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1952-05-31 第13回国会 衆議院 地方行政委員会 第58号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年五月三十一日(土曜日)     午前十一時四十四分開議  出席委員    委員長 金光 義邦君    理事 河原伊三郎君 理事 野村專太郎君    理事 吉田吉太郎君 理事 門司  亮君       生田 和平君    大泉 寛三君       門脇勝太郎君    川本 末治君       佐藤 親弘君    橘  直治君       田渕 光一君    前尾繁三郎君       鈴木 幹雄君    大矢 省三君       加藤  充君    大石ヨシエ君  出席政府委員         国家地方警察本         部長官     齋藤  昇君         国家地方警察本         部次長     谷口  寛君         国家地方警察本         部警視長         (総務部長)  柴田 達夫君         国家地方警察本         部警視長         (警備部長)  柏村 信雄君         国家消防庁事務         官         (管理局長)  瀧野 好曉君         総理府事務官         (地方自治庁         次長)     鈴木 俊一君         総理府事務官         (地方自治庁公         務員課長)   佐久間 彊君  委員外出席者         国家地方警察本         部警視正         (総務部企画課         長)      桐山 隆彦君         国家消防庁事務         官         (管理局総務課         長)      横山 和夫君         專  門  員 有松  昇君         專  門  員 長橋 茂男君     ————————————— 五月三十一日  委員立花敏男君辞任につき、その補欠として加  藤充君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 五月三十日  警察官等に協力援助した者の災害給付に関する  法律案川本末治君外八名提出衆法第六〇号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  参考人招致に関する件  消防組織法の一部を改正する法律案内閣提出  第一八六号)  警察法の一部を改正する法律案内閣提出第二  一九号)  集団示威運動等秩序保持に関する法律案(内  閣提出第二三六号)  市の警察維持特例に関する法律案河原伊三  郎君外五名提出衆法第三八号)  小委員長より報告聴取     —————————————
  2. 金光義邦

    金光委員長 これより会議を開きます。  この際お諮りいたします。目下本委員会において審査中の警察法の一部を改正する法律案及び集団示威運動等秩序保持に関する法律案について、参考人の方々より御意見を承ることにいたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 金光義邦

    金光委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。  なおその日時、人選につきましては、委員長及び理事に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 金光義邦

    金光委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。     —————————————
  5. 金光義邦

    金光委員長 市の警察維持特例に関する法律案河原伊三郎君外五名提出衆法第三八号を議題として、質疑を許します。門司君。
  6. 門司亮

    門司委員 河原さんに一応聞いておきたいと思うことは、この法律を出して、この特例に当てはまる町村はやがて市になると思いますが、現在この法律特例を受ける市は一体全国でどのくらいある予定なのか、その点をまず先に聞いておきたいと思います。もしわかれば、具体的にお話を承りたいと思います。
  7. 河原伊三郎

    河原委員 これは将来の問題となりますれば予測がつきにくいのですが、さしあたりの点といたしましては、大体岡山県、鹿児島県、岩手県、冨山県一つずつ予想されるものがあるわけであります。
  8. 門司亮

    門司委員 提案者はその四つ自治体財政的内容は十分お調べになつておるかどうか。私がこういうことを聞きますのは、御存じのように、日本の市には大体自治警察を持つということになつておるのであります。ところが、この特例自治警察を持たなくてもいいということになつて参りますると、これは單なる特例だけでは済まないのでありまして、私はむしろこれを立法化するならば、いわゆる警察法改正あるいは自治法改正の中にはつきりすべきであると思う。これから先町村警察廃止して、そして国家警察になろうとするところは全国にはまだたくさんあると私は思う。ところが、これが四つだけのものを救えばいいという法律は、立法の精神において少し私どもとしては納得の行かない点があるのであります。従つて、今お話いたしましたように、その四つの新たなる市の財政規模は一体どの程度になつてつて、そして警察維持は完全にできないのであるかどうか、この点を一応お聞きしておきたいと思います。
  9. 河原伊三郎

    河原委員 これらの市はいずれも自治警察を持つて維持しておつた町が自治体警察国家警察に転移せしめたものを基盤としてできるところの市でありまして、その財政状況は決して裕福でないことは想像にかたくないところであります。
  10. 門司亮

    門司委員 少くとも地方自治体が性格をかえて参ります場合には、その自治体住民にとつてはかなり大きな問題であります。しかも今日の町村行政と市の行政とはおのずから違つておるのであります。従つて市の行政を執行しようとするところは、それだけの準備と要素が備わつておらなければ、市政の運用には非常に大きなさしつかえがあるということは最初からわかつているのだから、従つて市の当事者は、当然市に昇格すれば——昇格という言葉が当るかどうかわかりませんが、とにかく市町村一つの大きな軍位のように法的になるといたします場合については、そういうことは十分勘案されて私はなつておると思う。おそらく市に昇格いたしました際に、自治警察は持たなくてもいいのだというように、警察行政だけを除外して考えたものではなかろうと思う。そういたしますならば、その自治体の市に昇格いたしました要素の中に、はつきりそれが含まれていなければならないと考える。含まれているといたしますならば、私はこういう特例法をこしらえることは国家がよけいなおせつかいであると思う。自治体自身は、市になれば自治体警察を持たなければならないことはわかつているのだから、その要素の上に市になることを要請して来たと思うのであります。そしてそれが市になつて来るという場合には当然これは持つべきである、当然持つべきであるものが持たないで、そしてそれが困るからといつて国会がこういう特例を設けて、そしてその市を一つ一つ救済するということになれば、これは法律が幾らあつても足りない。来年はまた特例を出さなければならない。再来年もまた特例を出さなければならない。そうして一つ一つ自治体の当然今の自治法なり警察法なりでなさなければならない仕事を、一つ一つつて行くという悪例は残したくない。従つてこの提案者は、その市の自治体は、市になるときには当然そういう要素を含んで市になつたと思うが、一体その自治体の市になるときの状態について、あるいは市に昇格いたしますときの町会の決議その他をこの場合ひとつ見せていただきたいと思う。どういうことにして一体市になつてつたのか。警察は当然持たなければならないことはわかり切つておるのであるが、その警察を持たなくてもいいのだということが考えられておつたか。この場合その明確な資料を私どもに示していただきたい。その上で私は判断したい。
  11. 河原伊三郎

    河原委員 市になるときの覚悟といたしましては、自治体警察を持つべきものという覚悟で市になつておることは明らかであると思います。市になれば自治体警察を持つというのが現行法でありますから、そういうことは想像にかたくないのであります。ただ自治体警察を持ちます場合に、楽に持ち得る状態の市と、非常にこれは困るのだが、持たざるを得ないからやむを得ず非常に苦しい中から持つというものと、その間には非常な大きな幅があると思います。この幅につきましては、現在自治体警察を持つておる市におきましても、楽に持てておるところもあれば、楽に持ててないところもあるというのと同じであります。ところで非常に苦しい中から持たなければならぬということを覚悟して市になつたのだが、非常に苦しい状態で持たなければならないから持つ。しかもその新たになつたところの市は、近い過去において自治体警察を持つてつて、そうしてこれを国家警察に返上して、まだぬくぬくのところである。こういうふうな場合、その市の意思決定の機関が持たないことということになれば、持たなくてもよいという道を與えるということはきわめて親切であり、適切な道だ、こういう観点からこの法案提出した次第であります。
  12. 門司亮

    門司委員 提案理由はよくわかつておりますが、私ども考えて参りますのは、先ほどから申し上げましたように、こういう法案が次々に出て来るということになれば、一つ一つの市を救済する法律案が出て来ると思う。また出て来なければ片手落ちだと思う。来年これは必ず幾つか出て来るでしよう。再来年も出て来るでしよう。同時に特例であります以上は、必ず出さなければならないと思う。この特例にひつかからないものは、必ず特例を出して来るに相違ない。従つて私はもし今日の警察法行き過ぎがあり、あるいは自治法の市の定義といいますか、これに対して行き過ぎがあるとするならば、それを是正すべきである。警察法なり自治法改正すべきであつて、この特例を設くべきではないと考える。なるほど小さな市は警察維持することは困難でございましよう。ところが今度私は資料を要求いたしたいと思いますが、一体この特例を受ける三つの市は人口がどのくらいあつて、一体財政規模はどんなであるかということである。もし現行の、この法律適用を受けない、現在自治警察を持つております、それ以下の規模を持つている市があるといたしますならば、幸いにして町村のときに廃止した市は救われるが、従来持つてつた市は救われないのであります。そうすると財政的に苦しいのは同じであります。私はそういうところに非常に不公平ができると思う。この点について一体不公平がないというようにお考えになつているかどうか。
  13. 河原伊三郎

    河原委員 第一は今度市になつたり、もしくは市になろうとするところの人口の問題でありますが、この人口については詳しく調査いたしておりません。しかしながら今まで自治体警察を持つてつたものが返還した、そうしてその余のものは自治体警察を持つておらなかつたところである。そういうものが集まつて市なつたところでありますから、人口既存の市より若干多いか少いかということ以外に、財政力の弱い貧弱な市であるということは、想像にかたくないところであると考えるのであります。
  14. 門司亮

    門司委員 私は法律をおよそこしらえます場合に、想像に基いて、そうしてその法律適用日本国民全体に——これは自治体といえども一つの法人でありますから、自治体全体に不公平に取扱われるようなことのあるような法律は、こしらえてはならないと考えておるのであります。法をこしらえます以上は、やはりその法は各国民、あるいはこうした自治体に対しましても、その恩恵はひとしくこれを享受し得るようにこしらえることが法の建前だと思う。従つてこの小さな市は、一方においてはさつき申し上げましたように、既存の町で非常に苦しいが、新しいものについては非常にこれは便利である、非常にこれは助かるのであるということになつて参りますと、既存市町村というものは、おそらくこれらの廃止運動が必ず行われて来るでありましよう。現に私ども町の中で一番大きな町だと考えております町は相模原町だと思いますが、これは人口を七万持つた町であります。この町も現在自治警廃止をつい最近決議いたしております。これもやはりこれによつて救済するということになると、七万の人口を擁しております大きな町も、町のときに廃止しておるから市になつてもこれを持たなくてもよいということになる。現在二万七、八千、三万ぐらいの市が日本にはたくさんあります。これらの市も既存の市ということになれば、自治体警察をみな持つているはずである。そういたしますと、財政規模においても、あるいは地域の規模においても、いずれの規模から考えても、倍にひとしいような大きな規模のところは自治体警察を持たなくてもいい。半分の小さなところは自治体警察をいやがおうでも持たなければならないということになつて参りますと、自治体運用の上において、非常に大きな不公平が出て来ると私は思う。こういう点に一体不公平はないとお考えになつておるかどうか。それからもう一つ聞いておきたいと思いますことは、将来、これは特例法でありますから、この法律適用を受けないものが出て来るが、そのたびごと一体提案者はこういう法律を出される意思があるかないか。
  15. 河原伊三郎

    河原委員 この特例は今あげました岡山県、鹿児島県、岩手県、富山県の四つのものを対象としてできるものではございません。今後にできるものが幾つありましても、これは包含されるものでありますし、また提案趣旨はこの四つを救済しようとして四つの市と話合いの上にできたものでもございません。従いましてこの四つの市が、この法案が成立いたしましたあかつきにおいて、ことごとく自治体警察を持つことになるかならないかも今後の問題でありまして、広く全国対象としての法案でございます。なお既存の市とのふつり合いというお話でございますが、既存の市というものは一つの既成事実でありますし、今後できるところの市、これから自治体警察を持つか持たないかの途上にあるものとはおのずから性質が違うと思います。なお人口の多いもので、今後できるものは持たなくてもいいし、人口の少いものですでに持つているものは離すことができないという状態にあるというお説でございますが、市の財政強弱というものは、人口の多い、少いの面も若干影響のあることはむろんであります。しかしながら人口がわずかでありましても、町であつて非常に裕福で金が余つてしかたがないというふうな町もありますれば、相当大きいもので貧弱で困つているものもありますので、必ずしも人口の多寡ということが、自治体基盤強弱に直結するものではない、かように考えております。いま一つ質問に関連して私の所信を表明したいと思います。自治体警察をりつぱなものに育てて行くということにつきましては、自治体警察をしいて押しつけて持たせるということよりも、しいて持つことに非常に無理があるものにはむしろこれを持たせないことにして、そして市の財政状態または警察規模、それらの点より見て、自治体警察としてりつぱに育てて行かれるというものが持つというのが、ほんとうにすつきりとした強力な自治体警察になるゆえんであります。若干の弱いものがそこにあるということが、かえつて自治体警察全体の成果または威望といいますか、そういうようなものにむしろ災いするのではないか、自治体警察をすつきりしたものにして行くには、無理のない状態にしておくことが、自治体警察全体の立場から見て親切な行き方ではないか、かように存じておる次第であります。
  16. 門司亮

    門司委員 非常に御親切な答弁だと思います。警察規模の問題については、警察法設定の当初その衝に当つた私といたしましては、一応の考え方を持つております。しかし一たびここに法律ができまして、この法律運用をいかにするかということについては、やはりおのずから現行法に基いて私どもは処断すべきであると思う。もし今の提案者のような議論であるならば、警察法全体をかえる大胆率直な提案がなさるべきである。大胆率直な提案をしないでおいて、理想としてはこうだがこれはこうだということは、私は非常に卑怯だと思う。もし警察法改正なさるのなら、大胆率直にお出しになつて自治体警察で苦しんでおる各市を全部これで救済するんだというのなら話はわかります。ところが一方において非常に苦しんでおる市は見殺しにしておいて、これから先市になろうとするものを救おうということは私は法律として片手落ちだと思う。もう一つ私の聞いておきたいことは、一体地方自治法はどういう規定を設けておるかということである。地方自治法規定の中には、提案者もよく御承知のように、市になる一つ條件として、人口三万を規定しておるのであります。そうすれば人口三万を基準として議論するのに一体どこに不都合があるか。これは市になる條件であります。法律の中にちやんと書いてある。私ども財政その他のことはむろん勘案しなければなりませんが、自治体一つ目安として、少くとも人口三万以上をもつて市とする、とちやんと法律に書いてある以上、それの大小の目安としては人口がやはり目安になります。それでなければ一体何を目安にして市であるとか県であるということをきめるか、地方自治法の中に、明確に人口三万以上を持つものが市になり得るという資格條件があります。この資格條件を否定するようなものの考え方に対しては、地方自治法から議論しなければならぬと私は思う。従つて今の御答弁のように、市であつても貧乏なものもあれば、町であつても裕福なものもあるというのでありますれば、そこに今日市になることを一体住民が欲するか欲しないかということ、町になつておることがいいか悪いかという問題が出て来る。現在御承知のように、市になる十分な資格を持ち、また力を持つており、人口七万を持つておりまする相模原町でもいまだに市に昇格はいたしておりません。法律建前から行くならば、人口三万の倍以上持つており、市になり得る十分な力を持つておるのに、しかし市に昇格することは住民のすべての利害関係から考え、一体いいか悪いかということを自主的に判断して、そして今日市になるという届出をまだしていない。町議会がまだこれを決定してないのである。これらのことはあくまでも地方自治体自主性によらなければならない。従つてわれわれがここで議論しようとするならば、やはり法律で定めております三万という基準をもつて当然議論すべきである。それらの内容一つ一つをここで検討して議論しようとすると、いつまでたつて議論は盡きないと思う。従つてこの法案の審議の過程に最も必要でありまする四つの市の財政規模人口その他は提案者はおそらくわかると思いますので、ここに明確に知らしてもらいたい。同時に自治警を持つております市は今日二百七十六と私記憶しておりますが、二百七十六の各市財政規模と比較検討する表を出してもらいたい。この四つの市の財政状態あるいはその形づくつております町のたくさんの條件から、どうしても自治警察を持つことが不都合である、不都合ということは言葉行き過ぎかもしれませんが、均衡がとれないという議論が出るならば、この法案提案趣旨については一応了解はできるかもしれないが、しかしながら当然市になるところは自治警察を持たなければならないという現行法に基いて、地方議会が市になることを決議しております以上は、地方議会決議は非常に不見識なものである。地方議会の長あるいは町長さんに来てもらつてそのいきさつを私は聞きたいと思う。ただいたずらに国会がそれらのものを救うところの特例法をつくらなければならないということは、国会は迷惑である。従つてその資料をぜひ出していただきたい。要約して申しますならば、この自治法の中に、三万の人口で市に昇格し得るという規定を置いておることは、提案者は正しいとお考えになつておるか、あるいは適当でないとお考えになつておるか。もうし一つ聞いておきたいことは、それなら町村が市になる條件の中にどういうものを具備することがいいか、これは單なる警察法改正だけでは済みません。自治法基本に触れておりますので、自治法の解釈についての御意見をお伺いしておきたいと思う。
  17. 河原伊三郎

    河原委員 市が三万という人口一つ最低基準に置いておることの適当であるか適当でないかという点につきましては、現在の状況としては大したさしつかえはないと考えております。ただ市と町との場合、市の名がつけば財政は非常に強固である、町とか村とかいう名前がついておれば、財政は非常に弱いということにはならないと思います。町であつても相当に強固な財源を持つておる町もありますれば、市であつて形態は大きくとも、財政的にはなはだ脆弱なものもありますので、市あるいは町という名をもつて財政強弱を律することはできないと思います。なおこの法案提案理由においてしばしば説明もし、また質疑応答の中で言明いたしております通り全国対象として立案をしておりますもので、今例示された四つのものを対象としての立案ではございません。従つてこの四つについて精密な調査はいたしておりませんが、しかし関係当局の方で調査せられた点がありますれば、関係当局より説明をいたしてもらいます。
  18. 門司亮

    門司委員 今の提案者説明に対してあげ足をとるようではありますが、少くとも提案をする以上は、その辺の調査ができないで漠然とこういう提案はなされないはずだ。自治法基本に触れるような問題について提案されようとするならば具体的にこれこれこういう事態だからこういう法案を出したということでなければ、提案趣旨にはならないと思う。法律というものはすべてそういうものだと思う。思惑で出ておる法律は少いと思う。どんな法律にしてもこういう事態が起つた場合にはこうすべきであるという問題が起らなければ、法律はできないはずである。総理大臣仮定の問題については答弁できないと言われておりますが、困るであろうからこうしてやろうということは一つ仮定であります。私の要求しておるのは実際の状況を要求しておるのであります。たとえば四つの市の実際の状況を知らなければ、全国を判断するわけには参りません。それからもう一つ聞いておきたいと思いますことは、一体自治法に定めております人口三万以上を市とするというこの規定提案者は妥当とお認めになつておるかどうかということだけであります。
  19. 河原伊三郎

    河原委員 先ほど答弁いたしましたように、あとの問題につきましては、人日三万以上を市とするということについては現在の段階においては何らさしつかえないという見解を持つておる次第であります。なお抽象的なことで立案したというお話でありますが、先刻からの質問は、四つの市のみについて御質問になりますから、この提案趣旨全国対象とするものであるということを申し述べたのであります。ただこの提案理由にもあります通り、さしあたりの問題としては、漠然たらざる問題といたしましては、現に自治体警察維持しておりながら、それを維持しないことに決したというものが、今度市になることによつてまた自治体警察を持つというふうな事態になる。しかも自治体警察を返還した事情はいろいろ点にあるにしましても、要するに自治体警察維持することが不適当であるという状態から返還したものである、こういうふうな状態のものが集まり、あるいは基盤となつてできるところの市においては、特別な考慮がめぐらされることが必要である、こういうような考えから提案いたした次第であります。
  20. 門司亮

    門司委員 私がさつき申し上げましたような、この法案を審議いたします過程に必要な資料は、ぜひひとつ出してもらいたい。そういたしませんと、これはほかに対しても、提案者はよくおわかりかと思いますが、私どもとしては、他の人に説明はできません。こういう問題があつて、こういう町では困るからこうしてもらいたいというのは、先ほどから提案者は、三万以上は市になるということについては妥当であるというような御答弁でありますが、妥当であるとするならば、冒頭に私が申し上げましたように、市になる際に必ず自治体警察を持たなければならぬということはわかり切つたことである。従つてそれが持てないというならば、現在相模原は七万の人口を持ちましてもいまだに町であります。ということは、三万あれば必ず市にならなければならないという規定ではないということである。市になることができるという規定である。従つて市になる要素を備えないものが市になるということはやめた方がいいと思う。この法律で持つて行けば、当然財政的には困るが、しかしその他の條件だけは獲得しておきたいからということで市になるということになれば、自治法できめた一つの市になる條件というものがここからくずれて来る。あるいは警察法できめておりますことがここからくずれて行く。私はこういう点を非常に憂慮する。従つて先ほどから申し上げておりますように、一応私どもの十分納得の行く資料の御提示が願いたい。もう一つ聞いておきたいと思いますことはこの法律適用を受けた市は、人口何万になつて自治警察にしなくてもいいのかということです。これはきわめて大きな問題であります。提案者は一体それをどうお考えになるのか。
  21. 河原伊三郎

    河原委員 この法案は新たに市になつたものが自治体警察を持たないという法律ではございません。自治体警察を持たなくてもよいという道を開くことになつております。新たになつたものは全部持たないということではございません。しかしながら、新たにできます市は、非常に厖大な市でありましても、この法案に適合するものはこの法案通りの道を歩んでいいことになつておる次第でございます。
  22. 門司亮

    門司委員 私が聞いておきたいと思いますことは、警察法の制定をいたしました当時の警察法立案の精神について、一体提案者はどうお考えになつておりますかをお聞きいたしたいと思います。
  23. 河原伊三郎

    河原委員 警察法は、当時の状況として、占領下において占領軍当局の容認する範囲において、当時における適法として定められたものであると了解しております。しかしながら、いかなる法律でありましても、時代の変遷その他の変化によりまして、おのずから適当にこれを変化して行くのが自然の行き方であり、最もいいことであると考えております。従いまして、いかなる法律でありましても、万年不易ということはまずあり得ないと考えております。
  24. 門司亮

    門司委員 提案者にさらに聞いておきますが、警察法の前文を一応ここで御解釈願いたいと思います。
  25. 河原伊三郎

    河原委員 その点につきましては、当局より説明いたさせます。
  26. 門司亮

    門司委員 これは提案者に聞いております。警察法は一條から六十数條にわかれておりますが、前文というものは、その前にまくらになつた條文なのであります。この警察法をどういうわけで制定したかというまくらがあるのであります。それがこの警察法を制定した趣旨であります。従つてその趣旨をよく読まれて、その趣旨説明をこの際願いたいと思います。
  27. 河原伊三郎

    河原委員 さようなものは、この場合皆様に説明するのも、すでに皆様はよく御存じのはずです。それを聞くのもどうかと思いますが、説明するというのは、まことに冒涜のさたであると思います。
  28. 門司亮

    門司委員 少くとも提案者質問に答えることができないというりくつは私はないと思う。それを拒否するというりくつは一体どこにある。それならばわれわれはこれを審議しないでいいという権利がある。もし提案者がおわかりにならなかつたら、この警察法の前文を読んでおきましよう。「国民のために人間の自由の理想を保障する日本国憲法の精神に従い、又、地方自治の真義を推進する観点から、国会は、秩序を維持し、法令の執行を強化し、個人と社会の責任の自覚を通じて人間の尊嚴を最高度に確保し、個人の権利と自由を保護するために、国民に属する民主的権威の組織を確立する目的を以て、ここにこの警察法を制定する」と書いてあるのであります。従つて私はこの條文の解釈をお願いをしておるのでありまして、提案者の解釈のいかんによりましては、解釈が違えば私どももおのずからそれを反駁する場合もございましようから、私は聞くのである。なぜ私がそういうことを聞くかといえば、少くとも警察法でこういうものをきめておりますゆえんのものは、戦前の日本において、いわゆる警察権を天皇の名において時の政府が掌握して、民衆に対していろいろな弾圧をして来たことが、日本の従来の官僚政治の最も悪かつた点だと思う。これを改めますことのためにことさらに今日の警察法はできておるのである。国家地方警察といい、あるいは地方警察といい、自治警察が本来でありますが、しかしながら財政的に自治警察を持ち得ないものに対してはこれを国家が見るが、しかもそれをなお国家警察ということでなくして、国家地方警察といい、地方という文字を特につけておるということである。そして警察の民主化をはかつて、真に民主主義の政治形態の基本であるべき住民の責任の上においておのおのが治安を確保し、さらに国民全体の生活の抱負をここから見出して行くという、きわめて高邁な理想のもとに今日の警察法はできておると思う。その運用いかんによつてはいろいろの問題はあると思いますが、少くとも今日の警察法のできております根本はそこになければならぬと考えておる。ところがこの提案理由から考えて参りますならば、あるいは答弁内容からいうならば、持ち得ないものは持ち得なくていいということがかつてに行われる。しかも一方においては既存のものはどんなに苦しくてもこれを存続しなければならない。これを廃止する方法はございませんから、どんなに苦しくても持たなければならない。片方は人口が七万あつても十万になつても、持たなくてもいいということになつて参りますならば、法の上では非常な片手落ちになると思う。少くとももしこういう法案を当局者がお出しになるとすれば、何年とか、あるいはどういう事態なつたときには持たなければならないという、警察法を制定したときの精神を生かし、さらに自治体相互間の均衡のとれるような仕組みにしなければ非常に不公平を来す、こう考えております。従つて私は、意見を聞いておるのであります。さつきの提案者説明のように、人口が何十万になつても、何百万になつて町村の自由だということになれば、おそらく経費のかかること等については地方の事情によつてはなかなか持てないところもありましよう。そうしますと、さつきから申し上げておりますように、小さな既存自治体との間の不均衡というものはますます大きくなつて来る。もし特例でやるとするならば、やはりこういう不公平を来さないように候文がちやんと書かれて——單にこれは特例であるという提案趣旨が全然わからぬわけじやございません。きのうまで町であつたものが、財政的に非常に困難であるから自治警察廃止した。これが市になつたといつても、手続の上から申しますならば、市になれば持たなければならぬということはわかり切つたことであるから、廃止するということは許さるべきではありません。ただ情の上からいうならば、提案者の言うようなことは言えると思う。しかし情の上からそれが言えるからといつて、これを提案するとするならば、情は情として、規則は規則として、その情の範囲において、市になつても一年とか二年とか、やがて財政の確立するまでとかというように均衡のとれた法律に直さなければ、自治体相互の間における不均衡は、必ずしもいい結果をもたらさない、こう考えておりますが、提案者は一体その点どうお考えになりますか。
  29. 河原伊三郎

    河原委員 警察法の前文をお読みになりまして、何かわからぬところがあるようでありますが、日本語で書いてありますので、大体あれでわかると思いますけれども、特に難解な字がありましたら、この点がわかりにくいというふうに御指摘願えば、私の知つておる限りは御説明申し上げます。なお特例につきまして、いつまでとか何とかいうことにならなければどうとかいうお説でありますが、今市になるとか、また今後なるところが災害を受けたから、そういうような特殊な関係でどうとかいうことでなく、たびたび申しますように、全国対象としてのものでありますから、特別にどうこうというように区切つたようなことを附加しようという考えは持つておらぬわけであります。
  30. 門司亮

    門司委員 私は、全国対象だから全国対象になるような法律をこしらえてもらいたいのです。特例だけでは済まぬのである。この特例がそのまま実行されて行けば、あなたのさつきの答弁のように、人口が十万になつても二十万になつても、あるいは極端にいえば百万になる市があるかもしれません。そういう市ができても自治警察を持たなくてもよいという結論になるのでありますそれは住民意思決定によるのだということになります。そういたしますと、相模原の町は現在七万の人口を持つております。そうして最近まで町であつた。つい二、三週間前までと記憶しておりますが、自治警廃止をいたしております。これが市になるでありましよう。そうすると、これも市になればこの法案適用されて、警察は持たなくてもよい。この町は、町の規模内容から申し上げますならば、私どもは少くとも二十四、五万になるではないかという観測をしております。諸般のそういう條件を備えております。従つて、町の規模も大体二十五万を対象として水道計画を行い、さらに都市計画が施行されているということは、行つてごらんになればすぐわかる。そういう大きな規模を一応持つております。たとい二十五万になつて自治警察を持たなくてもよいということになれば、既存のわずか三万、たとえば茨城県でありますが、あそこの古河市のごときは三万を割つております。二万九千しか人口はございません。ここもちやんと市であるから、自治警察を持つております。こういうものとの均衡がだんだんとれなくなつて来る。そういたしますと、警察法の実施にあたつて必ず不均衡ができて参りますならば、やはり完全なものはでき上らぬと思う。こういう意味で、もし特例をきめられるなら——これは情においてこしらえられていると思う。私はそう解釈する以外ございません。もし提案者が、これは情においてこしらえたのではないという考えでありますならば、市になれば当然自治警察を持たなければならないというのが原則であります以上、この原則を無視して市になることを決議した町会は、私がさつき申し上げましたように不見識であります。きわめて不見識であるというそしりを受くるを免れないのであります。従つて私は、ここに町会の人に来てもらつて、一体市になる決議をされたときには、どういう考え方でされたかということをはつきり聞きたいと思う。この点について提案者は、これ以上私の満足を得るような答弁はできないと思う。はなはだ不見識な話であります。それと同時に、聞きたければほかに行つて聞いてもらいたいというようなさつきの御答弁は私は承服するわけに参りません。提案者は、本案についてわからないものはわからないとして、われわれの納得の行くような手段を講じてもらいたい。その方法は幾らもあると思う。法が一たびできて参りますれば、これが永久に全国適用されるということを考えなければならない。それがきわめて不見識に、議員が議員の職責において質問しても、そういうことは答える必要がないだとか、あるいはそういうことは言わなくてもよいと言われることは、言語道断だと思う。それからさつきの話でありますが、警察法の前文について、どこかわからなければわからないところを聞いてくれという話でありますが、私はさつき申し上げましたように、この法案を最初に審議した一人として、この法案を朗読して、さらに概要だけはさつき申し上げたのであります。従つて、私の意見とあなたの意見が違つているかどうかということを聞きたいのであります。前文に対して解釈をしてもらいたい。
  31. 河原伊三郎

    河原委員 まず、あとの方の前文のことでありますが、前文を私は暗記しておらぬので、それで当局から聞いてくれと言つたわけであります。前文は、民主主義警察の確立ということを趣旨としておるものであることは申すまでもないところであります。なお市になるのに自治体警察を持つ覚悟を持つてなつたか、覚悟がなかつたかという点につきましては、先刻も答弁いたしました通り、その覚悟は持つておるが、苦しい中から持つというように持ち方にも段々がありますので、非常に苦しい中からやむを得ず持つというふうなものについては、救済の道を講ずるのがこの案の趣旨である。しかもそれは議会の意思決定によつてその自治体意思を決定する、こういうことになつておるわけであります。
  32. 金光義邦

    金光委員長 門司委員のせつかく御質疑中でありますが、理事会を開きたいと思いますので、そのままで暫時休憩いたします。午後零時三十八分休憩      ————◇—————     午後零時五十三分開議
  33. 金光義邦

    金光委員長 休憩前に引続き会議を開きます。ただいま市の警察維持特例に関する法律案を議題といたしておるわけでございますが、ほかに御質疑はございませんか——なければ本案に対する質疑はこれにて終了いたしました。討論採決は次会にいたすことにいたします。     —————————————
  34. 金光義邦

    金光委員長 次に、警察法の一部を改正する法律案及び集団示威運動等秩序保持に関する法律案を議題といたします。質疑を許します。
  35. 加藤充

    ○加藤(充)委員 集団示威運動等秩序保持に関する法律案を中心にして、二、三の質疑をいたしたいと思います。まず提案理由と称して配付を受けましたプリントに従つて質問をいたします。お尋ねしたい第一点は、「終戦後、集会、多衆運動等は、その正当な範囲を逸脱して犯罪を構成するに至つたときに、初めて刑法その他の法令によつて取締りを受けるほかは、何らこれに対する規制の方法がなかつた」こう書いてあるのでありますが、私は規則の方法がなかつたのは、欠陥というのじやなくて当然なことだと思います。提案理由説明書はさらに続いて「当初は占領軍の命令により必要な規制がなされ」と書いてあるのでありますが、これは何らこの法律案提案理由を正当づける根拠にはなり得ないものだと私は考えます。占領軍の命令による規制というのは、いわゆる超憲的な占領命令であり、占領制度のもとにおいてだけ、この集会その他多衆運動の制約規制がなされたのであります。従つて占領下において占領軍の命令によつて必要な規制がなされたということ自体は、何ら本法案提案理由を根拠づけるものにはならない。提案理由はさらに続いて「大阪市を初め、各地に、府県または市町村の條例として立法化せられ、今日に至つておる」というのであります。しかしこの公安條例の立法の経過を具体的に事実に即して考えますならば、これは市條例というような形で出ましたけれども、これを市條例で制定しなければならなかつた根本あるいは根拠というものは、明らかに占領下において占領軍の、アメリカ軍隊の意思に基いたものであつて、この大阪市を初め各地に府県または市町村の條例として存続しておるこれに関する諸條例は、これまた占領法令であり、占領制度のもとであつたから——これが根本的な議論はさておきますけれども、一応その存在理由と立法理由を持つたものなのであります。これは私どものかつてなりくつづけじやなくて、県條例、市條例が大都市その他で制定されました経過あるいは、その実質について見れば明らかなことであります。ですから、講和発効後独立が回復されたということ、こういう論理を貫くというのであるならば、その論理の建前からいえば、最初にもどりまして、何らこれに対する規制の方法がない状態にならなければならないのである。これはデモ集会等をやる連中が都合がいいというものではなくして、奪うべからざる基本的権利として、人権として憲法が保障しているところであり、あるいは世界的な、民主的な一応の原理的なものが、世界人権宣言等においてもこれは保障しているところなのであります。従つてお尋ねいたしたいことは、これが占領がなくなつて、刑法その他の法令による取締り以外には何ら取締れなくなつたからというようなことで、本法案提案をいたすということは、これはそれ自身撞着もはなはだしいものであると思うのであります。この点について、齋藤長官では質疑の相手として必ずしも妥当だとは思いませんけれども、ほかに人がおりませんから、齋藤長官あたりにまずその見解を明らかにしてもらつて、次の質問に移つて行きたいと思います。
  36. 齋藤昇

    ○齋藤(昇)政府委員 提案理由にもございますように、ちようど今お読み上げになりましたときお飛ばしになりましたが、国内各地には多衆による運動が頻発して、無秩序、無統制なものが少くないという一句が入つているのであります。各地に、市あるいは県の條例ができましたのも、こういう事態に対処するために起きて参つたのであります。独立をいたしました今日、ますますさような無秩序、無統制、あるいはこれを手段にして暴力行為をたくましくしようというような運動が熾烈になつてつております。さような関係から、この法案を必要といたしたのであります。もし今日、共産党の責任のある方々、あるいは朝鮮人の団体の責任ある方々が、われわれは暴力を否定するということをはつきり宣言をせられ、また暴力行為に出るような者をそれぞれの統制から除外をされるというような道をとられるならば、この法案提出いたします理由は、非常に少くなるであろうと私は考えるのであります。
  37. 加藤充

    ○加藤(充)委員 これは齋藤長官の答弁として受取りがたいのであります。それはまだ結論を申し上げる段階に至つておりませんけれども、今の答弁の中には、これが憲法的な裏付というもの、これが一つもなされておらない。ただこれは必要だから取締る必要がある。そういうふうな状態が出て来たから取締る必要があるというだけであつて、必要のためにこれが必要だというだけであつて、憲法的な裏づけというものが何らなされておりません。これは破防法等のいわゆる彈圧諸法律提案理由の中に統一された政府の立場であり、方法でありますけれども、この点が明らかにされていなければ、私どもはそのまま受取ることはできないと思います。いま少し質疑内容を明確にするために敷衍いたしますが、いやしくも民主的な国家、主権在民というような憲法を持ちました国、看板に偽りのないものであるならば、その論理を貫くならば、人権を保障するというだけではなしに、進んで人権を充実するがために、国家の権威的な存在理由というものが憲法制度として、秩序としてあるのであります。国家権力なり政府というものが、その運営のために進んで努力しなければならないことも、明らかなことであります。ですから、人権の保障というものを無視して公共の福祉を考えるということ、すなわち公共の福祉という理由で人権を制限するということは、断じて許されない。これこそが民主的な憲法の秩序であり、憲法的制度である、こう考えるものなのであります。しかるに、先ほど指摘しましたように、公共の福祉、治安の維持というだけであつて、人権を制圧する、人権を束縛する根拠というものについても、まだ不十分な説明しかなされておらない。あるいはそういう説明というか理由は存し得ず、なし得ないにかかわらず、ただ人権を制限する、いわゆる反動彈圧立法だけを通せという政府の見解というものを、あなたの答弁は自己暴露したものではないかと思うのであります。先ほども申し上げましたように、民主的な国家、あるいは主権在民の日本国憲法というもののもとに成立しておる国家なり政治であるならば、基本的人権をより安定し、より充足せしめるためにこそ、政府の存在理由であるのであります。従いまして、もしもこの目的を政府が破るということになりますならば、国民は何どきでもその政府を変更し、または廃止して、この人権を保障し充足するための政治を根底とする新政府というものを樹立する権利を有するものであるということは、これも自明の理であります。これは今は大分問題があつて、民主主義は逼塞してしまつたというようなことが、アメリカの識者においても指摘されておる通りでありますけれども、その昔、アメリカがまだ民主主義の生成発展の若々しい国家であり、政府であり、政治をやろうとしておりましたときに、今指摘しましたような政治の原則というものは、アメリカの独立宣言の中にも明記されておることだと私は了解しておるのであります。従いまして、国民は専制と圧迫とに対抗する権利を有することは明白なものであり、この専制と圧迫に対抗する方法として、最後の手段として、その政府に叛逆をすることすらが、奪うべからざる基本的な人権として存在するということも、これも世界人権宣言等に明確に確認されておるところであります。こういうような観点に立ちまして、日本国憲法との関連からも、一つにはこの集団示威運動等秩序保持に関する法律案提案理由というものをいま少し親切に、理解がつくように、了解をしなければならない理由があるならば、その理由を明確にもつと親切に指摘し、展開していただきたいと思います。
  38. 齋藤昇

    ○齋藤(昇)政府委員 この法案は、提案理由にもあります通り、またただいま加藤委員のお述べになりました通り、憲法の保障いたしております人権をどこまでも擁護し、民主主義の確立を確保するというのが根本目的でありまして、第一條にその目的を明示しておりますように、集団示威運動等が人の生命、身体、自由または財産に対して、直接の危險を及ぼすことなく、その秩序を保持しながらこれらが行われるようにするというのが目的であります。いかに集団示威運動、集団行進であると申しましても、人の身体、生命あるいは自由に危險を及ぼすような方法でやるということは私は日本国憲法の破壊であると考えるのであります。
  39. 加藤充

    ○加藤(充)委員 それではお尋ねいたしますが、先ほど例示いたしましたアメリカの独立宣言にあるこの政治原理並びに世界人権宣言にある、最後には政府が政府でないならば、反逆も人民の、人間の権利として許される、しかもこれは自明の理である。ここに基本的人権の奪うべからざる尊嚴さがあるのだ、こういうようなことが言われておりますが、それに対するところの御見解を明確に承ります。
  40. 齋藤昇

    ○齋藤(昇)政府委員 民主主義憲法のもとにおきましては、暴力をもつて革命を遂行するということは肯定をすることができないと考えるのであります。
  41. 金光義邦

    金光委員長 加藤君、まだ大分長いですか。
  42. 加藤充

    ○加藤(充)委員 問題は一つですが、まだ続きます。
  43. 金光義邦

    金光委員長 簡單にお願いいたします。
  44. 加藤充

    ○加藤(充)委員 今言つたように、暴力を使うことはいけないというのは、反逆というものと暴力というものの関係をあなたはどう思つておるか。世界人権宣言には、最後の手段として政府が政府でないならば、国民は反逆することすら基本的人権として許される、しかも自明の理として確認されておる。反逆と暴力ということはどういう関係を持つか、そういう点についてもいま少し明確な御答弁を願いたい。
  45. 齋藤昇

    ○齋藤(昇)政府委員 反逆という文字の解釈でありますが、法律に許された言論等においてなす事柄は肯定せられると思います。しかしながらこの法案考えておりますように、生命、身体、自由あるいは財産に対して直接危険を及ぼすことを伴う反逆は私は日本の憲法下においては許されないのが当然であろうと考えます。
  46. 金光義邦

    金光委員長 この際暫時休憩いたします。午後一時十四分休憩      ————◇—————     午後三時五十一分開議
  47. 金光義邦

    金光委員長 再開いたします。消防組織法の一部を改正する法律案内閣提出第一八六号を議題として質疑に入ります。質疑を許します。
  48. 河原伊三郎

    河原委員 国家消防庁を国家消防本部に改める、こういうふうになつておりますが、この名称の違うことによつて、どういうふうな意義があるのか、伺いたい。
  49. 瀧野好曉

    瀧野政府委員 お答えいたします。政府の今回の行政機構改革案の運のものといたしまして、国家消防庁の組織を簡素にする。その実体的な変化は庁という名称を本部にかえ、長官を廃止してこれにかわるに本部長をもつていたしますると同時に、その従来の庁長官のもとにありました監理局という局を廃止するのでございまして、その意味におきまして、実体的には長官、局長というものが一本になりまして本部長という名になつたわけでありまして、幹部責任者が一人減るという結果に相なります。
  50. 河原伊三郎

    河原委員 行政機構改革の一環としてやられるというのでありますが、その結果として人数を減らす。減らした結果は、実際において実質上縮小され、かつ弱まるということになるのですか。または縮小されるが、機能的には弱まらないことになるのですか。その点を承りたい。
  51. 瀧野好曉

    瀧野政府委員 少くとも形の上におきましては、組織の上におきましても、人員の面におきましても、一人ではありますけれども、責任者が減るということでありまして、形としてはやや小さくなる感じでありますけれども、機能的にはその運用のよろしきを得れば、従来と比べて懸念されるほどの運用上の機能の減退ということを来すおそれはないと存じております。
  52. 河原伊三郎

    河原委員 監理局がなくなることになるわけですが、監理局はいらないからなくするのか、あるいは不必要ではないが、必要度が低いからなくするのか、あるいは監理局という名が消えても仕事は残るのか、この辺のところをお伺いいたします。
  53. 瀧野好曉

    瀧野政府委員 ただいまの国家消防庁の組織を見ますと、構成、制度あるいは一般行政面の運用は、監理局で全部いたしておるわけで、科学技術の方の専門的な研究機関として消防研究所がございますが、今度の改正によりまして、監理局は名前は一応監理局の廃止になりますけれども、全部それは本部長の直轄の中に入るわけでありまして、監理局の現在包容いたしておる内容がいらないどころではありません。本部長の中に吸収されまして、ますますその機能を活発化しなければならないと存じております。
  54. 河原伊三郎

    河原委員 本案を通じまして総体的に見て、はなはだしく機能が減退されることはないにしましても、やはり若干縮小される、従つて積極的に向う方ではないという感じを抱くのでありますが、一面市町村の消防関係においては、むしろ積極的にこれを拡充する方針をとつておられるようでありますが、その点との関係、あるいは調和の問題はいかがであるか、伺いたいと思います。
  55. 瀧野好曉

    瀧野政府委員 今回の消防関係の中央機関の改正は、先ほど申しましたように、行革の一連のものとして国家行政組織法のあり方からいたしましても、これはやむを得ない措置であるのでありまして、実体的に中央組織が縮小されるのだという印象は、われわれとしても地方に対して與えたくないのであります。その点は名前がかわるのだというふうな意味で、説明を主としてやつているのでありまして、実際問題として定員が減ることはそうはなはだしく減るのではありませんし、またこの運用のよろしきを得ますれば、従来にも増して馬力をかければ、中央機関としての機能というものはさほど変化はない。ただ地方に対しましては、今まで消防新制度発足以来充実を期しまして地方に呼びかけて参りました際でもありますし、その点は十分今回の趣旨を明らかにいたしまして、また伸びんとする地方の消防の機構が、これによつて少しでも衰えるというようなことのないように、今後の呼びかけを願いたいと思うのであります。     —————————————
  56. 金光義邦

    金光委員長 ただいま消防に関する小委員長より発言を求められておりますので、これを許します。川本消防に関する小委員長
  57. 川本末治

    川本委員 消防に関する小委員会におきまする調査の経過並びに結果につきまして、この際一言御報告を申し上げたいと思います。  去る五月七日に消防組織法の一部を改正する法律案内閣提出として本委員会に付託されておりますことは、すでに御承知通りでありますが、本小委員会は、昨年の十二月十五日、消防に関する小委員会として設置せられておりますので、右の政府の原案の提出理由説明を聴取いたしました後、五月十五日第一回の小委員会を開会いたしました。次いで十六日、二十二日、二十九日と消防に関する調査審議をいたしました結果、第一に政府の改正原案に対しまする修正案が別紙お手元にお配りいたしました通り多数の意見として決定せられましたし、また消防法の一部を改正する法律案の起草につきましても協議いたしまして、別紙の通りの多数の賛成を得て成案を得た次第でありますが、以下右の二案件につきまして大要御説明申し上げたいと思います。  まず第一に消防組織法の一部を改正する法律案に対する小委員会の修正案の要綱を申し上げますれば、第一点は、国家消防本部の所掌事務の整備をはかつたことであります。国家消防本部の所掌事務は、元来消防組織法に列記してありますもののほか、消防関係法令に根拠を有するものはもとより、消防に関しまする市町村の指導面における単なる事実事務として行つていたものもありますので、これらを整備して明確にするため、第四條及び第二十條を修正しようとするものであります。  第二点は、市制施行地には、財政その他の事情の許します限り、消防本部、消防署を設置することといたしたのであります。市制施行地において、原則として消防本部、消防署を設置するよう第九條に但書を設けまして、消防力の平均的向上を期する次第であります。もとよりこれによつて市における消防団の存在を否定するものではありません。署と団とが両々相まつて消防の使命達成をねらつているものてあります。  第三点は、消防に関する都道府県の所掌事務を明確化するとともに、市町村消防の育成のために、都道府県知事が積極的に指導をなし得る道を開いたことであります。都道府県の消防関係所掌事務につきましては、現行消防組織法中ほとんど何も規定がありませんが、都道府県は、国と市町村との中間的行政機関としての性格上、事実事務として消防事務を取扱つて来たことが多いばかりでなく、市町村消防に勧告、指導及び助言を與えることの必要も認められますので、第十八條の二、第二十條の二を新設いたしまして、市町村消防の育成のため都道府県の所掌事務を法文化した次第であります。  第四点は、地震、台風、水火災等の非常事態の場合において、都道府県知事が災害防禦のために必要な指示をなし得る道を開いたことであります。地震、台風、水火災等の規模が大きくなつて、被害が増加し、一市町村の消防力による措置では、完璧が期せられないと認められるような非常事態にあたりましては、都道府県知事が国家消防本部の勧告、指導、助言の趣旨に反しない範囲において、市町村または市町村と長、消防長及び水防管理者に対して、災害防禦の措置に関し必要な指示を與えることは妥当と認められますので、第二十四條の二を新設した次第であります。  第五点は、都道府県設置の訓練機関に関する義務制の問題であります。都道府県の消防職員及び消防団員の訓練機関については、現在は任意設置制となつておりますが、教養訓練の重要なることはいまさら申すまでも長いところであります。従つて都道府県單位または数府県共同で義務設置制に改めることとしたのであります。  次に消防法の一部を改正する成案の要綱を申し上げますれば、これは消防法第二十五條第二項、第二十九條第五項、第三十六條に関係を持つものでありまして、一定の民間人の死亡したり、負傷したり、疾病にかかつたり、あるいは廃疾となつた場合を顧慮し、これに対処しようとするものであります。すなわち火災その他の災害が発生した場合は、当該消防対象物の関係者、その他命令で定めてある者は、消防隊が火災の現場に到着するまで、消火、延焼防止、人命救助を行うべき義務を負わされておりますが、かような場合には、火災の現場付近にある者も同様に、消火、延焼防止、人命救助に協力すべき義務を負わされていることは御承知通りであります。その人たちが消火、延焼防止、人命救助その他消防作業に従事したために、死亡したり、負傷したり、疾病にかかつたり、あるいは廃疾となつた場合は、市町村はその條例の定めるところによつて療養その他の給付を行うものとすることを規定しようとするものであります。  なお消防吏員または消防団員は、緊急の必要があるときは火災その他の災害の現場付近にある者を、消火、延焼防止、人命救助その他の消防作業に従事させることができることになつておりますことも、御承知のことと存じますが、その火災現場付近にある者が、その消防作業に従事したために、死亡したり、負傷したり、あるいは疾病にかかつたり、廃疾となつた場合も同様に処遇されることにしようとするものであります。  以上は、消防組織法の一部を改正する法律案に対する修正案、並びに消防法の一部を改正する法律案の大要でありまして、前述の通り、ともに消防に関する小委員会におきまして多数をもつて決した次第であります。  以上御報告申し上げます。何とぞ御審議をお願い申し上げます。
  58. 金光義邦

    金光委員長 川本委員長の報告につきましても、質疑があればこれを許します。
  59. 大石ヨシエ

    ○大石(ヨ)委員 私、川本さんにお聞きするのは遠慮いたしまして、そちらの人にお聞きいたします。三十六條の二に「人命の救助その他の消防作業に従事した者が、そのため死亡し、負傷し、若しくは疾病にかかり又は廃疾となつた場合においては、市町村は、條例の定めるところにより、療養その他の給付を行うものとする。」とありますが、これは市町村がすべての弁償をするのでしようか、その辺お聞きしたいと思います。市町村は今赤字財政で非常に悩んでおります。ところがこういう法文があつても、市町村でそうした弁償をすることができぬ。そうするとこれは一体どういうことになるのですか、その点私は詳細知りたいと思うのですが、ちよつと御教示願いたいと思います。
  60. 瀧野好曉

    瀧野政府委員 ただいま大石委員お話の、この案にもございますように、市町村が條例をもつていかなる内容の給付をいたすかということをきめるわけでありますが、その根本におきましては、御承知のように、消防組織法の第八條をもちまして消防に要する費用は市町村の負担とする、ということに大前提がなつておるのでございます。とは言いますものの、実際問題といたしまして市町村財政は苦しい。それはただいま仰せのごとくでございます。けれどもつて考えますと、一般人を消防作業に協力せしめるという場合は実際問題としてございます。しかし、これによつて非常な災害を受け、多数のものが死亡したり、負傷したり、そういつた事故は、今までのところ非常に目立つたものはないのでございます。いかような程度のものが今後発生するか、それははつきりここではお答えできないのでありますが、今までのところでは、市町村財政を非常に脅かすほどの実例はないのでございます。しかしながら、こう申しましても、非常にたくさんの災害が起つて市町村がこれによつて非常な負担をこうむらねばならぬということになりますと、市町村財政というものは非常な影響がありますので、その点につきましては、市町村財政の方をお世話いたします地方財政委員会の方ともよりより協議いたしておりますが、これは一般平衡交付金として、人口一人当り幾らというふうな計算は、ちよつと出にくいような意見が多いのでございまして、結局のところ、こういうことによつて非常な市町村の負担となりました場合は特別平衡交付金というふうなものによりまして、市町村財政の膨脹をそれだけ見てやつて、特別平衡交付金の方でカバーするという考え方にならねばならぬと存じております。これは地方財政委員会とも大体話を進めておりますので、法律建前といたしまして従来、ただいま川本委員からも御説明がありましたように、消防法の中におきまして応援せしめること、あるいは協力せしめることを義務づけておりますので、それの裏づけとして、どうしてもそれに伴う災害が起りました場合にこれを見てやる、給付するという條文がいりますので、今回の提案なつたことと存ずるのであります。
  61. 大石ヨシエ

    ○大石(ヨ)委員 ただいまあなたさん、何というお名前か知りませんけれども、おつしやいましたけれども、平衡交付金というものは、これは非常に少くて各地方は赤字財政で非常に悩んでおるのです。こういう空文にひとしいようなものを法律案として出して、そうして今までにそうした多数の犠牲を受けた人はないとおつしやいますけれども日本の家屋は紙と木でこしらえた火災の非常に起りやすい建築方法になつておる。それにどうしてあなたはそれを補償されますか。こんな空文をこしらえてもたくさんな消防士が死んだつて、だれがこれを補償するもんですか。市町村でそんなにいつてもこれだけ平衡交付金——あなた御承知通り平衡交付金は何もないのです。それをこんな空文をこしらえても、一体どうなるのですか。そうしてこれを救済するならば、その犠牲者を救うならば、ここへもつと国家がどういうふうに弁償するかというはつきりとしたものを入れておかぬと、これは空文にひとしいものではないかと思います。これを第一点にお聞きしたい。それから私は先日銀座のキヤバレーに行つたのです。それから銀座の旅館に行つたのです。そうしたら私が代議士であるということを聞いて、どうぞ実は聞いていただきたい。私たちの一番今いやなのは消防署である。消防署の人たちである。その人はすぐ済まないけれどもと言うてただ食いただ飲み、石炭どうだ……。そうして私はいつも言います。どことどことどことそういう人が行つておる、そうして盛んに建築法がここがいかぬ、ここが違反である、ここの廊下が防火装置に違反している。盛んにただ食い、ただ飲みしている。いつでもその人を連れて来てあげる。そういうようなことをあなた方は御存じないんですか。みんな銀座のキヤバレー、旅館、喫茶店、そういうようなところは建築を許可する権利を消防庁の人が持つておりますから非常に弱つております。それあなた方どうお考えになつておりますか。第一点、第二点、詳細に私に知らせてください。
  62. 瀧野好曉

    瀧野政府委員 初めの御質問でございましたが、今回の案になつておりますのは、消防職員でもない、消防団員でもない、そのほかの一般のいわゆる消防上の消火活動に当る当然の義務はないのたけれども、そういつた消防職員とか消防団員とかがかけつけるまでに、応急にその付近の人はバケツをもつて消すというふうな義務を負わせておるのでありまして、そういう場合の、そういつた消防に一般には従事しない人の場合の補償でありまして、消防団員とか消防職員につきましては従来の規定によりましてこれが補償はいたすことに相なつておるのであります。その点がお話の中では防団員とかいうようなお話でありましたが、その点はそうでない人のごくまれのケースでございます。  それから第二点の消防士ですか、そういうものが東京などで建築関係その他の火災予防の面につきまして、職務上好ましくない行為が多い。これは従来とてもときどき耳にいたすのでございますが、まことに御意見ごもつともでございまして、職務に関連してとにかくあつては相ならぬことであります。これは嚴正なる職務執行上の監督と指導を與えねばならぬと存じております。当面の問題といたしましては東京の消防につきましては東京都で受持つております。東京の消防署の所管でありますので、私の方から常々申しておりますけれども、さらに行き過ぎのないよう、またそういう好ましからざる事柄がないよう一層気をつけるよう私からも強く伝達いたすつもりでございます。
  63. 大石ヨシエ

    ○大石(ヨ)委員 私はせんだつて銀座のキヤバレーへ行つた。そうしたらそのキャバレーのおかみさんが、あなたは代議士ですか、私たちの一番困つているのは消防署員である、消防署員とそれから税務署が一番困る、消防署員で申しますと、ただ飲み、ただ食いでそれは実に困る。そうして次々に訪ねて行つたら銀座で今みな言うております。それで私どもかように真劒にこういう消防法をつくつても、それを悪用している。建築の許可権を持つておられるあなた方は、今後消防署員がカフエー、キヤバレー、旅館でただ飲み、ただ食いをしたり、金をゆすりに行つたりしないように、あなた方は責任を持たれますかどうですか、それをはつきり伺いたい。私はいつでもここへただ飲み、ただ食いした人、旅館のおかみさんでもみなここに連れて来る。どうですか責任持てますか。あなたは責任を持てますね。それを責任持てるかどうかはつきり言うてくれ。
  64. 瀧野好曉

    瀧野政府委員 まことに御説ごもつともでありまして、関係者といたしまして二言もないのでございますけれども、この点ば先ほど申し上げましたように、一応消防の組織は各市町村の消防長が職員につきましては最高責任者としてこれが監督を……。(大石(ヨ)委員「そんなこと尋ねておらぬ。責任持てるか持てぬか尋ねている。はつきりせぬか。」と呼ぶ)私としましては消防に関する国家機関としまして、各市町村の責任者に対して厳重に注意をいたし、勧告をいたす責任は十分持つつもりであります。
  65. 大石ヨシエ

    ○大石(ヨ)委員 それでは責任持てますか、それを聞いておるのです。いらぬこと言わなくもいい。責任持てるか持てないか。きようからただ飲み、ただ食いしないか。銀座の建築の許可権を持つているものがただ飲み、ただ食いしないようにするかどうかということを聞いているので、そんなたくさんのことを開いておらぬ。あなたは責任持てるか持てないかということをはつきり言うてくれ。いつでも私証人を何人でも連れて来る。そんなことばかり言うてるから悪いことばかりしている。そうしてカフエー、バー、旅館やら銀座ではみな消防署員がいじめているじやないか。あなたそれに責任持てるか持てないかということをはつきり言うてください。あしたから私は銀座をずつと聞いて歩く。責任持てますか、みな困つているじやないか。実に消防署員は入つて来て、石炭どうの、ただ飲み、ただ食い、金をくれとみな持つて行く、みなどれだけ困つているかしれない。もし消防署のことで法律案をつくるようなことがあつたら、ぜひとも言うてくれとみなに言われている。あなた責任持つるか持てないかはつきり言うてくれ。言えぬのか、みな弱つている。
  66. 瀧野好曉

    瀧野政府委員 御意見ごもつともでございまして、まことに関係者の一人といたしまして一言もないわけでありますが、かかる事実がありますれば——あるということを確認いたされているのでありますからあるに違いありますまいから、十分われわれが手段として持ち得る限りの方法をもちまして、かようなことがないように十分努力いたします。
  67. 大石ヨシエ

    ○大石(ヨ)委員 責任持てますか。みなのかわりになつて私は言うておるのですが、責任持てますか。
  68. 瀧野好曉

    瀧野政府委員 努力するという責任を持ちます。
  69. 金光義邦

    金光委員長 本案並びに小委員長のつ御報告の修正案につきまして、ほかに御質疑はございませんか。——なければ質疑はこれをもつて終了いたします。     —————————————
  70. 金光義邦

    金光委員長 次に休憩前に引続きまして、警察法の一部を改正する法律案集団示威運動等秩序保持に関する法律案の両案を一括議題として質疑を続行いたします。質疑を許します。加藤君。
  71. 加藤充

    ○加藤(充)委員 先ほどしり切れとんぼになりましたので、責任上一応質疑をまとめておかなければならない義務を私感じますので、質疑を続けます。  先ほど休憩前に、反逆ということすらも最後の手段としては人間としての権利であるというような世界人権宣言の趣旨のことについて、国警長官の見解をただしたのであります。私はこういうふうな反逆というような行動は好ましいことではないと思いますが、これをしもあえてしなければならなくなつたような場合においては、これに伴ういろいろな実行というようものは、すでにこれは法的に見て、いわゆる暴力というようなものではなくなつてしまつておるのではないか、これをいわゆる暴力というようなことで名づけること、あるいはこれを暴力として取締るというようなことはあり得ないのではないか、こういうことをお尋ねいたしたいと思うのであります。  なおついでですから、時間の節約上あわせて次の質問をいたしますが、これは私の質問でもあると同時に、文芸春秋に載つた東京工大助教授の工学博士の桶谷氏が尋ねたいと思うことでもあるようであります。そういうことが書いてありますので、これは共産党の質問だけではなしに、国民がそう考えておることであり、質問したいことであるという点で、ひとつ御見解を明らかにしていただきたい。その文章をそのまま引用いたしますと、「大した金も持たずみすぼらしい服装ではあるが論理の通つた弁舌を唯一つの武器として一般の人達に自分の信ずる所を訴えようとする学生を弾圧し、トラックに乗り、のぼりを立てた(何処から金が出るのだろうか?)一杯機嫌のゴロツキ連中の再軍備促進演説を黙認している警察と云うものを信用しない私は聞違つているだろうか?」これは桶谷さんの「久しぶりの日本」という文章のそのままの文字の引用でございます。この点についてまずお尋ねしておきたいと思います。
  72. 齋藤昇

    ○齋藤(昇)政府委員 ただいまの桶谷さんの御議論についての御質問でありますが、警察といたしましては集会あるいは演説等が何ら法に触れることなく行われておりますときは、これに関與をいたさないのであります。
  73. 加藤充

    ○加藤(充)委員 ここにあるように、言葉はきつい言葉を使つておりますが、事実はその通りだと思います。私どもも澁谷の街頭の彼らの演説を聞きました。演説の場所もやり方も知つておりますが、この連中は黙認して、それで今この文章の中に引用されているように、学生のほんとうに小規模な平和署名とか、あるいは再軍備に反対するとか、「きけわだつみの声」を繰返してもらつては困るというふうな、こういう街頭の行動だけについてはたくさんの武装警官を動員して来て、そうしてこれを制圧するというようなこと——法令に触れないものは警察はちよつかいを出さないというのですが、片一方は大規模に法に触れていると私は思うのです。それであの「一杯機嫌のゴロツキ連中の再軍備促進演説」という言葉でここに表現されているこの人たちの問題は何ら法に触れていないのか。それで学生の平和署名の街頭の行動だけが法に触れているという説明をここであらためてお開きしなければ、今の答弁では説明にならぬと思うのです。
  74. 齋藤昇

    ○齋藤(昇)政府委員 学生の平和擁護の集会が警察で何か禁止せられたということを前提にしておられるようでありますが、当該具体的の状況はよく知りませんから御答弁はできませんけれども、警視庁がそれを解散をさせたとか、あるいは集会を禁止したとかいうことでありますならば、それは私は警視庁の公安條例あるいは道路取締法その他に触れるところがあつたからであろうと考えております。
  75. 加藤充

    ○加藤(充)委員 今引用した随筆様のものの次には、こういうことが書いてあるわけであります。これは桶谷氏がパリかどこかに行つたときの目撃談でありますが、パリの「サン・サーンス街を足早にグルネル大通りに出た私はギクリとして足をとめた。鉄かぶとに銃を持つた警官が数百人、高架線になつた(メトロ)地下鉄線の下にジツと音もなく立つているのである。……急いでグルネルの駅に来れば、警官の山である。しかも明らかにアルジエリア人と思われる労働者風の人達が百人ばかり駅の鉄柵の所に押しつけられて、皆ひきつつた様な蒼白な顔をしている。その外側はぎつしりと棒を持つた警官、その外側が更に銃を持つた警官なのである。「立止つちやいかん。」二、三人の警官がわれわれ通行人を押しやるのであるが、見ると警官は棒でアルジエリア人の頭をガンガン叩いている。それを避けようとして彼等の群が少し移動すると、「何故動くのか」と云つて向うからガンガンと叩く。血走しつた目をした男が棒をひつたくるようにすると、その男は警官に捕えられポカンポカンと殴られた、」 こういうのであります。それで私が聞きたいのはその次の問題なのです。これはフランスの例だというが、私は日本の国情なり警察の動き方というものはこの通りではないか。こういうことと関連して今遠慮してフランスの例をひつぱつている。私はわきの切符売りのおばさんに尋ねた、というのです。そうしたらアルジエリア人の労働者の会合がこの近くであるはずであつたのだけれども、警視庁から禁止されて、その禁止されたのを知らないで来た連中がああしてやられているのです、という答えだつた。ところが、その翌朝の政府の発表を見ると、あなたの答弁みたいなものだと思うが、この禁止を犯して集合した着たちの中で警察官に暴行を働いた百五十名が検束されたという発表であつたという。なぜこんなアルジエリアの労働者が集会を持つかというと、「ちなみに、」と書いてあるのでありますが、戦後労働者の不足から北アフリカ人を無統制に国内に連れ込んで、現在これら労働者は失業問題で苦しんでいるのである、という。私は、こうなつて来ると、フランスの例だからあなたも気やすく聞いておいていただきたいと思うが、これは治安の維持警察力の行使ではない。これはもうアルジエリア人にとつては隷属と貧困を強制するための警察権力の行使であつて、それはすでに不法であり、私はこれこそが暴力の実体だと思うのです。それでお尋ねするのですが、この法案集団示威運動等の秩序維持に関する法律というようなものも、実をいうと今紹介したようなやり方の警察力の行使、まつたくひどいこのようなものになるのではないか。大体集団示威というような問題は、これは基本人権として奪うべからざるものであり、それに公共の福祉だとか公共の秩序だとかいつたところで、それで人権を制限するそのままの口実にはならない。それで乱暴するからと言うが、今最初に聞いた澁谷の街頭の学生の、みすぼらしい服装ではあるが論理の通つた弁舌を唯一の武器として一般の人たちに信ずることを訴えていた、こういうような者を弾圧することは明らかに不当であり、集団示威運動取締りのこの法案はそのことをねらつているのではないか。このことを実はお尋ねいたしたいのであります。昨日の新聞が名づけたいわゆる五・三〇というような問題が起きて、新宿あたりでは新聞の報ずるところによれば、えらい騒ぎが起きたようであるけれども、集団示威というものを犯罪視して、そうして現在の政府が結局身売り証文のような講和條約をやり、行政協定をやるそのために日本の政治は隷属になつて行く。そうしてまた結局においては日本の産業界あるいは個人の生活も、まつたくひどい貧困とまつたく不自由な生活の中に押し込まれて来ている。これに対するいろいろな日本人としての、あるいはそれが集団としての不満の意思表示、それに対して見向きもしないで警察力の増強だけで弾圧するというようなやり方については、当然抵抗が起きて来る。その抵抗はやはり私が先ほど来問題にいたしましたような趣旨と根拠に基く正当なものである。これが自分の思うようにならぬから自分の言う通りに聞け、無理でも何でもおれの言うことに文句を言うな、というやり方の中に使われて来る警察力というものは、すでに国家権力の行使という形で行われますけれども、暴力である。アルジエリア人をフランスに引き込んで来て、そうしてかつてなことをやつておいて、生活に困つている者を法律の集会をさせないで、そうして知らないで集まつた者をがんがんたたいて行く。そうしてそれが暴力を働いた者が検束されたというのでは、こういう白々しいやり方では、いつまでも国民を瞞着させたり、羊にしていることはできないと思いますが、昨日あたりの私のこの近所で見た警察のものものしい配置、警備ぶりというものは、あれは明らかに職務尋問というものの範囲を逸脱した不法行動であり、事実上戒厳令にひとしいものを実現していると思うのですが、どうしてこんなことをやつてさしつかえないと思つているのか、またどうしてこういうことをぬけぬけとやつているのか。それでこのためにはどういう配備をやつてどういう所でどういう問題が起きたのか、これを詳細に報告してもらいたい。
  76. 齋藤昇

    ○齋藤(昇)政府委員 集団示威運動は秩序正しく行われるということを確保するのがこの法案の目的であります。人権を侵害するようなことを認容いたしますことは、私は憲法破壊の考えであると考えるのであります。集団示威にこん棒やあるいは火炎びんやあるいは硫酸びんを持つて、その身体あるいは財産、自由等に危険を及ぼすことは、民主憲法下におきましては、どうしても禁止せざるを得ないと考えているのであります。     〔委員長退席、吉田(吉)委員長代理   着席〕
  77. 加藤充

    ○加藤(充)委員 私どもはなるべく共産党のひとりよがりを言わないために、ほかの文献なり事実から指摘して、政府の見解、警察の見解を明らかにして行きたいと思うのでありますが、先ほど読み上げた。パリで起きたアルジエリア人に対する警察力の不当行使、これは暴力的なものであつて、アルジエリア人というものは助からぬと思うのです。こういうやり方が秩序の維持のために必要だということになればですね。と同時に、蒋介石がまだほんとうの人気のある宰領であつた時代に書いた「中国の運命」という本の中には、彼はこういうことを言つています。中国の租界における警察の警官のやり方の無礼と残虐さは、ここにそれを再び筆にするに耐えがたいということを言つております。私は、あなた方は日本人であろうが何であろうが、不当な者は射殺してもかまわないというようなやり方で射殺しているのだ、と思うが、これは数年前大阪の府庁で朝鮮人学校教育問題ということで問題が起きましたときに、あそこで日本警察官ですか、ほかの警察官はおりませんが、日本警察官が電車道に砲列をしいて、そうして十三か十五くらいの女の子と男の子にピストルで乱射を加えて、そのうちの男の方はうしろから頭蓋骨を貫通する致命傷を與えられて即死したのであります。当時の大阪の近辺の一般の人は、朝鮮人だからしかたがないというような気持になつておりましたけれども、朝鮮人といえどもこれを射殺するというような事柄、あるいは子供に対してこういうようなピストルを乱射するというような事柄はひどいものだと思います。しかし五月一日のあの人民広場の殺傷事件といい、あるいは五月八日の早稲田大学の事件といい、またきのうの晩起きた、明らかに七十発も小さな交番でピストルを乱発して、そうして新聞の報ずるところによつても五名ほどの日本人が殺されているということであります。私は、これは警察としてはよほど考えてみなければならぬことだと思う。私は、日本人だから乱暴してもかまわないというような考え方を持つ者では断じておりません。乱暴とは何だということは先ほどから重々問題に取上げているところでありますが、日本警察日本人に対して平気が射撃して撃ち殺すというような事態、これは私は国警長官に真剣に訴えるような気持で、ただつるし上げをするとか、私どものかつてない意見を申し述べるというような意味合いではなくして、日本警察官あるいは日本警察力というものが現在どのような立場に置かれているのか、心ある警察官だつたら、日本人として、目をつぶつて撃たなければならぬような心境にある人が私は必ずあると思うのであります。しかしそれも職務の執行上やむを得ないでありましよう。しかし、前にはサーベルを抜いたりすることについてもいろいろ制限があつたのでありますが、あの危険なピストルを持たされて、そうして日本人に向つてピストルを乱発する。射殺してもかまわないというような意味合いでこの武器か使われるという日本警察——先ほど来指摘いたしました「中国の運命」という本の中に書いてある蒋介石の言葉、あるいはフランスのバリにおける一つの実例にすぎないが、アルジエリア人が、このフランスの植民地の人民としてひどい待遇を受けている。こういう日本国家が置かれている立場というものをやはり真剣に考えてみたことがあるのか。そして、そのことがやはり占領の継続にひとしいような講和條約の締結、あるいは行政協定の締結、そうして日本人のこれに対する協力、警察権力のこれに対する行使というようなものになつているということを考えてみたことがないのか。私はこの点について真剣にひとつあなたの気持を聞いてみたい。これでも治安のためだと言うけれども日本人の秩序や日本人の生活というものが乱されて、憲法というようなものすらがあまり値打のない状態になつてしまつている。こういうような状態のときに、そのために平和主義者が戦争に反対する。独立を回復するというような問題、あるいは生活を守るというような問題のために動き、再軍備に使われる税金というようなものに反対する。こういう日本人の結集した気持というものを考えるならば、ピストルで撃ち殺してもかまわないからというようなことで、数十発も日本人目がけて日本警察が撃ちつけるということはあり得ないと思うのです。この点を議論ではなしに、しみじみとひとつ長官の話を聞いてみたい。そうしてなおあなた方が木で鼻をくくつたような話をするならば、あなたは日本人としての感覚と秩序を持たない人であるという断定を下さざるを得ないのですが、ひとつしみじみとした話を聞かしていただきたいと思う。
  78. 齋藤昇

    ○齋藤(昇)政府委員 暴力革命を前提にせられまして、憲法やら法律を暴力で破壊することを是認しろというようなことをおつしやいましても、私どもお答えをするわけには参りません。
  79. 加藤充

    ○加藤(充)委員 議論でなしにそういうお話を私が申し入れておるのに対して、相かわらずそういう御返事をいただいたのでは、私は、先ほど申し上げたような私の気持、あなたに対する認識というものをここではつきりさせなければならぬと思うのです。あなたは暴力革命々々々々と言うけれども、そういうことをお考えになつているあなた自身がよほど考え直さなければいかぬと思うのです。今のような秩序で、情なくも一度植民地というような状態になつて参りますと、これに抵抗するためにも血を流させられるし、また、植民地状態に陷つた中から解放されるときにも、情ないことではあるけれども、その国民なり民族の血潮というものが流させられるのであります。これは犠牲の血潮だと私は思うのです。できるならばこういうことはしたくないけれども、こういうものをやらなければ国家の自主権なり独立なりというものは、回復されないと思うのであります。たとえばフランスのヴイシー政府が傀儡政権になつて来たとき、フランスのレジスタンスの諸君は実力をもつてヴイシー政府に抵抗し、ヴイシー政府の主人公であつたナチスの軍隊にまで、からだを張つて撃ち殺されながら抵抗して来た。このレジスタンスの人人が使つた実力、こういうふうな傀儡政権に対して——情ないことではありますが、それらに対して抵抗して行つた実力、あるいは、占領者としてのこのナチスの軍隊に対して行つた実力、これをあなたは暴力だと否定される。しかしながら、このレジスタンスの行動によつてあのフランス民族というものは敗亡と死滅から解放されたのです。こういうことをひとつ考えてみていただきたい。そういう意味合いで、これを暴力であると言うならば、さつき言つたように、奴隷と貧困の秩序に押し込むものである。それから立ち上る者は結局暴力としてピストルの矢面に立たされなければならない。またそれを矢面に立たすのが、齋藤長官に率いられた光栄ある日本の国警の使命であるというふうにあなたに対してわれわれは考えなければならぬが、あなたはそういうふうな使命と認識のもとに長官の職責を占めておるのかどうか。最後にこのことだけもう一回聞いてみたいと思う。
  80. 齋藤昇

    ○齋藤(昇)政府委員 私どもは、民主的な方法によつて、民主主義の確立によつて民族の繁栄と幸福と世界の平和をこいねがいたい、こういうように考えておるのであります。
  81. 加藤充

    ○加藤(充)委員 そういうふうなことを言われても、きのうあたりやつたところの気違いじみたような方々の警戒状態というもの、あれは民主的ではないと私は思う。あの逸脱した職務尋問のやり方、日本人を一切賊視して、疑いをもつて人間を見て、人を見たらどろぼうと思えというような古い封建時代のちよんまげ根性で、一切合財が不信用で、てめえたちだけが国を守るのだというような考え方で人民を敵視して扱うというようなことで、これが一体民主主義になるのですか。そういうようなばかげた民主主義を考えておる方であつたならば、これはもつてのほかである。これはナチスのやつたことだ。ナチスだつて民主主義ということを言つていたけれども、こんなべらぼうなことはフアツシヨのやり方である。あなたの言う民主主義ということは取下げてもらいたいと思う。
  82. 吉田吉太郎

    ○吉田(吉)委員長代理 本日はこれにて散会いたします。     午後四時四十八分散会