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佐藤国務大臣 お話はよくわかりました。私もこの
委員会へたびたび出席を求められておるにかかわらず、今までも出て参りませんし、また出て参ればただちに呼出しを食
つておるようなことで、まことに恐縮に存ずる次第でございますが、ただいまのお話は
根本の問題でありますので、私
どもが
事業運営をいたして参ります際に、大いに耳を傾け、同時にまた心して
運用して行かなければならない点もあるやに伺
つたのでありますので、一言所見を申し上げて、ことにその中の御
質問と
考えられます
公企業体案についての
考え等もごひろう申し上げまして、お答えをいたしたいと思います。
それで
民主政治のあり方、しごくご
もつともでございます。しかしてここに
一つのむずかしい問題があるのでありまして、御承知のように
政府が貯蓄奨励をいたしておりまするが、その貯蓄奨励ということは非常に
けつこうなことでも、その手段方法を誤りますると、とんでもないことになる。
ちようどそれと同じように、生命
保險が非常に大事なことであり、同時にまた貯蓄にもなるわけでありまするが、病気にな
つた、またその後の死亡等の処置のことを
考えますと、どうしても
保險というものは普及徹底さすべきものだと思います。やはりこの
勧誘にあたりましてはよほど気をつけませんと、せつかく入りたい者もその
勧誘に応じかねる。私自身の経験から申しましても、若い時分は最もうるさいものは
保險の
勧誘だというような感がいたしまして、その
勧誘に来た人を
自分のうちへ上げて話を聞くというような気持には、なかなかならなか
つたものであります。そういうような仕事でありますだけに、なかなかむずかしい問題だろうと思います。これらの点に触れての御高見は、しごく私も心しなければならないことだと共感いたしておる次第でございます。
しかして第二に、各省間の
摩擦ということを言われ、ことに戦時中の
陸海軍の
摩擦等を例にと
つて申されておるのでありますが、この
摩擦ということになりますれば、各省
一つだけの
摩擦ということは
考えられない。戦時中において
陸海軍が
摩擦したというように
——これはいいとか悪いとか申すのではない。どちらがいいとか悪いとか申すのではないが、
摩擦という事実はとにかくそういうところから起るのであります。この
摩擦が生ずるということは、これはだれもいいと是認はできない。ことに
参考人として呼ばれました組合の笹川君の
意見が、
郵政省の
意見を代表するのじやないか、かような御
心配もあるやに見受けたのでありますが、この点は賢明なる
夏堀委員が、大臣の御
説明と、皆様方がお呼びになりました
参考人のその
意見との
食い違いがもしあるといたしまして。どれを御信用なさいますかは、これは
委員の方におまかせしてしかるべきものだと思います。ただ重大な問題として、この際私の
意見を申し上げたいことは、今回の
運用権の復元の問題につきましては、ただいま御
心配のような、大蔵
事務当局と郵政
事務当局との間に
摩擦があるのではないかという御
心配、これはしごくご
もつともな御
心配のようにお見受けいたすのであります。私もそのような点につきましては、やはり全然事実はなか
つたとは申しません。おそらく大蔵大臣も同様なことを
考えておるのではないかと思います。と申しますのは、この復元の
法案は、次官
会議においては結局
結論を得ないで、閣議におきまして大臣同士でこの案をきめた。この一事をも
つていたしましても、両省
事務当局間においてそれぞれの主張があ
つたということは、これはもう
はつきりしている事実であります。私はこの事実を否定しようとはいたさないものであります。しかしながらこの問題の結末を、ただいま御
審議をいただいておりますような
法案の形において処理するということは、両省の
事務当局につながると申しますか、国務大臣の
責任におきまして、両省大臣が最終的な
結論を出した次第なのであります。従いまして、私
どもはこの両省の
事務当局間の対立した
意見が、さらに内閣自身の対立
意見にまで
発展しているとは
考えておりません。私自身もいわゆる
官僚の出身であります。従いまして、
事務を担当しております諸君の気持につきましては、あるいは皆様方よりか私の方が理解が深いかわからない。この
意見が対立いたしますゆえんのものは、いわゆる
官僚なるものはまことに忠実なものであります。従いまして
自分たちが担当しております職務の
遂行につきましては、だれにも譲らないだけの見識と申しますか、
一つの
意見をも
つておるのが、
官僚として当然のことなのであります。その
立場において主張いたします事柄を、ただ
摩擦という形において非難することは、やや実情に合わない点があり、同時にまた
日本の行政
組織に対しての御理解の点から申しまして、やや無理ではないかと思うのであります。で、私
どもが閣議におきまして最終決定をいたしました状態は、ただいま申し上げるような点を勘案いたしまして、最後に、これは
事務当局とは別に、やはり国務大臣の資格において最終的決定をするのが望ましいことだ、また両省の
事務当局相互間の対立を激化させないゆえんだ、これが私
どもの最後の
結論なのであります。これは
官僚が、
自分たちが担当いたしておりまする業務について、非常に忠実であるということと同時に、
官僚は
組織によ
つて動くものでありまして、個々ばらばらに独立した見識を持つものではない。やはり上司の命を受けて
行動をいたすものが
官僚なのであります。かような
意味合いにおきまして、両省間の
摩擦あるいは対立を激化させない、かような
意味合いにおいての最終的な閣議決定をいたしたような次第なのであります。この点につきましては、今後もかような問題を起しては相済まない。その点はただいま
夏堀委員から御
指摘の
通り、両省を担当いたします者といたしましては、
十分部下職員の言動等につきましても
責任をも
つて監視する要があるだろう。そうして本来としましては、どこまでも
政府としてりつぱな業績を上げて行くように、指導監督すべき責務が私
どもにあるわけであります。この両省の間の
摩擦についての私の
感じ、所見はただいま申し上げる
通りでございます。
そこで
簡易生命保險の
事業を公共企業体に移す
考えがあるかないか、こういうお話がありましたが、
簡易生命保險は、
政府事業として出発いたしておりまするし、今日まで公共企業体へ移行するというようなことは、いまだ
考えたことは全然ない次第であります。これだけの
結論を申し上げて、私のお答えといたす次第でございます。