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塩見政府委員 ただいま
夏堀委員からお尋ねがありました
フイツシユミール工船の問題でございますが、私どもも戦後長い間にわた
つて、ことに
東北、
北海道における底びき
網漁業というふうなものは、これは
資源をとり尽しつつある
状態にあると大体
考えております。特にあの
地帶においては、戦前において主として百キロ線を引いてお
つたというふうな底びき
漁業のやり方は、戦後百キロ線以内では非常に
資源が不足して来ておるので、くふうをこうしまして、五百キロ前後のところまでも引出して行くという
状態にな
つておりまして、ほかの海区に比べまして、もつと
操業区域を彼らの創意によ
つて広げているという
状態にあるわけでございますから、それも数年間続けておりまするうちに、やはり
資源が漸次枯渇しつつあるような
状態のように見受けられるわけで、これらの
漁業者をどういうふうに経営的に立ち行くようにして行くかということについては、十分
考えてみなければならないと思います。それでまずさしあたり
考えられる問題としましては、ただいま御
質問にありましたように、
北洋の
底魚を
対象にし、あるいはことし参りましたような
鮭鱒流し網を
対象にし、あるいはかを、
まぐろその他
兼業関係でできる
漁業のようなものにも、転換をさせろというふうなことを
考えて行かなければならないわけでございまするが、何と申しまして
北洋の
底魚資源というものは、これはいわゆる無尽蔵と称せられておりまして、
支那海等における底びきに比べますると、五倍以上というような
単位当りの
漁獲高を示している、こういう
状態でございまするが、その利用の
方面が
確立しないことには、なかなか経済的に
採算が立つとは言い得ない
状態であります。そういうふうな
意味から言いまして、
東北、
北海道方面における底びき
漁業の今後の発展の
方向と、生きて行く
方向というふうな点を
考えまして、
北洋における各種の
漁業は重要なんでございまするが、そのうち
鮭鱒はことしやりましたわけです。これは逐次経済的な
漁場を調査いたしまして、伸ばして行く必要があると思います。
それから
冷凍の方も
かれい等についても
考える必要があるかと思います。またすけそうを中心にしました
フイツシユミール工船というふうなものも
考えてみ、必要があると思
つております。それで
採算的に現在いろいろと当
つておりまするが、最も
採算的に不利であ
つて、それで
業者として、自分の
危險負担において最も出にくいものは
フイツシユミールでございまして、
冷凍等につきましては、あるいはこれは
業者の
危險負担において出得るような
状態になるかもわからない、こう
考えられるわけでございます。そういうふうな観点から見ますると、
東北の漁民の
資源的に行き詰まり、経営的にも行き詰ま
つて来る
状態を打開するため、また
日本の
飼料資源をそういう
地帶から開発して来るというような点から見ると、
フイツシユミール工船については何らかの形で
援助をして、そうして逐次経済的に成立し得るような
漁業として伸ばして行くということは、
水産政策上からもぜひ
考えてみたい、こう思
つておりまして、ここ数箇月
間検討を続けておるわけでございまするが、そのいろいろの
援助の仕方については、まだ具体的な
結論には達しておらない、こういう
状態でございます。
採算酌にどうかというふうな点についても、いろいろ当
つておりますけれども、
単位時間
当りの
漁獲高等についてはどの
程度のものが見込めるかという点で、かなり動いて来るわけでありまして、経営的に黒が出る
可能性はまず初年度はあるまい、こういうふうに
考えられまするが、そう大きい赤が出るかどうかについては、
漁獲高等について決定されるもので、軽々に今のところ判断しにくいような
状態にあるのであります。しかしながら何らかの形で、これは当初においては試験的な
漁業として国の
援助がなければ、業界の方においては自己の
危険負担においていきなり出て行くという
自信は、持
つておらない
漁業でございます。大体現在の
状況はそういう
状態でございます。