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1952-06-11 第13回国会 衆議院 地方行政委員会 第67号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年六月十一日(水曜日)     午前十一時四十八分開議  出席委員    委員長 金光 義邦君    理事 河原伊三郎君 理事 野村專太郎君    理事 床次 徳二君 理事 門司  亮君       大泉 寛三君    小川原政信君       川本 末治君    黒澤富次郎君       佐藤 親弘君    田渕 光一君       玉置 信一君    前尾繁三郎君       鈴木 幹雄君    立花 敏男君       大石ヨシエ君  出席政府委員         総理府事務官         (全国選挙管理         委員会事務局         長)      吉岡 惠一君         総理府事務官         (全国選挙管理         委員会事務局管         理課長)    石渡猪太郎君         地方自治政務次         官       藤野 繁雄君         総理府事務官         (地方自治庁次         長)      鈴木 俊一君         総理府事務官         (地方自治庁行         政課長)    長野 士郎君         総理府事務官         (地方自治庁財         政課長)    奧野 誠亮君         総理府事務官         (地方自治庁公         務員課長)   佐久間 彊君  委員外出席者         專  門  員 有松  昇君         專  門  員 長橋 茂男君     ――――――――――――― 六月十一日  委員生田和平君、小玉治行君及び橘直治君辞任  につき、その補欠として黒澤富次郎君、玉置信  一君及び小川原政信君が議長の指名で委員に選  任された。     ――――――――――――― 六月十日  地方議会権能縮小等反対に関する陳情書  (第二二〇〇号)  同(第二二〇一  号)  特別区制度改革に関する陳情書  (第二二〇二号)  同  (第二二〇三号)  警察法の一部改正反対に関する陳情書  (第二二〇四号)  治安並びに消防機構整備に関する陳情書  (第二二〇五号)  都道府県単位自治体消防制度の実現に関する  陳情書  (第二二〇六号)  自治消防整備強化に関する陳情書  (第二二〇七号)  主要都道府県建築部必置に関する陳情書  (第二二〇八号)  地方税財政制度改革に関する陳情書  (第二二〇九号)  上水道事業地方債増額に関する陳情書  (第二二一〇号)  医業に対する特別所得税撤廃に関する陳情書  (第二二一一  号)  挙県一致態勢確立強化等に関する陳情書  (第二二一二号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  国会議員選挙等執行経費基準に関する法  律の一部を改正する法律案内閣提出第三五  号)  地方公営企業法案内閣提出第一一五号)     ―――――――――――――
  2. 金光義邦

    金光委員長 これより会議を開きます。  国会議員選挙等執行経費基準に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出第三五号を議題といたします。床次徳二君外九名より本案に対する修正案提出せられておりますので、提案理由説明を伺います。床次徳二君。
  3. 床次徳二

    床次委員 提案者を代表いたしまして修正案を御説明申し上げたいと思います。  本案は二月十九日に委員会に付託せられたのでありまするが、その後御承知の通り公職選挙法改正につきまして審議中でありましたが、過般法案が成立いたしましたので、そり新しい公職選挙法改正に伴いまして、当然本法案に対しましても修正の必要を認めることとなりましたので修正案を提案いたしたのであります。  修正案につきましてはお手元にお配りいたしてありますのでこれによつてごらんいただきたいと思いますが、詳細の朗読はこの際省略させていただきまして、簡単にその内容だけ申し上げたいと思うのであります。  改正されましたところの第一点は、選挙公報内容が擴充されたこと。現行法では公報字数が五百字でありますが、これを千五百字まで擴張することになつたのであります。  なお第二点といたしましては、候補者氏名掲示が擴張せられまして、一投票所当り三ないし五の掲示をいたすことになつているのであります。従つてこれに伴うところの改正をしようとするのであります。  第三におきましては、個人演説会の表示のための立札が公営になつているのでありまして、この点変更を伴いまする修正行つたのであります。  第四は個人演説会の告知のためのポスター用紙公営に伴うものであります。  第五は、候補者が使用するところのポスター参議院全国選出議員選挙の場合を除いて、他はすべて廃止されることになつたことに伴うものであります。  このほか経費増加を伴うものといたしましては、立会演説会開催度数増加があるのであります。なお直接公職選挙法関係はないのでありまするが、国家公務員等旅費に関する法律の一部が改正されました関係上、右に伴いまして若干の修正を行うことが妥当とせられるに至つたのであります。  以上簡単に要旨を申し上げたのでありまするが、経費の全般について申し上げますると、従来の選挙法にありますところのポスター用紙の廃止の部分を除きまして、いずれも増額を行うことになるのでありまするが、個人演説会開催度数候補者一人当り四十回に制限しておりまする関係上、二十回分の経費が不要となります。なお無料はがきが三万枚を一万枚に減じましたためにその経費も不要になつて参つたのであります。その結果この修正案に基きますところの総選挙のために必要とする経費は、本年度の予算に盛られておりますところの経費のうちにおいて、大体まかない得ることになつているのでありまして、結局数字的に申し上げますると、衆議院議員選挙地方公共団体費用はこの修正によりまして、およそ一億三千九百八十万円の増加となるのでありまするが、他に減少がありまするために、予算総額におきましては増減がないということになつているのであります。  なおその他二点修正を行つておりまするが、第一点は、この改正法案適用の時期につきましては、昭和二十七年一月一日から適用することにいたしたく、改正案の附則を若干修正いたしております。その理由は、本年に入りまして衆議院議員並びに参議院地方選出議員補欠選挙が行われておりまするが、その経費につきましてはこの改正案適用することが、妥当と考えられているからであります。  第二点といたしましては、公職選挙法改正案は、衆議院議員選挙につきましては次の総選挙から、参議院議員その他の選挙につきましては本年九月一日から施行することとされておりますので、従いまして、本修正案はこれまでの間に行われる、また行われたところの国会議員選挙等につきまして、この改正案適用されるように所要の措置を講じようとするのであります。  以上はなはだ簡単でありまするが、修正案提案理由を御説明申し上げたのであります。何とぞ御賛成あらんことをお願いする次第であります。
  4. 金光義邦

    金光委員長 床次君の修正案につきまして質疑を許します。立花君。
  5. 立花敏男

    立花委員 従来のようにNHKだけでなしに、今度は民間放送公営でやるということになつておりますが、その費用が原案には含まつていないように思うのですが、修正案にも今の説明ではないように思うのですが、その点どうなつていますか。
  6. 吉岡惠一

    吉岡政府委員 放送費用は従来から全国選挙管理委員会で直接支拂いをいたしております。それでただいま問題になつておりますこの法律は、地方公共団体の方へ配る費用として、その内容をきめたものでありまして、これとは別になります。
  7. 立花敏男

    立花委員 では地方のやつも全国選挙管理委員会で全部拂うわけですね。
  8. 吉岡惠一

    吉岡政府委員 従来はNHKに一括して私の方から拂つております。
  9. 立花敏男

    立花委員 それから問題はこの事務費なんですが、事務費がほとんどふえていないようなんですが、これはどうなんですか。
  10. 吉岡惠一

    吉岡政府委員 この修正案には事務費の増は見てないようでありまして、ただ旅費の増だけが見てあるようでありますが、おそらくこれは従来の経費の中で、多少事務増加いたしましても節約してやるということだと考えます。
  11. 立花敏男

    立花委員 事務費の問題は、やはり直接選挙事務に携わります者の給與の問題と関連いたして参りますので、物価が上つておりますし、一般の給與も上つておりますし、事務費が従来のままでは節約のしようがないのではないか。結局こういう従来のままの事務費選挙を行えということは、選挙に従事いたします地方公務員勤務條件の切り下げになるほかはないと思うのですが、この点一体どうお考えになりますか。
  12. 吉岡惠一

    吉岡政府委員 御質問の趣旨をちよつと誤解して申し上げたのですが、おそらく修正案内容かと伺つたのですが、最初改正案では事務費が約一億五千万円増加しております。つまり公職選挙法の今度の改正案によつては、特にふやさないというのでありますが、前々物価の高騰による事務費の増は見ているわけであります。
  13. 立花敏男

    立花委員 それはおもに旅費とか、そういうものじやないのですか。
  14. 吉岡惠一

    吉岡政府委員 おそらくお手元に行つている数字は、ただいま床次委員のお述べになりました修正案による費用の異動でありまして、最初政府提出をいたしました法律改正案による費用は、また別の表がありますが、これによりますと約一億五千万円増加することになります。     〔委員長退席河原委員長代理着席
  15. 立花敏男

    立花委員 それから国から地方への支出の費用が大分緊縮されておりますので、地方が実際入用な費用とは大分違いができるわけですが、その点従来も実際の問題として問題になつた場合がありますので、その点はやはり改正案では明確にしておく必要があるのではないか。一昨年でありましたが二億七千万円ばかりの金が問題になりまして、地方は使つてしまつたの政府から出ないという問題があつたことをおそらく御存じだろうと思います。これをおきめになるのは中央で一方的におきめになるのであつて地方意見はほとんど反映していないと思う。だから中央で一方的におきめになるものなら、おきめになつたあとで、後日に地方意見を入れるだけの余裕は当然残しておくのが、公正なやり方じやないかと思うのですが、その点はどういうふうに扱つておられますか。
  16. 吉岡惠一

    吉岡政府委員 この改正法律案を出すにあたりましては、いろいろな機会にその計算内容等より地方へ示しまして、地方意見も聞いております。従つてこの前の衆議院選挙のときのように、地方中央との意思が食い違うということはないと思います。また、もしやむを得ない事情によりまして足りない費用が出ました場合には、調整費でまかなうことができるのであります。
  17. 立花敏男

    立花委員 調整費は二千万円ばかりしかないようですね。そういたしますと、一昨年においてもすでに二億幾らの食い違いが出て弱りましたので、わずか二千万円の調整費ではまかなえないのではないかと思います点と、意見を聞いておりましても、なおそういう事態が起ることは当然予想されると思います。改正前の現行法によりましても、おそらく地方意見も聞いておられたと思うのですが、しかもなおそういう問題が起つておる。今度お聞きになつたと言われておりますが、おそらくこれは地方が十分なる納得のもとの数字ではないと思うのです。当然そういうことを予想されての上の、その場合の取扱いの規定をはつきりしておく必要があるのではないか。調整費があるからいいとおつしやいますが、二千万円では足りないと思います。また調整費はほかの場合にも使用しなければいけない金だと思いますので、特にそういう地方の実際使いました費用との食い違いをはつきりまとめるところの條項が必要ではないかと思うのですが、その点どうですか。
  18. 吉岡惠一

    吉岡政府委員 この前の衆議院選挙のとき費用が問題になりましたのは、中央におきましても、選挙費用を具体的にこまかく十分検討をしていなかつた。やや言葉が過ぎるかもわかりませんが、多少つかみでやつてつたというような傾向もあつた。それを詳細にどういう方面へどれくらいいるということを、非常にこまかに計算をしまして、それを地方へ話して、地方においても大体納得をした数字を基礎としておりますので、この前のような大きな食い違いはないと思いますし、調整費もこの程度費用であれば大体まかない得るという見通しを持つております。
  19. 立花敏男

    立花委員 それからこの費用全体の問題なんですが、とにかくこういうふうに国が地方へ出します公営費用が、今までよりあまりふえていないわけです。ところが今度の選挙法改正によりまし、個人の出します選挙費用は二倍になつておるのですが、実際そうなんですか。
  20. 吉岡惠一

    吉岡政府委員 個人が出します供託金でありますとか、公営のための分担金は一応ふえたかつこうにはなつております。ただこれは供託金でありますので、ある程度の票をとれば返つて来ると見ております。そう特に表で見えるように実際の負担はふえておるものでないと考えます。それから公職選挙法改正による公営費用がふえていないというお話でありますが、これは大体こういう内容公職選挙法をおかえになつたのでありまして、われわれはそれに従つて計算をしたわけであります。
  21. 立花敏男

    立花委員 供託金のことを言つておりませんのでで、供託金は三倍、個人法定選挙費用物価等の値上りを見越して二倍になつておる。ところが国の公営費用がふえていない。今度の選挙法改正は、個人負担を軽減して公営を強化するのだという建前であつたと思う。ところがふたをあけてみますと、個人公営費用は二倍になつているにかかわらず、国の公営費用はふえていない。一体この矛盾はどこから出て来たのか、あなたの答弁によると、国会がああいうものをつくつたのだから、国会責任だというように聞えましたが、責任の問題は別といたしまして、なぜそういうことになつたかとお考えになつておるか。私どもは国の公営費用がふえて、個人選挙費用が減る、そうなければならないと思つておりましたし、そういう方向で選挙法改正国会で取上げられるであろうと思つてつたのですが、結果は逆に個人法定選挙費用が二倍になり、国の出します費用がふえていない。これではまつたく逆だと思うのですが、何でそういう事態が生れたとお考えになつておりますか。
  22. 吉岡惠一

    吉岡政府委員 個人法定費用制限額が二倍になつたのですが、あれは従来の費用のきめ方に、多少実情に即さなかつた点があつたの実情に合せられた。われわれの方で計算をいたしましたのより低くきめられておりますので、まあ運動やり方によつてきまるわけですが、多少高いところできめた方が、かえつて実際の制限を守れるのではないか、そういう事柄でおそらくおきめになつたのではないかと思つております。
  23. 立花敏男

    立花委員 個人選挙費用の今までのきめ方が低かつたという点もあるのでしようが、一般的にはやはり物価上つたから上げたのだ。そうでありましたならば、公営の方も少くともそれに相応して上つて行かなければならないと思う。それに相応して上つていないとすれば、結局相対的には減少したことになる。しかもその結果といたしまして、公営自体が非常に形式的な公営になるおそれがある。また実際上も公営がかえつて縮減された点のあることはいなめない。たとえば公営はがきが三万枚から三分の一の一万枚に減つたということもはつきりしたその現われですし、候補者氏名掲示等にいたしましても、一箇所の掲示場を五百円でやると言われますが、板割二、三枚買うにも五百円はいりますので、まつたくみすぼらしい、風が吹けば役に立たないような氏名掲示場しかできないのではないか。しかもポスターは全廃されておる。その全廃されたポスターにかわるべき候補者氏名掲示場が、一箇所五百円ということになつて参りますと、これはほんとうに名目だけのみすぼらしい公営になるのではないかと思うのですが、こういう費用をなぜもう少しふやさなかつたか、私は五百円で一箇所の掲示場ができるとは思わない。何十名かの候補者ポスターにかわつて、強く住民にアッピールするような掲示ができるはずはないと思いますが、こういう点を、こういうふうに単に言い訳的なものにするという節約をなさつたから、結局国の公営費がちつともふえていない。逆に個人費用が二倍になつているのだということになると思うのですが、もう少しこの金をふやされる意思はないのかどうか。これは地方自治体にとりますと、こんなものをつくりやがつてといつて、必ず文句が出ると私は思う、そうすると地方はそれをどうしても文句が出ないように、国から出ましたわずかのものに、地方で多くのものを加えて公営をやらなければいけなくなることは必然だと思いますが、そうなつて参りますと、やはり実質的に地方負担を負わせることになると思います。こういう点をどうお考えになつておるか、ひとつ承りたいと思います。
  24. 吉岡惠一

    吉岡政府委員 個人選挙運動費用との関係で、物価が上つているにかかわらず、公営費用がふえていないというお話でありますが、これは今度の公職選挙法改正に伴う変更ではふえないことになりますが、もともと政府から提出いたしました元の改正案では、選挙執行経費全体として、大まかな数字で約十五億くらいにふえております。そこで物価騰貴その他の変化というもりは見ておるわけであります。それで大体まりかなえると考えます。また立看板あるいは氏名掲示等費用も、ほんとうに潤沢な費用ではないと思いますが、この程度費用であれば、相当の氏名掲示等はできると考えております。全体の額を特にふやすという必要はないと考えております。
  25. 立花敏男

    立花委員 やはり五百円ではまともな掲示板はできないと思うのです。  それからさらにこの問題と同じ選挙公報の問題ですが、公報も今度は三倍になりますので、あるいは写真を載せるという意見もありましたが、公報が三倍になれば、公報費用は当然三倍の費用はいると私は思うのです。ところがこれはわずか五割くらいしかふえていないので、こういうことでまともな選挙公報が出せるのかどうか、これは疑問なきを得ないわけであります。内容は三倍になりましたのに、費用は五割しかふえていない。これでは選挙公報がすぐ破れたり、あるいは印刷が見えにくかつたり、そういうような事態が当然私は起ると思う、この点をどうお考えになつておるか。
  26. 吉岡惠一

    吉岡政府委員 選挙公報につきましては、今度の改正によつて大体字数が三倍になるほか、活字も従来二号活字考えておつたのを、四号活字にかえる、こういうことを考えてるのでありますが、計算をいたしますと、やはりそう三倍には出て来ない、やはり五割増しくらいであります。
  27. 河原伊三郎

    河原委員長代理 修正案に対する質疑はございませんか。——質疑がないようでありますから、質疑はこれにて終局いたしました。     —————————————
  28. 河原伊三郎

    河原委員長代理 次に地方公営企業法案議題として質疑を行います。質疑を許します。
  29. 門司亮

    門司委員 ちよつと聞いておきたいと思いますが、第二條に列記されておるものの中に、二項の方で「地方公共団体は、政令で定める基準に従い、條例で定めるところにより、地方公共団体の経営する地方公営企業以外の企業に、この法律規定の全部又は一部を適用することができる。」こう書いてございますが、この「以外の企業」というのは一体何をさしておるのか、一応御説明つておきたいと思います。
  30. 長野士郎

    長野政府委員 「地方公営企業以外の企業」と申しますのは、地方公営企業といたしましては、第二條の第一項におきまして掲げました企業を、この法律では地方公営企業というふうに呼びましたものですから、たとえば水道事業におきましても、自動車事業におきましても、この規模以下のものでありましたならば、この法律から申しますれば、企業ではありますが、この法律の言う地方公営企業ではない、こういうことになるわけであります。それからまた企業としての経営形態をとりますもので、この第一項に掲げますもの以外の事業、たとえて申しますと、病院でありますとか、あるいは競輪とか競馬というものでありましても、そういうものもこの法律による地方公営企業ではありませんが、それ以外の企業というふうには考えられると思います。
  31. 門司亮

    門司委員 今の御答弁ですが、そうするとこの第二條というのは実におかしなものであつて、要するに地方公営企業というものを規模でわけて行く、こういう行き方だろうと思う。地方公営企業自体というものを第二條では認めない。認めないというのは、今の御説明で一応最後には認めたことになつておりますが、本文自身は認めないで、そうして公営企業規模がこれくらいの規模のものが公営企業とするというふうに規模で認めておるということは、これは法律建前としては少しおかしいじやないかと思う。やはり認める以上は最初から露骨にいえば独立採算制なら独立採算制でやつているという事業一つ公営企業体として、この法律適用するというふうに書いた方がわかりよいと思う。公営企業ではあるけれども、大きさによつてこれを区別するということになると、私は少し法律建前としてはおかしいように思いますが、そういうことになりませんか。今の御説明で行きますと、病院やその他が入りますと、これらもやはり一つ公営企業ではあるが、独立採算制にはなつておらない。同時に私はそういうことを聞きますのは、この法律が通りましても、これから出て来ます公営企業労働関係法というのがありますので、それの適用が大体この範囲適用を受けるということになつて来ますと、影響するところは非常に大きいのであります。従つて独立採算制になつていれば、規模自身はどんなに小さくても、そこに働いている従業員は、やはり同じように取扱う方が、法律建前上私はよいと思いますが、そういうふうになりませんか。
  32. 長野士郎

    長野政府委員 公営企業につきまして、少くとも地方公共団体が経営しております企業は、すべてそれは地方公営企業ではないか、またそう観念すべきではないかという御意見でありますが、確かに地方公共団体が経営しております企業は、もちろんそれを地方公営企業というふうに考えるのが、言葉の正確な意味であろうと思います。ただこの地方公営企業法を全面的に適用せしめ、これによつて運営をせしめる事業というものを、一応この法律におきましては、第二條によりまして限定をいたしておるのであります。と申しますのは、同種の企業でありましても、あまり規模の小さいものにつきましては、地方団体がこのような企業形態を打立てましたり、管理者を置きましたりして行うことが実際問題としては相当技術的な能力を必要といたしますので、なかなか困難が多いという実情であります。従いまして、望しいけれども、それをこの法律で、全部に適用せしめるような態勢がとれなかつたということになるわけであります。ただ先ほどお話にございました労働関係につきましては、たしか労働関係法におきましては、この種類水道、軌道、自動車地方鉄道、電気、ガスというふうに限定しておると思いますが、規模におきましては必ずしも限定をしておりませんので、労働関係におきます関係は、この種の事業でありますならば、すべてそのような労働関係適用になるというかつこうになつておると思います。これはそれぞれの法律の目的といたしますところが、どの範囲適用させることが適当であるかどうかということによつて、あるいは事業種類によりまして多少その範囲が異なつて来る。これは技術的にはある程度やむを得ないのではないか、こういうように考えております。
  33. 門司亮

    門司委員 そういうことは考えられますので、さつきのこの法案の方では、やはり形の上から行けば当然それでなければならない。従つてこの法律とあわせてこういうふうに限定しないで、これこれこういう事業に対してはこれを公営企業にする。しかし公営企業範囲は、独立採算制なら独立採算制によつてつているものとして、これを適用するということにしておけば、何も三十人とか五十人とかこういうややこしいことを書かないで済むと思う。  それからもう一つ聞いておきたいと思いますのは、そうなつて参りますと、二項でこういうゆとりを持つておりますから私はこれでもよいと思いますが、現実の問題をしてたとえば一つの部局といいますか、あるいは一つの課の中で軌道事業もやつておれば、あるいは自動車の運送業もやつておるというようなものが、最近ではたくさんあるのでありますが、これをおのおのにわけてしまうと、片方では百人もおらない。二つを一緒にすれば百人とか百二、三十人はおる。こういうのが私は中都市には最近たくさんあると思う。これらの取扱いにつきましては、私はやはりさつき申し上げましたように、そういう企業を大体公営企業ということにしておけば、実際はややこしい手続をしないで含まれると思います。第二條の二項に多少ゆとりを持つているからよいとはいいましても、実際の問題としては現在はあわせて一つ独立採算制をとつておる。しかしこの法律適用すると二つにわけなければならない。この規模でわけたということは実際の実情に沿わないのじやないかと思います。やはり先ほど申しましたように、一つ一つの局部でやつておるのでは適用を受けない、しかし全体とすれば当然適用を受ける。同時にそれが独立採算制をやつているというようなものにつきましてはどういう取扱いをするか。
  34. 長野士郎

    長野政府委員 お話の通りに軌道事業なり鉄道事業なりが、それぞれこの第二條の第一項に掲げます規模には達しておりませんが、両方合せますとかなりの程度に達しておるというようなものについては、むしろこの法律適用になる方がいいのではないかという御意見だと思いますが、ただこれらの企業につきましては、現在それぞれ適用の法規を異にしておりますし、事業本来の企業の経営の技術的な合理性という点を強調する点から行きますと、やはり本来の建前としては軌道事業自動車運送事業というものは経営の内容も異にしておりますし、運営の原則も異にしておりますので、それぞれ別個に経営をいたすべきものであるというのが原則であろうと思います。従いまして原則を立てるためには、やはりこれらの事業につきまして、一定の規模を持つたものが公営企業適用を受けるのだという形にしておるわけであります。しかしながら第二項によりましてお話のような場合には、それらのものにもこの法律の全部または一部の適用をさせることができるのでありまして、これはめんどうの手続というわけではございませんので、地方団体がそういうことをきめさえすればそれで済むわけでございますし、また同時にこの管理者につきましても、第七條の規定によりまして、それらの企業を通じて企業管理者を置くことができるし、また特別会計につきましても、財務につきましても、やはり通じてそういう方法をとることもできる。従いまして実質上一つ企業としてお話のような場合にも経営することができるのでありまして、本来はおのおのの企業としては別個に経営して、その能率を高めるべきでありますけれども、実情がそれに合いません場合には、一つにして経営することも考えておるわけでありますから、実際問題としては支障はないというふうに考えております。
  35. 門司亮

    門司委員 今実際問題としての支障はないというお考えでこしらえたということでありますが、これはいかにも役人の机上のプランです。もう少し親切味があれば、そういうりくつはこねない。おのおのの経営は別個にやるべきが望ましいなんてよけいなことです。おのおのの実態は、おのおのの性格と規模を持つておる。従いまして電車とガス事業は、しかも経理は同じようなことでやつておる。一つの運輸課とか、あるいは交通課とか、あるいは交通局というようなことで、同じようなことをやつておる。これを法律をこしらえて、二つにさかなければならぬというようなもの考え方はどうかと思う。法律はやはり親切でなければならぬ。しやくし定規でこういう事業は別別にしなければならぬというようなことは、大きな間違いだと思う。実際親切にこしらえてやろうとするならば、現実に行われているものが、この法律適用が受けられてスムーズに行くような親切味がなければならぬと思う。私はこういう行政の問題はりくつじやないと思う。経営自体に対して、この法律が入つてつて、二つにわけることが望ましいというようなことは行き過ぎだと思う。やはり事業の実体を把握して、そうして一つの会計で一つの課の中で、なるほど自動車事業というものもありましようし、あるいは電車事業もありましよう。課長は二人いるかもしれません。しかしその上にちやんと一人の部長なら部長がおつて、そうしてそれが自動車と電車の方とおのおの課は二つにわかれておるのであるが、実際の運営管理というものは一つの部でやつている、あるいは局でやつておるというようなものについては、両方とも一緒にやれるような親切な仕組にしておかないと、私はいろいろ問題を起して来ると思う。中都市には最近こういうものがたくさんある。大都市ではわけても大してさしつかえないこれはおのおのやれると思うが、中都市では特にこの問題がひつかかつて来ると思う。そういうことを考えて来ますと、今の御答弁ちよつと行き過ぎであつて、何も政府地方自治体の経営の形の中まで入つてつて、ことさらに事業をわけるということについては、私どもはこれに賛成しがたいのであります。どうしても、私どもの方としては、さつき申し上げましたように、これを一つにしてやりよいようにしたいと考えております。  もう一つ聞いておきたいと思いますことは、水道事業の五十人ということが書いてありますが、この水道事業というものはいろいろな形がありまして、たとえば最近の状態を見て参りますと、簡易水道その他に対しては町村組合でやつているものがあります。町村組合はあるいは市とか町とか組合でやつているものもある、そういうものについては、この水道の五十人というのは一体組合が単位で認められるのかどうか、一つ自治体でなければ認められないのか、その点をひとつお話を願つておきたいと思います。
  36. 長野士郎

    長野政府委員 先ほどのお話でございますが、これは説明が足りなかつたかもしれないと思いまして、繰返して申し上げますが、この法案によりまして、各企業は各別に経営さるべきものであるから、各別に経営するように考えたというわけでは決してございませんのでありまして、実は軌道法なり、道路運送法なりによりまして、それぞれ別個の経営として現在規制をしておるわけです。従いまして軌道の運賃をどうするとか、企業の会計を検査するとか、自動車の運賃をどうする、バス料金をどうするという場合には、それぞれ監督官庁は別個の企業としてこれを取上げ、別個の会計としてこれを規制をして行くという建前をとつておるのでありまして、ただ地方公営企業法は、そういう建前になつております現在の企業の経営に対しまして、それをあくまでも一本にするということは、実際問題としてできませんので、こういう形にしたわけであります。しかしながら地方団体の経営の多様性に即応いたしますために、一つで経営をし、一つの経理もある程度行えるという意味での、むしろそういう単一なる経営が実情に即する場合には即せしめようという意味でこの第二項なり、いろいろな例外を置きまして、各事業法規が各別に経営させることをあくまでも建前としておりますものを、地方公営企業法によりましては地方団体実情によりよく即応いたしますために、ちようどお話のような御意向に即応いたしますために、一つの経営になり得るような建前を実はとつておるのであります。従つてむしろ現在の各事業法規におきますところの原則が実は問題でありますが、企業法規の建前からいいますれば、当然に各事業についての運営なり料金決定なりというものは、各事業ごとに考えなければならないという建前で、そうなつておるものと考えるわけであります。  それからその次の水道事業につきまして、水道の組合についてこの規定適用があるかというお話でございますが、これはもちろん一部事務組合は地方公共団体でありますから、当然それの一つとして適用があるわけでございます。
  37. 門司亮

    門司委員 水道の問題をもう少し聞きたいと思うのですが、その前にさつきのお話でありますが、私はどう考えても、当局はいかにもしやくし定規的である。私どもはよく知つております。おのおのこうわけてあるものは、おのおの法律に基いておのおの許可、認可を受けなければならないことは、私も横浜に長くおつて、これに携わつておりましたので、よく知つております。しかしそれはあくまでも所管の官庁が違うというだけであつて一つ公営企業として行つておりまする自治体事業としては、そういうものは手続の問題だけでございまして、私は大した問題はないと思う。たとえば横浜におきましても、御存じのように一つの交通局という局長の名のもとに電車もやつておればバスもやつておる。これは何も企業を横浜市は二つにわけておりません。自治体一つの所管というものは、ちやんと交通局という一つの局で、一つの局長が両方兼ねてやつておる。内容はなるほど電車の場合は軌道法を適用いたしますし、バスの方はバスの法律適用しなければならぬことはわかり切つておる。わかり切つておるが、事業の形態というものは、一つの局でやつている以上は、私どもはそうしやくし定規に、この法律で別々に書いてあるから別々になつていなければならないということはないと思う。少くとも地方の実体に適応する法律といたしましては、地方の実体に即応した考え方をしなければならないと思う。従つてそれから考えて参りますると、これらの規模を持つものだけが公営企業であるというものの考え方に私は間違いがあると思う。公営企業というものはすべての公営企業でなければならないと思う。もう少しわくを擴げるならば、住宅の仕事をやつておるのも明らかに一つ公営企業である。しかしその公営企業というものは独立採算でなくて、これは一般経済と関係を持つて、しかも財政的には一般経済から補助を受けておるものがたくさんある。さらに住宅関係でも、分讓住宅におきましては、これは一つ独立採算制になつております。ただそれを取扱う職員が一般経済から給與を支給されておれば、それの運営自体は一般経済に即するかもしれない。しかし三十年なら三十年、二十年なら二十年の償還計画を立ててやつております以上は、一つ独立採算制事業であるということが言えるのである。しかしそれまでもこの中に含んで来るということになると、非常にたくさんになる。従つてこの場合にこの法律適用を受けるものは、独立採算制なら独立採算制をとつておるものであるということなら、話はわかりますけれども、これを公営企業とみなさないというような、そうしてその他の公営企業というようなことで、いかにも公営企業でないよな印象を與えることは、法律の行き過ぎだと思う。われわれは今の御答弁だけでは了承できません。いかにも官僚的で、何でもかんでも役所でものをきめて押しつける。公営企業でないというなら言つてごらんなさい。明らかに公営企業である。これこれは公営企業というのだが、これこれの規模のものに法律適用するというのなら話はわかるのであります。規模を先に書いておいてそれ以外の公営企業というものは現実の公営企業でないということになると、公営企業はどこにもありません。こういうものの考え方が実際上の官僚的の、何でもかんでも役人がこしらえさえすれば下の者に押しつけるのだというものの考え方はどうかと思うのです。法律のつくり方自身がどうかと思う。私ははつきり聞いておきますが、公営企業は一体何が公営企業であるか。役所で行つております仕事を公営企業でないということが言えるかどうかというと、私は大体全部公営企業と言えると思う。この法律適用を受けようとするのは、公営企業の中の独立採算制をとれるものでなければならないということは——ここにも地方公営企業労働関係法ともう法律が出て来ておる。これらのものを適用するということになつて参りますと、地公務員のわくの中からこれをはずさなければならない。わくの中からはずして、そうしてこれの管理者あるいは労働協約というようなものが一般公務員と違うのであつて従つてこういう法律をこしらえてこれらの諸君に対しては特別の取扱いをしようということだけである。何も公営企業というものを規模でわける必要は毛頭ないと思う。もし政府意見がさつきのような御意見で、公営企業というものは規模によつてわけるということになると、政府は非常に大きな認識不足だと思う。私どもはそういう天くだり的の、政府自身が考えたことは何でもいいから下に押しつけるという物の考え方はやめてもらいたい、だからもし説明ができるなら一体公営企業というものはどういうものが公営企業であるかということを、ここでははつきり御答弁を願つておきたい。
  38. 長野士郎

    長野政府委員 公営企業につきましては、お話の通り地方公共団体が経営をする企業をいわめる公営企業といつてさしつかえないと思うのであります。法律におきまして、地方公共団体の経営する企業ということは、お話の通り非常に範囲も広く、また規模の小さいものももちろんこれに含まれるわけでありますが、この法律によりましてこの法律の特別なる取扱いを受けせしめるに適当であると思われる企業を、法律では特に地方公営企業という言葉を使つたわけでありましてそういう使い方が適当かどうかという意味で、むしろ地方公共団体の経営する企業をすべて地方公営企業といい、その中でこの法律適用を受けるものを限定するなら限定するという方法もあるのじやないかというような御意見伺つたのでありますが、もちろんそういう方法もとれるというふうに考えますが、この法律全部が適用されることを原則とするものを、一応この法律では便宜上地方公営企業という言葉を使つたのでありまして、それ以外がいわゆる地方公営企業ではないということを申しておるわけでは決してございませんので、この法律で言つておりますこの法律適用のある企業を、この法律では便宜地方公営企業という言葉で呼んだにすぎないというふうに、御了解願いたいと思うのであります。
  39. 門司亮

    門司委員 それからもう一つ聞いておきたいと思いますが、人間で区切られたというのは一体どういうわけか、これに何かはつきりした根拠がありますか。
  40. 長野士郎

    長野政府委員 お話の通り企業規模につきまして、この法律をこれらのあらゆる業種に適用するということが、本来望ましいところであると思いますが、ただあまりにも小さな地方公共団体におきまして、企業会計をとり、それぞれ特殊な制度のもとに運転をさせて行くということが、はたして可能かどうかという点に、実は問題があるわけでありまして、この規模をどの範囲に押えるかというのも確かに問題であると思います。また企業の能力を表わしたも、その規模を表わしたりすることに、常時雇用される人数で行うのが適当であるか、あるいは水道などでありまするならば、給水能力でありまするとか、軌道で申しますれば軌道の総延長でありますとか、そういう能力を、規模を表わす正確なものとして用いることができますならば適当であると思うのでありますが、いろいろ勘案をいたしまして、結局すべての事業に通じて一応妥当だと思われる規模を表わすのには、やはり職員の数を持つて行くのが一番端的であるという結論に達しまして、このようにいたしたわけであります。
  41. 門司亮

    門司委員 もう一つ水通のことで聞いておきたいと思いますが、水道事業法によりますると、大体上水道だけを水道事業法では一応規定いたしておるわけでありまして、下水道はこれに含まれておらないのでありますが、実際の問題といたしましては、そうたくさんな例はないと思いまするが、下水道と上水道とが同じような一つ水道局というような形で行われておりますものに、確かに私は岐阜市がそういう形でやつておると思う。それから京都あるいは名古屋は、下水に対しましては下水処理場の関係から、この一部分だけが、上水道と同じように上水道の料金の中でこれをとつてつております。東京もややそれに近いし、横浜は大体上水道の料金の中に下水道料金というものが含まれて、これを徴収いたしておるのであります。なおその経理の状態は、下水道料金もむろん水道局において一応徴収はするが、それを一般会計に入れておるというようなことでまわしておる。これは便宜上、下水道の料金をとつておるということだけになつておると思います。そういうことで今日の下水道の仕事というものは、だんだん独立採算制的の行き方なつておるのであります。いわゆる水洗便所がだんだんふえて参りまして、そうして単に保健衛生の立場から、一般下水の下水道だけをこしらえるということだけでなくて、企業形態がだんだん出て来ております。従つてこの法律をこしらえまする場合におきましては、やはり私はこれに下水道というようなものを——さつき申し上げましたように岐阜市のようなところは、きわめてあいまいであります。あいまいであるが、しかし料金その他は確立された一つ水道局というような名前の中にやられておる。あるいは名古屋、横浜、京都もややそれに近いのでありますが、東京都でもそのようなことが行われておる。従つて私は法律をこしらえまする場合におきましては、やはり水道事業法による水道だけではなくて、ここには下水道というものが当然考えられてしかるべきだと思うのでありまして、この点について、むろん水道の中には下水道は含まれていないと私は思いますが、そういう事態に対する当局のお考えがありまするならば、ひとつこの際御答弁つておきたいと思います。
  42. 長野士郎

    長野政府委員 下水道につきましては、ただいまお話の通りの状況でございまして、現在下水道の経理は一般会計によつて充填をしなければ、企業としての独立採算制が十分とれるような域には、なお達していないと考えられるのであります。従いましてそういうものをどのように取扱うか。現在実際に取扱つておりますのは、お話の通り水道局なりなんなりで、上水道と一緒に取扱つておるというような例も相当あるわけでありまして、この取扱いをどうするかということは、いろいろ検討いたしたのでありますが、現在の段階では、なおこの下水道事業というものを独立採算の地方公営企業として考えられることは、やや無理があるというので、この中には入れていないのであります。
  43. 門司亮

    門司委員 私がさつきから言つておりまする公営企業というものを、こういう形で限定することがどうかと思いまするのは、やはりそういうものが出て来るのであります。今は現実にはつきりしたものがないといたしましても、将来これから出て来るであろうということは、だれでも考えられることであつて従つて法律をこしらえまする場合に、こういうふうに限定してしまつて、これ以外のものは公営企業でないのだ、しかしそのほかにも公営企業があるからというようなこの法律の書き方は実際どうかと思う。公営企業なら公営企業であつて、この法律適用を受けるものは、とりあえずこれだけだということなら、話はよくわかります。そういう下水道みたいなものがやはり必然的に出て来ると思う  その次に聞いておきたいと思いますことは、人員の問題であります。先ほど人員の問題についての御答弁がございましたが、水道事業あるいは軌道あるいは電車という公営企業でありましても、これは一つ企業の形態の目安をきめたのであつて、絶対的なものではないと私は思います。それから同時にわれわれが考えますと、軌道であるとか自動車であるとかいうような仕事については、必ずしも百人あるいは百人でなくてもいいのではないか、もとこれの適用を受けるとするならば、やはりこういうふうにはつきりきめてしまうとするなら、なるべく人員の低い方において、そうして広範囲にこれの適用のできるようにしておく方がいいのではないか、この法律から行きますと、少くともバス事業あるいは軌道事業を行つておるものは、百人の従業員を持たなければぐあいが悪いように書いてありますが、この人間はやはり下げた方がいいのではないか、そうして現実に小さい都市でやつているものは、これにスムーズに含まれるように、二項を適用してということでなくて、当然これも含まれるということになつて行くと、この人数を少し減らした方がいいように考えるが、この点に対する当局の御意見を伺いたい。
  44. 長野士郎

    長野政府委員 この法律の全部が原則として適用になります企業、たとえば軌道事業についてなぜ百人をとつたか。それからまた百人というのが妥当かどうか、これは絶対的なものじやないじやないかというお話だと思いますが、確にかお話の通り百人でなければならないという絶対的な基準はないわけであります。ただ現在地方団体の行つております事業につきまして、すべて資料を通じて検討いたして、それぞれの方面の意見を伺いましたところ、この法の適用を受けますのが適当でございまして、非常に小さな人口のところでも適用を受けるのは、いかがであろうかと考えたのであります。大体この程度企業ということにいたしましたのは、従業者数におきまして、すべての企業に従事している従業員が現在六万ちよつとございますが、このすべての事業の中で大体五万五千くらいのものが適用を受けるようになります。また企業経営につきまして相当程度の技術的な処理を相当要求いたしますため相当な機構、規模の要求をいたすことになりますので、大体人口として六、七万程度の都市で初めてよくこなし得るのではないかというような考え方もありまして、いろいろ勘案いたしました結果、このような基準を置いたわけであります。しかしながら第二項におきまして、これ以下のものにつきましても、これらの企業の法規の適用を可能にいたしておりますので、実情に即して適用されて行くものと、このように考えておるわけであります。
  45. 門司亮

    門司委員 人員の問題については、本来なら全部人員を制限しないで地方にまかせる方が、私はいいと思いますが、これで人員が制限してあれば、その人員をなるべく減らす、そうして広く適用を受けるようにした方が、法の精神に沿うものと考えております。  その次に聞いておきますことは九條の関係でありますが、九條に「(管理者の担任する事務)」と書いてあります。管理者の担任する事務の中に契約を結ぶことができる、こう書いてあります。一体この契約というのは何をさしているのか、この点を御説明つておきたいと思います。
  46. 長野士郎

    長野政府委員 契約と申しますのは、企業の業務の執行のために必要でありますところの請負契約でありますとか、物品の購入の契約でありますとか、労務の供給の契約でありますとか、そういう日常の業務の執行に必要な契約のことをさしておるわけであります。
  47. 門司亮

    門司委員 そうすると、これは事業を執行する上において必要な外部との契約だというふうに解釈すればよろしゆうございますか。
  48. 長野士郎

    長野政府委員 大体そういうふうにおえ考願つてけつこうだと思います。
  49. 門司亮

    門司委員 そうなつて参りますと「地方公営企業の業務の執行に関し、」とありますが、この業務の執行というのは非常に大きな範囲を持つておるのでありまして、現在地方公営企業労働関係法の中に定めておりまする労働団体に対しましての労働行政というものは、業務の執行の上に一番大きな問題になつて来ることに相なるのであります。従つてこの九條の中に、管理者は労働協約を結ぶことができるという項目を入れておかなければならぬ。地方公営企業の業務の執行に関して左に掲げるものを担任するという管理者の仕事の中に、当然労働協約というものが入らなければならぬと考えておりまするが、これに労働協約を入れていない理由をお聞かせ願いたいと思います。
  50. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 お答えいたします。第九條で「契約を結ぶこと。」と書いてございますのは、広く読みますると、労働協約も契約の意味であるというふうに解釈できるかと思いますが、ここで契約として考えておりますのは、財産上の普通の契約というふうに考えておるわけであります。従いまして、御指摘のように、そうなると労働協約に関することがないではないか、そこはどうなんだ、こういうお尋ねかと思いますが、労働協約にきましては、その協約の内容となります事項によりまして、長の権限に属する事柄につきましては、長が相手となり、また管理者だけで処理できます事項につきましては、管理者が相手方になるというふうに考えておるわけであります。そういたしますと、特に九條に労働協約ということを入れておきませんでも、それぞれの権限の内容によりまして、権限を持つている者が相手方になる、こういうふうに考えて参りたいと存じております。
  51. 門司亮

    門司委員 今の御答弁では非常にあいまいな答弁でありますが、それぞれの権限を持つているというのは、だれが権限を持つているのですか。しかもこの法律を読んでみますと、十二條には、管理者の職にある者は三年間これを罷免することができないことになつておる。少くとも管理者は三年間身分が保障されております。その管理者が一体労働協約ができないで、労働協約の事項はそのおのおのの権限を持つている者というようなことで、一体満足な仕事ができるかどうか。この法律の十二條管理者の身分の保障をいたしておりますることは、この事業がきわめてスムースに計画的に行われることのために、これをそうしたのだということは、十二條にはつきりしておるのである。そうなつて参りますと、事業の経営に最も重大なものは労働管理でなければならぬことはわかりきつておる。従つて管理者は当然労働協約を結んで、そうして自分の思うような運営管理をやるということが、私はこの法の十二條から来る解釈といたしまして正しいと思う。ところが九條の中にはそういうことが書かれておりませんので、私どもといたしましては、この法律をどうしても生かそうとすれば、やはり九條の中に、管理者が自分の考えるような労働行政を行うために労働協約を結ぶことができるようにしておきませんと、十分な運営管理はできないと考えております。今のお話の一体労働協約はどこで結ぶようにするのか、自治体の長との間にこれを結ぶようにするのか、その点御説明を願つておきたい。
  52. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 それぞれの権限というのは、抽象的に申し上げたのでおわりにくかつたと思いますが、たとえば第八條をごらんいただきますと、ここに書いてありますようなものにつきましては、長が権限を持つているわけでありまして、従いましてこの労働協約の内容が、予算を更正しなければならないようなものでありますとか、あるいはそれが條例等に抵触するものでありまして、議会の議決を経なければならないようなものにつきましては、これは長を相手方にして労働協約を締結する、そうして長が地方公営企業労働関係法規定によりまして、その場合にそれぞれ適当な処置をとるということにいたすのが、この法の解釈として正しいのではないか、またそういうふうにするのがよいではないかというふうに考えているのでございます。
  53. 門司亮

    門司委員 この法律の第八條には、御存じのように「管理者の権限は、当該地方公共団体の長が行う。」こういうことが書いてあります。従つて管理者の権限に属するものは、なるほど当該地方公共団体の長が行わなければなりませんが、その長のもとに身分を保障された管理者であります以上は、この「(管理者の地位及び権限)」という第八條の中にも、予算を調製することができる、こういうふうにずつと書いてあります。私どもはこういうことから考えて参りますと、八條あるいは十二條の関連から考えて参りましても、九條の管理者の担任する事務の中に、労働協約というものが当然入るべきだというふうに考えるのであります。これを逆に聞いておきたいと思いますが、この中に労働協約を入れれば、一体どういう不都合があるかということの御説明を願つておきたい。
  54. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 第九條だけに労働協約を入れるということになりますと、先ほど例にあげましたように、予算の更正を要するようなもの、あるいは條例に抵触するような内容を持つた法令につきましては、管理者がすぐに議会に対して、予算なり、條例なりを提案する権限を持つておりませんので、労働組合といたしましては、管理者と協約を結びましても、それだけでは事が解決されないということになるので、そういうものにつきましては、長を相手方にするのだ。そうでなくて、管理者の権限内で十分に処理できるものは管理者を相手方にするのだということで、特に長のところにも管理者のところにも明記いたしませんで、そういうような当然の事理という解釈で参ることが、よろしいのではないかというふうに考えているのであります。
  55. 門司亮

    門司委員 そうすると、労働協約については、これを結ぶ相手方というものが、この法律の中にはどこにもないというふうに解釈してさしつかえありませんか。労働協約は長と結ぶというだけに大体常識的に考えているというような解釈でよろしゆうございますか。
  56. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 そうではございませんで、協約の内容が長の権限に関して、長を相手方にしなければ解決できないようなものは、その労働協約を長の権限でやるし、管理者の権限内の事項で管理者だけで解決できる内容のものであれば、労働協約を結ぶことは管理者の権限になる、こういうふうに解釈いたしたいと思うのであります。ただいまお尋ねで、それでは全部その長が相手方になるかということでありますが、たとえば給與のことにつきましては、三十八條で給與種類給與額決定の基準だけが條例できまるようになつておりまして、それ以外の細目につきましては、これは団体交渉の余地を残しておるわけでありまして、今回企業会計の制度を採用することによりまして、予算的にも一般会計のようにこまかい点まできちつと縛つてしまうということがないように考えられますので、その予算なり條例なりに抵触しない範囲内で管理者を相手方にして、十分協約が締結できる、こういうことになると思います。
  57. 門司亮

    門司委員 どうも労働協約の範囲によつてこれを異にするということは、一応私は條例から見たらそういうものがきめられれば、あるいはそういうこともできるかもしれないと思いますが、その場合はやはり管理者の十分なる運営管理をなさるためには、当然管理者予算その他のことも考えないわけには参りますまい。しかし管理者の身分の保障をここにいたしております以上は、やはり管理者がすべての協約を結ぶ権限を持つことが私は望ましいと思います。それ以上これに対する質問はいたしません。  その次にずつと飛んで聞いておきたいと思いますことは、この十五條にあります補助職員の問題でありますが、「地方自治法第百七十二條第一項の職員で管理者の権限に属する事務の執行を補助するものは、管理者が任免する。」こういうふうに書いてありますが、これは一体補助職員というので、地方自治法第百七十二條の第一項の職員がこの中に入つて来るということ、しかもこれの任免権は管理者が持つということになりますと、必ずしもこの規定でスムースには行かない。もし私どもから考えで参りますと、地方自治法の第百七十二條の第一項の職員というようなことは書かないで、事務補助員は管理者の権限に属するものを充てることができるというようにした方がいいのではないか、こういうふうに考えるわけであります。そういうふうに考えますのは、この公営企業というものはやはり特殊の仕事を持つておりまして、そうして人事委員会その他の単なる形式上の試験制度の上における人員の採用だけではうまく行かない。従つてやはりわれわれといたしましては、こういうことを抜きにして、管理者が必要な事務補助員というものを置くことができるというようにした方がいいのではないかと考えるのでありますが、この点に対する当局のお考えをお伺いしておきたいと思います。
  58. 長野士郎

    長野政府委員 第十五條で「地方自治法第百七十二條第一項の職員」というふうに規定をいたしておりますのは、この地方公共団体が経営をいたします企業につきましては、これは地方団体の直営にかかわる事業でございますので、やはり地方公務員たる身分を持つておるわけであります。これが公共企業体でありますとか、そういう別格の法人でありますれば別でございますが、およそ企業に従事いたします職員は、すべて地方団体の職員であります。しからばその地方団体の職員として、たとえば選挙管理委員会には書面というのがありますし、監査委員会にも書記というものがございますが、地方団体の職員の中のいずれの部類に属するかということになりますと、やはり地方団体の経営をいたします企業でありまして、管理者はこの法律によりまして一般職でありますが、特殊の権限を持つことにいたしておりますので、企業に従事いたします職員は、法律的な関係といたしましては、地方団体一般の補助職員というような関係になりますので、このような表現をいたしたわけであります。但し企業に従事いたします者につきましては、主要な職員以外のものは、そういう一般の補助職員でありまして、当然地方団体の長が任免するものでありますが、この企業に従事する職員に関します限りは、この十五條が特例になりまして、管理者が自由にこれを任免もするということにいたしておるわけであります。
  59. 門司亮

    門司委員 その次に聞いておきたいと思いますことは、三十六條でありますが、十五條に関連した條項でありますので聞いておきたいと思います。三十六條に「第十五條の職員のうち、管理又は監督の地位にある者及び機密の事務を取り扱う者以外の者(以下「企業職員」という。)の身分取扱については、」こう書いてありますが、この條項は私どもといたしましては、これは当然十五條の職員の中に、こういう管理または監督の地位にある者及び機密の事務を取扱う者というのが含まれておるということになつて参りますと、これは事業の取扱いの上にも、一応一般公務員としての資格を持つ者がこの中に入つて来ておる。しかもそうい者がこういう機密その他の事務に携つておるものであるということになつて参りますと、先ほどから十五條のところで申し上げましたように、一つ公営企業の形態というものは、いろいろな形で一般の公務員と同じような資格を持たなくても、十分やれるのではないかということが考えられますので、この條項の中の「第十五條の職員のうち、管理又は監督の地位にある者及び機密の事務を取り扱う者」ということだけは、削つた方がよいのじやないかと思う。当局のお考えが十五條をそういうお考えでお置きになつておるなら削れないと思いますが、あわせてお聞きしておきたいと思いますことは、なるほど公営企業であるから、当然地方公務員としての資格を持つ者がよいということは、理論上は成り立つのでありますが、先ほどから申し上げておりますように、それらの職員が管理者の仕事を十分する上に、ほかからとらなければ、要するに市長あるいは助役というような関係から職員の中に圧力のかかつて来るような気持がする。同時にこの三十六條にはそれらの事務員というものが書いてあります。従つて三十六條の事務員というものを除いた方がいいのじやないかと私は思いますが、その点に対する当局の御意見を伺つておきたいと思います。
  60. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 第十五條と関連して三十六條についてのお尋ねでございますが、三十六條の管理または監督の地位にある者及び機密の事務を取扱う者を、企業職員の労働関係に関する法律、別途御審議願つております地方公営企業労働関係法適用からはずすということは、これは労働組合法の第二條規定と同様な趣旨からでございまして、管理または監督の地位にある者なり、機密の事務を取扱う者が組合に入つてつたのでは、十分な労働組合活動ができないではないかという趣旨からこれを除いたのでございまして、ただいまお話のありましたように、こういう者を除いておくことによつて、助役等の圧力がかかつて管理者の職員の人事管理がうまく行かないではないかというようなお尋ねでございますが、あるいは若干そういう点も起るかと思いますが、しかし労働法の一般の原則からいたしまして、こういうものを労働関係法適用の対象にするということは、より以上適当でないではないかというふうに考えておるのでございます。
  61. 門司亮

    門司委員 それからその次に聞いておきたいと思いますことは、三十七條の職階制の問題でありますが、「企業職員については、管理者は、職階制を実施することができる。」こう書いてありまして、二項に、「管理者は、企業職員の職を職務の種類及び複雑と責任の度に応じて分類整理しなければならない。」第三項には、「人事委員会を置く地方公共団体においては、人事委員会は、職階制の実施に関し管理者に技術的助言をすることができる。」こう書いてあります。私は職階制の問題については、今日までいろいろな議論があると思いますが、しかしこの種の事業はいわゆるほんとう事務上の処理だけでありませんで、あるいは社会一般の通念だけではございませんで、技術を非常に重要視しなければならない。これらの事業に従事する者に対して、ただちに職階制を採用するということは私はどうかと思う。特にこの三項にあります人事委員会を置いております地方においては、これがこの職階制に対しまする技術的の助言をすることができるということになつて参りますと、一般の公務員を場合はあるいは試験制度によるいろいろの問題は起るかと思いますが、技術の問題というものは、私は試験制度の上だけできめるべきでないのじやないか、こういうような考え方が強くされるのであります。従つて一般公務員と同じような職階制というような問題は、この際なくした方が実際的ではないか。こういうものがなくてもこの法律の條文の中に書いてありますこの企業職員の職務の種類及び複雑と責任の度において分類整理しなければならないということは当然でありまして、このことはこういう規定がなくてもやれることであるし、同時に職階制というものができて参りますと、実情に沿わないいかにも試験だけを中心にしたというような問題が起つて来て、そうして経験というようなもの——これは実際の経験の年数だけでありません。経験の年数が浅くても、技術的に非常に達者な人がいるというようなことであり、そういう運営の妙味というものが、なかなかここから出て来ないと思う。いかにもしやくし定規になつてうまく行かぬと思う。従つてこの三十七條の職階制というものは、一般職員とは違う角度から、これをとつておいた方が私は事業の遂行の上には円満性が保てるのではないかというように考えておりますが、そういうことに対する当局の御意見を伺つておきたいと思います。
  62. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 職階制を公営企業の職員につきましては適用しない方が、事業遂行上円滑に行くのではないかというお尋ねございますが、職階制と申しますのはこの二項に書いてありますように、言いかえれば企業職員の職務の種類と複雑と責任の度に応じて分類整理をして、それによつて人事管理の合理的な運用をはかつて行こうという制度でございますので、むろん対象が企業職員となりますれば、一般職員を対象としてやります職階制と、おのずから内容も違つて来ることになると思います。なお職階制のアメリカにおきます発達の歴史を承つてみますと、民間のこういうような企業職員あたりからだんだんと始つたようにも承つておりますし、職階制を公営企業職員について実施することの必要は、一般職員と比べて決して少くはないのじやなかろうかと思うのであります。お尋ねのように一般職員と非常に職務の内容も違うし職場も違うので、地方公務員法の二十三條のような複雑な規定を設けませんで、三十七條で簡単な原則だけを書いた規定を設けたのでございます。しかも企業の実態に即応するように、管理者がこれを実施するかしないかということは、任意にできるというような建前にいたしているのであります。なお第三項の人事委員会が、技術的な助言をすることについて、一般職員と同じように扱う危険がありはせぬかという意味のお尋ねがございましたが、人事委員会はこういう人事行政についての一種の技術的な専門機関として、今後ますます育つて行くべき性質のものと私ども承知しております。そういたしますと、そういう専門家が技術的な助言を必要に応じて管理者に対してやるということが、かえつて制度として妙味があるのじやなかろうか、かように考えている次第でございます。
  63. 門司亮

    門司委員 次の項の三十八條でありますが、三十八條の三項に「企業職員の給與種類及び給與額決定の基準は、條例で定める。」と書いてありますが、これらの條例で定めるということになつて参りますと、この三十七條を受けて考えてみますと、一般の公務員と非常に違うのでありまして、職務の種類及び複雑と責任に応じて、これを分類しなければならないという特別の取扱いをしなければならない。実際上の給與基準を定める場合に、これを條例で定めるということについては、私はかなりめんどうなものが出て来はしないかと考えるのであります。従つてこれは先ほどお話なつたように労働協約の範囲がどういうことになるか、この法律ではあいまいであります。しかし管理者あるいは長との間に労働協約を結ぶにいたしましても、これは労働協約によつてこれを定めて行くことが、私は穏当であり実際的であると考えるが、その点に対するお考えを伺いたい。
  64. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 御指摘のように企業職員につきましては、一般職員と違いまして、団体交渉によりまして給與の問題も解決をして行くということが、適当な分野が非常に多いと思うのであります。三十八條原案の趣旨も、そういう点を考慮いたしまして、一般の地方公務員については、職員の給與に関する事項は、すべてこの條例で定めるようになつているのでありまして、何級何号の俸給表も、全部條例規定いたさなければならぬようになつているわけでございますが、企業職員につきましては、先ほど御指摘のような特殊性を考慮いたしまして、企業種類給與額決定の基準という大わくだけを條例で決定いたしまして、あとの具体的な級号の表に相当する部分は、団体交渉で定めることにいたさせよう。こういう趣旨でございますので、原案といたしましては御指摘の点は、十分考慮に入れているのでございます。
  65. 河原伊三郎

    河原委員長代理 暫時休憩いたします。     午後一時十八分休憩      ————◇—————     午後一時十九分開議
  66. 河原伊三郎

    河原委員長代理 再開します。  国会議員選挙等執行経費基準に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。
  67. 門司亮

    門司委員 一言の了解も得ないで、質問中にかつてにやるとは何だ。     〔「そんなばかなことがあるか」「初めから了解しておいた問題じやないか」「委員長不信任だ」と呼び、その他発言する者あり〕
  68. 河原伊三郎

    河原委員長代理 休憩します。     午後一時二十分休憩      ————◇—————     午後一時二十六分開議
  69. 河原伊三郎

    河原委員長代理 再開します。  先ほどは議事運営上粗漏な点がありまして、それがために各位に非常な御迷惑をかけました点につきましておわびいたしまして、国会議員選挙等執行経費基準に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。  本案につきましては、すでに先ほど質疑を終了し、自由党及び改進党、両党委員共同による床次徳二君外九名提出修正案につきましても、その趣旨説明を聴取いたしておりますので、これより討論、採決を行うことにいたします。これより原案並びに修正案を一括して討論に付します。討論は通告順によつてこれを許します。門司亮君。
  70. 門司亮

    門司委員 両案には賛成でありますが、ただ私はこの機会に申し上げておきたいと思いますことは、過般の総選挙の際に、相当額の費用が足りなくて、そうして各地方自治体は、それを捻出することのために非常に苦労をしたわけであります。しかもその間には大蔵省との了解がなかなか得られませんで、非常に問題を起したことは、この委員会で十分御承知の通りでありますが、ひとつあくまでもこの費用基準費用であつて、実際の実施にあたりましては、私はかなりこの費用の中では足りないものがあるのではないかということを考えておりますので、当局としては、もし不足を来した場合には、地方の公共団体に迷惑をかけないということ、単に迷惑をかけないということでなくて、できるだけすみやかにこれを補填していただくようなことを、十分考慮していただきたいということを、私はこの機会に強く申し上げまして、私は両法案に対して社会党を代表して賛成の意を表するものでございます。
  71. 河原伊三郎

    河原委員長代理 立花敏男君。
  72. 立花敏男

    立花委員 私どもはこの両法案に反対です。元来選挙法改正自体が、個人選挙費用負担を軽減して、公営を増進して、選挙の公正を期するということになつたのですが、それがこの費用の点になつて参りますと、はつきりここに現われておりますように公営費用は、政府負担すべき費用は、ほとんどふえていない。しかも選挙法によりまして、個人負担いたします費用は倍にふえている、こうなつて参りますと、政府のうたいました個人負担する費用を軽減して、公営を増進して選挙の明朗を期するということは、完全にこれは偽りであつたということが、この費用を見てはつきりわかるわけであります。そういう点で私ども根本的に賛成できません。しかも個々の額に見ましても、たとえば今回の選挙法改正によりましてポスターを全面的に廃止いたしまして、それにかわるものといたしましての候補者掲示公営でやることになつておるわけですが、しかも一選挙区ごとに三箇所から五箇所というふうなわずかな数であり、しかもその一個の費用が五百円というのですから、これは板一枚買う費用しかありませんので、そんなことでこのポスターの全面的な廃止にかわるような掲示板が私はできるとは思わぬ。ここに私大きな費用の具体的な額についても疑問がありますし、あるいはこの公営を増進すると言いながら、今までの無料はがき三万枚を三分の一の一万枚に減しておるということでも、決してこれは公営を増進したいということになつておりませんし、公営やり方についても、また額についても、非常にこれは疑問がある。それでさいぜんから質問しておりますように、たとえば今度の選挙公報にいたしましても、内容を三倍にいたしますので、費用は当然三倍近いものがふえなければいけないと思うのですが、わずか五割くらいしかふやしていない、こういうことになつて参りますと、公営が実現されないのみならず、公営そのものの質が非常に落ちて参りまして、ただもう言い訳だけの公営ということになるおそれが多分にあるわけです。修正案によりましても、今回の選挙法改正による費用増加は、実はほとんど一文も政府負担いたします選挙費用増加いたしておりませんので、こんな不可思議、奇妙きてれつな改正はないと思う。そういう点で修正案も原案も賛成することはできませんし、それから門司君が触れた点ですが、先般の選挙地方の支出が二億数千万円政府の支給をオーバーした点がありまして、それが問題になつておりましたのですが、ああいう問題が今後起らないことは、私保証できないと思うのです。さいぜんから言つておりますように、非常に寡少の公営金しか政府から支出いたしませんので、十分なる公営をやろうとすれば、地方ではどうしてもその不足分を補つて行かなければならないことになるのは当然だと思うのです。先般も二億七千万円ばかりも地方負担がありましたのに、今度はさらにそれを上まわることは当然私は予想されると思うのです。その場合にどうするかということを、はつきり法律の上で規定しておく必要があるのではなかろうか。この個々の具体的な費用が寡少であればあるほど、そういう危険が大きく出て参ると思いますので、この点をはつきり法文でうたつておく必要があるのではなかろうか。しかもこの数字中央で一方的にきめたものだと思うのです選管の方では相談したと言つておりますが、こういう少い費用地方納得するはずがありませんので、これは中央で一方的にきめた数字なんで、一方的にきめた数字地方に押しつけた場合には、当然問題が起ろうと思いますので、そのときの調整の規定をはつきり私法文でうたつておくべきだと思います。修正案にもそれがありませんし、私どもはこれこそ地方の最も危惧するところであると思いますので、以上の点によりまして両法案に反対です。
  73. 河原伊三郎

    河原委員長代理 これにて討論は終局いたしました。  これより採決いたします。まず床次徳二君外九名提出修正案について採決いたします。本修正案に賛成の諸君の御起立を願います。     〔賛成者起立〕
  74. 河原伊三郎

    河原委員長代理 起立多数。よつて修正案は可決されました。  次にただいま可決されました修正部分を除く原案について採決いたします。修正部分を除く原案に賛成の諸君の御起立を願います。     〔賛成者起立〕
  75. 河原伊三郎

    河原委員長代理 起立多数。よつて修正部分を除く原案は可決されました。よつて本案修正議決されました。  この際お諮りいたしますが、本案に関する報告書の作成に関しましては、委員長に御一任を願いたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  76. 河原伊三郎

    河原委員長代理 御異議なしと認め、さよう決しました。  しばらく休憩いたします。     午後一時三十六分休憩      ————◇—————     〔休憩後は開会に至らなかつた