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松永政府委員 たいへんむずかしい御
質問でありまして、長く申し上げるほどの大きな
考えも持ちませんけれども、卒直に、自分としまして今度
聴聞会に出ました感想及び新聞等に出ます各種の
政府の御
意見等——もとより新聞と同一ではないと私は存じておりますが、さようなことも幾らかあることであろうという
考えで、これに対する
考え方を多少申し上げてみたいと思います。
私は、
公益事業委員会をつくられて電力行政を今のようにしておられるということは、吉田内閣の施政中最も偉大なる功績であろうと存じております。むしろ
政府にもしこれをこわすという
考えがあるならば、それは自分でつくりつつある玉をみずから傷つけるものであると申すよりほかないと思います。もとよりポツダム政令によ
つて生れたそのことが、あるいは
政府当局の気に食わぬ、また世間も一種の
考えを持
つて気に食わぬということはありましようけれども事実において
公益事業委員会が始まり、再編成が起りました後はたびたび議会でも主張しましたように、旧来延期しておりました
水力電気の開発を促進し、二十五年にわずかに二万何千キロの
水力の開発があつたものを、約二十八万キロに急ぎ上げ、さらに二十六
年度の計画を推進し、二十七
年度にこれを及ぼし、さらに五箇年計画を三十一年まで及ぼして、三割以上のロスがあるものをおよそ三十年ごろになれば二割四分
程度に減らすということを目標にして、各所て奨励しております。現在におきましても三割強のものは二割六分九厘くらいの
程度に減少しております。
電源開発につきましても相当の方法をも
つて外国の技術者あるいは国内の専門家の顧問を招聘し、あるいは
電源開発調査委員会に多額の
政府資金並びに
一般の資金を投じてする電力開発の方法を尋ねている。ただこの再出発が遅れ、再編成が遅れましたために
水力が足りない、しかもこれをただちに特需
産業等の急激なる
増加に
割当てるという三千キロ以上の
割当制度の存在していることが、多少先刻から申し上げた混雑の原因の
一つにな
つておりますけれども幸いに安本の諸君も御了解くださ
つて、おれの方はあまり
料金などは文句を言わぬということはたびたび
お話にな
つておるのでありますが、しかし文句というものは、言えばいろいろりくつはあるわけですから、いまだに
お話にな
つておる。けれどもここはさようなことを討論する場所でもないと思いますから、これは私たちの方で解決したいものだと思う。私は
公益事業委員会のことについて側面的な
お話をして、自分の所信を申し述べておきたいと存じます。
関西電力の
聴聞会におきまして、二名の
利害関係者からこういうお言葉が出ました。
公益事業委員会は新聞の伝うるところによ
つても余命幾ばくもなしと言われておる、つまりお前方
公益事業委員会は
値上げを置きみやげにして
電力会社に恩恵を授けて何か都合のいいことがあるのだろうというお言葉を聞きました。一回くらいであれば、むろん
聴聞会は
意見をよく聞くだけでありますから、別に申し上げる次第はないと思いますが、二人の方から続いて
お話がありましたので、大阪の
聴聞会を七時過ぎに終りましたときに、私は最後にこういうごあいさつをした。
利害関係者の御討議は十分
検討いたします、ただお言葉の中に、
公益事業委員会は余命幾ばくもなし、それが置きみやげに
値上げをするのかということに対しては、多少誤解があると思いますから、所感を申し述べて退席したいと思います。余命幾ばくもなしというのは、
委員長代理をし、今日の議長をしておるこの
松永安左衛門こそ余命幾ばくもないのであります。これが
電力会社にこびて置きみやげに
値上げをし、
国民の恨みの的とな
つてあした棺おけに入るなどということは、常識的にも
考えられぬことであります、余命幾ばくもないというのは
松永のことであるとお
考え願い、かつ益事業
委員会はいつも
値上げに賛成する、
国民の敵であるとお
考えになることは、私は
国民の自負心あるいは自尊心をみずから傷つけられるのではないかと思いますから、一応この点を
公益事業委員会のために弁明しておきます。
公益事業委員会のよ
つて起つたのはむろんポツダム政令ではあるが、元来
公益事業は、電話にしても、電燈にしても、ガスにしても、あるいはその他中小工業にしても、国家の権力の一方的判断で決定するのではあまりに
国民は不安を感ずる。どうしても社会の秩序、安寧を守る
国民の輿論及び
利害関係者の力というものが政治権力のほかに相当働く必要があることから、アメリカのごとき二十何年間
公益事業委員会があつたにかかわらず、時の選挙によ
つて一方に偏することのあることは弊害ありと見て、たしか二十三年ごろフーヴアー・コミッシヨンをつく
つて、トルーマン氏がすべて
公益事業に関する規定を変更し、そうして政治的権力の外にこれを独立せしめて、民衆に
聴聞会を開いてその
意見を聞いて、
料金の
値上げをもし言うて來たら、これを拒む権利を與える。あるいは
利害関係者、あるいは
需用家において
料金を下げてもらいたいという
陳述があつた場合に、これは妥当なる
申請であるということを聞けば、一人の
申請といえども、この妥当性を認めた限りは、公益
委員会自身がただちに
聴聞会を開いて今回は被告か原告かどちらか知らぬが、値下げを要求する民衆が原告の位置に立
つて、事業者を相手取
つて聴聞会を開いて、その両方の
理由を判断して、
〔多武良
委員長代理退席、
委員長着席〕
関係官庁あるいは議会等の御
意見をさらに聞いて、適切なりと思う点において、何ら政治的作用に動かされることなく——もつとも政治的と申しましても、大きな意味の政治でなくて、政権と申しますか、
一つの力に動かされることなく、正しい政治、経済のあり方によ
つて判断する何らかの機関が将来必ずいることを期待しておるのであります。イタリアのごときも、そういうものはなかつたのが、最近つくられた。あるいはイギリス、フランスのごときも、だんだんその職制を改めて、西欧諸国の
公益事業は、それと連絡して来ておる次第でありますから、今日においては、何だか公益
委員会が
値上げの公益
委員会のようにおぼしめすが、他面何年かの後には、値下げを断行する公益
委員会がなければならぬということだけをどうぞ、私は余命幾ばくもないけれども、皆様お若いのだからよくそれを御記憶を願いたいということを申し上げたい。これは私が心から、さような中正な社会的並びに政権的権衡を保つ
公益事業委員会、名前はどうでもかまいませんけれども、閣議できめたらそれでよろしいという、ちようど米の
値上げのような場合に、一方的に、
国民の輿論を聞かずしてきめることのできないようなものが、何か存在することをただいまも
希望しています。