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1952-06-07 第13回国会 衆議院 地方行政委員会 第64号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年六月七日(土曜日)     午前十一時二十九分開議  出席委員    委員長 金光 義邦君    理事 河原伊三郎君 理事 野村專太郎君    理事 吉田吉太郎君 理事 床次 徳二君    理事 門司  亮君       池見 茂隆君    大泉 寛三君       門脇勝太郎君    川本 末治君       佐藤 親弘君    橘  直治君       前尾繁三郎君    龍野喜一郎君       鈴木 幹雄君    藤田 義光君       大矢 省三君    立花 敏男君       八百板 正君  出席国務大臣         法 務 総 裁 木村篤太郎君  出席政府委員         総理府事務官         (全国選挙管理         委員会事務局         長)      吉岡 惠一君         総理府事務官         (全国選挙管理         委員会事務局管         理課長)    石渡猪太郎君         国家地方警察本         部長官     斎藤  昇君         国家地方警察本         部次長     谷口  寛君         国家地方警察本         部警視長         (総務部長)  柴田 達夫君         国家地方警察本         部警視長         (警備部長)  柏村 信雄君  委員外出席者         国家公安委員長 青木 均一君         專  門  員 有松  昇君         專  門  員 長橋 茂男君     ————————————— 本日の会議に付した事件  国会議員選挙等執行経費基準に関する法  律の一部を改正する法律案内閣提出第三五  号)  警察法の一部を改正する法律案内閣提出第二  一九号)  集団示威運動等秩序保持に関する法律案(内  閣提出第二三六号)     —————————————
  2. 金光義邦

    金光委員長 これより会議を開きます。  国会議員選挙等執行経費基準に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  選挙管理委員会吉岡事務局長より発言を求められておりますので、これを許します。吉岡事務局長
  3. 吉岡惠一

    吉岡政府委員 前に御審議いただきました国会議員選挙等執行経費基準に関する法律の一部を改正する法律案でありますが、これに関連いたしまして、衆議院において公職選挙法の一部改正法律案が通過をいたしております。それに関連いたしまして修正を要する箇所を御説明申し上げます。  お手元にお配りをしてあります表をごらんいただきたいと思うのでありますが、一番最初に申し上げますのは旅費のことでありまして、これは公職選挙法と直接の関連はないのでありますが、国家公務員法旅費法律かわりまして、国家公務員について旅費が多少増額になることになつておりますので、それに応じまして、この執行経費についても修正をする必要のある箇所開票所選挙会、それから選挙公報発行費用、それから事務費、これに約八百万円の修正が必要であります。  それから次は選挙公報発行費用でありますが、これは衆議院議員選挙の特例といたしまして、従来選挙公報は五百字だけを掲載しておりましたのを、今度千五百字に修正になりまして、さらに選挙公報内容を、もう少し充実しようというお話でありましたので、活字等も従来五号活字予算を組んでおりましたのを四号活字修正をする結果、用紙も従来よりたくさんいるというような関係で、全体といたしまして約三千四百万円の増加になります。  次は氏名掲示候補者氏名掲示する費用でありますが、これは最後には四百枚のポスター配つて氏名掲示をするということになりましたが、その前におきましては、氏名掲示のためのポスターは全然認められておりません。そういうような事情もありまして、ポスターの制限をするかわり氏名掲示の方を充実をしよう、こういうお話でありましたので、候補者氏名掲示費用を九千三百万円増額をいたすことに相なります。  それから次は演説会費用でありますが、演説会は、これは一応減ずるものがございます。すなわち従来の予算では、個人演説会は、公営は六十回行う予定にして予算を組んでおりました。これが四十回に制限されましたので、二千三百万円予算として浮いて参ります。それから演説会の場合に、今度は公営演説会場を示すための立札を立てることになりましたので、これが約二千七百万円必要になつて参ります。  それからこれはここへ入れるのがいいかどうかわかりませんけれども個人演説会を開催するについて四百枚のポスターを印刷して、それに書き込んで、張るようにして配るという費用であります。これが約二百万円必要になつて参ります。これに応じまして、従来ポスター用紙だけを配つておりました費用がいらなくなつて来るわけであります。これは二、三行、下の欄に書いてありますが、約二百八十万円減少になるわけであります。  それから次は立会演説会でありますが、立会演説会はこれは法律條文改正に出て参りませんが、予算の措置の上では約五百万円よけいにいることになります。まあ基準によります費用は以上の通りでありまして、結局差引をいたしますと、一億三千九百八十万円地方公共団体で使う費用よけいに、国からやらなければならぬことになります。その財源といたしまして公職選挙法改正で、無料はがきの従来三万枚であつたのを一万枚に減少をいたしましたので、その金が一億三千九百八十万円浮いて参ります。しかしそれはなお四百万円不足いたしておりますので、それは調整費が二千万円ございますから、その中から約四百八十万円を支出して、差引増減なしということで、衆議院議員選挙執行ができることとなります。この調整費のことでありますが、調整費は一昨年の参議院選挙では約八百万円見ております。これはどういう費用かと申しますと、役場が火事で燒けたとか、あるいは選挙公報刷り直さなければならぬような事態が起きた。そういういろいろな予測されない費用のために、用意をしておる金でありまして、これはそういう事由が、起きてから一々出しておりますが、二千万円全部を使うことはほとんど考えられない費用でありますので、四百万円くらいの流用は、予算執行上さしつかえないと考えております。
  4. 金光義邦

    金光委員長 質疑があれば許します。
  5. 立花敏男

    立花委員 この数字はがきを節約して一億三千九百八十万円というのですか。修正増減の方を見ますと、いろいろな費用増減を計算して一億三千九百八十万円になつておりますが、これは偶然の一致なんですか、あるいは合わされたのですか、どうですか。
  6. 吉岡惠一

    吉岡政府委員 大体偶然であります。
  7. 立花敏男

    立花委員 偶然にぴちつと合つたわけですか。
  8. 吉岡惠一

    吉岡政府委員 ぴちつとは合つておりません。つまり調整費に食い込んでおる費用がありますから、これで合つて来るわけであります。
  9. 立花敏男

    立花委員 説明によりますと、はがきが三万枚から一万枚に減つたので一億三千九百八十万円節約できるのだ、ところがこつちの方調整費で調整したわけですね。そうして数字を合したわけですね。
  10. 吉岡惠一

    吉岡政府委員 そうです。
  11. 立花敏男

    立花委員 今度ポスターが全部なくなつて氏名掲示ポスターにかわることになるのですが、ポスターをなくしたんじやなしに、公営ポスターにするという意味で、氏名掲示がそれに利用される、むしろ氏名掲示というよりも、公営ポスターといつた方がいいんじやないかと思います。そういう考え方で直されたと思うのですが、その費用が九千三百二十万円だといたしますと、一町村当り幾らぐらいになるのでしようか、一個の氏名掲示板幾らぐらいの費用が見込まれておるのでしようか。
  12. 吉岡惠一

    吉岡政府委員 一個の掲示板当り五百円で、一投要所当り箇所見ておりますから、約二千五百円であります。
  13. 立花敏男

    立花委員 一個の掲示板五百円でポスターかわりになるようなものが——これは候補者は何十人もおるわけですが、それが何十枚、何百枚かのポスターかわりをしなければいけないと思うのですが、一個五百円、一投票所当り五個で、何百枚、何千枚のポスターかわりができるものかどうか、どうもできないように思うのですが、その点どうなんですか。
  14. 吉岡惠一

    吉岡政府委員 これは実際の費用について、そういうものをつくるところで聞いたのでありますが、できる予定でありまして、一投要所当り二千五百円になりますが、一町村当りにしますと、大体それの四倍になりまして、約一万円くらいになります。
  15. 立花敏男

    立花委員 それから調整費を五百万円ばかり減してあるのですが、調整費は今まで何にお使いになつてつたのですか、これだけ減らしてもさしつかえないのかどうか。
  16. 吉岡惠一

    吉岡政府委員 その点は先ほどもちよつと御説明を申し上げましたが、従来使つたものによりますと、急激に人口がふえておつたために投票所を増したというようなものも間々あります。それから投票の直前に火事が出て、いろいろ用意しておる刷りものが燒けた、それからまたやむを得ない事情で、選挙公報刷り直しをしなければならぬというような場合に、従来は使つております。
  17. 立花敏男

    立花委員 それでは政府としてはこれは選挙公営をやりましても、費用の点ではほとんど一文も増加しなくてもいい。今度の選挙法改正は、候補者費用のかからないようにするということとは逆に、公営を強化するということ。だつたと思うのです。ところがこれを見ますと、政府一文も金をかけないで選挙公営を推し進めるということですが、これはまつたくおかしいと思うのです。これはかけ声だけであつて一文お金をお出しにならないで、公営を強化されたとお考えになつておるのかどうか、その点をひとつ承つておきたい。
  18. 吉岡惠一

    吉岡政府委員 この無料はがきの減額が、非常に大きいのでありまして、これによつて公営が増したと見ますかどうですか、これは人の見るところによつていろいろ違うと思います。
  19. 立花敏男

    立花委員 少くとも費用の点では、ちつとも公営はふえておりません。一文も余分に公営費出していないから、費用の上では絶対に公営が強化されたとは言えないと思う。しかも従来よりも物価は上つておりますので、当然公営費もふえなければならないと思いますが、公営費一文もふえていない。これはむしろ相対的には公営減少したということになるんじやないでしようか。
  20. 吉岡惠一

    吉岡政府委員 費用の点からだけ見れば、そういう結果の数字が出て来ております。
  21. 立花敏男

    立花委員 大体このごろは金が内容を現わしておりますので、これを見まして、選挙法改正だといつてお答えになつ政府の政策は、まつたかけ声で、ごまかしで、一文お金をお出しにならずに、逆に相対的には減少しておるというのでありますから、これほどこまかしの法案はないと思いますが、どうなんです。一体初めからそういう考え方であつたわけですか、一文公営費をふやさないで、しかも公営の強化をやるというようなことを言つてつたのでしようか。
  22. 吉岡惠一

    吉岡政府委員 この公営費用の点は選挙法改正特別委員会で御相談は申し上げております。
  23. 立花敏男

    立花委員 公営費用の点は、相談したかしないか知らないけれども、相談したかしないかということを聞いておるんじやありませんので、こういうことになつて参りますと、一般の立候補者費用を縮減し、選挙公営を推し進めるという建前が、予算上は実際何もやられていないし、逆に物価の高騰を考えますと、相対的に公営減少になつておる。また具体的に申しましても、三万枚今まで無料はがき出していたのが一万枚になつたのでありますから、公営減少したことになつております。これはまつたくでたらめだと思いますが、そのくらいにしておきます。
  24. 金光義邦

    金光委員長 ほかに御質疑はございませんか。
  25. 床次徳二

    床次委員 ちよつと聞き漏らしたのでお聞きしたいのですが、例の候補者氏名掲示する問題ですが、一掲示場当り五百円で何箇所になりますか。
  26. 吉岡惠一

    吉岡政府委員 一投票所当り箇所であります。投票所の数は平均いたしますと、一町村箇所くらいになります。
  27. 床次徳二

    床次委員 そうすると、結局二十箇所でもつて個人名前掲示されるわけですが、これは過去のポスターなんかの配付状況から見まして、大体どの程度の数になつておりますか、またこれを出された基準は、これでもつて相当各部落に浸透するというお考えでありましようか。一投要所当り箇所で、はたして徹底しているかどうか多少疑問に思うのですが、何らかの基準がおありでしようか。
  28. 吉岡惠一

    吉岡政府委員 従来のポスターは一人当り三千枚、選挙区が百十幾つありますから、およその見当で三十万と考えればいいわけであります。今度のは一投票所当り箇所になりますから、投票所の数が四万でありますので、約二十万。従つて従来も氏名掲示はあつたわけでありますが、それを別にいたしまして、従来のポスターと今度の氏名掲示と比べれば、三分の二程度箇所になるわけであります。そうして大きさは従来はまちまちで、大体氏名掲示は紙でやつておるのが多かつたのでありますが、今度は縦五十センチ、横十二センチの大きさの木に書きたいと思つております。
  29. 床次徳二

    床次委員 ただいまの氏名掲示の数、その他については、選挙特別委員会の方でも、大体その点を了承しておつたのですか。
  30. 吉岡惠一

    吉岡政府委員 その点大体了承しておられました。
  31. 門司亮

    門司委員 選挙費用のかわつて来るのは当然でありますが、ただこの費用全体を見てみますと、その中に何か選挙事務管理のような形が出て来るのであります。従つて選挙管理委員会の本来の使命である選挙の公正を期することのための宣伝といいますか、それらの経費が非常に少いように考えておりまするが、これは一体どのくらい見積られておりますか。
  32. 吉岡惠一

    吉岡政府委員 きわめて大ざつぱな数字でありますが、約九千万円入つております。今度の改正関連ないものでありますから出て来ておりません。
  33. 門司亮

    門司委員 私は主として啓蒙にも二つ考え方があると思う。一つ犯罪予防関係一つはなるたけ投票に行くように、投票意義を徹底させるという二つの行き方があると思いますが、大体選管としてはどちらにその重点を置かれているかということ、これは御存じのように、今選挙が行われるであろうというので、事前運動その他が非常に盛んに行われていることは、これはだれでも知つているところであります。従つてさつき申し上げましたように、選管選挙啓蒙の中にも二つの種類がある、そのうちの犯罪防止に関する啓蒙宣伝というものは單なる選挙意義であるとか、あるいは投票とかというような事務的なものと違うと思います。実質的な犯罪予防に関する費用というものがどのくらいあつて、今選管考えておりまする範囲というようなものが、もし御発表できるなら、ひとつ発表しておいていただきたいと思います。
  34. 吉岡惠一

    吉岡政府委員 投票に誘い出すと申しますか、棄権防止の問題、それから犯罪予防その他、いろいろ選挙関連しての啓発宣伝、あらゆることをやらなければならぬと考えております。ただ、ただいまお話の点は、選挙期日告示前の問題でもあるので、その予算は私どもの方では別途計画をしてやりたいと思つております。
  35. 門司亮

    門司委員 この予算犯罪防止その他の関係が含まれていないということになりますと、実にやつかいなことだと思います。その費用一体どのくらいあるのですか。
  36. 吉岡惠一

    吉岡政府委員 犯罪予防その他具体的に選挙にあたつて、どういう啓発宣伝をやるかということについて、具体的な問題はなるべく地方へまかしたいというつもりでおります。その場所場所によつて、それに適当な方法を講じてもらいたいと思つております。犯罪予防へどのくらいの費用をかけるかということは、ちよつと予定ははつきりしておりません。
  37. 門司亮

    門司委員 どうも警察の方は警察の方で、犯罪が出て来なければ取締らないということに、大体方針をきめているらしい。選管の方も、選挙に一番やつかいな問題であるところの犯罪防止に対して、今のような御答弁だとしますと、いかにやかましく事前運動を取締れといつても、その取締り指示をしたり、あるいはそれを具体化して、こういうものと、こういうものがよくないということが、末端の機構まで行き渡ることがないということになりますと、選挙を行う上において大きな支障があると思うが、現実にこういう費用が別途に考えられておつて、この費用の中に出ていないということになりますと、私は先ほど申し上げましたようなことを言わなければならないが、そうだといたしますと、この機会にはつきり聞いておきたいと思いますることは、全国選挙管理委員会は、今新聞その他で非常にやかましくいわれておりまする事前運動防止に対しては、どういうふうにお考えになつているのか、その点をお伺いしたい。
  38. 吉岡惠一

    吉岡政府委員 事前運動防止につきましては、近く衆議院でも何か決議をなさるというお話を伺つております。これに応じまして、私どもの方といたしましても、何か政府で徹底をするようなかつこうをとりまして、政府もある程度積極的に選挙公明化と申しまするか、そういう事柄について強く国民に呼びかけたいというつもりでおります。
  39. 門司亮

    門司委員 国会決議することは決議するでありましようが、国会決議してみたところで、これは決議だけであります。その決議実行はあげてあなた方が——政府と言われましたが、実際やはり政府を通じた選管の責任だと私は考えている。従つて選管に何かの腹案がなければ——私は国会決議をしたら、それを受けて立つて何かやるだろうということでは、実際はいかぬと思う。一体選挙を管理しようという選管がきわめて消極的で、そうして選挙の公正を期するということだけは考えているが、しかしそれは考えているだけで、それを実行に移さないということになつて来ると、考えておつただけではしようがないと思う。もう少しはつきり、こういう事態、こういう事態についてはこういうふうに考えておるというふうな具体的なことについて、あなた方の方で今発表されるわけに参りませんか。
  40. 吉岡惠一

    吉岡政府委員 その具体的な方法としては、やはり昔のような、政府が先頭に立つて選挙粛正運動というものをやるというかつこうが現在ではあまり好ましくないのではないか、やはりいろいろ民間運動、あるいは民間新聞社の記事であるとか、そういうような事柄で、国民全体が事前運動に対して、正確なる判断をするというふうに向けて行くのが大事だと思います。それに関連して、政府としては、やはり演説会を開く必要があれば開く、会合を開く必要があればやるし、刷りものについてもある程度計画は持つております。ただいまのところまだこれこれをやるのだということを申し上げるまでに至つておりません。
  41. 門司亮

    門司委員 ただいまは政府という言葉を非常に使われておりますが、もちろん全国選挙管理委員会政府一つ機構であり、さらに地方の自治体にありまする選挙管理委員会も、一つ機構であることには間違いないと思いますが、しかし今日の機構は、従来のように政府に一切の選挙取締りその他をまかしておくことはよくないとして、中央には全国選挙管理委員会ができ、地方にはおのおの選挙管理委員会を持つた、これは選挙の公正を期することのために、特にそういう機関ができておるのでありまして、ただ今度の行政機構の改革で、政府はどう考え違いをしたか知らぬが、全国選挙管理委員会を何か政府の意図のように動かしたいという気持で、あの自治庁機構の中に入れたと思うのですが、しかしこれは政府考え違いであつて、私どもは、選挙管理委員会のできたゆえんはさつき申し上げたようなことで、選挙の公正を期するために、特に時の政府制肘を受けないで、十分やり得る態勢が現在の選挙管理委員会だと考えている。中央機構かわりましても、地方における選挙管理委員会というものはあるのでありまして、従つてこの犯罪防止あるいは選挙の公正を期するために、事前運動その他に対しては、当然選挙管理委員会中心となつて啓蒙宣伝なりその指示をすべきであると考えている。これから離れて、そうして民間団体にと言つておりますが、民間団体もけつこうであると思いますけれども、やはり何といつても先ほどから申し上げましたような趣旨でできた全国選挙管理委員会、あるいは地方選挙管理委員会中心にしてやることが私は当然だと考える。それが大した腹案も持たないで、そうして何か地方でそんなことはやつてくれるだろうなんという考え方では、いつまでたつて選挙の公正なんか期しがたいと思う。これ以上私は申し上げませんが、選管としても、まだあの法案が通過しておりませんから、まだありますので、別に自治庁の中に含まれたわけでもありませんし、全国選挙管理委員会中央選挙委員会とかいうようなへんな名前にかわつたとも考えておりませんので、よしんばかわりましても地方選挙管理委員会というものは、依然として性格はかわつておりませんので、これらを通じて急速に、今盛んに新聞あるいは雑誌等でやかましくいわれております事前運動等に対する処分というものを明らかにして、選挙の公正を期することが、この際特に必要だと考えておりまするので、御答弁は要求いたしませんが、ひとつ十分御留意願いたいと思います。
  42. 立花敏男

    立花委員 今の問題に関連して。選挙管理委員会政府の一付属機関になるということは重大な問題だと思います。今まで選挙管理委員会委員長は、どうして任命されておつたのか、それから政党との関係はどうであつたのか、ちよつと聞きたいのです。
  43. 吉岡惠一

    吉岡政府委員 議会指名に基いて総理大臣が任命いたします。そうしてその割合は政党の現勢力に応じてきめるようになつております。
  44. 立花敏男

    立花委員 やはりここに大きな問題があると思うのです。議会指名によつてきめられておりましたものが、これからは政府付属機関になるのですから、政府がかつてにきめる、そして自治庁長官が大体これを兼ねるということになつて参りますと、選挙事務は非常に公正を害されて来ると思うのですが、今までのように選挙管理委員会は独立の形で置いておいて、しかも議会という民主的な形を持つたものの指名ということにいたしました理由は、どこにあるのかお聞きしたい。
  45. 吉岡惠一

    吉岡政府委員 選挙執行一つ機関がやるわけでなく、御存じ通り市町村、府県、全国というぐあいにして執行するわけです選挙執行について直接当る都道府県あるいは市町村選挙管理委員会は、やはり議会意思に基く機関である、しかしながら衆議院議員選挙であるとか、参議院議員地方選出議員選挙というようなものにつきましては、中央機関は直接に当らない。従つて従来の実際の運営状況などを見ましても。問題になるという事件はきわめてわずかであります。私個人のことを申し上げてなんでありますが、約三年間の間に、これは問題だなというような事件が、一件か二件くらいしかないのであります。それは大体において一般の目もあることであるし、それに妙な解釈をすれば、やはり一般の批判を受けることである。従つてそういう意味から中央選挙管理委員会自治庁長官でもよかろう。ただ参議院議員全国選出議員であるとか、あるいは最高裁判所の裁判官の国民審査というようなことは、これは直接選挙等執行に当るわけでありますから、特別な中央選挙管理委員というものを置いてやつたらよかろう、こういうことだと思います。
  46. 金光義邦

    金光委員長 立花委員に申し上げますが、せつかく御質問中ですけれども、ただいま木村総裁が見えておりますので……。
  47. 立花敏男

    立花委員 今の質問ちよつと完結しておきたい。選挙管理委員会議会任命制にしておつたということは、現在もそうなのですが、これを今度は政府がかつてに任命することができるということになるのですが、これは選挙の公正を害して、時の政府によつて選挙が掌握されて参る一政党意思によつて選挙の全般的な運営管理がやられるということになると私は思うのです。これは社会党の門司君が言われました間違つてつたのではなしに、総選挙が迫つておりますので、こういう方法をとつたのだと思うのですが、その点どうお考えになつておるか。それとあわせて斎藤さんも来ておられますが、警察法改正で国警の長官総理大臣が任命し、警視総監を総理大臣が任命して、直接選挙取締りに当る機構を、完全に総理大臣が把握してしまうのですが公安委員会を排除いたしまして、総理大臣選挙の直接取締りに当る警察官を上から下まで一本でつかんでしまうのですが、こうなりますと、総理大臣がすべて選挙をやれる。選挙管理委員会総理大臣がかつてに任命できるし、選挙取締りに当る警察も、全部総理大臣が握つてしまう。自由党の吉田さんがそう公正な選挙をやるとも思えませんし、そうなつて参りますと、この方針は明らかに選挙を自由党の専断でやるための態勢だと言わざるを得ないと思うのです。そして今度選挙法の改悪を出して来たとなりますと、今度の総選挙はまつたくこれは党一派のための選挙であつて、最悪の場合には自由党の選挙対策委員長が、選挙管理の衝に当るということになつて来るのですが、そんな問題をどういうふうにお考えになつておるか、この点をひとつ最後に聞いておきたいのであります。
  48. 吉岡惠一

    吉岡政府委員 総選挙を控えて政治的な意図があるのではないかというお話でありますが、私はそういう意図はないものと思つております。事務的に考えましても、政府の純粋な一機関になつて選挙は公平に執行できるものと考えております。
  49. 金光義邦

    金光委員長 それでは本案に関する質疑は、次会に延期をいたすことにいたします。
  50. 金光義邦

    金光委員長 次に警察法の一部を改正する法律案、及び集団示威運動等秩序保持に関する法律案の両案を一括して議題といたします。両案につきましては昨日一応その質疑を終了いたしたのでありますが、この際質疑があればこれを許します。なおただいま木村法務総裁が御出席でございますが、木村法務総裁に対する御質疑は、本日をもつて終了いたしたいと考えておりますので、その点お含みをお願いいたしておきます。鈴木幹雄君。
  51. 鈴木幹雄

    ○鈴木(幹)委員 警察法改正案につきまして、法務総裁の御意見を承りたいと思うのであります。今回の改正は提案の理由によりますると、治安の責任が内閣にあり、しかも警察法におきましてこの責任の所在を明らかにする根拠に欠けておるというところに大きな理由があるというのでありますが、治安の責任という意味においては、私は警察だけが治安の責任を負うべきものでは決してない。一国の政治がどうあるか、経済がどうあるか、社会状態がどうあるかということが、全部治安に影響を持つて来るものでありまして、かような意味から申しますと、治安の問題が内閣の責任であり、政府の責任であるということは、明々白々の事実であります。警察法におきましては国家公安委員会を、政府国会の同意を得て任命することになつておるのでありまして、そうして国家公安委員会は内閣の所掌にある、こういう建前にある上から申しましても、警察法における政府の責任というものは、限界はありまするけれども、おのずから明白なものがあると思うのであります。今度の改正案によりますると、それが国警の本部長官総理大臣が国家安委員会の意見を聞きまして、任命をするという改正案が提案をされておりますが、このことはきわめて重大でありまして、国家公安委員会が今まで行政管理をする、また一部の運営管理をつかさどつておる、警察に対するところの管理をいたしておる建前が、その行政管理の最も重要な部門でありまする人事権を、国警長官の任免権を総理大臣が持とう、こういう考え方であまりして、私の見解によりますると、国家公安委員会はこれがために一番大きな権限を総理大臣に持つで行かれることによりまして、公安委員会の性格が、今日までのような執行機関であり運営の最高の機関でありますものから転落をいたしまして、諮問機関に堕する、こういうような実質的な変化を来すのではないかと思うのでありますが、そういう点につきまして法務総裁はどういう見解を持つておられるか、お伺いをいたしたのであります。
  52. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 国家治安の問題は、まさに鈴木委員の仰せのごとく、ただ警察だけの問題ではないのであります。諸般の施設と相まつて、いかに国家の治安を維持するかということになるべきものであると私も考えております。同感であります。ただ今度の改正におきまして、国警本部長官総理大臣が国家公安委員会の意見を徴して任命するという形をとりましたのは、もとより治安の最終責任者でありまする総理大臣が、最も適任と思う者を国警本部長官に任命して、そうしてその連絡をうまく調整して行くという根本趣旨であります。これによりまして国家公安委員の職権の範囲とかその他の事項について、いささかも縮小するとか、あるいは制肘を加えるとかいうわけのものではありません。国家公安委員は法規に定められました警察行政運営の点について幾多の権限を有し、また義務を負つておるわけでありますただただ国警本部長官を任命するにあたつて総理大臣が国家公安委員の意見を徴して任命するということになりますると、その運営面において、最も円滑に行くという趣旨にほかならないのであります。この法案改正は、その点をねらつてつたわけなのであります。
  53. 鈴木幹雄

    ○鈴木(幹)委員 ただいまの御答弁は、一応公安委員会というものは何ら権限を縮小されるものでなければ、公安委員会の機能というものが、これによつて阻害されるものではないというような御趣旨のように承つたのでありますが、実際の問題といたしましては私は大きな変化があるということ公認めざるを得ぬのであります。国家公安委員会について申し上げますならば、その大きな権限と申しますか権能の最大のものは、おそらく私は国警長官の任命をめぐる人事権の問題が一番大きな問題ではないかと思うのであります。その人事権は総理大臣が持つ、そうしてその国警長官を行政管理し、一部の運営管理をしようというところの公安委員会というものは、その点におきましては、なるほど意見を聞かれるのでありますが、問題は、意見の対立するというような場合におきましては、これを抜きにしてとにかく任命されるということは、十分に予想せられるところであります。そうなりますと、総理大臣が国警長官を任命した、運営管理を行政管理をつかさどるところの国家公安委員会は、その任命された国警長官を、ある場合におきましては監督すると申しますか、指揮すると申しますか、こういうような権能をやらなければならぬ、こういうようなきわめて二元的な運用が出て来る心配があるのであります。それで私の私見を申し上げますならば、むしろこの場合においては、国家公安委員会の構成を考えられて、これによつて内閣というものとの治安の責任の限界を明らかにする方向をとられたらどうであらうか、こういうことを考えるのでありますが、この点に対しまする法務総裁の御意見を承りたいと思います。
  54. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 今鈴木委員の仰せになつた御意見も、大いに尊重されるべきものと私は考えております。しかし具体的の問題となりまして、国家公安委員の考え方総理大臣考え方とは、私はそう食い違いがあるものではないと考えております。申すまでもなく、国家公安委員は国会の同意を得て、やはり総理大臣が任命するものであります。この自分で任命した国家公安委員の意見を無視するようなことはあるべきはずがないと私は考えております。従いまして、総理大臣が国警本部長官を任命するにあたりましても、もとより国家公安委員の意見を十分に尊重することは当然でありまして、かりに万々一総理大臣が任命せんとする国警本部長官に対して、公安委員から異議が出るという場合において、これは実際の取扱いとして、総理大臣が自分の意見を押切るというようなことは私はないと考えております。必ずやそこにおいて再び公安委員の意見を十分聞いて、納得の行くような人事がそこに行われるものと、私は確信するものであります。
  55. 鈴木幹雄

    ○鈴木(幹)委員 それだから私は申し上げるのでありまして、公安委員会の構成につきまして、あるいは権限につきまして考えたらいいじやないか、そうすることによつて、企図される目的一は十分達せられるのであります。ただいま法務総裁は、総理大臣の意向と国家公安委員会の意向が衝突して、収拾がつかないような事態はあり得ないものであるということを言われるのでありますが、私は法の建前から言いまするとあり得ると思うのであります。もちろんそれは私の尊敬いたしまする木村法務総裁が、そういう事態を巻き起されないということは確信をいたしておりまするし、今の吉田内閣がそういうことをされるとは思いませんが、しかし法の建前から申しますと、そういう事態におきましても総理大臣は任命し得る建前をとつておるのでありまして、これには大きな政治上の問題も生じますし、今申しますように、人事権が総理大臣に行くことによりまして、国家公安委員会というものが浮いてしまうという状態になることは、否定できない事実ではなかろうかと思うのでありますが、この点は大分見解の相違があるようでありますから、次の問題に移りたいと思います。  それは特別区の警察、警視庁の問題につきまして、同じような総理大臣任命制をとつておられるのであります。これにつきましては、大分性格が違うことはもちろんでありまして、警視庁は、今日の法の建前から申しますると、自治体警察であります。この自治体警察の長を、都の特別区の公安委員会の意見は聞くにいたしましても、総理大臣が最終におきましての人事の任免権を持つという事柄は、自治体警察の制度そのものに対するところの大きな変革であることは、これはもう間違いがございません。そこで私はこれをされるにつきましては、警視庁、特別区の警察は、国家警察であるべきか、自治体警察であるべきかという根本問題を検討されたかどうか、あるいはこの問題は触れないで、人事権だけ持つて行くならば、それで、この目的が達せられるとお考えになつての結論であるか、こういう問題につきましての法務総裁の御見解をひとつ承りたいと思います。
  56. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 この東京都の特別区の警察のあり方につきましては、鈴木委員なんかは大いに御検討くださつたことと私は了承いたしております。われわれとしても、この警察をいかにすべきかということについては、根本的な考えを持つべきはずでありますので、せつかく検討したのでありまするが、ただいまの段階におきましては、まずこの特殊の都市、私はいつも申し上げますように、日本の文化の中心であり、政治の中心であり、経済の中心であるべきこの東京都の特別区の警察を握つておる警視総監、これの任命につきましては、国家において最も関心を持つべきものであろううと考えております。従いまして、政府におきまして最も適当なりと考える人事をやるべきが、これまた治安の面から見て当然なことであろうと考えます。そこで内閣総理大臣が特別管区の国家公安委員の意見を徴して、そしてこれを任命するという形をとつたのであります。これによりまして、決して特別管区の警察の本質をかえるというような筋合いのものではなかろうかと考えます。
  57. 鈴木幹雄

    ○鈴木(幹)委員 私も、警視庁の管轄いたしまするところの特別区が、これこそ日本の主都であり、政治、経済あるいは文化におけるところの日本の中心である特殊の地位を持つたものであるということは、十分に存じております。かるがゆえに、私は警視庁というものの特殊の地位を考え、これを国家とのどういう関連においてするかということは、きわめて大きな問題であろうと思うのであります。政府の一部におきましても、この警視庁を国警の区域に編入するというような議論もあつたように聞いておりまするが、しかしながら今度はこの改正を自治体警察、国警という問題には触れないで、いきなり警視総監の長の任免権を総理大臣が取ろう、こういうことでありまして、法理的にこれを見て参りますと、国家公安委員会はこれには何らの関係がない、自治体の特別区の公安委員会も、意見は聞かれるだけである。そして一番重要な人事の任免権は総理大臣が持たれまして、運営管理も行政管理も、あげて都の公安委員会が掌握しようというのでありますが、これでもつて実際にうまく運営ができるものであるか。私は法の建前から申しますと、非常に疑問なきを得ないのであります。そこで私はこういうように考えるのであれば、国家公安委員会におけると同じように自治体警察に残すという意向ならば、特別区の公安委員会というものにつきまして、国家との関連を何かに持たせる方途を考えたらどうであろうか。私はいきなりこの問題に触れないで、警察長の任免権だけを、取ろうということに、法理的に疑問がありはしないかということを考えるものでありますが、あわせて御意見を承りたいと思うのであります。
  58. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 警察問題について根本的にこれを考えますと、まさに鈴木委員の仰せになるようなことも有力な御議論であろうと考えております。しかし現段階におきましては、この六十一條の第二の改正と相まちまして、日本の治安、ことに日本で最も重要な地位を占めておりまする東京特別管区の警察をかような建前にすることが、きわめて妥当であるとわれわれは考えておる次第であります。
  59. 鈴木幹雄

    ○鈴木(幹)委員 私はこの国警長官と特別区の長の任免権につきまして、公安委員会のそれぞれの意見を聞くに際しましても、総理大臣が任命することにおきまして、政府は治安の責任が完全なりというような見解をとられるといたしますならば、私は人事独裁の弊がここに生れて来るのではないかということを憂うるものであります。運営の面につきましては政府は何ら干与しない、公安委員会にあげて一任する、公安委員会の機能は全然阻害をされないというような御見解をとられております。しかも長に当る者の任免権をとつて行くだけで、治安の責任は内閣が十分に背負えるのだという御見解をとられるならば、言外におきまして私は人事におけるところの全部の掌握ができるという人事独裁の弊が現われるのではないかということを憂うるのでありますが、これは見解の相違のようでありますから、次の問題に移りたいと思います。  改正法によりますと、特別区の警察につきまして国庫は経費の一部を負担するという規定があるのであります。これは私は趣思といたしましては賛成でありまして、今日特別区の警察が担当いたしておりまする部門におきましては、国家的なものを警護しなければならないという警察目的も、多分に持つておりますので、かような意味合いからいたしまして経費の一部を国庫が負担するということは賛成であります。ただ改正法によりますと、警視総監の任命権をとつたかわり経費の負担が出て来るように出ておりますが、これは私は考え過ぎだろうと思うのでありまして、そういう意味で解釈をいたすのでありますが、その経費につきましては現に予算の面におきまして、どういう措置を講ぜられておりますか。また一部というのはどの程度の負担を考えておられますか、承りたいのであります。
  60. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 正確なる予算についてはまだきまつておりませんが、これは特別の平衡交付金とか、あるいは補助金とかいうような形でまかなつて行きたいと考えておる次第であります。
  61. 鈴木幹雄

    ○鈴木(幹)委員 次に実際の問題から私は法務総裁の御意見を承りたいのでありますが、かつての日本の警察は、いろいろな批判がありますし、含におきましても、見解はおのおの別であろうと思うのであります。ただ私が今日考えております一つの点は、かつて警察が時の政党により、あるいは党利党略によりまして、その人事を支配されることによつて警察そのものが腐敗をした。これは戰前における事実であります。これは内務大臣が地方長官の任免権を持ち、従つて警察部長以下の警察に対する全面的な指揮権を持つたところにある、その根幹は人事の任免であります。今度内閣総理大臣が国警長官と警視総監の任免権を持つということになりますと、私は先ほども申しますように、木村法務総裁がそういうことをされるということは、毛頭考えておりませんけれども、制度の上におきましてそのことを出して行きます事柄は、将来この端緒を開くのではないか。今後政党は大いに発達しなければなりませんし、同時にその弊害も考えなければならない。その場合に警察は常に強く正しくあつてほしいと私は思うのでありますが、かりに政党の色彩におおわれ、党利党略のために行くということになりまするならば、不偏不党の警察、いうものの確立はできない。殷鑑遠からず、戦前まで続いたところの日本の警察にその弊の一部が見られたことは、私どもも身をもつて体験したところであります。私は今度の警察法改正法案が、全面的に見まして、いろいろなところにおいて、日本の国情に合わざるところもあり、十分に検討しなければならなかつたのでありますが、これは占領治下におけるところのやむを得ざる條件のもとに成立したと私は思つております。ただ今度の改正の点におきまして、非常に重要な点は、今申しまする人事につきまして、政党内閣の今後予想される日本のあり方の中において、これを公安委員会という制度をつくつて、そうして公安委員会の任免権にゆだねまして、時の政府により、あるいは党利党略により、この人事権が左右されることを避けまして、不偏不党の警察を確立しよう、この一点は少くとも私は大いなる賛意を表していいのではないかと思うのであります。それを今回の改正によつて制度的にこの原則を打破ろうということにつきましては、私は賛意を表しかねる点が多々あるのでありますが、こういう問題につきまして、法務総裁はどういうようにお考えになつておりますか、御意見を承りたいと思うのであります。
  62. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 ただいまの御議論私はしごくごもつともと考えております。かつての日本の警察におきまして、人事権を掌握して、そうして時の内閣が警察権を自分の手に攻める、それがため党利党略があらゆる面において行われたという事実と照し合せますと、人事の問題はよほど注意しなければならぬということは、しごく同感であります。しかしこの法案におきましては、内閣がすべての警察の人事を持とうというのではないのであります。警察運営面においてきわめてスムースにこれを行いたいという、ただその意思のもとに国警本部長官は内閣総理大臣が任命する。もとよりこの場合は国家公安委員の意見を徴してやることになつております。また特別管区の警察長については、特別管区の公安委員の意見を徴して、総理大臣がこれを任命するという形をとつておるのでありまして、この間に総理大臣と国家公安委員並びに特別管区の公安委員と十分の調節をはかつて行きますと、さような人事の壟断ということチェックでき、また実際上かくのごとき民主国家になつた以上は、政府が気ままな人事を行い得るとは、私は考えていないのであります。あらゆる面から見まして、内閣が人事権を掌握するというような弊害は、まずないものと考えておるのであります。
  63. 鈴木幹雄

    ○鈴木(幹)委員 任免の問題はこの程度で打切りまして、総理大臣指示の問題であります。これは同僚議員からも質疑がありまして、災害であるとかあるいは重要な犯罪について限定するというような御例示があつたようでありますが、私のお伺いいたしたいのは、これをもつて人事に関与するというような指示を含んでおりますかどうか、この一点であります。  もう一つは、指示というものはこの法案によりますと、指示をすることができるというだけでありまして、尊重をしなければならないという規定もなければ、指示に違反したような場合においても、何らの制裁的な規定もない。そうすると、これは勧告ということと事実上どういう相違があるのであろうか。またこのような、尊重しなければならないとか、あるいは義務づけるというような規定の必要はないか。こういう点につきまして、御意見を承りたいのであります。
  64. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 内閣総理大臣が、この警察法の一部改正によりまして、人事権を持とうというようなことは絶対にあり得ないと私は考えております。六十一條の二の規定の改正は、もとよりこれは警察運営管理に関することでありまして、行政管理には何らタッチいたさない建前をとつております。従いまして、人事権につきまして総理大臣指示するというようなことは、法規の建前上あり得ないと私は解しておるのであります。  それから指示と勧告の点でございますが、指示は勧告とは本・質においておのずから異にしておるのでありまして、指示に従わなければ、もとよりこれは行政的の問題となるのであります。しからばこれについての手当、いわゆる強制的の方法は何かとつておるかという御質問のようでありますが、法の建前といたしましてはとつておりません。しかしながらわれわれの考えといたしましては、いやしくも指示のあつた以上は、必ずそれに従われるべきものであるという考え方をとつておるのであります。この場合において強制的の手段、すなわち罰則とか何とかいうふうなものを設けることは、かえつて事を円満にいたすことにさしつかえがあるのじやないか。むしろそういうような強制手続の方法をとらずに、自然にまかせておく方が、法の運営においてきわめて妥当であろうと考えておる次第であります。
  65. 鈴木幹雄

    ○鈴木(幹)委員 六十一條の二の改正案は、特に必要があると認めるときは意見を聞きまして、公安維持上必要な事項について指示をすることができると書いてあるのであります。この解釈は、ただいま法務総裁の説明によりますと、行政管理を含まない運営管理である、こういうような説明でありまするし、また私もそうでなければならぬと考えておりますが、ただこの法文の書き方だけから申し上げますと、あの警察長ではどうも公安保持ができないのだ、こういうことになれば、それもできるような解釈ができるのではないかということを、私は心配いたすものでありますが、これは意見でありますから、これ以上のことは申し上げません。  最後に一つ私は御意見を伺つてみたいと思いますのは、御承知の通り警察法が今日の法として成立いたしましてから、四年以上の月日がたつておるわけでありますが、これは昭和二十二年にマッカーサーの書簡といたしまして、ほとんど指令の形をもつて出されたものであることは御承知の通りであります。これは内部的にも意見があり、相当愼重な審議の上に出されましたけれども国会におきましても私は相当な意見があつたと思うのであります。そうしてとにかく一応の成案ができ、今日のごとく国家地方警察と自治体警察二つの制度が確立をいたしまして、今日に及んでおりますが、警察法改正は、そのうちにおきまして基本的なものは、昨年に行われた町村警察の廃止が、住民の意思によつてできるという一点が重要であるだけでありまして、他の点については触れておりません。今回は総理大臣が任免権を持ち、指示権を持つことによりまして、治安の責任は内閣にあるということを明確化しようとする改正でありますが、これにつきましても、私はなかなか全面的に御同意を申し上げることができないのは、きわめて遺憾でありまするけれども、とにかくそういう試みが企てられているのであります。そこで私の申し上げたいのは、今日におきましては、すでにこの新しい警察制度について批判をするのに、十分なる経験と実績を持つたと私は思うのであります。このマッカーサー書簡によるところの警察制度を、新しい独立後の日本といたしましてどう考えるか、これは私は大きな一つの問題だと思います。治安の状態も著しくかわつております。こういうときに、政府におきまする今回の改正についての御説明によりますと、根本的な問題はまだ取上げていない。今度の改正についてもその方法は出ておらぬ、こういうような御説明のように拝聴いたすのでありますが、すみやかに警察制度の審議会と申しますか広く知識を集めまして、天下の輿論を聞いて、新しい警察制度はかくあるべきであるという指針を出すだけの考え方を持つておいでになりますかどうか。あるいはすでに政府にその用意ありと仰せられるならば私はけつこうであります。またそれをすみやかに実行に移さんことを望むものでありますが、用意ないというならば、私はそういうようなことをお考えになつておるかどうかということを、御意見として承つてみたいと思うのであります。
  66. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 今鈴木委員から仰せなりましたように、現在の警察法はマッカーサーの指示によつてできたものであることは明らかであります。私どもから見て、非常に難解な警察法考えております。そこでこの警察法が、はたして現在の日本において適当しておるかどうか、これでもつて日本の当面の治安が維持できるかということにつきましては、相当考慮を要するものもあろうと考えております。そこでわれわれといたしましては、この警察法について十分な検討を加え、将来日本の警察機構はいかにあるべきかということについて、一段の創意工夫をこらさなければならぬ時期が来ておると考えております。そこでわれわれの考えといたしましては、審議会でも将来設けられまして、今鈴木委員の仰せになりますような構想のもとに、ひとつ根本的な警察機構を再検討しいただいたらどうか、というような気持は十分持つておるのでありますが、ただいまこれを具体的にどうするかということについては、申し上げる段階に至つていないことを遺憾といたします。
  67. 金光義邦

    金光委員長 立花敏男君。
  68. 立花敏男

    立花委員 法務総裁にお尋ねいたしますが、今回の選挙法改正がまつたく反動的なものであるということは、議論の余地がないほど明白なので、その点は触れなくともいいと思うのですが、こういう反動的なものをお出しなつた意図について聞いておきたいのですが、もちろんこれは、アメリカから日本に押しつけられておりますいろいろな軍事基地、植民地政策を強行することは明白なのですが、もう一つ選挙対策の意味をお持ちになつておるのではないか、これをお尋ねしておきたいのであります。さいぜんからも私が選挙管理委員会の方に聞いておりましたように、選挙管理委員会が廃止されまして、選挙管理委員会の長を総理がかつてに任免できる、あるいは総理が任命いたしました自治庁長官がやるということになりまして、選挙全国的な運営管理総理大臣が握つてしまつている。ところがやはり同じときに出して参つております警察法で、上から下まで総理大臣が握つてしまうわけなのですが、これも選挙対策じやないか。明白に選察対策です。選察の運営管理を掌握し、さらに直接取締りに当る警察を掌握する。これは明白なのですが、何かこれに対する弁解がおありになれば聞いておきたいと思います。
  69. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 今立花委員の仰せになりましたようなことは断じてありません。選挙対策などということ価絶対にないということを私は確言いたします。
  70. 立花敏男

    立花委員 これは選挙をやつてみたらすぐわかることなのですが、明らかにお出しになりました選挙管理委員会をなくするという法案、あるいはこの警察法改正、あるいは選挙法の改悪、これら一連のものをながめますと、非常にあわてて選挙対策関係法案を整備なさつておると思う。だから今改進党が指摘されましたように、公安委員会の機構の改変という方法もやらないで、そのものずばりという言葉がありますが、すぐ総理大臣が各長官を握つて参る、これは国民の思惑も、考え方も何も考慮しておるひまがない。いつ選挙が来るかわからないので、非常にあわててやらなければならないということを、最も明瞭に暴露せられておると思いますが、そういうことはないと言つておられますので、選挙があるまで待つてひとつ選挙のときに拝見させていただきたいと思います。  それからかつてあなたはこの委員会に来られまして、警察の一本化は理想であり、希望である、しかしそれは機構上の改正をやつて、自治警と国警を一本にするというような人目に立つようなことはやらないで、人事の交流によつて、人事を握ることによつて、一本化の機能を有機的にやつて行きたいということを言われましたが、そのことをお覚えになつておられるかどうか、またその意図に従つてこの警察法改正案をお出しになつたのか。警察法改正案によりますと、人事を握つてしまつて長官をみな握つてしまつて、それで警察を統一して行こう、人事の面から統一して行こうということは明白なのです。そこでかつてあなたが言われたことを思い出しまして、ははあ、ああいうことを言つておられたので、こういうことをやられたのだということが明白なのですが、その意図があるのかどうか。
  71. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 私の申し上げた意味はそうではありません。むしろ私は警察の集中ということは、大いに排除しなければならないということを申したので、ただ警察運営の面において、その間の連絡調整は十分とつて行くことによつて機能は発揮できるものである、こう申したのであります。さようにして警察法改正におきましても、将来やはり円満のうちに調整をとつて行きたい、こう考えております。
  72. 立花敏男

    立花委員 政府が治安の責任を持つということは、警察を増強することだけだというふうにお考えになつておるかどおか。そうではない、そんなフアシヨ的なことを考えていないと言われるならば、その他の対策をお示し願いたい。
  73. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 先ほど鈴木委員の御質問に対して答弁いたしました通り、国家の治安というものは警察だけで維持できるものではない、すべての施策と相まつてやるべきである、こう申したのであります。警察はその一部分のものであろうと、われわれは考えております。しかし当今の社会情勢を考えますと、警察機能というものは十分に発揮せざるを得ない、また発揮することが妥当であろう、こう考えておるのであります。
  74. 立花敏男

    立花委員 その他の施策のことも考えておられると言われると、非常に内容があいまいなのですが、そのことは破壊活動防止法を出すことであり、刑事特別法をつくることであり、あるいは昨日通りました裁判所侮辱制裁法をつくることであると、言われるのか、もつと国民生活を安定して、日本の平和を維持するための政策をおやりになるということを言われるのか、この点ひとつ具体的に明瞭にしていただきたい。
  75. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 それはすべての施策にわたつてのことであります。破壊活動防止法もその一部でありますが、さような法案のみをもつて日本の治安が完全に維持できるとは考えておりません。すべての施策と相まつてやるということを考えておるのであります。
  76. 立花敏男

    立花委員 ちよつとこまかいことを聞きますが、このごろ警察官が国民をどんどん射殺しておりますが、武器の使用はどういう法律に基いておやりになつておるのか。
  77. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 それは警察官等職務執行法に基いてやつております。
  78. 立花敏男

    立花委員 警察官等職務執行法の中に、催涙ガスを使つてもいいという規定が何條のどこにありますか承りたい。
  79. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 催涙ガスとは明記しておりませんが、それも武器の一つ考えております。
  80. 立花敏男

    立花委員 これはどこにも規定されておりません。こういうどこにも書いてないような武器を、どんどん使つてもいいのかどうか、これをひとつ明確にしていただきたい。きようの朝日新聞かを見ますと、警察予備が八十一ミリの迫撃砲を持つということが規定されてあつたのですが、警察というものは何を持つてもいいのですか。
  81. 谷口寛

    ○谷口政府委員 便宜私からお答え申し上げます。ただいま催涙ガスの問題につきまして御質問がございましたが、これは先ほど総裁から御説明がありましたように、警察官等職務執行法第七條の武器に入るという理解のもとに、必要な場合に行使しておる次第であります。
  82. 立花敏男

    立花委員 だからどんな武器を使つてもいいのかということを言つているのです。八十一ミリの迫撃砲を持つても、あるいは重爆撃機を持つても、場合によつては細菌彈を使つても、あるいは原子爆彈を使つてもいいのか。
  83. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 それは時の情勢によるべきものとわれわれは考えております。
  84. 立花敏男

    立花委員 これは非常に重大な問題なので、その点は明確にしてもらいたい。現在国民が射殺されておるような武器をどんどん使つておる。これは何ら法的な根拠がない。今聞いてみますと、非常に漠然たる根拠で、何を使つてもいいということになる。だからきようの朝日新聞に出ております八十一ミリの迫撃砲を持つということが規定されておりますが、国民一体こんなものを持つてもいいのかを疑わざるを得ない。日本の憲法によつて、日本は再軍備を廃止して、すべての武器をつくらない、持たないということを規定されておる。ところが警察だけはどんどん八十一ミリの迫撃砲を持つてもいいといつたことは、一体何に基いておるか、法律に根拠のないことを警察がやつていいのか。法律が不明確であり、何ら規定を利用して、何をやつてもいいのか。
  85. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 それは警察では持たせておりません。
  86. 立花敏男

    立花委員 警察予備隊じやないのですか。警察予備隊は警察の職務を補助代行するものであつて、明らかに警察予備隊をつくるときは、そういう説明を聞いたのです。これが軍隊であるといえば別ですが、予備隊令の第一條によつて警察の補助部隊なんだ。そうでしよう。軍隊なんですか。これはどうなんです。
  87. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 現在警察ではそれは持たせておらないのであります。将来できるべき保安隊において、それを持つことを今計画しておるのであります。
  88. 立花敏男

    立花委員 そうしたらもつと具体的に聞きますが、催涙ガスという毒ガスは使つてもいいのか。それはどの法律に基いてお使いになつておるのか。
  89. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 これは今申し上げました警察官等職務執行法に基いて持たせておるのであります。
  90. 立花敏男

    立花委員 あの催涙ガスは、目が痛くなるだけではなくて、あの空気を吸い込みますと肺がやられまして、たいへんなことになるのですが、催涙ガスだけではなくて、窒息性のガスを使つても、現在の警察官等職務執行法の武器の中に入るので、これはあたりまえだということを言われるのかどうか。
  91. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 暴徒がいろいろ兇悪なる武器を使用しております場合において、これに対処すべき方法としてさようなものは必要であるものであると考えております。
  92. 金光義邦

    金光委員長 木村法務総裁は何かはかにお約束があるそうでございますので、簡単でございましたら続けていただくことにいたしまして……。
  93. 立花敏男

    立花委員 暴徒の話が出ましたが、私は暴徒のことを言つておりません。警察のことを言つておるわけなんで、暴徒が出ようと出まいと、警察の仕事、あるいは警察の持ちます武器は、法律によつて明白になつていなければならない。ことに人殺しの武器などは明白になつていなければならないと思うのですが、何を持つてもいいというお考え方なのか、これを明白にしておいていただきたい。今は催涙ガス等が国民の目の前に現われて来ておりますが、そのほかに何を持つているかわかりませんし、きようの新聞のように、八十一ミリの迫撃砲までお持ちになると、これはほつておけない問題になる。からこれは何の根拠に基いてこういうものをお持ちになつているのか、ひとつ明白にしてもらいたい。  それから木村さんがすぐお帰りになるようなので、もう一つ質問をあわせてしておきますが、ピストルは一体どこから持つて来たのです。
  94. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 そういう出所は申し上げることはできません。今催涙ガスのことが出たから申し上げておきます。催涙ガスはふだんは持つていないのであります。ああいう暴徒が兇悪なる武器を持つて傷つけようとする場合に、やむを得ず使うのでありまして、ふだんには絶対に警察官はさようなものは持つておりません。
  95. 立花敏男

    立花委員 ピストルのことは返事ができないのですか。
  96. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 そういう出所は申し上げることはできません。
  97. 立花敏男

    立花委員 なぜできないのです。日本人は、警察は自分たちの身体、生命、財産を保護し、しかも警察法従つて自分たちに奉仕する警察だと思つている。ところが、それの持つている武器が一体どこから持つて来られたのか、国民に公表ができない。国会でも答弁ができない。私ども国会議員として、あなたに対して国会において正式に質問しておる。しかもあなたはそれに対して答弁する義務がある。ところがそれに対して、ピストルをどこから持つて来たかということがなぜ答弁できないのか。(「必要なし」と呼ざ者あり)なぜ必要がないのか、明白にしていただきたい。
  98. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 答えます。もとより。ピストルは日本国家のものであります。日本の所有物であります。その所有物を警察官に使わせておるのであります。出所はそれであります。
  99. 金光義邦

    金光委員長 立花委員ちよつと申し上げますが、ただいま国家公安委員長の青木均一君も見えております。また大臣に対する質疑の通告をなさつておられる方が、五人ほどおいででございます。みな簡単に済むそうでありますので、あとで御質問つていかがでしようか。
  100. 立花敏男

    立花委員 これだけで終ります。国家の所有物と言われましたが、いかなる経路でピストルを国家の所有物になされたのか。その代金はどうなされたのか。どこで製造されたのか。それをひとつはつきりしていただきたい。
  101. 金光義邦

    金光委員長 その点は後刻明瞭にされたら、いかがでしよう。
  102. 立花敏男

    立花委員 かつて私がここで質問いたしました場合に、これはアメリカから借りておるのだということを、はつきり言つてつた。国家の所有物だということを言つていない。それは占領中のことだ。占領が解除されたとあなた方が言つておる今日において、一体この武器をどこから、どういう形で持つて来たか。国家の間で重大な武器が取引される場合には、国会の承認を得てこれを明確にされなければいけない。しかもそれは代金の伴うことなんだ。答弁できないのか。(「答弁の必要なし」と呼ぶ者あり)しないとは一体どういうことなのか。わからないというのか。わかつてつても拒否するというのか。それを明白にしてもらいたい。
  103. 谷口寛

    ○谷口政府委員 私からお答え申し上げます。現在ピストルは警察官が真に必要やむを得ざる場合に使用いたしておりますが、これは先ほども申し上げました通り警察官等職務執行法という法律の七條に基きましてこれを持ち、かつ七條の許容の範囲において、使用をいたしておるのであります。
  104. 立花敏男

    立花委員 そんなことを聞いているんじやない。それはわかつている。それに基いて国家地方警察本部基本規程があつて、そのうちに武器の規定があるわけだ。拳銃または警棒、捕縄、手錠、こういうようにちやんと執行法に基いて規定ができているわけだ。ところがこれには催涙ガスはない。執行法では非常に漠然と規定してあるのがここにこまかく規定してあるが、催涙ガスは脱けている。そういうものをどんどん使つていいのかどうかの問題である。それはさつきから非常に馬鹿げたことだということはわかりましたからいいのですが、その後の問題です。今どこから拳銃を持つて来て日本人を殺しているのか、何に基いて、どこの機関の承認を得て——もつとこまかく言いますと、いつ、いかなる形で国民の承諾を得たのか、議会の了解を得ているのかということを聞いている。そうじやないと、まつた警察というものはでたらめなんで、何をやつてもいい、どういう武器を持つて来てもいい、外国人と結託して外国からどんどん武器を持つて来て治安を乱してもいい、こうなつて参りますと、暴徒々々ということを木村氏は言つておられますが、どつちが暴徒かわからない。国会を無視し、法律を無視し。外国と何らの協定なしに、こういう武器をどんどん持つて来るというに至りましては、これは重大問題だと思う。たとへば、ヨーロッパにおいてもアメリカの武器がどんどん入つておりますが、あれは明らかに北大西洋軍事同盟によります武器貸与規定に基いて、やはりちやんと條約なり、協定ができて入つている。ところが日本の場合はそうじやない。まつたく何らの根拠なしにどんどん使つている。しかも今木村さんの言われるところでは、国家の所有物と言われますが、警察予備隊の武器がいつ、いかなる形で国家の所有物になつたのか。政府は、これは日本に軍隊がないので武器貸与法が適用されない。アメリカ軍が捨てたものを拾つて来たのだという、馬鹿げた、人を食つたような説明をしているようですが、そんなことではもう国民はごまかされない。この問題はもつと明白にする必要がある。この問題こそ、日本の現在の政府あるいは弾圧機構が、完全に国民の反対物である、しかもアメリカに従属しているものであるということが明白だと思う。だから、あなたが国家の所有物であると言われるなら、いかなる径路を経て、いかなる代価を払つて、いつ国会の議決を経て、これを国家の所有物にしたのか、それを明白にしていただきたい。……
  105. 谷口寛

    ○谷口政府委員 警察の持つております拳銃につきましては、占領中にアメリカ軍から貸与せられたものであります。それを現在継続して使用いたしております。この七條による武器の解釈につきましては、所有の関係のいかんということについては問題になつておりませんので、現在そのものを継続して必要な場合に使用いたしております。
  106. 金光義邦

    金光委員長 立花君、まだありますか。
  107. 立花敏男

    立花委員 まだだなんて、答弁が違うじやないか。木村法務総裁は国家の所有物だと言つているが、あつちの、だれか知らぬが、アメリカ軍から借りたものを使つているのだと言つているので、この問題をはつきりしていただかなければ、これは問題だと思う。
  108. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 私はその後もらつたものと了承しております。
  109. 金光義邦

    金光委員長 どうですか、この問題はあとでまた……。
  110. 立花敏男

    立花委員 政府答弁が食い違つているじやないか。     〔「進行々々」「答弁しろ」と呼び、その他発言する者多し〕
  111. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 私は答弁しております。もらつたものと了承しておる、こう言うのです。
  112. 立花敏男

    立花委員 いつもらつたのですか。これはかつてにそういうものはもらえないので、ちやんと国家同士の約束があるはずなんで、公文書があるはずだ。あなた一人もらつた言つても、片一方は借りているのだと言つているのであるから、それを明白にしなさい。
  113. 金光義邦

    金光委員長 どうでしよう、この問題はあとで委員会として調べることにして……。  次に門司亮君。
  114. 門司亮

    門司委員 私はこの機会にこの法案の施行にあたつてちよつと聞きたいと思いますが、従来日本には警察関係主管の大臣がいないのであります。木村法務総裁は一応主管の大臣というような形で、予算あるいはこういう法の改正等には当られておりますが、実際の木村法務総裁の立場からいえば、この行政警察というものを握られるということは私は少しおかしいと思う。いわゆる検察陣営を握つておられて、行政警察まで握られるということになつて参りますと、法の建前からいつても、三権分立の形の上からいいましても、木村法務総裁がこれを握られているということは妥当でないと思う。従つてこの法案が通過いたしました後に、内閣がはつきりとした治安の責任を持つということになつて参りますと、必然的に出て来るものは、主管大臣にだれが当るかということになると思いますが、今木村法務総裁が主管されておるようではありまするが、別にこれに対して主管大臣をお定めになるようなお考えがあるかどうかということをお伺いしたい。
  115. 木村篤太郎

    ○木村法務総裁 ごもつともな御意見と考えております。その点についてはよく愼重に考えます。
  116. 門司亮

    門司委員 愼重に考えますという答弁でございますが、この法案は通過すればすぐ発足するのでございまして、少くとも今日日本の治安の問題が非常に大きな問題になつておりますときに、この治安の機構の根底をくつがえすような、いわゆる従来の民主的な警察のあり方が、国家の権力警察にかわろうとするような非常に大幅なかわり方をいたしまするときに、政府の態度はこれを主管するものがどうなるかということがきまつていないというようなことであつては、私どもはこれを審議するということについて、躊躇せざるを得ないのであります。先ほどから申し上げますような理由で、木村法務総裁が主管しておるということはどう考えても少しおかしい。従つて別個に警察大臣といいますか、あるいは治安大臣というようなものを必ず置かれることが、常道ではないかと思いますが、そういうことをはつきりこの際御答弁を願つておきたい。  あわせて聞いておきたいと思いますことは、そうなつた場合の保安庁長官との関連でありますこれについても、保安庁長官は、もちろん大臣が当ることになつておりますので、一方においては保安庁長官が大臣として当り、一方の警察行政に対しては、ほかの大臣が当られるということになつて参りますと、日本の治安機構というものは、二元的になつて来る危険性を持つております。危険性というよりも、事実上そうなつております。日本の今日の憲法の建前から申しますならば、国内の治安維持というものが主として行わるべきであつて従つて政府に二元的の治安関係の大臣がいるということは、憲法の建前から申しましても、私はちよつと承服できないような形になると思いますが、政府はそういうように二元的の治安機構の建前をとられるのかどうか、この点をお答え願つておきたいと思います。
  117. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 その点については、ただいま政府におきましても愼重考慮中であります。まだ結論には達しておりません。
  118. 金光義邦

    金光委員長 藤田君。
  119. 藤田義光

    ○藤田委員 先日の質問の残りを簡単にしたいと思います。非常に抽象的な質問で恐縮でございます。木村法務総裁にこの際、警察権の限界をどういうふうに解釈されているか、簡單に承つておきたい。
  120. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 これはいろいろ学説上も議論がおりましようが、警察法第一條に掲げておりますように、すべての日本の治安確保に対して、その責任に当るべきものであろうとわれわれは考えております。
  121. 藤田義光

    ○藤田委員 従来のポツダム政令による予備隊令第一條には、予備隊は国警と自治警の補助機関として設立されておつたことは、事実であります。ところが、過般本院を通過いたしました保安庁法案によれば、そういう規定が全然ございません。ただたしか六十一條と記憶いたしておりますが、非常事態の場合に全部また一部の出動を総理大臣が命ずるという規定だけでございまして、保安庁法に基く保安隊及び海上警備隊というものの目的なり、存立の根拠に関する規定がまつたくございません。この点は警察を担当される大臣といたしましても重大な関連がありますので、保安庁法案に規定がない点をどういうふうに解釈されておりますか、この際承つておきたい。
  122. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 その点については私はこう考えておるのであります。この警察法に定められました警察というものは、これは通常の場合において国家治安の任に当るのでありますが、時代の進運に伴いましてと申しましようか、国内の様相が非常に昔とかわつておる、治安の面におきましても非常に憂慮すべきものがある、その観点から見まして、保安隊というものは設置されたものと考えております。もとよりその本質につきましては、国家治安に任ずることは当然でありますが、その間の分担において相当の差違があろうと考えております。
  123. 藤田義光

    ○藤田委員 具体的に非常事態が生じました際におきまして、国家警察を担当される木村さんと、それから保安際を担当される国務大臣の間に、権限の紛淆を来すおそれはないか、これはどういう点で線を引かれるか、完全に保安隊と一般警察とが混乱した状態において、指揮系統その他がはつきりしないままで治安の維持に当られるのか、あるいはその間にあつては政令かその他で、何か特殊の規定でも用意されますか、どうですか。この点がはつきりいたしませんと具体的に非常事態が起きました際に国家警察と保安隊の間に非常に権限の紛淆を来すんじやないか、これは差迫つた問題でありますので、お伺いしておきたい。
  124. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 御承知の通り、国家非常事態の場合においては、国家公安委員会の勧告に基いて、総理大臣が非常事態宣言をいたしまして、全国警察が一本にまとまるわけであります。この保安隊の出動の場合におきましても、総理大臣が緊急やむを得ざる必要がある場合においては、出動を命ずることになつております。ひとしく総理大臣が出動を命令する建前になつておりますので、その間における調節は十分とつて行けるものと、われわれは考えております。
  125. 藤田義光

    ○藤田委員 法務総裁の御答弁は国家非常事態と非常事態、まあ多少違いますが、大部分重複しておる。その重複した場合に、いずれも総理大臣が指揮するから、その間の紛淆はないというふうな御答弁に解釈してよろしゆうございますか。
  126. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 その通りでございます。
  127. 藤田義光

    ○藤田委員 時間がございませんし、質問者が多うございますから、あと一、二点簡単にやりたいと思いますが、この際お伺いしたいのは、ソ連代表部の資格でございます。これが外交的な特権を失いましたときに、国家警察等の捜査権は、現実にありますソ連代表部の施設に対しても行使できますかどうか、この点を日本の主観的な立場によりまして、代表部の資格を、いわゆる外交特権を日本の立場から剥奪した場合に、その施設内の捜査権はどういうふうになるかということを、この際お伺いしておきたいと思います。
  128. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 法律的にはまさに日本の警察権は及ぶだろうと思いますが、これは国際慣行によりまして、その場合においてはすべて連絡をとりましてやることになろうと考えております。
  129. 藤田義光

    ○藤田委員 どういうふうな連絡をとりますか、二、三日前の新聞には地下にもぐりました共産党幹部の所在が、少しわかりかけたという報道もございます。こういう問題に関連しまして、ソ連代表部の外交上の特権の行方というものに対しまして、全国民が非常な関心を抱いております。それで連絡されますのは、代表部という資格を喪失しておれば、代表者というものもなくなるわけでございますから、この点はどういうふうにされる予定でございますか。
  130. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 その点についての取扱いについて、ただいま検討中であります。
  131. 藤田義光

    ○藤田委員 その際におきまして、代表部に勤めております職員の宿舎でございます。現在ソ連代表部のあります施設外に宿舎を持つておる、これはソ連の公的な施設でございます。これも同列に扱われる予定でございますか、お伺いいたしたい。
  132. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 それは国際慣行等を考慮いたしまして、ただいま検討中でおります。
  133. 藤田義光

    ○藤田委員 これは非常に重大な問題でありますので、いずれ検討された結果をお聞きしたいと思いますが、最後にいま一点お伺いしたいのは、日米安全保障條約の前書に、日本が防衛力を持つまで、駐留軍が駐屯するということが書かれてあります。これに基いて日本の防衛問題が、非常に緊急性を持つた重大問題となつたわけでありますが、防衛力を持つまでは駐留軍が駐屯するということになりますと、当然法務総裁としてあるいは国警担当の国務大臣として、この防衛力の具体化に関しまして、具体的な構想をすでにお持ちになつておるんじやないか、この際この防衛力の問題に関しましては、保安隊あるいは海上警備隊の担当者にまかせるのでなくて、法務総裁、国警担当国務大臣として、重大な関心を持つておられるということは、常識的に想像されますので、日米安全保障條約の前書のいわゆる防衛力に関しましては、閣議等でどういうふうに研究されておりますか、あるいは木村さんとして構想を持たれておりますか、この際お伺いしておきたいと思います。
  134. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 もとより安全保障條約に基きまして、アメリカは日本に駐留軍を置いて、そうしていわゆる日本に対する直接侵略の防衛の任務に当るのであります。日本国内自体の治安維持については、駐留軍は何ら関與いたしません。まつたく日本独自の警察によつて、これを保持して行く建に前なつております。そこでアメリカといたしましては、いわゆる日本の自衛力の漸増ということを申しておりますが、自衛力、これは直接侵略に対しての自衛力でありますが、それらが日本に完備することの一日も早からんことを、こいねがつておるわけであります。日本といたしましては、財政面その他あらゆる面から見まして、これはなかなか容易ならぬ問題であります。要するにこれは再軍備と関連した問題であろうと私は考えております。はたして日本が今ただちに憲法を改正して、再軍備をすべきかどうかということについては、これは容易ならぬ問題であるのでありまして、政府といたしまして、その点について十分な検討中であるということを申し上げておきます。
  135. 藤田義光

    ○藤田委員 最後でございますが、その問題に関する木村さんの御答弁非常に重大でありまして、今後いろいろ問題を生ずると思いますので、重ぬて質問をいたしておきますが、この日米安全保障條約の前書に、いわゆる防衛力というものは、直接侵略を前提としたものである、再軍備に関連するということを言われておるが、私は現在の保安隊あるいは海上警備隊、国家警察、いずれも治安の中心は第五列と申しますか、間接侵略をいかに処理して国家の治安を確保するかということに集中さるべきである。直接侵略ということを前提にすることは、むしろ日米安全保障條約の前書の、いわゆる防衛力の全部ではない、一部であつて、間接侵略も日米安全保障條約の前書の防衛力のうちに含まれておる。そうすることによつて保安隊とか、あるいは海上警備隊というものも憲法上から合法化できるんじやないかというふうに考えております。間接侵略をいかに鎮圧するかということが、現在の防衛力を考える場合、最大限の問題でなくてはならぬと思いますが、この点重ねてお伺いいたします。
  136. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 間接侵略に対しては、駐留軍の力によらずして、日本独自の警察によつてこれをまかなうことが至当であり、また当然なことであろうと考えております。もとより間接侵略の場合におきましても、日本の要請のある場合においては、駐留軍はこれに当ることができる法律上の條約による建前になつておるのであります。しかしわれわれといたしましては、さような場合においては、日本国民自体において、これを処理すこるとが当然であり、またさようでなくてはならぬと考えます。
  137. 床次徳二

    床次委員 政府は国警長官任命制によりまして、責任の所在を明らかにしたいということを言つておられますが、最近承るところによりますと、この任命制に対しましては修正を持つておられる。すなわち総理大臣の同意を得て、これを選任されることを政府は意図しておられるそうでありますが、かかる考え方に対して、責任を負えるものとして御同意なさるお考えでありましようか、いかがでありましようか。
  138. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 われわれは政府原案が最も可なりと考えて、提案したのであります。しかしながら委員会においてこれを御検討いただきました結果、これがどうなるか予測することはできませんが、われわれといたしましては、原案を可なりとして提案した次第であります。
  139. 床次徳二

    床次委員 ただいまの御答弁は、修正をしても政府が責任を負えるのだというふうに肯定しておられるように思いますので、次の問題を承ります。今日の警察法改正によりますと、直接政府が責任を負い得るものといたしましては、ただいまの任命制の問題、もう一つ指示権の問題であります。ところが指示権の実際を伺つてみますと、国家重大犯罪に限つた数個の例をあげましたが、大体かかる場合において指示権が発動するのであります。従つて指示権の関係から見て参りますと、かかる国家的犯罪と申しますか、相当大きなものだけについて、警察上の責任を政府が負うという形になつておるのであります。一般小さな犯罪につきましては持たないというような解釈も逆にできるのだと思いますが、しかしこれは任命制、あるいは同意による選任制によりまして、やはり小さい意味警察行政の責任も持つのだというお考えでありますか。この点を明らかにしていただきたいと思います警察法上明らかにせんとする政府考え方は、国家的犯罪だけに責任を負おうとするのか、あるいは警察対象全体について、今回の改正によつてこれを新たに負おうとするお考えであるか。この点をお伺いいたしたいと思います。
  140. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 もとより六十一條の二において明記いたしておりますように、国家の公安維持上、必要な事項についての指示でありまして、きまつた点までそれを指示してどうするということは、あり得ないことだと考えております。
  141. 八百板正

    ○八百板委員 警察法の一部改正の趣旨は、提案の理由によりますと、内閣の責任を明らかにすることと、治安の確保に資するという点がうたわれておるわけであります。従つて当然に、警察法の一部改正にあたつては、内閣の責任を明らかにするという機構的な裏づけと、従来のままでは治安の確保ができない、これを総理大臣が任命すれば確保ができるということになるだろうと思うのでありますが、その点について私どもは、はたして総理大臣の任命になつたならば、治安が確保できるかどうかという点については、これだけで了承するわけには行かないのであります。総理大臣の任命でなかつたかために、治安の確保ができなかつたという理由を、ひとつ何らかの具体的な事例を通じて御説明をいただきたいと存ずる次第であります。
  142. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 この法案によつて全面的に日本の治安が確保されるなんということは考えておりません。ただかような法案によりまして、従来よりか警察運営が十分にスムースに行く。そうして本来治安確保の任に当るべき政府が、よりよく警察面において十分な機能を発揮し得られるという確信のもとに提案したわけであります。もとよりこれでもつて全面的に日本の治安が確保できるというようなことは考えていないのであります。
  143. 八百板正

    ○八百板委員 今日の警察の実態から申しまして、治安の確保を期するためには、総理大臣の任命によつて命令、指揮統系を一本化することによつて期待するよりも、警察自体の質的向上というようなことによつて期待せられる面の方が、はるかに多いと私は思うのでありますわれわれの党はいわゆる戦争放棄の憲法を支持し、従つて武力行使というものを否冠しておるのでありまするが、そういう立場に立つておりまする以上、われわれは警察の民主的な運営によつて、治安の維持に期待するところがまことに多いのであります。しかしながら今日の警察運営を目のあたり見ますときに、私は正直に言つて最近警察官はきらわれていると思うのであります。一ころ警察官は非常に民衆から愛されるような傾向を持つた時期もあつたのでありますか、最近においては概して何となくきらわれておるという傾向があるわけであります。また現に治安担当の警察官が、学生と四つに組んでけんかをするようでは、とうてい信頼を受けることはできないのでありまして、今日ほんとうの意味で治安の確保をはかりますためには、信頼を受ける警察官をつくり上げるということが、一番必要だろうと思うのであります。先ほど来問題にたつておりまするピストルの問題にいたしましても、ピストルの公正なる使用についての十分の指示を与えるとか、あるいは警察官としての職務の執行ついて、警察法で定めておりますところの基本的な個人の自由及び権利の干渉にわたる等の職権の濫用をすることがあつてはならないというような点について、十分基礎的な訓練をする。こういうような点にこそ、治安確保の正しい意味の道があるのであつて、そういうことによつてのみ治安の確保は期せられるのである單に機構的に警視総監を総理大臣が任命するというような警察法改正によつて、あなた方の期待するような治安の確保はできない私は考えるのであります。従つてそういう意味合いにおいて、学生と四つに組んでむきになつてけんかをしないような、もつと知性の高い信頼される警察官をつくるためのくふうこそ、警察法改正の対象の問題として取上げる必要があると私は思うのでありますが、そういう点について何らの考慮を払つていないように考えるのであります。この点法務総裁は警察運営と将来の質的な向上についてどのような考えを持つておるか、私はこの点を伺つておきたいと思います。
  144. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 ただいまの御質問は私はまことに当を得た御質問だと思つております。何事もやはり人によるのでありまして、機構がいかにりつぱでありましても、それを動はす人がよくなければうまく行かぬ。警察におきましても、機構だけではなく、それを運営して行く人の質であります。今警察官のお話が出ましたが、もとよりわれわれといたしましては、信頼される警察官をつくつて行かなければならぬことには御同感であります。その点については十分にわれわれは考慮を払つているつもりであります。しかし最近において一部の者がことさらに警察官を敵とするのは、私は実に悲しむべき現象だと思います。警察官の中にもずいぶん質のいいのがおると思います。何万という人員の中には不都合な者もたまにはあるでありましようが、これはどこの世界に行つたつてあるのであります。しかるに最近におきましては、警察官を目のかたきにしておる学生がおるのであります。この学生のいい面ばかりとつて警察官ばかり悪いと言われることは私は心外しごくであります。もう少し世間では警察官を大事にしてやつてもらいたい、警察官に同情してやつてもらいたい。私は先だつてもある委員会で言つたのでありますが、三日間も警察の機能がとまつたらどうなるか。それこそ物取り強盗が横行いたしまして、日本の治安というものは維持できないだろう、警察官というものにもう少し敬意と同情を払つてやらなければいかぬと、私は言つておる次第であります。警察官の教養につきましては、われわれはこれから全力を注いでやるつもりであります。国民諸君においても、どうか警察官に対して同情をしていただきたいと私は思います。
  145. 八百板正

    ○八百板委員 まず信頼される警察をつくるためには、先ほど来私が述べましたように、たとえばピストルの使用等につきましても、ほんとうに国民が信頼してピストルを持たしておけるような状態に指導して行かなければならないと思うのであります。私は、つい先日、旧内務省の治安関係を担当した古い親しい人に会いましたところが、この人は、心から、どうもこのごろの警察はあぶなくて、ピストルを持たしておくのが私自身心配だということを申しておつたのであります。最近ピストルの発射によるところの実力行使が盛んに行われておりますから、こういうふうな点について、まず、はつきりした方針、取扱い規程というふうなものを十分に示して、国民の信頼を受けるようにする。そういうことによつて、初めて警察官が民衆の信頼を受けて、心からなる協力を受けながら、治安維持の職責に当ることができる、そういう状態ができて来るだろうと、私ども考えるわけであります。われわれは地方行政委員会の委員として考えまする場合に、警察官のいいところをほめるというようなのは、われわれの立場ではないのでありまして、われわれはむしろ、出過ぎたところ、職権の濫用にわたるような点を指摘いたしまして、そういうことを追究し明らかにすることによつて、将来そういうことを繰返すことのないようにしたい、そうするというのがわれわれの仕事だろうと考えておるのであります。そういう意味合いから、しつこく文句をつけることをもつて、むしろ今日の警察の質をよくするわれわれの立場だというふうに考えておるのでございまするが、こういう点について、当局は、すみやかなる機会に、たとえばピストルの使用に関して、十分なる国民の信頼をつなげるような指示をするとか、さらに警官の質的な向上をはかるために、何らかの具体的な処置を立てるとか——御承知のように警察法の中には、警察は「基礎的な警察訓練の過程を経ない者は、これを国家地方警察の勤務につけることができない。」こういうふうに、明らかに、基礎的な警察訓練の過程というものを、前提としているわけであります。ところが今日、現に、警察官の基礎的なこういう訓練が、はたしてあるかどうかということが疑われるような状態にあるところに、今日の警察官に対する不信、警察というものを何となくこのごろきらうという傾向が出て来ておるのだろうと私は思うのであります。こういうふうな点について具体的な方策を立てることこそが、警察法一部改正の先決要件であつて、單に指揮命令の系統権を総理大臣が握つて、右向け左向けと動かすというようなことが、いわゆる治安確保の道ではないと私は考えております。こういう点について具体的な構想があつたならば、ひとつこの際に明らかにしていただきたいと思うのであります。
  146. 谷口寛

    ○谷口政府委員 私からお答え申し上げます。武器の使用につきましては、ただいま御意見がございました通り事柄が人権に関係いたしまするので、愼重の上にも慎重な扱いをもつて行くように、絶えず示達をいたしておる次第でございます。根本の問題といたしましては、先ほど来申し上げておりますように、警察官等職務執行法第七條の條件にあてはまる場合に初めてやる。逆に申しますならば、原則的に、正当防衛、緊急避難、その他この七條に明定いたしまする真にやむを得ない場合に、武器を使用するという考え方で進んでおるわけであります。なおこれにつきまして、内部的には、警察官の武器使用に関連いたしまするこまかい訓令、通牒等を発しまして、この行使についての正当なる保障ができまするように、絶えず留意をいたしておるわけであります。御意見にありましたように、基本的教養訓練の中におきましても、この武器の使用の基礎的訓練という点に、特に重点を置きまして、警察官の拳銃の取扱、発射の習熟、また、武器を使用すべき場合の実例的な研究というようなことについて、一定の期間必ず基本的な訓練をいたしておるのであります。なお、一度ならず基礎的訓練を済ました者につきましても、累次管区学校あるいは各府県の学校に収容いたしまして、繰返し繰返しこの訓練をいたしておるような状況であります。また、現場の使用におきましても、今申し上げましたように、真にやむを得ない場合に、これを使用するようにいたしまするとともに、相当重大な相手方に——集団的な相手方に対してこれを使用せざるを得ないというような場合におきましても、原則的には、当該の部隊の指揮官が武器の使用について統轄的な指揮をする、その指揮のもとに拳銃の発射をやるというような指導をいたしておるのであります。もちろん、現実の場合といたしましては、その指揮者の指揮を待つことのできない程度に、正当防衛あるいは緊急避難の状態が差迫るという例外の場合もございまするけれども、原則的には、今申し上げまするような気持において、十分注意いたしておる次第でございます。お示しの通り、この問題は非常に大事でありまするだけに、今後も絶えず訓練を続けまして、武器の使用と、武器の使用によつて失われる利益と、武器の使用を通じて保護せられました法益、こういうものの均衡をあくまで常識的に保つて行きまするように、訓練を続けて行きたいと考えておる次第であります。
  147. 大泉寛三

    ○大泉委員 この間の各公述人の意見を聞いてみると、大方の人々はこの法案に対しては賛成をされている。また、集団運動関係のあられるような人々は反対をしておられるのであります。そこで、私どもが審議の過程において問題となるのは、要は、集団を主催するような方々と、今度の法案に盛られている内容を行使する警察官の国民から受けるところの信頼の度合いであろうと思うのであります。私どもは、どろぼうやその個々の不都合な者に対してはだれも信頼しません。皆警察官を信頼いたしますけれども、要は、こういう社会的な示威運動をされるような団体が信頼されておるか、あるいは警察官の集団が信頼されているかという感覚をわけなければならぬのですが、政府においてはどういう感覚を持つておられるか。いわゆる集団示威運動をされるような団体が、国民から信頼を受けておるか、あるいは警察官が信頼を受けておるか、こういうことを率直にお聞かせ願いたい。
  148. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 集団示威運動をやる団体にも、各種のものがあろうと思うのであります。秩序整然として、国民に何らの迷惑をかけずにやつている団体も相当数あると思うし、また、これに反して、いたずらに秩序を乱して、世の中の人の指弾を買つている団体もあります。ことに、故意に世の中の人に迷惑をかけるような集団示威運動というものが、往々にして見られるわけであります。私は、これに対しては国民みずから批判されると考えております。警察官は、この集団示威運動に対して、どれもこれも同じような取扱いはしないのであります。正常な、また正々堂々とやる示威運動に対しては、何ら取締るものではありません。ただ治安の面から見まして、一部不法な集団示威運動に対しては、これは何とかしなければならぬということは、国民も同感であろうと思います。このたびの法案におきましても、間違いのない、憲法に保障されました集団示威運動というものを、正しくやつてもらいたいという観点から、立案したわけであります。要は、それは国民が十分に批判されることであろう、こう考えております。
  149. 大泉寛三

    ○大泉委員 政府考えていられるところを問うたのでありまして、私どもも、もちろんだれもの考えと同じように、警察の方が国民から信頼されておるというふうに考えて、この法案の審議に携つておるのでありますが、政府の意見もそうであろうと想像してもよろしゆうございましようか——そこで、今権力を保有しておるところの政府あるいはまた警察の幹部においても——これはやはり何といつても必要に応じて権力が集まつていると私は思うのです。必要なところに権力が集まつたからといつて、別にこれが指弾されるということはないと思います。ところがたまたま中央集権的とか——これは警察に限りませんが、警察中央集権だとか、自治体警察に対する非難が相当ありますけれども、とにかく今日の民主主義国家である以上は警察官は、国民を代表して国会なりの命ずるところによつて、その職責を果すために必要な権力を自然与えられておるのである。私は警察官がその考え方、われわれは国民警察官であるということを把握していないのじやないかと思う。どうも昔ながらのいわゆる天皇の官吏の末端分子であるというような考えで臨んでおるところが多いのではないか。われわれはあくまでも国民とともに警察行政をやるのだという考え方を徹底しさえすれば、国民からきらわれるでもなんでもない、むしろきらう方が間違つておる。私どもが見るに、暴力革命をだんだんに社会に醸成しよう、あるいはそれを念願しておるような団体がきらつておる、こういうところに欠陥がさるのではないか。警察官に対しては、もう少し徹底した訓練が必要で、われわれは国民と密接なつながりがあるのだ、昔ながらの権力そのままを持つておるものではないという考え方を、徹底させなければならぬと思うのであります。  そこで今度の警視庁の問題でありますが、私はこれなどは本来なら国警に吸収すべきだ——あるいは財政的な関係から中央としてはなかなかできがたいような立場にあつたでしようが、しかし、警察行政の立場からいつたら、警視庁などは当然私は国警に吸収しなければならぬ立場にあるのじやないかと思う。また国家公安委員会にしても、あの委員会を残すということは、どうもわれわれ国民との直結上、もう少し飛躍した考え方でもつて、この改正案の審議に当りたかつたのでありますが、法務総裁の考え方——大体この前にも聞いたのでありますが、現在の改正案に対しては、いわゆる万全であるかどうかということを聞きたいと思います。私は不完全だと思うくらいなんで、国民の期待に沿わない改正案だと思う。これまでいろいろ公述人などから聞いてみても、むしろ弱過ぎた、もつと強くしてもらいたいというような意見が多かつた——これはあとで御参考になさるでありましよう。私どももこの意見を十分尊重するつもりでありまするけれども、今私のお伺いした点を、直接法務総裁からここで言明を願いたいと思います。
  150. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 今警察官のお話が出ましたが、しごく同感であります。警察官にもう少し、われわれは日本の国民警察官であるという気宇を持たせることが、何よりも必要であろうと考えております。国民警察官のほんとうの任務なり、警察官の現在やつておることを理解するなれば、警察官に対しては、もつともつと同情が沸いて来るものだと考えております。その点については、われわれは今後十分警察官に自負心を持たせる、自負心を持たせる裏には、国民から信頼されることが必要なんでありますから、それらの点については十分考慮いたしたい、こう考えております。  しこうして警察法改正でありますが、なるほどただいま仰せのように、なまぬるいものじやないか、もつと警察の強化をはかるべきものじやないかという御意見、これは相当そういうことを言われておるのでありますが、先刻申し上げましたように、現在の警察法を根本的に改正するということは、ただいまのところいろいろ難点があると考えます。さしあたり当面の治安確保の面からいたしまして、これが妥当じやないかという観点から提案したわけであります。
  151. 大泉寛三

    ○大泉委員 どうも私ども考え方は、従来から権力を最大に保持しておるものに対しては、相当信頼感を持つけれども、権力を持たないものに対してはどうも信頼感を失うということがあり得る。政府が今のようになまぬるい考でいると、だんだんに信頼を失つてしまう傾向があるから、その点をぜひ国民の期待に沿われるようにやられることを私は希望しておきます。
  152. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 ただいまの御注意、その通りであります。その点については十分考慮を払いたいと思います。
  153. 金光義邦

    金光委員長 それでは、両法案につきまして。木村法務総裁に対する質疑は、これをもつて終了いたします。  ただいま青木国家公安委員長がお見えになつておりますので、両法案につきましておただしになる点がありましたならば、この際お願いいたします。それでは初めに青木委員長の御意見を承りたいと思います。
  154. 青木均一

    ○青木説明員 私、青木国家公安委員であります。警察法改正につきましては、先ほど来問題になつております国警長官の任免権並びに警視総監の任免権を政府が持つということは妥当でないと思つております。その点をちよつと申し上げたいと思うのですが、まず警視総監は、これは今度の法案の精神としまして、警視庁を完全な自治体でない取扱いをするということ、これはまことに妥当なことだと思つております。それは東京都には国会がありますし、最高裁判所がありますし、あるいは各般の行政府がありますし、宮城がありますし、外国大公使館がありますし、外国使臣の住居がある。経済、文化の中心であるのみならず、さような特殊な性格がありまして、その東京都が單なる自治体の警察でその治安を守るということは、国としてまことに妥当でない。国としてたくさんの責任を負うべき問題があるのであるから、従つて單純なる自治体警察でない特別な取扱いをするということは、これは当然であると考えております。なおこの点につきましては、世界各国におきましても、その国の首都は決して單純なる自治体警察にまかしておかない、こういう慣例にもなつておりますし、また東京都だけが現在完全な自治体の取扱いになつておりますことは、何としてもおだやかでない、妥当でないと考えております。ただしかし、その長官の任免権は、これは後ほどちよつと申し上げたいと思いますが、これはやはり国警長官の任免権と同時に、総理が直接持つことが妥当でない。国警長官の任免権はどうしてそれじや総理が持つことは妥当でないかと申し上げますと、元来、先ほど法務総裁からお話がありましたように、もし非常なお互いに善意な人間同士が、そうして神のような良識を持つてお互いに反対党なり、政府を組織しておる場合には何ら心配ないのでありますが、ともかく現在の政治は政党中心としたいわゆる政党政治でありまして、しかも議会が最高であつて議会の上には何もない。過去におきましては、法制上はいろいろ問題があるかもしれませんが、天皇の大権もありますし、あるいは元老のような存在もありましたし、ともかく何らか特別な存在があつて議会制肘するものがあつた。にもかかわらず、それでもなおかつ議会の腐敗というようなことに対して、一部の者の不満を買いまして、軍部フアッシヨを起したにがい経験を持つております。しかも政党政治においては、選挙が非常に大事な問題でありまして、そうすると多数党が警察長官の人事権を持ち、多数党の政府警察長官の人事権を持つということは、その警察長官を通じまして、一切の警察署長の人事権を持ちますから、そうしますと、かりにそういう心配がなくても、非常に公正なことをしておりましても、反対党から見ましては、選挙に有利な形をした警察署長の取締り権までとつてしまつて、どうして反対党がこれに対して言論戰をもつて公正な争いができようというような不満を抱かせまして、そうして言論にたよるより、何らかほかのものにたよらなければならぬというというような考えをもし抱かせるようなことがありましたならば、まことに残念なことでございます。そういう李下の冠、瓜田のくつというような心配のある制度を何も立てる必要はない。さようなことをしなくても、治安の維持さえできるならば、そこまで行く必要はないと考えるのであります。そうしますと、国警長官の任免権を政府が持つだけのことによつて、非常に失うところが多い。もし政府が任免権を持たなくても、何らかの形で発育をしまして、政府意思の発表ができるならば、さような大きなマイナスをする必要はないじやないかと私は考えるのでありす。なお政府長官の任免権を持ちますと、先ほど申しましたように国警の人事一切に対する支配権が握られるということになりますから、外国から見ましても、警察国家——日本の一つの象徴としまして、すぐ批判されます警察国家というような言葉で見られるおそれがります。さようなことから考えますと、内外ともにこの際実利の少いことでございまして、これは差控えたがいいんじやないかと考えて、それならば任免権は国家公安委員会に與えておいて、單に御相談にあずかる、あるいは承認を與えるというような何か消極的な意味合いにおいての発言権を、お持ちになることがいいじやないかと考えておるのであります。  なお警視総監につきましては、警視総監の任免権は、自治体を主体として考えますと、特別区の公安委員会が任免権を持つ。そうして総理の承認を得るなり同意を得るなりという形をとるのがいいと思いますが、なおこれははなはだ自分の立場で強調するのは誤解を招くおそれがありますが、公平な自分の気持で申し上げますと、先ほど申しましたように警視庁というものは、国家的の比重が非常に大きい。治安の対象としまして、自治体の比重よりもむしろ国家的の比重の方が大きいのであります。それならば自治体の委員会が任免権を持つよりも、なお国家公安委員会において任免権を持ち、自治体の公安委員会の同意なりあるいは意見を聞き、そうして同じく総理の承認を得るというような形の方が、あるいはさらに進んだ一つの行き万ではないかと私は考えておりますが、ともかくも両者とも総理の任免権を持つということについては、行き過ぎのように思つております。  それから指示権の問題につきましては、いろいろ御意見ありましたが、私は今の警察の一番の欠陷は、民主警察としては形の上はまことによろしいのでありますが、何と申しましても、御承知の通りあの警察法ができました昭和二十二年当時におきましては、国を通じての破壊的な活動というようなものは想像されなかつたのであります。まつたく隣同士の刑法犯、司法犯、窃盗ですとか強盗ですとか、さような隣人相戒める程度のことを考えて、一応警察の仕事をやらしたらいい。それだけしか犯罪考えられない。またあとは交通整理というようなことで、あの警察法ができたのでありまして、今日になりまして、全国的につながりを持つた全国的の騒乱、破壊を試みるような活動が現われて来ますと、当時のあの精神にのつとつた警察法によつてでき上りました警察では、まつたく用をなさないのであります。はなはだ残念でありますが、簡単に数字を申し上げますと、約十三万人の警察官がおる、約八万五千は今自治体警察であります。そうして自治体の警察官は、多いのは警視庁の二万五千というのもありますが、二十数人前後、二十人前後の都市の警察官で、その署長は内外の情勢あるいは日本経済一切の情勢を判断しまして、独立不離の立場で、これが治安の任に当つておるのであります。もちろん署長でなくして、ほんとうの運営並びに行政の長は、そのほかに自治体の公安委員会があるのでありますが、さような地方の公安委員並びに警察署長が、この世界の動き、あるいは国内の大きな動き、さようなことに対して、ことごとく正当な判断を持てるかどうか、これはずいぶん無理な話であります。自分の町の中における暴力団あるいは窃盗等に対する相談、あるいは施策、対策というようなものは、簡單にできると思いますが、この今世界を貫いておる大きな国際情勢から来るような大きな動きに対して、判断を持てといつても無理でありまして、結局さようなことには近づかぬがいい、自治体警察としては近づかぬがいい、近づいて間違つたことをせぬ方がいい、間違わなくても捜査その他に金を使つては、非常に困ることになるというような考え方が、多いように拝見しております。そのために残念ながら、現在の治安の一番大事なかなめの警察の機能というものが、非常にぐあい悪くなつております。これは先ほど来しばしばお話がありましたように、もう少し警察法を根本的にかえれば、あるいは問題は解決しますが、しかし現在の建前では、できるだけ各自治体が協力しまして、そうして一本に動けるように、全体が統一して動けるような形をとり、心構えをとるよりほかは仕方がないのであります。その一つ方法として、全体に一番明るい政府——これは国警がやるということになると、なかなかうるさいですけれども、そうなりますと、政府の立場が非常にいいと思うのであります。政府の、総理大臣の立場で、地方の公安委員などとうてい考えられぬような問題、非常に重大な国の公安に関する大きな問題、それを適切に指示するという指示権を総理大臣に與えるということは、治安の面から私は、さような欠陷を持つておる現在の制度のもとにおいては、まことに至当であると考えております。従いまして、その指示権によつて地方の自溶体の公安委員の、いわゆるの自治の精神なり、権能が侵されるというように解釈する必要はないと考えております。  最後に都の警察費用を一部国家が負担するということ、これは先ほど来法務総裁からお話がありましたように、当然な措置と考えております。私の考えはさような次第であります。
  155. 床次徳二

    床次委員 公安委員長一つお伺いしたいのでありまするが、現在の警察法における重要な役割を果すところの公安委員会の活動そのものについて、お考えがあろうかと思います。私どもは公安委員会が非常に制限された人によつて組織されているというところにおきまして、一つの大きな欠陷を持つているのじやないか。含いろいろな委員会制度がありまするが、仕事の重要な割に、はなはだ期待に反しているような形になつているのが、公安委員会だと思います。この点につきましては、資格の制限すなわち経験者を入れていないということも、一つの欠陥であろうと思います。並びに、ただいまお話にありましたように、国家的犯罪に対して十分な知識を持つ人が、公安委員になつておらない。国家あるいは地方についても同様かもしれませんが、地方において特にそれが多いのじやないか。この欠陷を補う意味において、公安委員会の組織をかえるということについては、これは必要なことだろうと思いまするが、これに対して青木さんはどういうふうに考えておられますか、伺います。
  156. 青木均一

    ○青木説明員 ただいまの公安委員会の委員自身のお話は、おそらく自治体並びに国家、各府県の公安委員の全部を包括したものと解釈いたしますが、これは確かに御説の通り、公安委員の資格について非常に厳重な制限があります。そのために結局非常に特別な方だけ以外には公安委員に選ばれないという弊害が、現在確かにわれわれの目についております。でありますから、もう少し資格の制限をなくするようにすることは、非常にけつこうなことだと考えております。
  157. 床次徳二

    床次委員 なおただいま政府の方において考えておりますような、長官あるいは総監の任命制によりまして、公安委員会等の意見が反する場合が起るのではないかと思うのであります。あるいは委員長考えておられますような、意見を聞いてやるというような場合にありましても、国家の考え方と公安委員会の意見が違う場合も生じやしないかと思いますが、かかるおそれがないか、伺いたいと思います。
  158. 青木均一

    ○青木説明員 一体公安委員会が任命権を持ちまして、総理の承認というような、あるいは御相談を承知の上でやるべきだという考えは、元来すでに、政府の行政というものと治安というものは、この法律ができた当時は離れていましたが、今は離れていなくなつて来た。たとえば特殊の暴力破壊に対する法律政府がこしらえる、あるいは対策を立てるというような事柄が、ただちに警察の仕事になつて参る。政府の行政と、かなり密接な関係がある。従つて政府の各行政機関と全然縁のない、あるいは話をしてもできないような人を長官に選ぶということは、これは穏やかでない。さような意味合いから、政府とも話合いをして、そうして長官の任命権を実行すべきだと考えておりますから、今御心配のようなことは、りくつの上文書の上から行きますれば、政府が承知しない、そうして公安委員会がかつてに任命するということも考えられますが、現実の問題としては、まずそういうおそれはないと考えております。非常にぐあいよく行くのじやないかと考えております。
  159. 床次徳二

    床次委員 実はただいまの御答弁は、そうあるべきだと思いますが、実際問題におきましては、公安委員会の力が非常に弱いので、国警長官あるいは各警察長あるいは警察所長というものが、ほとんど公安委員会を無視して、無視してとは申しませんが、公安委員会というものをほとんど骨抜きにしておるような傾向もあるわけであります。公安委員会がやはり独自の見解を持つて治安に当り得るだけの実際、力がないと申しますか、そういうふうに世間では見ておるのであります。従つてただいまのような任命制あるいは同意を得ましてやりました場合にありましても、いわゆる執行の立場が非常に強くなつて来まして、公安委員会の方が従属的になり本来の公安委員会の職責が果せなくなるのじやないか。従つて警察国家的な色彩が強くなるのじやないかということを一番おそれておる。ほんとうに公安委員会が予期したような活動をしていただきますならば、さような懸念は実は薄くなるだろうと思う。これは実は公安委員会の活動そのものにもよるのでありますが、現在いろいろの委員会制度がありますが、公益事業委員会その他におきましても、委員の中には強力な発言権を持つておる者もありますが、実は公安委員会につきましては、委員の発言がそれほど重視せられない、国民の方から申しましても、警察の問題につきましては、まず公安委員会に相談に行くべきでありますが、実は公安委員会を離れて、直接総監の方に行つてしまう。地方で申しますれば、警察署長の方に行つてしまう。公安委員はややたな上げされているような実情ではないかと思うのでありますが、かかる公安委員会のあり方はほんとうの姿ではない。やはり公安委員会がもつともつと本来の職責を果し得るように、実は常勤程度にまで、やはりこの仕事に興味を持たれまして、絶えず接触されるということが望ましいと思うのでありますが、将来公安委員会が私どもの期待しておるような働きができるかどうかということについて、伺いたいのであります。
  160. 青木均一

    ○青木説明員 今のお話でございますが、実は公安委員会には三種類ありまして、国家公安委員会、これが一つ。その下に各府県の公安委員会があります。これは主として府県の警察運営をつかさどつております。そのほかに各自治体、都市の、あるいは町村で今日残つておるのもありますが、さような都市、町村の自治体の公安委員会、これは行政と運営と両方の権利を持つております。これは御承知の通りでございます。今の御批判の、一番はなはだしい点は、公安委員会の存在が問題だとおつしやられるのは、私どもの解釈するところでは、地方の行政と運営の両方の機能を持つております公安委員会の働きがはなはだ不十分で、そのために国民は不満足だということを、私どもは比較的聞いておるように思うのでありますが、それで国家公安委員会は、これは国家公安委員会の力が不足であると言われればそれまででありますが、ただ法律をごらんくださいましたらわかりますように、公安委員会の一番大きな仕事は、りつばな長官を持つて来る、その長官に公安委員会として全幅の信頼をもつて仕事をやらせる。     〔委員長退席、吉田委員長代理着席〕 そうしてあとは公安委員会がみずから仕事をするのじやなくして、これをむしろ監査するような形でながめて、そして十分に力を発揮させるというような機構になつておるのであります。このよしあしはいろいろ御意見もありましようと思いますが、私ども考え中では非常にいいやり方だと考えておるのであります。それで国家公安委員会として非常に弱いとか。直接仕事をしないから、陳情なり何なり当らなくちやいけないじやないか。これはできるだけのことは、民主的の制度ですから、われわれも当りたいと思つておりますが、仕事を担当しておる者に対しては、できるだけ長官中心にしまして、十分に常時力を発揮さしてやる、さような形で考えれば、国家公安委員会については、私は将来今のままでちつとも心配はない。ただ御指摘の公安委員会として、将来今のような形で、地方の自治体公安委員会がよろしいかどうか、これは私は世の中が治まりまして、あるいは二つの世界なんというものがなくなりまして、全国的なむずかしい犯罪とか騒動を起すというような懸念がなくなりましたときには、やはり現在のような自治体公安委員会制度による警察でけつこうだと考えております。しかしただいまの現状におきましては、この方地の各自体の公安委員会では、現在の事態に対処してうまく行くかどうかということは、非常な懸念を持つております。場合によつては先ほどのように公安委員の資格の拡張というものは考えられましても、一つの小さい町村において、いわゆる天下の大勢を、天下の行き方をよく判断して、誤まりないというような委員の方を選び得るかどうかということは、やはりむずかしいのじやないか、現在の事態では地方の公安委員については、さような心配を持つております。
  161. 床次徳二

    床次委員 ただいまのお話は、指示権が必要だということの御意見だと私は思うのです。指示権がある程度まで運用されまするならば、これは必ずしも任命制の方の場合におきまして、それほど深く入らなくても予期した效果をあげ得るのじやないか、あとは公安委員会自体が相当積極的な活動をいたしまするならば、指示権に伴うどころの知識によりまして、補えるのじやないかという意味をもつて、私案はお尋ねしておるわけです。もちろん指示権というものを前提として、公安委員会はもう少し有効に活動し得るのじやないかというような意味つたのです。
  162. 青木均一

    ○青木説明員 指示権によつて、その欠陷はある程度補い得ると私も考えております。
  163. 門司亮

    門司委員 青木さんの御意見を聞かせていただきまして、これ以上質問はないのでありますが、ただ機構の問題で、先ほど木村法務総裁に聞いたことを繰返してもう一度青木さんの御意見を伺いたい。警察の一元化といいまするが、政府は責任の所在を明確にするということで、警察の命令系統というものをはつきりしたい、こういうことで今度出しております。そうなつて参りますと、今の警察制度に対しましての政府の地位といいまするかあり方というものは、木村法務総裁が一応警察行政に関しては、担当の大臣のようになつておりますが、しかしこれは指揮命令をすることはできない。ただ法律出したり、あるいは予算関係をどうするか、こういう行政的の事務にひとしいものだけやつている。ところが今度は新しく責任の所在が明確になるということで、国家公安委員会の意見を聞いて、国警本部長官の任命ができる。さらに自治体あるいは全部に対して指示をすることができるとなつて参りますと、当然私は政府に治安に対するいわゆる主管の大臣というものができるようになると思うのです。一々総理大臣が現在の法務総裁にこれをやらせるということになつて参りますと、法務総裁は御存じのように検察権を持つておりますので、これと行政権を持つ警察とか一つになつて行くということになると、非常に恐しい形で私は出来て来ると思う。従つてどうしても二つでなければならないと思いますが、新しい警察を担当する大臣ができなければならぬ。その場合に問題になりますのは、現在の警察予備隊であります。これが今度保安隊になりますが保安隊になりましても、これもやはり国の安寧秩序を維持するためにやるということで、警察の制度とほとんどかわつておりません。そうして現在これは軍ではないと言つておりまするので、形は警察の少し大きいものだと考えてもいいかもしれない。しかしその場合にはやはりこれの長官は大臣であります。従つて日本の治安行政というものは、二元化される形に必然的になつて参ります。そういうことについて国家公安委員長として、国家の治安対策というものが行政上二元化されても、それでもいいというようにお考えになるかどうか、その点をひとつお伺いしておきたい。
  164. 青木均一

    ○青木説明員 大分私のお答えできない内容も持つておるようでありますが、大体現在でも治安の施策としては多元的であると私は考えておるのです。警察あり、予備隊あり、あるいはいろいろの形において婆というものは成り立つておるわけなのです。でありますから、先ほどのお話の、ただ予備隊は別にしまして、国警長官の任免権を持つた場合の担当大臣が、法務裁だけじやなくして、専任の者がおつてしかるべしだというお話は、たとえばそれを任免権を持つておれば、そういうお考えが正しいと言えるかもしれません。ただ私どもの立場では任免権を持つことは感心しないからと、おとどめ申し上げておるわけですから、それは何ともお答えしようがないのです。
  165. 八百板正

    ○八百板委員 ただいまのお話関連して、ちよつと御意見を承つてみたいと思いますが、ただいまの定めでは、第九條によりますと、法務総裁と同等の待遇を公安委員に与えているようになつているわけでございますが、もしただいまのお話のように、担当の主管大臣というようなものができまするとその主管大臣と同等の公安委員が何人かおりまして、そうとてその間の調整をはかつて行くという問題が起つて来るだろうど思うのでありますが、そういうことになりますると、非常に不便と申しますか、いろいろな混乱が起つて来るのではないかというような感じもするのであります。こんなふうな点について、もちろん今問題とされていないのでございますから、お答えが困難かもしれませんが、何か御意見がございましたらひとつ。
  166. 青木均一

    ○青木説明員 ちよつと今の点は、資格と機能の点を一緒にお話になつているように思うのですが、資格として同等という話を聞いておりますが、機能といたしましては、公安委員会が五人の公安委員によつて一切とりまとめて進行しておりますから、これは法務総裁とは全然別個のものでございます。機能については何ら関係ないわけでございます。
  167. 八百板正

    ○八百板委員 私のお尋ねいたしましたのは、事実上公安委員会の機能が、そういうような機構のものとにおいては、たな上げせられるという危険が予想せられますので、その際に公安委員会の機能を果し得るためには、公安委員会の機能を強めるような方法なり御意見なり持つておられるかどうか、こういうような点について承つておきたいと考えたわけであります。
  168. 青木均一

    ○青木委員 ただいまの点、現在においてはたな上げされておりませんが、ただ今までの国家公安委員の一番中心の仕事の任免権を政府が持ちましたら、それはある意味においてのたな上げになりますけれども、それは私ども御賛成申し上げかねておるのであります。任免権を持たない現在のような形で、任免権は国家公安委員が持つておるならば、決して御心配になることはないと考えております。
  169. 八百板正

    ○八百板委員 これは御質問と申し上げるよりはむしろ私の希望でありますが、先ほど青木さんの御意見の中にもありましたように、多数党が人事権を持つて警察を動かすというようなことから起つて来る弊害について、青木さんは述べられたのであります。これは非常に重大な問題でありまして、たとえば今日いろいろ軍備類似の問題等が言われておりますが、そういう立場についても青木さんのお話も先ほど出ましたように、たとえば軍隊の行過ぎ等がありました場合ににおいては、昔は五・一五事件にいたしましても、あるいは二・二六事件にいたしましても、それぞれ当時の軍人はいわゆる天皇陛下のためというような形において訓練せられておつたのでありますから、従つて若い諸君が力余つて血気にはやつて、いろいろな問題を起しましても、いわゆる天皇陛下を出しまするならば、これでもつて調整ができた、押えがきくというようなことがあつたわけであります。ところが天皇の性格がかわつて参りました今日において、そういうふうな機能を持たせることは、もちろんできないのでありますから、従つて一つの武力的な権力が集中いたしました場合において、この権力を間違いなく行使させるような、これを仰制し、牽制し、均衡をとつて行くというその作用を、どこにやらせるかということが、非常に問題であろうと思うのであります。そういう意味合いにおいて、警察の場合においても国家警察一本に持つて行く。そうしなければ警察の機能的な運営ができないというような問題が起つて参ります場合には、当然にそこで果さなければならない、民主的な運営を果すための公安委員会の任務というものは、非常に大きくなつて参るわけであります。従つてどもは今後のそういう形の警察機構の問題が、将来予想せられますときに、公安委員会は従来の公安委員会の運営にかんがみまして、どういうふうにしたならば権力の中央集権的傾向、あるいは集中的な権力の行き過ぎ、そういうふうなものをどういうふうにして、民主的に抑制して行かなければならないかということについて、いわゆる公安委員会のかつて運営を通じての経験をおまとめになつて、そして今後の治安機構の民主的な確立のために努力せられることが、公安委員会に期待せられる大きな任務でなかろうかと私は思うのであります。もちろんそういうふうな研究なり態度なりを表明して、将来に資するということが、あなた方の任務ではございませんでしようけれど、そういう点について積極的な御努力を私は期待し、お願いしておく次第であります。
  170. 吉田吉太郎

    ○吉田委員長代理 委員各位に申し上げます。ただいま上程になつております両法案に関しましては、来週の火曜日の本会議に上程できるがごとく、それまでに本委員会で採決を終了いたしたいという申合せになつておりますから、さよう御了承願います。  暫時休憩いたします。     午後二時二十五分休憩      ————◇—————     〔休憩後は開会に至らなかつた