○大矢
委員 この機会に私はぜひ
大臣にただしておきたいと思いますが、最近いろいろ
法案を通じあるいは
勧告を通じまして、どうも日本の民主化が逆行しつつある、逆コースをたどりつつあると思う。そこでこの与えられた日本の民主化というものを完全に
運営し、これを持続するためには、容易ならざる努力とある一定の期間を要することは申すまでもないのであります。そこで今日まで
政府はいろいろなことを
行つて来た、それは今
大臣のおつしやる通り、
地方税法あるいは幾多の改革が行われて参りましたが、それをまた最近は逆に、いわゆる従来の
中央集権的な、もつと悪い
言葉で言うと独裁的な
方向に進みつつある。それは先ほど来
立花君も言われたように、幾多の実例を見てもそうであります。こういうふうないわゆる
事務の
簡素化、
能率化という
言葉によ
つて、だんだんと簡単にするということは、民主化の手続は複雑であるから、勢い従来の
方向に持
つて行こうという
考え方であります。私が具体的に
大臣に聞きたいことは、せんだ
つて政務官に聞きますと、五
大都市の大きな区に対しての
選挙管理委員会を廃止するということ、一例をあげますと、大阪市のごときは百八十万円の節約になるからぜひ廃止したい、一体財政が許さぬからということで、せつかく
地方議会の基盤といいますか、その基礎をなすべき
議会政治に対して、公平に扱うべき
選挙管理委員会を廃する、人口十七、八万、二十万近い区の
選挙管理委員会を廃して、一体どういうふうにして
選挙をやろうとするのか、私ちよつと想像もつかない、そういうことは今まだきま
つてないという答弁がせんだ
つてあつたのですが、これは必ずや選管から
地方自治庁なり
大臣に対して相談があつたはずです。これを廃するか廃せないかということの
決定がなされておる、そういうことについての相談があつたのか、しかも財政上廃するというなら、これからなんぼでもしなければならぬが、先ほど
大臣が言うように、日本の
地方財政というものは画一的であ
つて、今試みにやつたのだというように、いろいろな白書を出すほどに欠点が多い。でありますから、そういう財政面が許さぬからとい
つて、ただちにこういうふうなせつかく民主化のために設けられた
委員会を廃止して、
中央集権的なごく少数の者によ
つてなそうとする
考え方であ
つてはならぬ。財政上何らかの口実でカバーいたしましても、こういう制度は残すべきものだというならば残す。あるいは先ほど申すように、全体をにらみ合せて根本的に
改正すべきだというならば、
地方制度
調査会といいますか、そういうものを設けてそれに検討を加えるというならば、その検討の結果を待
つても遅くはない、なぜこういうことだけをそう急いでやろうとするのか。どうも最近のいろいろなできごと、
考え方の基礎にそういう
方針があるのではないかということを、私
ども憂慮するのであります。具体的な問題として
事務簡素化あるいは
能率化という
言葉によ
つて、従来の
中央の命令一本で行き、あるいはまた
府県が中心とな
つて自治体を
監督するというようないわゆる
監督政治に返るのではないかということをわれわれはおそれる。全体を通じての
大臣の
方針は、せつかく民主化したものを、また元にした方がよいのだという
考え方が国民の中にも相当あると思う、それを得たり賢しとしてやるのか、困難ではあるが、日本の民主化のためには、どうしてもこれをやらなければならぬというのか。私
どもは高い代価を払
つて敗戦の結果、日本の民主化を施行されたのでありますから、われわれはどうしてもいかなる努力を払
つても、これはなし遂げなければならぬと思います。最近ややもするとそういう傾向が多いのであります。これは特にこの機会に
大臣から先ほどの具体的な問題とあわせて
根本方針、それから
調査会にこれをゆだねる必要がないかということを、この際にお聞きしておきたいと思います。