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宮幡委員 前段の方の御意見は、大体私が愚か
なつながりをも
つてお尋ねした
意味でありますので、これはそれで了承できるわけでありますが、しかしあとの方は、ちよつと残念ながら異論があるのであります。
銀行等の
債券を発行する
法律によ
つて、
債券を実際に発行した
銀行というのは少い。数は私は全部覚えておりませんが、あまりたくさんないわけであります。ところが
債券を発行しない
銀行——
法律がありながら発行できないものは、これはたとい一部に
長期金融を
行つておりましても、それ自身が純
預金銀行であり、
商業銀行であるというべースに自分で入
つております。ところが現在少くとも
債券の発行されておるという
銀行は、その
資金が
長期資金として確保され、
長期金融としてなされております。
従つてこれらのものは当然的に
考えて、
長期金融機関の
性格を帯びておる。しかも
預金銀行としての
性格も帯びておる。こういうようなときに、これらの既発行の
債券を持
つておる
銀行を、提案されております
長期信用銀行法の中に同一に縛られるということは、これは
預金銀行と
長期信用銀行とを分離したいという
精神のみにとらわれまして、実情を把握していないと私は思う。むしろそういう
銀行は——
長期資金にかりに七割をや
つて、
短期資金は三割ぐらいしかや
つていないという
銀行があるといたしまして、この
長期信用銀行法をまつこうに持
つて行けば、その
銀行は完全なる
長期信用銀行の要件に合うように移りかわりをするか、さもなければ
長期信用銀行を全然思い切
つて行くか、そのどつちかをやめることによりまして、あるいはその
銀行の存続生命に関するというような問題が起きて来るであろう、こう想像されるのであります。こういう無理な
法律は、将来独立国家と
なつた以上、別に覚書も指令も来ないでありましようから、
考えない方が私はよいと思う。もう少し自然な姿においてひとつや
つてもらいたい。それよりもどうも、日本の
金融は統制しておらぬという
観念が一貫しておるのでありますけれ
ども、事実は現在の行政
措置を見ますと、
金融の統制がほのかに見える。しかも財政と
金融を分離いたしました結果から、財政
資金のしわ寄せが民間
資金に
行つておるということは、長い間の議論である。今こういう
長期な
銀行を育成して行こうという
趣旨は、もちろんよろしゆうございます。これに反対する
理由は少しもありません。ありませんけれ
ども、しからばやはり財政
資金が、もつと
金融のしわ寄せを調整いたしまして、当然正常なるところの
長期金融機関が、民間機関として生れ出るところの
情勢をつく
つて後にやるべきだと私は思う。これがこの
法案につきましての基本的な問題にな
つて参ると思いますので、後段の
銀行局長さんの御説明に対しましては、私はまだ十分納得することができないのでありますけれ
ども、きようは時間の
関係もありますので、この問題はこの
程度にいたしまして、あとの問題に移りたいと思います。そこで、きようはわざわざ外為から大久保
委員においでを願いましたので、問題も二、三しか残
つておりませんから、拙速と申しますか、先に片づけることにいたしまして、一、二お伺いいたしたいと思います。それは、もちろん
法案は
設備輸出為替損失補償法案についてであります。これは土曜日に
大蔵省理財局次長の酒井
政府委員にお尋ねをいたしたのでありますが、どうも
法律の
趣旨は、別にポンド地域とかドル地域とか、オープン・アカウント地域と限定はしていないけれ
ども、これが適用される地域は、お尋ねしてみましても、私が感じましたように、おおむねポンド地域、いわゆるスターリング・エリアであろうと思います。すると、御
承知のようにポンド過剰の問題が生じて以来、日英支払協定の改訂等の問題も、今や五月には基本的に支払協定を改訂しなければならない。しかもポンドの自由売買ということも、ある
程度わくの中に置いて認めておる現在の英国の姿、あるいは日本に対しますところの輸入
制限、あるいは各地に起ります輸入証明書制度、こういうようなことを
考えますと、やはりこのボンドの実勢の低下、すなわちポンド切下げを予想して、その為替損失に備えるところの日本の輸出政策は、あるいは英国方面に誤解されるのではなかろうか、こういうことを心配するのは、神経衰弱の結果だというような
お話であるかどうか。この点について、理財局としてはどういうふうにお見通しをしておるか、こういうふつうなお尋ねをいたしましたが、さような
意味でなくて、全地域を相手のプラント輸出の為替損失を補償するという単純な問題であるから、決してそういうふうな感情問題は起らないであろう、こういうような御答弁でありました。しかし私は来月に控えました日英支払協定の改訂という問題とからみまして、これは決して好影響があるものとは
考えておりません。そこでこの問題については、外為と
理財局長が見えたのですから、両方から御意見を承りたいと思いま。少くともわれわれが安心いたしまして、かような
法律を通過せしめる心構えができますような御教示を、お願いいたしたいと思います。