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1952-04-21 第13回国会 衆議院 大蔵委員会 第54号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年四月二十一日(月曜日)     午後二時四分開議     —————————————  出席委員    委員長 佐藤 重遠君    理事 奧村又十郎君 理事 小山 長規君    理事 佐久間 徹君 理事 内藤 友明君    理事 松尾トシ子君       大上  司君    川野 芳滿君       苫米地英俊君    夏堀源三郎君       丸山 直友君    三宅 則義君       宮幡  靖君    宮原幸三郎君       高田 富之君    深澤 義守君       久保田鶴松君  出席政府委員         外国為替管理委         員会委員   大久保太三郎君         大蔵事務官         (理財局長)  石田  正君         大蔵事務官         (理財局次長) 酒井 俊彦君         大蔵事務官         (管財局長)  内田 常雄君         大蔵事務官         (銀行局長)  河野 通一君         大蔵事務官         (銀行局総務課         長)      福田 久男君         大蔵事務官         (銀行局銀行課         長)      大月  高君  委員外出席者         大蔵事務官         (理財局為替政         策課長)    稻益  繁君         大蔵事務官         (管財局閉鎖機         関課長)    堀口 定義君         大蔵事務官         (銀行局資金運         用課長)    高橋 俊英君         通商産業事務官         (通商振興局経         理部長)    石井由太郎君         専  門  員 椎木 文也君         専  門  員 黒田 久太君     ————————————— 四月二十一日  委員島村一郎君辞任につき、その補欠として丸  山直友君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  国有財産特別措置法案内閣提出第五九号)  長期信用銀行法案内閣提出第一一三号)  国民貯蓄債券法案内閣提出第一二一号)  設備輸出為替損失補償法案内閣提出第一二八  号)  日本開発銀行法の一部を改正する法律案内閣  提出第一三八号)  閉鎖機関令の一部を改正する法律案内閣提出  第一四三号)  貸付信託法案内閣提出第一三〇号)(予)  国有財産法第十三條の規定に基き、国会議決  を求めるの件(内閣提出議決第一号)  参考人招致に関する件     —————————————
  2. 佐藤重遠

    佐藤委員長 これより会議を開きます。  国有財産特別措置法案長期信用銀行法案国民貯蓄債券法案設備輸出為替損失補償法案貸付信託法案日本開発銀行法の一部を改正する法律案閉鎖機関令の一部を改正する法律案、及び国有財産法第十三條の規定に基き、国会議決を求めるの件の八法案一括議題として質疑を行います。質疑は通告順によつてこれを許可いたします。  なお大蔵大臣出席を求めておいたのでありますが、大臣の都合によつて明日以後にしてほしいということでございましたから、さよう御承知を願つておきます。内藤友明君。
  3. 内藤友明

    内藤(友)委員 ただいま議題になりました長期信用銀行法案につきまして、二、三銀行局長にお尋ね申し上げたいと思うのであります。  まず最初にお尋ねいたしたいのは、長期信用銀行という商号についてでありますが、銀行法によります銀行と、この長期信用銀行法によります銀行とが、二つ並んで存するということになるのであります。これは商号を、法律で定める精神を無視したのではないかとも考えられるのであります。一般の人が長期信用銀行預金に来た場合、取引先でないからといつて断られることもあり得るのでありまして、大勢の人に迷惑をかけるようなことになるのでありますが、何ゆえ銀行という名前をつけられたのであるか。まずその点をお伺いしたいのであります。
  4. 河野通一

    河野(通)政府委員 長期信用銀行法に基きます銀行も、商号としては銀行という二字を用いることで足りるということにいたしたことは、お話通りであります。その理由は、銀行という言葉を使うのは、銀行法につきましては、銀行以外のものは銀行という名称使つてはいかぬ、銀行は必ず銀行という名称を使うことになつているわけであります。この趣旨は、預金者を保護し、取引の安全を保持いたしますための立法理由に基いているわけであります。しかるところこのたび長期信用銀行法を制定いたしまして、その銀行名称の中に長期信用銀行という文字を使わなくて、銀行という文字だけでよろしいということにいたしましたのは、第一には、今申し上げましたような意味から、銀行という言葉を使わせますことによつて生ずる弊害はないという点が、第一点であります。それから第二点は、今般の新しい法律によりましてできて参ります銀行の中には、従来の銀行法に基く銀行、いわゆる預金銀行でありますが、この預金銀行からそのまま転換して、長期信用銀行になつて参るものもあるわけであります。これらにつきましては、その名称長期信用銀行なつたために、とたんにたとえば何々長期信用銀行というふうな名称にかえさせる必要もないということが考えられます。商号は、御承知のように非常に長い伝統と歴史をもつてできているものでありますので、なるべくそのまま使つて参りたいというものにつきましては、その名称をそのまま引継がせることは必ずしも害はなくて、非常に適当な場合もあるわけであります。そういう点で、単に銀行という言葉を使うことが、必要最小限度の條件ということにしたのであります。なおそうすることによつて弊害が起つて参るじやないかという点でございますが、お示しのように長期信用銀行は、今後預金については一般預金受入れないということになりますけれども、実際問題として長期信用銀行は、数からいたしましても、実際上そう多くできて参るものとは考えられません。また店舗にいたししましても、普通の商業銀行預金銀行等のように、非常にたくさんの店舗を持つということは実際上ないのでありまして、ごく限られた店舗によつてこれを行つて参ります。今お話のように、一般預金者がその銀行行つて、実は私のところでは一般預金受入れませんということになつて、いろいろ取引者に迷惑をかけるような心配は、実際問題としてはないというふうなところもございますので、原案のような措置にいたしたわけであります。
  5. 内藤友明

    内藤(友)委員 ただいまのお答えで大体わかるのでありますが、そこでこの銀行がたくさんできないというお答えのようであります。今大蔵省で大体お考えになつておりまするこの銀行のできる数は、どの程度なのでありますか。私どもは必ずしもそうでないような気もいたすのでありますが、大体幾つくらいできる予定でありますか。もし大よその見当がおわかりでありますれば、ひとつお答えいただきたいと思うのであります。
  6. 河野通一

    河野(通)政府委員 私どもは、基本的な方針としては、当業者と申しますか、銀行をつくつて参りたいと考えておられる当事者の方々の発意、自主的な判断をできるだけ尊重いたして参りたいという考えでおります。しかしながら基本的に、この新しい長期信用銀行というものは、債券を発行して、その資金源の大部分をまかなつて参ることに相なるわけであります。債券は御承知のようにその資金コスト等から考えましても、預金等と非常に違つた高いコストがかかるわけであります。これらの銀行は、預金銀行と同じように数多くできても、採算がとれて行く、経営を維持して行くというようなわけ合いには参らぬわけであります。数は少くとも、そのできた一つ一つ銀行信用あるいは基礎が、非常に強固であることが必要であると考えます。その点から言いましても、私ども預金銀行と同じように、数十の銀行ができるということは予定いたしておらないわけであります。  また第二に、ただ採算の点だけでなくして、長期信用業務を行いますためには、御承知のようにきわめて普通の預金銀行違つた、技術的な能力等につきましても、相当特殊の技能を要するわけであります。これらの経験等を生かして参りますためにも、そうたくさんの銀行がこれらの能力を十分に持つて行くということも、実際問題としては非常に困難だと考えております。現在のところ数をどの程度にするかということについては、私ども具体的にまだ申し上げる段階に至つておりません。またこの法律通つたあかつきにおきまして、大体どの程度銀行の設立の申請と申しますか、申し入れがあるかにつきましても、少くとも私どもは正式に何らの話もまだ承つておらぬわけであります。ただ常識的に申し上げますならば、現在ございます日本興業銀行は、おそらくこの法案が通過施行されましたあかつきにおきましては、そのまま長期信用銀行に転換するものであろうということは、申し上げられると思います。なおその他の新設の動き等が二、三間接にあるように聞いておりますが、正式には私どもまだ承知をいたしておりません。少くとも長期信用銀行一行に限るということは考えておりませんし、またそれは適当でない。複数であることが望ましいと考えます。しかし複数であるけれども、そうたくさんの数が当面できて参るとは考えておりません。数行考えております。数行も、それでは十行に近い数行であるか、一行に近い数行であるかという点もございましようが、私どもは大体一行に近い方の数行くらいが、少くとも当面できるのではないかというふうに考えております。具体的に申し上げますと、二行ないし三行程度が、さしあたり長期信用銀行として設立されるものではないかというふうに考えております。
  7. 内藤友明

    内藤(友)委員 次に業務についてお尋ねしたいのでありますが、まずこの法律ではいわゆる「長期運転資金」ということになつておるのでありますが、この「長期」というのはどの程度期間を言うのでありますか。またこの期間の基準をなぜ一応法律の中に明示されなかつたのであるか。その理由をひとつお尋ねいたします。
  8. 河野通一

    河野(通)政府委員 特に「長期」というものの具体的な期間を明示いたしませんでしたのは、ここに言つております「長期」という意味は、二つの点から申し上げなければならぬと思うのであります。一つは、償還期限つまり貸付期限が「長期」ということを必ずしも言つておらないのであります。資金需要期間が「長期」であるということを言つておるのが一点であります。従いまして償還期限が、一年以内とかいうような意味償還期限としては考えておらない。これを具体的に申し上げますと、たとえば社債前貸しというのがあります。社債前貸しというのは、社債になるまでのつなぎの資金で、これは期間が二箇月の場合もありましようし、三箇月の場合もある。これは償還期間としては二箇月ないし三箇月でありますが、その資金の性質、需要期間といたしましては、それが社債に振りかわることによりまして長期資金、こういう意味で特に償還期間ということと、需要期間というものを区別して考えておる点から、償還期限が六箇月とか一年とかいう規定を設けなかつたのが一点であります。  第二点は、「長期」という観念は、必ずしも長い間にわたつて固定した観念ではない。御承知のように戦争前、いわゆる日本経済が正常な状態にございましたときにおきましては、金融債とか国債とかいうものも、非常に長い十年、十五年というものがあつたわけであります。その後、終戦後の経済の実情から見まして、全体の資金というものが長く寝ない状態になつて参つた。これは通貨あるいは信用状況にもよるのでありますが、金融債について申しましても、従来十年なり十五年なりという長い金融債でありましたものが、現在では三年、ごく特別のものについて五年程度のものしか、実はまだ発行できない状態であります。これは一例にすぎませんが、社債についても同じことが言えるわけであります。そういう関係で、長期という観念は、具体的にはそのときの経済情勢あるいは金融情勢通貨状況等から見まして、必ずしも固定したものではないように、私ども考えておるわけであります。従つてここではつきり一年以上とか、あるいは二年以上とか区切りをつけることは、なかなか困難であろうというふうに考えます。大体のところは、現在のような信用金融が割合短期化いたしております時期におきましては、従来普通言われておりました長期という観念よりも、割合短かい期間にならざるを得ない。具体的には、大体六箇月程度を越える期間というものが、現在のところでは長期と申しますか、中期と申しますか、そういうところじやないかと思います。六箇付月未満程度を大体短期というふうに見るのが、この際としては適当ではないかと考えます。しかしこれは今申し上げましたように、非常に伸縮性のある観念でありますので、必ずしも六箇月ということを固定して考えておるわけではございません。
  9. 内藤友明

    内藤(友)委員 「長期」の内容はわかつたのでありますが、どうも私ども考えておつたのとは、はるかに距離があります。しかしそれは立法者の御意思ですから、しかたがないと思います。  次に業務のことについての第二番目は、第六條の第一項第二号でありますが、「国債地方債社債その他の債券」云々「その他の方法による取得。」こう書いてあります。このことについてでありますが、これは「応募その他の方法による取得。」でありますので、業務と覆えないのではないかと思うのであります。特に但書におきまして、売出し目的をもつて取得する場合が除外されておる以上、なおさら業務と言えないのではないかと思う。これはしろうとの見方でありますが、くろうとの銀行局長はどうお考えになつておられるか。
  10. 大月高

    大月政府委員 お答え申し上げます。この第六條の第一項第二号による「取得」と申しますのは、具体的には応募及び買入れ並びに引受、この三つの行為意味しておるわけでございます。そうしてこういうように有価証券取得する行為自体といたしましては、一般的に申しますと、これは投資という概念に入るわけでありまして、この投資によつて手数料取得しあるいは利子取得する。そういうことでもつて十分業務になり得るわけであります。しかもここに取得いたしました有価証券につきましては、売出し目的ということは禁ぜられておるのでございますが、一般証券界でいわれております売付という行為は禁止せられておらないのでありまして、個々的に、たとえば需要者に売る、あるいは証券業者を通じまして一般に広く売りつける、こういうような行為とあわせ営むことによりまして、取得及び売付、この二つを通じて利得を得ることもできるわけでございます。そういう意味におきまして、ここにおける取得業務として成り立ち得るということになると存ずる次第であります。
  11. 内藤友明

    内藤(友)委員 それでは、いずれまたあとで振り返つてお尋ねしたいことがありますけれども、先に急ぎます。預金業務は国、地方公共団体または貸付先など、取引先からの預金受入れに限られておる。この「取引先」という言葉はきわめてあいまいなような気がするのでありますが、長期信用銀行は、「預金の受入に代え」なる第四條の精神からしても、この預金制限は、実質的にはこの法律中最も重要視されなければならないのであります。そこでお尋ねしたいのは、取引先内容として現在どのようなものを考えているか、これが一つ。第二は、取引先というような漠然たる概念では、預金制限にならないと考えるのでありますが、それはどういうことでありますか。この二つをお尋ねしておきたいと思います。
  12. 大月高

    大月政府委員 この長期信用銀行につきまして預金制限しております趣旨は、長期金融というものは特別の性格を持つておりまして、比較的長期に固定をする。従つて短期預金者がおりまして、急激に預金の引出しがあるというような場合には、銀行業務としてさしつかえが生ずる。従つてここに預けます預金者は、この銀行業務というものを比較的よく知つておりまして、この銀行をほんとうの意味において内容を理解して、預金をしてくれる人に限りたい、そういう意味でございます。従つてこの取引先というものを限定するにいたしましても、この銀行性格をよく知り得る範囲ということが、精神的に前提となるわけでございまして、たとえばここの場合考えております取引先の例といたしましては、この銀行株式の募集の取扱いをいたします場合に、株式払込金受入れるというようなことがございます。そういう場合に、その受入れを委託した会社取引先でございます。それから同じくある会社株式配当金支払い取扱いをするというようなこともあると思うのでありますが、その場合の配当支払いを委託する会社、これはこの銀行取引先でございます。あるいは事業会社社債を発行して、その元利金支払いの委託を受ける、こういうような場合における事業会社は、この銀行取引先になるわけでございます。あるいはこの銀行は、当然付随業務といたしまして保護預かり仕事をやると思うのでありますが、たとえばその保護預かりをやつております株式配当金、あるいは預かつております社債利子、こういうものを受取りまして、それを預かつておいてやる、こういうようなこともやはり当然考えられることであるわけでありまして、保護預かり先等もこの取引先に含まれると考えております。
  13. 内藤友明

    内藤(友)委員 それから割増金付定期預金などは認められないのでありますか、どうですか。
  14. 大月高

    大月政府委員 この割増金付定期預金趣旨といたしましては、一般大衆からの貯蓄をとるということが主でありまして、先ほど申し上げましたように、この長期信用銀行性格から行きましては、必ずしもふさわしくないと考えております。法律的に申しますれば、預金がとり得るわけでありますから、従つて同じく預金である割増金付定期は、受けてもいいということになるわけでございますが、制度の精神として適当でないと考えますので、行政的にはとらないように指導いたしたいと思いますし、長期信用銀行自体としても、そういう希望はないであろうと考えております。それからこの割増金付定期を募集いたしますにつきましては、現在のところ大蔵省の承認を求めることになつておりますので、その行政上の運用として適当に指導できるものと考えております。
  15. 内藤友明

    内藤(友)委員 それではその銀行がそういうものを希望した場合は、これは法律によつて禁止していないのでありますから、お許しになるのでありますか。
  16. 大月高

    大月政府委員 先ほど申し上げましたように、許可するつもりはございません。
  17. 内藤友明

    内藤(友)委員 それでは第六條の第二項でありますが、設備資金及び長期運転資金以外の長期資金定義といたしまして、「資金需要期間が六箇月をこえるもの」というふうになつておるのでありますが、この資金需要期間という意味はどういうことなのでありますか。資金需要期間などというふうなことは、実は私ども今まで聞かなかつた言葉でありますので、今まで私ども償還期限というふうに考えておつたのでありますが、償還期限とせられなかつた理由はどういうことでありますか。
  18. 大月高

    大月政府委員 償還期限と申しますのは、貸金をいたします場合に、貸す方の側と借りる方の側とにおいて、いついつ返すという約束の形式的な期限でございます。ただそういたしますと、先ほど局長からのお話もございましたように、たとえば実質的には相当長期需要があるのであるけれども、形式的には三月ごとの手形で切りかえる、こういうような場合もあるわけでありまして、必ずしも実質的に長くて形式的に短かいものを排除する意図はございません。そういう意味において、実際にどのくらいの期間金がいるのであろうか、こういうことを目標として、長期資金であるかあるいは短期資金であるかということをきめたいわけであります。そういう意味におきまして、資金需要期間という実質的な観念を用いたわけでございます。
  19. 内藤友明

    内藤(友)委員 それから第七條でございますが、この第七條に、これはその前の第六條の第二項の不動産担保とするものとの関係におきまして、私はこの七條というものは屋上屋を架するのではないかというような気持もするのでありますが、この七條と第六條の第二項の不動産担保とするというのとの関係を、ひとつ御説明願いたいのであります。
  20. 大月高

    大月政府委員 この銀行のおもな仕事といたしましては、第六條の一項の一号に書いてございますように、設備資金長期運転資金、この二つを貸すことを主とさしたわけであります。概括的に申しますと、一般長期事業資金ということになるわけであります。しかし長期資金の中には、事業資金以外にも多々あるわけでございまして、たとえば相続が生じました場合に、相続財産として山林を持つておる。ただすぐに税金を納めるわけには行かないから、じばらく金融でもつてつないでおきたい。こういうような場合があるわけでありつまして、そういう場合におきましては、たとえば納税資金におきましても、長期であるならばこの銀行は貸し出してもよろしい、そういう意味であります。その他場合によりましては、地方におきましては不動産家屋等を抵当といたしまして、何らか事業以外の用途もあるわけであります。狭義の不動産金融の部面に属するわけでございますが、そういう事業も本来の業務にさしつかえない範囲においては、これを実施してもよろしい、そういう意味におきまして不動産担保とする長期資金、こういう表現が使つてあるわけでございます。
  21. 内藤友明

    内藤(友)委員 私ばかりお尋ねしておるのも、ほかの方に恐縮でありますが、もう二、三でありますので、お許しいただきたいと思います。その次に第八條でありますが、ここには債券発行限度規定してあるのであります。このような制限を設ける理由はいかんと、もう一つは「合計金額の二十倍に相当する金額限度として、」とあります。この二十倍と制限した根拠、この二つお答えいただきたいと思います。
  22. 大月高

    大月政府委員 債券は実質的にはいわゆる借入金であるわけでございます。従つて自己資本に対しまして非常に大きな借入金をするということは、一般商社等においても見られます通り、相当危険なわけであります。しかもこの貸出しは特殊な長期の貸出しということになつておりますので、一般銀行に比べまして相当愼重に扱わなくてはいけない。しかも債券につきましては、預金と異なりまして、一般大衆が持つて来るものを、そのまま受けるというものではないわけであります。債券となりますと、特に各方面に依頼をして消化をする、持つてもらうということが必要なわけでありまして、債券自体消化をよくするという意味におきましても、一定の限度が必要であると考えるのであります。この具体的な二十倍という数字につきましては、必ずしも正確な理論的な根拠があるわけではございません。ただ今までのわが国の債券発行銀行の実例、ヨーロツパその他世界各国の事例を見てみますと、大体二十倍というところが限度であるようでありまして、場合によりましては三倍あるいは五倍というようなところがございます。現在二十倍の例をとつておりますのは、銀行等債券発行等に関する法律がそうでございますし、かつて日本勧業銀行法も二十倍であります。それから日本興業銀行法は原則は十倍でございましたが、特例法で二十倍まで認められておつたわけであります。それから放送法がございますが、これは絶対額で三十億円でございます。日本発送電株式会社法が三倍でございます。そういうような例がございまして、従来の例を参考にいたしまして、この程度ならば銀行資金源を確保するためにも適当なところであろうし、採算上の考慮からいたしましても、これなら十分であろう、こういうことをもつて二十倍と定めたわけであります。
  23. 内藤友明

    内藤(友)委員 それに関連しまして、附則の第七項でありますが、第七項へ行きますと、新しく設けられた長期信用銀行に対しては、一定の期間に限つて三十倍まで拡張することができる、こうなつております。これはどういう理由でありますか。なぜ二十倍でないのか。まずそれをひとつお尋ねいたします。
  24. 大月高

    大月政府委員 長期信用銀行業務といたしましては、相当仕事がむずかしい面もございますし、この仕事を始めるといたしましても、相当巨額な資本金をもつて始めるということも、なかなか困難であろうかと存ずるわけであります。従つてこの銀行に対しましては、当分の間国がその発行いたします優先株を持つことができるというようにいたしまして、貸本の充実もはかつておるわけでございますが、一方債券発行限度におきましても、たとえばかりに資本金が五億ということにいたしますと、二十倍で百億でございます。それだけの資金量でもつて、この銀行が容易に自立できるかどうかということについては、若干の疑問があるわけでございます。私たちの現在計算いたしておりますところでは、この銀行としつて自立いたしますためには、資金量は百五十億ないし二百億くらいは必要であろうか。最近銀行をつくつております事例から申し上げましても、創立早々に一挙に採算点に乗るということは、もちろん期待できないわけでありまして、少くとも五期ないし六期以降において、配当を実施し得るということを考えておるわけであります。しかしこの銀行につきましても、少くとも債券が発行できないから、そこでとまつてしまつたということになりましては、採算の面においても混乱があるわけであります。またこの制度をつくる趣旨としまして、長期資金をできるだけ拡充して行きたい。そういう意味からいたしますれば、債券発行限度に来たということから、長期資金の充足に事を欠くということでも、適当でないと思うわけであります。従つてこの二十倍がいいのか三十倍がいいのかということは、先ほど申し上げましたように、正確な理論的な根拠というものはないわけでございますけれども、少くとも発足早々におきまして、小さい資本金のもとに、債券発行限度が来たということで、業務が行えないことがないようにということが、その趣旨でございます。従つて当分の間設立以来五年間は例外といたしまして、三十倍まで債券を発行していい、こういうような規定にいたしたわけでございます。
  25. 内藤友明

    内藤(友)委員 それではこういう特例が認められたといたしまして、その場合一般債券発行限度を法定するその趣旨にかんがみまして、二十倍を超過するところの十倍の分、これは政府保証の債権者保護規定というふうなものは、これは設けられるのでありますか。それはほつたらかしになるのでありますか。その点をひとつ伺いたい。
  26. 大月高

    大月政府委員 三十倍にいたしますれば、政府保証がいるとかあるいは特別な措置を講ずる必要があるとかいうことは、具体的に考えておりません。二十倍という数字に必ずしも絶対的な根拠があるわけではなくして、経験的に申しまして、この程度までは適当であろう、普通であろうという線を引いたわけでございまして、当分十分監督いたしながら、その発展を見ておるということで十分であろうと考えております。
  27. 内藤友明

    内藤(友)委員 私のお尋ねしたいと思つておりましたことは、一応お尋ねしたのでありますが、それにつきましてなお一つ深くお尋ねしたいことがありますので、質問はまたもう一ぺんお許しいただきたいと思います。
  28. 佐藤重遠

    佐藤委員長 了承しました。次は宮幡靖君。
  29. 宮幡靖

    宮幡委員 今内藤委員のお尋ねになりました長期信用銀行の問題は、これは明日大臣がお見えくださるようでありますから、そのときに政策的なことは総括的にお伺いいたしまして、それからまた各論的に、しかも今度は提案された法律についてやつて行く、こういうふうに進めて参りたいと考えますが、やはり政府委員の方にも都合があろうと思いますので、なるべく用済みになることは片づけ行く、こういう方針でお尋ねしたいと思います。  そこで最初に、これはただいま提案されております法律案にはただちに影響があるものでありませんが、金融政策として考えますと重大のように思います。しかも急に差迫つた問題でありますからお尋ねいたしますが、例の行政協定に基きます日米合同勘定の管理の問題であります。ただいまの予備作業班の財務班でありますか、そのやつております状況はどんなふうに徹底されたのでありますか。もうおさしつかえのある部面もなかろうと思いますから、その点についてまず概況の御報告を得たいと思います。
  30. 福田久男

    ○福田(久)政府委員 お答えいたします。日米行政協定に基く合同勘定の運用の点でありますが、予備作業班の進行の状況はあまり詳しく承知しておらないのであります。ただ聞くところによりますと、その合同勘定の支払いは、日本において調達する役務及び需品の対価につきましては、円によつて支払われるということになるようであります。その支払い取扱いいかん等については、まだ最終的結論等は得られておらないようでありますが、できれば円によつて払うのでありますから、日本側の金融機関をできるだけ利用するという方向に持つて行くことができれば、一番好都合ではないかというふうに存じます。ただ話合いの内容につきましては、あまり詳しく承知しておりませんので、お許しを願いたいと思います。
  31. 宮幡靖

    宮幡委員 詳しく御承知でない人に聞くのは無理でありますから、聞くのは避けたいのでありますが、しかしこういうことはすでに差迫つておる問題——平和條約も二十八日には効力を発生しようという問題、しかも四月一日にさかのぼつて運営されるであろうと想像されておる、こういう問題につきまして、いまだ確定的なものもないということになりますと、どうも本年度以降の、もつと大きく言いますと、独立後の金融政策というものをながめて行く上に、はなはだ不便であります。これはおそらく銀行局長つておわかりだと思う。かりに防衛支出金のうち賃借料を引きました五百五十八億円が、どういうふうに管理されるか、これが管理のしようによつては、当然国家の金融調整あるいは日銀の金融調整と申しますか、これに重大なる影響があると思うのです。特に占領下におきます日本の財政金融というものは格別のものと考えましても、どうしても日本の財政は季節的に波が多いのであります。この共同管理されますところの防衛支出金などというものを、もし日銀に預けたといたしますならば、多額の預金歩どまりになる。これらがコール市場に残高になつて現われるという事態になりますと、他の短期資金とも見合いまして、なかなか金融調整が困難であろう、こういう意味におきまして、この管理すべきところの資金というものは、やはり国全体の財政金融と見合いまして運用されることが、私は正しいと思う。そこでこれが現在どうなつておるかということが聞けないのは残念でございますが、それは言えない点もあるのかもしれませんけれども、すでに雑誌や新聞、ラジオ等で放送いたしておりますものを聞いておりましても、日本側の防衛支出金は、講和発効と同時に米軍の管理に移して特別勘定を設け、労務調達などというものは間接調達をしようとするが、その他のものについては直接調達でやる、こういうようなことさえいわれておるのであります。行政協定はきよう持つておりませんが、第十二條あたりでありますが、これらの問題と関連し合いまして、この金の動かし方はどういうふうにするか。たとえば予備作業班の作業が妥結しないという事態がありましても、大蔵省としてあるいは日本政府といたしまして、現在考えておるところはどうか。これは御意見なり希望でありますから、おつしやつていただいてもさしつかえない。いずれ日米合同委員会でもつて問題になるべきことでありますから、これらの問題を先にある程度話してもらえないと、あと長期信用銀行などというもの、あるいは開発銀行の一部改正などというものにつきましても、なかなか問題がある。特に私がお尋ねしたい大きな問題の一つとして考えられますのは、今までとつて参りました財政と金融の分離をこのまま続けて行くのか。さもなければこの線をうすぼんやりするのか。あるいは財政と金融の分離は全然いたさないということにするのか。これらの問題と見合いましてこの問題は相当重要なものであろうと思つております。これは御意見でけつこうでありますが、状況をひとつ詳しくお話をいただきたいと思います。
  32. 河野通一

    河野(通)政府委員 行政協定に基く米国関係支払い方法の問題であります。これは他の政府委員からお答え申し上げましたようなことで、現在進んでおるわけでありますが、この問題は金額からいたしましても、また時期からいたしましても、使途からいたしましても、日本の金融全体、特に国内金融に対して持つ影響というものは、非常に大きいと考えております。この観点から今宮幡さんからもお話のございましたように、その国内金融に持つ影響力の大きさにかんがみまして、できるだけ国内の金融の調節の一環として、あるいは政府なり日本銀行なり、金融調節を担当いたしますものの金融調節の全体の一環として、この問題が処理できるように極力処置をいたして参りたい、かように考えております。ただ具体的な点になりますと、せつかくのお示しではございますが、今先方とも事務的にいろいろ折衝の段階にございますので、私から個人の意見でも言えというわけかと思いますけれども、この点はしばらくお許しをいただきたいと思います。
  33. 宮幡靖

    宮幡委員 この点はそれでは残りの分は大臣のお考えを伺うことにいたしまして、保留をさせていただきます。金融政策全体についての問題はきようは伺わない、こういう方針にいたします。ただいま内藤委員の御質問の中にもありました——これは長期信用銀行法に関連してでありますが、債券発行の問題であります。その趣旨というのは、銀行等債券発行等に関する法律が廃止されようという段階になつておる。一方においては、同時上程されております国民貯蓄債券法というものによりまして、債券が年々百億を限度として出ております。これは百億の限度を延ばそうと思えば、売れさえすればそう反対はないわけであります。そういうわけでありますから、どうも何か銀行のものを取り上げまして、政府の機関でやるというような感じがいたします。しかしこれは率直な、まことに愚かな感じでありますが、これを引いて参りますと、財政法第五條に該当いたしますか、赤字公債の発行、こういうことにだんだん近づいて来る。そこで先ほども申しました財政と金融の分離問題とあわせ考えますと、市中銀行資金源に悩むので、とにかく債券の発行を認めよう、こういう現実からつくつた法律であります。しかしそれによつて発行されておるのは、問題を起した東銀債というようなものがあります。内容は何も悪いことはない。しかしながら世論がなかなかやかましかつた。ところが今度長期信用銀行に移行するであろうと予想されております興業銀行などは別といたしましても、その他これに類似な——名前を言うのもどうかと思いますが、たくさん例があります。勧銀とか北海道拓殖、債券によつて資金を調達いたしました方々は、それぞれ長期の貸付をいたしておるわけであります。そうしてこの債券についても、借りかえもしなければならないし、あるいは償還の準備等もいたさなければならない。これは短時日の間にただちに返されてしまうというような事態になり、しかもかわつて生れて来ます資金は、国民貯蓄債券法によつて吸収されるなどという——愚かな考えでありますが、そういうふうな思想等が生れて参りますることは、はなはだ私は遺憾に思う。そこで債券発行権を銀行に与えたときの気持と、現在長期金融の専門店をつくる——今の銀行法によれば、どの銀行つて長期金融をやれるが、結局資金源の問題、この資金源を取上げてやれないようにいたしまして、この特殊的な銀行を生かして行く。しかもこれは純民間機関である。政府機関としましての長期金融機関というものも、開発銀行等がありますけれども、いまだもつてその方向も明らかになつておりません。一体長期金融をまかなうというものにつきましては、大体世界各国金融に関しまするところの事例を見ましても、まず政府機関が発達して参りまして、これを補完する意味で、民間の長期金融機関というものが生れて来るのが当然の歴史である。また事実そうなつておるように、私どもは寡聞でありますが存じておりますが、こういうところに無理があるのじやないか。これは国民貯蓄債券法と合せまして、銀行等債券に関する法律を廃止しようとする矛盾につきまして、私は銀行局長の所見をお伺いしたいのであります。
  34. 河野通一

    河野(通)政府委員 お話の点は、債券発行法、正確に申し上げますと、銀行等債券発行に関する法律なのでございますが、これを廃止いたします趣旨は、債券の発行額としてのボリユウムをこれによつて剥奪し、減らして、一方で政府の発行いたしまする貯蓄借券によつて置きかえよう、いわば民間の長期資金を政府の方へ奪つてしまうという目的で、これもやつておるわけじや実はございません。現実に今後におきましては、新しい債券発行銀行に対しましては、十分に従来以上にできるだけ長期資金の源を培養して行くような措置を、政府としても考えて参りたい。具体的には、資金運用部資金等につきましても、事情の許す限りこれらに対して金融債の引受という形で、処置をいたして参りたいと考えておるわけであります。  それから貯蓄債券法の問題でありますが、この貯蓄債券の発行は、今お話のように、膨れは一体国債じやないかという御議論は、いろいろあると思います。しかし赤字公債という意味国債ではないと私は考えております。これは御承知のように金融機関、日本銀行が引受けるわけではございませんので、各個人がその零細な蓄積を證券の形によつて長期化して行く。しかもその資金をもつて集められました財源は、電源開発でありますとか、そういつた国が国家資金のバツクをもつて、できるだけその開発を援助して行かなければならぬというような種類の基礎産業、国が最も緊要といたしておりまする産業方面にこれを投資して行く。その資金を得るためにやるわけでございます。いわゆる普通に言われております赤字公債的な、あるいは日本銀行が引受けるとか、あるいは市中銀行が引受けるといつたようなものとは、趣を異にしております。この点は宮幡さんも先刻御承知通りでありますが、一応ここで御説明申し上げます。  それから債券発行法をやめて、長期信用銀行という形で債券の発行をやらせて行きたいということの趣旨につきましては、これは先ほども他の政府委員から申し上げましたように、大体農期金融というものは、やはりその資金源長期資金でなければいかぬ。これは専門家の宮幡さんには、よくおわかり願つていることと思います。それが短期預金源によつて集めた資金と、それから何といいますか、一部長期債券等と、両方でもつて長期金融をやつて行くということは、資金のもとの期間と、それからそれを使つて融資して参りましたものの期間とがマツチしない。極端なことを言いますと、短期預金でもつて長期金融をやるということは、制度として必ずしも適当ではないというふうに、私ども考えております。この制度が、従来ありました特殊銀行法が廃止されて、どの銀行でも届一本で債券が出せるというふうにいたしましたことは、金融制度の分野をはつきりさせるというふうな意味から言いまして、必ずしも適当でなかつた考えます。少くとも特殊銀行制度をやめるということは、これは別に悪いことではないと思いますが、どの銀行でも届一本で債券が出せる、一方で預金も集めるというような制度は、少くとも日本の金融制度としては、適当でないというふうな反省をいたして参つたのであります。そういう観点から債券発行法をやめて、それにかわるべき、むしろそれよりもさらに強固な基礎を持つた制度としての長期信用銀行の制度をつくつて参りたい、大体かように考えておる次第でございます。  なお現在の状況から言いまして、日本の資本蓄積の状況、ことに長期資金の蓄積の状況等から見ましても、長期信用銀行の制度ができたらとたんに、一般預金銀行というものは長期金融はゼロでいい、やらなくても済むが、今までやつてつた長期金融は、新しい長期信用銀行に肩がわりできるかということでありますが、これは資本の蓄積の足らない現在の状況でありますから、そう一挙には参らぬと思いますが、できるだけそういう方向に導いて行こう。預金銀行はやはり商業銀行としての姿に徹して行くように、逐次指導して参りたい。これによつて日本における長期短期の分界、分野というものをはつきりさして、その分野々々によつておのおのその機能を十分に発揮して行く、しかも安心して信州の置けるような基礎の上に、これをつちかつて行くというような制度にして行くことが、適当であろうという考え方から、債券発行法をやめて、それにかわる長期信用銀行法をつくることにいたした次第であります。
  35. 宮幡靖

    宮幡委員 前段の方の御意見は、大体私が愚かなつながりをもつてお尋ねした意味でありますので、これはそれで了承できるわけでありますが、しかしあとの方は、ちよつと残念ながら異論があるのであります。銀行等債券を発行する法律によつて債券を実際に発行した銀行というのは少い。数は私は全部覚えておりませんが、あまりたくさんないわけであります。ところが債券を発行しない銀行——法律がありながら発行できないものは、これはたとい一部に長期金融行つておりましても、それ自身が純預金銀行であり、商業銀行であるというべースに自分で入つております。ところが現在少くとも債券の発行されておるという銀行は、その資金長期資金として確保され、長期金融としてなされております。従つてこれらのものは当然的に考えて、長期金融機関の性格を帯びておる。しかも預金銀行としての性格も帯びておる。こういうようなときに、これらの既発行の債券を持つておる銀行を、提案されております長期信用銀行法の中に同一に縛られるということは、これは預金銀行長期信用銀行とを分離したいという精神のみにとらわれまして、実情を把握していないと私は思う。むしろそういう銀行は——長期資金にかりに七割をやつて短期資金は三割ぐらいしかやつていないという銀行があるといたしまして、この長期信用銀行法をまつこうに持つて行けば、その銀行は完全なる長期信用銀行の要件に合うように移りかわりをするか、さもなければ長期信用銀行を全然思い切つて行くか、そのどつちかをやめることによりまして、あるいはその銀行の存続生命に関するというような問題が起きて来るであろう、こう想像されるのであります。こういう無理な法律は、将来独立国家となつた以上、別に覚書も指令も来ないでありましようから、考えない方が私はよいと思う。もう少し自然な姿においてひとつやつてもらいたい。それよりもどうも、日本の金融は統制しておらぬという観念が一貫しておるのでありますけれども、事実は現在の行政措置を見ますと、金融の統制がほのかに見える。しかも財政と金融を分離いたしました結果から、財政資金のしわ寄せが民間資金行つておるということは、長い間の議論である。今こういう長期銀行を育成して行こうという趣旨は、もちろんよろしゆうございます。これに反対する理由は少しもありません。ありませんけれども、しからばやはり財政資金が、もつと金融のしわ寄せを調整いたしまして、当然正常なるところの長期金融機関が、民間機関として生れ出るところの情勢をつくつて後にやるべきだと私は思う。これがこの法案につきましての基本的な問題になつて参ると思いますので、後段の銀行局長さんの御説明に対しましては、私はまだ十分納得することができないのでありますけれども、きようは時間の関係もありますので、この問題はこの程度にいたしまして、あとの問題に移りたいと思います。そこで、きようはわざわざ外為から大久保委員においでを願いましたので、問題も二、三しか残つておりませんから、拙速と申しますか、先に片づけることにいたしまして、一、二お伺いいたしたいと思います。それは、もちろん法案設備輸出為替損失補償法案についてであります。これは土曜日に大蔵省理財局次長の酒井政府委員にお尋ねをいたしたのでありますが、どうも法律趣旨は、別にポンド地域とかドル地域とか、オープン・アカウント地域と限定はしていないけれども、これが適用される地域は、お尋ねしてみましても、私が感じましたように、おおむねポンド地域、いわゆるスターリング・エリアであろうと思います。すると、御承知のようにポンド過剰の問題が生じて以来、日英支払協定の改訂等の問題も、今や五月には基本的に支払協定を改訂しなければならない。しかもポンドの自由売買ということも、ある程度わくの中に置いて認めておる現在の英国の姿、あるいは日本に対しますところの輸入制限、あるいは各地に起ります輸入証明書制度、こういうようなことを考えますと、やはりこのボンドの実勢の低下、すなわちポンド切下げを予想して、その為替損失に備えるところの日本の輸出政策は、あるいは英国方面に誤解されるのではなかろうか、こういうことを心配するのは、神経衰弱の結果だというようなお話であるかどうか。この点について、理財局としてはどういうふうにお見通しをしておるか、こういうふつうなお尋ねをいたしましたが、さような意味でなくて、全地域を相手のプラント輸出の為替損失を補償するという単純な問題であるから、決してそういうふうな感情問題は起らないであろう、こういうような御答弁でありました。しかし私は来月に控えました日英支払協定の改訂という問題とからみまして、これは決して好影響があるものとは考えておりません。そこでこの問題については、外為と理財局長が見えたのですから、両方から御意見を承りたいと思いま。少くともわれわれが安心いたしまして、かような法律を通過せしめる心構えができますような御教示を、お願いいたしたいと思います。
  36. 大久保太三郎

    ○大久保政府委員 ただいまの設備輸出為替損失補償法案でございますが、大蔵省の方から法案をおまわし願いまして、私どもも若干検討いたしたのでございますが、この法案趣旨といたしまして、私ども了解いたしておりますのは、ポンド為替に限らず、やはりドルも含め、オープン・アカウント地域も含むものでございますが、すべての地域に対するプラント輸出、これの為替リスクを政府においてカバーしてやろうという趣旨だと思います。実際プラント輸出は、当面それではどの地域に行われておるかと申しますと、主としてポンド地域、また若干オープン・アカウント地域にもあるようでございますが、主としてポンド地域に設備その他の輸出がございますので、実際問題としての適用といたしましましては、ポンド地域に対する輸出ということを考えていいかと思います。ところで、そういう長期の輸出をいたします場合に、輸出業者といたしましては、すべて為替レートの変動による不測の損害をどこかにカバーを求めるというのが、どうしても必要な措置でございます。ところが日本の現状におきましては、これを為替銀行だけでカバーに応ずるということは、どうしてもできません現状でございますので、外貨の集中機関でございます外為の特別会計、すなわち外為委員会の方に、為替銀行はそのカバーを求めるということが行われておるわけであります。こういうプラント輸出につきましても、外為の会計でそれでは一般の輸出為替と同じように、処理をしていいのではないかという考えも起るわけでございますが、これは本来、私どもの会計は、短期の商業資金というものを操作の対象にいたしておりますので、三年あるいは五年というような、いわゆる為替のリスクを負うのは、適当ではあるまいという判断を私どもは下したわけであります。すでに一般の輸出につきまして、ポンド地域につきましては、なるほど一般のお方が考えておりますように、ポンドの実勢から申しまして、切下げのおそれがないとは申せません。私どもはまた別の考えを持つておりますが、確かにそういう懸念を持ちますのは、単に日本の業者のみならず、世界の各国の人も、やはりそういう懸念を持つわけでございますけれども、それでは全然このカバーに応じないかと申しますと、それでは実際の貿易がうまく行かないわけでございますから、通常の輸出為替につきましては、御承知通り外為会計において、売為替のカバーに応じておるわけであります。それによりましてイギリスの方の当局が、御質疑のございますような、多少でもこの措置に対して別な考えを持つかと申しますと、そういうことは現在ない。でございますから、長期のものにつきましても、会計なり、負担の機関は違いますが、こういつた補償法案によりましてカバーに応じましても、御懸念のような点はおそらくないのではないかと私ども信じます。
  37. 石田正

    ○石田政府委員 大久保委員から大体御説明がありましたが、若干補足させていただきたいと思います。理財局の者が、この法案はポンド地域あるいはポンドのみを対象にするのではないということを申し上げたそうでございますが、この点は法案の建前としては、ポンド地域のみに限るということになつておらない、こういう意味であろうかと思います。また逆に、実際さしあたり現在の状況から申しますればポンド地域が多いであろう。これは常識ではないかと存ずるのであります。ただいろいろと御承知通りに、御質問の後段の点にも関係すると思うのでございますが、日本がこれから国際交流をやつておりまする場合に、為替をどういうふうにして持つて行くか。これについては現状をもつてそのまま推移いたすものでありまするか、それとも将来は多少かえて行かなければならないか、そこらは問題があろうと思います。現在は占領軍当局が、こういう金融問題等につきましては地ならしができてございます。それを大体引継ぐというような形になりますることは、これは正直に申して御了解に相なつているかと思います。そういうもとにおきまして両建のドル決済の方法、それからしてポンド決済の方法、及び建値だけドルでやつているオープン・アカウント、この三つがございます。これがそのまま続くかどうかという問題でありますが、これらは将来のことといたしましては、あるいは変更があるかもしれぬと思つているわけであります。しかし世界の通貨は多いのでございまし世界は米ドルとポンドと二つしかないわけではないのでございます。ただいかなる場合におきましても、為替の変動という問題は日本側が起して参りまする場合がありますると同時に、外国の行為によりまして変化が起つて来る。そこにやはり商取引をいたしまする場合に不安がある。ことに長い期間の契約をいたすことになりますれば、そこにいろいろな不安を業界としても持たれるということも、無理からぬところであろうと思いますので、さしあたり現在の段階を基礎といたします。また先ほどから大久保委員が申されますように、外為会計の補償だけでは足りない部分を、まず何とか処置するということを立法してみたいというのが、政府の考え方なのであります。  なお日英協定のお話がございまして、いろいろとその関係から、この法案がイギリス政府に対しましてあまり好ましくないという印象を与えはせぬだろうか、こういう御趣旨の御質問があつたかと思うのでございますが、この点はいろいろと皆様も御心配になりますようなポンド過剰という問題がございまするが、日本政府といたしましても、イギリス政府といたしましても、貿易の量をふやそうということについては異存がないわけでございまして、本件も設備輸出をいたしますと同時に、それによつて将来日本側の輸入をふやそうという基礎をつちかおうという問題でございましつて、これがかりにアメリカに適用がなく、主としてポンド地域に適用がある、かようにイギリス政府が判断をいたしましても、イギリス政府といたしましても、かくのごとき趣旨法案に対して異論を持つべき筋合いのものではない、かように考えておる次第でございます。
  38. 宮幡靖

    宮幡委員 将来どうなるかわかりませんが、当面は明快な御答弁で、安心してこの法律をながめることができたわけです。正直なところではどうもはつきりいたさなかつたのであります。先ほどの通貨制度というものは、御指摘のように二つじやないということはよくわかつております。ただ試みに尋ねてみますると、オープン・アカウント地域のタイなどというものは、為替相場の変動がきわめてはげしい。一週間に二度くらいかえたというような事例もあつて、私はびつくりしたのでありまして、こういう不安定な国もあるのであります。これはオープン・アカウント、ドル決済であるから別に心配ないというお答えなつた。こういう考えならば大蔵省と貿易を預つている通産省との間に、必ずうまい貿易政策はできない。そういうことでドル決済であるからかまわぬというお考えであるならば、香港の地域は今度ポンド地域になりましたけれども、香港の中継貿易によつて日本人が律すべきものを、特定の第三国人に律せられるというような貿易障宮ができるのであります。従いまして単純にお考えにならないで、私の方から妙な御質問をしなければ、底の出ないようなお話をいただかないようにしたいと思います。それでその点はよく予解いたしました。  そこで今大久保委員から御説明のありましたことの中に尽きておりますが、なお走りなければお話をいただくのでありますが、第十一條の規定は、ただいま御説明のありました外為がカバーして来ました為替損失が、プラント輸出に関する限りこの法律によつてカバーされて来る。従いまして外国為替の売予約は禁止するのが妥当であると認めて、第十一條の規定を設けられた、私がそう率直に考えるのは間違いでありまして、他に何か十一條を設くる理由がありましたら、あるいは逆にこれを設けなかつたら予想せられる弊害があるから、ということの点につきましての御説明をいただきたいと思います。
  39. 石田正

    ○石田政府委員 本法律案大蔵省が主として原案をつくりまして、外国為替管理委員会にも御相談いたした筋合いでございますので、私からかわつて答弁さしていただきたいと思います。本法案につきましては、五年以下に限りまして為替の変動に対して補償をいたそうというのが趣旨でございます。しかし五年と申しまするのは、一番最後に代金がとれまする時期をさしているのでございます。御承知通りに分割払いがございます。そういたしますとこれは外国為替管理委員会において行つておりますところの、短期の部類に入ります代金回収もあるわけであります。その部分をこちらの方で包括的に為替の、たとえば補償をいたしておりまする場合に、もしその部分もまたほかで予約をするということに相なりますと、二軍に相なるわけであります。為替の変動が起つた場合に、かりに業者は一だけの損失がありましたときに、二つの契約をするために二つの利益を得ては、これは制度の趣旨にもとる、こういうふうに考えましたので、十一條を設けた次第であります。
  40. 宮幡靖

    宮幡委員 その点は了解いたしました。  次にやはり外為の方でも理財局の方でもよろしゆうございますが、きのうもちよつとお聞きいたしましたが、これは大体外為の方でひとつお感じをお話いただきたいのでございます。第二條にあります用語の意義の中に、「外国為替相場」というのがございます。「法第七條第一項に規定する基準外国為替相場又は同様二項に規定する裁定外国為替相場」となつております。これははつきりしております。これを読んで何も疑問を生ずることはありませんが、実際のこのときの相場の損失の確定予定日といいますか、そのときにおきます為替相場を現実に把握する方法、もしそのとり方が違いましてあるいは輸出業者と申しますか、それの利害関係人の間に、相場についての異論が起きるような場合はないのか。もしあつた場合にはどうしてこれを決定して行くか。この三つの問題について具体的な、事務的な問題ですが、これをひとつお話いただきたいと思います。
  41. 大久保太三郎

    ○大久保政府委員 お尋ねの基準相場と裁定相場、これは為替管理法によりまして、大蔵大臣がこれを定めるということになつております。大蔵大臣がこれを定めました場合には、官報でもつてこれを告示されるわけでございます。いつ幾日にレートの変更があつたかということは、大蔵大臣が定められまして告示されますので、その相場のいかんについて問題が起るようなおそれは、おそらく絶無であろうと私ども考えます。
  42. 宮幡靖

    宮幡委員 では大蔵大臣の告示によりまする基準外国為替相場、裁定外国為替相場によつて処理して行く、こういうことに明快になつておればそれでよろしいのですが、一昨日の御答弁ですと対米三百六十円、ポンドは千八円とはおつしやらなかつたか、速記録を見ればわかるが、そういう線を見ますとどうもクロス・レートもないような現在におきまして、裁定為替相場について業者と政府との間に異論があつたような場合には、納まりどころがないではないか、こういうような感じを深くいたしましたが、はつきり大蔵大臣の告示いたします為替相場、こういうことになつておれば疑問のないことであります。  それでその次は、あるいは通産省の方にも関係があるのかもしれませんが、第七條であります。この第七條の條文を読んでみれば、意味が非常にはつきりしております。法律の中ではまれに見る名文とでも申すべきであります。これは為替損失の規定と保険の保護と二重に受けられないということで、これは理の当然であります。ところがその條文の中を見ますと、うしろの方でありますが、「前二條の規定は補償契約に係る対価(当該損失の発生の原因となつた保険事故の生じた部分に限る。)については適用しない。」こう書いてあります。しかし私がいろいろな輸出信用保険のことも考えてみますと、これらが該当する事項が、実例として一体どこに起つて来るで、あろうか。しいて起れば、信用保険の丙種段階でありますか、金融保険という部分であろうと思いますが、そのほかにございましたならば、こういう場合もあるという、予想された事態をひとつ御説明願いたい。しかも二重補償にならないということを、明確にひとつ御説明をいただきたいと思います。
  43. 石井由太郎

    ○石井説明員 ただいま御質問のございました七條と為替補償との関係でございますが、為替補償の方におきましては、損失の確定日という当初予定されました日切りがございます。この日までにレートの切上げがございますれば、実際対価を受領するとせざるとにかかわらず、為替の差損補償は受けられるようになつておるわけでございます。一方信用保険の方は、契約で定められました予定期日に金が払われませんで、六箇月の遅滞が起きるという場合がございますと、ただちに信用保険の保険金を支払うわけでございます。従いましてある輸出契約が締結されまして、典型的な例を申し上げますれば、ある輸出契約につきまして輸出信用保険が付せられて、そして船積み後一年先あるいは二年先のある日に、金を受取ることになつてつた。ところが相手方が支払いの遅滞をいたしておりまして、そうして六箇月経過しますと、輸出信用保険で保険金を支払います。ところが補償契約の方のあるいは分割払いの代金その他が、一定の期日に受取ることになつておりますと、たといそのときに相手方から現実に対価が支払われませんでも、為替差損だけは補償してやるということに相なるのでございます。そのような関係からして両者の契約を別個のものとしてほつたらかしておきますれば、二重払いを受けるということに相なりますので、信用保険の方で受取りました場合には、もともと円建で保険金をとつているわけでございますから、為替変動の率がないわけでありまして、この部分については、為替補償の対象からこれを除却する、こういう建前に相なつておるわけでございます。
  44. 宮幡靖

    宮幡委員 その場合もし保険給付の関係と、損失の起つた関係が相前後して起る関係上、万一一時的に二重払いになつたような場合におきましては、これをとりもどしをすべきだと思いますが、そういうことも予想して、輸出信用保険法にその規定があるかどうか。その点をひとつお話願いたいと思います。
  45. 石井由太郎

    ○石井説明員 輸出信用保険で対価を受取つておりながら、その受取つた部分についての為替差損の補償も受けた場合に、とりもどすかということでございますが、これは輸出信用保険の方でとりもどすという規定はございません。輸出信用保険に対しましては、別段詐害行為を行つたわけでもありませんし、また後になりまして、相手方から入金があつたわけでもございませんので、これは信用保険の方に返させるという規定はないわけでございます。おそらく誤つて支払われるようなことがございますれば、この為替損失補償法の問題として取上げるべきものだと考えております。
  46. 宮幡靖

    宮幡委員 わかつたようなわからないようなお話になりましたが、そうしますと保険の給付があつて、それで六箇月の遅滞というようなことで、保険事故が起つてつてしまつた。それですから実際は金は入つて来ない。その場合に為替の変動が起つて、その受取るべき債権に対する差損を生じた。これは補償するのですか、しないのですか。
  47. 石井由太郎

    ○石井説明員 為替の輸出信用保険は八割まででございますから、八割につきましては、ただいま御質問のようなところでは払いません。残りの二割につきましては、依然為替損失補償の対象として残つているわけでございます。
  48. 宮幡靖

    宮幡委員 それは明確になりました。  次に第九條の問題でございますが、これは理財局でおわかりだろうと思います。損失確定予定日を延期した場合に、五箇年の期限が与えられるようになつております。これはさらに五箇年ということになるのですか。さらに申しますと、「当該契約の締結」とありますその字句は、現契約をいうのですか。延長契約をいうのですか。もつと具体的にいえば、五年と五年が累積された十年までは認められるというのですか。そのことにつきまして伺いたい。
  49. 石田正

    ○石田政府委員 御指摘の九條につきまして、損失確定期日を延期しようとするときに、大蔵大臣に申出ができます。その文章の考えから申しまして、当該契約というのは初めからの契約を考えておるのであります。従いまして、とにかく一番初めから五年間であります。たとえば三年間やつたものをあと二年延ばしたい、こういう場合にはそれに応じよう、こういう趣旨でございます。
  50. 宮幡靖

    宮幡委員 私の字の読み方が悪いでしようけれども、かりに一年くらいの契約をしておいて、足りないから五年まで延ばすというように、九條の一、二項が読めるかどうかが問題であります。読めさえすれば、こんな字句の問題は修正したくないのでありますが、当該ということが、この第九條の一貫した気持からいいますと、どうもあいまいな字句であります。もちろん法制局で調べたので、しろうとのわれわれが言うべきことじやないのですが、御承知通り参議院さんもうるさいのですから、十分この当該ということについて研究していただいた方がよいと思います。五年の上にさらに五年まで行く、そういう極端な例は実際ございません。五年でできなかつたら一年延ばして、六年くらいにするという事態は予想されるかもしれません。しかしながら字句の上では、五年に五年が累積になるというように読める。これは読み方が悪いかもしれないが、しかし当該ということについては、決して私ははつきりしておらないと思うのでありまして、もう少しよく読んで考えてみたいと思います。  それからあと一点でこの法律案に対するお尋ねを終りますが、一昨日も私の質問に関連して小山委員からも尋ねられた、第三條の政府ということであります。この政府という定義を、理財局長からひとつ明確にしておいていただきたい。
  51. 石田正

    ○石田政府委員 前回の答弁を私遺憾ながら聞いておりませんので、どういうことでありましたか、推測して申し上げるので、間違つておりましたら御訂正願いたいと思いますが、政府というのは、官庁の中で大蔵大臣なのかだれなのか、こういう御趣旨でございますれば、政府とは大蔵大臣考えております。
  52. 宮幡靖

    宮幡委員 酒井次長はこう言つている。これは余談でありますから、速記録には載つておりませんが、この政府ということは、法制局の方で考えていることが適当かどうか知らないが、法律的には疑義がないでしようという雑談でありました。しかしながら法制局の意見を聞いてみると、政府と総称いたしますものの中には、かりに申しますと大蔵大臣、通商産業大臣経済安定本部総務長官、こういうこの第三條の規定に関して起るべき事態を管理する権限のあるものという意味である、そういう意味で政府といつておるということであります。そういうことであるならば納得が行くのでありますが、いかに為替操作というものが大蔵大臣の専管に属するといつても、貿易計画というものは、通商産業省なりあるいは経済安定本部との協議の上でできなければならない。そういう問題でどこにも——一昨日も言いましたが、通商産業大臣の名前がない。もし第三條の「政府」が大蔵大臣を表わすなら、なぜ大蔵大臣ともつとはつきりしないのですか。従来「主務大臣」とされたものは、附則か雑則の中において、この場合に何條の主務大臣とは何の何がし、と書くような立法方式をとつておりましたが、これが大蔵大臣と言われますならば、これだけはぜひ大蔵大臣と修正していただきたい。こんな疑問な「政府」ということは置かないでいただきたい。それでその次から起つて参ります問題は何かといえば、貿易計画というもの等は除外いたして、為替損失補償という政策を行政上とる。それはあまりよくほめられないではないかということが次に生れて来る。この問題につきまして、私は大蔵大臣だけであるということであれば、ちよつと納得が行かないのであります。この点は本日御答弁いただかなくてもけつこうでありますが、御研究の上さらに御答弁をいただきまして、あるいは行政措置として、関係各省間の一時的な覚書等でもありましたら、それらもお示しをいただきまして、そうしてこの「政府」という字の意味が十分徹底するように、これは大蔵大臣だけとしたら私は大蔵大臣と直してもらいたい。この点をはつきり申し上げます。設備輸出の問題につきましては、本日はその程度で質問は終りたいと思いますが、外国為替の方につきましても、もうこれ以上お尋ねはいたしません。それでは本日の質問はこの程度で終ります。
  53. 河野通一

    河野(通)政府委員 先ほど長期信用銀行法案につきまして、宮幡さんから御質問がございまして、次会でもけつこうだというお話がございましたが、一応お答え申し上げておきます。なお不満足でございましたら、また次会にお答え申し上げます。  この問題につきましては、結局問題は、現在債券を発行いたしております銀行で、その銀行が将来長期信用銀行にならなかつた場合、その債券を発行して得た資金源でもつて長期金融をしておる一方で、債券はどんどん期限が来ると、長期の貸出しだけ残つたら困るじやないか、こういう問題であろうと思います。この点につきまつしては、いろいろ経過的の措置は講じて参りたい。その一つ方法として、この法案の附則にも、いろいろそれに対する規則を設けております。これははなはだ技術的になつて恐縮でございますが、いろいろな方法があると思います。たとえば債券と、その債券によつて調達された資金長期に貸し付けたその貸付金の債権、この両方な新しく長期信用銀行にそのまま渡すこともできましよう。また貸付債権高を新しい銀行に肩がわりをして、そうして債券はそのままにしておくかわりに、それに見合うだけの資金を、長期信用銀行から借りた形にして処置することもできる。いろいろな方法がおると思います。具体的に問題になりましたのは、先ほどお話のありましたように、興業銀行長期信用銀行になる。それから債券を発行いたしております商工中金、農林中金は、今後も債券を発行して参ります。それから東京銀行は御承知のようなことで、近く片がつきます。そういたしますと、あと残りますのは、北海道拓殖銀行と勧業銀行ということになるわけであります。この二つ銀行につきましては、今の附則の規定等の運用なども考えまして、切りかわりにおいて一方で債券の債務が残る。それからそれにかれるべき預金源がなかなか集まつて来ないというような場合に、いろいろ問題があると思います。これらの点につきまして、ここに十分その切りかわりを円滑にして行くように処置して参りたい。ちよつと具体的に今は申し上げかねるわけでございますけれども、そういう摩擦が起らないような具体的の措置を講ずるように、附則にいろいろ規則を設けております。万全を期して参りたいと思つておる次第でございます。
  54. 宮幡靖

    宮幡委員 今銀行局長さんの御説明で具体的な問題が出て、これは非常にけつこうであります。そこで債券と債権とを見合つて、どこかで片づけてやる、こういうことは、確かに一つ方法であります。ところがこれでは、片づけてもらつた残りの銀行が成り立たないということが、裏にあるわけであります。お話がたまたまそこに及んだから、その言葉を申し上げます。大蔵省でそのくらいの運用のできることは、すでに開発銀行法の一部改正の中に、見返り資金の私企業投資を債権債務見合いでひとつひつぱろう、将来資本金にぶち込もうということまで考えておりますから、そのくらいのことは大蔵省考えられると思つております。それを持つて行つてもらうことにあまり喜びを——具体的にいえば北海道拓殖銀行でも勧業銀行でも喜ばないだろうと思う。ここが一つの隘路であります。御構想は承つておきますが、そこまで話が及んだから、もう少しお考え願いたいことを、私から特に希望を申し上げておきます。     —————————————
  55. 佐藤重遠

    佐藤委員長 この際参考人招致の件についてお諮りいたします。本委員会において審査中の国有財産法十三條の規定に基き、国会議決を求めるの件につきまして、改新党の内藤委員より、本件の審査を進める上においては、利害関係者たる東京都千代田区役所の責任者を呼んでほしい旨の御要求がありましたが、本件について、千代田区役所の責任者を参考人として招致することに、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  56. 佐藤重遠

    佐藤委員長 御異議ないようでございますから、さよう決定いたします。  次会は明二十二日午前十時開会の上、質疑を続行することとして、本日はこれにて散会いたします。     午後三時三十八分散会