○
奥野政府委員 便宜お手元に配付してあります
改正法律案と
現行法との対照をごらんいただきたいと思います。その対照に従いまして
改正されております点を御説明申し上げて行きます。
第四條は、
漁業権税を削除しておりますが、廃止した
関係であります。
第
五條も
広告税、
接客人税等を廃止した
関係であります。
第三十
一條の二は、
附加価値税の実施を一年延明いたします
関係上、
加算法を採用しようとする
法人がそれを採用したいという届出の期限を一年間ずらそうとする
改正であります。三十
一條の三は、これもやはり
附加価値税を一年延期いたします
関係上、
算定方法に変更がありました場合に、
固定資産についての特別な
取扱いをいたします。場合の
固定資産の取得の時期も、一年間ずらして行くという
改正であります。
第六十三條では、
国税徴收法を引用しております
條文を改めておりますけれども、これは
国税徴収法が
改正されまして、前に引用しておりました
條文が
違つた條文になりましたので、それに合せまして
改正しようとするものであります。
第七十條は、
附加価値税に関する
規定の適用の始期を一年間ずらすための
改正であります。
第七十
一條は、
附加価値税が始まりますときの計算につきましては、
事業税との
関係で
特例を設けなければならないわけでありますが、その際の時期を一年間ずらすための
改正であります。
第七十二條も
同様附加価値税一年延期に伴いまして、
法人に関します
事業年度の始期について、一年間ずらして行くだけの
改正であります。
第七十三條、これも一年延期に伴いまして二十七年度分を二十八年度分に改めるだけの問題であります。
七十四條もまつたく同様であります。七十四條の二、これもまつたく同様の形式的な
字句の
改正であります。
第百四條は、先ほど申し上げました
国税徴收法が
改正されましたために、引用されてお
つた條文番号が
かわりましたに伴う
字句の
修正であります。
第百三十六條、第百六十九條、第二百二條もまつたく同様の
修正であります。
第六節の
漁業権税は、これは廃止されることになりますので、二百九條から二百三十
五條までの
漁業権税に関する
規定は削除したいと考える
改正であります。
第二百五十
五條は、
国税徴収法について引用いたしておりました
條文が、同法の
改正によ
つてかわ
つて参りました
関係の
修正であります。
第二百八十七條も同様であります。
第二百九十
五條の
改正は、
不具者、
未成年者、六十五歳以上の者または寡婦でありまして、
所得十万円未満のものにつきましては、
市町村民税を課することができないわけであります。しかしながら、
所得税法の
規定の適用におきましては、たとえば父、その
子供が共同して農業を営むとか、あるいは商売をや
つておる場合には、
子供さんの
所得がその父の
所得とみなされまして、
子供さんの
所得も父の
所得として
課税されて行きます
関係上、
子供さんには
所得税の
課税の
基礎となるべき
所得がない反面、父の
所得になる場合には、十万円に満たないときは
市町村民税が課されないことになるわけであります。その場合に、必ずしもすべて不適当ではないのでありますけれども、三十、四十の
血気盛りの
壯年者がたまたまその
所得を父に合算されるために、片方では二十を過ぎた娘さんが工場に通
つている。それが
所得がございますために
市町村民税が課される場合と非常に不
均衡になりますので、そういう場合には事情によ
つてその
老年者にも
市町村民税を課することができるといたしたいわけなのでありまして、実質的には
子供さんの
所得であります
部分について
課税の
均衡上必要があります場合には、それを
市町村民税において捕捉をいたしまして、
市町村内の
均衡を保てるようにいたしたい、かように考えているわけであります。
第二百九十六條の
改正は、
木船保險組合というものがなくなりまして
船主責任相互保險組合と
木船相互保險組合が同種のものとして生れて参りましたのでそれに置きかえて、
森林法がその後
改正されましたので
改正法律番号に入れているだけであります。また
信用金庫法に基きまして従来の
市街地信用組合が、
信用金庫もしくは
信用金庫連合会というふうにな
つて参りますので、これを
協同組合と同じ性質のものとして加えることにいたしているわけであります。
三百四條の
規定は、
所得税法の
改正に伴います
引用條項の
改正であります。内容は
かわりございません。
三百十二條の
改正は、
同様所得税法の
改正に伴いまして、内容の同じものを引用の仕方だけをかえているわけであります。
三百十三條の
改正は、
税率を百分の十五の
法人税割の
標準税率を百分の十二・五に引下げておるわけでありますけれども、これは従来
法人税の
税率は、
法人の
所得の三五%であつたものが、四二%に引上げられたわけであります。
法人の
所得の三五%に、
法人税割の
標準税率の百分の十五を乗じましたものは、
法人所得の百分の五・二五ということになるわけであります。ところが
法人税額が増税されたわけでありますので、
法人所得の四二%という新しい
税率を乗じましたものに、この
改正法人税割の
標準税率の百分の十二・五を乗じましても、やはり同じく
法人所得の五・二五%ということに、
法人税割の額がなるわけであります。要するに
法人税の増税が行われたけれども、
法人税割の実質的な
税率、すなわち
法人所得に対する
税率は増減しないという
意味で、この
修正が行われるわけであります。
制限税率はそれに伴いまして、若干引下げる方が穏当であると考えられますので、百分の十六を百分の十五に引下げておるわけであります。
三百十四條の二は、
昭和二十六年度分の
所得税につきましては、たとえば
基礎控除が二十七年度からは五万円でありますけれども、三万七千五百円という臨時的な
特例が定められておるわけであります。二十七年度の
市町村民税の
所得割は、二十六年度の
所得税額を
課税標準に採用して行くわけでございますので、これらの
基礎になりますものは、
昭和二十六年度分の
所得税の
特例によりますものを採用して参らなければなりませんので、その
趣旨において引用いたしております
所得税法の
規定を、このように読みかえて行く必要が生じて参るわけであります。
三百二十
一條の五の五項は、
市町村民税の
特別徴収につきまして、
特別徴収義務者が
市町村の指定いたしました
金融機関に拂い込んだときに、
納入の
義務が完了するわけでありますけれども、この
特別徴収義務者が国の
機関であります場合には、まず
納入金に相当する
金額を
日本銀行に交付する。そうして
日本銀行から所要の
金融機関に、あるいは
市町村に
送金手続をとることにいたしております
関係上、
日本銀行に
納入したときにすでに
納入義務が完了するということにいたしませんと、さらに
送金手続を経まして、その先に到着したときに拂い込みがあつたといたしますと、その間に
納入が遅れたということで、
延滞金を
徴収しなければならないというような問題になりまして、不合理になりますので、国の
機関が
取扱います場合において、
日本銀行に交付して、
送金手続をとることにな
つておりますので、
日本銀行に交付して
納入金の拂込みをしたときには、
市町村に
納入金の
納入があつたものとみなしたいという
改正であります。また六項は、
市町村が拂込み先として
郵便官署を指定いたします場合には、その
取扱いを定めておきます方が
便宜でありますので、
郵便振替貯金法の
関係規定に基いて行うように
規定をいたしておきたいと考えておるわけであります。
三百二十七條の
改正は、
徴収猶予の問題につきまして
市町村民税の
法人税割につきましては、
税額の二分の一以内につきまして、
期間三月以内は申請によ
つて当然
徴収猶予がなされることにな
つておるわけでありますけれども、
法人税につきましてもこの場合の
延滞金を引下げておりますのと歩調を合せまして、一日四銭の割合を一日二銭の割合にいたしたいというふうに考えるわけであります。元来この種の
部分につきましては、納期を個人と同様に四回にわけるべきだという意見もあるわけでありますけれども、さしあたりこれをわけませんで、たとえば
事業年度の六箇月のものにつきましては、やはり
事業年度終了後二箇月以内に納めなければならない。しかし会社の都合によりましては、半分だけはさらに三月以内で延納を認める。そういうことにおいて、会社の都合では実質的に個人と同じような四回の納期にしようとしておるわけでありますので、そのような
部分には
一般並の
延滞金を
徴収することは若干苛酷に考えられますので、それを半分に
引下げようとしておるわけであります。
次に三百三十三條の
国税徴収法の
引用條文をかえておりますのは、先ほど申し上げた通りであります。
三百四十三條の
固定資産税の
納税義務者等に関しまする
規定の
改正は、
都市計画法または
特別都市計画法によりまして、
区画整理が行われました場合、
所有土地の交換が行われることになるわけなのでありますけれども、事実上交換が行われまして、そうして新しい
土地を使用することになりましても、形式上の
所有権というものの
改正が遅れて参りますので、
自然土地台帳の
所有者名義の切りかえが遅れて参るわけであります。そうしますと、現在は何ら使用していない
土地につきまして、
固定資産税が課されて来るということになりまして、
土地の実質的な
使用収益ないし実質的な所有の
状態と、
固定資産税の
課税の
状態との間に、乖離を生じて参
つて来るわけであります。そこでそういうような
部分につきましては、現に
使用収益し得る
状態に着目いたしまして
土地台帳の
所有者の名義がかわ
つておりませんでも、現実の
所有状態に着目して
固定資産税の
納税義務者を定めて行くことができるという
改正をいたしたいわけであります。
三百七十
五條も、
国税徴収法の
改正に伴うものであります。
三百八十
一條の第七項は、先ほど三百四十三條の第六項で、
土地の
区画整理に伴います
土地の交換がありました場合の、
固定資産税の
納税義務者を、
便宜事実上の
所有関係ないし
使用関係に着目して、定めることができるのだというふうに、
改正するということを申し上げたのでありますが、その場合の
固定資産課税台帳の
登録事項につきまして、
様式等も定めなければなりませんので、
地方財政委員会規則の定めるところによりまして、
土地台帳の
所有者にな
つていない者に
固定資産税を課して行くわけでありますから、その新たなる
固定資産税の
納税義務者につきまして、住所、
氏名等を
課税台帳に登録させる
手続を
規定しているわけであります。
四百三條は、
固定資産の評価をいたします場合に、
道府県知事が
道府県内のものにつきましてみずから
決定できる範囲を先の
改正において定めておりますので、それに合せまして、
地方財政委員会のみにな
つておりましたのを、
道府県知事も挿入いたそうといたしているわけであります。
四百十四條も同じ
趣旨の
改正であります。
四百十
五條の、
固定資産課税台帳の
縦覧期間は三月一日から十日までの十日間を
原則にしておつたのでありますけれども、これでは短か過ぎるという意見がございますので、二十日間に改めようとするものであります。
四百十六條の二は、
昭和二十七年度分の
固定資産税にかかわる
固定資産課税台帳の
縦覧期間につきましては、七月一日からに
特例を定めておりますが、この
部分も十日間を二十日間に改めようとしているわけであります。
四百二十八條の
固定資産評価審査委員会の
審査のための
会議の開会の
期間等に関しまする
規定も、従来三月一日から四月十日までの四十日間を
原則にいたしておりましたのを、四月三十日までの二箇月、六十日を
原則にするように改めようとしているわけであります。できる限りこれらの
審査につきまして、内容を
審査する愼重な
手続をとりたいと考えているわけであります。
四百二十九條の二の
規定は、今申し上げました点に関しまする
昭和二十七年度分の
特例に関する
規定でありまして、この
部分も四十日を
原則としておりましたのを、二月を
原則とするように改めようとしているわけであります。
四百三十二條の
固定資産課税台帳の
登録事項に関する
審査の請求に対しまして、四百十六條の二を新たに挿入いたしましたのは、四百十六條の二は、
固定資産税について、
昭和二十七年度分の仮
決定の
規定がこの前の国会で挿入されておりますので、その
條文をここに引用しておく必要があつたわけであります。
四百三十三條は、
固定資産評価審査委員会の
審査の
決定の
手続といたしまして、
審査の請求を受理した日から二十日以内に
決定をしなければならないとしておりますのを、さらに慎重な
審査を遂げます必要上、三十日以内に
審査の
決定をしなければならないというふうに延長したいと考えているわけであります。
四百六十
一條は、
国税徴収法の
條文が
改正されました
関係に伴う
修正であります。四百八十三條も同様であります。
四百九十七條の二項は、引用しておりました
條文に間違いがありましたので、四百九十四條ではございません、四百九十
五條でございまして、誤謬の
訂正手続が適正に行われておりませんでしたために、あらためてここで
改正法律案にいたしたいと考えているわけであります。
五百十
一條は
国税徴收法の
改正に伴うものであります。
五百四十三條も同様であります。
五百五十
一條は、
木材引取税の
課税標準が
価格一本でありましたのを、
価格でも容積でもどちらでもよろしいというふうにしたいと考えておるわけであります。その理由は、木材の取引のありまするようなところは
山間地帯でありまして、なかなか変動しやすい木材の
価格を的確に押えて行くことは困難でありますので、大体それと
均衡をとりながら、
一石当り何円というふうな定め方をいたしました方が、
課税にかえ
つて適正が期せられるというふうに考えられますので、
市町村の任意によ
つて、容積を
課税標準に採用することができるようにいたしておきたいと考えているわけであります。
五百五十二條は、容積を
課税標準にいたしました場合に、どのように
税率を用いるかということにつきまして
規定をいたしたものでありまして、やはり
価格の百分の五の
税率による場合の
負担と著しく
均衡を失することのないように定めるべきものだという
趣旨の定を設けているわけであります。
五百七十四條も、
国税徴収法の
改正に伴うものであります。
第八節、五百八十
五條から六百十八條まで削除しておりますのは、
広告税を廃止いたしたいために、これらの
関係規定を削除しようとするものであります。
六百三十八條は、
国税徴収法の
規定の
改正に伴うものであります。
第十節の削除も
接客人税を廃止する
関係であります。
六百九十七條は、
国税徴収法の
改正に伴う
修正であります。
七百三條の二は、
現行法で
国民健康保険税を課することができる
市町村は、
国民健康保険を行う
市町村に限
つているわけでありますけれども、一部
事務組合を設けて、数
市町村によ
つて国民健康保険を行う場合がございますが、こういう場合には、
市町村が
国民健康保険を行
つているものではないのでありまして、一部
事務組合が
国民健康保險を行
つているということになりまする以上、一部
事務組合には
課税権がないのであります。そういう場合に、税で必要な収入を
徴収して行こうとします場合に不都合でありますので、一部
事務組合に
課税権を與える
かわりに、
当該組合に加入している
市町村に
課税権を與えて行きたい、かように考えているわけであります。一部
事務組合に
課税権を與えて行く行き方も一つの方法でありますけれども、現実に他の
市町村税を
徴収しておりますのは、一部
事務組合ではございませんで、
組合に加入しておる
市町村でございますので、これらとはずを合せまして、
徴収の
便宜を期しまするためには、むしろ
組合に加入している個々の
市町村に、
国民健康保険税の
課税権を與えた方が穏当であろうと考えまして、その
趣旨にのつと
つた改正をしようとしているわけであります。
従つて国民健康保険に要する費用に充てるためというよりは、これらの
組合に加入している
市町村の場合には、
国民健康保険を行う一部
事務組合に加入している
市町村が、その
組合から分賦を受けます費用に充てるためということにせざるを得ませんので、その
趣旨の
字句の
修正を行おうとするものであります。
第二項も同じ問題でありまして、
国民健康保險を行
つている
市町村の場合には、
費用総額の
見込額の百分の七十に相当する額、爾余のものは給付を受けます者の
負担金等によ
つてまかな
つて行くわけでありますけれども、
組合に加入している
市町村の場合におきましては、分賦を受けました
金額の全額を
国民健康保険税で
徴収できるようにいたさなければなりませんので、その
趣旨の
字句の
修正を行おうとするわけであります。
五項で
国民健康保険税の
課税額の一人当りの
最高限度を一万五千円に押えておるわけでありますけれども、
受診率が向上して参りましたり、あるいはまた
医療單価が高騰して参りましたりした
関係上、一万五千円にそのまま
最高限を押えておくことは適当でございませんので、
倍額程度の三万円に引上げたいというふうに考えるわけであります。
七百三十條は
国税徴収法の
改正に伴うものであります。
第六章は
附加価値税が実施されますまでの間において、行われる
事業税と
特別所得税に関する
規定なのでありますが、
附加価値税がさらに一年延期されました
関係上、
昭和二十七年度においても、これらの税を存置する必要から、その
趣旨の
字句の
修正を行おうとするものであります。
七百四十條は、二十七年度分につきましても、
事業税と
特別所得税を
徴収して行くということをうた
つているわけであります。
それから七百四十二條に、
証券投資信託法が新しく生れました
関係から、この種の
信託財産について生ずる
所得について
特例を定めておく必要がございますので、
規定を挿入しているわけでありますが、
証券投資信託法に基く
信託財産につきましても、
合同運用信託の場合の
信託財産と同様の
取扱いをする旨の追加をいたしたいわけであります。
七百四十三條の第六号は、先ほど
信用金庫法に基きましてできました
信用金庫、
信用金庫連合会も、
協同組合と同じ扱いをしたいという
意味の
改正であります。
七百四十四條は、
事業税をさらに一年延長して存続させることになりました
関係上、時期を一年ずつずらす
意味の
修正であります。
六項は
合同運用信託のほかに、
証券投資信託を同じ扱いにするために加えている
改正であります。
七項と八項とは、商法について
改正が行われましたので、拂込み
株式金額というふうな
趣旨のものがかわ
つて参りました。それと歩調を合せまして、前と同じ
趣旨における
改正にいたしたわけであります。実態には
かわりはないわけであります。
九項は
事業税がさらに一年延長されるに伴います
改正のほかに、個人の
事業税につきましては、新たに
基礎控除の制度を採用することにいたしました
関係上、その最後のところに総
収入金額から必要な経費及び十二月分として三万八千円を
控除した
金額を
課税評準にするのだという
規定をいたしたいと考えているわけであります。その
趣旨は現在は
免税点の制度を採用しておりまして、その
免税点の
金額を二万五千円と定めているわけであります。二万五千円までの
所得の
人たちは、
事業税を一文も納めなくて済むわけなんでありますけれども二万五千一円の人は、二万五千一円に
事業税の
税率をかけた
金額を納めなければならないことになりますので、その人の
所得が二万五千円までであるか、以上であるかということによ
つて、一度に税金がゼロか三千円以上かというふうなことにな
つて参りまして、かなり少
所得者に苛酷な扱いにな
つておりますので、もつぱら少
所得者の
税負担の軽減をはかりたいという
趣旨から、
所得の大小にか
かわりませず、一定の
金額を
控除して、
控除した残りの
金額に
税率を乗じて
税額を算定する方法をとろうとしているわけであります。
所得に一定の率を乗じた額を
控除するわけではありませんで、
一定額を
控除するわけでありますので、おのずから少
所得者に対して
負担が軽減されて行くということにな
つて参るわけであります。
十三項の
改正は、すでに
法人税につきましては繰越し損金の
控除を五年間について認めているわけでありますが、
事業税につきましては、従来
法人税についてと
つておりましたと同じように、繰越し損金の
控除の
期間は、一年しか認めておりませんでしたのを、
改正法人税に合せる
意味におきまして、さしあたり二年にこれを延長するという方針をと
つて来ているわけであります。具体的に申し上げますと、
昭和二十五年度において会社が相当の
欠損を出した、その場合もとより
欠損を出しておるのですから、
事業税を納める必要はございません。かりに二十五年度に百万円の
欠損を出したといたします。二十六年度においては九十万円の利益をあげたといたします。そうすると二十五年度に
欠損をいたしました百万円を、二十六年度へ繰越すことを認めるわけであります。そうしますと、黒字の九十万円から赤字の百万円を引きますと、なお十万円だけ赤字でありますから、
事業税を納める必要はないわけであります。従来の
規定でありますと、この赤字の十万円は二十七年度への繰越しは認められなかつたわけであります。かりに二十七年度は利益を十万円あげたといたしますと、やはり十万円に一二%の
税率を乗じましたものを、
事業税として納めなければならないわけであります。これを繰越し損金の
控除期間を二年間にしておるわけでありますから、さらに二十六年度で総益金からいまだ
控除されておりません十万円だけは、さらに二十七年分の
所得から
控除を認めようとするわけであります。
〔
委員長退席、
河原委員長代理着席〕
これをもし
法人税のように五年にも、一ぺんにいたしました場合には、二十二年、二十三年、二十四年の
期間において出しました
欠損金で、まだ総益金から
控除されておりませんものまでも、過去にさかのぼ
つて控除を認めるということになりましては、穏当を欠きますので、二十五年の
欠損金以後の
欠損金につきまして、このような
取扱いをしたいという
意味合いにおいて、さしあたり一年を二年に延長するという方針をとろうとしておるわけであります。
七百四十七條の2の
規定は、新たに
事業税の
課税標準として、
特別所得税につきましても同じ
趣旨の
規定を置いておるわけでありますが、三万八千円の
基礎控除をすることになりました
関係上、たとえて申し上げますと、薬剤師業を営んでおる人が別途に物品販売業を行
つておれば、薬剤師業としては
特別所得税が
課税され、物品販売業としては
事業税が課されるわけであります。
特別所得税の
課税標準の計算につきましても、
所得から三万八千円を
控除したものに
税率を乗じて
特別所得税を計算する。物品販売業の
所得からも三万八千円を
控除しましたものに
税率を乗じて
事業税を計算する。そういたしますと、一般には三万八千円しか
控除されないものが、七万六千円
控除されるということになるわけでありまして、
均衡を欠くことになりますので、このような場合には両者を通じて三万八千円しか
控除しないのだという建前をとりたいと考えておるわけであります。その場合は、それぞれの総売上
金額にあんばいしまして、物品販売業からと薬剤師業の
所得のそれぞれから
控除する計算方法を選びたいと考えておるわけであります。七百四十八條は、
免税点制度を
基礎控除制度に改めました
関係上、削除したいと考えるものであります。
七百四十九條は、
事業税がさらに一年延長されます
関係上、
期間の延長を行おうとするものであります。
七百五十條の問題もまつたく同様の
趣旨であります。
七百六十二條の三は、同族会社の行為または計算につきまして、たとえば同族会社が個人有の財産を不当に高く買い入れまして、必要な経費を多額にして、
事業税の
税額の減少をはかろうとするというふうな場合におきましては、
法人の計算としてはそういう行為を否認いたしまして、反面個人に対する
税額の計算方法をとることによ
つて、不当な行為を否認したいと考えるわけであります。
法人税についてすでにこの
趣旨の
規定が挿入されておるのでありますが、
事業税につきましても、まつたく同
趣旨のもとに同様の
規定をここに挿入しておきたいと考えたわけであります。
七百六十三條の三は、先ほど
市町村民税の
法人税割の場合に申し上げましたと同じように、
税額の二分の一以内において、さらに
期間三月以内において延納を申請した場合に認められる延納分についての
延滞金は、一般の
延滞金が百円について一日四銭の割合であるものを、二銭に引下げたいという
趣旨の
改正であります。
七百六十九條は、
国税徴収法の
改正に伴いますものであります。
七百七十七條は、
特別所得税がさらに一年延期されます
関係上、それに伴いまして
期間だけを延長しておきたいという
改正、及び第三項では、
事業税について申し上げましたと同じ
趣旨で、新たに三万八千円の
基礎控除の制度を採用するための
改正であります。
七百八十條は、
免税点の制限がなくなりますので、削除しようとするものであります。
七百八十
一條は、
特別所得税がさらに、一年延長されます
関係上、
字句の
修正を行うものであります。
八百條は
国税徴収法の
改正に伴うものであります。
附則は、この法律の
規定の適用の時期を定めているわけでありますが、
法人税割については二十七年一月一日の属する
事業年度分から、その他の
部分については
昭和二十七年度分の地方税からとしたいわけであります。
二項は、従前の地方税についての
取扱いは、やはり従前の例によりたいといたしますほか、この三項で多少こまかい
改正を行
つておりますのは、
現行法によりますと、二十七年の一月からは
附加価値税の計算が行われることにな
つているわけであります。しかしながら、
事業税から
附加価値税に切りかえられます間において、多少これらの計算に習熟しない点がありましたり、あるいは法律の公布の時期との
関係上、若干余裕を置いた方がよろしいというような問題がございますので、
昭和二十七年一月一日から三月三十一日までの間において、
事業年度が終了いたしますもの、あるいはこれに類するものの
事業税の納期限は五月三十一日までとする
特例を置いているわけであります。この
附加価値税について置いております
特例は、
改正案によりますと
事業税が継続されることになるのでありますけれども、これらの
事業税の納期限も、この
附加価値税の場合の納期限と同じにしたい、言いかえれば、一月一日から三月三十一日までの間において
事業年度が終了しますものは、
事業年度終了後二月以内を納期限とするのが普通であります。従
つて三月三十一日に
事業年度が終了いたします
法人は、三月三十一日までに
事業税を納めなければならないのでありますけれども、
附加価値税の場合と同じように、五月三十一日まででよろしいという
趣旨の
改正をしたものであります。
四項は、二十六年から
法人の
事業税について申告納税の制度をとることにして参つたわけであります。しかしながら二十五年度以前の
事業税につきましては、府県が一々
税額を
決定いたしまして、徴税令書を交付して参るわけでありますが、府県が
決定いたしますにあた
つては、その
法人の
所得が幾らであるかということについて十分なる調査をし、一たび
決定した以上は、任意にこれを増減するわけには参らないわけであります。そういたしますと、国税の
法人税において、一応
法人税の申告納付を受けておりましても、それが適当でないと考えられます場合には、後日これらを更正するわけであります。
法人税について更正
決定の済んでおりません
部分につきましては、府県が單独で
税額を
決定して参ります。後に
法人税がかわ
つて参りました場合に、府県の
決定額が少な過ぎた場合には、さらに増額して他の
法人と
均衡をはかるべきでありますけれども、それができなくなります等の
関係上、ことさら
決定を延期したりしている向きが非常に多いわけであります。これがために府県の収入を確保する面からも、支障が生じて参
つておりまするのみならず、企業自身といたしましても不安定な
状態に置かれておりまして、会社経理の上にも若干不都合があるようであります。そこでこのようなものにつきましては、さしあたり仮
決定をすることができる。そして二十八年十二月三十一日までに仮
決定をしておきました
部分について、本
決定をしなければならないというふうな態度をとりまして、今申し上げました
課税団体側における現在起きております困つた
状態、あるいは企業者に起きておりまする困つた問題、そういうものをこういう方法で解決して参りたいと考えているわけであります。五項、六項、七項、八項まで、同じ問題につきまして
市町村が附加税を課する問題もございますので、これらについての
手続を定めているわけであります。それから九項の税理士法を
改正しておりますのは、試験科目につきまして、二十七年度から
附加価値税になりますものを、やはり
事業税にいたします
意味の
改正であります。