○夏堀委員 先ほどの続きを申し上げます。郵政省の方では金利の率がふつり合いである、そのために赤字が出るのだ、そういうようなお
考えであろうと存じて、先ほど大蔵
関係の方に
質問したのであります。こういうようなことはどの
程度お話合いに
なつたかどうか。
政府部内のことであるから、郵政省の方がこうした赤字が出るのだ、だがこれは積立金の
関係があるから、結局積立金を全部引去るとこういう赤字が出るのだ、積立金の
操作によ
つて赤字は出ないのだ、こういうことを言うだろうと思います。そうした
事務的のことは
お話合いによ
つてできることであ
つて、そしてまたこの
運用においてこうしなければならない、こうすると赤字が出ないのだ、こうなればその
通りや
つても適当に処理はできるだろうと存じます。同じ
政府の間にあ
つて、足らなければ一般
会計からこれをまわさなければならぬ、
余裕金があれば一般
会計にまたもどさなければならぬということも、言えるだろうと思います。だから、これは
政府の一体とした資金
運用上の問題であ
つて、大した問題ではなかろうと存じます。その点に対して個人の取引のように、どうにもならぬ、やはり
自分の手に納めなければ、この利回りはどうにもならないということにはならない、こう存じております。
ただこれまでの御答弁の内容を承
つておりますと、どことなくいわゆる募集維持のために
運用権を必要とするのだ、これが重点じやないか。募集維持のために
運用権を必要とするならば、これはちよつと違
つた話にな
つて来ます。そこで
政府が積極的にこの募集事業を進めることによ
つて、これは
限度もありますから、か
つてにはできないでしようけれ
ども、民間の事業を圧迫するということも言えるでありましよう。であるから、保險事業というものは保險事業としてとり得ることによ
つて、
国家財政に役立つという面と、そして国民は国の信用、いわゆる
国家というものに対する信頼感、そうしたものも手伝
つておりましよう。けれ
ども、私は募集維持のための
運用権ということは、これは掘り下げて
考えてみますと、あながちそうでもないように
考えております。ただこれを第三者が
考えた場合に、なるほど
自分で募集したものは
自分でこれを
運用するから非常にやりやすいし、また積極的に持
つて行くにいい、こういう感じがいたすでありましようけれ
ども、これが
政府としての場合は、個人や会社と違
つて来ますので、これもあながちそうは申せないと思います。実はこの募集に携わ
つている数名の人で非常に親しみのある人がありますので、ときどきその連中が私のところに遊びに来るので、それとなく、一体君らはどのくらいの收入にな
つているのか、そこで今問題にな
つておるいわゆる
運用権という問題について、はたして下部の募集員はどの
程度のことを
考えておるかということを、いろいろ話合いしたことがあります。彼らの言うことは、この募集した金はどう
運用されようと、われわれ下部の者にはわからぬし、これに対しては大した関心を持
つておらぬ。ただ與えられた
責任額はどうしても募集しなければ、帰
つてからはなはだまずい顔をされる。いわゆるにらまれるということであります。にらまれて最後には進退伺いをしなければならぬ。それは首の問題である。そこで與えられたそのいわゆる
責任額を果すことによ
つて——これは資料の中にも入
つておりますが、相当いわゆる奨励金と申しましようか、そういうものが得られる。それはたしか保險料の三〇%とな
つておりますか、もし三〇%になれば相当のものであ
つて、そうなれば大したものですが、それが十三箇月以内にもしあとの掛金ができなければこれは没收なのだ。そういうこともあるように聞いております。
政府はずいぶん苛酷なことをするものだ、こういうことも
考えたのであります。今はかわ
つておるかもしれませんが、とにかく何とい
つてもその募集の金額の割当、
責任を果さなければ非常にまずい顏をされるので、門から入ることがまことに入りにくい、こういうことを繰返して
言つております。そこでそれが
自分の生活に非常に影響を受けるのである。食うがためには一生懸命働かなければならぬ。そうすると、君らはその
運用ということはあまり
考えないのか。なるほど上層部では
考えておるけれ
ども、募集員はそこまで
考える余裕がない、こう申しております。そこでこれは募集の維持と
運用権というものは、大臣初め郵政省の上層部の方々のいわゆる構想であり、御
意見であ
つて、下層部の募集に携わる人方の
意見ではないのである。けれ
ども募集ということになれば、郵政大臣御本人が
行つて募集をやるなどということはおそらくないでありましよう。そういうわけでありますから、第三者が
考えた場合に、募集維持と
運用権の問題は不可分の
関係にあることになりましよう。そういうふうに
考えやすいところでありますが、実際問題とすれば、その人方は
自分たちの生活のために、そうしてその成績を上げることによ
つて門から入りやすい、ほめてもらいたい、こういうことを重点的に
考えておるようであります。先ほどの三〇%、これはいつの時代であ
つたか、今はそうであるかどうかわかりませんが、そういうことも聞いたことがあ
つたということであ
つて、間違いであ
つたかどうか知りませんが、感じとしては募集の維持と
運用権は一体化することによ
つて、効果百パーセントということは言えないだろうと私は
考えます。これは御答弁を承
つたところで水かけ論になるかもしれませんが、私はそう
考えております。そうな
つて参りますと、さつきパンフレットの問題がありましたが、パンフレットにもそういうことが書いてありますので、おそらくその下情に通じておる人たちであれば、必ず
自分の生活ということをまず
考える。上司の連中によい顔をされるということを
考えることは人情であります。そうな
つて来ればいわゆる人情としてそういう動きを示すことは当然であ
つて、大きく
政府の上層部が
考えておるように、これを
運用するということははたしてどうか。しかし地方還元ということもこのパンフレットの中に入
つておりますが、地方還元ということと資金の統一、一元的、能率的、効率的
運用ということと、そこにも矛盾がある。資料をわれわれは要求いたしましたが、まだはつきり目を通しておりませんので、大都市に対してはこの募集額は、おそらく相当多いでありましよう。か
つての時代にはあるいは五〇%、東京と大阪あたりで五〇%という時代もあ
つたそうです。そうして農村県には金がないから、募集の額は少いという。そうすると地方還元ということが
——大都市はこれは俸給生活者が多いので、俸給日に取立てに行く、そういう
関係もありましようけれ
ども、大都市の募集に対して還元するというのか。そうすると地方還元ということは、何か農業
関係は運営を今後
考える。そのために農業
関係の人方もこの運営会に入れるのだ。こういうことを
言つておるようでありますが、そこにも矛盾を来すのではないか、こう
考えるわけであります。今申し上げたことは郵政省側で最も強く主張する募集の維持と
運用権の問題、それから一元的資金の効率的運営ということと、そうしてパンフレットの中にもあります地方還元ということに矛盾がある。この点に対してはどのようにお
考えにな
つておりますか。