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1952-06-16 第13回国会 衆議院 懲罰委員会 第12号
公式Web版
会議録情報
0
昭和二十七年六月十六日(月曜日) 午前十一時二十分
開議
出席委員
委員長代理理事
鍛冶
良作君
理事
高木
松吉
君
理事
田渕 光一君
青木
正君
麻生太賀吉
君
有田
二郎
君
押谷
富三
君
高間
松吉
君
田中
彰治
君
坪川
信三
君 内藤 隆君 牧野
寛索
君
松木
弘君
松本
善壽
君
柳澤
義男
君 岡
良一
君
梨木作次郎
君
佐々木
更三君
委員外
の
出席者
議 員
佐々木盛雄
君 議 員 中川
俊思君
議 員 林 百郎君
—————————————
六月十六日
委員佐藤親弘
君、
島田末信
君、
田嶋好文
君、石
川金次郎
君及び
猪俣浩三
君
辞任
につき、その補 欠として
有田二郎
君、
柳澤義男
君、
押谷富三
君、
岡良一
君及び
佐々木
更三君が議長の
指名
で
委員
に選任された。 同日
委員有田二郎
君、
押谷富三
君、
松木弘
君及び森 幸太郎君
辞任
につき、その
補欠
として
青木正
君、
坪川信三
君、
麻生太賀吉
君及び
松本善壽
君が議 長の
指名
で
委員
に選任された。 同日
委員麻生太賀吉
君及び
柳澤義男
君
辞任
につき、 その
補欠
として
高間松吉
君及び
田中彰治
君が議 長の
指名
で
委員
に選任された。
—————————————
本日の
会議
に付した事件
議員風早
八十二君
懲罰事犯
の件
議員林
百郎君
懲罰事犯
の件
—————————————
鍛冶良作
1
○
鍛冶委員長代理
会議
を開きます。
議員林
百郎君
懲罰事犯
の件を議題といたします。前会に引続き林百郎君の
弁明
を聴取することといたします。林百郎君。 林君に御注意申し上げますが、言わぬでもわか
つて
おることのようですけれども、ただいまあなたの本
会議
における
弁明
を読みますると、この前やられた
演説
並びにそれに対する
懲罰要求
と、全然
関係
のないことをずいぶん述べておられるようですから、今度はそういうことのないようにお願いいたします。
梨木作次郎
2
○
梨木委員
今
委員長
から林君に
身上弁明
について御注意があつたわけでありますが、大体御
承知
のように、この
佐々木盛雄
君の
懲罰動議
の
趣旨弁明そのもの
が、非常に広汎な、林君だけではなくして、
共産党
全体の
政策
を誹謗、中傷するような
発言
があつたわけであります。
従つて
それに関連して、一林君の
身上弁明
も、その
趣旨弁明
に対応して、自己の
立場
を明らかにしなければならない状態にあつたわけであります。大体この
懲罰事犯
というものは、そういう
共産党そのもの
を問題にして来ているようなところに、非常に問題の
深刻性
があるわけでありますから、この点をお含みの上で、林君の
身上弁明
について
範囲云々
ということで、あまり制限されないようなことをひとつ希望しておきます。
鍛冶良作
3
○
鍛冶委員長代理
いずれにしても、林君の前会の
演説
と、それに対して
佐々木
君が要求したその
事犯
の
範囲
であることだけは間違いないと思いますから、どうぞそのつもりで……。
林百郎
4
○林百郎君 それから
委員長
、私の方からの希望は、なるべくたくさんの
委員
によく私の
身上
を聞いてもらいたいので、
委員長
の
権威
にかけても、もう少し
委員
を集めてもらいたいと思います。
鍛冶良作
5
○
鍛冶委員長代理
速記
をとめて。 〔
速記中止
〕
鍛冶良作
6
○
鍛冶委員長代理
速記
を始めて。 林百郎君。
林百郎
7
○林百郎君 去る十四日の当
委員会
における私の
身上弁明
に続きまして、本日さらに
身上
の
弁明
をしたいと思います。 私は、私の
懲罰動議
について、考えれば考えるほど、どういう
観点
からいたしましても、まつたく不当と言わざるを得ないのであります。私は、昨日
佐々木
君の私に対する
懲罰動議
の
趣旨
の
弁明
をしさいに検討したのでありますが、これはまつたく、あらゆる
観点
から申しまして、不法きわまるものであります。第一に、
佐々木盛雄
君の私に対する
懲罰動議
の
趣旨弁明
を見ますと、私の
演説内容
については、
全文
のものがことごとく
懲罰
の
対象
になるというのであります。このようなことは、
国会史上
か
つて
例を見ざるところであります。このことは、
国会議員
である私にと
つて
は重要なことなのであります。私の
演説
の
内容全文そのもの
が、ことごとく
懲罰
の
対象
となるということは、
一体
どういう
意味
でありましようか。このことは明らかに、時の
政府
と
反対
の
立場
に立つ者の
発言
は、まつたく封ずるということと同じ
意味
なのであります。もしこのようなことが許されるのでありますれば、これはゆゆしい問題であります。御
承知
の
通り
に、
委員
の
諸君
の中にもたくさんの弁護士さんがおいでになるから
御存じ
だと思いますが、
憲法
の五十一條によりますと、「両
議院
の
議員
は、
議院
で
行つた演説
、
討論
又は表決について、院外で
責任
を問われない。」という
規定
があるのであります。このことは明らかに、
国会議員
は、かりに
国会
で刑罰に触れるような
発言
があつたとしても、
刑事責任
は問われないということが
規定
してあるのであります。言いかえれば、この
憲法
の精神は、
国会議員
は
国会
において
何もの
も顧慮することなく、
何もの
をも恐るることなく、十分その政治的な
見解
を吐露する、そのことを
憲法
で
保障
していることだと私は考えるのであります。それにもかかわらず、
自由党
の
諸君
が、私の
演説
全体が気に入らなくて
懲罰
にする、はては川上君の場合のごとく、何かと難くせをつけまして除名にするというようなことになるとすれば、これは明らかに
憲法
の
破壊
だと思います。これは
民主主義
の
破壊
だと思います。いうまでもなく
民主主義
ということは、
相手
方の
主義主張
を十分尊重して、その意見を十分伸張させて、そこにおいて大衆の
批判
に訴えることのできることが、これが
民主主義
の最も重要な要素の
一つ
であります。ところが、
相手
の言うことがおもしろくない、しやくにさわる、だから
相手
の
立場
を力でも
つて葬
つて
しまえというようなことは、これは明らかに
民主主義
を
破壊
するものであります。これはフアシズムであります。今や
国会
におきましては、
国会
の外よりも、むしろ
言論
の自由が失われておるということになるのであります。このようなことで、日ごろ
民主主義
を口にする
自由党
の
諸君
は
一体
いいのでありましようか。 次に重要なことは、私の
演説
の
全文そのもの
が
懲罰
になるということは、これは明らかに私の
思想
全体を
懲罰
にかけるということであります。私の持
つて
おる
共産主義思想
の
世界観そのもの
を
懲罰
にするということであります。そうなりますと、
一体
諸君
は、
憲法
の十九條に
規定
してある「
思想
及び
良心
の自由は、これを侵してはならない。」という、基本的な人権の中で最も重要な
思想
と
良心
の自由を、
諸君
みずからが
破壊
することになるのであります。このような重大な
破壊活動
、これ以上の重大な
破壊活動
は私はどこにもないと思うのであります。 御
承知
の
通り憲法
の第九十九條には、「
天皇
又は
攝政及び国務大臣
、
国会議員
、裁判官その他の公務員は、この
憲法
を尊重し擁護する
義務
を負ふ。」とあるのであります。
憲法
十九條の「
思想
及び
良心
の自由は、これを侵してはならない。」というこの
規定
から、
国会議員
は率先して、
国民
の前にこの
思想
の自由、政治的な
見解
の自由を尊重する、これを
保障
するという、この
憲法
を守る
義務
があるのであります。もしこのように私の
演説
全体がいけない、私の抱懐する政治的な
信念そのもの
全部がいけない、そしてこれを
懲罰
にするというような
懲罰動議
を許すことになるならば、明らかに
自由党
の
諸君
は、みずからこの
憲法
で
規定
しておる
国会議員
としての
義務
を放棄することになるのであります。これは重大な
憲法違反
を犯すことになるのであります。(「
ノーノー
」)聞きもしないでやじばかり飛ばすな……。しからば
自由党
の
諸君
は、
一体
、
天皇制
の
帝国議会
において
軍部
ですらやり得なかつたような、このような
演説
全部がいけないというような
懲罰
、
軍部
の
圧迫
よりももつとひどいような
圧迫
を、なぜ
国会議員
である私に加えるのでありましようか。 御
承知
の
通り
私が
日華條
約に
反対
したのは、これは背後に
アメリカ
の強圧があ
つて
、そして
アメリカ
の
傀儡政権
に堕しておる
蒋介石
と手を結ぶことは、
日本
を
極東
における
アメリカ
の
軍事作戦
の一環に巻き込むことになるから、これに
反対
だと
言つたの
であります。ところが、この私の
アメリカ
の
政策
に
反対
する
批判
全部に対して、
自由党
の
諸君
が私を
懲罰
にするというのならば、またこのようなことを許すということになるならば、
日本
の
国会
は、まつたく
アメリカ
の
日本
に対する軍事的な
植民地支配
の道具になり
下つた
といわれても、一言も文句の言いようのないということになると思うのであります。
日本
が
安全保障條
約や
行政協定
で、
講和
後も
アメリカ
の
軍隊
を
日本
に駐屯させ、このためにたつ
とい土地
や漁場を
基地
として提供し、裁判の
管轄権
までも放棄し、何百億という
軍事費
を調達して、あらゆる
犠牲
を拂わされておる。このことについては、
行政協定
一の審議において、
法務委員会
でここに現に
委員長
をしておる
鍛冶
君も、真剣に
行政協定
の問題について質問されたことを私は
速記録
で読んでおります。このことは
鍛冶委員長
みずからもまた
御存じ
だろうと思います。この
行政協定
が、
日本
の
主権
を回復する上において必ずしも好ましくないということは、
自由党
の
鍛冶委員長
ですら気がついていると思うのであります。この
アメリカ
の
軍隊
を
日本
に駐屯させるということが、何とい
つて
も
日本
の
主権
を奪い、一切の
政治経済
を
アメリカ
の
支配下
に置くことになることは、否定し得ない事実であります。 しかも、今や国の
最高機関
であるところの
国会
ですら、このような
外国
の
支配
を受けることになるとすると、これはゆゆしい問題だと思うのであります。しかも
自由党
の
諸君
のいう、いわゆる
講和
後
独立
を得たという今日、ますます
天皇制
の
帝国議会
以上の重圧と隷属を受けるということになりますと、
外国
の
支配
、
植民地下
における
日本
の
国会
は、一かけらの自由すら許すことができないという、まつたく残忍さを証明するものであります。私は
自由党
の
皆さん
に、むしろ私を
懲罰
する前に、
日本
人であるならば、この植民地的な
国会
に堕落しようとしておる
日本
の
国会
を、真に
独立
の
国会
にするために、何事も堂々と言い、
アメリカ
を
批判
することも、何らの顧慮なくして言えるような
りつぱな国会
にすることに闘うべきことを、私は
諸君
に要請したいのであります。
佐々木
君はその
懲罰動議
の
提案理由
の中に、こういうことまで
言つて
おるのであります。「今や
共産党
に対する
合法性
を認めることは断じてできない
段階
に到達いたしたのであります。」と
言つて
おるのであります。こうしてか
つて
に
共産党
に対する
合法性
を否定しています。(「その
通り
」)その
通り
だと言うけれども、
一体
こんなことをか
つて
に認定する
根拠
はどこにあるでしようか。(「たくさんある」と呼ぶ者あり)
法律根拠
も何もない。ただ、こんなか
つて
なことを
言つて
おる。
合法性
を認めることは断じてできない
段階
に達したというように、何らの
根拠
もなく、また言い得る
権限
もないにもかかわらず、このようなことを
前提
として私を
懲罰
にかけるということになれば、これはますます不届きな
懲罰
になると思うのであります。このような暴言こそ、まつたく
憲法
を
破壊
し、
議会政治
を蹂躙する恐るべき
破壊的言辞
であります。
佐々木
君がこんなことを認定する
権限
が
一体
どこにありましようか。今
諸君
は
共産党
を非合法にしようとしても、
破防法
を通して、
破防法
でなければできないではありませんか。それをただ
国会
の
討論
の中で、どうして
佐々木
君がか
つて
に、
共産党
を非合法にしなければならない
段階
に達したというようなことが言えますか。もし
佐々木
君がこういうことを言えるならば、われわれが
吉田
・
岡崎——
とい
つて
何が悪いでしようか。われわれはまだ
自由党
の
立場
を尊重しておる。か
つて
に、
共産党
の
合法性
を
認むることができない段階
に達した、こういうような
前提
から私を
懲罰
にするということは、不届ききわまることであります。 〔
発言
する者多し〕
鍛冶良作
8
○
鍛冶委員長代理
静粛に願います。
林百郎
9
○林百郎君 これでは
憲法
に
保障
されておる
結社
の自由も、
言論出版
の
保障
も何もない。
憲法
によれば、
結社
の自由は
保障
されておる。この
保障
されておる
結社
の
共産党
を、非合法にする
段階
に達したというようなことを言うこと
自体
、この
憲法
を
破壊
することを公然と
国会
で言うような、このような感覚で人を
懲罰
するということ
自体
、この
懲罰
がいかに不届きであるかということがわかるではありませんか。
一体
、
佐々木
君は、どういう
根拠
でこのようなことを言うことができるのであるか。このようなか
つて
きわまる違法な
感情論
を
前提
にして私の
懲罰
をすることは、明らかに不法であり、無効である。 しかも
佐々木
君は、私の
演説内容
について
全文そのもの
がことごとく
懲罰
の
対象
だとしてさらに一、二点を
例示
して、
提案理由
の説明にかえるといたしますと
言つて
おる。その
例示
として、まず第一に、私が、
法務総裁
は
人民殺傷
の総
指揮官
であるとか
言つて
おるということを援用しております。しかし
諸君
、六月七日の本
会議
における私の
日華條
約の
反対討論
の中のどこにこんな
発言
がありますか。こんな
言葉
は私の
発言
の中には絶対にありません。もしあつたら
諸君
示して下さい。(「いいから早くやれよ」と呼ぶ者あり)何がいいんだ。言いもしないことをとらまえて
懲罰
する。やれと
言つて
も君から何のさしずを受ける……。
鍛冶良作
10
○
鍛冶委員長代理
林君、林君、たびたび申し上げますが、
不規則発言
に対する応酬はやめてください。
委員
も御注意願います。
林百郎
11
○林百郎君 ですから、こんな不見識な
懲罰動議
というものはない。言いもしない
発言
を持
つて
来て、いくら
速記録
を調べても、私が言いもしない
言葉
を……(「あるないは
委員会
で審議するよ」「だま
つて
やれ」と呼ぶ者あり)だま
つて
やれとは何だ。
懲罰
になる
議員
の身にな
つて
ごらんなさい。一、二
例示
するとい
つて
、言いもしないことを
言つて
おる。これで怒らなかつたらどうかしている。君たちもこの
立場
に立
つて
ごらんなさい。 〔「
反対
の材料さえ提供すればいいんだ」と呼び、その他
発言
する者多し〕
鍛冶良作
12
○
鍛冶委員長代理
静粛に願います。
林百郎
13
○林百郎君 冷静に判断するなら、もう少し静かに聞いてください。私が言いもしない
言葉
を一番先の例にとらえて来ているじやないか。こんなばかな
懲罰
は、
国会
の
権威
のためにだ
つて
君たち考えてくださいよ。(「
見解
の相違だ」と呼ぶ者あり)私が言いもしないことをとらまえて
懲罰
されるんだから、それに対して私が憤慨するのをなぜとめる。とめる
権限
がどこにある……。 〔「
提案
が間違
つて
おるのだ」と呼び、その他
発言
する者多し〕
鍛冶良作
14
○
鍛冶委員長代理
委員諸君
に申し上げますが、
不規則発言
は御注意願います。いわんや
委員
でない人の
発言
は禁止いたします。
林百郎
15
○林百郎君 しかも
委員
の
諸君
に訴えますが、「一、二の点のみを
例示
」いたしますと
言つて
、一番先に引いて来る例が、私が
言つた覚え
もない
言葉
である。私が憤慨するのはあたりまえであります。(「わかつた」と呼ぶ者あり)
諸君
がわかつたというなら、けつこうでありますが、そこでこのようなことは、私の
発言内容
を検討もしなくて、どうして
同僚議員
の政治的な
生命
を生かすか殺すかという重大な
意味
を持つた
懲罰動議
を出されるのですか。
議員
の
演説
も読まないでおいて、そうしてその
議員
に対して、
政治的生命
を生かすか殺すかという重要な問題であるこんな無
責任
な
懲罰動議
というものを、
一体自由党
は許すのですか。
公党
としてもしそんなことを
自由党
が許すということになるならば、私は
自由党
の
公党
としての
権威
はまつたくないものと考える。またそうなれば、
自由党
でなくして、
自由党
以外のだれかからさしずを受けたものとわれわれは推察せざるを得なくな
つて
しまう。こうなると、
佐々木
君の
懲罰
は、もはや私の
発言内容
によるのではなくして、まつたく私が
共産党員
であるからこれを
懲罰
するという、無法きわまる、またはだれかのさしずでやむを得ずやつたというよりほか、私は了解に苦しむのであります。これは明らかにもう
共産党
を非合法化すための一布石である。そういうように考えざるを得ない。 ここで私が想起いたしますのは、このたび
吉田内閣
によ
つて国会
に上程されておりますところの
破壊活
助防止、法、いわゆる
破防法
の第三條を見ますと、内乱あるいは
政権
の
変革等
のことに対して単なる教唆もしくは扇動が、
独立
して処罰されるということにな
つて
おるのであります。これは
政府
の
言明いかん
にかかわらず、
思想
を処罰することになるということは、院の内外、また
野党
を通じて
破防法
について攻撃しておる点であります。またこの私の
懲罰
を見ますと、これは明らかに
自由党
の
諸君
が
——佐々木
を含めて
自由党
の
諸君
が、私の
思想自体
を
懲罰
するということでありまして、これはもう
破防法
が
吉田内閣
の手によ
つて
具体的に適用される場合には、いかなる
弁明
にもかかわらず、
国民
の
思想自体
を
懲罰
するものであるということは、この私の
懲罰
という事態を見ただけでも、明瞭だと思うのであります。
従つて
私に対する
懲罰
は、これは明らかに
破防法
の具体的な適用であります。
破防法
の
国会版
にほかならないと私は
結論
をつけざるを得ないのであります。 次に、
佐々木
君の
趣旨弁明
の中で、私の
日華條
約の
反対討論
中に、
吉田政府
は
━━━━
━━━━━━━━━━━━
としておる、こういうことを
言つた
ということが、
懲罰
の原因にな
つて
います。ちなみにこれは、五月五日の
日台條
約に対する
中華人民共和国周恩来外相
の
声明
中にある
言辞
であります。しかし
諸君
、私がこの今や
━━━━━━━━━━━━
としてしまうのだと
言つた
ことに対して、これを
懲罰
するといいますけれども、
諸君
、六月十一日の外務・
水産連合委員会
で、
自由党
の
長老植原委員
は、
日米加漁業協定
に対して、
吉田
・
岡崎外交
を攻撃して何と
言つて
おりますか。こうした
不平等條
約が結ばれたのは、まつたく
腰抜け外交
の結果だと
言つて
おるのであります。しかも
水産委員会
では、
自由党
の
議員諸君
が先頭に立
つて
、この
漁業條
約は不承認であるという決議をしているではありませんか。
與党
の
長老
の
植原
さんが
腰抜け外交
と
言つて
おるときに、
野党
の私が
━━━━
だと
言つた言葉
に、どこに
一体議院
の
品位
を傷つけるという議論が立つでありましようか。
與党
なら
腰拔
け
外交
と
言つて
もいいが、
野党
が
━━━━
と言えば
懲罰
の
理由
になるというのなら、これは
国会
の存在の
意味
は全然なくなるのであります。このようなことは、明らかに
自由党
が多数を頼んで、まつたく
懲罰
をもてあそぶということに私は
結論
をつけざるを得ないのであります。そもそも
日台條
約につきましては、私たちは
中華人民共和国
の四億八千万の
人々
と
友好関係
を結びたいという
立場
から、今革命によ
つて台湾
に追われておる
蒋介石
と手を結ぶということには
反対
したのであります。
政府
は、
中国
の
人民
からは国を売る者として
台湾
に追いやられた
蒋介石
と條約を結ぶというのであります。しかも
蒋介石
は、
諸君
御
承知
の
通り
に、一旦
アメリカ
からも
——
対
華白書
によ
つて
も明瞭の
通り
に、
アメリカ
からもその政治的な価値を見離された人であります。ただ
アメリカ
が国防上、すなわちフイリピンと
日本
を結ぶ間の重要な軍事的な拠点として
台湾
が必要だということになりまして、
アメリカ
の第七艦隊が
海上封鎖
をしてこれを守護をいたしまして、その
軍事予算
の三分の二を
アメリカがま
かな
つて
おるのが
蒋介石政権
の実体なのであります。このような
蒋介石政権
というのは、
政権
という名に値しない。
中華人民共和国
の
周恩来外相
は、これは
一つ
の
グループ
にすぎないとまで
言つて
おるのであります。この
蒋介石
と、
吉田政府
がなぜ手を結ぶ必要があるのでありましようか。しかもこの
蒋介石政権
は
——蒋介石
の
グループ
は、
アメリカ
と相呼応して
大陸
に反攻することを常に叫んでおることは
諸君
御
承知
だと思うのであります。この
大陸反攻
を常に叫んでいる
蒋介石
と
日本
が手を結ぶということになりますと、これは明らかに
中華人民共和国
四億八千万の民衆を敵にまわすことになります。そのために、また
日本
の
労働者
や
資本家
が心から望んでおる
中日貿易
もまつたく
犠牲
にしてしまうことになるのであります。この
利害得失
、
国家
百年の大計からい
つて
、これに極力
反対
すべきことは私は理の当然だと思うのであります。 しかもこの
日華條
約は、明らかに
サンフランシスコ條
約の交渉の際に、ダレスのさしがねによ
つて吉田総理
が強制されたものであるということは、
イギリス
がこれを認め、
イギリス
が、
アメリカ
のこの
日本
の
中国
の問題に対する強圧的な態度は遺憾であ
つて
、これは
アメリカ
の
イギリス
に対する背信的な行為であると、抗議すらしておるのであります。このように、
吉田総理
は
アメリカ
の強制によ
つて蒋介石
に対してすら、
敗戦国
としての
立場
から條約を結んで
しまつたの
でありますから、私が、これはまつたく
吉田総理
は
蒋介石
の
━━━━
━━━━
としておるのだと
言つて
攻撃するのが、どこが悪いのでありましようか。
周恩来中華人民共和国
の
外相
は、
日台條
約は明らかに
アメリカ
の
中国
に対する新しい
戦争準備
の決意を示すものであり、
蒋介石
と
吉田
に手を握らせて、
中華人民共和国
に軍事的な脅威を與えようとする、新しい宣戦の布告だとまで
声明
をしておるのであります。このような
中国
を敵にまわして、一切の
日本
の
国民
の利益を
犠牲
にして、
蒋介石
に屈服した條約をなぜ
吉田政府
は締結するのでありしよう。これに対して
野党
として、特に
共産党
が、
吉田政府
を
━━━━━━━━━━━━
としていると攻撃して、何が悪いのでありましようか。 古来
日本
は
中国
との国策を誤るときは、必ず国を
危機
に陷れておるのであります。
諸君
御
承知
の
通り
に、近くは近衛の
蒋介石政権相手
にせずとの対
中国侵略
の
政策
が、遂に
日本
を滅亡せしめた事実を見ても、これは明らかであると思うのであります。要するに対
中国政策
は、
日本
の
外交政策
の
生命線
でありまして、これを一歩誤れば、国を滅ぼしてしまうというような重要な問題であります。
日台條
約について、
野党
が
吉田政府
を口をきわめて攻撃するのは、これはあたりまえであります。これは
国民
に対する
国会議員
の私は当然の責務だと思うのであります。しかも
クラーク国連軍
兼
アメリカ極東軍
の
最高司令官
は、
朝鮮戦線
の失敗をとりもどすためには、
日本
の
基地
から
中国
の本土を爆撃するということを公然と
声明
して来ました。こうなれば、当然中
ソ友好同盟
によ
つて
、
日本
がまた中
ソ両国
から攻撃を受ける危険を持
つて
来ることは、これは否定し得ない事実だと思います。そうなれば、
日本
は再び三たび
中国
を
相手
として
戦争
に入ることになるのであります。これは実に
国家
の興亡にかかわる私は重大な問題だと思うのであります。
戦争
の
危機
に対しては、いかに声を大にして叫んでも言い過ぎることはない。いかなる
言葉
を
使つて戦争
に
反対
しても、言い過ぎることはないということは、
世界
の平和を望む
人々
のひとしく認めるところであります。
戦争
に
反対
する
言葉
のどこに、
一体議院
の
品位
を傷つけるという口実が成り立つのでありましようか。もしそのようなことを言い得るとすれば、それは
戦争
を望んでいる人のみが言い得る
言葉
であります。われわれが
戦争
に
反対
するとき、その
言葉
が言い過ぎたとして、
懲罰
を受ける
理由
がどこにありましようか。それは
戦争
を好む人のみが、よくなし得るところだ思うのであります。われわれは再び
日本
を
戦争
に導くようないかなる危険に対しましても、身を賭して闘わなくてはならない。
日本
の国政に携わる
国会議員
の
国民
に対する当然の
義務
であります。四億八千万の
中国
の
人民
を敵として
しまつて
、
台湾
に追い拂われてしまつた
蒋介石政府
と
太平洋同盟
を結ぶということが、どうして
日本
の国のためになるでありましようか。私が私の
立場
からこれに
反対
するのは、
国会議員
としての当然の務めだと思うのであります。これが
懲罰
になるということは、私は絶対に了解することができません。 次に、こういう問題についてもひとつ
皆さん
に考えてもらいたいと思うのであります。御
承知
の
通り
今
アメリカ
では、まぐろの
カン詰
について四割五分の関税の引上げを行つたのをきつかけにいたしまして、ミシンだとか、あるいは自転車等の関税を引上げることによりまして、
日本
の平和産業が非常な致命的な打撃を受けておることは、これはつい最近の朝日新聞の、ことしの貿易が昨年に比べましてがた落ちにな
つて
来ておるという記事によ
つて
も明らかだと思うのであります。一方、東南アジアのスターリング・ブロックでは、ポンドをかせいでみましたところで、このポンドで輸入する物がないということで、これまた非常な困難に逢着しておるのみか、最近では、東南アジアヘの
日本
の輸出そのものが制限されるようになりまして、最近の貿易は、昨年に比べて非常な下まわりの傾向を示しておるのであります。ただわずかに息をついておるのは、御
承知
の
通り
に特需による軍需産業、すなわち
戦争準備
のための産業だけでありますけれども、しかもこれすら、すでに
諸君
御
承知
の
通り
に、
行政協定
によりますと、これは米軍の直接調達の方法がとられるのであります。その発注につきましては、何ら
日本
政府
の制限を受けないということが
行政協定
できめてあるために、
アメリカ
の
軍隊
の思うままの、か
つて
な條件で注文されることになりますから、
日本
の業者で陰で泣いているものは数知れずあるのであります。また
日本
の実業家ですら、依然として
講和
後も、戦勝国と
敗戦国
とのままで契約を結ばなければならないという、このような條件については、これは撤廃してもらわなければ困るという陳情が
国会
に来ていることは、
諸君
も御
承知
の
通り
であります。平和産業がどんどん倒産いたしまして、繊維産業どんどん繰短をしておる次第であります。
労働者
は失業をするし、賃金は遅欠配であります。農村の次男三男は、町にかせぎに行くこともできませんので、遂に身を売
つて
まで現金の收入をはからざるを得ないというような状態であります。長野県のごときは、
労働者
の賃金が、この貿易の不振のために、四箇月も遅配欠配しておりまして、
一体
今自分のもら
つて
いる賃金が、いつの、何箇月分の賃金かわからなくな
つて
おるという状態であります。しかもこんな工場へでも、税務署の方は税金を滞納しているということで、せつかくの
労働者
の賃金の
対象
である製品だとか半製品を差押えをして、引上げて行くという事例が枚挙にいとまない次第であります。また、つい最近の長野県の新聞を見ましたところが、信州大学の学生は、アルバイトがなく
なつ
たために、自分の血を輸血用に売
つて
、収入をはか
つて
おるという記事が出ておるのであります。この血を売
つて
いる学生は、顔が青ぶくれにな
つて
しまつて
、いつでもぼうつとして、半分眠つたような顔をして教室に出て来るという状態であります。(「よけいなことを言うな」と呼ぶ者あり)これは、もしあなたが輸血用の血を出してみればおわかりだと思います。これについては、このような農村の悲惨な状態も、もし
中日貿易
を再開することになるならば、
一つ
の解決の道になるのであります。平和産業が無制限に発展すると希望を持ち得るのであります。だからこそ私は、このような
日本
の農村の悲惨な状態を解決する
一つ
の道としての、
中日貿易
をすら杜絶させるような
日華條
約には、
反対
である、このような、
中日貿易
を
犠牲
にしてまで、
台湾
の
蒋介石
となぜ
吉田総理
が手を結ぶ必要があるかということを、私は
反対討論
の中で
言つて
おるのであります。
吉田総理
は今や━━
━━━━━━━━━━━━
としているという私の表現なのであります。(「表現が悪いのだ」と呼ぶ者あり)表現だけの問題なら、それはそれで問題があるのであります。 〔「表現だけか」「表現もと
言つて
おる」と呼び、その他
発言
する者あり〕
鍛冶良作
16
○
鍛冶委員長代理
不規則発言
の応酬はやめてもらいます。
林百郎
17
○林百郎君 漁業問題についてもそうであります。これは田淵
委員
も
御存じ
だと思いますが、御
承知
の
通り
アラスカの沿岸から六百海里は、
日米加漁業協定
によ
つて
、締め出しを食
つて
しまいました。しかも北鮮漁業、東支那海の沿岸漁業はソ連並びに
中華人民共和国
と話合いがつかないために、これも出漁することが困難だ。そこで
一体
日本
の漁業は、どこへどう出漁していいかわからないというのが実情であります。海上保安庁は、ソ同盟の沿岸十二海里は、ソ同盟の方で領海だと
言つて
おるから、なるべく紛争を起さぬように、そこへ入らないようにという注意を與えておる。ところが外務省の方では、そんな十二海里という領海は認められないから、いくらでも入
つて
出漁していい、しかし見つかると拿捕されてばかを見るから、見つからないように、拿捕されないようにうまくやれ、ということを
言つて
おるのであります。そうすると、
一体
漁民はどうしたらいいのか。つかまらないように、見つからないように、ソ同盟の沿岸に入
つて
も漁業をやれ。しかし
アメリカ
の方へは、六百海里行
つて
はならない。これではまつたく漁民に、ソ支両国に対する挑戦をけしかけているのであります。
アメリカ
の方へは六百海里の禁止区域を認めておきながら、ソ同盟や中華民国には十二海里の領海も認めない。話合いもしない。この一切の困難が漁民にしわ寄せされておるのであります。しかも両国とは何らの交渉をしておらないということになりますと、これから受ける漁民に対するしわ寄せは、重大なことである。(「
漁業條
約をよく読め」と呼ぶ者あり)あなたこそ、よく読んでください。だから
水産委員会
でも、
自由党
は
委員
全部
反対
しているじやありませんか。
反対
するのは、これが
理由
じやありませんか。 しかも、こうして外へ出ることができない
日本
の漁民は、それでは
日本
の沿岸ではどうかというと、御
承知
の
通り
に、全国四十箇所の漁場が、米軍の演習地として今取上げられようとしておる。九十九里浜の漁民は、大体正午から六時まで、これは私実際に調査したのだが、吹流しをつけた飛行機を飛ばして、それに対して沿岸に高射砲を並べて、実弾射撃をしておるのであります。正午から六時まで、沿岸に高射砲を並べて、吹流しをつけた飛行機に実弾射撃をするということになりますと、これは漁撈が不可能になることは当然であります。しかもその損害の補償は、過去二年間で九千七百万円、しかもこの九千七百万円は、
日本
の
政府
が負担しておるのであります。これは一人当り四千円から三百円程度の補償でありまして、これでどうして漁民が食
つて
行けるでありましようか。これが
吉田
・
岡崎外交
が腰抜の
外交
といわれるところの実体であります。
野党
から見れば、このような状態に対して、私たちが
吉田
・
岡崎外交
を攻撃するのは、当然だと思うのであります。 また、農民は農民で、すでに公式の発表ですから明らかなように、
基地
として土地取上げが公式に農地
委員会
に申し込まれた件数が二万件でありまして、坪数では二万五千町歩といいますが、もちろん事実はこれ以上の件数があり、これ以上の坪数があることは当然でありまして、重大な問題が方々で起きておるのであります。 このように、四箇月も賃金が遅配欠配しておる。
労働者
は仙人ではありませんから、水や空気で生きておるわけには行きません。四箇月も賃金が遅配欠配して来れば、これはどうしてもストライキにでも出るよりほか生きる道がない。失業者は今御
承知
のように一日二百五十円前後、働く日数は二十二、三日、月に五、六千円であります。
鍛冶良作
18
○
鍛冶委員長代理
林君にちよつと御注意申し上げます。あなたに対する
懲罰
の要求は、あなたの
外交
問題に対する
批判
が悪いとい
つて
いるのではありませんから、今ここで
外交
問題に対する
演説
のむし返しはお差控えを願いたいと思います。
林百郎
19
○林百郎君 それはどういうことです。
鍛冶良作
20
○
鍛冶委員長代理
あなたが議会否認の
思想
をも
つて
演説
をやつたというそのことが要求の根本です。
林百郎
21
○林百郎君 だからそれを今説明しているのです。たとえば、一、二
例示
しますれば、今や
━━━━━━━━━━━━
としているという表現を引いておる、この例を示しておる。だからこの例が
国会
を否認するかどうかということを説明している。
鍛冶良作
22
○
鍛冶委員長代理
暴言に対する要求です。(「それは
委員長
の独断だ」と呼び、その他
発言
する者多し)━━
━━━━
というのは暴言です。(「暴言かどうか、そんなことは独断じやないか」と呼ぶ者あり)梨木君、
発言
を許してありません。(「
━━━━
とは何事だ」「それを審議するのじやないか」「寛大に聞いてや
つて
いるのに何事だ」と呼ぶ者あり)
林百郎
23
○林百郎君 寛大とは何だ。犬やねこじやあるまいし、寛大にしてやるとは何だ。
鍛冶良作
24
○
鍛冶委員長代理
林君、林君。
林百郎
25
○林百郎君 何が寛大だ。刑事被告じやあるまいし、寛大に聞いてやるとは何だ。(「
懲罰
の被告じやないか」と呼び、その他
発言
する者多し)君も司法次官をしたくせに何だ。大体この
懲罰
委員会
は
自由党
の私物じやないんだぞ。寛大に聞いてやるとは何だ。犬やねこじやないんだぞ。 〔
発言
する者多く、傍聴席で卓をたたく者あり〕
鍛冶良作
26
○
鍛冶委員長代理
その人は何だ。退席を命じる。 〔
発言
する者多く、議場騒然〕
林百郎
27
○林百郎君 人を
懲罰
にしておいて、
身上弁明
を寛大に聞いてやろうという恩を売るやつがどこにあるか。
委員長
、議場を整理せよ。 〔
発言
する者多し〕
鍛冶良作
28
○
鍛冶委員長代理
静粛に。
——
林君、続けてください。
林百郎
29
○林百郎君 彼は寛大に聞いてやるということを言う。何だい、君は。刑事被告や犬やねこじやあるまいし……(「君は被告だ」と呼ぶ者あり)何が被告だ。
鍛冶良作
30
○
鍛冶委員長代理
静粛に願います。
林百郎
31
○林百郎君
憲法
では
国会議員
は被告にすらならないのだ。君たちが被告であるというのは
憲法
を
破壊
しているのだ。
鍛冶良作
32
○
鍛冶委員長代理
応酬してお
つて
は切りがない。
林百郎
33
○林百郎君 だからあなたが整理しろ。
鍛冶良作
34
○
鍛冶委員長代理
君の
演説
に対する要求の
範囲
を越えては困る。 〔「
委員長
は予断をも
つて
議事を運営してはいかんですよ、
━━━━
云々ということを
言つた
ことが悪いかどうか審議するのに、それを悪いと断定して
しまつて
いるじやないか」と呼ぶ者あり〕
鍛冶良作
35
○
鍛冶委員長代理
梨木君、
発言
も許さぬのにそこに立
つて
演説
をや
つて
はだめだ。
林百郎
36
○林百郎君 高木君だ
つて
司法次官まで勤めた人なんだ、黙
つて
聞いてなさい。おれだ
つて
原稿を書いて来てこれだけ言えば済むのに、途中から言うのがいけないんだよ。それから
委員長
だ
つて
、ちやんと私はこういう原稿を書いて来ているのを途中で
——
きのうもここで
懲罰
理由
を、あなたは説明する必要はないと
言つて
、いくら聞いた
つて
答えなかつた。(「興奮せずにやりたまえ」と呼ぶ者あり)ちつともこつちは興奮していませんよ。あなたの方が人権をあまり無視するから……。 以上私が申し上げました
通り
に
——
委員長
は私の
発言
が
懲罰
にな
つて
いるのは、別に
外交
方針に対する私の考えが
懲罰
の
対象
になるのじやないんだ、私が
国会
を否認するような
言辞
があつたのだというようなことを言われています。その点について、私はこれから私の
身上弁明
に移ろうとしたのでありますが、ちようど
委員長
が言われているのと同じようなことを、
佐々木
君がこういう表現を使
つて
おるのであります。私の
演説
の中で、「
吉田
政権
が━━━に
国家
の権力によ
つて
」
——
これは━━━というのは
吉田
政権
がということです、よく聞いておいてください。
吉田
政権
がもし━━━に
国家
の権力によ
つて
政権
の座に居すわろうとするならば、
日本
人民
は━
━━━━
━━━━━━━━━━━━
と、こういうことを
言つて
おるのであります。このことをおそらく
委員長
もさしておるのではないかと思うのでありますが、この点について私は今
弁明
に移ろうとしていたのであります。 私が先ほど例をあげました
通り
、
一体
四箇月も賃金が遅配欠配している。こういう
労働者
が現に長野県の私の選挙区にはある。今もら
つて
いる賃金がいつの何月分の賃金かわからないというような
労働者
がある。四箇月も賃金が遅配欠配している。
労働者
は仙人ではありませんから、これは水や空気で生きていられるばずがないのであります。生きるための賃金をくれとい
つて
、ストライキに立つのは当然であります。これは
憲法
でも、団体交渉権あるいはその他の団体行動権は
保障
されているのであります。ストライキをや
つて
はいけないというわけには行かない。また御
承知
の
通り
に、今失業者は一日に二百五、六十円だと思いますが、就労日が月せいぜい二十二、三日だと思うのであります。そうすると、大体月に失業者の手に入る金は六、七千円になると思うのでありますが、これではとうてい家族持ちの者はや
つて
行けない。せめて女房や子供に三度の飯だけは食わせたい。御
承知
の
通り
に今失業者の実態を調査いたしますと、大体失業者
自体
は外へ働きに行きますから、三度の飯は持
つて
行きますけれども、家庭の中では妻や子供が三度の飯を二度にしておる。しかもその二度のうち一度は雑炊でがまんしておる。せめて働きに行く主人にだけは、かたい飯を三度月々持たしてやりたいというのが実情なのであります。このような失業者が、市役所へ行
つて
失業手当をもう少し上げてもらいたいとい
つて
団体交渉することは、当然の権利であります。 また私が相模原町へ行
つて
調査したのでありますが、そこでは農民が先租伝来耕しておりました土地を、突然YED
——
横浜技術部の、米国のドーソンという大佐でありますが、来まして
——
本来ならば
行政協定
によりますと、合同
委員会
にかけて土地の取上げの問題は決定すべきものでありますが、この合同
委員会
にも何もにかけませんで、直接向うの司令官が参りまして、そこで農民を集めて、大体三十町歩ぐらいの土地を六月以降は
基地
として接収するからとい
つて
、補償の話も何もなくて、しかも英語で書いた立札を何十本となくさして行つたのであります。これは岡崎外務大臣の選挙区であります。神奈川県の相模原町にある例を、私が実地に調査に行
つて
来て
皆さん
に申し上げているのであります。しかも三十町歩以上の土地を新しく取上げていながら、前に取上げた土地があき地で何も使わないでおる。なぜ使わないかというと、そこは立地條件が悪いからとい
つて
、何十町歩という土地を、解除もしないで、ただ草がぼうぼうにはえている。こつちの麦がはえている土地を何十町歩も、合同
委員会
にもかけなくて、直接
指揮官
が来て、百姓を集めて、六月からYEDの土地にするとい
つて
、立札を立
つて
行くような状態であります。中には、一町多近くの自分の耕地全部を取上げられてしまつたという農民もあるのであります。たずねて行
つて
百姓の
言葉
を聞きますと、ここは
アメリカ
のあき地ではないのだ、やたらにか
つて
に取上げられたんでは、われわれは生きることができないのだ、どうや
つて
もこれは耕さざるを得ない、もう一人や二人の佐倉宗吾ではだめだから、みんなが佐倉宗吾にな
つて
、土地を守らなければならないと
言つて
、肥料をここにまいている状態であります。このようなことは、向うのやり方がもともと不法な処置でありますから、
国民
は基本的な人権を守るために、場合によ
つて
はストライキに訴える、あるいは市役所に団体交渉する、あるいは農民が実力で耕地を守るということは当然であります。これは
法務委員会
の
皆さん
ならおわかりのように、土地を取上げるなら、予備作業班なり合同
委員会
で、両
政府
の合意の上において取上げます。直接向うの
指揮官
が来て土地を取上げるということは許されないのであります。ところが実際はそのようなことが行われている。農民が実力をも
つて
守るということは、
日本
人なら当然の権利であります。しかも
憲法
には、「すべて
国民
は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」ということが
規定
してあるのであります。また国は、すべての生活の部面において、社会福祉、社会
保障
の向上及び増進に努めなければならないということが
規定
されておるのであります。また
憲法
は、勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを
保障
しておるのであります。
——
委員長
、あそこに笑
つて
聞いてませんから注意してください。こつちは汗かいてや
つて
いるのに、にやにやしていられてはやる気がしませんよ。もう少し真剣に聞きなさいよ。(「真剣に聞いてます」と呼ぶ者あり)もう
結論
がついているなら、何も一
身上
の
弁明
をする必要はないのです。(「にやにやしたからとい
つて
そう怒るな」「聞いております」と呼ぶ者あり)あなた方はみなひとばかり
懲罰
して、自分が
懲罰
されたことがないから不謹愼だよ。
鍛冶良作
37
○
鍛冶委員長代理
続けてください。
林百郎
38
○林百郎君 そこで
佐々木
君が私を
懲罰
する
理由
の
一つ
に、私が先ほど申しました
政府
が━━━に
国家
の権力によ
つて
いつまでも自分の
政権
の座に居すわろうとするならば、
日本
の
人民
は━━
━━━━━━━━━━━━
よりしかたがないのであります、と
言つた
ことに対して、これが
破壊
的である、
議会政治
を否認する、こう
言つて
おるのであります。しかし
諸君
、よく私の
演説
を読んでいただきたい。暴力的というのは、もし
吉田政府
が━━━にいつまでも
国家
の権力に居すわろうとするならば、
人民
はやむを得ないから、これを━━━
━━━━
━━━━
よりほか道がなくなるのであります。暴力的というのは
吉田
政権
の方にかか
つて
おる。われわれの方が暴力的にやるということは一言も
言つて
いないのであります。この点をよく
諸君
に読んでいただきたいと思うのであります。もし
吉田政府
が━━━に
国家
の権力によ
つて
いつまでも自分の
政権
の座に居すわろうとするならば、そのときには
人民
はすでにりくつや話合いの問題では片がつかないのでありますから、
憲法
で
保障
されている勤労者の団結権、団体交渉権その他の団体行動権、すなわちストライキ等に訴えてでも、
吉田内閣
を倒すよりほか道がないのであります。これは当然のことであります。 現に
日本
の
労働者
諸君
は、
破防法
反対
、
吉田内閣
打倒を標榜して第三波ストを、明らかに政治的な目標をも
つて
決行しようとしておるのであります。これが実力の行使でなくて何でありましよう。しかもこれは
憲法
で
保障
されているのであります。しかもこれを武装警官の力で弾圧しようとするならば、弾圧する方が悪いのであります。岡崎外務大臣がどんなとりきめを
アメリカ
とやりましようとも、またそのとりきめを実行するために、武装警官で威嚇しようといたしましても、
日本
がすでに
戦争
を放棄しているということは、
憲法
で
保障
されている。また陸海空の戦力を持たないということも、
憲法
で
保障
されているのであります。
従つて
労働者
が、
憲法
で
保障
されている自分の当然の権利に基いて、
戦争
を放棄した今日、ナパーム弾をつくるのは断ります、追撃砲のたまをつくるのはやめますということは、
憲法
で
戦争
が放棄されている以上、
憲法
を守る
立場
からい
つて
、当然の権利であります。
日本
の
人民
が使うならいざ知らず、あの寒い北海道で、
日本
人民
に配給しない石炭をどんどん朝鮮の
戦争
に持
つて
行くのなら、朝鮮の
人民
を殺すための石炭は一かけらも掘りませんというのは、
日本
の
労働者
として当然の権利です。
日本
はそんなものは輸送しませんとい
つて
も、これは
憲法
で
保障
されている団体交渉権、団結権でありまして、これは当然の権利であります。こうな
つて
来ますと、いやでもおうでも
吉田内閣
は
政権
を投げ出さざるを得なくなるのであります。
国会
は
国会
でも
つて
その民意を十分に尊重してこのように勤労階級あげて今の
政権
に
反対
するならば、これはすみやかにもつと勤労大衆の信頼のある
政権
に移すべきであるという意思表示をするのも、当然であろうと思うのであります。現にここにおいでになる
委員諸君
でも、きようはバスや私鉄へお乗りにな
つて
来ただろうと思います。あるいは自動車に乗
つて
来たと思います。しかしこの
労働者
諸君
が、もう
吉田内閣
には
反対
ですとい
つて
、十日間もストライキをやつたとしたらどうでしようか。
諸君
も
国会
へ来ることができなくなる。ここにいる
速記
の
諸君
だ
つて
そうでしよう。賃金が安いから上げてくれとい
つて
速記
をとらなかつたら、
国会
はやろうつた
つて
できない。馬ですら働きたくないときには、むちで打つたりしても働きません。ましてや人間は馬と違うのでありますから、こん棒やむちでは動かないのであります。弾圧だけによ
つて
は人間を動かすわけには行かないのであります。 しからば
政府
はその
責任
上、もし勤労階級が
吉田内閣
に協力しないという事態が発生したならば、勤労者がもつと信頼し、勤労者がその
政権
のもとならば喜んで快く働くという
政府
に、
政権
を譲り渡さざるを得なくなるのは当然のことだと思うのであります。また
国会
もそれを認めることが、民意を尊重することになるのであります。
主権
は
人民
にあるのでありますから、これが私は
民主主義
だと思うのであります。
国民
が
国会
や
政府
を反省させ、自分の求むるところを貫徹させるためには、そのような形に出ることは、これは
憲法
に基く当然の権利だと思うのであります。実力行使、ストライキをうつということが
憲法
で許されている。それを実行することが許されているのでありますから、それを
言葉
で表現することが、どうして
懲罰
になるのでありましよう。このような
懲罰
は明らかに無法であります。それでは、
憲法
で
保障
されている
言論
、出版、表現の自由も
保障
も何もないのであります。しかもそれが
国会
の中においてであります。これは
委員
の
諸君
にもよく聞いていただきたいのでありますが、昨日私はある大会で私のこの
懲罰
の問題を大衆に訴えました。外よりも
言論
の自由が
保障
されるべき
国会
が、
言論
の自由を外の
諸君
にお願いして守
つて
いただかなければならなく
なつ
たのが現状であります、外で自由に言えることが、
国会
の中では
懲罰
になるのであります、と
言つた
ら、大衆は、そのような
国会
に対して侮蔑と嘲笑を表明していました。
諸君
は
国民
から侮蔑され、潮笑される
国会
に、
諸君
みずからの手でして
しまつて
いいのでありましようか。私は一片の
良心
が
諸君
にあるならば、考えていただきたいと思うのであります。また去る十二日の本
会議
場で、風早君と私が
懲罰
に付されましたあの情景を見ていた傍聴人は
——
しかもこの傍聴人は、
自由党
の
議員
が紹介されて入場した人だそうであります。この傍聴人が何と
言つて
いたか。自分は今までだまかされていた、
国会
がこんなにひどい
議員
に対する
圧迫
を加えるということは、夢想だにしなかつた、自分はどうしても国に帰
つて
、この
国会
の実情を報告しなければならないと
言つて
、風早君と私の名前を聞いて行つたそうであります。しかもこれは
自由党
の
議員
が紹介した傍聴人であります。
諸君
、外の人が来て驚くような
言論
の制限を、
国会
の中で行
つて
、どうして
国会
が
国民
の信頼をかち得ることができましようか。
帝国議会
が翼賛議会に
なつ
たときに、
日本
は太平洋
戦争
に突入して、原子爆弾に見舞われ、
国民
は家を焼かれ、財産を失い、命をむなしく捨てられ、南海の果てには、今も
つて
日本
人の白骨が累々として鬼気をただよわせているのであります。今また
諸君
は、
国会
をか
つて
の翼賛議会にさせようとしている。しかもこれは、
アメリカ
という新しい政治権力のもとに奉仕して、
日本
をその植民地、軍事
基地
にするための、東條時代よりもつと屈辱的な、残忍な翼賛議会にしようとしているのであります。そして
日本
は、今
アメリカ
のアジア作戦の一環として、まつしぐらに
戦争
に突入しようとしているのであります。
諸君
御
承知
かもしれませんが、第一
議員
会館の裏側には防空壕を今新しくく掘り出しているのであります。なんでしたら晝間の時間に行
つて
ごらんなさい。
日本
の国は今明らかに
戦争
の
危機
が追
つて
いるのであります。朝鮮では、
アメリカ
はどうにもならなく
なつ
た。ドツド准将は捕虜にな
つて
しまつた。
アメリカ
の
軍隊
は後方の捕虜と戦わなければならないという状態になり、李承晩は
諸君
御
承知
の
通り
に朝鮮人の支持を失つた。こうして
極東
で
アメリカ
の
政策
が失敗すればするほど、ますます
アメリカ
としては
日本
を
戦争
に巻き込む必要にかられて来るのであります。クラーク大将の
中国
本土爆撃の言明、警察予備隊を本年度どうしても十八万に増員しなければならないということ、また北
太平洋同盟
締結の
前提
としての
日台條
約、これらすべてが
日本
を
アメリカ
の
軍事作戦
に強力に巻き込もうとする布石であります。このためにこそ、
自由党
の
諸君
がかかる不法を行い、風早君と私の二名を
懲罰
にしようとしておるのであります。よく
皆さん
に聞いていただきたいことは、
帝国議会
が翼賛議会に
なつ
たときに、
日本
は大東亜
戦争
を始めました。今また私と風早君を
懲罰
することによ
つて
、
日本
の
国会
をか
つて
の翼賛議会にしたごとく、
日本
は
アメリカ
とともに新しい
戦争
に巻き込まれることになるということを、よく知
つて
いただきたいと思うのであります。
自由党
の
諸君
が私を
懲罰
にすることは、明らかに
アメリカ
の帝国主義者のための
戦争
の露拂いであります。原爆のための露拂いであります。沖繩にはすでに原爆の
基地
がつくられております。 私は
日本
の勤労者、
日本
の平和を愛する
人民
、そして
世界
の平和を愛好する民衆、
中国
四億八千万の人を含めて、何億という人の名前において
国会議員
が
政府
を攻撃したことを
理由
にして
懲罰
に付せられるような、かかる不当な
懲罰
に対しては、断固
反対
するものであります。これをも
つて
私の一
身上
の
弁明
を終ります。
鍛冶良作
39
○
鍛冶委員長代理
これにて林百郎君の
弁明
は終りました。御退席を願います。
—————————————
鍛冶良作
40
○
鍛冶委員長代理
議員風早
八十二君
懲罰事犯
の件を議題といたします。動議提出者中川
俊思君
に対する質疑に入ります。質疑の通告があります。これを許します。
梨木作次郎
君。
梨木作次郎
41
○
梨木委員
私は中川君に質問いたします。まず第一に聞きたいことは、あなたは風早八十二君を、五月六日の本
会議
における
政府
に対する質問
演説
の内容をとらえて
懲罰動議
を提出したのでありますが、私は
懲罰動議
の
提案理由
をしさいに検討いたしまして、非常に疑問を持
つて
おるのであります。あなたはこの中で、風早君の質問内容は「虚構と捏造に終始し、荒唐無稽の
言辞
を弄して、
国民
をして故意に警察官に対する反抗心を助長したることなど、無
責任
のはなはだしきのみならず、
議院
の
品位
を傷つけ、」というようにも
言つて
おります。そういうようにも
言つて
おりますが、さらに議論を発展させまして、
共産党
の
政策
全般にまで中傷と誹誇を試み、はなはだしきは、過般わが党を脱党した党落者、裏切者であるところの中西伊之助君の
発言
を引用いたしまして、さらに
共産党
の誹諦と中傷に狂奔しておるのであります。また五全協の決定を出して来てみたり、いろいろや
つて
おります。そこで
一体
あなたは、風早君の五月六日の本
会議
における
発言
を
懲罰
の
理由
としておるのか。あるいは中西伊之助君が
日本
共産党
を脱党した、そういう脱党者を出すような
共産党
であるからということで、
懲罰
にしようとしているようにも見え、さらに
共産党
全般の
政策
に
批判
を試みておる。こういうことにな
つて
おるのであります。まず第一に聞きたいのはあなたは
共産党
の
政策
全般、これを
懲罰
の
対象
にしようとしておるのか、それとも五月六日の本
会議
における風早君の
発言
、これを問題にしておるのか、まずこの点から伺
つて
おきたいと思います。
中川俊思
42
○中川
俊思君
私は
共産党
の
政策
に対して、これを
懲罰
に付する何らの
理由
を持ち合せておりません。私の
懲罰動議
を提出いたしましたのは、当日の風早君の
演説内容
であります。但し風早君の
演説内容
が、その根源において
共産党
の
政策
の一端の現われであり、また風早君の言われたことが、平素常に
共産党
の内部のいろいろな
政策
に基いて言われておるということは事実でありましようが、しかし先ほど申し上げましたように、風早君の
演説内容
について、私は
懲罰
の動議を提出いたしたのでありまして、
共産党
の
政策
について
懲罰
の動議を提出する何らの
理由
を認めなかつたのであります。
梨木作次郎
43
○
梨木委員
そういたしますと、この中であなたは中西君の問題を引用し、五全協云々という問題を出して来ておるのは、これは風早君の
懲罰
とは
関係
はないということをお認めになるわけでありますか。
中川俊思
44
○中川
俊思君
ただいまも申し上げましたように、平素
共産党
の主張しておりますところのいろいろな本質的な性格に基いて、風早君はああいう
演説
をやられたのでありますから、その風早君の
演説
の内容を裏づけるために、
共産党
に対するいろいろな資料を述べることは当然だと私は考えたのであります。
梨木作次郎
45
○
梨木委員
わが党の
議員
の
国会
における一切の言動というものは、これはもちろん党の
政策
を実現するために行
つて
おるわけでありますが、しかし
懲罰
というものは、どういうことが
懲罰
の
対象
になるかということを最も厳密に限局しなければなりません。なぜならば、これは
議員
の身分に
関係
した重大な問題であります。もしもその
懲罰
の
対象
にな
つて
おる問題、
事犯
、この
事犯
を裏づけるために、
議員
の、またその政党の
政策
全般に触れ、またその
議員
の一切の生活や行動にまで触れるということになりまするならば、これはこのこと
自体
が私は
懲罰
に該当すると思う。なぜならば、
国会
法におきましても、
国会
内におきましては
議員
の私生活に触れてはならぬということを
言つて
おります。あなたは
一つ
の
懲罰事犯
を裏づけるために、いろいろな事実を持
つて
来るのだと言う。そういうことから、党の
政策
そのものまでも、これを裏づける
一つ
の事実として引用するのだということになりますならば、すでにそれは
——
そういう党の
政策
そのものを
批判
する、党の
政策
そのものを
一つ
の
批判
の
対象
にするということは、それ
自体
が
委員会
あるいは本
会議
においてなすべきことでありまして、これは断じて
懲罰
の
対象
とすべきものではない。そういうことになりまするならば、
国会
内の
議員
の論その他の行動というものは、一々多数党の、
懲罰
を口実の弾圧の
理由
とな
つて
来るのであります。私はかように考えます。
従つて
あなたの、風早君の言動そのものが党の
政策
から打出されておるものと思うから、党の
政策
を引用して来たというようなことは、少くとも
懲罰
問題を取扱うに際しての最も本質的な点を逸脱しておる。
懲罰
というものはさようなものではなくして、最も厳密に、その
議員
の問題と
なつ
たその行動を
対象
としなければならぬ。その行動について、いろいろな
理由
を
弁明
することが当然であるかと思いますが、
政策
そのものをここへ持
つて
来るということは、それこそ私は
懲罰
の
理由
の
範囲
を逸脱した言動であるとかように思う。この点については、あなたも少くともこういうような
懲罰
の
範囲
を逸脱したことを言われるにつきましては、この点についてあなたの今弁解された点は私は了承いたしませんが、この点についてもう少しあなたの
見解
を伺いたい。
中川俊思
46
○中川
俊思君
先ほど来梨木君は、そこにすわ
つて
おられる林君が一
身上
の
弁明
をやられたことは十分御
承知
だと存じますが、林君の一
身上
の
弁明
をやられたときにも、十分林君が述べられたように、
自由党
の
政策
に対して辛辣な
批判
を加えられております。私が風早君の
懲罰動議
を出ずにあた
つて
、
共産党
の
政策
を
批判
することに対して、何らの制肘を受ける必要はありません。また私は、先ほど来申し上げますように、
共産党
の
政策
について、風早君に対する
懲罰
の動議を提出したのではありません。私の
懲罰動議
の
提案
の
趣旨
をごらんくだされば、十分おわかりでありまするから、その点はあなたから何らの制肘を受ける必要はございません。
梨木作次郎
47
○
梨木委員
あなたは、
共産党
の
政策
を
懲罰
の
対象
にしたのではないかということをはつきりお認めにな
つて
おる。はつきり認めておきながら、この
懲罰
理由
の
弁明
の中では、
共産党
の
政策
を非難し、誹謗し、なおこれを
懲罰
にかけるかのごときことを言われておる。このこと
自体
は
懲罰
そのものの問題にならない。実はあなたがそれに籍口いたしまして、
共産党
の
政策
を
懲罰
にかげようとしておるという印象を受ける。しかしあなたの今の答弁によりまして、あなたは
共産党
の
政策
を
懲罰
にするのではないと、こう言われまし、たから、私はその点で、あなたがその後中西君の点に触れたり、
政策
に触れた。これはあなたは、風早君の五月六日の
演説
を
懲罰
にかけようとされたが、これだけでは問題にならないので、実は
共産党
の
政策
までもひつばり出して来て、ここでひとつ反共宣伝をぶたなければならない。つまり
国会
をそういう舞台に、あなたはこの
懲罰
の動議に籍口いたしまして、利用したものと私は認めざるを得ない。(「それは独断だよ」と呼ぶ者あり)しかし私はその次に質問を進めます。ところであなたは、さらに進めますが、五月六日の風早君の質問
演説
のどこが
懲罰
の
対象
になるのですか。あなたがここで
趣旨弁明
で言われていることは、ことごとく風早君の質問内容は虚偽と虚構と荒唐無稽だと、ほとんどこういう抽象的なことだけを言いまして、あとは
共産党
の
政策
を
批判
しているにすぎない。具体的には、この
演説
のどこをこの
懲罰
の
対象
にされようとしているか、またこの
演説
全体を
懲罰
の
対象
にしているのかどうか。これ全体がそうなのか、それともこの中の部分を問題にされているのか。
中川俊思
48
○中川
俊思君
私が風早君に対する
懲罰動議
を出しましたのは、先ほど来私が申し上げまするように、風早君の背後にありますところの、
共産党
のや
つて
いることについてのいわゆる
政策
についての
懲罰動議
ではございません。先ほど来たびたび
言つて
おりますごとく、風早君の
演説内容
でありますが、なかんずく私のどうしてもこれは事実と背反していると思いました点は、私の
演説
の二ページの終りから六行目、「しかるに、風早君は、これを称して
政府
の━━━
━━━━
行為となし、苦痛を訴える大衆に━
━━━━
━━━━━━━━━━━━
ほしいままにした云々と、」こういうようなこと、さらに「
━━━━
━━━━━━━━━━━━
のか
国家
警察も、予備隊同様、━━━
━━━━━━━━━━━━
」まずこういうようなことであります。一昨日でありましたか、風早君はこれに対していろいろ
弁明
をされたのでありますけれども、しかしながら風早君の
弁明
を聞いておりますと、ますます怪しくな
つて
来たのであります。つまりこの当時はたして
政府
が
━━━━
行為の計画的なことをや
つて
おつたかどうか。むしろこのことは、当時あらゆる新聞、雑誌によ
つて
明らかなごとく、これはまつたく
共産党
の計画的行為であつた。それを
政府
の計画的行為のごとくでたらめを並べておられる。しかも「
国家
警察も、予備隊同様、
━━━━
━━━━━━━━━━━━
云々」などということは、私が当時述べておりますように、いたずらに
国民
をして警察官との間に反感を助長するようなこと、こういうようなことは、私はここにいろいろ資料を持
つて
おりますから、御希望ならば全部朗読してごらんに入れますけれども、いかにも虚構と捏造に終始し、荒唐無稽の
言辞
を弄しておられる明々白々たる事実でありまして、かようなことは、
議員
として院の秩序を乱し、
品位
を汚すものである、こういうことで、私はこの
懲罰動議
を提出いたしたのであります。
梨木作次郎
49
○
梨木委員
そういたしますと、あなたの今の答弁によりますと、
演説
全体ではなくして、その中で今読み上げられたような
言葉
が、あなたから言わせれば
懲罰
に値するということになるのでありますか。それをはつきり確認しておきたいと思いますから、もう一度お答えを願いたいと思います。
中川俊思
50
○中川
俊思君
ただいま申し上げましたように、私はこの
演説
の最初から最後までの一々の字句について、全部が
懲罰
の
対象
になるとは考えておりません。
共産党
の
諸君
には
共産党
の
諸君
として言いたいこともあるでしよう。また私どもとすれば私どもとして、言いたいこともありますから、
従つて
、この
演説
の最初から最後まで、一々の字句全部が
懲罰
の
対象
というふうには考えていないのであります。
梨木作次郎
51
○
梨木委員
よくわかりました。そこで、全部は
懲罰
の
対象
にしておるのではないとおつしやいましたから、それではひとつ具体的にどうしても伺わなければなりませんが、まず今読み上げられました「風早君は、これを称して
政府
の━━━
━━━━
行為となし、」「━
━━━━
━━━━━━━━━━━━
ほしいままにした云々」これを問題にされたことはわかりました。それからつ次に「
━━━━
━━━━━━━━━━━━
のか、」云々ということ、この文を問題にされておるということはわかりました。そのほかにありますか。
中川俊思
52
○中川
俊思君
一々拾い上げれば切りがないのですが、たとえば七ページの「皇居前広場において、ほりにたたき落された警官や
外国
人が、
生命
の危険を感じて石がけによじ登らんとしているのに対して、雨あられのごとく石ころを投げつけたり、赤旗やプラカードの棒で突き落している残虐非道の光景を、見るに見かねた通行人が、お互いに
日本
人ではないかと助け上げんとすれば、その通行人もまたほりにたたき落したなどの行為は、これこそまさに鬼畜にひとしき行為として、天人ともに許すべからざる人非人的残虐行為」こういうことも、風早君の競演内容として見ますと、これはまつたく逆のことであ
つて
、むしろこれは警察官がやつたんだ、こういうようなでたらめなことが言われておるのであります。
従つて
、この
演説
の全体をずつと通じて見ますと、私が最後に
結論
づけておりますように、まつたく自分らのやつたいわゆる暴力革命の
前提
ともなるべきようなことを是認するような構想が見られる。そういうようなことに対して、私はこの
懲罰動議
を提出いたしたのであります。
梨木作次郎
53
○
梨木委員
まず中川君に伺いた言いのでありますが、「皇居前広場において、ほりにたたき落された警官や
外国
人が、
生命
の危険を感じて石がけによじ登らんとしているのに対して、雨あられのごとく石ころを投げつけたり、赤旗やプラカードの棒で突き落している残虐非道の光景を、見るに見かねた通行人が、お互いに
日本
人ではないかと助け上げんとすれば、その通行人もまたほりにたたき落したなどの行為は、これこそまさに鬼畜にひとしき行為として、天人ともに許すべからざる人非人的残虐行為でなくて何でありましよう。」これを
懲罰
の
対象
にしたとあなたはおつしやいました。実は私もまだあまりよく検討していないのでありますが、五月六日の風早君の
発言
の中にはどうもそういう点は見つからないのであります。ちよつとお示しを願いたいのであります。
中川俊思
54
○中川
俊思君
私の申し上げたのは、風早君の
演説内容
は、そういうことはむしろ警官がやつたんだ、
共産党
の
諸君
がやつたんじやないのだ、いわゆる尖鋭分子がやつたんじやないのだ、こういうようなことを
言つて
おられる。それを私はさしておるのであります。
梨木作次郎
55
○
梨木委員
でありますから、私は先ほど来、
懲罰
というものは
議員
である身分に
関係
する問題であり、しかもこのたびの
懲罰
の
対象
は、
議員
が
国会
の中で行つた
発言
、つまり
言論
です。
言論
の内容が問題にな
つて
いるのであります。従いまして、われわれは
言論
の自由については、最も神経質にこの自由を確保しなければなりません。でありますから、その人がどういう
思想
を持
つて
いるとか、どういう政党に所属しているかという
前提
條件や先入感というものはまずさておいて、少くとも
発言
としてなされたものを、厳密に
対象
として問題にしなければ、
国会
の中の
言論
の自由というものは
保障
することはできません。そしてまた、
国会
内の
言論
の自由が
保障
されることなくしては、
民主主義
の確立ということは、絶対に期待することができないのであります。私はそれゆえに、先ほど来冒頭において、いろいろと
提案
者の
懲罰動議
の
提案理由
を伺
つて
来た。大体あなたの言われんとすることもほぼ明確になりつつあります。ところで、私が今度今聞きましたところが、今読み上げたところは、これは私が見たところではないのですが、少くともあなたが今
懲罰
の
対象
にしているのだと言われる皇居前広場云々、ほりにたたきこんだという問題のこの
言葉
、
発言
、これは風早君の
演説
の中には私は見つけることができない。しかしあなたはあるとおつしやるのか、いや、ここにはないけれども、そういうような
趣旨
で
言つて
いるのだということなのか。つまりあるのならば、その場所を指摘してもらいたい。実はないのだ。ないのだけれども、こうこうだと言われるなら、その
理由
も明確にしてもらいたい。それによ
つて
、やはりこの
懲罰事犯
を審議する場合に、私たちは重要な資料になるのでありますから、これをひとつお示しを願いたいと思います。
中川俊思
56
○中川
俊思君
先ほど来
言つて
おりますごとく、たとえば風早君が先般六月十二日の本
会議
における一
身上
の
弁明
の中にも述べられておるのでありますが、「実に明白な殺人犯人でなければなりません。以上のごとき計画性、以上のごとき非人道的な鬼畜ぶり、しかして、その結果として殺人と重傷、これを━
━━━━
と言わずして何と名づけることができるか。」こういうようなことを
言つて
おる以上、これらは明らかに宮城前で起つた、ただいま私が申し上げたような内容をみな包含しておるのであります。このことを私は
言つて
おるのであります。
梨木作次郎
57
○
梨木委員
私はたびたび申しますが、この
懲罰
委員会
の審議を愼重にかつ的確に進めて行くために、私はお伺いしておるのでありまして、あなたは今風早君の六月十二日の一
身上
の
弁明
を引用されました。しかしながらこれは一
身上
の
弁明
であります。あなたはこの 一身七の
弁明
を、また
懲罰
の
対象
にされるのですか。これを伺いましよう。
中川俊思
58
○中川
俊思君
風早君が先般十二日に行われました一
身上
の
弁明
は、ほとんど五月の六日になされた
演説
の
——
字句は違
つて
おりますけれども、むし返しであります。
従つて
、私はここに五月六日の
演説内容
の
速記
は持
つて
おりませんが、十二日の
速記
を比較、対照してごらんになれば、字句こそ違
つて
おるけれども、内容はほとんど重複しておる。それによ
つて
お察しを願いたい。
梨木作次郎
59
○
梨木委員
しかしそれは私は少し乱暴ではないかと思うのです。これは一
身上
の
弁明
であります。しかもその一
身上
の
弁明
というのは
——
あなたがなさつた
趣旨弁明
、これはあなたも御
承知
のように、非常に広汎に
共産党
の
政策
全般に触れられております。従いまして、そこからやはりそれに対応した一
身上
の
弁明
というものもなされなければならぬことは、事の道理から見て当然であります。でありまするから伺うのであります。また先にもどりますが、あなたもこの一
身上
の
弁明
を
懲罰
の
対象
にしておるとはおつしやらない、大体それと同じようなことを
言つて
おるからだ、こういうことを言われますから、そこでまず最初の五月六日の
演説
に移りますが、もつとはつきり
言つて
もらいたい、皇居前広場においてほりにたたき込まされた云々が、先ほど私が読み上げました風早君の
演説
の中にあると主張なさるのですか。いやそれはないと主張なさるのですか。どつちなんですか。
中川俊思
60
○中川
俊思君
先ほど来たびたび
言つて
おりますごとく、風早君の
演説内容
といたしましては、これをまさに裏書きしておる。たとえば六月十二日における風早君の一
身上
の
弁明
の三ページの初めの方をごらんになりましてもおわかりのごとく、「
アメリカ
兵士をほりに投げ込み、
アメリカ
将兵の自家用車を焼き拂つた」こういうことをはつきりこのときに述べられておるのであります。
梨木作次郎
61
○
梨木委員
一
身上
の
弁明
の中に今あなたの言われたようなことがあつたといたしましても、それは一
身上
の
弁明
であります。
懲罰
の
対象
にな
つて
おるのは五月六日の
演説
であります。だから私は、しつこいようでありますが、五月六日の
演説
の中に、今あなたが指摘されたような文句がありますかということを、繰返して聞いておるのでありますから、これにひとつお答えを願いたい。
中川俊思
62
○中川
俊思君
先ほどもたびたび申し上げましたように、私の
懲罰
の動議を出しました
理由
は、風早君の
演説内容
が虚構と捏造に終始しておる、こういうことが私の
懲罰
内容の一番根本なのであります。
従つて
、しつこく梨木君から質問がありまするが、私が言わんとしておるところはそこでありまして、今一
身上
の
弁明
の中にもはつきり
言つて
おられるごとく、風早君はこのことを肯定しておられる。実際にそういうことはなかつたのにもかかわらず、あつたごとく
言つて
おられる。ここが最も重要なところであるとして、私はこの
懲罰動議
を出したのでありますから、そんなささたる問題をつかまえて、梨木君はこの問題に籍口せんとしておられるけれども、私が
言つて
おることはその問題ではございませんから、この点は御了承おき願いたいと思います。
梨木作次郎
63
○
梨木委員
あなたはささたる問題だと言われました。しかしあなたも先ほどお認めのように、五月六日の
演説
の中の、しかも特定の部分を問題にしているのだということをあなたはお認めにな
つて
おる。そこで私は、その部分を聞いておるのであります。あなたに、その部分がどの部分ですかということを聞いたのであります。そうしたら、この部分だとあなたはおつしやつた。だからここが問題なんだ。決してささたる問題でなくて、これが問題なんだ。これが本件
懲罰事犯
の一番重要な問題であります。
従つて
、これをささたる事柄だとおつしやることは、私は受取りがたいのでありまして、一
身上
の
弁明
の中の内容を引用されることは当らないと思います。そこで私が重ねてどうしても伺わなければならぬことは、皇居前広場においてほりにたたき込んだ云々の点がどこにあるのか、あなたは今虚構と捏造云々と言われました。これはまたこれからお伺いします。それは詳細に聞きますから、それはさておいて、とにかくこの皇居前広場においてほりにたたき込んだ云々の文句がどこにあるかをひとつ示してもらいたい。
中川俊思
64
○中川
俊思君
たびたび申し上げますように、風早君の一
身上
の
弁明
と風早君のなされた
演説内容
というものは大同小異であります。
従つて
、風早君の一
身上
の
弁明
の中に現われておる
通り
でありますからそれで御了承を願います。
梨木作次郎
65
○
梨木委員
それではさらに質問を進めます。あなたは風早八十二君の五月六日の本
会議
の
演説
と、十二日の風早君の一
身上
の
弁明
は大同小異だとおつしやいますが、しかしどこが似てお
つて
、どこが違
つて
おるか、これをもう少し具体的に示していただきたい。
中川俊思
66
○中川
俊思君
梨木君のお手元には風早君の一
身上
の
弁明
の原稿もございましようし、また五月六日になされた
演説
の内容もございましようから、どうぞそれをごらんになればわかります。
梨木作次郎
67
○
梨木委員
私は持
つて
おります。だが、この二つを比較いたしましても、この五月六日の
演説
の中にはそういう文句はないのです。そうして十二日にもこういう文句がありません。従いまして、あなたのおつしやることが違うのだから
——
しかし違うとい
つて
われわれが
委員会
において認定する前に、あなたの方からやはりその釈明を求めておくことが、事柄の審議を愼重にするゆえんだと思いますので、
提案
者に聞くのであります。五月六日にはないのですよ。ないのです。ないことは間違いないのです。私は調べてあるのですから……。しかしながら、あなたがあるようにおつしやるから、念のためにもう一度聞くのです。ありませんが、あなたがあるというならば、場所を指摘していただきたいというのです。
鍛冶良作
68
○
鍛冶委員長代理
答弁は同じだから答えぬと
言つて
おります。
梨木作次郎
69
○
梨木委員
私は本
委員会
の審議を愼重かつ民主的に運営して行くためには、今の私が
提案
者に行つた質問は、本
委員会
における
懲罰
問題を審議する最も重要な事柄であります。今
提案
者中川君は、この答弁はしませんとおつしやいましたが、しかし本
委員会
といたしましては、これについての
提案
者中川君の答弁は、やはり聞く必要があると思います。そこで
委員長
からこの点についてもう一度、これは非常に重大だと私は思いますから、私の質問に対してお答えを督促してもらいたいし、お答えがなければ、私はまた私の考えがありますが、まず第一に
委員長
から、これは私は非常に重要だと思いますから、答弁を促してもらいたいと思います。
鍛冶良作
70
○
鍛冶委員長代理
中川君は、何べん答えても同じことだからと、こう言われます。
梨木作次郎
71
○
梨木委員
委員長
は、今私と中川君との質疑応答を通じて、事の重要性を認識されていると思います。
従つて
この
懲罰事犯
を慎重に扱う限りにおきましては、
委員長
はやはり職権をも
つて
この釈明を求めることが必要だと思います。私はそう考えます。だから、私は
委員長
のそういう職権の発動を促したいと思います。
鍛冶良作
72
○
鍛冶委員長代理
私は何もそんなことをここでやる必要がないと思います。
委員諸君
がこれを聞いてしかるべく御判断願いたいと思います。 〔
発言
する者あり〕
中川俊思
73
○中川
俊思君
先ほど来梨木君は、鬼の首でもとつたように、この問題を取上げられておりますが、風早君が先般ここにおいて
弁明
されたときにも、皇居前で起つたいろいろな問題は、
共産党
としての自分は派生的問題としか考えていない、こういうことを風早君ははつきり
言つて
おられます。私は派生的問題とは考えていない、これは計画的問題と考えておるのでありますが、かりに一歩譲
つて
、風早君の言をその
通り
引用するといたしましても、今私が申し上げた問題について、一々字句が違
つて
おるから、あるいはお前の
言つた
通り
がここに載
つて
おるかいないか、こういうことは問題ではございません。この
演説
の内容をごらんになれば、私が今
言つた
ようなことは、風早君自身も
弁明
において述べられておられる。その述べられておることは、風早君の五月六日の
演説内容
と大同小異であるということをも
つて
、十分おわかりの
通り
なのでありますから、それに対して、私はこれ以上あなたに御答弁を申し上げる必要を認めないのであります。
梨木作次郎
74
○
梨木委員
今中川君の答弁を聞いておりますと、自分が
懲罰
にかけようとしておる
言葉
、文句、これが風早君の
演説
の中には全然存在しておらない。ところが、そういう文句があるかないかは問題でない。こうなりますと、また逆にもどりまして、あなたは
一体
何を
懲罰
にしようとしているのかわからぬじやないか。こういう文句を問題にされないとおつしやるなら、そうならば、また逆にもどりまして、何を
懲罰
にしようとするのですか、これをひとつ伺いたいと思います。
中川俊思
75
○中川
俊思君
当初申し上げました
通り
、虚構と捏造並びに警官に対する反抗を助長したこと、これが私の
懲罰動議
の最大の
理由
であります。そこで大分くどいようでありますから、ひとつ当時の新聞なりまた雑誌なりを引用して、徹底するまで御説明申し上げましよう。
鍛冶良作
76
○
鍛冶委員長代理
中川君、あまり長くな
つて
も……。
速記
をとめてください。 〔
速記中止
〕
鍛冶良作
77
○
鍛冶委員長代理
速記
を始めて……。
中川俊思
78
○中川
俊思君
それからこの五月一日のメーデーの騒擾事件というものは、これは
共産党
を背景とする一部尖鋭分子の計画的行動であつたということは、当時の新聞雑誌は言うに及ばず、労働組合の批評を見ても、政党の批評を見ても、また一般の批評を見ても、それから君らときのうまで同志だ
つて
中西君の批評を見ても、はつきりしているのだ。君らの気に入らなければ、君らの言うところでは、みな裏切者、反動者なんだ。今ちよつとここにおらぬが、名前をあげて言うても気の毒だから言わぬが、現在
共産党
の中におる君らの同志で、いつ脱党しようかとチヤンスをねら
つて
いる者がおることを知
つて
いるか。失礼だが……。そういうことであるのだ。(「
自由党
にもあるじやないか。」と呼ぶ者あり)
自由党
にもあるかもしれぬ。数が多いのだからあるかもしれない。
鍛冶良作
79
○
鍛冶委員長代理
討論
はやめてください。
中川俊思
80
○中川
俊思君
そういうふうに、要するに私のこの
懲罰動議
を提出した一番の問題は、さつきからたびたび
言つて
おるごとく、一々の字句の問題じやないのだ。これは要するに計画的にやつたことを、計画的にやつたのじやないのだ、警官がやつたのだ、こういうような虚構と捏造に終始していることがいけないということを
言つて
いるので……。
鍛冶良作
81
○
鍛冶委員長代理
あまり
討論
にわたらないようにお願いいたします。 午前中はこの程度にとどめ、午後は二時から
委員会
を開くことといたし、この際暫時休憩いたします。 午後一時七分休憩
——
——
◇—
——
——
午後三時十九分
開議
高木松吉
82
○高木(松)
委員長
代理 休憩前に引続き
会議
を開きます。
議員風早
八十二君
懲罰事犯
の件を議題といたします。動議提出者中川君に対する質疑を続行いたします。梨木君。
梨木作次郎
83
○
梨木委員
午前中中川君に質問いたしたのでありますが、さらに質問を続行します。 午前中の私の質問に対するあなたの答弁によりますと、この五月六日の風早君の
演説
の中の二箇所を指摘されて、これが
懲罰
の
対象
にな
つて
おる、こういうことでありました。それでこの二箇所以外にはまだほかにあるのかどうか、これをひとつ伺いたいと思います。
中川俊思
84
○中川
俊思君
たくさんございますが、私は冒頭に申し上げましたように、風早君の
演説
の第二ページから三ページにわた
つて
ありまする部分を特に強調いたしたのであります。その他ただいまお尋ねでありまするから追加をいたしますと、四ページの最初の、「━━━
━━━━━━━━━━━━
、」さらに四ページの終りから三行目の「━
━━━━
━━━━━━━━━━━━
」云々、さらに五ページの最初から三行目の「今やまつたく
━━━━
━━━━━━━━━━━━
ことは明らかであります。」さらに六ページの「━
━━━━
━━━━━━━━━━━━
被害者たる
国民
に対しては、損害賠償どころか、逆に入院中の被害者の治療を妨害し、」云々、その他たくさんあるのです。たとえば七ページの初めから三行目、「
━━━━
━━━━━━━━━━━━
この武装警官隊、これこそ
日本
国内に派遣せられた
━━━━
でなくて何であります。」その他その下の「━━━」であるとか、数え来ればたくさんありますが、要するに私が本動議を提出いたしましたのは、午前中にも申し上げましたように、虚構と捏造に終始しておる、しかも無益に警察官と
国民
との間に反抗を助長するようなことを風早君が述べておる、こういうことを私は指摘したのであります。
梨木作次郎
85
○
梨木委員
今指摘されたのは六箇所であります。六箇所のほかにまだたくさんあると言われるのでありますが、具体的に示してもらわなければ、この
懲罰
の
対象
とな
つて
おる問題が明確になりませんから、やはりごめんどうでも、ひとつ具体的に示していただきたいと思います。
中川俊思
86
○中川
俊思君
梨木君の手元には風早君が当日された
演説
の
速記
があるはずでございますから、それをどうぞごらん願
つて
、私がただいま申し上げたこと
——
さらにその他たくさんあると申しましたのは、そこに筋を引いてあるところ、これをごらんになればおわかりでございます。
梨木作次郎
87
○
梨木委員
筋を引いてあるところと言われますが、筋を引いてあるところは、そのほかには見当らないようでございます。これだけでありますか。
中川俊思
88
○中川
俊思君
九ページの初めから四行目にもございます。「
━━━━
━━━━━━━━━━━━
こと、」さらに七行目にも「
━━━━
」さらに十ページの初めから八行目にも「━━両條約」、その次にも「━━両條約」、その他十一ページにも同様の文句がありますが、これらであります。
梨木作次郎
89
○
梨木委員
これらの文句が虚偽と控造だから
懲罰
に該当する、こういう主張なんでありますか。
中川俊思
90
○中川
俊思君
午前中申し述べた
通り
でございます。
梨木作次郎
91
○
梨木委員
あなたは、今あげられたような問題が虚偽と捏造だとおつしやる。しからば私は聞くのでありますが、五月一日に高橋正夫君という人がピストルで殺されております。この事実をあなたはお認めにならないのですか。これもうそだとおつしやるのですか。
中川俊思
92
○中川
俊思君
うそだとは私は申しませんが、午前中からしばしば申し上げておるように、この問題の本質から考えまして
——
ただいま梨木君の指摘されたことが事実であるかもしれない。しかしながら、高橋正夫君という人がどうして殺されたか、はたして警官隊に撃たれたか、あるいは自分らの同志、君らの称しておられる同志の何かによ
つて
生命
を失われたか。そこまで私は現場を見たわけでありませんから、その詳細にわた
つて
答弁することはできません。
梨木作次郎
93
○
梨木委員
この高橋君というのは、腰のうしろからピストルの弾丸が胸を突き抜けて、これが致命傷にな
つて
死んでおるのであります。ピストルの弾丸で死んでおるのであります。これは警察官が射殺したということは、当時この現場におつた
人々
ばかりでなく、いろいろな雑誌や新聞にも報道されておりまして、これは明らかに警察官によ
つて
射殺されたというように
国民
大衆は感じておるのであります。そこでこの問題につきまして、一人の人が殺されておるのを、あなたはそれはどういう原因によ
つて
殺されたかわからないとおつしやるのである。しかし当時武器、しかもピストルを持
つて
おつたのは警察官だけだというのは常識であります。そうな
つて
参りますと、一人の人が殺され、しかもそれはピストルによ
つて
殺された。これは診断の結果明らかである。そしてピストルを持
つて
いたのは警察官であるということになりますれば、この問題をとらえて、これは警察官が殺したのではないか、警察官が殺したものであるとすれば、これは重大なる
政府
の
責任
であるとい
つて
、
政府
の
責任
を追究し抗議するということは、殺された
国民
の側からいいますならば、当然なされなければならない質問だと私は思うのです。だからかりに
立場
をかえて、あなたはそれはどういう原因で殺されたかわからないとおつしや
つて
も、
国民
がこれは明らかに警察官によ
つて
殺されたと信じておる場合、そして一般的にさような報道がなされている場合に、これを受けて質問するのは、私は
国会議員
として当然であろうと思うのですが、こういう問題について質問することが、あなたはやはり
懲罰
に該当するという御主張なんですか。
中川俊思
94
○中川
俊思君
高橋君という方が殺されたか殺されないか私は知りませんが、もしあの問題でなく
なつ
たとすれば、私どもは
国民
の一人としてつつしんで弔意を表するのであります。しかしながら、
一体
この問題がどうして起つたか、こういうような根本原因を探究いたしますならば、もし高橋君がその渦中に巻き込まれて殺されたとするならば、高橋君の霊は、おそらく
共産党
のこういう問題を惹起したいわゆる尖鋭分子のやつたことに対して、今地下で恨んでおるであろうということを信じておるのであります。
梨木作次郎
95
○
梨木委員
そうなりますならば、それはあなたがそういう感覚を持
つて
おられるということだけのことでありまして、それは
一つ
の政治的な主張になると思います。しかし私がここで問題にしているのは、この警察官によ
つて
一人の
労働者
が殺されたというこの事実、これは警察官によ
つて
殺されたのかどうかはあなたは疑問であるとおつしやるといたしましても、
国民
の間ではそういう疑問を持
つて
おる。これが事実であるといたしますならば、少くともこの点について
国会議員
がこの疑問を晴らし、さらにこの点についての
政府
の
責任
を追究するということがもし
懲罰
になるといたしますならば、
政府
に警官の人権蹂躪を抗議し、
責任
を追究するということが一切できなくなるじやありませんか。だからあなたが高橋君が死んだという事実をお認めにな
つて
、ここに一人の人間が殺されておる、メーデーのあの
人民
広場の問題で殺されておるこれは
国民
の
生命
、財産を保護するのが任務である警察官によ
つて
殺されたということが、はつきり事実であるということになりますならば、重大問題でしよう。だから、この問題を質問するのは私は当然だと思う。だからこの点をあなたが虚構だの何だのと
言つて
、そして
懲罰
にかけようとするならば、これは私は非常に問題だと思う。
中川俊思
96
○中川
俊思君
先ほどから、高橋君のことについて盛んに梨木君は質問をしておられるようでありますが、おそらく梨木君といえども、当時高橋君が警察官によ
つて
撃たれたということの確認はないだろうと思うのであります。そういう仮定の事実に基いて答弁することはやめます。
梨木作次郎
97
○
梨木委員
私ども少くとも
国会議員
として、
国民
の負託を受けて国政に参質しておるものは、一々その事実を現場で見なければ、
政府
に対して質問できないというような性質のものではありますまい。
国民
の中にこういう疑問、疑惑、そしてこれはもう
日本
の
労働者
にと
つて
、明らかに警察官が殺した、こう信ぜられておる。だからこの
国民
的な疑惑感情、こいつを解くために、そしてまたこれを真実と信じて質問するというのには、いろいろな
立場
がある。だからその
立場
々々によ
つて
、いろいろな表現も出て来るでありましようが、少くとも高橋君が死んだという事実、この点は動かすことのできない現実の事実だ。この点について、
政府
の
責任
を問いただすことを
懲罰
にかけようとすることになりますならば、
━━━━
というようなこの
言葉
自体
が
——
そのほかにもたくさんの人が死んでいるという疑惑が起
つて
来ている。これを一切とらえて質問するというのがなぜ悪いのです。だからここで問題になることは、私どもは……(「
━━━━
という
言葉
を使うことが悪いんだよ」と呼ぶ者あり)そこで次にさらに伺います。(「質問することが悪いと
言つて
いるのではない」と呼ぶ者あり)そういうよけいなことを言わなくてもよい。そこでこの
人民
広場において一人の人が死んだ。(「一人ではないか」と呼ぶ者あり)これは一人ではない。
諸君
は一人と言うけれども、さらに近藤巨士君というのが、これがやはり五月六日に死んでおる。この五月六日死んでいる原因というのは、
人民
広場で負傷をいたしまして、これが病院へ入院いたした。病院で治療中に瀕死の状態にあつたのです。この瀕死の状態にあつた人に対しまして、武装警官を張り番させて、そうして深夜尋問を行つた。その結果近藤巨士君という人が死んで行
つて
おるのです。これは人道上から見ますならば、瀕死の人間に対しまして
——
医者が絶対安静を要するという人を尋問するということは、これは人道上許すことのできない問題である。そのために、治療ができなくて死んで行くということは、こういうことは文学的に表現すれば虐殺ということになりませんか。(「じようだん言うない」と呼ぶ者あり)しかしそれは
立場
は違うといたしましても、こういうような死に方をして行
つて
おるこの事実について
政府
に対して質問する、これがどうして
懲罰
に該当することになるのか、こういう質問をしてはいけないとあなたはおつしやるのですか。
中川俊思
98
○中川
俊思君
先ほど来、高橋君その他しばらくして、なくなられた方の話をしておられますが、私どもの大衆というのは、非常に多くの
国民
諸君
を
相手
に、いわゆる
対象
としての
言葉
であります。しかし今聞きますと、高橋君その他、一週間ほどしてなく
なつ
た近藤某氏を梨木君はさしておられるようでありますが、私どもは警察官との衝突によ
つて
一人ないし二人の者が死んだことを、ただちに━━━と言うようなことは、あまりに
共産党
の
諸君
のいわゆる誇大な宣伝として、
国民
に対して非常な悪感情を起さす、こういうようなこと、ことに虐殺というようなことに至りましては、およそ当日の事実とかけ離れているように思われるのであります。高橋君がはたして警察官によ
つて
殺されたかどうかということは、当の梨木君はもちろんのこと、風早君といえどもこれは目撃されたわけでも何でもないであろうと思うのであります。しかるにかかわらず、そういうことをさも警察官が殺したごとく、自分らが目撃したようなことを
言つて
宣伝すること、そういうようなことが、いわゆる虚構と捏造であると私は
言つたの
であります。また今梨木君の御質問でありまするが、私は、そういうことを質問されたことが悪いということを
一つ
も
言つた
二とはございません。私の申しましたことは、先ほど来、午前中・来申し上げておりますように、要するに虚構と捏造に基いたことを
言つて
おられる、そのことを
言つて
おるのでありまして、それに対する反証をあげろということであるならば、ここにいくらでも材料がありますから御説明いたします。あなたの言われるのは、そういうことを
政府
に対して質問するのがなぜ悪いのか、こういう御質問のようでありますけれども、私はその質問の内容が悪い、よいというようなことを
言つた
ことはございません。
梨木作次郎
99
○
梨木委員
あなたはそれでは、当日警察官がピストルを発射したこと、そういう事実はなかつたとおつしやるのですか。
中川俊思
100
○中川
俊思君
それは先般この席でも
つて
風早君が一
身上
の
弁明
をされましたときにも、風早君がしばしば
言つて
おられることでありますが、警官隊との衝突は派生的な事実である、こういうことを風早君ははつきり
言つて
おる。
速記録
をごらんになればわかりますが、要するに根本の問題は、これを背後から使族した、煽動した
共産党
を中心とする一部尖鋭分子にあるのである、こういうことを私どもは
言つて
いるのでありまして派生的な問題につきまして、かれこれ私は今言おうと思
つて
おるのではありません。
梨木作次郎
101
○
梨木委員
諸君
はそういうことを言いますが……。 〔
発言
する者あり〕
高木松吉
102
○高木(松)
委員長
代理 静粛に願います。
梨木作次郎
103
○
梨木委員
このメーデー事件のあつた翌日です。五月二日、衆
議院
の
法務委員会
におきまして、
田中
警視総監が
発言
しております。この
発言
にこう
言つて
おります。「いわゆるメーデーを利用した
一つ
の暴力
破壊活動
であるというふうに私どもは考えておりまして、情報等も入手いたしまして、相当暴力行為等が行われるということも予想はいたしておつたのであります。ただ当局側といたしましては、これらの暴徒と、繁華街におきまして、町の中において乱闘をいたしますることは、一般の通行人等に非常な死傷者を出したり、あるいはその他の物件に損壊を来し、あるいは非常な損失を来すようなこともありますので、こういう点を考慮いたしまして、皇居前の広場に入れまして、乱闘をいたしたような次第であります。」とこう答えております。そこで私はお尋ねいたしたいのです。つまり御
承知
のように、あの
人民
広場というのは、ほりに囲まれておるのであります。そして出入品は数箇所に限定されておるのであります。ここへ、
田中
警視総監のこの答弁によりますと、デモ隊を引入れておいて、この入口をみんな締めてしまう。これは袋のねずみにな
つて
しまう。そうしてそこで警察官は催涙弾やピストル、こん棒、鉄かぶとで武装しておる。この場合におきまして、
一体
こういうようなことが、
——
しかも当時目撃した
人々
の報道によりますと、警察官が最初に催涙弾、それからピストルを発射しておる。こうな
つて
来ますと、これは袋のねずみにしておいて、そうしてこれをピストルや催涙弾で襲撃するということになりますならば、私はこれはまつたく
━━━━
を計画したというように思われても、これはしかたがないじやないか。またこういうような諸般の情勢を、事実
関係
を
前提
といたしまして質問をする場合に、こういう
言葉
を使
つて
質問すること、その当不当はともかくといたしまして、ここで一番私たち
国会議員
として考えなければならぬ問題は、あらかじめ
人民
広場へ引入れておいて、ここで乱闘したということになりますならば、これは計画的に、あらかじめ何かの暴力行為が行われるということを、これは初めの情報でわか
つて
おる。そこでここへ引入れて……。
高木松吉
104
○高木(松)
委員長
代理 梨木君、梨木君、ちよつと申し上げます。簡潔にお願いします。簡潔に……。
柳澤
君。 〔「
発言
中じやないか」「被告、黙れ」「被告とは何だ」と呼び、
発言
する者多く、議場騒然〕
柳澤義男
105
○
柳澤
委員
梨木君の
発言
を聞いておりますと……。 〔「
発言
中じやないか」と呼び、その他
発言
する者多し〕
高木松吉
106
○高木(松)
委員長
代理 議事進行ですね、
柳澤
君。 〔
発言
する者多く、議場騒然〕
高木松吉
107
○高木(松)
委員長
代理
委員外
の
発言
は禁じます。
柳澤
君。
柳澤義男
108
○
柳澤
委員
あなたの
発言
を聞いておると、まつたく質疑の内容に触れておらぬ。用語の遊戯にすぎない。午前中から質疑は盡されて、もはや……(「今
発言
中だ」と呼び、
発言
する者、離席する者多く、議場騒然)質疑は盡されておると考えますので、この辺で中川君に対する質疑は打切
つて
いただきたいと思います。 〔「賛成」と呼び、その他
発言
する者多し〕
高木松吉
109
○高木(松)
委員長
代理 ただいまの
柳澤
君の動議……。 〔
発言
する者、離席する者多く、議場騒然〕
高木松吉
110
○高木(松)
委員長
代理
柳澤
君の動議に賛成の
諸君
の……。 〔賛成者起立〕 〔「起立多数」と呼び、その他
発言
する者、離席する者多く、議場騒然、聽取不能〕
高木松吉
111
○高木(松)
委員長
代理 動議提出者である
佐々木盛雄
君に対する質疑に入ります。(「質疑中じやないか」と呼び、その他
発言
する者多し)梨木君、静粛に願います。(「政治家として生きるか死ぬかの問題じやないか」と呼び、その他
発言
する者多し)林君、
委員外
の
発言
を禁じます。林君に退場を命じます。
——
退場を命じます。
——
退場を命じます。林君。(
発言
する者、離席する者多く、議場騒然)林君、退場を命じます。
——
林君、退場を命じます。
委員
の
皆さん
着席してください。いま一度申し上げます。動議採決の結果、質疑は終了いたしました。
佐々木更三
112
○
佐々木
(更)
委員
質疑は終了したということでございますが、先ほど
委員長
に申し上げましたように、私きようは突然猪俣君の欠席によりまして、代理で参つたので、まだ十分に書類を読んでおらないのであります。それで私の質問は明日にまつわしていただきたいと思います。
従つて
この質疑の打切りということは、全体の打切りではなくして、私の質疑は明日に延ばす、こういう
理由
で質疑を終了していただきたいと思うのであります。
高木松吉
113
○高木(松)
委員長
代理 ただいま質疑終了の動議が成立いたしましたから、その留保をするわけには参りません。
梨木作次郎
114
○
梨木委員
議事進行について。今の
柳澤
君の質疑打切りの動議の経過を見ておりますと、こういうことにな
つて
おるのです。これは
速記録
を見れば明らかですが、
委員長
は私に対して質問はなるべく簡潔に願いたいという注意があ
つて
、私もそれに応じまして、簡潔にやりましようということで、質疑を続行しようとしたのです。その質疑を続行中の
発言
中であります。その
発言
中に、あなたはこの
柳澤
君の議事進行の
発言
を認めたのです。私の
発言
が終らないうちに、こういうような
発言
も許すということは、これは明らかに議事規則に違反します。また
委員会
の運営上、慣例からい
つて
も、こういうことはありません。現に、私は昨日他の
委員
の
発言
中に、いろいろ議事進行について
発言
を求めたが、今他の
委員
の
発言
中だからと
言つて
、私の
発言
を認めなかつたことも明らかであります。しかも
佐々木
更三
委員
がほかに質問したいことがあるということは、先ほど
委員長
にも通告しておるところであります。質疑の通告がしてあるにもかかわらず、
佐々木
君のこの質問は全然させる機会を與えないで、質疑の打切りをするような、そういうとりはからいをすることは、少くとも
委員会
の一人の
委員
、しかも重要な
野党
の
委員
に質疑の機会を與えないということは、この
委員会
の運営上、まつたく乱暴なやり方だといわざるを得ません。
高木松吉
115
○高木(松)
委員長
代理 梨木君にお答えいたします。梨木君は私の注意によ
つて
、一度いすに腰かけられた事実がある、
従つて
私はあなたの
発言
は打切つたものと認めて、
柳澤
君の
発言
を許したのであります。それから
佐々木
君の
発言
通知は受けておりますが、動議が成立した以上やむを得ませんから、御了承願います。
佐々木更三
116
○
佐々木
(更)
委員
私ここで詳細に調べておりませんが、たしか
委員会
の質問
発言
は、あらゆる
委員
に平等に割当てなければならぬという
規定
にな
つて
いるはずであります。
従つて
私は
委員長
に対しまして、きようの質問にこの書類の調査が間に合わないから、明日に私の質問を延期してくれないか、こういう申入れをしてあるのでございますけれども、私の質問権を放棄しておるのではないのであります。
従つて
柳澤
君のこの質問打切りの動議は、梨木君の質問打切りの動議ならば、これは適当かもしれませんが、私の質問まで
柳澤
君の動議によ
つて
これを打切る、こういうことは
委員会
運営の上から、私は何か違法ではないか、こういうふうに考えられます。
高木松吉
117
○高木(松)
委員長
代理
佐々木
君にお答えいたします。あらかじめ時間の割当をしたときには、
佐々木
君のようなことがございますが、時間の割当をなさずして、今日のような場合は、動議が成立してからは、あなたの
発言
は許すわけには参りません。
佐々木更三
118
○
佐々木
(更)
委員
それにいたしましても、
委員長
はまだ質問者が残
つて
おるのに、これを見ずして全然そういう質問者の意見を尊重しないで、これを打切るということは、どういたしましても私は
委員長
のこういうとりはからいは公平だとは想えません。こういうような不当な
委員会
において私はとうてい職責を盡すことはできませんので、この
委員会
に対しては退場いたします。
高木松吉
119
○高木(松)
委員長
代理
佐々木
君にお答えいたします。私は
委員長
として動議が成立した以上は、やむを得ないからしかたがありません。
—————————————
高木松吉
120
○高木(松)
委員長
代理 ただいま梨木君から、
委員長
代理に対する不信任の動議が提出されましたが、私の一
身上
のことでありますので、
理事
田淵君に末席を譲ります。 〔高木(松)
委員長
代理退席、田淵
委員長
代理着席〕
田渕光一
121
○田渕
委員長
代理 ただいま梨木君より高木
委員長
代理に対する不信任の動議が提出されましたから、これについて議事を進めます。 まずその
趣旨弁明
を許す順序でありますが、その
発言
時間は五分以内とするに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
田渕光一
122
○田渕
委員長
代理 御異議なければ五分間と決しました。梨木君。
梨木作次郎
123
○
梨木委員
ただいま私が提出いたしました高木
松吉
君に対する不信任の動議の
趣旨弁明
をいたします。 私は平素高木
松吉
君を尊敬しておる一人でありますが、本日の議事運営は、平素の高木君に似合わず、非常に非民主的な、へんぱな運営をされております。その第一は、本日午前中、私は中川君に対して
提案理由
についての質問を試みたのであります。午後もこれを続行することにな
つて
おりまして、これを続けておつたのであります。その間私の質問がまだ続行中である。
委員長
のほうからこれに対して簡潔に願いたいという要望があり、私も簡潔にいたすために、その
趣旨
を了として進めようとしたときに、突如
柳澤
君から議事進行の
発言
があつた。そこで私は
委員長
に対して注意を促した。今私の
発言
中だから、議事進行は私の
発言
が終
つて
からにしてもらいたいということを要求したのであります。この点は
速記録
にも明確に残
つて
いるはずであります。そのときに、
委員長
の今の
弁明
によりますと、私が何か腰をかけた、だから質疑が終つたものと認めた。そういうことは私は
——
わが党の風早八十二君の一
身上
の問題に関しての重要な
懲罰
委員会
の審議であります。それで私は、たくさんの質問をしなければならないことを持
つて
おりますし、またそのことは当然
委員長
も百も
承知
のはずであります。もし
委員長
が真にこの審議を愼重に取運ぶ意思がありまするならば、もし私がいすにすわつたという事態を認めたなら、もう質問は終つたのですかというような注意ぐらいあ
つて
もよろしかろうと思う。私の方は全然質疑の続行中という考えでおつたのであります。ところが、突如そういうようなとりはからいをされるということは、明らかに
——
私が本日午前中の様子を見ますと、
委員
の顔ぶれが非常に少かつた。ところが午後にな
つて
来まして、こうたくさん顔をそろえて来た。非公式の情報によりますと、これはひとつ頭をそろえて質疑打切りをやろうじやないか、こういう策謀があつたと私は聞いておる。そういうことが真実なりといたしまするならば、そのような
自由党
の質疑打切りの野望を
——
実はそれに乗
つて
、公正なるべき
委員長
が、
與党
のかかる質疑打切りの隠謀を実現するために協力したと認めざぎるを得ないのであります。私はこういう
委員長
のやり方に対しましては、どうしてもこれを信任することはできません。これが第一点です。特に……。
田渕光一
124
○田渕
委員長
代理 梨木君に申し上げます。申合せの時間はあと一分であります。
梨木作次郎
125
○
梨木委員
わかりました。しかもこういうような一
身上
の問題に関連しての審議というものは、最も愼重、かつできるだけだれが見ても納得するような形で
委員会
の審議が進められなければならないと思います。ここに午前中出席の方は御
承知
だろうと思いますが、私の質問に対しましては、中川君はまつたく支離滅裂なんだ。どこと、どこと、どこが
懲罰
の
対象
にな
つて
いるかという私の質問に対しましては、事実何ら風早君の
発言
していないことを、これが
懲罰
の
理由
でありますと答えるような、さようなほどに無
責任
なこの
懲罰動議
の
提案理由
なんです。
田渕光一
126
○田渕
委員長
代理 梨木君、簡単に。
梨木作次郎
127
○
梨木委員
それだけに私は、ますますこの
懲罰
の内容について、どういう点が
懲罰
の
対象
にな
つて
おり、どのような
理由
が
懲罰
の
対象
にな
つて
いるかということを、これはもつともつと時間をかけて質問しなければならないのです。にもかかわらず、私の質問がまだ序の口のときに
——
そのことは
諸君
にもはつきりわか
つて
いるはずだ。にもかかわらず、こういうような質疑の打切りを途中でやるということは、これはまつたく
委員会
の審議を愼重にやるべきはずのことを、一方的に
與党
の利益を代弁してこれを運営するような印象を受ける。明らかにそうだ。これが第二点。もう一点は……。
田渕光一
128
○田渕
委員長
代理 梨木君、簡単に願います。
梨木作次郎
129
○
梨木委員
佐々木
更三君が、午前中から、私は質問いたしますよ。まだきようは
委員
にかわ
つて
準備がしてありませんから、どうかあしたに続行してもらいたいという要望があつたことは、
委員長
承知
のはずだ。そういうときに、他にまだ質疑をする人があるにもかかわらず、この
佐々木
君の
発言
をすら禁止するようなことを、しかもこれは有力な
野党
の
委員
の質問であります。
諸君
が今ごらんの
通り
、彼は憤慨して、こういう事態の中ではとうてい私は職責を果すことができないと
言つて
、退席したじやないか。こういうような運営をする
委員長
は、絶対に私どもは信任することはできません。このことは、本件の
懲罰
とまつたく表裏
一体
だ。つまり
諸君
はあらゆる
野党
の
言論
を
圧迫
して、自分たちの我を通そうとする、自分たちの意思だけを押しつけようとする、こういうやり方の現われである。これこそ
諸君
は、
諸君
自体
が
国会
の機能を
破壊
することじやないか。
野党
の権能を全然認めないということは、
民主主義
の
破壊
じやないか。だから、私はこれを
理由
といたしまして、
委員長
の不信任案を提出した次第であります。
田渕光一
130
○田渕
委員長
代理 これにて
趣旨弁明
は終りました。
討論
に入ります。
討論
は通告順によりこれを許します。
柳澤義男
君。
柳澤義男
131
○
柳澤
委員
ただいま梨木君から
委員長
代理の不信任案の
趣旨弁明
がありましたが、まつたく事実と相反する。これはこの部屋において公知の事案でありますから、多くは論ずる必要はありません。 〔
発言
する者多し〕
田渕光一
132
○田渕
委員長
代理 静粛に願います。
柳澤義男
133
○
柳澤
委員
ただいま梨木君から説明されたのと事実とまつたく相反するという点は、ただいま梨木君の質問に対して、
委員長
が簡潔に願いますと
言つた
ときに、梨木君はそれで一ぺんかけられた、そのときに私の方から議事進行という動議を出している。この点は満場の
諸君
のおそらくきわめて明白な事実として立証を要しないと思う。 〔
発言
する者多し〕
田渕光一
134
○田渕
委員長
代理
委員外
の
発言
は御遠慮願います。
柳澤義男
135
○
柳澤
委員
私の方からなぜこの打切りの動議を出したかということについても、今
民主主義
的な審議の
破壊
であるとか、あるいはいろいろなことを言われましたけれども、この梨木君の質疑は、午前中から継続されており、しかも食事もずらして継続して、一時までずつとや
つて
おつたのであります。しかるに、その間において梨木君の質疑は、実に微に入り細をうが
つて
、まことに敬服するほどこまかくや
つて
おられる。しかしてその後における質疑たるや、まつたく午前中の質疑の用語をもてあそんでいるだけであ
つて
、しかも……。 〔「どことどこか
言つて
見ろ」と呼ぶ者あり〕
田渕光一
136
○田渕
委員長
代理 梨木君、御静粛に。
柳澤義男
137
○
柳澤
委員
しかも約束の時間が来て、
委員長
が着席し、われわれ
委員
が来ても梨木君は姿をここに現わさぬ。しかも質問を受ける方の、
提案
者もすわ
つて
お
つて
も、梨木君は姿を現わさぬ。しかも見るというと…(「茶坊主何を言うか。定足数が足らぬのだ」と呼ぶ者あり)黙れ。人の
発言
中だ。
田渕光一
138
○田渕
委員長
代理 御静粛に願います。
柳澤義男
139
○
柳澤
委員
しかも見るというと、ちやんと控えている。(「定足数が足らなかつたじやないか」と呼ぶ者あり)しかもこちらで定足数を集めると、さつと出て来た。(
発言
する者多し)黙
つて
聞きなさい。そういうふうに、ただ引延ばし戦術をしているだけで、真の
意味
の質疑を行おうという腹がない。こちらでちやんと頭をそろえて進行しようというときに、これでは質疑を打切られるかもしれないというので、そのときに初めて現われた。 〔
発言
する者多し〕
田渕光一
140
○田渕
委員長
代理 静粛に願います。
柳澤義男
141
○
柳澤
委員
さような誠意のない、真の審議の意思のない、これはまつたく審議権を放棄しておるものである。しかもいたずらに時間を引きず
つて
、いたずらに用語をもてあそんで、ただ引延ばし作戦に出ている以上は、
民主主義
的な運営を行わんとすれば、この辺で打切るのが当然である。しかも議事規則に照して、
委員長
がその議事進行の動議を受入れて、そしてそのかけた瞬間に、その事実を認めた。 〔
発言
する者多し〕
田渕光一
142
○田渕
委員長
代理 梨木君、
発言
を許可しておりません。
柳澤義男
143
○
柳澤
委員
この動議を諮
つて
、採決の結果打切られたということに、何の違法があるか。これはまつたく運営よろしきを得た
委員長
の運営ぶりである。従いまして、私はこの梨木君の
委員長
代理不信任の動議には、まつこうから
反対
します。 〔
発言
する者あり〕
田渕光一
144
○田渕
委員長
代理 御静粛に願います。 これにて
討論
は終了いたしました。 採決いたします。ただいまの高木
委員長
代理に対する不信任動議に、賛成の
諸君
の御起立を願います。 〔賛成者起立〕
田渕光一
145
○田渕
委員長
代理 起立少数。よ
つて
高木
委員長
代理に対する不信任の動議は否決されました。 高木
委員長
代理の復席を願います。 〔田淵
委員長
代理退席、高木(松)
委員長
代理着席〕
—————————————
高木松吉
146
○高木(松)
委員長
代理
議員林
百郎君
懲罰事犯
の件を議題といたします。動議提出者、
佐々木
君に対する質疑に入ります。梨木君。
梨木作次郎
147
○
梨木委員
どうも私は、少し
委員長
にはつきり確認を求めておかないと、だしぬけにとんでもないことをやる。だから私はひとつ
委員長
に伺
つて
おきたいのでありますが、私はこれから質問いたします。しかしながら、質問の途中で議事進行の
発言
を許すようなことをや
つて
、そうして質疑の打切りを突如やられるようなことは、これは愼んでもらいたい。しかもきようは
野党
の
委員
は出ておりません。特に
佐々木
更三君は、質問をすると
言つて
おきながら、本日は退席いたしましたが、この点を含んで議事の運営をや
つて
もらいたいと思います。
高木松吉
148
○高木(松)
委員長
代理 梨木君にお答えいたします。適法に基いて議事は運営いたします。
梨木作次郎
149
○
梨木委員
佐々木
君に質問いたします。
佐々木
君のこの林百郎君に対する
懲罰動議
の
趣旨弁明
を見ますと、
共産党
の活動全体を問題にして、
懲罰
の
対象
としておるような印象を受けるのであります。そこでまず第一に伺いたいのは、あなたが
懲罰
の
理由
とされるところは、
共産党
の
政策
そのもの、これを
懲罰
にかけようとしておるようにこれでは見えますから、そういう
趣旨
でこの
懲罰動議
を出されておるのか、これを第一に伺います。
佐々木盛雄
150
○
佐々木盛雄
君 私個人は、
共産党そのもの
に対する
合法性
についても、非常な疑問を持
つて
おります。しかしながら、私が先般出しました
懲罰動議
の
理由
といたしましては、そういう
国会
を否認し、暴力革命を達成しようという考え方の
共産党
であるから、従
つて国会
内において
破壊
的な
言辞
を弄することも、別に驚くには足らないけれども、単にそれが、いわゆる
共産党
であるというだけの
理由
によ
つて
、そういう無
責任
な
言辞
を放置するにおいては、とうてい院内の秩序を保つこともできなければ、
議院
の
品位
を保つこともできないという点が
一つ
と。さらにもう
一つ
には、林百郎君の
演説
の中におきまして、
議会政治
を否認するごとき
破壊的言辞
が行われておりますことに対して、これまた私は
懲罰
に値すると考えた次第であります。
梨木作次郎
151
○
梨木委員
答弁がはつきりしないのでありますが、(「はつきりしているよ」と呼び、その他
発言
する者あり)
委員長
、静かにさせないと混乱しますから……。
高木松吉
152
○高木(松)
委員長
代理 頭が混乱するそうだから、静粛に願います。
梨木作次郎
153
○
梨木委員
共産党
の
政策
、
共産党
の活動そのものを
懲罰
にかけようとするのじやないということは、お認めなんですか。それをまず承りたい。
佐々木盛雄
154
○
佐々木盛雄
君 繰返して申し上げる必要はないと思いますが、私個人は、
共産党そのもの
に対する
合法性
についても疑問を持
つて
いる。しかも今回提出いたしましたこの
懲罰
につきましては、
共産党
の林百郎の先般
行つた演説
の内容が、いろいろ
懲罰
に付すべき
理由
があります。ただ今あなたが御質問に
なつ
た、
共産党
の
政策
を
懲罰
に付するかという御質問だけについて答えますならば、
共産党
の
政策
であるかもわかりませんが、きわめて
破壊
的な、
憲法
を否認し、
国会
政治を否認するような、そういう
破壊的言辞
を行つたことは、
懲罰
に値すると申している次第であります。
梨木作次郎
155
○
梨木委員
そういたしますと、あなたは六月七日の本
会議
における林君の
日華條
約の
反対討論
、この
反対討論
だけを
懲罰
の
対象
にしているのだ、ごう受取
つて
よろしいのですか。
佐々木盛雄
156
○
佐々木盛雄
君 大体その
通り
であります。
梨木作次郎
157
○
梨木委員
この大月七日の本
会議
における林百郎君の
演説
、これの
全文
が
懲罰
の
対象
になるのですか。それとも部分を問題にしているのですか。
佐々木盛雄
158
○
佐々木盛雄
君 私は
提案理由
におきまして、申し述べたと記憶いたしておりますが、私をして言わしめますならば、林君の
演説
全文
は、ことごとくが
懲罰
の
対象
になり得るものと信じております。
理由
につきましては、御質問になれば申し上げてもけつこうであります。
梨木作次郎
159
○
梨木委員
林君の
演説
全体が、
懲罰
の
対象
だという答弁でありました。そこで私は伺いますが、林君は一番先に、「私は、
日本
共産党
を代表して、ただいま議題とな
つて
おる
日華條
約に
反対
をする。」と
言つて
おられます。
日華條
約に
共産党
を代表して
反対
することが
懲罰
の
対象
になると、こういうことになるのですか。
佐々木盛雄
160
○
佐々木盛雄
君 私は、林百郎君の
演説
の内容は、そのほとんど
全文
が
懲罰
の
対象
となるべきものと考えるが、特にかくかくかような点は、最もおびただしいものであ
つて
、われわれが黙過することができないということを申したわけであります。総括的に申しますならば、この
演説
の内容
全文
は、私は
懲罰
の
対象
となるべきものであると考えるわけでありますが、決してそれが私の重点ではございません。特に次のごとき点がはなはだしいということを申し述べた次第であります。 さらにただいまの御質問の、林百郎君が
共産党
を代表して、日華平和條約に
反対
をするということが、
懲罰
の
対象
となり得るかという御質問であります。これに対しましては、おそらくこの議場の中において、各
議員
は良識をお持ちにな
つて
おると考えますが、私はそういう片々たる、ことさらにこじつけの議論に対しましては、良識をも
つて
御判断を願いたいと思います。
梨木作次郎
161
○
梨木委員
だから私は、あなたがそういうことをおつしやるかと思
つて
最初に聞いたのです。
演説
全体を
懲罰
の
対象
にしているのか、その中の特定部分を問題にしているのかと聞いたのです。するとあなたは、
演説
全体が
懲罰
の
対象
だ、こうおつしやる。すると、この
演説
をごらんになれば、一番重点は何かといえば、
日華條
約に
反対
するということ、しかもこの
日本
共産党
を代表して
反対
するということが、六月七日の本
会議
における林君の
演説
の重点なんです。その
理由
を以下ずつと説明したのであります。従いまして、このあなたの論法をも
つて
いたしますならば、
共産党
を代表して
日華條
約に
反対
したことが
懲罰
になるというのですから、これはとんでもないことじやないかという
結論
になるわけです。
日華條
約に
共産党
を代表して
反対
するということが、この
討論
の重点なんです。この
反対
することまで、あなたは
懲罰
の
対象
にしておるのがどうか、これをはつきりお答え願いたい。以下はその
理由
なんです。
共産党
を代表して
反対
するということが主題なんです。この点をどうお考えになりますか。
佐々木盛雄
162
○
佐々木盛雄
君 どうも
共産党
の
良心
と良識と、われわれの
良心
と良識の間には、非常な隔たりがあるようであります。私の申し上げることを私の申し上げた
通り
了解をしておられないからこそ、そういう誤解が生じると思います。
共産党
が
日華條
約に
反対
されることは、もとより御自由でございます。ただ
反対
の説明にあた
つて
、その論拠として引出されましたことが、
全文
を通じて考えますると、ほとんど全部が虚構、捏造あるいは欺瞞、
従つて
ときに
議院
の
品位
を傷つけ、ときに
議院
の秩序を乱し、ときに
議会政治
や
憲法
をも否認するごとき
言辞
を弄しておる、それらの事々は、ことごとく
懲罰
の
対象
たるべきものであるというこのが、
提案
の
理由
であります。
梨木作次郎
163
○
梨木委員
そうすると、今の答弁によりますと、
共産党
を代表して
日華條
約に
反対
したことは、
懲罰
の
対象
じやない、こう受取
つて
よろしいのですか。
佐々木盛雄
164
○
佐々木盛雄
君 もとよりさようでございます。
梨木作次郎
165
○
梨木委員
そうすると、まずあなたが、この
演説
全体が
懲罰
の
対象
だと言われたさきの答弁と、これは矛盾いたしますから、お取消しになりますか。全体じやなくてやはり部分だ、こういうことになります。そうでないと
趣旨
が一貫しないのですが、しかしそれをあなたが強硬に主張なさるならそれでいいのです。私がこれから質問する建前が違
つて
来ますから、ちよつと伺
つて
おくのですが……。
高木松吉
166
○高木(松)
委員長
代理 林君に一言申し上げます。衆
議院
規則では、「
議員
は、自己の
懲罰事犯
の
会議
及び
委員会
に列席することはできない。」旨を
規定
してございます。これは傍聴まで禁止するというわけではありません。法規上、傍聴までさしとめるという
理由
は別にありませんが、
委員
席におつきになることだけは御遠慮願いたいと思います。
佐々木盛雄
167
○
佐々木盛雄
君 梨木君は、私の申し上げることを、私の言わんとする
通り
に了解されないで、ことさらに一方的な
見解
でも
つて
解釈されようとしておりますが、私は、先ほど申し上げたことと、後ほど申し上げたこととの間に、何ら論理の矛盾はないものと考えております。
従つて
取消す必要は、毛頭感じておりません。
梨木作次郎
168
○
梨木委員
それでは、私は
全文
について逐一あなたに御質問申し上げます。その前に、
演説
全体が
懲罰
の
対象
だとあなたは言われる。その
演説
のどういう点が
懲罰
にしなければならない
理由
なんですか。この
理由
を伺いたい。
佐々木盛雄
169
○
佐々木盛雄
君 長時間御説明申し上げまするなれば、冒頭から終りに至るまでことごとくについて、私の
見解
を持
つて
おりますが、一、二申し上げますると、たとえば「
蒋介石政権
には領土もありません、
国民
もありません、」……。
梨木作次郎
170
○
梨木委員
それは何ページですか。 〔「最初の方だ」「一ページだ」と呼び、その他
発言
する者多し〕
高木松吉
171
○高木(松)
委員長
代理 静粛に願います。
佐々木盛雄
172
○
佐々木盛雄
君 もう一度申し上げます。「
蒋介石政権
には領土もありません、
国民
もありません、このような
政権
はか
つて
例がないが、実情やむを得ないことであると、わけのわからない答弁をしておるのであります。」ということを、まず林君は申しておりますが、このようなことを
政府
が答弁いたしたことはございません。これは
速記録
によ
つて
ごらんを願いたいと考えますが、これにつきましては、私も林君とともに外務
委員会
におりまして、大分この問題を論議し参つたところでありまして、いまさら御説明申し上げるまでもないと思います。中華民国
政府
が現に
支配
しておるところの
台湾
、澎湖島というものもあるわけでありまし て……。 〔
発言
する者あり〕
高木松吉
173
○高木(松)
委員長
代理
委員外
の
発言
は禁止いたします。
佐々木盛雄
174
○
佐々木盛雄
君
従つて
このようなことは、岡崎君も
日本
政府
も発表いたしたことはございません。この一例だけを見ましても、まつたくこれが虚偽であり、捏造であることは明らかでございます。 さらにそれに続いて、
速記録
におきましては削除されておりますが、林君は「━━━
━━━━━━━━━━━━
」かくのごときことは、これは
良心
や良識を持つた
議員
のとうていなし得ざるところであるのみならず、━━━
━━━━
━━━━
に
なつ
たというようなことは、まつたく虚構、無根のことであることは、何人も認めるところでございます。 さらにまた「
アメリカ
は、アジアにおける自分の侵略
基地
台湾
を、
日本
と
台湾
人の血と肉弾で守らせたいのであります。」この
アメリカ
は
台湾
を侵略
基地
として、
日本
と
台湾
人の血で守らせようとしておるという、さようなことはまつたく虚構捏造のことでございます。
梨木作次郎
175
○
梨木委員
それは何ページですか。 〔「三ページだよ」と呼ぶ者あり〕
佐々木盛雄
176
○
佐々木盛雄
君 さらにまた「この條約は、明らかに
中国
、ソ同盟を敵とする
アメリカ
政府
のアジアにおける新たな侵略
戦争
の決意を示すもの」だというふうに、いかにもそれに
日本
が協力しておるかのごとくに申しておりますが、それのごときもまつたく虚構捏造であることは申すまでもありません。しかも「
日華條
約は、かえ
つて
新たな復讐戦を布告しておるものであります。」と
言つて
おるが、今日の
吉田政府
にそのような意図のないことは、きわめて明らかなことです。以下申し上げますならば、
全文
にわた
つて
申し上げなければなりませんけれども、これはひとつ良識ある
委員
の御判断にまかせたいと思います。
梨木作次郎
177
○
梨木委員
あなたはこの
趣旨弁明
の中で、「ただここで一、二の点のみを
例示
いたしまして、
提案理由
の説明にかえんとするものであります。」と
言つて
、「まず第一には、
法務総裁
は
人民殺傷
の総
指揮官
である。」こういうことを林君が
討論
の中で
言つた
と指摘して、その
例示
にあげておるのでありますが、林君の
演説
の中にそういうところがどこにあるか、お示し願いたいと思います。
佐々木盛雄
178
○
佐々木盛雄
君 実を申しますと、当日の私の
討論
中、
共産党
諸君
の
発言
妨害のやじがきわめて熾烈に行われたために、私は率直に申しますと、書いてあります原稿を一枚飛ばしたようなわけであります。
従つて
私が
提案理由
を説明いたしましたあくる日、ここへ参りまして、
提案理由
を説明申し上げましたときには、
速記録
をお調べ願いたいと思いまするが、そのようには申していないわけであります。さらにまた私の
提案理由
の中でも、林君が
言つた
ということは、その当時においても私は
言つて
いないと思います。私の
言つたの
は、この前の前の
委員会
の
速記録
をごらんに
なつ
たらわかりまするが、こういうことを申しております。まず第一に、
共産党
は、十日の木村
法務総裁
に対する不信任決議案において、木村
法務総裁
は
人民殺傷
の総
指揮官
だとか、去る十二日の戦犯釈放決議案において、
━━━━
━━━━━━━━━━━━
とか述べておつたが、林君は
日華條
約
反対討論
において、━
━━━━
━━━━━━━━━━━━
と言われたということを私は申したのであります。またその
趣旨
を申し述べたかつたのでありますが、先ほど申しましたように、
共産党
のやじに妨害されまして、一枚原稿を飛ばしたわけでございます。
梨木作次郎
179
○
梨木委員
そうすると、これはまつたく林君の
演説
の中にはない、だから、これは誤りであるということをお認めになりますね。
佐々木盛雄
180
○
佐々木盛雄
君 木村
法務総裁
は
人民殺傷
の総
指揮官
であるという
言葉
に限りましては、林君がそのようなことを申したことはないと私は思います。
梨木作次郎
181
○
梨木委員
それから今あなたがあげられましたが、それだけですか。虚構と捏造だとあなたのおつしやるのは。私はちやんと部分を、どことどこが虚構と捏造だということを指摘してもらいたいのですが、そこだけですか。
佐々木盛雄
182
○
佐々木盛雄
君 先ほども申し上げました
通り
、一々申し述べますならば、限りないほどに……。 〔「
一つ
でも
言つて
みろ」と呼ぶ者あり〕
高木松吉
183
○高木(松)
委員長
代理
委員外
の
発言
を禁じます。
佐々木盛雄
184
○
佐々木盛雄
君 すでに数個の例をあげて申したわけでありまするが、さらに今までよりももつとたくさんの場所があるわけであります。後ほど御質問もありましたならば、私は事実によ
つて
お答えしたいと思います。私をして言わせますと、この
演説
全文
の内容に盛られたものが、虚構や捏造や、あるいは
議員
としてあるまじきことや、あるいは
憲法
や
議会政治
の否認である、そういつた
破壊的言辞
であるというふうな
意味
のことを申しておるわけであります。
梨木作次郎
185
○
梨木委員
あなたは、あるときは虚構と捏造が
懲罰
の
理由
だ、こう言われる。また今は内容に盛られたものが
憲法
否認の
思想
だ、こうも言われた。どちらなんですか。どの点が虚構と控造であり、どの点が
憲法
否認なのかわかりませんから、もつと具体的にひとつお示しを願いたい。
佐々木盛雄
186
○
佐々木盛雄
君 私の
提案理由
をもう少しよくお読みを願いたいと存じます。
梨木作次郎
187
○
梨木委員
読んでおりますよ。
佐々木盛雄
188
○
佐々木盛雄
君 私の
提案理由
は、まずこれを
国会
法から申しますと、第百十九條において厳禁しております無礼の言に抵触することはもちろんであります。
憲法
第五十八條は、院内の秩序を乱した
議員
の
懲罰
を明記いたしております。さらに衆
議院
規則第二百四十五條は、「
議院
の秩序をみだし又は
議院
の
品位
を傷つけ、その情状が特に重い者に対しては、
議院
は、これを除名することができる。」ことをも
規定
をいたしております。これらのことごとから、虚構捏造の
言辞
というものは、とりもなおさず無礼の言であり、また無礼の言というからには、それが虚構捏造の事実でもあるわけです。 さらに私は最後に申しておりますが、林君はその
討論
において、
吉田
政権
が━━━に
国家
の権力によ
つて
政権
に居すわろんとするならば、
日本
人民
は━━━
━━━━━━━━━━━━
と、まことに不穏当きわまる暴力的脅迫
言辞
を吐いておるわけでございます。
一体
、林君は、もし
吉田
政権
が━━をも
つて
国家
の権力によ
つて
政権
にすわらんとするならば、ということを申しておりまするが、この
前提
は
吉田
政権
が━━━にすわ
つて
おるという
立場
に立
つて
おります。われわれは、今日国法に
従つて
、法律によ
つて
吉田内閣
というものは成立をいたしておる合法的な存在でございます。
従つて
、これが━━━に
国家
の権力の座にすわろうなどと考えておることは毛頭ないわけでございます。これらのごときは、これはまつたく虚構捏造というよりも、これによ
つて
治安を乱し、秩序を
破壊
しようという意図に出たことは明らかでありますが、さらに聞き捨てならないことは、
日本
人民
は━━
━━━━━━━━━━━━
。院内におきまして、
国会
内部におきまして、━━━
━━━━
━━━━
というような、暴力宣言を公然となすというがごときにおいては、とうてい院内の秩序を保持することはできないと考えます。かくのごとき暴力的脅迫
言辞
をわれわれは黙過することはできない、
従つて
私たちは、当然
懲罰
の
対象
とすべきものであると考えて、
提案
をいたしたような次第であります。
梨木作次郎
189
○
梨木委員
林君が「
諸君
が、━━━に、
国家
の権力によ
つて
、いつまでも自分の
政権
の座に居すわろうとするならば、
日本
の
人民
は━━━
━━━━━━━━━━━━
よりほかにしかたがないのであります。」こう
言つて
おるのでありますが、今あなたの答弁を聞いておりますと、
吉田
政権
が━━━に
政権
の座にすわ
つて
いるのだということを
前提
にして
言つて
おる。これは無礼である、けしからぬ、こう言います。そうして
吉田
政権
というものは、合法的にその
政権
の座にすわ
つて
いるのだ、こう言われる。ところが同じ論法で、
日本
共産党
も今
憲法
の
保障
によりまして、あらゆる政党活動を行
つて
おるところの政党であります。しかるにあなたは、
共産党
はもはや
合法性
を認むべきじやないというようなことの個人的な
見解
を表明された。これはまことに
共産党
に対しては無礼な、
懲罰
に値する言動である。こういうことと、どれだけの違いがあるのですか。そこで、
反対
党が時の
與党
、
政府
を攻撃する際に使う
言葉
といたしまして、こういうものを一々
懲罰
に付するというようなこと
自体
が、
政府
を
批判
し、非難することを抑圧することになると私は思います。しかしこれはさておきまして、ここに書いてあることをよく読んでください。━━━に、
国家
の権力によ
つて
、いつまでも自分の
政権
の座に居すわろうとするならば、
日本
の
人民
はこうこうするであろう、こういうのである。私どもが
憲法
を忠実に実行しようといたします際に、今
日本
でどういうことが行われておりますか。
憲法
では再軍備を禁止しておる。戦力を持つことは禁止されておる。それにもかかわらず、警察予備隊、警備隊というような戦力を保持しておる。また軍需産業が復活しつつある。武器の生産が行われつつある。明らかに
憲法違反
の行為が
政府
によ
つて
なされておる。そこで私どもはこれに
反対
して、ここで徴兵
反対
の運動を行う。この運動は
憲法
によ
つて
保障
されておる。集会それからデモ行進、こういうものは
保障
されておる。ところが現実には、これに対して武装警官がこの集会を追い散らし、これに対して暴逆な弾圧を加えておる。その場合に、
一体
どうしたら集会、デモの自由を確保し、また
憲法
を侵害しようとする
政府
のこの不法行為からこれを守ることができるか。結局は、そういう目の前に警官がピストルを持
つて
、われわれが
憲法
を守ろうとする一切の行動を暴力的に弾圧し、襲撃して来る場合に、
一体
国民
はどうしたらいいのですか。
憲法
に許されたこの行動に対して、みずからもやはり、彼らの苦しみに対して、みずからの力をも
つて
守らないことには、今
憲法
は守れない状態ではないのですか。これが
憲法違反
ですか。
労働者
は
憲法
によ
つて
団体行動権というものを
保障
されております。ストライキ権というものは
保障
されております。
労働者
が、これでは食えないからひとつ賃金をあげてもらいたいというストライキをやる。このストライキをやるというと、お前このストライキはけしからぬとい
つて
、警察が武装警官でこのストライキを弾圧しておる。そのときは、
労働者
が自分たちのこのストライキ権、生活権を守ろうとする場合、目の前に警官がピストルを突きつけて来たときに、自分たちの団体行動権や、さらに自分たちの生活を守ろうとするこの基本的な人権を保護するための行動が、
一体
どうしてなされるか。結局はそういう暴力に対して、実際は
労働者
の方も実力をも
つて
対抗する、これは
憲法
の
保障
するところではないのですか。そういうことをや
つて
いけないとあなたは主張なさるのですか。ストライキ権をあなたは否認なさるのですか。それでは
憲法
の否認に通ずるではありませんか。私は
憲法
の否認に通ずると思う。この点をあなたはどうなさるのですか。これを私は伺いたい。
佐々木盛雄
190
○
佐々木盛雄
君 私は、ただいまの梨木君の
発言
の
速記録
を後ほどお調べ願いたいと思いますが、ただいま梨木君は、暴力に対して暴力をも
つて
対抗することが悪いというのか、という
意味
のことを申されました。そういうあなたの
言葉
の中にも、すでに暴力というものを肯定されておる。はしなくも、ここであなたは、
共産党
の性格が暴力的なものであるということを語るに落ちたわけでございます。そこで、何も労働組合の団体行動権ないし基本人権を弾圧するために、
政府
や官憲が暴力を行使しおるとはわれわれは考えません。ただなるほど、
言論
、
結社
、その他の自由は
憲法
の
保障
するところではありまするけれども、さりとも、暴力的な目的をも
つて
する
言論
や
結社
の自由というものは、與えていないと思います。私は、いやしくも
憲法
の
範囲
内においての基本人権というものが許されるのは、法治
国家
の鉄則であると考えます。従いまして、官憲が暴力をも
つて
対抗するとも私は考えておりません。むしろ、暴力的行為を挑発したものが何であつたかということは、私がこの壇上から申すまでもなく、すでに今日の社会通念にな
つて
おります。従いまして、そういう、時の
政府
に対して暴力をも
つて
対抗することがなぜ悪いのかとい
つて
、開き直
つて
おられる梨木君の気持の中には、あなたがやはり暴力というものを肯定し、
議会政治
否認の上に、
憲法
否定の上に立たれた言動であると考えるわけであります。 〔高木
委員長
代理退席、
鍛冶委員長代理
着席〕
梨木作次郎
191
○
梨木委員
私はあなたに質問したのです。いいですか。ここには林君はどこにも暴力をも
つて
云々ということを書いてない。私もまた暴力をも
つて
云々ということは
一つ
も
言つて
いない。
日本
の
人民
は━
━━━━━━━━━━━━
よりしかたがないのであります、こう
言つて
おる。だから、この━━
━━━━
政権
の座から━
━━━━
━━━━
ということ、これにはいろいな場合があるわけです。よろしいですか。
憲法
においては、団体行動権や団結権、ストライキ権というものを
保障
しておる。そこで、
労働者
は、今の
吉田政府
のもとにおいては、まつたくひどい軍事植民地的な搾取のもとにあ
つて
、食えない状態だ。
諸君
も知
つて
おるように、一家心中や自殺者がどんどん出て来ておる。失業者がまつたく増大して来ておる。もう
国民
は困苦のどん底に陷
つて
おる。この状態の中において、
労働者
は
憲法
に
保障
された
——
つまり、健康で文化的な最低限度の生活を
保障
すると
憲法
はい
つて
おる、その健康で文化的な最低限度の生活の
保障
、これを闘いとるために、ストライキをやるという
——
これは
諸君
もいろいろ政治ストとかなんとか言いますが、とにかく経済的な問題で、食えないからひとつ賃金を上げてもらいたいというストライキをやる。そこで、あるいは炭鉱の
労働者
、あるいは電産の
労働者
、あるいは国鉄の
労働者
や金属の
労働者
、こういう一切の
日本
の
労働者
が、
憲法
の
保障
するところの団体行動権や団結権やストライキ権を発動いたしまして、全部仕事をやめてしまつたら、
一体
吉田内閣
は政治が運営できますか。さつきも林君が
言つた
ように、
一体
、
国会
のこの職員
自体
だ
つて
、賃金値上げのストライキをやつたら、議会だ
つて
運営できないじやないか。その場合に、君たちがいくらいば
つて
みたところが、石炭一かけら掘れるわけではない。電車を動かせるわけではない。第一、議会に来れまい。そう
なつ
た場合においては、
諸君
はいくらいばつた
つて
、
政権
を維持できないじやないか。(「質問じやない、質問をしろ」と呼び、
発言
する者多し)これはとりもなおさず、
憲法
の
保障
するところの実力行使によりまして、結局
吉田内閣
が打倒されることじやないですか。これをあなたは認めないのかということなんです。(
発言
する者あり)ストライキを認めないということじやないですか。だからあなたはストライキを認めないということかという質問をしておる。ストライキということは実力行使ということなんですよ。それをあなたは認めないのですか。
佐々木盛雄
192
○
佐々木盛雄
君 私は先ほども反復して私の考え方を表明したので、正しくお聞き願つたら、私の言うことはおわかりだと思いますが、私は労働組合の団体権というものを認めないなどと申したことは一回もございません。ただ暴力的な行為に対して、また暴力的に実力を行使しようということに対して、われわれはこれを認めることができないということを言うておるにすぎないのであります。
梨木作次郎
193
○
梨木委員
だから、どこにもそういうことは書いてないのだ。
政府
が━━━に、
政権
の座に居すわろうとすれば、
人民
は実力、つまり
憲法
の
保障
する一切の実力行動の発揮によりまして引きおろされるであろうと、こう
言つて
いるのです。こうなりますね。これをあなたはここで、私が実力という
言葉
を使つたことを、何かえらく気にしておるようなんです。ところが実力の中にはいろいろございまして、
労働者
が機械をとめること、これも実力ではありませんか。
日本
の全
労働者
が実力を行使いたしまして、ストライキをやつたら、
吉田内閣
はいくら
政権
を維持しようつた
つて
、できないじやないですか。そのときに
吉田内閣
がやめたら、これが実力によ
つて
やはり
政権
の座からおろされたことになるのじやないですか。これは
憲法
のちやんと
保障
しておるところじやないですか。これをあなたが否定するということになれば、
憲法
の団体行動権や団結権を否認するということになるじやないですか。そうなれば、あなた
自体
が
憲法
を否認し、
憲法
を
破壊
することになりやしませんか。私はこれを聞いている。これは重要な問題だ。
鍛冶良作
194
○
鍛冶委員長代理
梨木君、質問ですから、あなたの意見を言うて、
相手
の意見に対し意見を闘わしてみた
つて
しようがない、質問しなさい。
梨木作次郎
195
○
梨木委員
質問をしておるのだから、私は質問します。さらにもう少し明確にします。
鍛冶良作
196
○
鍛冶委員長代理
意見の相違だ。
梨木作次郎
197
○
梨木委員
委員長
はまたそんな応援をしてはだめだ。
委員長
は議事を最も民主的に運営すればいいので、
提案
者に対してそういう入れ知恵をする必要はありません。
鍛冶良作
198
○
鍛冶委員長代理
そんな入れ知恵を必要とするような
佐々木
君じやない。
梨木作次郎
199
○
梨木委員
ここに、
政府
が━━━に、
国家
の権力によ
つて
、自分の
政権
の座に居すわろうとするならば、
人民
は━━
━━━━━━━━━━━━
よりほかにしかたがないと
言つて
おるのです。だからこの実力の中には、
憲法
の
保障
する団結権や団体交渉権、罷業権もありますから、これによ
つて
引きおろす手もあるわけなんです。こういうこともあなたは否認されるかということを
言つて
おるのであります。
佐々木盛雄
200
○
佐々木盛雄
君 申すまでもないことでありますが、この文章の立て方というものをよく御検討願いたいと思います。
政府
が━━━に居すわらんとするならば、これに対して実力を行使するということは、暴力と実力という
言葉
の表現は違いますけれども、これはシノニム
——
同意語です。暴力に対して暴力というのが、論理の一貫したものである。
従つて
あなた方のおつしやつた実力の行使というのは、明らかに暴力を含んだ実力行使であるということに私どもは了解をいたします。 〔「曲解々々」と呼び、その他
発言
する者多し〕
鍛冶良作
201
○
鍛冶委員長代理
静粛に願います。
委員外
の
発言
はことに御注意を願いますが、特に林君、君自身の
事犯
だから、そこで
発言
することは遠慮願いたい。
梨木作次郎
202
○
梨木委員
佐々木
君がここでこの表現をどう理解されるか、これはあなたの御随意でありますが、私はもつと明確に、
委員諸君
の本
懲罰事犯
の審議にあた
つて
、判断の正確な基礎を引出すために質問するのであります。あなたは暴力的というものと実力というものとは、同義語だというようなことを言われますが、そういう
言葉
の解釈はさておいて、私はここでごう質問する。とにかく林君は、
日本
人民
は
━━━━━━━━━━━━
だろう、こう
言つて
おるのであります。これをあなたは、何か暴力革命の現われだというようなことが言いたいらしいのでありますが、しかし私どもは、この実力の中には、
憲法
の
保障
するところのストライキ権、ストライキをして機械をとめるということ、これは
一つ
の実力行使ではありませんか。この実力行使によ
つて
、実際は
吉田政府
が
政権
を維持できなくなる事態が、今私が説明したところによ
つて
起るではありませんか。あなたとして、これまでもいけない、こういうことを言うことが
懲罰
に該当するのだという主張になるといたしますならば、これは明らかに
憲法
を否認する建前に立
つて
懲罰
を出しておるということになるから、これは重大問題だ、私はこういうふうに考えるから質問しておるのです。ここの、━
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ということは、ストライキや、そういうような行動によ
つて
吉田
政権
が打倒される、これもいけない、そういうことを言うことが
懲罰
なんだという
意味
なのかどうか、この点に限定して聞きたいのです。
佐々木盛雄
203
○
佐々木盛雄
君 申すまでもなく、兒戯に類することでありますから、申し上げるものも片腹痛いのでありますが、合法的な政治活動を否認しようなどということはどこでも私は申しておりません。またそんな考えは毛頭ございません。
梨木作次郎
204
○
梨木委員
そうすると、
日本
の
労働者
が全部ストライキをや
つて
、
吉田政府
がとうてい
政権
を維持できなく
なつ
た、そういう場合、そういうことの表現だということになりますならば、これはあなたは問題にしないのだ、こういうことになるわけですか。
佐々木盛雄
205
○
佐々木盛雄
君 私はもうそれ以上答える必要もなかろうかと思います。私は、かくかくかようなことは、
憲法
や
国会
法や衆
議院
規則によ
つて
懲罰
の
対象
たるべきものであると考えるという
提案
をいたしたのでございます。はたしてこれがそれらに該当いたしまして、
懲罰
の
対象
たるやいなやということは、
委員
各位の御審議によ
つて
決定されてけつこうなことでございます。この席におきまして、あなたと私とが根本的な
思想
や哲学の
見解
を闘わしたところが、
懲罰
とは大した
関係
のないことであろうと考えるのであります。
梨木作次郎
206
○
梨木委員
あなたが、少くともこういうところが
懲罰
の
対象
にな
つて
いるのだ、こうおつしやる。もちろんわれわれはこれから判断するのだけれども、われわれの判断からすれば、これは
憲法
の
保障
する実力行使によ
つて
政権
の座から引きおろす、そういう事態はあり得るのであるから、これは少しも
憲法違反
にならないという建前をわれわれはと
つて
いる。しかしあなたはそうじやないとおつしやる。だからそこのところを私どもの判断の資料にするために、まだほかに何か
理由
があるなら、その
理由
を聞きたいというわけです。私は何もここであなたと意見の
討論
をしようとは思わないのでありますが、私の
見解
からいたしますならば、これは全然
懲罰
の問題にならないと思うが、しかしあなたはどんな腹でや
つて
いるかわからぬから、聞いているのです。私の主張から言いますならば、全然これは問題にならないと思うのですが、それについて何か意見があるならば聞きたい。
鍛冶良作
207
○
鍛冶委員長代理
梨木君、いつも言うが、君の意見をも
つて
相手
にどうだどうだとい
つて
詰めてみても、質問にならないじやないか。君の意見を
相手
に押しつけようとしても、そんなものは質問にならない。
佐々木
君が答えるというなら、しいて私はとめはしませんが、そんな質問はありません。
梨木作次郎
208
○
梨木委員
大体あなたは、
委員長
のくせにそういうことを言うから、ちつとも
委員会
の審議が最も愼重なる形において運営できない。あなたがそういうことを言えば、
提案
者は、ああそういうことかというわけで、質問に答えないというふうにならないとも限らない。
鍛冶良作
209
○
鍛冶委員長代理
質問はほかにないのですか。
梨木作次郎
210
○
梨木委員
それじやこれはこの程度にいたしまして、ひとつ伺いますが……「簡単にやれ」と呼ぶ者あり)簡単にやります。先ほど言われた四点について、「
蒋介石政権
には領土もありません、
国民
もありません、このような
政権
はか
つて
例がないが、実情やむを得ないことであると、わけのわからない答弁をしておるのであります。」さつきのあなたの答弁だと、これは虚構、捏造、欺瞞だ、こういうことにな
つて
おるのであります。そこで
日華條
約交換公文第一号によりますと、こうな
つて
おります。「書簡をも
つて
啓上いたします。本日署名された
日本
国と中華民国との間の平和條約に関して、本全権
委員
は、本国
政府
に代
つて
、この條約の條項が、中華民国に関しては、中華民国
政府
の
支配下
に現にあり、又は今後入るすべての領域に適用がある旨のわれわれの間で達した了解に言及する光栄を有します。」こうな
つて
おるのであります。ここでは「今後入るすべての領域」という
言葉
を使
つて
おるのであります。これは領土とも違うのであります。領土という
言葉
がちやんとあるにもかかわらず、「今後入るすべての領域」こういうことを
言つて
おる。そうなると、
蒋介石
の
国民
党残存
グループ
といいますか、これが
一体
領土を持
つて
おるかどうかということは、表現
自体
においてまことにあいまいなのである。だから林君は、わけのわからぬことを
言つて
おると言うが、これが虚偽になりますか。私はこれは非常に問題だと思うのですが、どうです。
佐々木盛雄
211
○
佐々木盛雄
君 ここで国際法の説明を申し上げるのはまことに心苦しいのでありますが、領土といい、領域というのは、原語で申しますとテリトリーズです。これは
国家
の
主権
の及ぶ室間的な広がりについて、土地に連なるものを領土と申します。水域に連なるものを領海ないし領水と申します。空に連なるものを領空と申します。
従つて
領土も領域も、これは同意語でございます。
従つて
あなたの立論の、中華民国
政府
には領土がないという
根拠
には、少しもなり得ないのであります。中華民国
政府
に領土がないと
政府
が
言つた
と、林君が申しておりますることが、はたして虚偽であるかどうかということは、ひとつ
皆さん
御自身が、
政府
や官報についてお調べを願いたいと思います。私はそのようなことを
政府
が申したことは、一度も聞いたことはございません。
高木松吉
212
○高木(松)
委員
議事進行について。(
発言
する者多し)私はさいぜんから聞いておりますと、単なる議論にわたることであ
つて
、質疑の域を脱しておる。要するに梨木君の質疑は、おそらく引延ばしのための質疑ではないかと思うから、この際質疑打切りの動議を提出いたします。(
発言
する者多く、離席する者あり)
鍛冶良作
213
○
鍛冶委員長代理
ただいま高木君から質疑終局の動議が出ました。質疑終局の動議には賛否の
討論
を要しませんから、ただちに採決いたします。高木君の動議に賛成の
諸君
の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
鍛冶良作
214
○
鍛冶委員長代理
起立多数。よ
つて
高木君の動議は成立いたしました。 梨木君の質疑はこれをも
つて
打切ります。(「暴力じやないか」と呼び、その他
発言
する者あり) 明十七日は午前十時より
委員会
を開き、引続き両件の審議を進めます。 本日はこれにて散会いたします。 午後五時五分散会