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宮幡委員 ただいまの
大蔵大臣の御答弁はまことに適切であ
つて、あるいは私個人の感じかもしれませんが、最近の
政府側の御答弁として最大のお
考えであると思うと同時に、その気持に対して少からず敬意を表するものであります。そこで、そのようなことについてこれからあと一々お答えをいただいていては、時間がむだになりますので、大体項目を並べまして、最後に
大蔵大臣のお答えをいただくことにいたします。
まず、サンフランシスコ平和條約において、日本の賠償義務の限界はおおむね明らかに
なつたわけであります。しかしながら、平和条約の未締結国の方が多いのであります。調印国の四十八箇国全部が条約を批准し効力を発しておるのではない現在、もし
貿易その他の
関係におきまして、日本が債権を持ちあるいは
資金を個々に集めるといつたような立場に
なつた場合に、いわゆるアタツチメントと申しますか、そういうことが絶対に起らない——平和条約を締結した国はわか
つておりますが、しからざる国と通商
貿易をいたしまして起つた日本のいわゆる債権、かようなものに対してアタツチメントが絶対にないというお見通しがあるかどうか。これが一点。
それから
国際通貨基金にまだ加入しておらない、あるいは為替
銀行制度が確立しておらないで——これは日本の方にもそういうことが言えますが、コルレス
契約も締結のない状況で、正常の
貿易が開始されるとは
考えられぬのであるが、その点について
大蔵大臣はどう
考えておられるか。これが第二点。
現に占領下において行われました中国との
貿易、これはエスクロー・バーターと申しまして、しかもこの
貿易の
実績というものを反省してみますると先ほど
大臣の御答弁の中にもありましたように、われわれの方、日本側の義務の不履行あるいは責任の回避等によ
つて貿易が行われないのでなくして、相手方、少くとも中国側のそれぞれの機関におきまして不履行の場合が多いのでありまして、
輸入先行でエスクロー・バーターいたしましても、その
実績が少しも上
つておらない。こういうものに対しまして、またいまさらのごとく大陸
貿易という大目標のもとにこれを唱えても、実際実現の力があるかどうか。これは
大蔵大臣の
考え方を伺えばいいのであります。これが第三点。
その次の問題は、大体先ほどの
大臣のお言葉にもありましたが、戦前において日本の大陸
貿易が振つたということは、大陸の中に日本の
経済活動の基盤があつた。
大臣の言葉を拝借いたしますれば権益を持
つておつた。それによ
つて日本との通商
貿易の
機会が生れて来て、その
貿易が振興したのである。しかるに今のように権益も何もない裸の日本が中国と
貿易をいたしまして、はたして観念論でいうがごとく、ウエートがあるところの
貿易が再開せられるとお
考えにな
つておるかどうか。またソ連について
考えてみましても——これは少し外務
大臣の方にも及ぶ話でありますが、ソ連の通商代表部というものは日本にありません。今ありますソ連の代表部というものは、これを認めるとか認めないとかについては、岡崎国務
大臣はまことにうまい答弁をせられておりまするが、これは占領下にありました日本の実情におきまして、あくまでも総司令部に対するソ連代表部であ
つて、日本に対する代表部ではない。こういうソ連の通商代表部もないようなときに、ソ連との
貿易をやるべきだ、やらないならば
政府の責任だなどと追究いたしますことは、妥当性がないと私は
考えるが、これはどうであるか。従いまして、こういう諸
条件を——まだたくさんありますが拾
つてみましても、大陸
貿易などということを、観念論的に
政府を追究いたします議論として述べて参りますならば、どう
考えてみても——平和回復ということはもとより望ましいことであるが、もしできなくとも、いわゆる国交の回復、友好の状況に返るということが先決問題であ
つて、その後におきまして初めて、イデオロギーの相違がありましても、
経済的交流が行われるべきである。いわゆる
貿易の再開の方が国交の回復のあとであるということ左私どもは
考えるが、その点はどうお
考えにな
つておるか。
さらには、これは
大蔵大臣直接の問題でないので、お尋ねするのは無理かもしれませんが、
予算委員会の
質問の中にもしばしばバドル法のことが申し述べられております。もちろん基本法はケム法、ケム修正法であ
つて、最近はバトル法でありまして、日本がアメリカの援助を受け、バトル法の
条件にはまりまするならば、日本の
貿易管理の諸法制というものも、もちろんこれに固定いたさなければならないのでありますが、現在の日本といたしましては、国連憲章の精神に矛盾しない限り自主的な
貿易政策をとることができることは疑いないところであります。従いまして、バトル法を忠実に守るがゆえに
貿易ができないのだという非難は私は受けたくないのでありますが、
貿易及び
金融政策を担当せられております
大蔵大臣としましては、これらに対してどういうようなお
考えを持
つておられるか。大要でよろしゆうございますから、この際御答弁をいただきたいのでおります。しかしてなお
委員長に申し上げておきますが、その他の問題は話し出すとやはり長くなりますからきようは譲ることにいたします。