○大矢
委員 先ほど申し上げました、戰災都市においては、
人口にかかわらず、建築部の重要性というものは、いまさら申すまでもないところでありまするが、
法律第二百一号の建築基準法ですか、これによりますと、この四條にこういうことが書いてある。「市町村は前項の
規定によ
つて建築主事を置こうとする場合においては、あらかじめ、その設置について、
都道府県知事と協議しなければならない。」これはちようで今の文句と同じでありますが、「市町村が前項の
規定による協議がととのつた場合において建築主事を置くときは、市町村の」云々と書いてある。この協議がまとまらなかつた場合——これはあくまでも
府県知事がその建築に対する
権限を持
つて置こうとするために、市町村ではできない。
従つて協議しても、結局今言つた通り、いかに建築部を必要とする
府県にあ
つても、大臣がいわゆるこの
自治法の原則に立
つて、必要がないと言えば、
地方でいくら要請しても置けない。特に先ほど言つた、市町村に建築主事を置くことができるからなくなしたのだと申しますが、現に私の
調査によりますと、日本全国で八つしかない。それは横浜、金沢、函館、札幌、仙台、塩釜、川崎、広島で、現に
大阪、京都、名古屋、こういうところはどうしても離さない。そこでその次にこういうことが書いてある。第十四條に「建築主事を置く市町村の長は、
都道府県知事又は建設大臣に、
都道府県知事は、建設大臣に、この
法律の施行に関し必要な助言又は援助を求めることができる。」そこで、どうしても
知事が聞かないからして、建設大臣に実情を報告して、その必要な助言と援助を求める。求めたけれ
ども、しない。だからこういう
規定がいくらあ
つても、戰災都市の住宅復興というものは非常な障害を受けております。しかし建築主事を置く場合には、あらかじめ協議をすることができるのだからして、その任意にしておる。
従つて必要なものは大臣に協議したらいいじやないか。一応文章がそうな
つてお
つても、実質上はない。現にこの「建築主事を置くことができる。」という、このことから、建築復興に非常な支障を来して、困難をしている。そういう実情をこの機会に話しておきますと、こういうことになる。一軒の住宅を建てるために、まず第一に確認届を出す。都市計画に
関係があるかないか、道路法に
関係があるかないか、これは市が管理しておるから市に持
つて行く。そこでいよいよ建築をすることになると、その設計を持
つて行つて都
府県に届け出る。そうしてそれに対して今度は消防の厳重な
審査を受ける。これは防火建築その他の取締法によ
つて審査をする。その消防は御承知の通りに
府県が持
つていない。市町村が持
つている。
従つてこれは二十七、八の判をもらわなければ、一軒の家が建たない。それが府と市とにまたが
つている。しかも
府県庁の所在地にある市というものは割合に交通その他で便利でありますが、戰災地で、相当に離れておる市町村というものは、このために一体どれだけ迷惑をしておることか。
地方で苦い経験を持
つておる。それにいくらこんな
法律をこしらえても、実際は置けないし、また離そうとしない。そういうことのために二重
監督、二重行政の弊害が問題になるが、とにかく離さないことが常識的にな
つている。だから自治庁はこういうものの部分的な修正をやる場合には、明らかに建築部なら建築部を戰災都市には置くべしとか——そういうことが書いてなくして、それでますます困るようなことを
規定しているということは、私
どもははなはだ了解に苦しむのでありまして、今申しました建築基準法の、建設大臣が助言もしくは援助をすることができるということがあるにかかわらず、それを聞かない
府県知事がおります。それと同様に、
府県の方でいくら必要と感じて建設部なり労働部を置こうとした場合にでも、協議しなければならぬというので協議しても、それがまとまらないことになりますと、この
規定が無
意味にな
つてしまうから、協議してもまとまらなかつた場合には
地方民の意思によ
つて、
議決によ
つてそれを行うという、自治を尊重する
規定を入れなければ、これは死文にな
つてしまうのではないか、かように
考えるのでありますが、その点はどうですか。