○大矢
委員 あまり長くなりますから、これで最後にしておきますが、最近この種の
法律がたくさん出て来る。いわゆる
法律によ
つて取締ろうとする、
法律国家といいまするか、実際の民主主義の、住民がみずからの手によ
つて、自主的に行おうとするものを、もう絶えず
法律によ
つて縛りつけて行く。なにか規定しておいて、結局においてこれは
法律があるからひつかかる。ひつかかれば罰する。私はせんだ
つてあの非常な問題が起
つた平のメーデーのときにその情勢を詳しく聞いた。あそこは約一万七、八千の小さな都市で、
警察官は一人も出してはいかぬ。そのかわりわれわれが
責任を持つということで、完全に何にも問題なしに行
つたということは、いわゆる組合の幹部に
責任を持たしたからこそ問題が起きなか
つた。それがこういうふうにああしちやいかぬ、こうしちやいかぬというように、この規定にもあるようにあれば、
法律に基いてや
つたということになるから、
警察官は大いにやるでしよう。そこに衝突が起る。今度の早稲田大学の問題でもそうです。あれの
国民に與えた感情は、
警察官は、もつと常識の高いものだと思
つてお
つたのに、ああいう無抵抗の者に実力を行使するのはけしからぬというわけで、
警察官に対する感情に非常に悪影響を来したのではないか。一切合財
法律で取締るなどという
考え方は、およそ民主主義の政治に反することなんです。よほどこういうことは
考えなければならぬ。一々昔の
考えのように、
法律によ
つて取締ろうという
考え方は、これだけではない、たくさん、幾つとなしに現われて来ておる。こういうことから、最近権力闘争ということが、しきりに叫ばれておる。要するに、そういうことをするなら、まともにぶつか
つて、どつちが悪いか輿論を大いに高めよう。それで
警察官に対して、絶えず感情的にまわそうまわそうとする傾向がある。故意に
運動を起す人が私は出て来ると思う。またその結果というものは、いわゆる対立して、自分を保護してもらうべき
警察官を敵にまわし、あるいは保護すべき
警察官が民衆を敵にまわす。そういうふうな対立が、ひいては大きな社会不安の原因になるのではないかと思う。次から次へこういう
法律をこしらえなければ、どうしてできないのか。それからこれを立てる前に、何がゆえにこういうものが必要か、どこに原因があるか、
法律の不備があるからこういうことが起きると
考えるのか、それともそうでなく、もつとほかに原因があるか。そういう原因を究明せずして、ただこれだけによ
つて取締れば、それでなくなると思うことは大きな間違いだ。私は、どろぼうをつかまえて交番の前で巡査が二人立
つてなぐ
つているのを見たことがある。どろぼうをつかまえて、抵抗すればなぐることは、だれが
考えてもふしぎなことはない。しかし程度を越えると、そうまでしなくてもいいじやないかというように、かえ
つてどろぼうに同情が集まる。こういう
法律をつく
つて、正直なまじめな者に非常に迷惑をかけて、その人が刑を受けた後、あるいは取調べ後における
警察官に対する感情というものは永久にとれない。そこで実際問題として、私
ども経験があるが、ぽかぽかや
つたり、石を投げたりして混乱させたやつはもうそこいらにいやせぬ。ひつかかる者は、
ほんとうに何も知らぬ者ばかりひつぱられる。ことに
集団示威運動のごときは、いつもそうなんだ。それでこんなもので取締ろうということは、正直な者ばかりひつかか
つて、
ほんとうにや
つた者はひつかからない。そこで
先ほど地方の
公安委員から希望があ
つたからというが、たいていの重要な都市にはできている。そのことが行き過ぎであるとい
つて、裁判所ではこれを行き過ぎなりとして判決もくだ
つておるような京都市のごときもある。
従つて今ある條例でも
つて足りない、あそこはゆるやかで、ここは嚴重だから、統一したものをこしらえてほしいという者があろうとは思われません。
ほんとうに具体的にそういう請求があ
つたかどうか知りませんけれ
ども、そういうことまでは聞きませんけれ
ども、
法律によ
つてこれを取締まる。しかも執拗な
示威運動がいかにして起き、どうような気持に大衆はな
つているか。それから最近権力闘争としてやろうとする、それにひつかか
つて、結局それを助勢することになる。その目的にちやんとひつかか
つている。こういう
法律があるがために、ますます
警察に対する大衆の信頼と威信がなくな
つて、およそこの
法律の目的と反した結果になるということをわれわれは憂うるのですが、これは討論ではありませんから多くは申し上げませんが、これについて実際どう
考えているか。これは必要だから出したのだということを言われるかもしれませんが、私はよほど
考えなければならぬと思う。むしろ私が前に言
つたように、みずからを守る
ピストルによ
つて、みずから撃たれる結果が起きると同じような結果になりはせぬかということを憂慮するのですが、その点について率直な御
意見を聞きたい。