○
石井説明員 会計法の原則によりますれば、もとより
一般公入札によ
つて、時価をも
つて処分するということに相なるわけでございまして、
緊要物資の売払いに関する
法律が、この例外といたしまして、私
どもに、特に時価
によりませず、
輸入価格ベースで売
つてもよろしいという権限を与えましたものは、もちろん例外的なものでございますから、きわめて厳密に解釈しなければならぬというふうに
考えております。ただ従来は、この
基金が国際経済協力とい
つたような見地からの、
特需原材料の取得だけでございましたから、問題はやや簡単でございましたが、今後はそれ以外に、いわゆる政策的な
目的をも
つてこの
基金を運用いたすといたしますれば、御説のような見解も成り立つわけでございますが、当省といたしましては、まず第一に、この
基金が取得いたします
ニッケル、
コバルト等のものは、
民主主義諸
国家が大いに協力し合う意味から、海外から
割当を受けて、従
つていわば国際的マル公で
輸入されるものでございますから、この
民主主義諸
国家の協力に必要な諸方面への売
渡しというものは、まず特に時価より安い
値段で売
つてもさしつかえないのじやなかろうか。すなわち
特需その他の国連協力等の
用途は、
輸入価格ベースで行く。それから第二段は、国の官庁の
需要のうちで、はつきり官庁自身の
需要するもの、たとえば例といたしまして、このような例をあげるのがよろしいかどうか存じませんが、電通省で
ニッケルで電話機をつくるというような、官庁間で
——特別
会計でございますと非常に問題がございますが、官庁間で高い金のやりとりをし合うというのがはたしていいかどうか。これは
大蔵当局とも相談しなければなりませんが、このようなものにつきましては、いわば
会計間の移管でございますので、
輸入価格ベースで
考えていいじやないじやないかと
考えております。さらに第三は、
輸出の
増進のために必要な
用途でございますが、これは現実の
輸出に結びついておりませんければ、
見込み生産で
輸出用だとい
つて割当を受けまして、自転車の
ニッケルのメッキに使
つて、
国内でどんどん売
つておるというようなことでは、これはもちろん問題にならぬわけでございますけれ
ども、現実に一台に何グラムいりまして、それが
輸出されたということが確認されました場合に売るのでありますれば、国際経済競争という見地から
考えましても、さしつかえないのじやなかろうかと
考えまして、まず
輸出を
考えたい。それから第四番目といたしましては、
わが国としては、何にいたしましても
産業の
合理化をいたしまして、設備の更新等を推進せねばならぬのでございますが、実は
機械類につきましては、国際稀少
物資が足りませんために、非常に
機械が悪いという例が多いのでございます。一例をあげますと、人絹製造のためのギヤーポンプというのがございますが、これは若干の
ニッケルあるいは
コバルトを添加いたしました鋼材でつくりますれば、二月も三月も持つ。これらの混入がございませんと、一週間あるいは五日ですべて消耗してしまう。しかも一個の
価格は数千円に及ぶ。このような
状況でございまして、
わが国の
産業設備が遅れているというのは、
機械が構造的に遅れているのみならず、材質的に非常に遅れておるのであります。この点は
コバルト、
ニッケル等の不自由
関係から来ているので、
産業合理化のための諸
機械の製造、たとえて申しますれば、今回の企業
合理化の促進法で、あるいは特別償却を受け得るように指定された
機械でございますとか、あるいは関税定率法の適用で、外国から
輸入するのであれば関税をまけてやる、関税の免税をいたす。このような機器類につきましては、その製造
原料に使うこれらの
ニッケル、
コバルト等を、
輸入価格ベースで売り
渡してもさしつかえないじやないかと
考えておるのでございまして、政策的な
考慮が問題になるのは、最後の
合理化促進用に必要な
機械類とい
つたような範囲だろうと思いますが、これもただいま申し上げましたように、あるいは企業
合理化促進法において、あるいは関税定率法において、あるいは法人税法等において、自動的にきま
つておるのでありまして、これらの線に即応して処理いたしますから、御懸念のごときことは起らないのじやないかと
考えております。