○岩武
説明員
自家発電の問題は実はいろいろな
関係で非常にむずかしい問題が多いのでございまして、今お話がありました割当との
関係あるいは自家発の動員との
関係等が当面問題にな
つておるのであります。根本としまして、自家発はいろいろな業態の特殊性に応じて、あるいは石炭等におきましては粗悪炭をたくとか、化学
工業におきましては自分の
工場で操業上使う蒸気を、その前において圧力を上げて発電して使うとか、あるいはセメント、製鉄等ではキルンや高炉の余熱を
利用するということで、これも操業上密接な
関係があるわけであります、いずれにしましても、自家発のうちで火力の方は比較的
工場の操業と密接な
関係があるのでございます。従いまして自家発の稼働は大体は
工場の操業と
関係してこれが稼働して参
つておるというような
状況にな
つております。ただ戦後石炭
価格の高騰等に伴い
相当原価が高くな
つておりまして、結局受電しますよりも自家発をたく方が
相当高くつく。場合によ
つては、現在のような超過料金
制度のもとにおきますと、超過料金よりもさらに
コストが高いというようなものがあるようでございます。これは設備が電力本来の目的ではなくて、むしろ
工場の操業上ある
程度の制約を持
つているという点もございますし、また容量が小さいとか、形式が旧式であるとかというようなことで非能率な所もあると思います。お話がございましたように今後幾ら稼働する電力があるかという問題でございますが、大きく見て大体この下半期に約二億キロワツト・アワー
程度はさらに出るのじやないかと考えております。石炭に換算しまして約二十万トン
程度でございます。片方
電気事業におきましては、日発時代もそうでありましたが、ことに再編成後になりますと
電気業者は自分の設備を動かしてこれでそろばんをと
つて参る。需用に応じてどうしてもキロワツト・アワーが足りない場合には、他人の発電所に臨時に発電を委託して自分の供給力をふやすという形で、若干は事業者以外の発電所も
利用しておりますが、実態はやはり自分の
施設だけでそろばんをとるということにな
つて参るのでございます。と同時に火力の問題につきましては、これはたけばたくほど
コストが高くな
つて赤字になる。これはひとり自家発に限りませんで、
電気業者も同様であります。ただ
電気業者のはある
程度年間の供給計画を見込みまして
相当数量の火力発電分を水力とプールしまして、あらかじめ
コストがきまり料金が定ま
つて参るということが違うのでございますが、それ以上のものになりますと、自分の火力をたきましても、あるいはよその自家発から買いましても、やはりそれだけ料金の高騰を来して参るのでありまして、結局のところ
電気業者の発電所以外の火力発電所をうまく
利用する一番経済的な
方法は、そういうものをプールして全体の料金原価の中に見込んで
相当量の石炭をたくということか国全体としては一番経済的だろうと考えております。そういう見地で、戦時中でございましたか戦後でございましたか、一時日発時代に自家発を特殊会社たる目発の一部と考えまして、これから買いとるという形で、それに国がある
程度補給金を出して奨励した時代もあつたようであります。現在はそういうことが許されませんので、結局はあらかじめ事業者以外の発電所から買いとる
電気料を見込んで、これを料金の中に繰込んで参るということにいたしますれば一番経済的に参るわけでありますが、この前の料金の改訂のときにはある
程度のことしかできておりませんので、お話のような広く自家発を動員して参るということは現在の料金体制からは
相当無理があります。実は安定本部としましても特殊な地点においてはそういう必要も必ず冬場では出て来るだろうということで、聴聞会等におきましてもその旨を主張しましたが、当時はむしろ需用家側から一円でも安い方がいいという
理由が多くて、われわれが考えたような自家発を積極的に動員して料金の面へこれを繰込んで行くという主張は貫けておりません。
従つて根本的には自家発の問題を解決するには非常に不適当な時であります。そう言
つてもこの秋みたいな異常渇水になりますと、自家発の比較的稼働しやすいものを遊ばせておくのは経済的に申しましてももつたいない話でありますので、何とかして少し動かそう、それには国としても何とか考えてみようということで、いろいろ考えて参りましたが、結局は
電気需用者の料金の中にプールして参るという形をとりませんと、国が自家発の所有者に対してすぐ補給金をつけるということは予算上なかなか参りませんので、現在のところでは九つの電力会社の供給力の中にプールして参るという形しかとれない
状況でございます。それで実はわれわれとしましてはどの
程度を見るかという問題が一番問題になります。結局は全然稼働しておらない火力発電所を炭をつけまして新たに動かして参る。これを事業者の送電
施設を
利用しまして
一般供給の中に持ち込んで行く。これが俗にいう委託発電でありますが、これはこの秋あたり
相当広く行われておりまして、
電気事業者におきましては、かなり今まで
予定しなかつた発電所を動かしているので悟りまして、これは自分の発電所と同様に使
つて参つているわけであります。
その次に問題になりますのは先ほどちよつと御
質問の中に出ましたが、ある
程度は
工場の操業上必要だから従来ともたいているが、制限その他の
関係から十分に参らないからさらに一層発電量をふやして参る。そのときにふやすについての何がしかの利益は見るであろうというお話でありますが、これは一番問題となるところであります。その点につきましては、これは本来から申しますと、
電気事業者と何ら送電
関係はないわけであります。
従つてこれを委託発電として扱いますと
電気事業者の買取りという形を擬装することになりまして、結局これは料金計算の問題だけの話になりますが、擬装でもよいからとにかくたきやすくしようではないかということで、供給力をある
程度たいてふやして、そうして受電を節約できる、その限度に応じてこの差額を、
電気事業者が買い取
つて売り渡したという擬装の送受電を行いまして、これを
電気料金の中に持ち込もうという構想しか実はないわけであります。そこでその構想である
程度自家発電所有者が増強しました分を見て参ろう、つまり標準料金と超過料金ないしは自家発原価との差額を補償して参ろうということになるわけであります。むしろこれは超過料金と標準料金との差額の補償になるわけであります。そこでそういうような大体の構想をもちまして十月の十一日でございましたか、閣僚懇談会等に非常に漠然とした考えではございますが、安本から一案を出しまして
関係閣僚並びに松本
委員長の了承を得たわけであります。そこでその細部の問題になりますが、結局そういうふうな増加分によ
つて受電を減らした点をどの
程度考慮に入れるかということが実は問題になりまして、ただ一応割当ということが標準に考えられまして電力量の割当は、先ほどお話がありましたが、割当までが供給の義務があるのではありませんで、割当以上に料金を払えば供給の義務があるわけでありますが、ただ目安といたしまして一応割当量を使わぬで済んだ分を委託発電として見よう。なお制限がありますときには、実は制限以上は使
つてはならないということが需用者に対する義務になりますし、また
電気事業者に対しましても制限量以上は供給する義務もないし、またしたら
電気事業者自身も違反になりますので、
従つて制限量以下に受電を押えたこの差額を見ようじやないかという結論にな
つております。こういう案で一応
公益事業委員会並びに
通産省の方に交渉しておりますが、実はなかなか結論を得ておりません。結局擬装の送受電を仮定しまして、その差額を料金にしわ寄せて電力会社の経費で見るということになりますと、若干理論構成上に無理がありますが、その辺でひとつ
産業界の方の自家発稼働の努力、
電気事業者の経費の負担と調和しまして、何とか自家発を少しでも多く動かす方向に持
つて行きたいと考えております。
それから今まで動いてない発電所のまるがかえ委託発電所の問題がありますが、これはそう問題はありませんで、ただ今まで遊んでおりますといろいろ動かすに際して修理その他である
程度の経費がかかるようでございます。こういうような経費をどういうふうにして持つかという問題が残るのと、もう一つは炭つけの問題、つまり所要の石炭を確保するという問題が、これを
電気事業者がやるかどうかというような問題がありますが、その辺の比較的細部の問題で大体まるがかえ発電所の方は話がつきやすいようであります。いずれにいたしましてもそういう形で何とか発電力をふやして参りたいと考えております。
なお割当との
関係でございますが、この下期みたいに常時制限をかけておりますと、割当の
関係は比較的問題が薄れて参りますが、これも実は豊水期におきましては
相当な問題もございまして、割当というものは先ほど申し上げましたように、ただ安い料金で使える
電気の量の区分でございますので、結局はこれも自家発の
コストとの兼ね合せの問題でございます。そこで今まで自家発をたいておつたのをどの
程度割当のときに見るか、あるいは全然見ないかという問題もございます。これも発電所の特殊性によりまして、先ほど申し上げましたように、炭鉱の自家発のような場合と、セメント、鉄あるいは化学
工業、紙、パルプといつたものとの業態は大分違
つて参りまして、極端な議論になりますと、全部自家発はないものとして均等に割当しろというような
意見も一方にございます。また片一方では自家発にたける限度をある
程度見て、それを差引いた残りを割当しろというような議論もございます。また割当の作業中におきまして安定本部で業種別に業種の割当量を計算する場合、
通産省その他需要担当官庁でいろいろの
工場について割当をする場合とまた違
つて参ります。
従つてなかなかそんな議論をしてお
つても始まりませんので、結局はどこかでいいかげんのところで妥協して、理論的にある
程度割切れなくても妥協して行かなければ問題は解決できませんので、一案としましては今まである発電所については、過去、前年に大体動いていた
程度の
実績を一応差引いて、残りを割当するというように考えたらどうか。新しくつくつた場合とか、あるいは今まで遊んでおつたようなものについては、これは美は生産の方の増加との見合いの
関係もありますので、生産が増加した分とマツチすれば、これは別段割当を変更云々は起りませんけれ
ども、生産はふえないのに発電所だけふやしたということは、むしろ大いに奨励すべきことなので、その分は割当に対しては別段考えない、つまりそれだけプラスになるわけであります。そういう形で行きたいと考えておるわけであります。これもなかなかいろいろ計算の仕方等につきまして、需要担当の官庁と
公益事業委員会との間に大分
意見の相違もありますので、これもなお結論に達しておりませんが、一応そういう形で自家発の設置の奨励の面を片づけて参りたいと思
つております。なお自家発につきましては今後新設する場合等におきましては、
開発銀行の
融資等も積極的にあつせんしておりますので、その割当の方の
関係と、
資金の方のあつせんと両々相まちまして、何とか自家発の方もできる範囲で水火力ともに奨励して参りたいと考えております。
それからついででございますが、自家発の中にデイーゼル発電が大分最近ふえておりますが、これは電力制限の一つの自衛行為みたいなわけでございますので、こんな小さなものを一々取上げて割当てたとか、制限したと言
つても際限がありませんから、これは全然オミツトして考える。今申しましたことは結局火力発電に大体限るというように御
承知を願いたいと思
つております。