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1952-02-28 第13回国会 衆議院 地方行政委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年二月二十八日(木曜日)     午前十一時十五分開議  出席委員    委員長 金光 義邦君    理事 大泉 寛三君 理事 河原伊三郎君    理事 野村專太郎君 理事 床次 徳二君       門司  亮君    門脇勝太郎君       川本 末治君    佐藤 親弘君       前尾繁三郎君    吉田吉太郎君       大矢 省三君    立花 敏男君  出席政府委員         総理府事務官         (全国選挙管理         委員会事務局         長)      吉岡 惠一君         総理府事務官         (地方自治庁次         長)      鈴木 俊一君  委員外出席者         專  門  員 有松  昇君         專  門  員 長橋 茂男君     ――――――――――――― 二月二十七日  地方財政に関する陳情書  (第六五八号)  地方団体統合強化に関する陳情書  (第六五九号)  平衡交付金増額に関する陳情書  (第六六〇号)  公共事業の起債の早期決定に関する陳情書  (第六六一号)  特別市制反対に関する陳情書  (第六六二号)  地方制度調査会構成員地方議会代表者参画  に関する陳情書(  第六六四号)  事業税税率軽減に関する陳情書  (第六六七号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  国会議員選挙等執行経費基準に関する法  律の一部を改正する法律案内閣提出第三五  号)  地方自治に関する件  地方財政に関する件     ―――――――――――――
  2. 金光義邦

    金光委員長 これより会議を開きます。  地方自治に関する件、地方財政に関する件の両件を一括して調査をいたします。質疑を許します。床次委員
  3. 床次徳二

    床次委員 最近の新聞紙を見ますと、地方自治法改正案について政府当局研究しておられるようでありまするが、その案の大要について説明が願えれば御説明願いたいと思います。特にお願いしたいと思いますのは、地方紛争事件その他に対する勧告権の問題について、これを規定しようという意見があるかのようですが、これが今地方ではいろいろ問題になつている懸案事項が大分あるのであります。そうして政府の方において、こういう修正案を考えておられるということに対しまして、この紛争両者いずれもある程度の期待を持つている。従つてこの扱い方いかんによりましては、やはり現在一応静観しておつたものが、さらに次の動きを見せるという形になつているのが実情なのであります。一応政府が今日まで研究しておられるところの勧告案というものの構想がわかれば、ひとつこの機会に伺いたいと思います。  それから第二の問題といたしまして、今後自治体の大きさを適当に規制するという意味から、あるいは適正規模という考え方かとも思うのでありますが、市の大きさについて人口三万の基準を五万に上げるとか、あるいはいわゆる改正案要綱において聞きますると、市の設置についてはあるいは承認制度にするというような案も出ているのであります。この問題は、実は今後市になろうという各町に非常に大きな影響を與える。最近、例年通りではありまするが、ことに市制施行の機運が非常に大きくなつて来て、年度末には多数の申請があることは例年通りでありますが、本年は特に将来この基準が五万になるということを予想すると、ことしのうちに申請しなければなるまいじやないかという考え方が強くなつておりまして、これまた地方を非常に刺激しているのであります。この点についてはひとつ政府がいかように考えているか、いろいろ法案の都合もあろうかと思いますが、政府考え方をお聞きしておきたいと思います。特に修正案におきましては、その規模あるいは合併その他の場合には、政府承認という字を使つて承認にはどうせ基準をつくられることは当然だと思うが、この点はいかように考えておられるか。この二点について承りたい。なおその他の点についても、あるいは大体の構想がおわかりのことがありますならば、この機会にひとつ政府の案を伺いたいと思います。
  4. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 地方自治法改正につきましては、政府はただいま案を用意いたしているのでございますが、その改正の目標といたしますところは、中央地方を通じての行政簡素化の一端に資そう、こういうことであります。従いまして地方自治法の中で、各種の機構等に関する規定につきまして、地方行政簡素化という見地から、根本建前をくずさないような限度において改正を加えたいということで、目下鋭意研究中でございます。ただ政府部内といたしまして、まだ意見全面的一致を見ておらない点がたくさんございますから、従つてまだ政府案がこういうふうになるということを、ここで申し上げますることは、いかがかと思いまするので、その点はひとつ御了承を願いたいと思うのであります。  今御指摘自治紛争につきましての調停について、何か考えておるかという第一点のお尋ねでございますが、これにつきましては、全国各地に相当深刻な自治紛争が、各地方団体の間におきまして、あるいは一つ地方団体の中の部落間におきまして、あるいは一団体の中の各機関の間におきましてありますことは事実でございます。これらの紛争の中には、紛争調停委員というものを設けて努力をいたしましても、とうてい解決しがたいというような、相当深刻なものもあろうと思いますけれども、何か紛争に関する調停機関のようなものを設けまして、それによつて実際の紛争調停をはかるということをいたしまするならば、若干なりとも自治紛争解決して、円満に自治の進展を期することができるであろう、かように考えておるのでありまして、そのためにはどういう機関、どういう方法がいいかということを目下研究中でございます。しかし何らかこの点に関しましての改正を加えたい、かように考えております。  それから第二の市制施行の問題でございますが、市制施行の問題につきましては、人口を五万にした方がいいという地方行政調査委員会議勧告もあるわけであります。ただ現在の実際の都市構成を見てみますと、たしか百十三でありましたかの市は、人口五万未満であります。そこで人口五万ということを要件にいたしますると、今後できる市はそういうふうになりましても、今までの百十三にわたるような市につきましては、そのまま例外を認めて行かなければならぬ。ほとんど半分に余るようなものが例外人口五万未満の市であるということでありますと、かりに人口五万というものを基準として都市制度を考えましても、どうも一貫しないことになるのであります。そういう意味で五万という線をとることがいいかどうか、これは相当愼重に考える余地があると考えておりまして、人口三万という現在の基準をさらに合理化することをもつて、これにかえたらどうであろうかというようなことを、ただいま検討中でございます。
  5. 床次徳二

    床次委員 先ほどの紛争調停に関する問題でありますが、これが一応勧告の程度にとどまつてつて強制力を持つか持たぬかということは、自治の本質の非常に大きな問題でございます。この点について政府の今日までの研究方法は、どちらの方に向つているか、もう少し具体的に伺いたい。  それから次に今の市制施行の問題につきましては、これは各地方とも現実にみなそれぞれ今日考えさせられておる問題でありまして、実際の状態から見ますると、五万以下のものが確かに多いのであります。過去のものをほつておいて、今後それが許されないということになると、非常に不合理な点もあるのであります。だから今後の市としての機構について、内容の充実したものの標準は、五万以上にあるという考え方は一応成り立つと思うのでありますが、しかし五万以上なければ絶体にしないということになるのも、これは非常に現実の各市町村当局としては、迷惑する場合が多いのであります。この点はひとつ十分考えていただきたいと思うのであります。
  6. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 地方自治本旨紛争調停ということにつきましては、御指摘のように紛争調停方法とか仕組みをどうするかということによつて、相当影響するところが多いと思うのであります。従つて地方自治本旨というものは、もちろんこれをそこなわないような姿において、紛争調停の方式を考えて参りたいと考えております。
  7. 門司亮

    門司委員 鈴木さんにこの機会に聞いておきたいと思いますが、財産区の問題であります。これは具体的な事実は、あとからよく調査してもらいたいと思いますが、問題は福島県の湯本の町でありますが、ここは御存じのように財産区があるのであります。それで最初に聞いておきたいと思いますことは、昭和二十一年から昭和二十六年の十月三十一日に改選するまでの間、区議会がなかつたのであります。それで財産区があつて区議会がなかつたということになつておるのでありますが、一体自治庁はその間のこの財産区の運営は合法的なものと認められるかどうかということであります。  もう一つ、立つたついででありますから、選管の方に聞いておきますが、たしか戰争中一年くらい任期を延ばしたと思いますが、前の議員任期が切れて、五箇年間議員選挙が行われておりません。従つてこういうことは選挙建前からいつて、だれの責任になるかということであります。
  8. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 財産区につきましては、現在の地方自治法の二百九十四條の一項に「この法律地方公共団体財産又は営造物管理及び処分に関する規定による。」と書いてありまして、さらに二百九十五條でも財産区の財産又は営造物に関し必要があると認めるときは、都道府県知事は、議会議決を経て財産区の議会又は総会を設けて財産区に関し市町村議会議決すべき事項議決させることができる。と書いてあるわけであります。この趣旨は、財産区につきましては原則市町村長なり、あるいは市町村議会財産区のためにいろいろ執行をし、また議決をする、こういうのが今の地方自治法建前であるのであります。ただそれでは両者利害が相反して適当ではないという場合において、これは特別に区会なり区総会を設けるべきである。こういうふうに知事が判断をいたしましたならば、議会議決を経てそういう区議会区総会を設けるようにすることができるということになつておるのでありまして、ただいまお話福島県の事例が、はたしてこの二百九十五條を適用して区総会を設け、あるいは区議会を設けて処理さした方がいいかどうかという問題になるのだろうと思うのでありますが、私具体的な事情はよく承知しておりませんので、その事件につきましてこうすべきであるということはちよつと申し上げられないわけであります。そういう建前で、福島県知事としては特に区議会を設ける手続をとらないで、一般原則によつてつてつたのではないかと思われるのであります。
  9. 吉岡惠一

    吉岡政府委員 御質問趣旨をあるいは誤解しておるかもしれませんが、議会をつくることになつておるにかかわらず、選挙をしないでそのままほうつておいたその際の責任はどうかという御質問でございますが、それはやはり理事者側に来るのだと思います。
  10. 門司亮

    門司委員 今の鈴木さんの答弁でありますが、これは具体的に申し上げますと、二十六年の十月に選挙しまして、ことしの一月十八日の議会を招集いたしまして、そうしてその招集された議会に、前五箇年間の、議会がなかつたときの一切の收入支出予算決算というものの承認を、町長管理者として求めております。だからこれは財産区があつたことに間違いありません。なければ、区議会に五年も一つにまとめて出すというりくつは私はないと思う。その間出せなかつたというのは区議会がなかつたから出さなかつただろうと思います。そうしてその区議会のなかつた際の報告書を見ますと、ちやんと予算が組んでありまして、区議会議員実費弁償ちやんと書いてあり、それが支出されております。だから一体こういうことが——今の鈴木さんのお話は前段のお話でありまして、そのあとの二百九十四、九十五、九十六條に区議会を置くということがはつきり書いてありまして、従つて鈴木さんの今の御説のような趣旨に基いて、ここに区議会のあつたことは間違いありません。そうでなければ、区議会決算書が今ごろ出て来るわけはありません。そこで問題になりますのは、その五箇年の間、一切を町長理事者として専決処分で全部片づけてしまつている。そうして承認を求めておる。なお具体的に言いますと、承認を與えられないという一部の議員意見に対して、それなら議案をひつ込めるからということで、審議してもらわなくてもようございます、こういう態度であるという。これは私どもにはちよつと想像もつかぬのでありますけれども、現実の問題としてこういうことが起つておるのであります。これの解決  は一体どうすればいいか。従つて一面から考えますれば、議会承認を得ない予算を組んで支出したわけであります。しかも財産は全部そういうことで処分しておりますので、一体これが合法であるかないかということであります。これを自治庁は合法と認められるかどうかということです。
  11. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 今のお話通りであるといたしますと、この財産区には、福島県知事が、区議会を設けるように條例をつくつてつたということになるかと思いますが、もしそういう條例がつくつてつたといたしまするならば、その條例に基いて、その財産区に議会を置かなければならぬわけでございますから、そういたしますと、それについての選挙その他の措置は、これは当然に行われなければならぬわけであります。そうしてただいま財産区の財産に属する財産営造物等がございますればそれは御指摘のように、議会にかけるべきものは、一般自治法原則従つて議会にかけて処分をするというふうにいたさなければならぬわけであります。ただ現在の地方自治法建前といたしましては、昔のように、一般的な監督権というものがないわけでございます。従いましてそういうものをほんとうに監視して行く建前は、やはり住民自体にある。住民がそれぞれの方法によつて町長なり議会処置について措置して行く、こういうことであろうと思います。ただこういう問題につきまして、財産区の方が、やはり一部分の区域でありまするから、どうしても利害が相反するというようなことに相なりますると、やはりこれは一種の自治紛争ということになりまして、そういうような問題につきまして、やはり合理的な機関紛争調停をするというようなことも考えられはしないかと思います。
  12. 門司亮

    門司委員 私そういうことを聞いているのではありません。聞いておるのは根本の問題であつて、一体自治庁として、こういう——私きようはあとであなたの方に一部だけ差上げたいと思つておりますが、この顛末書というものの印刷したものがありますが、実はぎようは町長というか、管理者区議会に報告いたしました書類を全部持つて来るはずでありましたが、これは非常に書類が少いというので、向うで読んで来ただけで、こちらへ持つて来ておりません。いずれにいたしましても、各年度ごとちやんと予算が組んでありまして、決算がしてあるのであります。従つて年度ごと予算が組んであつて決算がしてあるということになれば、財産区があるということだけは間違いないのでありまして、従つて財産区があれば、当然そこには、二百九十六條でありますか、その規定区議会が設けられておつたことは間違いないと思います。ところが、先ほど申し上げたように、五箇年という間、区議会がなくて、だれも参與もしなければ何もしないで、一切專決処分として、予算を組み、支出をし、さらに財産払下げも途中で行うというような処分をやつておるわけであります。そうして五箇年分を一ぺんに、区議会が新しくできたからといつて、そこの承認を求める件としてここに出して来ておる、こういうことであります。従つて、求めるということが合法的であるかどうかということであります。財産区の問題が書いてあります自治法の中では、これの解決がつきませんので、そういうことが一体合法的であるかどうかということを伺いたいと思います。
  13. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 ちよつと門司さんのお話で疑問の点があるのでありますが、財産区を置けば必ず区議会がなければならぬということにはなつていないのであります。財産区を置きました場合に、都道府県知事が特に必要があると認めるときにはわざわざ知事條例の原案をつくつて、その関係の村会にかけまして、その議決を経て條例を設けて区議会を置くようにするわけであります。ですからこの場合ですと、福島県知事が、今の村と財産区との間に利害が相反して、むしろ第三者的な立場から、区議会を設けた方がよろしいと考えた場合において、この村の議会條例をかけまして、そうしてこの財産区のために区議会をつくるという措置が行われておりませんと、当然に議会があるということにはならぬのであります。もしそういう処置が行われていなければ、これは必ず、その村の議会並びに村長が、財産区のために、その財産営造物管理仕事一切をやる、こういうのが今の自治法建前なのであります。
  14. 門司亮

    門司委員 私はその点はよくわかつております。それは十分承知いたしておりますが、それならもう一つ聞いておきたいと思います。区議会のない間、予算は一体だれが組みますか。それから払下げをする場合に、一体だれが専決処分で行つて行くかということであります。しかも予算内容には、俸給等増額——毎年給料がずつと上げられております。実費弁償として出されております。区議会のあつたことは間違いないと思います。区議会を置くか置かぬかということを議論しておるのじやありません。区議会があるから、そういうものを年度ごとちやんと報告しておる。それが全然議会がなかつた五箇年の空間の間、理事者専決ですべてやつていいということになれば、自治法にあります区議会なんかいりません。全都削つておいた方が、そういう問題が起らぬでいいと思います。区議会を置いたということが、町長住民とで持つておりました共有財産が、村あるいは町に移管されないで、共有で持つておるという場合、これをただちに村会だけできめて行くということは、一つ財産村有にすることになりますので、従つてここに区議会を設けて、そうして区議会が、市のあるいは自治体議会承認を求める、しかも法律によりますと、議会委任事項についてやつてもいいということが書いてある。従つてある場合におきましては、その地域においては、自治体議会の代理をやることができるように区会議員権限が與えてあります。そうなつて参りますと、区議会仕事というものは、條例によつてまかされた範囲の自治体行政にまで、ある程度の仕事をすることができるように、非常に広汎な権限が與えてあります。ところがそこには財産区があつて従つてその財産区の区議会というものがあつて、そこに理事者というものがおつて、そうしてその理事者、この場合は町長でありますが、それが一切の專決処分を五箇年間行つて来てておる。そうしてそれを区議会に出して、区議会がこれを承認することができないという決議になると、その議案を撤回してもいいと言つて、しかも会期が三日もありますのに、閉会を宜しておるということであります。ここに至つては、まつたく乱暴なめちやちやなことだと思う。こういうことが法的に見て正しいかどうか、この点について、もう少しはつきりした御答弁を伺つておきたいと思います。この事件財産処分しており、承認を求めない費用使つておりますので、横領になるのか文書の偽造になるのか、おそらくそういう訴訟が必ず出て来ると思います。そういう点について、もう少し明確に御答弁願いたい。
  15. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 財産処分とか、今の区会議員費用弁償というものを、ただいま承りましたお話から伺いますと、区会がないのならば、一応自治法財産営造物に関する規定原則から行けば、専決処分ができるわけでありますけれども、條例で設けることになつておるにかかわらず、五年間も区議会制度を設ける措置を講じていないということは、確かに不当なることであろうと思います。かりに一度区議会議員が選ばれたといたしましても、任期等があるはずでございますから、任期満了までやるような場合におきましては、やはり任期満了前に、ちやんと次の者を選んでおくという措置を講ずべきであると思います。そういうような制度があるにかかわらず、全然区議会議員選挙をやらない、従つて区議会が成立してないという場合においては、自治法規定としては、やはり專決処分によつて処置することが、この場合町村長に形式的には許されると思います。ただその前において、五年間も事実選挙をしない、区議会を設けない、そういうことについての問題はあろうと思いますけれども、形式的な規定の解釈といたしましては、議会の欠けているときは専決処分ができる、ということは言えるのではないかと思います。
  16. 門司亮

    門司委員 私は、それは特例の場合であつて、常識上考えられないと思う。しかもその間に区議会議員実費弁償として、費用が五箇年間表出されておる。区議会議員がいなくて区議会議員実費弁償をするりくつはないと思う。そういう今のお話は特別の場合だと思います。何かの都合選挙ができなくて空間の場合は、常識的にそう考えられます。あるいは招集のできなかつた場合、火急を要する場合、そういう事例専決処分は適用されると思います。しかし任期があつて区議会が存在しておつて、戰争後区議会改正も行わないで、土地からやかましくいわれて、二十六年の十一月三十日に新しい区議会をこしらえて、一月十八日に議会が招集されて、それで五箇年分の費用弁償承認しろ、こういうことなんであります。区議会議員がいないのに、実費弁償はおかしいのであります。その問題が実は問題になつておりまして、自治法のどこにそういうことが書いてあるのかという質問が、実は私のところへ来ておるのです。どうも自治法を見たところで、議会をつくらなくてもいいという規定もありませんし、選挙しなくてもいいという規定もありませんし、またそういうものをかつてに出してもいいということもありません。これに対して今鈴木さんからはきわめて当りさわりのない常識的な、非常事態とは言わないにしても火急な場合の専決処分であるとか、あるいは改選期の途中において、ちようど何かの形で議員任期が切れて、次の議員議会の成立しない間のできごとというようなことについてお話がありましたが、これは私も專決処分でけつこうだと思います。またそれでなければならないと思いますが、五箇年もそう專決処分をしなければならないほどの問題ではなかつたと思います。従つてそういうことが自治庁として認められるかどうかということでありまして、この点をひとつはつきりあなたの方にしておいていただきませんと、実際問題として、区民といたしましては、きのうおとといここへ参つたのでありますが、区民大会を開いて、一体この問題がどうなつておるか明らかにすると言つております。町長意見としては、何もそういうものの承認を得なくてもいいのだ、悪ければ議案は撤回してもいいということになつておりますが、そうすると五箇年間も承認を受けないということになつて、これではまるつきりめちやちやになつてしまう。そういうことが一体自治庁として許されるかどうか、もう一度御答弁を願つておきたいと思います。
  17. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 お話を承りますと、相当複雑な事情が介在するように想像されるのであります。事実が明確になりますれば明確な御答弁を申し上げることができると思いますけれども、ただいま門司さんの仰せになりましたごとく、福島県知事條例をもつて、この財産区のために区議会を設けるように議決を経る措置を講じておりましたものといたしまするならば、先ほど私が申し上げましたように、財産区の議決を経て財産営造物管理をいたすべきであるけれども、現実選挙が行われていないといたしまするならば、現に区議会がないわけでありますから、区議会がなくても財産営造物管理のためのある種の行為はやらなければなりませんので、そういう行為について專決処分をすることはやむを得ない結果であると思うのであります。ただ五箇年間にもわたつて事実條例区議会を設けるべきようになつておるにかかわらず、これを設けていないということでありますならば、これはやはりその政治的責めは、関係の機関が負わなければならないと考えるのであります。
  18. 門司亮

    門司委員 だんだんお話はわかつて来たようでありますが、その場合に政治的の責任ということになりますと、問題は先ほどから私申し上げておるように、現実の問題として政治的な責任というよりも、むしろただ選挙しなかつたというだけでありませんで、現実支出をいたしております。私の拝見いたしました向うから出された書類の中には、ちやんと区議会議員実費弁償として費用が出されて、それが決算の中に全部使用されたと書いてある。そうしますと、これは單に自治庁のお考えのようなわけのものでないと考えます。自治庁には監督権がないから、それ以上のことは言えないというお考えかもしれませんが、私として聞きたいと思いますことは、こういうことがもし平気で行われるとするならば、一体これに対してはどういう処置がなされるかということであります。具体的に言いますと、先ほどからも何度も申し上げたように、管理者承認をしなければこの議案は撤回すると言つて、当日の議会では撤回しております。そうして議長もそれを宣告いたしております。そして議会は三日間の会期を残して議長は閉会を宣しております。そういうことで、もしこれが承認を得ることがいやなら、承認ができないというのなら撤回するということになつて参りますと、承認を受けないということになるのですが、一体承認を受けなくてもいいのかどうか、専決処分承認を受けないという形で強行して来ておるのですがこれでいいかどうか。
  19. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 議会が成立していない場合に、専決処分をいたしました場合においては、次の議会の会期においてこれを報告して承認を求めなければいけないということが、百七十九條の三項にあるわけです。そこでただいまの具体的な問題といたしまして、各種の費用を、專決処分によつて予算を計上し、支出いたしました場合には、議会承認を求めなければならぬわけでありますけれども、その区議会なるものが現にないということになりますと、この規定ちよつと働かせようがないわけであります。條例上は議会を設けることになつておるわけでありますから、そういたしますと、町村議会というものは権限がないことに法律論としてはなるわけであります。従つて区議会にかけなければならぬ。しかし区議会がなければ区議会について承認を求める方法もないということになりますので、とにかく区議会を設けないことには問題が解決しようがないというふうに考えます。
  20. 門司亮

    門司委員 どうもその辺はつきりしないが、区議会はあるのです。区議会は五年間空白であつたのが、去年の暮れに区議会をこしらえて、そうして一月の十八日に招集しておる。その場合に、さつき申し上げました五箇年の空白の間、だれにも相談しないで、議員がいないのに、議員実費弁償支出されておるわけです。これはいずれ訴訟になるかもしれません。どういう形になつて来るかわかりません。それからその間、財産というものが払下げをされておる。自治法建前からいいますと、当然公入札でなければならないものが、指名で全部財産払下げが行われておりますし、それから仕事もなされておる。こういうことは、現在の自治法からいいますと、これは違法であります。しかし先決問題として、今議会があるのであります。現在あるのに、議会承認を求めようとしない理事者の態度であります。これはいいのか悪いのか。
  21. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 どうも話がよくわからないのでありますが、五年間にわたつて区議会を設けなかつたというようなお話が一方にあり、それから最近区議会を招集して、それに承認を求めるための付議をいたした、こういうお話でありますが、どうもその辺、区議会というものが五年間ずつと欠けておつたのか、最近選挙をして区議会ができたのか、その辺がどうも明確でないので……。
  22. 門司亮

    門司委員 この財産区は非常に古い財産区であります。最近できた財産区ではございません。話を聞いてみますと、その以前に実際の問題として任期は来たのであるが、戰争中に各議員任期を延ばしましたとき、一応議員任期は延ばしたと言つておる。しかしそれは二十一年で切れておる。その後選挙を行わない。それがやかましく言われて、昭和二十六年の十月三十日に区議会選挙されてできたということであります。だから、五箇年間の空白はまつたくの空白であつて、現在は区議会はあるわけであります。従つてこの区議会に、五年の空白の間の支出承認を求めて来たわけであります。ところが現在の区議会議員は、五年間の議会のなかつた間のものについて承認を求めると言われても、その内容を見ると、先ほど申し上げましたように、人件費等は実費弁償として出ておる。区議会がなかつたのに、実費弁償として出ておる。財産処分は当然公入札でなければならないものが、かつてに行われておる。まつたくの自治法無視である。これを承認しろと言われても承認するわけに行かないという問題が起つておるのであります。ところが管理者といたしましては、承認しないなら、この議案は撤回するという態度に出ておる。従つて承認を求めないという態度に出ておる。この自治法財産区の規定にありますように、承認を求めなくてもいいのか悪いのか。もし求めなくてもいいということになれば、自治法はいらぬ、区議会などいらぬということになる。こういう規定は取つてしまつた方がじやまにならなくていい。しかし財産区という制度がある以上は、やはりその制度にのつとつて行政が行われなければならぬ。これは明らかに財産区の拒否のような形になつて来ております。この点を次長にはつきり御回答願いたいと考えております。
  23. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 専決処分を町がいたしました場合におきましては、議会承認を求めなければならないことは、自治法規定上当然であります。従つてただいまの事例におきまして、区議会議決すべき事項を、議決を経ないで專決処分をしたという場合におきましては、その專決処分は違法でありますが、專決処分をいたしましたならば、その次の会議において議会承認を求めるべきであります。ただ議会に提案して、議会承認を與えない、否決したというような場合におきましては、法律上の効力としては、従来の行政実例等におきまして、これは効力に影響がない、たとえば財産專決処分によつて処分した場合において、議会において否決されましても、その処分に影響なしというのが、法の今までの解釈であります。これはやはり取引の安全というような、第三者保護の見地から、いやしくも町村長財産区のためにやつたものでありますれば、やはりそれは有効なる処分として、取引の安全を確保しなければならぬという見地から出ておるのであります。しかし、そういうことの結果起るべき政治的な問題につきましては、町村長として当然その責に任ずべき問題があるのでありますけれども、これはあくまでも、議会なり住民との間の問題ということになるわけであります。     〔委員長退席、野村委員長代理着席〕
  24. 門司亮

    門司委員 そうしますと、次長の御意見だと、区議会というものは開かなくてもいいという結論になると思います。専決事項にしておいて、あと承認を求めればいいのだというなら、それでもいいと思いますが、問題は、それならばだれが予算を組むかということであります。理事者予算をかつてに組んでいいのかどうか。まかせられた予算の範囲内で專決処分ができるということはわかりますが、その予算はだれが組むか、それまでも理事者がかつてにやれるのかどうか。
  25. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 いささか門司さんの仰せは、私の申しましたことを飛躍しておとりになつておられるのでありまして、私はそういう意味のことを申し上げたのではなく、現に專決処分を具体的にしたものについての措置を、どういうふうに考えるかということでありますから、具体的な問題として今申し上げたわけであります。しかし今後の問題、たとえば予算とかその他につきましては、できるだけすみやかに区議会に付議して処置すべきものであることは、これは自治法全体の精神から申して当然であろうと思うのであります。ただ自治法には、そういう区議会等にかけることができないという場合が不可避でございますから、そういう場合の穴埋めとして專決処分という規定があるわけでありまして、専決処分規定があるから、議会にかけないでかつてにやつてよろしいということは、地方自治法本旨に反することであつて、それはもちろん適当でない。できるだけすみやかに本来の措置を講ずべきである、かように考えます。私は專決処分の問題は議会が成立していないという前提で了解しておつたのでありますが、議会がありますれば、その専決処分の適用される範囲がなお限定されて来るわけであります。
  26. 門司亮

    門司委員 長くなりますが、もう一つ聞いておきたいと思いますことは、今の次長の御意見は、役人としてはそういうことも一応言えると思います。しかし、この場合は議会がないのであります。予算を組もうとしても組みようがない。理事者がかつて予算を組んで、そうして年度決算までしてある。そういうことがかつてにやれるならば、議会はいらぬということになる。議会の権能などまつたくありはしない。そういうことが現実に行われておるわけであります。従つてまかせられた範囲内で、またやむを得ざる場合の専決処分はしかたがないと思うが、この場合は議会そのものが、当然選挙が行わるべきものが行われなかつた。その間に自分でかつて予算を組み、かつて支出しておいて、一切議会に認めろということになりますれば、議会としてはそれはできぬということになるわけであります。その上に今のお話のように、專決処分は法的には慣例としてやむを得ぬということになれば、議会はいらぬことになります。議会を置いたということが私はおかしいと思う。こういうことが法的に一体認められるかどうかということであります。あわせて聞いておきますが、選管の方でも、五箇年間に選挙をしなかつたということについて、責任は一体だれがとるべきであるか。それから次長にお聞きしておきたいと思いますことは、議会のない間に、予算決算等が理事者だけでかつてにやられるということは、一体合法的であるかどうか、これが專決処分であるかどうか。短かい間なら別でありますが、五箇年という長い間でありますから、この点をひとつお聞かせ願いたい。
  27. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 だんだんと話が堂々めぐりいたしまして、恐縮でありますが、過去五年間、区議会が全然なかつた時代の、各種の財産営造物に関する執行処置の問題、それに要する経費の問題、たとえば町村長財産区の管理のために、どこかへ出かけて行つたというような実費弁償の問題、こういう類のものは、区議会がないのでありますが、さりとて財産営造物管理ということは現実に存するのでありますから、それは何とかして、やはり支出の道がなければ困るわけであります。そこで現実にとにかく区議会がないのならば、これはやはり專決処分によつて、そういうことをやらないことには、財産営造物管理するという町村長の方の責任も果せないわけであります。ただそういうふうに五年間区議会を設けずに、ほうつておくということ自体につきましては、これは大いに責任を間わるべき筋のものであろうと思います。條例上置かなければならぬことになつているのに、それに反して置かないのでありますから、これは大いに責任を関わるべき問題であります。しかしその二つの問題は区分して考えなければならぬと思うのであります。今後の問題は、これは申すまでもなく区議会ができておるわけでありますから、專決処分というようなことは、ごく限られた構成要件を満たした場合にのみ行うべきであつて一般議会不成立の場合の專決処分という方式によることができないのは当然であります。
  28. 吉岡惠一

    吉岡政府委員 選挙を施行すべきであるにかかわらず、選挙を施行しない責任でありますが、これはおそらくお話の件は昔の制度だろうと思います。従つて市町村長責任があるのであつて、もし選挙管理委員会ができてからであれば、選挙管理委員会責任なります。
  29. 門司亮

    門司委員 大体それでわかりました。そこで最後に鈴木さんにひとつ聞いておきたいのでありますが、鈴木さんはどこまでも議会がなかつた、置けなかつたという建前の上の解釈だと思います。この場合置けなかつたのではない、置かなかつたのである。こういうことがもし許されるとすれば、市町村長議会選挙しなければいい。何年でもしなければ、市町村長はかつてに一切やれる。置かなかつたということが、一体いいのか悪いのか。置かなくてもいいのか。今の選管の意見では、これについては置かないということは、当時の選挙執行するものの責任だ、こういう話であります。もしこれが責任上置かなければならなかつたのが、置かないで、一切を執行するということになれば、この行為は無効だと言つてもさしつかえないことになる。はなはだしい一つの違憲だと言つてさしつかえない。当然の義務であることを果さないで、権利だけを執行している。こういうことが、一体自治法の上でせつかく財産区を一章を設けておきながら——これは自治法を読んでみますと、特に重要だから一章を設けたという解釈がついておるのであります。それほど重要なる解釈がついておつて、特に一章を設けて、この財産の問題を取上げておる。そういう場合に、さつき言つておるような問題が理事者の間で行われたということになれば、実際上の自治法の無視であつて議会というものはいらないということになる。今の選管のお話では、当然選挙執行すべきものの責任だということになる。従つてこれは選挙執行すべきものの責任だということになつて参りますと、一体五箇年間のそうしたことは無効であるか、有効であるかということが出て来るわけであります。この点については鈴木さんはどういうふうにお考えになるか、そういうことはやつてもいいとお考えになるか、悪いとお考えになるか。
  30. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 たとえば町村長が年六回以上定例会を招集しなければならない、こういう規定自治法にあるのであります。そういう規定があるにかかわらず、その町村長が町村会を全然二年にわたつて招集しないというような例がある。そういうようなことと、やや類似しておるわけでありまして、條例区議会を設けるということになつておるにかかわらず、その区議会を設けなかつたということは、やはりそういう條例規定の違反であろうと思います。その條例の根拠は、第二百九十五條でやはり法律上の根拠を持つておるわけでありますから、そういう條例上当然に区議会を置かなければならぬにかかわらず、これを置いていないというのは、たとえば招集すべき町村会を招集していないというのと、法律上の問題としては同じことになると思います。むろんそれがいいということではなくして、そういう意味で違反でありますけれども、その結果として、それでは町村長財産区議会がない間に專決処分でやつた行為はすべて無効であるかというと、私はそうはならぬと思います。やはり行為の性質によりまして、財産区自体の問題というよりも、そういう対外的な行為の問題になりますと、取引の安全というような問題も考えて行かなければなりませんので、やはりそういうような行為は、手続上議会を設けて、その議決を経べきものであるけれども、現在議会がないので、専決処分の方式によつたということで、やはり一応効力を有するものである、私はかように考えます。
  31. 門司亮

    門司委員 そうすると、結論として申し上げておきますが、鈴木さんの意見としては、議会はなくてもいいという結論になる。そう解釈してさしつかえありませんか。
  32. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 その問題は全然別であります。門司さんの仰せになりましたケースというものは、これは私も実は初めて聞いたようなケースでありまして、およそ全国的にもまず唯一稀有の例であろうと思います。こういうような事例の問題から、全体の考え方をただちに類推されるということは、これははなはだ迷惑であります。
  33. 門司亮

    門司委員 私の言つているのは、それが間違いであろうとなかろうと、現実にあるということであります。この事実の否定はできないと思います。私はここで空理、空論をもてあそんでおるわけではありません。現実にこういう問題が起つておる。当然置くべきものを、五箇年間も区会選挙をしないでおいて、そうしてその間に專決処分をしたということは、鈴木さんの意見によれば、やむを得ぬというように受取れる。法律上、手続上の違反はあるかもしれないが、やつたことについてはやむを得ぬというようなお話であるとすれば、法律上、手続上の違反さえ侵せば、町村長議会選挙をしなくてもいいということになりはしませんか。
  34. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 どうもお話が、私が申さないことを申したように言つているのは、はなはだ残念であります。私の申しておるのは、区議会は設けなければならぬ、設けるべきである。條例でそうなつておるのだから、それを設ける責任があるのだということは、私はかねて申しておるのであります。しかし現実に設けていない場合において、長が財産管理をどうするかということになれば、これは今の専決処分規定使つてやるよりしかたがない。しかし自分でそういう状態をつくつておいて、專決処分規定を適用するということは、適当でないことはもちろんであります。私はさつきから申しますように、区議会を設置すべきにかかわらず、設置していないという点は、これは大いに責めらるべきである、こういうことを申しておるのであります。議会を置かないことがよいなんということは、少しも申しておりません。
  35. 門司亮

    門司委員 そうすると、こう解釈してよろしゆうございますか。手続上と申しますか、法律上のそうした責任は当然あるが、しかし專決処分をしたものについては、やむを得ぬ処置だと解釈するようなことに、鈴木さんのお考えはあるということに、考えてよろしゆうございますか。
  36. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 やむを得ざる処置だと思います。
  37. 門司亮

    門司委員 それで私は申し上げるのですが、これはやむを得ざる処置であるということになれば、その次に考えられることは、これと同じような事例が幾つも出て来ても、それでも自治庁としては、法律上何らさしつかえないものだというようなことに解釈してよろしゆうございますか。
  38. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 こういうようなことは非常に稀有な事例であつて、今の自治法専決処分規定も、こういうことを予想してむろん書いたわけではないのであります。ごく例外的なケースを考えて規定を設けているわけではございますけれども、しかしこのような事態が起つた場合に、たとえば管理しております部落の松に、松食い虫がついた、これは何とかして消毒剤を買つて処置をしなければならぬという場合に、議会がない、議会選挙してやつたのじや間に合わぬというようなときに、財産区のために町村長が必要な措置を講ずることがありましても、これは当然であるし、そういうことをやはり認めなければならぬと思うのであります。しかしそれはもちろん権道でありまして、さつきから申し上げますように、すみやかに区議会をつくつて区議会議決を経べき事項区議会議決を経ていただく、こういうことはもちろん正論であります。正論でありますが、事実そういうことができていない場合においては、これはやむを得ない。そういう場合に議決がないから手をこまねいて待つておれというよりも、今申したような措置に出ることの方が、やはり適当だろうと思います。
  39. 門司亮

    門司委員 そこまでは私はよくわかるのであります。私もそれと同じような考えを、実は持つておるのでありますが、しかしこれは普通の常識でものを考える場合でありまして、こういう非常識な人が出て来ると、実際の問題として、それを常識上考えたことに適用して行くとなれば、非常識なことをやつてもいいということに私はなると思う。従つてこの場合の問題は、この非常識なことをやつてもいいというような問題について、どう自治庁としてはお考えになつておるかということであつて、この支出全体を、鈴木さんとしても別に裁判所の裁利官でもございますまいから、はつきりするわけには行かないと思いますが、自治庁建前から、五年間も、当然区議会がなければならないところに、これを置かないでおいて、そして一切を專決処分にしている。これが自治法で定められたきわめて常識上の解釈で、專決処分をしてもいいという規定があるからといつて、非常識な解釈をこれへ当てはめて強行しようということが、いいのか悪いのかということは、鈴木さんもおそらく悪いと言われておるから、悪いに違いないと思う。しかしその場合に、効力という点——これが悪いということじやない、一体そういうこと自体が、町長の行つた効力については、これを無効と認めることができるのかどうか。專決処分をしたのだからしかたがないということだと、あるいはしかたがないということになるかもしれない。しかし私が言つておりますのは、これから先の問題として、これがもし不当だとか、あるいは越権の行為であるとかいうようなものが、この次に私は必ず出て来ると思います。そういう場合に自治庁としてはこれはしかたがないことだという解釈になつて参りますと、非常に大きな問題が起つて来ると思う。従つて合法的であるという範囲をこれは越えているのでありまして、合法的の範囲を越えたものを、自治庁は合法的なものとしてお認めになるかどうか。
  40. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 私が今まで申しましたことは、区議会議決を経るか経ないかという問題について、今申しましたような事態のあります場合に議決を経ないで專決処分をいたしましても、それはやはり適法というほかはないと、こういうふうに申し上げたのでありますが、今のお話は、さらに具体的に支出自体が違法であるか、不当であるか、こういう問題であろうと思うのであります。もしも財産区のためにする支出でない他の支出を、そういう形でやつておるといたしますれば、これはもちろん無権限であろうと思います。そういうふうに財務規程に違反しておるかどうかという見地からの検討は、これはまた別個の問題であろうと思います。
  41. 門司亮

    門司委員 どうしてもこれはわからぬのであります。これはこのくらいにしてやめますが、私は鈴木さんの気持がわからぬのです。そういうことは私はよく承知しております。またそうでなければならぬと思います。ただ問題は、議会というものがなくて、一体予算をだれが組んだかということであります。議員がいなくて、議員実費弁償をだれが払つたかということであります。こういうことが決算書に書いてあるわけでありますから、議員弁償費として委任を受けたといつても、委任を受けてないということです。これは委任を受けないものを專決処分としてやつておるということであります。だからして常識ではとても考えられないことでありまして、私も聞いてびつくりした話でありますが、常識では考えられない。常識では考えられないことが現実に起つて来ておるということで、調書ができております。これはあとであなたの方にまわしますが、よく読んでいただきたいと思います。それで、もしこの問題のようなことが、あなたのお考えのように、もし合法だということになればうるさい議員、うるさい議会なんというものは置かない方がいい、なるたけ町長さんお一人でやつていればけつこうだと思いますが、しかしそういうわけにも参りますまい、だから私が言つておるのは、そういう違法な行為に基いて行われた行為は、やはりこれを違法として、あなたの方として認められるかどうかということであります。
  42. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 その点はすでに今御答弁申し上げた通りでありまして、財務規程に違反する違法の支出であるかどうかということの検討は、これは別問題であるということを今申し上げたのであります。別問題という意味は、具体的の支出が、たとえば実費弁償なら実費弁償ということであれば、実費弁償であるということは、別問題であります。もし真に実費弁償でないということになれば、これはもちろん違法支出であるということを免れないわけであります。
  43. 立花敏男

    ○立花委員 大分鈴木君疲れたようで、簡単にしますが、問題は重大な問題なので、数点だけ伺つておきます。  それは行政協定の問題ですが、自治庁の方では、行政協定に関する調査地方に対しておやりになつておるということを聞いておりますが、地方自治体行政協定との関係をどういうふうにお考えになつておられるか、行政協定が実はきよう調印されるといわれておりますが、それに伴つて今後地方行政、財務あるいは地方議会との関係、こういうものがどういうふうになつて行くかという点に関して、自治庁の御用意なり、あるいは調査の結果なり、御意見なりを聞かしておいていただきたいと思います。
  44. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 行政協定と地方自治体の関係でありますが、これはまだ私どもどういう具体的のかつこうで、軍が駐留することになりますかよく承知いたしておりませんので、明確ではございませんけれども、地方自治体といたしましては、やはり租税の負担でありますとか、公有建物の利用でありますとか、あるいは各種の公共施設の利用でございまするとかいうような点につきまして、できるだけ制約を受けないようにしたいというのが、地方団体の希望であろうと思います。そういうことで大方針にのつとつた限度において、できるだけそういう処置ができるように願いたいと考えておる次第であります。
  45. 立花敏男

    ○立花委員 自治庁調査をやつておられる、行政協定に関しての地方意見を聴取されておる、次官通牒で、お出しになつておるということを聞いておるのですが、その結果が大分もうおわかりになつておるだろうと思うんです。どういう意見地方自治体から来ておるかお聞かせ願いたいと思うのであります。今のお話によりますと、税金あるいは公有建築物あるいは施設、こういうものに対してなるべく行政協定の制約を受けたくないという気持があるというふうに言われておるのですけれども、事実、大分でございましたか、県会では県下の演習用の土地の接收を拒否する決議を行つております。その他各地方団体ではやはり演習地あるいは基地設置による接収の拒否の決議が、意思表示が行われておるわけなんです。こういうものに関して行政協定が調印されました場合に、そういう明白な地方議会の意思がどこまで尊重されるのか、全然こういう地方の意思は無視されるのかどうか、これをひとつ根本的に聞いておきたいと思います。
  46. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 地方団体行政協定についての希望というのは、先ほど申し上げましたような大体の趣旨であります。ただそれも行政協定が成立いたしましたあかつきにおきましては、それに基いて日本が負担いたすべきところは、当然負担をいたさなければならぬのでありますから、そういう限度において、できるだけ今申しましたような問題の調整をはかるようにして参りたい。かように考えております。
  47. 立花敏男

    ○立花委員 非常に漠然たるお答えなのですが、行政協定が調印されてからでは、実は私どもおそいのではないかと思うわけです。日本が負担しなければならないものは負担する、当然のことだと思うのです。しかしこの問題はもちろん根本的には負担すべきかどうか大問題で、私ども負担する必要がないと考えておりますが、負担する場合にいたしましても、これはどういう形で負担するのか。これはまつた地方自治体に対しては強制的にやられるのか、地方自治体との話合いのもとにやられるのか。あるいは土地の接収の問題あるいは税金の問題、公有建物の問題、こういう問題がまつた地方自治体の意思を無視して、現在でも接收反対を決議しております県会、市会、こういうところの意思を無視して接収なりなりが行われるのかどうか。ここに交渉の余地があるのか、あるいは拒否する余地があるのか。地方自治体の意思は、どの程度この問題において尊重されるのか。この具体的なことがきまつておりませんと、まつた地方自治体は無力で、無防備のままにこの攻撃の前にさらされるということになりまして、地方住民は非常に重大な脅威を持たざるを得ないのですが、こういう問題を何らお考えになつていないのかどうか。次官通牒で一月に調査をお出しになつたということを聞いておるのですが、どういうことでその調査をおやりになつておるのか。地方自治体の意思が奈辺にあるかということをどういうふうにつかんでおるのか。これをお聞きしたいのです。たとえば私のおります神戸では、神戸の港が現在でも七割接収されておりまして、もう全然軍港の形になつておりまして、貿易港としての役割は果さない。ところがこれが一旦講和条約が発効いたしますと、解除されまして当然新しい契約のもとにこれはやられなければいけないと思うのですが、その場合にも地方の、たとえば神戸市会の意思は全然認められない、強制的に上から現在行われている神戸港湾の接収が命令されて来るのかどうか。この場合に、やはり普通の対等の立場の取引として交渉されるのか。具体的なこういう問題が問題なんで、こういうことを自治庁の方で考えていただかぬと、実はこの行政協定は自治体の死命を制する問題にもなつて来ると思うのです。基地が自治体のまん中につくられて、あるいは数箇町村が一つになつて基地になつている。あるいはもつと重大な問題は、基地の接続地という規定がありまして、接続地がどこまで広がるのか。接続地を広げることが一体一方的にきめられるのか。たとえば立川基地の周辺の接続地が設定されます場合に、それが東京都の意思にかかわらないで、東京都全体が横田基地の接続地になりまして、たとえば防空演習あるいは空襲警報等が発せられました場合に、まつたく上からの強制力が加えられて来るのか、こういうことになつて参りますと、防空態勢の上から申しましても、あるいは負担の上から申しましても、実に重大な問題なので、こういう問題は何ら考慮されず、行政協定が結ばれるということはどうしても納得できない。自治庁といたしましてもこの問題に関しまして行政協定が締結されたあかつきに、こういう問題を考えるというのではなしに、やはり十分こういう問題を考慮された上で、行政協定の交渉には臨まなければならないと思います。また直接臨まれなくても、この問題は行政協定の直接の衝に当るものに対して、当然自治庁の方からも意見が具申されなければならないと思う。もちろん政府内部の問題ですから、政府全体としては当然こういうことが考慮されなければならないと思うのであります。こういうことを考慮するのはやはり自治庁しかないと思うのであります。この問題はやはりこの行政協定が成立したあかつきに考えるというふうに、簡単にお考えになつておるのかどうか。これをひとつお尋ねしておきます。
  48. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 政府としては地方団体の軍の駐屯に伴いまする問題として派生いたして参りますようなことについては、できるだけ円滑なる方式が選ばれますように、それぞれの政府部内の各機関をして折衝をして参つておるわけであります。また将来の問題といたしましても、軍の駐屯というようなことで、入るべき固定資産税が入らないというような地方団体に対しましては、平衡交付金等によりましてこれを処置をして行く。かように考えております。
  49. 立花敏男

    ○立花委員 税金の問題だけ非常に具体的な返答をもらつたのでありますが、基地ができまして固定資産税が入らない場合に、どういう方法、どういう形、どういう名称でそれを補償なさるのか、具体的にお出しになつた問題ですから、承つておきたいのであります。フランスあたりではアメリカ軍の基地に基地税をかけておりまして、これが地方の大きな収入になつておるところがあるのであります。これはアメリカとフランス政府との間に、多少問題が起つておるようでありますが、実際フランスではアメリカの基地に対して基地税をかけておる。ところが日本では政府で補償しようといつておるのでありますが、その補償する方法、フランスよりも数等屈辱的の條約だと思いますが、補償なさる具体的な方法を聞かせておいていただきたいと思います。
  50. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 これらの点につきましては、まだ具体的に確定しているわけでございませんので、ここでこうするということは、まだ申し上げられないのであります。
  51. 立花敏男

    ○立花委員 行政協定がきよう調印されて、国会でも報告されようといつております。しかも政府の宣伝にいたしましても、独立の日は非常に近いと言つておりますので、この問題を今からきめておいていただきませんと、地方予算にも関係することでありますし、地方行政その他機構にも関係することです。これは非常に大きな問題なので、当然今成案がなければいけないと思うのでありますが、これは私は自治庁の非常に怠慢ではないか、こういうふうに考えます。しかし実際にないのであればやむを得ないから、ひとつこの問題は慎重に検討をしておいていただきたいと思います。鈴木君の御答弁では、円滑にやるのだということだけで、非常に具体性がないのであります。根本的な問題、さつき言いました地方議会議決しておる場合でも、それが無視されるのか。地方議会議決したような場合に、これを円滑にやるというのは、一体具体的にどういうことを言つておられるのか。たとえば神戸の港の七割の接収、これの解除をやはり市会が決議いたしております。神戸の町の中で目拔きの所五十九万坪が接収されておりまして、これの解除ということも市会で決議いたしております。これと行政協定の関係はどうなつて行くか。市会の議決がまつたく無視されまして、五十九万坪というのは依然として天降り的に接收されるのか、この問題なのであります。根本的に地方議会の意思、あるいは地方住民の意思というものがまつたく踏みにじられまして、一方的に行政協定が押しつけられるのか。政府行政のとりきめとして行われましたことが、地方自治体の議会の決議をも無視するのか。これは地方自治体にとつて重大問題です。地方自治庁としても根本的問題です。こういう問題に対してすら方針がないということは、まつたく屈辱的というか、言語道断だと思いますが、こういう問題についても、はつきりした御答弁が得られないのかどうか。承りたいと思うのであります。
  52. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 地方自治体の意向は、これはできるだけ取入れて、先ほど申し上げますように、円滑に駐屯が行われますようにいたしたいという希望を強く持つておるわけでありますが、それの具体的な措置というものは、やはります基本の行政協定、それに基く具体的の行政措置というようなことで、きまつて来るのであろうと思うのでありまして、ただいま仮定した問題について、ここでお答え申し上げるわけに参りません。
  53. 立花敏男

    ○立花委員 仮定した問題とは政府としてはおそらく言えないのじやないかと思う。仮定した問題というのは、国民は知らされておりませんから、これはわからないということは言えますが、少くとも政府は過去一箇月間にわたつて、毎日折衝を続けて来たわけなんです。その草案なるものは、過日の新聞にも発表されておりますし、その中には明白に、さつき言いました基地あるいはその接続地、こういうことまで規定されておるわけなんです。こういう問題に対しまして、こういう協定か、もうすでに調印されようとしているのに、しかもこれは仮定のことだから言えないというような態度は、政府責任者としては、これはとらるべき態度ではないと思う。これはまつたく一片のごまかしにすぎない。あなたたちは自治庁でありながら、自治体のことは考えていないで、ただ向うさんの言つて来るところの行政協定に判こを押すというだけのことしかお考えになつていない。これは明白だと思う。ついでだから私聞いておきますが、この間大橋国務相は、この委員会で警察予備隊の事務局は、市町村長に対して予備隊の募集の割当をすることを調査研究しておると言われております。また一昨日あたりから国会でも、法務委員会住民登録法の施行の何が出て来ております。こういう形で、おそらく強制的な徴兵が市町村責任を負わされまして行われるだろうと思うのでございますが、またそうせざるを得ない客観情勢にあると思うのですが、この場合に地方自治体は、その責任を負う義務があるとお考えになつているかどうか。またこれに対して徴兵の拒否の運動が、地方住民の中に起りました場合に、これに対してどういうふうな措置をおとりになるお考えか、自治庁としてはこの問題は自分の管轄しておる自治体に起つて来る重大な問題なんで、当然お考えなりなりをお持ちだと思うのですが、それをひとつ聞かしておいていただきたい。
  54. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 この問題に関しましては、まだ何も関係行政機関から連絡を聞いておりませんので、どういうような構想で、どういうことを進めようとしておるのかわからない、従つて意見を申し上げるわけにいかぬのであります。
  55. 立花敏男

    ○立花委員 さつきも言いましたように、大橋さんは、少く見積つても六万人の徴兵をことしやらなければいかぬ。——全国一万の町村といたしまして、大体六人当りなんですが、これは実質的にもつとふえると思います。一町村で十名から十数名の者が、この自由意思によつて退職できないところの予備隊に編入されて行く。これを地方自治体が責任を持たなければいけない。こういう調査政府の一方で行われておる。それに対して自治庁は、何ら通告を受けていないから何の意見もないということでは、これはまつたくさつきの問題と同じように、自治庁の運営の上で大問題だと思う。私どもこれは必ず地方自治体の大きな問題に転化されて行くのではないか、これは当然根本的な対策が立てられなければいけないと思うのですが、何らその持合せがないということは、やはり徴兵制度に対して何ら関心をお持ちになつていない、住民が幾らとられて行つても、これはやむを得ないのだというような態度をおとりになつていると見るよりしかたがないと思います。これに関連してお尋ねいたしますが、現在でも東京で徴兵反対の運動が学生のうちに大きく起つております。地方にもこれは当然起つて来るだろうと思う。この場合に自治庁がこれに対してどういう態度をもつて臨むのか。やはり公安條例を発動いたしまして、地方住民の徴兵拒否運動に弾圧を加えるお考えがあるのかどうか、これを伺つておきたい。京都ではすでに公安條例は違憲だという地裁の何が出ておるわけなのでありますが、しかもさらに公安條例を全国的に一本化いたしまして、反動的な弾圧方法をつくり上げようというお考えがあるのですが、徴兵拒否運動の弾圧と関連いたしまして、公安條例に対してどういう見通しをお持ちになつておるのか、これもあわせてお聞きしたい。
  56. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 徴兵忌避についての運動と、公安條例との関係についてのお尋ねでありますが、公安條例はそれぞれ適法なる手続を経て、それぞれの団体において成立したものでございますから、その條例が存します限り、その條例従つて定められたる行政機関が、その條例執行し運用して参るというのが、執行機関としては当然の責務でありまして、公安條例自体についての可否はともかくといたしまして、それがありまする以上は、自治体執行機関はそれに従つて、事のいかんにかかわらず、條例の命ずるところに従つて行為するというのが、当然の筋であろうと思います。
  57. 立花敏男

    ○立花委員 徴兵の拒否を地方住民が行いました場合、あるいは市町村長が割当てられました徴兵の推薦を拒否した場合、あるいは地方議会がそれを拒否した場合に、自治庁としてはそれに対する対策をどういうふうにお考えになつておるか、この答弁がありませんでしたので聞かしていただきたい。
  58. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 そのお話も、どうも仮定的な要素が非常に多いようでございまして、ちよつとお答え申し上げるわけには参りません。
  59. 立花敏男

    ○立花委員 さつきから言いましたように、責任の大臣がこの委員会でそういうことを事務当局で研究中だと言つております。また客観情勢からいたしましても当然それは早晩——おそらく今でも東京都の各大学には募集のポスターが張られておりまして、学生の一人々々のところに志願書が行つておる。これは早晩問題になることは明らかである。それを自治庁の方では仮定だということではこれはまつたく失望せざるを得ない態度だと思います。徴兵の問題について東京で起つております例を申しますと、やはり公安條例等を発動いたしまして、警官が多数これを弾圧しておる。ところが一方徴兵促進運動に対りしましては、何ら取締りをやつていない。あるいはギヤング事件に対しましても、警察はまつたく拱手傍観であるというようなことで、公安條例によつて動いております警察というものは、まつたく一方的な動きをしておるのですが、こういう状態を自治庁としては把握されておるかどうか、こういう状態であつていいとお考えになつておるかどうか、これを一つ聞いておきたい。
  60. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 自治体としては、公安條例を制定しておりますならば、この公安條例規定する事態に該当する問題があれば、徴兵忌避運動であろうといなとを問わず、それを適用せらるべきものであろうと思います。
  61. 立花敏男

    ○立花委員 実は鈴木君は最近中央地方の人事の交流ということを言つておられますが、これは一体何を意味しておるのか。この間木村法務総裁がここに参られまして、自治警と国警の人事の交流をやつて、機能を統一化するのだというふうに言われました。しかもその方向は明らかに国警、自治警、特審局の一本化の方向が理想であるということを言つておられたのですが、鈴木君の言つておられる中央地方の人事の交流も、木村法務総裁の言われた国警一本化の方向の人事の交流と相通ずるものがあるのかどうか。これはさいぜん申し上げました現在の地方の警察が、まつたく弾圧的な態度をとつておるということと合せまして、非常に重大な問題なので、これをひとつ聞いておきたいと思います。
  62. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 人事交流という問題は、地方自治体の人事がその当該団体だけに局限をせられますと、どうしても能力のある人あるいは手腕のあるような人か、なかなか一般的に地方団体の中に入り込んで行かないということの結果として、地方団体行政能力がやはりおのずから低下して行くというようなことで、できるだけ、たとえば新たなる学校の卒業生等も、それぞれの地方団体に行けるようにすべきであるといつうように考えておるわけでありまして、要するに自治体の人事について、そこに交流ということを一方において考えまするならば、それだけ広く各方面から人を集めることができる、その結果として自治体行政能力が向上する、こういうところをねらつておるわけであります。別に特定の問題だけをとらえておるわけではなくて、広く自治体の人事交流ということについて、私どもはできるだけ適切なる措置を講ずべきである、かように考えております。
  63. 立花敏男

    ○立花委員 警察の問題に関連いたしますが、最近起つております首都警察の問題、これがやはり自治体警察の国警編入の問題だろうと思うのですが、自治体の立場から自治庁としては、どういうふうにお考えになつておるか、参考のためにひとつ聞かしておいていただきたいと思います。
  64. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 この点につきましては、まだ研究中でございまして、特に申し上げることはございません。
  65. 野村專太郎

    ○野村委員長代理 大泉寛三君。
  66. 大泉寛三

    ○大泉委員 私は委員長一つ希望しておきたいと思います。あまり議案として重要な議案が今ないものですから、ほかの方の問題ばかり拾つて来られるような質疑応答が続けられて、国民が聞かんとする、あるいはどうしても国民に知らしめておかなければならぬというような、委員会における質疑応答がきわて国民に密接するような問題があればけつこうですけれども、こういうふうにだらだらした委員会をあまりちよちよい開いてもらつては私らもありがたくないし、時間つぶしのような感がありますから、今後何か重要な問題があつた場合、あるいは政府提出の議案があつた場合にひとつ開いてもらいたいと思うのです。これに対して委員長よりどんなとりはからいをされるか伺いたい。
  67. 野村專太郎

    ○野村委員長代理 委員長といたしましては、委員各位の発議は尊重いたしまして、また委員会の運営については理事会等に具体的にお諮りいたしまして、それぞれ重要と認めて審議を進めております。しかしなるべく発議については十分尊重しながら、公正を期して能率的に運営をいたしたい、かように考えております。
  68. 門司亮

    門司委員 今大泉さんの意見もありましたが、それは一応ごもつともだと私は思います。しかしきようは当局の大臣も出て来なければ来も出て来ない。大体公報で指名された地財委も出て来ておりませんし、自治庁から次長さんがさつきおいでになつたくらいの程度です。私は当局にもう少しはつきり質問したい、聞かなければならぬことはたくさんあるのです。しかも税制改革についても大体要綱はでき上つておるということであります。その要綱が発表されておる。機構の改革につきましても、その要綱ができておるはずでありまして、私どもは委員長がぜひ責任をもつて責任者をここに出してもらうことをはつきり約束してもらいたい。
  69. 野村專太郎

    ○野村委員長代理 ただいまの門司委員さんの御要求はごもつともであります。委員会の審議にあたりまして、御要望の線に沿いまして必ず政府委員の出席を求めるように、委員長に伝えたいと思います。  地方自治に関する調査はこの程度にいたしておきまして、次に国会議員選挙等執行経費基準に関する法律の一部を改正する法律案を議題に供します。御質疑がございましたら御質疑を願います。
  70. 床次徳二

    床次委員 この機会一つつておきたいのでありますが、選挙に関しまして、昨年の暮れに最高裁判所におきまして、島根県の参議院の選挙に対して、一つの新しい判例が出たのでありますが、あの判例は、従来選挙管理委員会でとつておりました見解と著しく相違があるんじやないか、少くとも私ども常識的に見まして、これは常識と差があると思つておるのですが、これに関しまして選挙管理委員会はどういうことを考えておられるか。今後各市町村、また県等におきまする選挙におきまして、これは問題になり得る問題だと思う。たとい最高裁判所の判例ではありまするが、これに対しましては大部分の者が納得しない、地方管理委員会の人たちも、どうも首肯しがたいものと思つておりますが、御意見がありまするならばこの際御意見を伺つておきたい。
  71. 吉岡惠一

    吉岡政府委員 島根県の判決の問題については、私ども個人的な意見はありますが、意見を申し述べるのは差控えます。やはりああいう問題が起きますのは、自署をさせることに原因がある、従つてできることなら、いわゆるプリンテツド・バロツトの方式を採用して、なるべくああいう争いが少くなるようにやつて行きたいと考えております。ただ実行の問題といたしましては、裁判所のおよその考え方が、ああいうことになりますと、それとあまりかけ離れた具体的な解釈をとつて、いたずらに紛争を大きくすることは、できるだけわれわれも避けたいと思つております。     〔野村委員長代理退席、大泉委員長代理着席〕
  72. 床次徳二

    床次委員 裁判所の判例ができたのでやむを得ないところはありまするが、これに対しましては確かに私ども承服しがたいところがある。実際地方管理委員会におきましても、これはなかなか納得しがたいものがあると思う。従つて管理委員会におかれましても、この点に関しましてはひとつ十分御研究をいただいたらどうか、御説の通り、これをなるべく記号式にいたす等のことは、私どもかねがね主張するところでありまして、できることならば記号式にいたしたいと思うのですが、やむを得ず記名式をとります場合におきましては、やはりああいう争いが起らないように、もつと常識的な結論をとるように、いたすべきだと思うのであります。この点はひとつ管理委員会といたしましても、最高裁判所の意見意見といたしまして、別個に御研究になることが、いいだろうと思います。
  73. 大矢省三

    ○大矢委員 今度選挙執行に対する費用が、相当増額されておりますが、この説明の中にもありますように、べースとしては約六・五彩値上りしておる、さらに物価その他について相当値上りがあるにもかかわらず、これだけの増額ではたして行けるのかどうか、いわゆる物価、人件費の上昇率と今度の費用の増加率とバランスがとれていない。と言いますのは、今日まで地方には、選挙のたびに相当支出が多くなつて財政が困難なのに、さらに多くの費用を分担しておることは、地方財政の上に非常な大きな影響がある。特に明年度は参議院並びに衆議院の選挙あるいは補欠選挙、その他を控えて重要な関係が地方財政の上にありますから、これではたして自信があるのかどうか。それからいま一つは、これの支給方法について、選挙が終つて一年近くになるのに、まだ支給されていないというようなことが、前にもしばしばあつた。これは地方からのいろいろな陳情によつて承知しておりますが、どうしてこういうふうに支給が遅れるのかということを一応お答え願いたい。
  74. 吉岡惠一

    吉岡政府委員 賃金その他物価の値上りと比例して、選挙執行費用がふえて参る、こういうお話でありますが、これは個々に当りましてやつておりますので、あるいは全体としては、それに応じていないと思いますが、この金額で十分やつて行けると思います。ただ物価が値上りをいたしました等の事由に関連いたしまして、やはり相当な金額であります。十何億という相当な金額でありますから、選挙執行するについても、やはりできるだけ節約をしてやつて参りたい。そういうことから考えまして、たとえば出張するのにも、十人行くところを八人で済ますとか、そういう事柄で節約をいたした面もありますので、これだけの金額の増加でやつて行けると考えたわけであります。  それから実際の地方への交付が遅れているようなお話でありますが、われわれもできるだけ早くやつているつもりであります。あるいは末端まで行つていないところがある。もしそういう具体的な事例がありましたら、御注意いただけば、われわれは督促をしてなるべく早く行くようにやりたいと考えております。
  75. 大矢省三

    ○大矢委員 それからいま一つ。せんだつての新聞の報ずるところによりますると、大都市といいますか、特に大阪の区の選挙管理委員会を廃止するということが、ちよつと新聞に出ておつたのでありますが、そういうことが具体的に決定されているかどうか。こういうことが新聞に発表されたのでありますから、御相談になつていると思いまするが、あの二十万近い大きな、ほとんど小さな市の数倍あるような区の管理委員会を廃止しで、その管理が完全に行われるがということは、非常に私ども危惧しているのですが、そういうことがどういう経過でどういう理由であり、またはたして具体的にそういう決定がされたかどうか。この機会にお伺いしたいと思います。
  76. 吉岡惠一

    吉岡政府委員 五大都市の区の選挙管理委員を廃止するというお話でありまするが、これはもちろん一部にそういう話が出ております。これは結局現在行われている地方行政機構簡素化の線から、そういうことをやつたらどうかという話が出ておりますが、まだ具体的にそうやるということはきまつておりません。
  77. 大泉寛三

    ○大泉委員長代理 ほかに質疑がなければ、本日はこの程度にして散会いたしたいと思います。次会は公報をもつてお知らせいたします。  本日はこれをもつて散会いたします。     午後零時五十四分散会