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川崎秀二君
懲罰委員会が開かれまして、私の
懲罰案件に対する御
審議が行われておる
ようでありますが、事の善悪、合理、非合理は別にいたしまして、
懲罰委員各位にたいへんお手数をかけておることは、はなはだ不徳のいたすところであります。
本日は主として一月二十六日、施政方針
演説の第二日目におきまする私の
議事進行に関する
発言の経緯を中心にして申し上げて、正当なる御判断にお訴えをいたしたいと思います。
この
議事進行の
発言の
内容は、先般も本
会議の壇上におきまして一身上の
弁明をいたしました際に申し上げましたるごとく、施政方針
演説の
質問が開始されまして二日目に、当日われわれ所属をいたしておりまする改進党並びに
野党各派の間におきまして、現在提出中の昭和二十七年度一般会計
予算案は、財政法に違反をしておるという問題が提起をせられました。よくこの問題を分析をいたしてみますると、今回提出をされました
予算書なるものは、去る二十六年の十一月二十七日に
衆議院を通過いたしましたる財政法の改正案が、参
議院で成立することを見越して、その新しい財政法によ
つてあらゆる款項目を整備をいたしまして出して来たところの
予算書であ
つたのであります。御存じのごとく
予算書にいたしましても、あるいはその他の
議案にいたしましても、出て来る
議案や
予算書なるものは、新法によ
つて出すべきものではなくして、成立以前においては当然旧法によ
つて出して来て、そうしてその後において新法が成立をいたしましたときには、新法によ
つて修正案を出すというのが従来の
国会の
慣例であります。従いまして、
野党連合といたしましては、
衆議院は通過をいたしましたものの、目下
衆議院において
——目下とは一月二十六日であります。参
議院において
審議中の財政法に基いて出して来たところの
予算書は明らかに旧財政法に背反をしておるし、また同時にこの改正なるもの、憲法違反の疑義の問題を引起しておりましたほど政治的に重要な問題でありますから、私は
議事進行についての
発言を求めたのであります。
いま少し深く当時のいきさつを申し上げますと、
野党連合では、当日午前十時三十分から
会議を開いておりまして、
議院運営委員会にこれをかけて、そうして正式の
手続として、
運営委員会の御了承をも得て
議事進行の
発言をなす手はずをきめてお
つたのであります。しかるところ当日の
議院運営委員会は、いつもよりは非常に早く開かれてお
つたような状態でありまして、すでに
野党連合のきめました
議事進行の
発言に関する正式の要求を
議院運営委員会にかけるいとまなく、午後一時の
会議は開会をせられたのであります。その際、私は
議場内交渉係をしております同僚椎熊君に頼みまして、でき得れば事前に自由党の賛成を得ておきたいということを申しました。椎熊君は
議場内に入るに先だ
つて、自由党の
責任者と交渉せられた
ようであります。椎熊君の
お話を聞いておりますと、自由党の
議事に関する係の方も、これはきわめて重大な問題であるから、当然
議事進行の
発言を許すべきではあるが、本日は
議事日程がすべてきま
つておるのであるから、ただちにこれを許すというわけにはいかぬから待
つてくれという
ような話合いで、
野党側と自由党側の話合いがつかぬまま
会議は開会せられたのであります。少数党といたしまして、話合いがつかぬこの状態においては、やはり正式の
手続をふんで
議長のもとに
議事進行の
発言を求める以外には方法がない、こういうふうに考えましたので、私ほか改進党並びに
野党各派の連名をもちまして、
議事進行の
発言代表者
川崎秀二の正式の
手続を
議長の手元に差出しました。
会議が開会されまして、正式の
手続でありますから、
従つて当然私の
発言は許さるべきものと解釈をいたしておりました。
議長は開会をせられますと同時に、
議事進行に関する
発言が
川崎秀二君から出ておる、こういうことでありました。私は
議事進行を叫び、また同時に
議場内交渉係の数名の
諸君並びに改進党の多くの
諸君は、
議事進行に関する
発言が出ておるということを叫んでおりまして、やや騒然となりましたが、
議事進行に関する
発言が出ておりますと言われたものでありますから、
従つてこれは許されたものと思いまして、
登壇をいたしたのであります。
登壇をした後に、
議長の申されておることを聞いておると、
議事進行に関する
発言が出ておるけれ
ども、これは適当な時期に許しますということであ
つて、そうして
議長の
指名しておる
発言者は
小川半次君、つまり施政方針
演説第二日目の先頭の
発言者を招請せられておる
ようであります。しかし私としましては、正式の
手続をふんで、そうして
衆議院規則第百二十九条に、「
議事進行に関する発育は、
議題に直接
関係があるもの又は直ちに処理する必要があると認めたものの外は、これを
許可する時機は、
議長がこれを定める。」と書いてあります
ように、われわれの考え方といたしましては、当日の
議題は施政方針
演説に対する
質問であり、施政方針
演説というものは総
予算の提出と同時に行われたものでありますし、また総理大臣の
演説に次いで行われたところの大蔵大臣の
演説は、
予算案の
説明であ
つたことはまぎれもない事実であります。従いましてこれは直接に
議題に
関係があると判断せられるものでありますし、またその根拠によ
つて私は
議事進行を求めたのでありますから、
従つて議長のおとりさばきの方が、実際上は間違
つて、おるというふうに考えましたので、
登壇をしたまま
議長がこれを御撤回なさることを私は待
つてお
つたのであります。ただいま
提案理由説明に立たれました自由党の
柳澤さんの御
説明に従うと、その間九分間だ
つたそうであります。そのうちに
議場内交渉係の改進党の代表者と、自由党の
議場内交渉係の間にいろいろ紛糾もあ
つたようであります。話合いがつかなか
つたようであります。しかし九分間経過した後におきましては、当時
議長の横に
登壇しておりましたわが党の椎熊君の
発言によりますと、話合いがついた、後刻
発言を許すということでありますので、私はこれは
衆議院規則百二十九条によ
つて許されておる国
会議員の
発言、つまり
議事進行の
発言がすべてのものに優先しなければならぬという、このこととは違
つてはおりますけれ
ども、しかし
院内において妥協がついたということでありますならば、これ以上
議事が遷延をされることは不適当であると思いましたので、降壇をいたしたわけであります。その後
小川半次君の
質問が終
つて、これに対し各大臣の答弁があり、その
あとで私は
発言を許されると思
つておりましたところ、
議長は、すべての
質問者の終
つた後にこれを許すという御宣言がありまして、一月二十六日すべての
質問者の
質問が終り、総理大臣並びに
国務大臣の答弁が終
つたあとで、私は
議事進行の
発言を許されて、財政法背反のこの問題について大蔵大臣との間に
質疑応答をかわしたわけであります。
経緯はさ
ようの経過をたど
つて参
つたのでありましてこれを簡単に要約いたしますと、私の
議事進行の
発言は
議題と直接に
関係あり、かつ
予算案の
審議に重大な関連を持つ
発言であります。もしこれを一月二十六日にしなか
つたならば、
予算案は
委員会に付託をせられておりまして、
委員会における論議しかできかねるという状態であります。私はこの
予算書が財政法の違反を犯しておるという事柄から、
従つてこれを受理したところの
議長の見解を求めたのでありますから、この時期以外に適当なる時期はなか
つたのであります。従いまして適時かつ
適法の
発言であることは間違いがないものと今日もなお信じておる次第であります。当時自由党の
議場内交渉係も、重大なる
発言であり、
議事進行の
発言として
適法であるということを認められた結果、ただちにはお許しになりませんでしたが、
野党各派の交渉係と妥結をせられた結果、当日最後に
議事進行としてこれを妥協せられたわけであります。従いまして私といたしましては、これは
懲罰の
事犯にかかるべきものでないという考え方を今日も持
つておるわけであります。
なおこの
発言が、結局問題としてはどういうふうに発展したかといいますと、御存じの
ように、この
発言に関連して起りました今回の
予算書の違法問題は、いろいろの角度から
衆議院でも論及をせられました。しかし結着としていかなることに
なつたかといえばこれは憲法違反の疑義はあ
つたけれ
ども、財政法の改正は憲法違反ではないということで、この点は明確に両院の
審議が一致をしたのであります。しかしながら、私が提起をいたしました
予算書の
内容は財政法の背反を犯しておるという方の問題は、大蔵大臣が一月二十八日社会党の川島金次君の
質問に対しまして、
予算書は元来旧法に基いて
提案すべきが正当であ
つて、新法に基いて
提案することは好ましくないことである、しかし前例もあることであるからお許しを願いたいということで、
野党と與党との了解がつき、その後参
議院におきましては、継続費の問題は憲法違反の疑義はないけれ
ども、しかし原案のごとく永年度にわた
つて支出することができるということはきわめて不適当である、少くとも年限を切るべき必要があるというので、継続費は五箇年間に限
つてこれを支出することができると
規定をされ、なお次の
国会で修正することがあれば、これを修正することができるという
規定まで設けられて、当時私が
発言しましたことの
内容は、輿論ともなり、また参
議院の議ともな
つて、遂に修正を見たのであります。その修正は
衆議院に送付をされて参りまして、さきに
衆議院としては
——今日から申しますれば、はつきりと申し得ることは、昨年の十一月二十七日大蔵
委員会を
通り、本
会議を通
つた際においては、確かに
衆議院として、うかつな、また見のがした欠点を二月二十一日訂正をされまして、継続費の問題は遂に片がついたのであります。従いましてこれらの経緯から見ましても、また
議事進行の
発言そのものから見ましても、適時かつ
適法、かつまた該
予算書の違法に関する問題も、われわれの主張の、ごとく国論が定ま
つたというふうに考えをいたしておる次第であります。
以上が私の一身上の
弁明であります。先般本
会議の
議場におきましては、
提案者から、その他の事項、たとえば私の挑発的行為などというものに対して御
発言があ
つて、私もまた本
会議場におきましては、これに対して政治的な弁駁をいたしましたけれ
ども、本日はこれに触れるべきでないと思いますから、
事案そのものについて私の一身上の
弁明をいたした次第であります。