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1952-06-26 第13回国会 衆議院 大蔵委員会 第98号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年六月二十六日(木曜日)     午前十一時四十分開議  出席委員    委員長 佐藤 重遠君    理事 奧村又十郎君 理事 小山 長規君    理事 内藤 友明君 理事 松尾トシ子君       淺香 忠雄君    大上  司君       島村 一郎君    高間 松吉君       苫米地英俊君    夏堀源三郎君       三宅 則義君    宮幡  靖君       宮原幸三郎君    中野 四郎君  出席国務大臣         農 林 大 臣 廣川 弘禪君  出席政府委員         大蔵政務次官  西村 直己君         大蔵事務官         (主計局法規課         長)      佐藤 一郎君         農林事務官         (畜産局長)  長谷川 清君         食糧庁長官   東畑 四郎君         水産庁長官   塩見友之助君  委員外出席者         議     員 平野 三郎君         大蔵事務官         (理財局管理課         長)      横山 正臣君         農林事務官         (畜産局飼料課         長)      豊永  光君         専  門  員 椎木 文也君         専  門  員 黒田 久太君     ————————————— 本日の会議に付した事件  高金利等取締に関する法律案内閣提出第一  八四号)  接收貴金属等数量等報告に関する法律案(  内閣提出第二三一号)  簡易生命保險及郵便年金特別会計法の一部を改  正する法律案内閣提出第二四一号)  資金運用部資金法の一部を改正する法律案(内  閣提出第二四二号)  食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案(  松浦東介君外三十三名提出衆法第七六号)  アメリカ合衆国におけるまぐろ輸入関税に関す  る件     —————————————
  2. 佐藤重遠

    佐藤委員長 これより会議を開きます。  高金利等取締に関する法律案、接  收貴金属等数量等報告に関する法律案簡易生命保險及郵便年金特別会計法の一部を改正する法律案資金運用部資金法の一部を改正する法律案、及び食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案の五法案一括議題といたし、質疑を続行いたします。質疑通告順によつて許可いたします。夏堀源三郎君。
  3. 夏堀源三郎

    夏堀委員 食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案について、二、三質問したいと思います。  この問題については、昨日政府委員及び立案者の方々からお話を承り、趣旨としてはたいへんけつこうであり、御賛成申し上げたいと私は考えております。この問題を取上げるにあたつて飼料の問題は非常に大きな問題でありますので、いろいろこれに関連した事項について私研究いたしたのであります。それを各委員に配付いたしましたが、これは飼料購入九十一億九千万円という相当な額に達するのであります。数量も二十五万トンという数量であります。この厖大な金額と数量これに対して、米に換算してどれくらいの輸入米調整ができるか、こう私質問いたしたのでありますが、何か一千万石とかいうお話もありましたが、これはあまり厖大数字であつてちよつと信ずるわけに行きませんので、資料を提出することをお願いしてあるのであります。そこで内地の価格と比較して二割高である。従つて二十億円程度の何か財政面からの補助的な処置がなければいかんというようなことで、財政面から考えたその措置はどうかというようなことを、小山委員から御質問なつたようであります。これは政府といろいろ御折衝になるのでありましようが、食糧輸入に対しての補給金等の面もありますので、どちらの方へ補助的な処置を講ずるか、むしろ利益のある方に出す方がいいのではないかと考えますので、その趣旨には賛成であります。そこで私はこの問題に関連して、きようは農林大臣がお見えになれば、この問題についての意見をお伺いしたいと考えておりますが、ちようど水産庁長官がお見えになつておりますので、この問題との関連においての食糧需給対策——これはフイツシユミール工船計画を一応私立案してみたのでありますが、これは国内生産で足りるのであつて、特に日米加漁業協定の線に大きく浮び上りましたが、あの海区において無尽蔵な、いわゆるたらとか、あるいはかれいとか、安い魚が三十分で三千五百貫もとれるというような実績があるのであります。これはこれまでフイツシユミールはいかに日本が希望し、これを産出したいと思いましても、沿岸ではなかなか魚もそう漁がありません。幸いに日米加漁業協定の線の上で、こういう厖大世界一の漁場を開拓する意味において、このフイツシユミール工船ということは、これはあるいは政府でもお考えになつておるかもしれませんが、これによつて完全に食糧需給態勢をつくることができると、私はこう考えております。刷物にごくおそまつな数字も記載しておりますが、これを米に換算して五百万右の増産ができるのじやないか、私はこう考えておるのであります。この計画は、ヒトラーが、第一次戦争ドイツが破れたのは、食糧問題の解決ができなかつたからだ、この食糧問題の解決をどうするか、こういうことから始まつてフイツシユミールを全世界から輸入計画を立てて、ちようど日本からも六万トンばかり行つたように私は記憶しておりますが、それによつて食糧計画確立して、第二次戦争に突入したという有名な歴史的な問題もあります。日本は今まで沿岸にはその魚族が不足である関係上、先ほど申し上げたように、日米加漁業協定の線に沿うてこの計画確立する、こうなりますれば、昨日の御説明のあれと並行して、おそらく一千万石は容易に食糧輸入の面において調整をすることができるであろう、こう私は考えておるのであります。そこで水産庁長官にお伺いしますが、フイツシユミールの多量な生産計画が、国民食糧需給に役立つことであつたならば——これは今後底びき漁業整理は決定的なことであり、そうして転業といつたところで、大した目ぼしい転業の道もないと私は考えております。そこで失業問題等の大きな問題もありますので、これをこうした面に転換させて、ともに食糧需給の面に強く押し出すという方法は、政策的に見て非常によろしいのじやないか、私はこう考えております。こういうようなことについて何かお考えなつたことがあるのかどうか、まずその点を伺いたいと思います。
  4. 塩見友之助

    塩見政府委員 ただいま夏堀委員からお尋ねがありましたフイツシユミール工船の問題でございますが、私どもも戦後長い間にわたつて、ことに東北北海道における底びき網漁業というふうなものは、これは資源をとり尽しつつある状態にあると大体考えております。特にあの地帶においては、戦前において主として百キロ線を引いておつたというふうな底びき漁業のやり方は、戦後百キロ線以内では非常に資源が不足して来ておるので、くふうをこうしまして、五百キロ前後のところまでも引出して行くという状態になつておりまして、ほかの海区に比べまして、もつと操業区域を彼らの創意によつて広げているという状態にあるわけでございますから、それも数年間続けておりまするうちに、やはり資源が漸次枯渇しつつあるような状態のように見受けられるわけで、これらの漁業者をどういうふうに経営的に立ち行くようにして行くかということについては、十分考えてみなければならないと思います。それでまずさしあたり考えられる問題としましては、ただいま御質問にありましたように、北洋底魚対象にし、あるいはことし参りましたような鮭鱒流し網対象にし、あるいはかを、まぐろその他兼業関係でできる漁業のようなものにも、転換をさせろというふうなことを考えて行かなければならないわけでございまするが、何と申しまして北洋底魚資源というものは、これはいわゆる無尽蔵と称せられておりまして、支那海等における底びきに比べますると、五倍以上というような単位当り漁獲高を示している、こういう状態でございまするが、その利用の方面確立しないことには、なかなか経済的に採算が立つとは言い得ない状態であります。そういうふうな意味から言いまして、東北北海道方面における底びき漁業の今後の発展の方向と、生きて行く方向というふうな点を考えまして、北洋における各種の漁業は重要なんでございまするが、そのうち鮭鱒はことしやりましたわけです。これは逐次経済的な漁場を調査いたしまして、伸ばして行く必要があると思います。  それから冷凍の方もかれい等についても考える必要があるかと思います。またすけそうを中心にしましたフイツシユミール工船というふうなものも考えてみ、必要があると思つております。それで採算的に現在いろいろと当つておりまするが、最も採算的に不利であつて、それで業者として、自分の危險負担において最も出にくいものはフイツシユミールでございまして、冷凍等につきましては、あるいはこれは業者危險負担において出得るような状態になるかもわからない、こう考えられるわけでございます。そういうふうな観点から見ますると、東北の漁民の資源的に行き詰まり、経営的にも行き詰まつて来る状態を打開するため、また日本飼料資源をそういう地帶から開発して来るというような点から見ると、フイツシユミール工船については何らかの形で援助をして、そうして逐次経済的に成立し得るような漁業として伸ばして行くということは、水産政策上からもぜひ考えてみたい、こう思つておりまして、ここ数箇月間検討を続けておるわけでございまするが、そのいろいろの援助の仕方については、まだ具体的な結論には達しておらない、こういう状態でございます。  採算酌にどうかというふうな点についても、いろいろ当つておりますけれども、単位時間当り漁獲高等についてはどの程度のものが見込めるかという点で、かなり動いて来るわけでありまして、経営的に黒が出る可能性はまず初年度はあるまい、こういうふうに考えられまするが、そう大きい赤が出るかどうかについては、漁獲高等について決定されるもので、軽々に今のところ判断しにくいような状態にあるのであります。しかしながら何らかの形で、これは当初においては試験的な漁業として国の援助がなければ、業界の方においては自己の危険負担においていきなり出て行くという自信は、持つておらない漁業でございます。大体現在の状況はそういう状態でございます。
  5. 夏堀源三郎

    夏堀委員 この問題はまだ採算の面において非常にむずかしいだろう。私も採算の面においてはまだはつきりここに自信を持つて、こうなるということはつかめていないのであります。本法案の審議にあたつて平野さんから昨日説明内容を承りまして、これも採算的に合わないのであります。そこで大体二割程度、二十億程度の補助的な措置がなければならぬ、こういうことを承つた次第でありまして、採算的なものであれば黙つてつても、みなもうけたい人方はやるのだ。けれどもこれは大きな国策であつて、このフイツシユ・ミールがどの程度飼料としての効果的な面があるかと申しますれば、これは一つ動物性蛋白質の問題が今の案に見えております。いろいろなとうもろこしとかあるいはふすまというものに比較して、はつきりわかりませんけれども、おそらく何十倍の動物性蛋白質を含有しておると思います。そこでものにたとえれば、御飯を食べるときのお吸物に対してのかつおぶしのごとく、病人に対しての注射のごときものであり、これはすでに農事試験場あたりでもこれを証明しております。今農林大臣もお買えになりましたが、農林大臣は鶏をたくさん飼つて経験済みであると思いますが、これを鶏に食べさしたら卵を産んで産んで始末にならぬ、こういうことをもつてしても、いかにこれが効果的であるかということがはつきりわかつております。馬に与えると一箇月で馬の毛色がぴかぴか光つて来るのであります。これを牛に与えれば一箇月たたぬうちに非常に濃い牛乳が出て、今ちようど酪農の問題が——バター輸入の面で大分問題が出ておるようでありますが、こうしたようなことも国内において相当安いりつぱなバターができるということにもなる。特に米に換算して五百万石の増産は可能であり、これがこの計画によつて生れることであれば大きな国策であるけれども、採算はちよつとむずかしい。今この案に見えておりまする飼料購入代金は約百億に近い。それを外貨によつて払わなければならぬが、これは国内生産であり、特にそれは漁業者失業の問題も間もなく現われるであろう。底びきの整理によつて失業する。その対策として大きな役割を演ずるとともに、食糧政策に大きな役割を演ずるということになりますから、大きな国策であると思う。ちようど総理が首班となつて今何か農業顧問会を開いていろいろ御研究になつているかと思いますが、農林大臣はこの面に対しては御研究済みであろうと思いますし、土地改良等に五百億あるいは六百億、そういう大金を投資してやることは永久的なものでありますから、たいへんけつこうでありますけれども、これは一つ北洋漁業日米加漁業協定によつて初めて取上げて、日本食糧問題解決にいかに大きな役割を演ずるかということを、今重ねて申し上げておる次第でありまして、この食糧自給態勢の面に対処して、食糧輸入に対しては補給金政府は出さなければならぬ。昨日も申し上げましたが、この飼料の面に対しても補助的な処置が必要であろう。採算が合うか合わぬかまだ私はわかりませんし、この問題に対し名も若干政府がこれに対する補助云々ということは、まだ私は申し上げる段階に入つておりませんが、ただこれを強く推進するということによつて国策に合致するということであつたならば、政府はこういう問題も取上げてよいじやないかと考えておる次第であります。ちようど大臣もお見えになつておりますので、この問題に対しての御意見を拝聴いたしたいと存じます。
  6. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 大蔵関係のことよりも水産関係に造詣の深いお方でありますから、私が申し上げぬでもよりよく御承知のことであると思います。ただいまここに食糧自給対策一環として、工船によるフィッシュミール生産計画内容を拝見いたしておりますが、まつたくその通りでございます。元来私は食糧をますではかることはきらいな方でありまして、やはりカロリー計算で行く方がよろしいという論者の一人でございます。このフイツシユミール食糧にすることにつきましては、私たちも非常に考えておりますが、これを飼料として取上げた場合に瞬ける御構想であります。これもえさつけ等に多少の困難はあるようではありますがるが、しかしえさつけさえうまく行くならば、飼料として十分取上げられるものであります。なおまたこの沿岸漁業が非常に荒廃いたしておりまして、転換せなければならぬ時期において北洋深海魚の問題でありますが、これを工船式により深海魚フイツシユミール化するということは、これまたわれわれとして当然考えなければならぬことであります。しかしこれを真に事業化してどうかという点については、いろいろの論があるようでありますが、農林省としては、大きな北洋資源を生かすために現在研究いたしておりまして、これを広く飼料として供給でき、また市場を開拓し、またえさつけ等技術等検討いたしまして、十分これが工業化するように推進をはかりたい、こう考えております。
  7. 夏堀源三郎

    夏堀委員 御答弁はごもつとであります。これから御研究をなさることもこれは当然でありましようが、私さつきドイツ食糧問題に対して、第一次戦争に敗れたのは食糧問題であつた。そこでヒトラーがこの問題を取上げて食糧を充実したことは、歴史にあまりに有名であります。日本からもいわしフイツシユミールをたしか六万トンぐらいやつたと思います。そうしたことは、当時はいわしがあつたからいいが、今はそういうわけに行かぬから、かわつて北洋問題が、日米加漁業協定によつて、大きく飛躍的に世界的な舞台に乘り出したのでありますから、これを活用することこそ大きな国策である、こう私は申し上げておるのであります。まだ研究段階であるということは当らない。農林大臣は、先ほど申し上げましたように、鶏をたくさん飼つても、もう経験済みである。これは一つの例でありますけれども、農事試験場のどこへ行つて聞いたところで—全国県知事級で岩手県の県知事は一番農業に明るいのでありますが、この方が一番この問題に重大関心を持つております。また北海道田中長官もこの問題に非常に重大な関心を持つております。特に北海道酪農等を盛んにしなければならぬ関係上、この間私北洋漁業ちようど出航のお祝いのときに参つて、話がたまたまこの問題に触れて、重大関心を持つておる、こちらの方からも何がしかしら方法考えたい、政府に呼びかけたいと思うから、適当な機会にこれを政府に強く申入れすることをお願いするという言葉までもあつたのでありまして、あまりおつくうがらないで、たとえば百億円に近い外貨を払わなければならぬこの飼料の問題を取上げる程度の勇敢なお考えがあれば、平野先生もこの問題と並行して、むしろこのフイツシユミールをこの飼料に混合してやることはいいだろうと私は考えております。まだ研究を要しますが、積極的にこの事業を進めるということによつて、先ほど申し上げましたように、五百万石の米に換算した増産ができ、そして輸入米がこれによつて調整ができるということになれば、輸入米に対する補給金の節約もできるのであつて、その面から行けば、むしろ今審議しております外国からこれを購入しなければならぬというそれと比較検討して、私はこちらの方が有利である、こう断言せざるを得ないのであります。であるから、国内問題によつて解決をつけるに容易であり、失業問題にも役立つことであり、よつてあわせて食糧自給態勢確立するということであれば、非常な大政治家である廣川農林大臣が身をもつて経験しておるこの飼料問題に対しては、これを今提案になつておりますこの法案の中にむしろ織り込んで、これと並行してすみやかに政策としてこれを取入れていただきたい。採算の問題でありますが、これも外貨の問題はこれにはありません。ただもし採算云々ということであれば、ここにも二十億程度の赤字ができることを覚悟してやることであつて、結果においてどちらが効果的であるかは、研究してみなくても私は確信を持つております。先ほど申し上げましたように、病人注射のごとく、またお吸物に対してかつおぶしのごとく、こういうようなきき目があるこういうことを申し上げて、はばからないと思うのであります。政府においてはこのような問題を取上げずに、なお研究々々——研究けつこうですが、研究に目をかりて、そして一日遅れれば一日遅れるだけ国民の損になる、こういうことは明らかになると思いますので、平野先生の御提案なつ説明の中に盛られましたその趣旨とほとんど同様であり、今申し上げましたような外貨の面において、一方は外国から、一方は国内生産、そして加えて失業問題、こうした面において非常に有利な政策であるということができるだろうと存じます。これ以上質問の形で申し上げたところで、これはもう十分に御承知のことでありますので、今日は当委員会にこの法案に関連した飼料購入という問題を、もうちよつと飛躍的にこの面で考えを及ぼして、すみやかに日本食糧自給態勢確立のために、この御計画を立てていただきたい。また私たちもこれに対して御協力申し上げることを、強く申し入れておく次第であります。
  8. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 該博な御抱負をお聞きいたしておるのでありますが、これは先ほどの言葉が少し足りなかつたかと思いますが、フイツシユミール飼料として十分有効であり、また使えることは、もうこれは万人認めておるのであります。ただ北の方では鯨の血を固めたもの、あるいはまた長崎あたりにおけるいわしフイツシユミールといつたようなごくそまつなものまで使いこなして、実は非常にこれは役立つておるのであります。事実それは承知いたしております。しかしあなたの御指摘北洋漁業深海魚というか、北方の深海魚工船によつて生産するということについては、まだ検討中ということなのでありますが、フイツシユミール増産については積極的な意欲をわれわれは持つております。ただ現在金融その他についていろいろな問題が障害になりますので、ただいまも漁村における資金を設定いたそうといたしているときでもあり、あるいはまた農林金庫法を設置して資金面をなるべく潤沢にして行きたい。せつかく遠くまで捕鯨して帰つて来て、その油の始末に困らせるというような状況にありますので、そういうようなことをわれわれは積極的に解決して、この大事な資源をほんとうの飼料のルートに乘せるようにいたしたい。あなたの御指摘の点はよくわかるのでありますが、現在提案になつておりまする飼料の問題は非常に急を要しますので、われわれはこれに賛意を表しておるのでありますが、並行して積極的な意欲をもつて十分これを考えることに、決してやぶさかではございません。
  9. 夏堀源三郎

    夏堀委員 そこで結論として申し上げたいのですが、金融の面においてたいへん御苦労である。現行政下においては私もそう考えます。ただいずれにせよ、日本食糧自給は絶対必要であるということから、総理も主となつて農林大臣委員としてときどき御懇談になりておるようです。これは永久的なことで、先ほど申し上げたようにたいへんけつこうなことでありますけれども、五百億とか、あるいは財政面においてそれ以上を支出してまでも、食糧自給をはかろうという御決意になつておるのでありますから、政府全体として、この大きな問題は、この何分の一かをお考えになればそう大した金ではないのでありますから、あまりおつくうがらないで、勇敢にこの食糧自給の大きな政策を成功してくださるよう、あわせてお願いする次第であります。
  10. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 食糧自給度確立は、日本民族として最大の目標であります。また非常に急を要する問題でございます。現在のように外貨を四億四、五千万ドルも食糧のために払つておるということは、何といたしましてもこれを防ぐように努力しなければならぬのであります。現在幸いに世界はまだ軍拡時代になつておりまするので、日本生産品が多少なり売れて参るのでありますが、これが平常になつた場合を、各界各層とも非常に心配いたしておるのであります。はたしてこの四億四、五千万ドルの外貨を今後獲得できるかどうか。戦争中における機械の老朽化技術の退化、そういつたようなことをつぶさに検討いたしますと、鉱工業における原材料の輸入等を勘案いたしますると、非常に寒心にたえませんので、私たちといたしましては、食糧自給場度を総合的に考えてやつておるのでありますが、その食糧自給度確立の総合の一環としてフイツシユミール考えることは、決してやぶさかではないのであります。来る機会にあるいは補正予算を組む時期等もありましたならば、なおこれは考えたいし、なおまた来年度予算編成については、もう予算編成の時期にもなつて来ておりますので十分考えまして、食糧自給確立のためにフイツシユミール工船のことについても、積極的に私たちは意を用いたいと思つております。     —————————————
  11. 佐藤重遠

    佐藤委員長 質疑の途中でありますが、急ぎますのでこの際ちよつと御報告いたしておきます。  昨日の委員会におきまして、アメリカ合衆国におけるまぐろ輸入関税法案が、一昨二十四日上院において四十三対三十二で否決された旨の報道に接しましたので、アメリカ側の好意ある取扱いに対し感謝決議を行い、決議趣旨を議長よりアメリカ合衆国へ伝達していただくことに協議が決定した次第でありますが、この際委員長及び理事に御一任願いました決議の文案を朗読いたします。    まぐろ輸入関税法案の取扱に対する感謝決議   先般来アメリカ合衆国においてとられつつあつた日本品の輸入関税引上げ措置については、日米間の友好的経済協力の趣旨にかんがみ、特に好意ある取扱いをされたい旨アメリカ合衆国政府及び国会当局に打電したのであつたが、まぐろ輸入関税法案については、六月二十四日上院において否決された旨の報道に接したので、本委員会としては、アメリカ合衆国側の好意ある取扱いに対しここに深甚の謝意を表明するものである。   なお、此の際アメリカ合衆国側が他の日本品の輸入関税についても、この上とも格別の御配慮をなされるよう要望するものである。   右決議する。  ただいま朗読いたしました文案を本委員会決議として、本決議趣旨を議長からアメリカ合衆国側へ伝達していただくよう要請いたしたいと存じますが、この点御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 佐藤重遠

    佐藤委員長 御異議ないようでありますから、さよう決定いたします。  なお本決議の取扱い手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じます。     —————————————
  13. 佐藤重遠

    佐藤委員長 質疑を続行いたします。内藤友明君。
  14. 内藤友明

    ○内藤(友)委員 大臣にただ一つお尋ねしたいのでありますが、大蔵委員会に、自由党の皆様の御配慮によりまして、食糧管理特別会計法の一部を改正する法律が出て参りました。これにつきまして農林大臣に伺いたいと思いますことは、農林省では当然食糧管理法の御改正をなさらなければならぬではないかと思いますが、それはなさるのでありますか、なさらないのでありますか、それをひとつお尋ねいたしたいと思います。
  15. 東畑四郎

    ○東畑政府委員 大臣に対する御質問でございますが、事務的な問題でありますから私から申し上げます。  食糧管理法と食糧管理特別会計法とは一応別個の法律でございますが、食糧管理特別会計法では、食糧の管理のためにいろいろ特別会計に必要な点を考えておるのであります。従来食糧という言葉を広く解釈いたしまして、およそ食糧なるものは、これを食糧管理特別会計法なるものの食糧であるという解釈をとつております。その食糧自体の需給事情によりまして、刻々変化をしておるのであります。たとえば砂糖まで食糧として管理をいたしました点もあるのでありますが、その後の需給事情上政令でだんだんこれを排除いたしまして、現在は米麦のみを食糧という解釈をいたしております。従いまして管理特別会計法の食糧は、根本法がない場合におきましても現案に適用しておるという例がある。現実澱粉等は現在買つておりませんけれども、買うという方針はその解釈でいたしております。ただ飼料を買う、こうなりますと、これは食糧と代替するものでありますけれども、飼料を買うという目的で買う場合におきましては、現在の食糧管理特別会計法ではできない、こういう解釈になろうかと考えておる次第であります。
  16. 内藤友明

    ○内藤(友)委員 私がお尋ねしたのは、そういう御説明をお聞きしようと思つたのではないのであります。もちろん私は食糧管理法、食糧管理特別会計法は別個の法律であるということは、教えていただかぬでも知つております。けれども関連性あるものでありますから、この法律が出ましたこの際、食糧管理法等を御改正なさるのか、なさらぬのか、これをお聞きしただけです。そういうよけいな講釈をお聞きしたのではございません。
  17. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 事務的にお答えいたしたようですが、これはやはり二つの法律は違つておるようなわけでありますから、他の法律を改正することは必要ない、こう考えております。
  18. 佐藤重遠

  19. 松尾トシ子

    ○松尾委員 戦争のときに、食糧政策上あるいは国民の食生活の改善の見地から、畜産振興ということに歴代の大臣がなかなかお骨折りになつたことは、まことによいのであります。その結果、最近になつて飼料の価格に非常に変動が起きて採算が合わない。ひいてはせつかく振興運動を進めていながら、これが中絶するというふうになりはしないかというので、わが党の井上良二君外九十何名で、食糧需給調整法というのを出しました。そして農林大臣ほか農林省の人たちに、非常な大きな成績を上げさせようと思つたにもかかわらず、どこかの軋轢がありまして、これが競馬の賭博法や何かと違うにもかかわらず、握りつぶされたとかいうことです。そしてそれのかわりに、今度の食管特別会計法一部改正によつて補うかのようにして出て来たように、誤解ですか、あるいは私はそういうふうに思われるのですが、その間農林大臣の政治的見解と、またそれのどのようなニユースをお聞きになつたか、どうしてこういうふうなことになつたのか、また食管特別会計をお出しになつて、それがこれのうらはらであるならば、その内容あるいは目的がどういうふうに違うのかということの御見解を承りたい。
  20. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 事国会に関することでありまして、農林行政がそれに入つてはならぬと私は思うのであります。ただしかし、井上さんの御構想も非常にりつぱな構想でございます。しかしあの法案の御説明をお聞きいたしておりますると、どうも末端まで安心してきつく持つて行けるという自信がないのでありまして、これは委員の方々からお聞きしたのでありますが、委員の方々の中においても、実際末端まできゆつと企画して流して行く自信がなさそうであつたのであります。またわれわれが事務的に見ましても、なかなかそううまく行かぬようであります。その法律に何か圧力があつたとかどうとかというようなことは、寡聞にして私承知いたしませんが、この関連性については提案者からお聞きとりを願いたい。
  21. 松尾トシ子

    ○松尾委員 今の農林大臣の御説明ですと、末端まで事務的にその買い上げた飼料を流せるかどうかが、一番問題だとおつしやるのですが、それがためにこの需給調整法をつくつて、農林省がとくと監督をして行けば私はできると思うのであります。もつと努力をすればできることです。それぶために農林省があるのですから……。けれども、これはもう少し政治的に見ると、どうも野党の人たちに自由党が手形を渡して、そんな成果を上げさせたくないというのじやないでしようか。これは皮肉な言い方ですが……。
  22. 平野三郎

    平野三郎君 ただいまの御質問は、国会の問題でありますので、提案者としてお答えを申し上げます。実は井上君外野党各派諸君の御提案飼料需給調整法は、まつたく今日何も政策がとられない白紙の状態においてはまことに必要な法案であり、私どもも賛成をいたしておるのであります。しかしながらなるべく法律というものは、つくらない方がよろしい。できれば自由にして目的を達成することが妥当であるということは、これは野党の諸君も御同感であろうと思うわけであります。そこで私ども考えまして、要するに飼料の統制をするということは、絶対量が不足しておるからそういう必要が起るのであるから、とにかく国内で足らないままにしておいていいろいろ操作をしましても、足らないという問題が解決しなければ、これは何にもならないわけでありますので、どうしても飼料の絶対量をふやすべきではないか、それにはやはり飼料輸入をはかりまして、そうして絶対量を増加して問題の解決をはかる方が妥当ではないか、かような見解から、今回この法案提出いたしたわけでございまして、この法案がなしといたしますならば、飼料需給調整法の必要もあろうかと思うのでありますが、この法律ができますれば、ああしたものはなくても目的が達成せられる。できれば末端まで配給統制を行つて行くというようなことは、今までいろいろ公団とかあるいは種々の統制がありましたけれども、ことごとく失敗に終つておるわけでありまして、できれば自由にして、いつでもほしいときに適正な価格で買うことができるということは、国民が要望いたしておるのでありますので、さような趣旨をもちまして、この法律案提出したわけでございます。ぜひともひとつ御賛成をお願いしたいと思うのでございます。
  23. 松尾トシ子

    ○松尾委員 ただいまの御説明によりますと、この食糧管理職別会計法を通過させれば、不足の飼料がかなり緩和されるとおつしやるのですけれども、一体二十七年度の輸入計画というものは、予算と同時にきまつでおると思うのです。私ははつきり説明をお聞きしたがつたのですが、この食糧のために新たに二十一億ばかりを食つて、これらの対策に充てろというように聞いておるのですけれども、この二十七年度の輸入食糧計画のほかに、一般会計から二十一億をこの僻別会計に流さない限りは、既存の計画数字を食つて行くだけであつて、決して効果は上らぬと思うのですけれども、この見解はいかがですか。
  24. 平野三郎

    平野三郎君 御承知の通り現行法におきましては、飼料輸入ということはできないことになつておるわけで、食糧として輸入いたしますもののうちに、ふすまなどが副産物として出ますので、これを飼料に割当てる、こういうことで飼料輸入というものは、二十七年度の計画には全然入つておらないわけでございます。従つて今回この法律を幸いにして御賛成を願い、成立いたしますならば、飼料輸入をやるわけでありまして、その結果当然政府の赤字が若干増大するであろう、それがおおむね二十億程度になるのではないかという推定を、現在いたしておるわけでありまするが、これは当然いずれ補正予算機会等がありますならば、一般会計から補填をするということになるものと思われるわけでありますけれども、当面としては、そうした予算的な措置が現在ありませんので、食管におきますところの予備金を一時融通をいたしまして、そうしてこれに充てて、いずれ適当な方法でこれを処理する、こういうふうに考えておるわけであります。
  25. 松尾トシ子

    ○松尾委員 予備金をおとりになつてこれを充てみというふうにおつしやいまして、その点はよくわかります。ところが予算は、特別にとつても施行する場合には、その行政措置のいかんによつては、効果が上げられないと思うのです。私はあまり農村のことはよくわかりませんけれども、この飼料購入には時期を要するのであつて、とんでもないときに買つたつて、決してためにならないし、またその結果としては弊害を生じて、もうけ戸ものは非常にもうけて、しわ寄せになるのは、いつも消費者だというふうになりがちなので、この場合には特に食管特別会計の中で二十億ですか、その予備金の一部門としてお置きになつて飼料購入をなさるおつもりでしようか。この点をお聞きしておきます。
  26. 平野三郎

    平野三郎君 まことにお説の通り、飼料というものは時期的に非常に上下があるわけでありまして、ただ漫然と輸入いたしましたのでは、まつたく効果が上らないということはその通りでございます。現存最も飼料の安いときでありまして、冬場になりますと非常に高騰する。従つて今早急に手配をいたしまして、来るべき秋に備える、こういうことでありますので、幸いすみやかに御賛成を願いまして、早急に政府をして今の時期に手配をせしめて、そうして冬場に備えたい、かように考えておるわけでございます。
  27. 松尾トシ子

    ○松尾委員 飼料といたしましては、青草のはえているときと、あるいは枯れどきのときとは、その必要度が違うと思いますけれども、一体年間を通じてどのくらい必要なものであつて、どのくらい不定なのか。その場合外国食糧によりまして飼料に出て来る用途、あるいは国内産の麦によつて出て来るものとは、どういうふうな事情になつているかを、この際專門家でない私にちよつと察し願いたいと重います。
  28. 長谷川清

    ○長谷川政府委員 お答え申し上げます。飼料の年間必要量は、流通飼料について申し上げますると、大体百六十万トン程度考えておるのであります。このうち国内でまかなうことができると考えますのが、約言四十万トンでございます。従つて二十万トン程度はどうしても輸入飼料にまたなければならない。先ほど来お話のありますように、最近の飼料需給状況から見まして、その二十万トンをさらに二十五万トンに増強いたしまして、畜産農家の価格の安定をはかろう、こういうふうに考えておりまして、現在のところ二十五万トンの輸入をいたしますれば、大体年間の需給をまかなえるものだ、こういうふうに考えております。なおこのほかに実は食糧庁におきまして、一般の食糧といたしましてマニトバ小麦約十万トンを輸入することになつております。これを製粉いたしますと、大体その半分のものがふすまに相なりますので、約五万トン程度のふすまがそれによつて確保できる、そういうふうに考えますと、先ほど申し上げました二十五トンにさらに五万トンのふすまが追加されますから、約三十万トンのふすまが外国飼料によつて供給される、こういうふうにお考えいただければいいのではないかと思う次第であります。
  29. 松尾トシ子

    ○松尾委員 飼料の適正価格というのは、大体当局ではどのくらいにお考えになつておりましようか。そして今の価格とはどのくらいの差があるのですか。その点をもう一度お伺いいたします。
  30. 長谷川清

    ○長谷川政府委員 飼料の価格がどの程度が適正であるかという点につきましては、一般の農産物の値段の関係、また畜産物の価格等々とにらみ合せて考えなければならないと思いますので、なかなか困難な問題でございますが、大体現在のところ、飼料のうちで中心でありますところのふすまについて申し上げますると、御承知のように本年度の麦は小麦一表二千円で買い上げることに相なつております。これから発生いたしまするふすまは、大体生産者渡しの価格約五百九十円程度のものが、一応適正価格ではないかというふうに考えるのであります。過日開かれました米価審議会等におきましても、一応そういう価格が標準にきめられておるような次第であります。
  31. 松尾トシ子

    ○松尾委員 ただいまはどのくらいなのですか。
  32. 長谷川清

    ○長谷川政府委員 現在流通しておりますふすまの価格は、七百円程度になつておるものもあるように承知しております。
  33. 松尾トシ子

    ○松尾委員 このいわゆるやみ価格を防止いたしまして、適正価格に飼料がなつてつて、歴代の農林大臣並びに大蔵大臣がたいへん御努力なすつたその成果が上ることは賛成なのです。同時にこの食管特別会計法を通すとともに、やはりこつちの需給調整法もお通しになつた方が、もつと線がはつきりしていいのじやないか。私どもの党といたしましては、これをうらはらの問題に考えまして、もう一度賛否をよりより考え直そうというような状態になつておりますから、相談の上で、また明日も質問させていただくことにしまして、きようはこれでおしまいにしておきたいと思います。
  34. 平野三郎

    平野三郎君 ただいま畜産局長からお答えになりましたように、米価審議会において先般答申いたしましたふすまの価格が、いわゆる製粉工場の工場渡しが五百九十円ということでございますが、これを現在製粉工場が六百五十円から六百七、八十円で売つております。農家へ行きます場合には七百円以上とられる、こういうことでありますから、輸入補給金のついた麦の副産物であるふすまを、製粉工場の方でもうけておるのだ、従つてそれに対して政府が指示をすることが必要であるということが、この飼料需給調整法の目的でありまして、従つてどうしてもこの飼料需給調整法を通してそれで抑制する必要があるのだということが野党各派の御主張であります。この点につきましては私どもも同感であります。しかしながら今回この食管特別会計法の改正案を御賛成願つて、そうして輸入量が増加して絶対量がふえれば、自然に現在のやみ価格が五百九十円の近くまで下つて来るのではないか、そうすれば飼料需給調整法とうものは必要がないということになるわけでございます。しかしながらこの処置をとりましても、依然として飼料価格が下らないという場合においては、確かに飼料需給調整法の必要も認めなければならぬと思いますけれども、まずできるだけそうした無用の統制は避ける方が国民の望むところである、こういう見地からこの法案を出しておるわけでありまして、もしこの措置をとつてもなお効果の上らないという場合におきましては、あなたの御議論も成り立つのではないかと思いますが、当面といたしましては、ぜひこの法案に御賛成をいただきたいと、重ねてお願いを申し上げるわけでございます。
  35. 松尾トシ子

    ○松尾委員 私どもは食糧問題も十分になつているとは考えておらないので、まだ米も統制しなければならぬし、麦の問題もなかなかむずかしいのですが、お宅さんの方では自由販売を主張しておるのですから、この点は見解の相違だと思います。それでなかなか結論が出ないと思うのですけれども、また明日の機会に、もう少しお互いにお話し合つてみたいと思います。
  36. 佐藤重遠

    佐藤委員長 本日は午後一時から、未復員者給与法案の一部を改正する法律案に関する連合審査会を開会する予定でありますので、本日はこの程度にて散会いたします。次会は明二十七日午後一時より開会いたします。     午後零時三十九分散会