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1952-03-11 第13回国会 衆議院 地方行政委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年三月十一日(火曜日)     午前十一時二十八分開議  出席委員    委員長 金光 義邦君    理事 大泉 寛三君 理事 河原伊三郎君    理事 野村專太郎君 理事 門司  亮君       門脇勝太郎君    川本 末治君       佐藤 親弘君    前尾繁三郎君       鈴木 幹雄君    中村 寅太君       大矢 省三君    立花 敏男君  出席国務大臣         国 務 大 臣 岡野 清豪君  出席政府委員         国家地方警察本         部長官     斎藤  昇君         国家地方警察本         部警視長         (総務部長)  加藤 陽三君         国家地方警察本         部警視正         (総務部会計課         長)      三輪 良雄君         総理府事務官         (地方自治庁         次長)     鈴木 俊一君  委員外出席者         総理府事務官         (全国選挙管理         委員会事務局管         理課長)    石渡猪太郎君         専  門  員 有松  昇君         専  門  員 長橋 茂男君 三月六日  委員並木芳雄君辞任につき、その補欠として床  次徳二君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 三月七日  鳥岸地区国家地方警察署設置に関する請願(  中曽根康弘紹介)(第一一九二号)  入場税軽減に関する請願大石ヨシエ紹介)  (第一二三二号)  農業協同組合に対する地方税免除請願(寺崎  覺君紹介)(第一二三四号)  民間放送事業に対する事業税免除請願大石  ヨシエ紹介)(第一二七七号) 同月十日  特別区の組織及び運営に関する請願外四件(野  村專太郎紹介)(第一三一六号)  地方財政平衡交付金適正配分に関する請願(  世耕弘一紹介)(第一三四五号)  営業用トラツクに対する自動車税軽減請願(  三池信紹介)(第一三四六号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  国会議員選挙等執行経費基準に関する法  律の一部を改正する法律案内閣提出第三五  号)  地方自治に関する件  地方財政に関する件  警察に関する件     —————————————
  2. 金光義邦

    金光委員長 これより会議を開きます。  国会議員選挙等執行経費基準に関する法律の一部を改正する法律案を議題として、質疑を続行いたします。門司君。
  3. 門司亮

    門司委員 これはこの前から問題がはつきりいたしていないので、私はこの機会に問題をはつきりさしていただきたいと思うのは、この前の会議でも申し上げましたように、選挙費用経費の問題は、今算定されておりますものは、大体給与その他は現行で、あるいは大したさしつかえはないかと思います。しかしやはり地方公共団体定期昇給が一月あるいは三月に行われるようになつております。そうすると必然的に給与の面も増額をいたすことになると思います。それから、物価がどつちにいたしましても、大蔵大臣はインフレにはならぬと言つておりますが、これは物価が上るにきまつております。そうして選挙は本年の秋、既定通りに行われれば、来年の正月ということになつて参りますので、必然的に私ども経費膨脹がなされなければならないと思う。この前の委員会では経費膨脹はほとんどないというような見解のもとに、言質が得られなかつたのでありますが、ぜひ私どもがこの法案認めるにあたりましては、やはり費用の増加した分だけは、地方公共団体に御迷惑をかけないというはつきりした言質を得ておきませんと、この前も地方公共団体出した分約二億くらいのものが、当然認められることになつてつて、そうして大蔵大臣の方では、これを認めないというようなことで、相当長い間問題が残されておつて地方の議会が非常に迷惑した実例がありますので、今回この法案審議するには、やはりそういうことを、この際当局から明確にしておいていただいて、そうして当然増額した分だけは、やはりめんどうを見るというようなことの言質を得ておきませんと、またこの前と同じようなことを繰返しては、地方公共団体が非常に迷惑するのであります。このことについて当局は、ひとつこの際はつきりした見解の御表示が願いたいと思います。
  4. 石渡猪太郎

    石渡説明員 国会議員選挙のために、国が支出いたしまする経費につきましては、現行国会議員選挙等執行経費基準に関する法律によつて算定いたしますると、約十億になるのでございますが、今度の改正法律案で計算いたしますると、総額約十五億に膨脹いたしておるのでございます。今門司委員のお説の通り、将来の物価はどうなるかということは、一応ごもつともな御心配でございますけれども、これは国の予算全体の問題でございまするし、今将来どうなるかということを予想いたしまして、この法案考えることが困難でありますために、現在の物価基準といたしまして、改正案を提出した次第でございます。
  5. 門司亮

    門司委員 私の聞いておりますのは、そういうような予算内容ではありませんので、予算認めるにあたりましても、先ほどから申し上げておりまするように、不安があつて、この前も約一億八千万円くらいの金であつたと思いますけれども、これは地方自治体が支出したことはわかり切つてつて、そうしてその金を出すとか出さぬとかいうことで、非常に長い間押問答しておるわけであります。従つて地方財政が非常に苦しいから、選挙に割当てられた費用がないからといつて選挙をやめるわけに参りませんし、やはりいるものはいる、使うものは使わなければならないのであります。何もそれを手放しで、幾らでも使いほうだいに使えという意味ではございませんが、少くともかかつた経費だけは、予算は一応こういう予算ができておるが、しかし現実にかかつたものについては、国が補償するという、この際はつきりした答弁を私ども得ておきませんと、これをこのまま通しておいて、そうしてあとでかかつたものをまた請求するというようなときに、地方自治体は困ると私は思います。地方自治体の財源は、皆様も御存じのように、非常に窮迫しております。そうしておそらく国から与えられたそうした仕事をするというために、かなりたくさんの犠牲を払つていると思う。こういうことであつては、選挙自体が私はスムーズに行くかどうかということが疑われる。ことに選挙法が改訂されて参りますと、おそらく公営場所というようなものは、相当ふえると思います。公営場所がふえればふえたで、この予算で見積られているものから、膨脹せざるを得ないのであります。従つてわれわれの考えておりますことは、この際当局はつきり、そうしたことで当然ふえるということになつて参りますので、それだけは修正をするのだ——修正するという意味は、補償するのだということが、はつきり言明ができるならば、私どもはこれでけつこうだと思いますが、しかしそういうことができないとすれば、選挙法改正が完全に行われて、その上で、新しい基礎のもとに、ひとつこういう法案出し直してもらいたいと考えますが、この点についてどうお考えになつておりますか。
  6. 石渡猪太郎

    石渡説明員 ただいま衆議院の特別委員会で、選挙法改正について審議されておるわけでございますが、その結果公営内容がかわります場合には、それに伴つてこの法律案修正していただきたいというふうに考えております。それによつて予算との関係があると思いますが、公営内容のいかんということによつて予算の額がかわつて来るかと存じますが、そのにらみ合せによつて、この法律案について修正をしていただくということにいたしたいと考えております。
  7. 門司亮

    門司委員 どうもはつきりしないのでありますが、今のような当局の御意見だといたしますと、この法律案は、私ども関係から申し上げますと、この際ひとつ出し直していただく方が便利であります。ここでこれを審議しておいて、そうして選挙法がかわつて来たからというので、また修正が出て来るということは、非常に複雑であります。むしろこの法案は、次に新しく改正されるだろうと一応考えられますので、この点を十分にらみ合せて、私は出し直された方が便宜だと思いますし、またわれわれもその方がやりいいと考えております、あるいは一月か二月先になるかどうかわからないものを、今ここで議論して、そうして一応本会議を通しておいて、また修正案を出すということは、かなり不見識なことだと思います。従つて先ほどから申し上げておりますように、当然選挙法がかわつて参りますと、それだけのものはよけいいることになつて参りまするし、それだけのものが補償されるというはつきりした言明があれば、私どもはこの法案をこのまま審議を進めてもよろしゆうございますが、もしそういうことができないとするならば、この法案については、もう少し明確になるまで、われわれは審議を延ばした方がいいじやないか、こういうように考えておりますが、当局はその点について御同意が願えるかどうですか。
  8. 石渡猪太郎

    石渡説明員 ただいま公職選挙法改正に関する調査特別委員会の御審議は、まだ結論までには到達しておりませんけれども、大体の見通しとしては、公営の分について、若干の改正を見るような状況になつておりますので、その時期まで御審議を保留していただきましても、けつこうと存じます。
  9. 立花敏男

    立花委員 これをお出しになりましたのは、やはり現在の法の規定では、実際必要な選挙費用がまかなえないという建前だと思いますが、そうでございますか。
  10. 石渡猪太郎

    石渡説明員 そうでございます。
  11. 立花敏男

    立花委員 そういたしますと、現在すでにまかなえないということがわかつておりますのに、しかも法案だけは、いろいろな関係でお延ばしになるとすると、実際上地方では赤字が出るわけです。現在でもすでに選挙が行われておりますので、これにも当然現実赤字が出て来る。あるいはその間に全国のどこで選挙があるのかわからないのですが、そういう場合に、やはり赤字が出て来る。これが地方自治体の帳面上の赤字であれば、痛くもかゆくもないのですが、しかし現実に働きます者にとりましては、この費用から出る手当なりその他の給与が、毎日毎日の生活のかてなんですから、この赤字はどうしても埋めなければいけないと思うのです。そういうものまで不足だとお考えになつておるのだとすれば、そういうようなものに対する補償をどういうふうにお考えなのか。政府の都合でお延ばしになる場合に、そういう不可欠な赤字に対する補償を、どういうふうにお考えなのか。この間のはつきりした保証がございませんと、私どもはこの法案の成立が延ばされることに対しましては、賛成することができないわけでございます。この点をはつきり伺いたいと思います。
  12. 石渡猪太郎

    石渡説明員 ただいま東京の六区で、補欠選挙が行われておるのでございますが、これは現在の法律で算定いたしますると、約六百五十万円になるのでございます。それを今提案しております改正法で参りますと、約七百九十万円ばかりになります。それでこの法律を提案いたしました当時には予想いたしておりません事態ができましたので、法律は一応公布の日から施行するということに建前はなつておりますけれども、これが一月からさかのぼつて適用するというようなことに決定を見ますれば、その差額追加交付するというような用意をいたしております。二十六年度におきましても、また二十七年度の予算にもあらかじめ補欠選挙経費として、予算が計上されておりまして、法律案が成立いたしますれば追加交付をすることができる用意をいたしております。
  13. 立花敏男

    立花委員 もちろんその手続は必要だと思うのですが、私が申しておりますのは、もう一つ深く立入つていただきまして、遡及されるまで、さつき申しましたように、毎日々々働いて、その手当で食つているのですから、遡及されるのでも、やはりこの法律ができましてから計算いたしまして支給するのでは、非常に遅れるわけであります。その間の補償についてどういうふうな対策をお考えなのか。遡及だけではなしに、遡及からさらにさかのぼつ現実補償あるいは財政的なめんどうを見るとか、融資をするとか、つなぎの資金を与えるとか、こういう問題をどの程度考えなのか、これを承りたい。
  14. 石渡猪太郎

    石渡説明員 例を東京の六区の選挙にとつてみますると、差額が約百二、三十万でございますが、すでに六百五十万の経費交付済みでございまして、なおその百二、三十万の差額については、仰せのように地方財政に御迷惑をかけることになるのでございますが、選挙経費内容につきましても、いろいろにわかれておりまして、たとえば演説会公営費用でございますとかいうような経費につきましては、一応現在候補者一人について、個人演説会七十回ぐらいを見込んで計算しておりますが、現実には十回ないしは二十回程度しか、今行われておらぬような状況もございまするし、それから若干精算的な経費もございます。たとえば新聞広告公営費用のごときは、新聞社の方から請求があります時期が若干ずれて来ております。そういうようないろいろなことを考えますと、そう非常に大きな負担を一時地方財政におかけするようなこともなくて済むのではないか、これは東京六区の場合の例でございますが、さように考えております。できますれば右から左に交付されることが望ましいわけでございますが、この今の過渡期の若干のずれはそのようにして、そう大きく御迷惑をかけるようなことがなくて済むのではないかというふうに考えております。
  15. 立花敏男

    立花委員 六区の現実の問題はとにかくといたしまして、建前上必要だと考えてお出しなつ法案、当然赤字が出るから、それを埋めなければならないという建前のもとにお出しなつ法案が、いろいろな事務上の手続関係でお延ばしになるというのであれば、実際の問題はともかくといたしまして、それに対する措置は当然お考えにならなければいけないと思います。遡及はもちろん必要なのですが、遡及以外にやはり相当の考慮はお払いになるのは、これは立法なさつた趣旨から申しましても当然だと思うのです。現実の問題を離れまして、やはりそういう首尾一貫した態度をおとりになるのが、私は当然だと思うのであります。六区では実際そういうふうに費用がいつてないかもしれませんが、あるいはいつておるかもわかりませんので、そういう生の問題を離れまして、そういう建前をおとりになる必要がある。それなしには私どもはやはりこれを延ばすことには賛成できないと思います。現実赤字だということは、あなたの方でもお認めになつておるように私どももよく知つておりますので、それに対する措置をやつていただかないと、私どもは延ばすことには賛成できないわけであります。今お聞きしますと、その点が非常に不確実なようでございますので、お延ばしになるということをお認めになる前に、その点を次の機会でもけつこうですから、ひとつ明白にしていただきたいと思います。  それからこの間もお尋ねしたのですが、選挙にからまる地方自治体における不当なる首切りの問題です。石巻市に起りました首切りの問題です。局長がこの間お調べになるとおつしやいましたが、その後どうなつたか、あの事態がさらに発展いたしまして、市会市長不信任案が可決されまして、今度は市長市会を解散いたしまして、石巻市会が総選挙が二、三日のうちに行われるわけなのです。それがやはり私が申し上げました選挙に端を発した土木課長に対する不当な首切りそれが市会市長不信任になつておる。公平委員会裁定を下しておる、再度の提訴がなされておるというような状態であります。こういうことをほうつておきましては、選挙費用は足りないわ、選挙運動をやれば首を切られるわということになりますと、選挙の公正ということはまつたく害されますので、この間もお願いしておいたのですが、その後どうなつたか、どういう御説明になり、まとまつておるかということをお答え願いたいのであります。
  16. 石渡猪太郎

    石渡説明員 まことに申し訳ないのでありますが、今まだ取調べ中でございます。至急調査するようにいたしたいと思います。
  17. 立花敏男

    立花委員 この問題については鈴木君は聞いておられると思うのでありますが、石巻地方公務員に対する選挙に端を発した不利益処分の問題、これは今言いましたように、市長不信任から市会の解散まで行つておるのであります。これをどういうふうに自治庁でおつかみになつておるのか、またそれの対策等があれば承つておきたい。
  18. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 今の問題につきましては、私どもまだ具体的に話も承つておりませんので、さらに調査の上必要があればお答え申し上げます。
  19. 立花敏男

    立花委員 あまり長くなりますのでこれでとどめておきたいと思いますが、とにかく石巻の問題は非常に重大な問題なので、公平委員会でも全国最初に取上げまして、地方公務員に対する不利益処分裁定が出ておる。それをまた自治体で無視されまして、裁定が行われた翌日に懲戒免官しておる。それが公平委員会に再提訴になつておる。それから端を発して市会自体が解散しておるという事態が発生しておりますので、これは自治体にとつて全国最初の典型的な例でありますので、自治庁としてもぜひお調べ願いたいと思うのであります。これは問題は御存じないと思いますが、やはり重要性を十分認識していただいて、ひとつぜひこれを調べていただきたいと思います。     —————————————
  20. 金光義邦

    金光委員長 それでは次に地方自治に関する件、地方財政に関する件、右両件を一括して調査を進めます。前会に引続き今国会提出予定法案について、政府よりその要綱説明を求めます。
  21. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 それでは今回の国会に提案する予定でございます町村職員恩給組合法案地方公務員法案の二つにつきまして、目下政府考えております要点を簡単に御説明申し上げたいと思います。  町村職員恩給組合法案は、現在各都道府県単位町村恩給組合をつくつておりまして、この恩給組合は、町村職員が一定年限勤務いたしまして退職いたしました場合に、退職年金を支給する、あるいはその年限に達しません場合におきましては退職一時金を支給する、こういうことになつておるのであります。ところがこの恩給組合は任意の設立のものでありまして、特定の町村がこれから脱退をするということになりますと、恩給組合が結局成り立たないことになつてしまうのであります。しかもこれは戦争中の政府次官会議決定指導方針をきめまして指導した結果、今日に至つておるものでありまして、基礎がそのように根拠のないものに今日では相なつておりますので、町村職員の方から申しますると、非常に不安定であるのであります。かねて全国町村会等におきましては、これを法定化してほしいという要望がありましたので、それらの点を考慮いたしまして、現在ありますところの恩給組合を法制化いたしまして、これに法的根拠を与えようというのが主たる目的であります。従いまして現状につきまして特に大きな変革は加えていないのであります。ただ一点、この費用負担関係でありますが、恩給費用負担につきましては、町村職員本人町村負担をするのが、原則でなければならないのでありまするが、現在までは府県がある部分をこれに対して補助金として負担をしておるのでありまして、その補助金は、地方財政需要額測定に際しまして、府県部分に繰入れて測定をしておるのであります。それを今回は、本来町村職員でございますので、全部町村財政需要額の中に繰入れて測定をするということにいたしたのであります。このようにいたしました理由は、府県町村関係から申しますると、府県町村職員恩給組合に一定の補助金を出すということは、一つの実際問題としては考慮せられる案でありますけれども、どうも新地方自治制度のもとにおきましては、府県町村との関係が、とかく疎遠になりがちでございまして、現に府県で二十四年度あるいは二十五年度に支給いたします予定補助金を、いまだに支給してないものが相当あるのでございます。二十五年度は半数くらいの府県が、いまだに町村職員恩給組合に対する補助金を交付いたしておりません。そういうような関係恩給組合自体財政が相当危殆に瀕しておりますので、やはりこれは理論的にどうも府県側としてのめない点があるようにも考えられますので、その点をこの際解決をいたしまして、町村本人負担をする。ただ町村負担のふえます部分は、もちろん財政需要額の中に測定をいたしまして交付金で調整をしよう、こういう考え方であります。なお、いま一点、新たに町村恩給組合連合会という現在事実上存在いたしますものを法制化いたしまして、これに法的根拠を与え、これで各都道府県恩給組合の技術的な指導助言をすることが可能であるようにいたしたい。これらの点がこの法案の主たる考え方でございます。  それからいま一つは、地方公務員法の一部を改正する法律案でございますが、これは地方行政簡素化という見地から改正をいたすものが大部分でございまして、なおそれに関連をいたしまして、施行後一年余りの実施状況にかんがみまして、二、三の点につきまして実情に即する改正をいたそうというのであります。  行政簡素化関係改正といたしましては、主たる点は、人口十五万未満の市におきましては、現在人事委員会を置くか、公平委員会を置くか、いずれでも選択できるようになつておるのでありますけれども、実際問題としては、ほとんど人事委員会を置いておりませんで、ほとんど全部の市が公平委員会を置いておるという形になつておるのであります。そこで人口十五万未満の、職員数がそう多くない市におきましては、やはり公平委員会を設けるだけにいたしまして、人事委員会はそれ以上の市なり都道府県が置くというふうにいたしたいという点が第一点であります。  それからなお公平委員会は、町村にもみな置くような建前になつておりますけれども町村公平委員会を置きますことは、なかなかよき人を得ることも困難な点もありますので、そういうことも考えまして、事務の委託という方式を考えたいという点が第二点であります。  なおこの人事委員会事務局でありますが、十五万以上の市で人事委員会を置くものにつきましては、事務局という組織を設けませんで、事務職員を置くという程度にいたしたい。  それからなお実際問題として委員事務局長兼職ということを認めることが実情に即するようでありますので、そういう兼職認めようということ。  その次は職階制の問題でありますが、これは本年の六月十三日から施行するようになつておるのでありますが、国の方の職階制がいまだに施行されておらない状況でございますので、国の職階制実施実情を検討いたしました上で、地方職階制実施することにいたしたい。さらに六箇月だけ延期いたしまして、本年の十二月十三日から施行するようにいたしたいという延期の関係が一点、その他は特に技術的な改正でございまして、申し上げるほどの点はございません。
  22. 金光義邦

    金光委員長 これより質疑を許します。野村專太郎君。
  23. 野村專太郎

    野村委員 政府は近く地方自治法の一部を改正する法律案を上程されることになつておりまして、先般の委員会、また今鈴木次長からもその一部を伺つたのですが、これについて二、三点、岡野国務大臣がお見えになつておりますので、伺いたいと思います。  まずこの間の要綱の御説明にあたりまして、都道府県執行機関の面におきまして、行政簡素化の線に沿つて行かれるのだといいますが、標準部局を法定しよう、そうして残余のものに対しては、都道府県の条例によつてこれをきめようということですが、どういうものをこの標準部局としてお考えになつておりますか。最初にこの点を伺いたい。
  24. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答えを申し上げます。まだはつきりときまつた案になつておりませんが、大体戦前と申しますか、昔はごく少数の部局によつて地方公共団体府県の政治ができておつたのであります。戦後非常にたくさんの部局を設けるようになりましたが、事務の簡素化から申しますれば、国に相応したものができたらよいのではないかと考えるのであります。大体私の考えております腹案といたしましては、総務とか土木とか社会部とか経済部、そういうような四つぐらいのものにしたらどうかという考えをもつて、今いろいろ検討中でございます。
  25. 野村專太郎

    野村委員 行政を簡素化して事務の能率を上げよう、この点に対しては私も同感ですが、これは国の行政の簡素化と関係を持つて来ると思います。しかしこの地方都道府県の部局というような面に対して簡素にするということは、いわゆる官公吏の手をなるべく省こうということに結論はならなくてはならぬ、こう思うのです。こういう点から考えて、地方における部局については、都道府県によつて性格が違い、しかも自治法なり自治体の性格から見てそうきゆうくつに考えずに、その都道府県の事情に即応するように行くことが、私は最もふさわしいのではないかと思う。そこで要綱によつても、また今大臣からお話があつたが、ある少数の部局をきめて、そのほかは条例によつて行こうというこの間の次長説明は、私は当を得ておると考えておるのですが、部局の数を減らしたからといつて、必ずしもこれで能率が上るとは考えられないのです。そういう点からこの条例は、やはりその都道府県の議決機関の意思を尊重してやるべきで、必要以上に地方のこの制度に対して干渉すべきでないという感じを私は持つておるのですが、その都道府県が特殊の部局を必要とする場合、この条例できめることに対して公聴会を開くとか、あるいはいろいろなことを勧奨するようなお考えを持つておりまするか、この点をひとつ伺いたい。
  26. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。お説しごくごもつともでございまして、地方は千種万態でございますから、これをもつてつてしまうことはよくないことであります。しかしながら私どもといたしましては、法律で部局を六つ置くとか七つ置くとかいうことにしておきますと、いらない県でもやはりその六つを置くということになつたり、またこれはほんとうは必要ないんだけれども、任意に置けるということになつておるから、ひとつ置いてみようということになつて、やはり事務がふえて行くのではないかと思いますので、標準といたしましては先ほど申し上げたような四つくらいにしておく、しかしながら地方の自治の趣旨に沿いまして、その地方々々で必要な部局があるならば、条例でそれが置けるような方向に進んで行きたい、こう考えておりまして、御心配の点は私はなかろうかと思つております。
  27. 野村專太郎

    野村委員 ただいま大臣の御答弁で大体了承はできるのですが、この点は都道府県のそれぞれの実情に沿うように行かねばならぬと私は考えております。  それから議員の定数に対しては合理的な標準をきめる、これもなるべく地方自治体財政とかいろいろな点から、少数で能率的に議会を運営することが望ましいと思うのですが、この標準はいかなるものをお考えになつておりますか、この点を伺いたい。
  28. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。府県の議員数は御承知の通りに終戦前は最低が三十人ということになつておりました。ところが終戦後この最低を四十人にして、それから人口の増加するに従つて幾らかずつ議員の数をふやして行く、こういうことになつておるのでございますが、しかし御承知の通りの日本の国力でございますので、ぐんぐん減らして行くというのも、またいろいろ影響もありましようから、私は終戦前の最低数ぐらいを標準にして、それから人口の増減によつて、三十人以下にすることはないでしようけれども、増加するに応じて幾ら幾らにして行くということになれば、議員が幾らか少くて済むのじやないか、また戦前それでやつて行けたのだから、この財政窮迫の場合に、そうたくさんの議員を置くということも、地方財政負担の点から行きましてもつらいことだ、こう考えて大体戦前の標準を標準として、そのくらいの程度に落して行つたらどうか、こう考えております。
  29. 野村專太郎

    野村委員 実際問題としては各都道府県によつても、法定の定数より大体自粛して、その内輪でやつている実例も相当多いようですが、しかし何といつても日本の地方自治法なり民主政治の根幹から行きますると、やはり住民の意思というものが、十分反映されなければならぬ、こういう意味地方財政等の点から考えて、これら議員の定足数などに関与し、また必要以上に圧縮することはよろしくない。こういう点も考えながらやるべきである、かように考えております。  それから先般新聞の伝うるところによりますると、この東京の特別区のいわゆる民選区長、これを官選で行こう、知事の任命で行こうという報道を新聞で見たわけですが、これも先般神戸委員長の報告によつても、東京都の二十三区は、かつての歴史とかいろいろな現実の点から、この点にはいわゆる触れておらぬわけですが、自治庁としてはこの二十三区の区長に対して、どういうお考えを持つておりますか、この点をひとつ伺いたい。
  30. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。ただいま公選になつております区長を、都知事の任命にしたらどうかということは、一応われわれの考えの中に往来しておる思想でございます。これは十分検討してみたいと思つておりますが、まだ成案は得ておりません。
  31. 野村專太郎

    野村委員 この問題は憲法なり自治法との関係もあり、あるいは知事を官選にしようということも、関係を持つて来ると思いまするが、何にしましても東京都の実例から見ますると、非常に事務も繁忙でありまするし、また一般の都民、区民もこれになれておるのです。これがややともしますると、従来の官僚政治に逆行せんとするけはいもないでもない。こういう点から考えまして、この問題に対しては、いわゆる知事の官選という問題とにらみ合せて、慎重にやらなければならないと私は考えておるわけです。そこで近くこれも提案を見ると思いますが、地方制度全般にわたりまする調査会というものができるようですが、これは特殊の問題もあり、地方制度全般にわたつては相当大きな問題もあろうと思います。そういう点から特別区の区長の問題のごときも、こういう調査会でその議題一つとして、十分検討すべきである、こう考えておりまするが、これに対しましてのお考えはいかがなものでございますか。また従来東京の都と区の問題に対しましては、現実の問題として紛争が連続いたして、従来においても中島委員長ほか各党から裁定委員が出て、いろいろその間に奔走したわけですが、十分その成果が上つておらない。そこに先般神戸委員長の勧告によつて、一応今度提案を見んとする特別区の問題も、大体その線ではないかと思いまするが、そういう点からこの委員会においては、二十三区側の現実と歴史、特殊事情を考慮して、この方面からの代表者も委員として私は入れるべきだ、そうして納得をしてやらせるべきだ、こう考えておりまするが、大臣でも次長さんでもどちらでもけつこうですが、その点もひとつ要望と同時に御見解を承りたいと思います。
  32. 岡野清豪

    岡野国務大臣 区長任命制もさることながら、御承知の通りに区というものの存在と、その都というものとの関係、これに対してはすでに皆様方もよく御存じ通りに、いろいろ紛糾した問題もございますので、そういうものもあわせて、御趣旨を尊重して、慎重にこれを検討した上で、皆様方にお諮りしたいと思います。
  33. 野村專太郎

    野村委員 もう一つは、この特別区に対しまして、この際従来の紛争を解決することにもなりましようが、事業を明確に法定をして、特別区の事業、それから都でやる事業というものを明確にすることは、私は適当だと思いますが、問題は法定をする内容にあろうと思います。これは東京都側が要望しておる考え方に対して、二十三区は市制に準るずという建前から、根本的に反対の立場に立つておるわけであります。そこでこれは次長さんからでもけつこうですが、法定はどういう事柄を法定しようというお考えをお持ちになつておりますか。概略でけつこうですから、このことを伺つておきたいと思います。
  34. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 都と特別区との間の事務配分の調整でありますが、これにつきましては、先般地方行政調査委員会議の勧告があつたわけでございますが、あの勧告の線にのつとりまして、都区間の事務の再配分をいたしたいということで、目下案を練つておる次第でございます。
  35. 野村專太郎

    野村委員 そうしますと、大体先般行われました神戸委員長の方向だと了承してよろしいでしようか。
  36. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 大体あの線を基礎にいたしまして、さらに住民に直結をするように、主として特別区内の区域の行政につきましては、できるだけ特別区内あるいは特別区長に委任をするようにいたしたいと考えております。
  37. 野村專太郎

    野村委員 先般第二次勧告として受けておられます神戸案の特別区に関する構想は、特別区側から見ますると、相当隔たりがあるのであります。また現実から見ても、シヤウプ勧告、また国の政治の第一線である市町村、特に特別区は市制に準ずるという自治法も施行いたしておりますので、できる限り住民に直結する自治に対しては、これは特別区にやらした方が現実的ではあるし便利であると考える。たとえば勧告からはずれておりまする保健所、または福祉事務所とか、道路に関する問題とか、こういうものは特別区の方でやらせた方が事務、事業の能率も上ろうと考えております。今次長さんのお話によると、先般勧告をされた範囲内だということになると、せつかく神戸委員長も二十三区はいわゆる自治区であるということを肯定しておるのですから、その上に立つて自治区ということで行くならば、民選区長のもと、住民に直結する都民生活のそれぞれは、なるべく二十三区側にやらせるということを、内容において法定することが一番現実的である。このことを要望しておきます。
  38. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 今お話の出ました保健所でありますとか、あるいは社会福祉事務所というものを、特別区に委譲するかどうかということは、確かに御指摘のごとく、研究の重要な問題になる点であろうと思います。今後法案を準備するにあたりまして慎重に検討を加えたいと思います。
  39. 立花敏男

    立花委員 岡野さんがせつかくおいでになつておりますので、地方行政並びに地方自治に関しまして、今問題になつております行政協定との関連において、少しお尋ねしておきたいと思います。行政協定が実施されましたあかつきにおきましては、最も直接関係があり、毎日々々の生活において、最も深い関心を持つているのは地方だと思う。そういう意味でお尋ねいたしたいのです。  行政協定には区域あるいは施設という言葉がありますが、その区域施設に関連いたしまして、それの隣接地あるいは近傍という言葉がありまして、それが非常に不明確な規定になつているのですが、この言葉を岡野さんはどういうふうにお考えになつておられますか。たとえば東京にいたしますと横田に区域がある。その場合に東京のどの辺まで隣接地あるいは近傍として理解され、あるいはそれに必要ないろいろな防空施設というようなものがやられるのか。しかもこれは単に土地だけの問題ではなしに上空にもまたがつておりますし、あるいは海にも入つておりますし、東京都、東京湾の上空ということも含まれて参りますので、これは非常に重大な問題です。しかも東京都だけではなしに、全国に無数にできますいわゆる区域に関連して起つて参りますので、これは地方にとりましては重大な問題だと思うのですが、この言葉をどういうふうに御理解になつておりますか、聞いておきたいと思います。
  40. 岡野清豪

    岡野国務大臣 区域は実際まだ確定しません。これから確定することになります。それから施設はむろんおわかりでしよう。そこで今お尋ねの、その区域がどの程度になつて、その近傍という言葉をどこまで推し進めるかということは、個々別々の区域が確定しまして、その確定した後において、その近傍という言葉をはつきりさせるということになつて、これから将来の問題でございます。むろん私もあなたと同じように、地方公共団体のために、相当深い関心を持つて見ておりますが、まだそれは作業班の仕事になつておりますので、ただいまはつきりしたことを申し上げる段階になつておりません。
  41. 立花敏男

    立花委員 将来のことだとおつしやられますが、これはもう将来ではありませんので、新聞の伝えるところによりますと、現在において必要なものはそのまま存続するといわれておりますから、おそらく空軍司令部のある横田あたりは、そのまま存続されるのではないかと思います。しかもすでに横田では、この間立川で空襲警報が発令されまして、それに関連して近接の地帯に協力が要請されているという事態が起つているわけです。その場合、どれほどを近接と見、どれほどを近傍と見るかということが、非常に重大な問題になつて来るわけです。基地あるいは区域がきまつてからやるとおつしやられますが、次長としては、どういうふうな原則をお持ちになつて、これをきめる作業班の協議にお臨みになるのが、これを承つておきませんと安心ができないわけであります。ある場合には東京都全体に及ぶかもしれない。この間は東京都の北西部の一部で終つたのでありますが、非常事態が大きくなつて参りますと、これは東京都全体に及ぶかもしれない。あるいはその程度によつて半分になるかもしれない。こういうように理解されまして、地方の住民にとつては非常に重大な問題であります。これは単にこの問題だけにとどまらず、あるいは防衛の費用の問題、あるいは防衛の義務の問題、防空施設の問題あるいは地方で、東京都あたりではすでに防衛局をつくるという話も出ておりますが、こういうような問題にも関連いたして参りまして非常に重大な問題なので、隣接地あるいは近傍という言葉をどういうふうに具体的に決定されようとされているのか。これはやはり自治庁としては、相当な確固たる方針があつてお臨みになる必要があると思うのですが、その点を明確にしていただきたい。
  42. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。それは国家的の見地から検討すべきものであつて自治庁がどうしようこうしようということじやなかろうと私は考えております。
  43. 立花敏男

    立花委員 もちろんあなたは国務大臣なんで、国家的な見地から、そういうことをお考えになるだろうと思うのです。だから国家的な見地から、国務大臣としてのあなたがどういう方針をお持ちなのか、これをお尋ねしているのです。
  44. 岡野清豪

    岡野国務大臣 それはおのずから所管の大臣がございますから、岡崎国務大臣でもお呼び出しになつてお聞き願いたい。
  45. 立花敏男

    立花委員 これは少し御答弁がおかしいのじやないかと思います。そういう自治体に重大な関係のある問題につきましては、その主管であるあなたが、やはり適当な意見をお持ちになり、適当な発言を閣議でおやりになつて、そうしてその総合的な見地から岡崎国務大臣が折衝に当られるというのが私本筋じやないかと思う。こういう自治体の重大な問題に関しまして、それは岡崎さんにまかしてあるので私は知らないというのでは、あなたは自治体の利益を所管する責任者とは私言えないと思う。そうなりますと、自治体は、せつかく自治庁があり所管大臣がおりながら、自治体の重大問題については、何ら行政協定の上に反映することができないということになりまして、まつたくこれは不都合きわまることだと思う。現実地方自治体におきまして行政協定締結に関してのいろいろな陳情なり、意見なり、請願が参つているはずなんで、それをやはりあなたが適当に関係大臣にお取次になり、あるいは向うとの行政協定に反映させるように努力するということが、あなたの責務じやないかと思うのですが、今のお言葉では、そんなことはおれは知らないのだという言葉なんで、非常に無責任きわまる態度だと思うのですが、もう一度ひとつ聞かしていただきたいと思います。
  46. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 行政協定の具体的な細目につきましては、ただいま予備作業班でそれぞれ関係の担当者が出て相談をしていると思いますが、地方自治庁としては、地方自治団体と国との関係、その連絡ということをやる面があるわけでありまして、そういう意味で、それぞれの関係の方面には、地方側の希望というものは申し述べておりまするが、その決定につきましては、ただいま大臣が申し上げましたように、最後的には国家的な見地からきまつて来るわけであります。現在のところまだその最後的段階につきましては決定せられておりませんので、ここで御指摘になりましたような問題についてはああするこうすると、こういうようなことはちよつと申し上げるわけに行かぬのであります。
  47. 立花敏男

    立花委員 そういたしますと、施設区域がありまして、しかもそれの隣接地あるいは近傍という言葉は、政府としてはどういうふうに理解するか、どういうふうにその線を引くかということについては、何ら政府の方で考えがない。従つて一つ基地がありましたならば、その隣接地がどこまで広がるかということは、これは未定であるということになるという御返事だと思いますが、そういたしますと日本中どこまでこの隣接地あるいは近傍が広がるかわかりませんので、隣の村に基地ができますと、あるいはある町の郊外に基地ができますと、その町あるいは村全体が、非常に不安な状態に置かれざるを得ないと思うのですが、こういうことでは地方の自治あるいは地方の利益が、完全に擁護されるとは思いませんので、ぜひそういう態度を一擲くださるようにお願いしたいと思うのですが、最近これについて明確な自治庁としての御意見をお出しになる考えがないのかどうか。
  48. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 もちろん軍の駐屯に伴つて必要最小限度のことは、これはやむを得ないわけでありますが、それがその限度を越えて大きくなるということにつきましては、やはり地方自治体といたしましても自己の行政権の問題と関連がございますので、重大な関心を持つていることは事実であります。ですからそういうような地方側の要望につきましては、できるだけ実際の問題において円滑に調整せられるように努力しつつあるわけであります。
  49. 立花敏男

    立花委員 そういたしますと、限度を越えてはいけないが、必要な限度であれば、この近傍隣接というものはいくら広がつてもやむを得ない、これは今からあらかじめきめて置くことができないので、必要な限度であればいくら広がつてもやむを得ないというようにお考えなのか。
  50. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 この点は先ほど大臣も申しましたように、その区域というものが具体的にどこに置かれて、その区域における実際の軍の活動が、どういうものであるかということと、一々つながりがあるわけでありますから、抽象的にここでああする、こうするということは申し上げられません。
  51. 立花敏男

    立花委員 そういたしますと、区域によつて隣接地あるいは近傍の範囲も異なる、あるいはまた情勢によつて、言いかえれば必要によつて近傍隣接という言葉の範囲も異なるというふうに理解していいのですか。
  52. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 私が前二回にわたつて申し上げた以上のことは、何もないと思います。
  53. 立花敏男

    立花委員 それだとまつたくどこまでこれが広がるかわかりませんので、日本全国が非常に不安になるだろうということを言つておきます。  それからそれと関連いたしまして、東京都では防衛局をつくるという話が出ているのでございますが、すでにこの間立川に空襲警報が出ました場合に、これはあとで友軍機の誤認による誤報であつたということが新聞に出ておりましたが、事実出たときは実際の空襲警報が出たわけなんです。この際に付近の自治体に対しまして協力が要請されている。しかもこのときに自治体はどうしていいかわからないというような状態。住民は空襲警報におどかされまして、右往左往をする事態が出て来たわけなんですが、この基地の付近の防衛の問題につきまして、自治庁ではどういうふうにお考えになつているか。たとえば東京でやはり防衛局をつくるように自治庁の方で勧告あるいは奨励をされるのか。あるいは法案をおつくりになつて地方の施設あるいは区域あるいは基地に対する防衛の法制化をなさるおつもりなのか。これをひとつ聞いておきたい。
  54. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 自治庁の所管として防衛に関する事項はございませんので、私からは申し上げられません。
  55. 立花敏男

    立花委員 さいぜん地方の部局の設置の問題がありましたので、やはり地方に法制上こういう防衛に関する部局を置くような措置をとるように、自治庁法案なりあるいは指示なりをお出しになる用意があるのかということを聞いているわけです。
  56. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 目下のところさようなことを考えておりません。
  57. 立花敏男

    立花委員 それから地方の住民に関する問題ですが、アメリカ人を主とする一般外国人、これはもちろん日本の法律に照らして入国し、あるいは法律によつて居住するわけなんでしようが、これといわゆる軍人、軍属、その家族とどういうふうに区別ができるか、この点を聞いておきたいのです。
  58. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 ちよつと御質問の趣旨がわかりかねます。
  59. 立花敏男

    立花委員 私が申しますのは、一般白人がその自治体におりましても、これがいわゆる属人主義で、治外法権になつております軍人、軍属、その家族と区別がつかない。何をもつて自治体は白人の間の区別をし、日本の法律を適用するものと、あるいは治外法権になつているものとの見わけをして、適当に自治体内の治安を守り、自治体内の行政をやつて行くのかということを聞いておるわけです。
  60. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 その関係のことはいささか自治庁の所管と離れておる問題だと思いますので、別の方面からお聞き取り願いたいと思います。
  61. 立花敏男

    立花委員 自治体の中に居住し、自治体の中に生活するものの中に、そういう不明確な部分が起つて来る。しかも自治体としては、日本の法律によつて取締らなければならない白人もおる。最近のように外人による犯罪が多数出て参りますと、これは自治体にとつても重大な問題になつて来るだろうと思います。やはりそれを明確にすることは自治体の治安、行政の面で重大な問題なんで、これは自治庁にとつても決して関係のないことだとは言えないと思うのです。これと関連して聞いておきますが、行政協定によりますと、日本の法律の適用を受けるアメリカ人、これが予備役に編入されて予備役団体をつくつて、しかもそれが訓練までされるということになつておるのですが、自治体の中で、たとえば東京都の中に何十万人かの白人がおりまして、これが予備役に編入され、予備役の団体をつくつて訓練するということになつて参りますと大問題だと思うのです。これは行政協定の二十二条にはつきり出ておるのです。こういう問題は自治体としてどういうふうに処置したらいいのか、どういうふうな法律でこれを取締つたらいいのか。軍人、軍属、その家族以外のものは明らかに日本の法律の適用を受けなければならないわけですが、それが明白に予備隊を編成し、しかも訓練をやる。これは自治体の中でやるだろうと思うのでありますが、その場合にどういう措置をおとりになるのか。
  62. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 立花委員に申し上げますが、自治庁の所管に関する事項に直接触れます問題につきまして御質問願いたいと思います。
  63. 立花敏男

    立花委員 自治体の所管というものは、決して今やつておられるだけが所管ではございません。根本的に今言つたような新しい事態が起つて参ります場合に、自治体としてどういうようにお考えになつておるか。新しい立法的な措置もとらなければいかぬと書いてあるのですから、立法的な措置をとる場合、やはり自治庁としてもお考えがあるだろうと思うのです。そのためにこそ新しい事態が起つて来て、新しく自治体の所管になることが当然である事態も起つて来るということをお考えにならないで、従来のままでこういう重大な問題が処理されるとは思いませんので、そういう観点からお考え願いたいと思うのです。  では自治体関係ある問題を聞きたいと思いますが、地方の水道あるいはその他の公益事業を、駐屯軍が優先的に使うという規定があります。あるいは公共事業の労働者を、優先的に使用するという言葉がありますが、この優先的ということはどういうふうに理解したらいいのか。これは自治体に直接関係がありますので、御答弁願えると思うから聞いておきたいと思います。
  64. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 そういう地方団体の経営しておりまする公益企業と駐留軍との使用の調整の問題につきましては、目下政府部内において具体的な措置を研究中でございますので、その上におきまして御説明申し上げたいと思います。
  65. 立花敏男

    立花委員 政府部内において研究中であるというが、あなたたちはやはり政府部内の人なんで、しかもあなたたちに直接関係のある問題なので、あなたたちに意見がないとは私は言えないと思うのです。その政府部内における意見を聞かしていただきたいと言つているわけなんです。現在でも水道等につきましては、非常に大きな問題が起つておりまして、進駐軍のところには水が出ますが、一般民家には出ない部分があるという形が出ております。さらに行政協定がはつきりしまして、進駐軍の方に公益事業のものを優先的にまわし、公益事業に従事しております労務も優先的にそちらへまわすということになつて参りますと、非常に大きな不安を感ずるわけなんです。御承知のように、地方公共団体がやつております公益事業は、民生に直接関係のあるものが非常に多いので、それが駐屯軍に優先的にまわされ、あるいはその労務が優先的に進駐軍に確保されるということになつて参りますと、生活上の一大脅威だと思うのですが、政府部内の意見はどうなのか。岡野さんも政府部内のお一人でありますので、御意見を承りたい。
  66. 岡野清豪

    岡野国務大臣 目下研究中でございます。
  67. 立花敏男

    立花委員 目下研究中ではなおさら不安が増すばかりです。たとえば電気、これは一つの大きな公益事業だと思うのですが、電気などの集中が非常に多く行われまして、大口二千キロ以上ですか、大口使用に対しては無制限である。おそらくそれに集中される形が出て来るだろうと思うのですが、こういう場合に、やはり優先的という言葉を使われまして、現在でも電力不足で悩んでおります一般の家庭、あるいは一般の都市の商店、中小企業、これがますますこの条項により公益事業の一方的な独占によつて苦しめられると思うのです。この優先的という言葉をおとりになる意思がないかどうか聞いておきたいと思います。
  68. 岡野清豪

    岡野国務大臣 でき上つた協定を取消す意思は持つておりません。
  69. 立花敏男

    立花委員 それから接収の問題について聞いておきたいのですが、新聞の発表によりますと、たとい講和条約発効後においても必要なものは返さないという言葉があるのですが、これは事実かどうか。講和成立後の区域、あるいは施設の使用はどういう方法によつてきめられるのか、これを伺つておきたいと思います。
  70. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 具体的な接収をどうするかということにつきましては、これはそれぞれ所管がございまするので、その方面からお聞き取りを願いたいと思います。     〔委員長退席、野村委員長代理着席〕
  71. 立花敏男

    立花委員 自治体の財産に関するものが非常に多いわけです。新聞で見ますと、個人のものは多少返すが、しかし地方公共団体地方自治体の所管に属するものは、ほとんど返さないだろうということになつておりまして、自治体にとつては重大な問題です。たとえば私のいます神戸あたりでは、神戸の港の七割までが接収されておりまして、これが返るか返らないか、新しくどういう約束によつて、どういう条件によつて港が使用されるのか、これは重大な問題なのです。これはほかの所管の方に聞いてもらいたいとおつしやられますが、自治体の財産に関してはどういう手続をおとりになるおつもりなのか、これを聞いておきたいと思います。しかもそれとあわせまして、それの補償の問題ですが、条約によりますと、自治体の財産、たとえば港湾施設あるいは学校、あるいはその他の土地、こういうものがとられました場合に、これが使用中にいかなる損害を受けても、それは補償しないということがあるのですが、そうなりますと自治体は非常に困ると思うのです。その場合にどういう措置がとられるのか、この二つをお聞かせ願いたいと思います。
  72. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 具体的にどこに軍が駐屯するかということがきまらなければ、今の施設の返還の問題ということは決定しないであろうと思うのでありまして、その場合に個人有のものと公共施設、あるいは公有のものとをどういうふうに扱うかということは、それぞれの実際の問題として解決して行かなければならぬ問題だろうと思うのであります。これはいずれも目下具体的の問題として協議中でございまして、今ここで一般原則論として、抽象的にこうする、ああするということは申し上げられません。
  73. 立花敏男

    立花委員 将来きまつてからというのではなしに、これは条約も締結されているのだし、あるいは返還に関する規定もあるのだし、補償に関する規定もこの中にあるわけだし、新聞紙上ではすでに作業班で相当具体的な意見までも出ておるわけなんです。その際に政府のあなた方が、これは将来のことだからお話もできない。ただいま研究中だというのでは、まつたく国会がつんぼさじきにすわつておる。自治体の重大な問題が、政府部内の自治体の責任者であるあなたたちから何も聞かされないというのでは、おそらく地方の人たちが納得しないと思うのです。ひとつもつと誠意のある答弁を願いたい。あるいは御答弁が願えないのは、やはりさつき岡野国務大臣が、それは岡崎さんに聞いてくれと言われたように、岡崎氏一人に全部まかしてある。自治体の要望も、自治体実情も、自治体の陳情も、何ら実現しようと努力なさらないで岡崎さんにまかしてある、何も知らないんだ。尋ねますと目下研究中だ、こういうのでは、やはり仕事自体に責任を持つておやりになつているとは私ども受取れませんので、そういう態度をひとつ今後おとりにならないようにお願いしたいと思うのですが、そういうふうにやつていただけるかどうか、岡野さんにお聞きしたいのです。     〔「答弁の要なし」と呼ぶ者あり〕
  74. 野村專太郎

    野村委員長代理 立花委員にお願いしたいのですが、なお質疑通告が大分ございますので、あとで時間がありましたら質疑をお願いします。門司委員
  75. 門司亮

    門司委員 きわめて簡単に聞いておきたいと思います。今の立花君の質問にちよつと関連を持つておりますが、行政協定に基く駐留軍の使用いたします建物、それから同時に今警察予備隊が演習地ということで、相当広い土地の接収を行つております。この二つの接収に対しましては、日本の、ことに農村関係では非常に困つております。具体的に申し上げますと、満州の開拓民が帰つて来て、四年なり五年なりのうちに、どうにか自活のできるようになつた土地が、これがまた接収されようとしておるというようなことで、地方自治体では相当問題を起しているようなわけでありますが、これに対しまして自治庁として何か地方自治体に指示されたことがあるかどうか。
  76. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 行政協定の具体化の問題につきましては、いろいろ先ほど来御指摘のありましたように、またただいま門司さんの仰せになりましたような、いろいろ問題があるわけでありまして、そういう地方公共団体の問題に関連しております点につきましては、それぞれ政府の所管々々におきまして、その問題をただいま研究中であります。財政の問題でございますとか、そういつた問題になりますれば自治庁なり地方財政委員会で、それぞれどういうふうに措置するかということを考えておるわけであります。われわれといたしましてはできるだけ地方公共団体の立場というものを考えまして、国家的な要求はこれはやむを得ないわけでございますが、そういう国家的な要求との間の調整に努力いたしておる次第であります。
  77. 門司亮

    門司委員 もう少しつつ込んで聞きたいのですが、地方自治体の持つておる施設につきましては、自治体自身がそれぞれただいまお話のように、当局にいろいろ交渉しておると思いますが、先ほどから申し上げておりますような民間の農地その他の問題については、その地方の農民がただちにその所管の大臣とか、あるいは政府関係者に対して、直接に陳情その他を行うことは困難でありまして、この実態はおそらく都道府県にすべてこれが持ち込まれ、何らかの方法で知事あるいは市町村長のところに陳情その他の運動が行われているのが現実だと思います。従つて政府が何か指示を与えなければ地方の市町村長、都道府県知事としてもなかなか困難ではないかと考えます。そこで私の申し上げますのはそういう問題に対して、都道府県知事、並びに市町村長はできるだけこれをあつせんしてやれというような、親切な指示がされているかどうかということであります。この点について何か自治庁として御指示されたことがあるかどうか。
  78. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 特に今門司委員の仰せになりましたような意味の指示はいたしておりません。ただ地方側の要望等は都道府県知事からいろいろ聴取いたしております。そういうことはそれぞれ関係の向に連絡いたしておる次第であります。
  79. 門司亮

    門司委員 そうなりますと地方の住民は非常に心細いわけであります。これは地方の実際の死活上の問題でありまして、これからさき自分たちの生活をどうするかということが、相当広い範囲に行われるのであります。それが知事に陳情し市町村長にお願いし、知事なり市町村長が、さらにそれを政府の方に持つて来るということになる以外に、現在のところ方法がないと思うのですが、私のお尋ねしたいと思いますことは、その間においてできるだけこれらの問題を解決する一つの、何と言いますか、機関とまでは言わなくても、相手方と十分交渉する団体でありますか。それは一体どこでやればいいかということであります。直接被害を受けております農民その他が進駐軍のところへ行つて陳情したいと思つても、これは交渉の相手にならないと思います。おそらく多少の交渉の相手になる都道府県なり市町村でなければ、問題の解決はなかなかつかぬと思いますが、こういう点について都道府県知事並びに市町村長がそういう扱いをすることについては、さしつかえあるかないかということと同時に、そういうことを当局はどういうふうに考えておられるか。
  80. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 この問題に関しましては、やはり政府としては外務省が中心であるわけでありまして、外務省の国際協力局において、いろいろな国内の意向をとりまとめてお話しておるわけであります。そういう筋には、地方からわれわれの方に連絡がありましたことにつきましては、できるだけ連絡をいたしております。なお立法上の問題につきましては、法制意見局が中心になりまして、これもまた各省に連絡をいたしまして、それぞれ目下研究中でございます。
  81. 門司亮

    門司委員 もう一つ聞いておきたいのでありますが、そういたしますと、その再接収の問題につきましては、都道府県知事なり市町村長、要するに地方公共団体の長は何も権限と言いまするか、そういつた責任はないというように解釈してよろしゆうございますか。
  82. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 これは現在そういうふうなことがはつきりと制度上きまつておるわけでございませんが、そういうような知事なり市町村長としては、それぞれ部内の住民の意向をあらゆる機会に聴取いたしておるわけでありまして、そういうようなものがわれわれの方に連絡がありました場合におきましては、今申し上げましたように、それぞれの方面に連絡をいたしております。それ以上に特に具体的の方策は目下のところとることは困難でございます。
  83. 門司亮

    門司委員 その点でございますが、私の聞いているのはこういうことです。指示を与えていただいたか、あるいは何らかの通達があつたかということは、やはり政府の一貫した方針というものがなければ、地方はなかなかまちまちで解決しないと思う。力の非常に弱い農村のようなところでは、今度かなり無理なものが出て来ると思います。そこでやはり政府としては一貫した一つの方針のもとに、再接収あるいは新たに接収される所に対してはこういう処置をとるのだというようなことが明確になつておりませんと、接収を受ける被害者の方から申し上げますると、非常に迷惑だと思いますし、このことがやはり地方公共団体のかなり大きなトラブルを起す一つの原因になつておると思うのです。これがよくても悪くても、御存じのように現在県庁なりあるいは市役所なりに、農民その他は陳情に参つております。そうして地方公共団体も陳情があれば動かざるを得ないということになつて来る。こういうことになつて参りますと、やはり国においても何らかの方針を定めて、そうしてこういう問題については、こういうふうに処置をするのだということを、被害者が直接知り得るような十分な処置を講じてもらいたいと思いますが、そういう処置を講じられる御意思があるかどうか承ります。
  84. 岡野清豪

    岡野国務大臣 ほかにもありましようけれども、主として今非常に問題になつておりますのは、農地をつぶしまして演習地にするとかいうことで農民が非常に騒ぎ、同時に心配しておる。この点は閣議でも非常に問題になりまして、そういうことをしてはならぬ、せつかく引揚げて、やつと食糧の増産ができかかつたころにそれをつぶしてしまうことは、食糧増産の面から行きましてもおもしろくないし、同時に、せつかく営々として自分でつくり上げたところの畑とか、たんぼとかいうものをつぶされるということは、個人経済としても立つて行かないというようなことで、これはわれわれ政府としても非常に重大な関心を持ちまして、今後は、農地に関する限りは農林大臣の十分なる了解許可を得なければこれを接収しない。こういうようなことになりまして、農林大臣が非常な力をこめて、その点に監視の目を張つておりますから、その点は御安心くださつてけつこうだと思うのです。
  85. 門司亮

    門司委員 もう一つ聞いておきます。それで一応のお骨折りの点はわかりますが、これをもう少し具体的に言いますと、実は神奈川県には特にそういう問題が多いのでありまして、私どもとしても県庁にも一応申入れをいたしたのですが、農地は大体つぶさない方針をとつてもらいたい。もし万やむを得ないで必要があるというのなら、あるいは荒蕪地であるとか原野であるとかいうようなものにかえてもらいたい。原則といたしましては、そういうものをとられるということも、採草地その他の関係から非常に農民は困りますので、われわれとしてはこれを接収されることは拒否したいのでありますが、万やむを得ない場合においては、そういう処置をとつてもらいたいということを考えておるのであります。そこでもう一言その次をお聞かせ願いたいと思いますが、それから先の政府の方針はどういう御方針になつておりますか。
  86. 岡野清豪

    岡野国務大臣 実は私はその方針をどういうふうにして行くかは農林大臣にまかせてありますが、ただいま門司さんのおつしやつたような要望またはその趣旨というものは十分話して徹底しておるわけでございまして、そのために農地をつぶすというようなことに対しては、農林大臣が十分いろいろのことを考慮して、そうして許可をしなければ農地をつぶさぬという方針で行こう、こういうふうにきまつておりますから、あなたのおつしやつたような御趣旨に沿う一つ手続をこしらえまして、農林大臣にまかせまして、農林大臣がそれを監視しておる、こういうことになつております。
  87. 門司亮

    門司委員 その問題はそれくらいにいたしまして、あとは行政整理の問題でありますが、先ほどから聞いておりますと、行政整理の問題は、何だか人員を減らすということが、大体主のように聞えるのであります。同時にまた地方財政委員会で計画をいたしました地方予算内容を見てみましても、たとえば約五分くらいの人間を減員するということが考えられるのであります。あるいは教職員の問題にいたしましてもそういうことが考えられる。そこで私は行政整理に対する政府の方針をはつきり聞いておきたいと思いますが、今度の行政機構の改革の基本の方針を、政府は一体どこに置いているかということであります。私どもから考えてみますると、しばしば申し上げまするように、地方公共団体地方の住民に対する一つのサービス・センターであつて、決して権力庁ではございません。機構を改革することによつて、住民が不便を来すようなことがあつてはならないと思う。従いまして、機構を改革いたしまする場合には、まず、どういうふうな機構にすれば、住民に一番便利であるかということを先に考えるべきで、人員の整理ということは、それから出て来る必然的な結果にまたなければならぬと思う。ところが今度の行政機構改革の計画の内容を拝聴いたしておりますると、やはり財政が中心であり、そうして人を減らすことが中心になつて考えられて機構がいじられることになつております。これでは、機構をいじつてみたところで、その機構のいじり方というものは、権力官庁の機構のいじり方であつて地方公共団体の機構の改革にならないと思う。機構の改革をしたことのために住民が不便になつては、役所の本質上おもしろくない現象が必ず出て来ると思うのですが、この点に対する政府の今度の行政機構の改革の根本になつておりまする趣旨の御説明を、この機会にお願いしておきたいと思います。
  88. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。私は、行政簡素化本部部長としましては、たびたびこの席でもこれを申し上げたと存じますが、地方行政簡素化をいたします趣旨といたしましては、もともと地方事務があまりにも複雑ではないかということが一つの点であります。それから次に、この国の国力と申しますか、地方財政が困つておることは御承知の通りでありますが、そういう点におきましても何か倹約するところはないであろうかという点、こういう二つの点からいわゆる事務の整理をして、その事務の整理によつて幾分でも仕事が簡素にやつて行けるということ、と同時に、その副産物としまして財政が幾らか楽になるというようなこと、こういうことを目標にしてわれわれは簡素化をやつておるのであります。先般出ました地方財政委員会の来年度の財政計画でありますが、あれに四十七億金が減るとか何とかいうことが出ておりますが、これはただ結論を端的に数字に現わしただけで、われわれのやつておりますことはただいまも申し上げましたけれども事務整理をし、同時にその事務整理は、お説の通りに、事務整理をしたために地方の住民に迷惑をかけるようなことがあつてはならぬ。むしろ今まで地方事務が煩雑にたえなかつたのを、もう少しく簡単にしてやつたらいいのではないか、こういう考え方から事務の整理をしておるのであります。その事務の整理をして行つた結果としまして、自然人員も減るだろうと思います。そこで地方財政委員会は、そういうふうな簡素化の問題ということは抜きにいたしまして、一つには、財政にいかに響くかということを見て結論が出ているのでありますから、あそこにああいう数字が出たのでありますが、われわれはあの数字を出さんがために事務整理、簡素化をやつておるのではなく、事務整理はただいまの御説の通りに、住民にあまり迷惑をかけないように地方行政をして行き、同時にもう少し簡素にすれば財政にも影響するだろう、こういうことがねらいでやつておるわけであります。人員整理のために、事務簡素化をやつているというふうにはわれわれは考えておりません。
  89. 門司亮

    門司委員 もう一つ聞いておきたいと思いますことは、例の事務の簡素化の問題でありますが、今非常に事務が複雑であつて住民が迷惑しておる、こういうお話でありますが、事務が複雑であつて住民が迷惑しておるということの反面には、役人といいまするか、結局その責任回避の理念が非常に大きく災いしておりはしないかということが考えられるのであります。従いまして、行政機構の改革をしようとするならば、まず役人の持つておりまする責任制というものをはつきり確立して行つて、この事務が整理されるならば、住民はそう迷惑しないと思う。それをあつちの会議、こつちの会議ということで、どこが責任の所在かわからないことになつておる。一つの許可、認可をもらうにも、住民は幾つかの窓口に行かなければ許可、認可がもらえないという仕組みになつておる。問題は、その責任がどこに所在しておるのか明確にならぬようなこういう複雑な事務機構の改革が行われるのでなければ、現状のままでどんなに簡素化を行いましても、それはまた元にもどるのであつて従つて行政の簡素化については、公務員の、直接関係のある責任者——いわゆる末端の公務員の責任者ではありませんが、十分行政上の責任を持つておりまする人のその責任において、事務が処理されるという行政の簡素化でなければ、何回やつてもこれは同じものだと思います。そういう面についてどういうお考えをお持ちになつているか。これは具体的に申し上げますと、たとえば一つの願書が出て参りますと、その願書についての裁決、決済というものは、住民はあとでその窓口だけ行けば、あとは役所の責任において、大体これの解決がつけていただけるというような方法がとられるならば、私は官吏の責任が十分明確になつて来る。これが現在のように、これもさつき申しましたように、一つの窓口に行つてもこれが片づかない。その次の別の窓口に行つて同じような手続をしなければならぬというようなことがあつてはならぬと思いますが、その面に対する行政簡素化の御意見をもう一応聞かしていただきたい。
  90. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。仰せしごくごもつともで、われわれはその点もねらつております。今までのように、たくさんの判がなければ一つの許可認可もできないということではいかぬ。そうしてたくさんの判が押してあつたら、たれが責任をとるかわからないといつたようなことは、これはやはり責任を明らかにする意味において、なるべく判を押す数を少くして行きたい、こういうことにいたしたいと思います。それがだんだん進んで行きました極端な例が、今まで許可をしておかなければならぬものを届出で済ませばいいじやないかというところまで、実は進んで行つております。ただいま御指摘をこうむりますまでもなく、そういうような点を簡素にして、責任を明らかにしてやつて行きたいと考えております。
  91. 門司亮

    門司委員 もう一度。大臣の答弁はせつかくそうでありますが、具体的なものについて——私はきのうも鈴木さんと電話でお話をして、一応意見は聞いたのでありますが、たとえば学校給食の問題が文部省でああいう形で非常に迷惑しておりますが、この点については、いずれ財政問題とからんで質問いたしたいと思いますので、きようはそれを避けておきますが、この学校給食に対して、今かなり多くの、衞生に関係をいたしておりまする調理士といいますか、何か料理の方を担当いたしております者が雇われておるわけであります。これは病院にもおりまするし、各寮にもおります。ことに集団の生活をしておりますところには、やはり集団的に中毒その他が起ると困る関係から、特に小学校などにはおのおのそうした調理士のような、責任のある人がおつてこれを処理しておるのでありますが、これを大体廃止するというような意向が、今度のこの行政機構の改革の中に、自治庁の案として現れて、しかもこれは新聞に掲載された事実があるのでありますが、こういうことを考えてみますと、大臣の今の御答弁と少し食い違つておるようでありまして、何か経費を減らすために、特に学校給食などにはなければならない栄養士というものを廃止しようということになつて参りますと、私はかなり大きな社会的な問題を起すと考えます。そういうことが新聞に発表されておりますけれども、これは全然煙がなかつたものとは思えません。そういう事実があるのか、あるいはそういう御意思があるのかということをお聞きします。
  92. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 門司さんの仰せになりましたのは、今の栄養士の問題だと思いますが、これは政府部内で、地方行政簡素化本部というものを設けまして研究いたしました際におきましては、栄養士という職責自体は必要であろうけれども、その栄養士に関する各種の衞生取締りというようなものはなくてもいいのではないか、こういうような意味の意見があつたことは事実であります。しかし事柄は厚生省の所管せられております問題でありますので、厚生省において、今後これをどういうふうにするかということは、最終的に意見をきめられることになるのではないか、かように考えております。
  93. 門司亮

    門司委員 それで聞いておきたいと思いますことは、直接自治庁関係になつて参りますか、問題はやはり学校給食の問題でありますが、学校給食に対しましては、ぜひ栄養士というようなものがおつて、相当これを指導しないと、児童の集団中毒ということがあつてはならないと思いますので、これは私どもぜひ置かなければならないと思います。そういたしますと、それに対しては、やはり何らかの資格を与えておかないと、いかがわしい人というと、多少語弊がありますが、十分それに堪能でない人がそういうことに雇われて来ることになつて参りますと、将来問題を起す原因をこしらえると思います。従つて現在の制度をそのまま残して、そうして十分の資格とそれから十分の経験を持つておる人を、それらのものに当てるというようなことについて、学校給食を中心とした自治庁考え方——さつきの鈴木さんのお話のようにそういうややこしい制度を廃したらどうかということになつて参りますが、制度を廃してしまうことになりますと、結局は栄養士の仕事などは、だれでもできるということになりますが、われわれはそれでは何にもならないと思う。栄養士は衞生上のきわめて重要な問題を担当いたしておりますので、何らかの資格を与えなければならない。私どももPTAその他の給食関係に、地元としては多少責任を持つておりますが、これは全然しろうとに、何千人という子供の給食をこのまままかせ放しにしておくわけには行かない。やはりこれは相当資格があつて、十分やれる人がめんどうを見てくれるということでなければ、問題を起してからでは間に合いません、われわれとしては非常に心もとない感じがいたします。自治庁としての栄養士法の廃止に対する御意見を、この機会にお聞かせ願えればけつこうだと思います。
  94. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 栄養士法を廃止するということを自治庁がきめるということは、もちろん自治庁の権限を越えることでありまして、そのようなことはむろんわれわれとして申しておるわけではございませんが、ただ先ほど申し上げましたように地方行政の簡素化をはかりまする場合に、各種の事務の中で比較的重要度が少いものを逐次考えて行つて、こういう事務のようなものはあるいは整理する、あるいは簡素化できるのではないか、こういう一つの案を地方行政簡素化本部においては考えたことがあるのでありますけれども、しかしその法律の具体的な事項は、先ほど申し上げましたように厚生省の所管でありまして、これは厚生省においてこの問題をどういうふうに解決するか、おきめになることであると私ども考えておるのであります。ただ制度のいかんにかかわらず、学校給食をやるという場合におきまして、栄養に関する知識経験の豊富な者が、それに携わるということはもちろん必要であると思いますが、ただそういう者を、一定の資格を持ち、国家的な試験に合格した者だけに限定するかどうかという点につきましては、考慮の余地があるというのが、私ども地方行政簡素化本部において考えておりました際の意見であります。
  95. 門司亮

    門司委員 その問題はそれで片づけて、最後にもう一つだけ聞いておきたいことは、地方財政の確立の問題について、政府は税制の改革を何かお考えなつたことがあるかどうかということであります。これは今の地方に与えられております財源だけでは、それからまた政府考えようといたしております、今度の国会に出されるであろう税制改革の範囲内では、なかなか地方財政のほんとうの確立というものはできないと思います。従つて国と地方とを通ずる税制改革に対して、政府は何らかお考えなつたことがあるかどうか。
  96. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。今回提出いたします地方税法の改正は、われわれが理想といたしますものの一部分と申しますか、ほとんど一部分にも入らぬ程度のごくわずかなものであります。われわれといたしましては、地方税法が通り、また平衡交付金が通つて約一年八箇月になりますが、その間にいろいろ体験いたしました点、また地方財政が窮乏している点から勘案いたしまして、また国家の税法とにらみ合せまして、相当大幅な税法の改正考えておるわけであります。相当の程度まで成案も得たのでございますが、まだ皆様方に御審議を願う程度まで立ち至つておりませんので、いずれそのうちにそういうふうなことになるだろうと考えております。
  97. 門司亮

    門司委員 もしお考えがありますならば、アウトラインだけでも、この機会に御発表願えればけつこうだと思います。その点まで至つていないかどうか。
  98. 岡野清豪

    岡野国務大臣 ただいまかく考えますということを申上げてもいいのでございますが、この前つくりました一つの何も関係方面の制約がございまして、そしてその制約の範囲内においてやろうと思つたのでございますが、しかしながら実際はそれも私たちのほんとうの理想じやなかつたのでございます。でございますから、私どもはいよいよ独立でもいたしますならば、今後もつと理想的なものにかえたいと思いますので、今までの分をむろん基礎にはいたしまするが、まつたく立て直して行きたいと考えております。
  99. 大泉寛三

    ○大泉委員 時間もあまりありませんから、きわめて簡単に伺います。今度自治庁行政簡素化を中心として、こういう改正案を出されたのはまことにけつこうだと思いますが、政府改正案を提出するに至つた根拠をどういうところに求められているか、国会の意見を尊重してこういう法案を提出したのか、あるいはまた運動の力によつて改正しなければならぬと決心されたのか、あるいは政府自体がみずから行政の上からこうしなければならぬと考えられて改正案を出されるのか、その基はどこにあるのか聞いておきたいと思います。
  100. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。これは中央、地方を通じまして行政が非常に複雑であるということ、また中央の行政機構とか事務とかの面を見ますと、今まで惰性で、またあまり陣容もかわらずに、戦争中から引続いて来ておるところの行政機構によつてつている。まつたく国家の性格がかわつてしまつたものでございますから、中央といたしましてもこれをかえなければならぬというような立場であります。それから地方の方におきますと、地方の自治は確立したわけではございますが、しかしながら今まで自治法とか、公務員法とか、税法とかいうものがばらばらにできて来たものでございますから——その間に連絡もむろんつけてやつたわけでございますけれども、時期を異にして別々にできたものでございますから、地方自治制度といたしましても、非常に調子のとれた、円満に連絡のとれた制度ではなかつた。われわれ政府部内において地方の行政を見ておりまして、何とか事務を少し簡素化しなければならないという立場から、実は立案したものでございます。あちらから運動があり、こちらから運動があり、そのためにした——むろんいろいろ地方実情を言つて来てくださる陳情もございますから、それは参考にはいたしますが、これはただ参考にいたすだけでありまして、自治岸そのものといたしましては、地方の制度をもう少し国力に相応したものにし、同時に住民にあまり迷惑をかけないで簡素なものにしておく、こういう立場を基礎にいたしまして編み出したのでございます。
  101. 大泉寛三

    ○大泉委員 政府と国民のつながりは、やはり国会を通じてありますけれども国会みずからの、議員提出の法案も出されるからよいようなものですけれども、どうも地方の行政機関は行政の立場ばかり見てかかる。市とか町村とかいう住民の立場は、むろんそれは財政上からも、あるいは自治の強化の上からも考えては案出されましようが、とかく行政の立場から運動をする、こういう傾向はあまりよろしくないのではないか。たとえば府県知事は府県知事の立場から、府県行政をやつておる。市町村は市町村の立場からやつておる。住民の意思はどうかというと、もう満足しておる方が大部分なんです。満足しておるものは黙つてつて、うるさいやつは少数なんです。その少数の意見にいつでも動かされる傾向にある。だから政府法律改正に対しては、ほんとうに慎重に考えてもらわなければならぬと思うのであります。  それから自治体の改善とか、自治の強化とか、自治財政の健全化とか、いろいろいわれておりますが、自治といつて府県もあれば市町村もあり、非常に大小ひつくるめてのことなんで、一体どこの自治体を目標として強化改善して行こうとするのか、つまり府県であるか、市であるか、町村であるか、あるいはまた適正な規模の町村であるか、政府の意図を聞いてみたいと思います。
  102. 岡野清豪

    岡野国務大臣 われわれはシヤウプ勧告のラインに沿うて進んで行きたいと思つております。しかしながらそれがどこまでどうなつて行くか、神戸委員会の報告などもありますし、いろいろ考えてみなければならないのですが、現段階といたしましては、大体市町村を主体といたしまして、地方自治を確立して行きたい。それから地方の市町村だけにまかせてはならない、しかし国がやるほどのものでもないような事務府県にまかせて行こう。それからその上に立つて国が政治をして行こう、こういう根本方針からいろいろ考えてはおりますが、しかし、何を申しましてもただいまのところは過渡期でございますから、だんだんにそういう方向に進んで行くより手はないと思います。まあ、明治初年の日本の自治が完成をしますのに二十年くらいかかつておるように思いますから、あまり急がずに、りつぱなものをつくり上げたいと考えております。
  103. 大泉寛三

    ○大泉委員 私がお尋ねしておるのは、府県に目標を置くのか、あるいは市町村に置いておるのか、市町村の中でも市は市、あるいは農村は農村というふうに置いておるのかということを聞いておるのであります。なるほど全体を目標としておると言われればそれまでですが、府県の住民も市町村の住民も住民ではあるけれども、全体としてはやはり同じ一つの立場のものである。ただ政府考えておるところはどこに自治体の重点を置くかということをもう一ぺん重ねて聞いておきたいと思います。
  104. 岡野清豪

    岡野国務大臣 われわれは市町村を中心に考えております。
  105. 大泉寛三

    ○大泉委員 行政簡素化に対して意見をさしはさんで恐縮でありますけれども、すべての行政簡素化はいわゆる人員の整理、ほんとうの行政整理をしなければだめである。一人の人が職員として存在することは、住民の十人なり十五人なりの時間をつぶされることなんだ。物を食うことや、物を消費する、俸給や何かは至つて少いけれども、その住民のひまをかかせる、一日休ませるということが一番大きな損失なんだ。だからどうしてもこれは行政の簡素化をはかるならば、まず行政整理を先行しなければならぬということを私は思うのであります。そこで行政簡素化について、政府はこの自治体の規模によつて、定員法でも制定する意思があるかどうか、これをまず聞きたい。
  106. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答えいたします。私どもは住民の安寧福祉または幸福を祈つて、サービス行政を勤めていただく地方公共団体に自主権を与えて、そしてやつてつてもらいたいということが根本精神でございます。それからお説のように人が多ければ、そのために税金もよけい納めなければならないし、またその人が仕事を十分やつてくれているかといえば、あるいはしていないかもしれないし、もしくはかえつて先ほど門司委員のおつしやつたように、仕事が非常に複雑になつておるから、これはどうしても置かなければならぬというような人もおりましようけれども、何と申しましてもやはり財政とにらみ合せなければならぬし、それからもう一つは根本方針としまして、住民に幸福な生活ができるような地方行政をして行かなければならぬと思いますから、私は人は少くて能率の上るところの地方の行政にして行きたいと思いますけれども、しかしただ人を減らすということを第一目標にして、地方の行政を整備するということは私はとつておりません。今までいろいろ御批判とか御批評がございましようけれども、少くとも今いる地方の官吏と申しますか、やはり何か必要があればこそ今まで置いて来た役人でございますから、これは非常に悪い関係をごらんになれば別でございますけれども、今いる官吏は一人もむだな官吏じやない、私はそう考えております。またそういう考えから出発しておりますけれども事務を簡素にし、住民の生活がごく平易にして行けるような地方行政を行わして行けるために、事務整理をして行きたい、こういう考えでございます。人を減らすことは、むろん事務簡素の結果減つて来るかとも思いますけれども、人を減らしてもつと地方の行政を簡素化するという立場は、私は逆になつていると思います。
  107. 大泉寛三

    ○大泉委員 それは失業さして遊ばしておいて、政府費用で援護費をくれておくよりは、使つた方がいいかもしれないけれども、どうも産業を強化して行かなければ人の吸収はできない。産業を衰微させるまで、自治体であろうと、国であろうと、経費がかさんでしまつたのでは、共倒れになつてしまう。そんなことは論議すれば限りがありませんけれども町村を適正規模に整理統合して行こうという考え方がありませんかどうか。
  108. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。文化国家といたしまして、日本の全国の国民が生活水準を上げて行く。それに対してはサービス行政たる地方公共団体が、そのサービスに耐え得るようにするためには、私は今の町村の小さい方面を考えますと、とても立つて行かないと考えますから、できるだけある程度以上の規模の町村になつてもらいたい、こういうことを希望しておるわけでございます。ただただいまの自治法上、自治庁がそういう指令を出してやるとか、命令でやるとかいうわけに行きませんから、自主的に各小さい町村あたりが合併して、規模を大きくして、そしてできるだけ多くの力をもつて、その住民の福祉を増進させるようにやつて行きたい、こう私は考えております。町村の規模につきましては、もう少し大きくなつてほしい町村がたくさんあるということは、お説の通りでございます。     —————————————
  109. 野村專太郎

    野村委員長代理 地方自治地方財政に対する調査はこの程度にとどめまして、次に警察に関する件につきまして調査を進めることにいたします。質疑の通告がありますから、これを許します。川本末治君。
  110. 川本末治

    ○川本委員 時間がありませんので、簡単に二、三の点を齋藤国警長官にお尋ねいたします。  まず第一に警察法四十条の三の解釈につきまして御意見を承りたいと思いますが、この四十条の三は、御承知のように自治体警察を住民投票によつて廃止し、存置する場合の規定でありますが、この条文を読みますと、その年の一月三十一日までに、たとえば廃止に議決をいたしました自治体警察は、翌年の四月一日に引継がれることになつております。さらに十一月一日から以降のものは、その翌年の——たとえば二十六年十一月一日以降の議決は二十八年の四月一日になつて初めて国家地方警察に移管される、かように解釈しておりまするが、この問題につきまして、他に何かその以前において国家警察の方へ編入し得る方法があるかどうかという点について承りたいと思います。
  111. 斎藤昇

    ○斎藤(昇)政府委員 ただしま警察法四十条の三の規定の御解釈につきましては、お述べになりました通りであります。なぜ十月三十一日までという日限を切り、しかもそれが翌年の四月一日にならなければ責任の転移が行われないか、また十一月一日以降であれば、その翌々年の四月一日までという長い期間を置く必要があつたかということでありますが、これは多数町村警察について転移が行われました場合に、予算関係で非常に混乱を来すということからいたしまして、大体翌年度の通常予算の最後の締切りに間に合うまでの期日を一つの締切り期日にする必要がある。もつぱら財政上の理由で、さように規定をされたのであります。従いまして現在の法律におきましては、この規定を無視いたしまして、規定に定められておりまする期日前に、自治体警察を国家地方警察に編入をするという措置はできないことになつております。
  112. 川本末治

    ○川本委員 そこで齋藤長官と私も同じ解釈をしておりましたところが、実は愛知県の守山町の自治体警察が、本年の一月四日に住民投票を行いまして、その結果廃止ということに議決をされております。しかるにごく最近に、何しろ一年以上そのままで置かれるのは困るということから、何とか便法はないものかというので、小倉愛知県地方警察隊長に意見を求めたところが、地方の議決を持つて来れば、四月一日から編入されることができる、こういうことをはつきり明言した。そこで一部の新聞はこれを報道しておる。そういたしますると、ただですら治安問題に対しては、御同様、心痛をいたしておりまするとき、特に来年の四月一日になれば、これらの警察官は定員も、もちろん自治体より減らされ、どこへやられるかわからぬというような、多少のそうした不安を抱いておる矢先に、またしてもさらに今後二箇月の後には国家警察に編入されることができるというようなことをしきりに言われまして、地方の小さな新聞などはこれを書き立てておる。こういう事実を見まして、はなはだ私は遺憾に思いますることは、いやしくも県の隊長たるものを、法の解釈すらもはつきりわからないような人間がしておるということは、はなはだよくないじやないか、こういう非難の声をすら最近聞くのでありますが、こういうことにつきましては、十分ひとつ御注意を願いまして、国家地方警察の威信を失墜するような行動のないように御注意を願いたいと思います。  こうした問題とは、事は少し違いますが、最近の国家地方警察の幹部の諸君に大分頭の変なのがいるように思われますことは、福岡県下においての問題でありまするが、これは今年の一月、ある追放解除者で、かつて内務官僚の錚々たる人であつた者で、次の総選挙には立候補するというもつぱらのうわさの人ですが、この人を福岡県の国家地方警察の隊長が、みずから警察のマークがついておる自動車へ乗せて、各方面のあいさつまわりを一月盛んにしておつたという話を聞いております。こうなりますと、この隊長の頭が幾らか変じやないかという考えも起きるのでありますが、実は相当責任のある人からこの話を私は聞いたのでありまして、こういうことについては、賢明なる齋藤長官の御判断によりまして、今後さようなことの繰返されないように、この二点についてまず十分御注意をお願い申し上げておきます。  そこでその次に引続き承りたいと思いますことは、国家警察が、昨年の十月三十一日までで、警察改正による自治体警察の廃止に伴つて、相当大きくなつて参りましたが、この国家警察が大きくなりました半面の理由は、大体自治体警察財政の面から、とても維持できないということが主たる問題のように、われわれの調査いたしましたところでは承知いたしまするが、その結果国家警察は今後現在の警察費をもつて自治体に迷惑をかけないでやり得る程度であるかどうかという点をまず承りたいと思います。
  113. 斎藤昇

    ○斎藤(昇)政府委員 二点につきましての御注意は、十分注意をいたしたいと思つております。ただ第一の点につきましては、当初本年の四月一日に警察の転移を行うような予定で、昨年の十月中に町村会で決議をし、住民投票をやり、あるいは住民の直接請求によつて、住民投票の手続の開始をいたしたのでありますが、それがこの手続の遅延によりまして、十月三十一日を越えてしまつて、十一月に入つてしまつた。従いまして当時の直接請求なり決議におきましては、これは翌年の四月一日のつもりでやつたのが、手続が遅れたためにさようになつてしまつた結果、できたら本年の四月一日に転移の行えるようにしてもらえないであろうかという希望が他からも出ておつたのであります。そこで、これは先ほど申しますように、法律改正を要することでありますから、法律改正なくしてはそのことは不可能である。しかし実際の面におきましては、単なる手続の遅延によつて、もうすでに決議をしたものが、さらに実施を一年半も待たなければならないということは、これはどうであろうかということからいたしまして、しかもその町村の数は全国で二箇町村しかないわけであります。また予算関係におきましても、現在の予算でまかないがつき得る程度のものでありますから、地元の方々において、この法律改正でもして、ぜひ当初考えておつたように、事務手続の遅延がなかりせば、この四月一日に転移ができるようにしてほしいという非常な要望があるならば、あるいは法律改正という点も考えられないことはないであろうというような話をしておつたのであります。隊長は、あるいはそれを何か間違いましたか、新聞に出る経緯において間違いましたか、その点は調査をしてみなければわかりませんが、そういうような事柄が裏面にあつた、またあるということだけは御了承願いたいと思います。  それから御承知のように自治体警察の廃止によりまして、国家地方警察に移りました大きな理由は、地方財政的見地が多かつたということは、私も十分承知いたしております。従いまして自治体警察を国家地方警察に編入されまする際におきましても、今後警察費用はできるだけ国費だけで行い、地方町村に御迷惑のかからないように指導いたしておるのであります。町村側からあるいは一般住民の方々から、警察の運営について寄付をいただくということは、職務の執行上にもおもしろくない点を生ずるおそれが多分にありますし、また警察がその威圧によつて寄付金を集めるという非難も避けがたいと考えますので、これは極力是正をするように指導をいたしておる次第でございます。
  114. 川本末治

    ○川本委員 今齋藤長官からの御答弁によりまして、私の質問をいささか出し抜かれた感じがいたしますが、地方に対して国家警察が現在相当迷惑をかけておるということを、長官は御承知か御承知でないかという点と、御承知であればこれに対して国家地方警察の責任者に向いまして、今後の問題についても、相当な戒告式のものでも発し、通産を出したことがあるかどうか、この二点を伺つておきます。
  115. 斎藤昇

    ○斎藤(昇)政府委員 会議の席におきましても、また通達におきましても、さような趣旨のことをしばしば申しておるのであります。寄付の点につきましては、従前に比べまして、逐次減少して来つつあると私は考えておる次第であります。
  116. 川本末治

    ○川本委員 そこで私はここにちよつとした二県ばかりの県の数字を持つておりますが、今年の一月の上旬に四国、九州の国政調査に参りましたときの寄付の資料でありますが、今の齋藤長官のお答えとは、およそ志の異なる結果が出ておることを、はなはだ遺憾に思います。これは大分県の一部を除いた額でありますが、警察勧助会、いわゆる警察後援会の単なる費用だけで、ここに七百十五万五千円というものが、二十五年度において取上げられておる。それから二十六年度はまだ決算まで行つていないから、今日までの想定として、一月の中旬に七百八十三万四千円というものが計上されておるのであります。これを小さな市町村に割当てますと、相当な額になりますが、そうしたこまかい問題は避けることにいたします。かような現状にあります。またこれを愛媛県について調べましたが、これも二市三郡というものがこの調査から除かれておりますが、それでも二十五年度におきましては、国家地方警察関係で市町村に迷惑をかけ、負担をかけた金額は、市町村において最高の町村は実に五十二万円という多額の金を支払わされております。二十六年度は、一番多く今まで払つたところは、十二万一千円ということになつております。平均いたしますと、一市町村について、二十五年度では三万六千九百五十四円となつており、本年度では三万六千八百十円という金額になつておりますが、これらのものの大体の内訳を見ますと、ほとんど巡査駐在所方面に使われておる費用であります。はなはだしいものを読み上げてみますと、実にオートバイの購入費までも町村に支払いをさせておる。かような現状では、とかく警察国家になりつつあるという非難を聞きますことも、またやむを得ない事実であると私ども考えますが、こうした事実はひとり私どもが最近調査いたしました愛媛県や大分県のみではございません。実は私の郷里であります愛知県の愛知地区警察署におきましては、実に驚くべきことが今日まで行われている。それは一昨昨年の暮れに警察の塀をこしらえている。その塀をこしらえた金の五十万円というものを六箇町村に割当てた。ところが、この割当に対しまして、町村はそういう金はとても払えないということで、その半額の二十五万円を六箇町村負担をしてこれを払つた。そうしますと、残り二十五万円をさらに農業協同組合に対して寄付してくれという寄付の強要をした。当時代表名で一人、二人出ておつた者が、警察のことだから、文句言われては、あとがうるさいというような考えで、やむを得ず二十五万円を立てかえて出した。二つの村の農業協同組合理事長が出した。ところが、その後これを農業協同組合の組合長会議にかけた。幸か不幸か、その席上に私がおつた。そうすると、警察というものはとんでもないものだ。一体農業協同組合員は町村の住民である、町村の住民として一応二十五万円に対する何がしかの割当を受けておるのに、さらにもう一ぺん農業協同組合員だけがこの負担をしなければならぬという理由はないじやないか。こういうことで、私の見ておる目の前で、この問題は、払うことはできないというので否決された。そうしますと、困つたのは二十五万円を立てかえた町村でありまして、ぜひともこれは何とかしてもらいたいというような話がありましたので、当時山田君が隊長でおつたのでありましたが、私山田君に会つて、これは君、気の毒じやないか、何とかしなさいと言つた。それは一昨年の夏のことでありました。ところが、会計では何とかいたしますと言う。それでもちろんしてくれたものだと思いまして、私は町村関係農業協同組合理事長に向つて、隊長が承知をしたから、早晩払つてくれるものと思うから、安心しておいでなさいと言つたのは、一昨年の夏の話であります。以来私は事が済んだものと思つておりますと、昨年の十一月ごろになりまして、農業協同組合の金を払つた方の連中が私のところへ参りまして、あなたにお願いをしておいたけれども警察じや払つてくれませんと言う。くれないといつたところで、お前たちはもらいに行かなかつたのかと言うと、いやもらいに行きました。今日まで何度ももらいに行きましたけれども警察署へ行くと、次席さんは、そんなことは知らない。県の方からも全然話がないから、一切払うことはできぬ。そんなことは知らぬ、存ぜぬの一点張りで、私ども泣寝入りしておりますけれども、会計監査のたびごとに、二年、三年会計監査で困つておりますが、何とかしてくれませんかというので、私は以来小倉君にも数回善処方を要望しておるが、今日まで依然としてこれができぬ。ごく最近に至りますと、何とかこれはひとつ話合いで帳消しにしてもらえないだろうかということを、隊長自身が私に言われるので、ぼくはそれはできぬと言つた。今になつてそれができないものなら、なぜその当時払わないかと言つたが、これが今日まで払つておらぬ。しかもこの署長に至ると、もう一つある。その問題は、天皇陛下の当時の愛知県への御旅行に関係のある費用でありますから、私多くを問い詰めて聞いておりませんが、一昨年の年末愛知県で国体の行われたときに、陛下が愛知県においでになつたときの警衛費が、愛知地区警察署において四万円何がし余分に使つたから、これを警察の後援会の各町村で払つてくれ、こういう要望を、これも私が町村長会長の会議の席にいるときに申し込んで来た。そこで私は当時の、今日もおりますが、その次席をどなりつけた。その結果、その金は出したか出さぬか、それ以来私は愛知県にこれに対する三百万円の費用のいつたことを承知しておりますから、確かめておらぬけれども農業協同組合の金のごときは、三年間にわたつて使つて、しかもその署長も、責任者である次席も恬然としており、これに対して小倉隊長自身も平然としておつて、実に非難は囂々としておりまするが、かような警察署長を使い、かような署僚警部を使つており、今最初に申し上げましたように、隊長みずからが警察法の解釈すらも満足にできないような隊長をいただいておるようなことでは、今後この国家地方警察の将来に向つて、私どもは非常に心配をするのでありまするが、こういう不良な警察に対しては、少くとも即時相当な処分をせられるべきではないかと思う。さようしない限りは国民の信頼が警察にはなくなつて来ます。私は警察法の改正の当時にも、この問題については大いに論じた一人でありますが、こういう問題に対して一体国警長官はどういうふうにお考えになつておるか、率直に御意見を承つておきたいと思う。
  117. 斎藤昇

    ○斎藤(昇)政府委員 ただいま例をあげられました愛知地区署の塀の改築ですか、新築ですか、その費用負担につきましては、私今初めて伺うのでありますが、伺つたところによりますと、何と申しますかいかにも強要がましい点がありまして、これはまことに穏やかでないと考えております。また経営費の一部を一般の寄付にお願いをするということも、きわめて妥当を欠いておると思います。これらの点につきましては十分実情調査いたしまして、しかるべき措置をいたしたいと考えております。
  118. 川本末治

    ○川本委員 最後に私は特に一言長官に念を押しておきたいと思います。私がいやしくもこの席上で申し上げますことは、責任のある位置において、責任のある場所で、責任のあるあなたに申し上げたことであります。しかも私はみずからそれぞれの機関を通じて、責任のある調査数字をもつて御質問をしたことであり、さらに最後の愛知地区警察の問題のごときは、私が何度もこれに対して立ち会つておりますので、ただ従来の警察式でなく、調査々々と言うのでなく、即刻こういうような問題に対しては、十分なる調査をせられまして、一日も早く日本の警察が民衆から非難を受けることのないように、おとりはからいをいただきたいということを、最後に一言お願いを申し上げておきます。
  119. 野村專太郎

    野村委員長代理 次会は公報をもつてお知らせいたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後一時五十三分散会