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葦澤政府委員 鉄鋼の
需給の問題から、
操短の問題が出るのではないかというお尋ね、ごもつともなことと存ずるのでありますが、私
どもは
鉄鋼の
需給は現在のアメリカを中核といたしました
世界の
軍拡ベースというものが
変更のない限り、
底流といたしましては
相当強いものがあるというふうに考えておるわけであります。と申しますのは、
日本の
鉄鋼が昨年の秋ごろから
西欧諸国の方に
輸出になりました。特にイギリスとか、ベルギーとか、西独とか、スエーデンとか、
国内価格が
日本より
相当下値のところに
輸出が始ま
つたのは、やはり
西欧諸国における
軍拡ベースというものが、
鉄鋼の需要を現実に示して来たというふうに考えるわけであります。ただ御
指摘のように濠州の
輸入制限の問題とか、あるいは
ポンド圏に対する一時の
措置といたしまして、
鉄鋼の
輸出のわくをつくるというような
事態は、
鉄鋼の
需給のほかに起る
為替その他
貿易上の
措置から参ります問題で、むしろ
鉄鋼の
需給とは逆な
方向に行
つておるというふうに私
どもは考えるわけでありますが、いずれそういつた
貿易上の問題、
為替上の問題は根本的に解決される時期が参りまして、
鉄鋼の
需給も本来の
底流たる強固なものがまだ続くのだというふうに存ずる次第であります。
川鉄の問題につきまして御
指摘が、ございましたが、そういつた
意味において数量のことはさることながら、新しい
合理化された、近代化された
設備をつく
つて古い
設備に置きかえて行くという
意味におきまして、現在の
鉄鋼需給ベースの中においてやはり承認さるべきことであるというふうな
考え方をいたしておるわけであります。もちろん
経済、特に
価格においては御
承知のように一高一低、軟調を示し、また
相当強い調子を示し、
起伏はございますが、目前の
起伏は別にいたしまして、少し長い目で見ますときには、
鉄鋼の
需給についてはただいま御
指摘になりましたような、ほかの
ゴム等の問題とは少し趣を異にしておるというような
考え方をしておるわけであります。