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1952-05-06 第13回国会 衆議院 地方行政委員会 第37号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年五月六日(火曜日)     午前十一時五十一分開議  出席委員    委員長 金光 義邦君    理事 大泉 寛三君 理事 河原伊三郎君    理事 野村專太郎君 理事 床次 徳二君       門司  亮君    池見 茂隆君       橘  直治君    前尾繁三郎君       鈴木 幹雄君    藤田 義光君       大矢 省三君    立花 敏男君       大石ヨシエ君  出席国務大臣         国 務 大 臣 岡野 清豪君  出席政府委員         国家消防庁事務         官         (管理局長)  瀧野 好曉君         総理府事務官         (地方自治庁次         長)      鈴木 俊一君         総理府事務官         (地方自治庁行         政課長)    長野 士郎君         総理府事務官         (地方自治庁公         務員課長)   佐久間 彊君  委員外出席者         議     員 稻田 直道君         専  門  員 有松  昇君         専  門  員 長橋 茂男君     ――――――――――――― 五月六日  委員福田篤泰君辞任につき、その補欠として佐  藤親弘君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 五月一日  地方財政確立のため起債早期認可に関する請  願(苫米地英俊紹介)(第二四四〇号)  地方自治法の一部改正に関する請願苫米地英  俊君紹介)(第二四七一号)  地方税法の一部改正に関する請願苫米地英俊  君紹介)(第二四七二号)  地方公営企業法案の一部修正に関する請願(門  司亮紹介)(第二五〇二号)  主要都道府県建築部存置に関する請願(井上  良二君紹介)(第二五〇三号)  地方公務員法の一部改正に関する請願門司亮  君紹介)(第二五〇四号)  地方税法入場税課税項目よりとう球場を削除  の請願野村專太郎紹介)(第二五一五号) の審査を本委員会に付託された。 四月二十八日  地方税法改正に関する陳情書  (第一五一〇号)  地方議会権能縮小等反対に関する陳情書  (第一五一一  号)  地方財政措置に関する陳情書  (第一五一二号)  北海道林務部存置に関する陳情書外一件  (第一五  一三号)  主要都道府県建築部必置に関する陳情書  (第一五一四号)  百円未満の飲食に対する免税に関する陳情書  (第一五一五号)  神奈川県下公益質屋運転資金等地方起債に関  する陳情書  (第一五一六号)  特別市制反対に関する陳情書  (第一五一七  号)  同外四件  (第一五一八号)  特別市制実施反対に関する陳情書  (第一五一九号)  同(第一五二〇号)  大阪市の特別市制実施促進に関する陳情書外一  件  (第一五二一号)  神戸市特別市制実施反対に関する陳情書  (第  一五二二号)  同外二件  (第一五二三号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  公聽会開会承認要求に関する件  地方自治法の一部を改正する法律案内閣提出  第一七五号)  消防に関する件     ―――――――――――――
  2. 金光義邦

    金光委員長 これより会議を開きます。  法案審査に先だちまして、この際お諮りいたします。目下本委員会において審査中の地方自治法の一部を改正する法律案、きわめて一般的関心及び目的を有する重要な法案でありますので、本案審査に遺憾なきを期するため公聴会を開催いたしたいと思いますので、手続等委員長一任として、この旨議長承認を求めたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 金光義邦

    金光委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。ただちに委員長より諸般の手続をとることにいたします。     —————————————
  4. 金光義邦

    金光委員長 地方自治法の一部を改正する法律案を議題といたします。質疑を続行する前に、この際政府より逐條的に説明を聴取いたします。まず五十三ページくらいまで御説明願います。
  5. 長野士郎

    長野政府委員 それでは地方自治法の一部改正法案逐條説明を申し上げます。お手元に配付いたしております「地方自治法の一部改正案現行法との対照」という赤黒になつている資料がございますので、これに基きまして御説明を申し上げます。     〔委員長退席野村委員長代理着席〕  今回の地方自治法の一部改正法案は、さきに大臣提案理由にもございましたように、地方団体組織及び運営に関しまして、その合理化能率化簡素化という線において改正を企てようとするものでありますが、同時におよそ地方公共団体におきますところの各執行機関につきましては、それぞれ地方自治法の中にも、その関係を明らかにする規定を設けることにいたしたのであります。従いましてそのためにまず目次について四章あるいは七章あたりの目次をかえております。四章におきましては各執行機関の選挙の規定を入れるという必要から、選挙の章を起しました。七章につきましては、地方自治法の中に各執行機関規定が新たに設けられますので、通則を新たに設けたのでございます。それから地方団体の長と他の執行機関との関係という新たな款を設けたのであります。  その次に、現行法におきましては選挙管理委員会監査委員等のみが地方自治法中に規定のある他の執行機関でございますが、今同教育委員会その他の委員会についての規定も入れますために、第三節を委員会、及び委員として作成いたしました。その中に加えまして人事委員会公平委員会以下の地方団体の名前が入つているわけであります。  第十章は現行法では「監督」ということになつておりますが、これを「国と普通地方公共団体との関係及び普通地方公共団体相互間の関係」といたしまして、一般的な関係を書くことにしまして、この観念を改めたわけであります。  次に本文の方に入つて説明申し上げます。第一條地方自治法の目的を新たに掲げることにいたしたのでございます。およそ地方公共団体組織及び運営に関しまして、地方自治法が他の地方に関するいろいろな法令との間における地位を明らかにいたしますために、この法律地方公共団体の区分あるいは組織運営に関する事項の大綱を定めるものであることを明らかにいたしたわけであります。同時にまた国と地方公共団体との間の基本的関係を明らかにすることにいたしました。また地方公共団体における民主的にして能率的な行政の確保をはかり、地方公共団体の健全な発達を保障するのがこの法律の目的であることを明らかにいたしたわけであります。第一條を新たに加えることにいたしましたので、現行の第一條を第一條の二といたしたわけであります。第二條につきましては第二條の二項の改正がございますが、これは地方自治法の施行になりました昭和二十二年五月三日以前におきまして、勅令、省令等におきまして地方公共団体事務委任をいたしておりましたものを、すべてこの建前を改めることにいたしまして、従来のものもすべて地方公共団体に対しまして法律または法律に基く政令によらなければ、国としては事務の委任ができないという建前を明らかにいたしたのであります。これによりまして地方公共団体に過重な事務が委任されることのないように保障する一つの措置と考えておるわけでありますが、第三項の但書は、第二項においてこのような建前に改めましたので、それに伴う整理規定であります。第三項の中の各号でありますが、この各号は地方団体の自主的に決定いたします事務を、現在の法令あるいは施設において用いられております言葉に、より忠実ならしめるために字句を改正いたしましたものと、さらにその範囲を広げたものとがあります。施設に関する例示の規定につきましては、第五号は従来公民館だけになつておりましたが、それに博物館、体育館を加えることにいたしました。また従来は教育学芸というようになつておりましたのを教育、学術、文化というように改めることにいたしたわけであります。第六号はやはり地方公共団体の行つておりまいろいろ施設営造物名称につきまして、現在用いられておる言葉に符合いたさせますために、質屋を公益質屋に、授産場授産施設養老院養老施設等に改めたわけであります。第九号も同様に現在用いられております用語に合せたのであります。第十号の「労働組合労働争議の調整、労働教育その他労働関係に関する事務を行うこと。」というのは、現在労働関係法によつてその事務が国の事務とされ、あるいは地方公共団体に対する委任事務とされておりますけれども、本来そういう労働関係に関する事務というものは、例外のない限り地方公共団体が自己の責任において処理すべき範囲があるということを明らかにしますために、第十号を加えたわけであります。号が一つ入りましたので、今までの十号を十一号にいたしまして、以下一号ずつ繰下げたわけでございます。第五項は地方公共団体が処理いたさなければならない仕事が、法律または政令によりまして、たくさん規定を設けられておりますが、その中で府県が処理しなければならないものとなつておりますものを、別表第一に掲げることにいたした基本的な規定でございます。五項は市町村が処理しなければならないものとなつておりますものを、別表第二に掲げるという規定を置いたわけでございます。なおこの別表説明はあとで申し上げますが、ただこの法律、すなわち地方自治法あるいは地方自治法に基きますところの政令規定いたします義務的な事務というものについてはこれは別表に掲げることをいたさなかつたわけであります。と申しますのは地方公共団体組織運営等の基本的な仕事それ自身が、地方団体の存立のために必要な仕事でございますので、これはおのずから違つた観念にいたすべきであるという建前によりまして、別表には掲げないことにいたしたのでございます。第八項は地方公共団体に関する法令規定運用及び解釈の建前というものを、地方自治の本旨に基いて行うということを明らかにいたすことにいたしました。従来とかく国が法律または政令によりまして地方団体に、いろいろな事務を課しておりますが、その場合の解釈なり運用というものが国の立場から、より国家的な考え方から解釈運用される傾きがございますので、そのような運用地方公共団体の利益に反する場合間々ございます。従いまして地方公共団体に関する法令規定はあくまでも地方自治の本旨に基いて解釈し、運用するという建前を明らかにしたわけでございます。特別地方公共団体に関する法令規定につきましては、なおそのほかにこの法律で定めますところの特別地方公共団体の特性にも十分合いますように解釈し、運用するということを明らかにしたわけでございます。第九項は能率的な合理的な運用ということが、今回の改正の一つの眼目になつておりますが、本来地方団体がその事務を処理するにあたりましての考え方の基本といたしまして、まず第一に住民の福祉の増進に努める、しかしながらそのために行いますところの所要の経費等は、最少の経費で最大の効率を上げるようにするということを明らかにしたわけでございます。第十項はなおそのほかに地方公共団体は常に自主的にその組織運営合理化するように努めなければならない。同時にまたたとえば市町村等につきましては、他の地方公共団体に協力を求めまして、その規模適正化を常にはかるようにしなければならない。今回の改正におきましては町村適正規模の実現を促進いたしますための改正規定が設けられておりますが、そのような改正規定の根拠になります規定として、第十項が加えられているわけであります。改正規定におきまして第十一項になりますこの六項の改正法令とありますのをすべて「法律又はこれに基く政令」という建前に合せたわけでございます。第三條につきましては地方団体名称に関する規定中、第四項、第五項と新たに二項を加えることといたしているのであります。市町村等名称変更につきましては、あらかじめ都道府県知事の許可を得ることになつておりますが、この府県知事がこれを許可いたしました場合に、その旨を内閣総理大臣報告をすることにいたしているのであります。これは従来市町村名称変更等で、必ずしも明らかでないものがございまして、国の各行政機関におきましてはそれらの名称変更に伴いまして、それぞれ変更措置をいたさなければなりませんものが明確に行えないうらみがあると思います。従いましてそういうことのないようにいたしますために、報告をすることにいたしておるのであります。内閣総理大臣は第五項におきまして、その報告を受けましたときにはこれを告示いたしますとともに、国の関係行政機関の長に、ただちに通知をしなければならないことにいたしまして、地方公共団体は各般の行政の基礎になるものでございますので、名称変更につきましても、この名称変更がありました場合には、各関係行政機関がそれに即応いたしまして、必要な手続がとれるように配慮いたしたわけでございます。第四條には一項を加えておりますが、第四條は地方団体事務所に関する規定でございます。すなわち県庁でございますとか市役所、あるいは町村役場規定でございますが、これは県庁の位置市役所位置変更いたしましたり、それをきめます場合には條例で定めることになつております。ただこの場合におきましても、その事務所位置を定めます場合には、大多数の住民の用に最も便利であるように、交通の事情等を考え、あるいは他の官公署等関係を考えまして、便利に利用ができるようにいたさなければならないという規定を置いたのでございます。この規定はなおあとの方で準用になつておりますが、地方団体の各行政機関位置をきめます場合にも、やはり同じような配慮に基きまして、なるべく事務所行政機関というものの場所を、一箇所に便利なところに集中させて、それによりまして住民の利便をはかるようにいたしたい、このこうに考えておるわけでございます。第三項は従来の二項が三項にかわりますので「前項」とありますのを「第一項」というふうに規定を整備したのでございます。次に第六條につきましては都道府県廃置分合境界護更の規定でございますが、第二項におきまして所属未定地市町村区域に編入いたしますときに、都道府県境界もおのずから変更するという規定でございますが、最近いろいろ問題が起りまして、島嶼その他につきまして調査をいたしましたところ、なお明確にいずれの地方公共団体区域に属しておるとも断定しがたいような区域の存在することが明らかになつて参りました。従いましてこれらの従来地方公共団体区域に属しなかつた地域につきまして、この地方公共団体区域へ編入をいたしますための手続が、あとの方でお話申し上げますところの第七條の二に新たに規定を設けたのでございますが、この場合従来地方公共団体区域に属しなかつた区域を、市町村区域に編入いたしました場合には都道府県境界もおのずから変更するという規定を置いたわけでございます。第七條について御説明を申し上げます。第七條市町村廃置分合または市町村境界変更規定でございますが、この第一項につきましては、市町村廃置分合境界変更がありました場合には、関係市町村の申請に基いて知事議会の議決を経て定めるのでございます、内閣総理大臣にその旨を届け出ることになつております。今回の改正におきまして、廃置分合境界変更処分権者は、従前通り都道府県知事でございますが、ただその廃置分合境界変更効力の発生につきましては、第七項におきまして内閣総理大臣告示によりまして、その効力を生ぜしめることにいたしておるのでございますが、それに関連をいたしまして、その処分がありました後にただちに届出をするということを明らかにいたしますために、「直ちにその旨を」という字句を加えることに第一項においていたしたのでございます。第二項におきましては、市の変置分合をいたそうとする場合には、地方行政調査委員会議勧告におきましては市につきましては都市としてのいろいろな高い能率における行政を維持するためには、現在の人口三万という要件では低過ぎるから、これを人口五万に引上げるべきことを勧告いたしておりますのと、同時に、市の変置分合については、あらかじめ国に協議をするようにして、都道府県知事処分を慎重ならしめることが必要である、これによつて市たるふさわしい市というものを維持して行かなければ国その他関係機関があらゆる行政計画において、市には特に他の町村よりも重い義務を課しておるような場合に、実情に沿わないという勧告が出ておりますが、今回は人口要件の引げということはすえ置きにいたしまして、ただ調査委員会議が他の一つの要件として勧告いたしておりますところの、市の変置分合をいたします場合には、都道府県知事はあらかじめ内閣総理大臣に協議しなければならないという規定を新たに加えたのでございます。それが第二項でございます。第二項が加わりましたので、現在の二項が三項に動きまして、現在の三項が四項に動きました。「前二項」とありますのを、規定を整理いたしまして、「第一項及び前項」ということにいたしたのでございます。第四項の「前三項」とありますのを「第一項、第三項及び前項」といたしましたのも同様の整理でございます。第五項が今度は第六項になりまして、「第二項」を「第三項」に改めました。その次に内閣総理大臣がただちにその旨の告示をいたしますとともに、これを国の関係行政機関の長に通知するという規定を新たに挿入いたしまして、これによりまして、市町村変置分合境界変更に伴いまして、たとえば裁判所管轄区域がかわつて参りますとか、あるいは電信、電話等におきまする配達区域なり電話局区域変更ということが、ただちに実態に即して行われるようにいたしますために、国の関係行政機関内閣総理大臣告示以外に、必ず通知するということに規定を新たに加えた次第でございます。第七項は先ほど申し上げました市町村廃置分合境界変更につきましての処分は、内閣総理大臣告示により、その効力を生ずることにいたしまして、それによりまして市町村廃置分合境界変更による新しい発足の時期をはつきりといたすことにしたわけであります。次に第七條の二に移りますが、先ほど申し上げましたように、従来地方公共団体区域に属しなかつた地域地方公共団体に編入いたしますための手続規定を新たに加えたわけであります。従来地方公共団体区域に属しなかつた地域府県市町村区域に編入する必要があるときには内閣がこれを定める。閣議におきましてそれを決定することにいたしております。その場合におきまして利害関係があると認められる都道府県または市町村があるときは、あらかじめその意見を聞かなければならないということにいたしております。この意見につきましては関係のある普通地方公共団体議会の議決を経て、その意見を出さなければならないということにいたしております。そういたしまして、内閣が定めましたもの、内閣処分につきましては、内閣総理大臣告示をいたしまして、その告示によりまして効力を生ぜしめることにいたしますために、前條第七項の規定を準用いたすことにしております。「従来地方公共団体区域に属しなかつた地域都道府県又は市町村区域に編入する」ということにいたしておりますの、必ずしも国におきまして、具体的な何県の何郡の何町村まで編入せしめる必要はない、ただ府県に編入するということでとどまる場合もあり得るだろう、その後の手続は、当該府県において処置をいたすのが、むしろ適当であるという場合もあり得るということで、府県あるいは市町村のいずれかに編入する場合を規定いたしたわけでございます。第八條は、市となるべき普通地方公共団体要件に関する規定が第一項でございますが、第三項におきまして、「町村を市とし若しくは市を町村とする処分又は村を町とし若しくは町を村とする処分」ということになつておりますが、これを改めましたのは、町村を市といたします場合、あるいは市を町村といたします場合には、あらかじめ内閣総理大臣に協議をすることになつておりますので、村を町とし、町を村とするのと同様な手続には参らなくなりましたので、書き改めたわけであります。次に第八條の二について申し上げます。第八條の二の、「都道府県知事は、市町村が第二條第十項の規定に上り」と申しますのは、第二條第十項に先ほど申し上げましたように、地方公共団体は常にその組織及び運営合理化に努めますとともに、他の地方公共団体に協力を求めて規模適正化をはかるという規定がございますが、こういう規定の趣旨にのつとりまして、規模適正化をはかることを援助いたしますために、知事市町村廃置分合または境界変更計画を定めまして、これを関係市町村勧告することができるという規定を新たに加えたわけでございます。これによりまして市町村の合併の促進、規模の充実についての促進をはかろうというわけでございます。但しこれは勧告でございますので、これ自身によつて法的な強制力を生ずるということはないわけでございますが、ただ規模合理化をいたします場合にも、全体的な観点に立ちまして、合理的な計画によつて規模合理化することがむしろ必要であるという建前によりまして、計画を立てることに考えているわけでございます。ただその計画を定めます場合には、第二項におきまして、必ず関係市町村当該都道府県議会当該都道府県区域内の市町村議会または長の連合組織、いわゆる府県單位におけるところの町村会でありますとか、町村議長会でありますとか、そのような連合組織その他関係のある諸機関及び学識経験を有する者等意見を必ず聞いて、その上で計画を定めなければならなりいことにいたしております。第三項におきまして、関係市町村意見を出します場合には、必ず当該市町村議会の議決を経なければならないことにいたつております。知事はこのような規定によりまして、廃置分合境界変更計画を定めまして勧告をいたしました場合にはただちにその旨を公表いたしまして、内閣総理大臣報告することにいたしております。第五項におきまして、総理大臣報告を受けましたときに国の関係行政機関の長に対して、ただちにその旨を通告することにいたしております。これによりまして関係行政機関は第六項でこのような合併計画に上る廃置分合境界変更を促進するために必要な措置を講じなければならない。これによりまして、財政的な援助なりあるいは行政的な措置なりを国の関係行政機関はとらなければならないということを明らかにいたしまして、市町村の合併が促進されるように配慮を加えたわけでございます。  第九條は、市町村境界に関しまして争論がありました場合の基本規定であつたわけでありますが、現行法裁判所にその確定の訴えを提起いたしまして行うということになつているのでございます。しかしながら今回の改正案におきましては、まず第一番目に、行政的な措置によりまして、なるべく境界に関する争論の早期解決をはかりたい、それによつてうまく行かない場合に、裁判所に対して訴えを提起するような手続を認めたい、このように考えまして新たなる改正規定をいたしたわけでございます。まず第一に市町村境界に関してまして争論があります場合には、府県知事市町村関係の申請に基きまして、第二百五十一條調停に付する。第二百五十一條規定による調停と申しますのは、市町村におきまして紛争がございました場合に、第三者による自治紛争調停委員調停に付するという規定を新たに設けておるのでございますが、その紛争規定によつて紛争調停手続によりますところの調停に付することができる、こういうわけでございます。  第二項におきましては、前項の規定に基きまして、すべての関係市町村の申請に基いてなされた調停の場合において、その調停によりましては市町村境界が確定しません場合にはすべての関係市町村の申請に基いておるのでございますから、これにつきましては知事境界について裁定をすることができる。それによつて境界の確定をはかることができる、あるいはまた関係市町村がすべて裁定をしてくれという申請を出しました場合についても、もちろん裁定をすることができるということにいたしておるのでございます。このような裁定につきましては文書によつてこれを行い、理由を付して関係市町村に交付をするということにいたしております。いずれにいたしましても、調停に付する申請につきましても、あるいは裁定に付する申請につきましても、これはすベて関係市町村議会の議決を経てこれを行うことにいたしておるのであります。  第五項におきましては、裁定によつて境界が確定いたしましたときには、都道府県知事はただちにその旨を内閣総理大臣に届出をいたします。これによつて市町村境界変更廃置分合と同じように内閣総理大臣はその旨を告示いたしますとともに、国の関係行政機関の長に通知をすることにいたしております。こういう措置をいたしますれば、これは関係市町村につきましての境界変更があつたと同じような効力を生ずるということを、第七項が規定をしたわけでございます。第八項におきましては、知事の裁定に不服があります場合には、関係市町村は裁定書の交付を受けました日から三十日以内に裁判所に出訴する道を開いておるのであります。  第九項は市町村境界に関しまして争論がありましても、知事調停に付してくれ、あるいは裁定してくれという関係市町村の申請を受けましても、そうすることが適当でないという趣旨で、その旨を通知をいたしましたときには関係市町村裁判所境界の確定の訴えを提起することができることにいたしております。また調停あるいは裁定につきましていたずらに時日を要しまして、道府県知事手続調停ないしは裁定の措置が、時日を遷延してもなお確定をしないというような場合には、これは早く解決をする必要がございますので、そういう申請をいたしました日から九十日以内に調停に付されない、あるいはその調停に付されましたけれども、調停案を関係市町村が受諾しない、従つて市町村境界が確定しない、あるいはまた裁定がないというような場合にも、関係市町村裁判所市町村境界の確定の訴えを提起することができることにいたしておるのであります。  第十項におきましては前項の規定による訴訟の判決が確定をいたしました場合に、裁判所がその判決書の写を添えて、その旨を総理大臣並びに関係のある都道府県知事に通知をするという規定でございます。  第十一項は、市町村境界変更に関しまして争論のあるのが、相当多数に上つているのでございます。従いましてこのような場合にも前十項の規定の方針にのつとりまして、政令で読みかえの規定その他必要な準用規定を設けることにいたしまして、そうして境界変更に関する争論につきましても、前十項の規定が準用できるようにいたすために、これを置いたわけでございます。  第九條の二は、境界が判明でない場合でございますけれども、その境界が判明でないという点につきまして争論がない場合、これは現行法の第九條の第二項にある場合でございますが、このような場合にも境界を確定いたす手続規定をあらためて出したのでございます。すなわちそのような場合には都道府県知事関係市町村意見を聞いてこれを決定することができる。但しその場合でもこの決定につきまして不服があります場合は、第四項に規定をいたしてありますように、「関係市町村は決定書の交付を受けた日から三十日以内に裁判所に出訴することができる。」ことにいたしております。そうしてあとの手続は大体境界に関する争論がある場合と同様の手続規定にいたしたのであります。  それから第十一條におきまして「及び公職選挙法」という規定を落しておりますのは、次の第四章が、公職選挙法ができましたときに削除になつておりますが、四章の基本規定だけをあらためて掲げることにいたしました。従いまして「別に法律の定めるところにより、」ということで、その趣旨を明らかにすることにいたしましたので、「及び公職選挙法」という選挙規定をここに置く必要がございませんので、これを削除することにいたしたのであります。  第十三條に一項を加えましたのは、教育委員会委員の解職の請求という規定を入れるためでございます。すなわち教育委員会につきまして基本規定改正法によりまして新たに地方自治法中に加えられることになりました関係上、三項を一項加えまして教育委員会委員の解職の請求権というものを、地方公共団体の住民が持つておるということを明らかにすることを適当と考えるからであります。なお教育委員会委員の選挙についての基本的な規定は、この第四章選挙というところの最後の條文にこれを加えたわけでございます。  第四章に選挙という新たな章を加えましたのは、これを加えておきませんと、この法律に基かない限りはしなければならない事務というものを別表に掲げる必要が生じて参るからでございます。また同時にそのような地方公共団体の基本的な組織に関する規定につきましては、当然地方自治法建前から申しましても、基本規定のみは少くとも規定いたしておくべきであるとの考え方に基いているわけでございます。すなわち第十七條以下四條條文を加えておるのでございますが、これは何も現行の條文の規定変更を加えるわけではございませんので、たとえば基本的に十七條におきましては、「普通地方公共団体議会の議員及び長は、別に法律の定めるところにより、選挙人が投票によりこれを選挙する。」というような基本的條項を加えるのみでございます。  それから十八條は選挙権についての基本的な規定でございます。「別に法律の定めるところにより、」と申しますのは、もちろん公職選挙法をさしているわけでございます。  第十九條におきましては、被選挙権の基本規定を入れたわけでございます。すなわち「普通地方公共団体議会の議員の選挙権を有する者で年齢満二十五年以上のものは、別に法律の定めるところにより、普通地方公共団体議会の議員の被選挙権を有する。」こととし、二項は知事の被選挙権、三項は市町村長の被選挙権の基本規定として掲げたわけでございます。  第二十條は先ほど申し上げましたように、普通地方公共団体教育委員会委員についての基本的な規定といたしまして、これが投票により選挙するものであるということを明らかにいたしておるわけであります。従いまして、第二十一條ないし第七十三條と申しますのは、今まで第十七嫌ないし第七十三中四條削除となつておりまして、その四條文だけ減らしましたので、それ以下にその削除の規定を置いたわけでございます。  第七十五條の改正規定は、今回の改正によりまして、地方公共団体執行機関のすべてにつきまして、基本的友関係を明らかにいたしますために、」の法律中に規定を加えることにいたしましたので、そういう規定が加わりまする以上は、関係各條文におきまして「委員会その他法令又は條例に基く委員会」というような一般的な表現を用いておりましたものも、やはり明らかに、具体的に書くことがむしろ適当であるという考えから、「選挙管理委員会、公安委員会教育委員会、その他法令又は條例に基く委員会又は委員」こうなつておりますところの監査請求の場合における規定につきましても、これを「教育委員会選挙管理委員会人事委員会、若しくは公平委員会、公安委員会地方労働委員会、農業委員会」というようにして、規定の整理をいたしたのでございます。第三項も同様でございます。  第八十四條は、先ほど申し上げました第十一條のところで、公職選挙法という條文を落しましたので、第八十四條の但書に公職選挙法という言葉が初めてこの法律としては出て参ることになりますので、その下へ法律の番号を加えることにいたしたのであります。第九十條は、地方公共団体議会の議員の定数に関する改正規定でございます。現行法におきましては、まず「都道府県議会の議員の定数は、人口七十万未満の都道府県にあつては四十人とし、人口七十万以上百万未満の都道府県にあつては人口五万、人口百万以上の都道府県にあつては人口七万を加えるごとに各々議員一人を増し、百二十人を以て定限とする。」ということになつておりまして、この法律によつて当然具体的な議会の議員の定数というものがきまりておつたわけでございますが、今回これを改めまして、議員の定数を、「概ね左の各号に掲げる数を基準として、当該都道府県の人口に応じて、條例でこれを定める。」ということにいたしたのであります。ただその基準は、現在の議員定数、法律によつて当然に定まる議員定数よりもやや低くいたしまして、戰前の議員定数その他地方行政調査委員会議勧告等を勘案いたしまして、ここに各号、第五号まで掲げましたような基準を定めたわけでございます。第一に、都、次に道、次が人口二百五十万以上、その次が人口百万以上二百五十万未満、次が人口百万未満というような規定にいたしております。都と道は、これは特別な規模を有し、あるいはまた特別な性格を有する地方公共団体でありますので、これは別にいたしまして、百万未満、百万以上二百五十万未満、二百五十万以上というふうに、通常の府県の基準として三段階にわけたわけでございます。ちようど第四号の百万以上二百五十万未満の中間を標準的な府県と考えておるわけでございます。今回の改正におきまして、定員を奇数の制度をとりましたのは、これは條例によつて具体的には各地方公共団体で定められますので、必ずしも奇数になるとは限りませんけれども、ただ法の建前として奇数を適当であるというふうにいたしましたのは、地方公共団体議会におきまして、党派がまつ二つにわかれるというような場合に、議長を出したところがはなはだしく不利になるというおそれが出て参るのでございまして、そのような弊害をなくいたしますために、必ず同数ではならないというのを基本の建前に置くことがむしろ適当であるということで、奇数主義をとつたわけでございます。  第二項におきましては、前項の規定により條例で議員の定数を定める場合においては、第二條第九項及び第十項の規定の趣旨に適合する」と申しますのは、先ほどの第二條にありましたように、まず地方公共団体は住民の福祉の増進に努める。そうして最少の経費で最大の効果をあげるような、そういう観点からやはり議員定数というものも考えるべきである。それからまた組織運営合理化というような点からも、議員定数をいかに定めるかということを各地方団体が考えるべきであるということを明らかにしたのでございます。  第三項におきましては、この議員定数の條例を定めます場合には、議会の常任委員会または特別委員会におきまして、あらかじめ公聴会を開き、そうして学識経験者その他住民について、広く意見を聞く必要があるということを明らかにしたわけでございます。そうして第五項におきまして、このような議員定数の変更は、原則として一般選挙の場合に限るということにいたしております。  第九十一條市町村議会の議員の定数でございますが、考え方といたしましては、道府県議会の議員定数と同じ考え方に立つておるのでございます。そうして百五十万以上の市、五十万以上百五十万未満、二十万以上五十万未満、五万以上二十万未満、一万以上の町村及び入口五万未満の市、一万未満の町村という六つの段階にわけて規定をいたしております。やはりこの場合にも地方行政調査委員会議勧告あるいは戰前の議員定数等を参酌いたしまして、このような基準を定めたわけでございます。市町村の議員定数の條例につきましてもやはり同様に、原則としては一般選挙を行う場合でなければこれを増減することができないことになつておりますし、また條例を定めます場合には、公聴会を開きまして広く住民の意見を聞くべきであるという規定府県の場合と同様でございますが、ただ市町村におきましては、町村廃置分合境界変更によりまして、中途におきまして事情が著しくかわる場合がございます。従いましてそういう町村廃置分合境界変更によりまして、著しく人口の増減がありました町村につきましては、これは一般選挙の場合でなくとも、任期中でも條例で議員の定数を変更し、増減することができることになつておりますが、現行法では「但し、新人口に基く第一項の議員の定数を超えて増加することはできない。」ということになつておりましたのを、これを改めまして、但書を全部削除いたしまして、市町村廃置分合境界変更の場合には、必要があれば必要な限り適当な議員定数を定めることができるということにいたしておるわけであります。これによりまして、実際上合併問題等においていろいろな意味で、一つの支障になつておりました議員定数の法定によるきゆうくつさというものも、解消することと考えておるわけであります。  第九十六條の改正規定は、これは「法律又は政令」とありますのを、四号におきまして「法律又はこれに基く政令」ということの方が正確でございますので、そのように改めた次第でございます。第五号も第十三号も同様でございます。第九十七條もやはり同様でございまして、「法律又は政令」とありますのを、「法律又はこれに基く政令」というふうに正確に規定をすることにいたしたのであります。  第九十八條は、先ほど第七十五條のところで申し上げましたように、委員会を正確に書き上げることにいたしたのでありまして、委員会整理規定でございます。  百一條は、これは普通地方公共団体議会につきまして、現在は定例会、臨時会制度でありましたのを、通常会、臨時会制度に改めたのに伴いまして、百一條の方は議員定数の四分の一以上の者から、会議に付議すべき事件を示して、臨時会の招集の請求がありましたときに、現在も当該普通地方公共団体の長は招集しなければならないという義務規定なつておりますが、それをさらに明らかにいたしますために「その請求のあつた日から都道府県にあつては三十日以内、市町村にあつては二十日以内に」という規定を新たに加えまして、招集義務の発生というものを明確にすることにいたしまして、臨時会が開催されることを保障することにいたしたのであります。  第百二條は定例会というのを通常会に改めまして、通常会は毎年二月または三月にこれを招集するということにいたしてあります。その会期は都道府県にあつては三十日、市にあつては十日を例とするということにいたしております。通常会がそのようになつて参りますので、臨時会の開催を保障することが必要でございます。従いまして第三項におきましては、従来の臨時会開催の場合が非常に限定的でありましたのを改めまして、まず第一に臨時会は、前條第一項の規定による、と申しますのは、議員の請求があつて臨時会を招集する場合でありますほか、必要がある場合にこれを招集する。但し、議員の一般選挙、あるいは長の選挙が行われましたときにおいて、通常会を招集する場合を除きましては、選挙の日から都道府県にあつては三十日以内、市町村にあつては二十日以内に、臨時会招を集しなければならないことにいたしてあるのであります。それから第五項は臨時会の付議事件中、開会中には急施事件はあらかじめ告示をいたしておりませんでも、これをただちに会議に付議することができるということになつておりますが、これでは通常会、臨時会となりました場合の臨時会については、ややきゆうくつでありますので、あらかじめ告示したもののほか臨時会の開会中に、いやしくも議会に付議すべき事件が出て参りました場合は、開会中ならば何どきでもこれを会議に付議することができる。必ずして急施事件に限らないということに改めたわけであります。  百十八條の改正は「法律又は政令」とありますのを「法律又はこれに基く政令」というふうに改めたわけであります。百二十一條委員会整理規定であります。百二十五條も同様であります。  百三十八條は職員の定数條例でございますが、職員の定数條例に規定さるべき職員としては、書記その他の常勤の職員に限る。臨時的なものについては定数條例に加える必要がないということに改めたわけであります。但書は常勤でありましても、臨時的なものについては定数條例に加える必要がないということを明らかにいたしたのであります。
  6. 野村專太郎

    ○野村委員長代理 本案に対する逐條説明は、本日はこの程度でとどめておきたいと思います。     —————————————
  7. 野村專太郎

    ○野村委員長代理 次に日程を追加いたしまして、消防に関する件について調査をすることにいたします。この際さきに鳥取市火災に関する慰問のため、議院より派遣せられまして現地を調査されました河原委員より、その実情について説明を聴取いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 野村專太郎

    ○野村委員長代理 それではさよういたします。河原委員
  9. 河原伊三郎

    ○河原委員 鳥取市の大火災につきまして、去る二十七月から衆議院を代表して五名の委員を派遣されたのでございますが、村上勇君は急病のために不参せられまして、森幸太郎君を団長として、改進党の福田繁芳君と社会党の松岡駒吉君と私の四名が参つた次第でございます。いずれ精細な報告書は後日配付せられると思いますから、ごく簡單に直感的に感じた印象的なことの概要を、御報告申し上げたいと存じます。  火災は御承知のごとく四日十七日午後二時五十五分に発生いたしまして、十八日午前三時に鎮火したのであります。燃えておりました時間が十二時間、風速は十メートルから十五メートルの間の強風のうちに発生いたしました。罹災戸数が五千二百二十八、罹災世帯数が五千五百五十八、罹災人数が二万四千百四十三人で、罹災総面積は五十万坪に上つておるのでございます。ただ晝に発生いたしました関係で、死者と重傷はおのおのわずかに二名ずつであつたのでありますが、軽傷者は三千九百六十三名の多きに上つたのでございます。燒失いたしました中には、学校が五校、病院その他の厚生施設関係が五つ、銀行本支店が八つを初めといたしまして、図書館など重要なる建物が多数に含まれておるのでございます。火災の原因につきましては、最初はしいたけの乾燥からということで、容疑者を調べておつたのでありますが、私どもの参りましたときには、この容疑はなくなつて、新しいものについて調査しておる、新しいものと申しますのは、鉄道の信号手の控所で、強風にもかかわらず外の強風を考えないでストーブをたいておつた、その煤煙からという容疑が濃厚になつておるということであつたのであります。初期の消火には一旦は成功いたしました。消したあと消防団員が安心しておつたら、第二回目の出火があつた。そこで最初の考えでは、さきの消火が十分でなく、その飛火の方が消し漏らされておつたというふうに見ておつた模様でありますが、次の観察では、これは煤煙のために最初の火とはまた別な火が付近に出たのだというふうなことから、この煤煙ということが思いつかれたようでございます。そこで最初の場合は完全に消火に成功したのでありますが、二回目の場合は消しそこねました。折からの強風にあおられて、かような空前の大火災になつた次第でございます。これに出動しました消防団が六十五団体、人員四千九百二十名の多数に上つております。そこで消防関係について遺憾の点はなかつたかという点について調査いたしましたが、当日は中部消防首脳部会議が下関で開かれておつて、鳥取市の消防司令長も、消防司令も重要なる人二人が不在であつた。それから六台のポンプのうち一台は故障で修理中であつた、さらに五台のうち一台は、引出して使う段になつたら故障があつて四台しか動けなかつた、それからにわかに多くのポンプが集まりまして水を使用いたしました関係で、水圧が急に低下して水不足のために十分にポンプの使用ができなかつた、そういうふうないろいろな悪條件があつたのでありますが、特に消防側として非常に痛恨事というふうに考えておりますことは、予防のために破壊するということが、ああいうふうな場合には非常に大切であつて、その破壊は近いところを破壊したのではすぐに燃えて来ますから、相当違いところで破壊を行わなければならない、ところがその破壊したところまで確実に燃えて来ればよろしいが、燃えて来ない場合はその破壊したものはいらぬものを破壊したということになつて、あとの責任が重大であるから、それで破壊する必要を感じつつも思い切つて遠方のところを破壊することができないという状態のために、そういうことが簡單にできる法規ができておれば、これはある程度のところで食いとめ得られたのであろうが、そういうようなことができないためにとめることができなかつた、こういうふうなことを強く申しておられたのであります。  それから富士銀行の支店、これは大きな洋館でありますが、これのために火災がその筋はとめられました。もしこの洋館が普通の家屋でありますならば、そこからまだ百何十軒あるいは数百軒が一律に燃えたと認められるのでありますが、その一つの洋館がありましたために、そのあとの全部が助かつております。こういう点から考えましても、耐火建築というものは、あくまで必要であるということが感ぜられるのであります。  それからいま一つは、相当な川幅のある岸から岸までは約十間程度もあろうかと思われる川がございます。この川で一応食いとめるということを考えたようでありますが、不幸なことにはこの川の中べりに引揚者の簡易建築物がありました。きわめて燃えやすい状態のものが一列にずつと川の内側に建てられておつた、これを破壊しなければあぶなかろうということはみな気がついておつたが、これもよく破壊することができなかつたわけで、これにまず火が燃え移つて、この川で一応食いとめるという希望もなくなつた。こういうふうな点から大きな火災の場合の消火ということには、いろいろ研究すべき資料を残したわけであります。  それからこの復興につきましては懇談会を開きまして、主要な点十項目をあげて、ぜひとも実現方を強く要望されたのでありますが、地方行政委員会関係で特に強く望まれましたことは、今回の火災によりまして府県税の面におきましても、市町村民税の面におきましても、特に鳥取市の場合は確実に大幅な税收減が起つて来る、ついては復興のためにいろいろな費用のいりますものは、特別平衡交付金の配分の場合に御配慮願いたいが、今現にはつきりとわかつておる税收減の補填については、普通平衡交付金の配分の際に、ぜひとも御配慮を加えていただくよう特に希望する、こういうふうなことを申された次第でございます。  いずれ詳細なことは書面で御報告申し上げますので、ごく簡單ではございますが、記憾に残つておる点のあらましを御報告申し上げた次第でございます。
  10. 野村專太郎

    ○野村委員長代理 この際お諮りをいたしますが、議員稻田直道君より本件に関し委員外の発言を求められております。これを許すに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 野村專太郎

    ○野村委員長代理 御異議ないものと認めまして、同君に発言を許します。稻田直道君。
  12. 稻田直道

    ○稻田直道君 ただいま委員長よりお述べになりましたように、委員外の私に本件に関しまして、特に発言をお許しになりましたことをありがたくお礼を申し上げます。実は本会議におきまして緊急質問をいたそうといたしまして、通告はいたしたのでありますが、事情によりましてとりやめとなりましたので、本委員会関係の部分を、ちよつとお尋ねいたしたいこともありましたので、発言をお願いしたような次第であります。  ただいま河原委員より大体の御説明がありましたが、火元の件であります。あるいはしいたけを栽培するための盗電と称し、あるいは鉄道職員の失火と称し、たき火の煤煙によるためと称し、あるいは怪火ではないかといううわさもあるのでありますが、これらにつきまして消防庁といたしまして、今日までいかようなる研究をいたし、いかようなる調査をしておられますか、あとあとの全国的な火災の件にも影響いたしますので、大体の御調査の内容を大臣もしくは関係当局より承りたいと思います。
  13. 瀧野好曉

    瀧野政府委員 鳥取の大火の真相でございますけれども、最初報道されました鳥取市内の駅付近のしいたけ栽培業の隣にある空家から出火した、その火災が原因であつたということは、その後実際の調査によりまして、現在その空家から線を引いて電気ドリルによつてしいたけ栽培用の木材に加工せんとしたときに、その電気のスパークあるいは漏電によつて火が出たということになつておりますけれども、その火災は先ほど河原委員から御説明ございましたように、消防の力によつて初期防火に成功いたしまして、完全に消えておるのでございます。真に大きくなりました火災の火元は、第一の火を発しました家から約三十メートル離れております鳥取市営の動源温泉の湯気抜きの通風口から火煙が出まして、それが見る見るうちに擴大いたしまして、かような大きな火災になつておるのでございます。それで問題は第二の発火点であるその動源温泉の火事が、何によつて起つたかということでございますけれども、これは現在私たちの方に到達しております報告によりましても、これだという完全なる真相が、まだつかめておらないのでございまして、御承知のようにいろいろの説があるのでございますが、新聞でわれわくも見ておりますように、ごく駅に近いところでございまして、その駅の近くにあります信号所におきまして、当日その時刻に盛んにストーブを燃やしておつて、その飛び火が動源温泉の屋上において火を発したというのではなかろうかと言われて、それを現在糾明中であるようであります。でありますので、ただいままでのところ、動源温泉の方の火の元が、あるいはその信号所から来たものか、あるいは最初伝えられました第一の火災の空家の火災の火の粉が来たものか、あるいはさらに別の火が原因であつたのか、原因は明瞭には主なつていないのでございます。私たちの方で現在得ました程度の御報告を申し上げました。
  14. 稻田直道

    ○稻田直道君 火元の原因の調査を消防署に求めるということは、あるいは少し難事かもしらぬと思います。でありまするけれども、最初の漏電関係と称せられるものを消しとめて間もなく、十分か十五分かの間にまた別の火元から、しかも十メーターか、二十メーターしか離れておらぬ所から火災が起るというようなことは、何かどうも奇蹟のようにも思える。われわれ地元の者といたしましても、これはどちらとも賛成しがたいのであります。最初のものはともかく、二回目のものが偶然に十分か十五分の後に火が起るということも考えられないのであります。私が考えますのに、ああいう大風の場合に、えたいのわからぬ怪火が起きましたならば、鳥取はもちろんいかなる都市といえども総なめにされるということは、実にありがちなことであろうと思う。消防署に対しましてとやかくと、その火元を追究するというのではなく、国務大臣としての岡野国務大臣といたされましては、たまたま消防に関係しておられるのでありますから、こういう点につきましては、警察関係その他とよく打合せられまして、これらのことに対しましては最善の処置をおとりにならなければいかぬと思います。これは一鳥取の問題にあらずして、天下の重大問題であると思いまするから、岡野国務大臣に、特にこれらのことに対しまする今後の最善の処置をお願いいたしたいと思つております。岡野国務大臣から何らか一言御答弁が願いたいと思います。
  15. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答え申し上げます。責任のがれをするわけではございませんが、消防の所管大臣は法務総裁でございまして、私ではございません。しかし国務大臣といたしまして、ただいまの御趣旨はしごくごもつともでございまして、内閣といたしまして一致協力いたしまして、御希望に沿うように今後対処して行きたいと思います。
  16. 稻田直道

    ○稻田直道君 えらく見当違いの質問をいたしました。  次は大火破壊工作の件でありまするが、その節承りましたとこによりますと、今河原委員よりお話がありましたが、火元から約四、五町隔てた所に袋川と称しまして幅員が二十間内外の川がある、その川の対岸の方に引揚者のバラツクがある、そのバラツクに川越しに火がつきやしないかというので、警察吏員でありましたか、破壊工作を行えと言うて、盛んに主張いたしましたところが、そのバラツクに住んでおる者が、火は来ないから絶対反対だと言うて、非常に反対したために、その破壊工作が行われなかつた、間もなく烈風のために川を越してそのバラツクに火がついて来ている、これがそもそも鳥取市のほとんど全部を焼くという大火の原因にもなつたと言われるのでありまするが、こういう場合におきまして、今日の消防署の機構というものは、強制命令というものがきかないのであるか、あるいは自治警察あるいは国家警察というふうなもののために、そうした命令の範囲が徹底的に行かないものであるか。鳥取の場合には、消防署長も次長もいなかつたというのでありまするが、そういういなかつたような場合におきまして、命令を下すような者がないことはない、あるでありましようけれども、平素きわめて緩慢で、演習とか、あるいは訓練とかいうものができておらなかつたのではないかと思います。いかにりつぱな消防機械があつても、平素の演習訓練がなくては何にもならぬ。ああいう烈風の起きた場合に、どういうふうに鳥取市を守り、松江市を守り、東京を守るというような、その場合々々の土地土地の訓練というものがなくてはならぬと思います。鳥取市のごときにおきまして、今申し上げますように、北の方の駅の方面から火が起きた場合には、ああいうバラックというようなものは、ただちに破壊するというようなことについての平素の訓練、演習がなければならぬと思います。そういう場合に、命令系統が民主的と申しますか何と申しますか知りませんが、そういう命令を強制的に行うというようなことが出き得なかつたものであるかどうか。この消防関係におきましての最近の事情を承りたいと思います。
  17. 瀧野好曉

    瀧野政府委員 お説ごもつともであります。消防におきましても、自治体消防になりましてから機械、装備、人員の非常な充実を見て参つており、またそれをいかに機動的に運用するかということは、実際につきまして、あるいは図上演習等を用いまして、そういつた訓練等を実施いたしております。地方々々によりまして非常に熱心な所もありますし、また火災に対して比較的感覚の鈍い地方もいろいろございますけれども、常備消防のような所におきましては、相当大きな火災を予想いたしまして訓練をしておるはずでございます。ただ破壊消防の場合においては、実際問題としてかような広範囲かつ遠距離になりますような場合におきましては、法制上客観的に必ず燃えるという実証がない限り、一応当該市が補償しなければならぬことになつております。そういう点も補償上の大きな問題が法制上としてはあるわけであります。但し実際上の訓練といたしましては、相当大規模の火災を予想いたしまして、いろいろの訓練をしておるのでございます。たまたま鳥取市におきましては、消防力の薄いところに持つて来て、なおその消防力が半分も役に立たなかつた。さらに人的構成におきましても、責任者が二人も欠席していなかつたというような非常な悪條件が重なつておつたことは、消防といたしましては、いかようにも言い訳ができない事情があつたと思います。貧弱な消防財源に悩んでいる自治体消防の弱点が、露骨に現われた実例が示されたのでありますけれども、これはたまたまかような悪條件が二重にも三重にも重なつて来たのでありまして、これを教訓といたしまして、今後実際上の装備、訓練を強化して行かなければならぬと信じております。
  18. 稻田直道

    ○稻田直道君 ただいまのお話の通りでありますけれども、平素いま少しく消防演習とか、消防の訓練とかいうようなものをよくやつておいてもらわぬと、かりに東京なら東京にああいう烈風のときに火災が起きた場合に、とんでもないことになると私は思います。病院も学校も消火器は備えてありますけれども、その消火器の使い方がわからない。私は議員宿舎におりますが、消火器は備えておりますけれども、私はその消火器の使い方を知らない。同僚の議員もそうだろうと思う。あれでは物の役に立たないと思う。ですからりつぱな消防ポンプがありましても、平素の訓練ということをあなた方が全国的に統括的にしつかりやつておらぬと、とりかえしのつかないことになりますから、その点をくれぐれも御注意あつてほしいと思うのであります。
  19. 門司亮

    門司委員 今の答弁のうちに、自治体消防の弱さを暴露したものだ、こういう聞き捨てならぬ御発言があつたように聞きましたが、一体自治体消防のどこが弱いというのですか。従来の消防制度というものと、実際の上ではほとんどかわつていない。ただ警察権に属しておつたものを独立させて、自主的活動ができるようになつておる。われわれから考えますと警察から離れて独立した消防というものは、隷属機関ではなく強くなつたと考えておる。もし政府の見解として弱くなつたということになると、これは非常に大きな問題だと思う。一体どの点が自治体消防になつて弱くなつたか。これはどうしても官僚統制でなければ悪いのか。その点をはつきり答えてもらいたい。
  20. 瀧野好曉

    瀧野政府委員 私あとから気がついたのですが、自治体消防の弱さが暴露されたと申しましたのは、官僚統制消防がいいという意味では決してございません。ただ現状におきまして自治体消防の発展過程について見ますれば、非常な進歩はいたしておりますけれども、各市町村ごとにそれぞれの立場において、それぞれの財政的な強さによつて、またそれぞれの認識の程度によつていろいろ違うのでございまして、その点は私たちの方で、御承知かと思いますけれども、各都市につきまして一つの診断をいたし、この基準まではぜひというふうに勧告はいたしておりますものの、要するにそれが裏づけされない実情にあつた。そしてはしなくもそういうものが一つ現われて、かように大きな被害を見ましたので、自治体消防のまだ至らざることが出たという意味において申し上げたのでありまして、私はまた従来とても、その通り言つてつておるのでありますが、消防は自治体消防で強化さるべきであり、また強化して行けるものだと確信いたしております。そういう意味において、先ほど申し上げたことを敷衍し、もし誤解がありましたら訂正いたします。
  21. 門司亮

    門司委員 私は誤解という意味ではありませんが、はつきりそう聞いておるのです。それで問題の焦点は、今せつかくのお話ですが、かりに鳥取のものが警察部に従来のように属する、警察制度のうちの一環としての消防制度であつたならば、この火災がこうならないで食いとめることができたと立証していただけるならば、私は今の言葉をそのまま受取つていいと思う。私は今日の鳥取の市の消防施設というものが、自治消防になつたことのために、非常に大きな支障を来したということはなかろうと思う。ことに消防に対しては捜査権はいまだ與えておりませんが、調査権まで與えております。そうして火災の原因調査にしても、従来のように警察まかせではありませんで、消防独自の考えで十分調査もでき、研究もすることになつておる。さらに財政法の中から見て参りましても消防施設その他の施設に対しては起債を許してもらいたいということが、はつきり優先的に書いてある。こういうふうに、法の建前からいたしますならば、むしろ自治消防の方が、消防活動はやりいいのであつて、私どもは一段と強化されたと考えておるのに、ただいまのようなことを政府の当局者から承るということになつて参りますと、これは一応再検討をしなければならぬようなことになつて来たと思う。従つて了解であるとか、あるいは誤解であつたというようなことでなくして、私はそのことはひとつ率直に取消していただきたいと思います。——私が取消しを要求いたしまして亀、取消しの言葉がないといたしますれば、私は消防庁の意見として確認いたしまして、今後のこの問題の処置をいたしたいと思いますが、さよう御了承願つておきたいと思います。
  22. 野村專太郎

    ○野村委員長代理 ちよつと門司さんに御了承願いますが、政府委員はさきに発言されたことに対しまして、速記録を見て御質疑に対して自分の考えと違つたところがあればこれを取消す、こう言われております。
  23. 瀧野好曉

    瀧野政府委員 どの点を訂正いたしますか、速記録によりまして、責任ある訂正をいたしますが、私が真に意図した点は、先ほど説明いたした通りでございますので、その線に沿つて訂正いたします。
  24. 立花敏男

    ○立花委員 今の問題と関連して聞いておきたいのですが、消防は実際役に立たなかつたということはほんとうなのですね。そういう意味で鳥取の消防というものが、名前は自治体消防であろうと何唇あろうと、実際役に立たないような貧弱なものであつたということはお認めになるのですか、どうなのですか。
  25. 瀧野好曉

    瀧野政府委員 お答えいたします。鳥取の消防力でも火災の程度によつては、消火し得るのであります。先ほどちよつと説明いたしましたように、第一回目の火災、空家の火災は完全に消しておるのでございます。現在残つております。第二の火災はもうすでに非常に大きくなつておりまして、しかも強風下にありましたので、見る見るうちに広がつて参りまして、転戰これ努めましたが、もうそのときに初期防禦に破れて、さらに転戰しておるうちに、非常に大きくなつて参つたのであります。総体的な問題でありますので、いかなる火災にも無益であるという意味ではございませんので、そのように大きくなつたときの火災に対しましては、消防としてはいかんともしがたかつたということであります。
  26. 立花敏男

    ○立花委員 大きい火災は初めから大きいのじやありませんで、小さいところから起きて大きくなつたというところに、消防の力が不足だつたということは言えると思うのです。大体この都市にはこれくらいのものが必要だという基準があるはずです。その基準に鳥取の消防の実体が合つていたかどうか。この問題はやはり検討されなければならないし、この原因が究明されなければならないのじやないか。だから鳥取の持つておつた自治体消防は、普通の基準からははるかに低い。河原君の報告にもありましたが、六台のポンプが一台故障で、ひつぱり出してみたら、あとの五台の一台も使えない、四台しか使えなかつたと言われておる実態なのです。それが普通の鳥取市の規模に合つた台数であつたかどうか。それが問題だと思うのです。その点から考えますと、鳥取のポンプの台数も、消防の人員も普通の規模よりは、非常に少かつたということは言えるのじやないか、その点はどうお考えになりますか。
  27. 瀧野好曉

    瀧野政府委員 ただいまの御意見の通りでありまして、鳥取の場合は、私の方の国家消防庁の方から基準として大体示しておりますものから申しますと、こういう條件になつております。常設消防力といたしましては、人員において大体百三十七名、ところが実際には四十四名の定員しかございません。それから消防ポンプは、基準から申せば、実際に動ける車は八台、予備が一台、合せて九台。それに対しまして実際にありました車は六台でございますが、その六台でも完全に動けたものは四台で、その四台のうちまた故障を起したというのでありますから、基準から申せば、非常に低いわけであります。そういうことで鳥取市の場合をとりましても、基準から申せば非常に低い。まず基準といたしましては、一応の消防の防衛態勢としての基準を示しておるわけでありますが、それから申しても、かように低いわけであります。
  28. 立花敏男

    ○立花委員 ところが、鳥取の自治体消防が現実に弱かつたということはそこにあるのじやないですか。だからあなたは、自治体消防が弱かつたということは、決して訂正をすべきことではない。誤りではない。この実態をはつきりお出しになつて、なぜ弱かつたのか、どういうことでこんな状態にしか消防の装備ができなかつたか。これはやはり糾明なさる必要があると思う。それが自治体だからやれなかつたのか、国家消防であつたらやれるのか、その点をどうお考えになつておるか。これを明白にしていただきたい。
  29. 瀧野好曉

    瀧野政府委員 言葉が不十分であつたのでありますが、もし国家消防と申しますか、そういつたようなものであつたならば、かような大火を起さなかつたであろうという意味において、自治体消防の弱さが現われたという意味でなくて、私たちの方で努力して参る基準を示し、勧告して参つたのでありまするけれども、各般の情勢からいたしまして、自治体のあり方において、現在の程度ではかような実力しかなかつたという点において、自治体消防の発展の過程において、その弱いところが露呈したという意味において申し上げたのであります。それで私が訂正するという意味は、官僚統制といいますか、あるいは国家消防、あるいは官僚消防と申しますか、さような意味の消防にした方がいい。それなら強いが自治体消防なら弱いというふうな意味にとられるきらいがありますので、そういう意味におきまして、しかるべく訂正しようということであります。
  30. 立花敏男

    ○立花委員 ぼくの聞いた範囲では、何もあなたは官僚消防にした方がいいということは言われなかつたので、訂正をどの程度にされるのか、私はわからないのですが、実際鳥取の自治体消防が、完全にこれが弱かつたということが証明されておるので、この点はあくまでもはつきりしなければならない。問題は、それをどうしたらよくなるかということだと思う。あなたが言われる百三十七名いなければならないものが、四十四人しかいない。三分の一しかいないわけです。それから消防ポンプは九台動かなければいかぬのに、半分以下の四台しか動かなかつた。そのうちでもまた故障があつたと言われるのですから、これも三分の一しかない。三分の一の人員と、三分の一のポンプで、火が消せるはずがないじやないですか。だからなぜそういうような消防の実体にならなければいけなかつたかということを、もつと明確に勇敢に出していただきたいと思うのです。あなたの言葉によりますと、各般の情勢とか、現在の程度ではやむを得ないという御意見ですが、そういうことでは、市民としては、あるいは国民全体としても、安んじて暮らすことができませんので、なぜ鳥取の消防が、そういう人員もポンプも三分の一しかないような状態で放置されておつたかという原因を、どういうふうにお考えになつておるか。それをひとつはつきりさせていただきたい。
  31. 瀧野好曉

    瀧野政府委員 私の見解をもつていたしますれば、基礎的な消防力が非常に弱かつた。しかし、それのみではなく、いろいろな他の原因も加わりまして、大きくなつたのでありますが、まず可能なことは、弱い消防力を強くすること。他のいろいろそれに加味された要素もございますけれども、まず消防力を強くすることを、非常に急がねばならぬと思つております。たびたび市町村自治体に対しましては呼びかけておるのでございますが、少くとも国家消防庁において示した基準程度は、装備をすみやかに整えてもらいたいということを、さらに今後積極的に、かような生きた教訓があることでございますので、呼びかけて行きたいと存じております。
  32. 野村專太郎

    ○野村委員長代理 ちよつと立花さんにお願いしますが、きようは新井長官も見えておりませんし、近く消防法の関係法案も、上程になることが予想されておりますので、今日の質疑の残りは、その機会にお願いできればけつこうであります。
  33. 立花敏男

    ○立花委員 聞くところによると、しいたけ屋から火が出たということで、あるいは国鉄の労働者がストーブをたいて火が出たということで、その容疑者を逮捕して調べているようだが、この責任は、やはり市と政府にあるのじやないかと思う。こういう状態で基準の三分の一を下まわるような装備で、ほつたらかしてあるところに大火の原因がある。いくら容疑者を調べたとて問題にならないと思う。なぜ消防がこういう状態でしか存続することができないのかということを、根本的にはつきりしていただきたいと思う。聞くところによると消防庁の内部が非常に腐敗しておりまして、ポンプの購入なんかにも、非常に大きな不正事件があつたということも聞いておりますし、地方に参りますと、消防費と警察費が、警察消防費として一本に組まれておつて、消防の大部分の費用が警察に食われておる。そういう大きな原因もあるらしい。そういう点を明確にしないと、いくらしいたけ屋さんを調べても、解決しない思う。三分の一のポンプと三分の一の人員でほつたらかしておいて、大火が起つたら容疑者だけを調べる。こんなことでは根本的な対策にならない。政治的な解決にならないと思う。だから、少くともあなた方が出て来られて、ここで鳥取の大火の原因を問題になさるなら、そういう基本的な問題を、はつきり勇敢に原因をお出しになつて、抜本的な対策をここで考究できるように、そちらからも資料をお出し願いたい。これは、私は、あくまでも政府の責任であり、市の理事者の責任であると思いますので、そういうことが解決できるような説明と資料と態度で、臨んでいただきたいと思う。長官がお帰りになつたら、その点はひとつ明白にしていただきたいと思う。
  34. 稻田直道

    ○稻田直道君 私が消防の関係をお尋ねいたしましたのは、今の立花さんのお話のように、これは一鳥取の問題にあらずして、全国的な重要な問題でありますので、平素消防に関する訓練なり、演習なり、そうした設備の不完全なるところは、積極的に出られまして、一日もすみやかに設備を整え、訓練を厳重にせられまして、万遺憾なきを全国的に期してもらいたいために、緊急質問を本会議においても試みようと思いましたけれども、その機会がなかつたので、この委員会をお借りしたような次第であります。どうかそうした意味において御注意が願いたい。なお起債の点等についてお尋ねをいたしたいと思いましたけれども、大臣に私約束しておつたのでありますけれども、帰つてしまいました。またの機会にひとつお願いすることにしまして、本日はこれで質問を暫時留保して打切らしていただきます。
  35. 門司亮

    門司委員 今問題になりまして、稲田さんからもいろいろお話がありましたが、起債の問題は非常に重大な問題で、鳥取市が現在救済を起債によつて求めるということは、大臣に聞きましたところ、特別の起債のわくから出してもいいと言う。今消防の問題が問題になつておるが、消防の問題にしても、実際上の問題としては、なかなか起債を許さぬのであります。従つてこの次もしこういう起債の問題等がありますならば、大蔵大臣に出てもらつて、大蔵大臣の所信を聞きたいと思う。そういたしませんと、この問題をいつまでここでやつてつても解決つかぬのであります。ことに消防庁がことし消防施設に対する起債を、政府に要求いたしておりますものは、きわめてわずかであります。さらにその次にあります消防施設の補助費というものも、きわめてわずかでありまして、貯水槽の施設にいたしましても、全国でたしか私は六十かそこらだつたと思います。百は出ていないと思う。きわめてわずかでありまして、一体全国にそんな少しばかりの貯水槽をこしらえてみたところで、役に立つかということであります。こういうことでは私はとても議論は盡きないと思いますので、この次の機会には、ぜひ大蔵大臣に出て来てもらつて起債の問題について最後まで意見を聞きたいと思います。委員長においてそういうふうにおとりはからいを願います。
  36. 野村專太郎

    ○野村委員長代理 ただいまの御意見はごもつともでございますので、理事会に諮りまして、善処いたしたいと思います。  本日の委員会はこれをもつて散会いたします。     午後一時三十一分散会