○
長野政府委員 それでは
地方自治法の一部
改正法案の
逐條説明を申し上げます。お手元に配付いたしております「
地方自治法の一部
改正案と
現行法との対照」という赤黒に
なつている資料がございますので、これに基きまして御
説明を申し上げます。
〔
委員長退席、
野村委員長代理着席〕
今回の
地方自治法の一部
改正法案は、さきに
大臣の
提案理由にもございましたように、
地方団体の
組織及び
運営に関しまして、その
合理化、
能率化、
簡素化という線において
改正を企てようとするものでありますが、同時におよそ
地方公共団体におきますところの各
執行機関につきましては、それぞれ
地方自治法の中にも、その
関係を明らかにする
規定を設けることにいたしたのであります。従いましてそのためにまず目次について四章あるいは七章あたりの目次をかえております。四章におきましては各
執行機関の選挙の
規定を入れるという必要から、選挙の章を起しました。七章につきましては、
地方自治法の中に各
執行機関の
規定が新たに設けられますので、通則を新たに設けたのでございます。それから
地方団体の長と他の
執行機関との
関係という新たな款を設けたのであります。
その次に、
現行法におきましては
選挙管理委員会、
監査委員等のみが
地方自治法中に
規定のある他の
執行機関でございますが、今同
教育委員会その他の
委員会についての
規定も入れますために、第三節を
委員会、及び
委員として作成いたしました。その中に加えまして
人事委員会、
公平委員会以下の
地方団体の名前が入
つているわけであります。
第十章は
現行法では「監督」ということに
なつておりますが、これを「国と
普通地方公共団体との
関係及び
普通地方公共団体相互間の
関係」といたしまして、一般的な
関係を書くことにしまして、この観念を改めたわけであります。
次に本文の方に入
つて御
説明申し上げます。第
一條は
地方自治法の目的を新たに掲げることにいたしたのでございます。およそ
地方公共団体の
組織及び
運営に関しまして、
地方自治法が他の
地方に関するいろいろな
法令との間における地位を明らかにいたしますために、この
法律が
地方公共団体の区分あるいは
組織、
運営に関する事項の大綱を定めるものであることを明らかにいたしたわけであります。同時にまた国と
地方公共団体との間の
基本的関係を明らかにすることにいたしました。また
地方公共団体における民主的にして能率的な
行政の確保をはかり、
地方公共団体の健全な発達を保障するのがこの
法律の目的であることを明らかにいたしたわけであります。第
一條を新たに加えることにいたしましたので、現行の第
一條を第
一條の二といたしたわけであります。第
二條につきましては第
二條の二項の
改正がございますが、これは
地方自治法の施行になりました昭和二十二年五月三日以前におきまして、勅令、
省令等におきまして
地方公共団体に
事務委任をいたしておりましたものを、すべてこの
建前を改めることにいたしまして、従来のものもすべて
地方公共団体に対しまして
法律または
法律に基く
政令によらなければ、国としては
事務の委任ができないという
建前を明らかにいたしたのであります。これによりまして
地方公共団体に過重な
事務が委任されることのないように保障する一つの
措置と考えておるわけでありますが、第三項の但書は、第二項においてこのような
建前に改めましたので、それに伴う
整理規定であります。第三項の中の各号でありますが、この各号は
地方団体の自主的に決定いたします
事務を、現在の
法令あるいは
施設において用いられております言葉に、より忠実ならしめるために字句を
改正いたしましたものと、さらにその範囲を広げたものとがあります。
施設に関する例示の
規定につきましては、第五号は従来公民館だけに
なつておりましたが、それに博物館、体育館を加えることにいたしました。また従来は
教育学芸というように
なつておりましたのを教育、学術、文化というように改めることにいたしたわけであります。第六号はやはり
地方公共団体の行
つておりまいろいろ
施設、
営造物の
名称につきまして、現在用いられておる言葉に符合いたさせますために、質屋を
公益質屋に、
授産場を
授産施設、
養老院を
養老施設等に改めたわけであります。第九号も同様に現在用いられております用語に合せたのであります。第十号の「
労働組合、
労働争議の調整、
労働教育その他
労働関係に関する
事務を行うこと。」というのは、現在
労働関係法によ
つてその
事務が国の
事務とされ、あるいは
地方公共団体に対する
委任事務とされておりますけれども、本来そういう
労働関係に関する
事務というものは、例外のない限り
地方公共団体が自己の責任において処理すべき範囲があるということを明らかにしますために、第十号を加えたわけであります。号が一つ入りましたので、今までの十号を十一号にいたしまして、以下一号ずつ繰下げたわけでございます。第五項は
地方公共団体が処理いたさなければならない仕事が、
法律または
政令によりまして、たくさん
規定を設けられておりますが、その中で
府県が処理しなければならないものと
なつておりますものを、
別表第一に掲げることにいたした基本的な
規定でございます。五項は
市町村が処理しなければならないものと
なつておりますものを、
別表第二に掲げるという
規定を置いたわけでございます。なおこの
別表の
説明はあとで申し上げますが、ただこの
法律、すなわち
地方自治法あるいは
地方自治法に基きますところの
政令に
規定いたします義務的な
事務というものについてはこれは
別表に掲げることをいたさなかつたわけであります。と申しますのは
地方公共団体の
組織運営等の基本的な仕事それ自身が、
地方団体の存立のために必要な仕事でございますので、これはおのずから
違つた観念にいたすべきであるという
建前によりまして、
別表には掲げないことにいたしたのでございます。第八項は
地方公共団体に関する
法令の
規定の
運用及び解釈の
建前というものを、
地方自治の本旨に基いて行うということを明らかにいたすことにいたしました。従来とかく国が
法律または
政令によりまして
地方団体に、いろいろな
事務を課しておりますが、その場合の解釈なり
運用というものが国の立場から、より国家的な
考え方から解釈
運用される傾きがございますので、そのような
運用は
地方公共団体の利益に反する場合間々ございます。従いまして
地方公共団体に関する
法令の
規定はあくまでも
地方自治の本旨に基いて解釈し、
運用するという
建前を明らかにしたわけでございます。
特別地方公共団体に関する
法令の
規定につきましては、なおそのほかにこの
法律で定めますところの
特別地方公共団体の特性にも十分合いますように解釈し、
運用するということを明らかにしたわけでございます。第九項は能率的な合理的な
運用ということが、今回の
改正の一つの眼目に
なつておりますが、本来
地方団体がその
事務を処理するにあたりましての
考え方の基本といたしまして、まず第一に住民の福祉の増進に努める、しかしながらそのために行いますところの所要の
経費等は、最少の経費で最大の効率を上げるようにするということを明らかにしたわけでございます。第十項はなおそのほかに
地方公共団体は常に自主的にその
組織や
運営を
合理化するように努めなければならない。同時にまたたとえば
市町村等につきましては、他の
地方公共団体に協力を求めまして、その
規模の
適正化を常にはかるようにしなければならない。今回の
改正におきましては
町村の
適正規模の実現を促進いたしますための
改正規定が設けられておりますが、そのような
改正規定の根拠になります
規定として、第十項が加えられているわけであります。
改正規定におきまして第十一項になりますこの六項の
改正は
法令とありますのをすべて「
法律又はこれに基く
政令」という
建前に合せたわけでございます。第三條につきましては
地方団体の
名称に関する
規定中、第四項、第五項と新たに二項を加えることといたしているのであります。
市町村等の
名称の
変更につきましては、あらかじめ
都道府県の
知事の許可を得ることに
なつておりますが、この
府県知事がこれを許可いたしました場合に、その旨を
内閣総理大臣に
報告をすることにいたしているのであります。これは従来
市町村の
名称の
変更等で、必ずしも明らかでないものがございまして、国の各
行政機関におきましてはそれらの
名称変更に伴いまして、それぞれ
変更の
措置をいたさなければなりませんものが明確に行えないうらみがあると思います。従いましてそういうことのないようにいたしますために、
報告をすることにいたしておるのであります。
内閣総理大臣は第五項におきまして、その
報告を受けましたときにはこれを
告示いたしますとともに、国の
関係行政機関の長に、ただちに通知をしなければならないことにいたしまして、
地方公共団体は各般の
行政の基礎になるものでございますので、
名称変更につきましても、この
名称の
変更がありました場合には、各
関係行政機関がそれに即応いたしまして、必要な
手続がとれるように配慮いたしたわけでございます。第四條には一項を加えておりますが、第四條は
地方団体の
事務所に関する
規定でございます。すなわち県庁でございますとか
市役所、あるいは
町村役場の
規定でございますが、これは県庁の
位置や
市役所の
位置を
変更いたしましたり、それをきめます場合には條例で定めることに
なつております。ただこの場合におきましても、その
事務所の
位置を定めます場合には、大多数の住民の用に最も便利であるように、交通の
事情等を考え、あるいは他の
官公署等の
関係を考えまして、便利に利用ができるようにいたさなければならないという
規定を置いたのでございます。この
規定はなおあとの方で準用に
なつておりますが、
地方団体の各
行政機関の
位置をきめます場合にも、やはり同じような配慮に基きまして、なるべく
事務所、
行政機関というものの場所を、一箇所に便利なところに集中させて、それによりまして住民の利便をはかるようにいたしたい、このこうに考えておるわけでございます。第三項は従来の二項が三項にかわりますので「前項」とありますのを「第一項」というふうに
規定を整備したのでございます。次に第六條につきましては
都道府県の
廃置分合や
境界護更の
規定でございますが、第二項におきまして
所属未定地を
市町村の
区域に編入いたしますときに、
都道府県の
境界もおのずから
変更するという
規定でございますが、最近いろいろ問題が起りまして、島嶼その他につきまして調査をいたしましたところ、なお明確にいずれの
地方公共団体の
区域に属しておるとも断定しがたいような
区域の存在することが明らかに
なつて参りました。従いましてこれらの従来
地方公共団体の
区域に属しなかつた
地域につきまして、この
地方公共団体の
区域へ編入をいたしますための
手続が、あとの方でお話申し上げますところの第
七條の二に新たに
規定を設けたのでございますが、この場合従来
地方公共団体の
区域に属しなかつた
区域を、
市町村の
区域に編入いたしました場合には
都道府県の
境界もおのずから
変更するという
規定を置いたわけでございます。第
七條について御
説明を申し上げます。第
七條は
市町村の
廃置分合または
市町村の
境界変更の
規定でございますが、この第一項につきましては、
市町村の
廃置分合や
境界変更がありました場合には、
関係市町村の申請に基いて
知事が
議会の議決を経て定めるのでございます、
内閣総理大臣にその旨を届け出ることに
なつております。今回の
改正におきまして、
廃置分合や
境界変更の
処分権者は、
従前通り都道府県知事でございますが、ただその
廃置分合や
境界変更の
効力の発生につきましては、第七項におきまして
内閣総理大臣の
告示によりまして、その
効力を生ぜしめることにいたしておるのでございますが、それに関連をいたしまして、その
処分がありました後にただちに届出をするということを明らかにいたしますために、「直ちにその旨を」という字句を加えることに第一項においていたしたのでございます。第二項におきましては、市の
変置分合をいたそうとする場合には、
地方行政調査委員会議の
勧告におきましては市につきましては都市としてのいろいろな高い能率における
行政を維持するためには、現在の人口三万という
要件では低過ぎるから、これを人口五万に引上げるべきことを
勧告いたしておりますのと、同時に、市の
変置分合については、あらかじめ国に協議をするようにして、
都道府県知事の
処分を慎重ならしめることが必要である、これによ
つて市たるふさわしい市というものを維持して行かなければ国その他
関係機関があらゆる
行政の
計画において、市には特に他の
町村よりも重い義務を課しておるような場合に、実情に沿わないという
勧告が出ておりますが、今回は
人口要件の引げということはすえ置きにいたしまして、ただ
調査委員会議が他の一つの
要件として
勧告いたしておりますところの、市の
変置分合をいたします場合には、
都道府県知事はあらかじめ
内閣総理大臣に協議しなければならないという
規定を新たに加えたのでございます。それが第二項でございます。第二項が加わりましたので、現在の二項が三項に動きまして、現在の三項が四項に動きました。「前二項」とありますのを、
規定を整理いたしまして、「第一項及び前項」ということにいたしたのでございます。第四項の「前三項」とありますのを「第一項、第三項及び前項」といたしましたのも同様の整理でございます。第五項が今度は第六項になりまして、「第二項」を「第三項」に改めました。その次に
内閣総理大臣がただちにその旨の
告示をいたしますとともに、これを国の
関係行政機関の長に通知するという
規定を新たに挿入いたしまして、これによりまして、
市町村の
変置分合や
境界変更に伴いまして、たとえば
裁判所の
管轄区域がかわ
つて参りますとか、あるいは電信、
電話等におきまする
配達区域なり
電話局の
区域の
変更ということが、ただちに実態に即して行われるようにいたしますために、国の
関係行政機関に
内閣総理大臣は
告示以外に、必ず通知するということに
規定を新たに加えた次第でございます。第七項は先ほど申し上げました
市町村の
廃置分合や
境界変更につきましての
処分は、
内閣総理大臣の
告示により、その
効力を生ずることにいたしまして、それによりまして
市町村の
廃置分合や
境界変更による新しい発足の時期をはつきりといたすことにしたわけであります。次に第
七條の二に移りますが、先ほど申し上げましたように、従来
地方公共団体の
区域に属しなかつた
地域を
地方公共団体に編入いたしますための
手続規定を新たに加えたわけであります。従来
地方公共団体の
区域に属しなかつた
地域を
府県や
市町村の
区域に編入する必要があるときには
内閣がこれを定める。閣議におきましてそれを決定することにいたしております。その場合におきまして
利害関係があると認められる
都道府県または
市町村があるときは、あらかじめその
意見を聞かなければならないということにいたしております。この
意見につきましては
関係のある
普通地方公共団体の
議会の議決を経て、その
意見を出さなければならないということにいたしております。そういたしまして、
内閣が定めましたもの、
内閣の
処分につきましては、
内閣総理大臣が
告示をいたしまして、その
告示によりまして
効力を生ぜしめることにいたしますために、前條第七項の
規定を準用いたすことにしております。「従来
地方公共団体の
区域に属しなかつた
地域を
都道府県又は
市町村の
区域に編入する」ということにいたしておりますの、必ずしも国におきまして、具体的な何県の何郡の何
町村まで編入せしめる必要はない、ただ
府県に編入するということでとどまる場合もあり得るだろう、その後の
手続は、
当該府県において処置をいたすのが、むしろ適当であるという場合もあり得るということで、
府県あるいは
市町村のいずれかに編入する場合を
規定いたしたわけでございます。第八條は、市となるべき
普通地方公共団体の
要件に関する
規定が第一項でございますが、第三項におきまして、「
町村を市とし若しくは市を
町村とする
処分又は村を町とし若しくは町を村とする
処分」ということに
なつておりますが、これを改めましたのは、
町村を市といたします場合、あるいは市を
町村といたします場合には、あらかじめ
内閣総理大臣に協議をすることに
なつておりますので、村を町とし、町を村とするのと同様な
手続には参らなくなりましたので、書き改めたわけであります。次に第八條の二について申し上げます。第八條の二の、「
都道府県知事は、
市町村が第
二條第十項の
規定に上り」と申しますのは、第
二條第十項に先ほど申し上げましたように、
地方公共団体は常にその
組織及び
運営の
合理化に努めますとともに、他の
地方公共団体に協力を求めて
規模の
適正化をはかるという
規定がございますが、こういう
規定の趣旨にのつとりまして、
規模の
適正化をはかることを援助いたしますために、
知事は
市町村の
廃置分合または
境界変更の
計画を定めまして、これを
関係市町村に
勧告することができるという
規定を新たに加えたわけでございます。これによりまして
市町村の合併の促進、
規模の充実についての促進をはかろうというわけでございます。但しこれは
勧告でございますので、これ自身によ
つて法的な
強制力を生ずるということはないわけでございますが、ただ
規模の
合理化をいたします場合にも、全体的な観点に立ちまして、合理的な
計画によ
つて規模を
合理化することがむしろ必要であるという
建前によりまして、
計画を立てることに考えているわけでございます。ただその
計画を定めます場合には、第二項におきまして、必ず
関係市町村や
当該都道府県の
議会、
当該都道府県の
区域内の
市町村の
議会または長の
連合組織、いわゆる
府県單位におけるところの
町村会でありますとか、
町村の
議長会でありますとか、そのような
連合組織その他
関係のある諸
機関及び
学識経験を有する
者等の
意見を必ず聞いて、その上で
計画を定めなければならなりいことにいたしております。第三項におきまして、
関係市町村が
意見を出します場合には、必ず
当該市町村の
議会の議決を経なければならないことにいた
つております。
知事はこのような
規定によりまして、
廃置分合や
境界変更の
計画を定めまして
勧告をいたしました場合にはただちにその旨を公表いたしまして、
内閣総理大臣に
報告することにいたしております。第五項におきまして、
総理大臣は
報告を受けましたときに国の
関係行政機関の長に対して、ただちにその旨を通告することにいたしております。これによりまして
関係行政機関は第六項でこのような
合併計画に上る
廃置分合や
境界変更を促進するために必要な
措置を講じなければならない。これによりまして、財政的な援助なりあるいは
行政的な
措置なりを国の
関係行政機関はとらなければならないということを明らかにいたしまして、
市町村の合併が促進されるように配慮を加えたわけでございます。
第九條は、
市町村の
境界に関しまして争論がありました場合の
基本規定であつたわけでありますが、
現行法は
裁判所にその確定の訴えを提起いたしまして行うということに
なつているのでございます。しかしながら今回の
改正案におきましては、まず第一番目に、
行政的な
措置によりまして、なるべく
境界に関する争論の
早期解決をはかりたい、それによ
つてうまく行かない場合に、
裁判所に対して訴えを提起するような
手続を認めたい、このように考えまして新たなる
改正規定をいたしたわけでございます。まず第一に
市町村の
境界に関してまして争論があります場合には、
府県知事は
市町村関係の申請に基きまして、第二百五十
一條の
調停に付する。第二百五十
一條の
規定による
調停と申しますのは、
市町村におきまして
紛争がございました場合に、第三者による
自治紛争調停委員の
調停に付するという
規定を新たに設けておるのでございますが、その
紛争の
規定によ
つて紛争調停の
手続によりますところの
調停に付することができる、こういうわけでございます。
第二項におきましては、前項の
規定に基きまして、すべての
関係市町村の申請に基いてなされた
調停の場合において、その
調停によりましては
市町村の
境界が確定しません場合にはすべての
関係市町村の申請に基いておるのでございますから、これにつきましては
知事は
境界について裁定をすることができる。それによ
つて境界の確定をはかることができる、あるいはまた
関係市町村がすべて裁定をしてくれという申請を出しました場合についても、もちろん裁定をすることができるということにいたしておるのでございます。このような裁定につきましては文書によ
つてこれを行い、理由を付して
関係市町村に交付をするということにいたしております。いずれにいたしましても、
調停に付する申請につきましても、あるいは裁定に付する申請につきましても、これはすベて
関係市町村の
議会の議決を経てこれを行うことにいたしておるのであります。
第五項におきましては、裁定によ
つて境界が確定いたしましたときには、
都道府県知事はただちにその旨を
内閣総理大臣に届出をいたします。これによ
つて市町村の
境界に
変更や
廃置分合と同じように
内閣総理大臣はその旨を
告示いたしますとともに、国の
関係行政機関の長に通知をすることにいたしております。こういう
措置をいたしますれば、これは
関係市町村につきましての
境界に
変更があつたと同じような
効力を生ずるということを、第七項が
規定をしたわけでございます。第八項におきましては、
知事の裁定に不服があります場合には、
関係市町村は裁定書の交付を受けました日から三十日以内に
裁判所に出訴する道を開いておるのであります。
第九項は
市町村の
境界に関しまして争論がありましても、
知事は
調停に付してくれ、あるいは裁定してくれという
関係市町村の申請を受けましても、そうすることが適当でないという趣旨で、その旨を通知をいたしましたときには
関係市町村は
裁判所に
境界の確定の訴えを提起することができることにいたしております。また
調停あるいは裁定につきましていたずらに時日を要しまして、道
府県知事の
手続調停ないしは裁定の
措置が、時日を遷延してもなお確定をしないというような場合には、これは早く解決をする必要がございますので、そういう申請をいたしました日から九十日以内に
調停に付されない、あるいはその
調停に付されましたけれども、
調停案を
関係市町村が受諾しない、従
つて市町村の
境界が確定しない、あるいはまた裁定がないというような場合にも、
関係市町村は
裁判所に
市町村の
境界の確定の訴えを提起することができることにいたしておるのであります。
第十項におきましては前項の
規定による訴訟の判決が確定をいたしました場合に、
裁判所がその判決書の写を添えて、その旨を
総理大臣並びに
関係のある
都道府県知事に通知をするという
規定でございます。
第十一項は、
市町村の
境界の
変更に関しまして争論のあるのが、相当多数に上
つているのでございます。従いましてこのような場合にも前十項の
規定の方針にのつとりまして、
政令で読みかえの
規定その他必要な準用
規定を設けることにいたしまして、そうして
境界の
変更に関する争論につきましても、前十項の
規定が準用できるようにいたすために、これを置いたわけでございます。
第九條の二は、
境界が判明でない場合でございますけれども、その
境界が判明でないという点につきまして争論がない場合、これは
現行法の第九條の第二項にある場合でございますが、このような場合にも
境界を確定いたす
手続規定をあらためて出したのでございます。すなわちそのような場合には
都道府県知事は
関係市町村の
意見を聞いてこれを決定することができる。但しその場合でもこの決定につきまして不服があります場合は、第四項に
規定をいたしてありますように、「
関係市町村は決定書の交付を受けた日から三十日以内に
裁判所に出訴することができる。」ことにいたしております。そうしてあとの
手続は大体
境界に関する争論がある場合と同様の
手続規定にいたしたのであります。
それから第十
一條におきまして「及び公職選挙法」という
規定を落しておりますのは、次の第四章が、公職選挙法ができましたときに削除に
なつておりますが、四章の
基本規定だけをあらためて掲げることにいたしました。従いまして「別に
法律の定めるところにより、」ということで、その趣旨を明らかにすることにいたしましたので、「及び公職選挙法」という選挙
規定をここに置く必要がございませんので、これを削除することにいたしたのであります。
第十三條に一項を加えましたのは、
教育委員会の
委員の解職の請求という
規定を入れるためでございます。すなわち
教育委員会につきまして
基本規定が
改正法によりまして新たに
地方自治法中に加えられることになりました
関係上、三項を一項加えまして
教育委員会の
委員の解職の請求権というものを、
地方公共団体の住民が持
つておるということを明らかにすることを適当と考えるからであります。なお
教育委員会の
委員の選挙についての基本的な
規定は、この第四章選挙というところの最後の條文にこれを加えたわけでございます。
第四章に選挙という新たな章を加えましたのは、これを加えておきませんと、この
法律に基かない限りはしなければならない
事務というものを
別表に掲げる必要が生じて参るからでございます。また同時にそのような
地方公共団体の基本的な
組織に関する
規定につきましては、当然
地方自治法の
建前から申しましても、
基本規定のみは少くとも
規定いたしておくべきであるとの
考え方に基いているわけでございます。すなわち第十
七條以下四條條文を加えておるのでございますが、これは何も現行の條文の
規定の
変更を加えるわけではございませんので、たとえば基本的に十
七條におきましては、「
普通地方公共団体の
議会の議員及び長は、別に
法律の定めるところにより、選挙人が投票によりこれを選挙する。」というような基本的條項を加えるのみでございます。
それから十八條は選挙権についての基本的な
規定でございます。「別に
法律の定めるところにより、」と申しますのは、もちろん公職選挙法をさしているわけでございます。
第十九條におきましては、被選挙権の
基本規定を入れたわけでございます。すなわち「
普通地方公共団体の
議会の議員の選挙権を有する者で年齢満二十五年以上のものは、別に
法律の定めるところにより、
普通地方公共団体の
議会の議員の被選挙権を有する。」こととし、二項は
知事の被選挙権、三項は
市町村長の被選挙権の
基本規定として掲げたわけでございます。
第二十條は先ほど申し上げましたように、
普通地方公共団体の
教育委員会の
委員についての基本的な
規定といたしまして、これが投票により選挙するものであるということを明らかにいたしておるわけであります。従いまして、第二十
一條ないし第七十三條と申しますのは、今まで第十七嫌ないし第七十三中四條削除と
なつておりまして、その四條文だけ減らしましたので、それ以下にその削除の
規定を置いたわけでございます。
第七十五條の
改正規定は、今回の
改正によりまして、
地方公共団体の
執行機関のすべてにつきまして、基本的友
関係を明らかにいたしますために、」の
法律中に
規定を加えることにいたしましたので、そういう
規定が加わりまする以上は、
関係各條文におきまして「
委員会その他
法令又は條例に基く
委員会」というような一般的な表現を用いておりましたものも、やはり明らかに、具体的に書くことがむしろ適当であるという考えから、「
選挙管理委員会、公安
委員会、
教育委員会、その他
法令又は條例に基く
委員会又は
委員」こう
なつておりますところの監査請求の場合における
規定につきましても、これを「
教育委員会、
選挙管理委員会、
人事委員会、若しくは
公平委員会、公安
委員会、
地方労働
委員会、農業
委員会」というようにして、
規定の整理をいたしたのでございます。第三項も同様でございます。
第八十四條は、先ほど申し上げました第十
一條のところで、公職選挙法という條文を落しましたので、第八十四條の但書に公職選挙法という言葉が初めてこの
法律としては出て参ることになりますので、その下へ
法律の番号を加えることにいたしたのであります。第九十條は、
地方公共団体の
議会の議員の定数に関する
改正規定でございます。
現行法におきましては、まず「
都道府県の
議会の議員の定数は、人口七十万未満の
都道府県にあ
つては四十人とし、人口七十万以上百万未満の
都道府県にあ
つては人口五万、人口百万以上の
都道府県にあ
つては人口七万を加えるごとに各々議員一人を増し、百二十人を以て定限とする。」ということに
なつておりまして、この
法律によ
つて当然具体的な
議会の議員の定数というものがきまりておつたわけでございますが、今回これを改めまして、議員の定数を、「概ね左の各号に掲げる数を基準として、
当該都道府県の人口に応じて、條例でこれを定める。」ということにいたしたのであります。ただその基準は、現在の議員定数、
法律によ
つて当然に定まる議員定数よりもやや低くいたしまして、戰前の議員定数その他
地方行政調査委員会議の
勧告等を勘案いたしまして、ここに各号、第五号まで掲げましたような基準を定めたわけでございます。第一に、都、次に道、次が人口二百五十万以上、その次が人口百万以上二百五十万未満、次が人口百万未満というような
規定にいたしております。都と道は、これは特別な
規模を有し、あるいはまた特別な性格を有する
地方公共団体でありますので、これは別にいたしまして、百万未満、百万以上二百五十万未満、二百五十万以上というふうに、通常の
府県の基準として三段階にわけたわけでございます。ちようど第四号の百万以上二百五十万未満の中間を標準的な
府県と考えておるわけでございます。今回の
改正におきまして、定員を奇数の制度をとりましたのは、これは條例によ
つて具体的には各
地方公共団体で定められますので、必ずしも奇数になるとは限りませんけれども、ただ法の
建前として奇数を適当であるというふうにいたしましたのは、
地方公共団体の
議会におきまして、党派がまつ二つにわかれるというような場合に、議長を出したところがはなはだしく不利になるというおそれが出て参るのでございまして、そのような弊害をなくいたしますために、必ず同数ではならないというのを基本の
建前に置くことがむしろ適当であるということで、奇数主義をとつたわけでございます。
第二項におきましては、前項の
規定により條例で議員の定数を定める場合においては、第
二條第九項及び第十項の
規定の趣旨に適合する」と申しますのは、先ほどの第
二條にありましたように、まず
地方公共団体は住民の福祉の増進に努める。そうして最少の経費で最大の効果をあげるような、そういう観点からやはり議員定数というものも考えるべきである。それからまた
組織運営の
合理化というような点からも、議員定数をいかに定めるかということを各
地方団体が考えるべきであるということを明らかにしたのでございます。
第三項におきましては、この議員定数の條例を定めます場合には、
議会の常任
委員会または特別
委員会におきまして、あらかじめ
公聴会を開き、そうして
学識経験者その他住民について、広く
意見を聞く必要があるということを明らかにしたわけでございます。そうして第五項におきまして、このような議員定数の
変更は、原則として一般選挙の場合に限るということにいたしております。
第九十
一條は
市町村の
議会の議員の定数でございますが、
考え方といたしましては、道
府県の
議会の議員定数と同じ
考え方に立
つておるのでございます。そうして百五十万以上の市、五十万以上百五十万未満、二十万以上五十万未満、五万以上二十万未満、一万以上の
町村及び入口五万未満の市、一万未満の
町村という六つの段階にわけて
規定をいたしております。やはりこの場合にも
地方行政調査委員会議の
勧告あるいは戰前の議員定数等を参酌いたしまして、このような基準を定めたわけでございます。
市町村の議員定数の條例につきましてもやはり同様に、原則としては一般選挙を行う場合でなければこれを増減することができないことに
なつておりますし、また條例を定めます場合には、
公聴会を開きまして広く住民の
意見を聞くべきであるという
規定も
府県の場合と同様でございますが、ただ
市町村におきましては、
町村の
廃置分合や
境界変更によりまして、中途におきまして事情が著しくかわる場合がございます。従いましてそういう
町村の
廃置分合や
境界変更によりまして、著しく人口の増減がありました
町村につきましては、これは一般選挙の場合でなくとも、任期中でも條例で議員の定数を
変更し、増減することができることに
なつておりますが、
現行法では「但し、新人口に基く第一項の議員の定数を超えて増加することはできない。」ということに
なつておりましたのを、これを改めまして、但書を全部削除いたしまして、
市町村の
廃置分合や
境界変更の場合には、必要があれば必要な限り適当な議員定数を定めることができるということにいたしておるわけであります。これによりまして、実際上合併問題等においていろいろな意味で、一つの支障に
なつておりました議員定数の法定によるきゆうくつさというものも、解消することと考えておるわけであります。
第九十六條の
改正規定は、これは「
法律又は
政令」とありますのを、四号におきまして「
法律又はこれに基く
政令」ということの方が正確でございますので、そのように改めた次第でございます。第五号も第十三号も同様でございます。第九十
七條もやはり同様でございまして、「
法律又は
政令」とありますのを、「
法律又はこれに基く
政令」というふうに正確に
規定をすることにいたしたのであります。
第九十八條は、先ほど第七十五條のところで申し上げましたように、
委員会を正確に書き上げることにいたしたのでありまして、
委員会の
整理規定でございます。
百
一條は、これは
普通地方公共団体の
議会につきまして、現在は定例会、臨時会制度でありましたのを、通常会、臨時会制度に改めたのに伴いまして、百
一條の方は議員定数の四分の一以上の者から、会議に付議すべき事件を示して、臨時会の招集の請求がありましたときに、現在も当該
普通地方公共団体の長は招集しなければならないという義務
規定に
なつておりますが、それをさらに明らかにいたしますために「その請求のあつた日から
都道府県にあ
つては三十日以内、
市町村にあ
つては二十日以内に」という
規定を新たに加えまして、招集義務の発生というものを明確にすることにいたしまして、臨時会が開催されることを保障することにいたしたのであります。
第百
二條は定例会というのを通常会に改めまして、通常会は毎年二月または三月にこれを招集するということにいたしてあります。その会期は
都道府県にあ
つては三十日、市にあ
つては十日を例とするということにいたしております。通常会がそのように
なつて参りますので、臨時会の開催を保障することが必要でございます。従いまして第三項におきましては、従来の臨時会開催の場合が非常に限定的でありましたのを改めまして、まず第一に臨時会は、前條第一項の
規定による、と申しますのは、議員の請求があ
つて臨時会を招集する場合でありますほか、必要がある場合にこれを招集する。但し、議員の一般選挙、あるいは長の選挙が行われましたときにおいて、通常会を招集する場合を除きましては、選挙の日から
都道府県にあ
つては三十日以内、
市町村にあ
つては二十日以内に、臨時会招を集しなければならないことにいたしてあるのであります。それから第五項は臨時会の付議事件中、開会中には急施事件はあらかじめ
告示をいたしておりませんでも、これをただちに会議に付議することができるということに
なつておりますが、これでは通常会、臨時会となりました場合の臨時会については、ややきゆうくつでありますので、あらかじめ
告示したもののほか臨時会の開会中に、いやしくも
議会に付議すべき事件が出て参りました場合は、開会中ならば何どきでもこれを会議に付議することができる。必ずして急施事件に限らないということに改めたわけであります。
百十八條の
改正は「
法律又は
政令」とありますのを「
法律又はこれに基く
政令」というふうに改めたわけであります。百二十
一條は
委員会の
整理規定であります。百二十五條も同様であります。
百三十八條は職員の定数條例でございますが、職員の定数條例に
規定さるべき職員としては、書記その他の常勤の職員に限る。臨時的なものについては定数條例に加える必要がないということに改めたわけであります。但書は常勤でありましても、臨時的なものについては定数條例に加える必要がないということを明らかにいたしたのであります。