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1952-07-29 第13回国会 衆議院 地方行政委員会 第76号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年七月二十九日(火曜日)     午前十一時四十三分開議  出席委員    委員長 金光 義邦君    理事 河原伊三郎君 理事 吉田吉太郎君    理事 床次 徳二君 理事 門司  亮君       大泉 寛三君    川本 末治君       佐藤 親弘君    前尾繁三郎君       鈴木 幹雄君    藤田 義光君       大矢 省三君    立花 敏男君  委員外出席者         大蔵事務官         (主計官)   白石 正雄君         参  考  人         (大阪警視総         監)      田中 楢一君         参  考  人         (大阪警視庁         総務部長)   橘高 政雄君         専  門  員 有松  昇君         専  門  員 長橋 茂男君     ――――――――――――― 七月二十六日  委員淺香忠雄君、今村長太郎君及び永井要造君  辞任につき、その補欠として池見茂隆君、佐藤  親弘君及び龍野喜一郎君が議長の指名で委員に  選任された。 同月二十九日  門司亮君が理事補欠当選した。     ――――――――――――― 七月十一日  農業協同組合連合会医療施設に対する固定資産  税免除に関する請願坂本實紹介)(第四一  一二号) 同月二十三日  医業に対する特別所得税撤廃請願坂口主税  君紹介)(第四一八七号)  同(松永佛骨紹介)(第四二六七号)  地方財政平衡交付金法の一部改正に関する請願  (前尾繁三郎紹介)(第四二三六号)  高等学校定時制分校建築費起債認可に関する  請願前尾繁三郎紹介)(第四二三七号)  地方負担道路費起債認可に関する請願(江崎  真澄君紹介)(第四三〇四号) の審査を本委員会に付託された。 同月十一日  町村に対する平衡交付金増額等に関する陳情書  (第二五八三  号)  特別市制反対に関する陳情書  (第二五八四号)  住民税に関する課税方式改正に関する陳情書  (第二五八五  号)  各種任意団体整理統合に関する陳情書  (第二五八六号)  予防消防強化並びに都市不燃化促進に関す  る陳情書  (第二五八七号)  府県制廃止に関する陳情書  (第二五八八号)  自治体警察費に対する国庫補助金全額交付の陳  情書(第二五  八九号)  対面交通を廃し左側通行実施に関する陳情書  (第二六八七号) 同月二十五日  国庫負担金及び補助金並び起債及び短期融資  に関する陳情書(  第二七三〇号)  公職選挙法の一部改正に関する陳情書  (第二七三一号)  同(第二七三二  号)  地方自治法改正案並びに地方自治体強化に関す  る陳情書(第二七  三三号)  昭和二十二年政令第十五号の廃止に関する陳情  書(第二七三四  号)  合併町村の育成に関する陳情書  (第二七三五号)  農協の固定資産税免除に関する陳情書外三件  (第二七三七号)  地方税法改正に関する陳情書  (第二七三八号)  公営企業建設費起債優先割当に関する陳情  書(第二七三九  号)  地方事務所廃止に関する陳情書  (第二七四〇号)  地方制度調査会設置に関する陳情書  (第二七四一  号) 同月二十六日  道州制反対に関する陳情書  (第二八九九号)  地方税法改正に伴う財源措置に関する陳情書  (第二九〇〇号)  地方自治法改正等に関する陳情書  (第二九〇一号)  行政事務再配分の早期実現町村財政確立促  進の陳情書  (第二九〇二号)  公職選挙法改正に関する陳情書  (第二九〇三号)  警察制度改正に関する陳情書  (第二九〇四号)  常設消防力強化に関する陳情書  (第二九〇五号)  地方財政法の一部改正に関する陳情書  (第  二九〇六号)  佐賀県民生部保険課事件に関する陳情書  (第三〇〇三号)  起債及び国庫負担制度改廃陳情書  (第三〇五一号)  衆議院議員の職務に関する陳情書  (第三〇六三号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  理事の互選  警察に関する件     ―――――――――――――
  2. 金光義邦

    金光委員長 これより会議を開きます。  理事補欠選任についてお諮りいたします。すなわち、去る四日理事門司亮君が委員を一度辞任されたため、理事が一名欠員になつております。つきましてはこれより理事補欠選任を行いたいと思いますが、これは投票の手続を省略して、委員長より指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 金光義邦

    金光委員長 御異議なしと認め、門司亮君を理事に指名いたします。     ―――――――――――――
  4. 金光義邦

    金光委員長 警察に関する件についてこれより調査を進めます。  まずこの際お諮りいたしますが、自治体警察経費に関する問題等について、参考人として大阪警視総監田中猶一君及び同総務部長橘高政雄君より、その実情を聴取いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 金光義邦

    金光委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  この際両参考人に申し上げますが、本日は遠路かつ御多忙中にもかかわらず、御出席くださいましたことを委員会を代表し、厚く御礼申し上げますとともに、忌憚なく実情をお述べくださることを希望いたす次第であります。  それでは田中参考人より実情を聴取することにいたします。田中参考人
  6. 田中楢一

    田中参考人 私、大阪警視総監田中猶一であります。大阪警視庁警察費関係について、簡単に御説明申し上げます。  大阪市の財政事情ジェーン台風の被害その他の事情によりまして、きわめて窮迫している状況でありまして、そのためにこの財政難打開のために努力しなければならないということになりまして、昭和二十七年度警察費予算編成におきましては、人件費は前年度に比しまして一割減、物件費は前年度に比しまして二割減、これは各府県と同様でありますが、そういうことで編成しております。本年度歳出予算総額は二十一億三千三百五十五万円、その内訳は、公安委員会費が百九十五万六千円、警察費が二十億九千百五十九万四千円、このうち人件費は十七億四千万円、物件費は三億五千万円となつております。そのほかに臨時費として四千万円、計本年度警察費歳出予算額は二十一億余りであります。公安委員会費を除きまして、純然たる警察費予算定員は八千六百名になつておるのでありますが、ただいま申しましたように予算面におきましては人件費の一割減ということから、実際には一千名減員ということになつております。従つて予算定員は七千六百名ということになりますが、これで割りますと、平均一人年額二十五万二千八百円強となつております。このように当初予算は非常にきゆうくつな予算でありまして、職員の待遇改善費その他の特別の新規計画費用は、一切計上していないのであります。予算はこういうことでありまして、本年の三月希望退職というような形式によりまして、一千名の減員をしたのであります。こういう治安情勢が悪化することがわかつておるときに、一千名の減員をすることは非常に重大な問題だと思いますが、財政上やむを得ずそういうことになつたのであります。ところが四月以降はしばしば集団的な暴行案が発生いたしまして、そのために警察費相当費用がいりまして、その都度財政当局と交渉して出動費用を出しておるわけであります。そこで従来は今日のような事態に備えましての十分の装備設備等についての準備が十分でなかつたのであります。ある程度準備がありましたのでありますが、こういうような事情になりますと、相当装備設備について考えなければならぬ。そうしますと、これについては相当厖大な費用がいるのであります。この財政事情からしまして、大阪市としては十分なことはできないのであります。人員の点もありますが、しかしながら今相当予算をもらいまして、こちらが希望するある程度装備設備ができますれば、今日のこの治安情勢に対しまして、十分対処し得るのじやないかというふうに考えておるのであります。それで先般来一応こちらとしてこの警備関係装備設備等について検討したのであります。そうしますと、大体、二億数千万円いる。それから最近の集団刑事事犯に対しまして、その出動費でありますが、時間外の手当あるいは宿直費食糧費、自動車の借上げ費等、これらが最近の実績から見まして、四月から今日までの費用が千八百七十五万五千円になつております。大体これから推しまして、三月までに今までのこれらの経費を合せまして約五千六百万円あれば、この出動費をまかなえる。そうして装備、諸種の設備等を加えまして、約三億の金があれば、警備について相当の自信のあるものができると考えるのであります。それから大阪警視庁の立場を申しておきたいのでありますが、大阪府下全体で、大阪警視庁の現在の警察吏員の数は七千六百、条例定員は八千六百あるのでありますが、予算の上では七千六百。それから国警が約千名おります。それから警視庁以外の自治体警察、これが三十二ありますが、それが合せまして約二千名、国警自治警と合せて約三千名、警視庁が七千六百、計一万余りであります。ところが大体大阪市並びに周辺における問題が警備上一番大きいのでありまして、先般の吹田事件、これは大阪市からすぐ近い吹田市内に起つたのでありますが、それは国警と、そうして吹田、その前にありました豊中池田、こういうところが相談しまして、警視庁はもちろん連絡は緊密にとつていたのでありますが、これが相談しまして、連絡協調個々警備に当つた。それが流れて大阪市内に入るものは警視庁がやる。しかし必要があれば、警視庁はいつでも応援するという態勢にあつたのであります。大体少し見通しをあれは誤りまして、楽観したために――楽観といつては語弊がありますが、向うの陽動作戦ひつかかつたというような関係で、警視庁応援を必要としないというような判断をくだして、そうして警備上は失敗をしておるのであります。あれから考えまして、今後よほど連絡協調して警備に当らなければならぬ。大阪警視庁大阪市内だけの治安維持で足れりとしてはならぬということでありまして、周辺治安についてもやはり共同責任考えてやらなければならぬというふうにして、現在国警、各自治警とも合せた警備について考えているのであります。一つは現状における国警の方の応援力というものは、実際は微々たるものでありまして、ほんとうに応援できるものは、三十名くらいしかない。あと地方駐在所を集めましても、ただちに警備には間に合わないという状況でございます。ほかの自治警もみな数十名、大きいところで百五十名おりますが、そこで何か事件が起りますと、自分管内だけは何とかやるというふうな考えがおもであります。そういうふうなことではなく、全部が一体となつてそういうものに対処するということから、先般来国警自治警合せての協同部隊をつくろうじやないかというので、みな定員に応じて若干ずつ浮かして協同部隊をつくりまして、共同に訓練する。警視庁もこれに参加しまして、警視庁からは一箇中隊が常に警視庁以外のところへいつでも優先的に出すというふうにしまして、合せて二百五十名の者が、いつでも大阪市以外のところで事件が起きた場合には、ただちに出動できるというふうな実情であります。今個々自治警のところを援助して、その警備力強化するということは容易なことじやない。そこで大阪警視庁というものは、大阪府下における中心でありますから、大阪府下全体に起りましたものに、やはりある程度責任を持つ体制にして行かなければならぬというので、もしこの際国の方で若干でも援助していただいて、警視庁警備力強化をすれば、大阪市内だけでなく、大阪府下全体の警備力について強化できるということで、常に私ども大阪府下全体について責任を感じておる次第でございます。何とぞひとつよろしくお願いいたします。
  7. 金光義邦

    金光委員長 質疑を許します。藤田君。
  8. 藤田義光

    藤田委員 ただいまの参考人の御証言によりまして、財政面から見ました現在の自治警察の窮状というものが、はつきりいたしたわけでございますが、大体全国の自治体警察共通の現象ではないかというふうに想像されます。特に神戸とかあるいは京都に隣接されている大阪としましては、いろいろと問題も深刻であろうかと存じておりますが、この近畿地方のいわゆる三大地区警備態勢に関しまして、何か横の特殊な連絡方式考えられておりますか、これをお伺いしておきたいと思います。
  9. 田中楢一

    田中参考人 先ほど私は大阪府下だけのことについて述べたのでありますが、今御質問のように京阪神、これが相当密接な連絡を強調して行く必要があるのであります。今年の春以来、毎月関係者会合大阪で持つております。そうして情報の交換、警備に対処する対策研究会等をやりまして、そのために非常に係官同士連絡がよくなりまして、必要あれば電話一本で非常に緊密にやれるようになつております。そうして問題が起きれば、ただちに三者の間で連絡し含つておる状態であります。
  10. 藤田義光

    藤田委員 公安調査庁が開設されたのでございますが、公安調査庁自治警との連絡に関しまして、何か具体的な準備がありますかどうか、お伺いいたしておきたいと思います。  それから先般の吹田市の事件を見ておりますと、ほとんど法治国家にふさわしくない無警察状態が数時間続いておる。一般大衆治安に対する信頼というものを失墜するような危険があの地帯に起きていはしないか、どうしてああいう状態が現出したか、警備の不足とかいろいろな理由がございましようが、総監として何か考えられました点がありましたら、この際はつきりと御説明つておきたいと思います。
  11. 田中楢一

    田中参考人 公安調査庁は今までの特審局よりも、仕事の上でさらに密接な連絡をする必要が出て来るのではないかと考えております。それで結局近畿地区では現在特審時代に八十名だつたのが、二百名に増員になるというので、人選をしております。そういつた関係で、あるいは私どもの方でも一部幹部の方の人選について相談を受けておりますが、そういう人事面からある程度連絡をとるようにしたいと思います。  それから吹田事件でありますが、これを簡単に申しますと、先月の二十五日の前夜祭におきまして、二十四日の晩から府下豊中市の一角にあります阪大のグラウンド待兼山といつておりますが、そのグラウンドに、朝鮮人と学生とが集まりまして、キャンプ・フアイアをたいて大会をやつたのであります。そうしてそのときの事前情報では、あのすぐ近くにある米軍飛行場を襲撃する。もう一つはその待兼山グラウンドの土手のすぐ上が、米軍宿舎なつておる。八十三戸だかありますが、それを襲撃すると盛んに言われておつた。そのグラウンド豊中市の一番はじつこであります。グラウンドから一歩出ればそれは池田市の管内、その山側は国警箕面地区というわけで、国警茨木吹田とこの三つの警察の集まつた線でこの会合があつたのです。そこで三者が一緒になりまして、豊中市の警察署警備本部を設けて、三者の幹部一緒になつて警備に当つた。今申しましたように、事前情報から、この会合をした場所からいいまして、米軍ハウスだとか、あるいは伊丹飛行場、その点に最も重点を置いて警備したのであります。ところがあの米軍ハウスの方は、あそこへ黒人兵機関銃か何か持ち出して並べたので近寄れない。それでも相当近くまで何人かやつて来たそうですが、来るたびに発射するようなかつこうをして解散させた。それからそれが十二時過ぎに終りまして、一時ごろに池田市の中にあります石橋という駅に、五百名あまりの者が行きまして、それから電車を出せというので交渉して、三時過ぎに電車を出した。それから途中で服部という駅で下車して、その連中吹田向つた。ところがその連中ばかりを注意しておつた。その連中あまり竹やりも持つてないというような状況から、人数も五百名足らずで、その当時国警自警とを合せた人数はそれに匹敵するような人数でもありましたし、吹田市におきましても、国警一緒警備しておつたのですが、大体警視庁応援を必要としないという――こちらからもつと応援を出そうかといつていたのです。こういう事情でありまして、応援を請求しなかつた。ところが今のグラウンドから電車の方へ出ないで、山道を通つて来た三百名あまりの隊、これが途中でみな竹やりその他の武装をしたのです。それが吹田市の裏の山で合流した。そこで大体大部分の者が武装して、そうして警察がそれを見たときには人数もふえておる。大部分の者が竹やりを持つておるということで、しかもそこが国警地区つたのです。国警の方は管区学校から生徒が三百名近く行つたのです。これは平素は何ら訓練されておらない。各府県から学校へ集まつて来ている年齢的にもいろいろな、相当年輩の人もあり、若い者もあるといつたような、まつたく雑然たる状況でありました。これがそういう警備事案に対して、隊長の指揮のもとに十分活動できないということは、前から言われておつたのであります。それがたまたまその部隊がおる前に出て来ましたので、手も足も出なかつたというような、非常に警察としては醜態を演じた。そこで茨木市警の署員が応援に行きましたが、その応援に対して火炎びんを投げて二十名近くの者が相当負傷した。それを目の前に見ながら手も足も出なかつた警察としては非常に威信を失墜して遺憾なことであつたのであります。そこで大阪府会としては今後管区学校生徒は出さぬでくれと国警の方に申し入れまして、それで警察幹部の方の責任が重くなつた。そういう重大事件に対しましては率先応援する、そしてああいうことのないようにというふうなことで現在やつておるのであります。  それであれは一つには、電車の方から来ましたものがあまり武装してなかつた。これは陽動作戦だろうと思うのですが、それにひつかかつた。それで裏からまわつて来るものに気がつかなかつた。そこが警備上の失態が起きる原因になつた。それと警備隊態勢人数だけ集めるというような考えであつた。ああいうような警備に対しましては、平素あまり訓練してない者を、警察官であるからというので集めただけでは、役に立たないということがはつきりと立証されたのであります。やはり日常から大阪市で警邏隊――東京では予備隊といつておりますが、そういつたもののみを中心として、平素から十分な訓練を与えてやらなければならぬという考えから、現在、先ほど申しましたように、府下一円で共通警備部隊をつくつて、いかなる場所に出て来ても、それと警視庁警邏隊一緒なつてやるというふうに進めております。それにつきましては、各警察署自警自分のところだけでは強化することができない。ところが数名の者はその必要のために供出できる。数名の者を出しますれば、当然それで百数十名の者ができる。それが若くてそうして剣道、柔道なんかの心得のある者とか、そういう警備治安に対処する一番適任者を率先して出す。そうしてそれをそういうふうに専門に訓練しましたら、これは相当強力な活動ができるのであります。そうしてそれを結成することにしまして、――これはもう早急にやるのでありますが、これに対する費用を府の方で一部負担してやるというようなことになりました。こういうふうなことで、これは今まで例がないのではないかと思いますが、警視庁は一切府の方からそういう援助を受けない。それであと国警市警からできました一個中隊の活動というものは府の方で心配してもらう。そうしてそれについて大体一千万円今度の予算で組んでやるということでありました。これは各衛星都市とも非常に関係者が喜びました。そういう実情であります。
  12. 藤田義光

    藤田委員 ただいまの吹田事件を拝聴しましても、根本的な対策としてはどうしても制度の徹底的な再検討が必要であるような印象を受けたのでございますが、とりあえずただいまの御説明によりましても、警察機動力あるいは通信施設の拡充、こういう問題が現在の法律のわく内で、非常に必要になつて来るのではないかということを痛切に感じております。先ほど総監から大阪の七千六百名を含めた公安委員会の総予算が本年度は二十一億ということを言われたのでございますが、このうちで人件費警備費の割合はどういうふうになつておりますか、お伺いしたいと思います。
  13. 橘高政雄

    橘高参考人 ただいまの総監から御説明のありました二十一億三千三百五十五万円の総額のうちで、人件費に当るものが十七億四千万円、物件費に当るものが三億五千万円で、この三億五千万円の物件費経常費でありまして、備品、消耗品その他のものがありまして、警備に関する経費というのはほとんどこの中には含まれておりません。従いまして最近のように頻繁にしかも大規模警備実施が行われる場合には、その経費はみんな既定予算を食つているわけなんです。将来これが穴になつて残つて行くわけなんです。これは現在の実情といたしましては、私ども何か警備実施がある場合には、すぐに大体必要な金額を計算いたしまして、財政局の方にあたりまして、これこれの経費が必要なんだ、これはどうしても追加予算で見てもらわなければ警視庁としてはやつて行けないのだ。とりあえず既定予算で何とか出しておけ。将来考えられれば考えてやろうということで、警備実施をやらないわけには行きませんので、一応了解を得たつもりでやつて来ておるのでありますが、そういうことで現在までに一千八百万円のものが超過勤務手当であるとか、あるいは給食費であるとか、車両借上げ費、こういうふうなもので今穴になつて執行しているわけなんです。これは九月以降何とか財政局の方と交渉いたしまして、追加予算に計上していただくようにお願いしようと思つているのでありますが、そういうふうなことでかなり規模の大きい警備実施いたしますと、すぐにこれが既定予算を食い込んで参りまして、平常状態でも経常費一ぱい一ぱい、こういうふうな実情でありまして、最近のように警備実施が非常に頻繁で、しかも規模の大きい警備が行われるという場合には、これが全部が穴になつて来る、大体その穴になつて行くについて、私ども見通しでは今年中に五千六百万円ぐらいが穴になつて行くのではないか、これは経常費だけであります。  それから設備費で本年度四千万円を当初予算で認めてもらつておりますが、これの大部分通信費、それからパトロール・カーの増設とか、あるいは警備員宿舎を新設するとか、車両を購入する、こういうふうなものでありますが、これが約四千万円計上せられております。これもどちらかと申しますと、平常状態警察機動力通信施設を拡充するというような程度に編成されたものでありまして、最近のように客観情勢が非常に険悪になつて参りまして、警察警備体制も急速に拡充強化しなければならないというような段階になりますと、四千万円ではとても足りないのでありまして、私どもは今この四千万円で執行すべきものを一時停止いたしまして、そうしてたとえば火炎びんに対処するわれわれの警備をどうするかという緊急なものに振りかえてやつておるわけであります。これを一応私どもの方で計画いたしまして、現在の段階ではこの程度装備強化すれば大丈夫だろうというのが、二億四千万円でありますが、かりに既定予算に計上せられております四千万円を全部この装備強化の方に入れたといたしましても、まだ現在の計画のわずかに六分の一ぐらいを満たし得る程度でありまして、それ以上追加をお願いするということは、現在の大阪市の財政事情ではどこかの部局の予算を押えて、警視庁の方にまわしてもらうということでなければできないような実情にあるのでありまして、私どももこれ以上市の財政当局に御無理を申し上げて、よその局を犠牲にして警視庁装備強化を主張するということは、現在非常な困難を感じておるような実情であります。
  14. 藤田義光

    藤田委員 現在の地方自治体、なかんずく五大市の地方財政状況では、自治的な解決は困難ではないか、特に今の御証言からもはつきりいたしたのでございますが、結局平衡交付金のわくの問題、あるいは起債の増額という問題が、具体的な政策として表面化して来るわけでございます。さしあたり大蔵省の白石主計官も見えておりますが、この日本の独立後三箇月間の治安状況が、外資の導入とか、あるいは外国の経済援助、貿易の促進等にも重大な支障を来して来る。これは国家的な大問題であつて、大蔵省ないしは政府としても、この際早急に根本的な対策考える必要があるのではないか、警察法の改正の問題というようなことの前に、根本的な財政措置を講ずる必要があるのじやないか。その具体的な内容としては、装備強化等があげられるわけでございますが、この点に関しまして、大蔵省の主計局として何か考えられておりますか、どうですか。考えられておらないとすれば、かかる事態に処しまして、どうしても自治体で財源措置ができないという現状を打開する方法に関しまして、何か主計官の方でお考えがありますかどうか、この際忌憚のないところをお伺いし、われわれの参考にしたいと思います。
  15. 白石正雄

    ○白石説明員 最近の治安状況にかんがみまして、自治体警察装備その他に関する財政的な措置いかんというお尋ねでございますが、御承知のようにただいままでといたしましては、地方の経費は地方財政上、基準財政需要をまかなうという立場から検討して来たわけでありますので、最近に起りました特殊の事態に対する特別な考慮というものは、特に計算は出て来ていないわけであります。また現在のところその具体的な財政措置というようなことについては考慮しておりません。ただ特別にそういう財政需要があつたものといたしますれば、これにつきましては、特別交付金等の配分上考慮すべき問題ではなかろうかと考えます。またそれによつてもなお考慮し得ないような特殊の財政需要があるものといたしますれば、これにつきましては、将来の問題として今後検討しなければならぬと考えるわけであります。
  16. 藤田義光

    藤田委員 主計官の御答弁はつきりいたしておりまして、その通りでございます。いわゆる平和を前提とした基準財政需要額を基準に、警察費考えて来ておる地方財政平衡交付金の建前から、当然のことでございますが、御存じの通り特別平衡交付金の配分というものが、年度末押し迫つて具体的に全国に配分されております。従いまして、現在の差迫つた治安対策の財源方式としては、非常に遅れすぎる。おそらくことしの特別平衡交付金も、来年の二月ころ数字がきまるだろうと思いますが、この間の何か便法と申しますか、方法はないかということが、われわれの最も大きな関心を持つておる点でございます。特に起債のわくに関しましては、単独起債はすでに確定的な数字が出ておりますし、公共事業の査定がやがて始まろうといたしておりますが、これは当初の計画によりまして、すでに配分率が大体きまつておりまして、いまさらこれに食い入ることも困難ではないか。補正予算等に関しましても、この問題を考える方法はないか。特に現在の政局と関連して、補正予算の編成というものは非常に微妙な段階にありますが、この際地方財政を担当する主計官として、特別平衡交付金も間に合わぬ。しからば起債をこの際増加する、あるいは平衡交付金の前渡しその他の臨時措置はないかどうか。この点法規的にわれわれはつきりしない点もありますので、いま一度お伺いしたいと思います。
  17. 白石正雄

    ○白石説明員 御承知のように、特別交付金につきましては、法律上二月ごろ交付するということになつておるわけでありますが、どういう基準によつて交付するかということにつきましては、前もつて決定することもできるかと思いますので、従いまして地財委等の検討によりまして、もし特別交付金で考慮すべきものであるということになりますれば、その点を検討しておいて、その需要をまかのうということもできるかと考えるわけであります。その他の点につきましては、現在の制度上、特に警察の特殊事情考えるということは、現在までのところ困難ではなかろうかと考えるわけであります。
  18. 藤田義光

    藤田委員 特別平衡交付金に関しましては、二十数項目の配分基準が、地方財政委員会できまつております。その中に一項目新設いたしまして、こういう特殊の事態に備えるということを考える、配分基準を改正するということが、今ただちにできることでございまして、この点は主計官の御答弁非常に参考になつたわけであります。ただ私たちの想像では、現在の治安状況にかんがみまして、早急に自治体警察の必要とする財源は、大体三十億程度ではないかというふうに想像いたしております。従つて特別平衡交付金は、本年から全交付金額の八%になつておりますが、このうちから三十億を、そのまま優先的に特別平衡交付金のわく内で考えるということは、現実の問題としては不可能ではないかというふうにも考えられます。特別平衡交付金の配分項目を追加するということは、一つの有力な方法でございましようが、それだけをもつては、おそらく全面的な解決はできない。この際補正予算で、平衡交付金のわくを多少ふやす。あるいは地方税法の改正にも関連して来ますが、起債のわくをふやす。あるいは短期融資の方法を考えまして、とりあえず五大都市だけに対してでも、自治警察装備関係短期融資を認め、将来長期に切りかえるとか何とかいう方法があるのではなかろうか。この点に関しましては、自治庁担当の大臣等も、われわれと同じ意見ではないかというふうに考えておりますが、主計官の方の御意見を、この機会にお伺いしておきたいと思います。
  19. 白石正雄

    ○白石説明員 自治体の特殊の財政需要が、どの程度に達するものか、実は国警その他自治庁等で研究中と考えるのでありますが、まだ私どもの手元にその数字的のものも参つておりませんので、そういつた検討をいたしました後におきまして、何らかの措置をとるように研究したいと考えております。
  20. 門司亮

    門司委員 関連して……。今大蔵省の事務官の答弁ですが、わかつたようなわからないような答弁であつて、大蔵省としてはそういうことが言えると思いますが、しかし今の藤田君の質問の中にもありましたように、また最後に藤田君が申し上げましたように、今の特別平衡交付金というものは、そういう要素を含んでおりません。従つてこういう特殊の事情の発生したものが、特別交付金の中に食い込んで来るということになれば、それだけ地方財政というものはきゆうくつなものができて来ることになる。しかもこの財源は、特別交付金でまかなわなければならないような天災あるいは地変というようなもの、いわゆる人力において不可抗力の場合においてのみこういうものが考えられる。政治の貧困さから来るこうした一つの問題は、当然これは政府が責任を持たなければならない。こういうものが地方財政平衡交付金の中から出されるというような政府の考え方は、私はもつてのほかだと思います。当然こういう費用は、先ほど申し上げておりますように、政治の貧困さから来る一つの大きな社会問題である。これをあたかも天災、地変であつて、これが通常の場合における事案と同じようにものを考えられて行われるということは、私は考えられない。これは窃盗であるとか、あるいは震災、あるいは大きな特別の被害であつて、それから来る警察力を必要としたというようなものとは、全然別個な考え方でなくてはならぬと私は思う。従つてこれは単に一部分だけの、そうした問題が起つたところだけに政府が金をやるというようなことでなくして、もし政府が考えようとするならば、警察全体にものを考えなければならない。しかもそれの原因は、政府の政治の貧困さであるということになれば、これを地方自治体の財源の中に食い込むようなものの考え方は、私はどうかと思う。一体今日の地方財政の最も大きな要素をなしております地方財政平衡交付金に対する大蔵省の考え方を、もう少しはつきり答弁をしていただきたい。
  21. 白石正雄

    ○白石説明員 特別交付金は、基準財政需要で算定していないような特別の財政需要を、特に考慮するということになつておりますので、もし現在の基準財政需要で考慮していないような警察上の特別の財政需要があるものといたしますならば、これは特別交付金で考えてもいいのではなかろうか、こういう意見を申し上げたわけであります。
  22. 門司亮

    門司委員 今、それで考えたらよかろうではないかというようなお話であります。多少今の答弁は幅があるように聞えるのでありますが、先ほどの御答弁の内容から行きますと、平衡交付金のほかの特別平衡交付金で考えるということです。先ほどから何度も申し上げるように、特別平衡交付金の本質というものは、財政需要額とさらに収入額とのアンバランスだけを埋めるということであつて、これが通常の事態であればやむを得ない。そのほか非常事態の起つた場合に、これらを出すということになつておる。しかしその非常事態というものについては、おのずから限界があるのであります。天災だとか地変だとかいうような、いずれの政府が出て来ても、だれが出て来ても不可抗力のものはやむを得ない。今発生しつつありまする火炎びん事件は、そういうものじやない、これは天災じやない。施策のいかんによつては、これは当然防ぎ得る一つの性質を持つておる。そう考えて来るならば、この事件というものは、単に地方財政平衡交付金の特別交付金の中に含まれて処置さるべきだという考えを、もし大蔵省が持つておるとするならば、私は非常に大きな誤りだと思う。一体こういう火炎びん事件というものを、天災地変とお考えなつておるのか、不可抗力とお考えなつておるのか、私はこれは決して不可抗力ではないと思う。しかもこれのために使う費用というものは相当大きな費用である。これが特別平衡交付金の中に食い込んで来るということになりますと、先ほどからの参考人の御意見の中にもありまするし、同時に私の手元に届いておりまする参考書を読んでみましても、五大市だけでも相当大きな額を要求するように大体考えられる。これが全部中に織り込まれて参りますと、地方の当然もらわなければならない平衡交付金の中の特別交付額というものは減つて来るのであります。御存じのように、天災地変があつて、そういうものを必要とする場合に、事件一つ一つ対象として、そうしてそれの何パーセントを支給するというような法律ならけつこうでありますが、これにはわくがありまして、このわく以外には出ないのであります。わく以外にはないということになれば、その費用だけはそのわくの中に食い込んで来る。従つて当然通常の事態においては、交付さるべきものが、こういうものがたとい三十億でありましても、あるいは四十億でありましても、食い込んで参るごとにおいて、一般の自治体の特別平衡交付金が、それだけ削られるということになりまして、全体が非常に大きな迷惑をする。しかもこれが、先ほどから申し上げておりまするように、天災地変と考えていいか悪いかということになれば、相当私は疑問があると思う。従つてこの場合に聞いておきたいことは、こういう事態がありますので、大蔵当局として当然これは地方財政平衡交付金の中の特別交付金でまかなうとするならば、これの増額をやはりこの中に織り込んでおかなければ、地方財政の上にかなり大きな影響を持つて来る。大蔵当局としては、今の地方財政平衡交付金でこれをかりにまかなうとするなら、一体それを増額する御意思がおありになるのかどうなのか、その点をもう一つ聞いておきたい。
  23. 白石正雄

    ○白石説明員 御意見の点もよく検討いたしまして、今後研究いたしたいと考えております。
  24. 前尾繁三郎

    ○前尾委員 ただいまの問題に関連するわけですが、大阪警視庁の方々にちよつとお聞きしておきたいと思います。大阪の当初予算警察維持の二十一億というのは、平衡交付金の財政需要額とどういう関係なつておるか、すなわち平衡交付金の算定額から考えて多いか少いかという問題です。  それから次には一千名減員された。ただいまのお話では地方財政が非常に窮乏したから一千名減員をされたというわけでありますが、しかし警察の問題に関しては、最近減員をするような情勢にないことは、だれしも考えておることでありまするが、それをあえて減員をされたという理由は、単なる地方財政の窮乏によつてされたものであるかどうか。私は現在定員が少くてもやりきれるという見通しなしに減員されたものとは考えないのでありまするが、そのへんの事情についてお伺いいたしたいと思います。
  25. 田中楢一

    田中参考人 一千名の減員でありますが、実はこれは私が昨年の暮れに参りましたその少し前から、市会の警察委員会で非常に問題になつておりまして、そうして市当局、市会の方も相当減員を希望したという状態である。そのときの希望はできるだけ減らそうというので、実は一千名くらいじやないのでありまして、できれば三割くらいひとつ減員できないか、思い切つてこの際減員してもらいたいという非常に強い要望がありまして、それでやむを得ず――三割はやれない、私はそれじや思い切つて減員して最大限度で千名だ、千名まではひとつ減員して協力しようということで、これはまつた財政事情だけから来たのであります。それでその千名につきましては、これは非常に大きな負担になるのでありますが、八千六百というものは、これは自治体警察ができましたときにつくられた定員でありまして、それで市当局それから市会の方の考え方は、その切りかえの際までは大阪市の警察官は五千六百であつた。それが三千名ふえたのだから、大体三千名を減らしてしまえ、前はそれでやれたのだから、やれぬことはないというようなことであつたのでありますが、いろいろ警察態勢もかわつておりますので、前と同じような式ではいかぬ。それと治安情勢も前より悪化しておりますので、それは無理だ。しかしながらそういう要望があり、財政上やむを得ないとなれば、相当協力しなければならぬということを考えまして、そうして大体千名、内部の態勢、機構の改革、運営の方針を考えれば、千名を減員して何とかやり通せるという考えを持つて減員したのでありまして、もちろんそのときに財政の方が許せば、減員せずに進んでおれば、相当現在は市内だけでなしに周辺に対してもよかつたのじやないかと思います。そういう事情でありまして、そのほかの事情はないのであります。まつた財政上の都合であります。  もう一つの問題については橘高君から申し上げます。
  26. 橘高政雄

    橘高参考人 二十七年度大阪市の警察予算の一人当りの額ですが、一人当り平均いたしまして二十五万二千八百円になつております。この額は大蔵省で算定しておられます財政需要額の基準に比べますと、やや上まわつておる金額ではないかと思つております。これが上まわつておるおもな理由は、人件費が非常に高くついているので上まわつておるのでありまして、この人件費につきましては、大阪市の職員は歴史的に過去から国家公務員に比べまして高かつた事情がありますので、警察職員も大阪市職員の給与に比較して接近させていただいたということで、大蔵省でおきめになつております財政需要額の基準に比べまして、人件費が高くついておりますから、一人当りの単価は多少需要の基準額より上まわつておると思います。国家警察の一人当りは約三十万円と聞いておりますが、警察費は単に人件費とそのほかの備品、消耗品というような物件費だけでなしに、いろいろ活動に伴います経費がありますので、国警の方で一人当り三十万円と聞いておりますが、私の方は二十五万二千八百円で人件費が多少高くついて、需要額の基準を多少上まわつておりますが、実質的には楽な予算ではありません。
  27. 前尾繁三郎

    ○前尾委員 二十五万円というのは千名減員した実員でお割りになつたつのですか。
  28. 橘高政雄

    橘高参考人 千名減員して七千六百人で平均を出しております。
  29. 前尾繁三郎

    ○前尾委員 私の質問しております目的は、結局において最近のいわゆる騒擾事件等によつて警察費が特にふえて来た面がどの程度かということをお聞きしたいのでありまして、ただ単に足りないということになりますと、大阪市の財政は、もちろん特別の災害等によつて意外に困難ではあります。しかしある限界を設けて、そうして特に国家が補助しなくてはならぬ、あるいは国家が負担しなければならぬというような部分を的確に把握するということが問題解決の第一の基礎資料になるわけであります。そういうような意味合いで申し上げておるわけでありますので、最近の特別に予想せざる事態によつてふえて来た経費について、先ほどいろいろお話がありましたが、特にこれを摘出して信頼すべき数字がありましたら、お教えを願いたいと思います。
  30. 橘高政雄

    橘高参考人 二十七年度の経営経費は大体過去の実績を基準にいたしまして、一応当初予算としては骨格的な金額だけを計上されておるわけであります。それによりますと、一例を申し上げますと、超過勤務手当でありますが、これは市の一般吏員に比べまして、警察職員は時間外勤務をする機会が多いということで多少よく見てくれて、しかも一箇月間に一人当り九時間か十時間程度経費が計上されておるのですが、この程度超過勤務手当は、一回か二回大きな警備事案実施されれば、一ぺんにその程度のものはいつてしまうのでありまして、たとえば今申し上げました超過勤務手当の年間の予算額を月平均にいたしまして今執行しておりますが、月に約六百万円ぐらい執行しておるわけなんであります。先般の七月十五日の日共三十周年記念のあの警備事案だけでも、超過勤務手当を四百五十万円ばかり使つておるのでありまして、平常の場合の一箇月分ぐらいのものが、一回か二回の警備事案で飛んでしまうという実情であります。従いまして経営経費でまかなえる以外のものを、一応わく外に警備事案のために使つたというものをずつとまとめて参りましたが、七月までの合計で一千八百七十五万五千二十六円になつております。そのうちの最も大きなものは時間外手当で一千五百万円余、それから警備員給食費が四十八万五千六百円、それからトラックの借上げが五十二万九千二百余円、宿直費が五十九万五千二百二十円、これはいろいろ急迫した情報が入つた場合、あるいは逮捕者がたくさん留置されておるというような場合に宿直を増強いたします。そういう関係で宿直手当が非常にふえたわけです。そのほかに警察官が火炎びんその他で負傷した、あるいは付近の通行人あるいは群衆が中に巻き込まれてけがをした。これらの災害補償が二百十三万五千七百円、こういうことで、これらはいずれも当初予算で予想しなかつた経費でありまして、いずれは将来機会を見て追加予算にお願いしようということで、現在までのところは、大体財政当局に了解を得て既定予算で食つて執行しております。こういう状態で行きますと、来年三月までに大体五千六百二十六万円くらいのものが、予想せざりし経費として、穴になつて来るのではないか、こういうように考えております。
  31. 床次徳二

    ○床次委員 ちよつと関連して。先ほど大蔵省の主計官のお話がありましたが、実は今度の警察法の改正におきまして、東京都につきましては、特別に国庫から補助する金になつておりますその費用と、ただいまの大阪で述べられましたような補助と申しますか、特別の経費を国家において見るということとは、ほとんど性質が同じじやないかと思うのですが、東京の警視庁に対する経費の国庫の補助額につきましては、どういうふうに予算考えておられるか、ちよつとその点を伺いたい。
  32. 白石正雄

    ○白石説明員 警察にとりまして特別に国庫の補助を出すということにつきましては、まだ具体的に決定しておりません。
  33. 床次徳二

    ○床次委員 ただいまのはまだ具体的にどこから補助をするということがきまつていないというわけですか。
  34. 白石正雄

    ○白石説明員 予算の方につきましては、まだ決定しておりません。
  35. 藤田義光

    藤田委員 ただいまの問題は、今度の警察法の五十二条の三で規定されておりまして、関係者の間では約十億円を補正予算で計上するというようなことも聞いております。従いまして大蔵当局まではあるいは行つていないかもしれませんが、おそらく地方財政委員会では大体そういう数字を出しておるのじやないか。そうしますと、この問題に関連して、ほかの自治体警察にある程度の法律の裏づけがございませんから、平衡交付金、あるいは起債のわく等でバランスをとる必要があるのじやないかというふうに考えられるわけでございますが、もともと最近の騒擾事件等を見ておりますと、朝鮮人の介入、あるいはその他の関係から国際的な問題でございまして、これは一地方財政で割り出せる問題でもございません。従いまして国家的な問題として考えらるべき重要問題でございますが、当委員会としては、さしあたり先ほど主計官の御証言がありましたように、特別平衡交付金の配分基準の中に、一つこういう特殊の事態に即応する配分の方法を挿入する必要があるのじやないかということは、ここではつきりしたわけでございますが、この点に関しましては、ぜひ当委員会の意向として、金光委員長も善処していただきたいと考えておりますが、この際委員長の意見をお聞きできたら非常に幸いだと思います。
  36. 金光義邦

    金光委員長 ただいま藤田委員より私の意見を求めるということでございますのでお答え申し上げますが、この問題は治安上重要な事柄でありますので、理事会に諮りまして適切な処置をとりたいと考えております。御了承を願います。
  37. 立花敏男

    ○立花委員 私どもはきよう五大市からの陳情書を受取つておるのですが、参考人の今までお述べになりましたのは、大体この趣旨に沿つておられるのかどうか、承つておきたいのです。それからこれによりますと、警察費用を国家で出せと言つておられるのですが、最近新聞紙上等で伝えられておりますところの破防法の成立による破防法関係費用、こういうものを国家で出せという意見が警察側にあるということですが、そういう明確な趣旨でお出しになつておるのか、あるいはそれとは別個に、ここに書いてありますような漠然たる治安情勢にかんがみての緊急な費用というような意味でお出しになつておるのか、その点をひとつ明確にしておいていただきたい。
  38. 田中楢一

    田中参考人 単にそれは破防法関係というふうに限定していないのであります。御承知のように破防法は、ある行為で既遂であれば刑法で適用できますが、その足らぬところを補うようなことになりますので、破防法と限定しますと非常に不十分な点が出て来ると思いまして、一般警備費用というものでやつております。
  39. 立花敏男

    ○立花委員 それからもう一つお尋ねしておきたいと思いますのは、今までお述べになりました御意見、あるいはこの警察から出ております国家で費用を出せという陳情書、これらは大阪市会の決定に基いているのかどうか。あるいは装備の拡充を要求されておりますが、大阪市警装備の拡充をあなたたちの要求されておるようにやれということを、大阪市会が認めておるのかどうか。大阪市会の議決に従つて行動されておるのかどうか。あるいは陳情、あるいは意見の開陳をやられておるのかどうか、この点を承つておきたいと思います。と申しますのは、さいぜんからも問題になつておりますように、大阪市警はすでに千名の減員を決定しておる。警察力の増強とはむしろ反対の方向に、千名の減員を決定しておる。予算も一〇%ないし二〇%削減しておる。そういうのであれば、そういう決定があつてからわずか半年かそこらしかたたない間に、こういう急速な何をやるということは、私ふに落ちませんので、その点をひとつ明確にしていただきたいと思います。
  40. 田中楢一

    田中参考人 その自警関係から、費用の国庫負担についてお願いしておるわけであります。これは全国の自警連並びに公安委員の自公連の関係、これは正式にこういう会議で決定をいたしてお願いしたのでございます。それからそのほかそれの意見をただちに各――まあ今のところは五大都市でありますが、東京都におきましても、五大都市の市長の賛成を得ておるわけであります。それから市会の関係はまだ正式の市会の賛成というまでは行つておりませんが、今大阪市会における空気におきましても、そういう点は相当強い要望が事実上あるのです。しかし正式の意思決定の手続はふんでいないのであります。
  41. 立花敏男

    ○立花委員 もう一つ、現在の警察法におきましては、自治体警察と国家警察相当明確に区分されておるわけです。ところが今までのお話の中で、すでに大阪府下一円における事態に対して、あるいは京阪神まで含めまして、共同責任をとらなければいけない、特に大阪府下におきましては、共同責任をとり、共同部隊をつくり、共同の訓練をやる、そういうことを実施に移されておる、さらにそれに対して大阪府から一千万円の金まで出しているというに至りましては、警察法の精神と非常に離れて来るのじやないか、すでに国家警察自治体警察が一体になりまして、共同責任をとり、共同部隊を持ち、共同の訓練をやる、これは明らかに自警国警一本化の具体的な現われである。そうなりますと明らかに警察法違反だと言わざるを得ないと思うのですが、こういうことを実際にやつておられるのかどうか。しかもそれは――これも私は関係自治体の決議機関のはつきりした意思表示があり、あるいは国家の中央においてもそういうはつきりしたものがなければ、こういうことはやれない建前であると思うが、何に基いてこういうことをやつておられるのか、ひとつ明確にしていただきたい。
  42. 田中楢一

    田中参考人 これは制度は、あくまで私どもは今の民主警察の線を貫きたいというふうに考えております。ただあまり小さくわかれましたので、そこに警備上いろいろ支障を起しておりますので、最近は自治体警察の中におきましても、民主警察の線を貫きつつ、できればこの制度改正をやつたらどうかという意見が、漸次強くなつておることは事実であります。すなわち府県単位の自警というような意向が、漸次強くなつて来ておりますが、そういうふうな制度改正の問題といいましたら、今ただちに右から左に行かれない。ところが現状におきましては、そうだから現状のままでいいというわけに行きません。それで現在におきましては、相互援助の義務がある。相互応援の義務がある。それを具体的に運営に移しまして、そういう場合に相互に応援する。現実には学校に入れまして――国警警察学校へ現任教養でみな入れる。それをうまくその方面に使えるように一緒に教養し、必要があればそうして行くというのは、各自警並びにそこの公安委員長、市長の賛同を得てそういう方向に運んでおるのであります。
  43. 立花敏男

    ○立花委員 それは少しおかしいと思うのです。警察法によりますところの相互援助あるいは相互応援の規定は、具体的な事態が起りました場合に、これは関係公安委員会関係自治体の了解のもとに、協議のもとに、行われますもので、恒常的に行われるものではないと思うのであります。しかもお聞きいたしておりますと、今春の初めからすでにそういう共同の教育を行い、共同部隊を持ち、共同責任を負つておるというのですから、これは明らかに事があろうとなかろうと、事件が発生しようとしまいと、すでに自治体警察のみならず、国家警察も含めて、一本化の実現が試みられておるということになりますので、これは明らかに現行警察法のもとにおいては許されないことであると思う。この点は私は今後においても明らかにしておく必要があると思いますが、この点、今の御答弁では非常に不明確ですけれども、やつておられることは、私は明らかに警察法の違反だと思う。  それから、さいぜんお話がありました吹田事件ですが、集りました者がなぜ飛行場あるいは米軍宿舎等に対して行動をやろうとしたかということについて、どうお考えになりますか。それともう一つは、当時宿舎あるいは飛行場の方から警察の方に対して、警備せよという指示があつたかどうか、これをひとつ承りたい。
  44. 田中楢一

    田中参考人 それはその当時に各種のビラもまかれまして、その中にそういうことが出ておるわけであります。それから、あちらから警備せよとか何とかいうことは、私は現実の警備責任には関係しておりませんので、国警と、それから先ほど申しましたように、あそこの豊中池田、この三者が協議して警備をやつたのであります。
  45. 立花敏男

    ○立花委員 それではあなたは警視総監として、当時基地の方からそういう警備の要求があつたかなかつたか知らないのですか。
  46. 田中楢一

    田中参考人 実地にあちらからあつたかどうか知りません。
  47. 立花敏男

    ○立花委員 それではまつたく向うとは関係なしに、自発的にそういう警備を行つたというわけですね。
  48. 田中楢一

    田中参考人 いや、向うは向うで警備をしたということは言つております。こちらは、その外辺を警備したということは聞いておりますが、その両者の、どういう打合せがあつたという内容は、私に直接に関係していないから、わからないのであります。
  49. 立花敏男

    ○立花委員 外辺の警備ですか。その外辺の警備を、自発的にやつたのか、要求によつてつたか。あなたがさいぜん言われたように、大阪府においては、情報の交換なり、共同責任体制がすでにできておるわけですから、その中心であるべき警視総監がそういうことを知らないはずはありませんので、基地の外辺の警備を、向うの要求によつてつたのかどうか、自発的にやつたのかどうか、その問題です。
  50. 田中楢一

    田中参考人 私が先ほど申しましたように、その吹田事件から、どうしても警視庁はもつと積極的に府下全体の警備について考えなければならぬというふうに考えたということであります。そのときはそういうふうにしてこちらが連絡協調するつもりでおりましたが、実際の連絡不十分であつたために、ああいうことになつたということを申し上げておるのであります。
  51. 立花敏男

    ○立花委員 大阪府は、先般基地司令部から防空演習協力の要請がありましたときに、明白にこれを拒否いたしております。基地からこの要求がありましても、その要求が妥当であるかどうか判断なさつて、私は拒否されることもあり得ると思うのですが、そういう要請もあつたかなかつたかお知りにならないでおやりになつたとすると、もう一つ聞いておきたいのですが、最近問題の起りました伊丹の飛行場の拡張の問題で、付近の住民、農民が非常に反対運動をやつておりますが、これをお知りになつておるかどうか、これに対してどうお考えなつておるか、警察としてこれに対してどういう対処の方法をおとりになつているか、これを承つておきたい。
  52. 田中楢一

    田中参考人 反対をしておるということは聞いておりますが、今のお話は私は実情をそう詳しく知らぬのでありまして、そこまで追究されると私も因ります。十分連絡協調して行くつもりであります。
  53. 立花敏男

    ○立花委員 あなたたちは要請もなしに基地の外辺を防衛なさつた。ところがあの基地では何が起つているか、何をやつているか。あそこはまつたくアメリカ軍がかつて気ままに侵略の基地に使つておりますので、あそこから飛び立つた飛行機が朝鮮人の故郷を爆撃しているわけです。こういうことは明白なことなんで、だからこそ朝鮮人が憤慨いたしますので、そういう事態を起させないようにするためには、そういう事態が起らないように警察の方から前もつて、あそこから朝鮮の爆撃はやめてくれというくらいのことは言うべきだと思う。この間大阪府が防空演習を拒否されたということは、決してこれは偶然のできごとではありませんので、防空演習をかつてに日本人に強制されたり、あるいはかつてに日本の土地を使つて朝鮮の爆撃をやるといつたような事態が起つて来ると、いやがおうでも竹やり火炎びんを持つて行かざるを得ないような気持になる。そういうことを起させないためには、大阪府が防空演習を拒否したように、伊丹の飛行場を朝鮮爆撃に使わないようにしてくれ、治安が乱れてしかたがないというくらいのことは、治安共同責任をおとりになるというような態度をおとりになるのなら、私は言うべきだと思うのですが、その点をどうお考えなつておるか。あなたはさいぜん、デモ隊と衝突して警察の方が敗北して非常に威信を失墜したというようなことを言われましたが、日本人同士が衝突をして敗けたから威信を失墜したということではありませんので、向うがかつて気ままに日本の治安を乱すというようなことをやつておることに対して、要請もないのに警備に出かけている。一体まるでどこの警備をやるかわからないようなやり方が、警察の威信を失墜するのであります。今後ああいう基地があり、あるいは強制的に防空演習を押しつけたり、土地を取上げて飛行場を拡張したり、その飛行場を朝鮮の爆撃に使つたりすると、こういう事態が起るのですが、そういう根本的の原因に対して態度をはつきりなさるお考えはないかどうか。たとえばあなたのお隣の奈良市会におきましても、市長が先頭に立つて防空演習を拒否いたしております。軍事施設を奈良の付近に置くなということを、明確に意思表示しているわけであります。こういう問題についてお考えにならないと、ただ単に基地を守ればいいということだけでは、日本の警察としての仕事ではないのであつて、そのよつて起るところの根本的な原因の除去について、やはり努力される必要があると思う。関西におきましては、さつきから言つておりますように、防空演習につきましても兵庫県及び大阪府が明白に拒否いたしております。あるいは奈良市会も拒否いたしておる。奈良市会は特に奈良市の付近の軍事施設の設定に対して、反対の意思表示をしております。これを除くことが私は治安確保の根本的な態度だと思うのですが、この問題をどうお考えなつているか承りたい。(「答弁の要なし」と呼ぶ者あり)ばかなことを言うな。根本的な問題だ。――御答弁がないのは私はやはりおかしいと思う。さつきから言つておりますように、大阪府や兵庫県が防空演習を拒否している。奈良市会が基地の設定には反対いたしている。航空基地を拒否している。こういう事態が現われているのですから、その自治体の一部である自治体警察等は、やはりそこまで行動を進めなければいけないのじやないか。そうしないと、こういう問題はちつとも解決いたさないし、費用もどんどんいることはあたりまえだ。そういう根本的な問題に手を触れないで、費用だけを云々いたしますことは、これはいわば自業自得なんで、私はそういう根本的な問題に対して解決される決意をお持ちになることを要望しておきたいと思う。  もう一つお尋ねいたしますが、さいぜんお話にもありましたが、七・一五の日共三十周年記念日に四百五十万円の超過勤務手当を払つているということを言われましたが、何のためにお払いになつたか。あの日は何の事件も起つていない。神戸市あるいは京都市では許可いたしませんでしたが、大阪は許可いたしまして、平穏裡にあれは解散されているわけです。しかもあれは平和文化祭でありまして、まつたく平和的な集まりであつたのですが、そのためになぜ四百五十万円の超過勤務手当がいるのであるか。あるいは聞くところによりますと、当時警察が、生命の危険があるから、会合に参加するなというビラを、ふろ屋にまで張りめぐらしたということですが、四百五十万円の超過勤務手当のほかにビラ代が一体幾らいつたか。こういう必要のない費用に私どもは一銭たりとも国民の税金をまわすことはできません。なぜ日共の平和的なああいう会合に四百五十万円も超過勤務手当をお使いになり、あるいはふろ屋にまで、そういう大会に参加するなというビラを張つたか。しかもこういう費用を含めて今国家に要求されているのであるか。この点をひとつ伺いたい。
  54. 田中楢一

    田中参考人 七・一五記念日は、ああいう集会には、従来の状況から見まして、必ずといつていいほど、破壊活動をやる分子が参加しておりまして、その会が散会した後にはそれをやつております。会そのものがやるというのではない。あのときも会の主催者の方から要請がありまして、きようはできるだけ何も起らないようにするから、警察の方もできるだけ刺激せぬようにしてくれというようなお話もありまして、それで私どもの方もできるだけ刺激を避けて注意したのであります。それであのときは確かに主催者の方で終始その点については非常に御努力されたことは認めます。そのために会が無事に終つた。それからそのあとでも問題は起らなかつたというので、非常に喜んでおつたのでありますが、しかしあれほど皆が努力し、私ども警備を厳重にしましたが、それでもあの周辺に火炎ビンを数十本、当日あるいはその直後に発見しておるのであります。そういう会があるごとに、必ずそれを利用するというものがおるのでありまして、会の主催者の方ではそういうふうな合法的に穏健にやろうという御意思がありましても、そういう者が集まつて来るのでありまして、それに対して私どもは等閑に付することはできない。しかしそういう今のビラ等はこの費用に入つていません。
  55. 立花敏男

    ○立花委員 火炎びんが周囲に二、三本あつたと言われるのですが、そんなことだけで、大会に集まるなというビラをふろ屋にまで出す必要があるのですか。そうして八千人の者に四百五十万円の超過勤務手当を払つて待機させる必要があるのですか。それは根本的な問題だと思う。そういうことをやつているから、幾ら費用があつても足りない。しかもこれは大阪だけの問題でなしに、八月三日の東京の共産党三十周年記念日には、一万人の警察を中原中学に集めるというようなことをはつきり言つておりますが、こういうように、いらないことに費用を使つておる。いらないところに出かけて挑発して問題を起しておるというのが、これが根本的な原因なんで、そういう事態が起りますのは、さつきから言つておりますように、その根本的な原因である基地の問題、あるいは飛行場の問題、あるいは朝鮮人の強制送還の問題、根本的に突き詰めて言いますと、人民の生活を破壊いたします戦争の問題が解決されないから、こういう問題が起る。だからそういう根本的な問題に触れられないと、問題はちつとも解決しないわけです。費用を幾ら出しましてもこれは解決いたしません。だからそういう点を根本的にお考えになる必要があると思うのですが、最後に――この点先ほどお答えがなかつたのですが、やはりこれは根本的な問題だと思いますし、私どもこの費用を審議いたしますためにも、根本的の問題になるので承つておきたい。
  56. 金光義邦

    金光委員長 答弁がないようですが……。
  57. 立花敏男

    ○立花委員 それじやけつこうです。
  58. 大矢省三

    ○大矢委員 五大都市からの要請によりますると、装備拡充強化費用として約七億円、それを国会で財政的の措置をとつてもらいたい、こういうことでありますが、この七億円の装備拡充費の内容について、あまり詳しくはいりませんが、大体こういうものは必要だというものを承りたい。それが一つと、もう一つは、八千六百人から約一千人の減員をいたした。これは終戦当時三千人の警察官で三百万近い人口を擁する大大阪治安が保持できた。それがこういう厖大な数を要するということは、御承知の軍隊がなくなつたので、警察のみで治安を維持しなければならない。特に東京、大阪の大都市に対しては、治安というものは重要だから、定員数というものを厖大にふやした。ところがその後警察予備隊がだんだん増加しまして、約十一万に相なつておる。しかも大阪近辺、東京の近くには配置されておる。そういうときに、依然としてどうしても数を拡充しなければならぬということは、私どもしろうとであるけれども、想像がつかぬのです。そこで思い切つて警察官を減員して、そのかわりもつと待遇その他あるいは警察官の質そのものをよくして、ほんとうに治安を献身的にやるというように、内容をもつと充実したものにしなければならない。それから装備をだんだん近代化するということは必要かもしれませんが、今までサーベルの場合には群衆もあまり竹やりだの何だの持たなかつた。ところが警察で飛道具を持つて来ると、火災びんだとかいろいろ悪質なものが最近出て来た。これは私はどうかと思う。この間大阪警視庁で女の警官並びに六十歳近い老人の警察官並びに交通巡査からピストルを取上げた。持たせないことは非常に私はいいことだと思つております。さすがは大阪だと感心しておつたのでありますが、ピストルを持たすということは、とられたら必ず相手から撃たれるので、ピストルばかり気にして、群衆に対する取締りというものが、どうも不徹底になるように考える。これは時代も違いますし、いろいろ専門的に研究された結果とは思いますけれども、もつと考える必要があるのじやないか。これは再軍備と同じで、向うが武器を持てばこつちも武器を持つ。国民と警察官の間がますます対立して来るという結果になつて、そのためにはなはだ一般大衆が迷惑をこうむることは、しばしば現実に現われておることです。この点について、装備費というのがありますから私は特に聞くのです。大衆に対する取締りをあまり神経過敏にせずに、何かもつと方法があるのじやないか。これは御承知かもしれませんが、ずつと以前の水平社運動その他社会運動において、群衆が竹やりを持つて警官と衝突し、しばしば両方にけが人があつた。最近一方がピストルを持つておる。自分も撃たれ、国民大衆にも相当危害を及ぼす。これは双方むだなことをやつておるように私は考える。その点もつと装備について専門的に研究されて、どういう措置をされたらうまく取締りができ、けが人がなくなるか、たとえばせんだつて来の騒擾事件においても、各部隊を十分配置しても、それが急速に集結ができなかつた。それば輸送の装備設備がなかつたからということも聞いておるのでありますが、そういうところをよくするとか、何らかほかの方法において取締りを考えなければならぬ。何か向うが火炎びんを持つからこつちがピストルあるいは機関銃でも持つたらいいというこそ、だんだん対立的にそういうものを装備するということになると、もう最後の衝突はいわゆる大衆の革命以外にないのですから、私どもそういうことは非常に考慮を要することだと思うのです。この機会に専門的に何か装備なり、その他取締り方面についても、もつと考慮される必要があるじやないか、かように考えるのでこの機会にお聞きしたいと思います。
  59. 田中楢一

    田中参考人 今の御趣旨は非常にけつこうであります。やはり平素ピストルを携帯しておる、ああいう場合に相当強い印象を与えますので、できればかわるべきいいものがあればと思いますけれども、なかなかこれにかわるものが発見されない。事実必要やむを得ない場合だけに使用するということでありまして、今まで大阪市内におきましても、何回となく警備の問題が出たのでありますが、その際にまだ一発も拳銃を使用してないという状況であります。今催涙ガス弾とか何か警備用のものがいろいろ研究され、一応使用されておるのでありますが、何かうまいものを考えられれば、そうしたいと思います。私たちとしてはいかに凶悪なる犯人でありましても、それをできるだけ傷つけないで逮捕するという趣旨で警備をしております。それから警察官の人数の問題に触れられましたが、なるほど予備隊相当増強して来た、予備隊が出ればああいう暴動等に対する鎮圧力は強い、それはその通りでありますけれども、しかしあれは警察と性格が違いますので、予備隊が出ればやはり負傷者あるいは死者というものも相当出るじやないか、それを心配して、できるだけ予備隊の出動をお願いしないで、警察だけでああいう警備治安に任じたいというのが私の考えであります。
  60. 橘高政雄

    橘高参考人 装備費は五大都市でまとめて七億円余になつておりますが、大阪市において求めておりますのは二億四千万円であります。大体考えておりますおもなものを申し上げますと、第一番が車両関係でありまして、車両関係は一億九百万円であります。特に一千名減員いたしましたので、部隊を急速に動員し、これを必要な方面に移動するという場合には、自動車が相当必要なのであります。現在大阪市の各警察署には、若干の自動車を持つておりますが、署員を多数動員してこれを警備に従事させる場合に、たくさんのトラックを借り上げております。急速に警備実施しなければならぬというときに、よその車両を借り上げるということでは間に合いませんので、できるだけ警視庁車両を持ちたいということで、トラックを二十台ばかり買うことを考えております。それに通信の機動性と申しますか、有線通信ばかりでなく、無線通信を大いに活用いたしたいと考えまして、パトロール・カーを現在より相当ふやしたい。そのほか検挙した者の護送車であるとか、あるいは負傷者の救急車であるとか、こういうふうなものを考えまして、車両関係で、約一億円余考えております。  第二番目に大きいのが通信機材でありまして、主として無線を活用したい。ただいま申し上げましたパトロール・カーにすえつける超短波無線と、それからほんとうに現場に使う携帯無線機、こういうものを考えまして、無線通信関係で約六千五百万円考えております。  それから第三番目に、機動隊の待機所非常に情勢が急迫した場合には多数の警察官を足どめして、待機させなければなりませんが、現在は適当な待機場所がないために、各署の道場等にとめておりますが、これでは実際に警備に従事するまでに疲れてしまいますので、適当な警備員の待機所をつくりたい、これはちようど大阪市が四方面になつておりますので、各方面に一箇所ぐらいずつ待機所をつくりたい、これが約四千二百万円、それから第四番目といたしまして、警備器材でありますが、これは主として防護器材でありまして、たとえば火炎びんに対しまして燃えない作業服を着るとか、硫酸にも負けないビニールの服を着るとか、あるいは竹やりに対しましては警棒では短かいので太刀打ちができない、もう少し長い警杖を持たせよう、あるいは硫酸等がまかれた場合には、ゴムの手袋を用いるとか、そういうふうな主として防護器材でありますが、ガスマスクとか鉄兜、こういうものを約千七百万円考えております。第五番目に鑑識器材でありますが、これは事態が起りまして、事後検挙する場合に、現在では写真が唯一の証拠になつておりますので、写真機を相当買い込みまして、写真班というものを組織いたしまして、写真をたくさんとりまして、この写真を証拠にしてあとから犯人の検挙ができるように、写真機を相当買い込むつもりでありまして、鑑識器材として八百六十万円を考えております。最後に医療器具として五十四万円、これは現場で負傷者が出た場合に、応急手当をするために衛生管理者がついて行きます。これに応急救護の薬品その他の資材を若干整備して行きたい、こういうふうに考えておりまして、二億四千万円を一応考えております。
  61. 大矢省三

    ○大矢委員 今例の定員の問題について、はつきりしたお答えがなかつたのですが、人口が半分程度に減りまして、逆に警察官が倍以上いるという必要が、私にはどうも考えられない。しかし特に最近特別な事情でふやさなければならぬ理由というものがあるかもしれませんが、そのためにいろいろな装備費に、そうした時間的に多くの人が動員できるようないろいろな設備をすれば、私は今日七千六百という人員は必要ないのではないか、一体どうして倍以上の数の警察官を必要とするのか、その理由に対して私はどうも納得ができないし、説明がないようでありますが、この点をいま一度御説明願いたい。私先ほど言つたように、ただ減すということだけが目的ではない、減して質をよくする、待遇その他についても、もつと考慮の余地があるのじやないかということを考えますために、このことを尋ねるのであります。依然としてこれだけのものがどうしても必要だというならば、それだけの理由があると思うのです。その点をあらためてひとつ伺いたい。
  62. 橘高政雄

    橘高参考人 今の大矢さんのお尋ねに簡単にお答えします。一応は市会でもそういう議論が出るのですが、終戦後ことに自治体警察ができまして、各方面とも人員が非常にふえております。戦争中あるいは戦前は今の労働法規、特に労働基準法というものがなかつたものですから、警察官は一昼夜交代で休みなしに使えたわけですけれども、今一日八時間以上使えないことになりますと、大部分人数を占めておる外勤の者は、前は年中休暇なしで二交代で行けたわけですが、一週間に一ぺんずつ休暇をやらなければならぬということで、六分の一は常に休まさなければならぬということになつておるのです。それから就業禁止制度ができます、あるいは体の弱い者は何時間以上勤めさせてはいけないとか、夜間の勤務はいけないとか、あるいは呼吸器をわずらつておる者は、就業を禁止しなければいかぬというようなことで、実際に定員はふえておるのですが、実働しておる人間はあまりふえておらないのです。これは労働法規で労働者の人権が非常に尊重せられることになりまして、勢い人員をふやさなければ従来より実働数を減さなければならぬ、こういうことになりましたので、実働数を維持するために、人員が非常にふえておるわけであります。
  63. 金光義邦

    金光委員長 残余の日程は明日にまわすことといたしまして、本日はこれで散会いたします。     午後一時二十六分散会