○鍛冶
委員 私は田渕君の動議に賛成の意を表明いたすものであります。
まず
風早君の五月六日の本
会議場においてなされたる演説を大約いたして申しますると、全部
虚構の事実を連ねまして、これを大前提として、警察並びに
政府の
行為を攻撃した。ただ單なる攻撃ならば、
梨木君の言われるように、われわれはあえ言うのではありませんが、許すべからざるものである。警察は計画的の殺人
行為をやり、
政府は殺人を命じた、これでもなお足りないで、これ以上殺人をやれと
言つておる。かようなことを連ねまして、今日
日本国民で心ある者
——特殊の者はこれは人間が違うのだから別だ。そうでない者、常識を持
つておる者はまことに許すべからざる騒擾であるとして、
国民最もこれをきら
つております。かの五月一日のメーデーを悪用いたしまして、皇居前広場で犯したあの騒擾事件を正当なこととし、さらにかくのごとき
行為を慫慂して、なお一層かようなことを起すような言辞を弄されるに至
つては、これほど大きな議院の秩序を乱し、議院の品位を下げるものはないのでありまして、これは国会法に基いて極刑に処すべきものだと
考えておるのであります。私は以下その実例を二、三あげまして、私の述べますることの正当なることを裏づけしようと
考えるのであります。
その第一は
——これは最初から
言つておるのでありますが、「メーデー当日、約十万の大衆が人民広場に向
つて正々堂々行進したのは、正当な
権利の行使であることは明白であります。」これが根本だ。メーデー当日人民広場へ行
つて権利の行使をや
つた。こう言うからには、メーデーを悪用いたしまして、メーデーの正当なる示威運動から離れて、不規則なる行動をも
つて、そうして禁止されたる所へ突入したのであります。そこで問題は、裁判ではあの広場を使わせるのは正当だと
言つた、であるから入るのは正当なる
権利の行使だ。ここに共産党の本体が現われておるのであります。正常に使われるものならば、使わせるのがよろしいというのが、これが裁判所側の普通一般の
考えだ。けれども、この当日は、メーデーを悪用して、ここで暴動を起すであろうという疑いは十分にあ
つた。このような疑いがある以上は、行行政処分としてこれへ入ることを禁止するのは当然の
行為だ。この禁止を破
つたことが、法律に違反したものでなくて何でありましよう。ことに、メーデーの主催者とは、この広場は使いません、ほかの所を
使つてこのようにやりますという十二箇條の契約ができておるんだ。彈圧であるならばなぜそういう契約をしたか、島上君自身はこれを守
つてや
つたんだと
言つておる。この契約に違反し、この
條項に違反し、この命令に違反して突入したる者は、これを取締り当局として防禦しなければならぬことは当然であります。これを正当なる
行為であり、正当なる
権利の行使であるというに至
つては、この一言をも
つてしても、まことに許すべからざるものである。
しかして、このような不法不当の
行為をなしておるにもかかわらず、「しかるに、
吉田政府は、無謀にも計画的に日数千の武装警官をこの広場に配備し、
━━━━━━━━━━━━━
しかして、このような不法不当の
行為をなしておるにもかかわらず、「しかるに、
吉田政府は、無謀にも計画的に日数千の武装警官をこの広場に配備しておる。今言うように、禁止したる
地域へ入
つてさえ来なか
つたら、警官は絶対に手を出さない。これが第一だ。破
つた以上はこれをとめるのあたりまえだ。しかもこれはこの国会で、法務
委員会でも行政監察
委員会でも明瞭にな
つておる。武器も何も使わないで素手で押さえた。わずか二百十名の警官があの祝田橋で押さえたところのものは数千だ。これは
風早君の
言葉をかりて言えば十万だ。われわれは数千と申しておる。これをとうとう突破した。突破して遂にそれがどこえ行
つたかといえば、今田渕君が言われたように、二重橋の前へ行きまして、二重橋の前の垣を打破
つて二重橋を渡らんとした。ここで初めて警官隊と衝突を来したのであります。けれども、このときは粗なる衝突だ
つた。それでどうにも方法がないというので、予備隊々々というので来て、初めて警官隊が二千何百名にな
つてこれを押した。それにもかかわらず、これに対して竹やりを持
つて来る。はなはだしきはほんとうのやりを持
つて出て来る。(「そんなことは
一つもないじやないか」と呼び、その他発言する者あり)それで遂に進駐軍の車に対して火をつける。これに暴行する。かくのごときことを黙
つて見ていたら、これこそ警察としても権能を失
つてしまう。でき得るだけのことをや
つて、なおかつ彼らが抵抗する以上は、多数に少数ではかなわぬから、しかたなく武器を持
つてや
つた。やむを得ずや
つた行為で、これを━━━━だ、計画的にや
つたというのは、逆にこれを持
つて行
つたものであ
つてこれは許すべからざる言動と申さなければなりません。その他たくさんありますが、これらに対してどうしてかような言を吐いたのかと聞いてみれば、まことに荒唐無稽です。いよいよ行き詰まれば答えぬ、か
つてにせいと言う。これはすてばちだ。かような、彼らが国会における言論の自由を言いながら、その自由をみずからは行使して、そうして
相手の自由を束縛するというがごときは、これこそ
風早君の
言葉をも
つて言えば、まことに片腹痛いことである。かくのごとき言動を
懲罰にしなか
つたら、これは
懲罰の規則というものはま
つたく無用に帰します。かような場合に適用するためにこの規定が置かれておるのである。
なお私は一、二申し上げますと、先ほども
言つたが、ま
つたく許すべからざることは、「しかるに、木村法務総裁は、これでもまだ警察のやり方が手ぬるか
つたと放言いたしましたが、
政府はまだ
日本人民を━━━━━━のであるか。人権尊重に対する法務総裁の所見をただしたい。」木村法務総裁は、もつと
準備をして、これを押えればよか
つたが、
準備が足りなか
つたということは
言つております。
言つておりまするが、人民を殺せというがごときことは、絶対に
言つてないことであります。ことにいわんや、
政府が
日本人民を殺せというこの断定のもとに、この言辞を吐いている。かようなことはあり得べきことではない。もしあ
つたとしたらば、われわれはこの
政府に対して容赦ならぬ。何人も容赦せざることです。そうだというならば、ないにもかかわらず、これを言うた者の責任まことに甚大なりといわなければならない。われわれが先ほど来どれだけ
根拠をつきましても、出て来ません。はなはだしきに至
つては、何やらがそういうことにきめた、
会議の結果そういうことに認めた、さようなことをも
つて、実に容赦ならぬことを彼らみずらが断定して
言つておるのであるから、これがなか
つたとしたら、彼らみずからそれに対する責任を負わなければならぬことは、当然のことであります
その次に、もつと容赦ならぬことは、「多数の遺骸を隠しておる。これこそ、盗人たけだけしい限りであるばかりでなく、天人ともに許すべからざる非人道
行為であります。」
諸君、この
通りに遺骸を隠しておる、かような事実があるならば、ここに言われる
通り、天人ともに許すべからざる非人道
行為であります。しかし、かようなことがないにもかかわらず、盗人たけだけしいとか、天人ともに許すべからざる非人道
行為だとか断定したその言うた者の責任、まことにこれ以上重大なるものはないのであります。そこでどこに
根拠があるかというと、これは何やらに書いてあ
つて、そうみんなが言うてお
つたから私も
言つた。みんながこう
言つておるが、かような事実があるかと、こう言うならば、われわれはあえてとがめませんが、それにもかかわらず、さような荒唐無稽な
言葉をかりて来て、これは隠したものであるというような、天人どもに許すべからざるものであるなどと断定する。神聖なる議場においてかくの。ごとき言辞を吐いたに至
つては、まことにこれは議員として許しておけない。この点は断定いたします。
もう
一つ、先ほども
言つたが、「大衆の抵抗は、この━━━に対する正当防衛であり、民族的憤激の爆発であ
つた」というのである。これもまことに実に重大なる発言でありまして、第一に、先ほどから
言つたように、不穏の形勢あるがゆえに、これは入れないとい
つて、とめたにもかかわらず、これをぶち破
つた。ぶち破
つた行為を、これは民族的憤激の爆発であると
言つておる。これは暴力をも
つて社会の秩序を乱した
行為であります。騒擾罪であります。その騒擾罪を民族的憤激の爆発だと言うに至
つては、騒擾罪をやることが
国民のなさなければならぬことだと
言つて、この犯罪
行為を正当
行為と彼らはむしろ認めて、これを
国民に挑発しておる
わけであります。これはま
つたく共産党の使命とする暴力革命をやらなければならぬものであると、
国民の前に国会を通じて言明したものである。許すべからざることである。暴力革命はいいという
諸君ならば別だが、
日本国民の大多数、ほんの君らの特別の者以外は、さようなことはも
つてのほかだと
言つている。これ以上大きな犯罪はないと認めておるにもかかわらず、これを
国民の憤激の爆発だと言うごときは、第一に許すべからざることだ。
その次は、今
言つたように禁止区域を暴力をも
つてぶち破
つた。何の抵抗があ
つたか。人民広場の抵抗の少いところに無理に入
つて行
つた。これを名づけて正当防衛だ。これは犯罪を正当なるものと言う弁護論と同様であります。裁判所におきましても、かようなことは言えない。この
通り明白に命令を暴力によ
つて突破したものに対して、正当防衛と言うに至
つては、許すべからざるものだと断言せざるを得ないのであります。
その他あげれば数限りはありませんが、要するに、
虚構の事実を連ねて、しかも不法なる
行為を正当だと名づけ、そしてありもしない事実をも
つて官憲を罵倒し、
政府を非人道である、許すべからざる反逆
行為だと言うに至
つては、これは許すべからざる言動であります。かようなことを神聖なる議場で
言つたとすれば、その
言つたことに対して、相当重大なる責任のあることを彼みずからがもちろんさと
つて言つたものであると断定せざるを得ない。それがいよいよ詰められれば、か
つてにせいと言うに至
つては、捨てぜりふを
言つたのでありまして、まことにどうも許しておけないことである。
その次は林君の点に入ります。林君はこの
弁明で、しばしば私は日台
——われわれは
日華條約と言うが、
日台條約に反撃した、そのことがいかぬというて
懲罰に付せられた、さようなことを
懲罰にかけるものではないと言うが、その演説に名をかりて、許すべからざる言動をや
つておる。われわれはこれを責める。第一番に、国会法第百十九條にいわゆる各議院において無礼の言を聞いたものとして、
懲罰に値するということが
一つ。こう
言つておる。「━━━━━━━━━━━━━━━━━」というのである。
政府という抽象的観念のものは、一片の良心を失
つたり、馬丁にな
つたりする
わけはない。これは個人のことを言うてみれば、
吉田政府を構成している各閣僚をさして言うておるものといわなければならない。この閣僚に対して、いやしくも国政を真剣にや
つておるこの閣僚に対して、神聖なる議場において━━━━━━━━━━━━━━これは何事です。先ほども
言つたように、かような事実があるならば、これは
国民が許さない。事実がないのに、かようなことを言うたとすれば、言うたやつは許すべからざるものである。これを言う。
━━━━━━━━━━━━━
━━━とは、一体何事であるか。かようなことを
言つて、なおかつこれがあたりまえだと言うに至
つては、これは極刑に処するべきものである。(「極刑とは何だ」と呼ぶ者あり)極刑というものが
懲罰規定にはある。
なおまたひどいのは、
アメリカは、
アジアにおける
自分の
侵略基地台湾を、
日本と
台湾人の血と肉彈で守らせようとしている、と
言つておる。君が單なる
政策論をも
つて攻撃するなら、だれも言わない。一体
日本と
台湾人の血と肉彈で守らせるとは何事だ。何か事実があ
つたのか。このようなことがほんとうにあ
つたとすれば、
日本国民全体が許しませんよ。食われわれは、平和を守るために一生懸命にや
つている。一人といえども血を流さないようにや
つておるにもかかわらず、現に血を流しておるというに至
つては、これほど
虚構の事実はない。(「そんなことを
言つていない。守らんとしておる
つて言つているじやないか、流しておる
つてどこで
言つている。演説をよく読め。読まないで……。君の言うことが
虚構と
捏造だよ。流さんとしておる
つて言つているんだ」と呼ぶ者あり)私は
速記録を呼んでいる。
速記録が
虚構だと言うのか、そこに至
つてはもう問題にならぬ。
それから最後に、あなたの結論だ。これでお前さんの……(「お前さんとは何だ」と呼ぶ者あり)林君の演説は全体が暴力革命を慫慂するものであるということが、この結論にある。
読みますよ。「
諸君が、━━━に
国家の権力によ
つて、いつまでも
自分の
政権の座に居すわろうとするならば、
日本の人民は
━━━━━━━━━━━━━
━よりほかしかたがないのであります。」この点の
弁明にあた
つていわく、この暴力的にやるというのはおそらく自由党でしよう。これは……(「
政府も言うんだ」と呼ぶ者あり)いや、
政府が暴力的に居すわるならば、こういう場……。一体
政府が暴力的に居すわるとは何のことだ。(「居すわ
つてるじやないか、警察予備隊はどうなんだ、破防法はどうなんだ、みな反対しているじやないか、警察も持
つているし、これでみな押えつけている。」と呼ぶ者あり)これは今問い詰められたがために、やむを得ずそこへ持
つて行
つたんだ。(「何を
言つているんだ」と呼ぶ者あり)これは全体にかか
つている。さようなことに持
つて行
つたんだが、かりに持
つて行
つたとしても暴力で
政権を……。
〔「とするならばだよ、よく読んでみろよ、何を
言つているんだ。」と呼ぶ者あり〕