと思います。しかしながらこの中小企業等協同組合法の一部を改正する法律案に盛られた若干の改良的な問題につきましては、別に私ども異議もないわけです。実際骨抜きになつているということだけは、はつきりさせておきたい。しかしその他の点についてこれでも改正しないよりはましだという意味で私どもはこれに対してはとにもかくにも反対はいたしません。しかしこれでは不満足であるということを申し上げて、その不満足の原因は、結局吉田内閣の全体の中小企業に対する冷淡なる政策、これは裏返せばいわゆる日米経済協力、そういう買弁的な政策、そういうところに根本原因があると考えるのでありまして、この点に対する全体の解決なしには、このきわめてささいなように見える改正ができない。そういうことを私は指摘して、大体この法案に対してはそのものとしては賛意を表したいと思います。もう賛成討論もほかの方面でなければ、私も省略していいと思います。
  15. 南好雄

    南委員 今同僚風早委員から金融事業に対するいろいろの質疑があつたのでありますが、私もまた組合員だけの信用事業と申しますものは、今まで大蔵当局がいろいろ反対しておりました理由から相当遠いもののように思うのであります。結局大蔵当局考えておるのは、この預金業務を認めて行くと、金融業者とかあるいは不特定多数の預金利用者に不安を抱かすようなことになるのではないかというところに反対理由があるのではないかと思うのです。しかし今大蔵当局がおらないのですから、その間につきましても詳細な答弁を聞くわけに行かぬのでありますが、組合員だけに限つて預貯金を認めて行くというやり方は、私はそう今までの考え方と違つて強硬な反対があるもののようにも思えないのですが、中小企業庁当局として、今まで大蔵省との交渉経過において那辺に反対理由があるのか、先ほどからの説明を聞いておりましてもはつきりしないので——ただ組合員相互預金業務をやつて、その集まつた金組合員のうちの必要な人に融資をするというようなことぐらいは、現在法律では認めていなくても、月掛け貯金をやつて、そうしてその金を組合員相互融通し合うということはやつておる組合もあるのであります。ただそれを法的に認めてやるという程度のことは、私は銀行業務とまぎらわしくなる、あるいは預金公共性を阻害するような結果になるとかいうような、従来大蔵当局反対理由としてあげておりますることとはつきり区別して認められるのではないかと思うのですが、あるいは大蔵当局からそれ以外に何か実質的な反対しなければならぬ理由があつたのか、ひとつこの際はつきりと中小企業庁当局からの交渉経過に徴しての御説明を聞きたいと思うのであります。
  16. 小笠公韶

    小笠政府委員 お答えいたします。大蔵当局の御意見、特に預金受入れ事業協同組合に認めてはいかないという論拠につきましては、大蔵当局自身からお聞き願つた方はつきりすると思うのであります。私から間接的に申し上げますと、かえつて誤解が生ずるかとも思うのでありまするが、私ども承知いたしておりまする範囲で申し上げますと、考え方は不統一であります。すなわち金融事業を他の事業兼営でやらせるということが適当でない。いわゆる金融健全性から適当でないというような考え方が基本的な第一点であります。それから第二点といたしまして、先ほども申し上げましたように、協同組合の中で金融事業を認められておるのは、農業協同組合が一定の制限のもとに認められておるのでありますが、それがあまり芳ばしくない成績を過去において出したというふうなこともあるので、協同組合はあくまで経済事業でやつた方が適当ではないか、こういうふうな運用面実績からの御意見中心であるように実は承知いたしておるのであります。それからもう一つの問題は、お尋ねの中に、組合員相互預金受入れならよくて、組合員外預金受入れまで認めるといかぬのだ——その員外利用を認めるか認めないかということから反対議論を立てておるのでなくて、制度論として組合という一つ組織体から見て、預金受入れることが適当かどうか、こういうところに問題があるようであります。従いまして、大きな考え方として組合制度として預金受入れさせるということになると、続いて問題が起るのは、員外利用をどの程度認めるかという問題が続いて起るのでありますが、実はそこまでこまかい話にはまだ参つておらぬ、建前のところで実は話がまだ宙ぶらりんになつておるというのが現状であるのであります。簡單でありますが、経過だけ御報告いまたしす。
  17. 南好雄

    南委員 私が公式でなくて非公式にいろいろ話を承つた際においても、金融制度制度論からする反対銀行局長その他大蔵大臣から聞いたことでなくて、今中小企業庁長官の言われたその後者農業協同組合においてうまく行かなかつた。現在も十八億からの借金があるので、こういうような組合預金業務を認めさすと損するのが落ちだ、こういうような反対理由の方が主として聞かれておるのであります。しかし同じく経済行為をやる農業協同組合とこの中小企業等協同組合とは本質的に——なるほど概念的には同じ営利行為をやる経済協同組合でありますが、一方は広い範囲農業者中心にした組合であり、一方は日常自分のいわゆる商売をやつている、そういうようなものの共同利益を追求するための組合であつて、同じく経済行為中心にする組合であつても、農業協同組合とちよつとその性質が違うものではないか。従つてこういう趣旨組合金融的な業務を認めてやつても、事いやしくも組合員相互の間の金融であるならば、大蔵当局の心配しているような、実質上損害を受けるような、そういう結果は生じない、こうかたく私は、過去の経験から徴しましても信じておるものの一人であります。もし制度論から来る反対でありますならば、それは相当議論をしなければならぬのでありますが、後者の、単なる過去の実績によつて反対であるならば、それは中小企業等協同組合農業協同組合とは違うものであるということによつて、なるべく早い機会において組合員相互の間の預金業務を認めて、そうして有無相通じて行くという形に持つてつてやることが、現在の中小企業者金融状況から考えましてもぜひとも必要である、こういうふうに考えるのであります。一部こういう議論をする人は、衆議院のみならず参議院においても非常にあると聞くのでありまして、時間が許せばむしろそういうふうに議院で修正したいとさえ考えておつたのでありますから、今風早委員から言われたように次回という意味でなくて、ほんとうに厳密な意味においてこの次の組合法改正機会にはぜひともその辺まで持つて行くように、中小企業庁当局としても、單なる長官一人の熱望ではなくて、通産省の公式の見解として、大蔵当局に当つていただきたいと思うのであります。私たちも及ばずながらできるだけ、その限度まで持つて行くように御協力申し上げたいと思う。中小企業金融については、それをもつて万全ではないのでありまして、それも一つの現下の中小企業金融状況を打開する單なるささいな手段にしかすぎないと私は考えておる。それさえも出来ぬようでは、私、政府当局中小企業金融の対策がある程度足らぬのではないかとさえ考えるのでありまして、この点ぜひともひとつもつとつつ込んだ熱意を、また実際現われた行為の結果を見たいものだと思うのであります。  それからなおもう一つ、これはこまかいことでありますが、この法案のうちに信用協同組合所管行政庁を、都道府県知事に持つて行かれたほんとう意味を御説明願いたいと思うのであります。
  18. 小笠公韶

    小笠政府委員 信用協同組合認可権監督権都道府県知事に持つて参りましたのは、実はこの前の前の国会でそういうことに相なつたのであります。これは経過を申し上げますと、国会修正によつてそういう形に相なつたように記憶いたしておるのでありますが、信用協同組合信用金庫と二つになりまして、信用金庫大蔵大臣監督下に置き、信用協同組合は、どちらかというと府県の中でできるものが多いので、これを府県知事に持つて行くことが適当だというふうな考え方からそういうふうに直したように私は思うのであります。
  19. 南好雄

    南委員 前の前の改正の際の事情は私承知しておらぬのでありますが、今度この法律案要綱を見ますと、二十二にはつきり、「信用協同組合及び同連合会所管行政庁は、現行法では大蔵大臣とされているのを、組合の地区の区分に従い、大蔵大臣又は都道府県知事とするというふうに改正しておるのでありますが、どうも信用協同組合都道府県知事に持つて行つた理由が、はつきり納得されないのですけれども、もつと何か実質的な理由があつたのではないか、その間の御答弁をお願いしたいと思うのです。
  20. 小笠公韶

    小笠政府委員 この要綱の二十二は現にやつておりますことでありまして前の信用金庫法審議のときに、こういうふうに直つたのであります。  それからもう一つ信用事業を行う協同組合に対する監督法令というものがございまして、その方でこういうふうに実は直つておるのであります。今度の改正において新しく都道府県知事信用協同組合監督権をまかして行くということではなしに、すでに御審議願つてこういうことになつておるのを、便宜ここに載しておるというのが実情でございます。
  21. 南好雄

    南委員 そういたしますと、ただ前の改正趣旨従つてここを直されたのでしようが、信用組合がもし府県にまたがるような場合は、当然これは大蔵大臣に行くのですか、それともどういう形になるのですか。
  22. 小笠公韶

    小笠政府委員 その点は、ほかの事業協同組合と同じように、府県内に地区を限つておる場合は府県知事、二府県以上にわたります地区を有します場合には当該地区を官轄しておる財務局長、地区が全国的に相なりますと大蔵大臣に参るというふうに、事業協同組合の所管官庁の所掌と同じような考え方をいたしておるわけであります。
  23. 南好雄

    南委員 そういたしますと、やはり考え方は、信用組合に関係することについては、小さな組合だから都道府県知事にやらす、少し大きくなつて参りますと大蔵省専管、こういう考え方になつておりまして、先ほどの問題につきましても、反対の形式的理由はどうであろうとも、内容は普通の一般協同組合信用業務を扱わしめると、所管の紛淆を来すというようなことあたりから反対があるようにも見受けられるのであります。何と申しますか、行政官庁の権限争いから、非常に重大な問題が等閑に付されておるという点も、最近では間々見受けられるので、はなはだ遺憾であると思いますが、私はこういう問題についても、もう少し大蔵当局と隔意のない御折衝をいただいて、共管が必要なら共管でもけつこうです。そうでなければ、そういうような面から来る反対理由のないようにやつていただきたい。どつちかと申しますと、小さな組合信用組合、それから少し強いものは信用金庫あるいは相互銀行というふうに、最近の法制はなかなか整備されて参つておりますが、それらのことによつて、決して中小企業金融ほんとうに打開されておらぬということを、しばしば巷間に聞き、また実際見聞いたしますにつきましても何とかもう少し中小企業金融打開のために、つつ込んだ組合による打開方法を考えてほしいものだ、また考えなければならぬものだ、こういうふうに考えておるのであります。やはり信用協同組合は、どうしても大蔵当局の専管でなければならぬものかどうか、その間において、中小企業庁が今まで大蔵省と折衝された際において、何かそういう場面があつたかどうか、もう一ぺん念のためにお聞きしたいと思うのであります。
  24. 小笠公韶

    小笠政府委員 所管問題と政策の実体とが紛淆しておるんじやないかというお話でありますが、本問題に関する限り、所管問題と政策の内容とからみ合つて議論を進めたということはないのであります。まず制度として、事業協同組合に受信業務をあわせ認めるかどうかということに中心を置いて、お話合いを進めておるというのが現状であります。御指摘のように、所管問題と政策とが紛淆してどうこうということは、私ども少しも考えておりません。中小企業政策は各方面の各所管庁に関係しておることが非常に多いのでありまして、その実体の整備を急ぐそれが中小企業のためになるのだという考え方を私はいつも堅持いたしておるつもりであります。
  25. 風早八十二

    風早委員 先ほどから中小企業庁長官お尋ねしておつたのでありますが事は中小企業協同組合信用業務に関する問題でありまして、これについて大蔵当局反対見解をとつて今日まで来られ、また現在もそうであるということであります。そこで簡單でよろしいが、先ほどから企業庁長官の言われることと、また同僚南委員が聞いておられることと多少食い違いがあるように思いますので、この際大蔵当局としてなぜ本改正にあたつて信用業務の問題を依然として排除されるかという点についてその理由を列挙してもらいたいと思います。
  26. 福田久男

    福田説明員 お答えします。事業協同組合信用事務の兼営の問題については二つの観点からの見方があると思います。  一つ金融事業というものが一般の経済事業をあわせ営むことが適当であるかどうかという点について専門の金融機関、たとえば銀行とかそのほかの一般金融機関におきましては、それぞれの業法によりまして他業の兼営を禁止いたしております。禁止いたしております理由は、その金融事業に対して経済事情から来る損失、事業の失敗なり損失なりの波及を防止しようという点にあるわけであります。たとえば銀行が貿易事業なら貿易事業兼営すると仮定いたしますと、物価の変動なりあるいは貿易事業の消長というものが、かりに経理を区分いたしましても法人格が一体でありますから、ただちに金融事業の方へ波及して来るわけであります。そういたしますと金融事業というものは御承知のように不特定の多数の預金を扱つておりますので、預金者に迷惑を及ぼす結果になるわけでありますから、そういつた観点から一般の金融事業につきましては他業の兼営をかたく禁止いたしておるわけであります。  他面、現に金融事業経済事業とをあわせ営んでおる事例がございますが、先ほど南委員からのお話の中にもありましたように、農業協同組合がその一例であります。農業協同組合につきましては、本来からいえば経済事業金融事業とは、金融事業そのものの特質から見て区分すべき性質のものであると考えられるのであります。現に信用協同組合連合会農業協同組合連合会の段階におきましては金融事業経済事業とは区分され、また全国的な機構である農林中金と全国的な連合会とでは明らかにその間区分いたしていることは御承知通りであります。ただ最末端における農業協同組合におきましては、農村という広汎な地域に分散いたしております関係上、二つに区分することが理論的には正しいと思われるけれども、実際問題としてはかえつて実情に合わないのではないかという観点から、やむを得ざるものとして両者を兼営しておるわけであります。しかしながらごく最近における経験から見ましても、農業協同組合経済事業を営んでいるがために不測の迷惑を預金者に及ぼすような結果を招来した事例も少くないのでありまして、協同組合の再建整備につきましても、財政負担となり、納税者に負担をかけ、あるいは国会を動かしたというごく最近の事例から見ましても、想像していただけるのではないかと思うのでありますが、そういつた観点から、できるだけ経済事業金融事業とは区分してこれを兼営させることが一番望ましいと思うのであります。先ほど申しましたように、農業協同組合というものは地域が分散しているという観点からやむを得ず両者の兼営が行われている。都市におきましては信用金庫あるいは信用協同組合あり、相互銀行あり、いろいろそういつた便益もありますので、それらの方の資力の充実とかあるいは融資活動の積極化という面において、もちろん現在でも不十分でありますがより一層努力をするという方向で、都市ないしは農村以外の中小都市等におきましては、そういう観点から考えて行くのが至当ではないかというふうに存ずる次第でございます。
  27. 風早八十二

    風早委員 今のお話では、結局問題はいわゆる制度論に帰着しておると思います。元来金融というものは商売のためにあるので、商売をやりながらお互いに金融をやつておる、それがだんだん発達し、分化して金融機関というものが独立にできて、その方が便利であり、また実際能率的であるということで、それは当然の成行きであつたわけです。しかし今日実際に金融機関がその役割を果しておるかということが問題なんだ。これはもう先ほどからしばしば論じておりますから詳しくは触れませんが、結局伺いたいことは、大蔵当局としてそれではこの中小企業者金融関係をどうやつて実際に充足して行くかという点について、これにかわるべき積極的な一つの対策を簡單に示してもらいたいと思う。
  28. 福田久男

    福田説明員 中小企業に対する金融について、これにかわるべき対策というお話もあつたのでありますが、御承知のように中小企業は、普通の金融に比べて非常に危険性を伴うものでもありますので、できるだけプライヴエートな金融機関によつてこれを充足することが建前でありますので、相互銀行信用金庫等の資力の充実、融資活動の積極化という点について今後一層の努力を拂う必要があることはもちろんでありますが、そのほかに商工組合中央金庫あるいは国民金融公庫といつたような中小企業専門の金融機関につきましても融資の資金源の充実をはかり、その活動をさらに一層促進する、なお制度的にも検討を要する点が少くないかと思いますが、それらの点もあわせて検討を加え、あらゆる産業面において資金が乏しいと申しますか、不足がちな現状でありますので、中小企業といえどもしのんでいただかなけれどならぬ点はもちろんしのんでいただくとして、できるだけ資金的な援助、応援をするということで進んで参りたいというふうに思います。
  29. 風早八十二

    風早委員 今の御答弁はさつぱり私どもにはわからないのです。この金融機関というものが中小企業方面に対して実際役割を果し得なくなつたところに、この改正案にわれわれが信用業務を盛り込もうという趣旨があるわけです。これは本来からいつて、決してほんとうのいい対策ではありません。やはり金融機関にわかれたということは一つの進歩なんです。これは、金融機関が十分にその機能をはたしてくれればいいのです。ところが実際は果さない。銀行はもう中小企業者には門戸を閉鎖しておる。さらに今言われた商工中金にしても、国民金融公庫にしても、今日全体の中小企業者の何パーセントの金融を実際果しておるか。これが今日の実情なんです。そういうところから、やむを得ずみずから立つて事業者団体がその中で信用業務をやろうというところに、われわれの改正案の次善の策があつたわけです。ただ正道論の形式からそういうことはいけないあるいは農協に不始末があつたというようなことでありますが、私が先ほど指摘した通り商工中金にも、国民金融公庫にも、こういうれつきたる専門の金融機関に不始末はますます多いのです。今そのことを言つているのではない。そういうことは理由にならないということを言つておるのです。ですからやむを得ず最後に打たれようとしておるこの手に対して、大蔵当局がただ反対するだけでは、問題は少しも解決しない。中小企業者はどうでもよろしいということになつてしまう。その点について対案があるか。対案なしにそういうことをやつておるということでは、大蔵当局はまつた中小企業者金融を封鎖するということに断ぜられざるを得ないのです。そういう点についての対策を示してもらいたいということを私は言つておるわけです。どうもしかし対策もなさそうですから大蔵当局は大体そういうものだということをわれわれはさらに確認して、これで私はやめておきます。
  30. 中村純一

    中村委員長 他に御質疑はありませんか。——南君。
  31. 南好雄

    南委員 幸いに大蔵当局が御出席になりましたから、一つだけお願いしておきます。  風早君からもいろいろお話がありました。私は、あれは何としても組合相互の、不特定多数のものではない、特定音間の金融である、貧乏人がいくら集まつて金を預けるといつても、たいした効果はないじやないかという反対論も聞くのです。しかしそれさえも、やつてはいけないということのりくつにはならぬと私は思う。だから預金公共性を阻害するという大だんびらでは、今組合相互金融組合法の中に認めて行くということの、唯一の反対論にならぬと私は思う。こういう点くらいは、大蔵省の伝統の政策にたとい反対する結果になつても、中小企業金融ということをもう少しまじめに考えていただけば、当然認めてもらつてもいいのだ、私はこう思うのであります。時間があればこれは議院で修正してもよいとさえ思つてつたのでありますが、幸いにあなた方が出ていらつしやつたのですから、通産委員全部がそういうような気持でおることを体して、いま一ぺん局長によくお伝えおき願つて、もう少し真剣に中小企業金融打開に協力なさるように特にお願いして、私の質問を終ります。
  32. 中村純一

    中村委員長 他に御質疑はありませんか——他に御質疑がなければ、これより討論に入ります。小川平二君。簡單に願います。
  33. 小川平二

    小川(平)委員 ただいま議題となりました中小企業等協同組合法の一部を改正する法律案につきまして、自由党を代表いたしまして賛成の意を表するものでございます。今回の改正に際して取上げられました諸点は、いずれも中小企業等協同組合法実施の当初から強く要望しておつた問題ばかりでございまして、今回これが改正を見ましたことは、いわばむしろ遅きに失したと申しても過言でないと思うのであります。そこでこれらの諸点につきましては、私は無条件に賛成の意を表するものでございます。ただ一点遺憾でありますところは、先刻から問題になつております企業協同組合に受信業務を今回の改正に際してなぜ認めなかつたかこの点であります。この点につきましては、大蔵当局からも再三反対の論拠を示されたのでありますが、われわれは大蔵当局の御説明を承りましても、十分首肯に値する論拠が提示されておるとは思えない。これを実施に移す上におきまして、絶対的な障害となるような事情あるいは事実が存在するものとは考えられないのであります。私はこの点を深く遺憾とするものでありますが、しかしながら半面において、今回の改正は特にこれをすみやかに実施に移さなければならない事情が存在することでもありますし、中小企業庁長官は、近い将来においてこれを実現させるべく万全の努力を払うという言明をなさつておられるのでありますから、この言明に信頼をいたし、今後の努力に期待いたしまして本案に賛成をいたす次第であります。
  34. 中村純一

    中村委員長 山手滿男君。
  35. 山手滿男

    ○山手委員 私も改進党を代表いたしまして、ただいま議題になつておりまする中小企業等協同組合法の一部を改正する法律案に賛成をするものであります。本改正によりまして中小企業者の規模の基準を引上げる等の措置をし、あるいは広地域の連合会事業に関する制限を廃止いたす等の処置がとられるのでありまして、これらについては一応、私どもは何ら異議もないし当然かくあるべきものであると考えておりまして、賛成であります。現在中小企業が大企業の操短そのほかによりまして、遠慮会釈もなしに、下につながつておる中小企業が見殺しにされつつある実情にあるのでありまして、どうしてもこの中小企業者金融をつけてやらなければならない実情であります。中小企業者の困つている点は、一にも二にも金融の面にあるのでありまして、この信用事業を認める等の措置がやはりとられなければ、決定的なる中小企業者の福音にはならないと私は考えておるものでございまして私どももぜひ早急にこの点をさらに改正をし、改善をはかられたいということを要望いたしまして、賛成の意を表する次第であります。
  36. 中村純一

    中村委員長 加藤鐐造君。
  37. 加藤鐐造

    ○加藤(鐐)委員 私はただいま議題と相なりました中小企業等協同組合法の一部を改正する法律案に関しまして、日本社会党を代表して強い希望条件を付して、賛成の意を表するものであります。  御承知のごとく本法律は、終戦以来その特質として考えられておつた中小商工業者の結束力の弱さ、経済的にも、社会的にも、ともすれば脆弱になりがちな零細な個々の商工業者の力を一点に集中結束して、内は自己の実力を充実し、もつて組合員個々の力を培養し組合員同士の人的結合と親和を高め、外に向つては強力な大資本や大規模企業形態に対する自衛態勢を強化し、もつて資本主義制度固有の弱肉強食の原理を未然に破砕せんとして試みられたものであります。  しかるに、同法が制定公有されて後の今日までの実情は、われわれが考えた、あるいは自由党政府が呼号したごとく、これら群小の中小商工業者根本的に救われたかどうか、また本質的に強靱な耐久力を涵養せられたかどうかまことに疑いなきを得ないのであります。問題の核心は、本改正案に見らるる法案の末梢改正によつて根本的な解決とはならないのでありまして、同僚今澄勇君よりもわが社会党の方針を述べましたごとく、これが解決に真に、中小企業者理解ある努力をいたさなかつたというのが現実の姿であります。ことに関係官庁たる大蔵省銀行局、通産省中小企業庁当局者すらも認めざるを得ないようなやみ金融機関たる相互銀行などへの政府出資、しかも中小企業組合の真の親銀行たる商工組合中央金庫などには、わずかに六億しか増額してみない。その裏面の事情は詳しくは存じませんが、まことに不明朗な印象を一般に與えておるのであります。さらに、現在大蔵委員会に付託せられ審議を進められている長期信用銀行法案による興業銀行並びに勧業銀行第二会社などによる大企業の長期資金源の拡充には寧日もない努力ぶりであるにかかわらず、中小企業の長期資金は、全然考える余地もないといつたような大蔵当局の言明に至つては、まことに唖然たるものがあるのであります。もちろん、かかる認識不足の大蔵官僚にとつては、中小企業の長期資金などはもつてのほかであつて、短期資金すら、全然お話にならぬありさまと申さなくてはならないのであります。  さらに先般の信用協同組合の員外預金制限の問題、信用保証協会の大蔵大臣の認許可、地方財務局長の監督など、また今度の事業協同組合の員内相金の問題、数え上げればきりのないほどのいらざる干渉と申すのほかはないのであります。自分の組合に不信な幹部のいるのに預金をするばかな組合員はいないのであります。政府がた泥の一銭も融資してやるわけでもない地方の信用保証協会に、何のいわれがあつて大蔵大臣の認可や、財務局長の業務監督がいりますか、まつたく潜上さたの限りであると申さねばなりません。彼らは、口を開けば預金者保護とか、金融機関体系の一元的整備という言葉を申すのでありまするが、事業協同組合の場合など、預金者は一般大衆ではなくて、おけ屋とかふろ屋の組合員が自分の組合預金するのに、何の必要があつて預金者保護という言葉が出るのか。よけいなおせつかいである。農業協同組合の前例をよく引合いに出されるが、あれは全然意味が違う。しろうとの農協組が、ふなれな繊維や衣料品や雑貨に手を出し、おまけに、生産過剰が襲いかかつて来たので失敗したのであつて事業協同組合の例にはたらないわけであります。第一、かかる貧弱な組合の乏しい自己金融をすらも金融機関云々のわく内に縛りつけてしまうこと自体がナンセンスであるといわなければなりません。一元的金融機関の統制という字句の中にある機関ではなくして、中小企業対策の一環としての、ささやかな自己金融にすぎない。しかも頼母子講や無盡と違つて企業という実体を持つた、いはば片手間の金繰りにすぎないものをも金融機関などと大げさに頭ごなしにきめつけること自体がまつたくおかしい。  さて、以上を通覧しまして、われわれは政府が今日まで中小企業に対してとつて参りました諸方策を見ますと常に場当り的な彌縫策に終始しまして一貫した方針が全然とられていないことであります。今日、中小企業経営のがんは、統制のはずれた今日では、すべて金融面の裏づけのみでありましてこの背骨を抜きにしましては、万般の策も二階から目薬であります。ただ私どもは、五月ごろから始まる、全国の零細な協同組合の総会が開催せられまする日の目睫に追つてみるのを知つておりまするだけに、員内預金を認める修正案を、出来るだけ早い次の機会に提出することを条件として、本改正法律案に賛成するものであります。
  38. 中村純一

    中村委員長 風早八十二君。
  39. 風早八十二

    風早委員 中小企業者にとりまして今日の問題は税金が安くなることと、金が借りられることの二つであると思うのであります。そのほかは企業努力でどうにかりつぱにやつて行けるのだ。税金の問題につきましては大蔵委員会の方に讓りまして、ここでこの金融の問題についてわれわれの所見を述べたいと思います。  大蔵当局は、今回の法案質疑応答の際も、常に制度論から金融機関事業を行いまた事業団体が金融業務を行うということは感心しない、大体こういう建前からこの金融業務中小企業等協同組合によつて行われるということに対して反対して来られたのであります。なるほどこの制度論からいいますと、金融機関事業団体が分化するということは、一つの必然の方向であつたわけです。しかし実際問題としてそうやつてわかれた金融機関が、今日はたしてその分業の機能を果しておるか。この点はすでに質疑応答の際にも指摘いたしました通り金融機関は出小企業者に対して門戸をとざしておる。この点は零細な金融をやつておる国民金融公庫にしても商工中金にいたしましても、五十歩百歩でありまして、これらは中小金融機関といいながら、実際に中小企業者金融の機能をあまりに少ししか果しておらぬ。そういう実情がありまして、そこにこの協同組合に対してわれわれが信用業務遂行の権限を與えるという主張を年来して来ておるわけであります。この点がもしこの法律に入らなければ一番かんじんなことが抜けておるということになるのでありまして、われわれはこの法律改正の意義というものがなくなつておるとさえ考えるわけです。そういう意味では、通産委員がこれに全面的に反対して、それによつてかえつて真の改正を促進させるということの方がむしろいいのじやないか、私はそう考えておるわけです。しかし遺憾ながら今の通産委員会事情からいたしまして、與党、自由党の委員諸君は圧倒的多数でおり、かつわれわれとこの点に関してはまつたく同じ意見であるのにかかわらず、あえてこれをどこまでも品促進させるために、この法案反対するというところまでの勇気を欠いておられる。そこに問題があるわけでありまして、いたずらに私ども中小企業庁当局を責めるわけには参らないと思う。この点についても実は通産委員同僚諸君に対してもう一層の勇断を要望したいと思うのであります。しかしながらこの法案はそれを除けばもうないかというとそうではないのであつて先ほども各党の代表が言つておられますように、確かに組合員たる中小企業者の規模の水準を引上げるとか、あるいはまた広地域の連合会事業に関する制限を廃止するとかいうような、これは目下要求に対して適切な改正がなされておる。こういう点を同時に抹殺してしまうということは、今日の実情に即しないという意味において、私はこれに対してきわめて不満足ながら賛成の意を表したいと思います。ただこの提案理由の第三、第四に指摘してありますところの、この員外役員の選任の問題あるいは総代会の権限を拡充する問題、こういう点につきましてはまたその一面に弊害なきにしもあらず、いわゆる組合ボスの跳梁、こういうことが起る危険性もここに伏在しておるということをここに指摘したい。そういう点ではまた監督官庁としても十分な監督を希望したいと思います。さらにその監督の点でありますが、官庁の監督権というものがいたずらに官僚主義的に強化せられるということにつきましては、これはもちろんわれわれは絶対反対でありまして、あくまで中小企業者の自主的な運営、自主的な向上というものが最も望ましいのであります。そういう点についても当局は十分に留意されんことを切望してやまない次第であります。これらの要望なりあるいは希望条件を付して、私は本法案日本共産党を代表して賛成の意を表するものであります。
  40. 中村純一

    中村委員長 これにて討論は終局いたしました。これより採決に入ります。本案に賛成の諸君の御起立を願います。     〔総員起立〕
  41. 中村純一

    中村委員長 起立総員よつて本案は原案の通り可決いたしました。  この際お諮りいたします。ただいま議決いたしました議案の報告書作成に関しましては、委員長に御一任願いたいと存じますが御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  42. 中村純一

    中村委員長 御異議がなければさようとりはからいます。  本日はこの程度にて散会いたします。明日午前十時より開会いたします。     午後零時七分散会      ————◇—————