○
長野政府委員 それではきのうに続きまして、赤黒の方によりまして、三十三ページの第七章、
執行機関というところから御説明申し上げます。
今回の改正におきましては、昨日も御説明申し上げましたように、およそ
地方公共団体の主たる組織につきましては、
地方自治法にその
根拠規定を入れまして、
行政運営の合理的な処理に資するということが考えられております。従いまして
執行機関につきましては、新たにここに
執行機関の通則というものを第一節として規定をすることにいたしたのであります。
第百三十八条の二は、およそ
地方団体の各
執行機関の執行に対します基本的な心構えと申しますか、そういう規定を置いたわけでございます。すなわち
地方団体の
執行機関は、
当該地方団体の条例、
歳入歳出予算その他議会の議決に基く仕事、そのほかに法令とか規則その他の規程に基きまして、
当該地方団体の仕事になつており、あるいは国や他の
地方公共団体から委任を受けておる仕事というものを、その判断と責任において誠実に管理し、執行する義務を負うということを、まず第一に入れたわけでございます。
次の条文におきましては、
地方公共団体の
執行機関の組織を、明確な範囲の
所掌事務と権限とを有する
執行機関によつて、それぞれ系統的に構成されるべきである、そういうことを第一に明らかにいたしております。
地方公共団体の
執行機関には、なお
地方公共団体が条例その他において設ける余地が多いのでございますから、そのような場合には、明確な範囲の
所掌事務と権限を有する
執行機関によつて系統的に構成されるという点を、第一に掲げたわけでございます。第二項は、
地方公共団体の
執行機関は、必ず
執行機関の
総括的代表者でありますところの
地方公共団体の長の所轄のもとに相互の連絡をはかつて、一体としての機能が発揮できるようにしなければならない。その次には、相互間にその権限につきまして、疑義が生じましたときには、
普通地方公共団体の長は、これを調整するように努めなければならない。これらの規定は、
内閣法、あるいは
国家行政組織法にも、同様の趣旨の規定がございますので、それらを参考といたしまして、規定いたしたわけであります。
第百三十八条の四は、まず地方の
公共団体に、その
執行機関としての種類を掲げたのでありまして、法律の定めるところによりまして、
普通地方公共団体の長のほかに、
委員会または委員を置くという
基本規定を規定いたしたわけであります。第二項は、
地方公共団体の
委員会についての
基本規定をさらに明確にいたしまして、法律の定めるところによりまして、法令あるいは
地方公共団体の条例や規則に違反しない限りにおいては、
委員会が規則その他の規程を定めることができる。第三項は、
執行機関の
付属機関としての
審査会、あるいは
審議会、
調査会等のそういう
付属機関を置くことができるという
基本規定を置いたわけであります。法律または条例の定めるところによつて置くことができる。但し、政令で定める
執行機関については、この限りでないということをうたつておりますのは、
会議制の
執行機関でございますから、
所掌事務の範囲が非常に狭いというようなものにつきまして、なお
付属機関を置きますと、本来の
執行機関の権限が非常に不明確になりますし、いたずらに組織を複雑ならしめるというような程度の
執行機関については、条例で当然に
付属機関を置くということは、避けるべきであるという意味で、但書を置いているわけであります。
〔
委員長退席、
野村委員長代理着席〕
第二節、第一節にありましたものが第二節に移つたわけでございますが、第百四十八条の第一項は、「法律又はこれに基く政令」という整備の部分の
改正規定でございます。第二項は、いわゆる
機関委任事務につきまして、
都道府県知事が行うことに義務づけられておりますものを、昨日お話申し上げましたように、団体の事務と調子を合せまして、別表に掲げることにいたしたわけでございます。第三項は、
市町村長に対する
機関委任事務で事務的な処理に属するものを、同様に別表で第四として掲げることにいたしたものであります。第百四十九条の
改正部分は字句の整備でございます。「法律又はこれに基く政令」ということに、「法令」あるいは「法律及び政令」という字句を改めたわけでございます。
第百五十二条は、これはあとで百六十一条のところで出て参りますが、必ずしも今回の改正によりまして、府県、
市町村におきましては、副知事または助役を置かないでもいいという規定を認めることにいたしましたので、副知事や助役を置かない
地方団体におきまして、その
職務代理者をいかに定めるかという必要が起つて参ります。従いましてその関係を明らかにいたしますために、従前は助役を置かない町村においてのみの
職務代理者の規定を副知事もしくは助役を置かない
地方公共団体というふうに広げたために、整備をいたしました規定でございます。
百五十五条の第三項は字句の整備でございます。第五項は
地方公共団体におきますところの支庁あるいは
地方事務所、支所もしくは
出張所または区の
事務所を置きます場合にも、やはり第四条第二項の規定の趣旨にのつとりまして、すなわち
事務所の位置を定めたり変更するにあたりましては、住民の利用に最も便利であるように、交通の事情、他の官公署との関係について、適当の考慮を払うという規定の趣旨を援用いたしたわけであります。
第百五十六条の
改正規定は、やはり
地方団体に置かなければならないような
行政機関につきましても、同じように住民の利用に便利であるような趣旨のもとに、その
行政機関の位置を定めなければならない、
所管区域を定めなければならないということにいたしたわけであります。やはりこの場合におきましても、この
行政機関を法律の定めるところによりまして、
普通地方公共団体に
設置義務が負わされているというものにつきましては、別表第五として掲げることにいたしたのであります。第五項の「
警察機関」という下に「
検疫機関」というのを入れましたが、これは厚生省の所管でありますところの人の検疫、海外から入つて参ります者の
検疫機関を整備する必要がございますのと、
農林省関係の輸入の動植物の
検疫機関、こういうものは
地方行政と直接関係があるというわけではないし、将来整備をして行く必要があるということのために、国会の承認を設置の場合に必ず受ける必要はないという規定の中に加えることにいたしたわけであります。
第百五十八条は
都道府県の職務に関する規定でございます。
都道府県の職務に関しましては七局六部、そのほか
随意部ということになつてお
つたのでございますが、今回はこれを改めまして
都道府県は条例で、部局を置くことができるようにいたしましたために、昨日申し上げました議会の
議員定数の場合と同じように、都、道、それから人口二百五十万以上の府県、百万以上二百五十万未満の府県、百万未満の府県、この五段階にわかちまして、そうして標準的な局部を規定をいたしたわけであります。すなわち都につきましては八局、道につきましては八部、人口二百五十万以上の府県につきましては
総務部、
民生部、
衛生部、
商工部、
農林部、
労働部、
土木部の七部、百万以上二百五十万未満の府県につきましては、民生と労働を合せまして
民生労働部という点がかわつておりまして、これが六部になつているわけであります。百万未満の府県につきましてはさらに民生、衛生が合さつて労働と一緒になりまして
厚生労働部ということで、
総務部、
経済部、
土木部、と合せて四部の基準を掲げているわけであります。しかしながらこのような基準は、具体的な個々の府県に必ずしもすべて適合するというわけではございませんので、次の項におきまして
都道府県知事が必要があります場合には、前項の規定にかかわらず条例で局部の名称あるいは
所掌事務を随意に変更することができるというようにいたしております。ただこの場合には合理的な運営という基本の趣旨にのつとり、かつ国の
行政組織その他の
都道府県の局部との組織の間の権衡を考えなければならないということにいたしております。府県の局部は御承知のように單なる
地方団体の組織というよりは、
むしろ国の行政を多く担当しております関係上、一面においてはやはり国の
行政組織との関係というものが、非常に密接でございますので、そのような規定を置いているわけであります。今回の改正におきましては機構の
簡素化ということが眼目でございますので、さらに次の項におきまして局部の数を増加するために条例を設けましたり、あるいは改正をするときには、あらかじめ
内閣総理大臣に協議をしなければならないという規定を置いているわけであります。
市町村の局部については変更はございません。自由に条例で必要な機関を設けることができることになつておりますが、ただそれに加えまして合理的な運営の趣旨に適合するように、また各町村との部課の組織との間に権衡を失しないように規定を加えたわけであります。
第百六十一条は、副
知事助役に関する規定でございますが、副知事につきましては事情によつては、その
都道府県は条例で副知事を置かないでもよろしいというように改めまして、その具体的な事情に沿いつつ、かつ行政の
簡素化、組織の
簡素化という点をはかつたわけであります。従いまして
現行法の第二項の人口二百万以上の府県にあつては二人、人口三百万以上の府県にあつては三人というような規定を削除することにいたしました。助役についても同様に条例で置かないことができるようにいたしますために、
現行法では町村だけにそういう趣旨のことになつておりますのを、すべて
市町村にふくらませますために但書の「町村」を落したわけであります。副知事や助役を置きます場合には、条例で定数を増加することができることは
現行法の通りであります。
第百六十八条は、副
出納長は現在必置制でありますのを
随意制に改めるために改正を加えたのであります。そうして、置きたい場合には県では条例で定めまして副
出納長を置くことができるというようにいたしたわけであります。副
出納長や副
收入役につきましては、これが
特別職であることを廃しまして
一般職にいたしまして、「
事務吏員の中から、
普通地方公共団体の長がこれを命ずる。」ことにいたしまして、実情に沿うようにいたしたわけであります。
第百七十条は、各種の
委員会に関する
整理規定でございます。第一項は、
委員会に関する関係の
整理規定でございます。第三項は、
出納長や
收入役の事務の一部を副
出納長や副
收入役に委任する場合におきまして、従来議会の同意を得てお
つたのでありますが、必ずしもこれが実際には
地方団体において個々の場合に励行されておりません。従いまして責任を明らかにいたすということの規定の趣旨を生かしますと同時に、個々のケースにつきまして議会の同意を得るということを、実情に合せるために改めまして、委任をいたしました場合には、ただちにその旨を告示するということに改めたわけでございます。第四項は、副
出納長や副
收入役を置かない
地方団体におきますところの代理の規定を改正する必要がありますので、改正をいたしたのであります。
第百七十二条の第三項は、職員の
定数条例につきまして、臨時または
非常勤の職員については
定数条例に本来規定をすべきものじやないという、昨日もお話を申し上げました議会の
事務局の場合と同様の趣旨におきまして、但書を加えることといたしました。
第百七十三条の二は、
普通地方公共団体の長の事務を補助いたします職員の中で、特別な資格を法律またはそれに基く政令に基きまして要求をされましたり、あるいは職名を有することを要求されたりしておるものがありまして、しかもこれを置くことを義務的に強制されておるものでありますが、これらのものにつきましては将来これを検討いたしますために、やはり別表第六に掲げまして、その関係を明らかにすることといたしたのであります。
百七十四条は
専門委員に関する規定でございますが、原則として
専門委員は
非常勤といたしますために「
非常勤とする。」いう規定を第四項として加えることにいたしました。
第五款、他の
執行機関との関係、これは、このようにして
地方自治法中に他の
執行機関の
基本規定を入れることにいたしましたのと同時に、
普通地方公共団体の長と他の
執行機関、各種の
委員会等の間の合理的な能率的な運営をはかりますためにこの第五款を加えたわけであります。すなわち第百八十条の二におきましては、
普通地方公共団体の長は、その権限に属する事務の一部を、他の
委員会もしくは委員の同意を得まして
委員会あるいはその事務を補助する職員に委任し、または
補助執行をさせることができるという規定をつけまして、相互に協力し合いまして、能率的な
事務処理がはかれるように規定を加えたわけでございます。
第百八十条の三は、今度は他の
委員会や委員の申出があります場合には、吏員その他の職員をそれぞれ兼ねさせましたり、あるいは職員をもつて充てましたりいたしまして、必ずしも
事務局を置き、
事務局の職員を置くという必要がない、そういたしませんでも能率的な運営ができるというふうに規定を加えたわけであります。
第三節、
委員会及び委員、これは
現行法におきましては、第二節
選挙管理委員会になつているものを改めまして第三節
委員会及び委員といたしました。第一款に通則を掲げることにいたしました。すなわち、他の
執行機関の基本的な規定を加えたわけでございます。
第百八十条の四は、まず一般的に
普通地方公共団体に置かなければならない
委員会は、左の通りであるということにいたしまして、
教育委員会、
選挙管理委員会、
人事委員会または
人事委員会を置かない
普通地方公共団体にあつては
公平委員会、
農業委員会、これが、原則としてすべての
普通公共団体を通じて置かなければならない他の
執行機関であるということを明らかにいたしました。すなわちこれらの機関がすべて
地方団体そのものの機関であることも、これによつて明らかにいたしたわけでございます。第二項におきましては、前項に掲げるもののほか府県に置かなければならないものとされておるものは、左の通りであるということにいたしまして、
地方労働委員会、
收用委員会、海区
漁業調整委員会、内
水面漁場管理委員会、
監査委員を掲げておるわけであります。三項におきましては、前二項のほか、
都道府県には、
都道府県国家地方警察の
運営管理を行わせるため、
都道府県公安委員会を置かなければならない。
公安委員会の性格及び
公安委員会の行います
国家地方警察の機能が、やや通常の他の
委員会と異なつておりますので、特に一項を起しまして規定を置いたわけでございます。第四項には、
市町村の関係の他の
執行機関の規定といたしまして、市及び
自治体警察を維持する町村に、
公安委員会を置かなければならないという規定を入れたわけでございます。第五項は、法律に特別の定めがある場合を除きましては、これらの
委員会の委員は原則としては
非常勤であるということを明らかにいたしました。従いまして、他の法律によりまして、その関係を明らかにしていない場合には、当然にこの規定によりまして
非常勤になるわけでございます。
第百八十条の五は、
委員会や委員は、
通常左に掲げる権利を有しない。すなわち
当該地方団体を代表いたしまして、その議会との間に責任をわかち合う、そういう関係のものは、
通常他の
執行機関はその権限を有しない。まず第一に、
歳入歳出予算を調整すること。議会の議決を経べき事件につきその議案を提出すること。
地方団体の收入及び支出の命令をすること。
地方税、分担金、加入金もしくは
夫役現品を賦課徴收し、または過料を科すること。
地方公共団体の決算及び証書類を議会の認定に付すること。このような仕事はすべて
普通地方公共団体の固有の権限でございまして、法律に特別の定あがない限りは、他の
執行機関はそういう権限を有しないということを明らかにいたしました。
第百八十条の六は、これらの
委員会は、前には
地方自治庁関係のところに多少規定を加えてありますが、今度は、その事務の一部を長の同意を得まして、
普通地方公共団体の長の
補助機関の職員に
補助執行させましたり、あるいは委任をさせることができる。すなわち支庁、
地方事務所、支所、
出張所等も使わせることができる。これによりまして各種の
委員会が、それぞれ地方に出先の
事務所を置く必要がないという合理的な運営にするようにいたしたわけであります。
第二款といたしまして、
教育委員会に関する
基本規定を入れたのであります。これは現在
教育委員会法に規定をしてあるそのままの字句を取入れまして、規定をいたしました。ただこの場合第二項、第三項は、
教育委員会が
機関委任事務としまして行わなければならないように義務づけられております事務は、やはり知事、
市町村の
機関委任事務と同様に、別表第三、第四に掲げることにいたしまして、第三項は、
教育委員会の任命する職員の中で、
学校長あるいは
教育長というふうに、法律によりまして特別の資格や職名を持つております職員で、しかも設置しなければならないものにつきまして、別表第六としてこれを掲げたわけであります。
選挙管理委員会は第三款で規定することにいたしております。
選挙管理委員会につきましては、現在
都道府県六人、
市町村四人でございますが、それぞれ関係の機関と協議をいたしまして、
機構簡素化の趣旨によりまして、道府県及び五大都市にありましては四人、その他の市及び町村にありましては三人というように、機構の縮小をはかつたわけであります。
第百八十二条は、第四項におきまして、前条で
市町村の委員が三人になりましたので、委員または補充員が二人以上同時に同一の政党やその他の団体に属する者となつては、
選挙管理の執行上公正を欠くことのおそれが出て参りますので、そのように規定を改めたわけであります。
第百八十六条の第一項の改正の部分は字句の整備でございます。第三項は、
全国選挙管理委員会が行わせられておりますところの
当該地方団体の
選挙事務以外の
機関委任として考えらるべき
選挙事務というものについて、府県の
選挙管理委員会にありましては別表第三、
市町村の
選挙管理委員会にありましては、別表第四に掲げることにいたしました。
衆議院議員あるいは
参議院議員の
選挙等は、その代表的なものであります。
第百八十九条は、
出席定足数についての規定でございますが、
市町村につきましては三人にいたしましたので、三人以上が出席しなければ開くわけに行きませんので、「すべての委員が出席しなければ、会議を開くことができない。」ということに改めたわけでございます。
第百九十一条は、当然に
選挙管理委員会に書記その他の職員を置かなければならないという
現行法の建前を改めまして、他の
委員会と
地方公共団体の長の職員と、相互に流用できるような規定を設けましたので、「書記その他の職員を置くことができる。」ということにいたしたわけでございます。それから第二項の
改正部分は、定数は常勤の職員のみでよろしいという意味で、「常勤の職員」という規定に改めました。但書は、
議会事務局その他と同じような意味で、臨時の職員については、この限りでないという規定を入れたわけでございます。第三項の「書記その他の職員又は第百八十条の三の規定による職員」と申しますのは、さいぜんの
普通地方団体の長の職員を
選挙管理委員会の書記その他の職員を兼ねさせ、またはこれに充てることができるという規定がありますので、そのようにいたしまして、
応援派遣をさせられております職員につきましても、
選挙管理委員長はこれを指揮する。そうしてその
委員会に関する事務に従事するという関係を明らかにしたわけでございます。
第四款の
監査委員につきましては、ほとんど改正はございませんが、ただ
監査委員の定数が、現在府県にあつては四人、
市町村にあつては二人になつておりますが、但書が加わつておりまして「市にあつては条例で四人とすることができる」ということになつておりますのを「政令で指定する市にあつては条例で四人とすることができる。」ということにいたしまして、機構の
簡素化をはかることにいたしたわけでございます。
第百九十六条の第三項の
改正部分は、
監査委員につきましては、
学識経験を有する者から選任されるものにつきまして、これを常勤とすることができるという規定を入れまして、常勤、
非常勤の別を明らかにいたしたわけでございます。
第百九十九条第二項として新たに挿入されました部分は、
監査委員が監査するにあたりまして、やはり
当該地方公共団体の経営にかかる事業の管理あるいは
当該地方公共団体の出納その地の事務の執行につきましては、合理的、能率的な運営に資しておるかどうかということについて、監査の際には特に配意をしなければならないという規定を明らかにするために入れたのでございます。六十八ページの第七項の
改正部分は、
委員会の字句の整備でございます。第八項は、
監査委員は、監査の結果の報告の際に、必要があると認めました場合には、組織や運営の
合理化に資するために、その意見を提出することができるということにいたしまして、
監査委員の監査を通じまして、
当該地方公共団体の組織及び運営の
合理化に資せしめることにいたしたわけでございます。
第二百条は、
監査委員の事務を補佐する書記その他の職員につきまして、
定数条例は
常勤職員に限るという規定を入れましたのが、第二項の
改正部分であります。第三項は、長の職員をこれに充てました場合の指揮、監督系統を明らかにするために改正を加えたわけでございます。
第五款は、
地方公共団体の
執行機関として入れました
人事委員会、
公平委員会、
公安委員会、
地方労働委員会、
農業委員会、その他の
委員会につきましては、基本的規定をここへ加えたわけでございます。
第二百二条の二の第一項は、
人事委員会に関する部分でございます。おおむね地方公務員法の規定の趣旨にのつとりまして、規定を加えました。第二項は、
公平委員会に関する規定の部分であります。第三項は、
公安委員会に関する部分であります。第四項は、
地方労働委員会に関する部分であります。第五項は、
農業委員会の基本的な機能を明らかにした部分であります。
第六項は、
收用委員会、海区
漁業調整委員会、内
水面漁場管理委員会の関係の規定であります。第七項は、これらの
委員会の中で、
機関委任事務として、
当該地方団体の事務以外の事務を行つておるものにつきましては、
都道府県の
公安委員会、
地方労働委員会、
農業委員会にありましては別表第三、
市町村の
公安委員会、
農業委員会にありましては、別表第四に掲げることにいたしております。第八項は、職員の中で法律の定める特別の資格や、職名を持つておりますものについては、
市町村について置かなければならないものは、
公安委員会のみでございますので、別表第六に掲げることにいたしてございます。
第六款は、附属機関に関する諸規定を入れたわけでございます。すなわち附属機関の機能につきましては、法律もしくはこれに基く政令または条例の定めるところによりまして、その担任する事項についての調停、審査、審議または調査等を行う機関とすることにいたしました。この附属機関を構成する委員その他の構成員は
非常勤であるということを明らかにいたしましたのが第二項でございます。第三項では、附属機関の庶務は、特別に
事務局その他を置かないで、特別の定めがなければ、原則としてはその属する
執行機関がこれをつかさどるということを明らかにいたしました。このような附属機関の中で、法律によりまして
普通地方公共団体が設置いたしますことを義務づけられておりますものにつきましては、別表第七にこれを掲げることにいたしたのであります。
第八章は、「給与」の章でございますが、これを「給与その他の給付」と改めました。と申しますのは、地方公務員法におきまして、旅費その他のものは、必ずしも給与という観念に入らない。従いまして、この点におきまして、自治法の給与と、地方公務員法の給与という観念を合せますために、「給与その他の給付」ということに、その章名を改正いたしたわけであります。
第二百三条の第一項は、各種の
委員会を設けましたので、非
常勤職員につきましての規定の整備でございます。
第二百四条の第一項は常勤の関係の職員につきましての規定の整備でございます。
第二百六条の第一項の
改正部分は、給与というものを、地方公務員法の観念に合せましたための整備でございます。
第三百七条は、
公聴会等に参りました者に対しまして、実費の弁償をいたしますところの規定でありますが、新たに
公聴会の関係がふえましたので、関係部分の規定を挿入をしたわけでございます。第二百十三条は、字句の整備でございます。
第二百十七条は、
公聴会の手続規定を、議会の議員の定数を定めます場合の
公聴会を基本的な規定といたしまして、二百十七条の手続規定を改めまして、その規定を、九十条の第四項の規定を準用することにいたしたわけでございます。
第二百二十二条は、
機関委任事務の手数料の徴收につきまして、
委員会が手数料を徴收する必要のあるものがございます。従いまして、現在では
地方公共団体の手数料条例というものが、
機関委任事務について、特に
地方公共団体の收入とするもののためにできておりますが、その関係が明らかになつておりませんので、ここに「又は
委員会」というものを加えることによりまして、
地方公共団体手数料令中に
委員会が徴收し得る手数料というものが規定し得るようにいたしたのであります。第二百二十三条は第一項は字句の整理であります。第二百二十八条も同様字句の整備でございまして、「行政事務(従来法令により」云々とあるのを「当該
普通地方公共団体の行政事務」とし、また「従来法令により」云々とあるのを「並びに法律又はこれに基く政令」というふうに改めたわけでございます。第二百二十九条は同様に字句の整備でございます。二百四十三条も同様に字句の整備でございます。二百四十四条の二も同様でございます。
二百四十五条は、財務関係の必要な規定を命令で定めるということになつておりまして、総理府令で定められておりますが、これは
地方自治法が今回の改正によりまして、
地方公共団体の事務を課する場合には、原則として政令以上でなければならないということを明らかにいたしましたので、これに伴いまして当然にこの「命令」を「政令」に改めることにいたしたわけであります。第十章は従来「監督」という章でございますが、これを
普通地方公共団体と国との関係及び
普通地方公共団体相互間の関係という観念に切りかえをいたしまして、従来の監督という観念を改めることにいたしたのでございます。
第二百四十五条の三は、国と
地方公共団体との基本的な関係を明らかにすることにいたしました。すなわち
内閣総理大臣や
都道府県知事は、
地方団体の組織や運営の
合理化に資するために、
普通地方公共団体に対しまして適切と認める技術的な助言または勧告をすることができるということにいたしたのでございます。また第二項では、
地方公共団体の長は、必要があると認める場合には、合理的な組織や運営の助言、勧告を求めたいという場合には、助言、勧告を求めることができるという規定でございます。第三項はそのようにいたしまして、
地方公共団体の組織や運営の
合理化に資するため、その情報を提供いたしますために、
地方団体に対しまして国または
都道府県知事は、その作成に要する資料の提出を求めることができるという規定でございます。第四項、第五項は主務大臣、各省大臣はその担任する事務の範囲におきましては助言、勧告ができる。同様にその担任する事務につきましての必要な資料の提出を求めることができるということにいたした規定でございます。これによりまして今後の
地方団体と国との関係というものは、一般的にこのような関係になりまして、指揮監督というような関係ではない、相互に協力し合つて行くという関係であるということを明らかにすることにいたしました。
第二百五十一条は、
地方団体相互間あるいは
地方団体の機関相互間に紛争かあります場合の紛争の調停のための手続規定をしたのであります。すなわち
都道府県や
都道府県の機関が当事者となるものにありましては
内閣総理大臣、その他のものが当事者となる場合には府県知事が、当事者の申請に基きまたは職権によりまして紛争の解決のために、これを自治紛争調停委員の調停に付することができることにいたしました。調停はもとよりその調停案を受諾いたしましても、これは強制的な措置ではございませんので、事情によりましては、その紛争の早期解決をはかりますために、職権によつて調停に付することも可能としたわけでございます。自治紛争調停委員は三人といたしまして、行政
簡素化の趣旨にもかんがみまして、事件が起きますることに
学識経験を有する者の中から
内閣総理大臣または
都道府県知事が、それぞれこれを任命することにいたしたのであります。この場合におきましては、総理大臣または
都道府県知事は、あらかじめ当該事件に関係のある事務を担任いたします主務大臣または
都道府県の
委員会もしくは委員に協議をすることにいたしまして、人選におきまして公正なる人選がはかれるように考えておるわけであります。この点につきましては、次のページの第七項に「第百八十二条第四項の規定は、自治紛争調停委員にこれを準用する。」というのがございますが、これは
選挙管理委員または補充員は、それぞれその中の二人が同時に同一の政党その他の団体に属する者となることとなつてはならないという規定がございますが、この規定を準用いたしておりますのも、紛争の調停におきまして、政治的な色彩が加わらないことを保障するためであります。自治紛争委員は、調停案を作成いたしまして当事者に示しまして、その受諾を勧告いたしますか、または調停による解決の見込みがない、すなわち調停案に対しまして、両当事者が受諾をしないというようなときには、必ず調停を打切つてしまうという程度の紛争調停でございます。ただこの場合には、調停委員はその経緯を公表することができるということにいたしております。調停につきましては、両当事者が調停案を受諾いたしまして、受諾した旨を総理大臣や
都道府県知事に提出いたしましたときに、調停が成立したということに考えられるように、第五項に規定を置いたわけでございます。調停委員は必要な場合には当事者や関係人の出頭を求めます。あるいはまたその陳述を求めることができるということにいたしております。その陳述と申しますのは、いわゆる証言というのではございませんので、ただその事情を述べていただくということでございます。第八項は調停した自治紛争調停委員が、いかにして調停案を作成するか等の技術的な手続に関しまして、政令で定めることにいたしているわけであります。
第二百五十二条の二、第二百五十二条の三、第二百五十二条の四、第二百五十二条の五、第二百五十二条の六までは、
普通地方公共団体の協議会に関する規定を新たに加えたのでございます。すなわち第十章は、国と
普通地方公共団体及び
普通地方公共団体相互間の関係を明らかにすることにいたしまして、
普通地方公共団体の合理的な運営、能率的な処理ということをはかりますために、各
地方公共団体が共同して処理する簡易な方式を規定することにいたしたのであります。これは
地方行政調査
委員会議の勧告におきましても、現在
地方自治法にございます
地方公共団体の一部事務組合に関する規定は、機構があまりにも複雑であつて、簡易でない。従つて簡易にそういう共同処理ができるような組織を考えるべきだという勧告がございますので、これに基ままして協議会の規定を設けたのでございます。すなわち
普通地方公共団体は、その事務の一部あるいは
機関委任事務の一部につきまして、規約を定めまして協議会を設けることができるということにいたしたのであります。ただこの場合
機関委任事務につきましては、府県の加入するものにあつては
内閣総理大臣、その他のものにあつては
都道府県知事の許可を受けなければならないことにいたしてあります。これは現在
地方公共団体の組合におきまして、
市町村の組合におきましては
都道府県知事の許可、府県の加入いたします組合につきましては、
内閣総理大臣の許可になつておりますが、当然には許可は必要ではないので、
機関委任事務の協議会を設けます場合には、許可が必要だということにいたしてあるのであります。
協議会につきましては、二百五十二条の三に書いてありますように会長、委員をもつて組織をいたします。会長や委員は関係
地方公共団体の職員の中から選任することになつております。協議会の規約は二百五十二条の四に掲げてありますように、協議会の名称。協議会を設ける
普通地方公共団体。協議会が管理し及び執行いたしますところの権限に属する事務及び管理や執行の方法。協議会のありますところの、
事務所の所在地。それから組織及び会長や委員の選任の方法。その他協議会の担任する事務に従事いたします職員の身分の取扱い。あるいは経費の支弁方法。協議会が事務に必要な物品、財産営造物の処分や設置の方法。その他関係
普通地方公共団体と協議会との関係ということにいたしておりますが、協議会と申しますのは通常考えておりますものは、職員を固有には持たない、または大きな営造物は財産をこういう協議会自身としては持たない。これは関係
地方公共団体から供出をされました職員や財産、営造物によつて、協議会が事務を運営をして行くというような気持で考えておるのでございます。
第二百五十二条の五におきまして、協議会が関係
普通地方公共団体または関係
普通地方公共団体の長その他の
執行機関の名においてした事務の管理及び執行は、関係
普通地方団体の長その他の
執行機関が管理し及び執行したものとしての効力を有することにいたしておるのであります。これによりまして協議会は、関係
地方団体が共同に事務を処理いたします場合に、事務を委託してやらしておる、そういう一つの代理機関であるというふうにお考えをいただけばけつこうだと思つております。
第二百五十二条の七は、これは協議会とは違いまして、
地方公共団体が設けますところの
委員会委員あるいは
付属機関その他の職員等につきまして、共同でそれらの機関を設置することができるという、いわゆる機関の共同設置の規定でございます。
二百五十二条の八、二百五十二条の九、二百五十二条の十、二百五十二条の十一、二百五十二条の十二、十三までがその関係の規定でございます。これによりまして、たとえば各種の
委員会につきましては、個々の町村が設置することなく、数町村が集まりまして、そういう
委員会を共同で設置する、あるいは農業技術者につきましては、共同でその者を置いてそれぞれの
市町村においてこれを使つて行くというようなことの、可能になるようにいたしたわけであります。第二百五十二条の十四は、これは事務委託の規定でございます。
地方団体がやはり協議によつて規約を定めまして、その事務の一部を他の
地方団体に委託することができる、すなわち職員の試験について事務委託をする、あるいは職員の講習について事務委託をする、あるいは学校教育の委託事務を行うというような関係規定を明らかにいたしますために、二百五十二条の十四から二百五十二条の十六までの規定を新たに加えたわけでございます。
第二百五十三条につきましては、
都道府県の権限に属する
市町村に関する事件で、数
都道府県にわたるものにつきましては、
現行法におきましては、関係
都道府県知事の協議によつて、その事件を管理すべき
都道府県知事を定めることができるということになつておりますが、協議がととのいませんで、そうして問題が遷延をいたしておるという場合が起つておりますので、非常に不都合がございます。従いまして、協議がととのわない場合には、
内閣総理大臣は、その事件を管理すべき
都道府県知事を定め、または府県知事にかわつてその権限を行うということを明らかにしたのであります。
第二百五十四条は、この法律で用いております人口は、官報で公示された最近の人口ということになつておりますが、これにつきましてしばしば疑義が生じて参りました。従いましてその関係を明らかにいたしますために、最近の国勢調査またこれに準ずる全国的な人口調査ということにいたしたのであります。
第二百五十五条は、第七条の関係の
改正規定による整理でございます。第二百五十五条の二は、やはり
市町村の境界に関する裁定、決定等の規定が新たに設けられまして、これによります訴訟機関等が明らかに規定されましたので、それに基きまする
改正規定でございます。
第二百五十九条は、郡の区域を新たに画しましたり、あるいは廃止をいたしました場合の告示の関係を、
市町村の配置分合や境界変更の趣旨と同様にいたしますために、第四項の規定を整理いたしました。
第二百六十四条は、特別市に関する部分の規定でございますが、これはいずれも
普通地方公共団体につきまして、同様な改正をいたしましたので、これに応じまして、関係規定の整理をいたしたのでございます。
第二百六十五条は、やはり同様でございまして、従来
地方団体の区域に属しなかつた区域を特別市の区域に編入するという場合の手続を明らかにいたしたのでございます。
第二百六十六条につきましては、これは境界に関して争論がある場合の関係規定を、
市町村の場合と同様に、特別市につきましても整理をいたしたわけであります。
第二百六十八条は、条例で助役を置かないことができるというように、府県
市町村の関係と同じようにいたしたわけであります。
第二百七十条は、行政区の
事務所につきまして、住民の利便を配慮して、その
事務所の位置を定めるために、第四条第二項の規定を準用いたすことにいたしました。
第二百七十一条は、行政区の区助役について、条例で区助役を置かないでもよろしいという規定を明らかにし、
普通地方公共団体の場合と同様にいたしたのであります。
第二百七十二条は、区の副
收入役という制度を廃止いたしました。現在これらの規定は実際動いておりませんが、特別市の区というものは行政区でございますので、そのようなところに副
收入役自体の事務があるわけではございませんので、そういう機構の複雑なものを整理いたしますために、副
收入役という規定を廃止いたしたわけであります。
第二百七十三条は、
委員会に関する
整理規定でございます。
第二百七十五条も、
定数条例についての、他の
普通地方公共団体と同様な
整理規定でございます。
第二百七十六条は、特別市におきますところの行政区の
選挙管理委員会というものは、行政区自体の
選挙管理事務がございませんので、この規定を廃止することにいたしました。
第二百七十七条は、
普通地方公共団体に関する規定を、特別市に適用いたします場合の
改正規定に応じまして、改正の条文を整理いたしたのでございます。
第二百八十一条は、特別区に関する
改正規定でございます。従来「都の区は、これを特別区という。」となつておりますのを、「都に区を置き、これを特別区という。」と改めまして、都の区は、これが都の内部的な区であるということを明らかにすることにいたしたのであります。第二項は、特別区の
所掌事務を明らかにいたしました。特別区は自治区ではございますが、原則として列挙いたしました公共事務及び行政事務で、国または都に属しないものを処理するということにいたしておるのであります。同項第一号は、小学校、中学校、幼稚園及び各種学校に関する設置及び管理の事務でございます。第二号は、主として当該特別区の住民の使用する公園、運動場、広場、緑地及び児童遊園を設置し、及び管理することであります。これらは主として現在は、区長に対する委任事務となつておりますが、これを特別区自体の一事務にすることにいたしたのであります。第三号は、主として当該特別区の住民の使用する図書館、公民館、公会堂等についての設置、管理の仕事でございます。それから社会教育につきましても、同様に特別区自体の事務として規定をすることにいたしました。第四号は、主として当該特別区の区域内の交通の用に供する道路、いわゆる区内道路と称せられるものでありますが、これも現在は都の事務になつておりまして、区長に
機関委任されておりますが、区自体の事務に拡大することにいたしたのであります。第五号は、街路樹、及び道路の照明施設の設置、管理並びに道路の清掃事業について、これを区自体の事務にすることにいたしました。第六号は、公益質屋、公衆浴場及び公共便所についての事務を、区自体の事務として切りかえることにいたしたのであります。第七号は、公共溝渠、いわゆる在来下水といわれておるものでありますが、これらにつきましても、区自体の事務に切りかえることにいたしまして、主としてこのような区民の日常生活に非常に直結いたしておりますところの、身のまわりの仕事というものは、やはり特別区の事務といたしまして、これによつて十分に手の届くようにいたすべきである、このように考えまして、特別区自体の仕事を広げることにいたしたわけであります。第九号は、前各号に掲げるものを除きましては、都の処理していない公共事務少くとも都の処理しておりません公共事務につきましては、一切特別区はやれる、あるいはまた法律もしくはこれに基く政令あるいは次に申し上げます第三項の規定によりまして、都の条例によつて特別区に属する事務も、当然に特別区の仕事としてやるのであるということを明らかにするのが第九号の規定でございます。
第三項は原則として特別区が行います公共事務や行政事務は、第二項各号に掲げておるものでございますけれども、特別区の存する区域につきまして、法律またはこれに基く政令の規定により市が処理しなければならない事務では、原則としては各号以外のものにつきましては、すべて都が処理することになるわけでございますが、その中でも主として特別区の区域内に関するものにつきましては、都は、特別区の議会その他
学識経験を有する者等の意見を聞きまして、都条例によりまして、これを原則として特別区に委任するものであるということを明らかにいたしておるのであります。
第四項は、このようにいたしまして第二項各号に掲げる事務以外は、特別区の存する区域におきましては、市が処理しなければならないということにされておる事務につきましては、都がこれを処理する。すなわち都という
公共団体が特別区の区域について当然他の
市町村の市が行うことが義務づけられておるような仕事は都がやるのである。それは第二百八十一条第二項各号に掲げられる以外のものについて都がやるのだということを明らかにしたのでございます。しかしながら、これも第三項によりまして、主として特別区の区域内に関するものにつきましては、原則としてそれらの事務につきましても、都が条例でこれを特別区に委任する建前を明らかにしております。
第五項は、都と特別区との事務の競合を避けるための規定といたしまして、都は、特別区が第二項の規定によりまして処理すべき事務を競合するような事務を区の存する区域内においては行わないようにしなければならないということを明らかにいたしたのであります。
第二百八十一条の二は、第一項は、特別区の区長の選任の方法を改めた規定でございます。すなわち特別区の区長は、特別区の議会の議員の選挙権を有するもので、年齢満二十五年以上のものの中から、都知事が特別区の議会の同意を得てこれを選任することに改めております。
第二項は、特別区の区長についての区長の権限を明らかにした
基本規定でございます。すなわち、特別区の区長は、当該特別区の事務及び法律またはこれに基く政令によりまして、その権限に属せしめられておるところの
機関委任事務及び法律または政令によりまして、他の
地方公共団体につきましては市長が行わなければならないということになつております事務は、原則として特別区の区長が行うということを明らかにいたしております。但し政令で特別の定めをするものはこの限りでない。たとえば都市計画のようなものにつきましては、これは市長が行うということになつておりましても、当然には区長は行えないというふうな関係の規定を明らかにいたす必要がありますので、政令で特別の定めをいたすことにしておるのであります。
第三項は、都知事は、その権限に属する事務の中で、主として特別区の区域内に関するものにつきましては、都の規則によりましてこれを特別区の区長に委任して管理及び執行させることができるということにいたしております。
第四項、第五項は、
委員会、委員も同様な意味で、特別区の
委員会や委員に委任をするという規定でございます。
第五項は、そのようにいたしまして、特別区の区長や特別区の
委員会や委員に委任をいたしました部分につきましては、当然に都知事や都の委員今や委員が、指揮監督をするという関係でございます。
第二百八十二条は、都は従来特別区につきまして、必要な規定を条例で定めることができるということになつておりましたが、それを今回改めまして、特別区の事務について特別区相互間の調整上、必要な場合のみに、都が条例で調整することができるということにしぼ
つたのであります。
第二項は、都知事は、特別区に対しまして、都の事務の処理との調整上、必要な助言や勧告をすることができるということにいたしております。
第二百八十三条は、この法律やこれに基く政令で特別の定めをする以外の市に関する規定は、特別区にこれを準用する。特別区の性格を改めますと同時に、特別区にこれを準用することにいたしておるのであります。
第二百八十四条は、
普通地方公共団体の一部事務組合に関する規定でございますが、従来
機関委任事務については、一部事務組合が認められなか
つたのであります。これが不都合でございますので、
機関委任事務についても一部事務組合ができるということにいたしますために、必要な改正を加えたわけでございます。
第二百八十七条第三項は、一部事務組合の組合会の議員あるいは管理者というものと、その組合を構成いたしておりますところの
市町村の議員、
市町村長というものとの兼職について疑義が生じて参つておるような状況でございますので、この兼職はさしつかえないということを明らかにいたしますために、一項を加えたわけでございます。
二百九十二条、二百九十四条はいずれも字句の整理であります。
附則第十条は、未引揚げ邦人の調査に関する事務を
都道府県及び特別市で行う必要がございますので、その関係の規定を加えたわけでございます。
附則第十七条は、他の法令中、市に関する規定は、特別区に適用することになつておりましたが、特別区の仕事を限定的に列挙いたしましたので、それら関係の規定に相当する部分についてのもののみについて、特別区にもまたこれを準用することに改めたわけでございます。
附則は、この法律は公布の日から起算をいたしまして、三月を越えない期間内において政令で定める日から施行する。
第二項は、現に効力を有する法律の規定でありまして、そうしてこれが総理府令や法務府令に委任をいたしておりますものは、すべて政令で規定をし直さなければならないということにいたすわけでございますから、これらのものは、この法律施行の日から一年以内に、改正後の
地方自治法の規定に合うように改正の措置がとられなければならないということにいたしたわけであります。
第三項は、そのように措置ができるまでは、なおその効力を有するという経過規定でございます。
第四項は、
市町村の廃置分合、境界変更につきまして、この法律施行の際、現に行つております手続につきましては、なお有効である、従前の手続でよろしいということを明らかにいたす規定でございます。
第五項は、現在行われておるかもしれない
市町村の境界の紛争に関する訴訟事件につきましては、なお従前の例によることにいたしました。
なお第六項は、
議員定数につきましては、改正後の自治法の規定にかかわらず、現在その職にある議員の任期中に限りましては、現在の定数をもつてその定数とするということにいたしまして、改正法の施行と同時に、新たに
議員定数の条例をつくり直す必要のないようにいたしたのでございます。
第七項は、局部に関する規定でございまして、法律施行の日から五箇月以内はなお従前の例によつて存続させることができるようにいたしております。
第八項は、副
出納長につきましても、現在その職におります者については、任期中はなおそのままでよろしいという経過規定でございます。
第九項は、
選挙管理委員の数を減らしましたが、現在その任期中の者につきましては、なお
選挙管理委員として在職をするという規定を加えたわけでございます。
第十項は、
監査委員を四人にいたしております市につきまして、現在そうしておるものについては、任期中はそのままでよろしいということにいたしたわけであります。
第十一項は、現に行われておる共同で設置しておりますものの事務につきましては、共同設置や事務委託というこの改正法の規定が行われましても、一年以内は、なお従前の例によつてよろしいということを明らかにいたしております。
第十二項は、郡の関係につきまして、
市町村の廃置分合、境界変更と同様に従前の手続でこの法律施行の際行われておるものは、効力を有するということにいたしておるわけであります。十三項、十四項、十五項、十六項等は、特別区の
改正規定の施行に伴いますところの必要な経過規定として規定を加えたわけでございます。
十八項は、行政区の
選挙管理委員会を廃止いたしますので、公職選挙法の規定を一部改正することにいたしたのでございます。
十九項、二十項は、厚生年金保険法、船員保険法等におきまして、厚生大臣の職権を厚生大臣の定めるところによつて委任するということになつておりますが、これは改正
地方自治法の趣旨に反しますので、この趣旨に適合するように改めてほしいという厚生省の申出がありましたので、この改正法の附則において改正することにいたしたのでございます。
第二十一項は、例文でございまして「この法律の施行のために必要な事項は、政令で定める。」このような規定を入れたわけでございます。