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1952-04-23 第13回国会 衆議院 大蔵委員会 第56号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
二十七年四月二十三日(水曜日) 午前十一時十一分
開議
出席委員
委員長
佐藤
重遠君
理事
奧村又十郎
君
理事
小山
長規
君
理事
佐久間 徹君
理事
内藤 友明君
理事
松尾トシ子
君 大上 司君 川野
芳滿
君 島村 一郎君 清水 逸平君
苫米地英俊
君
夏堀源三郎
君 三宅
則義
君
宮幡
靖君 武藤 嘉一君
出席国務大臣
大 蔵 大 臣 池田 勇人君
出席政府委員
大蔵事務官
(
管財局長
) 内田 常雄君
大蔵事務官
(
銀行局長
) 河野 通一君
大蔵事務官
(
銀行局総務課
長) 福田 久男君
委員外
の
出席者
大蔵事務官
(
管財局閉鎖機
関課長
) 堀口 定義君 参 考 人 (旧
朝鮮銀行
副
総裁
)
星野喜代治
君 参 考 人 (旧
朝鮮殖産銀
行理事
)
石川
清深
君 参 考 人 (旧
台湾銀行頭
取)
上山
英三
君 参 考 人 (旧
台湾銀行マ
ニラ支店支配
人)
田村
宏君 参 考 人 (旧
朝鮮銀行理
事)
桜沢秀治郎
君 専 門 員 椎木 文也君 専 門 員 黒田 久太君
—————————————
四月二十二日
煙火類
に対する
物品税撤廃
の
請願
(
千賀康治
君
紹介
)(第二二五〇号)
たばこ小売人
の
利益率引上げ
に関する
請願
(冨
永格五郎
君
紹介
)(第二二九〇号)
たばこ小売人
を
特殊性格業
として免税の
請願
(
冨永格五郎
君
紹介
)(第二二九一号)
造船産業
の
労務者用特価酒確保
に関する
請願
(
門司亮
君
紹介
)(第二三二七号) の
審査
を本
委員会
に付託された。
—————————————
本日の
会議
に付した事件
連合審査会開会
に関する件
国有財産特別措置法案
(
内閣提出
第五九号)
閉鎖機関令
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
第一四三号)
国有財産法
第十三条の
規定
に基き、国会の
議決
を求めるの件(
内閣提出
、
議決
第一号)
—————————————
佐藤重遠
1
○
佐藤
委員長
これより
会議
を開きます。 本日はまず
閉鎖機関令
の一部を
改正
する
法律案
を議題といたします。本案につきましては
利害関係者
として旧
朝鮮銀行
、
台湾銀行
、
朝鮮殖産銀行
の
責任者
を
参考人
としてお招きしてありますので、これより
参考人
の
方々
から
参考意見
を聴取いたしたいと存じます。 なお本日御
出席
の
参考人
の
方々
は、お手元に配付してあります印刷物の
通り
でありますが、念のため読み上げます。旧
朝鮮銀行理事桜沢秀治郎
君、同じく副
総裁星野喜代治
君、旧
台湾銀行頭取上山英三
君、旧
台湾銀行マニラ支店支配人田村宏
君、旧
朝鮮殖産銀行理事石川清深
君でございます。 それでは
参考人
の
方々
におかれましては、
忌憚
のない御
意見
の開陳をお願いいたしたいと存じます。まず
星野喜代治
君の御発言をお願いいたします。
星野喜代治
2
○
星野参考人
私元
朝鮮銀行
の
役員
をいたしておりました
星野
でございます。今日は
皆様会期
が非常に切迫しておりまして、非常に御多忙のところ、私ごとき者を
参考人
としてお呼び出しくださいまして、ただいま
委員長
のお話によりますれば、
忌憚
のない
意見
を申し述べてくれ、こういうありがたい御趣旨でございますから、そのつもりで私は
忌憚
のない
意見
を申し上げてみたいと存じます。 実は私はか
つて
過去におきまして、
大蔵省
の役人をいたしてお
つた
ことがございますので、この
法案
に対して
反対
の
意見
を述べなければならない立場にございますことは、私情といたしましては非常に心苦しい点でございます。しかし本
法案
は私が
大蔵省退官
後、
役員
としてかなり長い間勤務しておりました
朝鮮銀行
の
株主
その他の
債権者
に対して、非常に重大な
関係
のございます
法案
でございますので、多少研究して参
つて
おるところもありますので、
忌憚
のない
意見
を申し上げたいと存じます。 まず第一番に私の申し上げたいことは、
朝鮮銀行
が
終戦
後
閉鎖機関
の
指定
を受ける前に、ほとんど
終戦
と同時に、
内地
の
支店
というものは全部閉鎖されて
しまつたの
であります。御
承知
の
通り昭和
二十二年の三月
閉鎖機関令
が公布されると同時に、
閉鎖機関
の
指定
を受けたわけでありますで御
承知
の
通り閉鎖機関令
の示すところによりまして、
大蔵大臣
から
閉鎖機関
の
指定
を受けますと、ただちにこれが
営業
を停止されることはもちろんでありますが、その後
解散
いたしまして
清算
に移るのでございます。普通の場合でございますと、
日本
の
商法
の
規定
によりまして、
解散
当時の
取締役
が当然
原則
として
清算人
とな
つて
清算
に当るのが普通なのであります。ところがこの
閉鎖機関
の
指定
を受けますと、あたかもこれは
個人
が
ちようど戦争
に協力した懲罰といいますか何といいますか、
追放
にあ
つた
と同じ
待遇
を受けるのであります。
つまり清算
に対しては、過去の
閉鎖機関
たる
会社
を長年の間愛育して来たところの
役員
、また非常に
利害関係
をともにして来ましたところの
株主
というような者の
意思
は一切顧慮されないで、そして
政府
が設けました
閉鎖機関整理委員会
という
機関
の手によ
つて
、か
つて
にというとおかしいですが、
監督
はしておられるでしようが、とにかく
株主
とか従来の
関係者
の
意思
は全然無視して
清算
が行われるのであります。また後に詳しく申し述べますが、そういうような
待遇
を受けますのが
閉鎖機関
なのであります。
朝鮮銀行
はそれでは何ゆえに
つまり会社
としての
戦争犯罪人——追放
にあ
つて閉鎖機関
として
指定
をされたかということになりますと、
閉鎖機関
の
指定
というようなものは非常に不公平な
指定
でございまして、同じような
仕事
をしてお
つた
、たとえばわれわれの
朝鮮銀行
は、
日本
の
領土朝鮮
において平和的な
金融
をや
つて
お
つた
にすぎない
銀行
であります。
海外
の土地において
活動
してお
つた金融機関
であれば、ほかに
正金銀行
というような
銀行
もあります。ところが
正金銀行
は
台湾銀行
や
朝鮮銀行
と違いまして、第二
会社
としていち早く
東京銀行
の設立が認められているわけであります。そういうふうなわけでありますが、
朝鮮銀行
は中には
外国法人
だ、
朝鮮人
の
銀行
じやないかというような誤解をしておられる
向き
がありますが、
朝鮮銀行
は決して
朝鮮
の
銀行
ではありません。
日本
の
銀行
であります。
内国法人
であります。明治四十四年に
日本
の
法律
でありますところの
朝鮮銀行法
によ
つて
設立されたのであります。
日本
の
大蔵大臣
の指揮、
監督
のもとに常に置かれてありましたし、
株主
の大
部分——
大
部分
と申しますと、八十万株の
株式
のうちで、純然たる
朝鮮人
並びに
朝鮮人
の
会社
が
所有
しておる
株式
というものは、わずかに三千三百二十三株にすぎません。八十万株に対して三千株、大したことはありません。ほとんどすべてが
日本人
が
株主
であ
つた
ということができるのであります。
重役
を初め
幹部職員
は全部
日本人
であります。ただ
本店
が
朝鮮
の
京城
にあ
つた
ということでも
つて
、あれは
朝鮮
の
銀行
ではないかということを言われる場合があるのでありますが、これは
営業
がだんだん発展しまして、
朝鮮銀行
が単に
朝鮮島内
だけにとどまらず、あるときは満州の内部、また
終戦
当時までは関東州において、
中央銀行
として
活動
してお
つたの
であります。それからまた
北支
、中支の
方面
にもだんだん
営業
が発展して参りましたので、
東京
ではどうも
中心
にならないというので、
営業区域
の
中心
に近い
京城
に持
つて
行つた
ということが一つ。それと、
朝鮮総督
府で、その当時何と言いますか
朝鮮
の
中央銀行
でありながら、
本店
を
東京
に置くのはけしからぬじやないかというような感情的な
意見
もありまして、
終戦
当時まで
京城
に
本店
があ
つた
ことは事実であります。但し過去におきましては、私の記憶によりますと多分
昭和
七、八年ごろには
東京
に
本店
があ
つた
時代
もあるのであります。そういうような
銀行
でございまして、これが何も
戦犯
に問われるような
理由
はないと思うのでありますけれども、先ほど申し上げましたように、どういうわけか
閉鎖機関
として、
個人
の
追放
の場合と同じような
待遇
を受けて参
つた
ような次第であります。 先ほど
朝鮮人
の
持株
というものは非常に少いということを申し上げましたが、そのほかに
ちよ
つと
皆さん
の御
参考
までに申し上げておきたいことは、
朝鮮銀行
は
特殊銀行
であるから、
国家
の
出資額
が非常に多か
つたの
じやないかというようなお
疑い
のある方もあるかもしれませんが、決して
国家
の
出資
が多か
つた
ということはございません。しいて申しますならば、
朝鮮総督
府が一万五千株だけを持
つて
お
つたの
であります。それだけであります。
朝鮮総督
府が
終戦
当時持
つて
おりましたが一万五千株が、現在では
日本政府
の
所有
と見るべきものか、あるいは
朝鮮——
今の
韓国政府
の
所有
に
移つたの
かということにつきましては、私は
日本
の
政府
に移
つた
ものと見てさしつかえないと思いますけれども、これは
外務省あたり
で
外交
上きまる問題であると思うのであります。そのほかに多少疑問のありますのは、
朝鮮
に
金融組合連合会
というのがあります。これは
ちようど内地
の農林中央金庫に当る
機関
とお
考え
願えばよろしいかと思いますが、この
金融組合連合会
が四万株ばかり持
つて
おりました。それから
朝鮮信託株式会社
が四万株ばかり持
つて
おりました。しかしこれらの
連合会
あるいは
信託会社等
は、私の
解釈
では、これは
日本
の
所有
に受継がるべきものであ
つて
、
朝鮮
に渡すべきものでは断じてないと
解釈
いたしております。もしただいま申し上げましたようなこれらの株券が疑問がございまして、
外交交渉
の結果それは
朝鮮
のものであるという
解釈
がつきました場合には、どうなるかと申しますと、
朝鮮銀行法
と
朝鮮銀行
の
定款
には、
日本人
でなければ
株主
となることができないという
規定
がございますから、もしこれらの
株主
が
朝鮮人
である、
朝鮮人
が
株式
を引継いだのだということになりますれば、われわれがこれから
清算
をいたします場合には、この
朝鮮人
たる
株主
は
法律
上並びに
朝鮮銀行
の
定款
上、その
株主
たる資格を失格されるのでありますから、これは
株主
でないものとして取扱
つて
さしつかえない問題であると思います。ですからある
向き
では、
朝鮮銀行
でもし普通の
清算
をやろうとしても、
株主総会
が開けないじやないか。それはどういうわけかというと、今のように
朝鮮
にたくさん
株主
がいるから、
株主総会
を開こうと
言つて
も開けないじやないかというような御
心配
をなさる
向き
もあるということを聞いておりますが、そんなことは一向
心配
ありません。
心配
ばかりでなく、われわれが約一年ばかり前に、
日本内地
におられる
株主
に対しまして
代表者
を選んで
残余財産
の運用その他処置につきまして、
大蔵省
その他の当局と交渉する
権限
を委任してくれという
委任状
をと
つた
ことがあります。その
委任状
をとりました時分には、ただ
一片
の
はがき
を書いて出しただけでありますけれども、
委任状
が集ま
つた数
は、
株主
の数が約千五百人、その
持株数
が二十五万株の
委任状
がただちに集ま
つたの
であります。これはただ
一片
の
はがき
を出してや
つた
だけでありまして、
終戦
間もなくのことでありましたものですから、中には住所がわからないためにもど
つて
来た
はがき
もありますし、またせつかくついた
はがき
でも、何こんなものをいくら出しても、つぶれた
会社
はしかたがないということで、
委任状
を出されなか
つた
方もあるらしいのであります。その後
新聞広告
もしませんし、あるいはまたお忘れにな
つた
ら、もう一度出してくださいというような催促もしませんから、その後の
委任状
というものは参りませんけれども、とにかく一回出しただけでも千五百人の
株主
がただちに
委任状
を送
つて
くれる、二十五万株の
株主券
がただちに集まるというような状態でありますので、何も
朝鮮人
が
株主
に多いから
株主総会
は開けないだろうというようなことで、
閉鎖機関
なりと観念してもらうことは、非常に誤
つた
考え
だと私は
考え
ます。 御
承知
の
通りアメリカ
の
占領政策
というものは、
占領
当時におきましては、
個人
の場合でありますれば、
戦争
に協力したものは全部
追放
として一線から葬
つて
しまう、なお
犯罪
の重いものは
戦犯
として、これをそれぞれ処刑するというような峻厳なる方針だ
つた
ことは、
皆さん
御
承知
の
通り
であります。
個人
以外の
会社
の場合に対しましても、なるべくならば
戦争
に協力した
日本
の
会社
というものはたたきつぶしてしまう、
経済
的の
活動
をここで首を絞めてしま
つて
、懲罰的な
措置
をしてやろうという
考え
から、
閉鎖機関令
というものができたのであります。この
閉鎖機関令
なるものをいつまでも延長して行くということは、
ちようど
一旦
追放
として
個人
を指名したものを、永久にこの社会から葬り去
つて
、どんな有為の才能を持
つて
お
つて
も、
日本
の再建には関与させないと同じことなのであります。私は後ほども申し上げますけれども、一旦
閉鎖機関
として
指定
された
活動機関
であ
つて
も、今日に
至つて
はまさに
講和条約
が発効いたしまして、
日本
が
独立
を回復しようというようなときにあたりまして、なおかつ
個人
の
追放
がどんどん解除されて、
戦犯
でさえもそのうちには何とか恩赦の令がくだるだろうというような今日において、この
閉鎖機関
だけはとことんまで首を絞めて行かなければならぬ。そして一切の
清算
には、
株主
の権利であるとか、あるいはその当時の
経営者
というものを容喙させないで、
大蔵大臣
が特殊の
清算人
を選定して、特殊の
清算人
でか
つて
に
清算
をや
つて
行くのだというような
方法
をとられることは、
日本
の
経済
全体の上から申しましても、非常な損失ではないかと私は
考え
るのであります。 それでは、具体的にどういう点が、
特殊清算
の
方法
によれば
経済
上
不利益
であるかということを申し上げます。それから二番には、この
閉鎖機関令
なんというものをも
つて
や
つて
行くことは、
法律
の上にこういうことを出しておくことは、
日本
のこれからの
外交
の万般の上に、非常な
不利益
を来すおそれがあるではないかということを、
皆さん
に私は申し上げたいと思います。第三番目には、かかる
法律
をも
つて
ただいま申し上げましたような
閉鎖機関
の
整理
を行
つて
参りますことは
——占領下
にあ
つて
は
連合軍
の
最高司令官
が
憲法
の上にあり、
商法
、
民法
を無視して、その上で剣を振
つて占領政策
をや
つた
んですから、
占領
中はわれわれは黙
つて
屈服しておらなければなりませんでしたけれども、
講和条約
が発効して、われわれが
独立
を回復した場合においては、
日本
の国は
最高
の
法律
として
憲法
があります。
憲法
の
規定
に基きまして、
商法
の
規定
、
民法
の
規定
というものがありまして、その
商法
の
規定
には、ちやんと
株式会社
が
解散
した場合にはこういう
方法
で
清算
をするという
清算
の
規定
が、たくさん書いてあるのであります。それを無視してこういう
法律
でも
つて
やるということは
憲法違反
の
疑い
があるということを申し上げたいと思うのであります。それでは第一の点から申し上げます。こういう
方法
をも
つて
やれば、いかに
経費
の点において損をするかということを、
皆さん
に申し上げておきたいと思います。何か
閉鎖機関令
の
改正
の
説明
の中には、なるべく
清算
に対する費用を
節約
して、そうして
清算
の
敏活化
をはかるためであるという、まことに
りつぱなお考え
があるそうでありますが、私が実際面からこれを観察しますと、事実はその
反対
でありまして、この
朝鮮銀行
の
実情
を何ら知らない人が、
特殊清算人
としてこの
清算
に当りますならば、多大の
経費
が使われるということを、
皆さん
に申し上げてみたいと思うのであります。その一例を申し上げます。
閉鎖機関令
が施行になりましたのは、
昭和
二十二年の三月であります。それ以来二十六年の八月の末までの間に、あの
閉鎖機関
の
整理
のために
整理委員会
が一体どれだけの
経費
を
使つて
いるか、こういうことになりますと、五十七億六千四百万円の
経費
を今まで
使つて
おるのです。これは
ちようど
、この期間は二十二年の三月から二十六年の八月まででありますから、四年と五箇月の間に五十七億六千四百万円の
経費
が使われておるということになるのであります。これを一年間
平均
にいたしますと、十二億八千万円の金を
使つて
おるわけであります。一箇月
平均
一億七百万円の金を
整理委員会
が今まで
使つた計算
にな
つて
おります。こういう莫大な金が使われたことは、私は決して
経費
の
節約
にはな
つて
いないと思うのであります。かりに一月に一億七百万円の金を使う
事業会社
を想像してみましよう。もし一億七百万円の半分を
人件費
といたしましたならば、
人件費
を一箇月に約五千三百五十万円
使つて
おるわけであります。かりに一万五千円の
給与ベース
の
職員
を
使つて
おるものとしますならば、実に三千四百人の人を
使つて
、その
人件費
と同額の五千何百万かの
事務費
を
月々使つて
、
特殊機関
の
整理
に当
つて
来たわけであります。これだけの莫大な
経費
を使う
事業会社
があ
つた
としますならば、
相当
の
生産能力
のある
会社
の
活動
ができるだろうと思いますし、
日本
の
経済界
にも、これよりもつともつと大きな貢献ができてお
つた
はずではないかと思われるのであります。
朝鮮銀行
だけの例をとりますならば、この四年五箇月の間に、
朝鮮銀行
の
貸付金
の取立てた額がわずか約一億だそうであります。私は
監督権
を持ちませんし、そういう書類を見る
権限
も持ちません。これはある筋から聞いた数字でありますけれども、約一億だそうであります。そのほかに
整理委員会
が
朝鮮銀行
の
整理
のためにや
つて
くれた
仕事
というのは、丸の内の
支店
をナシヨナル・シティー・バンクに売却したこと、それから
大阪支店
の店を売却したこと、それからただいま申し上げた一億円の
債権
を取立てたこと、それくらいの
仕事
だけであります。そのほかの
預金
の
支払い事務
は
日本
銀行
がや
つたの
ですから、
整理委員会
がや
つた
わけではないのであります。
朝鮮銀行
だけの場合を見ますと、四年半かか
つて
わずか一億ばかりの貸し金を回収してそうして二、三の建物を売
つた
以外に、大した
整理
の実もないのです。それに対して、とにかく全体として五十七億の
経費
が使われておりますが、おそらく
朝鮮銀行
の
残余財産
といいますか、今
朝鮮銀行
の分としてと
つて
ある
資産
の中から、
相当
の額の
経費
が支出されておるであろうと思うのでありますが、そんなわけでありまして、
朝鮮銀行
の
実情
をちつとも知らない人が
特殊清算人
——ま
つた
くの
月給取り
であります。その
月給取り
が、
内容
も知らないで
清算
に当るということは、
経費
の
節約
には決してならぬということを、私はこの際申し上げておきたいと思うのであります。 それからその次には、それなら迅速な
清算行為
ができるかと申しますと、
特殊清算人
がああいう組織でや
つて
お
つたの
では、決して迅速な
整理
はできません。
会社
の
清算
のごときは、実際に多年その
事務
を取扱
つて
来た人が一番内情をよく知
つて
おるのでありますから、その
解散
当時の
取締役
とか、あるいはその他の
役員
が
清算
の
事務
に当りますならば、従来の
内容
も知
つて
おりますから、非常に迅速かつ実際に即した
整理
ができるのであります。それでありますからこそ、
商法
の第四百十七条には、
会社
が破産または合併以外の
理由
によ
つて
解散
した場合には、
解散
当時の
取締役
が
清算人
となるという
規定
がございます。でありますから、
商法
の
規定
から申しましても、
清算
にはその当時の
取締役
が当るということが、一番
実情
に適して、一番迅速に
整理
ができるという
原則
ができておるのであります。その
原則
を無視して、そうして特殊の
機関
でも
つて
か
つて
に
整理
をやろうというようなことにつきましては、私は非常なむだがあるということを
考え
るのであります。たとえば
朝鮮銀行
の貸
出金等
について見ましても、こじれているような貸出しにつきましては、その貸出しをするときに、
重役
ならたいてい貸すべきか、貸すべからざるものかというようなことにつきまして、
業務部長
か何か担当の
職員
から相談を受けますから、そのときには、あれはこういう条件で貸し出した、あれはだれの名義で貸したけれども、実はこういう
方面
に
使つて
いるのだ、だからここに行
つて
催促すればとれるのだということが、われわれならわかる。それを全然知らない者が、われわれを近づけないで、特殊の
清算人
でこれから先もや
つて
行こうというようなことでは、とても
実情
に即した
整理
はできるものじやないと私は
考え
るのであります。 それからもう一つ申し上げておきたいことは、この
閉鎖機関令
の
改正法律案——
この前ここを
通つた法律
でありますが、この
法律
によりますと、
朝鮮銀行
のような
海外
で
活動
してお
つた金融機関
の
整理
に対しては、
海外
の
支店
、
本店
が
海外
に負うてお
つた債務
を全部完済するに足るだけの、何か見合いの
資産
でも保留しておかなければ、
株主
に
在外資産
の分配はできないとかいう
規定
があるのでありますが、私から言わせますと、あたかも
朝鮮
の人間が昔の
朝鮮
の
預金通帳
を持
つて
日本
へ来て、そしてお前のところには
大分資産
があるそうだから返してくれというと、それに対して考慮するがごとくこの
法律
にうた
つて
ある。ところがわれわれが
清算
に当るなら、そんなものは問題にする必要はない。というのはどういうことかと申しますと、
朝鮮銀行
はわれわれが多年苦労して育てたのであるけれども、敗戦の結果追い出されて来た。追い出されて帰
つて
みると、
閉鎖機関令
の適用を受けて、
内地
にあ
つた
八つ
の
支店
が閉鎖されている。お前
たち重役
なんか近づいてはいかぬ、罪人だというような扱いなんです。ところが
朝鮮
にはわれわれ
朝鮮銀行
の
本家本元
を継いだ相続人がちやんとある。
韓国銀行
と名前はかわ
つて
おりますが、釜山に堂々たる
中央銀行
がある。それにもかかわらず
日本
の
八つ
の
支店
を
清算
する
清算人
が、
財産
があるからいらつしやい、請求があるなら払
つて
あげましようということをこの条文の中に書いておくことは、
外交
上非常に損なことであると
考え
ます。そうでなくても弱みにつけ込んでいろいろなことを吹つかけて来ると、どんなものを偽造してこれ払え、あれ払えとい
つて
来るかわからぬと思います。そんなことは
実情
を知
つて
いる者からいえばおかしくてしようがない。先ほど
委員長
から
忌憚
のない
意見
を述べろと言われましたが、私は、お前
朝鮮銀行
でや
つて
いて
実情
を知
つて
いるだろうから、何か話してくれといわれて
説明
するのは、きようが初めてであります。今までこんな
説明
をさせられたことはない。だから私はきようは率直に申しますが、
朝鮮銀行
と申しますのは、過去におきましていろいろな盛衰、非常に波のあ
つた
銀行
でございまして、八千万円から四千万円に減少したこともありますし、
昭和
二、三年ごろあるいはその後
昭和
五、六年ごろの
金融恐慌
の
時代
には、非常な業績不振に陥
つたの
でありまして、
貸付金
の
整理
とか借金の申訳をするには、非常に練達な
能力
の
職員
がたくさんいる。
役員
もそういうことには得意なんです。だから
朝鮮銀行
の
清算
は当時の
役職員
にやらせてもらえば、非常に
整理
をうまくやる。それを全然
関係
のない、
朝鮮銀行
が何をしていたところか知らない人が来て、
清算
をやろうとい
つて
も無理な話なんです。そこで私があなた方に訴えておりますように、
講和条約
が効力を発生いたしまして、
日本
が
独立
を回復しましたあかつきには、何もこんな
閉鎖機関令
なんという屈辱的な
法律
を設けて、
日本
の
活動
の
能力
ある
会社
や
銀行
を痛めつけておく必要はないと思うのです。それで普通の
商法
の
規定
による
清算
の
規定
がちやんとあ
つて
、それには裁判所が不正をしないように
監督
する
規定
もあるのですから、普通の
商法
の
規定
によ
つて
、
清算
をやらしてもら
つて
一向さしつかえないと思います。その点を
皆さん
に訴えたいと思います。こういう例があるのであります。
終戦
当時
朝鮮
に
本店
を持
つて
おりました
会社
で、
朝鮮郵
船
会社
という
会社
があります。それから高周波重工業
株式会社
という
会社
があります。これらの
会社
はいずれも
本店
を
京城
に持
つて
お
つた
会社
でありまして、
朝鮮
における債務と
債権
とを持
つて
お
つた
会社
でありまするけれども、どういうわけか
閉鎖機関
には
指定
されないで済んだのであります。
朝鮮郵
船にしても、高周波重工業にしても戦時には非常に協力をした
会社
であ
つたの
ですが、どういうわけか目こぼれにな
つて
指定
を受けなか
つたの
であります。そのため
朝鮮郵
船は拿捕されなか
つた
船が幸い四隻ばかりあ
つた
というので、向うにお
つた
人が
日本
へ帰
つて
来て、その船を
使つて
今でも盛んに事業をや
つて
おります。それから高周波重工業
株式会社
も品川附近と富山に工場がありましたものですから、向うから帰
つて
来た連中が、ひ
とつ
この工場を動かして事業をやろうではないかとい
つて
事業を始めたがために、今では重工業として隆々たる勢いで
活動
しております。御
承知
でもありましようが、今株価はたしか百何十円かしておりまして、倍額増資をするとかしないとかいうところまで来ております。それから大連汽船
株式会社
とい
つて
、大連に
本店
のあ
つた
会社
がありますが、これも
閉鎖機関
の
指定
を受けなか
つた
ものですから、向うから帰
つて
来た人たちが東邦海運とかなんとか名前をかえて今盛んに
活動
しております。と同様に一旦
閉鎖機関
の
指定
を受けた
会社
とか
銀行
であ
つて
も、何も
最高司令官
が言
つた
からというので、平和条約が発効した後までも首根つこまで絞めて殺さなければならない
理由
はない。一般
商法
の
規定
による
清算
によ
つて
、そうして
株主総会
の総意によ
つて
第二
会社
としてほかの事業を始めるもよし、何か
活動
させてもらえば、
日本
の産業のために非常に貢献するところが多いと思うのであります。せつかく働きたいと思
つて
おる
職員
があり、組織が残
つて
おるにもかかわらず、いつまでも
活動
の根を絞めて、とことんまで生命を断たなければならないという
理由
はなかろうと思うのであります。これが
経済
上非常に損であるという私の
理由
であります。 次には先ほど
ちよ
つと触れましたが、
外交
上非常に損をするのではないかということを申し上げます。それはこの
改正
法律案
だけをごらんにな
つたの
では、
ちよ
つとおわかりにくいと思います。この
改正
案の元の
法律
とあわせてごらんになるとよくわかると思うのですが、われわれのように
海外
で
活動
していた
金融
機関
は、
閉鎖機関
の
指定
を解除されないらしい。そうして
大蔵大臣
が任命した特殊の
清算人
によ
つて
、当時の
役員
とか
株主
の
意見
なんかは全然顧慮しないで、か
つて
に
清算
をやることにな
つて
おるらしいのであります。そうして対外債務が全部完済されるまでは、何十億たま
つて
もその金に手をつけないで残しておくと、
法律
にちやんと書いてある。これではとりにいらつしやいと言わんばかりの
法律
でありまして、
外交
上非常に損があるのではないかと思うのであります。
朝鮮銀行
に関する限りは、
朝鮮
に対する債務はありません。むしろ私の方は五億円ばかりの貸しにな
つて
いる。われわれは
朝鮮
にあ
つた
各
本店
や
支店
の建物を、ただでとられて帰
つて
来たようなかつこうですし、あちらの方へはわれわれ並びにわれわれの先輩が、多年かか
つて
つくり上げた
銀行
の組織だとか、あるいはいろいろな内規だとか、そういう
営業
の方針を書いたものを全部そのまま置いて来たのでありますから、これらの点を
営業
権として計算しますならば、むしろわれわれは現存の
韓国政府
に対しまして、何百億かの
営業
権の補償を請求してもいいくらいのものじやないかと私は
考え
ております。それで実は
朝鮮
と
日本
の問題なんかは、これは氷山の一角と申しましようか、大したことはないですが、これがもとにな
つて
、
北支
から連銀を幾ら補償してくれとか、あるいは中支の貯備
銀行
から幾ら返せとか、南方開発
銀行
の発行した証券をどうしろというような問題が起
つて
来た。これは
朝鮮
の問題だけじやなくなるのですよ。こういう危険なことを
法律
の上にさらしておくということは、私はどうもどういうあれかわかりませんが、御研究願いたいと思います。 それから最後には、こういう
法律
は
憲法違反
の
疑い
があるということを、
皆さん
のお耳に達したいと思います。御
承知
の
通り
占領
直後におきましては、わが国はもうま
つた
く
最高司令官
の意のままに動かざるを得なか
つたの
でありますから、ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令の件というものが、
昭和
二十年の九月に勅令で発せられております。それには『
政府
ハ「ポツダム」宣言ノ受諾ニ伴ヒ聯合国
最高司令官
ノ為ス要求ニ係ル事項ヲ実施スル為特ニ必要アル場合ニ於テハ命令ヲ以テ所要ノ定ヲ為シ及必要ナル罰則ヲ設クルコトヲ得』という
規定
がございまして、その
規定
に基いてこの
閉鎖機関令
というものができた。そもそもの生れはそういう
法律
であります。ここ
閉鎖機関令
の第一条にはこういう
規定
がございます。これは今の
改正
にな
つて
も生きている
規定
であります。
閉鎖機関
とは、連合国
最高司令官
の要求に基き、その本邦内における業務を停止し、その本邦内に在る
財産
の
清算
をなすべきものとして
大蔵大臣
の
指定
する法人その他の団体をいうという
規定
がございます。この
占領
当時のアメリカの
日本
に対する
占領政策
が時を経るに従いまして、国際情勢の変化とともに漸次緩和されて参りましたことは、先ほど申し上げた
通り
であります。
閉鎖機関令
のような、こういう
最高司令官
の要求に基いてやむなく発せられた
規定
は、必要のない限りはなるべく早く廃止すべきがほんとうだろうと私は思います。
解散
した
会社
に対する
清算
の
方法
につきましては、先ほども
ちよ
つと申し上げました
通り
、
日本
には昔から施行されておる
商法
という
規定
がありまして、その
商法
には
解散
に対するりつぱな用意周到な
規定
ができておるのであります。でありますから、何もこういうものでも
つて
特に
海外
活動
の
機関
を縛るというようなことをせぬでも、普通の
商法
の
規定
による
清算
ができるように、
皆さん
に御配慮をいただきたいというのが、私の
意見
の結論でございます。もちろん御
承知
のことに相違ありませんが、
憲法
の第二十九条に「
財産
権は、これを侵してはならない。」という
規定
があります。その第二項には「
財産
権の
内容
は、公共の福祉に適合するやうに、
法律
でこれを定める。」と書いてあります。この
株主
が持
つて
おります
財産
権、この
株主
権に対しましては、
商法
という
法律
でちやんと公共の福祉に適するように、
憲法
の
規定
に基いて定めがあるのであります。それを今度マツカーサーの
権限
をそのまま受継いで、この
憲法
の
規定
に抵触する事項を、
大蔵大臣
が一人で剣を振りまわして行こうというようなことは、私は
憲法違反
じやないかと
考え
るのであります。 以上申し述べました
通り
、私らの希望いたしますところは、どうぞ早く
朝鮮銀行
に対しましても、
閉鎖機関
の指令を解いていただきまして、そして一般の
商法
の
規定
によ
つて
、その当時の
関係者
、その事情に最も精通した
責任者
が、
清算
の任に当
つて
や
つて
行くということが最も
経済
的であり、最も
日本
の
経済界
にも有益なことであろうと思うのであります。ただいまこの
法律
改正
案を拝見しまして、最後の
理由
書にこういうことが書いてあります。
理由
「
閉鎖機関令
による
特殊清算
を続行する必要がなくな
つた
閉鎖機関
の
指定
の解除後における
清算
を
民法
、
商法
等の
規定
により行わせるために必要な経過
措置
を定める等の必要がある。これが、この
法律案
を提出する
理由
である。」と書いてあります。この
理由
を文字
通り
とるならば、ありがたいことだと私は思う。私はこのことを
言つて
いるのです。これをお願いしたい。ところがこういうことが書いてありますけれども、さてこれを元の母法とこの
改正
法をくつつけてみますと、われわれみたいな
台湾銀行
とか、
朝鮮銀行
というものは除かれるような
規定
にな
つて
おりますから、この
理由
をよく読んで研究していただきたい。この
理由
通り
や
つて
もらえばわれわれはちつとも
意見
はございません。どうも長い間御清聴を煩わしてはなはだ恐縮であります。
佐藤重遠
3
○
佐藤
委員長
それでは第二席として、旧
朝鮮殖産銀行理事石川清深
君にお願いいたします。 なお
参考人
に
ちよ
つとお願いいたしておきますが、つとめて時間を有効に使います
関係
上、なるべく前
参考人
の御発言と食い違
つた
点をおもにして、お話を願います。
石川清深
4
○
石川
参考人
承知
いたしました。 旧
朝鮮殖産銀行
の特殊性を簡單に申し述べておきたいと思います。
朝鮮殖産銀行
と申しますと、いかにも
朝鮮人
の
銀行
のようにお
考え
の
向き
が多々あると思いますけれども、これは資本構成を申し上げますと、資本金は払込み五千三百五十万円です。そのうち千株以上の
株主
を拾いますと、百二十九人おりますが、そのうちの百二十七人が
日本人
でありまして、
朝鮮人
は二人なんです。むろん
経営者
も
日本人
でありまして、これは
日本
の
銀行
です。これを念のために申し上げておきたいと思います。それから次に
預金
などの問題につきましても、
日本人
が九〇%でありまして、
朝鮮人
は一〇%ということにな
つて
おります。なおこの
銀行
は社債を発行しておりましたけれども、社債のほとんど百パーセント近くは、
日本
の資本を持
つて
行つた
ものであります。資本構成としてはこういう特殊性があるのであります。 それからこの
銀行
といたしましては、
閉鎖機関
に
指定
されてお
つた
ものでありますけれども、すでに一昨年これは
閉鎖機関
に
指定
するのには当らないのじやないか、結局この程度は解除すべきであろうということは、むしろ大蔵当局の方から話もありまして、陳情書を出しましたところが、
日本
の当局においても、これはもちろんそのまま認めるということで、GHQへ出しまして、GHQの方で、これは
内容
は
閉鎖機関
に当らない、解除してもよろしいけれども、
事務
上の都合がありまして、
内容
的でなしに、単なる
事務
の都合ということで、一応ペンデイングにな
つた
状態なんであります。それが今度講和が発効になりまして二年前にすでに
内容
はそれに値せずと
日本
の当局も認め、またGHQの方でも
内容
をそう認めたやつが、講和発効後になお
閉鎖機関
にそのままなるということは、はなはだ皮肉な状態なのでございます。簡單にこれだけのことを申し上げておきます。
佐藤重遠
5
○
佐藤
委員長
それでは次は旧
台湾銀行頭取上山英三
さんにお願いいたします。
上山英三
6
○
上山
参考人
私は旧
台湾銀行頭
取の
上山
英三
と申します。 今日この
法案
に対して、
参考人
として
意見
を述べることができる機会を与えていただいたことを、非常に感謝いたします。大体さつき
星野
君からお話のあ
つた
ことは、私も非常にいいことを
言つて
くださ
つた
と思
つて
おるのであります。非常に詳細にわた
つて
お話がありましたから、私はごく簡單に、旧
台湾銀行
の当事者として
考え
てお
つた
ところを、申し上げてみたいと思います。
台湾銀行
はどういう
仕事
をしてお
つた
かということは、私から申し上げる必要はないと思います。台湾の開発のためにつくられ、さらにそれは広く
日本
の南方への
経済
提携のために活躍した
銀行
であります。この
法案
を見まして私は非常に落胆をしたのであります。実は
事務
当局におきましては、もう少し親切な案を御用意にな
つて
お
つた
ようでございますが、ここに出ておる案を見ましたら、そういう御親切な案は私どもの聞き及んでおるだけでありまして、その案が消えてなくな
つて
おるのでありまして、非常に残念に思うのであります。それは
事務
当局の御
意見
といたしまして、第二
会社
として更生し得るものは、かなり簡單なる
方法
をも
つて
更生しておるというふうなお
考え
を持
つて
おられたようでありますが、しかしこの案にはそれが消えてなくな
つて
おるのであります。実は私どもといたしましては、
台湾銀行
の三千の行員が、
海外
におきまして裸にな
つて
内地
へ帰
つて
来た。これらの人の就職に対しましては、私どもは最も関心を持
つて
微力ながら尽して来たはずでありますが、しかし先ほど
星野
君も言われたように、ある
会社
においては第二
会社
として更生しておる。しかるにわれわれにおいてはその更生の道を断たれておる。このことは私ども非常に残念の至りであります。しかも私どもの
考え
方といたしましては、現在の
日本
といたしまして、南方の諸地域の人々と
経済
的に手を握
つて
やるということは、刻下の急務であると私は思うのでありまして、
日本
が立
つて
行く上においても、最も
考え
なければならぬ問題と思うのであります。聞きますれば、
清算
の
事務
も非常に進歩しまして、
内地
における
台湾銀行
の
資産
としても
相当
残るように
考え
ております。それらのものに対しまして、できるだけ早く目鼻をつけまして、第二
会社
として出発せしめ、南方においてこれまで長い間経験した行員の人たちの知識を利用し、あるいは人的の
関係
、南方諸地域の人々との間のつながりを利用しまして、新しい第二
会社
として出発せしめるならば、
国家
のために非常に有益な事業となるのではないかと、私は
考え
るのであります。これは私ども
銀行
の最後の当事者として、責任を感じて
考え
ている事柄でありまして、
台湾銀行
の
株主
の大多数におきましても、私どもが
意見
を聞いたところによりますれば、いずれも双手をあげて賛成しているところであります。この点について、私は
事務
当局の
方々
が、何ゆえにせつかくいいことをお
考え
つきにな
つた
ものを、お引つこめにな
つた
か。この案を見ると、前のものをただおざなりにそのまま引継いだというような感じがするのでありまして、非常に遺憾に感ずる次第であります。 なおこの機会におきまして、一言だけ皆様にお聞き願いたいことは、これはこの問題と少し遠ざかるかもしれませんが、われわれ
台湾銀行
の
終戦
当時の当事者として、どういうふうな心構えでお
つた
かということを、御
参考
に申し上げておきたいと思うのであります。 実は私ども
終戦
になりました際に、
台湾銀行
をどういう方向に育て上げるかということにつきまして、私どもは非常に
考え
たのであります。実はその当時は今の国民
政府
があの小さい台湾に来ることは、私ども想像しておりませんでしたが、台湾につきましては、皆様御
承知
と思いますが、五十年間
日本
がいろいろの意味において育成して来ました。ある意味から言いますれば、現在の台湾人は中国人ではない、また
日本人
ではない特殊の性格を持
つた
人にな
つて
いると思うのであります。しかし私どもは、
日本
が今まで育て上げて来たものを土台といたしまして、中国と
日本
との間の親善の芽ばえをここに起しておきたいと
考え
まして、私どもは台湾の
経済
の混乱ということを極力避けたのであります。
終戦
の当時非常に困難な事情がありましたにかかわらず、われわれは
終戦
後、できるだけりつぱな
台湾銀行
として存続させまして、台湾の
経済
状態を混乱に陥れないために、できるだけの努力をしたのでありまして、この点は私は台湾人たちから、われわれが感謝の念をも
つて
迎えられるに十分なる価値があると、ひそかに思
つて
いる次第であります。従
つて
台湾銀行
の解決といたしましては、現在進められておる国民
政府
との間におきまして、かなり有利な状況において、お互いの話合いにおいて解決されるべき素地がつくられてお
つた
、こういうふうに私は
考え
ておるのであります。これは非常に余談になりましたけれども、この点をお耳に入れておきたいと思う次第であります。 なおこの
法案
の具体的の問題につきまして申し上げたい点は、二点あります。一点は、先ほど
星野
君の申された点でありまして、この
特殊清算人
の選定にあたりまして、これは
清算
をうまくやるためには、やはり
朝鮮銀行
の
清算人
、あるいは
台湾銀行
の
清算人
、できるだけたくさんの人をそこに持
つて
来まして、よく事情を知
つた
人を、複数的に
清算人
に選出をするという点であります。それからできるだけ早い時期において、
特殊清算
から一般の
清算
へ移行する。この二点につきまして特に考慮していただきたいと思います。私のこの案に対する希望というのは、この二点に要約することができると思います。どうもありがとうございました。
佐藤重遠
7
○
佐藤
委員長
次は、旧
台湾銀行マ
ニラ支店支配
人の
田村
宏君にお願いいたします。
田村宏
8
○
田村
参考人
私は元
台湾銀行マ
ニラ支店支配
人をしておりました
田村
宏であります。この
法案
につきましての問題は、前の
参考人
の
方々
がお述べになりましたことで、ほぼ尽きておると思いますので、私はそれに対してことごとく同感でございますので、もう少し具体的な問題を御
参考
までにお耳に入れたいと思います。それは私の勤めました旧
台湾銀行
の性格につきまして
上山
前頭取から今申し上げたような事情で、われわれの終生を捧げよう思いましたところは南方地域でございまして、三十人の行員は、ことごとく一生を捧げてそれに没頭しておりました。そこで
日本
の将来を
考え
てみましてやはり南方地域の
経済
的発展ということが、どうしても
日本
の国策として第一に
考え
なくちやならぬ時期に、せつかく南方のそういういろいろな縁故を持
つて
おりますものが、その力を発揮することができないような形に、この
法案
がますますかたま
つて
行くということが、非常に私ども心外でございますし、私どもの
個人
的な感情を離れても、
国家
の利害から
考え
て非常な損なことじやないかというふうに思うものでございますから、さつきのお話の
通り
、なるべく早く
特殊清算
という形を解除して、普通
清算
に移して、旧
台湾銀行
のものが働けるような態勢をとる方向に、お進み願いたいと思います。この
戦争
の結果、
日本
の軍の各地におけるいろいろな行動のために、非常に評判が悪くな
つて
おりますけれども、私が現に身をも
つて
体験いたしました
関係
から申し上げますれば、もし私どもが出かけて行きまして——たとえば中国とか、フイリピンとか、非常に悪いのでありまして、私も最後はフイリピンに勤務いたしまして、捕虜にな
つて
帰
つて
来たのでございますが、私最初
昭和
十五年から二年ほど上海におりまして、その後フイリピンに参りましたのですが、上海と南京の間の地域でも、私が
昭和
十五年に上海に赴任いたしまして、南京へ参ります途中、揚子江の沿岸に
台湾銀行
の出張所ができまして、その揚子江の沿岸をずつと歩いてみますと、
戦争
の結果町は焼けておりますけれども、一番先に復興していたものは、電燈がついておることであります。それを調べますと、それはみな昔
台湾銀行
がその町々に金を貸し付けて、そうして小さい電燈
会社
をつく
つた
ものが残
つて
おりまして、それが基礎にな
つて
、家は焼けましたけれども、一番先に復興しましたのが電燈であるというような、やはり
台湾銀行
がや
つた
事績がそういうふうに残
つて
おりました。それから私フイリピンは
昭和
十七年に参りましたのですが、フイリピンの地方というものは、
経済
的に非常に荒廃しまして、それで復興資金がいりましたのですが、フイリピンの
銀行
あるいは
日本
側の
銀行
も、これに対してほとんど貸すところがなか
つたの
でございます。そこで地方の小都市の商工
会議
所の会頭とい
つた
ような連中が、盛んに陳情して来たものでございますから、私はそれはそろばんに合いませんけれども、地方復興を援助する意味で、二十箇所くらいの地方小都市に貸出しをしたのであります。その回収もそう悪くなか
つたの
でございますが、
戦争
がはげしくなりまして、
昭和
二十年の初めに、私はマニラを逃げ出したのであります。私の逃げて行きました一番最初のところが、バレテイパスの裏手のバヨンボンという、人口三万くらいのいなか町でありますが、その町にも五万ペソくらいであ
つた
と思いますが、金を貸したのであります。そこへ私が
正金銀行
の支配人、それから南方開発の支配人と一緒に逃げたのでございますけれども、その町に行
つて
みまして、その町の連中は、
正金銀行
とか南方開発は知りませんが、しかし
台湾銀行
の支配人が来たというので、戦塵忽忙の間に向うの有志が礼装を整えまして、私のところにあいさつに来たというようなこともあるのであります。ですから、フイリピンなんか今対日感情は非常に悪うございますが、もし私が出かけて行けば、何とか話がつくのではないかという自信を持
つて
おる次第でありまして、そうい
つた
関係
が各地にございますものですから、この
法案
も
台湾銀行
がなるべく早目に動けるようになるような条項が加わ
つて
おりましたならば、非常にいいだろうと思います。 私の希望だけを申し上げておきます。
佐藤重遠
9
○
佐藤
委員長
最後に旧
朝鮮銀行理
事の
桜沢秀治郎
君に、御
意見
の発表をお願いいたします。
桜沢秀治郎
10
○桜沢
参考人
時間がありませんから、私、簡單に申し述べて責めをふさぎたいと思います。 この問題は、私は軍司令部と過去三年間交渉してお
つた
問題であります。その前に、
大蔵省
に行きますと、
大蔵省
は、司令部さえいいと言
つた
ら私の方では異議がないから、いつでも
閉鎖機関
は解除するのだ、司令部へ行
つて
くれぬかというので、われわれは司令部へずつと交渉してお
つたの
であります。司令部もマーカツトは、これはワシントンの問題だから、ワシントンに聞いてやろうということで、それで現にそういう交渉で解除された
会社
があります。台湾の方は御存じかもしれませんが、台湾商工
銀行
というようなものはそれで解除されて行
つたの
です。それで先ほど殖産
銀行
からも言われたように、解除の一歩手前というところまで
占領
中に行
つて
お
つた
問題であります。しかるに、
占領
が済んでからこんな
法律
を出し、そうしていよいよこれを強化する。これは何事であるか。私どもは
大蔵省
の役人をここに一緒に来てもら
つて
、あらためて
皆さん
の前で談判したいと
考え
ておるくらいであります。御
参考
のために一言申し上げておきます。
小山長規
11
○小山委員
朝鮮銀行
の方にも
台湾銀行
の方にも二点だけ伺
つて
おきたいことがあるのでありますが、第一は、一般の
商法
、
民法
の
規定
によ
つて
清算
にかりに移すという場合に、第二
会社
的なものをつくりたいという御希望であるようでありますが、その第二
会社
は一体いかなることをやろうと
考え
ておられるのか。これはただ単に金を預か
つて
それを運用するというような意味なのか、あるいはその第二
会社
は、
日本
の
経済
復興に役立つような積極的な
仕事
をなさろうというのか、この点はぜひ伺
つて
おきたいのであります。 その次の問題は、これは
台湾銀行
にも
朝鮮銀行
にもお伺いしたいのでありますが、台湾において発行してお
つた
台湾銀行
券、及び
朝鮮銀行
で発行してお
つた
朝鮮銀行
券、これの跡始末、これは一体どういうふうになるとお
考え
にな
つて
いるか。特に
星野
さんは
法律
家でありますから、
法律
的の立場からもひ
とつ
御
説明
を願いたいのであります。
星野喜代治
12
○
星野参考人
ただいまの御質問にお答え申し上げます。第一点の、もし第二
会社
が許されるような運びに至
つた
場合に、どのような
仕事
をするかというお尋ねでございます。実はこれまでこういう
閉鎖機関令
というようなものを解除してもらいたいということの方に、非常に熱心にな
つて
おりまして、さて何をやろうかという具体的のことは、今まで全
株主
の意向というものを徴したことはございません。ただ私どものぼやつとした
考え
では、これは無理なことかと思いますけれども、もしできますれば、
商法
の
規定
にも、
解散
した
会社
は、
株主総会
の総意があれば、なお
解散
を取消して元の
営業
を継続することができるという
法律
がございますから、できればその
法律
で、過去の経験もあることでもありますし、
銀行
が許されれば、一番われわれの手に覚えのある
営業
でもありますし、また
国家
のためにも一番貢献ができるんじやないかと思
つて
おります。これはただ私だけの
考え
でございます。 それから第二の、
朝鮮
において発行してお
つた
銀行
券の跡始末はどうするかというお尋ねでございます。これは人によ
つて
いろいろ
考え
があるかと存じますが、問題になる点は、
朝鮮銀行
券を発行いたします場合に、保証制度というものがございます。その保証制度は、従来の
朝鮮銀行法
の
規定
では、
朝鮮銀行
の
銀行
券を発行する場合には、はつきり覚えておりませんが、発行額の三分の一以上だかは、地金銀または
日本
銀行
の預け金で保証を立てなくちやならぬ。その余の
部分
に対しては、確実なる国債とか有価証券その他商業手形等を保証にすればよろしいという
規定
であ
つたの
でございますが、
昭和
十六年ごろであ
つた
と思いますが、その制度を一時停止する
法律案
が
通り
まして、
朝鮮銀行
、
台湾銀行
おのおの
法律
が出まして、その年々の発行額の
最高
額は
大蔵大臣
がこれを定めるということにな
つたの
であります。これは
昭和
十六年ごろの議会で
通つた法律
だと私は
考え
ておりますが、その
最高
額はその年々
大蔵大臣
が決定いたしまして、
大蔵省
から何か通牒が参
つて
おりまして、その
大蔵大臣
が定めた発行額を発行する場合には、
ちよ
つと今覚えておりませんが、その三分の一かは、やはり地金銀とか、あるいは
日本
銀行
への預け金というもので保証しなければならぬ。あと残りの
部分
は、確実な有価証券あるいは商業手形でも
つて
保証すればよろしい。
大蔵大臣
が定むる額以外にまた発行する場合が起
つた
場合には、限外発行として
大蔵大臣
の特に認定を得て発行することができる。その場合には、年三分を下らざる限外発行税というものを納めるという制度にな
つて
お
つたの
であります。ところで保証の制度がある以上は、引揚げて行く場合に、
朝鮮銀行
の補償をして来なくちやならぬではないかという御疑問があるのかと存じますが、私はこの点に関しましては、少くとも
朝鮮
の場合はこう
考え
ております。なるほど保証制度はございますけれども、これは何も発行した
銀行
券を、保証の物件でも
つて
これを弁償するというような意味のものではなくて、御
承知
の
通り
、何ら
資産
の裏づけのないのに、どんどん
銀行
券を発行せしむるということは、一面通貨の信用を低下する問題でございますし、また一面においてはインフレを助長するおそれがあるというために、私はこの保証制度というものができ上
つた
ものであると
考え
ます。それで
朝鮮
の場合はどうかと申しますと、なるほど
朝鮮
では
終戦
当時は非常にインフレが盛んになりまして、
終戦
当時は八十五、六億くらいの発行額じやなか
つた
かと思います。ところが一方われわれは、その証券を発行しておりますけれども、発行券に見合うだけの
貸付金
とかなんとかいう
資産
があるのでありますから、八十億の通貨を残して来たところで、
朝鮮
に対して決して何も実質上の損害をかけてはおらぬと私は
考え
ております。従いましてこれに対してから手で向うから何か補償せいと
言つて
参りましても、補償する必要はないと私は
解釈
しております。
小山長規
13
○小山委員 先ほどの
台湾銀行
それから
朝鮮銀行
、両方とも申されましたが、
清算
を旧
役職員
でやると費用がかからないし、またうまく行くとおつしやるけれども、これはどういうふうにうまく行くのか。その点を一つ伺
つて
おきたい。
星野喜代治
14
○
星野参考人
ただいまの重ねての御質問にお答え申し上げます。長年の間その経営の任に当
つて
おりました取締り、つまり
事務
執行の
重役
が
清算
に当れば、どういうわけで
経費
が
節約
され、あるいはまた迅速な
清算
ができるかというお尋ねのように拝聴いたしました。先ほども申し上げたかと存じますが、第一に多年その
銀行
の業務に携わ
つて
参りました
重役
その他の
幹部職員
というものは、その
銀行
自体に非常な愛行心というようなものがございます。これはただ月給をもら
つて
その日の
仕事
をやる
特殊清算人
とは、非常な違いだろうと私は
考え
ます。これはお尋ねがありまするから申しますけれども、今日まで
整理委員会
の手によ
つて
処分されました不動産の売却価格等につきましても、これはわれわれのひがみかもしれませんけれども、もしわれわれがわれわれの手で
清算
をや
つて
おりましたならば、あんなに安くたたかれて離さなか
つた
だろうというような例もあります。そういうことはあまり言わぬことにしますが、そういう例はたくさんありまして、また貸金の取立て、回収なんかにいたしましても、われわれが知
つて
いれば、あんなものまでとらないでもよさそうだというようなものがあるのです。あれはああいういきさつで貸した金で、あそこをつつついてもだめで、こつちに行
つて
とればすぐとれるという金があるのです。そんなのが一向わからないでや
つて
いる。それからまた
経費
がかからないと申しましたけれども、それではお前がや
つた
らばどれだけの
経費
で済むかと言われれば、これはや
つて
みなければわかりませんが、少くとも先ほど申し上げましたように、四年半の間にああいう莫大な何十億の金、一年に十二億何がしかの金を
使つて
、まだ遅々として進まないというようなことは万あるまいと私は
考え
るものであります。大体
朝鮮銀行
の
清算
に当る人は、
朝鮮銀行
の店というものは一体東を向いてお
つたの
か、西を向いてお
つたの
か、れんがづくりであ
つたの
か石づくりであ
つたの
かもわからない。
朝鮮人
が金を借りに来る心理とか応待というものを全然知らない人が、この
清算
をよくやれるとは思われないのです。それは悪口になるから申し上げませんが……。
小山長規
15
○小山委員 実はこれはまだ質疑が済んでいないのでよくわからぬのでありますが、今のお話は、まだ取立てすべきものが
相当
残
つて
いる、あるいは処分すべき不動産その他の
財産
が
相当
残
つて
いるのである、従
つて
今後あなた方旧
役職員
がおやりになれば、うまく行くというような前提で聞いておるのでありますが、そのように取立てるべき
財産
あるいは処分すべき不動産その他の
資産
というものが、まだ
台湾銀行
なり
朝鮮銀行
なりには
相当
内地
に残
つて
おるのかどうか、その点はいかがですか。
星野喜代治
16
○
星野参考人
ただいまのお尋ねにお答え申し上げます。第一の、
債権
の回収残が
相当
あるのかどうかというお話でございますが、私ども今まで
追放
にな
つて
おりまして、元の
朝鮮銀行
の跡に出入りしてはいかぬ、
清算
になど一切口を出してはいかぬということにな
つて
おりましたので、正確な数字は存じておらないのであります。ただ元
職員
であ
つた
者が、どこから聞いて来るかわかりませんけれども、ときどきあの
債権
はまだ残
つて
いるそうだとか、あの不動産はわずかあんな金で売却されたそうだとかいうようなことを聞いて来て、そんなことを知
つて
いることと、並びに、今日までの
債権
の回収額が、四年半の間に一億程度であ
つた
ということを知
つて
いる以外に、これから先の
債権
は、どんな
内容
のものがどれだけ残
つて
いるかということは、私が
清算人
にな
つて
内容
を見なければ、ここで申すわけには行かないと存じます。ただわれわれの望みますところは、われわれが
清算人
になりますれば、
内地
の
商法
の
規定
によりまして、催告を早くやるとか、
日本
の
法律
によ
つて
片づけるべきものは片づけて、どんどんもつと早く
整理
を進行して参りたいと思います。それに対して異議のある者が相手方から裁判に訴えて来れば、それに応訴して、払うべきものはどんどん払
つて
行き、払うべからざるものは、
朝鮮人
が
言つて
来ようが中国人が
言つて
来ようが、絶対にこれを拒絶するというようにてきぱきや
つて
行けると思うのであります。ことに、先ほど
上山
君からもお話がありましたように、われわれは、できるならば一日も早く、失業しております引揚げの旧
職員
を何かの事業に結びつけて、働く場所をつく
つて
やりたいという念に燃えておりますので、それを実現するためにも、われわれの手に
清算
の
事務
を移していただければ、早く進行できるのじやないかと
考え
ております。
小山長規
17
○小山委員 これは
法律
的な問題でありますが、
清算人
を選任しようとすれば
株主総会
を開かなければならない。これは
日本
の
法律
でそうな
つて
おるのでありますが、
朝鮮銀行
にせよ、
台湾銀行
にせよ、
日本
の
法律
によ
つて
瑕疵なく、つまりあとでその
株主総会
は無効だというような問題が起らないような
方法
で、
株主総会
を開き得る状態にあるのかどうか。その点はどうですか。
星野喜代治
18
○
星野参考人
お答え申し上げます。ただいまの点ですが、
株主総会
は、
日本内地
の
商法
の
規定
によ
つて
これを招集しますならば、あとから無効の訴えでくつがえるようなことのない
株主総会
を、必ず開ける自信が私にはございます。先ほども申し上げましたように、われわれが有利に
朝鮮銀行
の
清算
をするために、われわれに
事務
を委任してくれるかというような
委任状
を
はがき
一本や
つた
だけで、
相当
の——二千何百人とかあるいは二十万株というようなものがたちまち集まるのでありますから、
終戦
後大分時もたちましたし、
株主
の住所のわか
つて
来た者もたくさんあります。ただここで問題になりますのは、
朝鮮人
の三千何百かの
株主
なのでありますが、これらがもしかりに
株主総会
無効の訴えというようなことをや
つた
といたしますれば、先ほど申し上げましたように、
朝鮮
が外国にな
つた
以上は、
朝鮮人
というものは、
朝鮮銀行
の
株主
たる資格を
法律
上もう失格して
しまつたの
ですし、
株主
ではないのですから、お前などはそんなことを訴えることはできないのだということが、言えるだろうと思います。ですからその点も、
株主総会
の開催については何ら懸念はないと存じております。
小山長規
19
○小山委員 ただいまの問題は、
台湾銀行
も
朝鮮殖産銀行
も同じでありますか。
石川清深
20
○
石川
参考人
同じです。
上山英三
21
○
上山
参考人
今の御質問の第一点の第二
会社
の問題でございますが、私ども及び台湾に
関係
のあ
つた
方々
等で、南方
経済
研究会というようなものをつく
つて
おります。その仲間において研究した問題としまして、実は私どもは
銀行
に生活してお
つたの
ですから、第二
会社
として
銀行
をやりたいという希望もあるのでありますが、必ずしもわれわれとしてはそれを固執しない。ただ
日本
の最も関心を持
つて
いるのは南方との
経済
の提携という点であります。だからできるなれば、私は卑近な言葉で申しておるのでなすが、われわれは南方への窓を小さくともあけるという点に、関心を持
つて
おるのでありまして、たとえば南方貿易に対して保証をしてやるというようなことをやりますれば、必ずや国のためになるのじやないか、こう
考え
ております。 それから第二の
銀行
券の問題でありますが、これはあるいは
台湾銀行
だけの問題かとも思いますけれども、
昭和
二十一年の十月に、中国側ではそのまま法定通貨として国民
政府
が指令を出しておるのであります。だからこの点から行きまして、法定通貨に
指定
されたときにも債務の肩がわりができていたのじやないか。実は先ほども
ちよ
つと余談でありましたが申し述べたように、われわれは台湾の
経済
安定のためには非常に努力を払
つたの
でありまして、そのために国民
政府
の方としましては、
台湾銀行
をそつくりそのまま
台湾銀行
として新しく再出発した。われわれがこしらえた基礎をそのまま利用してや
つて
おるのでありまして、向う側から
台湾銀行
に対して要求することよりか、われわれはそういう組織をつくり、そのまま向うさまへ差上げたことになるわけですから、かえ
つて
向うから頂戴しなければならぬという議論も成り立つのではないかと思います。それから何か……。
小山長規
22
○小山委員 それと
株主総会
を合法的に開けるかという……。
上山英三
23
○
上山
参考人
株主総会
の問題は申し上げませんでしたが、
株主
の
内容
ですが、これは
内地
の人ばかりで、台湾の
株主
というようなものは実は百二十三名で、五千九百七十株にすぎないのですから微々たるものでありまして、問題にならないと思います。
小山長規
24
○小山委員 やはり台湾人は
株主
でないという御議論ですか。
上山英三
25
○
上山
参考人
その当時は
日本人
ですから……。
夏堀源三郎
26
○夏堀委員 先ほどの御
説明
の
朝鮮銀行
の
銀行
券八十億円は、
ちよ
つと多いように
考え
るのでありますが、
日本
銀行
に登録公債というようなものが八十億円程度あると聞いたことがあるのです。あるいはそれ以上あるかもしれません。これはその
銀行
券を発行するときに預か
つた
ものでありますか、あるいはこれには
関係
ないわけでありますか、それをお伺いします。
星野喜代治
27
○
星野参考人
終戦
当時
日本
銀行
へ登録しておきました公債は約六十億ございます。そうして
日本
銀行
へ登録しました、つまり
日本
銀行
へ預けましたことは、預けた結果保証に利用はいたしましたけれども、もともと保証のために預けたわけではなく、預けておいたものを保証の方へ使いましたのですから、預けたときは、すなわち保証の必要が起
つた
都度預けたのかとおつしやると、そうではありません。
内地
で国債を買えと言われまして、買うたびに国債の現物を持
つて
来ないで、登録公債でそのまま
日本
銀行
へ預けてお
つたの
であります。
夏堀源三郎
28
○夏堀委員 そういたしますと、
朝鮮
であなたの方の負債
関係
は幾らもないということをおつしやいましたが、
資産
はどれくらいありますか。
星野喜代治
29
○
星野参考人
朝鮮銀行
内だけの
資産
ですか。
夏堀源三郎
30
○夏堀委員 いわゆる
在外資産
です。
星野喜代治
31
○
星野参考人
ただいまの点にお答え申し上げます。
終戦
当時の
朝鮮
における
資産
は幾らあ
つた
かというお尋ねでございますが、ただいまその数字をここへ持
つて
来ておりませんから、あとから取調べまして書類にしてお届け申し上げたいと思います。御了承を願います。
宮幡靖
32
○
宮幡
委員
参考人
の御
意見
は、私ども
相当
共鳴する点があるわけでございますけれども、その結論は
委員会
独自の審議に移したいと思います。そこで今まで質問のありましたうちで、小山委員の質問の
株主総会
の適法招集ができるか。その
議決
は瑕疵は生じないかという
法律
論でございます。これは
朝鮮銀行
と
台湾銀行
、あるいは
朝鮮殖産銀行
等にお伺いするのでありますが、それぞれの
銀行
の
定款
に
株主
の住所届出の
規定
がありますか。
株主
は住所を
会社
に登録するという義務を課せられておる
定款
にな
つて
おるかどうか。
星野喜代治
33
○
星野参考人
お答えいたします。
定款
に住所を届け出ろという
規定
がございます。
宮幡靖
34
○
宮幡
委員 そういたしますと、
参考人
の述べられました
株主総会
の招集手続の問題は簡單だと思う。
銀行
なり
会社
としましては、その知れたる住所に通知することをも
つて
足りるわけであります。従いまして、住所の登録のない
朝鮮人
や台湾人は、当然
日本
の
法律
によ
つて
排除されるべきものであります。でありますから、今まで公述せられました
参考人
の御
意見
は、少しりくつが強過ぎると思います。
日本
の
法律
から参りますれば、これは住所登録の義務が課せられている以上、現在
銀行
に残
つて
おります知れたる住所に通知すればいいのでありますから、感情を刺激するような御
意見
は撤回してもら
つた
方がよいと思います。 それからもう一つは、
朝鮮
の
債権
債務相殺というような御観念でお話になりましたが、なるほど
銀行
券は発行しておると同時に、それにおおむね見合うべき資金なり、あるいはその他の
資産
を持
つて
お
つた
ら、これはやる必要がない。これは常識的にはわかるのでありますが、
債権
債務が同一人に帰属しておれば、
日本
の
法律
効果によ
つて
も、今度消滅するわけでありますが、相殺は相手方が承諾しなければなりません。こういう事態にあります場合において、この
債権
債務の消滅を確認しない以前におきまして、現在
清算
中で持
つて
おりますところの
朝鮮銀行
の
資産
というものは、処分してもよろしいものとお
考え
にな
つて
いるかどうか。この点がこの問題に重大な
関係
があるわけです。と同時に、
台湾銀行
の方はこれは邦貨に
指定
されておることも大体知
つて
おります。従いまして、
台湾銀行
券というものに対する観念は、
朝鮮銀行
券とはまたたいへん違
つて
おる。しかし
台湾銀行
につきましては、中国といいますか、国民
政府
というか、中共といいますか、とにかく当時
日本
が正常なる
外交
関係
、あるいは交戦状態にあ
つた
時代
におきまする、いわゆる中国という観念の中に包括いたしました
債権
債務の
関係
にな
つて
来るであろうと想います。この点につきまして、
台湾銀行
の方は
台湾銀行
の方、
朝鮮銀行
の方はあなたからお答えをいただきたいと思います。
星野喜代治
35
○
星野参考人
お答えいたします。たいへんけつこうな御
意見
を伺わしていただいてありがとうございます。ただ
株主
の住所は
本店
に届け出ろという
規定
がございまして、
朝鮮
の
京城
ではわれわれは各
株主
の住所を集めて持
つて
お
つたの
です。ところが追われてこつちへ帰
つて
来るときは、そんな書類を持
つて
来れないものですから、現在
株主
名簿というものはございません。それで
東京
の店で桜沢さんなんかが
中心
にな
つて
、たれそれはどこにおる、たれそれはどこにおるというような名簿を作成中のようなかつこうなのでございまして、
本店
に登録がないから絶対それはかまわないのだというわけにも行かない状態のものですから、事実
株主総会
を開く前には一応新聞公告でもいたしまして、
株主
はこういうようなことにな
つて
いるから、至急住所の届出をしてもらいたいというような手続は、とらなくちやならないものと思
つて
おります。 それからその次のお尋ねの
銀行
券の問題でありますが、これは一概に
朝鮮銀行
券と申しますと、
朝鮮
道中だけに通用してお
つた
銀行
券じやございませんでして、南と北はまつ二つになりまして、南の方に流通してお
つた
朝鮮銀行
券が幾らあ
つた
かわからないのです。それからまた関東州では、やはり私の方では
朝鮮銀行
は
中央銀行
として、
朝鮮銀行
券が正貨として流通しておりました。この関東州にもどれだけが流れ込んで、どれだけ
終戦
当時あ
つた
かわからない。それからまた
法律
上は正貨じやないのでありますけれども、満州国人がその当時
朝鮮
の通貨が非常に信用がありまして、満州
中央銀行
券との間に百円について二円から四円くらいの打歩がついておりましたから、盛んに国境において密貿易が行われて
朝鮮銀行
券がずいぶん満州国人の間にたんす
預金
にな
つて
しまわれてお
つたの
であります。それからまた
北支
方面
におきましても、
北支
の連合準備
銀行
券がインフレで非常に価値が下
つた
ものですから、
朝鮮銀行
券が退蔵されました。これは
ちよ
つと余談になりますけれども、私が天津に出張で参
つた
ことがあるのでありますが、その時分に、何か荒物屋みたいなところへ寄
つて
、マツチかタバコか何か買
つた
ことがあるのです。そうしましたら、私
ちようど
連銀券がなくて、
朝鮮銀行
券しか持たなか
つたの
で、おばあさんにこれでいいかと言
つた
ら、いいと
言つて
、
朝鮮銀行
券で売
つて
くれたのです。それで見ていましたら、こうしわを延ばして、丁寧に別の深いひきだしへ大事そうに入れたのです。それで私を案内してくれた天津
支店
の行員が、あれは
朝鮮銀行
券を非常にありがたが
つて
、あの
通り
下のひきだしの奥深くしま
つて
いるでしよう。ああいうふうに、こちらの方では
朝鮮銀行
券を大事にしてしまうのだとい
つた
ようなことも
言つて
いるわけです。そんなふうなわけで、満州、中国、関東州、蒙疆あたりまで非常に散らば
つて
おりましたから、そこでまた今南鮮に対して幾らの補償をしていいかということもわからないことなんです。それで私は先ほどから幾度も申しましたように、われわれの
本家本元
を継いだ本家の相続人である
朝鮮銀行
の本体は、釜山にちやんとあるのです。それがわれわれがこつちへ来て、
支店
の
整理
をやる人間がその
本家本元
をさしおいて補償するというようなことは、しかられはしないかと思いますが、僭越しごくだと思うのです。
佐藤重遠
36
○
佐藤
委員長
これにて休憩いたしたいと思いますが、本問題は
政府
当局の
出席
を促した上で、午後の質疑を続行いたしたいと思いますので、
参考人
の
皆さん
には長時間たいへんお気の毒でございますが、ます。お残りをお願いいたし
—————————————
佐藤重遠
37
○
佐藤
委員長
この際連合
審査
会の件についてお諮りいたします。ただいま本
委員会
において
審査
中の国立病院特別会計所属の
資産
の譲渡等に関する特別
措置
法案
に関しまして、地方行政
委員会
から連合
審査
会を開いてほしい旨の申出がありましたが、本案につき地方行政
委員会
と連合
審査
会を開会するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
佐藤重遠
38
○
佐藤
委員長
御異議ないようでありますから、さよう決定いたします。 なお連合
審査
会の日時等につきましては、
委員長
に御一任を願います。 午後一時半まで休憩します。 午後零時五十八分休憩 ————◇————— 午後二時十二分
会議
佐藤重遠
39
○
佐藤
委員長
休憩前に引続き
会議
を開きます。
大蔵大臣
が
出席
されましたので、午後はまず
閉鎖機関令
の一部を
改正
する
法律案
、
国有財産特別措置法案
及び
国有財産法
第十三条の
規定
に基き、国会の
議決
を求めるの件の三案を一括議題として、質疑を継続いたします。
宮幡靖
40
○
宮幡
委員
大蔵大臣
の時間の御都合があるようでありますし、懸案とな
つて
おります財政
金融
全般についての質問を続けたいのでありますが、いろいろな都合で、ただいま議題として
閉鎖機関令
の一部を
改正
する
法律案
等がかか
つて
おるようでありますから、その問題について二、三
大蔵大臣
に伺
つて
みたいと思います。 これはもうすでにわれわれが十分納得しておかなければならない問題であ
つて
、
大蔵大臣
にお尋ねすることはむしろ愚問に属するものだと思いますが、念のためにこの際伺
つて
おきたい。それは在外
活動機関
を
閉鎖機関
となした
理由
はどういうところにあるか。これを一度反省してみたいと思うのです。もしこれが変なお尋ねでありまして、あるいは
占領政策
とからんで重要な問題になるかもしれませんが、内田
管財局長
からのお答えでも、
大蔵大臣
の答弁と同様に尊重して伺うことにいたします。どうぞお願いします。
内田常雄
41
○内田(常)
政府
委員
終戦
後連合国
最高
指令官の指令に基きまして、千以上の諸
機関
のうち数十の在外
活動
の
会社
、法人等が
閉鎖機関
に
指定
されました趣旨は二つあると思います。一つは、これらの
指定
されました
機関
は、たとえば国内的には戦時中の統制
会社
等として
政府
の
戦争
遂行に協力し、また
日本
の侵略政策に協力したというような点から、二度と再びこれらの
機関
が同じような
活動
を続けないように閉鎖するという趣旨と、もう一つは特に在外
活動
閉鎖機関
につきましては、
日本
が
戦争
に負けまして、ポツダム宣言その他によりまして、
海外
の領域その他の
資産
を失
つて
おる。その際これらの在外の
資産
、負債等は平和条約後の処理にまかせなければならない、こういう趣旨がありましたために、一応現状のままストツプして、わずかに国内にある
資産
と
活動
等を閉鎖する、こういう趣旨で
指定
をいたした次第でございます。
宮幡靖
42
○
宮幡
委員 これは何度伺いましても、その趣旨はかわらないだろうと思います。われわれもまた知
つて
おらなければならないはずであります。これは平和条約の効力の発生するやさきでありますので、行き方によ
つて
ははなはだ行き過ぎになるかもしれませんが、
占領政策
からながめました場合には、さようなことは了承しなければなりません。けれども
独立
日本
として
考え
てみて、この
閉鎖機関
を
政府
が
清算
しなければならないという
理由
がどこにあるか。これは
占領政策
に縛られたということではなしに、
日本人
的に
考え
て、この
閉鎖機関
を
政府
がどうしても
清算
しなければならないという
理由
がおありになるかどうか。
内田常雄
43
○内田(常)
政府
委員 平和条約も締結されまして、それが近く発効するという段階におきましては、これらの
閉鎖機関
の
清算
を、他の事情がなければ
政府
が任命する特殊の
清算人
に
清算
させる必要はないと思います。それゆえに今回
閉鎖機関令
の
改正
案におきましては、できますものはすべて
閉鎖機関
の
指定
を解除いたしまして、普通の
商法
または
民法
による
清算
の手続にまかせる、こういう
改正
方を織り込んでございます。ただ
閉鎖機関
につきましては、従来の法令上すでに
解散
したものとみなされ、かつ
役員
等は一切解任されておりますから、通常の
清算
手続に移しますためには、そのつなぎとして従来の
特殊清算人
が
株主総会
を開いて、
株主
の選任する
商法
上の
清算人
の選任手続等のお世話をするということが、必要にな
つて
参りますので、そのような
規定
を今回の
改正
法案
に置いてございます。ただ先ほどもお話のございました在外
活動
の
閉鎖機関
につきましては、これは国内に
本店
があ
つて
、外地に
支店
があるという完全な
日本
法人であるのは少うございまして、むしろ外地または外国に
本店
があ
つて
、
日本
にも店舗なり
財産
がある、こういうものが多うございますために、これらにつきましては別に今回の
改正
法案
には色はつけてございませんが、
政府
がただちに
閉鎖機関
の
指定
を解除いたしまして、通常の
商法
上の
清算人
に移そうといたしましても、外地法人等につきましては、これは当然には
商法
等の適用を受けませんので、そのようなことが
法律
的にできないということが一つと、もう一つ、実質的にはこれらの在外
活動
閉鎖機関
は、先ほども触れましたように、平和条約における
日本
の
在外資産
、負債の処理とも関連いたします。今ただちに民間の
清算人
をして、自由にそれらの
財産
を処分せしめるということは、この
在外資産
の処理の問題、特に
朝鮮
、台湾等につきましては、御
承知
のように平和条約第四条に
規定
がございまして、両国間の特別のとりきめをまちまして
在外資産
の処理がきめられますから、それと趣旨を合せて、これらの在外
活動
閉鎖機関
の
資産
は処理しなければならない。こういう
関係
がありますから、これらにつきましてはいましばらく
特殊清算人
の
清算
手続を続けるほかないと
考え
ます。
宮幡靖
44
○
宮幡
委員 本日は当
委員会
においてただいまお話のありました在外
活動機関
のうち、
朝鮮銀行
、
台湾銀行
、
朝鮮殖産銀行
等の旧
役員
の方に
参考意見
を承
つた
わけであります。それらの
意見
も全部が全部ごもつともだとは思いません。けれども
相当
傾聴すべき要素を含んでお
つた
。この在外
活動
をいたしました、ただいま特殊法人といわれておりますが、これらのものを一般の
閉鎖機関令
の
指定
を解除する中に組み入れまして不都合な
部分
は、ただいまの局長の
説明
によりますと、残りの
清算
手続が国内法と合わないということが、一つの有力な
理由
でありますが、これがために前提が一般に
指定
を解除する他の
閉鎖機関
と同様に、鮮銀なり台銀なり拓殖
銀行
なりをはずしてよろしいというもし議論があ
つた
としますならば、これに伴いますところの
清算
手続というものを国内法に合うように、これに準拠いたしました特別な
法律
を配慮する御用意があるかどうか。この点をひ
とつ
お伺いしたい。
内田常雄
45
○内田(常)
政府
委員 法制的にはかなり複雑な手続を要します。たとえば外地に
本店
のある
銀行
が
閉鎖機関
の
指定
を解除されたときには、このものは
内地
に
本店
があ
つて
、
日本
の
商法
等によ
つて
つくられた
会社
とみなすというような
考え
方を組み入れまして、かなり
法律
上の擬制等を用いまして、
相当
複雑な手続を要しますけれども、法制的には可能でございます。むしろこの際実質上
外交
上の
関係
から、しいてそのようなむずかしい
法律
手続までもとるべき段階ではない、というふうに
考え
ております。
宮幡靖
46
○
宮幡
委員 そういうむずかしい
法律
手続までとるべき現段階でないということ、これはなかなか意味慎重であります。従
つて
必ずしも悪い意味にのみ
解釈
するわけではありませんが、そういう複雑な手続をかりにと
つて
も、これが
日本
経済
の正常化といいますか、あるいはか
つて
の
活動
を回復し、あるいはその蓄積されました資金等を他に転用、活用することによりまして、
日本
の
経済
の自立に有効になるという場合におきましては、これは複雑なる
法律
手続などに藉口して、立法を回避すべきではないと思うのであります。この点につきましてこれは御
意見
を聞く方が無理かもしれませんが、私どもはさような
意見
を持
つて
おるのであります。しかもわれわれが
閉鎖機関令
等を通読いたしてみましたり、あるいは本日の
参考人
の
参考意見
等を拝承いたしますと、
株主
の
関係
なんかにおきましてもきわめて単純でありまして、しかして現在の国内法をも
つて
これを
清算
して行くことに、特殊の困難はきわめて少いと思う。ただ御指摘の平和条約第四条の
規定
の配慮があることで、これはごもつともなことであります。しかしながらかりに日韓の間にどういう協定ができたといたしましても、どういう条約ができたといたしましても、それは
在外資産
、在外負債等の問題を考慮いたします通念で申しますと、賠償
関係
からいいますれば、平和条約第十四条の域を脱することはないと、私は確信いたしております。従いまして国際信義の上から、一時保管してお
つて
、いつでも請求があればこれは払うのだという気構えは、国際信義の上からいいますとまことによろしいのでありますが、平和条約第十四条の精神を敷衍いたして
考え
ました場合には、これは無用な努力だと思います。むしろこれはやるぞと言われてから、賠償の義務として条約にあ
つて
も、附属議定書などにおきましては、この義務は平和条約第十四条にかかる金銭賠償、役務賠償、しかも
日本
の生活水準を維持し得るところの最低
経済
力を保有し得る限度においてはということは、厳然として存在している事実であります。従いましてかようなものを蓄積いたしまして、しかしていつ請求があ
つて
も払う用意があるという道義的な点には、私は一応の関心を持ちますけれども、他に国際条約というもので一応お手本が示されておる現段階において、また
日本
の
経済
力というものを勘案いたしてみますると、これは無用の配慮のように思うのでありますが、大蔵当局はどうお
考え
にな
つて
おりますか。
内田常雄
47
○内田(常)
政府
委員 平和条約第四条の
解釈
と第十四条の
解釈
、あるいは両条の相違、あるいは第四条によ
つて
できます両当事国間のとりきめというものが、どのような形になるかという議論に、ただいま入ることは適当でありませんので、その点は差控えざるを得ないと思います。ただ御説のそれだけ
内地
に残
つて
おります
機関
につきましては、これは国民
経済
全体のために運用するという趣旨は、私どもも同じ気持を持
つて
おりますので、御
承知
のようにこれらの
閉鎖機関
の
残余財産
等で、従来
日本
銀行
に封鎖的に預託のような形にな
つて
おりましたものを、この機会に一部民間
金融
機関
等に預けがえ等の
方法
によりまして、これらを国民
経済
に活用するということを実行いたしたいと
考え
ております。
宮幡靖
48
○
宮幡
委員 適切なる行政
措置
によ
つて
滞留資金を運用せられることは、これは
大蔵省
の所管
事務
といたしまして私は当然な
措置
だと思います。むしろこれはおそきに失しておるといううらみさえ申し述べたい。しかしながら
占領
下にありますことでありますから、かような点は強く追究するものではありません。 そこで細目にわたりまして、これこそ
事務
当局にお伺いすべき問題でありますが、
閉鎖機関整理委員会
の
清算
費用というものは、われわれは適当の機会に国会で聞いたことがありますが、そのときに大体想定せられました費用と、実際本日
参考人
の陳述によりまして伺いましたところの
清算
費との間には非常な開きがある。月
平均
に大体一億七百万円程度、こういうものに一億というものが使われている。過去において五十七億という累積された
清算
費、一体こんなものがいるのかいらないのか、はなはだわれわれは釈然としないのでありますが、これらについて
清算
費の
内容
をひ
とつ
お示しを願いたい。もし本日間に合わないようでしたら、資料をもちまして明細に御提出を願いたい。
内田常雄
49
○内田(常)
政府
委員 御
承知
のように
閉鎖機関
の
清算
に要する
経費
等につきましては、従来
政府
機関
予算といたしまして、予算に計上して国会の御承認を得ております。なお
ちようど
ここに集計表がございますが、昨年の十二月三十一日まで
閉鎖機関
が発足してから三年か四年の間、その
清算
費用の比率は、
閉鎖機関
の
残余財産
の換算額に対して三・七一%ということでございまして、絶対金額にすると
相当
な金額になると思いますが、大体の建前が数百あるいは千以上の
閉鎖機関
を集めまして集合
清算
をや
つて
おりますために、個々の
機関
が
清算
費を持ち、また必要な
職員
等を持たないことにおきまして、決してむだな費用が多額に出ておるようなことはまずないのではないか。むしろ集合
清算
のために
清算
費用を
節約
せられまして、将来
指定
が解除された場合等におきましても、従来の
株主
に不当の損害を与えてお
つた
という事態はないのではないかと私は
考え
ます。
宮幡靖
50
○
宮幡
委員 これは
事務
当局としては当然な御答弁であり、また国会側としても
政府
機関
としての予算を承認し、決算の裏を見ているのでありまして、あえてこれは申すべきことではなかろうかと思いますが、しかしただいまの局長の答弁のみで、私どもは実は了承できないのであります。まとめて
清算
をしたから、その
清算
費のありかたが少くな
つた
ということは、実際の数字がもし五十七億などというようなものでありましたならば、これを事業
活動
の生産費用というものに比べてみますと、実に厖大なものである。しかもなおお伺いしたいのは、限定して
朝鮮銀行
だけでもけつこうでありますが、
債権
の取立て、
財産
の処分の実績等をひ
とつ
振り返
つて
見る必要がある。将来におきまして
債権
の取立て可能見込額、不能額、こういうようなものにつきまして資料をお持ちにな
つた
ら、御
説明
をいただきたいと思います。
内田常雄
51
○内田(常)
政府
委員 たいへんこまかいお尋ねでありますけれども、たまたま一覧表がございますから、それについて簡單な数字だけ申し上げますと、
朝鮮銀行
は
閉鎖機関
に
指定
されました当時におきましては、帳簿価額で六十二億六千九十八万七千円という
資産
を持
つて
おりましたが、その後換価をいたしました分がございまして、その換価した
財産
の帳簿価額が五億四千十三万八千円、その換価額が実際に現金になりましたのが、五億六千五百九十五万円と相な
つて
おりまして、大
部分
が換価の必要のない現金、公債等でありますために、換価した
部分
が少くな
つて
おります。それから国内において支払うべき債務は、
閉鎖機関
に
指定
されました当時は三億七千七百万円、それが現在では負債は大
部分
支払われまして、すなわち三億六千百九十万五千円、支払いを要すべき金額は、今日では千五百五十一万一千円、言いかえますならば、国内においての債務は大
部分
処理できまして、もはや国内に現金、有価証券等を残すままの形にな
つて
おる、かように申し上げることができると思います。
宮幡靖
52
○
宮幡
委員 局長さんはこまかい質問だとおつしや
つた
が、こまかい質問をしなければならないような
法律
が出ておるということを、まず反省していただきたいと思います。あるいはこれは管財局の御
意思
ではないかもしれないが、いろいろの事情に押されてできた
法律
で、これはま
つた
く納得の行かない
法律
だと思う。従
つて
納得の行くまでこまかいことを聞かなければならない事情にあるということを、ひ
とつ
御了解いただきたいと思うのであります。 その次にまたこまかい問題にな
つて
参りますが、ほのかに伺いますと、
終戦
当時
朝鮮銀行
の持
つて
おりました店舗等は、換価処分せられたように聞いておりますが、その価額はどういうことにな
つて
おるか。今の数字の中に入
つて
おるのかいないのか。まさか五億七千幾らの中に入
つて
いるわけではないでしよう。
堀口定義
53
○堀口
説明
員 ただいまの換価額の中に入
つて
おります。
宮幡靖
54
○
宮幡
委員 しからばその詳細は、件数が少いのでありますから、何と何という御
説明
をいただきたい。
堀口定義
55
○堀口
説明
員 個々の
資産
につきましてのこまかい帳簿価額及び換価額につきましては、ここに
ちよ
つと資料がありませんので、あとで御提出いたします。
宮幡靖
56
○
宮幡
委員 それならばそれでけつこうでありますが、五億七千の中に入
つて
おるとすると、現金回収額というものはきわめて少い。またさらに、仄聞いたしました数字でありますから、もちろん確かなことではありません。間違いがあれば間違いがあるとおつしや
つて
いただいてけつこうでありますが、
終戦
当時、
朝鮮銀行
は
銀行
券発行の見合いという意味でありますか、あるいは保証に積んだということになるかもしれませんが、いずれにしましても
日本
銀行
の
預金
が肩がわ
つた
意味の登録公債が、大体六十億くらいあ
つたの
ですが、そういうものがございましたか。その後の
措置
はどうな
つて
おりますか。
堀口定義
57
○堀口
説明
員 お答えいたしますが、閉鎖当時の登録国債につきましては、そのまま
日本
銀行
の方に保管されております。
宮幡靖
58
○
宮幡
委員 六十億はただいま
資産
として持
つて
いるというわけでございますね。登録のままにな
つて
おりますね。
堀口定義
59
○堀口
説明
員 お答えいたします。そのまま換価せずに持
つて
いるわけであります。
宮幡靖
60
○
宮幡
委員 それはそれで明らかになりました。 それから、これもさつき局長の答えられた、なかなか今言いにくいという問題に入るのかもしれませんので、言いにくければ別な機会に伺
つて
もけつこうでありますが、前の副
総裁
の
参考意見
に、
株主
名簿はないが、
朝鮮人
は三千二、三百株しかないということであります。しかし
朝鮮総督
府以下
朝鮮
のいろいろ
機関
が、株を持
つて
いるという現実は知
つて
いるわけでありますが、この
持株
は現在
日本政府
に属するものであるか。
韓国政府
に属するものであるか。この点につきまして、これはむずかしいことでありますから、もしここで言わない方がいいというお
考え
ならばしいて答弁はいりませんが、さしつかえなか
つた
らその点についてのお答えを願いたいと思います。
内田常雄
61
○内田(常)
政府
委員 御
承知
のように
朝鮮総督
等の
持株
が一万株余あると思います。しかし何度も申し上げたのでありますが、日韓交渉等の
関係
が非常に微妙にな
つて
おりまして、ただいまの段階では
日本
の立場等からも申し上げるべき段階でございませんので、申し上げないようにいたしております。
宮幡靖
62
○
宮幡
委員 さらにもう一点、こまかい問題でありますが、
朝鮮銀行
と限定してもけつこうでありますが、現在旧
朝鮮銀行
の
株主
を招集して——これは公式の
株主総会
とは言えないかもしれませんけれども、そういう
株主
に残
つた
財産
を配分することが可能であるかどうか。絶対に不可能であるならばその
理由
はどうであるか。これをひ
とつ
御
説明
願いたい。
内田常雄
63
○内田(常)
政府
委員
法律
的には、
日本
におる
株主
だけが集ま
つて
、
朝鮮銀行
の
日本
にある
残余財産
を分配するということは、不可能ではないかと思います。現になおかつ
閉鎖機関
として
指定
せられておりまして、今回の
改正
法にはそのことを
改正
いたしておりませんから、
残余財産
を、在外
活動
閉鎖機関
の場合には
株主
に分配しない、しばらく
大蔵大臣
が管理しておるという形のままにな
つて
おりますので、この際は不可能であります。
宮幡靖
64
○
宮幡
委員 やはりそこにこの
法律
を審議して行く場合に重大な問題がある。今は
閉鎖機関
と
指定
されているから、分配は不可能であるという御
説明
ですが、われわれの頭は、他の条件に
不利益
やあるいは不可能な事実がないとすれば、
閉鎖機関
の
指定
を解除すべきだという論拠に立
つて
お伺いしているのであります。しかしこれはまことに言いにくい問題であることは私も想像いたします。われわれはそういうふうな意味において、
政府
当局に迫るべきではありませんので、これはこの程度にいたします。しかしあくまでも御了解を得ておきたいのは、他に
不利益
や不可能な事実がないとするならば、これらはもともと
戦争
に協力したので、将来かような
機関
ができないようにという
占領政策
のねらいではありますけれども、ほんとうの基本的
活動
を
考え
ますならば、
朝鮮銀行
にしろ殖産
銀行
にしろ
台湾銀行
にしろ、それぞれの地域におけるところの平和的な正常な
経済
活動
を助成して行く、
日本
の躍進する一つの方策を援助したにすぎません。またこれに主導権を与えて、
政府
が指導育成して来たというのが正しいかもしれません。さような大乗的な観念から見ますと、当然これは一般の
閉鎖機関
と同様に
指定
を解除すべきものだ、こういうことを強く信じましてこの
法律案
をながめておる。従
つて
今のようなお答えしにくいことと想像しながらも、これをひ
とつ
明らかにしてもらいたい、かような観念になるのであります。しかしながら本日は大臣の御都合もあるようでありますし、なお本
委員会
は、本問題に関しますことは小山
理事
を主査といたしまして、内部協議をまとめております。今は小山委員が
ちよ
つと都合で欠席しておりますので、最後まで私質問いたしません。しかし今後関連いたしまして、なおこの質問を継続したいと思いますが、他の委員に発言がないといたしましたならば、本日は私の質問はこの程度にいたしておきたいと思います。
苫米地英俊
65
○苫米地(英)委員 きわめて愚問のような、しかも簡單なことでありますが、一点明らかにしておきたいと思うのです。
朝鮮銀行
が
閉鎖機関
にな
つた
、
台湾銀行
が
閉鎖機関
にな
つた
と簡單にこう申しておりますが、その
閉鎖機関
の
指定
は、
日本
の領土内においてのみであるか、もしくは
朝鮮
まで閉鎖されておるのであるか、台湾においても閉鎖されておるのか、こういうことを一つお伺いしたいのであります。
内田常雄
66
○内田(常)
政府
委員
日本
にある
財産
だけにつきまして、いわば財団的な意味におきましてこれを
閉鎖機関
といたしております。
苫米地英俊
67
○苫米地(英)委員 これが重大な点でありまして、閉鎖されたのは
日本
の国内にあるものだけである。
台湾銀行
は国民
政府
がそのまま受継いでそこで
営業
をや
つて
おる。閉鎖されておらない。
朝鮮
においても
朝鮮
の中央
金融
機関
としてこれが閉鎖されずに動いておる。しかもそのいずれにおいても
相当
の
資産
を持ち、
営業
権を継承しておる。こういう場合に、それらと関連して、
日本
の
閉鎖機関
をどこまでも閉鎖して行かなければならないという
理由
は、
ちよ
つとわれわれには理解できないのでありますが、この点御
説明
を願います。
内田常雄
68
○内田(常)
政府
委員
台湾銀行
、
朝鮮銀行
の場合はなかなかむずかしい問題であると思います。台湾、
朝鮮
ともそれぞれ割譲地域でありますが、割譲地から見るとそれぞれ
中央銀行
的な役割を現に持
つて
おるのであります。従
つて
これらの
機関
を、今後両当事国間の
財産
権あるいは請求権の処理の交渉の際に、いかに観念して行くかということが実は一番重大な問題でありまして、その辺が現在までいろいろなむずかしい交渉あるいは暗礁に乗
つて
おりまして、この機会に明らかにできないことを遺憾に思います。ただ国内のこれらの三行を
閉鎖機関
として
指定
してありますのは、決して従来のそれらの
機関
に対する
日本
の
株主
の
経済
的利益を侵害するという趣旨はないのでありまして、今後とも同じ
考え
方で私どもは進んで行くつもりであります。
苫米地英俊
69
○苫米地(英)委員 御
説明
は一応了解できるのでありますが、その
考え
を発展させて行きますと、これは中共にも及びまた南方にも及んで行くというおそれがあるのであります。そういう危険性を含んだものを躊躇しておることが賢明であるか。閉鎖ということは国内に限られた問題であるがゆえに、国内の問題は国内で解決してしま
つて
、国際問題は国際問題として別個に扱
つて
行く。この方が私は
日本
の今後の行き方としてはむしろ明確でもあり、危険性も含まない問題になると思うのですが、この点いかがでしよう。
内田常雄
70
○内田(常)
政府
委員 その点は、平和条約第四条によりまする両当事国間のとりきめがどうなるかということと、実は深い関連があるものと
考え
ます。先ほども申しましたように、決して
政府
がこれらの
閉鎖機関
の国内に残
つて
いる
資産
を取上げてしまうという趣旨ではないのでありまして、この両国間のとりきめの形がつくまで、しばらくこれを管理的に運営して参るということの方が、いろいろな
関係
で適切であり、しかもこの
関係
は今後そう長い時間をとるまいと
考え
ますので、いましばらくは今日のようなままの形をとらねばなるまいと
考え
ます。
苫米地英俊
71
○苫米地(英)委員 この
法律
の修正案の
理由
書で明らかであることを、今理財局長からお話があ
つたの
でありますが、ほんの短かい期間というような説ですが、その短かい期間は大体どのくらいのお見通しでありますか。それを伺いたい。
内田常雄
72
○内田(常)
政府
委員 私は実は
管財局長
でございまして、理財局長ではないのでありますけれども、平和条約の発効が二十八日と聞いております。従
つて
、その第四条のとりきめ、あるいは平和条約第十四条に基く
在外資産
の処理等も、公式には条約発効後のことになるのであります。ただ発効前に
朝鮮
その他との間に打合せがございますが、これは予備的なものでありますから、発効後なるべくすみやかな期間に、このような
関係
は処理したいと
考え
ますが、何箇月というようなことは、これは理財局長がお見えにな
つて
も、にわかには申し上げられないと思います。
苫米地英俊
73
○苫米地(英)委員 この問題と深い関連を持
つて
いると
考え
るのでありますが、軍票等につきましては、これは賠償問題ではないと思うのでありますが、どういう状態にな
つて
おりますか。一応御
説明
を願います。
池田勇人
74
○池田国務大臣 軍票と申しましても地域別にいろいろなものがござまして、私は、一々どういうようにするという
考え
を持
つて
おりません。
苫米地英俊
75
○苫米地(英)委員 どうするかという
考え
を持
つて
おられないということでありますが、そのどうするかという
考え
を持
つて
いないというところにも段階があるので、これは非常にこまかい段階がありますが、今言うことができないとおつしやるのならば、それでわかるのでございますけれども、一体これは
日本
が支払うべきものかどうかということは、おのおのの国との折衝によ
つて
きまるのだろうと思います。そしてその金額等も、どのくらいあるかほとんど検討がつかないと思うのですが、その今の
大蔵大臣
のお言葉をもう少し明確に承りたい。
池田勇人
76
○池田国務大臣
委員長
、速記をとめてください。
佐藤重遠
77
○
佐藤
委員長
速記ストツプ。 〔速記中止〕
佐藤重遠
78
○
佐藤
委員長
速記を始めて。
夏堀源三郎
79
○夏堀委員 過般来、
閉鎖機関令
の一部を
改正
する
法律案
につきまして、
政府
委員からの御答弁にあずか
つて
おりますが、まだはつきりいたしませんので、きようは
大蔵大臣
から直接それに関連した事項について、お伺いしたい、こう存じておる次第であります。もうすでに重要な面については、同僚
宮幡
君よりも御質問になり、そしてそれに対しての御答弁は、重要な問題でありますので、あまり明確な御答弁は避けたい、こういうようなことを伺
つて
おりますので、重ねてここにお伺いすることもどうかと思います。やや重複した点もありますけれども、速記をとめてお伺いすることはよろしゆうございましようか。もし御答弁のうちに、速記をとめて御答弁願える事項がありましたならば、速記をとめて願います。
朝鮮
、台湾、これはもちろん連合国ではないと存じますが、それはその
通り
解釈
してよろしゆうございましようか。
池田勇人
80
○池田国務大臣
朝鮮
は連合国ではございません。従いまして、一般の連合国との平和条約で当然に適用にならぬ場合がございますので、いろんな
規定
を設けておるのであります。
夏堀源三郎
81
○夏堀委員
閉鎖機関令
の一部を
改正
する
法律案
に関連したいろいろな事項をお伺いするのでありますが、その点は御了承願いたいと思います。
朝鮮
の
資産
は、前回の
委員会
において
政府
委員は、現地において米軍により接収され、その後いわゆる米韓協定によ
つて
朝鮮
に帰属し、
朝鮮
は最終的取得と解していると伺
つたの
ですけれども、そうでありますかどうか。私は、そうではなく、これは没収されたのではないのだから、いわゆる
所有
権は
日本
にあ
つて
、そうして一時軍事譲渡というような
関係
で向うがお預かりしているのだ、そう
解釈
すべきではないかと思いますが、この点はいかがですか。
池田勇人
82
○池田国務大臣 速記をとめていただきましよう。
佐藤重遠
83
○
佐藤
委員長
速記をとめて。 〔速記中止〕
佐藤重遠
84
○
佐藤
委員長
速記を始めて。
夏堀源三郎
85
○夏堀委員 「
閉鎖機関
の本邦外に在る
本店
、
支店
その他の
営業
所に係る
債権
及び債務で命令で定めるものは、これを本邦内に在る
財産
とみなす。」こういうことにな
つて
おります。そこでこの
法律案
の趣旨は、この間何かブラジルの例をと
つて
おりましたが、ブラジル一国にこれを適用する意味でありますか、あるいはその他の国にもこれを適用せんとするものであるかということをお聞きしたい。
堀口定義
86
○堀口
説明
員 お答えいたします。第二条の
改正
の点でありますが、現在問題にな
つて
いますのは、こちらでもらえる
財産
といたしましては、特に連合国
関係
でブラジル、それからもう一つ現在明確にな
つて
おりますのは、国際決済
銀行
のスイス・フランというようなところが、現在までにわか
つて
いるところであります。それからもう一つ、国内店舗の
資産
負債の範囲内に取入れて参りましたのは、支払う方の問題も実はあるわけであります。先ほど来いろいろ
説明
がありましたように、いろいろ
外交交渉
その他の結果、
日本
が支払わなくてはならない債務が出て来るかもしれない。その債務の種類といいますのは、現在までの
閉鎖機関令
で行きますと、国内店舗の債務に限定されておるわけであります。しかしその交渉の結果等に基きまして、現在その範囲内にない支払いをする必要が生じた場合には、現在の
法律
では払えませんので、一応そういうものが将来出て来た場合には、政令で
規定
して支払うことができるように、本邦店舗の
資産
負債のうちへ取込んでおるわけであります。
夏堀源三郎
87
○夏堀委員 これは
朝鮮
と台湾は例外でありましようか。
堀口定義
88
○堀口
説明
員
朝鮮
、台湾につきましても、その折衝の結果起
つた
問題の処理につきましては、同一に適用されるものであります。
夏堀源三郎
89
○夏堀委員 午前中に
参考人
からいろいろお伺いしたのですが、私もこの前
政府
に対する質問の中に、第二
会社
を設けると
考え
てお
つた
が、今第二
会社
をはずしたということは、一体どういうことか、こういうことをお伺いしたはずであります。また
参考人
の御
意見
も、第二
会社
はどうしてもやりたいというようないろいろな質疑応答があ
つた
ようであります。第二
会社
をもし設けるとすれば、
法律
によらなければならないのか。私はそれに対して、
法律
によらなくとも、
株主総会
あるいは
清算人
の総意によ
つて
できるではないか、こう申し上げましたが、それは
法律
を要するという御答弁でありました。これはやつぱり
法律
によらなけばできないものでありましようか。
内田常雄
90
○内田(常)
政府
委員
法律
によらなければできないことだと思います。
夏堀源三郎
91
○夏堀委員
法律
によらなければできない、
政府
がそう
考え
ておるのですから、これはやむを得ないと思いますが、
法律
によらなければできないという根拠はどこにありますか。
内田常雄
92
○内田(常)
政府
委員 たとえば
朝鮮銀行
を例にとりまして、
朝鮮銀行法
という
法律
がありまして、この
法律
で
本店
を
京城
に置いて、事業
活動
の範囲がきめられておりますので、
財産
は御
承知
のように今日国内に六十億残
つて
おりますから、
株主総会
を開いて、その
財産
を
朝鮮銀行法
できめられた他の用途に使おうとする場合には、これは
朝鮮銀行
としてやる限りにおいては、
朝鮮銀行法
の範囲外になりますから、どうしてもこの
財産
を利用して、たとえば貿易事業をやるとか、生産事業をやるためには、
朝鮮銀行
のかくかくの
財産
を
使つて
、かくかくの新しい目的で法人格を形成する、こういう
法律
がいることになります。
夏堀源三郎
93
○夏堀委員 その点はわかりました。そこで午前中に
参考
からお伺いいたしましたいわゆる国内
資産
、登録公債と申しますか、
終戦
直後たしか百六十億円と聞きましたが、ただいまは六十億円という数字をお示しにな
つたの
でありますが、これはどちらがほんとうでありますか。
堀口定義
94
○堀口
説明
員 お答えいたします。百六十億円という数字は、どこからお聞きにな
つたの
ですか。その数字は間違
つて
おると思います。
夏堀源三郎
95
○夏堀委員 六十億円といわれるが、それはその他の
財産
もありましよう。
閉鎖機関
の現在持
つて
おる
資産
、これは大体二百億円、こういう
説明
をこの間お伺いしたのであります。二百億円は
閉鎖機関
で、いわゆる命令によ
つて
指定
されたその当時の帳簿価額であると思いますが、この点いかがでありますか。
堀口定義
96
○堀口
説明
員 閉鎖当時の帳簿価額では、約九百億程度であ
つた
と思います。ラウンド・ナンバーで約九百億円であります。それを現在まで換価した額が約一千億程度の総額にな
つて
おります。従いまして現在二百億程度とこの前申し上げたかと思いますが、それは要するに
債権
の徴収をや
つて
、債務の支払いをやる、あるいは
財産
の売払いをや
つて
債務の支払いをやる。その間にたま
つて
おります余裕金、それからさつき問題になりましたような
朝鮮銀行
、
台湾銀行
等の当時持
つて
おられました国債というようなもの、現在そういう形で残
つて
いるものが約二百億ということであります。
夏堀源三郎
97
○夏堀委員 午前の
参考人
の御
意見
として、すみやかに
閉鎖機関
を解除してもらいたいということは、なるほどお伺いしてみれば、私どもも同情すべき点はあると思います。
講和条約
発効によ
つて
、これまでの広範囲にわた
つて
のいわゆるパージの解除、あるいは
犯罪
者の面においても大幅に特赦される、こういうような事態にあるのに、ただこの
閉鎖機関
だけは厳然として何か非常な重罪でも犯したように、ぎつしりと縛
つて
おくということもどうかと思いますが、この間の御
説明
によりますと、何か四段階にわけて、また
整理
人を
大蔵大臣
が指名してやるのだ、こういうようなことであります。五十七億円もの厖大な費用を費してそしてどの程度の
整理
がされたかといえば、先ほどお伺いいたしますと、たとえば
朝鮮銀行
の一億円程度の貸付の取立てとか、あるいはある一部の財雇の処分とかいうような程度だと伺
つて
おります。そうしたような
事務
の
整理
に伴うそれとしては、あまりにも多くの
経費
を要する。こういうことはこの間もお伺いした
通り
でありますが、すみやかにこの
閉鎖機関
を解除して、これを軌道に乗せることがよろしいじやないかと
考え
るのであります。一体どの点までそれは
整理
すれば解除されるのか。その点はどうお
考え
になりますか。
内田常雄
98
○内田(常)
政府
委員 今回提出せられました政令の
改正
法案
の第一の目的は、先ほど来も御
説明
申し上げましたように、
講和条約
も発効するまでの段階にな
つたの
でありますから、できるだけ従来の
閉鎖機関
の
指定
を解除して、自由な
商法
上の
清算
に移すということのために、
法律案
が提出されておるのであります。ただたびたび御質問がございますように、さような場合にな
つて
も、在外
活動
の
閉鎖機関
だけについては、
講和条約
の発効後、第四条の
規定
で、相手国
政府
とのとりきめができるまでは解除ができない、こういうことは同時に申し上げました。従
つて
すでに三月三十一日限り、従来の
閉鎖機関整理委員会
というものも、
大蔵大臣
の命令で
解散
いたしました。そのあとは
閉鎖機関
は四つにわけまして、それに一名ずつの
清算人
を置きまして
清算
の形を簡素にし、できるだけ
清算
費用も
節約
するような形をと
つて
おります。すでに四人の
清算人
を
大蔵大臣
から指名されておりますけれども、これはいずれも従来の
閉鎖機関整理委員会
の委員をや
つて
おられた、七人の方から出ておるのでありまして、これらの方は
清算
事務
を引継ぐと同時に、ただちに個々の
閉鎖機関
につきまして、
指定
を解除していいかどうかを検討いたしまして、解除した方がいいものは、この
法律
の
通り
次第に解除して、普通の
清算
に移そう、かように
考え
ております。それから従来何十億の
清算
費用を要しましたが、今日まで
閉鎖機関整理委員会
が、何百人かの人を使いまして
清算
を進めました結果、当初千八十八あ
つた
閉鎖機関
が、今日現在では二百七十くらいに減
つて
おります。従
つて
八百近い
閉鎖機関
は、完全に
清算
を済ませまして、あと残りの二百の
閉鎖機関
につきましては、できますことならば今年中、あるいは今年の半ばごろまでには、可能なものは
指定
を解除して普通
清算
に移す、こういうつもりでおります。
夏堀源三郎
99
○夏堀委員 今折衝中であります
朝鮮
、台湾等については、平和条約が発効後において、いつまでもかか
つて
はこれはどうかと思います。すみやかに御解決になるようなことをするでありましようが、いわゆる
資産
の処理、先ほど
参考人
の
方々
としては第二
会社
をつくりたい、そして
営業
は一体どういう
方法
をとるか、それに対してはやはり
銀行
のような
仕事
を営みたい、こういう御
意見
があ
つた
ように聞いております。
朝鮮銀行
、
台湾銀行
は、その使命はすでに失
つたの
でありますから、単なる
金融
機関
ということの意味であろうと思います。今長期信用
銀行
法案
が審議されておりますが、これは私の希望でありますけれども、こうした
整理
が進んで、できるだけ国策に沿うような線に、こうしたような資金を充当するようにすることが望ましい。このようなことも
考え
られる次第であります。今からそうしたようなことを注文づけることも、これは時期が早いだろうと思いますが、ただ先ほどお伺いした
法律
は、今国会中はめんどうだ、いずれ次の国会にというお話もありましたので、そのうちにはすべての解決ができるであろう。そういう時期になりましたならば、あえて長期信用
銀行
ということに限定するわけではありませんけれども、今最もこの
金融
面において機能が停頓しておるような状態にな
つて
おりますので、すみやかにそうしたような有益な事業面に投資させる態勢を、御考慮にな
つて
おるのかどうか。あるいはまた
株主
全部にこれを配分するというようなお
考え
でもあるのかどうか。もしおさしつかえない範囲において御答弁願えれば、けつこうだと存じます。
池田勇人
100
○池田国務大臣
閉鎖機関
の方で、今たま
つて
おりまする金は百億程度あると思います。これは今食糧証券に投資しておるのであります。食糧証券を
日本
銀行
に持たすか、あるいは資金運用部が持
つて
、その食糧証券を売
つた
金を
銀行
に預け、そして
預金
として持
つて
おくか、あるいは今まで
通り
に食糧証券の方に投資しておくか、これは
清算人
がお
考え
になることだと思いますが、この金は行く行くは、今の
閉鎖機関
の方の
清算
が済んでしまえば、分配さるべきものであります。ただ
朝鮮銀行
その他につきましては、今までいろいろ議論のあ
つた
ような点がございますので、この金をどうしようかということについては、私も考慮をめぐらしましたが、こういうふうな金を長期の投資に使うことがいいか悪いかというのは、問題があるのであります。やはり長期の資金につきましては、
原則
として資金運用部を活用するのがいい。資金運用部が持
つた
り、あるいは
日本
銀行
が持つべきいわゆる食糧証券を、
閉鎖機関
に持
つて
もら
つて
おるのでありますが、間接的にはその金は
相当
有効に使われておる、こういうことに相なるのであります。今後の問題といたしましては、先ほど来申し上げましたように、
預金
にするかあるいは食糧証券で
行つた
らいいか、研究を要する問題でございますが、やはり
清算
に移るべき過程の状態でありますので、今すぐこれをどうこうするということは、よほど研究を要する問題だと思います。
夏堀源三郎
101
○夏堀委員 ただいまの御答弁のように、現在の立場において、食糧証券その他に利用しておるという程度で、まことに消極的な利用の
方法
であると思います。私の申し上げたことは、今ただちにとは申し上げられないけれども、最も積極的に、最も能率的に、こういうことで活用することがどうか、こうも
考え
て申し述べたのでありますが、これをどちらにまわすかということは、
清算人
及び
株主
の総意によ
つて
決定することであるか。
清算人
は
大蔵大臣
の指名によ
つて
生れたのであるから、
大蔵大臣
の御意向によ
つて
決定するものであるか。その指導力はどちらにあるのですか。
池田勇人
102
○池田国務大臣 指導力は、
清算人
がきめるべき問題でございます。
大蔵大臣
は
監督
の立場にございます。実は二、三週間前の新聞に出てお
つた
と思いまするが、この
閉鎖機関
のためております百億円を、
指定
預金
にしようかということも
考え
てみたのでありますが、先ほど申し上げましたように、
政府
の金を
指定
預金
にしますと数十行、相互
銀行
を入れますと百数十行、信用金庫を入れますと二百近くになる、こういう問題があるので、
閉鎖機関
のこういう金を、今までの
指定
預金
のように全部の
銀行
に振りまくということは、なかなか困難であります。そうすると都会の
銀行
だけに預けると五、六行、あるいは四、五行に預けるかということになると、なかなかやつかいな問題であります。それから
預金
の利子をどうするかという問題になると、かえ
つて
食糧証券を持
つた
方が、
閉鎖機関
の
清算人
としては利益だ、こういう場合もありますので、研究は続けておりまするが、今のところはこのままで行くのが妥当じやないかという
考え
を持
つて
おるものであります。研究はいたしております。
夏堀源三郎
103
○夏堀委員 この問題は、これ以上お伺いしたところで
ちよ
つと無理だと思いますので、次に移りますが、今
ちようど
指定
預金
のお話がありましたので、それについて
ちよ
つと思い起したのであります。これは
大蔵大臣
に対して決して皮肉で言うのではありません。
ちよ
つと今思い出したので申し上げるわけですから、どうぞ悪しからず……。 昨年の十一月二十六日、一時間余にわた
つて
、私が大蔵
委員長
当時、
経済
金融
に関する問題について質疑を行
つたの
であります。そのときに年末
金融
の問題に触れて、何とかこの預託を引揚げたなら、もう一度再預託はできないか、こう申しましたらば、
大蔵大臣
は、それは
金融
上の常識ではない、こういうことはいわゆる常識によ
つて
やらなければならぬ、こうはつきり言われた。そこで私は、専門家である
大蔵大臣
が、常識論によ
つて
先に出したのを、今度は出さぬのはおかしいじやありませんか、こう私が申し述べたことがあります。それはそれでいいとして、あの当時は、年末を控えて、不渡手形あるいは取引停止というように、非常に大きな問題が出て、
経済
の危機が迫
つて
いたのでお伺したはずであります。そこで私記憶を呼びもとしてみると、衆議院では、それは常識ではないからやらぬのだと言
つたの
に、その後二箇月か二箇月半しがた
つて
いないうちに、参議院において百五十億円を預託することにする、こうおつしや
つたの
です。もつともその間の情勢は、あるいは
政府
の年度内における剰余金の見通しがついたことでもあろうと
考え
ております。客観情勢の変化によ
つて
、そうしたようなこともあるいはあり得るかもしれませんが、賢明なる
大蔵大臣
は、そんな二箇月か三箇月ぐらいの見通しがわからないはずはないのです。それなのに衆議院においては、それは常識ではない、いよいよ困れば何とかするから安心せよと言われたので、われわれはすつかり安心してお
つたの
ですが、それから二、三箇月後の参議院においては、預託するのだと言われた。そこでまた実際われわれは安心はいたしましたけれども、われわれはずいぶんその当時
金融
状態を
心配
してお伺いしたのに、きれいさつぱり常識ではないと片づけられてしま
つた
。これは私どものひがみかもしれない。衆議院は協力するのだから、適当にしておけばいいというような御
意思
もあ
つた
ろうと思いますが、参議院はなかなかそうは行きませんので、ここはまあ
大蔵大臣
が大きな政治家にな
つたの
だから、この程度の手をやるのは当然であろうと思いますけれども、あまり食い違
つた
御答弁であ
つた
ことを、今
ちようど
指定
預金
の話が出ましたので、
ちよ
つと思いましたので、別にどうこうというわけではありません。そうしたようなことがあ
つたの
で聞いてみると、参議院と衆議院との答弁が食い違
つて
おる。やはり親類同士であ
つた
からそうであ
つたの
か、こういうふうに好意的な
考え
でおりますけれども、これは別にぜひ御答弁願いたいというわけじやございません。そうしたようなことを今思いついたわけでありますから、御了承願いたいと思います。
池田勇人
104
○池田国務大臣 せつかくの夏堀さんのお話でございますので、その間の事情をお話申し上げたいと思います。これは昨年の九月、十月ごろ
政府
で
指定
預金
をすべしということは、
金融
界のみならず
大蔵省
の
事務
当局の全部一致した
意見
でありました。私を加えない省議でもそういうふうに決定した。ぼくは何を言うのだ、そういうことは第三・四半期においては数百億円の散布超過になる。そこで今はすべきじやない。大体
金融
というものに対して財政資金を出すということは、常識的でもないし妥当でもない。第三・四半期は七、八百億の散布超過になるのだから、こういうときにやるべきじやない。しかもそれは
金融
の常道ではないと
言つて
とめたわけです。しかるところ二月に私が病気いたしまして、実は積極的にあまり
仕事
をするだけの余裕がなか
つたの
です。昨年の
政府
の引上げ超過は一月、二月で五十億程度であ
つたの
であります。しかるところ今年の一月、二月は合せて四百数十億円の引上げ超過になりまして、自然増収が
相当
あることが見込まれた。そこで私は病気がなお
つて
省へ出まして、こういうふうに
政府
の引上げ超過になるのをためておくことはよくない。なぜ君たちは
指定
預金
をしなか
つたの
だ。その案を出さなか
つたの
だと言
つた
ら、昨年の秋大臣は絶対に
反対
だと言われたからそのままにしておきました。それで、
経済
というものは動くのだ。常に注射をすることはよくないけれども、
ちよ
つと異常のときには注射をするのが政治家や
大蔵省
の務めであるというので、案をこしらえさせまして、これは何も要望がないのに私どもから自発的に申したわけで、こういう状態であるのであります。従いまして三月、四月の
金融
の行き詰まりその他を緩和するために百五十億を出した。しかも中小企業の方を主にいたしました
関係
上、商工中金につきましては引上げるべきものを引上げずにそれに追銭を出す、こういうふうな
方法
で
相当
中小企業の方に出したのであります。今の状態におきましても
日本
銀行
の貸出しが、外貨貸付と合せまして三千億程度になる。去年の今ごろは外貨貸付と合せまして、三千八西億円の貸出しだ
つたの
であります。しかるところ今はそういうふうにな
つて
おりますので、要すれば
指定
預金
をしようかというので、
政府
の余裕金を実は探しておるのであります。きのう現在では
指定
預金
が二百十億にな
つて
おります。すなわち前の
指定
預金
で引上げるべきものを、商工中金あるいは無尽の方は引上げずにおるところへ、また百五十億円出した。二百数十億円の
指定
預金
にな
つた
。それ以外の
政府
の当座
預金
が三百四十億ある。四、五、六月が多分
相当
の引上げ超過になるだろうと思いますから、この三百四十億をどのくらい使おうか、あるいは今
閉鎖機関
として問題にな
つて
おりますあの金が何とかなれば、また別でありますが、あの手この手を打
つて
金の算段をいたしまして、今度はもう少し長期の
指定
預金
をしたらどうかということで、今研究をいたしておるのであります。事情がかわ
つて
来ておりますので、そのかわ
つた
都度、邪道ではありまするが、生きものの
経済
をうまくするためにや
つて
おります。
原則
は
政府
指定
預金
が妥当でございます。今のようなときには、
政府
の引上げ超過があるときは、やはりその超過分は民間で
使つて
もらう。引上げとか散布の方に超過が起らないように、いろいろ手を打つのが大事でありますが、今日は何としても三百億の自然増収があり、あれやこれや自然増収以外の前年度繰越金も
相当
ありますので、そういう手を打
つて
おるのでありますが、
原則
は衆議院でお話した
通り
でございます。それから状況によりましては、参議院で私が進んで発表したような方針もあるのでございますが、趣旨は一貫しておりまして、あなたのおつしやる
通り
にや
つて
おりますから、御了承を願いたいと思います。
夏堀源三郎
105
○夏堀委員
大蔵大臣
はどうも大政治家になられたので、その当時と現在は大分情勢もかわ
つて
おりますので臨機応変の処置をと
つた
、こういうことに
解釈
して喜んでおります。食い違
つた
ことはその
通り
なんですけれども、お互いに親類同士なので、そこは臨機応変でや
つた
ということですが、十分
指定
預金
を出すべきだと思います。 そこでついでにお伺いいたしますが、今長期の預託の
意思
があるということですが、私この間地方に帰りましたら、どうも三箇月やそこらの預託では、こわくて安心して貸されない。せつかく持
つて
来ても、ただふところに置いておくだけで、じつとながめておらなければならぬ。何とか六箇月ぐらい余裕を置いてくれれば、手形でも何でも貸すことができるのだが、二箇月でやるのもいいのだが、とても
心配
でどうにもならぬ、この点を何とかできないだろうか、こういうような
金融
機関
の声もありましたので、
ちようど
長期のお話も出ましたから、この点はもう少し何とか預託の引上げを延ばすようなお
考え
はありませんかどうですか。
池田勇人
106
○池田国務大臣 ごもつともな御
意見
でございまして、私が長期と言いましたのもそういう意味で
言つて
おるのでありまして、今回の百五十億円の
指定
預金
も——今回と申しましても一箇月ぐらいのことでありますが、大体予算の
説明
のときにおきましては、
金融
債の引受はしない、情勢によ
つて
から
金融
債の引受も
考え
る、こういうことにな
つて
おるのであります。すなわち資金運用部資金の六百五十億は、地方債あるいは各特別会計の融資とか
政府
出資
機関
への貸付とか、こういうふうにいたしております。しかし今までの簡易保険の集まり方、厚生年金の集まり方、あるいはまた郵便貯金も予定より越えまして、
昭和
二十六年度は四百六十億円が
ちよ
つと越えております。そういうことで私の予定よりも、資金運用部の
昭和
二十六年度中の余裕金は百億円余りであ
つた
ということで、これは
金融
債の方に引受けられる。しかし
金融
債の発行は興銀、勧銀の方で計画的にやらなければいけませんから、今預けております分は四、五、六月の
金融
債の発行の場合における
預金
部の引受の見合いになる、こういうかつこうでや
つて
おるわけであります。そうすると三箇月で引上げられることになると運用にも困る、
銀行
も思い切
つて
運用できない、こういうのであの金を長期にかえるとか、あるいはこれからもう少し金を探して、あの金は四、五、六月に引上げるが、今度はお話のように六箇月ぐらいなものにできないかということで、研究をいたしておるのでございます。これまた夏堀さんの御
意見
の
通り
にや
つて
行きたいと
考え
ております。
夏堀源三郎
107
○夏堀委員 何分もう少し長期にお願いしたいということを、この際重ねてお願い申し上げておきます。 それから私の聞き違いであ
つた
かもしれませんが、昨日同僚
宮幡
委員からの御質疑のときに、財政と
金融
は混同しないように持
つて
行きたいものだ、こういうことでございましたが、その
通り
でございますか。
池田勇人
108
○池田国務大臣 その
通り
でございます。ただ資金運用部の金あるいは見返り資金を、財政資金と言うか
金融
資金と言うかによ
つて
、その結論がかわ
つて
参りますが、見返り資金は
昭和
二十七年中には開発
銀行
に出してしま
つて
、これは
金融
資金になる。資金運用部の資金は
政府
の扱うものでありますが、実体は
金融
でございます。こういう意味におきましては、財政資金と
金融
資金とはなるべく区別して行きたい。ただ電力開発のためとかあるいは重点産業の復興のためには、ある程度一般会計から
出資
するということはやむを得ないと思います。住宅公庫への
出資
金は財政資金か
金融
資金かということは、住宅公庫というものは一つの
金融
業務でございます。しかし事の性質上これはある程度政治的な
考え
方もあ
つて
、財政資金の面が
相当
あると思います。そこで
預金
部資金、見返り資金の
金融
資金ということになれば、昨日
宮幡
委員にお答えしたように、財政と
金融
とは区別して、政治的目的を多分に含むものについては、ある程度財政資金が
金融
資金のうしろだてをすることは、やむを得ないことだと
考え
ております。
夏堀源三郎
109
○夏堀委員 今の御
説明
はわか
つた
ようでわからぬのでありますが、この資金運用部資金の金は、これはこの前御質問申し上げたように、産業資金に対する三百億円を切
つたの
です。先ほどお伺いしたところでは、
相当
年度末の金がふえておるようですが、今後資金運用部資金から産業資金へまわし得る金は、どのくらい御考慮にな
つて
おるか、あるいはまたそういうことは
考え
ておらぬのであるかどうか、その点をお伺いしたい。
池田勇人
110
○池田国務大臣
昭和
二十六年度におきましては、資金運用部からの
金融
債引受は、買上げ分を入れまして大体三百億、引受の分は正確にいえば二百八十億だ
つた
かと思います。その程度あります。しかし各会計を通じての絶対均衡予算という方針を堅持いたしますると、ただいままでの見込みでは六百五十億の地方債を引受けたり、あるいは百十億の鉄道への繰入れ、百三千億の電通への繰入れ、あるいは
政府
出資
機関
への
出資
貸付等を入れますと、
金融
債の前年度の三百億円が一文も出なか
つた
ということになる。そこで
金融
債は、資金運用部の方の引受は今計画には乗せておりません。しかし今後の情勢によ
つて
郵便貯金も集まる、簡易保険もふえて来るということになれば、予定以上にふえたものについては
金融
債を引受けるということは、今国会の初めごろ申し上げてお
つたの
であります。しかるところ先ほど申しましたように、税の自然増収もあり、資金運用部の預入も多くなりましたので、今のところは少くとも百億あるいは百二、三十億の
金融
債の引受は確実にできるようになる。しこうして今後の情勢が、予算見積りのときよりももつと金が集まります場合においては、その金を優先的に
金融
債の方の引受に充てよう。しかしまたいろいろ問題も起
つて
参りますので、
金融
債ばかりというわけにも行かぬと思いますが、大体
金融
債の方に主として向けるという
考え
で進んでおります。
夏堀源三郎
111
○夏堀委員 たいへんけつこうな御答弁でありました。これは二月二十六日に私が質問いたしました際に、「一般会計の余裕財源で
預金
部の方の資金源にするように、大体百六十億ないし百七十億というものを予定いたしておるのであります。その程度の一般会計からする
預金
部の方の援助を計画いたしております。」こういう御答弁にあずか
つて
おるはずであります。この資金運用部の方に一般会計から繰入れるということは、これは予算にはなか
つた
が、これからやるということでございましようか。
池田勇人
112
○池田国務大臣 これは金のやりくりでございまして、一般会計の方で余裕がございまして、
政府
の当座
預金
がふえますと、日銀の方へそのふえた分だけ
預金
部の方の
所有
証券を肩がわりさせる、こういうことがあるのであります。一般会計のみならず、
預金
その他につきまして
相当
ふえております。たとえば森林火災保険特別会計等におきまして、従来は二、三十億円の赤字であ
つた
が、今度五、六十億円の黒字ということになりますと、この特別会計から
預金
部の方へ
預金
をする、こういう金を見積
つたの
が、合計で百六十億であ
つた
かと思います。
佐藤重遠
113
○
佐藤
委員長
ちよ
つと夏掘君お待ちください。
参考人
の皆様にごあいさつしたいと思います。ただいま議題とな
つて
おります
閉鎖機関令
の一部を
改正
する
法律案
について、
参考人
の
方々
におかれましては、長時間にわたり
忌憚
のない御
意見
を開陳せられ、本案
審査
上におきまして多大の
参考
となりましたことを、委員一同にかわり心から感謝いたします。御自由に御退席くださいましてけつこうであります。どうも御苦労さまでございました。
夏堀源三郎
114
○夏堀委員 この前、無記名定期
預金
は約百億円ほど増額にな
つて
おります、こういう御
説明
でありましたが、その後どんな状態にな
つて
おりましようか。
池田勇人
115
○池田国務大臣 無記名定期
預金
は二月十一日から始めまして、大体二月一ぱいで二百億程度の無記名定期
預金
ができました。その後大体毎日十億円程度ふえる足取りでございます。従
つて
三月末には大体五百億円程度の無記名定期
預金
の増にな
つて
おります。しかしこの五百億円の増の中には、今までの定期
預金
その他の
預金
が振りかわるのも
相当
あるのであります。大体四分六分で、振りかわりが六割、ネツト増が四割という各
銀行
の申出でございますので、二月十一日から始めまして三月末までに、大体三百億円余りの増加があ
つた
と私は
考え
ております。四月に入りますと、その足取りは
ちよ
つと落ちると思います。今後は今までのようにふえないかもわかりません。しかし振りかわり以外にだんだん新しい無記名
預金
が今後増加する。これにつきましては一部では千億円という話もございますが、またネツトの増は四、五百億円という話もあります。大体ネツトの増は四、五百億円くらいになるのではないか、あるいはまた時がたちますれば、それ以上になるかもしれないと
考え
ております。
夏堀源三郎
116
○夏堀委員 この無記名定期をもつと奬励する意味で少し税金を負けたらどうか、こうお伺いいたしましたらば、何とかそういうことにしよう、こういうような御答弁であ
つた
ように思いますが、これはやはり
法律
によらなければできないのでしようか。またそういうような御
意思
があるのでしようか。
池田勇人
117
○池田国務大臣 実は無記名定期
預金
は、
法律
の変更なくしては認められないのであります。ただ
法律
上は源泉選択の税率がある。これは五〇%になりますので、無記名定期
預金
も源泉選択の税率にならざるを得ない。しかし貯蓄奨励の意味から申しまして、五〇%の税率は少し高過ぎるというので、適当の機会にこの税率を下げたいという気持を持
つて
おります。ただ税の理論から申しますと、
最高
税率が五五%にな
つて
おるから、その人はもし利子をもらえば五五%かかる。そうすれば五〇%は安いじやないかという議論もありますが、全般的に申しますと、また貯蓄増強の必要性から
考え
て、私は適当の機会にこの五〇%は下げるようにいたしたいという
考え
を持
つて
おります。
夏堀源三郎
118
○夏堀委員 もう一点だけ伺います。前国会で問題にな
つた
遺家族の八百三十億のあの公債、あれはその後
方々
から
金融
がつかぬので、ただの金をもら
つた
も同様だと
言つて
、ずいぶん不満の声を聞きますけれども、せつかくこうして
大蔵大臣
がお
考え
にな
つた
ことであるから、これに対する
金融
も何かの
方法
でお
考え
にな
つて
おるかどうか。何か国民
金融
公庫から出すというようなお話もあ
つた
そうでありますが、今の公庫の資金量ではどうにもならぬと思います。せつかく出したことによ
つて
、かえ
つて
国民の不満を買うというようなことは残念なことでありますので、この対策を何かお
考え
にな
つて
おりますかどうか。
池田勇人
119
○池田国務大臣 お話はごもつとな点があるのでございますが、これは一ぺんに換貨いたしますと、インフレのきらいがありますので、一年すえ置き、十年間の償還ということにいたしたいと思います。ただお困りの方につきましては、十年たたなければ全部もらえないというのでは長過ぎるので、生活状況その他を
考え
まして、五年償還ということも
考え
たいと思うのであります。御
承知
の
通り
、農地証券とか漁業権証券の問題もありましたが、ただああいうものは片一方で金が入
つて
参る。漁業権証券の方は国債償還の金も
相当
ありましたから、もう二年間でほとんど払うようになり、来年からあるいは本年度からは外債の償還ということがございますので、一度にこれを短期間に払うということは財政上はなはだ困難で、増税でもすれば別でありますが、そこは
金融
情勢とも見はから
つて
、またそれをおもらいになる遺家族の
方々
の生活状況等を
考え
まして、適当な
措置
をして行きたい。財政が許せばこれを五年間あるいは十年間を待たずに出したいという気持はございますが、ただいまのところの見通しといたしましては、特別な方に五年償還でお渡ししてがまん願う。生業資金その他につきましては、すでに国民
金融
金庫でございまするか、遺家族の方には特に留意しようということで、進んで行きたいと
考え
ております。
夏堀源三郎
120
○夏堀委員 まだ長期信用
銀行
等についていろいろお伺いしたいことがありますけれども、同僚委員諸君の御質問もあるようですから、きようは私はこれで遠慮いたします。
佐藤重遠
121
○
佐藤
委員長
宮幡
君。
宮幡靖
122
○
宮幡
委員 大分時間もた
つて
おりますし、きわめて短かい時間ではなかなか終りまで参りませんので、きようはそのうちの一つか二つお尋ねをいたしたいと思うのであります。きのうただいま御質問の夏堀委員から御質問があるというので、途中で時間等を見合いながらやめたのでありますが、
ちようど
一万田日銀
総裁
の話に触れまして、通貨制度確立ということを
言つて
おるがどうかということをお尋ねいたしましたが、これははつきりいたしました。やはり同様一万田さんが関西の方へ行かれて言われた談話の中に、講和発効後は
中央銀行
としての地位はどうなるかということについての一項があるのです。それには、
政府
の
経済
政策と密接に結びつくものでなければならない。
中央銀行
としてはそういうように
考え
ている。しかし
政府
の政策が好ましくない方向に動く場合は、独自の立場からこれを是正すると
言つて
おります。これは例によ
つて
例の
通り
はなはだ行き過ぎでありまして、
大蔵大臣
のもとに相談に参
つて
慎重にや
つて
緊密に行
つて
いるはずである。ところが談話にはこういうことが随所に出て来るのでありますが、一体
大蔵大臣
としては、講和発効後におきまする
中央銀行
の地位をどういうふうにお
考え
にな
つて
いるか。この点につきましてお伺いいたします。
池田勇人
123
○池田国務大臣
日本
銀行
法の
規定
いたします
通り
、また
政府
機関
の
法律
で
規定
しておりますところを守
つて
行きたいと
考え
ているのであります。どんなことを言
つた
か私はよく見ておりませんが、
政府
のやり方が悪いとか不適当であるとか、そういうことは私はいたしませんから、問題は一応起
つて
来ないと思います。
宮幡靖
124
○
宮幡
委員
大蔵大臣
の答弁は円転闊達、少しも疑問はありません。けれどもこういうことを発表されると、司令部の牽制もなくなりました
中央銀行
というものが私どもは
心配
にな
つて
来る。そこで昨日お尋ねいたしましたら、いわゆる
金融
三法とでも申すべきものの
改正
は次の国会において、こういう御答弁でありましたが、至急に諸般の情勢を
考え
られまして御立案を進めていただきたいのであります。独自の
考え
なきにしもあらずであるが、せつかく諮問
機関
として審議会を設けてあるので、その
意見
を尊重したいというのはごもつともであります。決してこれを促進しろというのではございませんが、どうもこういう言葉の出るのは私ども不愉快である。しかも
占領政策
によります指令、覚書等の発せられない事態になりますと、今のようなほとんど統制が行われておらない市中
銀行
、これを統轄すると申しますか、その
中央銀行
という立場にあります
総裁
の言動などというものは、十分心して行かなければならぬ。これらを完全に取締るというと語弊がありますが、適当な言葉では
監督
し得る
規定
等も望ましいではなかろうか、かように
考え
ておるわけであります。 その次に、当面の
経済
の見通しについて、これは
大蔵省
からはもちろんそれぞれ適当の時期において御発表があり、伺
つて
おりますが、非常におもしろい言い方にな
つて
おります。これはもちろん一万田さんの談話でありますが、それもただ放言的に記者に言うのではなくして——大体大臣とか
総裁
などが旅行せられるときは、車中談の原稿を持
つて
いるはずであります。従いましてこれはそのときのたまたまの言葉ではなくして、何かそこに基本的な他意があるわけである。そういう意味から行きますと、ただ民間人がむだ話をしたという話では済まないのであります。当面の
経済
の見通しはどうだという質問に対して、近い機会に景気の急上昇するような要因は非常に乏しい、こう
説明
せられてお
つたの
が、日を繰
つて
みますと出発前の一日か二日の時期であります。ところが今度は関西の方へ行
つて
の談話によりますと、下期
経済
やや好転、こういうことで
説明
している。その要素としましては、七月には米国の新年度予算がきまり、国内では電源開発資金が出まわり、同時に八次新船建造が始まり、東南アジアの開発も軌道に乗り、日米
経済
協力が緊密になる。これだけの条件をあげまして、下期の
経済
はややよくなるのだと、こういう
説明
をしておられるのであります。ただ反面悲観的要素といたしましては、国内が一時的であろうが、生産過剰の状態に悩むことになるであろう。各国のいわゆる自給態勢がだんだん整備して来ることによ
つて
、貿易規模が縮小されるという悲観材料があるが、ということまで
言つて
おるのであります。一体
大蔵大臣
といたしまして、
経済
の見通し——きのう繊維につきましては、共産党の高田君の質問でありましたが、非常にわれわれの納得の行く、いわゆる業者の言う滞貨、あるいは操業短縮——私どもは操業短縮などということにつきまして通産省あたりが指令、通告を出してやるというようなことをいたしますならば、強い言葉で言いますれば、むしろ独占禁止法違反だとさえ私どもは
考え
ております。そういうことで、きのうの御答弁では、繊維界のことに関しましてはまことに適切なお見通しをいただいておる。従いまして全体的に、一体
大蔵大臣
は
経済
をどういうふうに見られているか。これは、やや好転なら好転でけつこうであります。逆転では困る、好転を望んでおりますが、今、日銀
総裁
が述べております諸条件の中に、どうも絵に描いたような感じのするものが一、二あるのでありますが、全般的にひ
とつ
大蔵大臣
のお見通しをお知らせ願いたいと思います。
池田勇人
125
○池田国務大臣
経済
の見通しにつきまして、一万田君の言うことを私が批評するのはどうかと思います。私は吉田内閣の
大蔵大臣
ですし、
日本
の財政
経済
を預か
つて
おるものでございまするから、一
日本
銀行
の
総裁
がこう言
つた
、ああ言
つた
で、それに対して批評を加えることはやめますが、私の見通しといたしましては、今は世界的に
経済
の正常化のときであります。もちろん軍備拡張をしておりまするイギリス、アメリカ、フランス等におきましては、インフレ予算をつくりまして——イギリスはそうでもございませんが、インフレ予算をつく
つて
、そうして軍拡をや
つて
おります。しかし他方ではいろいろなデフレ政策をとる。その方式はアメリカで申しますると、予算は
相当
計上いたしまするが、実際その予算はあまり
使つて
いない。よほどスピードを落しておる、こういうことでインフレ予算でありますが、実際はそれを訂正するようなやり方をしておる。また片一方では非常に生産拡充をしておるという状態で、アメリカの方が大体正常な動きをしている。イギリスの方は生産は伸びません。予算はふえて、物価は上
つて
来るというので、アメリカとは様子は違いますが、非常に手持ち外貨を減らしまして、これは物価がだんだん上昇の傾向をとる。そこでバトラーが特別な施策で起死回生の方策を講じつつある。フランスもやはり軍拡のためにインフレで、フランがどんどん下り、独力でや
つて
行けるかどうか。この前のフランスの首相の声明なんか、とにかくフランの価値を上げることが政策の
中心
であるということまで
言つて
、バトラー流にや
つて
おるのであります。しかし一方今度は軍備拡張をあまりしない西ドイツ、ベルギー、イタリア、
日本
というのは、これは輸出超過で外貨が余
つて
来る。ふえて来る。この外貨をどう使おうかというので、フランス、イギリス、アメリカとは違
つて
、どちらかというとインフレ政策をとりつつある、こういうような状況でありまして、この世界の動きいうのは、各国おのおの違
つて
おります。うまいやり方もありますし、下手なやり方もあるようでありますが、とにかく
日本
としましてはこういうものを見ながら、その間に処して徐々に
経済
力を強くして行かなければならぬ。こうなるとか、ああなるとか
言つて
も、国民全体が力を合せて行かなければ、
経済
の伸びとか好景気というものは来ないのであります。そこで私はこういうふうな情勢を見まして、ポンド地域への輸出はある程度制限するとか、あるいはこの際に将来に備えて企業の近代化をやるとか、あるいはまた輸出を押えるとかしてその物資を国内消費に向けて行くとか、こういうやり方で
日本
の
経済
の正常化をや
つて
行こう。景気はよくなるかとか悪くなるかとかいうことは、いろいろな所で聞かれますが、国民が力を合せて行けば景気はよくなる、こういうことになると思います。世界の
経済
が今みな正常化に努力しておるのであ
つて
、そうデフレ傾向に向うとは
考え
られません。上昇傾向を——紆余曲折ではありますが、総体としては上昇傾向をたど
つて
おる。そうしてそれによ
つて
日本
も将来を頭に置きながら、企業を合理化をし生産拡充のもとを開いて行きたい、こう答えるよりほかにないのであります。
宮幡靖
126
○
宮幡
委員
大蔵大臣
の仰せられるように、やはり一
銀行
の
総裁
の談を批評する限りでもないでありましようから、この
方面
は少し気には入りませんけれども、面をかえたいと思います。 そこで設備資金——産業構造ということも
考え
ねばなりませんが、設備資金の状況については依然としていろいろな制限がついております。これは統制ではないのですが、制限をつけざるを得ない。資金量がある程度固定している以上やむを得ないことで、これは批評する者の方が自由なくらいでありましよう。そこでこれらの
金融
対策の重点は、自己資本の蓄積ということがもとより基本的な点でありますが、やはり流通
金融
ということに重点が振り向けられて行く時期が、おいおい迫
つて
来たのではないか。そこでまず第一番に証券市場をながめてみましても、毎月今でも若干の増資、社債の発行等はありますけれども、全般的に見て、証券がコール市場あるいは担保
金融
の対象になる銘柄が、きわめて局限されておるのでありますが、流通
金融
の面から見ますると、主としてコール市場に担保を持ちますところの銘柄を追加して行かなければならない。また信用供与率につきましても、掛目の問題でありますが、これも五五%ずつかける。そんな程度だと思いますが、これを六〇%、七〇%等に拡充して行くことが適当ではなかろうか。それから証券
金融
の今五五%の信用供与率によりまして、日歩が三銭四、五厘というところなんですが、これらに対しましての金利ももう少し安くしてやる必要があるのではないか。これにつきまして
大蔵大臣
の御方針はどんなでございますか。
池田勇人
127
○池田国務大臣 証券対策ということは、流通
金融
の面のみならず、
金融
全般いわゆる設備資金の点から申しましても重要なことでございまして、
金融
政策の片一方をかつぐ大きい問題であると思います。幸いに昨年の春過ぎから証券界も活況を呈しまして、一時非常に不況で低か
つた
株価も、低いところから比べますると、七、八割程度の上昇ぶりを示しておるのであります。こういうふうなときに、今のお話のような証券対策の一環をさつそく出すということは、時期的にどうかという
考え
があるのであります。いろいろな掛目の問題、日歩の問題あるいは日証金その他への融資の問題、いろいろな点がありまするが、私は証券対策の手を今どんどん出して行くことがいいか、出し方とかあるいはその時期等につきまして、
相当
慎重な態度で進まなければならぬと思います。幸いに今までの増資も
相当
活況を呈し、ことに五月には百五十億程度の新株の発行がある、こういうことに相な
つて
おりますので、五月の新株の発行等につきましては、ある程度
金融
的の
措置
も
考え
なければならぬと思いますが、今ただちに掛目の問題、日歩の問題に出るのはいかがか、こういう気持を持
つて
おります。
宮幡靖
128
○
宮幡
委員 次にお伺いいたしたいのは、これは場合によりましては
銀行局長
さんからお答え願
つて
もけつこうでありますが、昨年十月か十一月でしたか、設備資金の融資規制に対しまする局長通達が出ております。今度は大体設備資金の融資対象のものが、おもに産業合理化の業種に上
つて
おるものを対象として設備資金の供給の道を開く。これは規制
委員会
等に御通告なす
つたの
じやないかと思いますが、その
内容
につきまして、ただいま
大蔵大臣
のお話くだす
つた
全体の
経済
の状況とあわせて、お聞きしておきたいのであります。あるいは資料でもけつこうでありますが、この際ある程度御答弁願えたら、お伺いしたいと思います。
池田勇人
129
○池田国務大臣 一、二日前の新聞に、従来
大蔵省
のと
つて
おりました設備資金に対する方針が、いかにも緩和されたように載
つて
おるのでありますが、私まだそこまでの発表をするつもりではないのであります。ただ新聞に出ましたのを、私はまだ
銀行局長
から報告を受けておりませんが、外貨の貸付をやる。機械等その他設備近代化への外貨の貸付をやる。その場合に、外貨の貸付に見合
つた
設備資金を出さなければ、たとえばせつかく機械を入れましても、その機械をすえつける場所その他につきまして
金融
が行かぬということになると、片手落ちになりますから、設備近代化のために外貨を使用した、その使用に伴うものにつきましては、従来の非常に重点産業を主とした以外にも出すべきである、こういう気持を持
つて
おります。それが
銀行
局から日銀の方に行
つて
おりますので、そういう意味の設備
金融
というものは、その意味においてある程度においてふえて参ります。昨年秋やりましたものを今全面的に撤回するとか、重要な
部分
を
改正
するまでにはまだ
至つて
いないと思います。
宮幡靖
130
○
宮幡
委員 ただいまの
大蔵大臣
の答弁は、満足という言葉は適当でないかもしれませんが、前から伺
つて
おります一貫した
大蔵大臣
の所信といいますか、現在までと
つて
来ました政策にぴ
つた
り一致する。もし巷間伝わるような
考え
方をいたしたとするならば、これはやはりこの面だけから見ますと、一応片づいたようなことになります。外貨貸付をいたしましたものと見合うだけの円資金を供給する。これは当然の
措置
であります。この程度であろうと私どもは
考え
ておるのであります。どうもあまり安易に民間が
考え
ておりますので、これは念のためにお伺いしておきたいと思
つて
お
つたの
であります。そこできのうでありましたか、社会党の松尾委員から、日銀の貸付減という問題について若干お尋ねがありましたが、時間の
関係
もあるし、御答弁の点についてもはつきり聞きとれなか
つたの
で、あるいは重複するかもしれませんが、念のために伺わせていただきます。日銀の貸出しが減
つて
来たという問題に対する原因や
理由
など、いまさら申し上げるまでもありませんが、日銀の貸出しの減少ということは、これは財政
金融
の総括的な面から見まして、いい傾向とお
考え
にな
つて
いるか、悪い傾向とお
考え
にな
つて
いるか、この判断でありますが、この点について
大蔵大臣
の御所信を承
つて
おきたいと思います。
池田勇人
131
○池田国務大臣 日銀の貸出しが減
つて
来ることは、全体から申しますといいことであります。
宮幡靖
132
○
宮幡
委員 それでは貸出しの減
つて
参りますことは、これは現象としてはオーバー・ローンが解消されて行くという一つの形でありますが、こういうことが将来とも持続いたしまして、順次オーバー・ローンの程度が緩和されるものとお見越しにな
つて
いるかどうか。
池田勇人
133
○池田国務大臣 この日銀の貸出しの減少が、ほかに何もなくて減
つて
行くということは、これはよくない。しかしほかに普通
銀行
の手元が
預金
増加によ
つて
楽になる、あるいは民間事業が利潤を上げて、借金を返して、
日本
銀行
にそれが還流する、こういうことはいいことであります。こうしてオーバー・ローンの解消ができることはいいことであります。私は
原則
としていいことであると
考え
ます。
宮幡靖
134
○
宮幡
委員
原則
としていいことである、ということはけつこうであります。 その次にお伺いいたしたいのは、これもまた前々からうわさを聞いてお
つたの
でありますが、
大蔵省
から決定的な御提案を受けておりません。差迫
つて
おるであろうと思いますが、いわゆるやみ
金融
取締りの強化の問題であります。ただいまの貸金業等の取締に関する
法律
でありますが、これを廃止せられるということをほのかに聞いておりました。そうしてこれを法務府の所管にでも移しまして、高利貸を取締
つて
やろう、こういうことで、新聞やラジオで言いますのは、日歩五十銭の程度、月一割五分などと放送しております。そのことにつきましても、その程度についてのよしあしを伺
つて
おきたい。一体
金融
行政の一元化の趣旨に反するのじやないか、いや決して反しない、警察の取締りにまかして
大蔵大臣
はノー・タツチで行
つて
も、
金融
行政一元化の方向にそむかないという御信念をお持ちかどうか。
大蔵省
が手放しにやられてみて、こうした方がかえ
つて
弊害がない。たとえば
大蔵省
免許だとか、
大蔵省
公認だとかいうような看板を掲げてやみ
金融
をやられることは、
大蔵省
の面目にかかわるという点も出て来るでありましよう。しかしその逆も出て来るのであります。こういう点について、
金融
政策全般についての御所見をお伺いしたいと思います。
河野通一
135
○河野(通)
政府
委員 まずただいまの貸金業に関することでありますが、この問題は実は昨日の閣議で
法律案
を御決定願いまして近く国会に御提案申し上げることにな
つて
おります。その大体の骨子は、貸金業法つまり現在できております取締法は、その制定以来の経過にかんがみまして、その必要を認めないということ、必要を認めないばかりでなく、むしろ弊害を生ずるように思いますので、この制度はやめて参りたい。しかしそうかとい
つて
、この
法律
をやめるということは、正当な業務としての貸金業を禁止するとか、あるいは非常にのけもの扱いにするというような
考え
方からではございません。これに対する特別の取締りの
規定
はいらないという
考え
方にかわ
つたの
であります。ただしかしながらお示しのございましたように、非常に高い金利をと
つて
借手を
不利益
な状態に持
つて
行くとか、あるいは
預金
受入れ禁止の
規定
、これに反することを貸金業者がやりました場合には、これに対する取締りの罰則を強化するという意味で、若干の法制上の
改正
をいたしたい、そういう趣旨で、いずれ提出になりましたら十分御審議願いたいと思います。
宮幡靖
136
○
宮幡
委員
大蔵大臣
は時間の
関係
もあるようですから、重要事項を項目的に伺いますが、いよいよ国際通貨基金への加入を閣議あたりで御決定にな
つた
ような報道でありますが、それにつきまして
大蔵省
の
意見
として巷間伝わりますのは、
出資
金が二億五千万ドルは少い、ぜひ三億ドルは確保したいという意向だ
つた
そうですが、この少な過ぎるという
理由
、三億が二億五千万ドルに減
つた
場合に不利になる点等につきまして、
大蔵省
の御見解をお伺いいたしたいのであります。
池田勇人
137
○池田国務大臣 大体国際開発
銀行
からの借入れの限度が、クオータにある程度支配されるのですから、なるべく多い方がいいというので主張いたしたのであります。二億を主張する国もありまたし、われわれのように三億を主張する国もありましたが、大体二億五千万ドルにおちついて、もうこれを動かすことは困難だという見通しがつきましたので、最後までがんばりましたけれども、これで一応入ることにいたしたのであります。
宮幡靖
138
○
宮幡
委員 国際通貨基金及び国際開発
銀行
に加入のための、いわゆる払込み資金等の手当に、大体円資金として二百四十三億ぐらいを必要とするようにな
つて
参ります。平和回復善後処理費として二百億あると
承知
しておりますが、これは来るべき八月あたりに召集される来年度の通常国会において、これの補正でもされる御用意がありましようか。
池田勇人
139
○池田国務大臣 国際通貨基金加入についての資金は二百億ぐらいと
つて
おりますが、その後の情勢によりまして、お話のように二百四十億ばかりいるのであります。従いまして補正予算を組まなければ入れないというかつこうになるのでありますが、幸いに
日本
銀行
の記帳価格で金は一グラム三円五十五銭でございます。実際は四百円いたしております。二百億円の中からある程度のものを三円五十五銭で金を買いまして、それで金とドルと両方で
出資
しよう、こうすれば補正予算を組まなくてもできることになりますので、その方針で進んでおります。従いまして
日本
銀行
の金を記帳価格で、時価の百分の一ぐらいで買うということにつきましては
法律
を要しますので、その
法案
は本国会に提案することにして進めております。
宮幡靖
140
○
宮幡
委員 その点は非常によくわかりました。最近、これはおもに外為の
意見
でありますが、かねがね懸案のドル・ユーザンスを実施してもらいたいということを、
大蔵省
あたりに申し入れているということを聞き及んでいるのでありますが、
大蔵省
としては外銀ユーザンスで、輸入手形に対します振出しを事実上は延ばしてもら
つて
いるような、ただいま妙な貿易慣習があるのであります。これはや
つて
も、ただ実際慣習上や
つて
おります延べ手形が、今度はユーザンスによ
つて
裏づけされるという結果にしかならない面もありますが、事実は輸入を促進するという面において、非常な役割を果すわけであります。これにつきまして、
大蔵省
としての
考え
はどうか。あわせて為替
銀行
——現在十一、二ありますが、これはまあほんとうに為替
銀行
とは名のみの発足をしている。そこでこれらの
関係
と見合いまして、どういうような推移になるか。これはあらましでけつこうでありますが、
大蔵省
の御
意見
をお伺いしたい。
池田勇人
141
○池田国務大臣 この問題につきましては、昨年来いろいろなことをや
つて
いるのでありまして、実は私もけさの新聞で外為の
意見
として載
つて
いるのを見ましたので、どういう
理由
で、どういう
方法
で、どういう時期でということまではまだ検討いたしておりません。よく
事務
当局からいろいろな点を聞いてきめたいと思います。
宮幡靖
142
○
宮幡
委員
金融
問題は今日はその程度にしておきまして、次の機会にいたしますが、ただ一つ違
つた
方面
の問題を伺いまして、私の質問は今日は終ります。最近私の——現在自分で手をおろしてや
つて
おりませんが、自分の職業
事務
所あたり、ほとんど全国的にあるとい
つて
よろしいのでありますが、出先税務署等に参りますと、非常に税務
職員
が危険にさらされているという切々たる訴えがある。そうして税務警視制度でも設けてもらわなか
つた
ならば、今後どうも火焔びんをほうり込まれるという事例が非常に多くな
つて
来る。非常にあぶなくて困
つて
いる。従
つて
ずるい納税者に対しましても、あるいは、そう
言つて
いいかどうかわかりませんが、第三国人等の不法な行動に対しましても、積極的
活動
ができない。これはぜひこういう税務警視制度というものを設けてもらいたいというような
意見
が、多数あるのであります。税務警視制度と申しますのは、税務署の
請願
巡査という意味であります。そういうもので身体を自分の
機関
で保護してもらいたい、こういう要望があるのでありますが、これに対しまして
大蔵大臣
はどういう
考え
を持
つて
いるか。あるいはこういうことは、組織の問題もありますし、予算の問題もありましようから、すぐにはできないけれども、将来必要があるといたしますれば、その
方面
にも配慮しようという御意向であるかどうか。この点、簡單でけつこうでありますから、お尋ねいたします。
池田勇人
143
○池田国務大臣 今年の初めごろから一箇月ぐらい前までの調査では、二十七件ほど全国の税務署に火焔びんその他の放火に類するようなことがございました。その後におきましてもやはり二十件余り出ております。しこうして税務署に火焔びんを投げ込むのみならず、署長の宅とか、あるいは課長の宅にも不法な行為をするものが
ちよ
い
ちよ
い出て来ており、税務
職員
の志気に非常に影響いたしておるので、従いまして火焔びんを投げつけられまして、よく防火につとめ、非常によくや
つて
おりますものには、その都度国税年長官等より適切な
措置
をと
つて
おりますが、なおだんだん広が
つて
行くようならば対策を
考え
なければならぬ。しかしこれも時期的の問題でございますので、もうしばらく様子を見まして、もしこういうのが続くようならば、適当な
措置
をとらなければいかぬと思います。これは
請願
巡査のようなものだけでいいか、あるいは税務
職員
に対しまして危険があ
つた
場合の補償とか、いろいろなやり方があると思います。もう少し情勢を見ましてきめて行きたいと思います。
宮幡靖
144
○
宮幡
委員
大蔵大臣
に対する質問は、きようは時間のお約束で、これで打切ります。
管財局長
にひ
とつ
伺います。すでに国有
財産
特別
措置
法は修正案の提案までされておりまして、実は採決直前にある。そこでまだ資料の中にあまり現われて来ないところで、一点だけこの際はつきりしていただきたいのであります。第九条の第二項、それに対するいわゆる交換差金が出るか出ないかの算定
方法
、これは政令によ
つて
きめることにな
つて
おりますが、その機械の交換をいたします差金を計算いたします評価の基準について、政令で定める予定の構想を、ここではつきりと述べておいていただきたいと存じます。そう申しますのは、交換差金が不当に高いものであり、あるいは時価に換算してみたり、あるいはか
つて
の価格を八十何倍するとかいうような定規もあるように、前々ほのかに知
つて
いる。そういう点で無用の差金が出るような交換をいたしますれば、これは交換を阻止する
法律
にな
つて
しまいますので、適当なところの評価の基準というものをわれわれが知らない以上は、この
法律
の成立に残念ながら賛成できないというような事態も起るので、その評価の基準をはつきりとお示し願いたい。
内田常雄
145
○内田(常)
政府
委員 機械の交換につきまして、国有
財産
特別
措置
法に
規定
を置きました趣旨は、たびたび申し上げておりますように、
大蔵省
としては非常に進歩的な
考え
で、国有
財産
の取扱いを財政的見地からさらに
経済
的見地に一歩進める、こういう趣旨でございます。従
つて
この差金のとり方がどうであろうと、私はあの条項は非常に進歩的で、
経済
関係
の
方面
からは喜ばれることであろうという確信を持
つて
いるのであります。次に差金のとり方でありますが、これは差金をとらないことにすれば、一番
関係
の業者等にも喜ばれると思いますが、ただ国有の機械と民間の中小企業等が持
つて
おりまする旧機械等の状況が、個々の場合においてすべて違う。そこで国が持
つて
いる甲の機械と民間が持
つて
いるAの機械とを交換した場合の価値の違い方と、国が持
つて
いる乙の機械を民間の業者が持
つて
いるBの機械と交換した場合の価値の違い方が同じであれば、これはあまり問題になりませんが、それがみな違う。この場合に差金をとらないようなことをいたしますと、民間の業者相互間において非常に不公平が起きまして、ある甲の業者は非常に利益を受けるが、乙の業者はあまり利益を得ないということになりますから、これは公平の基準において差金をとる方がよいと思います。第三番目に差金をとるとり方でありますが、これは非常な無理なとり方は私はいたしたくないと思いますと同時に、技術的にも
政府
が交換をいたします際に、
政府
の持
つて
おる機械の評価をすると同時に、民間の中小企業者が持
つて
おるその評価も、あわせてしなければならぬということになりますと、かりに国が十万台の機械を交換にまわします際には、その交換の対象になる民間保有の十万台についても評価をしなければならぬ。合計二十万台の評価をしなければならぬということで非常に複雑になりますから、技術的に
政府
の持
つて
いる機械の評価と、民間の持
つて
おります機械の評価を簡單な
方法
でやる、あわせて返す刀でと申しますか、差金が非常に無理な額にならないようにすべきだと、かように
考え
ております。具体的には通産省と打合せてきめるつもりでおりまして、最終的に決定はいたしておりませんが、たとえば評価の基準を——これは皆様通産省にもおられまして、専門家であろうと思いますが、たとえば工作機械というようなものは、大体重量一トン当りどれくらいの値段だという通常の価値評価というものはあるようであります。また工作機械の中にも、レースとかドリルとかミーリング・マシンとか、いろいろの機械によりまして、大体一キロ当り幾らというような評価がありますから、そういうような物理
経済
的な簡單な評価の
方法
を政令できめまして、単純かつ過酷でないような評価の
方法
をとる
考え
であります。この点は御信頼願
つて
けつこうだと思います。
宮幡靖
146
○
宮幡
委員 今のことで私のお尋ねしたのは、差金をとらないでいいというのではない。差金をとるべきだというのです。とらないで交換なんかしたらとんでもない。ただ中小企業が多いのでありまして、二十七万台くらい賠償機械や工作機械があるのですが、そのうち交換できると
考え
ますのは、せいぜい七万台か五万台くらいではなかろうかと思います。なぜかと申しますと、すでに物資活用の面におきまして、貸付をいたしておるわけであります。こういう現在において
使つて
おるものは、なかなか返しもないで、それに払い下げるということが常識にな
つて
参ります。ただ今の工作機械の目方によ
つて
評価する等の場合におきましても、おおむね交換に出て来ます機械は、いわゆる精度の低い老朽化した物理
経済
的に無価値のものが多いのであります。従
つて
それとまた
経済
価値のあるものと交換する場合に、差金が多くないようにすると
管財局長
は言いますが、実際は必ず多い。しかも中小企業が、その差金を五年間の年賦で払えるだけの現金の融通
能力
があるかどうかということを
考え
ますと、これはなかなか簡單な問題ではないのであります。それでありますから私どもの
考え
ますのは、いずれ賠償機械にしろ旧簿価があります。簿価に対しまして一定の倍率で時価を出す。こういう一つの方式があるのでありますから、その生れて来た簿価同士の差金に対し、たとえば八十倍の倍率をかけるといたしますならば、差金自体に倍率をかけて行くというような算定、しかし実際は両方の簿価に対しまして、未償却の額を引きましたそのときの帳簿価格を求めて、それの交換差金を出して行くのがいいのだ、しかし実際の交換
方法
は簿価同士で差引いて参りますのが妥当だと
考え
るのでありますが、深くお
考え
があると思いますから、また私は十分その点は考慮ついたしまして、スライドされることを安心いたしまして、おまかせいたします。どうぞこれらが実際の中小企業の合理化ということに役立つ意味に、ひ
とつ
御配慮をいただきたいということを、この
法案
審議の上において希望条件を強く付しましてお願いいたしておきます。
佐藤重遠
147
○
佐藤
委員長
次会は明二十四日午前十時より開会の上、質疑を続行することとして、本日はこれにて散会いたします。 午後四時三十六分散会