運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1952-03-20 第13回国会 衆議院 地方行政委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年三月二十日(木曜日)     午前十一時三十五分開議  出席委員    委員長 金光 義邦君    理事 大泉 寛三君 理事 野村專太郎君    理事 床次 徳二君 理事 門司  亮君       池見 茂隆君    川本 末治君       小玉 治行君    前尾繁三郎君       吉田吉太郎君    鈴木 幹雄君       立花 敏男君    八百板 正君  出席国務大臣         国 務 大 臣 岡野 清豪君  出席政府委員         総理府事務官         (地方財政委員         会事務局長)  荻田  保君         総理府事務官         (地方財政委員         会事務局税務部         長)      後藤  博君         総理府事務官         (地方自治庁次         長)      鈴木 俊一君  委員外出席者         総理府事務官         (地方財政委員         会事務局市町村         税課長)    松島 五郎君         專  門  員 有松  昇君         專  門  員 長橋 茂男君     ――――――――――――― 三月二十日  委員中村寅太君辞任につき、その補欠として佐  伯宗義君が議長の指名で委員に選任された。 同日  床次徳二君が理事補欠当選した。     ――――――――――――― 三月十八日  公職選挙法の一部改正に関する請願降旗徳弥  君紹介)(第一五二二号)  自家用自動車課税に関する請願小澤佐重喜  君紹介)(第一五二三号)  特別区の組織及び運営に関する請願菊池義郎  君紹介)(第一五五七号)  乗合自動車税軽減に関する請願外一件(松野頼  三君紹介)(第一五五八号)  遊興飲食税撤廃に関する請願野村專太郎君紹  介)(第一五九一号)  地方財政法の一部改正に関する請願野村專太  郎君紹介)(第一五九二号)  地方公営企業法制定反対に関する請願大石ヨ  シエ君紹介)(第一五九三号) の審査を本委員会に付託された。 同月十九日  宿泊料に対する遊興飲食税減免に関する陳情書  (第九〇一号)  同(第九〇二  号)  同(  第九〇三号)  同外五件  (第九〇四号)  同(第九〇五  号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  理事の互選  参考人招致に関する件  地方税法の一部を改正する法律案内閣提出第  六四号)  地方自治に関する件  地方財政に関する件     ―――――――――――――
  2. 金光義邦

    金光委員長 これより会議を開きます。  法案審査に先だちまして、理事補欠選任を行いたいと思います。理事床次徳二君が去る六日、委員を一度辞任されましたので、理事が一名欠員になつております。これは先例によりまして委員長より指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 金光義邦

    金光委員長 御異議がないようでありますから、床次徳二君を理事に指名いたします。     —————————————
  4. 金光義邦

    金光委員長 次いでお諮りいたします。さき委員会におきまして、大矢委員より、石巻市における自治運営に関する件につきまして、参考人より実情を聴取されたいとの御発言がありましたが、当委員会といたしましても、地方自治運営の面において、きわめて重要な問題と考えますので、参考人より実情を聴取いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 金光義邦

    金光委員長 御異議がないようでありますので、さよう決します。  つきましては、参考人の選定及びその日時については、委員長に御一任を願いたいと思いますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 金光義邦

    金光委員長 それではさよう決定いたします。     —————————————
  7. 金光義邦

    金光委員長 地方税法の一部を改正する法律案内閣提出第七四号を議題として、前会に引続き質疑を行います。
  8. 立花敏男

    立花委員 この税法改正は、前に岡野国務大臣に質問したのですが、岡野さんの言つておられることと内容とは大分違うわけです。非常に苛斂誅求の形が現われて来るのです。私ども今度の改正案を受取りましたと同時に、占領軍と申しますか、講和後の駐留軍に対する免税規定が新聞に発表されておるのを見ましたが、私どもどうしてもこの二つはあわせて審議しなければならないと思う。こういうふうに一方に日本人に対して苛斂誅求が行われて来る、しかるに駐留軍に対しては免除規定が大きく出て来るということになりますと、日本税法日本人のためにあるのか外国人のためにあるのかわからないことになりますので、これはあわせて審議する必要があると思うのですが、自治庁の方ではこの駐留軍関係地方税免税規定法案を、同時にお出しになる用意があるかどうか、これをまず承りたい。
  9. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 行政協定に基く地方税に関する減免の問題でございますが、これはもちろん地方税の実際の運用と重大な関係があるわけでございます。何分各種手続の進行上、同時に処置いたすことが困難な時代にあつたわけでありまして、政府部内におきまして減免範囲程度というようなものについて研究をいたしておるのであります。研究結論がつき次第御審議を煩わすように手続をとりたい、かように考えております。
  10. 立花敏男

    立花委員 行政協定が調印されましてから日が大分たちますし、その以前にもすでに一箇月近くの交渉の期間がありましたし、交渉に入る前におきましても、交渉に臨む政府態度は大体明確にされておらなければならなかつたはずだと思うのです。いまさらこの免税をどうするかという問題がまだ政府の方できまつていないということは、私ども納得できないわけです。しかもまだそれがやむを得ずきまつていないといたしましても、その方はあとまわしにして、こちらの方だけ先にお出しになるということは、やはりどうしても片手落ちじやないか。私どもは大きな立場からこの地方税全体の問題として一括して審議しないと、十分誤りのない結論を出すことはできないのじやないかさきに申し上げましたように、地方税に非常に苛酷な形が現われて来ている。しかるに一方で占領軍免税が大幅に行われるということが予想されている場合に、それを拔きにしてお出しなつたこの改正案審議することは、国会議員として、特に日本国民から選ばれた者としては、これは十分ではないと思われますので、ぜひそういうふうにしていただきたいと思うのですが、現在どの程度にこの免税範囲なり程度なりが論議されているのか。決定になつているのか。読売の発表によりますと金額まで出しておりまして、非常に国民は大きな疑問を持たざるを得ないのですが、ただいまの政府の御意向をひとつ聞かせていただきたいと思います。
  11. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 行政協定の成文の上におきましては、電気ガス税等につきまして減免ということが出ているわけでございますが、たとえばそういう問題に関しまして、どういう場合の電気ガス税免税にするかというようなその適用対象等につきまして、軍の駐留形態等とも関連をいたしまして、いかようにこれを減税をいたしますか、目下研究中であるのであります。もちろんできればこの地方税法の  一部改正法律案の中に、同時に盛り込むことが望ましかつたわけでございまするけれども、これは今申し上げましたような各種国際上の手続その他の関係で、全体として遅延して参りまして、この点ははなはだ遺憾に存じておりまするが、できるだけ早い機会提案をいたしまして御審議を煩わすようにいたしたいと考えております。
  12. 立花敏男

    立花委員 どうもそれだけでは私ども納得できないのですが、その部分地方税法改正にやつぱり重要な部分を占めて来るのではないか。それを抜きにしてこれだけ先にお出しなつたことは、私ども納得できないわけです。お出しになるのであれば、当然これを含んで完成された改正案としてお出しになるのが当然なんで、それを除かれてこれだけ急いでお出しになる、これは年度がわり関係があるかもしれませんが、そういう問題だけでは片づかない大きな問題だと思う。まことに国民感情の上から申しましても、民族的な誇りの上から申しましてもこれは大問題なんで、單に年度末的な技術的な問題では済まされない問題です。ここにやはり自治庁考え方に、非常に大きな国民感覚とのずれがあるのではないかと思います。その点どういうふうにお考えなつているのか、ひとつ聞かせていただきたい。
  13. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 地方税法改正につきましては、たとえば附加価値税の実施という問題をどうするかというようなこと、その他重要な税法体系に関する問題がございまして、それを二十七年以降いかがするかということが、差迫つての問題であるわけでございまして、今の行政協定に関する問題の解決を待つて、同時に提案をいたすということでありましては、今度は地方税の全体の建前、それに基く各種賦課徴収といつたような具体的の手続支障を来しまするし、また各地方財政運営の上にも、非常に大きな支障を生じますので、それを待つということはできなかつたわけであります。行政協定に基く地方税減免に関しましては、根本建前を変更するというものではないわけでありまして、現在立てられております税につきまして、どの程度範囲において減税をし、免税をするかという問題でございますので、根本建前には触れないわけでございます。そういうこともございまして、これは一応別個に取扱いましても、特に重要な支障を来すことはないのではないか、かように考えている次第であります。
  14. 立花敏男

    立花委員 富士銀行のギヤングはわずか三、四人の犯行なんです。しかしあれがいか国民感情に大きな影響を與えているか。あるいは裁判管轄権の問題にいたしましてもほんの一部分であつて日本法体系の上には刑法、刑事訴訟法あるいはその他の裁判管轄権の問題にとつては、大した問題ではないのだというふうには決して言えないと思うのです。非常に重要な問題だと思う。だから地方税法にとりましても、占領軍免税するということは決して地方税体系の問題ではなくして、まつたく臨時的なあるいは部分的なさまつな問題であるというふうな考え方から片づけられるのは、これはあまり問題を過小評価しているのではないか。私どもから見ますと、この行政協定に現われております地方税に対する免税規定国税も含めての免税規定は非常に重大な問題なんです。国民税負担に大きな影響があると同時に、これは日本産業にとりましても、重大な影響があるといわざるを得ないと思う。今後の成行きいかんによりましては、根本的にやはり日本税体系に実質的な変革が来るのじやないか、そういうような危惧まで抱かざるを得ない條文があるわけなんです。特に第十二條規定などによりますと、單に鈴木君が今おあげになつ電気税ガス税だけの問題ではありませんで、現在の地方税の各税種は言うまでもなく将来つくられる地方税にまで免税規定が可能であるというふうな非常に広汎な何がありまして、まつたくこれは日本税法全部を対象とするような規定があるわけなんで、そういう自治庁考えられているような簡單な問題ではないと思う。この点をどうお考えなつているか。国民にとりましては税の体系りつぱにできるよりも、実質的にこういう規定によつて、税の負担影響があり、自分の生活あるいは日本産業影響があることが問題なんであつて自治庁が観念的に税体系をりつぱにつくり上げられることは、必ずしも国民にはあまり関心がないのじやないか。実質的に大きな影響のある占領軍に対する免税の問題、こういう問題としてつかんでいただかなければ、適当な措置がしていただけないのじやないか。そういうように過小評価しているからこそ、二つを分離してやはりお出しなつているのじやないかと思いますが、十二條の問題などに関連して、地方税免税という問題はどの程度考えなつているか、お聞かせ願いたいと思います。
  15. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 行政協定の第十二條三項にございます租税減免というものにつきましては、これは主として合衆国軍隊が使用するため調達される場資材なり備品品なり需品なり役務、そういうふうなものについての主として消費税的な性格の税を免除する、こういう建前のようであります。これらの中で地方税に現在出て来ておりますのは、ここに書いてありますが電気ガス税でございまして、この電気ガス税免税ということがさしあたつての問題であるわけであります。将来の租税について地方税として消費税的なものを何か考えて来るということになりますと、直接問題が出て来るわけでございますが、さしあたつて二十七年度の問題といたしましては、電気ガス税免税というようなことでありまして、ただ電気ガス税につきましては、課税の主体が御承知のごとくこれは各市町村であるわけであります。従つて一般的には、市町村の公益上必要だというようなことの減免地方税規定運用ということも、考えられないわけではございませんが、しかしこういう国際約定に基きまする免除の問題でございますから、やはりこれは法律をもつて明確にいたし、適用上の不均衡が生じないようにした方がよろしいであろうというふうに、政府としては考えておる次第であります。具体的の範囲等につきまして目下なお関係当局愼重協議中でございまして、成案を得次第提案をし、御審議を願いたいと考えておる次第でございます。
  16. 立花敏男

    立花委員 電気ガス税だけに限定して考えられておるらしいのですが、それはやはり非常に大きな間違いじやないか。たとえば十二條にも将来の税まで免除する規定がありますので、地方税法の中にも、そういうものを織り込まれておいて、具体的に税の種目として出て参りますのは、電気ガス税かもしれませんが、免税し得る規定地方税でもやはりお置きになるのだと思うのです。そうなつて参りますと、非常にこれは大きな問題になつて来ると思いますが、この点についてどういうふうな対策をお持ちか、これを聞いておきたいと思います。     〔委員長退席野村委員長代理着席〕  それからもう一つは、現在でも東京の都下におきまして、軍管理工場固定資産税をほとんど納めていない工場がたくさんあります。駐留軍になりまして指定工場ができます場合に、その工場の税金は一体どうするのか。それからそこの労務者駐留單に雇われる労務者はもちろん、そういう指定工場労務者、これは役務に対して免税とありますが、そういう労務者に対する住民税は一体どうするのか、こういう問題もあるわけです。それから公認調達機関ができますが、日本商社、あるいは請負人で、向うの軍の御用商人になるというような場合には、そういう商社事業税は一体どうするのか。こういう問題が非常に広汎にあるわけなのです。鈴木君のお考えなつておるような單に電気ガス税の問題じやないわけです。しかもこれが行政協定に、はつきり明文化されて来るということになりますと、どうしても地方税法でそういう規定が入つて来ざるを得ないと思うのです。またおそらく政府としてはお入れになると思うのですが、そういう問題をどういうふうにお考えなつておるか承りたいと思います。
  17. 後藤博

    後藤政府委員 私から簡單に、今までお話のありましたことに、補足して答弁いたしたいと思います。現在問題になつております点は、今おつしやいましたようなことを大体私ども問題にして、折衝しているのであります。事業税につきましては、駐留單との契約関係にあるものをどうするか、それから入場税につきましては、PXその他の合衆国軍隊が使用しているものにつきまして、入場税及び遊興飲食税等について、一体どの範囲免税をきめるかという問題がございます。そのほか固定資産税につきましても、やはり合衆国軍隊日本において所有するもの、または使用するもの等につきまして、どの範囲にきめるかという問題がございます。行政協定を基本といたしまして、こまかい問題がたくさんあります。国税がどういうような態度をとるかということが、一つ問題であります。それから範囲を、なるほど行政協定では明確になつておりますけれども、具体的な問題になりますと、非常に不明確な点がございます。従つてその不明確な点をどこで線を引くかという問題がございます。そういう点につきまして、基本的にどういう考え方で、どういう方向で、どの範囲できめるかということにつきまして、現在いろいろ協議をしているわけであります。その線がきまりましてから、具体的なこまかい問題に移つて行きたい、個々の税についての免税範囲をきめて行きたい、かように考えて、現在折衝しているわけであります。
  18. 立花敏男

    立花委員 こまかい点はまだきまつてないようですが、今自治庁で問題とされておりまする、たとえば調達機関事業税をどうするかという線、その線がどういうことが問題になつているかという点をひとつお話願いたいのです。たとえばさつき言いましたように、もうすでに都下軍事工場では、固定資産税が納まつておりませんで、その固定資産税が納まれば村は赤字を出さなくてもいいというところが、納まりませんために、大きな赤字出して、それが住民負担なつているというところが多分にあるわけなんで、占領軍が公に軍事生産を開始することになりますと、都下軍事工場は大体免税なつて来る、こういうふうになつて参りますれば、大問題だと思う。だからそういう問題で、どういう点がどういうふうになつているのかという問題を、もつと具体的にひとつ御説明願いたいと思う。
  19. 後藤博

    後藤政府委員 今おつしやいました点が私どもの問題でありますが、たとえば事業税につきまして、駐留軍との契約関係にある者の範囲契約者というものはどういう範囲のものかということは、一応きまつております。一般的に日本人契約者については、これは事業税については問題はないと思います。ただ外国人契約者なつた場合にどうなるか、外国人の所得に対してどうなるかという問題があるわけであります。だから固定資産税につきましても、日本人が所有しておりますものにつきましては問題はない。また今おつしやいましたようなことは、おそらく国有財産なつているもの、また賠償施設なつているもの、そういうことではないかと思います。さようなものは従来一般の取扱いと同じようにいたしますが、これは行政協定と直接関係はないと思いますけれども行政協定で問題になります固定資産というのは、これは合衆国軍隊が所有し使用する固定資産ということになるわけでありますが、その使用する固定費用を所有しておる場合は、これは問題はなく、固定資産税がかかりませんが、使用する固定資産について一体どうするかという問題がございます。一応これは免税ではないかというふうに考えておりまするが、また合衆国軍隊と契約する者の所有する固定資産契約者という意味は外国人でありますが、それをどういうふうに取扱うかというような問題がございます。こういうような問題について、まだはつきりした結論が出ておりません。しかしやはりそういうところに問題があるわけであります。なるたけ私どもとしては課税対象にいたしたいという考えで進めております。
  20. 野村專太郎

    野村委員長代理 立花さんにお願いしたいのですが、岡野国務大臣出席を求めまして、床次委員から通告がございますので、それが終つてからにしていただきます。床次徳二君。
  21. 床次徳二

    床次委員 地方税法個々検討にあたります前に、大体国務大臣のお考えを承つておきたいと思います。地方財政委員会から地方財政報告を受取りましたが、この報告内容に関しまして大臣いかよう考えておるか。大体この報告考えられておりまする数字、並びにその説明について、大臣は同意しておられるかどうかということを承りたい。特にこの報告の最後に、将来の対策というものが考えられておりますが、これはこの前に述べられましたいろいろの事実から、地方財政委員会として将来の御方針を大体対策して考えられておると思いますが、これに対しまして大臣は大体いかよう考えておりますか、大臣のお考えなつておられることと、地方財政委員会との意見の間に相違があるかどうかというところについて伺いたいと思います。
  22. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答えを申し上げます。私は地方財政担当でございまして、同時に地方財政委員会と申しますものは、形は総理府の一部は総理でございますけれども、独立の権限を與えておりまして、地方財政に関する限りは、地方財政委員会意見を尊重するということにしておりますので、私は地方財政委員会考えていることに対しては、全面的にこれを支持して行きたい、こう考えております。
  23. 床次徳二

    床次委員 次に本年度地方におきます決算におきまして、相当赤字が見込まれております。約二百二十四億の財政計画上の財源不足によるものが、百五十億ということが報告されておるのであります。これに対しまして政府としましては、八十億ばかりの融資をもつてこれが対策とするというふうに説明があつたのでありますが、本年度赤字というものは、将来の地方財政に対して非常に大きな圧迫を加えるのでありまして、この解決を適当にいたしておくということが、明年度以後の財政検討に必要なことはもちろんでありますが、大臣は本年度地方赤字というものを、いかように補填せられる考えであるか、單に八十億の起債でもつて済ませるというお考えでありますか、もう少しその点を具体的に御答弁をいただきたい。なお赤字数字等も、ここにあります数字をこのまま認めていいか、あるいは多少別の考えを持つておられますか。その点を承りたい。
  24. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。まずこれは私の職務を使いわけしなければならぬのでありますが、地方財政委員会としましては、たしか二百二十億くらい地方公共団体がもらわなければいかぬというようなことを考えておるわけであります。中央政府といたしましては、そうたくさん金が出ない、こういうことで今地方財政委員会と大蔵省との間に、事務折衝をしておる次第であります。事務折衝の結果といたしまして、約八十億の金が国家財政からは認めてもよかろう、それからまた地方財政委員会でも当場の急をしのぐためには、まあ八十億くらいでよくはないか、こういうふうになつているように私伺つております。でございますから、根本的の問題は別といたしまして、ただいまの段階におきましては、地方財政委員会が納得して、それでやつて行けるならば、それで済まして行きたい、こう考えております。
  25. 床次徳二

    床次委員 ただいま大臣は両方の二つ立場をうまく調整しなければならぬので、非常に苦しい立場にあられることを御報告になりましたが、実は私どもこの二様な態度をもつて臨むことは実は適当ではない。むしろこと点一つ立場において解決すべきではないか、先ほど大臣は、大体財政委員会意見と同じように、このまま事実を承認しておられる、その意見を支持しておられるようでありますが、いよいよとなりました場合に、相当数字に開きができますことは、非常に私どもとして遺憾に思うのであります。今年度赤字をどの程度に埋めて行くかということは、来年度以後の税に関しましても、これは対策等におきまして、考え直さざるを得ないところがきわめて多いのでありまして、この点はまだ御研究中でありましようが、ひとつできるだけ早い機会において、はつきりとした対策出していただきたい。しかも相当赤字が残るのであれば、その残る赤字に対しては、どうするかということ見通しをつけなければいけないだろうと思う。大体八十億の起債でもつてトントンになつて行くということは、数字上においては、あるいは政府としてはその数字を主張されるかもしれませんが、事実においては、やはり大きな赤字が残る。これが地方財政圧迫を来すゆえんでありまして、ほんとうの解決ではないのであります。この点はひとつ大臣という立場において、地方財政委員会の主管大臣であると同時に、国務大臣でもあるのでありますから、ひとつ十分に調整のとれたところの結論出していただきたい。なお特にこの機会に、本年度赤字対策がきまりましたならば、なるべくすみやかな時期において御報告をいただきたい、これを要求しておきます。  次に質問いたしたいのは、今日まで政府におきましては、国の財政におきましては、いわゆる超均衡予算と申しますか、健全財政ということに努めておられたのでありますが、どうも私ども国家財政だけの健全であつて地方財政に対しましては、きわめて不公平な取扱いをして来られたということをかねがね主張しておつた。大蔵省の、いわゆる国庫の財政だけの均衡あるいは健全ということは、決して国家の予算、財政、その全面的な立場から申しまして、健全なものではないということを、数年来指摘しておつたのでありますが、今回の財政報告によりましても、明らかに地方が非常な圧迫を受けておる。大蔵省予算におきましては、一応健全財政でありますけれども地方財政におきましては、きわめて不健全な形をそのまま持つておる、むしろだんだんこれが増して行つたというような感じをいたすのであります。この点に関しまして、地方財政はこれほど圧迫しておいて、中央の方を均衡予算がとれれば、それでもつて財政というものはうまく行くものかどうか、ひとつ財政家であるところの国務大臣に承りたい。
  26. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。ただいま国家財政だけが均衡を保つて地方財政が均衡を保たなければぐあいが悪いじやないかというお説でありましたが、これはしごく同感でありまして、地方財政もやはり均衡を保ち、同時にもう少し世間一般にいわれておりますような地方財政が窮乏する窮乏するということも、これを直して行かなければならぬと思うのでございまして、それにつきましては、いろいろな方面から研究を続けておりまして、今後地方財政がこの窮迫を免れて、そうして国家と同じように均衡のとれた、また十分仕事のやつて行けるという方向に進めて行きたいと思つております。それは一例を申し上げますれば、地方の行政の簡素化をして、失費を防ぎ、また浪費をさせないように、地方行政委員会におきまして、ある程度の行政の監査もして行きたい、こういうようなことも考えております。これは一例でございますが、いろいろな方面からお説のような方向に進めて行きたいという考えを持つております。
  27. 床次徳二

    床次委員 ただいま御答弁がありましたが、地方財政の健全種を回復するために、いかような手段を講ぜられたかということに関しましては、実は私どもはなはだ期待に反していると思うのです。地方財政を簡素化によつて節約する、あるいは平衡交付金、起債において若干来年度においては増額しておられますが、本質的に見まして地方財政を均衡をとらせるために、国の方においてどの程度までの努力を払つたかということが予算の上に見えてない、少くとも今日提案されましたところの地方税法を見ましても、国の方の税と、地方の税との割振りにおきまして、国の収入をある程度まで調整しながら、地方の收入を與えるという作意が、割に見えなかつたように思うのでありますが、この点はいかがでしようか、あるいは地方財政地方財政のままとして、従来のわくの中において考えておられるというなら、あるいは大臣意見のように思いますが、やはり国全体から見ますと、国税を場合によりましたら減らす、あるいは国の收入というものを減らしまして、これを地方に與えるというところまで行くべきだと思うのでありますが、どうもその配意が全然今度の税法におきましては考えられなかつた。單に平衡交付金の問題、起債並びに今の節約によつてつじつまを合せようという、きわめて消極的なつじつまの合せ方をしておられる、どうも国と地方とのつり合いが依然としてとれていないのじやないかと思うのでありますが、この点に関しまして、大臣意見を承りたい。
  28. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。これは御説の通りでありまして、われわれといたしては、国の税法改正し、同時に地方税法も抜本塞源的に改正して、そうしてもう少し地方に、ほんとうの財源が自分自身で得られるというふうにして、中央依存の、中央依存と申しますか、補助金とか平衡交付金とかいうようなものばかりによらずに、もつと自主的に、自分自身だけの税源で地方の行政がやつて行けるようにしたい、こう考えましていろいろ案を練り、同時に相当のところまで行つておるのでございますけれども、先般も申し上げましたように、被占領下におきまして、われわれの理想通りの案ができないものでございますから、今回ははなはだ申訳ない次第でございますが、当面のほんとうに改正しなければならないものだけを取り上げまして改正したわけでございます。しかしながら行く行くは御説のような趣旨に沿いました税法の大きな改革をやつて行きたい、こう考えております。  それからもう一つつけ加えて申し上げたいことは、地方財政が窮迫したいろいろの原因もございましよう。けれども一番大きな原因と申しますることは、中央でいろいろ地方に対して仕事をしてもらいたいという、いろんな法律とか、施設というものがつくられまして、そしてそれを地方へ持つて行きますが、物価の高騰とか何とかいうもので、單位の費用が、たとえて申しますれば、学校の建築みたいなものでございますが、ある坪数が幾ら幾らというように決定していますけれども、実際上はそれで建つて行かない、また国から出すのは、その低い單価でその半分とか、三分の一とか、三分の二とかいうことで出します。しかし実際上やつて見ますというと、それが三分の一にも、二分の一にも当らないで、非常に厖大なるしわ寄せが地方に参る、こういうようなことも出て来ておる次第でございます。そこで先般も閣議で私方に仕事を仰せつけるというような場合には、十分地方財政を勘案して、地方財政に何らしわ寄せをしないようにして行くというような申し合せもしておる次第でございまして、できるだけのことは、ただいましておりますけれども、ほんとうにやりたいということができない現段階の情勢でありますから、ただいまは御説のようなことはむろん同感でございまして、やつて行きたいと存じてはおりながら、これをやらずにおる次第でございます。しかしながらもう独立も間近に迫つたことでございますから、その後におきまして相当な成案を得まして、皆様方の御検討を得たいと考えで、おります。
  29. 床次徳二

    床次委員 ただいまのお言葉で大臣考えておられることは、私どもの主張したいことと大体似ておると思いまするが、実はそのわれわれの希望の実現できない理由が、占領行政であるということを、やはり強く考えておられますが、私は大蔵大臣財政方針自体が間違つておるのではないか、私は岡野さんが大蔵大臣に対して十分意見を通じ得なかつた。閣議において反映できなかつたのではないか、むしろそういうことを憂えておつたわけなんです。どうも占領行政そのものとただいまの問題とは、必ずしも関連性を持つておらぬ。形式的には持つておるようでございますが、実質的にはやはり大蔵大臣考え方そのものが、地方財政に対して、岡野さんのごときそこまでの理解を持つていないというところに原因があるのじやないかと思うのでありますが、具体的な問題におきまして、これが現われておらなかつたということについてははなはだ遺憾に思い、ひとつお聞きいたしたいのでありますが、たとえば酒、タバコのごときもの、これは国が直接益金として収益する前に、これを一部還付税の形なり、あるいは交付金という形において、地方に與えるという意見も出ておるのでありますが、この操作によりまして、地方に財源を與える。国がとる前にまず必要なものは直接地方に與えるという考え方は、すでに当局においても持つておつたと思うのでありますが、これをおやりにならなかつた理由は何であるか、なお専売公社あるいは国鉄、放送協会等に対する課税ということも、当然われわれはなすべきものと考えておりますが、かような点がやはり実現されておらなかつた。これも全部実現できなかつたことに対しまして、どういうような経緯があつたのか、大臣のお考えを承りたいと思います。
  30. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。あるいは私が微力であつて、大蔵大臣の意向に屈従したというようなことが伝えられておるかもしれませんけれども、しかしただいま仰せのような配付税の問題にいたしましても、専売公社の課税の問題にいたしましても、よく了解しております。了解はして、また大蔵大臣の方でも賛成はしておるのでありますけれども、しかしいろいろな申し上げられない事情がございまして、今回これを実現することができなかつたということは遺憾でございますが、しかしながら配付税の問題なんかでも、これは当然大蔵大臣もやる、またわれわれの要求通りにしようということになつておつたことは事実でございますが、それができなかつたことは、これは御了察願いたいと存じます。
  31. 床次徳二

    床次委員 次に伺いたいのですが、附加価値税の問題につきまして、ここに御説明がありまするが、附加価値税を実施いたしますことによつて負担の軽減ができまするが、同時に相当の減收になる、従つて事業税をそのままやむを得ないかつておるというお考えのようでありまするが、税源が減るからといつて、悪いものをそのまま残すということはおかしい。もしも附加価値税をやるべきでありまするならば、それにかわるべき税源を別にとつて来た方がほんとうなんじやないか。交付金を増すなり、あるいは今の還付金その他の形において補つてしかるべきものと思うのでありまするが、みすみすただいまお話がありましたような負担の激変と、相当の減収というだけの理由でもつて、それが主たる理由でもつて附加価値税をとらないということは、地方財政のためにははなはだ遺憾だと思う。これはいかようにお考えになりまするか、伺いたい。
  32. 岡野清豪

    岡野国務大臣 附加価値税につきましては、これは地方税法を制定いたします当時から、非常に問題のあつた税でございまして、できるならば今年からやりたいと思つておつたのでございますけれども提案理由でも申し上げましたように、いろいろのさしさわりがございまして、もう一年延期した方がいいというような結論なつたわけでございます。詳しい事情は事務当局からひとつ御説明申し上げますが、結論といたしまして、附加価値税は一年延期することの方が、まあいろいろの方面からいいのじやないか、こういう結果になりました。
  33. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 ただいま大臣から申し上げましたように、附加価値税を実施いたしますことになりますると、経済界がやや安定したというような状況ではございまするけれども、やはり個々の企業に対しましては、事業税附加価値税では相当負担の激変を来す。もちろん附加価値税は転嫁を予想しておるとは申しますものの、場合によりましては企業の背負い込みになるようなことも考えられるわけございまして、そういう点から申しますと、やはり負担の激変をこの際起すということについては、愼重に考慮しなければならないという、企業に與えまする実施上の問題を一つ考えましたのと、なお府県の財政におきましては、地方財政白書にもございますように、他の市町村等に比較いたしまして、相当財政状況はきゆうくつのように考えられるわけでございまして、附加価値税を実施するといたしまするならば、やはり百数十億の減収というようなことにも相なりまするので、平衡交付金の額等をも考慮いたしました末、やはりこれは事業税をいま一年引続き実施して行く方が、適当であるというふうに考えたのであります。またかたがた徴税の上から申しましても、国税課税標準と別個の新たなる附加価値額というものを押えて行くことに相なるわけでございまするが、一般納税者の側におきましても、そういう新しい課税標準に対する親しみと申しまするか、理解力というものが、まだまだ十分に行き渡つていないわけでございまして、そういうような各種の点を考慮いたしました上、附加価値税の実施はさらにこれを延期いたし、事業税をさらにいま一年継続して行こう、こういうようなことに相なつた次第でございます。
  34. 床次徳二

    床次委員 附加価値税を延期されたことにつきましては、かねがねわれわれの主張しておるところでございまして、これが悪いというわけではないのでありまするが、ここに掲げられました理由におきまして、私はどうも納得が行かないというような意味において質問をいたしたわけであります。  次にお尋ねいたしたいのは、法人税の取扱いであります。市町村民税中の法人税の問題でありまするが、この理由といたしまして、国税における法人税が課率を上げましたために、半面におきまして調整するために、市町村民税の法人税割を軽減したという形になるのでありまして、このことは私はなはだおかしいと思う。元来でき得るならば、国税の方を減らして市町村にできるだけ財源を與えるべきが本来の建前ではなかろうか。先ほど以来大臣の御意見を伺いましても、そのような御意見でもあるし、また地方財政委員会等の趣旨から見ましても、できるならば国税を減じて、その減じたものを地方税の財源として與えるべきだと思う。しかるにもかかわらず、この法人税に対しましては国の方でもつて三五%から四二%に引上げたその反動としまして、地方における財源が失われてしまうということは、はなはだこれは本来の建前に反すると思うのですが、あえてこれをなさつたことに対しましては、私どもはなはだ遺憾の意を表したいのでありますが、どういう理由でもつてかようなことをやられたのか承りたい。
  35. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 国税におきまして、法人税の税率の引上げが行われたわけでございまするが、やはり企業負担と申しますか、そういう面から考えまして、あまりに急激に負担の増加を見ますことにつきましては、やはり現在の経済界の実情から申していかがであろうかというふうに、そちらの面を一面において考え、またただいま御指摘のような地方財政の見地からは、国税に比較いたしまして、自主的財源であるところの税が、全体の財政収入のうちにおいて占めまする割合が四二%程度でございまして、国税の八九%に比較いたしますると相当にまだ少いわけでありまして、地方自治の本旨の上から申しますれば、御指摘のごとくはなはだ遺憾な状況外、あるわけでございまするが、そういう地方自治の方の要求と経済上の要求との調整というような見地から、現在のままの法人税率で参りますと、これは相当に企業については法人税でふえたほかに、さらに法人税制においてもそれに比例してふえる。こういうことに相なりますので、少くとも市町村のとります法人税割につきましては、現状程度にとどめ、現在より減らしはしないがふやしもしない、こういうことにいたしたような次第であます。もちろん国の法人税と市町村の法人税割、この両者の関係から考えまして、そこにいずれに企業負担という面から調整を加えるかという選択の問題はあろうと思いますけれども、一面法人税割を、またあまりに多くいたしますると、市町村間の税収入のアンバランスというものも、またそれだけふえて来るわけであります。そういうことになりますると、また基準財政収入額の測定等におきまして税源の配分というふうな技術上の問題も出て参りまするので、一応現在の程度を確保するというふうにいたしたいということで、百分の十五というのを百分の十二・五ということにいたした次第でございます。
  36. 床次徳二

    床次委員 一応、国税の法人税が税率を引上げたのでありまするから、やむを得ない対策のようにも御説明になるのでありまするが、しかしせつかく財源を増徴します場合に、国が先にとつてしまつて地方をあとまわしにするという考え方は、私ども本来地方財政からいつて適当でないと思う。これだけの余裕があるならばもつと地方にやるべきだ。しかし地方で直接法人税をとることが、いろいろな関係で適当でなければ、その増収分だけは当然地方に還元してやるということの方が税制制度としては適当じやないか。法人税をとり放しにして地方に何ら恩惠にあずからさずに、国税だけが、国の方の収入だけが余裕ができるという形になつては適当でないと考えますが、これに対して、地方財政立場から、もう少し努力される余地があつたんじやないかと思いますがいかがですか。
  37. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 ただいま申し上げましたような事情で、百分の十二・五というのを標準税率といたして、標準的には現状と税額に変更なしという建前をとつたのでございまするけれども、制限税率につきましては、現在の百分の十六を百分の十五にいたしたわけでございまするが、当該市町村財政の状況によりましては、この辺の弾力性を考えまして、そこで調整するということも可能であるわけであります。国の法人税の増徴ということに関連をして、やはり企業全体の負担という問題も、税制度全体といたしましては考慮しなければなりませんので、まあこのようなことによつて調整をいたした次第であります。
  38. 床次徳二

    床次委員 次に伺いたいのは平衡交付金の問題であります。平衡交付金の制度を確立するということに対しましては、相当の財源を要するわけであります。今日までの経過から申しますると、平衡交付金制度は完全な意味においては当初の目的を達していない。きわめて目的に反した制度が実施されておるということになると思います。この点が今日、地方に対しまして、財政的に申しまして非常な赤字を招来しておるばかりでなしに、地方財政の自主性を失わせておる。従つて適当なときにこの問題はもう少し考え直す必要があるので、政府研究しておられると思いまするが、地方税制と平衡交付金制度とは、きわめて密接な関係を持つているのであります。大臣は将来の平衡交付金制度に対していかよう考えておられるか。またそれに伴いまするところの地方税制に関しまして、どういうふうな考えをもつて今日臨んでおられるか、本年度の税制等につきましては、ほとんど従来のことを踏襲せられておるように思うのでありまするが、将来に対してどういうふうな考え方をもつて、本年度は接しておられまするか、御意見を伺いたいのであります。
  39. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。将来は私は地方税法並びに平衡交付金法を合せて一丸としまして検討したいと思つています。それにつきまして、むろんただ税法だけの問題ではなくて、地方制度の情勢も、まだ神戸委員会の勧告がそのままになつておるような情勢でございますから、地方制度の改革、それに合せて地方税法をどうするか、それから平衡交付塩をどうするか、こういうような三者を一体としまして考えて、適当な改革をして行きたいと考えております。これは来年度になりましてつくりますところの地方制度調査会というものに、一括してこういう大問題を研究していただきまして、善処いたしたい、こう考えております。
  40. 床次徳二

    床次委員 なお最後にもう一つつけ加えてお尋ねいたしたいのですが、政府の方におきましては、漁業権税、あるいは広告税、接客人税を一応廃止して——普通税としては廃止しておられるのでありまするが、税制上におきまして非常な欠陥を持つているというところの遊興飲食税に関しまして、今回は何ら改正の手を伸べておられない。税額から申しますと相当あるかもしれませんが、しかし遊興飲食税の内容を見ますると、実は各種の税目が寄り合つて一つの税をなしておるというようなものでありまして、きわめて不公平な、また実際の実施上から見ましても、これはわれわれの了解し得ないような現状なんでして、これを是正することが、国民にとりましても、また納税者の立場から申しましても、きわめて必要だと思うのでありまするが、これに対しまして、今回何ら改正の手を伸べられなかつた点は、何か理由があるか。その点について伺いたい。
  41. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申します。遊興飲食税は、昨年以来ぜひ改正したいと思いまして、もう具体案までできたのでございますけれども、申し上げられない事情がございまして、どうしても今回はこれを提案することができなかつたという情勢になつております。でございますから、この点におきましては、われわれといたしまして将来近い機会においてこれを是正して行きたい、こう考えております。
  42. 立花敏男

    立花委員 機構改革の問題でちよつとお尋ねしておきたいのですが、地方財政委員会がなくなるようですが、あれは一体どういうことになつておるのか、どういう考え方でああいう形が出て来たのか、私どもある程度地方財政委員会は今の段階においては必要な役割を果しておると思うのですが、それが今度は少くとも形の上ではなくなるということになつておるのですが、これは政府地方自治に関する考え方、あるいは地方財政に対する考え方根本的にかわつて来たんじやないか、だからこそ形の上でそれが現われて参りまして、地方財政委員会の廃止というところに来ておるんじやなかろうかと思うのです。地方自体の制度の問題は、今大臣が来年度からやる、研究を開始すると言われておるので、それはともかくといたしまして、現在すでに中央の機構改革の中で、地方関係の機関がどういう根本的な考え方から改廃、改組されておるのかということを承つておきたいと思うのであります。
  43. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。新聞に地方財政委員会が、選挙管理委員会と一緒になつ自治庁の内部機構になるように伝えられておりますが、しかしまだこれは決定したわけでもございませんが、あるいはそうなるかもしれません。しかしながら地方の自治というものに対して中央政府考え方がかわつたということは絶対ないのでございまして、地方財政委員会が今まで地方公共団体のために非常に役に立つておつたその功績はむろん認めておりまして、われわれといたしましては、たといそういうような合併がかりに実現するといたしましても、地方財政委員会のあり方というものについては、十分今まで通りの効果をあげるようにして存続して行きたい、こう私は考えておりますから、今回行政機構が改正になりましても、そういうような御懸念はなかろうかと考えております。
  44. 野村專太郎

    野村委員長代理 ちよつとお諮りいたしますが、今税法に関するものを上程しておるわけですが、この際あわせて地方自治地方財政、特に今日は先般御説明が行われました財政白書に関する関係政府委員も来ておりますので、これらをあわせて質疑をするようにいたしたいと思います。
  45. 立花敏男

    立花委員 そこの方へ入つて行こうと思つておつたところなんです。どうも大臣の今の御説明は、非常に責任を回避されるようなお考え方、ものの言い方じやないか、中央の機構改革には自治庁も非常に熱心に参加されているようですし、また大臣としては、これは当然閣議決定でおやりになることでしようし、自治法の改正については、きようの閣議でもおやりになつたようです。だから考え方がはつきりしたものはないとは私は言えないんじやないかと思います。で、根本的な考え方にかわりはないとおつしやつておられますが、ずつと大きな観点から今回の機構改革をながめておりますと、どうもやはり地方の自治というものが、中央の強大な権力の中に吸収されて行く形が非常に大きくあるわけです。その最も端的な現われが、地方財政委員会の廃止という形になつて、動かしがたい事実となつて、現われて来ておると思うのです。地方財政の問題にいたしましても、地方財政委員会がなくなる。そうして今度は総理府の方に予算の編成権まで移されて来る。安本が経済企画庁になりまして、それが予算に関する重大な権限まで——全部か一部か知りませんが持つて来る。総理府に予算の編成権の一部か全部か委譲されて、しかもその中で單なる一セクシヨンのような形になつ地方財政委員会が従属した形で入つて行く。そうなりますと、どうしても今までの独立しておりました地方財政委員会地方財政を扱つた形とは、全然違つた形の扱い方が出て来るんじやないか、そういうことが私は当然予想されると思うのです。そういう形で総理府の権力集中が行われておりますし、そこから地方自治に対するいろいろな逆コースが出て来るんじやないか。行政の面で言いますと、今日新聞で発表になつておられまする区長の任命制という形になつて現われて参りますが、財政の面でも、やはり従来地方財政委員会が果して来たような役割りは、少くとも政府は今後はやらすまい、やつちやいけないんだというふうになつて来ておると思うのです。これは機構改革全般を見ますと、ただちに看取されるところなんで、これは大臣のようにまだきまつていないとか、考え方根本的なものはないんだとか言われましても、少くとも形の上で現われました以上は、ごまかしがつかないと思うのですが、ああいう形に現われておりますのを、大臣はどういうふうに説明なさるのか、聞きたいと思います。
  46. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。地方財政委員会は、ただいまでもやはり総理府の外局でございます。今回改正に万一なるといたしましても、やはり総理府の外局であるのでありまして、少しもその間変化はない、こう考えていいと思います。それから私の考えといたしましては、先ほど申し上げましたように、地方財政委員会の今まで盡して来ましたところの仕事のやりふりは、これは地方公共団体に対して非常に稗益するところが多かつた。その稗益するところの多かつた趣旨は、やはりそのまま尊重してやつて行きたいと思いますから、別にそういうふうな御懸念はなかろうと思つております。
  47. 立花敏男

    立花委員 大臣のお言葉を聞いておりますと、地方財政委員会の組織あるいは編成、機構、こういうものは全然かわりがないようにおつしやつておられるのですが、そんなことはないはずなんで、さいぜんの大臣の言葉でも、地方財政委員会はなくなつて、自治庁に吸収されるということを明白にあなたは言われたと思うのです。地方財政委員会が依然として外局として総理府に残るというようなことは、どこにも私は見出し得ないと思うのです。これはやはり何か牽強附会な言葉であつて、私ども納得しがたい。やはり率直に、客観的に、政府の企図されている機構改革全般を通じて、地方財政委員会は形の上では少くともなくなるんだ、大臣の言われたように地方自治庁の一部になる、総理府に大蔵省の予算編成権まで入つてつて、その下に今までやつておつた地方財政委員会の仕事も統合されて行くんだ、というふうに見て行くべきであつて、そういうふうな見方をしないと、何を今までのように地方財政かある程度保障されて行くんだというような甘い考え方では、私は将来の地方財政に対する、また現在の困難な地方財政に対する十分な対策は立てられないと思う。ここから私は大臣の前の委員会における言葉の問題になつて来るんじやないかと思います。それは大臣は、前の委員会で二十七年度は二十六年度より地方財政は非常に楽になるということを言われました。はたしてどういう観点で地方財政が二十六年度より二十七年度が楽になるのか、少なくとも二十六年度赤字は、そつくりそのまま二十七年度にも残つているはずである。その上に、去年よりは減少しているかもしれませんが、さらに二十七年度赤字が累増して来る。そのほかに驚くべきことには、前の委員会でお尋ねいたしましたところ、行政協定の実施に伴う地方負担などは、ほとんど見積つていないということになつて参りまして、二十七年度地方財政が二十六年度より楽になるというような楽観的な見通しは必ずしも私は持てないと思う。地方税法の上では増収をお見込みになつているようですが、はたして二十六年度より徴収成績がよくなるかどうか、まつたくこれは疑問だと思うのです。四百何十億かの自然増ですか、そういうものをお見込みになつているようですが、これがはたして予想通り入るかどうか大問題だと思うのです。そういう場合に、何を根拠にして二十七年度は二十六年度より楽になるというのか、これは私非常に楽観に過ぎるではないかと思う。特に今申し上げましたように、大きな観点から政府の施策をながめますと、やはり地方財政の独自性というようなものはなく、実の軍事的な財政に従属されているという形が明白に現われているわけである。これをやはりごらんにならないと、何か来年度は楽になるのだというような考え方だと、地方財政の責任者としては、まつたくふさわしくないと考えざるを得ないのですが、そういう点どういうふうにお考えなつているか。どういう根拠で二十七年度は二十六年度より地方財政が楽になるとお考えなつているのか承りたい。
  48. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。私が地方財政を担当いたしまして以来一年八箇月になりますが、今まで地方財政委員会でこれだけほしいというのがそのまま受入れられないで、足りない足りないで来ておつたのでありますが、来年度の予算をごらんになればおわかりの通りに、来年度地方財政委員会もこれでバランスが合つたということで、もう議会に対する、もしくは政府に対する勧告書も出ない、こういう情勢になつておりますから、来年度に関する限りは地方財政委員会が認めまして、バランスの合つた財政計画が立つている、こういうことで私は今年度よりは来年度の方が楽であると感じておるわけであります。詳しいことは地方財政委員会の万から御説明を申し上げます。
  49. 立花敏男

    立花委員 大臣そんなに逃げたつて地方財政委員会は答弁しやしません。だからもつとまじめな審議をしてもらいたいと思う。つじつまだけは書類の上で合つてつても、地方税四百億の水増しをやつたり、行政協定で必要な費用を一文も計算しなかつたり、こういうことをしておつて帳面づらだけ合しておつても、財政が楽になるということは私は言えないと思う。しかも財政上つじつまが合つていると言われますが、地方財政委員会が法的な根拠を持つた勧告をなさつても、それを吉田さんの手紙一本で五十億も減らしている。こういうようなことをしてつじつまを合しているので、決して正しい客観的な情勢と合つたつじつまの合いようではないわけです。こういうことをして帳面つらだけつじつまを合しておいて、来年の地方財政はゆたかになると言つておられたんでは、地方はまつたくたまらない。だからこそ前の委員会でも指摘しましたように、牛や馬が子を生んだから税金をかける、あるいは教育税をとろう、果樹税もとる、ミシン税もとる、こういうふうな苛斂誅求が実際の場面では起つている。その弊害をこうむるのは地方住民である。もつと具体的に、單なる数字の上でのつじつまではなしに、どういう意味で来年度地方財政が楽になるというふうにおつしやられたのか。実際地方へ行つてごらんなさい。地方では税金が払えなくて差押えが毎年ふえて来ておりまして、今年は軒並に行われている。こういうぐあいに所管大臣が、来年は楽になると、うそを言つておられてはまつたく迷惑しごくである。もつと具体的に、どういう点で実際地方は楽になるのか、地方住民の問題としてお答え願いたいと思う。
  50. 野村專太郎

    野村委員長代理 ただいまの立花委員の御意見なり御質疑は、先般来からいろいろ御主張になられ、また政府側も答弁されておるので、あとにまだ委員各位の御質疑がございますので、時間がございましたら……。まだありますか。
  51. 立花敏男

    立花委員 答弁できないならできないでいいですが、これはやはり重大な問題だから継続的にやつてもらうし、それから答弁のできるようにもつと誠実な態度委員会運営してください。答弁できないならほかの問題に移ります。  きよう鈴木次長の談話で、区長の任命制の問題を発表されております。今日閣議におかけになつたようですが、あの通りでございますかどうか、ひとつ大臣に承りたい。  それから自治体の長の公選制を廃止するということが憲法違反でないと、鈴木君は言つておられるのですが、その根拠を承りたい。
  52. 岡野清豪

    岡野国務大臣 本日の閣議におきまして決定いたしました。
  53. 野村專太郎

    野村委員長代理 大泉君。
  54. 大泉寛三

    ○大泉委員 附加価値税がもう一年延期されるのは、やはり実行を前提として延期されるのですか、それとも先行き適当な機会にこれを廃案にしてしまうというような意思で延期してしまうのですか。今のところは延期ですからどこまでも延期という意思でありましようけれども、その見通しについて大臣の所見を承りたい。
  55. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。来年の一月一日から実行する意思において一年延期したのであります。
  56. 大泉寛三

    ○大泉委員 それから鈴木さんにちよつとお伺いしたい。遊興飲食税と入場税が非常に高いので、何とか引下げてもらいたいという話が、もうここ三、四年ずつと続いておるのです。なお遊興飲食税の税率はあまり幅があり過ぎて、これに対して私どもどうも手のつけようがない。飲食する場合に、飲食税であるならば、これは下ぐべきであるという主張もうなづかれるのですが、遊興となると、他に引下げなければならないものがたくさんあるのに、遊び金を使うのに税を下げるということは、政治家としてあるいはまた政治活動の上からもおもしろくない。これによつて実質上は飲食税を引下げようと盛んに言うているのでありますから、飲食税と遊興税を二本建にする方がよいではないかということを、委員会ではまだ発言したことはありませんが、政府のお考えによつて何とかしてもらいたいという業者の言葉もありますので、この際政府当局から二本建にする意思があるかないかを聞いておきたいと思います。
  57. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 ただいまの仰せは遊興的な性質のものと、それから通常の飲食と二つ課税対象のものを遊興飲食税というような一つの名前で呼んでおりますために、納税者の気持の上におきましても、どうもぴつたりしないものがある。そういうところから二つに区分した税の体系にしたらどうかというような御趣旨のように承りましたが、確かにそういうような気持と申しますか、納税者の感情はあろうと思います。現在の税法の上におきましても、御承知のごとく遊興的なものと、しからざるものとを区分して、税率を設けておるわけでございますが、それをさらに御説は進んで、二つの税に分離したらどうかというふうに拝聴いたすのでありますが、先ほど来大臣からいろいろ御答弁申し上げましたように、地方税の問題につきましては、今後いろいろ研究を要する点が多々あるわけでありますから、そういうような際に問題にして研究して行きたいと思います。
  58. 野村專太郎

    野村委員長代理 それでは本日の委員会はこれをもつて散会いたします。次会は公報をもつてお知らせいたします。     午後零時五十一分散会